JP2023146729A - 防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート、それを用いた防滑フロア用抗ウイルス性粘着加工シート及び防滑フロア用抗ウイルス性化粧板 - Google Patents

防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート、それを用いた防滑フロア用抗ウイルス性粘着加工シート及び防滑フロア用抗ウイルス性化粧板 Download PDF

Info

Publication number
JP2023146729A
JP2023146729A JP2022054081A JP2022054081A JP2023146729A JP 2023146729 A JP2023146729 A JP 2023146729A JP 2022054081 A JP2022054081 A JP 2022054081A JP 2022054081 A JP2022054081 A JP 2022054081A JP 2023146729 A JP2023146729 A JP 2023146729A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antiviral
particles
curable resin
resin layer
decorative sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022054081A
Other languages
English (en)
Inventor
智美 中島
Tomomi Nakajima
雅貴 和田
Masataka Wada
義昭 根津
Yoshiaki Nezu
陽亮 住田
Yosuke Sumida
梨紗 良波
Risa Yoshinami
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2022054081A priority Critical patent/JP2023146729A/ja
Publication of JP2023146729A publication Critical patent/JP2023146729A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】表面保護層の硬度を調整する(軟質樹脂の使用)ことによる防滑性と、表面保護層に抗ウイルス性粒子を含有することによる抗ウイルス性とを両立した、防滑フロア用抗ウイルス性化粧シートを提供する。【解決手段】最表層に架橋硬化型樹脂層を備える化粧シートであって、(1)前記架橋硬化型樹脂層は、マルテンス硬さが30N/mm2以上100N/mm2以下であり、且つ滑り抵抗値(C.S.R.値)が0.40以上であり、(2)前記架橋硬化型樹脂層は、架橋硬化型樹脂の硬化物及び抗ウイルス性粒子を含有し、前記架橋硬化型樹脂層の厚さ方向の断面の観察において、前記断面の面積100%における前記抗ウイルス性粒子が占有する面積が1%以上10%以下であり、(3)前記抗ウイルス性粒子は、一次粒子の平均粒子径が1μm以上7μm以下であり、前記架橋硬化型樹脂層には前記一次粒子が凝集してなる凝集粒子が含まれており、前記断面の観察において、前記抗ウイルス性粒子が占有する面積100%のうち前記凝集粒子が占有する面積が40%以上であり、(4)前記架橋硬化型樹脂層は、前記凝集粒子に起因した凸部を有していない場合は平滑部の平均厚さが10μm以上であり、前記凝集粒子に起因した凸部を有している場合は前記凸部を除く前記平滑部の平均厚さが10μm以上である、ことを特徴とする、防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。【選択図】なし

Description

本発明は、防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート、それを用いた防滑フロア用抗ウイルス性粘着加工シート及び防滑フロア用抗ウイルス性化粧板に関する。
従来、建築物の内装材に用いられる建具、床、壁等の表面化粧等のために各種の化粧シートが用いられている。例えば、厚さ方向において順に、基材シートと、透明性樹脂層と、表面保護層とを有する積層体から構成される化粧シートが幅広く用いられており、必要に応じて基材シート上に装飾層を設けたり、接着性を高めるために透明性樹脂層と表面保護層との間にプライマー層を設けたり、表面保護層の耐傷性を高めるために表面保護層の樹脂成分に電離放射線硬化型樹脂を含有すること等が知られている。
化粧シートに機能性を付与する一例として、防滑性を有する化粧シートが知られている。具体例としては、例えば、特許文献1には「表面に複数の凸部を形成してなる床用化粧シートであって、
前記凸部の高さは20μm以上80μm以下であり、
平面視で前記凸部の形状は多角形で一辺の長さは40μm以上200μm以下であり、
前記凸部はランダムに配置されており、
平面視で単位面積当たりの前記凸部が占める割合は0.05以上0.5以下であることを特徴とする床用化粧シート。」が開示されている。特許文献1は、特定の凸部を表面に形成することにより化粧シートに防滑性を付与する一例であるが、その他に表面保護層の硬度を調整する(軟質樹脂の使用)ことにより防滑性を付与する技術も知られている。
化粧シートに機能性を付与する他の一例として、抗ウイルス性を有する化粧シートが知られている。具体例としては、例えば、特許文献2には「化粧シート最表面のコーティング樹脂中に銀系無機添加剤又は亜鉛系無機添加剤を配合した抗ウィルス性を有する内装用化粧シートにおいて、前記銀系無機添加剤又は亜鉛系無機添加剤の真比重が2.5以下であり、かつ平均粒子径が1μm以下であり、かつ前記化粧シート最表面のコーティング樹脂に対して固形分比率で10~30%配合してなることを特徴とする抗ウィルス性を有する内装用化粧シート。」が開示されている。
ここで、化粧シートの表面保護層の硬度を調整する(軟質樹脂の使用)ことにより防滑性を付与する技術において、表面保護層に抗ウイルス性粒子を含有する場合には、小粒径(特に平均粒子径が5μm以下)の抗ウイルス性粒子が表面保護層の最表面に均一に存在することにより、防滑性を発揮する軟質樹脂の露出面積(軟質樹脂の有効面積)が相対的に減少して防滑性が低下するという問題がある。
上記問題を改善するために、例えば大粒径の抗ウイルス性粒子を使用して表面保護層に点在させる(軟質樹脂の有効面積を確保する)ことが提案できるが、大粒径の抗ウイルス性粒子を含む表面保護層形成用組成物をグラビア印刷などの公知の印刷法で塗工する場合には塗工時に筋状の欠点が発生し易いという更なる問題がある。大粒径の抗ウイルス性粒子に起因する筋状の欠点は化粧シートの意匠性を低下させる原因にもなり得る。
よって、表面保護層の硬度を調整する(軟質樹脂の使用)ことによる防滑性と、表面保護層に抗ウイルス性粒子を含有することによる抗ウイルス性とを両立した、防滑フロア用抗ウイルス性化粧シートの開発が求められている。
特開特開2017-025576号公報 特開2015-80887号公報
本発明は、表面保護層の硬度を調整する(軟質樹脂の使用)ことによる防滑性と、表面保護層に抗ウイルス性粒子を含有することによる抗ウイルス性とを両立した、防滑フロア用抗ウイルス性化粧シートを提供することを目的とする。また、前記化粧シートを用いた防滑フロア用抗ウイルス性粘着加工シート及び防滑フロア用抗ウイルス性化粧板を提供することも目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、表面保護層に抗ウイルス性粒子の一部又は全部を凝集粒子の状態で含有する特定の態様によれば上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート、それを用いた防滑フロア用抗ウイルス性粘着加工シート及び防滑フロア用抗ウイルス性化粧板に関する。
1.最表層に架橋硬化型樹脂層を備える化粧シートであって、
(1)前記架橋硬化型樹脂層は、マルテンス硬さが30N/mm以上100N/mm以下であり、且つ滑り抵抗値(C.S.R.値)が0.40以上であり、
(2)前記架橋硬化型樹脂層は、架橋硬化型樹脂の硬化物及び抗ウイルス性粒子を含有し、前記架橋硬化型樹脂層の厚さ方向の断面の観察において、前記断面の面積100%における前記抗ウイルス性粒子が占有する面積が1%以上10%以下であり、
(3)前記抗ウイルス性粒子は、一次粒子の平均粒子径が1μm以上7μm以下であり、前記架橋硬化型樹脂層には前記一次粒子が凝集してなる凝集粒子が含まれており、前記断面の観察において、前記抗ウイルス性粒子が占有する面積100%のうち前記凝集粒子が占有する面積が40%以上であり、
(4)前記架橋硬化型樹脂層は、前記凝集粒子に起因した凸部を有していない場合は平滑部の平均厚さが10μm以上であり、前記凝集粒子に起因した凸部を有している場合は前記凸部を除く前記平滑部の平均厚さが10μm以上である、
ことを特徴とする、防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
2.前記架橋硬化型樹脂層は、前記凝集粒子に起因した凸部を有する、上記項1に記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
3.前記凝集粒子の形状が不定形及び房状の少なくとも一種である、上記項1又は2に記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
4.前記断面の面積100%における前記抗ウイルス性粒子が占有する面積が2%以上8%以下である、上記項1~3のいずれかに記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
5.前記凝集粒子の平均粒子径が15μm以上60μm以下である、上記項1~4のいずれかに記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
6.前記凝集粒子の平均粒子径が20μm以上40μm以下である、上記項1~4のいずれかに記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
7.前記架橋硬化型樹脂層のマルテンス硬さが60N/mm以上80N/mm以下である、上記項1~6のいずれかに記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
8.前記抗ウイルス性粒子は、有機系抗ウイルス性粒子である、上記項1~7のいずれかに記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
9.前記有機系抗ウイルス性粒子は、親水基を有する、上記項8に記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
10.前記架橋硬化型樹脂層の平滑部の平均厚さが12μm以上35μm以下である、上記項1~9のいずれかに記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
11.前記架橋硬化型樹脂は、電離放射線硬化型樹脂を含有する、上記項1~10のいずれかに記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
12.前記架橋硬化型樹脂100質量部に対して前記抗ウイルス性粒子を0.5質量部以上15質量部以下含有する、上記項1~11のいずれかに記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
13.厚さ方向において順に、基材シートと、絵柄模様層と、透明性熱可塑性樹脂層と、前記架橋硬化型樹脂層とを少なくとも備える積層体から構成される、上記項1~12のいずれかに記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
14.前記電離放射線硬化型樹脂は、1分子中に2個のラジカル重合性不飽和基を有する重量平均分子量1000~3000のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)を50質量%以上90質量%以下含有し、1分子中に3個~15個のラジカル重合性不飽和基を有する脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(B)を10質量%以上50質量%以下含有する樹脂混合物である、上記項11~13のいずれかに記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
15.厚さ方向において順に、粘着シートと、上記項1~14のいずれかに記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シートとを少なくとも備える積層体から構成される防滑フロア用抗ウイルス性粘着加工シート。
16.厚さ方向において順に、化粧板基材と、上記項1~14のいずれかに記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート又は上記項15に記載の防滑フロア用抗ウイルス性粘着加工シートとを少なくとも備える積層体から構成される防滑フロア用抗ウイルス性化粧板。
本発明の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シートは、最表層である架橋硬化型樹脂層(表面保護層)の特定の厚さ(平滑部の平均厚さ)と、特定のマルテンス硬さと、抗ウイルス性粒子の一部又は全部を凝集粒子の状態で含有する特定の態様との組み合わせにより、良好な防滑性(滑り抵抗値(C.S.R.値)が0.40以上)と抗ウイルス性とを両立することができる。また、当該化粧シートは、粘着シートと組み合わせることにより防滑フロア用抗ウイルス性粘着加工シートとでき、当該化粧シート及び当該粘着加工シートは、それぞれ化粧板基材と組み合わせることにより、防滑フロア用抗ウイルス性化粧板とできる。
架橋硬化型樹脂層の厚さ方向の断面観察像の一例であり、一次粒子径が数μmの抗ウイルス性粒子が凝集して平均粒子径が約38μmの凝集粒子を形成している態様を示す図である。凝集粒子が存在する部分は他の部分(平滑部)と比べて凝集粒子に起因した凸部を形成していることが分かる。 架橋硬化型樹脂層の厚さ方向の断面観察像の一例であり、抗ウイルス性粒子の一次粒子、及び不定形又は房状の凝集粒子が存在する態様を示す図である。房状の凝集粒子が存在する部分は他の部分(平滑部)と比べて凝集粒子に起因した凸部を形成していることが分かる。 本発明の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シートの一例を示す断面模式図である。 本発明の防滑フロア用抗ウイルス性粘着加工シートの一例を示す断面模式図である。 本発明の防滑フロア用抗ウイルス性化粧板の構成部材の一例を模式的に示した断面図である。 本明細書におけるマルテンス硬さの測定に用いるダイヤモンド圧子(a)、押し込み操作の模式図(b)及び押し込み荷重と変位の一例(c)を示す図である。
1.防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート
本発明の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート(以下、「本発明の化粧シート」ともいう)は、最表層に架橋硬化型樹脂層を備える化粧シートであって、
(1)前記架橋硬化型樹脂層は、マルテンス硬さが30N/mm以上100N/mm以下であり、且つ滑り抵抗値(C.S.R.値)が0.40以上であり、
(2)前記架橋硬化型樹脂層は、架橋硬化型樹脂の硬化物及び抗ウイルス性粒子を含有し、前記架橋硬化型樹脂層の厚さ方向の断面の観察において、前記断面の面積100%における前記抗ウイルス性粒子が占有する面積が1%以上10%以下であり、
(3)前記抗ウイルス性粒子は、一次粒子の平均粒子径が1μm以上7μm以下であり、前記架橋硬化型樹脂層には前記一次粒子が凝集してなる凝集粒子が含まれており、前記断面の観察において、前記抗ウイルス性粒子が占有する面積100%のうち前記凝集粒子が占有する面積が40%以上であり、
(4)前記架橋硬化型樹脂層は、前記凝集粒子に起因した凸部を有していない場合は平滑部の平均厚さが10μm以上であり、前記凝集粒子に起因した凸部を有している場合は前記凸部を除く前記平滑部の平均厚さが10μm以上である、
ことを特徴とする。
本発明の化粧シートは、最表層である架橋硬化型樹脂層(表面保護層)の特定の厚さ(平滑部の平均厚さ)と、特定のマルテンス硬さと、抗ウイルス性粒子の一部又は全部を凝集粒子の状態で含有する特定の態様との組み合わせにより、良好な防滑性(滑り抵抗値(C.S.R.値)が0.40以上)と抗ウイルス性とを両立することができる。また、本発明の化粧シートは、粘着シートと組み合わせることにより防滑フロア用抗ウイルス性粘着加工シートとでき、本発明の化粧シート及び本発明の粘着加工シートは、それぞれ化粧板基材と組み合わせることにより、防滑フロア用抗ウイルス性化粧板とできる。
本発明の化粧シートは、最表層に架橋硬化型樹脂層を備えるとともに、当該架橋硬化型樹脂層及びそれに含まれる抗ウイルス性粒子が、上記(1)~(4)に示す所定の要件を満たしていれば、その具体的構成(層構成)については限定されない。
具体的な実施態様では、本発明の化粧シートは、厚さ方向において順に、例えば、基材シートと、透明性熱可塑性樹脂層と、架橋硬化型樹脂層とを少なくとも備える積層体から構成されていてもよい。また、本発明の化粧シートは、厚さ方向において順に、例えば、基材シートと、絵柄模様層と、透明性熱可塑性樹脂層と、架橋硬化型樹脂層とを少なくとも備える積層体から構成されていてもよい。なお、本発明の化粧シートにおいて、最表層の架橋硬化型樹脂層はいわゆる表面保護層としての役割を有する。
図3は本発明の化粧シートの一例を示す断面模式図である。図3では、基材シート2上に、絵柄模様層3、透明性接着剤層4、透明性熱可塑性樹脂層5、プライマー層6及び架橋硬化型樹脂層7が順に積層されており、基材シート2の裏面に裏面プライマー層8が更に備えられている。また、エンボス凹凸模様が形成されている。更に、架橋硬化型樹脂層7には、抗ウイルス性粒子9の存在態様として、一次粒子(図中9-1)と凝集粒子(図中9-2)とが存在する態様が模式的に示されている。架橋硬化型樹脂層7の厚さ(凝集粒子に起因する凸部を除く平滑部の厚さ)は図中Aで示される厚さであるが、凝集粒子の大きさによっては図中9-2で示されるように平滑部の厚さAを超える大きさの凝集粒子によって架橋硬化型樹脂層に凸部が形成されていてもよい。なお、当該凸部は凝集粒子に起因する盛り上がりであるが、凝集粒子自体が露出しているのではなく、架橋硬化型樹脂層としての凸部(盛り上がり)である。
更に、本発明には、厚さ方向において順に、粘着シートと、本発明の化粧シートとを少なくとも備える積層体から構成される防滑フロア用抗ウイルス性粘着加工シート(以下、「本発明の粘着加工シート」ともいう)の発明(例えば、図4に示す態様)も包含されている。なお、図4では、図3に示した化粧シート1の裏面に粘着シート10を備えた粘着加工シート11の構成を例示しているが、化粧シート1の構成はこれに限定されない。
更に、本発明には、厚さ方向において順に、化粧板基材と、本発明の化粧シート又は本発明の粘着加工シートとを少なくとも備える積層体から構成される防滑フロア用抗ウイルス性化粧板(以下、「本発明の化粧板」ともいう)の発明(例えば、図5に示す態様)も包含されている。なお、図5では、図3に示した化粧シート1の裏面に化粧板基材12を備えた化粧板13の構成を例示している。また、図4に示した粘着加工シート11の裏面に化粧板基材12を備えた化粧板13の構成としてもよい。
本明細書では、本発明の化粧シートの施工後に視認される面、すなわち基材シートから見て架橋硬化型樹脂層(表面保護層)が積層されている方向を「上」又は「おもて面」と称し、基材シートから見て裏面プライマー層が積層されている方向を「下」又は「裏面」と称する。このような関係は、本発明の粘着加工シート及び本発明の化粧板の場合でも同じである。なお、積層体において「架橋硬化型樹脂層(表面保護層)の側」という場合に、略記して「架橋硬化型樹脂層(表面保護層)側」ともいう。
以下、図3を例示的に用いて本発明の化粧シートの各層について説明する。但し、本発明の化粧シートの層構成は図3の態様に限定されず、前述の通り積層体として種々の層構成を採ることができる。なお、以下の記載において、「~」で表される数値範囲の下限上限は「以上以下」を意味する(例えば、α~βならば、α以上β以下である)。
基材シート
基材シートは、その表面(おもて面)には絵柄模様層等が順次積層される。なお、最表層は架橋硬化型樹脂層(表面保護層)である。
基材シートとしては、樹脂製フィルム、紙、樹脂含浸紙等の種々のものを例示することができるが、樹脂製フィルムの中でも樹脂成分として熱可塑性樹脂を含有するものが好適である。具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等が挙げられる。本発明では、ポリ塩化ビニル及びポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)の少なくとも一種を好適に用いることができる。
基材シートは、着色されていてもよい。例えば、熱可塑性樹脂に対して着色剤(顔料又は染料)を添加して着色することができる。着色剤としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等の無機顔料、フタロシアニンブルー等の有機顔料のほか、各種の染料も使用することができる。これらは、1種又は2種以上を選ぶことができる。また、着色剤の添加量も、所望の色合い等に応じて適宜設定すればよい。
基材シートには、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の各種の添加剤が含まれていてもよい。
基材シートの厚みは、最終製品の用途、使用方法等により適宜設定できるが、一般には50~250μmが好ましい。
基材シートは、必要に応じて、絵柄模様層を形成するインキの密着性を高めるために表面(おもて面)にコロナ放電処理を施してもよい。コロナ放電処理の方法・条件は、公知の方法に従って実施すればよい。また、必要に応じて、基材シートの裏面にコロナ放電処理を施したり、絵柄模様層(いわゆるバックプリント)を形成したり、後述する裏面プライマー層、後述するバッカー層等を形成したりしてもよい。
絵柄模様層
絵柄模様層は、本発明の化粧シートに所望の絵柄(意匠)を付与する任意層であり、絵柄の種類等は限定的ではない。例えば、木目模様、レザー模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様、草花模様、風景、キャラクター等が挙げられる。
絵柄模様層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)して得られるインキを用いた既知の印刷法により、基材シート表面に形成すればよい。インキとしては、化粧シートのVOCを低減する観点からは水性組成物を用いることもできる。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤は、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等とともに用いてもよい。
結着材樹脂としては、親水性処理されたポリエステル系ウレタン樹脂のほか、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスチレン-アクリレート共重合体、ロジン誘導体、スチレン-無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物、セルロース系樹脂なども併用できる。より具体的には、例えば、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN-ビニルピロリドン系樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂、水溶性アミノ系樹脂、水溶性フェノール系樹脂、その他の水溶性合成樹脂;ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類等の水溶性天然高分子;等も使用することができる。また、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン-ポリアクリル系樹脂等が変性したものないし前記天然ゴム等の混合物、その他の樹脂を使用することもできる。上記結着材樹脂は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸-2-メトキシエチル、酢酸-2-エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤等が挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
絵柄模様層の形成に用いる印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、全面ベタ状の絵柄模様層を形成する場合には、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法が挙げられる。その他、手描き法、墨流し法、写真法、転写法、レーザービーム描画法、電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法、エッチング法等を用いたり、他の形成方法と組み合わせて用いたりしてもよい。
絵柄模様層の厚さは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、層厚は0.1~15μm程度である。
透明性樹脂層
透明性樹脂層は任意に設けることができる層であり、透明性であれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれであってもよい。上記透明性樹脂層の材質は限定されないが、熱可塑性樹脂により形成されたものが好適である。具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等が挙げられる。本発明では、ポリ塩化ビニル及びポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)の少なくとも一種を好適に用いることができる。本明細書では、透明性樹脂層が熱可塑性樹脂を含有する場合には、透明性樹脂層を特に「透明性熱可塑性樹脂層」と称する。
なお、透明性樹脂層は、透明性を有する限り、着色されていてもよい。
また、透明性樹脂層は、透明性を有する限り、必要に応じて、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の各種の添加剤が含まれていてもよい。
透明性樹脂層の厚さは限定的ではないが、40μm以上300μm以下が好ましく、その中でも60μm以上200μm以下がより好ましく、60μm以上100μm以下が最も好ましい。透明性樹脂層の厚さを上記範囲に設定することにより、深いエンボスを形成することができると共に、傷の発生や絵柄模様層の摩耗による削れ(絵柄取られ)を抑制する効果が得られ易い。
透明性接着剤層
絵柄模様層と、透明性樹脂層又は後述する架橋硬化型樹脂層(表面保護層)との密着性を高めるために透明性接着剤層を形成してもよい。透明性接着剤層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれであってもよい。
接着剤としては特に限定されず、化粧シートの分野で公知の接着剤が使用できる。化粧シートの分野で公知の接着剤としては、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、ウレタン系樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら接着剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も適用し得る。
透明性接着剤層の厚さは特に限定されないが、厚さが0.1~30μm程度、好ましくは1~20μm程度である。
プライマー層
透明性樹脂層の上には、架橋硬化型樹脂層(表面保護層)用のプライマー層を設けてもよい。このプライマー層は透明性樹脂層と後述の架橋硬化型樹脂層との密着性を高める作用に加えて、架橋硬化型樹脂層との組み合わせにより化粧シートの折り曲げ加工性や耐傷性を高めることができる。プライマー層は透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれであってもよい。
プライマー層は、公知のプライマー剤を透明性樹脂層の表面に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系共重合体樹脂)、ポリカーボネート系アクリルウレタン共重合体樹脂等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン-セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。これらの中でも、耐傷性及び耐候性の観点からポリカーボネート系アクリルウレタン共重合体樹脂を含むウレタン樹脂系プライマー剤が好適に使用できる。
プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤;シリカ、炭酸カルシウム、クレー等のフィラー;水酸化マグネシウム等の難燃剤;酸化防止剤;滑剤;発泡剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
上記の添加剤のうち、紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が好適である。これらの耐候剤の含有量は限定されないが、紫外線吸収剤、光安定剤のそれぞれについて1000~100000質量ppm程度とすればよい。特に本発明では、トリアジン系紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤を用いることが好ましい。
プライマー層の厚さは限定的ではないが、0.5μm以上12μm以下が好ましく、1μm以上8μm以下がより好ましい。かかる範囲内に設定することにより、架橋硬化型樹脂層との組み合わせにより化粧シートの折り曲げ加工性や耐傷性を高め易くなる。また、耐候剤などの添加剤を含有し易くなり、化粧シートに耐候性も付与し易くなる。
架橋硬化型樹脂層(表面保護層)
本発明の化粧シートは、最表層に架橋硬化型樹脂層(表面保護層)を備え、当該架橋硬化型樹脂層及びそれに含まれる抗ウイルス性粒子が、下記(1)~(4)に示す所定の要件を満たすことにより、良好な防滑性と抗ウイルス性とを両立することができる。
(1)前記架橋硬化型樹脂層は、マルテンス硬さが30N/mm以上100N/mm以下であり、且つ滑り抵抗値(C.S.R.値)が0.40以上であり、
(2)前記架橋硬化型樹脂層は、架橋硬化型樹脂の硬化物及び抗ウイルス性粒子を含有し、前記架橋硬化型樹脂層の厚さ方向の断面の観察において、前記断面の面積100%における前記抗ウイルス性粒子が占有する面積が1%以上10%以下であり、
(3)前記抗ウイルス性粒子は、一次粒子の平均粒子径が1μm以上7μm以下であり、前記架橋硬化型樹脂層には前記一次粒子が凝集してなる凝集粒子が含まれており、前記断面の観察において、前記抗ウイルス性粒子が占有する面積100%のうち前記凝集粒子が占有する面積が40%以上であり、
(4)前記架橋硬化型樹脂層は、前記凝集粒子に起因した凸部を有していない場合は平滑部の平均厚さが10μm以上であり、前記凝集粒子に起因した凸部を有している場合は前記凸部を除く前記平滑部の平均厚さが10μm以上である。
架橋硬化型樹脂は透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれであってもよい。
架橋硬化型樹脂の樹脂成分としては、架橋硬化型樹脂層のマルテンス硬さを30N/mm以上100N/mm以下に調整でき、それにより優れた防滑性の指標として、滑り抵抗値(C.S.R.値)を0.40以上にできる限り限定されないが、電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂を含有することが好ましい。実質的には、これらの樹脂から形成されているものが好ましい。電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂により最表層を形成する場合には、化粧シートの耐摩耗性、耐衝撃性、耐汚染性、耐擦傷性、耐候性等を高め易い。これらの中でも、電離放射線硬化型樹脂が好ましい。
電離放射線硬化型樹脂としては特に限定されず、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により重合架橋反応可能なラジカル重合性二重結合を分子中に含むプレポリマー(オリゴマーを含む)及び/又はモノマーを主成分とする透明性樹脂が使用できる。これらのプレポリマー又はモノマーは、単体又は複数を混合して使用できる。硬化反応は、通常、架橋硬化反応である。
具体的には、前記プレポリマー又はモノマーとしては、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物が挙げられる。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましい。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの重量平均分子量としては、通常250~100000程度が好ましい。ここで、本明細書における重量平均分子量は、GPC分析(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定され、且つ標準ポリスチレンで換算された平均分子量である。
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、多官能モノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーが挙げられる。また、チオールとしては、例えば、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオールが挙げられる。ポリエンとしては、例えば、ジオール及びジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリルアルコールを付加したものが挙げられる。
本発明では、電離放射線硬化型樹脂として、1分子中に2個のラジカル重合性不飽和基を有する重量平均分子量1000~3000のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と1分子中に3個~15個のラジカル重合性不飽和基を有する脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(B)を含有する混合樹脂を用いることができる。かかる混合樹脂を用いる場合には、架橋密度が高いため耐傷性、耐汚染性等の効果が得られ易い上、重量平均分子量及び/又は配合量を適宜調整することにより、架橋硬化型樹脂層を耐衝撃性に優れた態様としたり、Vカットなどの加工適性に優れた態様としたりする等、用途に応じた表面性能に調整し易いという利点がある。
電離放射線硬化型樹脂中の上記オリゴマー(A)、上記オリゴマー(B)の含有割合は限定的ではないが、オリゴマー(A)及びオリゴマー(B)の合計量を100質量%とした場合に、オリゴマー(A)が50~90質量%、オリゴマー(B)が10~50質量%の範囲であれば好ましく、オリゴマー(A)が60~80質量%、オリゴマー(B)が20~40質量%の範囲であればより好ましい。これにより、架橋硬化型樹脂層(硬化後)のマルテンス硬さを30N/mm以上100N/mm以下に設定でき、好ましくはマルテンス硬さを60N/mm以上80N/mm以下に設定できる。本発明では、かかる架橋硬化型樹脂層の特定のマルテンス硬さと、後述する架橋硬化型樹脂層の特定の厚さ(平滑部の平均厚さ)と、抗ウイルス性粒子の一部又は全部を凝集粒子の状態で含有する特定の態様との組み合わせにより、良好な防滑性(滑り抵抗値(C.S.R.値)が0.40以上)と抗ウイルス性とを両立することができる。
本発明では、電離放射線硬化型樹脂として、下記の樹脂A及び樹脂Bの二種類の脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートを含有する混合樹脂を用いることもできる。ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの意味である。
樹脂Aはイソシアヌレート骨格を有する脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートであり、この要件を満たす限り限定的ではないが、例えば、ジイソシアネートの三量体により形成されるイソシアヌレート骨格を有する脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート(特に1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート)の三量体、トリレンジイソシアネートの三量体、メタキシレンジイソシアネートの三量体等が挙げられる。なお、トリレンジイソシアネート及びメタキシレンジイソシアネートはベンゼン環を有する点でヘキサメチレンジイソシアネートよりも耐候性が劣る可能性があるため、これらのジイソシアネートは水素添加されていることが好ましい。これらの樹脂Aは、架橋硬化型樹脂層の耐汚染性、耐アルカリ性等を向上させる効果がある。
樹脂Bはイソシアヌレート骨格を有さず、脂環骨格を有する脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートであり、この要件を満たす限り限定的ではないが、例えば、当該脂環骨格としてイソホロン及びシクロヘキサンの少なくとも一種を有することが好ましい。具体的には、イソホロンジイソシアネートとブタンジオールとをモノマーとする重合体であるウレタンオリゴマーの末端にアクリレートを付加したもの、水素添加ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート(水添MDI)のPG変性ジアクリレート等が挙げられる。これらの樹脂Bは、架橋硬化型樹脂層に柔軟性を付与する効果があり、樹脂Aとの組み合わせにより架橋硬化型樹脂層に長期間に亘る優れた耐汚染性、耐アルカリ性等とともに、衝撃が加わった際や加工時の割れやクラックの発生を抑制する効果を与える。
なお、電離放射線硬化型樹脂は、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により重合架橋反応可能なラジカル重合性二重結合を分子中に含むプレポリマー(オリゴマーを含む)及び/又はモノマーを主成分とする透明性樹脂であって、硬化反応は、通常、架橋硬化反応である。電離放射線硬化型樹脂を硬化させるために用いる電離放射線としては、電離放射線硬化型樹脂(組成物)中の分子を硬化反応させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子が用いられる。通常は紫外線又は電子線を用いればよいが、可視光線、X線、イオン線等を用いてもよい。なお、本発明では電離放射線硬化型樹脂の中でも、光重合開始剤を含まない点で原料樹脂の性質がそのまま架橋硬化型樹脂層の樹脂成分の性質に反映できる点、且つ耐候剤を併用する場合の選択の幅が広がるという点から電子線硬化型樹脂を用いることが好ましい。
2液硬化型ウレタン系樹脂としては特に限定されないが、中でも主剤としてOH基を有するポリオール成分(アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール等)と、硬化剤成分であるイソシアネート成分(トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート等)とを含むものが使用できる。
上記例示の架橋硬化型樹脂は1種又は2種以上を併用して用いることができる。
架橋硬化型樹脂層は、架橋硬化型樹脂の硬化物に加えて抗ウイルス性粒子を含有する。抗ウイルス性粒子としては限定的ではないが、本発明では有機系抗ウイルス性粒子を使用することが好ましく、特に抗ウイルス性粒子の凝集粒子を形成する点では親水基を有する有機系抗ウイルス性粒子を使用することが好ましい。
有機系抗ウイルス性粒子としては、例えば1)スチレンポリマー誘導体化合物と不飽和カルボン酸誘導体化合物とを含有する粒子、2)スチレンポリマー誘導体化合物を含有する粒子と不飽和カルボン酸誘導体化合物を含有する粒子との混合粒子、及び3)スチレン樹脂を含有する粒子、からなる群から選択される少なくとも一種の抗ウイルス性粒子Aを含有することが好ましい。ここで、3)スチレン樹脂を含有する粒子は、前記不飽和カルボン酸誘導体化合物を含有していない粒子である。すなわち、本発明における抗ウイルス性粒子Aは、1)スチレンポリマー誘導体化合物と不飽和カルボン酸誘導体化合物とを一緒に含有する粒子であってもよく、2)スチレンポリマー誘導体化合物を含有する粒子と不飽和カルボン酸誘導体化合物を含有する粒子とを別々に含有する混合粒子であってもよく、これらとは異なる3)スチレン樹脂を含有する粒子であってもよく、これら1)~3)の任意の組み合わせであってもよい。
前記1)及び/又は2)の抗ウイルス性粒子Aは、スチレンポリマー誘導体化合物と不飽和カルボン酸誘導体化合物とを含有し、その構成成分は、水素、水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、カルボキシ基の塩、スルホン酸基の塩、カルボキシ基の誘導体及びスルホン酸基の誘導体からなる群から選択される少なくとも一種の構造を有することが好ましい。これらのいずれかの構造を有する抗ウイルス性粒子Aは、親水基を有する抗ウイルス性粒子である。具体的には、スチレン、スルホン酸ナトリウム、アクリル酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群から選択される少なくとも一種の構造を有することが好ましく、特にスチレン及びスルホン酸ナトリウムの少なくとも一種の構造、並びにアクリル酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群から選択される少なくとも一種の構造の両方を有することが好ましい。
本発明では、前記1)及び/又は2)の抗ウイルス性粒子Aの粒子全体におけるスチレンポリマー誘導体化合物と不飽和カルボン酸誘導体化合物との含有割合は限定されないが、エンベロープウイルスに対してのみ抗ウイルス性能を有していれば良い場合はスチレンポリマー誘導体化合物のみを含有していれば十分である。これに関連し、エンベロープウイルスに対してのみ抗ウイルス性能を有していれば良い場合は、本発明における抗ウイルス性粒子Aは、少なくとも3)スチレン樹脂を含有する粒子を用いる態様としてもよい。
但し、前記1)及び/又は2)の抗ウイルス性粒子Aにおいて、活性阻害が困難なノンエンベロープウイルスに対しても抗ウイルス性能を有することを考慮すると、スチレンポリマー誘導体化合物に加えて不飽和カルボン酸誘導体化合物を含有することが好ましく、本発明では、スチレンポリマー誘導体化合物:不飽和カルボン酸誘導体化合物の質量比で例えば30:70~70:30、更には40:60~60:40と設定することができる。つまり、本発明の抗ウイルス性粒子Aは、エンベロープウイルス及びノンエンベロープウイルスの両方に対して抗ウイルス性能を有するためには、スチレンポリマー誘導体化合物と不飽和カルボン酸誘導体化合物との両成分を含有する前記1)及び/又は2)の抗ウイルス性粒子Aを用いることが好ましい。
具体的には、前記1)及び/又は2)の抗ウイルス性粒子Aにおいて、スチレンポリマー誘導体化合物を含む粒子(粒子Aa)と不飽和カルボン酸誘導体化合物を含む粒子(粒子Ab)とを別々に含有する混合粒子である場合には、粒子Aa:粒子Abの質量比を30:70~70:30、更には40:60~60:40と設定することができる。これらの粒子Aa、粒子Abとしては、それぞれの成分を含有する各種用途で上市されている粒子をそのまま使用してもよく、溶剤系の状態で市販されているものを乾燥・成形することで粒子化して使用してもよい。
本発明では、抗ウイルス性粒子Aに加えて、本発明の効果に影響しない範囲で、抗ウイルス性粒子Aとは異なる抗ウイルス性粒子Bを更に含有してもよい。抗ウイルス性粒子Bは、前記1)、2)及び3)で特定される抗ウイルス性粒子Aに該当しない抗ウイルス性粒子であれば特に限定されない。抗ウイルス性粒子Aと抗ウイルス性粒子Bとを併用する場合には、抗ウイルス性粒子A:抗ウイルス性粒子Bの質量比は限定的ではないが、10:1~50:40の範囲で設定することが好ましい。
前記1)及び/又は2)の抗ウイルス性粒子Aが抗ウイルス性を発揮する理由については下記に推測されるメカニズムに拘束される訳ではないが、例えば、インフルエンザウイルスは、宿主細胞表面の糖鎖受容体(糖鎖末端はノイラミン酸)に結合して宿主細胞内に侵入するところ、スチレンスルホン酸塩を含む共重合体はノイラミン酸と類似したイオン基を有するため、宿主細胞の代わりにウイルスと結合してウイルスを捕捉することで、ウイルスが宿主細胞の受容体に結合するのを防止して抗ウイルス効果を発揮すると考えられる。また、不飽和カルボン酸誘導体化合物は、水分と接触することにより水酸基(OH)を生じさせて水酸基が抗ウイルス性の作用を及ぼすものと考えられる。また、前記3)の抗ウイルス性粒子Aがエンベロープウイルスに対して抗ウイルス性を発揮する理由については、メカニズムに拘束される訳ではないが、例えば、上述したスチレンスルホン酸塩を含む共重合体と同様の作用によるものと考えられる。
架橋硬化型樹脂100質量部に対する抗ウイルス性粒子の含有量は、0.5質量部以上15質量部以下が好ましく、1質量部以上10質量部以下がより好ましい。
本発明で用いる抗ウイルス性粒子は、一次粒子の平均粒子径が1μm以上7μm以下である。なお、本明細書における一次粒子の平均粒子径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50として特定される値である。抗ウイルス性粒子(一次粒子)の形状は限定されないが、例えば球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられる。また、このような一次粒子が凝集して形成される凝集粒子の形状は限定的ではないが、例えば不定形、房状(ブドウの房状)等が挙げられる。
本発明では、架橋硬化性樹脂層が抗ウイルス性粒子を含有するにあたり、架橋硬化型樹脂層の厚さ方向の断面の観察において、断面の面積100%における抗ウイルス性粒子が占有する面積が1%以上10%以下であること、並びに、架橋硬化型樹脂層は抗ウイルス性粒子の一次粒子が凝集してなる凝集粒子を含有し、前記断面の観察において、抗ウイルス性粒子が占有する面積100%のうち凝集粒子が占有する面積が40%以上であることを満たすことを特徴とする。
ここで、架橋硬化型樹脂層の厚さ方向の断面の観察における、抗ウイルス性粒子が占有する面積、並びに、抗ウイルス性粒子が占有する面積100%のうち凝集粒子が占有する面積の算出方法は下記の通りである。本明細書における使用機器は、デジタルマイクロスコープ(型番:VHX-7000、倍率200倍、キーエンス社製」である。
1)化粧シートの厚さ方向の断面を観察するために、任意に選択した領域を片刃トリミング用カミソリ、ミクロトーム等の鋭利な刃物で化粧シートを厚さ方向に切断する、
2)切断した化粧シートの厚さ方向の断面(幅200μm;「幅」は厚さ方向に対して垂直な方向である)をデジタルマイクロスコープにより観察して断面写真を得る、
3)デジタルマイクロスコープの「計測・スケール」機能のうち、「面積計測」機能を用いて、断面写真(断面写真の一例を図2に示す)から、
a)抗ウイルス性粒子(一次粒子)の面積、
b)抗ウイルス性粒子(凝集粒子)の面積、及び
c)架橋硬化型樹脂層(幅200μm)の面積を算出する、
4)算出した各面積から、架橋硬化型樹脂層の断面の面積100%における抗ウイルス性粒子が占有する面積の割合(占有率)を算出する、
占有率(%)=〔(a+b)/c〕×100
5)上記手順を10回行った平均値を抗ウイルス性粒子の占有率(%)と定義する。
6)また、〔b/(a+b)〕×100で示される値を、抗ウイルス性粒子が占有する面積100%のうち凝集粒子が占有する面積の割合(占有率)と定義する。
なお、抗ウイルス性粒子の凝集粒子の平均粒子径は、断面写真において、例えば図1に示すように、凝集粒子が完全に収まるように最小径の円を描き、当該円の直径を凝集粒子の粒子径とし、幅1cmの範囲に存在する凝集粒子の粒子径の平均値を算出した。「幅」は厚さ方向に対して垂直な方向である。これを、凝集粒子の平均粒子径と定義する。本発明では、抗ウイルス性粒子の凝集粒子の平均粒子径は限定的ではないが、15μm以上60μm以下が好ましく、20μm以上40μm以下がより好ましい。凝集粒子の平均粒子径は後述する架橋硬化型樹脂層の平滑部の厚さを超える大きさであってもよく、その場合には凝集粒子に起因した凸部(架橋硬化型樹脂層の盛り上がり)は防滑性をより向上させる作用を有する。
本発明では、架橋硬化型樹脂層の厚さ方向の断面の観察において、断面の面積100%における抗ウイルス性粒子が占有する面積(占有率)は1%以上10%以下であればよいが、この中でも2%以上8%以下が好ましい。かかる範囲内であることにより、化粧シートの抗ウイルス性を確保することができる。また、本発明では、前記断面の観察において、抗ウイルス性粒子が占有する面積100%のうち凝集粒子が占有する面積(占有率)は40%以上であればよいが、50%以上が好ましく、この中でも60%以上90%以下がより好ましい。
架橋硬化型樹脂層の厚さは、前記凝集粒子に起因した凸部を有していない場合は平滑部の平均厚さが10μm以上であり、前記凝集粒子に起因した凸部を有している場合は凸部を除く平滑部の平均厚さが10μm以上である。平滑部の平均厚さは10μm以上であればよいが、12μm以上が好ましく、平均厚さの上限値としては35μm程度である。なお、架橋硬化型樹脂層の平均厚さは、エンボス凹凸模様及び凝集粒子による凸部(架橋硬化型樹脂層の盛り上がり)が形成されていない平坦な箇所(図3の厚さA参照)における測定平均値であり、本明細書では架橋硬化型樹脂層の断面写真の幅1cmにおける10点の厚さの平均値を意味する。「幅」は厚さ方向に対して垂直な方向である。
架橋硬化型樹脂層は、例えば、プライマー層上に架橋硬化型樹脂と抗ウイルス性粒子(一次粒子)とを含有する架橋硬化型樹脂層形成用組成物をグラビアコート、ロールコート等の公知の塗工法により塗工後、樹脂を硬化させることにより形成できる。具体的には、架橋硬化型樹脂層形成用組成物を塗工後、完全に硬化する前に塗膜中で抗ウイルス性粒子(一次粒子)が凝集して凝集粒子を形成することにより本発明の所定の要件を満たす。一次粒子が凝集するためには塗膜にある程度の厚さがあることが必要であるが、一次粒子の平均粒子径が1μm以上7μm以下であることを考慮すると、塗膜の平均厚さは10μm以上であればよい(硬化後の架橋硬化型樹脂層の平均厚さと同様)。また、凝集するためには一次粒子が塗膜中で移動することが必要であるが、架橋硬化型樹脂として軟質樹脂(硬化後の架橋硬化型樹脂層のマルテンス硬さが30N/mm以上100N/mm以下となる樹脂)と組み合わせることにより所望の凝集粒子が得られるように適宜調整することができる。
本発明では、架橋硬化型樹脂層のマルテンス硬さは30N/mm以上100N/mm以下であり、好ましくは60N/mm以上80N/mm以下である。
なお、本明細書におけるマルテンス硬さは、ISO14577に準拠したマルテンス硬さ測定装置PICODENTOR HM-500(フィッシャ-・インストルメンツ製)を用いて測定した値である。具体的には、図6(a)に示されるダイヤモンド圧子(ビッカーズ圧子)を用いて、図6(b)に示すように測定試料にダイヤモンド圧子を押し込むことにより測定する。押し込み条件は、室温(実験室環境温度)において、図6(c)に示される通り、先ず0~5mNまでの負荷を10秒間で加え、次に5mNの負荷で5秒間保持し、最後に5~0mNまでの除荷を10秒間で行う。なお、本明細書では、架橋硬化型樹脂層以外の層の硬度の影響を回避するために架橋硬化型樹脂層の断面のマルテンス硬さを測定した。これに際し、化粧シートを樹脂(冷間硬化タイプのエポキシ2液硬化樹脂やUV硬化性樹脂などの樹脂)で埋包し、室温(23±5℃)で24時間以上放置して硬化させた後、硬化した埋包サンプルを切断し、機械研磨して架橋硬化型樹脂層の断面を露出させ、当該断面に(充填材等の微粒子が層中に含まれる場合には当該微粒子を避けた位置に)ダイヤモンド圧子を押し込むことにより断面のマルテンス硬さを測定した。
本発明では、架橋硬化型樹脂層のマルテンス硬さが30N/mm以上100N/mm以下であり、且つ抗ウイルス性粒子は所定の凝集粒子の態様で含有されているため、架橋硬化型樹脂層の表面に防滑性を発揮する架橋硬化型樹脂の露出面積が確保されている。これにより、架橋硬化型樹脂の滑り抵抗値(C.S.R.値)は0.40以上であり、好ましくは0.45以上である。なお、本明細書における滑り抵抗値(C.S.R.値)は東工大式滑り試験機(O-Y・PSM)を用いて、靴下による滑り抵抗値(C.S.R.値)を測定した値である。
本発明では、架橋硬化型樹脂層の抗ウイルス性能を補完するために架橋硬化型樹脂層にフェニルエーテル誘導体化合物を含有することができる。フェニルエーテル誘導体化合物としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテルが挙げられ、これはエーテル型非イオン界面活性剤として抗ウイルス性能を発現し得ることが知られている。
また、架橋硬化型樹脂層には、所定の防滑性及び抗ウイルス性に影響を与えない範囲で染料,顔料等の着色剤、無機フィラー等の充填剤、耐候剤、消泡剤,レベリング剤,チクソトロピー性付与剤,難燃剤、前記抗ウイルス性粒子とは異なる抗菌剤、前記抗ウイルス性粒子とは異なる抗アレルゲン剤等の各種添加剤を加えてもよい。例えば、本発明では、前記抗ウイルス性粒子に加えて、更に抗菌剤及び抗アレルゲン剤からなる群から選択される少なくとも一種を含有する態様を採用することができる。また、無機フィラーは主に艶消し剤として用いられる場合が多いが、架橋硬化型樹脂層に無機フィラーを含むことにより表面保護層の硬化収縮を抑制する効果も期待できる。
上記抗菌剤としては、無機系抗菌剤、及び有機系抗菌剤がある。特に無機系抗菌剤は有機系抗菌剤に比べ一般に安全性が高く、耐久性、及び耐熱性にも優れているため望ましい。本明細書における無機系抗菌剤とは、銀、銅、亜鉛等の抗菌性金属を各種の無機物担体に担持したものである。
上記抗アレルゲン剤は、無機化合物又は有機化合物のいずれか一方を含むものであり、各々単体で用いても良いし、異なる2種以上を混合させても良い。無機化合物としては金属を担持してなる材料であることが好ましい。
無機化合物の無機材料としては例えば、酸化チタン、リン酸カルシウム、珪酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、ゼオライト、シリカアルミナ、珪酸マグネシウム及びリン酸マグネシウムからなる群から選択される少なくとも一種が好ましく、この中でも酸化チタン、リン酸ジルコニウム等が好ましい。
無機材料に担持される金属としては、例えば、銀、金、白金、亜鉛及び銅からなる群から選択される少なくとも一種が好ましく、この中でも亜鉛等が好ましい。市販品として例えば、日揮触媒製「アトミーボールTZ-R:酸化チタンに亜鉛担持」等を好適に用いることができ、これらの抗アレルゲン剤は、ダニや花粉などの種々のアレルゲンに対して有効に作用するものである。
有機化合物としては、フェノール性水酸基を含有する非水溶性高分子又はポリフェノール化合物が無機固体酸に担持されたもの、スチレンスルホン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種の単量体成分を含む重合体であることが好ましい。
フェノール性水酸基を含有する非水溶性高分子としては、市販品として例えば積水化学工業株式会社製「アレルバスター(商品名)」、丸善石油株式会社製「マルカリンカーM(商品名)」等を使用することができる。また、ポリフェノール化合物とジルコニウム化合物とを組み合わせたものとしては、東亜合成株式会社製「アレリムーブ(商品名)」などが挙げられる。これらの抗アレルゲン剤は、ダニや花粉など種々のアレルゲンに対して有効に作用するものである。
スチレンスルホン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも一種の単量体成分としては、特許第6136433号に示されるような材料を用いることができる。
その他に、有機化合物と無機化合物とを混合させる場合は、例えばアニオン性フェノール系と抗アレルゲン性を有する亜鉛系材料が挙げられる。
アニオン性フェノール系材料としては、タンニン、タンニン酸-吐酒石、フェノールスルホン酸ホルムアルデヒド樹脂、ノボラック型樹脂のスルホン化合物、ノボラック型樹脂のメタンスルホン酸、レゾール型樹脂のメタンスルホン酸、ベンジル化フェノールスルホン酸、チオフェノール系化合物、ジヒドロオキシ、ジフェニルスルホン系化合物、リガント化合物及びこれらの金属キレート化合物などから適宜選択して用いられる。
亜鉛系材料としては、水溶性亜鉛化合物又は非水溶性亜鉛化合物、亜鉛/金属酸化物複合素材などから適宜選択され、非水溶性亜鉛化合物及び/又は非水溶性亜鉛・金属酸化物の複合粒子が水分散され、粒子径が50μm以下であり、前記金属酸化物がチタニア、シリカ、アルミナのいずれかを少なくとも一種含むものであることが好ましい。
エンボス加工
エンボス加工は、化粧シートに木目模様等の所望のテクスチャーを付与するために行い、透明性樹脂層上、及び/又は、架橋硬化型樹脂層上からエンボス加工が施されていてもよい。例えば、架橋硬化型樹脂層を加熱軟化させた後、所望の形の凹凸模様を有するエンボス板で加圧及び賦型し、冷却固定することによりテクスチャーを付与する。エンボス加工は、公知の枚葉又は輪転式エンボス機で行える。
エンボス加工の凹凸模様としては、例えば、木目導管溝、浮造模様(浮出した年輪の凹凸模様)、ヘアライン、砂目、梨地等が挙げられる。
エンボス加工を施した場合には、必要に応じて、エンボス凹部にワイピング加工によりインキを充填してもよい。例えば、エンボス凹部にドクターブレードで表面をかきながらインキを充填する。充填するインキ(ワイピングインキ)としては、通常は2液硬化型のウレタン樹脂をバインダーとするインキを用いることができる。特に木目導管溝凹凸に対してワイピング加工を行うことによって、より実際の木目に近い意匠を表現することにより商品価値を高めることができる。
裏面プライマー層
基材シートの裏面には、必要に応じて裏面プライマー層を設けてもよい。例えば、基材シートと化粧板基材とを接着して化粧板を作製する際に効果的である。
裏面プライマー層は、公知のプライマー剤を基材シートに塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系共重合体樹脂)、ポリカーボネート系アクリルウレタン共重合体樹脂等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン-セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。
プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
裏面プライマー層の厚さは特に限定されないが、通常0.01~10μm、好ましくは0.1~1μm程度である。
合成樹脂製バッカー層
基材シートの裏面には、必要に応じて合成樹脂製バッカー層を設けてもよい。合成樹脂製バッカー層を有することにより、化粧シートの耐衝撃性がより一層向上する。なお、前述の裏面プライマー層も設ける場合には、基材シートの裏面に基材シート側から合成樹脂製バッカー層及び裏面プライマー層の順に設ける。
合成樹脂製バッカー層を構成する樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリメチレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレート〔例えば、エチレングリコールの一部を1,4-シクロヘキサンジメタノールやジエチレングリコール等で置換したポリエチレンテレフタレートである、いわゆる商品名PET-G(イーストマンケミカルカンパニー製)〕、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート-イソフタレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド、ポリスチレン、ポリアミド、ABS、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴムなどのジエン系ゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴムなどの非ジエン系ゴム、天然ゴム、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらの樹脂は単独又は2種以上で使用できる。
合成樹脂製バッカー層の厚みは、0.1~0.6mmが好ましく、0.15~0.45mmがより好ましく、0.20~0.40mmが更に好ましい。合成樹脂製バッカー層の厚みの下限が上記範囲であることにより、化粧シートの耐衝撃性がより一層向上する。また、合成樹脂製バッカー層の厚みの上限が上記範囲であることにより、化粧シートの反りがより一層抑制される。
化粧シートの各層に含まれる各種添加剤のベシクル化
本発明の化粧シートの上述の各層に添加される各種添加剤(プライマー層や架橋硬化型樹脂層に添加される無機フィラー等)は、当該各種添加剤がベシクル化されていることが好ましい。各種添加剤をベシクル化する方法としては特に限定されず、公知の方法によりベシクル化することができ、中でも超臨界逆相蒸発法が好ましい。
ベシクル化処理方法としては、超臨界逆相蒸発法の他に、Bangham法、エクストルージョン法、水和法、逆相蒸発法、凍結融解法などが挙げられる。このようなベシクル化処理方法について簡単に説明すると、Bangham法は、フラスコなどの容器にクロロホルムまたはクロロホルム/メタノール混合溶媒を入れ、さらにリン脂質を入れて溶解する。その後、エバポレータを用いて溶媒を除去して脂質からなる薄膜を形成し、添加剤の分散液を加えた後、ボルテックスミキサーで水和・分散させることよりベシクルを得る方法である。エクストルージョン法は、薄膜のリン脂質溶液を調液し、Bangham法において外部摂動として用いたミキサーに代わってフィルターを通過させることによりベシクルを得る方法である。水和法は、Bangham法とほぼ同じ調製方法であるが、ミキサーを用いずに、穏やかに攪拌して分散させてベシクルを得る方法である。逆相蒸発法は、リン脂質をジエチルエーテルやクロロホルムに溶解し、添加剤を含んだ溶液を加えてW/Oエマルジョンを作り、当該エマルジョンから減圧下において有機溶媒を除去した後、水を添加することによりベシクルを得る方法である。凍結融解法は、外部摂動として冷却・加熱を用いる方法であり、この冷却・加熱を繰り返すことによってベシクルを得る方法である。
以下、超臨界逆相蒸発法について詳細に説明する。超臨界逆相蒸発法とは、超臨界状態又は超臨界点以上の温度若しくは圧力条件下の二酸化炭素にベシクルの外膜を形成する物質を均一に溶解させた混合物中に、水溶性または親水性の封入物質としての各種添加剤を含む水相を加えて、一層の膜で封入物質としての各種添加剤を包含したカプセル状のベシクルを形成する方法である。なお、超臨界状態の二酸化炭素とは、臨界温度(30.98℃)および臨界圧力(7.3773±0.0030MPa)以上の超臨界状態にある二酸化炭素を意味し、臨界点以上の温度若しくは圧力条件下の二酸化炭素とは、臨界温度のみ、又は、臨界圧力のみが臨界条件を超えた条件下の二酸化炭素を意味する。当該方法により、直径50~800nmの単層ラメラベシクルを得ることができる。一般に、ベシクルとは、球殻状に閉じた膜構造を有する小胞の内部に液相を含むものの総称であり、特に、外膜がリン脂質等の生体脂質から構成されるものをリポソームと称する。
上記リン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、カルジオリピン、卵黄レシチン、水添卵黄レシチン、大豆レシチン、水添大豆レシチン等のグリセロリン脂質、スフィンゴミエリン、セラミドホスホリルエタノールアミン、セラミドホスホリルグリセロール等のスフィンゴリン脂質が挙げられる。
外膜を構成する物質としては、また、ノニオン系界面活性剤や、これとコレステロール類若しくはトリアシルグリセロールの混合物等の分散剤を用いることができる。
上記ノニオン系界面活性剤としては、ポリグリセリンエーテル、ジアルキルグリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポリブタジエン-ポリオキシエチレン共重合体、ポリブタジエン-ポリ2-ビニルピリジン、ポリスチレン-ポリアクリル酸共重合体、ポリエチレンオキシド-ポリエチルエチレン共重合体、ポリオキシエチレン-ポリカプロラクタム共重合体等の1種又は2種以上を用いることができる。
上記コレステロール類としては、コレステロール、α-コレスタノール、β-コレスタノール、コレスタン、デスモステロール(5,24-コレスタジエン-3β-オール)、コール酸ナトリウム、コレカルシフェロール等の1種又は2種以上を用いることができる。
上記リポソームの外膜は、リン脂質と分散剤との混合物から形成されていてもよい。本発明の化粧シートにおいては、外膜をリン脂質から形成したリポソームとすることで、各層の主成分である樹脂組成物と各種添加剤との相溶性を良好なものとすることができる。
2.防滑フロア用抗ウイルス性粘着加工シート
本発明の防滑フロア用抗ウイルス性粘着加工シート(本発明の粘着加工シート)は、厚さ方向において順に、粘着シートと、本発明の化粧シートとを少なくとも備える積層体から構成される。粘着シートとしては特に限定されず、化粧シートその他の機能性シートの分野で使用されている粘着シートを適宜使用することができる。本発明の粘着加工シートは、裏面に粘着シートを有することにより、フロア用の各種物品及び被着体の表面に貼付することができ、任意に抗ウイルス性を付与することができる。
3.防滑フロア用抗ウイルス性化粧板
本発明の防滑フロア用抗ウイルス性化粧板(本発明の化粧板)は、厚さ方向において順に、化粧板基材と、本発明の化粧シート又は本発明の粘着加工シートとを少なくとも備える積層体から構成される。
図5に、化粧板基材12上に本発明の化粧シート1(架橋硬化型樹脂層側とは反対面と化粧板基材12とを貼り合わせる)がこの順に積層された防滑フロア用抗ウイルス性化粧板13の一例を示す。
化粧板基材としては限定的ではないが、例えば、中密度木質繊維板、高密度木質繊維板、パーティクルボード、針葉樹合板、広葉樹合板、早成樹合板、コルクシート、コルク含有複合基材、熱可塑性樹脂板(ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂等を主成分とする樹脂板、又はそれらを発泡させたもの)等の少なくとも1種が挙げられる。これらの化粧板基材は、単独又は2種以上を組み合わせて積層することにより使用してもよい。
ここで、針葉樹としては、例えば、椴松、唐松、蝦夷松、杉、ヒノキ、パイン、セコイヤ、トウヒ等が挙げられる。広葉樹としては、例えば、ラワン、シナ、カバ、セン、ブナ、ナラ、メランチ等が挙げられる。また、早成樹としては、ポプラ、ファルカタ、アカシア、カメレレ、ユーカリ、ターミナリア等が挙げられる。
針葉樹合板、広葉樹合板、早成樹合板等の木質合板を用いる場合の木質単板の積層数(プライ数)は限定的ではないが、通常3~7枚が好ましく、5~7枚がより好ましい。また、木質合板作製時に用いる接着剤も限定されず、公知の木工用接着剤が広く使用できる。接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン-アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする接着剤が挙げられる。また、熱硬化型接着剤として、メラミン系、フェノール系、ユリア系(酢酸ビニル-尿素系など)等の接着剤も挙げられる。
前記コルクシートとしては、コルク樫の樹皮のコルク組織を剥離及び加工した弾力性に富む素材であるいわゆる天然コルクだけでなく、コルクに似せて作られたいわゆる合成コルクのいずれも用いることができる。なお、コルクシートは単層であってもよく、弾性率や密度が異なる複数のコルクシートの積層体であってもよい。
前記コルク含有複合基材としては、コルクシートと他の材質(例えば、中密度木質繊維板、高密度木質繊維板)とを積層して貼り合わせてなる複合材などが挙げられる。
化粧板基材の厚さは限定的ではないが、2~15mm程度が好ましく、2~12mm程度がより好ましい。
化粧シート又は粘着加工シートと化粧板基材とを積層する積層方法は限定的でなく、例えば接着剤によりそれぞれを貼着する方法等を採用することができる。また、粘着加工シートが化粧板基材と十分な接着性を有している場合には、更に接着剤を介することなく粘着加工シートと化粧板基材とを貼着する方法を採用することができる。接着剤は、被着材の種類等に応じて公知の接着剤から適宜選択すればよい。例えば、ウレタン、アクリル、ウレタン-アクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、アイオノマー等のほか、ブタジエン-アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。これら接着剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いる。
以下に実施例及び比較例並びに試験例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に示す内容に限定されない。
実施例1
基材シートとして60μm厚の着色ポリプロピレンフィルムを用意した。
基材シートの裏面に裏面プライマー層(厚さ2μm)を形成して、基材シートのおもて面に、厚さ2μmとなるように絵柄模様層をグラビア印刷により形成した。
絵柄模様層上に、ウレタン系樹脂を用いて厚さ2μmとなるように透明性接着剤層を形成した。
透明性接着剤層上に、厚さ80μmとなるように透明ランダムポリプロピレン系樹脂のシートを押し出しラミネート方式で積層し、透明性樹脂層を形成した。
透明性樹脂層のおもて面にコロナ放電処理を施した後、2液硬化型ウレタン樹脂を含むプライマー剤を厚さ2μmで塗工することによりプライマー層を形成した。
プライマー層のおもて面に、下記の架橋硬化型樹脂層形成用組成物をグラビアコート方式により15μmの塗工量で塗工した後、酸素濃度200ppm以下の環境下、電子線照射装置を用いて加速電圧165KeV、5Mradの条件で電子線を照射して電子線硬化型樹脂を硬化させることで架橋硬化型樹脂層を形成し、化粧シートを作製した。
(架橋硬化型樹脂層形成用組成物)
・架橋硬化性樹脂として、多官能ウレタンオリゴマー30質量部、及び2官能オリゴマー70質量部からなる合計100質量部のウレタンアクリレート樹脂
・抗ウイルス性粒子(樹脂100質量部に対する含有量は3質量部)
有機系抗ウイルス性粒子:スチレン樹脂とフェニルエーテル誘導体を質量比1:1で含む複合粒子
スチレン樹脂=polysciences社製スチレン樹脂粒子、商品名「ミクロスフェア(粒子径4.5μm)」、
フェニルエーテル誘導体=Kao Chemicals製ポリオキシエチレンアルキルエーテル、商品名「エマルゲン 707」。
実施例2
架橋硬化性樹脂100質量部に対して光反応開始剤(品番「イルガキュア184」、BASF製)9質量部を添加し、紫外線照射装置を用いて波長300nmの紫外線を照射することにより架橋硬化型樹脂層を形成した以外は、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
比較例1
抗ウイルス性粒子を銀担持リン酸系ガラス粒子(品番「PG-711」、平均粒子径1μm、興亜硝子製)とし、樹脂100質量部に対する含有量を10質量部とした以外は、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
比較例2
抗ウイルス性粒子を下記の抗ウイルス性粒子Aとし、樹脂100質量部に対する含有量を5質量部とした以外は、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
・抗ウイルス性粒子A(下記A1とA2とA3とを質量比2:3:1で含む複合粒子)
A1:スチレンポリマー誘導体化合物を含有する粒子:島貿易株式会社製のポリスチレンスルホン酸誘導体、商品名「VERSA-TL3」)
A2:不飽和カルボン酸誘導体化合物を含有する粒子:BYK製の溶剤系不飽和ポリカルボン酸ポリマー、商品名「BYK-P104」を乾燥させて成形した粒子
A3:ウイルス性添加剤:Kao Chemicals製ポリオキシエチレンアルキルエーテル、商品名「エマルゲン 707」。
試験例1
実施例1~2及び比較例1~2で作製した化粧シートについて、架橋硬化型樹脂層中における抗ウイルス性粒子の凝集粒子の平均粒子径(μm)、厚さ方向の断面観察において断面の面積100%における抗ウイルス性粒子の占有率(%)、前記断面観察において抗ウイルス性粒子が占有する面積100%のうち抗ウイルス性粒子の凝集粒子の占有率(%)、滑り抵抗値(C.S.R.値)、及び抗ウイルス性能の評価を行った。各測定方法及び評価方法は下記の通りである。
<滑り抵抗性>
各化粧板に対して、東工大式滑り試験機(O-Y・PSM)を用いて、靴下による滑り抵抗値(C.S.R.値)を測定した。評価基準は下記の通りであり、+以上を合格とした。
++:測定値が0.45以上
+ :測定値が0.40以上0.45未満
- :測定値が0.40未満。
<抗ウイルス性能>
実施例及び比較例で作製した化粧シートについて、抗ウイルス試験方法(ISO21702)に準拠した方法で抗ウイルス性能試験を行い、インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス活性値を下記評価基準に基づいて評価した。評価基準は下記の通りである。
ウイルス種:エンベロープウイルス(インフルエンザウイルス)、
+ :抗ウイルス活性値が2.0以上、
- :抗ウイルス活性値が2.0未満。
結果を下記表1に示す。
Figure 2023146729000001
1.防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート
2.基材シート
3.絵柄模様層
4.透明性接着剤層
5.透明性樹脂層
6.プライマー層
7.架橋硬化型樹脂層(表面保護層)
8.裏面プライマー層
9-1.抗ウイルス性粒子(一次粒子)
9-2.抗ウイルス性粒子(凝集粒子)
10.粘着シート
11.防滑フロア用抗ウイルス性粘着加工シート
12.化粧板基材
13.防滑フロア用抗ウイルス性化粧板
A.架橋硬化型樹脂層(表面保護層)の平滑部の厚さ

Claims (16)

  1. 最表層に架橋硬化型樹脂層を備える化粧シートであって、
    (1)前記架橋硬化型樹脂層は、マルテンス硬さが30N/mm以上100N/mm以下であり、且つ滑り抵抗値(C.S.R.値)が0.40以上であり、
    (2)前記架橋硬化型樹脂層は、架橋硬化型樹脂の硬化物及び抗ウイルス性粒子を含有し、前記架橋硬化型樹脂層の厚さ方向の断面の観察において、前記断面の面積100%における前記抗ウイルス性粒子が占有する面積が1%以上10%以下であり、
    (3)前記抗ウイルス性粒子は、一次粒子の平均粒子径が1μm以上7μm以下であり、前記架橋硬化型樹脂層には前記一次粒子が凝集してなる凝集粒子が含まれており、前記断面の観察において、前記抗ウイルス性粒子が占有する面積100%のうち前記凝集粒子が占有する面積が40%以上であり、
    (4)前記架橋硬化型樹脂層は、前記凝集粒子に起因した凸部を有していない場合は平滑部の平均厚さが10μm以上であり、前記凝集粒子に起因した凸部を有している場合は前記凸部を除く前記平滑部の平均厚さが10μm以上である、
    ことを特徴とする、防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
  2. 前記架橋硬化型樹脂層は、前記凝集粒子に起因した凸部を有する、請求項1に記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
  3. 前記凝集粒子の形状が不定形及び房状の少なくとも一種である、請求項1又は2に記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
  4. 前記断面の面積100%における前記抗ウイルス性粒子が占有する面積が2%以上8%以下である、請求項1~3のいずれかに記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
  5. 前記凝集粒子の平均粒子径が15μm以上60μm以下である、請求項1~4のいずれかに記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
  6. 前記凝集粒子の平均粒子径が20μm以上40μm以下である、請求項1~4のいずれかに記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
  7. 前記架橋硬化型樹脂層のマルテンス硬さが60N/mm以上80N/mm以下である、請求項1~6のいずれかに記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
  8. 前記抗ウイルス性粒子は、有機系抗ウイルス性粒子である、請求項1~7のいずれかに記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
  9. 前記有機系抗ウイルス性粒子は、親水基を有する、請求項8に記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
  10. 前記架橋硬化型樹脂層の平滑部の平均厚さが12μm以上35μm以下である、請求項1~9のいずれかに記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
  11. 前記架橋硬化型樹脂は、電離放射線硬化型樹脂を含有する、請求項1~10のいずれかに記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
  12. 前記架橋硬化型樹脂100質量部に対して前記抗ウイルス性粒子を0.5質量部以上15質量部以下含有する、請求項1~11のいずれかに記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
  13. 厚さ方向において順に、基材シートと、絵柄模様層と、透明性熱可塑性樹脂層と、前記架橋硬化型樹脂層とを少なくとも備える積層体から構成される、請求項1~12のいずれかに記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
  14. 前記電離放射線硬化型樹脂は、1分子中に2個のラジカル重合性不飽和基を有する重量平均分子量1000~3000のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)を50質量%以上90質量%以下含有し、1分子中に3個~15個のラジカル重合性不飽和基を有する脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(B)を10質量%以上50質量%以下含有する樹脂混合物である、請求項11~13のいずれかに記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート。
  15. 厚さ方向において順に、粘着シートと、請求項1~14のいずれかに記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シートとを少なくとも備える積層体から構成される防滑フロア用抗ウイルス性粘着加工シート。
  16. 厚さ方向において順に、化粧板基材と、請求項1~14のいずれかに記載の防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート又は請求項15に記載の防滑フロア用抗ウイルス性粘着加工シートとを少なくとも備える積層体から構成される防滑フロア用抗ウイルス性化粧板。
JP2022054081A 2022-03-29 2022-03-29 防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート、それを用いた防滑フロア用抗ウイルス性粘着加工シート及び防滑フロア用抗ウイルス性化粧板 Pending JP2023146729A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022054081A JP2023146729A (ja) 2022-03-29 2022-03-29 防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート、それを用いた防滑フロア用抗ウイルス性粘着加工シート及び防滑フロア用抗ウイルス性化粧板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022054081A JP2023146729A (ja) 2022-03-29 2022-03-29 防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート、それを用いた防滑フロア用抗ウイルス性粘着加工シート及び防滑フロア用抗ウイルス性化粧板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023146729A true JP2023146729A (ja) 2023-10-12

Family

ID=88286935

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022054081A Pending JP2023146729A (ja) 2022-03-29 2022-03-29 防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート、それを用いた防滑フロア用抗ウイルス性粘着加工シート及び防滑フロア用抗ウイルス性化粧板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023146729A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7103224B2 (ja) 化粧シート及び化粧板
JP7243729B2 (ja) 化粧シート及び化粧板
WO2019124510A1 (ja) 化粧シート及び化粧板
JP2021142749A (ja) 化粧シート及び化粧板
WO2021230386A2 (ja) 抗ウイルス性ハードコートフィルム、それを用いた抗ウイルス性粘着加工シート及び抗ウイルス性化粧板
JP7459581B2 (ja) 化粧シート及びそれを用いた化粧板
JP2023050182A (ja) 抗ウイルス性化粧シート及び抗ウイルス性化粧板
JP2023146729A (ja) 防滑フロア用抗ウイルス性化粧シート、それを用いた防滑フロア用抗ウイルス性粘着加工シート及び防滑フロア用抗ウイルス性化粧板
JP2021142751A (ja) 化粧シート及び化粧板
WO2024005082A1 (ja) 抗ウイルス性化粧シート、それを用いた抗ウイルス性粘着加工シート及び抗ウイルス性化粧板
JP2023147192A (ja) 抗ウイルス性化粧シート、それを用いた抗ウイルス性粘着加工シート及び抗ウイルス性化粧板
TWI850586B (zh) 抗病毒性硬塗膜、使用其之抗病毒性黏著加工片材及抗病毒性化妝板
US20230158783A1 (en) Decorative sheet, and decorative plate
JP2021142750A (ja) 化粧シート及び化粧板
TWI826973B (zh) 裝飾片及裝飾板
JP7103117B2 (ja) 化粧シート用の透明性樹脂層及びその製造方法、並びに当該透明性樹脂層を備えた化粧シート及び化粧板
JP2024137748A (ja) 化粧シート及び化粧板
JP2024122878A (ja) 床用化粧板
JP2023152697A (ja) 抗ウイルス性化粧シート及び抗ウイルス性化粧板
JP2017061843A (ja) コルクシートを用いた化粧材