JP2021156984A - プラスチック光ファイバ、プラスチック光ファイバケーブル - Google Patents

プラスチック光ファイバ、プラスチック光ファイバケーブル Download PDF

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Abstract

【課題】長期耐熱性、耐捻回性、及び機械的耐久性に優れる光ファイバケーブルを提供する。【解決手段】透明樹脂で形成されたコア11と、前記コアの外周面上に第一クラッド12a、第二クラッド12bの順で同心円状に形成されたクラッド層を有するプラスチック光ファイバ10であって、前記第一クラッドを構成する材料は、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート由来の繰り返し単位を含み、且つ、屈折率が1.400〜1.480であるフッ素化メタクリレート系樹脂を含み、前記第二クラッドを構成する材料は、テトラフルオロエチレン単位、エチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位、及びパーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)単位を含むポリマー鎖を有し、カーボネート基を有する反応性官能基を主鎖及び/又は側鎖の末端に有し、屈折率が1.340〜1.395である変性フッ素樹脂を含む、プラスチック光ファイバ。【選択図】図1

Description

本発明は、プラスチック光ファイバ、プラスチック光ファイバケーブルに関する。
メチルメタクリレート等の透明性の高い樹脂からなるコアを有するプラスチック光ファイバは、列車内、航空機内、自動車等の車両内等での光情報通信や、ファクトリーオートメーション(FA)分野の光情報通信に用いられている。上記の光情報通信分野では、通常プラスチック光ファイバは、その外周に樹脂を被覆したプラスチック光ファイバケーブル(以下、「光ファイバケーブル」という。)の形態で使用される。
光ファイバケーブルは、自動車等の車両内配線やFA分野の通信配線等の用途に用いられる場合、エンジン等の高温体に近い環境や、夏期に高温環境で使用されるので、長時間熱に曝露されても伝送損失が増加しないよう、長期耐熱性に優れたプラスチック光ファイバ及び光ファイバケーブルが望まれている。
さらに上記の用途では、光ファイバケーブルが、狭い空間に捻回された状態で敷設されたり、可動部配線として繰り返し捻回を受ける状態で使用されたりするので、耐捻回性に優れたプラスチック光ファイバ及び光ファイバケーブルが望まれている。
さらに、上記の用途では、光ファイバケーブルが、自動車等の車両内で、振動などの機械的作用を受けた状態で使用されたり、ファクトリーオートメーション(FA)分野で、屈曲された状態と直線状に保持された状態を繰り返しながら使用されても、プラスチック光ファイバのクラッドに割れが発生したり、若しくは、2層以上のクラッドではクラッド間の剥離が発生して、伝送損失が増加しないことが望まれている。すなわち、機械的耐久性に優れたプラスチック光ファイバ及び光ファイバケーブルが望まれている。
プラスチック光ファイバの長期耐熱性を改善する方法として、例えば、特許文献1には、クラッドを構成する材料と被覆層を構成する材料を好適化した光ファイバケーブルが開示されている。
プラスチック光ファイバの長期耐熱性と柔軟性を改善する方法として、例えば、特許文献2〜3には、クラッドを構成する材料として特定の変性フッ素系樹脂を用いた光ファイバケーブルが開示されている。
国際公開第2019/177105号公報 特開2010−28682号公報 特開2012−27304号公報
しかしながら、特許文献1〜3に開示されている光ファイバケーブルは、長期耐熱性には優れているが、耐捻回性及び/又は機械的耐久性が十分でない。
そこで、本発明の目的は、長期耐熱性、耐捻回性、及び機械的耐久性に優れたプラスチック光ファイバ及びプラスチック光ファイバケーブルを提供することにある。
本発明の第一の要旨は、透明樹脂で形成されたコアと、前記コアの外周面上に第1クラッド、第2クラッドの順で同心円状に形成されたクラッド層を有するプラスチック光ファイバであって、前記第一クラッドを構成する材料は、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート由来の繰り返し単位を含み、且つ、屈折率が1.400〜1.480であるフッ素化メタクリレート系樹脂を含み、前記第二クラッドを構成する材料は、テトラフルオロエチレン単位、エチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位、及びパーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)単位を含むポリマー鎖を有し、カーボネート基を有する反応性官能基を主鎖及び/又は側鎖の末端に有し、屈折率が1.340〜1.395である変性フッ素樹脂を含む、プラスチック光ファイバを提供することにある。
本発明の第二の要旨は、前記プラスチック光ファイバと、該プラスチック光ファイバの外周に設けられた被覆層を有する、プラスチック光ファイバケーブルを提供することにある。
本発明の実施形態によれば、長期耐熱性、耐捻回性、及び機械的耐久性に優れたプラスチック光ファイバ及びプラスチック光ファイバケーブルを提供できる。
本発明のプラスチック光ファイバの一例を示す模式的断面図である。 本発明のプラスチック光ファイバケーブルの一例を示す模式的断面図である。 本発明のプラスチック光ファイバケーブルの捻回光量損失を計測する際に用いられる捻回試験装置の模式図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いながら説明するが、本発明はこれらの図面に限定されるものではない。
<プラスチック光ファイバ>
本発明のプラスチック光ファイバ(以下、適宜「光ファイバ」と略する。)は、透明樹脂で形成されたコアと、前記コアの外周面上に第一クラッド、第二クラッドの順で同心円状に形成されたクラッド層とを有する。具体的には、図1に示すような、コア11の外周に第一クラッド、第二クラッドの順で同心円状に形成されたクラッド層を有する光ファイバが挙げられる。
前記第一クラッドを構成する材料は、後述するフッ素化メタクリレート系樹脂である。
前記第二クラッドを構成する材料は、後述する変性フッ素樹脂である。
プラスチック光ファイバの直径は、光ファイバの取り扱い性に優れ、光素子との結合効率や光軸ずれに対する許容度の観点から、0.1mm〜5mmが好ましく、0.2mm〜3mmがより好ましく、0.3〜2mmが更に好ましく、0.9〜1.1mmが特に好ましい。
光ファイバの直径に対するコアの直径は、光素子との結合効率や光軸ずれに対する許容度の観点から、光ファイバの直径に対して85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。クラッドの厚み斑に対する許容度の観点から、光ファイバの直径に対して99.9%以下とすることが好ましい。
第一クラッドの厚さは、コアを通過する光を全反射させ、光ファイバのコア部の断面積占有率を十分に確保できることや、光素子との結合効率や光軸ずれに対する許容度の観点から、光ファイバの直径に対して10%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、7%以下が更に好ましい。第一クラッドの厚さは光ファイバの直径に対して0.05%以上とすることが好ましい。例えば、ファイバの直径が1.0mmの場合、第一クラッドの厚さは、0.5〜50μmが好ましく、1.0〜25μmがより好ましく、2.0〜15μmがさらに好ましい。
第二クラッドの厚さは、変性フッ素樹脂を被覆することによる機械強度が向上し、光ファイバのコア部の断面積占有率を十分に確保できることから、以下のようにすることが好ましい。すなわち、クラッドが2層構造の場合、第一クラッドと第二クラッドの厚さの比は、1:0.1〜1:5が好ましく、1:0.1〜1:4がより好ましく、1:0.1〜1:3が更に好ましく、1:0.2〜1:3が特に好ましい。例えば、ファイバの直径が1.0mmの場合、第二クラッドの厚さは、2〜30μmが好ましく、3〜20μmがより好ましく、4〜15μmがさらに好ましい。
<コア>
コアを形成する透明樹脂は、透明性の高い樹脂であれば特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、カーボネート樹脂等が挙げられる。これらの透明樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。上述した材料の中でも、波長650nm付近の透明性に優れていることから、アクリル系樹脂とポリカーボネート系樹脂が好ましく、105℃長期耐熱性に優れ、より長距離の通信に適していることから、アクリル系樹脂がより好ましい。
アクリル樹脂としては、例えば、メチルメタクリレートの単独重合体(PMMA)、メチルメタクリレートと1種類以上のビニル系単量体との共重合体が挙げられる。前記共重合体としては、具体的には、メチルメタクリレート単位を50質量%以上含む共重合体等が挙げられる。これらのアクリル樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらのアクリル樹脂の中でも、光学特性、機械特性、耐熱性、透明性に優れることから、メチルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリレート単位を50質量%以上含む共重合体(メチルメタクリレート系共重合体)が好ましい。メチルメタクリレート系共重合体としては、メチルメタクリレート単位を60質量%以上含む共重合体が好ましく、メチルメタクリレート単位を70質量%以上含む共重合体が更に好ましい。メチルメタクリレートの単独重合体がコア材として特に好ましい。
尚、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート又はその両方をいう。
アクリル樹脂等のコア材の屈折率は、1.485〜1.50が好ましく、1.490〜1.495がより好ましい。
尚、本明細書において、屈折率は、後述する方法に従って測定した値とする。
コア材の製造は、公知の重合方法で行うことができる。コア材を製造するための重合方法としては、例えば、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法等が挙げられる。これらの重合方法の中でも、異物の混入を抑制することができることから、塊状重合法、溶液重合法が好ましい。
<クラッド>
本発明のプラスチック光ファイバのクラッドは、前記コアの外周面上に第一クラッド、第二クラッドの順で同心円状に形成された、2層構造のクラッド層である。
クラッドを2層構造とすることで、第一クラッドを構成する材料の組成や屈折率を調整して、プラスチック光ファイバの、耐熱性、受光量や伝送帯域等の光学特性等を調整でき、第二クラッドを構成する材料の組成や屈折率を調整することで、耐薬品性、機械的強度、光ファイバを曲げたときの光量損失等を調整できる。
前記第一クラッド及び第二クラッドを構成する材料は、コア材より、低い屈折率を有している。
第一クラッドを構成する材料は、後述するフッ素化メタクリレート系樹脂を含む。具体的には、図1の第一クラッド(12a)を構成する材料が、後述するフッ素化メタクリレート系樹脂を含む。
第二クラッドを構成する材料は、後述する変性フッ素樹脂を含む。具体的には、図1の第二クラッド(12b)を構成する材料が、後述する変性フッ素樹脂を含む。
本発明のプラスチック光ファイバは、第二クラッドに含まれる前記変性フッ素樹脂と、第一クラッドに含まれるフッ素化メタクリレート系樹脂は親和性が高いので、第二クラッドと第一クラッドの密着性を良好にできる。その結果、光ファイバケーブルの耐捻回性と機械的耐久性が優れたものになる。
耐捻回性と機械的耐久性に優れると、光ファイバケーブルを、狭い空間に捻回した状態で敷設することや、可動部配線として繰り返し捻回を受ける状態で使用することができる。光ファイバケーブルの耐捻回性と機械的耐久性の具体的な評価方法は、後述する。
さらに、第一クラッドに含まれるフッ素化メタクリレート系樹脂、及び第二クラッドに含まれる変性フッ素樹脂は、高温環境下でも透明性を良好に維持できるので、光ファイバケーブルの105℃の長期耐熱性をより優れたものにできる。
<変性フッ素樹脂>
コア材として上記の透明性の高い樹脂(好ましくはアクリル樹脂)を用い、第一クラッドとして前記材料を用いる場合、第二クラッドを構成する材料は、テトラフルオロエチレン単位、エチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位、及びパーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)単位を含むポリマー鎖を有し、カーボネート基を有する反応性官能基を主鎖及び/又は側鎖の末端に有する変性フッ素樹脂を含む。
第二クラッドを構成する材料が、前記変性フッ素樹脂を含むことにより、第一クラッドを構成する材料がフッ素化メタクリレート系樹脂を含むときに、光ファイバケーブルの長期耐熱性、耐捻回性及び機械的耐久性に優れる。
変性フッ素樹脂の、アッベ屈折計を用いて23℃で測定したナトリウムD線の屈折率は1.340〜1.395である。屈折率がこの範囲にあれば、光ファイバケーブルの長期耐熱性、耐捻回性及び機械的耐久性に優れる。また、屈折率がこの範囲内にあれば、プラスチック光ファイバの開口数が十分に大きくなり、受光量を十分に確保できるので、長距離の通信に好適である。
前記変性フッ素樹脂としては、光ファイバケーブルの長期耐熱性、耐捻回性及び機械的耐久性がより優れる観点から、テトラフルオロエチレン単位を24〜58モル%、エチレン単位を30〜68モル%、ヘキサフルオロプロピレン単位を7〜28モル%、パーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)単位を1〜10モル%を含むポリマー鎖を有し、カーボネート基を有する反応性官能基を主鎖及び/又は側鎖の末端に有する変性フッ素樹脂が好ましい。
前記変性フッ素樹脂は、主鎖あるいは側鎖にカーボネート基(カルボニルジオキシ基)を有する反応性官能基を有しているので、プラスチック光ファイバと、エチレン−ビニルアルコール系樹脂熱可塑性樹脂を含む被覆層との接着性をより向上させることができる。その結果、光ファイバケーブルに優れた耐捻回性等を付与することができる。カーボネート基を有する反応性官能基を導入した変性フッ素樹脂は、変性フッ素樹脂の重合時に重合開始剤としてパーオキシカーボネートを用いることで容易に導入できる。
前記変性フッ素樹脂は、120〜200℃の範囲に融点を有することが好ましい。融点がこの範囲内にあれば、プラスチック光ファイバ製造時の、コアやクラッド層の形状変動を抑制でき、さらに、コアの透明樹脂の熱分解を抑制できる温度で製造できるので好ましい。
前記変性フッ素樹脂は、230℃、荷重3.8kgで測定したメルトフローインデックスが5〜100g/10分であることが好ましい。メルトフローインデックスがこの範囲内にあれば、プラスチック光ファイバ製造時の、コアやクラッド層の形状変動を抑制でき、さらに、コアの透明樹脂の熱分解を抑制できる温度で製造できるので好ましい。
前記第二クラッドを構成する材料は、前記変性フッ素樹脂を85質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上である。100質量%であってもよい。
このような変性フッ素樹脂としては、市販品として、ダイキン工業社製のネオフロンEFEP RP4020及びRP5000、旭硝子社製のフルオンLM−ETFE AH2000等を使用できる。
ネオフロンEFEP RP4020及びRP5000は、カーボネート基を有する反応性官能基をポリマー鎖の主鎖及び/又は側鎖の末端に有する、テトラフルオロエチレン/エチレン/ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)共重合体である。
<フッ素化メタクリレート系樹脂>
本発明において、コア材として上記の透明性の高い樹脂(好ましくはアクリル樹脂)を用いる場合、第一クラッドを構成する材料は、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート(13FM)由来の繰り返し単位(以下、「13FM単位」という。)を必須成分として有する、フッ素化メタクリレート系樹脂を含む。
第一クラッドを構成する材料が、13FM単位を必須成分として有する、前記フッ素化メタクリレート系樹脂を含むことにより、第二クラッドを構成する材料が前記変性フッ素樹脂を含むときに、光ファイバケーブルの長期耐熱性、耐捻回性及び機械的耐久性に優れる。
本発明におけるフッ素化メタクリレート系樹脂の、アッベ屈折計を用いて23℃で測定したナトリウムD線の屈折率は1.400〜1.480である。屈折率がこの範囲にあれば、プラスチック光ファイバの開口数が十分に大きくなり、受光量を十分に確保できるので、長距離の通信に好適である。
前記フッ素化メタクリレート系樹脂としては、フッ素化(メタ)アクリレート系重合体を用いることができる。具体的には、フルオロアルキル(メタ)アクリレート重合体、フルオロアルキル(メタ)アクリレート/アルキル(メタ)アクリレート共重合体等のフッ素化(メタ)アクリレート系重合体を挙げることができる。
前記フッ素化メタクリレート系樹脂は、13FM単位を含む共重合体である。具体的には、下記(1)〜(3)の共重合体(以下、単に「13FM単位を含む共重合体」と略する。)が挙げられる。
(1)13FM単位とメチルメタクリレート単位を含む共重合体
(2)13FM単位と下記式(1)又は下記式(2)で表されるフルオロアルキル(メタ)アクリレートの少なくとも一種(但し、式(1)は13FMを除く)に由来する繰り返し単位を含む共重合体
(3)13FM単位と、メチルメタクリレート単位と、下記式(1)又は下記式(2)で表されるフルオロアルキル(メタ)アクリレートの少なくとも一種(但し、式(1)は13FMを除く)に由来する繰り返し単位を含む共重合体
すなわち、前記フッ素化メタクリレート系樹脂は、前記式(1)又は前記式(2)で表されるフルオロアルキル(メタ)アクリレートの少なくとも一種(但し、式(1)は13FMを除く)に由来する繰り返し単位を含んでもよいし、含まなくてもよい。。
本発明におけるフッ素化メタクリレート系樹脂が前記式(1)又は前記式(2)で表されるフルオロアルキル(メタ)アクリレートの少なくとも一種(但し、式(1)は13FMを除く)を含む場合、前記フッ素化メタクリレート系樹脂は、該フッ素化メタクリレート系樹脂の総質量100質量%に対して、下記式(1)又は下記式(2)で表されるフルオロアルキル(メタ)アクリレートの少なくとも一種に由来する繰り返し単位(以下、「フルオロアルキル(メタ)アクリレート単位」と略する。)0〜70質量%と、13FM単位7〜55質量%を含む共重合体であれば、得られる光ファイバケーブルは、長期耐熱性、耐捻回性及び機械的耐久性に優れることから好ましい。
Figure 2021156984

(式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Xは、水素原子又はフッ素原子であり、mは、1又は2であり、nは、5〜13の整数である。)
Figure 2021156984

(式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Xは、水素原子又はフッ素原子であり、mは、1又は2であり、nは、1〜4の整数である。)
特に、第一クラッドを構成する材料である前記フッ素化メタクリレート系樹脂に、13FM単位を含む共重合体を用いることにより、光ファイバの長期耐熱性を維持しつつ、光ファイバの耐捻回性及び機械的耐久性を良好にできるので好ましい。第二クラッドを構成する材料に、前記変性フッ素樹脂を用いた場合に、光ファイバの耐捻回性及び機械的耐久性はより良好となる。
第一クラッドを構成する材料に、13FM単位を含まず、前記式(1)で表されるフルオロアルキル(メタ)アクリレート単位及び/又は前記式(2)で表されるフルオロアルキル(メタ)アクリレート単位を含む、(共)重合体を用いると、光ファイバの耐捻回性及び/又は機械的耐久性が、不十分となる。
この理由は定かでないが、一分子中のフッ素原子の含有割合が13FMより低い、フルオロアルキル(メタ)アクリレート(例えば、後述する3FM、4FM、5FM、8FM)を用いると、第一クラッドを構成する材料は、ガラス転移温度が高くなり、脆くなる傾向があり、光ファイバの耐捻回性が不十分になると推察される。また、一分子中のフッ素原子の含有割合が13FMより高い、フルオロアルキル(メタ)アクリレート(例えば、後述する17FM、21FM)を用いると、第一クラッドを構成する材料と、光ファイバのコア材又は第二クラッドを構成する材料との密着性が低下する傾向があり、光ファイバの耐捻回性及び機械的耐久性が不十分になると推察される。
勿論、第一クラッドを構成する材料は、13FM単位を含むときは、前記式(1)で表されるフルオロアルキル(メタ)アクリレート単位及び/又は前記式(2)で表されるフルオロアルキル(メタ)アクリレート単位を含むことができる。
本発明におけるフッ素化メタクリレート系樹脂に含まれる13FM単位の含有量の下限値は、該フッ素化メタクリレート系樹脂の総質量100質量%に対して、7質量%以上が、光ファイバの機械的耐久性が良好となる観点から好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましい。一方、13FM単位の含有量の上限値は、該フッ素化メタクリレート系樹脂の総質量100質量%に対して、55質量%以下が、光ファイバの長期耐熱性が良好となる観点から好ましく、45質量%以下がより好ましく、35質量%以下がさらに好ましい。
また、前記フッ素化メタクリレート系樹脂が、前記フルオロアルキル(メタ)アクリレート単位を含む共重合体であれば、第一クラッドが透明性に優れるので長距離通信に好適であり、また、光ファイバの柔軟性や伝送帯域が良好となることから好ましい。
前記フッ素化メタクリレート系樹脂に含まれる、前記フルオロアルキル(メタ)アクリレート単位の含有量の下限値は、該フッ素化メタクリレート系樹脂の総質量100質量%に対して、5質量%以上が、光ファイバの柔軟性が良好となる観点から好ましく、8質量%以上がより好ましく、13質量%以上がさらに好ましい。一方、含有量の上限値は、該フッ素化メタクリレート系樹脂の総質量100質量%に対して、70質量%以下が、光ファイバの長期耐熱性が良好となる観点から好ましく、65質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。
前記式(1)で表されるフルオロアルキル(メタ)アクリレートを用いることにより、光ファイバの柔軟性が良好となる。具体的には、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(17FM)、2−(パーフルオロデシル)エチルメタクリレート(21FM)等の長鎖フルオロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記式(2)で表されるフルオロアルキル(メタ)アクリレートを用いることにより、光ファイバの伝送帯域が良好となる。具体的には、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(3FM)、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート(4FM)、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート(5FM)、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート(8FM)等の短鎖フルオロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記フッ素化メタクリレート系樹脂は、必要に応じて、本発明の光ファイバの性能を損なわない範囲で、共重合可能な他の単量体に由来する繰り返し単位を含むことができる。
前記共重合可能な他の単量体としては、13FM並びに前記式(1)又は前記式(2)で表されるフルオロアルキル(メタ)アクリレートと共重合可能であれば、特に限定されるものではなく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の公知の(メタ)アクリル酸アルキルエステルや、メタアクリル酸等の化合物の単位を挙げることができる。特に、メタクリル酸メチルは、クラッドの透明性が向上するので、光ファイバの光量ロスが少なくなり、長距離通信に好適である。
前記フッ素化メタクリレート系樹脂が、該フッ素化メタクリレート系樹脂の総質量100質量%に対して、前記フルオロアルキル(メタ)アクリレート単位0〜70質量%と、13FM単位7〜55質量%と、前記共重合可能な他の単量体に由来する繰り返し単位23〜88質量%からなる共重合体であれば、長期耐熱性及び機械的耐久性に優れることから好ましい。
前記フッ素化メタクリレート系樹脂として、具体的には、13FM/3FM/メチルメタクリレート(MMA)/メタクリル酸(MAA)共重合体、13FM/17FM/MMA/MAA共重合体、13FM/21FM/MMA/MAA共重合体、13FM/MMA/MAA共重合体が好ましい。中でも、13FM/MMA/MAA共重合体は、光ファイバの機械的耐久性を、より優れたものにできるので好ましい。
<プラスチック光ファイバの製造方法>
プラスチック光ファイバの製造は、公知の製造方法を用いて行うことができ、例えば、溶融紡糸法で行うことができる。
溶融紡糸法によるプラスチック光ファイバの製造は、例えば、コア材及びクラッド材をそれぞれ溶融し、複合紡糸することにより行うことができる。
光ファイバケーブルを温度差の大きい環境で用いる場合、ピストニングを抑制するため、プラスチック光ファイバをアニール処理することが好ましい。アニール処理の処理条件は、プラスチック光ファイバの材料によって適宜設定すればよい。アニール処理は連続で行ってもよく、バッチで行ってもよい。
<プラスチック光ファイバケーブル>
本発明のプラスチック光ファイバは、必要に応じて、前記光ファイバの外周に一層又は二層以上の被覆用樹脂からなる層(以下、「被覆樹脂層」という。)を設けて、光ファイバケーブルの形態とすることで、光ファイバが建物内の配線や、自動車等の車両内の各装置間の接続のために用いられるときに、光ファイバを機械的に保護したり、ガソリン、バッテリー液やウィンドウォッシャー液等による被液から光ファイバを保護できる。
本発明の光ファイバケーブルの一実施態様としては、本発明のプラスチック光ファイバと、該プラスチック光ファイバの外周に設けられた一層の被覆層を有する、プラスチック光ファイバケーブルが挙げられる。具体的には、図2(a)に示すような、プラスチック光ファイバ10と、該プラスチック光ファイバの外周に設けられた一層の被覆樹脂層(20b(被覆層))を有する光ファイバケーブルが挙げられる。
前記被覆層を構成する材料は、後述するポリアミド樹脂を含む材料である。
前記被覆層の厚さは、光ファイバケーブルの長期耐熱性、耐念回性に優れる観点から、被覆層の厚さは50μm〜700μmが好ましい。より好ましい厚さは100μm〜350μmである。
本発明の光ファイバケーブルの別の実施態様としては、前記被覆層の外層に、さらに被覆外層を有する光ファイバケーブルが挙げられる。具体的には、図2(b)に示すようなプラスチック光ファイバ10の外周に2層の被覆樹脂層(20b(被覆層)と20c(被覆外層))を有する光ファイバケーブルが挙げられる。
前記被覆外層を構成する材料は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂を含む材料である。
各層の厚さは、光ファイバケーブルの長期耐熱性、耐念回性に優れる観点から、被覆層の厚さは25μm〜350μm、被覆外層の厚さは150μm〜700μmが好ましい。
本発明の光ファイバケーブルの別の実施態様としては、前記プラスチック光ファイバと前記被覆層の間に設けられた被覆内層を有する、プラスチック光ファイバケーブルが挙げられる。具体的には、図2(c)に示すような光ファイバ10の外周に3層以上の被覆樹脂層(20a(被覆内層)と20b(被覆層)と20c(被覆外層))を有する光ファイバケーブルが挙げられる。
前記被覆内層を構成する材料は、第一のエチレン−ビニルアルコール系樹脂を含む材料である。
さらに、前記被覆層を構成する材料が、ポリアミド系樹脂と第二のエチレン−ビニルアルコール系樹脂の混合物である材料を用いることもできる。
各層の厚さは、光ファイバケーブルの長期耐熱性、耐念回性及び機械的耐久性に優れる観点から、被覆内層の厚さは25μm〜350μm、被覆層の厚さは25μm〜350μm、被覆外層の厚さは150μm〜700μmが好ましい。
本発明の光ファイバケーブルの直径は、0.3mm〜10mmが好ましく、0.5mm〜8mmがより好ましく、1.2mm〜4mmがさらに好ましく、1.3mm〜2.6mmが特に好ましい。光ファイバケーブルの直径が0.3mm以上であると、光ファイバケーブルの長期耐熱性に優れるものを得ることができる。また、光ファイバケーブルの直径が10mm以下であると、光ファイバケーブルの柔軟性、取り扱い性に優れるものを得ることができる。
以下、被覆層、被覆外層、被覆内層、光ファイバケーブルの製造方法の順に詳細に説明する。
(被覆層)
前記被覆層を構成する材料は、ポリアミド系樹脂を含む。
被覆層が、ポリアミド系樹脂を含む材料から構成されることにより、ポリアミド系樹脂の有する優れた耐熱性、耐薬品、機械的強度により、光ファイバケーブルの耐熱性、機械的強度が良好となる。

ポリアミド系樹脂としては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1010等の脂肪族ポリアミド;ポリアミド4T(1,4−ブタンジアミンとテレフタル酸の共重合体)、ポリアミド6T(1,6−ヘキサンジアミンとテレフタル酸の共重合体)、ポリアミドMXD6(メタ−キシリレンジアミンとアジピン酸の共重合体)、ポリアミド6I(1,6−ヘキサンジアミンとイソフタル酸の共重合体)、ポリアミド9T(1,9−ノナンジアミンとテレフタル酸の共重合体)等の半芳香族ポリアミド等が挙げられる。これらのポリアミド系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのポリアミド系樹脂の中でも、耐熱性、酸素遮断性に優れることから、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1010、ポリアミドMXD6、ポリアミド6T、ポリアミド9Tが好ましく、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミドMXD6がより好ましく、ポリアミド66、ポリアミド12、ポリアミド11が更に好ましい。
被覆層を構成する材料において、ポリアミド系樹脂の含有割合の下限は、特に制限されないが、光ファイバケーブルの105℃長期耐熱性、フェルールとのレーザー溶着性に優れることから、被覆層を構成する材料を100質量%として、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましい。ポリアミド系樹脂の含有割合の上限は、特に制限されないが、光ファイバケーブルの被覆内層と被覆層の密着性に優れることから、被覆層を構成する材料を100質量%として、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下が更に好ましい。
ポリアミド系樹脂の融点は、150℃〜300℃が好ましく、180℃〜280℃がより好ましい。ポリアミド系樹脂の融点が150℃以上であると、光ファイバケーブルの耐熱性に優れる。またポリアミド系樹脂の融点が300℃以下であると、加工性に優れる。
本明細書において、融点は、ISO3146:2000に準拠し、示差走査熱量計により測定した値とする。
さらに、本発明の光ファイバケーブルは、前記被覆層を構成する材料に、ポリアミド系樹脂と第二のエチレン−ビニルアルコール系樹脂(以下、「第二のEVOH樹脂」という。)の混合物を使用することができる。
被覆層を構成する材料が第二のEVOH樹脂を含むことにより、被覆層と後述する被覆内層の間に親和作用が得られ、光ファイバケーブルの被覆層と被覆内層の密着性を良好にできる。
上記の被覆層を構成する第二のEVOH樹脂としては、後述する被覆内層の項に記載した、第一のEVOH樹脂と同様のものを使用できる。被覆内層を構成する材料に用いる第一のEVOH樹脂と、被覆層を構成する材料に用いる第二のEVOH樹脂は、被覆層と被覆内層の密着性をより良好にできる観点から、同じものであることが好ましい。
被覆層において、前記ポリアミド系樹脂と前記第二のEVOH樹脂の配合割合は、ポリアミド系樹脂100質量部に対して、前記第二のEVOH樹脂10質量部〜30質量部が好ましく、15質量部〜25質量部がより好ましい。前記第二のEVOH樹脂の含有割合が10質量部以上であると、光ファイバケーブルの被覆内層と被覆層の密着性を良好にできる。前記第二のEVOH樹脂の含有割合が、ポリアミド系樹脂100質量部に対して30質量部以下であると、ポリアミド樹脂による効果を十分に得ることができる。
前記ポリアミド系樹脂と前記第二のEVOH樹脂を混合する方法としては、例えば、公知の二軸押出機等の装置を用いて溶融混練する方法等が挙げられる。
被覆層を構成する材料の溶融混練の温度は、200℃〜300℃が好ましく、220℃〜280℃がより好ましい。被覆層を構成する材料の溶融混練の温度が200℃以上であると、被覆層を構成する材料を十分に混練することができる。また、被覆層を構成する材料の溶融混練の温度が300℃以下であると、ポリアミド系樹脂の本来の性能を損なわないで混練することができる。
(被覆外層)
被覆外層は、前記被覆層の外周に形成される層のことをいう。
前記被覆外層を構成する材料は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂(以下、「PBT樹脂」という。)を含む。
被覆外層が、PBT樹脂を含む材料から構成されることにより、PBT樹脂の有する優れた耐熱性、耐薬品、機械的強度により、高温高湿下における、光ファイバケーブルの耐熱性や、耐薬品、機械的強度が良好となる。
PBT樹脂とは、1,4−ブタンジオール(テトラメチレングリコール)とテレフタル酸のエステル化反応、又は1,4−ブタンジオールとテレフタル酸ジメチルのエステル交換反応等により得られたビスヒドロキシブチルテレフタレート(BHT)ないしはそのオリゴマーを重縮合して合成された、下記一般式(4)で示されるオリゴポリ1,4−ブチレンテレフタレートの単位を主構成単位として含有する重合体のことである。
Figure 2021156984

(式中のnは正の整数を示す)
本発明に適しているPBT樹脂として、より具体的には、上記一般式(4)で示されるオリゴポリ1,4−ブチレンテレフタレートをハードセグメント単位(結晶相)として含有し、ソフトセグメント単位(非晶相)として、分子量が200〜5000の範囲にある脂肪族ポリエーテル(例えば、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)など)と、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジプロピル、テレフタル酸ジブチルのうち少なくとも1種類との重縮合で合成された下記一般式(5)で示されるブロック単位、又は下記一般式(6)で示されるポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)のブロック単位やポリブチレンアジペート(PBA)のような脂肪族ポリエステルのブロック単位を含有するエラストマー樹脂が好ましい。
Figure 2021156984

(式中、pは4〜12の整数、qは2〜20の整数、mは正の整数を示す)
Figure 2021156984

(式中、rは1以上の整数、lは正の整数を示す)
上記のPBT樹脂の中でも、特に、高温高湿下における、光ファイバケーブルの光学性能や被覆層の機械的強度を維持する点で、上記一般式(5)で示される脂肪族ポリエーテル単位を含むブロック単位をソフトセグメント単位として有するPBT樹脂が好適である。特に、オリゴポリ1,4−ブチレンテレフタレートからなるハードセグメント部分(A)(式(4)に示される構造)と、テレフタル酸あるいはテレフタレートと分子量が200〜600の範囲にあるポリテトラメチレングリコール(PTMG)との重縮合体からなるソフトセグメント部分(B)(式(5)においてp=4の場合の構造)とを含むブロック共重合体であるPBT樹脂が、高温高湿下における、光ファイバケーブルの光学性能や被覆層の機械的強度に優れていることから好ましい。
さらに、上記PBT樹脂においては、ハードセグメント部分(A)に含まれる1,4−ブチレンテレフタレート単位の総モル数(a)と、ソフトセグメント部分(B)に含まれる1,4−ブチレンテレフタレート単位の総モル数(b)の比(a/b)は、15/85〜30/70の範囲が好ましい。この比(a/b)が小さすぎると、ポリマー主鎖中のエーテル結合単位の数が増えるため、高温高湿下でPBT樹脂が加水分解による劣化を受けやすく、又ソフトセグメント含有割合が増大するため、材料自体が柔軟で変形を受け易くなるために引抜強度が低下する。逆に、この比(a/b)が大きすぎると、ハードセグメントの含有割合が増大するために、融点が高くなり、被覆安定性が低下する。この比(a/b)は18/82以上がより好ましく、22/78以上がさらに好ましい。一方、この比は27/73以下がより好ましく、25/75以下がさらに好ましい。
さらに、上記PBT樹脂の融点は、155℃以上230℃以下の範囲にあることが好ましい。融点が低すぎると、被覆内層との密着性が低下する虞がある。一方、融点が高すぎると、被覆外層を設ける際の熱履歴の影響により光ファイバの光学特性が低下する虞がある。PBT樹脂の融点は220℃以下がより好ましく、210℃以下がさらに好ましい。またPBT樹脂の融点は165℃以上がより好ましく、175℃以上がさらに好ましい。
本明細書において、融点は、ISO3146:2000に準拠し、示差走査熱量計により測定した値とする。
このようなPBT樹脂としては、例えば、東レ・デュポン社製のハイトレル(Hytrel)8068、5547F、6037F、7237F(商品名)や、ポリプラスチック社製のDURANEXシリーズ(商品名)、東洋紡社製のペルプレンSタイプ、Pタイプ(商品名)、三菱エンジニアリングプラスチックス社製のノバデュラン5010N6−3X(商品名)、デュポン社製のCrastinシリーズ(商品名)等の中から選ぶことができる。
中でも、難燃性に優れている点から、東レ・デュポン社製のハイトレル(Hytrel)7237F(商品名)または三菱エンジニアリングプラスチックス社製のノバデュラン5010N6−3Xを用いることがより好ましい。
被覆外層を構成する材料において、PBT樹脂の含有割合の下限は、特に制限されないが、光ファイバケーブルの105℃長期耐熱性及び可塑剤耐性が良好となる観点から、被覆外層を構成する材料100質量%に対して、70質量%以上が好ましい。80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。被覆外層を構成する材料中のPBT樹脂の含有割合の上限は、特に制限されるものではなく、100質量%であっても良い。
(被覆内層)
被覆内層は、前記プラスチック光ファイバと前記被覆層の間に設けられた層のことをいう。
前記被覆内層を構成する材料は、第一のエチレン−ビニルアルコール系樹脂(以下、「第一のEVOH樹脂」という。)を含む。
第一のEVOH樹脂は、エチレンに由来する単位(以下「エチレン単位」と略す)とビニルアルコールに由来する単位(以下「ビニルアルコール単位」と略す)を含む共重合体樹脂である。
第一のEVOH樹脂は、前記変性フッ素樹脂と親和性が大きいため、被覆層とプラスチック光ファイバの密着性が高くなり、その結果、光ファイバケーブルの耐捻回性を良好にできる。
さらに、被覆内層に酸素遮断性が高いEVOH樹脂を用いることで、高温環境下におけるプラスチック光ファイバの酸化劣化による伝送損失の増大を抑制できるので、光ファイバケーブルの105℃における長期耐熱性を良好にできる。
第一のEVOH樹脂の酸素遮断性の指標である、酸素透過度の上限は、光ファイバケーブルの105℃耐熱性が良好となる観点から、2.0cc・20μm/(m・day・atm)以下であり、0.8cc・20μm/(m・day・atm)以下がより好ましく、0.25cc・20μm/(m・day・atm)以下がさらに好ましく、0.1cc・20μm/(m・day・atm)以下が特に好ましい。
前記被覆内層を構成する材料において、EVOH樹脂の含有割合は、本発明の効果が得られる範囲にあれば特に制限されるものではないが、より十分な酸素遮断性を得る点から、90〜100質量%の範囲にあることが好ましく、95〜100質量%の範囲にあることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
EVOH樹脂としては、特に制限されないが、エチレン単位とビニルアルコール単位の含有割合が、前記EVOH樹脂を構成する単量体単位の総量100モルに対して、エチレン単位20モル%以上50モル%以下、ビニルアルコール単位50モル%以上80モル%以下の範囲にある共重合体が好ましい。エチレン単位とビニルアルコール単位の合計量は、EVOH樹脂を構成する単量体単位の総量100モルに対して、90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましい。
前記EVOH樹脂中のビニルアルコール単位の含有割合の上限は、特に制限されるものではないが、光ファイバケーブルの機械的強度が良好となる観点から、前記エチレン−ビニルアルコール系樹脂を構成する単量体単位の総量100モル%に対して、80モル%以下が好ましい。77モル%以下がより好ましく、74モル%以下がさらに好ましい。ビニルアルコール単位の含有割合の下限は、特に制限されるものではないが、光ファイバケーブルの105℃長期耐熱性が良好となる観点から、前記エチレン−ビニルアルコール系樹脂を構成する単量体単位の総量100モルに対して、50モル%以上が好ましい。56モル%以上がより好ましく、65モル%以上がさらに好ましく、69モル%以上が特に好ましい。
前記EVOH樹脂中のエチレン単位の含有割合の上限は、特に制限されるものではないが、光ファイバケーブルの105℃耐熱性が良好となる観点から、前記エチレン−ビニルアルコール系樹脂を構成する単量体単位の総量100モル%に対して、50モル%以下が好ましい。44モル%以下がより好ましく、35モル%以下がさらに好ましく、31モル%以下が特に好ましい。エチレン単位の含有割合の下限は、特に制限されるものではないが、光ファイバケーブルの機械的強度が良好となる観点から、前記エチレン−ビニルアルコール系樹脂を構成する単量体単位の総量100モルに対して、20モル%以上が好ましい。23モル%以上がより好ましく、26モル%以上がさらに好ましい。
上記のEVOH樹脂の市販品としては、例えば、ソアノールD、DT、DC、ソアノールE、ET、A、AT(製品名、三菱ケミカル社製)を挙げることができる。
EVOH樹脂の融点の上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは195℃以下、より好ましくは180℃以下の範囲にあり、JIS K7210に準じて、210℃、荷重5kgfで測定したメルトフローインデックスが25〜80g/10分の範囲にあるものが、光ファイバケーブルの成形安定性に優れる点から好ましい。EVOH樹脂の融点の下限は、特に限定されるものではないが、155℃以上が好ましく、165℃以上がより好ましい。融点が低すぎると、被覆内層を設ける際の成形安定性が低下するおそれがある。
本明細書において、融点は、ISO3146:2000に準拠し、示差走査熱量計により測定した値とする。
<光ファイバケーブルの製造方法>
光ファイバの外周に被覆樹脂層を被覆する方法としては、例えば、クロスヘッドダイを備えた押出被覆装置を用いて被覆する方法が挙げられる。特に、プラスチック光ファイバに被覆樹脂層を被覆する場合、均一な直径の光ファイバケーブルを得ることができることから、クロスヘッドダイを備えた押出被覆装置を用いて被覆する方法が好ましい。
プラスチック光ファイバの外側に、前記被覆層を形成する場合、前記被覆層、前記被覆外層の順で同心円状に形成する場合、さらに前記プラスチック光ファイバと前記被覆層の間に被覆内層を設ける場合は、一層ずつ順に層を被覆してもよく、同時に複数の層を被覆してもよい。
光ファイバの外周に被覆樹脂層を被覆する際の押出の温度は、200℃〜300℃が好ましく、220℃〜280℃がより好ましい。光ファイバの外周に被覆樹脂層を被覆する際の押出の温度が200℃以上であると、光ファイバケーブルの外観に優れる。光ファイバの外周に被覆樹脂層を被覆する際の押出の温度が300℃以下であると、被覆樹脂層を構成する材料の本来の性能を損なわない。
本発明の光ファイバケーブルは、伝送帯域が広く、長期耐熱性、柔軟性及び機械的耐久性に優れることから、例えば、列車内、航空機内、自動車等の車両内、建物内での光情報通信や、ファクトリーオートメーション(FA)分野での光情報通信に好適に用いることができる。特に、自動車等の車両内等の狭い空間に屈曲した状態で、機械的ストレスと高温環境下にさらされた状態での使用に好適である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(屈折率の測定)
溶融プレスにより厚さ200μmのフィルム状の試験片を作製し、ISO 13468に準拠し、アッベ屈折計(機種名「NAR−3T」、(株)アタゴ製)を用いて、23℃におけるナトリウムD線の屈折率を測定した。
(メルトフローインデックス)
日本工業規格JIS K7210に準拠し、230℃、荷重3.8kgの条件下で、直径2mm、長さ8mmのノズルから10分間に吐出される樹脂量から、メルトフローインデックスを測定した。
(融点)
融点は、示差走査熱量測定によって測定した。示差走査熱量計(形式:EXSTAR DSC6200、セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、サンプルを昇温速度20℃/分で昇温させることで測定した。
(長期耐熱性の測定)
実施例、比較例で得られた光ファイバケーブルを、温度105℃の環境下に3000時間曝露させ、波長650nm、励振NA=0.1の条件で、25m−1mのカットバック法により測定した。
25m−1mのカットバック法による測定は、IEC 60793−1−40:2001に準拠して行った。具体的には、25mの光ファイバを測定装置にセットし、出力パワーP2を測定した後、光ファイバをカットバック長(入射端から1m)に切断し、出力パワーP1を測定し、下記数式(1)を用いて光の伝送損失(単位:dB/km)を算出した。以上の測定は、遮光された環境下で実施した。
Figure 2021156984
(耐捻回性の測定)
光ファイバケーブルの耐捻回性の指標として、自製の捻回性試験装置を用い、以下の方法により捻回光量損失を測定した。
光ファイバケーブルの捻回光量損失を計測する際に用いられる捻回試験装置について図3を用いて説明する。
自製の捻回性試験装置を用い、長さ2mの光ファイバケーブル31の中央付近(約25cm)について、片側端部を、捻回性試験装置の水平方向に配置された一対のチャック32,32‘(チャック間250mm)の、一方のチャック(2)32’に固定した。
長さ2mの光ファイバケーブルの一方の端面にLED光源33(商品名「TOTX170A」、波長660nm)、他方の端面にフォトダイオード検出器34を備えた光パワーメーター35(商品名「AQ1135E」、安藤電気(株)製、受信感度−70dBm)を接続した。
次いで、光ファイバケーブル31のチャック(1)32側の片側に滑車36を介して500gfの重り37をつるすことにより、光ファイバケーブルに引張り方向の力を加えた状態で直線状に保持し、1分後の光量(T1)を記録した。
次いで、光ファイバケーブルに張力500gfが付加された状態を維持しながら、ファイバケーブルの片側一方のチャック(2)32‘を、光ファイバケーブルの中心軸を軸として5回転させた後、1分後の光量(T2)を記録した。下記数式(2)を用いて、捻回光量損失(単位:dB)を算出した。
Figure 2021156984
(機械的耐久性の測定)
光ファイバケーブルの機械的耐久性の指標として、以下の方法により繰返屈曲回数を測定した。
繰返屈曲の測定は、IEC 60794−1−21:2015に準拠して行った。具体的には、前述のようにして得られた長さ4mの光ファイバケーブルを繰返屈曲装置(恒温槽付き光ファイバ屈曲試験機、(株)安田精機製作所製)に取り付け、一端に荷重500gf(4.9N)をかけ、この光ファイバケーブルの中央を直径15mmの2本の円管にて挟持した。この光ファイバケーブルの他端を一方の円管側に移動させて、光ファイバケーブルが90度折れ曲がるように円管外周に巻き付けた後、他方の円管側に移動させて光ファイバケーブルが90度折れ曲がるように円管外周に巻き付けて合計180度屈曲させ、これを繰り返した。初期値より1dB伝送損失が増加した時点で試験終了とし、終了時点の繰返屈曲回数を確認した。
(材料)
光ファイバのコアを構成するコア材、クラッドを構成するクラッド材は以下の材料を用いた。
第一クラッド材(B−1) : フッ素樹脂(13FM/3FM/MMA/MAA共重合体、屈折率1.417)
第一クラッド材(B−2) : フッ素樹脂(17FM/MMA/MAA共重合体、屈折率1.415)
第一クラッド材(B−3) : フッ素樹脂( 8FM/3FM/MMA/MAA共重合体、屈折率1.415)
第一クラッド材(B−4) : フッ素樹脂(13FM/MMA/MAA共重合体、屈折率1.465)
第一クラッド材(B−5) : フッ素樹脂(17FM/MMA/MAA共重合体、屈折率1.465)
第一クラッド材(B−6) : フッ素樹脂( 8FM/MMA/MAA共重合体、屈折率1.465)
第二クラッド材(C−1) : フッ素樹脂(商品名:RP4020、ダイキン工業(株)製、テトラフルオロエチレン単位、エチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位、及びパーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン単位を含み、カーボネート基を有する反応性官能基をポリマー鎖の主鎖及び/又は側鎖の末端に有する共重合体。屈折率1.380、融点160℃、メルトフローインデックス11g/10分)
第二クラッド材(C−2) : フッ素樹脂(VDF/TFE/HFP共重合体、VDF:TFE:HFP=60:35:5(mol比)、屈折率1.374、融点129℃、メルトフローインデックス37g/10分)
EVOH樹脂(E−1):エチレン単位を29モル%含むエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂。酸素透過度が0.2cc・20μm/(m・day・atm)、メルトフローインデックス15g/10分(商品名「ソアノールD2908」、日本合成化学工業社製)
ポリアミド樹脂(N−1):ポリアミド12エラストマー樹脂(商品名「グリルアミド XE3926」、EMS−GRIVORY社製)
ポリアミド樹脂(N−2):ポリアミド12エラストマー樹脂(商品名「グリルアミド XE3823」、EMS−GRIVORY社製)
ポリブチレンテレフタレート系樹脂(X−1):顔料(群青)を配合したPBT樹脂(商品名「NOVADURAN5010N6−3X」、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)
なお、「MMA」はメタクリル酸メチル、「MAA」はメタクリル酸、「13FM」は(メタ)アクリル酸−2−(パーフルオロヘキシル)エチル、「3FM」は(メタ)アクリル酸−2,2,2−トリフルオロエチル、「VDF」はフッ化ビニリデン、「TFE」はテトラフルオロエチレン、「HFP」はヘキサフルオロプロピレン、の略号である。
[製造例1](プラスチック光ファイバの製造)
コア材をポリメチルメタクリレート(屈折率1.492)、第一クラッドの材料を第一クラッド材(B−1)、第二クラッドの材料を第二クラッド材(C−1)とし、3層構造の同心円状複合紡糸ノズルを用いて紡糸し、140℃の熱風加熱炉中で繊維軸方向に2倍に延伸し、第一クラッドの厚さが5μm、第二クラッドの厚さが10μmの直径1.0mmのプラスチック光ファイバを得た。
[実施例1]
被覆層を構成する材料をポリアミド樹脂(N−1)とし、被覆外層を構成する材料をポリアミド樹脂(N−2)とした。これらの材料を樹脂被覆用クロスヘッド型40mmケーブル被覆装置((株)聖製作所製)に供給し、製造例1で製造したプラスチック光ファイバの外周に被覆層(厚さ255μm)、被覆外層(厚さ395μm)を被覆し、直径2.30mmの光ファイバケーブルを得た。得られた光ファイバケーブルの評価結果を、表2に示す。
[比較例1〜3]
プラスチック光ファイバ又は光ファイバケーブルの構成、材料の少なくとも一つを、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に操作を行い、光ファイバケーブルを得た。得られた光ファイバケーブルの評価結果を表2に示す。
Figure 2021156984
Figure 2021156984
[実施例2、比較例4〜6]
プラスチック光ファイバ又は光ファイバケーブルの構成、材料の少なくとも一つを、表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様に操作を行い、光ファイバケーブルを得た。得られた光ファイバケーブルの評価結果を表4に示す。
Figure 2021156984
Figure 2021156984

[実施例3]
被覆内層を構成する材料をEVOH樹脂(E−1)とし、被覆層を構成する材料をポリアミド樹脂(N−1)80質量部とEVOH樹脂(E−1)20質量部を二軸押出機(機種名「BT−40」、(株)プラスチック工学研究所製)を用いて190℃で溶融混練して得られた樹脂組成物とし、被覆外層を構成する材料をポリチレンテレフタレート系樹脂(X−1)とした。
被覆内層用と被覆層用の2台の押出機を装備し、うち1台はコンプレッション式の二層一括被覆用クロスヘッドを備えたケーブル被覆装置((株)聖製作所製、φ40mm)であり、このケーブル被覆装置に被覆内層材料と被覆層材料を供給し、製造例1で製造したプラスチック光ファイバの外周に、被覆温度は210℃として、被覆内層(厚さ100μm)と被覆層(厚さ155μm)を被覆し、直径1.51mmの光ファイバ一次ケーブルを得た(表5)。
続いて、被覆外層を構成する材料を、235℃に設定した押出機へ供給し、275℃に設定したクロスヘッドダイを用いたクロスヘッドケーブル被覆装置で、前記光ファイバ一次ケーブルの外周に被覆外層(厚み395μm)を形成して、外径2.30mmの光ファイバケーブルを得た(表5)。
得られた光ファイバケーブルの評価結果を、表6に示す。
Figure 2021156984
Figure 2021156984
実施例1で得られた光ファイバケーブルは、長期耐熱性、耐捻回性、機械的耐久性に優れていた。
一方、比較例1〜2で得られた光ファイバケーブルは、第1クラッドの屈折率が同程度の実施例1の光ファイバに比べて、耐捻回性に劣っていた。
比較例3で得られた光ファイバケーブルは、第1クラッドの屈折率が同程度の実施例1の光ファイバに比べて、耐捻回性と機械的耐久性に劣っていた。
実施例2で得られた光ファイバケーブルは、長期耐熱性、耐捻回性、機械的耐久性に優れていた。
一方、比較例4〜5で得られた光ファイバケーブルは、第1クラッドの屈折率が同程度の実施例2の光ファイバに比べて、耐捻回性に劣っていた。
比較例6で得られた光ファイバケーブルは、第1クラッドの屈折率が同程度の実施例2の光ファイバに比べて、耐捻回性と機械的耐久性に劣っていた。
実施例3で得られた光ファイバケーブルは、長期耐熱性、耐捻回性、機械的耐久性に優れていた。
10 プラスチック光ファイバ
11 コア
12 クラッド層
12a 第一クラッド
12b 第二クラッド
20 被覆用樹脂からなる層(被覆樹脂層)
20a 被覆内層
20b 被覆層
20c 被覆外層
31 光ファイバケーブル
32 チャック(1)
32’ チャック(2)
33 LED光源
34 フォトダイオード検出器
35 光パワーメーター
36 滑車
37 重り(500g)

Claims (10)

  1. 透明樹脂で形成されたコアと、前記コアの外周面上に第一クラッド、第二クラッドの順で同心円状に形成されたクラッド層を有するプラスチック光ファイバであって、
    前記第一クラッドを構成する材料は、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート由来の繰り返し単位を含み、且つ、屈折率が1.400〜1.480であるフッ素化メタクリレート系樹脂を含み、
    前記第二クラッドを構成する材料は、テトラフルオロエチレン単位、エチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位、及びパーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)単位を含むポリマー鎖を有し、カーボネート基を有する反応性官能基を主鎖及び/又は側鎖の末端に有し、屈折率が1.340〜1.395である変性フッ素樹脂を含む、プラスチック光ファイバ。
  2. 前記フッ素化メタクリレート系樹脂が、該フッ素化メタクリレート系樹脂の総質量100質量%に対して、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート由来の繰り返し単位7〜55質量%と、下記式(1)又は下記式(2)で表されるフルオロアルキル(メタ)アクリレートの少なくとも一種(但し、式(1)は2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレートを除く)に由来する繰り返し単位0〜70質量%と、メチルメタクリレートに由来する繰り返し単位0〜93質量%を含む、請求項1に記載のプラスチック光ファイバ。
    Figure 2021156984

    (式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Xは、水素原子又はフッ素原子であり、mは、1又は2であり、nは、5〜13の整数である。)
    Figure 2021156984

    (式中、Rは、水素原子又はメチル基であり、Xは、水素原子又はフッ素原子であり、mは、1又は2であり、nは、1〜4の整数である。)
  3. 前記変性フッ素樹脂が、120〜200℃の範囲に融点を有する、請求項1又は2に記載の光ファイバケーブル。
  4. 前記変性フッ素樹脂が、230℃、荷重3.8kgで測定したメルトフローインデックスが5〜100g/10分である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ファイバケーブル。
  5. 前記変性フッ素樹脂が、該変性フッ素樹脂を構成する単量体単位の総モル量100モル%に対して、テトラフルオロエチレン単位24〜58モル%、エチレン単位30〜68モル%、ヘキサフルオロプロピレン単位7〜28モル%、パーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)単位1〜10モル%を含むフッ素樹脂である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラスチック光ファイバ。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のプラスチック光ファイバと、該プラスチック光ファイバの外周に設けられた被覆層を有する、プラスチック光ファイバケーブル。
  7. 前記被覆層を構成する材料が、ポリアミド樹脂を含む、請求項6に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
  8. 前記被覆層の外層に、さらに被覆外層を有し、
    前記被覆外層を構成する材料が、ポリブチレンテレフタレート系樹脂を含む、請求項6又は7に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
  9. 前記プラスチック光ファイバと前記被覆層の間に設けられた被覆内層を有する、プラスチック光ファイバケーブルであって、
    前記被覆内層を構成する材料が、第一のエチレン−ビニルアルコール系樹脂を含む、請求項6〜8のいずれか一項に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
  10. 前記被覆層を構成する材料が、ポリアミド系樹脂と第二のエチレン−ビニルアルコール系樹脂の混合物である、請求項6〜9のいずれか一項に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
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