JP2018059970A - 光ファイバケーブル及び移動媒体 - Google Patents

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剛 森中
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彰規 石角
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英樹 木原
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Abstract

【課題】難燃性、長期耐熱性、柔軟性に優れる光ファイバファイバケーブルを提供する。【解決手段】光ファイバ10と、光ファイバの外周に設けられた被覆層とを含む、光ファイバケーブルであって、被覆層は、被覆内層20aと被覆外層20bとを含み、被覆内層を構成する材料が、ポリアミド樹脂(A)を含み、被覆外層を構成する材料が、ポリフェニレンエーテル樹脂(B)とハロゲン化合物(C)とを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、光ファイバケーブル及び移動媒体に関する。
光ファイバは、通信、センサ、照明、装飾、ディスプレイ等の幅広い用途で用いられている。ガラス系の光ファイバは、広い波長に亘って光伝送性に優れる一方で、加工性や機械特性に劣る等の課題を有する。一方、プラスチック光ファイバは、例えば、ポリメチルメタクリレート等の透明性の高い樹脂からなる芯に、芯よりも低屈折な透明性の高い樹脂で芯の外周を被覆した構造を有するものが挙げられ、ガラス系光ファイバに比べて、加工性や柔軟性に優れる等の特徴を有する。また、プラスチック光ファイバは、近年、製造技術の向上に伴って、伝送可能距離が長くなっていて、その用途が広がっている。
通常、光ファイバを用いる際は、光ファイバ単体で用いられることは少なく、機械特性、難燃性、耐熱性等を付与するために、光ファイバに熱可塑性樹脂等を被覆した光ファイバケーブルとして用いられることが多い。特に、近年、プラスチック製品の難燃化規制が厳しくなってきていて、光ファイバケーブルに対しても優れた難燃性を有することが要望されている。
光ファイバに難燃性を付与する方法として、例えば、特許文献1には、被覆内層にポリアミド樹脂、被覆外層に窒素系化合物の難燃剤を配合したポリアミド樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂とのアロイ樹脂を用いた光ファイバケーブルが開示されている。
国際公開2014/148609号パンフレット
しかしながら、特許文献1で開示されている光ファイバケーブルは、難燃性が改善されるが、その効果は十分でない。
そこで、本発明の目的は、難燃性、長期耐熱性、柔軟性に優れる光ファイバファイバケーブルを提供することにある。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]光ファイバと、前記光ファイバの外周に設けられた被覆層とを含む、光ファイバケーブルであって、被覆層は、被覆内層と被覆外層とを含み、被覆内層を構成する材料が、ポリアミド樹脂(A)を含み、被覆外層を構成する材料が、ポリフェニレンエーテル樹脂(B)とハロゲン化合物(C)とを含む、光ファイバケーブル。
[2]ハロゲン化合物(C)が、臭素化合物である、[1]に記載の光ファイバケーブル。
[3]臭素化合物が、臭素化ポリスチレンである、[2]に記載の光ファイバケーブル。
[4]被覆外層を構成する材料が、更に、三酸化アンチモン(D)を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の光ファイバケーブル。
[5]ポリアミド樹脂(A)が、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1010、ポリアミドMXD6、ポリアミド6T及びポリアミド9Tからなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[4]のいずれかに記載の光ファイバケーブル。
[6]ハロゲン化合物(C)の含有量が、ポリフェニレンエーテル樹脂(B)100質量部に対して、20質量部〜60質量部である、[1]〜[5]のいずれかに記載の光ファイバケーブル。
[7]三酸化アンチモン(D)の含有量が、ポリフェニレンエーテル樹脂(B)100質量部に対して、5質量部〜50質量部である、[4]に記載の光ファイバケーブル。
[8]光ファイバと被覆層との間に、更に、機能層を含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の光ファイバケーブル。
[9]機能層を構成する材料が、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂を含む、[8]に記載の光ファイバケーブル。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の光ファイバケーブルを含む、移動媒体。
本発明の光ファイバケーブルは、難燃性、長期耐熱性、柔軟性に優れる。
本発明の光ファイバケーブルの一例を示す模式的断面図である。 本発明の光ファイバケーブル中の光ファイバの一例であるステップ・インデックス型光ファイバの一例を示す模式的断面図である。 本発明の光ファイバケーブルの一例を示す模式的断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いながら説明するが、本発明はこれらの図面に限定されるものではない。
本発明の光ファイバケーブルは、光ファイバと被覆層とを含む。
被覆層は、被覆内層と被覆外層とを含む。
(被覆内層)
被覆内層は、2層以上有する被覆層のうち、最内層の被覆層をいう。
被覆内層を構成する材料は、ポリアミド樹脂(A)を含む。
ポリアミド樹脂(A)としては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1010等の脂肪族ポリアミド;ポリアミド4T(1,4−ブタンジアミンとテレフタル酸の共重合体)、ポリアミド6T(1,6−ヘキサンジアミンとテレフタル酸の共重合体)、ポリアミドMXD6(メタ−キシリレンジアミンとアジピン酸の共重合体)、ポリアミド6I(1,6−ヘキサンジアミンとイソフタル酸の共重合体)、ポリアミド9T(1,9−ノナンジアミンとテレフタル酸の共重合体)等の半芳香族ポリアミド等が挙げられる。これらのポリアミド樹脂(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのポリアミド樹脂(A)の中でも、耐熱性、酸素遮断性に優れることから、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1010、ポリアミドMXD6、ポリアミド6T、ポリアミド9Tが好ましく、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド12、ポリアミドMXD6がより好ましく、ポリアミド66、ポリアミド12が更に好ましい。
ポリアミド樹脂(A)の含有率は、光ファイバケーブルの長期耐熱性に優れることから、被覆内層100質量%中、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましい。
ポリアミド樹脂(A)は、ポリアミド樹脂と、ポリアミド樹脂と相溶可能な樹脂とのアロイ樹脂であってもよい。
ポリアミド樹脂と相溶可能な樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらのポリアミド樹脂と相溶可能な樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのポリアミド樹脂と相溶可能な樹脂の中でも、耐熱性に優れることから、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエステル樹脂が好ましく、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂がより好ましい。
相溶とは、ポリアミド樹脂と、ポリアミド樹脂と相溶可能な樹脂とを溶融混練した際に、両者が均一に分散し、混ざり合うことをいう。
アロイ樹脂中のポリアミド樹脂の含有率は、ポリアミド樹脂と、ポリアミド樹脂と相溶可能な樹脂との合計100質量%中、50質量%〜90質量%が好ましく、60質量%〜80質量%がより好ましい。アロイ樹脂中のポリアミド樹脂の含有率が50質量%以上であると、光ファイバケーブルの長期耐熱性に優れる。また、アロイ樹脂中のポリアミド樹脂の含有率が90質量%以下であると、光ファイバケーブルの柔軟性に優れる。
アロイ樹脂中のポリアミド樹脂と相溶可能な樹脂の含有率は、ポリアミド樹脂と、ポリアミド樹脂と相溶可能な樹脂との合計100質量%中、10質量%〜50質量%が好ましく、20質量%〜40質量%がより好ましい。アロイ樹脂中のポリアミド樹脂と相溶可能な樹脂の含有率が10質量%以上であると、光ファイバケーブルの柔軟性に優れる。また、アロイ樹脂中のポリアミド樹脂と相溶可能な樹脂の含有率が50質量%以下であると、光ファイバケーブルの長期耐熱性に優れる。
ポリアミド樹脂と、ポリアミド樹脂と相溶可能な樹脂とをアロイ化する方法としては、例えば、ポリアミド樹脂と、ポリアミド樹脂と相溶可能な樹脂とを均一に分散させることができる相溶化剤を用いる方法、ポリアミド樹脂と相溶可能な樹脂の末端基や側鎖にポリアミド樹脂と相互作用が働くような官能基を導入する方法等が挙げられる。これらのポリアミド樹脂と、ポリアミド樹脂と相溶可能な樹脂とをアロイ化する方法の中でも、生産性に優れることから、相溶化剤を用いる方法が好ましい。
相溶化剤の種類は、ポリアミド樹脂のアミド基と、ポリアミド樹脂と相溶可能な樹脂の極性基との間に水素結合を形成し、両方の樹脂を十分に分散させることができることから、極性基を有する相溶化剤が好ましく、カルボキシル基を有する相溶化剤、エポキシ基を有する相溶化剤、アミノ基を有する相溶化剤がより好ましい。
カルボキシル基を有する相溶化剤しては、例えば、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸;前記不飽和カルボン酸のエステル;前記不飽和カルボン酸の酸アミド;前記不飽和カルボン酸の無水物等が挙げられる。
エポキシ基を有する相溶化剤としては、例えば、エピクロロヒドリン、2‐メチルエピクロロヒドリン、2,2−ビス(4‐グリシジルフェニルエ―テル)プロパン、エポキシ樹脂等が挙げられる。
アミノ基を有する相溶化剤としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の脂肪族アミン化合物;N,N−ジメチルアミノスチレン等の芳香族アミン化合物;モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルピロール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルチオピロリドン等の複素環化合物等が挙げられる。
本明細書において、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート、アクリレート又はその両方をいう。
相溶化剤の含有量は、ポリアミド樹脂と、ポリアミド樹脂と相溶可能な樹脂との合計100質量部に対して、0.5質量部〜20質量部が好ましく、1質量部〜15質量部がより好ましい。相溶化剤の含有量が0.5質量部以上であると、ポリアミド樹脂と、ポリアミド樹脂と相溶可能な樹脂との分散性に優れる。また、相溶化剤の含有率が20質量部以下であると、ポリアミド樹脂の本来の性能を損なわない。
ポリアミド樹脂(A)の融点は、150℃〜300℃が好ましく、180℃〜280℃がより好ましい。ポリアミド樹脂(A)の融点が150℃以上であると、光ファイバケーブルの耐熱性に優れる。また、ポリアミド樹脂(A)の融点が300℃以下であると、加工性に優れる。
本明細書において、融点は、ISO3146:2000に準拠し、示差走査熱量計により測定した値とする。
被覆内層を構成する材料は、ポリアミド樹脂(A)以外に、他の添加剤(X)を含んでもよい。
他の添加剤(X)としては、例えば、難燃剤、難燃助剤、熱安定剤、滑剤、溶融張力向上剤、受酸剤、アンチブロッキング剤、顔料等が挙げられる。これらの他の添加剤(X)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
他の添加剤(X)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.5質量部〜5質量部がより好ましい。他の添加剤(X)の含有率が0.1質量部以上であると、添加剤の効果が発現する。また、他の添加剤(X)の含有率が10質量部以下であると、ポリアミド樹脂の本来の性能を損なわない。
被覆内層を構成する材料は、ポリアミド樹脂(A)をそのまま用いてもよく、ポリアミド樹脂(A)と他の添加剤(X)とを混合して得てもよい。
混合方法としては、例えば、二軸押出機等の装置を用いて溶融混練する方法等が挙げられる。
溶融混練するための装置としては、例えば、添加材料供給フィーダーが主材料ホッパーと押出機との間に取り付けられ、添加材料を直接押出機へ混入するサイドフィード式二軸押出機;押出時の水分や残存モノマー等を脱揮するための装置が付帯されたベント式二軸押出機等が挙げられる。
被覆内層を構成する材料の溶融混練の温度は、200℃〜300℃が好ましく、220℃〜280℃がより好ましい。被覆内層を構成する材料の溶融混練の温度が200℃以上であると、被覆内層を構成する材料を十分に混練することができる。また、被覆内層を構成する材料の溶融混練の温度が300℃以下であると、ポリアミド樹脂の本来の性能を損なわない。
被覆内層の厚さは、0.1mm〜2.5mmが好ましく、0.2mm〜2mmがより好ましい。被覆内層の厚さが0.1mm以上であると、光ファイバケーブルの長期耐熱性、酸素遮断性に優れる。被覆内層の厚さが2.5mm以下であると、光ファイバケーブルの柔軟性、取り扱い性に優れる。
(被覆外層)
被覆外層は、2層以上有する被覆層のうち、最外層の被覆層をいう。
被覆外層を構成する材料は、ポリフェニレンエーテル樹脂(B)とハロゲン化合物(C)とを含む。
ポリフェニレンエーテル樹脂(B)としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジメトキシ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジクロロメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジブロモメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジトリル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジベンジル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。これらのポリフェニレンエーテル樹脂(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのポリフェニレンエーテル樹脂(B)の中でも、耐熱性、機械特性に優れることから、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテルが好ましく、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテルがより好ましく、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが更に好ましい。
ポリフェニレンエーテル樹脂(B)の含有率は、被覆外層100質量%中、25質量%〜90質量%が好ましく、30質量%〜75質量%がより好ましい。ポリフェニレンエーテル樹脂(B)の含有率が25質量%以上であると、光ファイバケーブルの長期耐熱性に優れる。また、ポリフェニレンエーテル樹脂(B)の含有率が90質量%以下であると、光ファイバケーブルの柔軟性に優れる。
ポリフェニレンエーテル樹脂(B)は、ポリフェニレンエーテル樹脂と、ポリフェニレンエーテル樹脂と相溶可能な樹脂とのアロイ樹脂であってもよい。
ポリフェニレンエーテル樹脂と相溶可能な樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらのポリフェニレンエーテル樹脂と相溶可能な樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのポリフェニレンエーテル樹脂と相溶可能な樹脂の中でも、耐熱性に優れることから、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂が好ましく、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂がより好ましい。
アロイ樹脂中のポリフェニレンエーテル樹脂の含有率は、ポリフェニレンエーテル樹脂と、ポリフェニレンエーテル樹脂と相溶可能な樹脂との合計100質量%中、50質量%〜90質量%が好ましく、60質量%〜80質量%がより好ましい。アロイ樹脂中のポリフェニレンエーテル樹脂の含有率が50質量%以上であると、光ファイバケーブルの長期耐熱性に優れる。また、アロイ樹脂中のポリフェニレンエーテル樹脂の含有率が90質量%以下であると、光ファイバケーブルの柔軟性に優れる。
アロイ樹脂中のポリフェニレンエーテル樹脂と相溶可能な樹脂の含有率は、ポリフェニレンエーテル樹脂と、ポリフェニレンエーテル樹脂と相溶可能な樹脂との合計100質量%中、10質量%〜50質量%が好ましく、20質量%〜40質量%がより好ましい。アロイ樹脂中のポリフェニレンエーテル樹脂と相溶可能な樹脂の含有率が10質量%以上であると、光ファイバケーブルの柔軟性に優れる。また、アロイ樹脂中のポリフェニレンエーテル樹脂と相溶可能な樹脂の含有率が50質量%以下であると、光ファイバケーブルの長期耐熱性に優れる。
ポリフェニレンエーテル樹脂と、ポリフェニレンエーテル樹脂と相溶可能な樹脂とをアロイ化する方法としては、例えば、ポリフェニレンエーテル樹脂と、ポリフェニレンエーテル樹脂と相溶可能な樹脂とを均一に分散させることができる相溶化剤を用いる方法等が挙げられる。これらのポリフェニレンエーテル樹脂と、ポリフェニレンエーテル樹脂と相溶可能な樹脂とをアロイ化する方法の中でも、生産性に優れることから、相溶化剤を用いる方法が好ましい。
相溶化剤の種類は、ポリフェニレンエーテル樹脂のエーテル基と、ポリフェニレンエーテル樹脂と相溶可能な樹脂の極性基との間に水素結合を形成し、両方の樹脂を十分に分散させることができることから、極性基を有する相溶化剤が好ましく、カルボキシル基を有する相溶化剤、エポキシ基を有する相溶化剤、アミノ基を有する相溶化剤がより好ましい。
カルボキシル基を有する相溶化剤しては、例えば、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸;前記不飽和カルボン酸のエステル;前記不飽和カルボン酸の酸アミド;前記不飽和カルボン酸の無水物等が挙げられる。
エポキシ基を有する相溶化剤としては、例えば、エピクロロヒドリン、2‐メチルエピクロロヒドリン、2,2−ビス(4‐グリシジルフェニルエ―テル)プロパン、エポキシ樹脂等が挙げられる。
アミノ基を有する相溶化剤としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の脂肪族アミン化合物;N,N−ジメチルアミノスチレン等の芳香族アミン化合物;モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルピロール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルチオピロリドン等の複素環化合物等が挙げられる。
相溶化剤の含有量は、ポリフェニレンエーテル樹脂と、ポリフェニレンエーテル樹脂と相溶可能な樹脂との合計100質量部に対して、0.5質量部〜20質量部が好ましく、1質量部〜15質量部がより好ましい。相溶化剤の含有量が0.5質量部以上であると、ポリフェニレンエーテル樹脂と、ポリフェニレンエーテル樹脂と相溶可能な樹脂との分散性に優れる。また、相溶化剤の含有率が20質量部以下であると、ポリフェニレンエーテル樹脂の本来の性能を損なわない。
ハロゲン化合物(C)としては、例えば、フッ素化合物、塩素化合物、臭素化合物等が挙げられる。これらのハロゲン化合物(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのハロゲン化合物(C)の中でも、光ファイバケーブルの難燃性に優れることから、臭素化合物が好ましい。
臭素化合物としては、例えば、臭素化ポリスチレン、臭素化エポキシ樹脂、臭素化エポキシオリゴマー等が挙げられる。これらの臭素化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの臭素化合物の中でも、光ファイバケーブルの難燃性に優れることから、臭素化ポリスチレン、臭素化エポキシ樹脂、臭素化エポキシオリゴマーが好ましく、臭素化ポリスチレンがより好ましい。
臭素化ポリスチレンは、下記一般式(1)で表される構成単位を有する化合物である。
(式中、mは2〜5のいずれかの整数、nは整数を示す。)
臭素化ポリスチレンの数平均分子量は、500〜100,000が好ましく、800〜80,000がより好ましい。臭素化ポリスチレンの数平均分子量が500以上であると、被覆外層から臭素化ポリスチレンのブリードアウトを抑制することができる。また、臭素化ポリスチレンの数平均分子量が100,000以下であると、被覆外層中の臭素化ポリスチレンの分散性に優れ、光ファイバケーブルの難燃性、柔軟性に優れる。
臭素化ポリスチレンの数平均分子量は、標準試料として標準ポリスチレンを用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した値とする。
ハロゲン化合物(C)の含有量は、ポリフェニレンエーテル樹脂(B)100質量部に対して、20質量部〜60質量部が好ましく、25質量部〜55質量部がより好ましい。ハロゲン化合物(C)の含有量が20質量部以上であると、光ファイバケーブルの難燃性に優れる。また、ハロゲン化合物(C)の含有量が60質量部以下であると、ポリフェニレンエーテル樹脂の本来の性能を損なわない。
被覆外層を構成する材料は、ポリフェニレンエーテル樹脂(B)、ハロゲン化合物(C)以外に、三酸化アンチモン(D)を含んでもよい。
三酸化アンチモン(D)は、ハロゲン化合物(C)と併用することにより、難燃性をより向上させることができるため、被覆外層を構成する材料に三酸化アンチモン(D)を含ませることが好ましい。
三酸化アンチモン(D)の含有量は、ポリフェニレンエーテル樹脂(B)100質量部に対して、5質量部〜50質量部が好ましく、10質量部〜45質量部がより好ましい。三酸化アンチモン(D)の含有量が5質量部以上であると、光ファイバケーブルの難燃性に優れる。また、三酸化アンチモン(D)の含有量が50質量部以下であると、ポリフェニレンエーテル樹脂の本来の性能を損なわない。
被覆外層を構成する材料は、ポリフェニレンエーテル樹脂(B)、ハロゲン化合物(C)、三酸化アンチモン(D)以外に、他の添加剤(Y)を含んでもよい。
他の添加剤(Y)としては、例えば、熱安定剤、滑剤、溶融張力向上剤、受酸剤、アンチブロッキング剤、顔料等が挙げられる。これらの他の添加剤(Y)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
他の添加剤(Y)の含有量は、ポリフェニレンエーテル樹脂(B)100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.5質量部〜5質量部がより好ましい。他の添加剤(Y)の含有率が0.1質量部以上であると、添加剤の効果が発現する。また、他の添加剤(Y)の含有率が10質量部以下であると、ポリフェニレンエーテル樹脂の本来の性能を損なわない。
被覆外層を構成する材料は、ポリフェニレンエーテル樹脂(B)、ハロゲン化合物(C)、必要に応じて、三酸化アンチモン(D)、他の添加剤(Y)を混合することで得られる。
混合方法としては、例えば、二軸押出機等の装置を用いて溶融混練する方法等が挙げられる。
溶融混練するための装置としては、例えば、添加材料供給フィーダーが主材料ホッパーと押出機との間に取り付けられ、添加材料を直接押出機へ混入するサイドフィード式二軸押出機;押出時の水分や残存モノマー等を脱揮するための装置が付帯されたベント式二軸押出機等が挙げられる。
被覆外層を構成する材料の溶融混練の温度は、220℃〜300℃が好ましく、240℃〜280℃がより好ましい。被覆外層を構成する材料の溶融混練の温度が220℃以上であると、被覆外層を構成する材料を十分に混練することができる。また、被覆外層を構成する材料の溶融混練の温度が300℃以下であると、ポリフェニレンエーテル樹脂の本来の性能を損なわない。
被覆外層の厚さは、0.1mm〜2.5mmが好ましく、0.2mm〜2mmがより好ましい。被覆外層の厚さが0.1mm以上であると、光ファイバケーブルの長期耐熱性、酸素遮断性に優れる。被覆外層の厚さが2.5mm以下であると、光ファイバケーブルの柔軟性、取り扱い性に優れる。
(光ファイバケーブル)
本発明の光ファイバケーブルとしては、例えば、図1(a)に示すような光ファイバ10の外周に2層の被覆層(20a(最内層)と20b(最外層))を有する光ファイバケーブル、図1(b)に示すような光ファイバ10の外周に3層以上の被覆層(20a(最内層)と20c(中間層)と20b(最外層))を有する光ファイバケーブル等が挙げられる。
(光ファイバ)
光ファイバは、光ファイバとしての機能を有するものであれば特に限定されず、公知の光ファイバを用いることができる。
光ファイバの種類としては、例えば、ステップ・インデックス型光ファイバ、マルチステップ・インデックス型光ファイバ、グレーテッド・インデックス型光ファイバ、多芯光ファイバ等が挙げられる。これらの光ファイバの種類の中でも、耐熱性に優れることから、ステップ・インデックス型光ファイバ、多芯光ファイバが好ましく、より長距離の通信を可能とすることから、ステップ・インデックス型光ファイバがより好ましい。
ステップ・インデックス型光ファイバは、芯と鞘との界面で光を全反射させ、芯内で光を伝播させる。
ステップ・インデックス型光ファイバとしては、例えば、図2(a)に示すような芯11の外周に1層の鞘12を有する光ファイバ、図2(b)に示すような芯11の外周に2層以上の鞘(鞘12a(最内層)と12b(最外層))を有する光ファイバ等が挙げられる。
(芯)
芯を構成する材料(芯材)は、透明性の高い材料であれば特に限定されず、使用目的等に応じて適宜選択することができる。
芯材としては、例えば、ガラス;アクリル樹脂、スチレン樹脂、カーボネート樹脂等の樹脂が挙げられる。これらの芯材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの芯材の中でも、被覆層により被覆する必要性が高いことから、樹脂が好ましく、より長距離の通信を可能とすることから、アクリル樹脂が好ましい。
アクリル樹脂としては、例えばメチルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリレート単位を50質量%以上含む共重合体等が挙げられる。これらのアクリル樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらのアクリル樹脂の中でも、光学特性、機械特性、耐熱性、透明性に優れることから、メチルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリレート単位を50質量%以上含む共重合体が好ましく、メチルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリレート単位を60質量%以上含む共重合体がより好ましく、メチルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリレート単位を70質量%以上含む共重合体が更に好ましく、メチルメタクリレート単独重合体が特に好ましい。
芯材の製造方法としては、例えば、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法等が挙げられる。これらの芯材の製造方法の中でも、異物の混入を抑制できることから、塊状重合法、溶液重合法が好ましい。
(鞘)
鞘は、芯の外周に形成される。鞘は、図2(a)に示すように1層でもよく、図2(b)に示すように2層以上でもよい。
鞘を構成する材料(鞘材)は、芯材より屈折率の低い材料であれば特に限定されず、芯材の組成や使用目的等に応じて適宜選択することができる。
芯材としてアクリル樹脂を用いる場合、より長距離の通信を可能とすることから、鞘材としてフッ素樹脂を用いることが好ましい。特に、芯材としてメチルメタクリレート単独重合体を用いる場合、より長距離の通信を可能とすることから、鞘材としてフッ素樹脂を用いることが好ましい。
フッ素樹脂としては、例えば、フッ化ビニリデン(VDF)単独重合体、VDF−トリフルオロエチレン共重合体、VDF−テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体、VDF−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、VDF−TFE−HFP共重合体、VDF−TFE−HFP−(パーフルオロ)アルキルビニルエーテル共重合体、VDF−ヘキサフルオロアセトン共重合体、VDF−HFP共重合体、VDF−TFE−ヘキサフルオロアセトン共重合体、エチレン−VDF−TFE−HFP共重合体、エチレン−TFE−HFP共重合体、フルオロアルキル(メタ)アクリレート重合体、フルオロアルキル(メタ)アクリレート−アルキル(メタ)アクリレート共重合体等が挙げられる。これらのフッ素樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのフッ素樹脂の中でも、柔軟性、耐衝撃性、透明性、耐薬品性に優れ、低価格であることから、VDF−TFE共重合体、VDF−TFE−HFP共重合体、エチレン−VDF−TFE−HFP共重合体、エチレン−TFE−HFP共重合体、フルオロアルキル(メタ)アクリレート重合体、フルオロアルキル(メタ)アクリレート−アルキル(メタ)アクリレート共重合体が好ましい。
特に、鞘が1層の場合、耐薬品性に優れることから、VDF−TFE共重合体、VDF−TFE−HFP共重合体、エチレン−VDF−TFE−HFP共重合体、エチレン−TFE−HFP共重合体、フルオロアルキル(メタ)アクリレート重合体、フルオロアルキル(メタ)アクリレート−アルキル(メタ)アクリレート共重合体が好ましく、機械特性に優れることから、VDF−TFE共重合体、VDF−TFE−HFP共重合体、エチレン−VDF−TFE−HFP共重合体、エチレン−TFE−HFP共重合体がより好ましい。
また、鞘が2層の場合、光ファイバを曲げた際に漏光を抑制できることから、最内層(図2(b)でいう12a)はフルオロアルキル(メタ)アクリレート重合体、フルオロアルキル(メタ)アクリレート−アルキル(メタ)アクリレート共重合体が好ましく、最外層(図2(b)でいう12b)はVDF−TFE共重合体、VDF−TFE−HFP共重合体、エチレン−VDF−TFE−HFP共重合体、エチレン−TFE−HFP共重合体が好ましい。
フルオロアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート(13FM)、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(17FM)等の下記一般式(2)に示す長鎖フルオロアルキル(メタ)アクリレート;2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(3FM)等の下記一般式(3)に示す短鎖フルオロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(式中、mは1又は2、nは5〜13のいずれかの整数、Rは水素原子又はメチル基、Xは水素原子又はフッ素原子を示す。)
(式中、mは1又は2、nは1〜4のいずれかの整数、Rは水素原子又はメチル基、Xは水素原子又はフッ素原子を示す。)
フルオロアルキル(メタ)アクリレート重合体やフルオロアルキル(メタ)アクリレート−アルキル(メタ)アクリレート共重合体は、伝送損失を低減させることができることから、上記式(1)に示す長鎖フルオロアルキル(メタ)アクリレートの単位10〜50質量%、上記式(2)に示す短鎖フルオロアルキル(メタ)アクリレートの単位20〜90質量%及び他の共重合可能な単量体単位0〜50質量%からなる共重合体が好ましい。具体的には、前記含有率の17FM−3FM−メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、13FM−3FM−メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体が好ましい。
光ファイバの成形方法としては、例えば、溶融紡糸法等が挙げられる。
溶融紡糸法によるステップ・インデックス型光ファイバや多芯光ファイバの成形方法は、例えば、芯材及び鞘材をそれぞれ溶融し、複合紡糸を行う方法が挙げられる。
光ファイバケーブルを温度差の大きい環境で用いる場合、ピストニングを抑制するため、光ファイバをアニール処理することが好ましい。アニール処理は、光ファイバの材料によって処理条件を適宜設定すればよく、連続でもよく、バッチでもよい。
光ファイバの直径は、光ファイバの取り扱い性に優れ、光素子との結合効率や光軸ずれに対する許容度の観点から、0.1mm〜5mmが好ましく、0.2mm〜4.5mmがより好ましく、0.3mm〜4mmが更に好ましい。
ステップ・インデックス型光ファイバにおける芯の直径は、光素子との結合効率や光軸ずれに対する許容度の観点から、ステップ・インデックス型光ファイバの直径に対して85%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上が更に好ましい。
ステップ・インデックス型光ファイバにおける鞘の厚さは、光素子との結合効率や光軸ずれに対する許容度の観点から、ステップ・インデックス型光ファイバの直径に対して7.5%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、2.5%以下が更に好ましい。
鞘を2層とする場合、最内層(図2(b)でいう12a)と最外層(図2(b)でいう12b)との厚さの範囲を自由に設定することができる。
鞘を2層とする場合、最内層と最外層の厚さの比は、光ファイバの柔軟性、耐衝撃性、耐薬品性に優れ、光素子との結合効率や光軸ずれに対する許容度の観点から、1:0.1〜1:5が好ましく、1:0.5〜1:4がより好ましく、1:1〜1:3が更に好ましい。
芯材と鞘材の屈折率は、芯材の屈折率より鞘材の屈折率が低ければ特に限定されないが、光が伝播できる最大角度に対する開口数を大きくできることから、芯材の屈折率が1.45〜1.55、鞘材の屈折率が1.35〜1.51が好ましく、芯材の屈折率が1.46〜1.53、鞘材の屈折率が1.37〜1.49がより好ましく、芯材の屈折率が1.47〜1.51、鞘材の屈折率が1.39〜1.47が更に好ましい。
本明細書において、屈折率は、ISO 13468に準拠し、23℃でナトリウムD線を用い、アッベ屈折計により測定した値とする。
(光ファイバケーブルの製造方法)
光ファイバの外周に被覆層を被覆する方法としては、例えば、クロスヘッドダイを備えた押出被覆装置を用いて被覆する方法が挙げられる。特に、プラスチック光ファイバに被覆層を被覆する場合、均一な直径の光ファイバケーブルを得ることができることから、クロスヘッドダイを備えた押出被覆装置を用いて被覆する方法が好ましい。
1層ずつ順に被覆層を被覆してもよく、同時に複数の被覆層を被覆してもよい。
光ファイバの外周に被覆層を被覆する際の押出の温度は、200℃〜300℃が好ましく、220℃〜280℃がより好ましい。光ファイバの外周に被覆層を被覆する際の押出の温度が200℃以上であると、光ファイバケーブルの外観に優れる。光ファイバの外周に被覆層を被覆する際の押出の温度が300℃以下であると、被覆層を構成する材料の本来の性能を損なわない。
光ファイバケーブルの直径は、0.3mm〜10mmが好ましく、0.5mm〜8mmがより好ましい。光ファイバケーブルの直径が0.3mm以上であると、光ファイバケーブルの難燃性、長期耐熱性に優れる。また、光ファイバケーブルの直径が10mm以下であると、光ファイバケーブルの柔軟性、取り扱い性に優れる。
光ファイバケーブルの曲げ弾性力は、5N〜20Nが好ましく、10N〜20Nがより好ましい。光ファイバケーブルの曲げ弾性力が5N以上であると、光ファイバケーブルの柔軟性に優れる。また、光ファイバケーブルの曲げ弾性力が20N以下であると、光ファイバケーブルの屈曲性、取り扱い性に優れる。
本明細書において、光ファイバケーブルの曲げ弾性力は、ISO 178に準拠して測定した値とする。
光ファイバケーブルの他の実施形態としては、例えば、図3に示すような2本の光ファイバを1つの被覆層により被覆した光ファイバケーブルが挙げられる。
図3に示すような光ファイバケーブルの製造方法は、例えば、2芯用のダイス・ニップルを備えたクロスヘッドに光ファイバを通して被覆層を被覆する方法が挙げられる。
通常、光ファイバケーブルを通信用途で用いる場合、光ファイバケーブルの一端を光源システムに接続し、光ファイバケーブルの他端を受光システムに接続する必要がある。その際、双方向で通信を行う場合、図3に示すような2本の光ファイバを有する光ファイバケーブルを用いるとよい。
(機能層)
本発明の光ファイバケーブルは、光ファイバと被覆層との間に機能層を設けてもよい。
光ファイバと被覆層との間に機能層を設ける場合、光ファイバを得た後に機能層を設けてもよく、芯材、鞘材及び機能層を構成する材料をそれぞれ溶融させて一括複合紡糸を行って機能層を設けてもよい。
機能層を構成する材料としては、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの機能層を構成する材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの機能層を構成する材料の中でも、酸素遮断性に優れることから、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂が好ましい。
(用途)
本発明の光ファイバケーブルは、難燃性、長期耐熱性、柔軟性に優れるため、センサ、移動媒体内等の通信、機器内外の配線等の用途に好適に用いることができ、移動媒体内等の通信に特に好適である。
移動媒体としては、自動車、鉄道、飛行機、船等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(難燃性試験)
実施例及び比較例で得られた光ファイバケーブルを、UL1581 VW−1(一条ケーブル垂直燃焼試験)に準拠して、以下のように燃焼試験を行った。
光ファイバケーブルの接炎試験として、15秒着火を5回繰り返し、下に敷いた10cm角の外科用脱脂綿が燃焼物のドリップによる延焼がなく、また、光ファイバケーブルが着火した場合、60秒以内に消火すれば合格とした。
上記燃焼試験を10回行い、合格回数を確認した。
(長期耐熱性試験)
実施例及び比較例で得られた光ファイバケーブルについて、温度105℃、相対湿度10%以下で5000時間曝露前後での伝送損失(dB/km)を、波長650nm、入射光のNA(開口数)0.1の光を用い、25m−1mのカットバック法により測定した。
25m−1mのカットバック法の測定は、IEC 60793−1−40:2001に準拠して行った。具体的には、25mの光ファイバを測定装置にセットし、出力パワーPを測定した後、光ファイバをカットバック長(入射端から1m)に切断し、出力パワーPを測定し、以下の式を用いて光の伝送損失を算出した。
(柔軟性試験)
実施例及び比較例で得られた光ファイバケーブルを、ISO 178に準拠して、以下のように光ファイバケーブルの3点曲げ(両端自由支持の光ファイバケーブルの中央に力を加える)試験を実施した。
100mmに切断した光ファイバケーブルの両端を支持台に固定し、支持台で支持した光ファイバケーブルの中央に力を加え、5mm/分の速度でたわませ、その間のPOFケーブルに負荷される力を測定した。光ファイバケーブルが1mm変位した際の力を曲げ弾性力(N)とした。
(材料)
ポリアミド樹脂(A−1):ポリアミド12(商品名「ダイアミドL1640」、ダイセル・エボニック(株)製)
ポリフェニレンエーテル樹脂(B−1):ポリフェニレンエーテル樹脂とポリアミド66とのアロイ樹脂(商品名「ノリルGTX9400W」、サビックイノベーティブプラスチック社製)
ハロゲン化合物(C−1):臭素化ポリスチレン(商品名「HP−3010PST」、アルベマール社製)
メラミンシアヌレート(C’−1):メラミンシアヌレート(商品名「メラミンシアヌレートMC6000」、日産化学工業(株)製)
三酸化アンチモン(D−1):三酸化アンチモン(商品名「AT−3」、鈴裕化学(株)製)
他の添加剤(Y−1):群青色顔料(商品名「強化群青AP−205」、第一化成工業(株)製)
(機能層を被覆した光ファイバの製造)
芯材をポリメチルメタクリレート(屈折率1.492)、最内層の鞘材を2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート−2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート−メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体(2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート単位:2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート単位:メチルメタクリレート単位:メタクリル酸単位=31:51:17:1(質量%)、屈折率1.402)、最外層の鞘材をフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(フッ化ビニリデン単位:テトラフルオロエチレン単位=80:20(質量%)、屈折率1.374)とし、3層構造の同心円状複合紡糸ノズルを用いて紡糸し、140℃の熱風加熱炉中で繊維軸方向に2倍に延伸し、最内層の鞘の厚さが5μm、最外層の鞘の厚さが10μmの直径1.0mmの光ファイバを得た。
機能層を構成する材料をエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(商品名「ソアノールD2908」、日本合成化学(株)製)とし、樹脂被覆用クロスヘッド型40mmケーブル被覆装置((株)聖製作所製)に供給し、光ファイバの外周に機能層(厚さ0.1mm)を被覆し、直径1.2mmの機能層を被覆した光ファイバを得た。得られた機能層を被覆した光ファイバを実施例及び比較例の光ファイバとして用いた。
[実施例1]
ポリフェニレンエーテル樹脂(B−1)100質量部、ハロゲン化合物(C−1)26質量部、三酸化アンチモン(D−1)7質量部、他の添加剤(Y−1)4質量部を、二軸押出機(機種名「BT−40」、(株)プラスチック工学研究所製)を用いて170℃で溶融混練して、樹脂組成物を得た。
被覆内層としてポリアミド樹脂(A−1)、被覆外層として得られた樹脂組成物を用い、樹脂被覆用クロスヘッド型40mmケーブル被覆装置((株)聖製作所製)に供給し、機能層を被覆した光ファイバの外周に被覆内層(厚さ0.155mm)と被覆外層(厚さ0.405mm)とを被覆し、直径2.3mmの光ファイバケーブルを得た。得られた光ファイバケーブルの評価結果を、表1に示す。
[実施例2、比較例1〜2]
被覆外層の組成を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に操作を行い、光ファイバケーブルを得た。得られた光ファイバケーブルの評価結果を表1に示す。
実施例1〜2で得られた光ファイバケーブルは、難燃性、長期耐熱性、柔軟性に優れた。
一方、ハロゲン化合物(C)でなくメラミンシアヌレートを含む被覆外層の比較例1で得られた光ファイバケーブルは、難燃性、長期耐熱性に劣った。また、ハロゲン化合物(C)を含まない被覆外層の比較例2で得られた光ファイバケーブルは、難燃性に劣った。
10 光ファイバ
11 芯
12 鞘
12a 鞘(最内層)
12b 鞘(最外層)
20 被覆層
20a 被覆層(最内層)
20b 被覆層(最外層)
20c 被覆層(中間層)

Claims (10)

  1. 光ファイバと、前記光ファイバの外周に設けられた被覆層とを含む、光ファイバケーブルであって、
    被覆層は、被覆内層と被覆外層とを含み、
    被覆内層を構成する材料が、ポリアミド樹脂(A)を含み、
    被覆外層を構成する材料が、ポリフェニレンエーテル樹脂(B)とハロゲン化合物(C)とを含む、
    光ファイバケーブル。
  2. ハロゲン化合物(C)が、臭素化合物である、請求項1に記載の光ファイバケーブル。
  3. 臭素化合物が、臭素化ポリスチレンである、請求項2に記載の光ファイバケーブル。
  4. 被覆外層を構成する材料が、更に、三酸化アンチモン(D)を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の光ファイバケーブル。
  5. ポリアミド樹脂(A)が、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1010、ポリアミドMXD6、ポリアミド6T及びポリアミド9Tからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載の光ファイバケーブル。
  6. ハロゲン化合物(C)の含有量が、ポリフェニレンエーテル樹脂(B)100質量部に対して、20質量部〜60質量部である、請求項1〜5のいずれかに記載の光ファイバケーブル。
  7. 三酸化アンチモン(D)の含有量が、ポリフェニレンエーテル樹脂(B)100質量部に対して、5質量部〜50質量部である、請求項4に記載の光ファイバケーブル。
  8. 光ファイバと被覆層との間に、更に、機能層を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の光ファイバケーブル。
  9. 機能層を構成する材料が、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂を含む、請求項8に記載の光ファイバケーブル。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の光ファイバケーブルを含む、移動媒体。
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