JPH08304635A - プラスチック光ファイバーコード及びバンドルファイバー - Google Patents

プラスチック光ファイバーコード及びバンドルファイバー

Info

Publication number
JPH08304635A
JPH08304635A JP7105199A JP10519995A JPH08304635A JP H08304635 A JPH08304635 A JP H08304635A JP 7105199 A JP7105199 A JP 7105199A JP 10519995 A JP10519995 A JP 10519995A JP H08304635 A JPH08304635 A JP H08304635A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical fiber
polymer
fluorine
refractive index
fluoropolymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP7105199A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3719734B2 (ja
Inventor
Yasuhiro Koike
康博 小池
Hidenobu Murofushi
室伏英伸
Tokuhide Sugiyama
杉山徳英
Haruhisa Miyake
三宅晴久
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP10519995A priority Critical patent/JP3719734B2/ja
Publication of JPH08304635A publication Critical patent/JPH08304635A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3719734B2 publication Critical patent/JP3719734B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 屈折率分布型含フッ素プラスチック光ファ
イバー素線に被覆層を設けることより、耐熱性、耐溶剤
性、不燃性を持った、低伝送損失と高伝送帯域を有する
プラスチック光ファイバーコード及びそれらの複数本が
束ねられてバンドル化されてなるバンドルファイバーを
提供する。 【構成】 分子内にC−H結合を含まない含フッ素プ
ラスチックをマトリックスとする屈折率分布型光ファイ
バー素線からなる内層と前記マトリックス重合体以外の
重合体からなる被覆層とを有する屈折率分布型含フッ素
プラスチック光ファイバーコード及びそれらの複数本が
束ねられてバンドル化されてなるバンドルファイバー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐熱性、難燃性、及び耐
溶剤性に優れた、低伝送損失かつ高伝送帯域を有する光
ファイバーコード、及びバンドルファイバーに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】光ファイバー素線(以下、特に言及しな
い限り光ファイバーという)としては広い波長にわたっ
て優れた光伝送性を有する無機ガラス系光ファイバーが
知られているが、加工性が悪く、曲げ応力が弱いばかり
でなく、高価であることから、プラスチックを基材とす
る光ファイバーが開発され、実用化されている。このプ
ラスチック光ファイバーは光の透過性の良好なポリメチ
ルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレンな
どの重合体を基材とする芯層とこれより屈折率が小さ
く、かつ実質的に透明な含フッ素ポリマー等の重合体を
基材とする鞘層とを基本構成単位としている。また特開
平2ー244007号公報にはコアとクラッドに含フッ
素樹脂を用いた提案もされている。
【0003】光ファイバーとしてコアとクラッドとから
なる屈折率段階型光ファイバーとともに、屈折率分布型
(GI型)光ファイバーが知られている。屈折率分布型
光ファイバーの屈折率分布は、中心から半径方向に向か
って屈折率が放物線に近い曲線で低下している(詳細は
下記文献参照)のものをいう。屈折率分布型プラスチッ
ク光ファイバーとしては、たとえば「化学と工業」第4
5巻第7号(1992)1261−1264、特開平5
−173026号公報、WO94/04949、WO9
4/15005などが知られている。
【0004】これらの光ファイバー(光ファイバー素
線)の製品形態としては、光ファイバー素線を被覆材で
被覆した光ファイバーコード及び光ファイバーコードを
束ねたバンドルファイバーやバンドルファイバー等をテ
ンションメンバー等とを組み合わせた光ファイバーケー
ブルなどが挙げられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この様にプラスチック
光ファイバーは無機ガラス系光ファイバーにはない特徴
を有するが、従来の屈折率段階型プラスチック光ファイ
バーでは伝送帯域が狭いという点で、また、ポリメチル
メタクリレートを主体とする屈折率分布型のプラスチッ
ク光ファイバーでは近赤外光における伝送損失が大きい
という点で、通信用光ファイバーとしては実用的なもの
が得られていない。
【0006】本発明は、ポリメチルメタクリレート系、
ポリスチレン系、ポリカーボネート系等の光伝送体では
達し得なかった自動車乃至OA(オフィスオートメーシ
ョン)、家電機器用途等で要求される機械強度、耐熱
性、耐湿性、耐薬品性、不燃性を有する光ファイバー製
品を提供することを目的とするものであり、またアクリ
ル系、ポリカーボネート系、ノルボルネン樹脂系等の光
伝送体では達し得なかった可視光(500〜700n
m)と近赤外光(700〜1600nm)を利用可能と
し、さらに広範囲の伝送領域帯で低い光伝送損失をも
ち、高い伝送帯域を有する屈折率分布型プラスチック光
ファイバー製品を新規に提供することを目的とするもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題点
の認識に基づいて鋭意検討を重ねた結果、耐熱性、耐湿
性、耐薬品性、不燃性を付与し、かつ近赤外光で光吸収
が起こるC−H結合(すなわち、炭素−水素結合)をな
くすためには、C−H結合をC−F結合(すなわち、炭
素−フッ素結合)に変換した含フッ素重合体が最適であ
るとの知見を先に得た。
【0008】また、屈折率段階型光ファイバーの場合、
マルチモードの光はコアとクラッドの界面で反射されな
がら伝搬するためモード分散が起こり伝送帯域が低下す
る。しかし屈折率分布型光ファイバーではモード分散が
起こりにくく伝送帯域は増加する。そこで、実質的にC
−H結合を有しない非結晶性の含フッ素重合体のマトリ
ックスを用いて屈折率分布型の光ファイバー素線とし、
該含フッ素屈折率分布型光ファイバー素線の外側を少な
くとも1層の前記マトリックス重合体以外の重合体から
なる被覆層を設けることにより、前記の問題点を解決で
きることを見出し本発明に至った。
【0009】即ち、本発明は、以下の(1)〜(6)で
ある。
【0010】(1)実質的にC−H結合を有しない非結
晶性含フッ素重合体をマトリックスとする屈折率分布型
光ファイバー素線からなる内層と前記マトリックス重合
体以外の重合体からなる被覆層とを有するプラスチック
光ファイバーコード、(2)非結晶性含フッ素重合体が
主鎖に環構造を有する含フッ素重合体である前記(1)
記載のプラスチック光ファイバーコード、(3)主鎖に
環構造を有する含フッ素重合体が、以下の(I)〜(I
V)から選ばれる繰り返し単位を有する前記(2)記載
のプラスチック光ファイバーコード、
【0011】
【化3】
【0012】[上記(I)〜(IV)式において、lは
0〜5、mは0〜4、nは0〜1、l+m+nは1〜
6、o,p,qはそれぞれ0〜5、o+p+qは1〜
6、R3、R4はFまたはCF3、R5はFまたはCF3
6はFまたはCF3、X1はFまたはCl、X2はFまた
はClである。](4)被覆層が含フッ素重合体からな
る前記(1)記載のプラスチック光ファイバーコード、
(5)含フッ素重合体が、以下の(VI)〜(X)から
選ばれる繰り返し単位を有する前記(4)記載のプラス
チック光ファイバーコード、
【0013】
【化4】
【0014】(6)前記1〜5のいずれか1つのプラス
チック光ファイバーコードが複数本束ねられてバンドル
化されてなるバンドルファイバー。
【0015】本発明における光ファイバー素線は、マト
リックスが非結晶性樹脂であるため光の散乱がなくしか
も可視光から近赤外光まで広範囲の波長帯で透明性が高
いため、多種多様な波長の光システムに有効利用が可能
である。特に通信分野において幹線石英シングルモード
光ファイバーに利用されている波長である1300n
m、1550nmで低損失である光ファイバーを提供す
る。
【0016】また本発明の光ファイバーコードやこのコ
ード複数本が束ねられてバンドル化されたバンドルファ
イバーは、それら単独であるいはケーブル等のそれらを
構成要素として含む製品として使用され、自動車のエン
ジンルーム等での過酷な使用条件に耐える、耐熱性、耐
薬品性、耐湿性、不燃性を備えるものである。
【0017】本発明における屈折率分布型プラスチック
光ファイバーは実質的にC−H結合を有しない非結晶性
含フッ素重合体(以下、含フッ素重合体(a)という)
マトリックスに屈折率の分布を与える物質(以下、物質
(b)という)を分布させて得られる。
【0018】本発明における含フッ素重合体(a)とし
ては、C−H結合を有しない非結晶性の含フッ素重合体
であれば何ら限定されないが、主鎖に環構造を有する含
フッ素重合体が好ましい。主鎖に環構造を有する含フッ
素重合体としては、含フッ素脂肪族環構造、含フッ素イ
ミド環構造、含フッ素トリアジン環構造または含フッ素
芳香族環構造を有する含フッ素重合体が好ましい。含フ
ッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体では含フッ素
脂肪族エーテル環構造を有するものがさらに好ましい。
含フッ素重合体(a)としては、含フッ素ポリイミド環
構造を有する含フッ素重合体と含フッ素脂肪族環構造を
有する含フッ素重合体が好ましく、特に後者が好まし
い。
【0019】含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重
合体は、含フッ素イミド環構造、含フッ素トリアジン環
構造または含フッ素芳香族環構造を有する含フッ素重合
体に比べ、後述の熱延伸または溶融紡糸によるファイバ
ー化に際してもポリマー分子が配向しにくく、その結果
光の散乱を起こすこともないなどの理由から、より好ま
しい重合体である。
【0020】含フッ素重合体(a)の溶融状態における
粘度は、溶融温度200℃〜300℃において103
105ポイズが好ましい。溶融粘度が高すぎると溶融紡
糸が困難なばかりでなく、屈折率分布の形成に必要な、
物質(b)の拡散が起こりにくくなり、屈折率分布の形
成が困難になる。また、溶融粘度が低過ぎると実用上問
題が生じる。すなわち、電子機器や自動車等での光伝送
体として用いられる場合に高温にさらされ軟化し、光の
伝送性能が低下する。
【0021】含フッ素重合体(a)の数平均分子量は、
10,000〜5000,000が好ましく、より好ま
しくは50,000〜1000,000である。分子量
が小さ過ぎると耐熱性を阻害することがあり、大き過ぎ
ると屈折率分布を有する光伝送体の形成が困難になるた
め好ましくない。
【0022】含フッ素脂肪族環構造を有する重合体とし
ては、含フッ素環構造を有するモノマーを重合して得ら
れるものや、少なくとも2つの重合性二重結合を有する
含フッ素モノマーを環化重合して得られる主鎖に含フッ
素脂肪族環構造を有する重合体が好適である。
【0023】含フッ素脂肪族環構造を有するモノマーを
重合して得られる主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する
重合体は、特公昭63−18964号公報等により知ら
れている。即ち、パーフルオロ(2,2−ジメチル−
1,3−ジオキソール)等の含フッ素脂肪族環構造を有
するモノマーを単独重合することにより、またこのモノ
マーをテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエ
チレン、パーフルオロ(メチルビニールエーテル)など
のラジカル重合性モノマーと共重合することにより主鎖
に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が得られる。こ
のような重合体の繰り返し単位の例を前述の(IV)に
示す。
【0024】また、少なくとも2つの重合性二重結合を
有する含フッ素モノマーを環化重合して得られる主鎖に
含フッ素脂肪族環構造を有する重合体は、特開昭63−
238111号公報や特開昭63−238115号公報
等により知られている。即ち、パーフルオロ(アリルビ
ニルエーテル)、パーフルオロ(ブテニルビニルエーテ
ル)、CF2=CF−CF2−CFCl−CF2−CF=
CF2等のモノマーを環化重合することにより、または
このようなモノマーをテトラフルオロエチレン、クロロ
トリフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルビニール
エーテル)などのラジカル重合性モノマーと共重合する
ことにより主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体
が得られる。このような重合体の繰り返し単位の例を前
述の(I)〜(III)に示す。
【0025】また、パーフルオロ(2,2−ジメチル−
1,3−ジオキソール)等の含フッ素脂肪族環構造を有
するモノマーとパーフルオロ(アリルビニルエーテル)
やパーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)等の少なく
とも2つの重合性二重結合を有する含フッ素モノマーと
を共重合することによっても主鎖に含フッ素脂肪族環構
造を有する重合体が得られる。
【0026】含フッ素脂肪族環構造を有する重合体は、
主鎖に環構造を有する重合体が好適であるが、環構造を
有する重合単位を20モル%以上、好ましくは40モル
%以上含有するものが透明性、機械的特性等の面から好
ましい。
【0027】含フッ素ポリイミドの製造法は特に限定さ
れないが、例えばパーフルオロピロメリット酸無水物な
どの全ての水素原子がフッ素原子で置換された芳香族テ
トラカルボン酸無水物とパーフルオロp,p’−ジアミ
ノジフェニルエーテルなどの全ての水素原子がフッ素原
子で置換された芳香族ジアミンの反応でポリアミド酸を
生成し、これを更に加熱して含フッ素ポリイミドとする
方法などによって生成される。
【0028】含フッ素ポリイミドとしては、具体的には
下記の(V)式から選ばれた繰り返し単位を有すること
を特徴とするものが例示される。なお、これらの含フッ
素重合体(a)中のフッ素原子は、屈折率を高めるため
に一部塩素原子で置換されていてもよい。
【0029】
【化5】
【0030】[上記(V)式において、R1
【0031】
【化6】
【0032】から選ばれ、R2
【0033】
【化7】
【0034】から選ばれる。ここで、Rfはフッ素原
子、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアリール
基、パーフルオロアルコキシ基、パーフルオロフェノキ
シ基から選ばれ、これらは各々同一であっても異なって
いてもよい。Yは、
【0035】
【化8】
【0036】から選ばれる。ここで、R’fはパーフル
オロアルキレン基、パーフルオロアリーレン基から選ば
れ、これらは各々同一であっても異なっていてもよい。
rは1〜10である。又、Yと2つのRfが炭素をはさ
んで環を形成してもよく、その場合、環は飽和環でも不
飽和環でもよい。] 含フッ素脂肪族環構造を有する重合体は、主鎖に環構造
を有する重合体が好適であるが、環構造を有する重合単
位を20モル%以上、好ましくは40モル%以上含有す
るものが透明性、機械的特性等の面から好ましい。
【0037】物質(b)は、含フッ素重合体(a)との
比較において屈折率の差が0.001以上である少なく
とも1種類の物質であり、含フッ素重合体(a)よりも
高屈折率であっても低屈折率であってもよい。光ファイ
バー等においては通常は含フッ素重合体(a)よりも高
屈折率の物質を用いる。
【0038】この物質(b)としては、ベンゼン環等の
芳香族環、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、エー
テル結合等の結合基を含む、低分子化合物、オリゴマ
ー、ポリマーが好ましい。又、物質(b)は、含フッ素
重合体(a)と同様な理由から実質的にC−H結合を有
しない物質であることが好ましい。含フッ素重合体
(a)との屈折率の差は0.005以上であることが好
ましい。
【0039】オリゴマーやポリマーである物質(b)と
しては、前記したような含フッ素重合体(a)を形成す
るモノマーの重合体からなり、含フッ素重合体(a)と
の比較において屈折率の差が0.001以上であるオリ
ゴマーやポリマーであってもよい。モノマーとしては、
含フッ素重合体(a)との比較において屈折率の差が
0.001以上である重合体を形成するものから選ばれ
る。たとえば、屈折率の異なる2種の含フッ素重合体
(a)を用い、一方の重合体(a)を物質(b)として
他の重合体(a)中に分布させることができる。
【0040】これらの物質(b)は、上記マトリックス
との比較において、溶解性パラメータの差が7(cal
/cm31/2以内であることが好ましい。ここで溶解性
パラメータとは物質間の混合性の尺度となる特性値であ
り、溶解性パラメータをδ、物質の分子凝集エネルギー
をE、分子容をVとして、式δ=(E/V)1/2で表さ
れる。
【0041】低分子化合物としては、例えば炭素原子に
結合した水素原子を含まないハロゲン化芳香族炭化水素
がある、特に、ハロゲン原子としてフッ素原子のみを含
むハロゲン化芳香族炭化水素やフッ素原子と他のハロゲ
ン原子を含むハロゲン化芳香族炭化水素が、含フッ素重
合体(a)との相溶性の面で好ましい。又、これらのハ
ロゲン化芳香族炭化水素は、カルボニル基、シアノ基な
どの官能基を有していないことがより好ましい。
【0042】このようなハロゲン化芳香族炭化水素とし
ては、例えば式Фr−Zb[Фrは水素原子のすべてがフ
ッ素原子に置換されたb価のフッ素化芳香環残基、Zは
フッ素又はフッ素以外のハロゲン原子、−Rf、−CO
−Rf、−O−Rf、あるいは−CN。ただし、Rfは
パーフルオロアルキル基、ポリフルオロパーハロアルキ
ル基、または1価のФr。bは0または1以上の整
数。]で表される化合物がある。芳香環としてはベンゼ
ン環やナフタレン環がある。Rfであるパーフルオロア
ルキル基やポリフルオロパーハロアルキル基の炭素数は
5以下が好ましい。フッ素以外のハロゲン原子として
は、塩素原子や臭素原子が好ましい。
【0043】具体的な化合物としては例えば、1,3−
ジブロモテトラフルオロベンゼン、1,4−ジブロモテ
トラフルオロベンゼン、2−ブロモテトラフルオロベン
ゾトリフルオライド、クロロペンタフルオロベンゼン、
ブロモペンタフルオロベンゼン、ヨードペンタフルオロ
ベンゼン、デカフルオロベンゾフェノン、パーフルオロ
アセトフェノン、パーフルオロビフェニル、クロロヘプ
タフルオロナフタレン、ブロモヘプタフルオロナフタレ
ンなどがある。
【0044】ポリマーやオリゴマーである物質(b)と
しては、前記(I)〜(V)の繰り返し単位を有するも
のの内、組み合される含フッ素重合体(a)とは異なる
屈折率を有する含フッ素重合体(例えば、ハロゲン原子
としてフッ素原子のみを含む含フッ素重合体とフッ素原
子と塩素原子を含む含フッ素重合体との組み合わせ、異
なる種類や異なる割合の2以上のモノマーを重合して得
られた2種の含フッ素重合体の組み合わせなど)が好ま
しい。
【0045】また、上記のごとき主鎖に環構造を有する
含フッ素重合体以外に、テトラフルオロエチレン、クロ
ロトリフルオロエチレン、ジクロロジフルオロエチレ
ン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキル
ビニルエーテルなどの水素原子を含まないモノマーから
なるオリゴマー、それらモノマー2種以上の共重合オリ
ゴマーなども物質(b)として使用できる。又、−CF
2CF(CF3)O−や−(CF2nO−(nは1〜3の
整数)の構造単位を有するパーフルオロポリエーテルな
ども使用できる。これらオリゴマーの分子量は、非結晶
性となる分子量範囲から選ばれ、数平均分子量300〜
10,000が好ましい。拡散のしやすさを考慮する
と、数平均分子量300〜5000がさらに好ましい。
【0046】特に好ましい物質(b)は、含フッ素重合
体(a)特に主鎖に環構造を有する含フッ素重合体との
相溶性が良好であること等から、クロロトリフルオロエ
チレンオリゴマーである。相溶性が良好であることによ
り、含フッ素重合体(a)、特に主鎖に環構造を有する
含フッ素重合体、とクロロトリフルオロエチレンオリゴ
マーとを200〜300℃で加熱溶融により容易に混合
させることができる。まあ、含フッ素溶媒に溶解させて
混合した後、溶媒を除去することにより両者を均一に混
合させることができる。クロロトリフルオロエチレンオ
リゴマーの好ましい分子量は、数平均分子量500〜1
500である。
【0047】本発明における屈折率分布型光ファイバー
素線において、物質(b)は含フッ素重合体(a)中に
中心から周辺方向に沿って濃度勾配を有して分布してい
る。好ましくは、物質(b)が含フッ素重合体(a)よ
りも高屈折率の物質であり、この物質(b)が光ファイ
バー素線の中心から周辺方向に沿って濃度が低下する濃
度勾配を有して分布している光ファイバーである。ある
場合には物質(b)が含フッ素重合体(a)よりも低屈
折率の物質であり、この物質が光ファイバーの周辺から
中心方向に沿って濃度が低下する濃度勾配を有して分布
している光ファイバー素線も有用である。前者の光ファ
イバー素線は通常物質(b)を中心に配置し周辺方向に
向かって拡散させることにより製造できる。後者の光フ
ァイバー素線は物質(b)を周辺から中心方向に拡散さ
せることによって製造できる。
【0048】本発明の光ファイバー素線は、波長700
〜1,600nmで100mの伝送損失が100db以
下とすることができる。特に主鎖に脂肪族環構造を有す
る含フッ素重合体では同様な波長で、100mの伝送損
失が50db以下とすることができる。波長700〜
1,600nmという比較的長波長において、このよう
な低レベルの伝送損失であることは極めて有利である。
すなわち、石英光ファイバーと同じ波長を使えることに
より、石英光ファイバーとの接続が容易であり、また波
長700〜1,600nmよりも短波長を使わざるをえ
ない従来のプラスチック光ファイバーに比べ、安価な光
源で済むという利点がある。
【0049】本発明の光ファイバー素線において、樹脂
の成形と屈折率分布の形成は同時であっても別々であっ
てもよい。たとえば、紡糸や押し出し成形等により屈折
率分布を形成すると同時に屈折率分布を形成して製造で
きる。また、紡糸や押し出し成形で樹脂の成形を行った
後、屈折率分布を形成することができる。さらに、屈折
率分布を有するプリフォーム(母材)を製造し、このプ
リフォームを成形(たとえば紡糸)して光ファイバー素
線を製造できる。
【0050】本発明における光ファイバー素線の製造方
法としては、例えば以下の(1)〜(7)の方法があ
る。しかしこれらに限られるものではない、特に好まし
い方法は(1)の方法である。
【0051】(1)含フッ素重合体(a)を溶融し、含
フッ素重合体(a)の溶融液の中心部に物質(b)また
はその物質(b)を含む含フッ素重合体(a)を注入
し、物質(b)を拡散させながら、または拡散させた後
に成形する方法。
【0052】この場合、物質(b)を注入するには、中
心部に1層のみ物質(b)を注入する場合のみならず、
中心部に物質(b)を多層に注入してもよい。成形には
光ファイバー素線のプリフォーム等のごときロッド状母
材を成形するために適する押出溶融成形、光ファイバー
素線を成形するために適する溶融紡糸成形等がある。 (2)溶融紡糸や延伸などによって得られた含フッ素重
合体(a)からなる芯材に、物質(b)またはその物質
(b)を含む含フッ素重合体(a)を繰り返しディップ
コートする方法。
【0053】(3)回転ガラス管などを利用して中空状
の含フッ素重合体(a)からなる管を形成し、この重合
体管の内部に物質(b)またはその物質(b)を含む含
フッ素重合体(a)を形成するモノマー相を密封し、低
速で回転させながら重合させる方法。
【0054】この界面ゲル共重合の場合、重合過程にお
いて、含フッ素重合体(a)からなる管がモノマー相に
膨潤し、ゲル相が形成され、モノマー分子が選択的にゲ
ル相内に拡散しながら重合される。
【0055】(4)含フッ素重合体(a)を形成するモ
ノマーと物質(b)を形成するモノマーであって、それ
らモノマーの反応性が異なる2種のモノマーを用いて、
生成する含フッ素重合体(a)と物質(b)の組成比が
周辺部から中心に向かって連続的に変化するように重合
反応を進行させる方法。
【0056】(5)含フッ素重合体(a)と物質(b)
を均一に混合した混合物または溶媒中で均一に混合した
後、溶媒のみを揮発除去させることにより得られる混合
物を、熱延伸または溶融押出によりファイバー化し、次
いで(またはファイバー化直後に)加熱状態で不活性ガ
スと接触させて物質(b)を表面から揮発させることに
より屈折率分布を形成する方法。または、上記ファイバ
ー化した後、含フッ素重合体(a)を溶解せずに物質
(b)のみを溶解する溶媒中にファイバーを浸漬し、物
質(b)をファイバー表面から溶出させることにより屈
折率分布を形成する方法。
【0057】(6)含フッ素重合体(a)からなるロッ
ドまたはファイバーに、含フッ素重合体(a)よりも屈
折率が小さい物質(b)のみを被覆するか、または含フ
ッ素重合体(a)と物質(b)との混合物を被覆し、次
いで加熱により物質(b)を拡散させて屈折率分布を形
成する方法。
【0058】(7)高屈折率重合体と低屈折率重合体と
を加熱溶融または溶媒を含有する溶液状態で混合し、そ
れぞれ混合割合の異なる状態で多層押出させながら(ま
たは押出したのちに)両者を互いに拡散させ、最終的に
屈折率分布の形成されたファイバーを得る方法。この場
合、高屈折率重合体が含フッ素重合体(a)で低屈折率
重合体が物質(b)でもよく、高屈折率重合体が物質
(b)で低屈折率重合体が物質(b)でもよい。
【0059】被覆層を構成する重合体は、前記マトリッ
クスの含フッ素重合体(a)以外の重合体からなる。こ
の被覆層を構成する重合体の種類は特に制限はなく、従
来の無機又はプラスチック光ファイバー素線の被覆に用
いられていたもの、または、下記に挙げる含フッ素重合
体等から選ばれる少なくとも1種を用いることができ
る。例えば、非フッ素系重合体として、低密度ポリエチ
レン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、(水)架橋型ポ
リオレフィン、ポリオレフィンエラストマーなどのポリ
オレフィン系重合体、ポリエチレンテレフタレートなど
のポリエステル系重合体、軟質塩化ビニル樹脂等のビニ
ル系樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル系重合体、ジメチ
ルポリシロキサン重合体、ポリフルオロアルキルメチル
ポリシロキサン重合体などのシリコーン系重合体、ポリ
アミド、(発泡)ポリスチレン、ポリカーボネート、ポ
リエーテルイミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリス
ルフォン、ポリ4−メチルペンテンー1、ポリアミドイ
ミド等が挙げられる。含フッ素重合体としては、含フッ
素ゴム、トリフルオロエチレン重合体、クロロトリフル
オロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン重合体、
テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフ
ルオロエチレン−エチレン−(パーフルオロアルキル)
エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフル
オロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフル
オロエチレンーヘキサフルオロプロピレン共重合体、フ
ッ化ビニリデン重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフル
オロプロピレン共重合体等の前記(VI)〜(X)から
選ばれる繰り返し単位を有する含フッ素重合体が挙げら
れる。
【0060】また、上記重合体のコートとは別に、紫外
線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂などの
硬化性樹脂を光ファイバーにコートし、硬化させて被覆
層を形成することもできる。紫外線硬化型樹脂や電子線
硬化型樹脂を用いた場合には、比較的低温で被覆が行え
るため光ファイバー素線へのダメージが少ないという利
点がある。紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂として
は、例えば、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリ
レート系、シリコンアクリレート系、ポリエステルアク
リレート系、ポリブタジエンアクリレート系、ポリフル
オロアルキルアクリレート系等硬化型樹脂があげられ
る。これら硬化型樹脂を用いる場合には、適度な粘度を
有する液状の樹脂を屈折率分布型光ファイバーの表面に
塗布した後硬化する方法が適用される。一方、ポリアミ
ドやポリイミド樹脂を用いた場合にはファイバーコード
の引っ張り強度が増大し、機械的な耐久性が飛躍的に向
上する。
【0061】被覆材を構成する上記に例示されるような
重合体には、所望により可塑剤、顔料、架橋剤、接着剤
等を加えることができる。
【0062】本発明の被覆層を有する光ファイバーコー
ドの製造は特に制約は受けない。例えば、前述の方法で
製造した光ファイバー素線の外側に、被覆材を押し出し
被覆、あるいはソルベントコーティング法等により形成
することにより目的の光ファイバーコードが得られる。
又、本発明では各光ファイバーを被覆してコードとした
あと、複数本を束ねてバンドルファイバーとすることが
できる。バンドルファイバーには、コードを並列に並べ
て構成される多芯テープ心線が含まれる。光ファイバー
を芳香族ポリアミド、ガラスまたは炭素繊維で補強した
プラスチックまたは金属で被覆することによりケーブル
とすることもできる。ケーブル内部の隙間を糸、紐、
紙、プラスチック、各種の緩衝材または溝つきスペーサ
ーなどで埋めてもよい。
【0063】本発明のプラスチック光ファイバーは、石
英シングルモード光ファイバーと直接に接続できるだけ
でなく、あらゆる光ファイバーに接続された光導波路、
光分岐器、光結合器、光合波器、光分波器などの光ブラ
ンチングデバイス、光スイッチ、光減衰器、光アイソレ
ータ、偏光子、光集積回路、光送信モジュール、光受信
モジュール、等の光部品とも直接に接続可能であり、そ
れらの低損失性、高帯域性を損ねることなく信号の伝送
が可能である。
【0064】本発明の屈折率分布型含フッ素プラスチッ
ク光ファイバーコード及びバンドルファイバーは、加入
者系の通信線、工場内LAN、病院内LAN、学校内L
AN等の公共施設内でのLAN、フロアーケーブル、電
力線監視通信線、自動車用途、電車の運転条件のモニタ
画像伝送、外洋航路の大型船舶内の通信用、航空機内の
データ伝送、業務用ゲーム機を始めとするアミューズメ
ント関係などの高速、高帯域を必要とする映像伝送、高
画質の動画、立体画像の伝送、コンピューターないし自
動交換機等の機器内配線、一般の屋内通信網、各種セン
サ分野、照明、イルミネーション分野、エネルギー伝送
などの様々な分野での利用が可能である。
【0065】
【実施例】次に、本発明の実施例について更に具体的に
説明するが、この説明が本発明を限定するものでないこ
とは勿論である。
【0066】合成例1 パーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)30g、イオ
ン交換水120g、メタノール4.8g及び重合開始剤
として((CH3)2CHOCOO)276mgを、内容積200ml
の耐圧ガラス製オートクレーブに入れた。系内を3回窒
素で置換した後、40℃で22時間懸濁重合を行った。
得られた重合物を単離後300℃で熱処理し、水洗した。
その結果、無色透明な重合体(以下、重合体Aという)
を26g得た。この重合体Aの固有粘度[η]は、パー
フルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)中30℃で
0.34であった。重合体のガラス転移点は108℃で
あり、屈折率は1.34であった。
【0067】実施例1 上記合成例1で得られた重合体Aをパーフルオロ(2ー
ブチルテトラヒドロフラン)溶媒中で溶解し、これに屈
折率1.42であるクロロトリフルオロエチレンオリゴ
マー(商品名 ダイフロイル#20;ダイキン社製)を
15重量%量添加し混合溶液を得た。この溶液を脱溶媒
し透明な混合重合体(以下、混合重合体Bという)を得
た。重合体Aを溶融し、中心に溶融液の混合重合体Bを
注入しながら300℃で2色押出しによる溶融紡糸する
ことにより、中心部の屈折率が1.36であり、周辺部
の1.34の屈折率までおおよそ放物線的に徐々に低下
する外径500μmの光ファイバー素線(以下、光ファ
イバー素線Cという)が得られた。次いでその外側に押
し出し被覆によりポリエーテルイミドからなる保護層を
形成させて外径2.0mmの光ファイバーコード(以
下、光ファイバーコードDという)とした。得られた光
ファイバーコードDの光伝送損失は、780nmで30
0dB/km、1550nmで130dB/kmであ
り、近赤外光までの光を良好に伝送できる光ファイバー
で有ることを確かめた。更にこの光ファイバーコードD
を115℃の恒温槽内に1000時間保持した後の伝送
損失の増加は1.0dB/km以下であり、光ファイバ
ーコードDの外観には全く変化がなかった。
【0068】実施例2 実施例1で作成した外径500μmの屈折率分布型光フ
ァイバー素線Cにクロスヘッドダイケーブル加工方法に
よりフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン96
/4モル%の共重合体を180℃で被覆し、外径2.0
mmの光ファイバーコード(以下、光ファイバーコード
Eという)を得た。こうして得られた光ファイバーコー
ドEの光伝送損失は、780nmで300dB/km、
1550nmで130dB/kmであり、近赤外光まで
の光を良好に伝送できる光ファイバーで有ることを確か
めた。またこの光ファイバーコードEのベースバンド周
波数特性から求めた伝送帯域は、2.0GHzであっ
た。115℃の恒温槽内にこの光ファイバーコードEを
1000時間保持した後の伝送損失の増加は1dB/k
m以下であり、伝送帯域は1.8GHzとなった。光フ
ァイバーの外観には全く変化がなかった。またジクロロ
ペンタフルオロエタンに300時間浸漬した後の伝送損
失の増加は0.5dB/km以下であり、伝送帯域には
変化が見られなかった。光ファイバーコードEの外観に
は全く変化がなかった。またバーナーで1000℃の炎
を10秒間当てても燃焼しなかった。
【0069】実施例3 実施例1で作成した外径500μmの屈折率分布型光フ
ァイバー素線Cにクロスヘッドダイケーブル加工方法に
より水架橋ポリエチレン(リンクロンMF−700A:
三菱油化製)を被覆し外径2.0mmの光ファイバーコ
ードを作成し、続いて熱水処理を行うことにより被覆層
を架橋した。このようにして得られた光ファイバーコー
ドFの光伝送損失を測定したところ、素線の伝送損失と
ほぼ同じ結果が得られた。
【0070】実施例4 実施例1で作成した外径500μmの屈折率分布型光フ
ァイバー素線Cをシリコンアクリレート型紫外線硬化型
樹脂の原液を満たした塗布ダイスに通過させ、続いて紫
外線照射装置に導き、得られた光ファイバーコードGを
巻き取り機で巻き取った。光ファイバーコードGの光伝
送損失を測定したところ、780nmで300dB/k
m、1550nmで130dB/kmであり、近赤外光
までの光を良好に伝送できる光ファイバーで有ることを
確かめた。またこの光ファイバーコードGのベースバン
ド周波数特性から求めた伝送帯域は、2.0GHzであ
った。115℃の恒温槽内にこの光ファイバーコードG
を1000時間保持した後の伝送損失の増加は1dB/
km以下であり、伝送帯域は1.9GHzとなった。光
ファイバーの外観には全く変化がなかった。
【0071】実施例5 実施例1で用いた重合体A、混合重合体B及び軟質ポリ
塩化ビニル樹脂を同時に三層溶融押出して、軟質ポリ塩
化ビニル樹脂の被覆された屈折率分布型光ファイバーコ
ードH(ファイバー径500μm、コード外径2mm)
が得られた。このときの押出温度は、重合体Aが250
℃、混合重合体Bが230℃および軟質ポリ塩化ビニル
が170℃であった。
【0072】実施例6 最外層にフッ素樹脂FEP(テトラフルオロエチレン−
ヘキサフルオロプロピレン共重合体)を溶融し、その内
側に重合体Aを溶融し、中心に溶融液の混合重合体Bを
注入しながら約300℃近辺で多色押出しによる溶融紡
糸することにより、中心部の屈折率が1.36であり、
周辺部の1.34の屈折率までおおよそ放物線的に徐々
に低下するファイバー内層径500μm、FEP被覆外
径2000μmの光ファイバーコードIが得られた。得
られた光ファイバーIの光伝送損失は、780nmで3
00dB/km、1550nmで130dB/kmであ
り、近赤外光までの光を良好に伝送できる光ファイバー
で有ることを確かめた。更にこの光ファイバーコードI
を115℃の恒温槽内に1000時間保持した後の伝送
損失の増加は1.0dB/km以下であり、光ファイバ
ーの外観には全く変化がなかった。コードIの直火によ
る不燃性のテストを行ったが不燃であることを確かめ
た。またコードIを希硫酸に1週間浸して後、伝送損失
を測定したがほとんど変化がなかった。
【0073】比較例 実施例1で作成した外径500μmの屈折率分布型光フ
ァイバー素線Cをそのまま被覆することなく以下の実験
に用いた。光伝送損失は、実施例1、実施例2の光ファ
イバーコードD、及びEと同様に、780nmで300
dB/km、1550nmで130dB/kmであり、
近赤外光までの光を良好に伝送できる光ファイバー素線
で有ることを確かめた。更にこの光ファイバー素線Cを
115℃の恒温槽内に1000時間保持した後の伝送損
失の増加は50dB/kmとなり、伝送帯域は150M
Hzに低下した。光ファイバー素線Cには曲がりが発生
した。またジクロロペンタフルオロエタンに300時間
浸漬した後の光ファイバー素線Cの外径は5mmに膨潤
し、外観を保っていなかった。またバーナーで1000
℃の炎を10秒間当てたところ、溶融が起こり、溶けて
切れた。
【0074】
【発明の効果】本発明により、屈折率分布型含フッ素光
ファイバー素線の外側に被覆層を設けることにより、耐
熱性、耐溶剤性、難燃性を保持したまま紫外光から近赤
外までの光を極めて低損失に伝送することが可能になっ
た。特にこの屈折率分布型プラスチック光ファイバーコ
ードはファイバー径が大きいにも関わらずフレキシブル
で分岐・接続が容易であるため、自動車、OA機器等の
配線に利用できる耐熱性、耐薬品性、耐湿性、不燃性を
備えるプラスチック光ファイバーコードである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 29/10 LGZ C08L 29/10 LGZ C09D 127/12 PFG C09D 127/12 PFG 145/00 PGM 145/00 PGM G02B 6/18 G02B 6/18 // C08F 16/32 MKZ C08F 16/32 MKZ MLA MLA (72)発明者 三宅晴久 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的にC−H結合を有しない非結晶性
    含フッ素重合体をマトリックスとする屈折率分布型光フ
    ァイバー素線からなる内層と前記マトリックス重合体以
    外の重合体からなる被覆層とを有するプラスチック光フ
    ァイバーコード。
  2. 【請求項2】 非結晶性含フッ素重合体が主鎖に環構造
    を有する含フッ素重合体である請求項1記載のプラスチ
    ック光ファイバーコード。
  3. 【請求項3】 主鎖に環構造を有する含フッ素重合体
    が、以下の(I)〜(IV)から選ばれる繰り返し単位
    を有する請求項2記載のプラスチック光ファイバーコー
    ド。 【化1】 [上記(I)〜(IV)式において、lは0〜5、mは
    0〜4、nは0〜1、l+m+nは1〜6、o,p,q
    はそれぞれ0〜5、o+p+qは1〜6、R3、R4はF
    またはCF3、R5はFまたはCF3、R6はFまたはCF
    3、X1はFまたはCl、X2はFまたはClである。]
  4. 【請求項4】 被覆層が含フッ素重合体からなる請求項
    1記載のプラスチック光ファイバーコード。
  5. 【請求項5】 含フッ素重合体が、以下の(VI)〜
    (X)から選ばれる繰り返し単位を有する請求項4記載
    のプラスチック光ファイバーコード。 【化2】
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1つのプラスチ
    ック光ファイバーコードが複数本束ねられてバンドル化
    されてなるバンドルファイバー。
JP10519995A 1995-04-28 1995-04-28 プラスチック光ファイバーコード及びバンドルファイバー Expired - Lifetime JP3719734B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10519995A JP3719734B2 (ja) 1995-04-28 1995-04-28 プラスチック光ファイバーコード及びバンドルファイバー

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10519995A JP3719734B2 (ja) 1995-04-28 1995-04-28 プラスチック光ファイバーコード及びバンドルファイバー

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08304635A true JPH08304635A (ja) 1996-11-22
JP3719734B2 JP3719734B2 (ja) 2005-11-24

Family

ID=14401003

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10519995A Expired - Lifetime JP3719734B2 (ja) 1995-04-28 1995-04-28 プラスチック光ファイバーコード及びバンドルファイバー

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3719734B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6107402A (en) * 1997-11-17 2000-08-22 Samsung Electronics Co., Ltd. Optical polymer composition
WO2004102243A1 (ja) * 2003-05-15 2004-11-25 Asahi Glass Company, Limited プラスチック光ファイバコード
JP2013073029A (ja) * 2011-09-28 2013-04-22 Asahi Glass Co Ltd 難燃プラスチック光ファイバリボン

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02244007A (ja) * 1988-11-29 1990-09-28 Mitsubishi Rayon Co Ltd プラスチック光ファイバ
JPH03213806A (ja) * 1989-09-25 1991-09-19 Mitsubishi Rayon Co Ltd 屈折率分布型プラスチック光伝送体の製法
JPH041704A (ja) * 1990-04-19 1992-01-07 Mitsubishi Rayon Co Ltd プラスチック光ファイバ
JPH04189862A (ja) * 1989-10-16 1992-07-08 Mitsubishi Rayon Co Ltd 弗素系樹脂組成物
JPH04226177A (ja) * 1990-06-01 1992-08-14 Asahi Glass Co Ltd コーティング用含フッ素重合体組成物およびその用途
JPH05249325A (ja) * 1992-03-06 1993-09-28 Mitsubishi Rayon Co Ltd プラスチック光ファイバ
WO1994015005A1 (en) * 1992-12-18 1994-07-07 Hoechst Celanese Corporation Shaped articles of graduated refractive index
JPH0777642A (ja) * 1993-09-09 1995-03-20 Asahi Chem Ind Co Ltd 難燃プラスチック光ファイバケーブル

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02244007A (ja) * 1988-11-29 1990-09-28 Mitsubishi Rayon Co Ltd プラスチック光ファイバ
JPH03213806A (ja) * 1989-09-25 1991-09-19 Mitsubishi Rayon Co Ltd 屈折率分布型プラスチック光伝送体の製法
JPH04189862A (ja) * 1989-10-16 1992-07-08 Mitsubishi Rayon Co Ltd 弗素系樹脂組成物
JPH041704A (ja) * 1990-04-19 1992-01-07 Mitsubishi Rayon Co Ltd プラスチック光ファイバ
JPH04226177A (ja) * 1990-06-01 1992-08-14 Asahi Glass Co Ltd コーティング用含フッ素重合体組成物およびその用途
JPH05249325A (ja) * 1992-03-06 1993-09-28 Mitsubishi Rayon Co Ltd プラスチック光ファイバ
WO1994015005A1 (en) * 1992-12-18 1994-07-07 Hoechst Celanese Corporation Shaped articles of graduated refractive index
JPH08510763A (ja) * 1992-12-18 1996-11-12 ヘキスト・セラニーズ・コーポレーション 累進性屈折率を持つ分散性の低い成形物品
JPH0777642A (ja) * 1993-09-09 1995-03-20 Asahi Chem Ind Co Ltd 難燃プラスチック光ファイバケーブル

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6107402A (en) * 1997-11-17 2000-08-22 Samsung Electronics Co., Ltd. Optical polymer composition
WO2004102243A1 (ja) * 2003-05-15 2004-11-25 Asahi Glass Company, Limited プラスチック光ファイバコード
JP2013073029A (ja) * 2011-09-28 2013-04-22 Asahi Glass Co Ltd 難燃プラスチック光ファイバリボン

Also Published As

Publication number Publication date
JP3719734B2 (ja) 2005-11-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0710855B1 (en) Refractive index distribution type optical resin and production method thereof
JP3719735B2 (ja) 光ファイバー
US5760139A (en) Graded-refractive-index optical plastic material and method for its production
TW552435B (en) Plastic optical fiber
JPH085848A (ja) 屈折率分布型光学樹脂材料及びその製造方法
JP2002071972A (ja) プラスチック光ファイバ
JP5521480B2 (ja) プラスチッククラッド光ファイバ心線および光ファイバケーブル
JP3530630B2 (ja) 屈折率分布型光ファイバー及びその母材の製造方法
JP3719734B2 (ja) プラスチック光ファイバーコード及びバンドルファイバー
JP3419960B2 (ja) 屈折率分布型光学樹脂材料
JPH08336911A (ja) 屈折率分布型光学樹脂材料の製造方法
JPH08304638A (ja) プラスチック光ファイバー
JP3533263B2 (ja) 屈折率分布型光ファイバー製造用母材の製造方法
JP2004093639A (ja) 海島構造を有する光ファイバ
JPH1031119A (ja) コア/クラッド型の光学樹脂材料
JPH08304639A (ja) 光伝送システム
JPH08304637A (ja) 光伝送体
JP3489764B2 (ja) 屈折率分布型光学樹脂材料
JPH08334633A (ja) 屈折率分布型光ファイバー製造用の母材の製造方法
JPH01126602A (ja) プラスチッククラッド光伝送ファイバ
JP2002311254A (ja) 屈折率分布型光学樹脂材料の製造方法
JPS59200202A (ja) 光伝送繊維
CN101103056A (zh) 用于形成光学装置的可聚合组合物、光学装置及制备光学装置的方法
JPH1096840A (ja) プラスチック光ファイバコードおよびその製造方法
JP2005517204A (ja) グレーデッド・インデックスポリマー光ファイバおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040608

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040806

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040929

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20041005

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20041126

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050530

R155 Notification before disposition of declining of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R155

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050906

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050530

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090916

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090916

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100916

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100916

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110916

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110916

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120916

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120916

Year of fee payment: 7

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120916

Year of fee payment: 7

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120916

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130916

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term