JPH11109144A - 屈折率分布型光ファイバ及びその製造方法 - Google Patents

屈折率分布型光ファイバ及びその製造方法

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JPH11109144A
JPH11109144A JP9274816A JP27481697A JPH11109144A JP H11109144 A JPH11109144 A JP H11109144A JP 9274816 A JP9274816 A JP 9274816A JP 27481697 A JP27481697 A JP 27481697A JP H11109144 A JPH11109144 A JP H11109144A
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optical fiber
resin
substance
polymer
fluoropolymer
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JP9274816A
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English (en)
Inventor
Yasushi Kawarada
泰 川原田
Kazumi Nakamura
一己 中村
Shoji Hayashi
省治 林
Noriyuki Yoshihara
紀幸 吉原
Koji Koganezawa
光司 小金澤
Takeshi Onishi
壮 大西
Yasuhiro Koike
康博 小池
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた光学特性と機械特性とを有する、実質的
にC−H結合を有しない含フッ素重合体を用いた屈折率
分布型光ファイバを提供する。 【解決手段】実質的にC−H結合を有しない非晶性の含
フッ素重合体(a)中にそれと屈折率が異なる物質
(b)が特定の方向に沿って濃度勾配を有する内層と、
引張り弾性率2000MPa以上の熱可塑性樹脂(c)
からなる外層とを備える屈折率分布型光ファイバ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い光学特性と機
械的特性を併有する屈折率分布型光ファイバ、その製造
方法、及び光ファイバコードに関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック光ファイバとしては、屈折
率分布型プラスチック光ファイバ(以下、単に屈折率分
布型光ファイバという)とステップインデックス型プラ
スチック光ファイバが知られている。ステップインデッ
クス型プラスチック光ファイバの場合、マルチモードの
光はコアとクラッドの界面で反射されながら伝搬するた
めにモード分散が起こり伝送帯域が低下する。一方、屈
折率分布型光ファイバの場合ではモード分散が起こりに
くく伝送帯域が増加するため、屈折率分布型光ファイバ
はより光学特性の優れたプラスチック光ファイバとな
る。
【0003】屈折率分布型光ファイバとしては、例え
ば、WO93/08488、WO94/04949、特
開平8−5848などに記載された屈折率分布型光ファ
イバが知られている。また、保護層を形成した屈折率分
布型光ファイバとしては、特開平9−178961に記
載されたものがある。
【0004】上記特開平8−5848に記載されている
屈折率分布型光ファイバは特定の含フッ素重合体を光伝
送材料として用いた光ファイバである。この含フッ素重
合体は実質的にC−H結合を有しない含フッ素重合体で
あり、C−H結合の代わりにC−F結合(すなわち、炭
素−フッ素結合)を有する。
【0005】物質に光を照射すると、ある原子間の結合
の伸縮振動や変角振動と共鳴振動する波長の光が優先的
に吸収されることになる。これまでプラスチック光ファ
イバはC−H結合を有する重合体を光伝送材料として用
いたものであった。このC−H結合を有する重合体で
は、水素原子が軽量で振動しやすいために、C−H結合
による基本吸収は赤外域(3400nm)に現れる。し
たがって、光源の波長である可視域〜近赤外(600〜
1550nm)では、このC−H伸縮振動の比較的低倍
音の吸収がとびとびに現れ、これが吸収損失の大きな原
因になっていた。
【0006】水素原子をフッ素原子に置換した実質的に
C−H結合を有しない含フッ素重合体では、C−F結合
による吸収波長はC−H結合による吸収波長よりも長波
長側に移動し、それに伴い近赤外域〜可視域では吸収が
ほとんどなくなるため、伝送損失は小さいものとなる。
すなわち、波長650nmでは実質的に吸収による損失
はなく、波長1300nmにおいてもC−F結合の伸縮
振動の6倍音と7倍音の間で、1dB/kmのオーダー
であり吸収損失はないと考えてよい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、実質的
にC−H結合を有しない含フッ素重合体を用いた屈折率
分布型光ファイバは優れた光学特性を有する。しかし、
本発明者の検討によれば、このような含フッ素重合体を
材料とした屈折率分布型光ファイバは機械特性の面で充
分とはいえない点があることが見出された。このような
含フッ素重合体は、従来屈折率分布型光ファイバに用い
られていた重合体に比較して引張り強度などの機械的強
度が不充分である場合が少なくない。
【0008】前記のように、屈折率分布型光ファイバに
保護層を設けた光ファイバコードが知られている。しか
し、保護層の材料として知られている樹脂は機械的強度
が不充分であり、上記含フッ素重合体を材料とした屈折
率分布型光ファイバに保護層を設けてコード化すること
は機械的強度向上に有効な手段とはいえない。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題の
認識に基づいて鋭意検討を重ねた結果、引張り弾性率2
000MPa以上の熱可塑性樹脂を外層に形成した光フ
ァイバが最適であるとの知見を得た。本発明は、かかる
知見に基づき得られた高い光学特性と機械的特性を合わ
せ持った下記屈折率分布型光ファイバである。
【0010】実質的にC−H結合を有しない非晶性の含
フッ素重合体(a)と、含フッ素重合体(a)との比較
において屈折率の差が0.001以上である1種以上の
物質(b)とからなり、含フッ素重合体(a)中に物質
(b)が特定の方向に沿って濃度勾配を有する内層と、
引張り弾性率2000MPa以上の熱可塑性樹脂(c)
からなる外層とを備えることを特徴とする屈折率分布型
光ファイバ。
【0011】さらにこの屈折率分布型光ファイバには保
護層を設けてもよい。したがって本発明は、また、前記
熱可塑性樹脂(c)以外の樹脂からなる保護層を有する
上記屈折率分布型光ファイバからなる光ファイバコー
ド、である。
【0012】上記本発明の屈折率分布型光ファイバは種
々の方法で製造できる。しかし、好ましい製造方法は、
原材料から内層と外層を同時に形成することによって製
造する方法と、内層と外層の元となる2層構造を有する
前駆体より製造する方法である。したがって本発明は、
さらに、これら製造方法に関する下記の発明である。
【0013】引張り弾性率2000MPa以上の熱可塑
性樹脂(c)を溶融し、その中心部に実質的にC−H結
合を有しない非晶性の含フッ素重合体(a)の溶融液
を、さらにその中心部に含フッ素重合体(a)との比較
において屈折率の差が0.001以上である1種以上の
物質(b)又は物質(b)を含む含フッ素重合体(a)
を注入し、物質(b)を拡散させながら、又は拡散させ
た後に成形することを特徴とする、含フッ素重合体
(a)中に物質(b)が特定の方向に沿って濃度勾配を
有する内層と熱可塑性樹脂(c)からなる外層とを備え
る屈折率分布型光ファイバの製造方法。
【0014】実質的にC−H結合を有しない非晶性の含
フッ素重合体(a)と、含フッ素重合体(a)との比較
において屈折率の差が0.001以上である1種以上の
物質(b)とからなり、含フッ素重合体(a)中に物質
(b)が特定の方向に沿って濃度勾配を有する円柱状又
は円筒状の屈折率分布型光ファイバ前駆体を、円筒状の
形状をした引張り弾性率2000MPa以上の熱可塑性
樹脂(c)中に挿入し、溶融紡糸によりそれらを一体に
ファイバ化することを特徴とする屈折率分布型光ファイ
バの製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】熱可塑性樹脂(c)としては、光
ファイバの使用温度下で充分高い機械的強度を与える熱
可塑性樹脂が用いられる。光ファイバは通常室温(本発
明では23℃とする)下で使用されることより、本発明
における熱可塑性樹脂(c)の引張り弾性率は特に言及
しないかぎり室温における引張り弾性率をいう。すなわ
ち、本発明における熱可塑性樹脂(c)は室温下の引張
り弾性率が2000MPa以上の熱可塑性樹脂である。
【0016】この熱可塑性樹脂(c)としては、引張り
弾性率2000MPa以上の熱可塑性樹脂であるかぎ
り、種々の熱可塑性樹脂を使用できる。例えば、引張り
弾性率2000MPa以上の、ポリメチルメタクリレー
ト系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、線状ポリエステル
系樹脂、ポリアミド系樹脂、AS系樹脂(アクリロニト
リル/スチレン共重合体系樹脂)、ABS系樹脂、ポリ
アセタール系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリス
チレン系樹脂、テトラフルオロエチレン共重合体系樹
脂、クロロトリフルオロエチレン共重合体系樹脂などが
ある。
【0017】ポリメチルメタクリレート系樹脂はポリメ
チルメタクリレートを主成分とする樹脂であり、市販さ
れているものを含めその多くは引張り弾性率2000M
Pa以上である。ポリカーボネート系樹脂はビスフェノ
ールAのカーボネートを主たる構成単位とする重合体を
主成分とする樹脂であり、市販されているものを含めそ
の多くは引張り弾性率2000MPa以上である。
【0018】他の上記した樹脂もその品種によるが、引
張り弾性率2000MPa以上のものが使用できる。特
に、引張り弾性率が2000MPa以上のポリメチルメ
タクリレート系樹脂とポリカーボネート系樹脂は従来よ
りプラスチック光ファイバのコア材料として広く使われ
ており、これらを用いた光ファイバは、引張り強度、側
圧強度、落下衝撃強度、静置屈曲性、繰り返し屈曲性、
ねじり特性、対振動特性などの光ファイバに要求される
機械的特性に優れる。
【0019】本発明の屈折率分布型光ファイバを作製す
るにあたって、内層と外層は別々に賦形し、後から一体
化させてもよく、同時に賦形してもよいが、溶融状態で
賦形するのが一般的である。その場合、外層と内層の溶
融粘度が大きく異なると真円性や同心円性が損なわれた
り、糸径斑が大きくなったりする。そこで、これらを解
消するためには、外層と内層の樹脂の溶融粘度が大きく
異ならないものを用いることがよい。その溶融粘度比は
内層と外層で1/5倍〜5倍の範囲内であることが好ま
しい。
【0020】すなわち、含フッ素重合体(a)の溶融粘
度をZポアズとしたとき、熱可塑性樹脂(c)の溶融粘
度は0.2Z〜5Zポアズの範囲であることが好まし
い。特に好ましい溶融粘度は0.5Z〜2Zポアズであ
る。この溶融粘度比は同一温度、同一剪断速度における
2つの樹脂の溶融粘度の比を表す。この温度、剪断速度
は光ファイバの成形時のものであることが適当である。
熱可塑性樹脂(c)としては、このような溶融粘度特性
を有するポリメチルメタクリレート系樹脂とポリカーボ
ネート系樹脂が最も好ましい。
【0021】また、プラスチック光ファイバの機械的強
度を発現させるためには外層に用いている熱可塑性樹脂
(c)の面積比がある程度以上必要となる。すなわち、
実用的な機械的特性を発現させるためには、光ファイバ
の断面における内層と外層の面積比が30:70〜1:
99の範囲であることが好ましい。これは、内層と外層
の面積比が30:70より内層が大きいと機械的強度を
向上させる効果がほとんど発現しないこと、及び1:9
9より内層が小さいと実際に光を伝搬させる内層が小さ
すぎて光源との結合損失や軸ずれ特性が大きくなること
による。
【0022】内層と外層とから構成されるような多層構
造からなる光ファイバにおいては、その真円性が損なわ
れがちである。光ファイバ断面における長径、短径をそ
れぞれr、r’としたとき、(r’/r)×100
(%)で規定される真円率が95%未満の場合、光源と
ファイバとのカプリング特性が長径方向と短径方向で非
対称となったり、曲げ特性などの機械的特性においても
対称性が損なわれることが往々にして起こる。本発明光
ファイバにおいても内層と外層のどの層の真円性が損な
われていても同様である。
【0023】そこで、本発明光ファイバにおいて、その
断面における外層の長径、短径をそれぞれV、V’、内
層の長径、短径をW、W’としたとき、(V’/V)×
100(%)及び(W’/W)×100(%)で規定さ
れる外層及び内層の真円率がともに95%以上であるこ
とが好ましい。
【0024】さらに、光源とファイバとのカプリング特
性が光ファイバ断面の長径方向と短径方向で非対称とな
ったり、曲げ特性などの機械的特性においても対称性が
損なわれることは好ましくない。したがって、光ファイ
バ断面において、外層の中心と内層の中心との距離を
X、外層の半径をYとしたとき、(X/Y)×100
(%)で規定される偏心率は5%以下であることが好ま
しい。
【0025】また、本発明の光ファイバは、保護層を形
成してコード化されたものであってもよい。この光ファ
イバコードは、上記した本発明のファイバの外層のさら
に外側に熱可塑性樹脂(c)以外の樹脂からなる保護層
が形成されてなる。
【0026】熱可塑性樹脂(c)(すなわち、引張り弾
性率2000MPa以上の熱可塑性樹脂)以外の樹脂と
しては、従来より光ファイバの保護層(ジャケットとも
よばれている)の材料として使用されていた樹脂を使用
できる。好ましくは、引張り弾性率2000MPa未満
の熱可塑性樹脂が使用される。この熱可塑性樹脂として
は、熱可塑性樹脂(c)として前記した種類の熱可塑性
樹脂であってかつ引張り弾性率2000MPa未満の熱
可塑性樹脂も使用できる。熱可塑性樹脂(c)以外の樹
脂としては、特にポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン
系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂が好
ましい。
【0027】本発明の光ファイバの内層に用いられる含
フッ素重合体(a)は、非晶性であるため光の散乱がき
わめて少なく、しかも紫外光から近赤外光まで広範囲の
波長帯で透明性が非常に高いため、多種多様な波長の光
システムに有効利用できる。特に光通信分野において幹
線石英ファイバに利用されている波長である1300n
m、1550nmで低損失である光ファイバを与える。
【0028】本発明の光ファイバは、通常の光伝送用途
以外に、ロッドレンズ、光導波路、光分岐器、光合波
器、光分波器、光減衰器、光スイッチ、光アイソレー
タ、光送信モジュール、光受信モジュール、カプラ、偏
向子、光集積回路等の多岐にわたる用途の屈折率分布型
光ファイバとして有用である。ここで、屈折率分布とは
光ファイバの特定の方向に沿って屈折率が連続的に変化
する領域を意味し、例えば屈折率分布型光ファイバの屈
折率分布は、ファイバの中心から半径方向に向かって屈
折率が放物線に近い曲線で低下している。
【0029】以下、本発明に用いられる上記以外の材料
について詳細に説明する。含フッ素重合体として、従来
よりテトラフルオロエチレン樹脂、パーフルオロ(エチ
レン−プロピレン)樹脂、パーフルオロアルコキシ樹
脂、ビニリデンフルオリド樹脂、エチレン−テトラフル
オロエチレン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂な
どが広く知られている。しかし、これらの含フッ素樹脂
は結晶性を有するため、光の散乱が起こり、透明性が良
好でなく、プラスチック光ファイバのコア材料としては
好ましくない。
【0030】これに対して、非晶性の含フッ素重合体
は、結晶による光の散乱がないため、透明性に優れる。
本発明における含フッ素重合体(a)としては、C−H
結合を有しない非晶性の含フッ素重合体であれば限定さ
れないが、主鎖に環構造を有する含フッ素重合体が好ま
しい。
【0031】主鎖に環構造を有する含フッ素重合体とし
ては、含フッ素脂肪族環構造、含フッ素イミド環構造、
含フッ素トリアジン環構造又は含フッ素芳香族環構造を
有する含フッ素重合体が好ましい。含フッ素脂肪族環構
造を有する含フッ素重合体では、含フッ素脂肪族エーテ
ル環構造を有するものがさらに好ましい。
【0032】含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重
合体は、含フッ素イミド環構造、含フッ素トリアジン環
構造又は含フッ素芳香族環構造を有する含フッ素重合体
に比べ、後述の熱延伸又は溶融紡糸によるファイバ化に
際してもポリマー分子を配向しにくく、その結果光の散
乱を起こすこともないなどの理由から、より好ましい重
合体である。
【0033】含フッ素重合体(a)の溶融状態における
粘度は、溶融温度200〜300℃において1×103
〜1×105 ポアズが好ましい。溶融粘度が高すぎると
溶融紡糸が困難なばかりでなく、屈折率分布の形成に必
要な物質(b)の拡散が起こりにくくなり、屈折率分布
の形成が困難になる。また、溶融粘度が低すぎると実用
上問題が生じる。すなわち電子機器や自動車等で光ファ
イバとして用いられる場合に高温にさらされて軟化し、
光の伝送性能が低下する。
【0034】含フッ素重合体(a)の数平均分子量は1
×104 〜5×106 が好ましく、より好ましくは5×
104 〜1×106 である。分子量が小さすぎると耐熱
性を阻害することがあり、大きすぎると屈折率分布を有
する光ファイバの形成が困難になるため好ましくない。
【0035】含フッ素脂肪族環構造を有する重合体とし
ては、含フッ素構造を有するモノマーを重合して得られ
るものや、2つ以上の重合性二重結合を有する含フッ素
モノマーを環化重合して得られる主鎖に含フッ素脂肪族
環構造を有する重合体が好適である。
【0036】含フッ素脂肪族環構造を有するモノマーを
重合して得られる主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する
重合体は、特公昭63−18964等により知られてい
る。すなわち、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,
3−ジオキソール)等の含フッ素脂肪族環構造を有する
モノマーを単独重合することにより、またこのモノマー
をテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレ
ン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)等のラジカ
ル重合性モノマーと共重合することにより主鎖に含フッ
素脂肪族環構造を有する重合体が得られる。
【0037】また、2つ以上の重合性二重結合を有する
含フッ素モノマーを環化重合して得られる主鎖に含フッ
素脂肪族環構造を有する重合体は、特開昭63−238
111や特開昭63−238115等により知られてい
る。すなわち、パーフルオロ(アリルビニルエーテル)
やパーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)等のモノマ
ーを環化重合することにより、又はこのようなモノマー
をテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレ
ン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)等のラジカ
ル重合性モノマーと共重合することにより主鎖に含フッ
素脂肪族環構造を有する重合体が得られる。
【0038】また、パーフルオロ(2,2−ジメチル−
1,3−ジオキソール)等の含フッ素脂肪族環構造を有
するモノマーとパーフルオロ(アリルビニルエーテル)
やパーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)等の2つ以
上の重合性二重結合を有する含フッ素モノマーとを共重
合することによっても主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有
する重合体が得られる。
【0039】上記の含フッ素脂肪族環構造を有する重合
体としては、具体的には以下の式1、式2、式3及び式
4から選ばれる繰り返し単位を有するものが例示され
る。なお、これらの含フッ素脂肪族環構造を有する重合
体中のフッ素原子は、屈折率を高めるために一部塩素原
子で置換されていてもよい。
【0040】
【化1】
【0041】[一般式1〜4において、sは0〜5の整
数、tは0〜4の整数、uは0又は1、s+t+uは1
〜6の整数、p、q、rはそれぞれ0〜5の整数、p+
q+rは1〜6、R1 〜R10はそれぞれ独立にフッ素原
子又はトリフルオロメチル基、X1 はフッ素原子又は塩
素原子、X2 はフッ素原子又は塩素原子である。]
【0042】含フッ素脂肪族環構造を有する重合体は、
主鎖に環構造を有する重合体が好適であるが、環構造を
有する重合単位を20モル%以上、特には40モル%以
上含有するものが透明性、機械的特性等の面から好まし
い。
【0043】物質(b)は、含フッ素重合体(a)との
比較において屈折率の差が0.001以上である1種以
上の物質であり、含フッ素重合体(a)よりも高屈折率
であっても低屈折率であってもよい。光ファイバにおい
ては通常は含フッ素重合体(a)よりも高屈折率の物質
を用いる。
【0044】この物質(b)としてはベンゼン環等の芳
香族環、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、エーテ
ル結合等の結合基を含む低分子化合物、オリゴマー、ポ
リマーが好ましい。また、物質(b)は含フッ素重合体
(a)と同様な理由から実質的にC−H結合を有しない
物質であることが好ましい。含フッ素重合体(a)との
屈折率の差は0.005以上であることが好ましい。
【0045】オリゴマーやポリマーである物質(b)と
しては、前記したような含フッ素重合体(a)を形成す
るモノマーの重合体からなり、含フッ素重合体(a)と
の比較において屈折率の差が0.001以上であるオリ
ゴマーやポリマーであってもよい。モノマーとしては、
含フッ素重合体(a)とも比較において屈折率の差が
0.001以上である重合体を形成するものから選ばれ
る。例えば、屈折率の異なる2種の含フッ素重合体
(a)を用い、一方の重合体(a)を物質(b)として
他の重合体(a)中に分布させることができる。
【0046】これらの物質(b)は、上記マトリックス
との比較において、溶解性パラメータの差が7(cal
/cm31/2 以内であることが好ましい。ここで溶解
性パラメータとは物質間の溶解性の尺度となる特性値で
あり、溶解性パラメータをδ、物質の分子凝集エネルギ
ーをE、分子容をVとして、式δ=(E/V)1/2 で表
される。
【0047】低分子化合物としては、例えば炭素原子に
結合した水素原子を含まないハロゲン化芳香族炭化水素
がある。特にハロゲン原子としてフッ素原子のみを含む
ハロゲン化芳香族炭化水素やフッ素原子と他のハロゲン
原子を含むハロゲン化芳香族炭化水素が、含フッ素重合
体(a)との相溶性の面で好ましい。また、これらのハ
ロゲン化芳香族炭化水素は、カルボニル基、シアノ基等
の官能基を有していないことがより好ましい。
【0048】このようなハロゲン化芳香族炭化水素とし
ては、例えば式Φr −Zb [Φr は水素原子の全てがフ
ッ素原子に置換されたb価のフッ素化芳香族残基、Zは
フッ素原子以外のハロゲン原子、−Rf 、−CO−R
f 、−O−Rf 、又は−CN。ただし、Rf はパーフル
オロアルキル基、ポリフルオロパーハロアルキル基、又
は1価のΦr 。bは0又は1以上の整数。]で表される
化合物がある。芳香族環としてはベンゼン環やナフタレ
ン環がある。Rf であるパーフルオロアルキル基やポリ
フルオロパーハロアルキル基の炭素数は5以下が好まし
い。フッ素原子以外のハロゲン原子としては、塩素原子
や臭素原子が好ましい。
【0049】具体的な化合物としては、例えば、1,3
−ジブロモテトラフルオロベンゼン、1,4−ジブロモ
テトラフルオロベンゼン、2−ブロモテトラフルオロベ
ンゾトリフルオリド、クロロペンタフルオロベンゼン、
ブロモペンタフルオロベンゼン、ヨードペンタフルオロ
ベンゼン、デカフルオロベンゾフェノン、パーフルオロ
アセトフェノン、パーフルオロビフェニル、クロロヘプ
タフルオロナフタレン、ブロモヘプタフルオロナフタレ
ン等がある。
【0050】ポリマーやオリゴマーである物質(b)と
しては前記式1〜4の繰り返し構造を有するもののう
ち、組み合わされる含フッ素重合体(a)とは異なる屈
折率を有する含フッ素重合体(例えば、ハロゲン原子と
してフッ素原子のみを含む含フッ素重合体とフッ素原子
と塩素原子を含む含フッ素重合体との組み合わせ、異な
る種類や異なる割合の2つ以上のモノマーを重合して得
られた2種の含フッ素重合体の組み合わせなど)が好ま
しい。
【0051】また上記のような主鎖に環構造を有する含
フッ素重合体以外に、テトラフルオロエチレン、クロロ
トリフルオロエチレン、ジクロロジフルオロエチレン、
ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルブ
テニルエーテル)等の水素原子を含まないモノマーから
なるオリゴマー、それらモノマー2種以上の共重合オリ
ゴマーなども物質(b)として使用できる。また、−C
2 CF(CF3 )O−や−(CF2n O−[nは1
〜3の整数]の構造単位を有するパーフルオロポリエー
テル等も使用できる。これらオリゴマーの分子量は、非
晶性となる分子量範囲から選ばれ、数平均分子量3×1
2 〜1×104 が好ましい。拡散のしやすさを考慮す
ると、数平均分子量3×102 〜5×103 がさらに好
ましい。
【0052】特に好ましい物質(b)は、含フッ素重合
体(a)、特に主鎖に環構造を有する含フッ素重合体と
の相溶性が良好であることなどから、クロロトリフルオ
ロエチレンオリゴマーである。相溶性が良好であること
により、含フッ素重合体(a)、特に主鎖に環構造を有
する含フッ素重合体とクロロトリフルオロエチレンオリ
ゴマーとを200〜300℃で加熱溶融により容易に混
合させうる。また、含フッ素溶媒に溶解させて混合した
後、溶媒を除去することにより両者を均一に混合させう
る。クロロトリフルオロエチレンオリゴマーの好ましい
分子量は、数平均分子量5×102 〜1.5×103
ある。また、クロロトリフルオロエチレンオリゴマーは
フッ素化により末端を安定化させたものが好ましい。
【0053】本発明の屈折率分布型光ファイバの製造方
法としては、例えば以下の(1)〜(5)の方法があ
る。しかし、これらに限定されない。 (1)熱可塑性樹脂(c)を溶融し、その中心部に含フ
ッ素重合体(a)の溶融液を、さらにその中心部に物質
(b)又は物質(b)を含む含フッ素重合体(a)を注
入し、物質(b)を拡散させながら、又は拡散させた後
に成形する方法。
【0054】(2)溶融紡糸や延伸などによって得られ
た含フッ素重合体(a)からなる芯材に、物質(b)又
は物質(b)を含む含フッ素重合体(a)を繰り返しデ
ィップコートし、さらにその上に熱可塑性樹脂(c)を
被覆する方法。
【0055】(3)回転ガラス管などを利用して中空状
の熱可塑性樹脂(c)からなる管を最外層に形成し、次
にこの重合体の内部に含フッ素重合体(a)からなる層
を形成、続いて含フッ素重合体(a)を形成するモノマ
ー及び物質(b)を密封し、低速で回転させながら重合
させる方法。この界面ゲル重合の場合、重合過程におい
て、含フッ素重合体(a)からなる層がモノマー相に膨
潤し、ゲル層が形成され、モノマー分子が選択的にゲル
層内に拡散しながら重合される。
【0056】(4)含フッ素重合体(a)中に物質
(b)が特定の方向に沿って濃度勾配を有する円柱状又
は円筒状の屈折率分布型光ファイバ前駆体を、円筒状の
形状をした熱可塑性樹脂(c)中に挿入し、溶融紡糸に
よりそれらを一体にファイバ化する方法。
【0057】(5)高屈折率重合体と低屈折率重合体と
を加熱溶融又は溶媒を含有する溶液状態で混合し、これ
らの混合割合の異なる重合体と熱可塑性樹脂(c)とを
多層押出しながら(又は多層押出した後に)高屈折率重
合体と低屈折率重合体とを相互拡散させ、最終的に屈折
率分布の形成されたファイバを得る方法。この場合、高
屈折率重合体が含フッ素重合体(a)で低屈折率重合体
が(b)でもよく、高屈折率重合体が物質(b)で低屈
折率重合体が(a)でもよい。
【0058】上記(1)〜(5)の方法のうち、製造効
率、製法の簡素さ、製造コストなどの面から(1)と
(4)の方法が好ましい。特に(1)の方法は大量製造
に適した方法であり、これら製法のうちでも最も好まし
い製法である。
【0059】本発明で得られた光ファイバを光ファイバ
コードとする場合は、前記したポリエチレン系樹脂、ポ
リ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂などで光ファイ
バを被覆する。この被覆方法は特に限定されないが、本
発明で得られた光ファイバを押し出し被覆方法で被覆す
る方法が好ましい。また、上記(1)や(4)の方法を
この被覆に適用することもできる。例えば、保護層用の
熱可塑性樹脂を溶融し、その中心部に熱可塑性樹脂
(c)の溶融物を注入し、さらにその中心部に含フッ素
重合体(a)と物質(b)を順次注入して上記(1)と
同様の方法で製造できる。また、このようなコード化の
方法を用いて2芯以上の多芯光ファイバコードを製造す
ることもできる。
【0060】
【実施例】以下に合成例(例1)、実施例(例2〜5)
を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は
これらに限定されない。
【0061】[例1]パーフルオロ(ブテニルビニルエ
ーテル)の35g、イオン交換水の150g、及び重合
開始剤として((CH32 CHCOO)2 の90mg
を、内容積200mlの耐圧ガラス性オートクレーブに
入れた。系内を3回窒素で置換した後、40℃で22時
間懸濁重合を行った。その結果、数平均分子量1.5×
105の重合体(以下、重合体Aという)を28g得
た。
【0062】重合体Aの固有粘度[η]は、パーフルオ
ロ(2―ブチルテトラヒドロフラン)中30℃で0.5
0であった。重合体Aのガラス転移温度は108℃であ
り、室温ではタフで透明なガラス状の重合体であった。
また10%熱分解温度は465℃であり、溶解性パラメ
ータは5.3(cal/cm31/2 であり、屈折率は
1.34であった。
【0063】また、重合体Aの230℃における溶融粘
度は、1.3×104 ポアズ(剪断速度20se
-1)、2.5×103 ポアズ(剪断速度1000se
-1)、1.7×103 ポアズ(剪断速度2000se
-1)であった。
【0064】[例2]ポリメチルメタクリレート樹脂
(商品名「アクリペットVH」、三菱レイヨン(株)
製)を230℃で溶融し、その内部に溶融状態の重合体
Aを、さらにその中心部に末端をフッ素化した平均分子
量1×103 のクロロトリフルオロエチレンオリゴマー
を15重量%含有する重合体A混合物を溶融状態で注入
しながら230℃でノズルより押し出して溶融紡糸する
方法により、外層がポリメチルメタクリレート樹脂、内
層が重合体Aと濃度が中心から外周部に向かって連続的
に減少したクロロトリフルオロエチレンオリゴマーから
なり、外層と内層の断面積比が57:43である外径5
00μm(内層の径380μm)の屈折率分布型光ファ
イバを得た。
【0065】なお、「アクリペットVH」の室温(23
℃)における引張り弾性率は3400MPa、230℃
における溶融粘度は3×103 ポアズ(剪断速度100
0sec-1)であった。
【0066】この光ファイバの偏心率は2.5%、内層
の真円率は97.0%、外層の真円率は97.0%であ
った。また、その伝送損失は、波長780nmで110
dB/km、1300nmで80dB/kmであり、プ
ラスチック光ファイバとして良好な値であった。さら
に、伝送帯域は100mのファイバ長で3.5GHzを
示した。また、この光ファイバの降伏強度は1.5kg
f、破断強度は2kgfであり、市販のポリメチルメタ
クリレート系ステップインデックス型プラスチック光フ
ァイバとほぼ同等の強度を示した。
【0067】[例3]内径26mmのガラス管にメチル
メタクリレートを入れ、これを回転させながら加熱重合
する方法により、厚さ4mmのポリメチルメタクリレー
ト中空管を作成した。また内径16mmのガラス管に重
合体Aを入れ、これを回転させながら加熱溶融/冷却す
る方法により厚さ4mmの重合体Aからなる中空管を作
成した。さらにこれとは別に内径6mmのガラス管に重
合体Aと末端をフッ素化した平均分子量1×103 のク
ロロトリフルオロエチレンオリゴマーを88:12(重
比)の割合になるように入れ、これを加熱溶融/冷却す
ることにより両者が均一に混合したロッドを作成した。
【0068】このようにして得られたロッドを重合体A
の中空管内に挿入し、次いでこれをポリメチルメタクリ
レート中空管内に挿入し、さらにその外側に熱収縮チュ
ーブを被覆した後これを240℃に加熱することによ
り、上記中空管どうし及びロッドとの隙間をなくしてこ
れらを一体化させると同時にクロロトリフルオロエチレ
ンオリゴマーを外周方向に拡散させ、円柱状の屈折率分
布型光ファイバの前駆体を作成した。次いで、この前駆
体を230℃で溶融紡糸することにより、外層と内層の
断面積比が24:76、外径500μm(内層の径24
0μm)の光ファイバを得た。
【0069】なお、上記ポリメチルメタクリレートの室
温(23℃)における引張り弾性率は3100MPa、
230℃における溶融粘度は1.5×104 ポアズ(剪
断速度20sec-1)、2.4×103 ポアズ(剪断速
度2000sec-1)であった。
【0070】この光ファイバの偏心率は3.5%、内層
の真円率は98.0%、外層の真円率は97.0%であ
った。また、その伝送損失は、波長780nmで110
dB/km、1300nmで80dB/kmであり、ま
た伝送帯域は100mのファイバ長で1.5GHzであ
り、いずれもプラスチック光ファイバとして良好な値で
あった。また、この光ファイバの降伏強度は1.9kg
f、破断強度は2.5kgfであった。
【0071】[例4]内径28mmのガラス管にポリメ
チルメタクリレート樹脂(商品名「アクリペットM
F」、三菱レイヨン(株)製)ペレットを入れ、これを
回転させながら加熱溶融/冷却する方法により、厚さ5
mmのポリメチルメタクリレート樹脂中空管を作成し
た。また内径16mmのガラス管に重合体Aを入れ、こ
れを回転させながら加熱溶融/冷却する方法により、厚
さ5mmの重合体Aからなる中空管を作成した。重合体
Aの中空管をポリメチルメタクリレート樹脂中空管の中
に挿入し、回転させながら加熱/冷却することにより両
者を一体化させ、外側がポリメチルメタクリレート樹脂
で内側が重合体Aからなる中空管を得た。
【0072】この後、中空部に、末端をフッ素化した平
均分子量8×102 のクロロトリフルオロエチレンオリ
ゴマーを注入し、回転させながら加熱/冷却することに
よってこれを外周方向に熱拡散させて中空状の屈折率分
布型光ファイバの前駆体を作成し、この前駆体を中空部
を減圧に保ちながら230℃で溶融紡糸することによ
り、外層と内層の断面積比が32:68、外径600μ
m(内層の径340μm)の光ファイバを得た。さらに
この光ファイバの外側にポリエチレン樹脂を被覆して、
外径1mmの光ファイバコードを作成した。
【0073】なお、上記「アクリペットMF」の室温
(23℃)における引張り弾性率は3300MPa、2
30℃における溶融粘度は1.3×104 ポアズ(剪断
速度20sec-1)、1.1×103 ポアズ(剪断速度
2000sec-1)であった。
【0074】この光ファイバの偏心率は2.0%、内層
の真円率は98.5%、外層の真円率は98.5%であ
った。また、その伝送損失は、波長780nmで130
dB/km、1300nmで100dB/kmであり、
また伝送帯域は100mのファイバ長で1.5GHzで
あり、いずれもプラスチック光ファイバコードとして良
好な値であった。またこの光ファイバコードの降伏強度
は3.1kgf、破断強度は4.1kgfであり、市販
のポリメチルメタクリレート系ステップインデックス型
プラスチック光ファイバコードとほぼ同等の強度を示し
た。
【0075】[例5]内径28mmのガラス管にポリメ
チルメタクリレート樹脂(例4と同じ「アクリペットM
F」)ペレットを入れ、これを回転させながら加熱溶融
/冷却する方法により、厚さ5mmのポリメチルメタク
リレート樹脂中空管を作成した。また内径16mmのガ
ラス管に重合体Aを入れ、これを回転させながら加熱溶
融/冷却する方法により、厚さ5mmの重合体Aからな
る中空管を作成した。この中空管の中空部に末端をフッ
素化した平均分子量8×102 のクロロトリフルオロエ
チレンオリゴマーを注入し、回転させながら加熱/冷却
することによってこれを外周方向に熱拡散させて中空状
の屈折率分布型光ファイバの前駆体を作成した。
【0076】この前駆体を前記のポリメチルメタクリレ
ート樹脂中空管の中に挿入し、中空部及び中空管の空隙
部を減圧に保ちながら230℃で溶融紡糸することによ
り、外層がポリメチルメタクリレート樹脂、内層が重合
体Aと濃度が中心軸から外周部に向かって連続的に減少
したクロロトリフルオロエチレンオリゴマーからなる、
外層と内層の断面積比が32:68、外径500μm
(内層の径280μm)の光ファイバを得た。
【0077】この光ファイバの偏心率は2.5%、内層
の真円率は98.5%、外層の真円率は98.0%であ
った。また、その伝送損失は、波長780nmで90d
B/km、1300nmで60dB/kmであり、また
伝送帯域は100mのファイバ長で4GHzであり、い
ずれもプラスチック光ファイバとして良好な値であっ
た。また、この光ファイバの降伏強度は1.6kgf、
破断強度は2.2kgfであった。
【0078】
【発明の効果】本発明により、高い光学特性と機械的特
性を併有する屈折率分布型光ファイバ及び光ファイバコ
ードが得られる。特に、引張り強度、側圧強度、落下衝
撃強度、静置屈曲性、繰り返し屈曲性、ねじり特性、対
振動特性などの光ファイバ及び光ファイバコードに要求
される機械的特性に優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 一己 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 林 省治 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 吉原 紀幸 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 (72)発明者 小金澤 光司 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 (72)発明者 大西 壮 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 (72)発明者 小池 康博 神奈川県横浜市青葉区市ケ尾町534−23

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】実質的にC−H結合を有しない非晶性の含
    フッ素重合体(a)と、含フッ素重合体(a)との比較
    において屈折率の差が0.001以上である1種以上の
    物質(b)とからなり、含フッ素重合体(a)中に物質
    (b)が特定の方向に沿って濃度勾配を有する内層と、
    引張り弾性率2000MPa以上の熱可塑性樹脂(c)
    からなる外層とを備えることを特徴とする屈折率分布型
    光ファイバ。
  2. 【請求項2】前記熱可塑性樹脂(c)がポリメチルメタ
    クリレート系樹脂又はポリカーボネート系樹脂である、
    請求項1記載の屈折率分布型光ファイバ。
  3. 【請求項3】光ファイバ断面における内層と外層との面
    積比が30:70〜1:99の範囲である、請求項1又
    は2記載の屈折率分布型光ファイバ。
  4. 【請求項4】光ファイバ断面における外層の長径、短径
    をそれぞれV、V’、内層の長径、短径をそれぞれW、
    W’としたとき、(V’/V)×100(%)及び
    (W’/W)×100(%)で規定される外層及び内層
    の真円率がともに95%以上である、請求項1、2又は
    3記載の屈折率分布型光ファイバ。
  5. 【請求項5】光ファイバ断面における外層の中心と内層
    の中心との距離をX、外層の半径をYとしたとき、(X
    /Y)×100(%)で規定される偏心率が5%以下で
    ある、請求項1、2、3又は4記載の屈折率分布型光フ
    ァイバ。
  6. 【請求項6】含フッ素重合体(a)の溶融粘度をZポア
    ズとしたとき、前記熱可塑性樹脂(c)の溶融粘度が
    0.2Z〜5Zポアズの範囲である、請求項1、2、
    3、4又は5記載の屈折率分布型光ファイバ。
  7. 【請求項7】前記熱可塑性樹脂(c)以外の樹脂からな
    る保護層を有する請求項1、2、3、4、5又は6記載
    の屈折率分布型光ファイバからなる光ファイバコード。
  8. 【請求項8】前記熱可塑性樹脂(c)以外の樹脂がポリ
    エチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニ
    ル系樹脂、又はポリアミド系樹脂である、請求項7記載
    の光ファイバコード。
  9. 【請求項9】引張り弾性率2000MPa以上の熱可塑
    性樹脂(c)を溶融し、その中心部に実質的にC−H結
    合を有しない非晶性の含フッ素重合体(a)の溶融液
    を、さらにその中心部に含フッ素重合体(a)との比較
    において屈折率の差が0.001以上である1種以上の
    物質(b)又は物質(b)を含む含フッ素重合体(a)
    を注入し、物質(b)を拡散させながら、又は拡散させ
    た後に成形することを特徴とする、含フッ素重合体
    (a)中に物質(b)が特定の方向に沿って濃度勾配を
    有する内層と熱可塑性樹脂(c)からなる外層とを備え
    る屈折率分布型光ファイバの製造方法。
  10. 【請求項10】実質的にC−H結合を有しない非晶性の
    含フッ素重合体(a)と、含フッ素重合体(a)との比
    較において屈折率の差が0.001以上である1種以上
    の物質(b)とからなり、含フッ素重合体(a)中に物
    質(b)が特定の方向に沿って濃度勾配を有する円柱状
    又は円筒状の屈折率分布型光ファイバ前駆体を、円筒状
    の形状をした引張り弾性率2000MPa以上の熱可塑
    性樹脂(c)中に挿入し、溶融紡糸によりそれらを一体
    にファイバ化することを特徴とする屈折率分布型光ファ
    イバの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2003102641A1 (fr) * 2002-05-30 2003-12-11 Asahi Glass Company, Limited Procede de production de fibre optique en plastique
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