JP2021144126A - 光ファイバケーブル - Google Patents

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Go Morinaka
剛 森中
晋旦 遠藤
Kuniaki Endo
晋旦 遠藤
登 藤倉
Noboru Fujikura
登 藤倉
武史 北山
Takeshi Kitayama
武史 北山
朋也 吉村
Tomoya Yoshimura
朋也 吉村
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Abstract

【課題】長期耐熱性、耐稔回性に優れる光ファイバケーブルを提供する。【解決手段】透明樹脂で形成されたコアと、前記コアの周囲に形成された少なくとも1層のクラッド層と、を有する光ファイバ素線、並びに、前記光ファイバ素線の外側に形成された、少なくとも1層の被覆層、を有する光ファイバケーブルであって、前記クラッド層の最外層が、テトラフルオロエチレン単位、エチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位、及びパーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)単位を含むポリマー鎖を有し、カーボネート基を有する反応性官能基を主鎖及び/又は側鎖の末端に有する変性フッ素樹脂を含む、光ファイバケーブル。【選択図】 なし

Description

本発明は、長期耐熱性と取り扱い性に優れた光ファイバケーブルに関する。
メチルメタクリレート等の透明性の高い樹脂からなるコアを有するプラスチック光ファイバは、列車内、航空機内、自動車等の車両内等での光情報通信や、ファクトリーオートメーション(FA)分野の光情報通信に用いられている。上記の光情報通信分野では、通常プラスチック光ファイバは、その外周に樹脂を被覆した光ファイバケーブルの形態で使用される。
光ファイバケーブルは、自動車等の車両内配線やFA分野の通信配線等の用途に用いられる場合、エンジン等の高温体に近い環境や、夏期に高温環境で使用されるので、長時間熱に曝露されても伝送損失が増加しないよう、長期耐熱性の優れた光ファイバケーブルが望まれている。
さらに上記の用途では、光ファイバケーブルが、狭い空間に捻回された状態で敷設されたり、可動部配線として繰り返し捻回を受ける状態で使用されたりするので、耐捻回性の優れた光ファイバケーブルが望まれている。
プラスチック光ファイバの長期耐熱性を改善する方法として、例えば、特許文献1には、クラッドを構成する材料と被覆層を構成する材料を好適化した光ファイバケーブルが開示されている。
プラスチック光ファイバの長期耐熱性と柔軟性を改善する方法として、例えば、特許文献2〜3には、クラッドを構成する材料として特定の変性フッ素系樹脂を用いた光ファイバケーブルが開示されている。
国際公開第2019/177105号公報 特開2010−28682号公報 特開2012−27304号公報
しかしながら、特許文献1〜3に開示されている光ファイバケーブルは、長期耐熱性には優れているが、耐捻回性が十分でない。
そこで、本発明の目的は、長期耐熱性と耐捻回性に優れた光ファイバケーブルを提供することにある。
本発明の要旨は、透明樹脂で形成されたコアと、前記コアの周囲に形成された少なくとも1層のクラッド層を有する光ファイバ素線、並びに、前記光ファイバ素線の外側に形成された、少なくとも1層の被覆層を有する光ファイバケーブルであって、前記クラッド層又は前記クラッド層の最外層を構成する材料が、テトラフルオロエチレン単位、エチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位、及びパーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)単位を含むポリマー鎖を有し、カーボネート基を有する反応性官能基を主鎖及び/又は側鎖の末端に有する変性フッ素樹脂を含み、前記被覆層又は前記被覆層の最内層を構成する材料が、エチレン−ビニルアルコール系樹脂を含む、光ファイバケーブルを提供することにある。
本発明の実施形態によれば、長期耐熱性と耐捻回性に優れた光ファイバケーブルを提供できる。
本発明の光ファイバケーブルの一例を示す模式的断面図である。 本発明の光ファイバケーブル中の光ファイバの一例であるステップ・インデックス型光ファイバの一例を示す模式的断面図である。 本発明の光ファイバケーブルの稔回光量損失を計測する際に用いられる稔回試験装置の模式図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いながら説明するが、本発明はこれらの図面に限定されるものではない。
<光ファイバケーブル>
本発明の光ファイバケーブルは、後述する透明樹脂で形成されたコアと、前記コアの周囲に形成された、後述する少なくとも1層のクラッド層とを有する光ファイバ素線、並びに、前記光ファイバ素線の外側に形成された、後述する少なくとも1層の被覆層、を有する光ファイバケーブルである。
本発明の光ファイバケーブルの具体的な実施態様としては、例えば、図1(a)に示すような光ファイバ10の外周に1層の被覆層(20a)を有する光ファイバケーブル、図1(b)に示すような光ファイバ10の外周に2層の被覆層(20a(被覆内層)と20b(被覆外層))を有する光ファイバケーブル、図1(c)に示すような光ファイバ10の外周に3層以上の被覆層(20a(被覆内層)と20b(被覆外層)と20c(被覆最外層))を有する光ファイバケーブル等が挙げられる。
本発明の光ファイバケーブルは、前記被覆層が1層の場合、前記被覆層を構成する材料は、後述するエチレン−ビニルアルコール系樹脂である。前記被覆層が2層以上の場合、前記被覆層の最内層を構成する材料は、後述するエチレン−ビニルアルコール系樹脂である。具体的には、図1(a)の被覆層(20a)、図1(b)及び(c)の被覆内層(20a)を構成する材料が、後述するエチレン−ビニルアルコール系樹脂である。
さらに、本発明の光ファイバケーブルは、前記クラッド層の最外層が後述する変性フッ素樹脂を含み、且つ、前記被覆層の最内層が、エチレン−ビニルアルコール系樹脂を含むので、連続稔回試験により測定した、光ファイバケーブルを直線状態から5回稔回したときの稔回光量損失を0.12dB以下とすることができる。
前記稔回光量損失が0.12dB以下であると、光ファイバケーブルを、狭い空間に捻回した状態で敷設することや、可動部配線として繰り返し捻回を受ける状態で使用することができる。
なお、光ファイバケーブルの稔回光量損失の具体的な測定方法は、後述する。
本発明の光ファイバケーブルの直径は、1.2mm〜4.0mmが好ましく、1.3mm〜2.6mmがより好ましい。光ファイバケーブルの直径が1.2mm以上であると、光ファイバケーブルの長期耐熱性、耐念回性に優れる。また、光ファイバケーブルの直径が4.0mm以下であると、光ファイバケーブルの柔軟性、取り扱い性に優れる。
被覆層が、1層の被覆層からなり、該被覆層を構成する材料が、エチレン−ビニルアルコール系樹脂を含む場合、光ファイバケーブルの長期耐熱性、耐念回性に優れる観点から、被覆層の厚さは50μm〜700μmが好ましい。より好ましい厚さは100μm〜350μmである。
被覆層が、被覆内層、被覆外層の順で同心円状に形成された2層からなり、前記被覆内層を構成する材料が、エチレン−ビニルアルコール系樹脂を含み、前記被覆外層を構成する材料が、ポリアミド系樹脂を含む場合、光ファイバケーブルの長期耐熱性、耐念回性に優れる観点から、被覆内層の厚さは25μm〜350μm、被覆外層の厚さは25μm〜350μmが好ましい。
被覆層が、被覆内層、被覆外層、被覆最外層の順で同心円状に形成された3層からなり、前記被覆内層を構成する材料が、エチレン−ビニルアルコール系樹脂を含み、前記被覆外層を構成する材料が、ポリアミド系樹脂を含み、前記被覆最外層を構成する材料がポリブチレンテレフタレート系樹脂を含む場合、光ファイバケーブルの長期耐熱性、耐念回性に優れる観点から、被覆内層の厚さは25μm〜350μm、被覆外層の厚さは25μm〜350μm、被覆最外層の厚さは150μm〜700μmが好ましい。
<光ファイバ素線>
光ファイバ素線は、透明樹脂で形成されたコアと、前記コアの周囲に形成された少なくとも1層のクラッド層とを有し、光ファイバとしての機能を有するものであれば特に限定されず、公知の光ファイバを用いることができる。
光ファイバ素線の種類としては、例えば、ステップ・インデックス型光ファイバ、マルチステップ・インデックス型光ファイバ、グレーテッド・インデックス型光ファイバ、多芯光ファイバ等が挙げられる。これらの光ファイバの種類の中でも、耐熱性に優れることから、ステップ・インデックス型光ファイバ、多芯光ファイバが好ましく、より長距離の通信を可能とすることから、ステップ・インデックス型光ファイバがより好ましい。
ステップ・インデックス型光ファイバは、コアとクラッドとの界面で光を全反射させ、コア内で光を伝播させる。
ステップ・インデックス型光ファイバとしては、例えば、図2(a)に示すようなコア11の外周に1層のクラッド層12を有する光ファイバ、図2(b)に示すようなコア11の外周に2層以上のクラッド層(第一クラッド層12aと第二クラッド層12b)を有する光ファイバ等が挙げられる。
本発明における光ファイバ素線は、伝送損失値の安定性に優れ、取り扱い性等の点から、直径を例えば500μm〜2000μmの範囲に設定するのが好ましく、700μm〜1200μmの範囲がより好ましい。
光ファイバ素線のクラッド層の厚みは、変性フッ素樹脂を被覆することによる機械強度が向上し、コアを通過する光を全反射させ、光ファイバのコア部の断面積占有率を十分に確保できることから、3〜30μmの範囲にあることが好ましく、4〜15μmの範囲にあることがより好ましい。
<コア>
コアを形成する透明樹脂は、透明性の高い樹脂であれば特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、カーボネート樹脂等が挙げられる。これらの透明樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。上述した材料の中でも、波長650nm付近の透明性に優れていることから、アクリル系樹脂とポリカーボネート系樹脂が好ましく、105℃長期耐熱性に優れ、より長距離の通信に適していることから、アクリル系樹脂がより好ましい。
アクリル樹脂としては、例えば、メチルメタクリレートの単独重合体(PMMA)、メチルメタクリレートと1種類以上のビニル系単量体との共重合体が挙げられる。前記共重合体としては、具体的には、メチルメタクリレート単位を50質量%以上含む共重合体等が挙げられる。これらのアクリル樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらのアクリル樹脂の中でも、光学特性、機械特性、耐熱性、透明性に優れることから、メチルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリレート単位を50質量%以上含む共重合体(メチルメタクリレート系共重合体)が好ましい。メチルメタクリレート系共重合体としては、メチルメタクリレート単位を60質量%以上含む共重合体が好ましく、メチルメタクリレート単位を70質量%以上含む共重合体が更に好ましい。メチルメタクリレートの単独重合体がコア材として特に好ましい。
尚、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート又はその両方をいう。
アクリル樹脂等のコア材の屈折率は、1.485〜1.50が好ましく、1.490〜1.495がより好ましい。
尚、本明細書において、屈折率は、後述する方法に従って測定した値とする。
コア材の製造は、公知の重合方法で行うことができる。コア材を製造するための重合方法としては、例えば、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法等が挙げられる。これらの重合方法の中でも、異物の混入を抑制することができることから、塊状重合法、溶液重合法が好ましい。
<クラッド>
本発明の光ファイバケーブルにおいて、光ファイバのクラッド層を構成する材料(クラッド材)は、コア材より屈折率の低い材料である。
本発明の光ファイバのクラッド層は、コアの周囲に形成された少なくとも1層のクラッド層である。
本発明の光ファイバ素線において、クラッド層が1層の場合、前記クラッド層を構成する材料は、後述する変性フッ素樹脂を含む。クラッド層が2層以上の場合、前記クラッド層の最外層を構成する材料は、後述する変性フッ素樹脂を含む。具体的には、図2(a)のクラッド層(12)、図2(b)の第二クラッド層(12b)を構成する材料が、後述する変性フッ素樹脂を含む。
例えば、コアの外周に、第1クラッド、第2クラッドの順で同心円状に積層された2層のクラッド構造を有する場合、内側に位置する第一クラッド層は前記変性フッ素樹脂の屈折率より大きい屈折率を有するフッ素化メタクリレート系樹脂を含み、クラッド層の最外層である、第二クラッド層は前記変性フッ素樹脂を含むことができる。
2層のクラッド構造を有することで、第二クラッド層(クラッド層の最外層)に含まれる前記変性フッ素樹脂と、被覆層の最内層に含まれるエチレン−ビニルアルコール系樹脂は親和性が高いので、光ファイバ素線と被覆層の密着性が良好にできる。その結果、光ファイバケーブルの耐捻回性が優れたものになる。さらに、第一クラッド層に含まれるフッ素化メタクリレート系樹脂は高温環境下でも透明性を良好に維持できるので、光ファイバケーブルの105℃の長期耐熱性をより優れたものにできる。
<変性フッ素樹脂>
本発明の光ファイバ素線において、クラッド層又はクラッド層の最外層を構成する材料が、テトラフルオロエチレン単位、エチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位、及びパーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)単位を含むポリマー鎖を有し、カーボネート基を有する反応性官能基を主鎖及び/又は側鎖の末端に有する変性フッ素樹脂を含む。上記変性フッ素樹脂は、光ファイバケーブルの長期耐熱性と耐稔回性に優れる。
前記変性フッ素樹脂としては、光ファイバケーブルの長期耐熱性と耐稔回性がより優れる観点から、テトラフルオロエチレン単位を24〜58モル%、エチレン単位を30〜68モル%、ヘキサフルオロプロピレン単位を7〜28モル%、パーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)単位を1〜10モル%を含むポリマー鎖を有し、カーボネート基を有する反応性官能基を主鎖及び/又は側鎖の末端に有する変性フッ素樹脂が好ましい。
前記変性フッ素樹脂は、主鎖あるいは側鎖にカーボネート基(カルボニルジオキシ基)を有する反応性官能基を有しているので、光ファイバ素線と、エチレン−ビニルアルコール系樹脂熱可塑性樹脂を含む被覆層との接着性をより向上させることができる。その結果、光ファイバケーブルに優れた耐捻回性等を付与することができる。カーボネート基を有する反応性官能基を導入した変性フッ素樹脂は、変性フッ素樹脂の重合時に重合開始剤としてパーオキシカーボネートを用いることで容易に導入できる。
前記変性フッ素樹脂は、120〜200℃の範囲に融点を有することが好ましい。融点がこの範囲内にあれば、光ファイバ素線製造時の、コアやクラッド層の形状変動を抑制でき、さらに、コアの透明樹脂の熱分解を抑制できる温度で製造できるので好ましい。
前記変性フッ素樹脂は、230℃、荷重3.8kgで測定したメルトフローインデックスが5〜100g/10分であることが好ましい。メルトフローインデックスがこの範囲内にあれば、光ファイバ素線製造時の、コアやクラッド層の形状変動を抑制でき、さらに、コアの透明樹脂の熱分解を抑制できる温度で製造できるので好ましい。
前記変性フッ素樹脂は、ISO 13468に準拠し、アッベ屈折計を用いて23℃で測定したナトリウムD線の屈折率が1.34〜1.41であることが好ましい。屈折率がこの範囲内にあれば、光ファイバ素線の開口数が十分に大きくなり、受光量を十分に確保できるので、長距離の通信に好適である。
前記クラッド層を構成する材料は、前記変性フッ素樹脂を85質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上である。
このような変性フッ素樹脂としては、市販品として、ダイキン工業社製のネオフロンEFEP RP4020及びRP5000、旭硝子社製のフルオンLM−ETFE AH2000等を使用できる。
ネオフロンEFEP RP4020及びRP5000は、カーボネート基を有する反応性官能基をポリマー鎖の主鎖及び/又は側鎖の末端に有する、テトラフルオロエチレン/エチレン/ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)共重合体である。
<フッ素化メタクリレート系樹脂>
フッ素化メタクリレート系樹脂は、本発明の光ファイバケーブルにおいて、前記クラッド層は2層以上から形成される場合、内側に位置する第一クラッド層を構成する材料である。
フッ素化メタクリレート系樹脂としては、透過率が高く耐熱性や成形性に優れるという観点から、フルオロアルキル(メタ)アクリレート単位、α−フロロ−フルオロアルキル(メタ)アクリレート単位等のフッ素を含有する(メタ)アクリレート単位を含む、フルオロアルキル(メタ)アクリレート重合体、又は、フルオロアルキル(メタ)アクリレート−アルキル(メタ)アクリレート共重合体が好ましい。
さらに、フルオロアルキル(メタ)アクリレート単位とメチルメタクリレート単位を含む共重合体とすることで、クラッド材の透明性や機械的強度を維持したまま、屈折率をコントロールできるため好ましい。
フルオロアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、下記一般式(1)に示す、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート(13FM)、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(17FM)等の長鎖フルオロアルキル(メタ)アクリレート;下記一般式(2)に示す、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(3FM)等の短鎖フルオロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
Figure 2021144126

(式中、mは1又は2、nは5〜13のいずれかの整数、Rは水素原子又はメチル基、Xは水素原子又はフッ素原子を示す。)
Figure 2021144126

(式中、mは1又は2、nは1〜4のいずれかの整数、Rは水素原子又はメチル基、Xは水素原子又はフッ素原子を示す。)
前記フッ素化メタクリレート系樹脂は、伝送損失を低減させることができることから、上記式(2)に示す長鎖フルオロアルキル(メタ)アクリレートの単位10〜50質量%、上記式(3)に示す短鎖フルオロアルキル(メタ)アクリレートの単位20〜90質量%及び他の共重合可能な単量体単位0〜50質量%からなる共重合体が好ましい。具体的には、前記含有率の17FM−3FM−メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、13FM−3FM−メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体が好ましい。
また、前記フッ素化メタクリレート系樹脂は、70〜150℃の範囲内にガラス転移温度を有することが好ましい。ガラス転移温度がこの範囲内にあれば、光ファイバ素線製造時の、コアやクラッド層の形状変動を抑制でき、さらに、コアの透明樹脂の熱分解を抑制できる温度で製造できるので好ましい。
また、前記フッ素化メタクリレート系樹脂は、230℃、荷重3.8kgで測定したメルトフローインデックスが5〜100g/10分の範囲内にあることが好ましい。メルトフローインデックスがこの範囲内にあれば、光ファイバ素線製造時の、コアやクラッド層の形状変動を抑制でき、さらに、コアの透明樹脂の熱分解を抑制できる温度で製造できるので好ましい。
また、前記フッ素化メタクリレート系樹脂は、ISO 13468に準拠し、アッベ屈折計を用いて23℃で測定したナトリウムD線の屈折率を、1.42〜1.48の範囲内とすることができる。屈折率がこの範囲内にあれば、光ファイバ素線の開口数が十分に大きくなり、受光量を十分に確保できるので、長距離の通信に好適である。
<光ファイバ素線の製造方法>
光ファイバ素線の製造は、公知の製造方法を用いて行うことができ、例えば、溶融紡糸法で行うことができる。
溶融紡糸法による光ファイバ素線の製造は、例えば、コア材及びクラッド材をそれぞれ溶融し、複合紡糸することにより行うことができる。
光ファイバケーブルを温度差の大きい環境で用いる場合、ピストニングを抑制するため、光ファイバ素線をアニール処理することが好ましい。アニール処理の処理条件は、光ファイバ素線の材料によって適宜設定すればよい。アニール処理は連続で行ってもよく、バッチで行ってもよい。
<被覆層>
本発明の光ファイバケーブルは、前記光ファイバ素線の外側に形成された、少なくとも1層の被覆層、を有し、且つ、前記被覆層の最内層を構成する材料は、後述するエチレン−ビニルアルコール系樹脂を含む構成とすることができる。
さらに、本発明の光ファイバケーブルは、前記被覆層が、被覆内層、被覆外層がこの順で同心円状に形成された、少なくとも2層以上の層からなる構成とすることができる。この場合、前記被覆内層を構成する材料は、エチレン−ビニルアルコール系樹脂を含み、前記被覆外層を構成する材料は、ポリアミド系樹脂を含むことができる。
さらに、本発明の光ファイバケーブルは、前記被覆外層の外周に、さらに被覆最外層を有することができる。この場合、前記被覆最外層を構成する材料は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂を含むことができる。
以下、順に、被覆内層、被覆外層、被覆最外層について説明する。
なお、被覆内層とは、「被覆層の最内層」と同義である。
(被覆内層)
被覆内層は、前記被覆層が2層以上の層からなる場合、最内層の被覆層のことをいう。
前記被覆内層を構成する材料は、エチレン−ビニルアルコール系樹脂(以下、「EVOH樹脂」という。) を含むことができる。
EVOH樹脂は、エチレンに由来する単位(以下「エチレン単位」と略す)とビニルアルコールに由来する単位(以下「ビニルアルコール単位」と略す)を含む共重合体樹脂である。
EVOH樹脂は、前記変性フッ素樹脂と親和性が大きいため、被覆層と光ファイバ素線の密着性が高くなり、その結果、光ファイバケーブルの耐稔回性を良好にできる。
さらに、EVOH樹脂は酸素遮断性が高いことから、高温環境下における光ファイバの酸化劣化による伝送損失の増大を抑制できるので、光ファイバケーブルの長期耐熱性を良好にできる。
低酸素透過度の材料中のEVOH樹脂の含有量は、本発明の効果が得られる範囲にあれば特に制限されるものではないが、より十分な酸素遮断性を得る点から、90〜100質量%の範囲にあることが好ましく、95〜100質量%の範囲にあることがより好ましく、低酸素透過度の材料がEVOH樹脂であることが特に好ましい。
エチレン−ビニルアルコール系樹脂としては、特に制限されないが、エチレン単位とビニルアルコール単位の含有割合が、前記EVOH樹脂を構成する単量体単位の総量100モルに対して、エチレン単位20モル%以上50モル%以下、ビニルアルコール単位50モル%以上80モル%以下の範囲にある共重合体が好ましい。エチレン単位とビニルアルコール単位の合計量は、EVOH樹脂を構成する単量体単位の総量100モルに対して、90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましい。
前記EVOH樹脂中のビニルアルコール単位の含有割合の上限は、特に制限されるものではないが、光ファイバケーブルの機械的強度が良好となる観点から、前記エチレン−ビニルアルコール系樹脂を構成する単量体単位の総量100モル%に対して、80モル%以下が好ましい。77モル%以下がより好ましく、74モル%以下がさらに好ましい。ビニルアルコール単位の含有割合の下限は、特に制限されるものではないが、光ファイバケーブルの105℃長期耐熱性が良好となる観点から、前記エチレン−ビニルアルコール系樹脂を構成する単量体単位の総量100モルに対して、50モル%以上が好ましい。56モル%以上がより好ましく、65モル%以上がさらに好ましく、69モル%以上が特に好ましい。
前記EVOH樹脂中のエチレン単位の含有割合の上限は、特に制限されるものではないが、光ファイバケーブルの105℃耐熱性が良好となる観点から、前記エチレン−ビニルアルコール系樹脂を構成する単量体単位の総量100モル%に対して、50モル%以下が好ましい。44モル%以下がより好ましく、35モル%以下がさらに好ましく、31モル%以下が特に好ましい。エチレン単位の含有割合の下限は、特に制限されるものではないが、光ファイバケーブルの機械的強度が良好となる観点から、前記エチレン−ビニルアルコール系樹脂を構成する単量体単位の総量100モルに対して、20モル%以上が好ましい。23モル%以上がより好ましく、26モル%以上がさらに好ましい。
上記のEVOH樹脂の市販品としては、例えば、ソアノールD、DT、DC、ソアノールE、ET、A、AT(製品名、三菱ケミカル社製)を挙げることができる。
EVOH樹脂の融点の上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは195℃以下、より好ましくは180℃以下の範囲にあり、JIS K7210に準じて、210℃、荷重5kgfで測定したメルトフローインデックスが25〜80g/10分の範囲にあるものが、光ファイバケーブルの成形安定性に優れる点から好ましい。EVOH樹脂の融点の下限は、特に限定されるものではないが、155℃以上が好ましく、165℃以上がより好ましい。融点が低すぎると、被覆内層を設ける際の成形安定性が低下するおそれがある。
本明細書において、融点は、ISO3146:2000に準拠し、示差走査熱量計により測定した値とする。
(被覆外層)
被覆外層は、前記被覆層が2層以上の層からなる場合、被覆内層の外周に形成される層のことをいう。
前記被覆外層を構成する材料は、ポリアミド系樹脂を含むことができる。
被覆外層が、ポリアミド系樹脂を含む材料から構成されることにより、ポリアミド系樹脂の有する優れた耐熱性、耐薬品、機械的強度により、光ファイバケーブルの耐熱性、機械的強度が良好となる。

ポリアミド系樹脂としては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1010等の脂肪族ポリアミド;ポリアミド4T(1,4−ブタンジアミンとテレフタル酸の共重合体)、ポリアミド6T(1,6−ヘキサンジアミンとテレフタル酸の共重合体)、ポリアミドMXD6(メタ−キシリレンジアミンとアジピン酸の共重合体)、ポリアミド6I(1,6−ヘキサンジアミンとイソフタル酸の共重合体)、ポリアミド9T(1,9−ノナンジアミンとテレフタル酸の共重合体)等の半芳香族ポリアミド等が挙げられる。これらのポリアミド系樹脂(N)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのポリアミド系樹脂(N)の中でも、耐熱性、酸素遮断性に優れることから、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1010、ポリアミドMXD6、ポリアミド6T、ポリアミド9Tが好ましく、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミドMXD6がより好ましく、ポリアミド66、ポリアミド12、ポリアミド11が更に好ましい。
被覆外層を構成する材料中のポリアミド系樹脂(N)の含有率の下限は、特に制限されないが、光ファイバケーブルの105℃長期耐熱性、フェルールとのレーザー溶着性に優れることから、被覆外層を構成する材料を100質量%として、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましい。ポリアミド系樹脂(N)の含有率の上限は、特に制限されないが、光ファイバケーブルの被覆内層と被覆外層の密着性に優れることから、被覆外層を構成する材料を100質量%として、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下が更に好ましい。
ポリアミド系樹脂(N)の融点は、150℃〜300℃が好ましく、180℃〜280℃がより好ましい。ポリアミド系樹脂(N)の融点が150℃以上であると、光ファイバケーブルの耐熱性に優れる。またポリアミド系樹脂(N)の融点が300℃以下であると、加工性に優れる。
本明細書において、融点は、ISO3146:2000に準拠し、示差走査熱量計により測定した値とする。
さらに、本発明の光ファイバケーブルは、前記被覆外層を構成する材料に、ポリアミド系樹脂とエチレン−ビニルアルコール系樹脂の混合物を使用することができる。
被覆外層を構成する材料がエチレン−ビニルアルコール系樹脂を含むことにより、被覆外層と被覆内層の間に親和作用が得られ、光ファイバケーブルの被覆外層と被覆内層の密着性を良好にできる。
上記の被覆外層を構成するエチレン−ビニルアルコール系樹脂としては、被覆内層の項に記載した、EVOH樹脂を同様のものを使用できる。被覆内層を構成する材料に用いるEVOH樹脂と、被覆外層を構成する材料に用いるエチレン−ビニルアルコール系樹脂は、被覆外層と被覆内層の密着性をより良好にできる観点から、同じものであることが好ましい。
被覆外層において、前記ポリアミド系樹脂と前記エチレン−ビニルアルコール系樹脂の配合割合は、ポリアミド系樹脂100質量部に対して、前記エチレン−ビニルアルコール系樹脂10質量部〜30質量部が好ましく、15質量部〜25質量部がより好ましい。前記エチレン−ビニルアルコール系樹脂の含有率が10質量部以上であると、光ファイバケーブルの被覆内層と被覆外層の密着性を良好にできる。前記エチレン−ビニルアルコール系樹脂の含有割合が、ポリアミド系樹脂100質量部に対して30質量部以下であると、ポリアミド樹脂による効果を十分に得ることができる。
前記ポリアミド系樹脂と前記エチレン−ビニルアルコール系樹脂を混合する方法としては、例えば、公知の二軸押出機等の装置を用いて溶融混練する方法等が挙げられる。
被覆外層を構成する材料の溶融混練の温度は、200℃〜300℃が好ましく、220℃〜280℃がより好ましい。被覆外層を構成する材料の溶融混練の温度が200℃以上であると、被覆外層を構成する材料を十分に混練することができる。また、被覆外層を構成する材料の溶融混練の温度が300℃以下であると、ポリアミド系樹脂の本来の性能を損なわないで混練することができる。
(被覆最外層)
被覆最外層は、前記被覆層が3層以上の層からなる場合、被覆外層の外周に形成される層のことをいう。
前記被覆最外層を構成する材料は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂(以下、「PBT樹脂」という。)を含むことができる。
被覆最外層が、PBT樹脂を含む材料から構成されることにより、PBT樹脂の有する優れた耐熱性、耐薬品、機械的強度により、高温高湿下における、光ファイバケーブルの耐熱性や、耐薬品、機械的強度が良好となる。
PBT樹脂とは、1,4−ブタンジオール(テトラメチレングリコール)とテレフタル酸のエステル化反応、又は1,4−ブタンジオールとテレフタル酸ジメチルのエステル交換反応等により得られたビスヒドロキシブチルテレフタレート(BHT)ないしはそのオリゴマーを重縮合して合成された、下記一般式(4)で示されるオリゴポリ1,4−ブチレンテレフタレートの単位を主構成単位として含有する重合体のことである。
Figure 2021144126

(式中のnは正の整数を示す)
本発明に適しているPBT樹脂として、より具体的には、上記一般式(4)で示されるオリゴポリ1,4−ブチレンテレフタレートをハードセグメント単位(結晶相)として含有し、ソフトセグメント単位(非晶相)として、分子量が200〜5000の範囲にある脂肪族ポリエーテル(例えば、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)など)と、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジプロピル、テレフタル酸ジブチルのうち少なくとも1種類との重縮合で合成された下記一般式(5)で示されるブロック単位、又は下記一般式(6)で示されるポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)のブロック単位やポリブチレンアジペート(PBA)のような脂肪族ポリエステルのブロック単位を含有するエラストマー樹脂が好ましい。
Figure 2021144126

(式中、pは4〜12の整数、qは2〜20の整数、mは正の整数を示す)
Figure 2021144126

(式中、rは1以上の整数、lは正の整数を示す)
上記のPBT樹脂の中でも、特に、高温高湿下における、光ファイバケーブルの光学性能や被覆層の機械的強度を維持する点で、上記一般式(5)で示される脂肪族ポリエーテル単位を含むブロック単位をソフトセグメント単位として有するPBT樹脂が好適である。特に、オリゴポリ1,4−ブチレンテレフタレートからなるハードセグメント部分(A)(式(4)に示される構造)と、テレフタル酸あるいはテレフタレートと分子量が200〜600の範囲にあるポリテトラメチレングリコール(PTMG)との重縮合体からなるソフトセグメント部分(B)(式(5)においてp=4の場合の構造)とを含むブロック共重合体であるPBT樹脂が、高温高湿下における、光ファイバケーブルの光学性能や被覆層の機械的強度に優れていることから好ましい。
さらに、上記PBT樹脂においては、ハードセグメント部分(A)に含まれる1,4−ブチレンテレフタレート単位の総モル数(a)と、ソフトセグメント部分(B)に含まれる1,4−ブチレンテレフタレート単位の総モル数(b)の比(a/b)は、15/85〜30/70の範囲が好ましい。この比(a/b)が小さすぎると、ポリマー主鎖中のエーテル結合単位の数が増えるため、高温高湿下でPBT樹脂が加水分解による劣化を受けやすく、又ソフトセグメント含有割合が増大するため、材料自体が柔軟で変形を受け易くなるために引抜強度が低下する。逆に、この比(a/b)が大きすぎると、ハードセグメントの含有割合が増大するために、融点が高くなり、被覆安定性が低下する。この比(a/b)は18/82以上がより好ましく、22/78以上がさらに好ましい。一方、この比は27/73以下がより好ましく、25/75以下がさらに好ましい。
さらに、上記PBT樹脂の融点は、155℃以上230℃以下の範囲にあることが好ましい。融点が低すぎると、被覆内層との密着性が低下する虞がある。一方、融点が高すぎると、被覆最外層を設ける際の熱履歴の影響により光ファイバの光学特性が低下する虞がある。PBT樹脂の融点は220℃以下がより好ましく、210℃以下がさらに好ましい。またPBT樹脂の融点は165℃以上がより好ましく、175℃以上がさらに好ましい。
本明細書において、融点は、ISO3146:2000に準拠し、示差走査熱量計により測定した値とする。
このようなPBT樹脂としては、例えば、東レ・デュポン社製のハイトレル(Hytrel)8068、5547F、6037F、7237F(商品名)や、ポリプラスチック社製のDURANEXシリーズ(商品名)、東洋紡社製のペルプレンSタイプ、Pタイプ(商品名)、三菱エンジニアリングプラスチックス社製のノバデュラン5010N6−3X(商品名)、デュポン社製のCrastinシリーズ(商品名)等の中から選ぶことができる。
中でも、難燃性に優れている点から、東レ・デュポン社製のハイトレル(Hytrel)7237F(商品名)または三菱エンジニアリングプラスチックス社製のノバデュラン5010N6−3Xを用いることがより好ましい。
被覆最外層を構成する材料において、PBT樹脂の含有割合の下限は、特に制限されないが、光ファイバケーブルの105℃長期耐熱性及び可塑剤耐性が良好となる観点から、被覆最外層を構成する材料100質量%に対して、70質量%以上が好ましい。80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。被覆最外層を構成する材料中のPBT樹脂の含有割合の上限は、特に制限されるものではなく、100質量%であっても良い。
<光ファイバケーブルの製造方法>
光ファイバの外周に被覆層を被覆する方法としては、例えば、クロスヘッドダイを備えた押出被覆装置を用いて被覆する方法が挙げられる。特に、プラスチック光ファイバに被覆層を被覆する場合、均一な直径の光ファイバケーブルを得ることができることから、クロスヘッドダイを備えた押出被覆装置を用いて被覆する方法が好ましい。
光ファイバ素線の外側に、被覆層を、被覆内層、被覆外層の順で同心円状に形成する場合、及び、前記被覆外層の外周に、さらに被覆最外層を形成する場合は、1層ずつ順に被覆層を被覆してもよく、同時に複数の被覆層を被覆してもよい。
光ファイバの外周に被覆層を被覆する際の押出の温度は、200℃〜300℃が好ましく、220℃〜280℃がより好ましい。光ファイバの外周に被覆層を被覆する際の押出の温度が200℃以上であると、光ファイバケーブルの外観に優れる。光ファイバの外周に被覆層を被覆する際の押出の温度が300℃以下であると、被覆層を構成する材料の本来の性能を損なわない。
本発明の光ファイバケーブルは、伝送帯域が広く、長期耐熱性、柔軟性及び機械的耐久性に優れることから、例えば、列車内、航空機内、自動車等の車両内、建物内での光情報通信や、ファクトリーオートメーション(FA)分野での光情報通信に好適に用いることができる。特に、自動車等の車両内等の狭い空間に屈曲した状態で、機械的ストレスと高温環境下にさらされた状態での使用に好適である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(屈折率の測定)
溶融プレスにより厚さ200μmのフィルム状の試験片を作製し、ISO 13468に準拠し、アッベ屈折計(機種名「NAR−3T」、(株)アタゴ製)を用いて、23℃におけるナトリウムD線の屈折率を測定した。
(メルトフローインデックス)
日本工業規格JIS K7210に準拠し、230℃、荷重3.8kgの条件下で、直径2mm、長さ8mmのノズルから10分間に吐出される樹脂量から、メルトフローインデックスを測定した。
(融点)
融点は、示差走査熱量測定によって測定した。示差走査熱量計(形式:EXSTAR DSC6200、セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、サンプルを昇温速度20℃/分で昇温させることで測定した。
(長期耐熱性の測定)
実施例、比較例で得られた得られた光ファイバケーブルを、温度105℃の環境下に3000時間曝露させ、波長650nm、励振NA=0.1の条件で、25m−1mのカットバック法により測定した。
25m−1mのカットバック法による測定は、IEC 60793−1−40:2001に準拠して行った。具体的には、25mの光ファイバを測定装置にセットし、出力パワーP2を測定した後、光ファイバをカットバック長(入射端から1m)に切断し、出力パワーP1を測定し、下記数式(1)を用いて光の伝送損失(単位:dB/km)を算出した。以上の測定は、遮光された環境下で実施した。
Figure 2021144126
(耐稔回性の測定)
光ファイバケーブルの耐稔回性の指標として、自製の稔回性試験装置を用い、以下の方法により稔回光量損失を測定した。
光ファイバケーブルの稔回光量損失を計測する際に用いられる稔回試験装置について図3を用いて説明する。
自製の稔回性試験装置を用い、長さ2mの光ファイバケーブル31の中央付近(約25cm)について、片側端部を、稔回性試験装置の水平方向に配置された一対のチャック32,32‘(チャック間250mm)の、一方のチャック(2)32’に固定した。
長さ2mの光ファイバケーブルの一方の端面にLED光源33(商品名「TOTX170A」、波長660nm)、他方の端面にフォトダイオード検出器34を備えた光パワーメーター35(商品名「AQ1135E」、安藤電気(株)製、受信感度−70dBm)を接続した。
次いで、光ファイバケーブル31のチャック(1)32側の片側に滑車36を介して500gfの重り37をつるすことにより、光ファイバケーブルに引張り方向の力を加えた状態で直線状に保持し、1分後の光量(T1)を記録した。
次いで、光ファイバケーブルに張力500gfが付加された状態を維持しながら、ファイバケーブルの片側一方のチャック(2)32‘を、光ファイバケーブルの中心軸を軸として5回転させた後、1分後の光量(T2)を記録した。下記数式(2)を用いて、稔回光量損失(単位:dB)を算出した。
Figure 2021144126
(材料)
光ファイバのコアを構成するコア材、クラッドを構成するクラッド材は以下の材料を用いた。
第1クラッド材(B−1) : フッ素樹脂(13FM/3FM/MMA/MAA共重合体、屈折率1.417)
第2クラッド材(C−1) : フッ素樹脂(商品名:RP4020、ダイキン工業(株)製、テトラフルオロエチレン単位、エチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位、及びパーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン単位を含み、カーボネート基を有する反応性官能基をポリマー鎖の主鎖及び/又は側鎖の末端に有する共重合体。屈折率1.380、融点160℃、メルトフローインデックス11g/10分)
第2クラッド材(C−2) : フッ素樹脂(VDF/TFE/HFP共重合体、VDF:TFE:HFP=60:35:5(mol比)、屈折率1.374、融点129℃、メルトフローインデックス37g/10分)
EVOH樹脂(E−1):エチレン単位を29モル%含むエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂。酸素透過度が0.2cc・20μm/(m2・day・atm)、メルトフローインデックス15g/10分(商品名「ソアノールD2908」、日本合成化学工業社製)
ポリアミド樹脂(N−1):ポリアミド12。酸素透過度が580cc・20μm/(m2・day・atm)(商品名「グリルアミドXE3926」、EMS−GRIVORY社製、メルトフローインデックス84g/10分)
ポリブチレンテレフタレート系樹脂(X−1):顔料(群青)を配合したPBT樹脂(商品名「NOVADURAN5010N6−3X」、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)
なお、「MMA」はメタクリル酸メチル、「MAA」はメタクリル酸、「13FM」は(メタ)アクリル酸−2−(パーフルオロヘキシル)エチル、「3FM」は(メタ)アクリル酸−2,2,2−トリフルオロエチル、「VDF」はフッ化ビニリデン、「TFE」はテトラフルオロエチレン、「HFP」はヘキサフルオロプロピレン、の略号である。
[製造例1](光ファイバ素線の製造)
コア材をポリメチルメタクリレート(屈折率1.492)、第一クラッド層の材料を第1クラッド材(B−1)、第二クラッド層の材料を第2クラッド材(C−1)とし、3層構造の同心円状複合紡糸ノズルを用いて紡糸し、140℃の熱風加熱炉中で繊維軸方向に2倍に延伸し、第一クラッド層の厚さが5μm、第二クラッド層の厚さが10μmの直径1.0mmの光ファイバ素線を得た。
[実施例1]
被覆内層を構成する材料をEVOH樹脂(E−1)とし、被覆外層を構成する材料をポリアミド樹脂(N−1)80部とEVOH樹脂(E−1)20部の混合物とし、被覆最外層を構成する材料をポリチレンテレフタレート系樹脂(X−1)とした。これらの材料を樹脂被覆用クロスヘッド型40mmケーブル被覆装置((株)聖製作所製)に供給し、製造例1で製造した光ファイバ素線の外周に被覆内層(厚さ100μm)、被覆外層(厚さ155μm)、被覆最外層(厚さ395μm)を被覆し、直径2.30mmの光ファイバケーブルを得た。得られた光ファイバケーブルの評価結果を、表1に示す。
[比較例1]
第2クラッドを構成する材料を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、光ファイバケーブルを得た。得られた光ファイバケーブルの評価結果を、表2に示す。
Figure 2021144126
Figure 2021144126
実施例1で得られた光ファイバケーブルは、長期耐熱性、耐稔回性に優れていた。
一方、比較例1で得られた光ファイバケーブルは、実施例の光ファイバに比べて、耐稔回に劣っていた。
10 光ファイバ素線
11 コア
12 クラッド層
12a クラッド(第一クラッド層)
12b クラッド(第二クラッド層)
20 被覆層
20a 被覆層(被覆内層)
20b 被覆層(被覆外層)
20c 被覆層(被覆最外層)
31 光ファイバケーブル
32 チャック(1)
32’ チャック(2)
33 LED光源
34 フォトダイオード検出器
35 光パワーメーター
36 滑車
37 重り(500g)

Claims (12)

  1. 透明樹脂で形成されたコアと、前記コアの周囲に形成された少なくとも1層のクラッド層を有する光ファイバ素線、並びに、
    前記光ファイバ素線の外側に形成された、少なくとも1層の被覆層を有する光ファイバケーブルであって、
    前記クラッド層又は前記クラッド層の最外層を構成する材料が、テトラフルオロエチレン単位、エチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位、及びパーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)単位を含むポリマー鎖を有し、カーボネート基を有する反応性官能基を主鎖及び/又は側鎖の末端に有する変性フッ素樹脂を含み、
    前記被覆層又は前記被覆層の最内層を構成する材料が、エチレン−ビニルアルコール系樹脂を含む、光ファイバケーブル。
  2. 連続稔回試験により測定した、光ファイバケーブルを直線状態から5回稔回したときの稔回光量損失が0.12dB以下である、請求項1に記載の光ファイバケーブル。
  3. 前記エチレン−ビニルアルコール系樹脂中のビニルアルコール単位の含有割合が、該エチレン−ビニルアルコール系樹脂を構成する単量体単位の総モル量100モル%に対して、50〜80モル%である、請求項1又は2に記載の光ファイバケーブル。
  4. 前記変性フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン単位を24〜58モル%、エチレン単位を30〜68モル%、ヘキサフルオロプロピレン単位を7〜28モル%、パーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)単位を1〜10モル%を含むフッ素樹脂である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ファイバケーブル。
  5. 前記変性フッ素樹脂が、120〜200℃の範囲に融点を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光ファイバケーブル。
  6. 前記変性フッ素樹脂が、ISO 13468に準拠し、アッベ屈折計を用いて23℃で測定したナトリウムD線の屈折率が1.34〜1.41である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光ファイバケーブル。
  7. 前記変性フッ素樹脂が、230℃、荷重3.8kgで測定したメルトフローインデックスが5〜100g/10分である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光ファイバケーブル。
  8. 前記被覆層が、被覆内層、被覆外層の順で同心円状に形成された少なくとも2層以上の層からなり、
    前記被覆内層を構成する材料が、エチレン−ビニルアルコール系樹脂を含み、前記被覆外層を構成する材料が、ポリアミド系樹脂を含む、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の光ファイバケーブル。
  9. 前記被覆外層の外周に、さらに被覆最外層を有し、
    前記被覆最外層を構成する材料がポリブチレンテレフタレート系樹脂を含む、請求項8に記載の光ファイバケーブル。
  10. 前記被覆外層を構成する材料がポリアミド系樹脂とエチレン−ビニルアルコール系樹脂の混合物である、請求項8又は9に記載の光ファイバケーブル。
  11. 前記クラッド層が2層以上からなり、
    内側に位置する第一クラッド層を構成する材料が前記変性フッ素樹脂の屈折率より大きい屈折率を有するフッ素化メタクリレート系樹脂を含み、
    外側に位置する第二クラッド層を構成する材料が前記変性フッ素樹脂を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の光ファイバケーブル。
  12. 前記フッ素化メタクリレート系樹脂が、フルオロアルキル(メタ)アクリレート単位とメチルメタクリレート単位を含む共重合体である、請求項11に記載の光ファイバケーブル。
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