JP2021147367A - ビスフェノールの製造方法およびポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用される有機溶媒の再利用を図るとともに、良好な品質のビスフェノールを製造できる方法を提供する。【解決手段】酸触媒の存在下、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを反応させ、ビスフェノールを生成させる工程(A1)と、前記工程(A1)で得られたビスフェノールが芳香族炭化水素を含む溶媒に分散したスラリー溶液(S)を固液分離し、前記ビスフェノールを含む固形分(C)と、前記芳香族炭化水素を含む溶液(e)とを得る工程(A2)と、前記芳香族炭化水素を含む溶液(e)の少なくとも一部を含む溶液(E)と塩基性化合物とを混合した蒸留原料(D)を蒸留して、芳香族炭化水素の回収溶剤(R)を回収する工程(A3)と、前記回収溶剤(R)を含む洗浄溶媒を用いて、前記ビスフェノールを含む固形分(C)を洗浄し、ビスフェノールを得る工程(A4)とを有するビスフェノールの製造方法。【選択図】 図1

Description

本発明は、芳香族アルコールとケトン又はアルデヒドとからビスフェノールを製造する方法に関する。より詳しくは、ビスフェノールを生成する反応や精製に溶媒として用いた芳香族炭化水素を蒸留回収し、この回収溶剤を用いて、ビスフェノールを含む固形物を洗浄する工程を有するビスフェノールの製造方法に関するものである。また、本発明は、前記ビスフェノールの製造方法で得られたビスフェノールを用いたポリカーボネート樹脂の製造方法に関する。
ビスフェノールは、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、芳香族ポリエステル樹脂などの高分子材料の原料として有用である。代表的なビスフェノールとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンなどが知られている(特許文献1)。また、腐食性が強く、専用の設備が必要となる塩化水素ガスに代え硫酸を用い、ビスフェノールを製造する方法が知られている(特許文献2)。
特開2008−214248号公報 特開2019−99581号公報
ビスフェノールは、ポリカーボネート樹脂等の様々な樹脂の原料として幅広い用途に使用され、今後も、その用途の拡大が期待される。そのため、品質の良いビスフェノールを、より効率良く製造することが求められている。特許文献2では、芳香族アルコールの副反応を防ぐことで、芳香族アルコールの選択率を改善している。
本発明者らは、特許文献2に記載の方法でビスフェノールを製造する際に排出される晶析ろ液から蒸留により回収溶剤を回収し、この回収溶剤を用いてビスフェノールの製造を試みたところ、得られたビスフェノールの品質(重合活性)が悪化する場合があることが分かった。したがって、特許文献2の方法では、より効率的にビスフェノールを製造するには、改善の余地があることが判明した。
かかる状況下、ビスフェノールの製造で使用される有機溶媒を蒸留回収した回収溶剤を用いて、良好な品質のビスフェノールを製造する、ビスフェノールの製造方法が求められていた。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、芳香族アルコールとケトン又はアルデヒドとからビスフェノールを製造する方法において、使用される有機溶媒の再利用を図るとともに、良好な品質のビスフェノールを製造できる方法を提供することを目的とする。
また、上記ビスフェノールを用いたポリカーボネート樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、前記晶析ろ液に塩基性化合物を添加し、蒸留することで回収溶剤を回収し、この回収溶剤を用いてビスフェノールを製造することで、回収溶剤を再使用した場合でも良好な品質のビスフェノールを製造できることを出来ることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 下記の工程(A1)〜工程(A4)を有する、ビスフェノールの製造方法。
工程(A1):酸触媒の存在下、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを反応させ、ビスフェノールを生成させる工程
工程(A2):前記工程(A1)で得られたビスフェノールが芳香族炭化水素を含む溶媒に分散したスラリー溶液(S)を固液分離し、前記ビスフェノールを含む固形分(C)と、前記芳香族炭化水素を含む溶液(e)とを得る工程
工程(A3):前記芳香族炭化水素を含む溶液(e)の少なくとも一部を含む溶液(E)と塩基性化合物とを混合した蒸留原料(D)を蒸留して、芳香族炭化水素の回収溶剤(R)を回収する工程
工程(A4):前記回収溶剤(R)を含む洗浄溶媒を用いて、前記ビスフェノールを含む固形分(C)を洗浄し、ビスフェノールを得る工程
<2> 前記工程(A2)と前記工程(A3)との間に工程(y1)を有し、
前記工程(A1)が、酸触媒と、芳香族炭化水素と、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを含む反応液(L1)中で反応を行い、生成するビスフェノールを析出させ、ビスフェノールが分散したスラリー反応生成液(S1)を得る工程であり、
前記工程(A2)が、前記スラリー反応生成液(S1)を固液分離し、前記ビスフェノールを含む固形分(C1)と、前記芳香族炭化水素を含む溶液(e1−1)とを得る工程であり、
前記工程(y)が、前記芳香族炭化水素を含む溶液(e1−1)又は前記溶液(e1−1)と塩基性水溶液との混合溶液(e1−2)を、水相(yW)と前記芳香族炭化水素を含む有機相(yO)とに分離させ、前記水相(yW)を除去し、前記有機相(yO)を得る工程であり、
前記工程(A3)で用いられる溶液(E)が、前記有機相(yO)である前記<1>に記載のビスフェノールの製造方法。
<3> 前記工程(A1)と前記工程(A2)の間に、工程(x1)と工程(x2)とを有し、
前記工程(A1)が、酸触媒と、芳香族炭化水素と、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを含む反応液(L1)中で反応を行い、生成するビスフェノールを析出させ、ビスフェノールが分散したスラリー反応生成液(S1)を得る工程であり、
前記工程(x1)が、前記スラリー反応生成液(S1)から水相(xW)を除去し、ビスフェノールが溶解した芳香族炭化水素を含む有機相(xO)を得る工程であり、
前記工程(x2)が、前記有機相(xO)を冷却し、ビスフェノールを析出させて、ビスフェノールが分散したスラリー溶液(S2)を得る工程であり、
前記工程(A2)で用いられるスラリー溶液(S)が、前記スラリー溶液(S2)である前記<1>に記載のビスフェノールの製造方法。
<4> 前記塩基性化合物が、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群から選ばれるいずれか1種以上の塩基性化合物である、前記<1>乃至<3>のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
<5> 前記酸触媒が、硫酸である前記<1>乃至<4>のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
<6> 前記芳香族炭化水素が、トルエンである前記<1>乃至<5>のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
<7> 前記ビスフェノールが、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン又は1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサンである前記<1>乃至<6>のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
<8> 前記<1>乃至<7>のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法で製造したビスフェノールを用いたポリカーボネート樹脂の製造方法。
本発明のビスフェノールの製造方法により、使用した有機溶媒の回収率を向上させつつ、回収した有機溶媒を再利用して、品質の良いビスフェノールを製造することが出来る。
また、得られたビスフェノールを用いて、ポリカーボネート樹脂を製造することができる。
本発明のビスフェノールの製造方法を示すフローチャートである。 本発明のビスフェノールの製造方法を示すフローチャートである。 ビスフェノールの製造方法(I)を示すフローチャートである。 ビスフェノールの製造方法(II)を示すフローチャートである。 ビスフェノールの製造方法(III)を示すフローチャートである。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施の態様の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値または物性値を含む表現として用いるものとする。
[ビスフェノールの製造方法]
本発明は、下記の工程(A1)〜工程(A4)を有する、ビスフェノールの製造方法。(以下、「本発明のビスフェノールの製造方法」と称する場合がある。)に関するものである。
工程(A1):酸触媒の存在下、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを反応させ、ビスフェノールを生成させる工程
工程(A2):前記工程(A1)で得られたビスフェノールが芳香族炭化水素を含む溶媒に分散したスラリー状の溶液(S)を固液分離し、前記ビスフェノールを含む固形分(C)と、前記芳香族炭化水素を含む溶液(e)とを得る工程
工程(A3):前記芳香族炭化水素を含む溶液(e)の少なくとも一部を含む溶液(E)と塩基性化合物とを混合した蒸留原料(D)を蒸留して、芳香族炭化水素の回収溶剤(R)を回収する工程
工程(A4):前記回収溶剤(R)を含む洗浄溶媒を用いて、前記ビスフェノールを含む固形分(C)を洗浄し、ビスフェノールを得る工程
本発明のビスフェノールの製造方法では、ビスフェノールの洗浄に用いられる芳香族炭化水素の一部として、反応や精製で使用した芳香族炭化水素を再利用する。
ビスフェノールは芳香族炭化水素に溶けにくいため、ビスフェノールの洗浄に芳香族炭化水素を用いることで、ビスフェノールの損出が少ないという利点がある。
また、工程(A3)において、芳香族炭化水素を含む溶液(E)と塩基性化合物とを混合した後、芳香族炭化水素を蒸留回収することにより、回収溶剤(R)中に重合阻害物質が混入することが抑制され、工程(A4)において、芳香族炭化水素の回収溶剤(R)を用いてビスフェノールの洗浄を行っても、得られるビスフェノールの重合活性の低下が抑えられる。回収溶剤(R)の回収率も向上する。
図1は、本発明のビスフェノールの製造方法を示すフローチャートである。以下、本発明のビスフェノールの製造方法の各工程に分けて説明する。
<工程(A1)>
工程(A1)は、酸触媒の存在下、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを反応させ、ビスフェノールを生成させる工程である。
(芳香族アルコール)
本発明のビスフェノールの製造方法に用いる芳香族アルコールは、通常、以下の一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2021147367
1〜R4の置換基としては、それぞれに独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基 などが挙げられる。なお、アルキル基、アルコキシ基、アリール基などは、置換または無置換のいずれであってもよい。アルキル基やアルコキシ基の炭素数は、1以上であり、その上限は、好ましくは12以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは6以下である。アリール基の炭素数は、6以上であり、その上限は、好ましくは12以下、より好ましくは8以下である。
例えば、R1〜R4の置換基として、水素原子、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、i−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、2,6−ジメチルフェニル基などが挙げられる。
2とR3は立体的に嵩高いと縮合反応が進行しにくいことから水素原子であることが好ましい。また、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はアミノ基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましい。例えば、R1及びR4が、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基であり、R2及びR3が、水素原子である化合物が挙げられる。
具体的には、上記一般式(1)で表される化合物として、フェノール、メチルフェノール(クレゾール)、ジメチルフェノール(キシレノール)、エチルフェノール、プロピルフェフェノール、ブチルフェノール、メトキシフェノール、エトキシフェノール、プロポキシフェノール、ブトキシフェノール、アミノフェノール、ベンジルフェニル、フェニルフェノールなど等が挙げられる。
この中でも、フェノール、メチルフェノール及びジメチルフェノールからなる群から選択されるいずれかが好ましく、メチルフェノール又はジメチルフェノールがより好ましく、メチルフェノールが更に好ましい。
(ケトン又はアルデヒド)
本発明のビスフェノールの製造方法に用いるケトン又はアルデヒドは、通常、以下の一般式(2)で表される化合物である。
Figure 2021147367
5とR6の置換基としては、それぞれに独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基などが挙げられる。なお、アルキル基、アルコキシ基、アリール基などは、置換または無置換のいずれであってもよい。アルキル基やアルコキシ基の炭素数は、1以上であり、その上限は、好ましくは12以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは6以下である。アリール基の炭素数は、6以上であり、その上限は、好ましくは12以下、より好ましくは8以下である。
例えば、R5とR6の置換基として、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルへキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、i−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、2,6−ジメチルフェニル基などが挙げられる。
5とR6は、2つの基の間で互いに結合又は架橋していても良い。R5とR6とが隣接する炭素原子と一緒に結合してシクロアルキリデン基を形成してもよい。
例えば、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、シクロオクチリデン、シクロノニリデン、シクロデシリデン、シクロウンデシリデン、シクロドデシリデン、フルオレニリデン、キサントニリデン、チオキサントニリデンなどが挙げられる。
好ましくは、R5及びR6は、それぞれに独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又は、R5とR6とが隣接する炭素原子と一緒に結合し形成されたシクロアルキリデン基である。例えば、R5及びR6は、それぞれに独立に、アルキル基、又は、R5とR6とが隣接する炭素原子と一緒に結合し形成されたシクロアルキリデン基である化合物が挙げられる。
一般式(2)で表される化合物として、具体的には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタンアルデヒド、ヘキサンアルデヒド、ヘプタンアルデヒド、オクタンアルデヒド、ノナンアルデヒド、デカンアルデヒド、ウンデカンアルデヒド、ドデカンアルデヒドなどのアルデヒド類;アセトン、ブタノン、ペンタノン、ヘキサノン、ヘプタノン、オクタノン、ノナノン、デカノン、ウンデカノン、ドデカノンなどのケトン類;ベンズアルデヒド、フェニルメチルケトン、フェニルエチルケトン、フェニルプロピルケトン、クレジルメチルケトン、クレジルエチルケトン、クレジルプロピルケトン、キシリルメチルケトン、キシリルエチルケトン、キシリルプロピルケトンなどのアリールアルキルケトン類;シクロプロパノン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロノナノン、シクロデカノン、シクロウンデカノン、シクロドデカノンなどの環状アルカンケトン類;フルオレノン、キサントン、チオキサントンなどの複素環ケトン類等が挙げられる。
原料である芳香族アルコールに対しケトン又はアルデヒドの量が多い場合、ケトン又はアルデヒドが多量化し易く、また少ない場合は芳香族アルコールが未反応で損出する。これらのことから、ケトン又はアルデヒドに対する芳香族アルコールのモル比((芳香族アルコールのモル数/ケトンのモル数)又は(芳香族アルコールのモル数/アルデヒドのモル数))の下限は、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.6以上、更に好ましくは1.7以上である。また、その上限は、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは8以下である。
(酸触媒)
本発明のビスフェノールの製造方法における酸触媒としては、硫酸、塩酸、塩化水素ガス、塩酸、p−トルエンスルホン酸などの芳香族スルホン酸、メタンスルホン酸などの脂肪族スルホン酸、リン酸などの強酸を用いることができる。
原料であるケトン又はアルデヒドに対する酸触媒のモル比((酸触媒のモル数/ケトンのモル数)又は(酸触媒のモル数/アルデヒドのモル数))は、少ない場合は、縮合反応の進行とともに副生する水によって酸触媒が希釈されて反応に時間を要する。また、多い場合は、ケトン又はアルデヒドの多量化が進行する場合ある。これらのことから、原料であるケトン又はアルデヒドに対する酸触媒のモル比は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.1以上である。また、その上限は、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは5以下である。
中でも、酸触媒は、硫酸、塩化水素ガス、塩酸、芳香族スルホン酸、及び脂肪族スルホン酸からなる群から選択される1以上であることが好ましい。芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとの縮合反応において、リン酸では、反応性が低く、ビスフェノールが析出しにくく、スラリー状態で縮合反応を行うことが難しいため、ビスフェノールの収率や品質が低下しやすい傾向にある。より好ましくは、硫酸、塩化水素ガス、及び塩酸からなる群より選ばれる1以上であることが好ましく、更に好ましくは、硫酸及び/又は塩化水素ガスである。反応効率に優れ、かつ、触媒の揮発性がなく設備への負担が少ないという観点から、酸触媒としては硫酸が特に好ましい。
硫酸は、化学式H2SO4で表される酸性の液体である。一般的に、硫酸は水で希釈された硫酸水溶液として用いられ、その濃度に応じて、濃硫酸や希硫酸といわれる。例えば、希硫酸とは、質量濃度が50質量%未満の硫酸水溶液である。
用いる硫酸の濃度(硫酸水溶液(H2SO4+H2O)中のH2SO4の濃度)が低いと、水の量が多くなるため、ビスフェノールの生成反応が進行しにくくなり、ビスフェノールを製造する反応時間が長くなり、効率的にビスフェノールを製造することが難しい場合がある。そのため、用いる硫酸の濃度は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上であり、更に好ましくは80質量%以上である。また、用いる硫酸の濃度の上限は、通常99.5質量%以下又は99質量%以下である。
(チオール助触媒)
芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを縮合させる反応では、助触媒としてチオール助触媒を用いることができる。チオール助触媒としては、例えば、メルカプト酢酸、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、4−メルカプト酪酸などのメルカプトカルボン酸、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、ペンチルメルカプタン、へキシルメルカプタン、へプチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン(デカンチオール)、ウンデシルメルカプタン(ウンデカンチオール)、ドデシルメルカプタン(ドデカンチオール)、トリデシルメルカプタン、テトラデシルメルカプタン、ペンタデシルメルカプタン、メルカプトフェノールなどが挙げられる。
ケトン又はアルデヒドに対するチオール助触媒のモル比((チオール助触媒のモル数/ケトンのモル数)又は(チオール助触媒のモル数/アルデヒドのモル数))は、少ないとチオール助触媒を用いることによるビスフェノールの選択性改善の効果が得られず、多いとビスフェノールに混入して品質が悪化する場合がある。これらのことから、ケトン又はアルデヒドに対するチオール助触媒のモル比の下限は、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.005以上、更に好ましくは0.01以上である。また、その上限は、好ましくは1以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.1以下である。
(有機溶媒)
ビスフェノールを生成する反応は、有機溶媒の存在下で行うことが出来る。有機溶媒としては、芳香族炭化水素、脂肪族アルコール、脂肪族炭化水素などが挙げられる。これらの溶媒は、1種以上を含んでもよい。例えば、芳香族炭化水素と脂肪族アルコールとの混合溶媒を用いてもよい。
芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、メシチレンなどが挙げられる。
脂肪族炭化水素としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン等が挙げられる。
脂肪族アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノールなどの1価のアルキルアルコール;、エチレングリコール、ジエチレングルコール、トリエチレングリコールなどの多価アルコールなどが挙げられる。
脂肪族アルコールは、反応効率等の観点から、炭素数1〜12の1価のアルキルアルコールが好ましく、炭素数1〜8の1価のアルキルアルコールとすることがより好ましい。
なお、原料である芳香族アルコールを多量に使用して有機溶媒の代わりとしてもよい。この場合、未反応の芳香族アルコールは損失となるが、蒸留などにより回収及び精製して再利用することで損出を低減できる。
有機溶媒を用いる場合、原料であるケトン又はアルデヒドに対する有機溶媒の質量比((有機溶媒の質量/ケトンの質量)又は(有機溶媒の質量/アルデヒドの質量))は、多すぎると、ケトン又はアルデヒドと、芳香族アルコールとが反応しにくく、反応に長時間を要する。少なすぎると、生成してくるビスフェノールにより混合不良が生じる場合や、ケトン又はアルデヒドの多量化が促進される場合がある。これらのことから、ケトン又はアルデヒドに対する有機溶媒の質量比は、0.5以上が好ましく、1以上がより好ましい。また、その上限は、有機溶媒の種類に応じて、ビスフェノールの析出が起こる範囲で調整すればよく、100以下や50以下、30以下とできる。
なお、後述するように、有機溶媒は、分割して供給してもよく、分割して供給する場合は、ケトン又はアルデヒドに対する、反応液の調製に用いられる有機溶媒の合計量が上記範囲内であることが好ましい。
生成してくるビスフェノールが析出しやすく、反応終了後の反応液からビスフェノールを回収する際の損失(例えば、晶析時の濾液への損失)を低減できることからも、室温においてビスフェノールの溶解度が低い有機溶媒を用いることが好ましい。
ビスフェノールの製造に使用した有機溶媒は、蒸留などで回収及び精製して再使用することが可能である。有機溶媒を再利用する場合は、沸点が低い有機溶媒が好ましく、具体的には200℃以下が好ましく、170℃以下が更に好ましい。
本発明のビスフェノールの製造方法は、上記の通り、ビスフェノールの洗浄に用いる芳香族炭化水素の一部として、反応や精製に使用した芳香族炭化水素を再利用するものである。精製時の抽出溶媒や洗浄溶媒として芳香族炭化水素を使用しない場合、反応時に芳香族炭化水素の使用は必須である。
精製時の抽出溶媒や洗浄溶媒として芳香族炭化水素を使用する場合、反応時に芳香族炭化水素の使用は必須ではないが、反応時に有機溶媒として芳香族炭化水素を使用した方が、再利用できる芳香族炭化水素が多くなるため好ましい。芳香族炭化水素は、室温においてビスフェノールの溶解度が低く、生成してくるビスフェノールが析出しやすく、反応終了後の反応液からビスフェノールを回収する際の損失(例えば、晶析時の濾液への損失)を低減できることからも好ましい。
このため、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとの反応は、芳香族炭化水素を主成分として含む有機溶媒の存在下で行うことが好ましい。具体的には、反応に用いられる有機溶媒中に芳香族炭化水素を55質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましく、80質量%以上含むことが更に好ましい。
芳香族炭化水素の中でも、沸点が200℃以下のものが好ましく、170℃以下のものがより好ましい。ビスフェノールの溶解性や沸点などの観点から、トルエンが特に好ましい。
芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとの縮合反応において、各種原料の混合順に特に制限はないが、芳香族アルコールと酸触媒とを含む溶液に、ケトン又はアルデヒドを含む溶液を供給し、縮合反応を行うことが好ましい。このケトン又はアルデヒドを含む溶液の供給方法は、一括で供給する方法や、分割して供給する方法を用いることができるが、ビスフェノールを生成する反応が発熱反応であることから、少しずつ滴下して供給するなど分割して供給する方法が好ましい。
芳香族アルコールと酸触媒とを含む溶液は、芳香族アルコールと酸触媒とからなるものであってもよく、それ以外の成分を含むものであってもよい。例えば、芳香族アルコールと酸触媒と有機溶媒とを含む溶液としてもよい。
また、ケトン又はアルデヒドを含む溶液は、ケトン又はアルデヒドからなるものであってもよく、それ以外の成分を含んでもよい。例えば、チオール助触媒を用いる場合、チオール助触媒は、ケトン又はアルデヒドに予め混合してから反応に供することが好ましい。チオール助触媒と、ケトン又はアルデヒドとの混合方法は、チオール助触媒に、ケトン又はアルデヒドを供給してもよく、ケトン又はアルデヒドにチオール助触媒を供給しても良い。また、ケトン又はアルデヒドを含む溶液は、有機溶媒を含むものとしてもよい。
また、有機溶媒を用いる場合は、有機溶媒を、芳香族アルコールと酸触媒とを含む溶液と、ケトン又はアルデヒドを含む溶液とに分けて混合してもよい。
反応温度は、低すぎると縮合反応が進行しにくくなることから、好ましくは−30℃以上であり、−20℃以上、−15℃以上、−5℃以上、0℃以上の順でより好ましい。また、反応温度が高すぎると、副反応であるアセトン又はケトンの自己縮合反応が進行し、助触媒であるチオールを用いた場合にはチオールの酸化分解が進行しやすくなるため、好ましくは50℃以下であり、より好ましくは45℃以下であり、更に好ましくは40℃以下である。
本発明のビスフェノールの製造方法において、縮合反応の反応時間は、製造するビスフェノールの種類や反応温度、製造スケール等の反応条件により適宜調整されるものであるが、通常、500時間以下であり、400時間以下や350時間以下であってもよい。長い場合生成したビスフェノールが分解することから、好ましくは30時間以内、より好ましくは25時間以内、更に好ましくは20時間以内である。また、反応時間の下限は、通常、0.5時間以上であり、1時間以上であることが好ましく、1.5時間以上であることがより好ましい。
なお、酸触媒下で、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドが接触することで縮合反応が起こるため、反応時間の開始点は、酸触媒下、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとの接触が開始した時点(縮合反応開始時点)となる。例えば、芳香族アルコールと酸触媒とを混合した混合溶液に、ケトン又はアルデヒドを1時間かけて供給した後、1時間反応させた場合、反応時間は2時間である。
また、反応は、例えば、用いる酸触媒と同等量以上の水や塩基を加えるなどして酸触媒濃度を低下させることで停止させることが可能である。
(ビスフェノール)
本発明のビスフェノールの製造方法で製造されるビスフェノールは、通常、以下の一般式(3)で表される化合物である。
Figure 2021147367
一般式(3)において、R1〜R4は、上記一般式(1)のR1〜R4におけるものと同義であり、R5、R6は、上記一般式(2)のR5、R6におけるものと同義である。
具体的には、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ヘプタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ヘプタンなどが挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
この中でも、本発明のビスフェノールの製造方法で製造される好適なビスフェノールは、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、及び1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサンからなる群から選択されるいずれかであり、より好適には、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン又は1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサンである。
<工程(A2)>
工程(A2)は、工程(A1)で得られたビスフェノールが芳香族炭化水素を含む溶媒に分散したスラリー溶液(S)を固液分離し、ビスフェノールを含む固形分(C)と、芳香族炭化水素を含む溶液(e)とを得る工程である。
スラリー溶液(S)は、工程(A1)で得られたビスフェノールが、芳香族炭化水素を含む溶媒に分散したスラリー状の溶液である。例えば、スラリー溶液(S)として、反応条件にもよるが、工程(A1)で得られたスラリー状の反応生成液(例えば、図3や図4のスラリー反応生成液(S1))が挙げられる。また、工程(A1)後の反応生成液は、酸触媒や縮合反応により生じた水を含むため、工程(A1)と工程(A2)との間に、水相の除去や晶析などを行い、スラリー溶液(S)を調製してもよい(例えば、図5のスラリー溶液(S2))。
スラリー溶液(S)は、上記の通り、工程(A1)で得られたビスフェノール(固体のビスフェノール)が、芳香族炭化水素を含む溶媒(液体成分)に分散したものであり、得られる溶液(e)(液体成分)は、芳香族炭化水素を含む。
また、得られる固形分(C)は、ビスフェノールを含む。なお、得られる固形分(C)は、液体成分の一部を含んでよいが、その含液量は通常50質量%以下である。
固液分離の方法としては、ろ過や遠心分離、デカンテーション等が挙げられる。
<工程(A3)>
工程(A3)は、芳香族炭化水素を含む溶液(e)の少なくとも一部を含む溶液(E)と塩基性化合物とを混合した蒸留原料(D)を蒸留して、芳香族炭化水素の回収溶剤(R)を回収する工程である。
(蒸留原料(D)の調製)
蒸留を行う蒸留原料(D)は、芳香族炭化水素を含む溶液(e)の少なくとも一部を含む溶液(E)と、塩基性化合物とを混合したものである。
溶液(E)と塩基性化合物とを混合した後、蒸留を行うことで、溶液(E)に含有する重合阻害成分が芳香族炭化水素の回収溶剤(R)へ混入することを抑制できる。
溶液(E)は、工程(A2)で分離された液体成分である溶液(e)の少なくとも一部を含むものであり、芳香族炭化水素を含むものである。溶液(e)をそのまま溶液(E)としてもよい(例えば、図5の溶液(e2))し、溶液(e)が水と有機溶媒の2相系である場合は、水相を除去した有機相(例えば、図3の有機相(yO1)や図4の有機相(yO2))を溶液(E)としてもよい。
また、図2に示すように、溶液(E)は、溶液(e)に加えて、工程(A4)で排出される廃液を加えたものとすることもできる。
用いる塩基性化合物は、一般的に塩基性を呈する化合物であればよく、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩や、トリエチルアミン、ピロリジン、ピリジン、ジアザビシクロウンデセン、N−メチル−2−ピロリドン、1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン等の含窒素有機化合物などが挙げられる。
入手しやすく安価であるという観点から、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群から選択される1種以上であることが特に好ましい。
これら塩基性化合物は、単体であっても複数混合して用いても良い。また、これら塩基性化合物は、水に溶解させ水溶液として供給しても、固体で供給しても良い。
塩基性化合物は、溶液(E)中に含有する重合活性阻害成分に対し、等量を添加すれば良い。しかし、重合活性阻害成分の含有量を正確に知ることは困難であるため、過剰量になるよう調整すればよく、溶液(E)に対する塩基性化合物の質量比は、1質量ppb以上が好ましく、2質量ppb以上がより好ましく、3質量ppb以上が特に好ましい。溶液(E)に対する塩基性化合物の質量比は、0.1ppm以上、1ppm以上、0.01質量%以上、0.05質量%以上としてもよい。塩基性化合物の添加量が多すぎると、回収溶剤(R)の回収率が低下し、また、過剰に添加した塩基性化合物は経済的損失となるため、溶液(E)に対する塩基性化合物の質量比は、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、1質量%以下、0.5質量%以下などと出来る。
溶液(E)と塩基性化合物との混合温度は、塩基性化合物が効率的に重合阻害成分となる酸性成分と反応して中和させるため、0℃以上が好ましく、5℃以上がより好ましく、10℃以上が更に好ましい。また、効率的に回収溶剤(R)を蒸発させるため、250℃以下が好ましく、240℃以下がより好ましく、230℃以下が更に好ましい。
溶液(E)と塩基性化合物との混合時間は、塩基性化合物が効率的に重合活性阻害成分と反応して中和させるため、0.1時間以上が好ましく、0.2時間以上がより好ましく、0.3時間以上が更に好ましい。また、経済的に回収溶剤(R)を回収させるため、200時間以下が好ましく、190時間以下がより好ましく、180時間以下が更に好ましい。
(蒸留)
本発明のビスフェノールの製造方法において、反応時の有機溶媒や精製時の抽出溶媒として用いた芳香族炭化水素の回収は、定法により行うことが出来る。例えば、蒸留原料(D)を蒸留装置に入れ、加熱し、沸点の小さいケトン又はアルデヒドや水を分留し、純度の高い芳香族炭化水素の回収溶剤(R)得ることが出来る。また、蒸留の操作は減圧下で実施しても良い。
蒸留時の温度や減圧条件は、芳香族炭化水素の種類等にもよるが、例えば、70〜120℃、200〜800hpaの減圧下で蒸留を行うことができる。
蒸留回収率(留出液の質量/溶液(E)の質量×100(%))は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上、70質量%以上、75質量%の順でより好ましい。また、その上限は、芳香族炭化水素の回収溶剤(R)の純度等を考慮して、95質量%以下や90質量%以下、85質量%以下などにできる。
(芳香族炭化水素の回収溶剤(R))
芳香族炭化水素の回収溶剤(R)の純度(芳香族炭化水素の質量/回収溶剤(R)の質量×100(%))が低いと、洗浄溶媒として再利用した場合に、得られるビスフェノールの品質を悪化させることから、好ましくは80質量%以上、更に好ましくは85質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。
<工程(A4)>
工程(A4)は、回収溶剤(R)を含む洗浄溶媒を用いて、ビスフェノールを含む固形分(C)を洗浄し、ビスフェノールを得る工程である。
具体的には、ビスフェノールを含む固形分(C)に洗浄溶媒を加えて濾過や遠心分離する方法や、洗浄溶媒にビスフェノールを含む固形分(C)を懸濁させて、濾過や遠心分離・デカンテーションする方法などが挙げられる。
洗浄溶媒は、回収溶剤(R)を含むものであればよく、回収溶剤(R)をそのまま洗浄溶媒としてもよい。また、洗浄溶媒は、回収溶剤(R)以外を含んでも良いが、芳香族炭化水素を主成分(80質量%以上や85質量%以上、90質量%以上)とすることが好ましく、例えば、回収溶剤(R)と未使用の芳香族炭化水素を混合したものを洗浄溶媒としてもよい。固形分(C)の洗浄は複数回行うことができ、同一の洗浄溶媒で複数回洗浄を行っても、異なる洗浄溶媒を用いて複数回洗浄を行ってもよい。
洗浄効果を高めるためには、ビスフェノールを含む固形分(C)に対する洗浄溶媒の使用量(洗浄溶媒の質量/ビスフェノールを含む固形分(C)の質量)は、0.01以上が好ましく、0.1以上がより好ましい。また、使用する洗浄溶媒の量は一定量以上になると洗浄効果が飽和する傾向にあり、非効率となる。そのため、ビスフェノールを含む固形分(C)に対する洗浄溶媒の使用量は、20以下が好ましく、10以下がより好ましい。
本発明のビスフェノールの製造方法は、工程(A1)〜工程(A4)以外の工程を有してもよい。例えば、工程(A4)で得られたビスフェノールを乾燥させる工程を有してよい。乾燥の方法は減圧乾燥であっても、常圧での乾燥であってもよい。乾燥温度は、適宜決定することができ、例えば、50〜120℃で、2〜15時間乾燥させることができる。
また、上記の通り、工程(A1)と工程(A2)との間に、スラリー溶液(S)を調製する工程を有してもよく、工程(A2)と工程(A3)との間に、溶液(E)を調製する工程を有してもよい。例えば、溶液(e)が水と有機溶媒の2相系である場合、溶液(e1−1)又は溶液(e1−1)と塩基性水溶液との混合溶液(e1−2)を、水相(yW)と芳香族炭化水素を含む有機相(yO)とに分離させ、水相(yW)を除去し、有機相(yO)を得る工程(y)を有してもよい。
また、得られたビスフェノールを、晶析やカラムクロマトグラフィーなどの簡便な手段により更に精製することが可能である。
<ビスフェノールの用途>
本発明のビスフェノールの製造方法で得られるビスフェノールは、光学材料、記録材料、絶縁材料、透明材料、電子材料、接着材料、耐熱材料など種々の用途に用いられるポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレ−ト樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂など種々の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリベンゾオキサジン樹脂、シアネート樹脂など種々の熱硬化性樹脂などの構成成分、硬化剤、添加剤もしくはそれらの前駆体などとして用いることができる。また、感熱記録材料等の顕色剤や退色防止剤、殺菌剤、防菌防カビ剤等の添加剤としても有用である。
これらのうち、良好な機械物性を付与できることから、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の原料(モノマ−)として用いることが好ましく、中でもポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂の原料として用いることがより好ましい。また、顕色剤として用いることも好ましく、特にロイコ染料、変色温度調整剤と組み合わせて用いることがより好ましい。
次に、図面に基づき、本発明のビスフェノールの製造方法の例を具体的に説明する。図3〜図5は、本発明のビスフェノールの製造方法の一例を示す図である。
<ビスフェノールの製造方法(I)>
図3に示すビスフェノールの製造方法(I)は、工程(A1−1)と、工程(A2−1)と、工程(y1)と、工程(A3−1a)と、工程(A4−1a)とを有するビスフェノールの製造方法である。
工程(A1−1)は、酸触媒と、芳香族炭化水素と、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを含む反応液(L1)中で反応を行い、生成するビスフェノールを析出させ、ビスフェノールが分散したスラリー反応生成液(S1)を得る工程であり、工程(A1)の態様のひとつである。
工程(A2−1)は、スラリー反応生成液(S1)を固液分離し、ビスフェノールを含む固形分(C1)と、芳香族炭化水素を含む溶液(e1−1)とを得る工程であり、工程(A2)の態様のひとつである。
工程(y1)は、溶液(e1−1)を水相(yW1)と有機相(yO1)とに分離させ、水相(yW1)を除去し、有機相(yO1)を得る工程であり、工程(y)の態様のひとつである。
工程(A3−1a)は、有機相(yO1)と、塩基性化合物とを混合した蒸留原料(D1a)を蒸留して、芳香族炭化水素の回収溶剤(R1a)を回収する工程であり、工程(A3)の態様のひとつである。
工程(A4−1a)は、回収溶剤(R1a)を含む洗浄溶媒を用いて、ビスフェノールを含む固形分(C1)を洗浄し、ビスフェノールを得る工程であり、工程(A4)の態様のひとつである。
ビスフェノールの製造方法(I)は、工程(A2)と工程(A3)との間に、芳香族炭化水素を含む溶液(E)を調製する工程(工程(y))を有する例である。
ビスフェノールの製造方法(I)では、工程(A2)のスラリー溶液(S)として、工程(A1−1)で得られたスラリー反応生成液(S1)をそのまま用い、工程(A3)の溶液(E)として、工程(y1)で得られた有機相(yO1)を用いる。
工程(A1−1)で得られるスラリー反応生成液(S1)は、酸触媒や縮合反応により生じた水を含むものであり、工程(A2−1)でスラリー反応生成液(S1)を固液分離して得られる溶液(e1−1)は、芳香族炭化水素に加えて、酸触媒や水を含む。ビスフェノールの製造方法(I)では、工程(y1)で、溶液(e1−1)から水相(yW1)を除去する操作を行った後、工程(A3−1a)で、芳香族炭化水素を蒸留回収する。
一般的に、工程(A2−1)で固液分離される溶液(e1−1)は静置することで、水相(yW1)を下相として、水相(yW1)と有機相(yO1)とに分離する。このため、水相(yW1)は、反応槽の底から抜き出すことができる。
工程(A1−1)、工程(A2−1)、工程(A3−1a)及び工程(A4−1a)の方法は、それぞれ工程(A1)、工程(A2)、工程(A3)及び工程(A4)と同様である。
なお、工程(A1−1)における反応液(L1)は、上記工程(A1)に記載の通り、酸触媒と、芳香族炭化水素と、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒド以外にチオール助触媒や、脂肪族アルコールなどの芳香族炭化水素以外の有機溶媒などを含んでよい。
また、工程(A2−1)は、スラリー反応生成液(S1)を、希釈溶媒(水や有機溶媒等)で希釈したスラリー状の希釈液を固液分離する工程としてもよい。
<ビスフェノールの製造方法(II)>
図4に示すビスフェノールの製造方法(II)は、工程(A1−1)と、工程(A2−1)と、工程(y2)と、工程(A3−1b)と、工程(A4−1b)とを有するビスフェノールの製造方法である。
工程(A1−1)および工程(A2−1)は、ビスフェノールの製造方法(I)と同じである。
工程(y2)は、溶液(e1−1)と塩基性水溶液との混合溶液(e1−2)を、水相(yW2)と有機相(yO2)とに分離させ、水相(yW2)を除去し、有機相(yO2)を得る工程であり、工程(y)の態様のひとつである。
工程(A3−1b)は、有機相(yO2)と、塩基性化合物とを混合した蒸留原料(D1b)を蒸留して、芳香族炭化水素の回収溶剤(R1b)を回収する工程であり、工程(A3)の態様のひとつである。
工程(A4−1b)は、回収溶剤(R1b)を含む洗浄溶媒を用いて、ビスフェノールを含む固形分(C1)を洗浄し、ビスフェノールを得る工程であり、工程(A4)の態様のひとつである。
ビスフェノールの製造方法(II)は、工程(y1)の代わりに工程(y2)を有する点でビスフェノールの製造方法(I)と異なる。
ビスフェノールの製造方法(II)では、工程(A2)のスラリー溶液(S)として、工程(A1−1)で得られたスラリー反応生成液(S1)をそのまま用い、工程(A3)の溶液(E)として、工程(y2)で得られた有機相(yO2)を用いる。
上記の通り、溶液(e1−1)は、芳香族炭化水素に加えて、酸触媒や水を含む。工程(y2)では、溶液(e1−1)と塩基性水溶液との混合溶液(e1−2)から水相(yW2)を除去し、有機相(yO2)を得る。
溶液(e1−2)を静置することで、水相(yW2)が下相として分離するため反応槽の底から抜き出すことができる。
溶液(e1−1)に混合させる塩基性水溶液としては、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等が挙げられる。溶液(e1−1)に過剰の塩基性水溶液を混合すると、得られる有機相(yO2)に残存する塩が多く、工程(A3−1b)で蒸留回収される回収溶剤(R1b)の回収率が悪化するため、水相(yW2)のpHが7〜12程度となるように、塩基性水溶液は混合することが好ましい。
なお、有機相(yO2)は、更に水洗浄等した後、塩基性化合物と混合して蒸留原料(D1b)としてもよい。
例えば、溶液(e1−1)と塩基性水溶液とを混合した溶液(e1−2)から、pHが9〜12の水相(yW2a)を除去し、有機相(yO2a)を得る。次いで、有機相(yO2a)を、除去する水相のpHが6.5〜7.5になるまで水で洗浄したり、除去する水相の電気伝導度100μS/cm以下となるまで水で洗浄する。この水洗後の有機相(yO2a)を工程(A3−1b)に用いてもよい。
ここで、水相のpHは、株式会社堀場製作所製pH計「pH METER ES−73」などを用い、25℃での測定とできる。また、水相の電気伝導度は、株式会社堀場製作所製電気伝導度計「COND METER D−71」を用い、25℃での測定とできる。
工程(A1−1)、工程(A2−1)、工程(A3−1b)及び工程(A4−1b)の方法は、それぞれ工程(A1)、工程(A2)、工程(A3)及び工程(A4)と同様である。
なお、ビスフェノールの製造方法(I)、(II)において、工程(A1−1)の反応液(L1)は、芳香族炭化水素を含む有機溶媒を使用した例であるが、スラリー反応生成液(S1)を芳香族炭化水素で希釈し固液分離する場合には、反応液(L1)は、芳香族炭化水素を含まなくてもよい。
また、より純度の高いビスフェノールを得るためには、工程(A4−1a)、工程(A4−1b)の後に、晶析と洗浄(懸濁洗浄など)を行うことが好ましい。この晶析後の洗浄にも、工程(A3−1a)の回収溶剤(R1a)、工程(A3−1b)の回収溶剤(R1b)を使用できる。
<ビスフェノールの製造方法(III)>
図5に示すビスフェノールの製造方法(III)は、工程(A1−1)と、工程(x1)と、工程(x2)と、工程(A2−2)と、工程(A3−2)と、工程(A4−2)とを有するビスフェノールの製造方法である。
工程(A1−1)は、ビスフェノールの製造方法(I)と同じである。
工程(x1)は、スラリー反応生成液(S1)から水相(xW1)を除去し、ビスフェノールが溶解した芳香族炭化水素を含む有機相(xO1)を得る工程である。
工程(x2)は、有機相(xO1)を冷却し、ビスフェノールを析出させて、ビスフェノールが分散したスラリー溶液(S2)を得る工程である。
工程(A2−2)は、スラリー溶液(S2)を固液分離し、ビスフェノールを含む固形分(C2)と、芳香族炭化水素を含む溶液(e2)とを得る工程であり、工程(A2)の態様のひとつである。
工程(A3−2)は、溶液(e2)と、塩基性化合物とを混合した蒸留原料(D2)を蒸留して、芳香族炭化水素の回収溶剤(R2)を回収する工程であり、工程(A3)の態様のひとつである。
工程(A4−2)は、回収溶剤(R2)を含む洗浄溶媒を用いて、ビスフェノールを含む固形分(C2)を洗浄し、ビスフェノールを得る工程であり、工程(A4)の態様のひとつである。
ビスフェノールの製造方法(III)は、工程(A1)と工程(A2)との間に、スラリー溶液(S)を調製する工程である工程(x1)と工程(x2)を有する例である。
工程(x1)と工程(x2)を行うことで、純度の高いビスフェノールを得やすい。
ビスフェノールの製造方法(III)では、工程(A2)のスラリー溶液(S)として、工程(x2)で得られたスラリー溶液(S2)を用いる。また、工程(A3)の溶液(E)として、工程(A2−2)で得られた溶液(e2)をそのまま用いる。
(工程(x1))
工程(x1)は、加熱や良溶媒の添加等によりビスフェノールを有機溶媒中に溶解させた後、水相(xW1)を除去し、有機相(xO1)を得る工程とできる。また、水相(xW1)を除去した後、加熱や良溶媒の添加等によりビスフェノールを有機溶媒中に溶解させて、有機相(xO1)を得る工程としてもよい。
ビスフェノールが溶解した芳香族炭化水素を含む有機相(xO1)を得る方法としては、例えば、以下の方法(i)〜方法(iv)の方法などが挙げられる。
・方法(i)
工程(A1−1)で得られたスラリー反応生成液(S1)と塩基性水溶液とを加熱混合し、ビスフェノールを溶解させる。次いで、水相(xW1)と有機相(xO1)とに分離させた後、水相(xW1)を除去し、有機相(xO1)を得る。
・方法(ii)
工程(A1−1)で得られたスラリー反応生成液(S1)と塩基性水溶液と抽出溶媒とを加熱混合し、ビスフェノールを溶解させる。次いで、水相(xW1)と有機相(xO1)とに分離させた後、水相(xW1)を除去し、有機相(xO1)を得る。
・方法(iii)
工程(A1−1)で得られたスラリー反応生成液(S1)を、水相(xW1)とビスフェノールが分散した芳香族炭化水素を含むスラリー状の有機相(sO1)とに分離させ、水相(xW1)を除去する。次いで、有機相(sO1)を加熱し、ビスフェノールを溶解させ、ビスフェノールが溶解した芳香族炭化水素を含む有機相(xO1)を得る。
・方法(iv)
工程(A1−1)で得られたスラリー反応生成液(S1)を希釈溶媒で希釈したスラリー状の希釈液を、水相(xW1)とビスフェノールが分散した芳香族炭化水素を含むスラリー状の有機相(sO1)とに分離させ、水相(xW1)を除去する。次いで、有機相(sO1)を加熱し、ビスフェノールを溶解させ、ビスフェノールが溶解した芳香族炭化水素を含む有機相(xO1)を得る。
方法(i)、方法(ii)で用いられる塩基性水溶液としては、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等が挙げられる。
方法(ii)で用いられる抽出溶媒としては、芳香族炭化水素などの有機溶媒が挙げられる。
方法(iv)で用いられる希釈溶媒としては、イオン交換水、脱塩水、蒸留水などの水や、食塩水などの酸性〜中性の水溶液、芳香族炭化水素などの有機溶媒が挙げられる。
ここで、工程(A1−1)の反応液(L1)は芳香族炭化水を使用した例であるが、工程(x1)の抽出溶媒や希釈溶媒として芳香族炭化水素を使用する場合には、工程(A1−1)の反応液(L1)は、芳香族炭化水素を含まなくてもよい。
方法(i)〜方法(iv)でビスフェノールを溶解させるための加熱温度は、ビスフェノールが溶解する温度であれば特に限定されず、スラリー状の有機相中の有機溶媒の有無や有機溶媒の種類等に応じて適宜決定される。具体的には、50℃以上や60℃以上とすることができる。また、加熱温度が高すぎるとビスフェノールが分解しやすくなるので、100℃以下や90℃以下が好ましい。
得られた有機相(xO1)は、更に、水や塩基性水溶液で洗浄を行った後、工程(x2)に用いてもよい。例えば、得られた有機相(xO1)を水や食塩水などで洗浄し、更に必要に応じて重曹水などで中和洗浄したり、有機相(xO1)を重曹水などで洗浄し、更に必要に応じて水や食塩水などで洗浄することができる。有機相(xO1)は、除去される水相のpHが7以上となるまで、水や塩基性水溶液を用いて繰り返し洗浄を行うことが好ましい。
例えば、除去される水相のpHが9以上となるように塩基性水溶液で洗浄を行った後、除去される水相のpHが6.5〜7.5となるように水や食塩水などを用いて更に水洗浄を行うことが好ましい。除去される水相が塩基性となるように塩基性水溶液で洗浄を行うことで、ビスフェノールに重合阻害物質が混入しにくくなり、また、工程(A3−2)で回収溶剤(R2)の回収率を更に向上させることができる。一方で、水相の塩基性が強い(pHが高い)と、有機相中のビスフェノールがビスフェノール塩となり、水相に移動することで有機相中のビスフェノールの損失量が増加することから、13以下が好ましく、12以下がより好ましい。
(工程(x2))
工程(x2)は、有機相(xO1)を冷却し、ビスフェノールを析出させて、ビスフェノールが分散したスラリー溶液(S2)を得る工程である。
冷却方法は特に限定されないが、水冷や空冷等で行うことができる。結晶が析出しやすく、析出する結晶の純度を高めるためには、種晶を添加してもよい。種晶は、冷却開始時や冷却中に添加することができる。芳香族アルコールを多量に用いる場合は、工程(x2)の前に蒸留による余剰の芳香族アルコールを留去してから行うことができる。
冷却開始温度は、工程(x1)の加熱温度と同じ温度範囲から選択することができる。冷却開始温度から冷却温度まで冷却することで、ビスフェノールが析出する。
冷却温度はビスフェノールの析出が起こる範囲で選択すればよく特に限定されないが、冷却温度は高すぎると結晶が十分に析出しないため、30℃以下であることが好ましく、20℃以下がより好ましい。また、冷却温度は、−30℃以上の温度で適宜選択することができる。例えば、−20℃以上、−15℃以上、−5℃以上、0℃以上としてもよい。有機相(xO1)の組成によるが、冷却温度は低すぎると、有機相(xO1)が凝固しやすくなるので、5℃以上が好ましい。
冷却速度は、通常、0.1〜1.5℃/min程度である。冷却速度が遅すぎると、ビスフェノールの析出に長時間を要し、冷却速度が速すぎても、不純物を含んだ状態で結晶となりやすい。析出時間は1〜10時間であることが好ましい。
工程(A3−2)では、スラリー溶液(S2)を固液分離し得られた芳香族炭化水素を含む溶液(e2)をそのまま用いる。溶液(e2)に対する塩基性化合物の質量比は、1質量ppb〜20質量%の範囲から任意に選択できるが、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。また、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
[ポリカーボネート樹脂の製造方法]
本発明のビスフェノールの製造方法にて得られたビスフェノール(以下、「本発明のビスフェノール」と記載する場合がある。)を原料とするポリカーボネート樹脂の製造方法について説明する。本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法にて得られるポリカーボネート樹脂は、本発明のビスフェノールと、炭酸ジフェニル等の炭酸ジエステルとを、例えば、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の存在下でエステル交換反応させる方法などにより製造することができる。上記エステル交換反応は、公知の方法を適宜選択して行うことができるが、以下に本発明のビスフェノールと炭酸ジフェニルを原料とした一例を説明する。
上記のポリカーボネート樹脂の製造方法において、炭酸ジフェニルは、本発明のビスフェノールに対して過剰量用いることが好ましい。該ビスフェノールに対して用いる炭酸ジフェニルの量は、製造されたポリカーボネート樹脂に末端水酸基が少なく、ポリマーの熱安定性に優れる点では多いことが好ましく、また、エステル交換反応速度が速く、所望の分子量のポリカーボネート樹脂を製造し易い点では少ないことが好ましい。これらのことから、ビスフェノール1モルに対する使用する炭酸ジフェニルの量は、通常1.001モル以上、好ましくは1.002モル以上であり、また、通常1.3モル以下、好ましくは1.2モル以下である。
原料の供給方法としては、本発明のビスフェノール及び炭酸ジフェニルを固体で供給することもできるが、一方又は両方を、溶融させて液体状態で供給することが好ましい。
炭酸ジフェニルとビスフェノールとのエステル交換反応でポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。上記のポリカーボネート樹脂の製造方法においては、このエステル交換触媒として、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を使用するのが好ましい。これらは、1種類で使用してもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。実用的には、アルカリ金属化合物を用いることが望ましい。
ビスフェノール又は炭酸ジフェニル1モルに対して用いられる触媒量は、通常0.05μモル以上、好ましくは0.08μモル以上、さらに好ましくは0.10μモル以上であり、また、通常100μモル以下、好ましくは50μモル以下、さらに好ましくは20μモル以下である。
触媒の使用量が上記範囲内であることにより、所望の分子量のポリカーボネート樹脂を製造するのに必要な重合活性を得やすく、且つ、ポリマー色相に優れ、また過度のポリマーの分岐化が進まず、成形時の流動性に優れたポリカーボネート樹脂を得やすい。
上記方法によりポリカーボネート樹脂を製造するには、上記の両原料を、原料混合槽に連続的に供給し、得られた混合物とエステル交換触媒を重合槽に連続的に供給することが好ましい。
エステル交換法によるポリカーボネート樹脂の製造においては、通常、原料混合槽に供給された両原料は、均一に攪拌された後、触媒が添加される重合槽に供給され、ポリマーが生産される。
以下、実施例および比較例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
[原料及び試薬]
オルトクレゾール、アセトン、トルエン、硫酸、ドデカンチオール、メタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム及びビフェニルは、和光純薬株式会社の試薬を使用した。炭酸ジフェニルは三菱ケミカル株式会社製を使用した。
[評価]
<フェノールの生成率>
ビスフェノールCと、炭酸ジフェニルとの反応によるフェノールの生成率は、高速液体クロマトグラフィー(以下、LCと称する)により、以下の手順と条件で行った。
・分析装置:島津製作所社製LC−2010A
Imtakt ScherzoSM−C18 3μm 250mm×3.0mmID
・方式:イソクラティック法
・分析温度:40℃
・溶離液組成:
A液 酢酸アンモニウム:酢酸:脱塩素水=3.000g:1mL:1Lの溶液
B液 酢酸アンモニウム:酢酸:アセトニトリル=1.500g:1mL:900mLの溶液
A液:B液=10:90(体積比)
・分析時間:20分
・流速0.34ミリリットル/分
・検出波長は254nmとした。
フェノール生成率(重合初期活性)は、下式で算出した。
フェノール生成率(重合初期活性)=フェノールのLC面積÷(フェノールのLC面積+炭酸ジフェニルのLC面積+ビスフェノールCのLC面積)×100(%)
なお、LC面積とは、高速クロマトグラフィーで検出されたピークの面積を示す。
ビスフェノールCに、炭酸ジフェニルとの反応を阻害する成分の存在量が多いほどフェノール生成率は少なく、反応を阻害する成分が少ないほどフェノールの生成率は多くなる。算出されたフェノール生成率は、以下の基準に基づき、評価した。
◎:フェノール生成率が12.0面積%以上
〇:フェノール生成率が5.0〜12.0面積%
△:フェノール生成率が2.0〜5.0面積%
×:フェノール生成率が2.0面積%以下
<ビスフェノールの重合活性評価>
得られたビスフェノールCを用いてポリカーボネート樹脂を製造し、280℃に昇温してから重合を終了するまでの時間(後段重合時間)をビスフェノールの重合活性として評価した。ビスフェノールの重合活性は、以下の基準に基づき、評価した。
○:140分以上200分以下
△:140分未満又は200分超
×:既定の重合触媒量で重合反応が進行しない
<蒸留回収率>
工程(A3)での芳香族炭化水素の蒸留回収率は、下式で算出した。
蒸留回収率(%)=留出量[g]/仕込み量(晶析ろ液の質量)[g]×100(%)
<リサイクル率>
工程(A3)での芳香族炭化水素のリサイクル可能な回収率をリサイクル率として以下のように評価した。
重合活性評価〇又は△:回収率=リサイクル率
重合活性評価×:リサイクル不可=リサイクル率0%
[実施例1]
(1−1)ビスフェノールCの製造
<工程(A1)>
温度計、滴下ロート、ジャケット及びイカリ型撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下でトルエン280.0g、メタノール15.0g、オルトクレゾール230.4gを入れ、内温を10℃以下に維持しつつ、撹拌しながら98質量%の硫酸95.0gを入れ、混合液Aとした。次に、前記滴下ロートに、アセトン61.0g(物質量1.05モル)、ドデカンチオール5.4g、トルエン50.0gを入れ、混合液Bとした。混合液Aを10℃以下に維持した状態で、該滴下ロート内の混合液Bを撹拌しながら45分かけて混合液Aへ滴下した。混合液Aに混合液Bを滴下している途中で、生成したビスフェノールが析出し、スラリー状となった。さらに、反応液を10℃に維持した状態で更に1時間撹拌し、スラリー生成反応液を得た。
<工程(x1)>
得られたスラリー反応生成液に、25%水酸化ナトリウム溶液120gを加えて撹拌し75℃まで昇温し、ビスフェノールを溶解させた後、静置させて油水分離した。油水分離後、水相をセパラブルフラスコの底から除去した。
得られた有機相に、3重量%炭酸水素ナトリウム溶液を加えて、80℃で撹拌して、油水分離した(水相のpH9.2)。油水分離後、水相をセパラブルフラスコの底から除去した。この有機相に脱塩水100gを加えて、80℃で撹拌し油水分離した。油水分離後、水相をセパラブルフラスコの底から除去した。この操作を3回繰り返し、ビスフェノールCが溶解した有機相620gを得た(最終の水相のpH7.1)。
<工程(x2)>
このビスフェノールCが溶解した有機相を、80℃から5℃まで徐々に冷却し、ビスフェノールCの結晶を析出させ、スラリー溶液を得た。
<工程(A2)>
得られたビスフェノールCの結晶を含むスラリー溶液を、遠心分離機を用いて固液分離を行い、ビスフェノールCのケーキと晶析ろ液とを得た。
工程(A1)、工程(x1)、工程(x2)および工程(A2)のの操作を繰り返し実施し、得られた晶析ろ液を混合し、工程(A3)に使用した。また、ビスフェノールCのケーキも同様に混合し、工程(A4)に使用した。
<工程(A3)>
温度計、スルザーラボラトリーパッキンを備えた留出管、リービッヒ冷却管、撹拌翼及びオイルバスを備えた1Lの蒸留フラスコに、工程(A2)で得た晶析ろ液を500.3g、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)を1.0g入れ、40℃に保ちながら90分間撹拌した。その後、80℃まで昇温し、80℃に保ちながら真空ポンプで647hPaに減圧しつつ、単蒸留でトルエンの回収溶剤を留出させた。留出率6.0%(留出量29.9g/仕込み量500.3g×100)までを初留として廃棄し、オイルバスの温度を110℃まで徐々に昇温しながら留出率77.4%(留出量387.2g/仕込み量500.3g×100)まで蒸発させ、トルエンの回収溶剤1を得た。
晶析ろ液に対する炭酸水素ナトリウムの添加量は0.200質量%(1.0g/500.3g×100)であった。
<工程(A4)>
工程(A2)で得たビスフェノールCのケーキ150gに工程(A3)で得たトルエンの回収溶剤1を100g供給し、ビスフェノールCのケーキをほぐしながら懸濁洗浄を実施し、遠心分離機を用いて固液分離を行った。この作業を更に2回繰り返し、ビスフェノールCの精ケーキを得た。
オイルバスを備えたエバポレータを用いて、減圧下オイルバス温度100℃で軽沸分を留去することで、白色のビスフェノールC115gを得た。
(1−2)ビスフェノールCの初期活性評価
PTFE製試験管に(1−1)で得たビスフェノールC4.7g、炭酸ジフェニル4.5g、453ppmに調整した炭酸セシウム水溶液20μLを入れ、アルミブロックヒーターで190℃、1時間加熱した。
得られた溶融液の一部を取り出し、高速液体クロマトグラフィーで炭酸ジフェニルとの反応によるフェノール生成率を確認したところ、フェノールが16.2面積%生成していた。
(1−3)ビスフェノールCの重合評価
撹拌機及び留出管を備えた内容量150mLのガラス製反応槽に、(1−1)で得られたビスフェノールCを100.00g(0.39モル)、炭酸ジフェニル86.49g(0.4モル)及び、400質量ppmの炭酸セシウム水溶液479μLを入れた。該ガラス製反応槽を約100Paに減圧し、続いて、窒素で大気圧に復圧する操作を3回繰り返し、反応槽の内部を窒素に置換した。その後、該反応槽を200℃のオイルバスに浸漬させ、内容物を溶融した。
撹拌機の回転数を毎分100回とし、反応槽内のビスフェノールCと炭酸ジフェニルのオリゴマー化反応により副生するフェノールを留去しながら、40分間かけて反応槽内の圧力を、絶対圧力で101.3kPaから13.3kPaまで減圧した。続いて反応槽内の圧力を13.3kPaに保持し、フェノールを更に留去させながら、80分間、エステル交換反応を行った。その後、反応槽外部温度を250℃に昇温すると共に、40分間かけて反応槽内圧力を絶対圧力で13.3kPaから399Paまで減圧し、留出するフェノールを系外に除去した。
その後、反応槽外部温度を280℃に昇温、反応槽の絶対圧力を30Paまで減圧し、重縮合反応を行った。反応槽の撹拌機が予め定めた所定の撹拌動力となったときに、重縮合反応を終了した。
280℃に昇温してから重合を終了するまでの時間(後段重合時間)は170分であった。
[実施例2]
(2−1)ビスフェノールCの製造
実施例1と同様に、工程(A1)、工程(x1)、工程(x2)および工程(A2)を行い、ビスフェノールCのケーキと晶析ろ液を得た。
<工程(A3)>
温度計、スルザーラボラトリーパッキンを備えた留出管、リービッヒ冷却管、撹拌翼及びオイルバスを備えた1Lの蒸留フラスコに、工程(A2)で得た晶析ろ液を504.3g、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)を1.0g入れ、撹拌しながら80℃に加温し、30分間保持する。その後、真空ポンプで647hPaに減圧しつつ、単蒸留でトルエンの回収溶剤を留出させた。留出率7.1%(留出量35.7g/仕込み量504.3g×100)までを初留として廃棄し、オイルバスの温度を110℃まで徐々に昇温しながら留出率73.8%(留出量372.3g/仕込み量504.3g×100)まで蒸発させ、トルエンの回収溶剤2を得た。
晶析ろ液に対する炭酸水素ナトリウムの添加量は0.198質量%(1.0g/504.3g×100)であった。
<工程(A4)>
工程(A2)で得たビスフェノールCのケーキ150gに工程(A3)で得たトルエンの回収溶剤2を100g供給し、ケーキをほぐしながら懸濁洗浄を実施し、遠心分離機を用いて固液分離を行った。この作業を更に2回繰り返し、ビスフェノールCの精ケーキを得た。
オイルバスを備えたエバポレータを用いて、減圧下オイルバス温度100℃で軽沸分を留去することで、白色のビスフェノールC117gを得た。
(2−2)ビスフェノールCの初期活性評価
PTFE製試験管に(2−1)で得たビスフェノールC4.7g、炭酸ジフェニル4.5g、453ppmに調整した炭酸セシウム水溶液20μLを入れ、アルミブロックヒーターで190℃、1時間加熱した。
得られた溶融液の一部を取り出し、高速液体クロマトグラフィーで炭酸ジフェニルとの反応によるフェノール生成率を確認したところ、フェノールが14.7面積%生成していた。
(2−3)ビスフェノールCの重合活性評価
(2−1)で得られたビスフェノールCを用い、実施例1と同様に重合反応を実施した。280℃に昇温してから重合を終了するまでの時間(後段重合時間)は172分であった。
[実施例3]
(3−1)ビスフェノールCの製造
実施例1と同様に、工程(A1)、工程(x1)、工程(x2)および工程(A2)を行い、ビスフェノールCのケーキと晶析ろ液を得た。
<工程(A3)>
温度計、スルザーラボラトリーパッキンを備えた留出管、リービッヒ冷却管、撹拌翼及びオイルバスを備えた1Lの蒸留フラスコに、工程(A2)で得た晶析ろ液を508.0g、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)を0.5g入れ、撹拌しながら80℃に加温し、30分間保持する。その後、真空ポンプで647hPaに減圧しつつ、単蒸留でトルエンの回収溶剤を留出させた。留出率12.0%(留出量61.2g/仕込み量508.0g×100)までを初留として廃棄し、オイルバスの温度を110℃まで徐々に昇温しながら留出率80.0%(留出量406.6g/仕込み量508.0g×100)まで蒸発させ、トルエンの回収溶剤3を得た。
晶析ろ液に対する炭酸水素ナトリウムの添加量は0.098質量%(0.5g/508.0g×100)であった。
<工程(A4)>
工程(A2)で得たビスフェノールCのケーキ150gに工程(A3)で得たトルエンの回収溶剤3を100g供給し、ケーキをほぐしながら懸濁洗浄を実施し、遠心分離機を用いて固液分離を行った。この作業を更に2回繰り返し、ビスフェノールCの精ケーキを得た。
オイルバスを備えたエバポレータを用いて、減圧下オイルバス温度100℃で軽沸分を留去することで、白色のビスフェノールC116gを得た。
(3−2)ビスフェノールCの初期活性評価
PTFE製試験管に(3−1)で得たビスフェノールC4.7g、炭酸ジフェニル4.5g、453ppmに調整した炭酸セシウム水溶液20μLを入れ、アルミブロックヒーターで190℃、1時間加熱した。
得られた溶融液の一部を取り出し、高速液体クロマトグラフィーで炭酸ジフェニルとの反応によるフェノール生成率を確認したところ、フェノールが16.2面積%生成していた。
(3−3)ビスフェノールCの重合活性評価
(3−1)で得られたビスフェノールCを用い、実施例1と同様に重合反応を実施した。280℃に昇温してから重合を終了するまでの時間(後段重合時間)は164分であった。
[実施例4]
(4−1)ビスフェノールCの製造
実施例1と同様に、工程(A1)、工程(x1)、工程(x2)および工程(A2)を行い、ビスフェノールCのケーキと晶析ろ液を得た。
<工程(A3)>
温度計、スルザーラボラトリーパッキンを備えた留出管、リービッヒ冷却管、撹拌翼及びオイルバスを備えた1Lの蒸留フラスコに、工程(A2)で得た蒸留原料を503.4g、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)を0.2g入れ、撹拌しながら80℃に加温し、30分間保持する。その後、真空ポンプで647hPaに減圧しつつ、単蒸留で回収溶剤を留出させた。留出率11.6%(留出量58.4g/仕込み量503.4g×100)までを初留として廃棄し、オイルバスの温度を110℃まで徐々に昇温しながら留出率71.8%(留出量361.2g/仕込み量503.4g×100)まで蒸発させ、回収溶剤4を得た。蒸留原料に対する炭酸水素ナトリウムの添加量は0.040質量%(0.2g/503.4g×100)であった。
<工程(A4)>
工程(A2)で得たビスフェノールCのケーキ150gに工程(A3)で得たトルエンの回収溶剤4を100g供給し、ビスフェノールCのケーキをほぐしながら懸濁洗浄を実施し、遠心分離機を用いて固液分離を行った。この作業を更に2回繰り返し、ビスフェノールCの精ケーキを得た。
オイルバスを備えたエバポレータを用いて、減圧下オイルバス温度100℃で軽沸分を留去することで、白色のビスフェノールC115gを得た。
(4−2)ビスフェノールCの初期活性評価
PTFE製試験管に(4−1)で得たビスフェノールC4.7g、炭酸ジフェニル4.5g、453ppmに調整した炭酸セシウム水溶液20μLを入れ、アルミブロックヒーターで190℃、1時間加熱した。
得られた溶融液の一部を取り出し、高速液体クロマトグラフィーで炭酸ジフェニルとの反応によるフェノール生成率を確認したところ、フェノールが16.0面積%生成していた。
(4−3)ビスフェノールの重合活性評価
(4−1)で得られたビスフェノールCを用い、実施例1と同様に重合反応を実施した。280℃に昇温してから重合を終了するまでの時間(後段重合時間)は159分であった。
[実施例5]
(5−1)ビスフェノールCの製造
実施例1と同様に、工程(A1)、工程(x1)、工程(x2)および工程(A2)を行い、ビスフェノールCのケーキと晶析ろ液を得た。
<工程(A3)>
温度計、スルザーラボラトリーパッキンを備えた留出管、リービッヒ冷却管、撹拌翼及びオイルバスを備えた1Lの蒸留フラスコに、工程(A2)で得た晶析ろ液を501.8g、25質量%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を8.4g入れ、撹拌しながら80℃に加温し、30分間保持する。その後、真空ポンプで647hPaに減圧しつつ、単蒸留でトルエンの回収溶剤を留出させた。留出率11.6%(留出量58.0g/仕込み量501.8g×100)までを初留として廃棄し、オイルバスの温度を110℃まで徐々に昇温しながら留出率76.4%(留出量383.4g/仕込み量501.8g×100)まで蒸発させ、トルエンの回収溶剤5を得た。
晶析ろ液に対する水酸化ナトリウムの添加量は0.418質量%(8.4g×0.25/501.8g×100)であった。
<工程(A4)>
工程(A2)で得たビスフェノールCのケーキ150gに工程(A3)で得たトルエンの回収溶剤5を100g供給し、ケーキをほぐしながら懸濁洗浄を実施し、遠心分離機を用いて固液分離を行った。この作業を更に2回繰り返し、精ケーキを得た。
オイルバスを備えたエバポレータを用いて、減圧下オイルバス温度100℃で軽沸分を留去することで、白色のビスフェノールC115gを得た。
(5−2)ビスフェノールCの初期活性評価
PTFE製試験管に(5−1)で得たビスフェノールC4.7g、炭酸ジフェニル4.5g、453ppmに調整した炭酸セシウム水溶液20μLを入れ、アルミブロックヒーターで190℃、1時間加熱した。
得られた溶融液の一部を取り出し、高速液体クロマトグラフィーで炭酸ジフェニルとの反応によるフェノール生成率を確認したところ、フェノールが13.2面積%生成していた。
(5−3)ビスフェノールCの重合活性評価
(5−1)で得られたビスフェノールCを用い、実施例1と同様に重合反応を実施した。280℃に昇温してから重合を終了するまでの時間(後段重合時間)は163分であった。
[実施例6]
(6−1)ビスフェノールCの製造
実施例1と同様に、工程(A1)、工程(x1)、工程(x2)および工程(A2)を行い、ビスフェノールCのケーキと晶析ろ液を得た。
<工程(A3)>
温度計、スルザーラボラトリーパッキンを備えた留出管、リービッヒ冷却管、撹拌翼及びオイルバスを備えた1Lの蒸留フラスコに、工程(A2)で得た晶析ろ液を501.0g、25質量%水酸化カリウム(KOH)水溶液を3.6g入れ、撹拌しながら80℃に加温し、30分間保持する。その後、真空ポンプで647hPaに減圧しつつ、単蒸留でトルエンの回収溶剤を留出させた。留出率12.2%(留出量61.0g/仕込み量501.0g×100)までを初留として廃棄し、オイルバスの温度を110℃まで徐々に昇温しながら留出率76.9%(留出量385.4g/仕込み量501.0g×100)まで蒸発させ、トルエンの回収溶剤6を得た。
晶析ろ液に対する水酸化カリウムの添加量は0.180質量%(3.6g×0.25/501.0g×100)であった。
<工程(A4)>
工程(A2)で得たビスフェノールCのケーキ150gに工程(A3)で得たトルエンの回収溶剤5を100g供給し、ビスフェノールCのケーキをほぐしながら懸濁洗浄を実施し、遠心分離機を用いて固液分離を行った。この作業を更に2回繰り返し、ビスフェノールCの精ケーキを得た。
オイルバスを備えたエバポレータを用いて、減圧下オイルバス温度100℃で軽沸分を留去することで、白色のビスフェノールC116gを得た。
(6−2)ビスフェノールCの初期活性評価
PTFE製試験管に(6−1)で得たビスフェノールC4.7g、炭酸ジフェニル4.5g、453ppmに調整した炭酸セシウム水溶液20μLを入れ、アルミブロックヒーターで190℃、1時間加熱した。
得られた溶融液の一部を取り出し、高速液体クロマトグラフィーで炭酸ジフェニルとの反応によるフェノール生成率を確認したところ、フェノールが20.1面積%生成していた。
(6−3)ビスフェノールCの重合活性評価
(6−1)で得られたビスフェノールCを用い、実施例1と同様に重合反応を実施した。280℃に昇温してから重合を終了するまでの時間(後段重合時間)は158分であった。
[比較例1]
(比1−1)ビスフェノールCの製造
実施例1と同様に、工程(A1)、工程(x1)、工程(x2)および工程(A2)を行い、ビスフェノールCのケーキと晶析ろ液を得た。
<溶媒回収工程(工程(A3)に対応)>
温度計、スルザーラボラトリーパッキンを備えた留出管、リービッヒ冷却管、撹拌翼及びオイルバスを備えた1Lの蒸留フラスコに、工程(A2)で得た晶析ろ液を501.3g入れ、撹拌しながら80℃に加温し、真空ポンプで647hPaに減圧しつつ、単蒸留でトルエンの回収溶剤を留出させた。留出率4.4%(留出量22.3g/仕込み量501.3g×100)までを初留として廃棄し、オイルバスの温度を110℃まで徐々に昇温しながら留出率77.6%(留出量388.9g/仕込み量501.3g×100)まで蒸発させ、トルエンの回収溶剤7を得た。
<ビスフェノールC精製工程(工程(A4)に対応)>
工程(A2)で得たビスフェノールCのケーキ150gに溶媒回収工程で得たトルエンの回収溶剤7を100g供給し、ビスフェノールCのケーキをほぐしながら懸濁洗浄を実施し、遠心分離機を用いて固液分離を行った。この作業を更に2回繰り返し、ビスフェノールCの精ケーキを得た。
オイルバスを備えたエバポレータを用いて、減圧下オイルバス温度100℃で軽沸分を留去することで、白色のビスフェノールC115gを得た。
(比1−2)ビスフェノールCの初期活性評価
PTFE製試験管に(比1−1)で得たビスフェノールC4.7g、炭酸ジフェニル4.5g、453ppmに調整した炭酸セシウム水溶液20μLを入れ、アルミブロックヒーターで190℃、1時間加熱した。
得られた溶融液の一部を取り出し、高速液体クロマトグラフィーで炭酸ジフェニルとの反応によるフェノール生成率を確認したところ、フェノールが0.3面積%生成していた。
(比1−3)ビスフェノールCの重合活性評価
(比1−1)で得られた精製ビスフェノールCを用い、実施例1と同様に重合反応を実施したが、既定の重合触媒量(400質量ppmの炭酸セシウム水溶液479μL)では重合反応が進行しなかった。
[参考例]
(参1−1)
比較例1の溶媒回収工程に代わりに、以下の通りに溶媒回収工程を行った以外は、比較例1と同様にして、白色のビスフェノールCを120g得た。
<溶媒回収工程>
温度計、スルザーラボラトリーパッキンを備えた留出管、リービッヒ冷却管、撹拌翼及びオイルバスを備えた1Lの蒸留フラスコに、工程(A2)で得た晶析ろ液を687.4g入れ、撹拌しながら80℃に加温し、真空ポンプで647hPaに減圧しつつ、単蒸留でトルエンの回収溶剤を留出させた。留出率4.2%(留出量28.9g/仕込み量687.4g×100)までを初留として廃棄し、オイルバスの温度を110℃まで徐々に昇温しながら留出率45.1%(留出量310.0g/仕込み量687.4g×100)まで蒸発させ、トルエンの回収溶剤9を得た。
(参1−2)ビスフェノールCの初期活性評価
PTFE製試験管に(参1−1)で得たビスフェノールC4.7g、炭酸ジフェニル4.5g、453ppmに調整した炭酸セシウム水溶液20μLを入れ、アルミブロックヒーターで190℃、1時間加熱した。
得られた溶融液の一部を取り出し、高速液体クロマトグラフィーで炭酸ジフェニルとの反応によるフェノール生成率を確認したところ、フェノールが10.6面積%生成していた。
(参1−3)ビスフェノールCの重合活性評価
280℃に昇温してから重合を終了するまでの時間(後段重合時間)は202分であった。
実施例1〜6と比較例1において、用いた塩基性化合物の種類、塩基性化合物/晶析ろ液で表される塩基性化合物の質量比、留出液/仕込み量で表される蒸留原料の回収率、精製ビスフェノールCの炭酸ジフェニルとの反応によるフェノールの生成率、精製ビスフェノールCの重合活性を表1に示す。
表1の結果から、塩基性化合物存在下で回収溶剤を蒸留回収することで、活性阻害物質の回収溶剤への混入を抑制し、その結果、回収溶剤を使用しても、重合活性に優れた品質の製品ビスフェノールCを得られることが分かる。
Figure 2021147367
本発明のビスフェノールの方法で製造されたビスフェノールは、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、芳香族ポリエステル樹脂などの樹脂原料や、硬化剤、顕色剤、退色防止剤、その他殺菌剤や防菌防カビ剤等の添加剤として有用である。

Claims (8)

  1. 下記の工程(A1)〜工程(A4)を有する、ビスフェノールの製造方法。
    工程(A1):酸触媒の存在下、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを反応させ、ビスフェノールを生成させる工程
    工程(A2):前記工程(A1)で得られたビスフェノールが芳香族炭化水素を含む溶媒に分散したスラリー溶液(S)を固液分離し、前記ビスフェノールを含む固形分(C)と、前記芳香族炭化水素を含む溶液(e)とを得る工程
    工程(A3):前記芳香族炭化水素を含む溶液(e)の少なくとも一部を含む溶液(E)と塩基性化合物とを混合した蒸留原料(D)を蒸留して、芳香族炭化水素の回収溶剤(R)を回収する工程
    工程(A4):前記回収溶剤(R)を含む洗浄溶媒を用いて、前記ビスフェノールを含む固形分(C)を洗浄し、ビスフェノールを得る工程
  2. 前記工程(A2)と前記工程(A3)との間に工程(y)を有し、
    前記工程(A1)が、酸触媒と、芳香族炭化水素と、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを含む反応液(L1)中で反応を行い、生成するビスフェノールを析出させ、ビスフェノールが分散したスラリー反応生成液(S1)を得る工程であり、
    前記工程(A2)が、前記スラリー反応生成液(S1)を固液分離し、前記ビスフェノールを含む固形分(C1)と、前記芳香族炭化水素を含む溶液(e1−1)とを得る工程であり、
    前記工程(y)が、前記芳香族炭化水素を含む溶液(e1−1)又は前記溶液(e1−1)と塩基性水溶液との混合溶液(e1−2)を、水相(yW)と前記芳香族炭化水素を含む有機相(yO)とに分離させ、前記水相(yW)を除去し、前記有機相(yO)を得る工程であり、
    前記工程(A3)で用いられる溶液(E)が、前記有機相(yO)である請求項1に記載のビスフェノールの製造方法。
  3. 前記工程(A1)と前記工程(A2)の間に、工程(x1)と工程(x2)とを有し、
    前記工程(A1)が、酸触媒と、芳香族炭化水素と、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを含む反応液(L1)中で反応を行い、生成するビスフェノールを析出させ、ビスフェノールが分散したスラリー反応生成液(S1)を得る工程であり、
    前記工程(x1)が、前記スラリー反応生成液(S1)から水相(xW)を除去し、ビスフェノールが溶解した芳香族炭化水素を含む有機相(xO)を得る工程であり、
    前記工程(x2)が、前記有機相(xO)を冷却し、ビスフェノールを析出させて、ビスフェノールが分散したスラリー溶液(S2)を得る工程であり、
    前記工程(A2)で用いられるスラリー溶液(S)が、前記スラリー溶液(S2)である請求項1に記載のビスフェノールの製造方法。
  4. 前記塩基性化合物が、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群から選ばれるいずれか1種以上の塩基性化合物である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のビスフェノールの製造方法。
  5. 前記酸触媒が、硫酸である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のビスフェノールの製造方法。
  6. 前記芳香族炭化水素が、トルエンである請求項1乃至5のいずれか1項に記載のビスフェノールの製造方法。
  7. 前記ビスフェノールが、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン又は1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサンである請求項1乃至6のいずれか1項に記載のビスフェノールの製造方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のビスフェノールの製造方法で製造したビスフェノールを用いたポリカーボネート樹脂の製造方法。
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