JP2002187862A - テトラメチルビスフェノールf及びその製造方法ならびにその用途 - Google Patents

テトラメチルビスフェノールf及びその製造方法ならびにその用途

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JP2002187862A
JP2002187862A JP2000385574A JP2000385574A JP2002187862A JP 2002187862 A JP2002187862 A JP 2002187862A JP 2000385574 A JP2000385574 A JP 2000385574A JP 2000385574 A JP2000385574 A JP 2000385574A JP 2002187862 A JP2002187862 A JP 2002187862A
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tetramethylbisphenol
water
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JP2000385574A
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Kenichi Morikawa
賢一 森川
Hiroya Murai
浩也 村井
Satoshi Kato
聡 加藤
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】難燃性および透明性に優れた樹脂を製造し得る
テトラメチルビスフェノールFを提供する。 【解決手段】2倍重量のアセトンに溶解した溶液の42
0nmにおける1cmセルで測定した透過率が80%以
上であり、20倍重量のトルエンに溶解した溶液を1倍
量の純水で抽出した際の水相の電気伝導度が25℃にお
いて10μS/cm以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テトラメチルビス
フェノールF及びその製造方法ならびにその用途に関す
る。
【0002】
【従来の技術】テトラメチルビスフェノールF(「ビス
−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−メ
タン」)は、例えば、ポリカーボネート樹脂、エポキシ
樹脂、ポリアリレート等の各種ポリマーの原料成分とし
て使用されている。そして、例えば、ポリカーボネート
樹脂は、透明性、耐衝撃性、耐熱性、自己消火性などに
おいてバランスがとれた性質を有し、電気・電子、OA
機器分野、精密機械分野、自動車分野、日用・雑貨など
の幅広い用途に採用されている。
【0003】通常、プラスチックには難燃性および透明
性が要求され、従って、難燃性および透明性に影響を与
える不純物の少ないテトラメチルビスフェノールFが要
求されるが、テトラメチルビスフェノールF中の不純物
とその影響との関係は未だ明らかにされていない。ま
た、テトラメチルビスフェノールFは、代表的には、
2,6−キシレノールとホルマリンを酸触媒またはアル
カリ触媒で縮合反応することにより製造され、斯かる製
造方法に関する提案は数多くなされているが、精製に関
する提案は少ない。
【0004】ところで、特開平5−53316号公報
は、アルカリ可溶性樹脂、キノンジアジド化合物及びテ
トラメチルビスフェノールFを含有するポジ型レジスト
組成物に関する発明であり、その実施例にはテトラメチ
ルビスフェノールFの合成例として、反応液から析出物
を濾別し、酢酸エチルに完溶させ、水洗し、オイル層の
溶媒を留去し、得られた粗ケーキをn−ヘキサンでリパ
ルブした後に乾燥したとの記載がなされている。
【0005】しかしながら、上記の公報には、難燃性お
よび透明性に関する記載は勿論、純度や色相といった不
純物に関する記載は皆無である。また、この方法による
場合テトラメチルビスフェノールFの収率は低く、ホル
マリン基準の値で50%である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、その目的は、難燃性および透
明性に優れた樹脂を製造し得るテトラメチルビスフェノ
ールF及びその製造方法を提供することにある。また、
本発明の目的は、難燃性および透明性に優れた樹脂を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意検討を
重ねた結果、特定のパラメータで規定されるテトラメチ
ルビスフェノールFにより、また、特定の製造方法によ
り、上記の目的を容易に達成し得るとの知見を得、本発
明の完成に至った。
【0008】すなわち、本発明の第1の要旨は、2倍重
量のアセトンに溶解した溶液の420nmにおける1c
mセルで測定した透過率が80%以上であり、20倍重
量のトルエンに溶解した溶液を1倍量の純水で抽出した
際の水相の電気伝導度が25℃において10μS/cm
以下であることを特徴とするテトラメチルビスフェノー
ルFに存する。
【0009】本発明の第2の要旨は、2,6−キシレノ
ールとホルムアルデヒドとを酸触媒で縮合反応させ、得
られた反応混合物を芳香族炭化水素と水の存在下に液液
抽出して水相と有機相とに分離し、次いで、有機相から
テトラメチルビスフェノールFを晶析して回収すること
を特徴とするテトラメチルビスフェノールFの製造方法
に存する。
【0010】本発明の第3の要旨は、前記のテトラメチ
ルビスフェノールFを原料として得られる熱可塑性樹脂
に存する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
先ず、説明の便宜上、本発明に係るテトラメチルビスフ
ェノールFの製造方法について説明する。
【0012】本発明においては、2,6−キシレノール
とホルムアルデヒドとを酸触媒で縮合反応させる。斯か
る反応自体は公知の方法に従って行うことが出来る。
2,6−キシレノールは、必要に応じて蒸留などで精製
して使用する。ホルムアルデヒドは、通常10〜60重
量%濃度の水溶液として、最も一般的には30〜40重
量%濃度の水溶液(ホルマリン)として使用されるが、
パラホルムアルデヒド等の縮合物を使用してもよい。酸
触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン
酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、シュ
ウ酸などが挙げられる。これらの中では、p−トルエン
スルホン酸が好適に使用される。
【0013】通常、反応は溶媒の存在下に行われる。反
応溶媒の使用により、高融点の固体であるテトラメチル
ビスフェノールFは溶解またはスラリー化される。反応
溶媒としては、水;メタノール、プロパノール等のアル
コール;ブタノール、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプ
タン、オクタン、ノナン、デカン、デカリン、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の
炭化水素などの反応に不活性な溶媒を適宜選択して使用
することが出来るが、後工程での液液抽出を考えると、
好ましくは水または炭化水素、更に好ましくは、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素である。反応溶媒の使
用量は、2,6−キシレノール1重量部当たり、通常
0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜5重量部であ
る。
【0014】反応温度は、通常50〜200℃、好まし
くは60〜150℃である。反応温度が低すぎると反応
速度が十分に得られず、反応温度が高すぎると着色や他
の副反応を招く恐れがある。反応圧力は、特に制限はな
く、減圧、常圧、加圧の何れでもよい。使用する溶媒の
沸点に応じた圧力を設定すれば、溶媒の還流により温度
制御、蒸発潜熱を利用した反応熱の除去を行うことも出
来る。生成する水を系外に抜き出しながら反応すること
も可能であるが、抜き出さなくとも十分反応することが
出来る。
【0015】ホルムアルデヒドの使用量は、2,6−キ
シレノール2モルに対し、通常0.8〜3モル、好まし
くは0.9〜2モルの範囲である。ホルムアルデヒドの
反応理論量は1モルであるが、ホルムアルデヒドをやや
過剰に使用することにより、キシレノールの転化率を上
げ、製品へのキシレノールの残存量を低減することが出
来る。反応時間は、特に制限されないが、キシレノール
の転化率が所定の転化率に達したことを確認して反応を
終了する。キシレノールの転化率は、通常90%以上、
好ましくは95%以上である。
【0016】次いで、本発明においては、得られた反応
混合物を芳香族炭化水素と水の存在下に液液抽出して水
相と有機相とに分離する。上記で得られた反応混合物
は、反応温度や溶媒量によって異なるが、溶液またはス
ラリーである。上記の液液抽出は、必要に応じ、反応混
合物から余分な水や反応溶媒を除いた後、水と芳香族炭
化水素を添加して混合することにより行う。必要に応
じ、遠心抽出機、連続抽出装置などを使用してもよい。
【0017】本発明においては、液液抽出に供する反応
混合物のpHを3〜12の範囲に調節するのが好まし
い。その理由は次の通りである。すなわち、テトラメチ
ルビスフェノールF及び原料2,6−キシレノールは、
酸の存在下高温で長時間加熱されると着色しやすい性質
が有る。特に、酸触媒として、硫酸、p−トルエンスル
ホン酸、メタンスルホン酸などの強酸を使用した場合
は、水相のpHが低くなり、着色し易い。そこで、酸触
媒を中和することが好ましい。反応混合物のpHが強ア
ルカリでも製品の着色が増加する傾向がある。反応混合
物のpHはより好ましくは4〜10である。中和剤とし
ては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、炭
酸塩、重炭酸塩など挙げられる。具体的には、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナ
トリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
【0018】抽出の際の水の使用量は、特に制限されな
いが、使用する芳香族炭化水素1重量部当たり、通常
0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜2重量部であ
る。抽出に使用する芳香族炭化水素は、反応溶媒として
列挙したものの中から適宜選択されるが、好ましくはト
ルエン又はキシレンである。芳香族炭化水素の使用量
は、生成したテトラメチルビスフェノールF1重量部当
たり、通常1〜30重量部、好ましくは2〜10重量部
である。なお、反応溶媒として芳香族炭化水素を使用し
た場合は、液液抽出に必要な量の芳香族炭化水素を添加
すればよい。
【0019】抽出温度は、通常50℃〜150℃、好ま
しくは60〜130℃である。抽出温度が低すぎる場合
は、テトラメチルビスフェノールFを溶解するために必
要な溶媒量が増加し生産性が低下すると共に後工程で晶
析した際の製品回収率も低下する。逆に抽出温度が高す
ぎる場合は、液相に保持するための圧力が高くなる他、
製品の着色増加の懸念がある。圧力は、液相保持が可能
である限り特に制限されないが、絶対圧とて、通常0.
03〜1MPa、好ましくは0.1〜0.3MPaであ
る。抽出時間(撹拌混合時間)は、通常1分から5時
間、好ましくは5分から1時間である。抽出後、適当時
間静置して水相と有機相とに分離する。触媒、ホルマリ
ンその他の水溶性化合物は水相に、テトラメチルビスフ
ェノールF、2,6−キシレノール等の油溶性物質は有
機相に分配される。
【0020】1回の液液抽出では不純物を十分に抽出で
きない場合は、有機相を水洗するのが好ましい。すなわ
ち、有機相に水を添加して混合した後に静置分離する。
有機相の水洗は、洗浄排水(水相)の25℃における電
気伝導度が50μS/cm以下、好ましくは20μS/
cm以下となるまで繰り返すのが好ましい。
【0021】次いで、本発明においては、有機相からテ
トラメチルビスフェノールFを晶析して回収する。すな
わち、有機相(炭化水素溶液)中には、テトラメチルビ
スフェノールF、未反応のキシレノールの他、少量の着
色物質が含有されている。そこで、この溶液を冷却する
か又は一部の溶媒を蒸発して濃縮することにより、テト
ラメチルビスフェノールFの結晶を析出させる。晶析せ
ずに溶媒の蒸発乾固を行った場合、着色の少ない製品を
得ることは困難である。
【0022】晶析温度は、固液分離前の温度として、通
常−20〜50℃、好ましくは0〜40℃である。温度
が高すぎる場合は溶解度が高く晶析効率が十分でなく、
温度が低すぎる場合は冷却に時間がかかり効率的でな
い。晶析したスラリーは、ろ過、遠心分離等の一般的な
固液分離方法で分離することが出来る。固液分離したケ
ーキは、必要に応じて少量の溶媒で洗浄した後に乾燥し
て製品される。製品は、必要に応じて再晶析等の常用の
処方でより高度に精製できる。なお、固液分離したろ液
から蒸留により溶媒回収し、その一部を反応系に再使用
することも出来る。因に、本発明に係るテトラメチルビ
スフェノールFの製造方法の収率は、2,6−キシレノ
ール基準の値として、通常80モル%以上、好ましくは
90モル%以上である。
【0023】次に、本発明のテトラメチルビスフェノー
ルF及びその用途について説明する。本発明のテトラメ
チルビスフェノールFは、例えば、上記の製造方法によ
って得られ、2倍重量のアセトンに溶解した溶液の42
0nmにおける1cmセルで測定した透過率が80%以
上、より好ましくは90%以上であり、20倍重量のト
ルエンに溶解した溶液を1倍量の純水で抽出した際の水
相の電気伝導度が25℃において10μS/cm以下で
あることを特徴とする。そして、本発明のテトラメチル
ビスフェノールFは、これを原料として使用することに
より、難燃性および透明性に優れた樹脂を製造し得ると
いう効果を有する。斯かる本発明は、樹脂の難燃性およ
び透明性が原料のテトラメチルビスフェノールFについ
ての上記のパラメータにより影響されているとの本発明
者らの新規な知見に基づいて達成されたものである。
【0024】本発明のテトラメチルビスフェノールF
は、熱可塑性樹脂、特にポリカーボネート樹脂またはポ
リエステル樹脂の製造原料として好適に使用される。本
発明におけるこれらの熱可塑性樹脂は、原料として本発
明のテトラメチルビスフェノールFを使用する点を除
き、従来公知の方法に従って製造される。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例にお
いて、「部」は「重量部」を意味する。
【0026】実施例1 2,6−キシレノール146.4g(1.2mol)と
37重量%ホルマリン73g(0.90mol)、トル
エン439g、p−トルエンスルホン酸11.4gを5
00mLガラス製フラスコに仕込み、常圧、還流下で5
時間反応を行った。反応途中から、白色結晶が生成しス
ラリー状態になった。反応終了前にガスクロマトグラフ
ィー分析によりキシレノールの転化率が95モル%に達
していることを確認した。
【0027】次いで、反応液に6重量%炭酸水素ナトリ
ウム水溶液84gを加え混合し、酸触媒を中和した。そ
の後、反応液をステンレス製の加圧可能な攪拌器付き液
液抽出装置に入れ、110℃に加熱攪拌し反応生成物を
溶解した後に静置し、装置の下部から水相を抜き出し
た。水相のpHは3.2であった。そして、液液抽出装
置中に水230gを入れ110℃で攪拌混合した後に静
置し、再び装置の下部から水相を抜き出した。これを3
回繰り返した。このときの水相の電気伝導度は、25℃
において19μS/cmであった。
【0028】次いで、液液抽出装置を室温まで徐冷しテ
トラメチルビスフェノールFを晶析した後、固体をろ過
し、少量のトルエンで洗浄した。その後、トルエン45
0gと混合し、昇温して再溶解した後、徐冷してテトラ
メチルビスフェノールF(以下、「TMBPF」と略記
する)126gを回収した。2,6−キシレノール基準
の収率は82モル%であった。この製品は白色であっ
た。
【0029】上記の製品2gをアセトン4gに溶解し、
1cm石英セルでアセトンをリファレンスとして420
nmでの透過率(以下、T420と略す)を測定したとこ
ろ、96%であった。また、製品10gをトルエン20
0gに溶解し、これに純水10gを添加して80℃で攪
拌混合し、静置後に下層(水相)を抜き出して25℃で
の電気伝導度を測定したところ、5μS/cm以下であ
った。
【0030】実施例2 実施例1と同様に反応を行った。反応後の中和は実施し
なかった。反応液を底抜きバルブ、ジャケット付分液槽
(抽出装置)に移し、トルエン2300g、水500g
を添加し、混合しながら80℃に保ち固体を溶解した
後、静置して液液分離し、下層を抜き出した。更に、ト
ルエン相中に水500gを添加して、80℃で混合した
後に静置して分液した。これを2回繰り返した。水相の
電気伝導度は25℃において9μS/cmであった。次
いで、トルエン相から減圧蒸留によりトルエンを約80
重量%回収して液を濃縮し、室温まで冷却してTMBP
Fを晶析した後、ろ過し、少量のトルエン洗浄し、12
9gのTMBPFを回収した。2,6−キシレノール基
準の収率は84モル%であった。この製品は、ほぼ白色
であった。また、実施例1と同様に測定したT420は8
4%、電気伝導度は5μS/cmであった。
【0031】比較例1 実施例1と同様に反応を行った。反応液に水100gを
加え、室温で24重量%水酸化ナトリウム水溶液を加
え、pH6に調節し酸触媒を中和した。次いで、反応ス
ラリーを直接ろ過し、少量の水でケーキをリンスした。
得られたケーキに水600gを添加して60℃で2時間
攪拌した後、スラリーをろ過し、ケーキを少量の水で洗
浄した。得られたケーキとトルエン450gを混合し、
昇温して再溶解した後に溶解液を徐冷してTMBPFを
晶析した。減圧乾燥を行い、TMBPF127gを回収
した。2,6−キシレノール基準の収率は83モル%で
あった。この製品は少し黄色みを帯びていた。また、実
施例1と同様に測定したT42 0は55%、電気伝導度は
60μS/cmであった。製品のS含有量を分析したと
ころ13ppmが残存していた。
【0032】実施例3 <ポリカーボネート樹脂の製造> (1)ビスフェノールAオリゴマーの製造: 2,2−ビス(4−ヒドロキシ−フェニル)プロパン
(「ビスフェノールA」)100部、水酸化ナトリウム
53部、水680部、塩化メチレン330部から成る混
合物を撹拌機付き反応機に仕込み、撹拌した。これにホ
スゲン74部を吹き込み反応を行った。反応終了後、ポ
リカーボネートオリゴマーを含有する塩化メチレン溶液
のみを補集した。得られたオリゴマーの塩化メチレン溶
液の分析結果は下記の通りであった。
【0033】
【表1】 オリゴマー濃度(注1) :23.6重量% 末端クロロホルメート基濃度(注2) :0.34規定 末端フェノール性水酸基濃度(注3) :0.06規定 (注1)蒸発乾固させて測定した。 (注2)アニリンと反応させて得られるアニリン塩酸塩を0.1規定水酸化ナト リウム水溶液で中和滴定した。 (注3)塩化メチレン、四塩化チタン、酢酸溶液に溶解させた時の発色を546 nmで比色定量した。
【0034】(2)TMBPFオリゴマーの製造:実施
例2で得られたTMBPF100部、水酸化ナトリウム
47部、水686部、塩化メチレン479部から成る混
合物を撹拌機付き反応機に仕込み、撹拌した。これに2
5重量%水酸化ナトリウム水溶液569部を添加しなが
らホスゲン173部を吹き込み反応を行った。反応終了
後、TMBPFオリゴマーを含有する塩化メチレン溶液
のみを補集した。得られたオリゴマーの塩化メチレン溶
液の分析結果は下記の通りであった。
【0035】
【表2】 オリゴマー濃度 :24.7重量% 末端クロロホルメート基濃度 :1.18規定 末端フェノール性水酸基濃度 :0.57規定
【0036】(3)ポリカーボネートの重合:ビスフェ
ノールAオリゴマー溶液64.7mL、TMBPFオリ
ゴマー溶液77.1mL、4−tert−ブチルフェノ
ール111.9mg、塩化メチレン52mLから成る混
合物を攪拌機付き重合槽に仕込み攪拌しながら、水 3
1.7mL、4−ジメチルアミノピリジン40mg、2
5重量%水酸化ナトリウム水溶液24.5mLを加えて
3時間界面重合を行った。
【0037】重合反応終了後、水293mL及び塩化メ
チレン189mLを加え30分間撹拌した後、反応混合
物を分液した。ポリカーボネート樹脂を含む塩化メチレ
ン溶液を水酸化ナトリウム水溶液、塩酸水溶液、脱塩水
を順次に使用して洗浄し、最後に塩化メチレンを蒸発さ
せて樹脂を取り出した。この樹脂の粘度平均分子量を次
の方法で測定した結果、20,400であった。
【0038】<粘度平均分子量の測定>試料を塩化メチ
レンに溶解し濃度Cが6.00g/Lの溶液を調製し
た。溶媒(塩化メチレン)の流下時間t0が136.2
1秒のウベローデ型毛管粘度計を使用し、20.0℃に
設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定し
た。以下の式に従って粘度平均分子量Mvを算出した。
【0039】
【数1】a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0−1 b=100×ηsp/C C=6.00(g/L) η=b/a Mv=3207×η1.205
【0040】また、得られたポリカーボネート樹脂粉末
を280℃で5分間プレスして1mm厚のプレスシート
を作成した。このプレスシートの色相は、色差計による
YI値によって評価した結果、YI=1.3であり、良
好であった。また、ポリカーボネート樹脂粉末を310
℃でプレスして厚1.5mm、幅6mmのサンプル片を
作成し、その難燃性をUL−94の評価法に準じて評価
した結果、V−0の難燃性が確認された。
【0041】比較例2 比較例1で得られたTMBPFを使用し、実施例3と同
様に処理してポリカーボネート樹脂を得た。この樹脂の
粘度平均分子量は、実施例3と同様の方法で測定した結
果、19,800であった。また、ポリカーボネート樹
脂の色相は、YI=2.2であり、黄色みが強かった。
また、難燃性はV−0であった。
【0042】実施例4 <ポリエステルの製造>1Lビーカーに水酸化ナトリウ
ム(7.26g)と水(600ml)を秤取り、窒素バ
ブリングしながら攪拌し溶解させた。そこに、p−te
rt−ブチルフェノール(0.3035g)、ベンジル
トリエチルアンモニウムクロライド(0.0890g)
及び実施例1で得られたTMBPF(17.86g)を
順次に添加し攪拌した後、このアルカリ水溶液を2L反
応槽に移した。
【0043】別途、イソフタル酸クロライド(7.22
g)、テレフタル酸クロライド(7.22g)をジクロ
ロメタン(300ml)に溶解し、滴下ロート内に移し
た。重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ
水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン
溶液を1時間かけて滴下した。更に、3時間攪拌を続け
た後、酢酸(2.4ml)、ジクロロメタン(100m
l)及び水(100ml)を加えて30分攪拌した。
【0044】その後、攪拌を停止し有機層を分離した。
この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(600
ml)にて2回洗浄し、次に、0.1N塩酸(600m
l)にて2回洗浄し、更に、水(600ml)にて2回
洗浄した。洗浄後の有機層をメタノール(2000m
l)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥
して目的のポリエステル樹脂を得た。実施例3と同様の
方法で測定した結果、ポリエステル樹脂樹脂の色相は、
YI=1.4であり、良好であった。また、難燃性はV
−0であった。
【0045】比較例3 比較例1で得られたTMBPFを使用し、実施例4と同
様にして重合しポリエステル樹脂得た。実施例3と同様
の方法で測定した結果、ポリエステル樹脂樹脂の色相
は、色相はYI=1.9であり、黄色みが強かった。ま
た、難燃性はV−0であった。
【0046】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、難燃性お
よび透明性に優れた樹脂を製造し得るテトラメチルビス
フェノールF及びその製造方法が提供され、本発明の工
業的価値は顕著である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08G 64/04 C08G 64/04 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 加藤 聡 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 Fターム(参考) 4H006 AA01 AA02 AB46 AC25 AD15 AD16 BA52 BA66 BB11 BC53 FC52 FE13 4H039 CA11 CD10 CD40 4J029 AA03 AA09 AB01 AB07 BB12A BB13A CB05A CB06A HA01 HB05 HC01 JA091 JC231 JF031 KE03 KE09 KF04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2倍重量のアセトンに溶解した溶液の4
    20nmにおける1cmセルで測定した透過率が80%
    以上であり、20倍重量のトルエンに溶解した溶液を1
    倍量の純水で抽出した際の水相の電気伝導度が25℃に
    おいて10μS/cm以下であることを特徴とするテト
    ラメチルビスフェノールF。
  2. 【請求項2】 2,6−キシレノールとホルムアルデヒ
    ドとを酸触媒で縮合反応させ、得られた反応混合物を芳
    香族炭化水素と水の存在下に液液抽出して水相と有機相
    とに分離し、次いで、有機相からテトラメチルビスフェ
    ノールFを晶析して回収することを特徴とするテトラメ
    チルビスフェノールFの製造方法。
  3. 【請求項3】 酸触媒としてp−トルエンスルホン酸を
    使用する請求項2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 液液抽出に供する反応混合物のpHを3
    〜12の範囲に調節る請求項2又は3に記載の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 芳香族炭化水素としてトルエン又はキシ
    レンを使用する請求項2〜4の何れかに記載の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 有機相を水洗し、洗浄排水の25℃にお
    ける電気伝導度が50μS/cm以下になるまで当該水
    洗を行う請求項2〜5の何れかに記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載のテトラメチルビスフェ
    ノールFを原料として得られる熱可塑性樹脂。
  8. 【請求項8】 ポリカーボネート樹脂またはポリエステ
    ル樹脂である請求項7に記載の熱可塑性樹脂。
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