JP2798293B2 - フェノール類の回収方法 - Google Patents
フェノール類の回収方法Info
- Publication number
- JP2798293B2 JP2798293B2 JP14560090A JP14560090A JP2798293B2 JP 2798293 B2 JP2798293 B2 JP 2798293B2 JP 14560090 A JP14560090 A JP 14560090A JP 14560090 A JP14560090 A JP 14560090A JP 2798293 B2 JP2798293 B2 JP 2798293B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- phenols
- diphenyl
- phenol
- aqueous phase
- carbonates
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Description
カーボネート類を製造する際に、未反応のフェノール類
を回収する新規な方法に関する。
コーティング用樹脂、写真フィルムおよびシート等とし
てポリカーボネート樹脂が使用されている。このポリカ
ーボネート樹脂は、ジフェニルカーボネート類を用いた
エステル交換法等の方法で製造されている。このジフェ
ニルカーボネート類は、従来、例えば以下に記載するよ
うな方法で製造されていた。
入してフェノール類を溶解させる。このアルカリ水溶液
にホスゲンを吹き込み、フェノール類とホスゲンとを反
応させてジフェニルカーボネート類を生成させる。この
ジフェニルカーボネート類は、水に不溶であるので、生
成したジフェニルカーボネート類を油水分離することに
より粗ジフェニルカーボネート類を得ることができる。
こうして得られた粗ジフェニルカーボネート類を水洗す
ることにより、高純度のジフェニルカーボネート類を得
ることができる。
程において、原料として使用されたフェノール類は、す
べてが反応するわけではなく、粗ジフェニルカーボネー
ト類を分離した後のアルカリ水相、あるいは粗ジフェニ
ルカーボネートの水洗液中などに数%程度残存してい
る。このようにフェノール類を含有する水溶液は、その
まま放出することはできないので、フェノール類は回収
されている。
水溶液のpH値を調製した後、この水溶液と、メチルイソ
ブチルケトン、トルエンあるいはキュメンなどの有機溶
剤とを接触させて水溶液中に残存しているフェノール類
を有機溶剤相に移行させ、この有機溶剤相を分離した
後、有機溶剤を除去する方法が採用されている。この方
法を採用することにより、フェノール類を有効に回収す
ることができるが、この回収操作に伴って、有機溶剤の
一部が水相に移行するため、この移行した有機溶剤をさ
らに回収しなければならない。そして、この有機溶剤の
回収には、加熱蒸発させる方法が採られており、この操
作には多大なエネルギーを必要とすると共に、この操作
自体が非常に煩雑であるとの問題があった。
せてジフェニルカーボネート類を生成する際に、アルカ
リ水中に残存するフェノール類を効率よく回収する方法
を提供することを目的としている。
せてジフェニルカーボネート類を製造する際に、生成し
たジフェニルカーボネート類が分離された後の水相中に
残存するフェノール類を、ジフェニルカーボネート類を
用いて抽出することを特徴としている。
法のような有機溶剤を使用していない。
剤としてジフェニルカーボネート類を使用しているた
め、抽出されたフェノール類と抽出溶剤であるジフェニ
ルカーボネート類との分離をジフェニルカーボネート類
の精製工程で行うことができる。しかも、このジフェニ
ルカーボネート類は、水に対して不溶であるため、フェ
ノール類の抽出操作の際にジフェニルカーボネート類が
水相に移行することがなく、従って、従来の方法では必
須の工程とされていた抽出後の水相から抽出溶媒を除去
する工程を行う必要がない。
参照しながら具体的に説明する。
模式的に示す工程図である。ここではフェノール類とし
てフェノールを使用してジフェニルカーボネートを製造
する例が示してある。
フェノール類とホスゲンとをアルカリ水相中で反応させ
る。
る化合物を使用することができる。
に、炭素原子数1〜40のアルキル基、フェニル基および
アルキルフェニル基よりなる群から選ばれる原子もしく
は基を表す。また、mは、0〜2の整数、好ましくは0
である。さらに、nは、0(nが0の場合は水素原子を
示す)またはこの式[I]で表されるフェノール類に置
換可能な基の数を表し、mが0の場合には、nは、好ま
しくは0〜5、特に好ましくは0である。
ノール、 nが1、mが0であり、置換基がメチル基であるo−
クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、 nが2、mが0であり、置換基がメチル基であるo,m,
p−キシレノール、 nが0であり、mが1のナフトールなどを挙げること
ができる。
ル、クレゾール、ナフトールなどを使用することが好ま
しく、特にフェノールが好ましい。
ホスゲンとを接触させる。
土類金属の水酸化物を投入することにより調製される。
具体的には、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化
ナトリウム、水酸化カルシウム、トリブチルアミン、ト
リフェニルアミンなどが使用することができ、特に水酸
化ナトリウムが好ましく使用される。
との反応は、第1図において、「DPC反応工程」として
示されている。
えば次式のようになる。
てホスゲンは理論的には0.5モルの割合で使用される
が、この量を0.35〜0.70モル、好ましくは0.40〜0.60モ
ルの範囲内で設定することができる。また、アルカリ金
属の水酸化物は、フェノール類1モルに対して理論的に
は1モルの割合で使用されるが、この量を0.9〜1.2モ
ル、好ましくは1.0〜1.1モルの範囲内で設定することが
できる。
いが、通常は5〜110℃、好ましくは20〜100℃の範囲内
に設定される。このような反応条件下で、反応時間は、
通常は0.1秒〜5時間である。
使用することにより、理論的には、1モルのジフェニル
カーボネート類が生成し、2モルの塩化ナトリウムおよ
び2モルの水が生成する。さらに、上記化合物の他に、
炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが微量副生す
る。
類は、水に不溶であるため、反応の進行に伴って、生成
したジフェニルカーボネート類が油相を形成する。
率は100%ではないので、この油相には、生成したジフ
ェニルカーボネート類のほか、未反応のフェノール類が
含有されている。
副生した塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナ
トリウムなどの無機塩が溶解していると共に、未反応の
フェノール類の一部が数%(重量)程度の濃度で溶解し
ている。
程で油相と水相とに分離される。この相分離工程では、
通常の油水分離操作を利用することができる。
られる。このDPC精製工程では、例えば蒸留操作等によ
って、油相形成成分をジフェニルカーボネート類(精製
ジフェニルカーボネート類)とフェノール類(回収フェ
ノール)とに分離する。回収フェノールは、DPC反応工
程にリサイクルされて、原料として再び使用される。
出工程に送られる。また、上記油相を水洗した洗浄水も
このフェノール抽出工程に送られる。
ネート類を導入する。このジフェニルカーボネート類と
しては、別に調製されたジフェニルカーボネート類を使
用することもできるが、通常は上記DPC精製工程を経て
精製されたジフェニルカーボネート類の少なくとも一部
が使用される。そして、このジフェニルカーボネート類
は、フェノール抽出工程でフェノール類を抽出する抽出
溶剤として作用するのであるから、フェノール類の含有
率が低いものが好ましく、従って実質的にフェノール類
を含有していない精製ジフェニルカーボネート類が好ま
しく使用される。
ボネート類の量は、フェノール類を含有する水溶液1
に対して、通常は0.1〜10、好ましくは0.2〜3の範
囲内に設定される。
溶液と抽出溶媒であるジフェニルカーボネート類とを接
触させて、水溶液中に含有されるフェノール類をジフェ
ニルカーボネート類中に移行させた後、ジフェニルカー
ボネート類を分離してフェノール類を回収する。
する水溶液と抽出溶媒であるジフェニルカーボネート類
との接触は、比較的短時間で充分であり、通常は1秒〜
120分間、好ましくは10秒〜10分間である。すなわち、
ジフェニルカーボネート類は、一般に、水と長時間接触
していると二酸化炭素とフェノール類とに分解すること
があるが、上記のように短時間の接触ではジフェニルカ
ーボネート類はほとんど分解しない。しかも、上記のよ
うな短時間の接触でもフェノール類を有効に抽出するこ
とができる。なお、ジフェニルカーボネート類の分解を
防ぐため、またフェノール類の抽出効率を上げるため、
水相のpH値は、特に規制されないが、通常は3〜10、特
に5〜9の範囲にあることが好ましい。
以上繰り返し行うことが好ましい。
カーボネート類からなる油相は、水相から分離され、次
いで、上記DPC精製工程にフィードされてジフェニルカ
ーボネート類とフェノール類とが分離される。
ある。抽出器としては、ミキサーセトラー型、向流微分
型抽出器、撹拌式および非撹拌式段型抽出器も使用する
ことができる。
水相は、そのまま最終処理工程に送られる。
ないので、上記のような抽出工程で抽出溶媒として使用
しているジフェニルカーボネート類が、水相に移行する
ことがない。従って、抽出溶剤としてジフェニルカーボ
ネートを使用することにより、従来から利用されている
メチルイソブチルケトン、トルエンあるいはキュメンな
どの有機溶剤を使用した場合必須の工程とされていた水
中に溶存している抽出溶媒を除去する工程が不要にな
る。従って、本発明の方法では、上記フェノール抽出工
程でフェノール類が抽出されて分離された水溶液を、抽
出溶剤除去工程を経ることなく、最終処理工程へ送るこ
とができる。
ともある有機物質などが除去される。すなわち、例え
ば、上記フェノール抽出工程から排出された水溶液を活
性炭などの吸着剤、或いは活性汚泥を用いて処理する。
こうして処理することにより、水相からは有機物質が除
去されて、塩化ナトリウムを主な溶解成分とする無機物
質の水溶液として排出される。
ジフェニルカーボネート類は、例えばポリカーボネート
等の製造原料として使用することができる。
ェノール類の抽出溶媒としてジフェニルカーボネート類
を使用している。そして、抽出後のジフェニルカーボネ
ート類とフェノール類との分離にメインプロセスのDPC
精製工程を利用することができる。
不溶であるので、抽出操作後、水相から抽出溶剤である
ジフェニルカーボネート類を除去する操作を行う必要も
ない。
の製造プロセス自体が大幅に合理化される。
説明するが、本発明はこの実施例によって限定的に解釈
されるべきではない。
製造した。
リウムを加えて溶解した。
え、次いで、この溶液の温度を85℃に保ちながら、撹拌
下に、620のホスゲン6.27モルを1.5時間かけて吹き込
んだ。
次いで油相と水相とを分離した。水相のpH値は8.4であ
った。
A)によって、油相中、水相中のフェノールを定量し
た。
程に移して蒸留によりフェノールとジフェニルカーボネ
ートとを分離して精製ジフェニルカーボネートを得た。
なお、分離したフェノールは、原料として再び使用し
た。
られた精製ジフェニルカーボネート2.2を添加して、8
5℃で1分間撹拌した後、15分間静置し、ジフェニルカ
ーボネート相を分離した(1回目の抽出操作)。
操作)。
含まれるフェノールの量および水相中に含まれるフェノ
ールの量を第2表に示す。
溶液を最終処理工程に移して活性炭処理した後、排出し
た。
かった。
添加し、pH値を6.4(30℃)に調整した以外は、実施例
1に記載された方法でフェノールの抽出を2回行った結
果を第3表に示した。
ジフェニルカーボネートの量を、2.2から1.1に変え
て抽出操作を3回行った以外は、実施例1と同様の方法
で実験を行った。
し、pH値を5.3(30℃)に調整した後、実施例3に記載
された方法で、フェノール抽出を2回行った。
を模式的に示す工程図である。
Claims (1)
- 【請求項1】アルカリ水相中でフェノール類とホスゲン
とを接触させてジフェニルカーボネート類を製造する際
に、生成したジフェニルカーボネート類が分離された後
の水相中に残存するフェノール類を、ジフェニルカーボ
ネート類を用いて抽出することを特徴とするフェノール
類の回収方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14560090A JP2798293B2 (ja) | 1990-06-04 | 1990-06-04 | フェノール類の回収方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14560090A JP2798293B2 (ja) | 1990-06-04 | 1990-06-04 | フェノール類の回収方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0441465A JPH0441465A (ja) | 1992-02-12 |
JP2798293B2 true JP2798293B2 (ja) | 1998-09-17 |
Family
ID=15388810
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14560090A Expired - Fee Related JP2798293B2 (ja) | 1990-06-04 | 1990-06-04 | フェノール類の回収方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2798293B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5498319A (en) * | 1993-06-29 | 1996-03-12 | General Electric Company | Process for purifying diaryl carbonates |
-
1990
- 1990-06-04 JP JP14560090A patent/JP2798293B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0441465A (ja) | 1992-02-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5210329A (en) | Process for preparing bisphenol-A | |
US3798277A (en) | Process for the preparation of hydroquinone | |
JPS59231033A (ja) | ビスフエノ−ルaの精製方法 | |
JPS5930726B2 (ja) | ポリカ−ボネ−ト樹脂の製造方法 | |
JP2798293B2 (ja) | フェノール類の回収方法 | |
JPS60142934A (ja) | ビスフエノールのアルカリ金属塩の製造方法 | |
US4012451A (en) | Process for the separation of 4,4'-dichlorodiphenylsulfone | |
US3997599A (en) | Extraction of carboxylic acids from dilute aqueous solutions | |
US3974084A (en) | Process for the manufacture of anhydrous alkali metal arylate solutions and separation of the arylates from alkali metal sulfite | |
US4101590A (en) | Process for separation and purification of vinylphenol | |
JPS6210491B2 (ja) | ||
JPS6217582B2 (ja) | ||
JPS6234755B2 (ja) | ||
JP2002187862A (ja) | テトラメチルビスフェノールf及びその製造方法ならびにその用途 | |
US3980701A (en) | Extraction of carboxylic acids from dilute aqueous solutions | |
US3741731A (en) | Extraction of boron from aqueous solutions with salicylic acid derivatives | |
US3980702A (en) | Extraction of carboxylic acids from dilute aqueous solutions | |
JP2635364B2 (ja) | キナルジンの精製法 | |
US3492355A (en) | Process for the oxidation of hydrocarbons in the presence of boric acid additives | |
JP4219606B2 (ja) | モノ置換ジヒドロキシジフェニルスルホンの製造方法 | |
US5399783A (en) | Preparation of 6,6'-dihydroxy-3,3,3',3'-tetramethyl-1,1'-spirobiindane | |
GB2341178A (en) | Process for the separation of dichlorophenol isomers | |
US3980704A (en) | Extraction of carboxylic acids from dilute aqueous solutions | |
JPH021458A (ja) | 4,4’―ジヒドロキシジフェニルスルホンの製造法 | |
US3980703A (en) | Extraction of carboxylic acids from dilute aqueous solutions |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Year of fee payment: 10 Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080703 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080703 Year of fee payment: 10 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Year of fee payment: 10 Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080703 |
|
R360 | Written notification for declining of transfer of rights |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080703 Year of fee payment: 10 |
|
R360 | Written notification for declining of transfer of rights |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Year of fee payment: 10 Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080703 |
|
R371 | Transfer withdrawn |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080703 Year of fee payment: 10 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080703 Year of fee payment: 10 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080703 Year of fee payment: 10 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090703 Year of fee payment: 11 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |