JP2635364B2 - キナルジンの精製法 - Google Patents

キナルジンの精製法

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JP2635364B2 JP9735788A JP9735788A JP2635364B2 JP 2635364 B2 JP2635364 B2 JP 2635364B2 JP 9735788 A JP9735788 A JP 9735788A JP 9735788 A JP9735788 A JP 9735788A JP 2635364 B2 JP2635364 B2 JP 2635364B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、医薬、農薬、顔料等の合成原料として有用
なキナルジンの精製法に係り、得に不純物として蒸留で
は分離除去することが困難な8−メチルキノリン、チエ
ノピリジン類等を含有するキナルジンの精製法に関す
る。
[従来の技術] キナルジンは、例えばアリニン塩酸塩とパラアルデヒ
ドとから合成する等の合成法によっても製造し得るが、
このような合成法では製造コストが高くつくため、工業
的にはコールタール又は石炭液化油等の石炭系油から酸
抽出によって得られるタール塩基を蒸留して分離し、製
造している。
しかしながら、このように石炭系油から分離した石炭
系の原料キナルジン中にはキノリン、イソキノリン、8
−メチルキノリン等のキナルジン異性体、チエノピリジ
ン類等の不純物が含まれており、特にキナルジンの沸点
(247.6℃)に近似した沸点を有する8−メチルキノリ
ン(247.75℃)やチエノピリジン類等については、蒸留
ではその分離除去が極めて困難である。
このため、石炭系の原料キナルジンを精製する方法と
して、キナルジンと酸とを反応させて結晶性塩を調製
し、この結晶性塩を再結晶及び/又は洗浄若しくはこの
結晶性塩の溶液を洗浄した後アリカリ分解する方法(特
開昭62−198,665号公報)を提案した。
また、キナルジンと尿素を反応させてキナルジンの尿
素付加体を調製し、この尿素付加体を精製した後、分解
して尿素を除き精製キナルジンを得る方法も知られてい
る。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、結晶性塩を調製して精製する前者の方
法では、純度98重量%以上の精製キナルジンが得られる
ものの、結晶性塩の調製に使用する酸及び精製した塩の
分解に必要なアルカリが高価であり、また、アルカリ分
解の際に多量の塩水溶液が発生してその廃棄処理に多大
の経費を要し、しかも、精製過程で固液分離操作を必要
とするほか、再結晶及び/又は洗浄に使用する溶剤の回
収や再使用のための蒸留装置も必要になり、経済性の点
で必ずしも満足し得るものではなかった。
また、キナルジン尿素付加体を調製して精製する後者
の方法も、上記結晶性塩を調製して精製する前者の方法
と同様に、その精製過程で固液分離操作や固体洗浄操作
等の煩雑な操作が必要であるほか、尿素付加体の分解の
際に生成したキナルジンと尿素水溶液との分離性が悪
く、しかも、大量の尿素水溶液が発生してその廃棄処理
に多大の手間を要するという問題があった。
そこで、本発明者らは、このような問題のない新しい
キナルジンの精製法を開発すべく鋭意研究を重ねた結
果、石炭系の原料キナルジンと炭素数8のアルキルフェ
ノール類(2,6−キシレノールを除く)とを共沸蒸留す
ることにより高純度のキナルジンを得ることができるこ
とを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、このような問題がなく、石
炭系の原料キナルジンを効率良くしかも高純度に精製す
ることができるキナルジンの精製法を提供することにあ
る。
また、本発明の他の目的は、キナルジンの精製と同時
に、従来の方法では分離精製することが困難であった8
−メチルキノリン等のメチルキノリン異性体を濃縮する
ことができるキナルジンの精製法を提供することにあ
る。
[課題を解決するための手段] すなわち、本発明は、コールタール、石炭液化油等の
石炭系油から分離して得られた原料キナルジンに共沸溶
媒としてキシレノール類、エチルフェノール類等の炭素
数8のアルキルフェノール類(2,6−キシレノールを除
く)を加え、共沸蒸留してキナルジンを主成分とする共
沸混合物を留出させ、次いで得られた共沸混合物からア
ルキルフェノール類を分離除去するキナルジンの精製法
である。
本発明において、原料として使用する原料キナルジン
は、コールタール、石炭液化油等の石炭系油に含有され
るタール塩基を蒸留、酸抽出等の手段によって回収し、
このタール塩基を蒸留により分離して得られた主として
沸点243〜248℃の範囲の留分を含むキナルジン留分であ
り、好ましくは精密蒸留して純度70重量%以上、より好
ましくは純度80重量%以上となるように精製したもので
ある。このような原料キナルジン中には、不純物とし
て、キノリン、イソキノリン、8−メチルキノリン等の
キナルジン異性体やチエノピリジン類等の不純物が含ま
れており、特に蒸留によっては分離困難な8−メチルキ
ノリン等のメチルキノリン異性体やチエノ[3,2−c]
ピリジン、チエノ[2,3−c]ピリジン等の不純物が通
常10〜20重量%程度含有される。
また上記原料キナルジンに加える共沸溶媒としては、
炭素数8のアルキルフェノール類(2,6−キシレノール
を除く)であり、このアルキルフェノール類としては2,
3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノ
ール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、o−エ
チルフェノール、m−エチルフェノール及びp−エチル
フェノールから選択された1種又は2種以上の混合物を
挙げることができる。そして、これらのアルキルフェノ
ール類のうち特に好ましいのは、3,4−キシレノール又
は3,5−キシレノールである。なお、2,6−キシレノール
は、それ単独では共沸溶媒としての効果がないので使用
できないが、他の炭素数8のアルキルフェノール中に混
入しても格別の不都合は生じないので、例えばキシレノ
ール類の混合物を共沸溶媒として使用する場合等におい
てはこれを除去する必要はない。また、アルキルフェノ
ール類に通常混入する不純物あるいは沸点が近似しない
他の溶媒類が存在しても差し支えない。
そして、上記原料キナルジンに対するこのアルキルフ
ェノール類の使用量については、原料キナルジン1重量
部に対し、アルキルフェノール類を通常0.3〜1.0重量
部、好ましくは0.4〜0.6重量部である。アルキルフェノ
ール類の使用量は、0.3重量部以上であれば特に制限さ
れるものではないが、過剰に加えることは蒸留の効果を
低下させるだけであり、キナルジンの精製効果にはほと
んど影響しない。
さらに、本発明方法の共沸蒸留を行うための蒸留装置
及び蒸留条件としては、理論段数30段程度以上の蒸留塔
であれば得に制限はなく、従来公知の装置及び条件であ
ってよい。
この共沸蒸留に際しては、過剰の共沸溶媒が留出した
後、原料キナルジン中の不純物であるキノリン、イソキ
ノリン、8−メチルキノリン等のメチルキノリン異性体
やチエノピリジン類等が留出し、次いでキナルジン・ア
ルキルフェノール類混合物(概略共沸組成:キナルジン
70〜85重量%、アルキルフェノール類10〜30重量%)が
留出する。
このようにして得られた共沸混合物は、例えば、その
まま又はベンゼン、トルエン等の溶媒に溶解させた後、
5〜20重量%のアルカリ水溶液で洗浄することにより、
アルキルフェノール類をフェノラートとして除去するこ
とができる。このアルカリ洗浄に使用するアリカリの量
は、共沸混合物中のアルキルフェノール類の水酸基の当
量以上であれば特に制限されるものではない。このアル
カリ洗浄の際に使用するベンゼン、トルエン等の溶媒の
使用量は、留出した共沸混合物1重量部に対し0.5〜2.0
重量部がよいが、アルカリ洗浄後におけるキナルジン層
とフェノラート水溶液層との間の分離が可能であれば、
特にこの範囲に制限されるものではない。
上記アルカリ洗浄でアルキルフェノール類が除去され
たキナルジン溶液については、例えば、これを数回水で
洗浄した後、常法により蒸留して溶媒を留去し、精製キ
ナルジンとする。また、アルカリ洗浄で分離されたフェ
ノラート水溶液については、これを常法に従って中和
し、アルキルフェノール類を遊離させ、次いでこのアル
キルフェノール類を水で洗浄することにより、再使用す
ることができる。
[作用] 本発明方法によれば、原料キナルジンの蒸留精製の際
に、共沸溶媒として炭素数8のアルキルフェノール類
(但し、2,6−キシレノールは除く)が存在することに
より、キナルジン・8−メチルキノリン・アルキルフェ
ノール類の3成分系及びキナルジン・アルキルフェノー
ル類の2成分系等の共沸混合物が形成され、3成分系共
沸混合物の方が2成分系共沸混合物よりも蒸気圧が高い
ために分離困難な8−メチルキノリンを含む3成分系共
沸混合物が前留分として留出し、キナルジンを効率良く
高純度に精製できるものと考えられる。また、上記8−
メチルキノリン以外の原料キナルジン中の不純物も、ア
ルキルフェノール類と共沸混合物を形成して分離される
ものと考えられる。
[実施例] 以下、実施例に基づいて、本発明方法を具体的に説明
する。
実施例1〜8並びに比較例1及び2 コールタールから分離して得られた第1表に示す成分
組成の原料キナルジン1重量部に、共沸溶媒として2,3
−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノー
ル、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、o−エチ
ルフェノールから選ばれた1種又は2種以上の混合物0.
5重量部又は1重量部を加え、これを理論段数90段の回
転バンド型蒸留装置で蒸留した。このときの蒸留条件は
蒸留圧力100トル(torr)、還流比10、留出速度0.5重量
部/時間であり、得られた留出油は0.1〜0.45重量部で
あり、その組成はキナルジン65〜85重量%、8−メチル
キノリン0.1〜7重量%及びアルキルフェノール類8〜3
0重量%であった。留出量及び留出油のガスクロマトグ
ラフによる分析結果を第1表に示す。
実施例9 上記実施例1の原料キナルジン10重量部に3,4−キシ
レノール5重量部を加え、実施例1の蒸留装置を使用し
て蒸留圧力100トル(torr)、還流比10及び留出速度3.4
重量部/時間で蒸留し、キナルジン68.6重量%、8−メ
チルキノリン2.6重量%、3,4−キシレノール29.3重量%
の留出油5.3重量部を得た。この留出油をトルエン5.3重
量部に溶解し、留出油中の3,4−キシレノールに対して
0.5当量の10wt%−水酸化ナトリウム水溶液で合計3回
洗浄した。その後キナルジンを含むトルエン溶液と等量
の水を使用して合計4回洗浄し、次いでロータリーエバ
ポレーターでトルエンを留去し、純度96.6重量%のキナ
ルジン3.4重量部を得た(キナルジン回収率42.8重量
%)。留出量及び留出油のガストクロメマトグラフによ
る分析結果を第2表に示す。
なお、10wt%−水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、フ
ェノラートとして除去された3,4−キシレノールは、こ
の水溶液を10wt%−硫酸水溶液で中和することにより、
高純度の結晶として回収された(回収量1.4重量部)。
また、第2表の結果から明らかなように、原料キナル
ジン中に不純物として含まれていた8−メチルキノリン
は、留出温度173℃までの前留分中に高濃度に濃縮され
ることが判明した。
[発明の効果] 本発明方法によれば、石炭系の原料キナルジン中に不
純物として存在し、通常の蒸留によっては分離除去する
ことが困難な8−メチルキノリン等の不純物を可及的に
分離除去することができ、同時にキナルジンの純度を効
率良くかつ経済的に向上させることができる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】石炭系油から分離して得られた原料キナル
    ジンに共沸溶媒として炭素数8のアルキルフェノール類
    (2,6−キシレノールを除く)を加え、共沸蒸留してキ
    ナルジンを主成分とする共沸混合物を留出させ、次いで
    得られた共沸混合物からアルキルフェノール類を分離除
    去することを特徴とするキナルジンの精製法。
  2. 【請求項2】原料キナルジンが蒸留により純度70重量%
    以上に精製されている請求項1記載のキナルジンの精製
    法。
  3. 【請求項3】アルキルフェノール類が2,3−キシレノー
    ル、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、3,4−キ
    シレノール、3,5−キシレノール、o−エチルフェノー
    ル、m−エチルフェノール及びp−エチルフェノールか
    ら選択された1種又は2種以上の混合物である請求項1
    又は2記載のキナルジンの精製法。
  4. 【請求項4】共沸混合物をアルカリ水溶液で洗浄してこ
    の共沸混合物中のアルキルフェノール類を分離除去する
    請求項1〜3のいずれかに記載のキナルジンの精製法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102399185A (zh) * 2010-09-13 2012-04-04 沈颂周 一种2-甲基喹啉的精制方法
CN103626698A (zh) * 2013-12-05 2014-03-12 南京理工大学 一种提纯2-甲基喹啉的方法

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CN102399185A (zh) * 2010-09-13 2012-04-04 沈颂周 一种2-甲基喹啉的精制方法
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