JP2020037530A - ビスフェノールの製造方法、及びポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents
ビスフェノールの製造方法、及びポリカーボネート樹脂の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2020037530A JP2020037530A JP2018165427A JP2018165427A JP2020037530A JP 2020037530 A JP2020037530 A JP 2020037530A JP 2018165427 A JP2018165427 A JP 2018165427A JP 2018165427 A JP2018165427 A JP 2018165427A JP 2020037530 A JP2020037530 A JP 2020037530A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- bisphenol
- reaction
- group
- organic phase
- aqueous phase
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
- 0 *c1c(*)c(O)c(*)c(*)c1 Chemical compound *c1c(*)c(O)c(*)c(*)c1 0.000 description 1
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
- Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
Abstract
Description
本発明の方法で製造されたビスフェノールは、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、芳香族ポリエステル樹脂などの樹脂原料や、硬化剤、顕色剤、退色防止剤、その他殺菌剤や防菌防カビ剤等の添加剤として有用である。
なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
まず、本発明のビスフェノールの製造方法の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明のビスフェノールの製造方法は、硫酸等の酸触媒を用いると共に助触媒(反応促進剤)としてチオールを用いて、芳香族アルコールとケトン又はアルデヒドを縮合させることによりビスフェノールを製造し(反応工程)、製造されたビスフェノールを洗浄工程と晶析工程で精製するに当たり、洗浄工程における洗浄水の水相のpHと電気伝導度を制御することを特徴とする。
本発明のビスフェノールの製造方法に用いる芳香族アルコールは、通常、以下の一般式(1)で表される化合物である。
本発明の製造方法に用いるケトン又はアルデヒドは、通常、以下の一般式(2)で表される化合物である。
本発明の製造方法で用いられる酸触媒としては、硫酸、塩酸、塩化水素ガス、リン酸、p−トルエンスルホン酸などの芳香族スルホン酸、メタンスルホン酸などの脂肪族スルホン酸などが挙げられる。
用いる硫酸の濃度(硫酸水溶液の濃度)が低いと、水の量が多くなるため、ビスフェノールの生成反応が進行しにくくなり、ビスフェノールを製造する反応時間が長くなり、効率的にビスフェノールを製造することが難しい場合がある。そのため、用いる硫酸の濃度は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上であり、更に好ましくは80質量%以上である。また、用いる硫酸の濃度の上限は、通常99.5質量%以下又は99質量%以下である。
本発明においては、ケトン又はアルデヒドと芳香族アルコールとを縮合させる反応に、助触媒としてチオールを用いる。
助触媒としてチオールを用いることで、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの製造において、24体の生成を抑え、44体の選択率を上げる効果と共に、ポリカーボネート樹脂製造時の重合活性を高め、得られるポリカーボネート樹脂の色調を良好なものとするという効果が得られる。このポリカーボネート樹脂製造時の重合活性の向上、得られるポリカーボネート樹脂の色調の改善効果が奏される理由の詳細は明らかではないが、チオールを用いることで、ポリカーボネート樹脂を製造する重合反応に対する阻害物の生成を抑制すると共に、色調悪化物の生成を抑制することができることによると推定される。
本発明のビスフェノールの製造方法では、生成してくるビスフェノールを溶解ないし分散させるために通常有機溶媒を使用する。
有機溶媒としては、ビスフェノールの生成反応を阻害しない範囲で特に限定されず、芳香族炭化水素、脂肪族アルコール、脂肪族炭化水素などが挙げられる(ここで、基質となる芳香族アルコール、および、生成物であるビスフェノールは、有機溶媒から除かれる。)。これらの溶媒は単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。
このように、硫酸と脂肪族アルコールを反応させ、硫酸モノアルキルを生成させることにより、酸触媒の酸強度を制御し、原料のケトン又はアルデヒドの縮合(多量化)及び着色を抑制することができる。このため、副生成物の生成が抑制され、かつ、着色が低減されたビスフェノールを簡便かつ効率よく製造することが可能となる。
本発明のビスフェノールの製造方法では、以下に示す反応式(3)に従って、ケトン又はアルデヒドと、芳香族アルコールとの縮合により、以下の一般式(4)で表されるビスフェノールが製造される。
なお、反応時間は、ケトン又はアルデヒドと、芳香族アルコールとの混合時間も含むものである。例えば、芳香族アルコールと酸触媒とを混合した混合溶液に、ケトン又はアルデヒドを1時間かけて供給した後、1時間反応させた場合、反応時間は2時間である。
また、反応は、用いる酸触媒と同等量以上の水や塩基を加えて酸触媒濃度を低下させることで停止させることが可能である。
本発明のビスフェノールの製造方法において、縮合反応によって得られた前記ビスフェノールは、洗浄工程で洗浄した後、晶析工程で析出させて精製する。
即ち、縮合反応後、反応液から得られたビスフェノールを含有する有機相を脱塩水で洗浄し、洗浄後の有機相を冷却して晶析させる。洗浄は以下の通り複数回行う。晶析についても複数回行ってもよい。
また、縮合反応に芳香族アルコールを多量に用いる場合は、該晶析前に蒸留により余剰の芳香族アルコールを留去してから晶析させてもよい。
なお、通常、本発明に係る精製工程に先立ち、後述の粗精製工程を行って反応により得られたビスフェノールを粗精製し、粗精製ビスフェノールを本発明に係る精製工程に供する。
本発明に係る洗浄工程では、反応工程から得られたビスフェノール、好ましくは後述の粗精製工程を経たビスフェノールを含有する有機相(O1)と脱塩水を混合した後、ビスフェノールを含有する有機相(O2)と水相(W1)とに相分離させ、水相(W1)を除去し、ビスフェノールを含有する有機相(O2)を得る第1工程(第1水洗工程)と、第1工程で得られたビスフェノールを含有する有機相(O2)と脱塩水を混合した後、ビスフェノールを含有する有機相(O3)と水相(W2)とに相分離させ、水相(W2)を除去し、ビスフェノールを含有する有機相(O3)を得る第2工程(第2水洗工程)とを少なくとも行い、水相(W1)のpHが8.5以上となるように第1工程を行い、水相(W2)の電気伝導度が10μS/cmとなるように第2工程を行う。
ここで、脱塩水とは、イオン交換処理した水、純水等の電気伝導度2μS/cm以下の水である。
通常、洗浄工程でビスフェノールを含有する有機相を洗浄した後、晶析工程で温度を下げてビスフェノールを析出させることから、洗浄時の温度は室温(20〜30℃)以上である。温度によってpHは変化することから、その測定温度は、室温(20〜30℃)が好ましく、例えば25℃が好ましい。また、pHは、洗浄槽内で油水混合時に測定してもよく、洗浄槽内で油水混合後に静置分離して得られた水相について測定してもよく、洗浄後に洗浄槽から抜き出した水相について測定してもよいが、測定温度を下げやすい観点より、洗浄、静置分離後に洗浄槽から抜き出した水相のpHを測定することが好ましい。
電気伝導度は、測定温度によって変化することから、pHの測定時と同様、その測定温度は、室温(20〜30℃)が好ましく、例えば25℃が好ましい。また、電気伝導度は、洗浄槽内で油水混合時に測定してもよく、洗浄槽内で油水混合後に静置分離して得られた水相について測定してもよく、洗浄後に洗浄槽から抜き出した水相について測定してもよいが、測定温度を下げやすい観点より、洗浄、静置分離後に洗浄槽から抜き出した水相の電気伝導度を測定することが好ましい。
第2工程における水相(W2)の電気伝導度は10μS/cm以下となるように洗浄を行うが、第2工程における水相(W2)の電気伝導度は好ましくは9μS/cm以下であり、より好ましくは8μS/cm以下である。
前述の洗浄工程で得られた有機相(O3)は、主としてビスフェノールと有機溶媒とからなるものであり、晶析工程で冷却することで高純度の精製ビスフェノールを析出させることができる。
また、取り扱い性向上のために粉砕、分級などを行って粉体性状を制御してもよい。
上記の精製工程に先立ち、本発明のビスフェノールの製造方法では、縮合反応により生成したビスフェノールを含む反応液をアルカリで中和するなどして酸触媒を除去する酸触媒の除去工程、酸触媒の除去後、ビスフェノールを濃縮する濃縮工程、濃縮させたビスフェノールに有機溶媒を加えて洗浄に供する有機相(O1)とする有機相調整工程などを行ってもよい。ここで用いる有機溶媒としては、縮合反応に用いる反応溶媒と同様のものを用いることができ、洗浄工程に供する有機相(O1)のビスフェノール濃度は5〜70質量%、特に10〜60質量%程度であることが好ましい。有機相(O1)のビスフェノール濃度が上記下限以上であればビスフェノールの回収効率を損なうことがなく、また、上記上限以下であれば洗浄効率を高めることができる。
本発明のビスフェノールの製造方法により得られるビスフェノール(以下、「本発明のビスフェノール」と称する場合がある。)は、光学材料、記録材料、絶縁材料、透明材料、電子材料、接着材料、耐熱材料など種々の用途に用いられるポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレ−ト樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂など種々の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリベンゾオキサジン樹脂、シアネート樹脂など種々の熱硬化性樹脂などの構成成分、硬化剤、添加剤もしくはそれらの前駆体などとして用いることができる。また、感熱記録材料等の顕色剤や退色防止剤、殺菌剤、防菌防カビ剤等の添加剤としても有用である。
次に、本発明のビスフェノールを原料とするポリカーボネート樹脂の製造方法について説明する。
エステル交換法によるポリカーボネート樹脂の製造においては、通常、原料混合槽に供給された両原料は、均一に攪拌された後、エステル交換触媒が添加される重合槽に供給され、ポリマーが生産される。
以下の実施例および比較例において、オルトクレゾール、トルエン、水酸化ナトリウム、硫酸、ドデカンチオール、メタノール、アセトン、炭酸水素ナトリウム、エチルメルカプタン、及び炭酸セシウムは、富士フィルム和光純薬株式会社製の試薬を使用した。
炭酸ジフェニルは、三菱ケミカル株式会社製の製品を使用した。
塩化水素ガスは、住友精化株式会社の製品を使用した。
<クレゾールとビスフェノールCの定量分析>
クレゾールとビスフェノールCの定量分析は、高速液体クロマトグラフィーにより、以下の手順と条件で行った。
装置:島津製作所社製LC−2010A
Imtakt ScherzoSM−C18 3μm 150mm×4.6mmID
分析温度:40℃
溶離液組成:
A液 酢酸アンモニウム:酢酸:脱塩素水=3.000g:1mL:1mLの溶液
B液 酢酸アンモニウム:酢酸:アセトニトリル=1.500g:1mL:900mLの溶液
低圧グラジェント法:
分析時間0分ではA液:B液=60:40(体積比、以下同様。)
分析時間0〜25分は溶離液組成をA液:B液=90:10へ徐々に変化させ、
分析時間25〜30分はA液:B液=90:10に維持
流速0.8mL/分
検出波長:280nm
pHの測定は、株式会社堀場製作所製pH計pH METER ES−73を用いて、フラスコから取り出した25℃の水相に対して実施した。
電気伝導度の測定は、株式会社堀場製作所製電気伝導度計COND METER D−71を用いて、フラスコから取り出した25℃の水相に対して実施した。
ビスフェノールCの溶融色差は、日電理化硝子社製試験管P−24(24mmφ×200mm)にビスフェノールCを20g入れ、190℃で30分間溶融させ、日本電色工業社製SE6000を用い、そのハーゼン色数を測定した。このハーゼン色数は50以下であることが好ましい。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、ポリカーボネート樹脂を塩化メチレンに溶解し(濃度6.0g/L)、ウベローデ粘度管を用いて20℃における比粘度(ηsp)を測定し、下記の式により粘度平均分子量(Mv)を算出した。
ηsp/C=[η](1+0.28ηsp)
[η]=1.23×10−4Mv0.8
ペレットYI(ポリカーボネート樹脂の透明性)は、ASTM D1925に準拠して、ポリカーボネート樹脂ペレットの反射光におけるYI値(イエローネスインデックス値)を測定して評価した。装置はコニカミノルタ社製分光測色計CM−5を用い、測定条件は測定径30mm、SCEを選択した。
シャーレ測定用校正ガラスCM−A212を測定部にはめ込み、その上からゼロ校正ボックスCM−A124をかぶせてゼロ校正を行い、続いて内蔵の白色校正板を用いて白色校正を行った。次いで、白色校正板CM−A210を用いて測定を行い、L*が99.40±0.05、a*が0.03±0.01、b*が−0.43±0.01、YIが−0.58±0.01となることを確認した。
YIは、内径30mm、高さ50mmの円柱ガラス容器にペレットを40mm程度の深さまで詰めて測定を行った。ガラス容器からペレットを取り出してから再度測定を行う操作を2回繰り返し、計3回の測定値の平均値を用いた。このペレットYIは20以下であることが好ましい。
(1)第1の混合液の調製
温度計、滴下ロート、ジャケット及びイカリ型撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下でトルエン320g、メタノール12g、オルトクレゾール230g(2.13モル)を入れ、内温を10℃以下とした。その後、撹拌しながら98質量%硫酸95gを0.3時間かけてゆっくり加えた後、5℃以下まで冷やした。
500mLの三角フラスコに、トルエン50g、アセトン65g(1.12モル)、ドデカンチオール5.4gを混合し、第2の混合液(滴下液)を調製した。
第1の混合液の内温を5℃以下にした後、前記滴下ロートを用いて第2の混合液を、前記内温が10℃以上にならないように、1時間かけて供給し、反応液を調製した。
内温10℃で、調製した反応液を2.5時間撹拌した。
反応終了後、25質量%水酸化ナトリウム水溶液190gを供給して80℃まで昇温した。80℃に到達後、静置し、下層の水相を抜き出した。得られた第1の有機相に脱塩水400gを入れ、30分混合して静置し、水相を除去した。得られた第2の有機相に1.5質量%の炭酸水素ナトリウム溶液120gを加えて、30分混合して静置し、下層を抜き出した。得られた第3の有機相に更に1.5質量%の炭酸水素ナトリウム溶液120gを加えて、30分混合して静置し、下層を抜き出した。得られた第4の有機相を抜出し、その質量を測定したところ、666gであった。
得られた第4の有機相を80℃から20℃まで冷却して、20℃で維持させ、ビスフェノールCを析出させた。その後、10℃まで冷却して10℃到達後、遠心分離機を用いて固液分離を行い、ウェットケーキを得た。
撹拌機及び留出管を備えた内容量150mLのガラス製反応槽に、前記ビスフェノールC100.00g(0.39モル)、炭酸ジフェニル86.49g(0.4モル)及び400質量ppmの炭酸セシウム水溶液479μLを入れた。該ガラス製反応槽を約100Paに減圧し、続いて、窒素で大気圧に復圧する操作を3回繰り返し、反応槽の内部を窒素に置換した。その後、該反応槽を200℃のオイルバスに浸漬させ、内容物を溶融した。
その後、回転式カッターを使用して、該ストランドをペレット化して、ペレット状のポリカーボネート樹脂を得た。
ポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv)は24800であり、ペレットYIは7.4であった。
実施例1において、ドデカンチオール5.4gの供給を省略した以外は、実施例1の(1)〜(4)と同様に実施した。
反応収量後、25%水酸化ナトリウム水溶液190gを供給して80℃まで昇温した。80℃に到達後、静置し、下層の水相を抜き出した。得られた第1の有機相に脱塩水400gを入れ、30分混合して静置し、水相を除去した。得られた第2の有機相に1.5質量%の炭酸水素ナトリウム溶液120gを加えて、30分混合して静置し、下層を抜き出した。得られた第3の有機相に更に1.5質量%の炭酸水素ナトリウム溶液120gを加えて、30分混合して静置し、下層を抜き出した。得られた第4の有機相を抜出し、その質量を測定したところ、659gであった。
得られた第4の有機相を80℃から20℃まで冷却して、20℃で維持させ、ビスフェノールCを析出させた。その後、10℃まで冷却して10℃到達後、遠心分離機を用いて固液分離を行い、ウェットケーキを得た。
撹拌機及び留出管を備えた内容量150mLのガラス製反応槽に、前記ビスフェノールC100.00g(0.39モル)、炭酸ジフェニル86.49g(0.4モル)及び400質量ppmの炭酸セシウム水溶液479μLを入れた。該ガラス製反応槽を約100Paに減圧し、続いて、窒素で大気圧に復圧する操作を3回繰り返し、反応槽の内部を窒素に置換した。その後、該反応槽を200℃のオイルバスに浸漬させ、内容物を溶融した。
一方、チオールを使用した場合、得られるビスフェノールCの量は多くなり、その色調(溶融色差)も改善され、第3の水相(W2)の電気電導度を10μS/cm以下に下げることで、所定のトルクまでの撹拌動力の到達が可能となり、目標の分子量を有し、色調が良好なポリカーボネート樹脂が得られることが分かる。
これらの結果より、ビスフェノール製造の縮合反応系にチオールを供給することで、ビスフェノールを製造する縮合反応において、ポリカーボネート樹脂を製造する重合反応に対する阻害物の生成を抑制すると共に、色調悪化物の生成を抑制することができると推定される。
実施例1において、第5〜7の有機相に供給する脱塩水200gを、それぞれ100gに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
その結果、第1の水相(W1)のpHは、10.1であった。また、第3の水相(W2)の電気伝導度は、6.2μS/cmであった。
更に得られたビスフェノールCの溶融色差:ハーゼン色数APHAは25であった。
また、得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は24700であり、ペレットYIは10.6であった。
実施例1において、(5)粗精製における2回の1.5質量%の炭酸水素ナトリウム溶液120gの洗浄を省略した以外は、実施例1と同様に実施した。
その結果、第1の水相(W1)のpHは、3.4であった。また、第3の水相(W2)の電気伝導度は、5.2μS/cmであった。
更に得られたビスフェノールCの溶融色差:ハーゼン色数APHAは65であった。
また、得られたポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv)は23700であり、ペレットYIは33.2であった。
比較例2では、チオールを用いても、第1の水相(W1)のpHが低いため(酸性)、チオールがチオニウム(酸性物質)となり、重合が阻害されていると推定される。
実施例1において、得られた第7の有機相に、脱塩水200gを加え、30分混合し静置し、下層の水相(第3の水相)を除去する操作を省略し、第7の有機相を用いて80℃から10℃まで冷却したこと以外は、実施例1と同様に実施した。その結果、第1の水相(W1)のpHは、9.5であった。また、第2の水相(W2)の電気伝導度は、22.1μS/cmであった。更に得られたビスフェノールCの溶融色差:ハーゼン色数APHAは30であった。
また、得られたビスフェノールCを用いて実施例1と同様に重合反応を実施したが、重合が進行せず、ポリカーボネート樹脂を得られなかった。
この結果より、第1の水相(W1)のpHが9.5と塩基性であっても、第2の水相(W2)の電気伝導度が22.1μS/cmではポリカーボネート樹脂製造原料として重合活性が得られないことが分かる。
(1)混合液の調製
塩化水素吹き込み管、温度計、ジャケット及びイカリ型撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下でオルトクレゾール620g(5.7モル)、アセトン55g(0.9モル)及びエチルメルカプタン25gを入れ、内温を30℃にし、混合液を調製した。
前記混合液に、塩化水素ガスをバブリングさせて、12時間反応させて反応液を得た。
前記反応液を、2Lのフラスコに移し、減圧下、加熱して、反応液から未反応のオルトクレゾールを留去し、残渣を得た。
得られた残渣にトルエン400g加え、温度計、ジャケット及びイカリ型撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに移し替えた。内温を80℃まで昇温し、得られた第1の有機相に脱塩水400gを入れ、30分混合して静置し、水相を除去した。得られた第2の有機相に1.5質量%の炭酸水素ナトリウム溶液120gを加えて、30分混合して静置し、下層を抜き出した。得られた第3の有機相に更に1.5質量%の炭酸水素ナトリウム溶液120gを加えて、30分混合して静置し、下層を抜き出した。
得られた第4の有機相を80℃から20℃まで冷却して、20℃で維持させ、ビスフェノールCを析出させた。その後、10℃まで冷却して10℃到達後、遠心分離機を用いて固液分離を行い、ウェットケーキを得た。
撹拌機及び留出管を備えた内容量150mLのガラス製反応槽に、前記ビスフェノールC100.00g(0.39モル)、炭酸ジフェニル86.49g(0.4モル)及び400質量ppmの炭酸セシウム水溶液479μLを入れた。該ガラス製反応槽を約100Paに減圧し、続いて、窒素で大気圧に復圧する操作を3回繰り返し、反応槽の内部を窒素に置換した。その後、該反応槽を200℃のオイルバスに浸漬させ、内容物を溶融した。
その後、回転式カッターを使用して、該ストランドをペレット化して、ペレット状のポリカーボネート樹脂を得た。
ポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv)は25800であり、ペレットYIは6.3であった。
実施例3において、(5)粗精製の2回の1.5質量%の炭酸水素ナトリウム溶液120gの洗浄を省略した以外は、実施例3と同様に実施した。
その結果、第1の水相(W1)のpHは、4.5であった。また、第3の水相(W2)の電気伝導度は、15.7μS/cmであった。
また、得られたビスフェノールCを用いて実施例3と同様に重合反応を実施したが、重合は進行せず、ポリカーボネート樹脂は得られなかった。
Claims (4)
- 酸触媒及びチオールの存在下、ケトン又はアルデヒドと、芳香族アルコールとを縮合させてビスフェノールを得る反応工程と、得られたビスフェノールを洗浄する洗浄工程と、ビスフェノールを析出させる晶析工程とを有するビスフェノールの製造方法において、
該洗浄工程は、ビスフェノールを含有する有機相(O1)と脱塩水とを混合した後、ビスフェノールを含有する有機相(O2)と水相(W1)とに相分離し、該水相(W1)を除去して該ビスフェノールを含有する有機相(O2)を得る第1工程と、
該第1工程で得られたビスフェノールを含有する有機相(O2)と脱塩水とを混合した後、ビスフェノールを含有する有機相(O3)と水相(W2)とに相分離し、該水相(W2)を除去して該ビスフェノールを含有する有機相(O3)を得る第2工程とを有し、
前記水相(W1)のpHが8.5以上であり、
前記水相(W2)の電気伝導度が10μS/cm以下であり、
該洗浄工程を経た前記有機相(O3)を前記晶析工程に供することを特徴とするビスフェノールの製造方法。 - 前記酸触媒が硫酸又は塩化水素である請求項1に記載のビスフェノールの製造方法。
- 前記ビスフェノールが、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンである請求項1又は2に記載のビスフェノールの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のビスフェノールの製造方法で製造したビスフェノールを用いたポリカーボネート樹脂の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018165427A JP7087848B2 (ja) | 2018-09-04 | 2018-09-04 | ビスフェノールの製造方法、及びポリカーボネート樹脂の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018165427A JP7087848B2 (ja) | 2018-09-04 | 2018-09-04 | ビスフェノールの製造方法、及びポリカーボネート樹脂の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020037530A true JP2020037530A (ja) | 2020-03-12 |
JP7087848B2 JP7087848B2 (ja) | 2022-06-21 |
Family
ID=69737539
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018165427A Active JP7087848B2 (ja) | 2018-09-04 | 2018-09-04 | ビスフェノールの製造方法、及びポリカーボネート樹脂の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7087848B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7528755B2 (ja) | 2020-12-04 | 2024-08-06 | 三菱ケミカル株式会社 | ビスフェノール製造法及びポリカーボネート樹脂の製造法 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002187862A (ja) * | 2000-12-19 | 2002-07-05 | Mitsubishi Chemicals Corp | テトラメチルビスフェノールf及びその製造方法ならびにその用途 |
JP2005162675A (ja) * | 2003-12-03 | 2005-06-23 | Teijin Chem Ltd | 廃芳香族ポリカーボネートから芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法 |
WO2015129640A1 (ja) * | 2014-02-28 | 2015-09-03 | 出光興産株式会社 | ビスフェノールaの製造方法 |
JP2017200913A (ja) * | 2016-04-28 | 2017-11-09 | 三菱ケミカル株式会社 | ビスフェノール化合物の製造方法 |
JP2018115154A (ja) * | 2017-01-16 | 2018-07-26 | 三菱ケミカル株式会社 | ビスフェノール化合物の製造方法 |
-
2018
- 2018-09-04 JP JP2018165427A patent/JP7087848B2/ja active Active
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002187862A (ja) * | 2000-12-19 | 2002-07-05 | Mitsubishi Chemicals Corp | テトラメチルビスフェノールf及びその製造方法ならびにその用途 |
JP2005162675A (ja) * | 2003-12-03 | 2005-06-23 | Teijin Chem Ltd | 廃芳香族ポリカーボネートから芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法 |
WO2015129640A1 (ja) * | 2014-02-28 | 2015-09-03 | 出光興産株式会社 | ビスフェノールaの製造方法 |
JP2017200913A (ja) * | 2016-04-28 | 2017-11-09 | 三菱ケミカル株式会社 | ビスフェノール化合物の製造方法 |
JP2018115154A (ja) * | 2017-01-16 | 2018-07-26 | 三菱ケミカル株式会社 | ビスフェノール化合物の製造方法 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7528755B2 (ja) | 2020-12-04 | 2024-08-06 | 三菱ケミカル株式会社 | ビスフェノール製造法及びポリカーボネート樹脂の製造法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP7087848B2 (ja) | 2022-06-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2019039520A1 (ja) | 芳香族アルコールスルホン酸塩を含有するビスフェノール組成物及びその製造方法、ポリカーボネート樹脂及びその製造方法、並びに、ビスフェノールの製造方法 | |
JP2020037530A (ja) | ビスフェノールの製造方法、及びポリカーボネート樹脂の製造方法 | |
JP7196438B2 (ja) | ビスフェノールの製造法およびポリカーボネート樹脂の製造法 | |
JP7287018B2 (ja) | ビスフェノール組成物及びポリカーボネート樹脂の製造方法 | |
JP7435115B2 (ja) | ビスフェノールの製造方法およびポリカーボネート樹脂の製造方法 | |
JP7167537B2 (ja) | ビスフェノール製造方法、及びポリカーボネート樹脂の製造方法 | |
JP2023006817A (ja) | ビスフェノールの製造方法及びポリカーボネート樹脂の製造方法 | |
JP2021152001A (ja) | ビスフェノール組成物及びその製造方法並びにポリカーボネート樹脂の製造方法 | |
JP7255109B2 (ja) | ビスフェノールの製造法、及びポリカーボネート樹脂の製造法 | |
JP2023005691A (ja) | ビスフェノールの製造方法及びポリカーボネート樹脂の製造方法 | |
JP7180344B2 (ja) | ビスフェノールの製造方法、及び、ポリカーボネート樹脂の製造方法 | |
JP7135610B2 (ja) | ビスフェノールの製造方法、及びポリカーボネート樹脂の製造方法 | |
JP7287019B2 (ja) | ビスフェノール組成物及びポリカーボネート樹脂の製造方法 | |
JP2020152650A (ja) | ビスフェノールの製造方法、及びポリカーボネート樹脂の製造方法 | |
JP7172308B2 (ja) | ビスフェノールの製造方法、及びポリカーボネート樹脂の製造方法 | |
WO2020184182A1 (ja) | ビスフェノール組成物及びポリカーボネート樹脂 | |
JP7167536B2 (ja) | ビスフェノール製造法、及びポリカーボネート樹脂の製造法 | |
JP2022114119A (ja) | ビスフェノールの製造方法及びポリカーボネート樹脂の製造方法 | |
JP7107044B2 (ja) | ビスフェノールの製造方法及びポリカーボネート樹脂の製造方法 | |
JP2024130529A (ja) | ビスフェノールの製造方法およびポリカーボネート樹脂の製造方法 | |
JP2022152461A (ja) | ビスフェノールの製造方法及びポリカーボネート樹脂の製造方法 | |
JP2023005689A (ja) | ビスフェノール組成物及びポリカーボネート樹脂の製造方法 | |
JP2024130530A (ja) | ビスフェノールの製造方法およびポリカーボネート樹脂の製造方法 | |
JP2022101856A (ja) | ビスフェノールの製造方法及びポリカーボネート樹脂の製造方法 | |
JP2021123543A (ja) | ビスフェノールの製造方法及びポリカーボネート樹脂の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210407 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220114 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220125 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220324 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220510 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220523 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 7087848 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |