JP7135610B2 - ビスフェノールの製造方法、及びポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents

ビスフェノールの製造方法、及びポリカーボネート樹脂の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7135610B2
JP7135610B2 JP2018165412A JP2018165412A JP7135610B2 JP 7135610 B2 JP7135610 B2 JP 7135610B2 JP 2018165412 A JP2018165412 A JP 2018165412A JP 2018165412 A JP2018165412 A JP 2018165412A JP 7135610 B2 JP7135610 B2 JP 7135610B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bisphenol
group
ketone
aldehyde
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018165412A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020037527A (ja
Inventor
馨 内山
敏樹 門田
浩喜 柴田
隆之 吉田
謙二 鶴原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2018165412A priority Critical patent/JP7135610B2/ja
Publication of JP2020037527A publication Critical patent/JP2020037527A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7135610B2 publication Critical patent/JP7135610B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

本発明は、ビスフェノールの製造方法に関する。また、前記ビスフェノールの製造方法で製造されたビスフェノールを用いたポリカーボネート樹脂の製造方法に関する。
本発明のビスフェノールの製造方法で製造されるビスフェノールは、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、芳香族ポリエステル樹脂などの樹脂原料や、硬化剤、顕色剤、退色防止剤、その他殺菌剤や防菌防カビ剤等の添加剤として有用である。
ビスフェノールは、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、芳香族ポリエステル樹脂などの高分子材料の原料として有用である。代表的なビスフェノールとしては、例えば、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパンなどが知られている。
このようなビスフェノールの製造方法として、例えば塩化水素ガスを触媒とする製造方法(特許文献1)、塩酸を触媒とする製造方法(特許文献2)、塩酸と硫酸の混合物を触媒とする製造方法(特許文献3)、硫酸を触媒とする製造方法(特許文献4)が知られている。
特開昭62-138443号公報 特開2008-214248号公報 特開2014-40376号公報 特開2015-51935号公報
日本化学協会誌 1982(8) 1363-1370
しかしながら、塩化水素ガスを触媒とする製造方法(特許文献1)は、ビスフェノールの汎用性の高い製造方法として知られているが、該塩化水素ガスは腐食性が高く、工業的に実施する場合は専用の設備が必要である。
塩酸を触媒とする製造方法(特許文献2)は、塩化水素ガスを触媒とする製造方法より塩化水素の取扱い量は少ないが、濃塩酸は、腐食性があり取扱いが容易ではない。また、反応時間を要する問題がある。
また、塩酸と硫酸の混合物を触媒とする製造方法(特許文献3)は、塩酸を使用しているため腐食性の問題がある。
硫酸を触媒とする製造方法(特許文献4)では、フェノールのスルホン化等の副反応が起こりやすく、それを抑制するために種々の溶媒を比較的多量に使用する必要がある(非特許文献1)。また、硫酸を用いた場合、原料であるケトン類やアルデヒド類の縮合(多量化)などの副反応が起きやすく、これらが着色成分となることが知られている。さらに、本発明者が検討した結果、ビスフェノールの反応液が固化しやすく、反応時間を要するという問題が発生することが判明した。
また、ビスフェノールの製造方法においては、ケトン又はアルデヒドに対する芳香族アルコールの物質量比を理論物質量比よりも高くした条件で反応させてビスフェノールを得ることができるが、未反応の芳香族アルコールを回収しなければならない問題がある。
一方、ケトン又はアルデヒドに対する芳香族アルコールの物質量比を理論物質量比よりも低くした条件で反応させてビスフェノールを得ることができるが、得られたビスフェノールを用いて重合反応をすると活性が悪く重合に時間がかかり、得られるポリカーボネート樹脂の色調が悪化する等の問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、色調及び重合活性に優れたビスフェノールを製造することができるビスフェノールの製造方法の提供を目的とする。
また、得られたビスフェノールを用いて色調の優れたポリカーボネート樹脂を安定的に製造できるポリカーボネート樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、硫酸と脂肪族アルコールを混合して得られた硫酸モノアルキルを触媒とするビスフェノールの製造方法を見出し、既に出願を行った(特願2017-041829)。本発明者らは、かかる硫酸モノアルキルを触媒とするビスフェノールの製造方法において、更に、縮合に用いるケトン又アルデヒドに対する芳香族アルコールのモル比を、特定の範囲とすることにより未反応の芳香族アルコールの回収量を抑え、より効率的で工業的に有利なビスフェノールの製造方法の発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
[1] 触媒及び有機溶媒の存在下で、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを縮合させ、ビスフェノールを得るビスフェノールの製造方法であって、前記触媒が、硫酸モノアルキルを含み、前記ケトン又はアルデヒドに対する前記芳香族アルコールのモル比を1.80以上2.20以下とし、前記ケトン又はアルデヒドと、前記芳香族アルコールとを反応させるビスフェノールの製造方法。
[2] 前記触媒が、硫酸と硫酸モノアルキルとを含み、前記硫酸モノアルキルが、前記硫酸と脂肪族アルコールとから生成される[1]に記載のビスフェノールの製造方法。
[3] 芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを縮合させ、ビスフェノールを得るビスフェノールの製造方法であって、前記ケトン又はアルデヒドに対する前記芳香族アルコールのモル比を1.80以上2.20以下とし、硫酸、脂肪族アルコール及び有機溶媒の存在下で、前記ケトン又はアルデヒドと、前記芳香族アルコールとを反応させることを特徴とするビスフェノールの製造方法。
[4] 前記ケトン又はアルデヒドが、アセトンである[1]から[3]のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
[5] 前記芳香族アルコールが、クレゾールである[1]から[4]のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
[6] 前記有機溶媒が、芳香族炭化水素である[1]から[5]のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
[7] [1]から[6]のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法によって製造されたビスフェノールを用いてポリカーボネート樹脂を製造するポリカーボネート樹脂の製造方法。
本発明によれば、色調及び重合活性に優れたビスフェノールを製造することができる。また、得られたビスフェノールを用いて色調の優れたポリカーボネート樹脂を安定的に製造することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。
1.ビスフェノールの製造方法
本発明は、触媒及び有機溶媒の存在下で、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを縮合させ、ビスフェノールを得るビスフェノールの製造方法であって、前記触媒が、硫酸モノアルキルを含み、前記ケトン又はアルデヒドに対する前記芳香族アルコールのモル比を1.80以上2.20以下とし、前記ケトン又はアルデヒドと、前記芳香族アルコールとを反応させるビスフェノールの製造方法(以下、「本発明のビスフェノールの製造方法(1)」という場合がある。)に関するものである。
好ましくは、本発明は、触媒が、硫酸と硫酸モノアルキルとを含み、前記硫酸モノアルキルが、前記硫酸と脂肪族アルコールから生成されるビスフェノールの製造方法に係るものである。
また、本発明は、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを縮合させ、ビスフェノールを得るビスフェノールの製造方法であって、前記ケトン又はアルデヒドに対する前記芳香族アルコールのモル比を1.80以上2.20以下とし、硫酸、脂肪族アルコール及び有機溶媒の存在下で、前記ケトン又はアルデヒドと、前記芳香族アルコールとを反応させるビスフェノールの製造方法(以下、「本発明のビスフェノールの製造方法(2)」という場合がある。)に関するものでる。
本発明のビスフェノールの製造方法(2)では、反応系内において、硫酸と脂肪族アルコールとの反応により硫酸モノアルキルが生成し、生成した硫酸モノアルキルも触媒の機能を果たす。
本発明のビスフェノールの製造方法(1)と本発明のビスフェノールの製造方法(2)は、硫酸モノアルキル存在下で反応を行うという点で共通する。以下、本発明のビスフェノールの製造方法(1)及び本発明のビスフェノールの製造方法(2)を合わせた発明を、「本発明のビスフェノールの製造方法」という。
本発明のビスフェノールの製造方法の第1の特徴は、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを縮合させビスフェノールを得る反応において、硫酸モノアルキルを触媒の必須構成要件として含むことである。
硫酸モノアルキルを用いることで、触媒の酸強度を制御し、原料のケトン又はアルデヒドの縮合(多量化)及び着色化を抑制し、副反応物の生成及び生成物の着色が低減されたビスフェノールを、簡便に効率よく製造することが可能である。
係る硫酸モノアルキルは、硫酸モノアルキルをそのまま使用することができるが、硫酸モノアルキルは単離することが困難であるので、好ましくは、硫酸を併用して、硫酸と脂肪族アルコールとから生成させた硫酸モノアルキルを使用することがより効率的である。
また、本発明のビスフェノールの製造方法において、硫酸と脂肪族アルコールとから硫酸モノアルキルを生成させることで、未反応の硫酸も触媒として働く。また、硫酸モノアルキルを発生させる際に使用した脂肪族アルコールの残存分で生成したビスフェノールを溶解させて反応液の固化を抑制し、混合状態を改善し、反応時間を短縮することが可能である。
次に、本発明のビスフェノールの製造方法の第2の特徴は、縮合に用いるケトン又はアルデヒドに対する芳香族アルコールのモル比((芳香族アルコールのモル数/ケトン数)又は(芳香族アルコールのモル数/アルデヒドのモル数))を1.80以上2.20以下の範囲に制御することである。
このように、縮合に用いるケトン又はアルデヒドに対する芳香族アルコールのモル比を特定の範囲とすることにより未反応の芳香族アルコールの回収量を抑え、また、原料のケトン又はアルデヒドの縮合(多量化)及び着色化を抑制することが可能となる。
また、重合活性の高いビスフェノールを得ることができる。得られたビスフェノールを用いて色調の優れたポリカーボネート樹脂などの高分子材料を効率的に製造することが可能である。
縮合に用いるケトン又はアルデヒドに対する芳香族アルコールのモル比を1.80以上2.20以下の範囲とするために、本発明のビスフェノールの製造方法においては、有機溶媒の存在が必須となる。
以下、使用する原材料や工程等について詳述する。
[芳香族アルコール]
本発明のビスフェノールの製造方法に用いる芳香族アルコールは、通常、以下の一般式(1)で表される化合物である。
Figure 0007135610000001
1~R4としては、それぞれに独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基などが挙げられる。なお、アルキル基、アルコキシ基、アリール基などは、置換または無置換のいずれであってもよい。例えば、水素原子、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、i-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ウンデシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、2,6-ジメチルフェニル基などが挙げられる。
これらのうちR2とR3は立体的に嵩高いと縮合反応が進行しにくいことから好ましくは水素原子である。また、R1~R4は、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基であることがより好ましく、R1及びR4は、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり、R2及びR3は水素原子であることがさらに好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物として、具体的には、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、メトキシフェノール、エトキシフェノール、プロポキシフェノール、ブトキシフェノール、アミノフェノール、ベンジルフェニル、フェニルフェノールなどが挙げられる。
中でも、フェノール、クレゾール、及び、キシレノールからなる群から選択されるいずれかであることが好ましく、クレゾールまたはキシレノールがより好ましく、クレゾールがさらに好ましい。
[ケトン又はアルデヒド]
本発明のビスフェノールの製造方法に用いるケトン又はアルデヒドは、通常、以下の一般式(2)で表される化合物である。
Figure 0007135610000002
5とR6としては、それぞれに独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基などが挙げられる。なお、アルキル基、アルコキシ基、アリール基などは、置換または無置換のいずれであってもよい。例えば、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルへキシル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、i‐ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ウンデシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、2,6-ジメチルフェニル基などが挙げられる。
5とR6は、2つの基の間で互いに結合又は架橋していても良く、R5とR6とが隣接する炭素原子と一緒に結合してシクロアルキリデン基を形成してもよい。なお、シクロアルキリデン基とは、シクロアルカンの1つの炭素原子から2個の水素原子を除去した2価の基である。
5とR6とが隣接する炭素原子と一緒に結合し形成されるシクロアルキリデン基としては、例えば、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、3,3,5-トリメチルシクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、シクロオクチリデン、シクロノニリデン、シクロデシリデン、シクロウンデシリデン、シクロドデシリデン、フルオレニリデン、キサントニリデン、チオキサントニリデンなどが挙げられる。
上記一般式(2)で表される化合物として、具体的には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタンアルデヒド、ヘキサンアルデヒド、ヘプタンアルデヒド、オクタンアルデヒド、ノナンアルデヒド、デカンアルデヒド、ウンデカンアルデヒド、ドデカンアルデヒドなどのアルデヒド類、アセトン、ブタノン、ペンタノン、ヘキサノン、ヘプタノン、オクタノン、ノナノン、デカノン、ウンデカノン、ドデカノンなどのケトン類、ベンズアルデヒド、フェニルメチルケトン、フェニルエチルケトン、フェニルプロピルケトン、クレジルメチルケトン、クレジルエチルケトン、クレジルプロピルケトン、キシリルメチルケトン、キシリルエチルケトン、キシリルプロピルケトンなどのアリールアルキルケトン、シクロプロパノン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロノナノン、シクロデカノン、シクロウンデカノン、シクロドデカノンなどの環状アルカンケトン類等が挙げられる。中でも、アセトンが好ましい。
縮合に用いるケトン又はアルデヒドに対する芳香族アルコールのモル比は、1.80以上2.20以下である。すなわち、縮合に用いられるケトン又はアルデヒド1モルに対して、縮合に用いられる芳香族アルコールが1.80モル以上2.20モル以下である。縮合に用いるケトン又はアルデヒドに対する芳香族アルコールのモル比が1.80より少ないと、重合活性の高いビスフェノールが得られなかったり、色調が悪化する傾向にある。また、縮合に用いるケトン又はアルデヒドに対する芳香族アルコールのモル比が2.20より多いと、生成したビスフェノールを効率的に回収することが難しく、収率が低下しやすい。更に、未反応の芳香族アルコールが増え、未反応の芳香族アルコールを回収する作業等が必要になるため、経済的に好ましくない。
重合活性が高く、色調の良好なビスフェノールを短時間で製造するためには、縮合に用いるケトン又はアルデヒドに対する芳香族アルコールのモル比が、1.85以上が好ましく、1.90以上がさらに好ましい。また、その上限は、2.15以下が好ましく、2.10以下がより好ましい。
なお、このケトン又はアルデヒドに対する芳香族アルコールのモル比は、反応液を調製するときに用いる芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとのモル比であり、仕込み時のモル比である。
[触媒]
本発明の製造方法で用いられる触媒は、硫酸モノアルキルを含む。触媒は、硫酸モノアルキル単独であっても、硫酸モノアルキルとその他の触媒を併用してもよい。硫酸モノアルキルと併用できるその他の触媒としては、硫酸、塩酸、塩化水素ガス、リン酸、p-トルエンスルホン酸などの芳香族スルホン酸、メタンスルホン酸などの脂肪族スルホン酸などが挙げられる。この中でも、触媒の酸強度が制御しやすいため、硫酸モノアルキルと硫酸とを触媒とすることが好ましい。
縮合に用いるケトン又はアルデヒドに対する触媒のモル比((触媒のモル数/ケトンのモル数)又は(触媒のモル数/アルデヒドのモル数))は、少ない場合は、縮合反応の進行とともに副生する水によって触媒が希釈されて反応に時間を要する。また、多い場合は、ケトン又はアルデヒドの多量化が進行する場合ある。これらのことから、縮合に用いるケトン又はアルデヒドに対する触媒のモル比は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.1以上である。また、その上限は、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは5以下である。
硫酸と脂肪族アルコールより硫酸モノアルキルを生成させる場合は、硫酸モノアルキル及び硫酸が触媒となる。このような場合、硫酸モノアルキルの生成量は硫酸により制御されるので、縮合に用いるケトン又はアルデヒドに対する硫酸のモル比を制御することで、ケトン又はアルデヒドに対する触媒(硫酸モノアルキル及び硫酸)のモル比を制御できる。
[硫酸モノアルキル]
本発明において、硫酸モノアルキルとは、下記一般式(3)で表される化合物である。
Figure 0007135610000003
一般式(3)において、R7は、アルキル基を表す。アルキル基は、直鎖状であっても、分岐したものであってもよい。また、アルキル基は、無置換であっても、置換基を有してもよい。
置換アルキル基としては、ヒドロキシル基(OH基)が置換したヒドロキシアルキル基や、ヒドロキシアルコキシ基が置換したヒドロキシアルコキシアルキル基等が挙げられる。
有機溶媒及び水への溶解性の観点から、R7は、炭素数12以下のアルキル基であることが好ましい。なお、置換アルキル基の場合、炭素数12以下のアルキル基とは、置換基の炭素原子の数も含めて炭素原子の数が12以下のアルキル基を意味する。例えば、R7が2-ヒドロキシエトキシエチル基である場合、炭素数は4である。炭素が多くなり親油性が増加するほど、硫酸モノアルキルが有機相と水相を行き来し難くなることから、R7は、炭素数が8以下のアルキル基であることがより好ましい。
7のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、n-へキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエトキシエチル基、2-(2’-ヒドロキシエトキシ)エトキシエチル基等が挙げられる。
具体的に、一般式(3)で表される硫酸モノアルキルとしては、例えば、硫酸モノメチル、硫酸モノエチル、硫酸モノプロピル、硫酸モノイソプロピル、硫酸モノブチル、硫酸モノイソブチル、硫酸モノt-ブチル、硫酸モノペンチル、硫酸モノイソペンチル、硫酸モノへキシル、硫酸モノへプチル、硫酸モノオクチル、硫酸モノノニル、硫酸モノデシル、硫酸モノウンデシル、硫酸モノドデシル、硫酸モノ(ヒドロキシエチル)、硫酸モノ(2-ヒドロキシエトキシエチル)、硫酸モノ(2-(2’-ヒドロキシエトキシ)エトキシエチル)などを挙げることができる。
硫酸モノアルキルのビスフェノール生成反応液中の濃度としては、硫酸モノアルキルと水との平衡反応から硫酸が生成する観点から、0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましい。また、触媒が多いとビスフェノールの製造効率が低下する観点から、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下がより好ましい。ビスフェノール生成反応液中の硫酸モノアルキルの濃度は、1H-NMRにより分析することにより求めることができる。
硫酸モノアルキルの調製方法としては、硫酸と脂肪族アルコールとを反応させて硫酸モノアルキルを得る方法や、硫酸モノアルキルナトリウム(R7OSO2ONa)などの硫酸モノアルキル金属塩と硫酸を反応させて硫酸モノアルキルを得る方法等が挙げられる。
この中でも、上記のように、硫酸モノアルキルは、硫酸と脂肪族アルコールとから生成させることが好ましい。また、脂肪族アルコールと硫酸を混合すると発熱することから、その混合は脂肪族アルコールの沸点以下で行うことが好ましい。
また、硫酸モノアルキルは、潮解性を有する固体であり、単離することが困難である。そのため、一般的には、硫酸モノアルキルを単離することなしに、硫酸モノアルキルを合成した硫酸モノアルキル合成液をそのまま用いる。例えば、硫酸と脂肪族アルコールとから硫酸モノアルキルを生成させた合成液や、硫酸と硫酸モノアルキル金属塩とから硫酸モノアルキルを生成させた合成液等を用いることができる。また、硫酸モノアルキルは、ビスフェノール生成反応の反応液を調製する時に生成させてもよい。
[硫酸]
硫酸は、脂肪族アルコールや硫酸モノアルキル金属塩と反応させることで、硫酸モノアルキルを生成するものである。また、未反応の硫酸は、それ自身が触媒として働く。
硫酸は、化学式H2SO4で表される酸性の液体である。一般的に、硫酸は水で希釈された硫酸水溶液として用いられ、その濃度に応じて、濃硫酸や希硫酸といわれる。例えば、希硫酸とは、質量濃度が90質量%未満の硫酸水溶液である。
用いる硫酸の濃度(硫酸水溶液のH2SO4の濃度濃度)が低いと、水の量が多くなるため、硫酸モノアルキルが生成しにくい。また、触媒全体の酸性度も低くなり、ビスフェノールを製造する反応時間が長くなり、効率的にビスフェノールを製造することが難しい場合がある。そのため、用いられる硫酸の濃度は、通常、80質量%以上である。また、より重合活性の高いビスフェノールを得るためには、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。また、用いられる硫酸の濃度の上限は、99.5質量%以下や99質量%以下にすることができる。
なお、この硫酸の濃度は、反応液を調製するときに用いられる硫酸水溶液の濃度であり、仕込み時の濃度である。
[脂肪族アルコール]
脂肪族アルコールは、アルキル基とヒドロキシル基が結合したアルキルアルコールである。本発明において、脂肪族アルコールは、アルキル基と1個のヒドロキシル基が結合した1価アルコールでもよく、アルキル基と2個以上のヒドロキシル基が結合した多価アルコールであってもよい。また、アルキル基は、直鎖であっても、分岐していてもよく、無置換であっても、アルキル基の炭素原子の一部が酸素原子によって置換されていてもよい。
脂肪族アルコールは、炭素数が多くなると親油性が増加し、硫酸と混ざりにくくなり硫酸モノアルキルを得にくくなることから、炭素数12以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。
また、脂肪族アルコールは、アルキル基と1個のヒドロキシル基が結合したアルコールであることが好ましく、炭素数1~12のアルキル基と1個のヒドロキシル基が結合したアルコールであることがより好ましく、炭素数1~8のアルキル基と1個のヒドロキシル基が結合したアルコールであることが更に好ましい。
具体的な脂肪族アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、t-ブタノール、n-ペンタノール、i-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール、n-ノナノール、n-デカノール、n-ウンデカノール、n-ドデカノール、エチレングリコール、ジエチレングルコール、トリエチレングリコールなどを挙げることができる。好ましい脂肪族アルコールのひとつは、メタノールである。
硫酸(H2SO4)に対する脂肪族アルコールのモル比(脂肪族アルコールのモル数/硫酸のモル数)は、少ないと、触媒中の硫酸の割合が多くなり、原料のケトン又はアルデヒドの縮合(多量化)及び着色が顕著となる場合がある。また、多くても触媒全体の濃度が低下し、反応が遅くなり反応に長時間を要する。これらのことから、硫酸に対する脂肪族アルコールのモル比の下限は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上である。また、その上限は、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下である。
[有機溶媒]
本発明のビスフェノールの製造方法では、生成してくるビスフェノールを溶解や分散させるために有機溶媒の使用が必須である。また、ビスフェノールの製造に使用した有機溶媒は、反応終了後に蒸留などで回収及び精製して再使用することが可能である。このように有機溶媒を再利用する場合は、沸点が低い溶媒が好ましい。
有機溶媒としては、ビスフェノールの生成反応を阻害しない範囲で特に限定されないが、生成してくるビスフェノールを有機溶媒に完全に溶解させずに分散させた方が、ビスフェノールが分解しにくい。また、反応終了後、反応液からビスフェノールを回収する際の損失(例えば、晶析時のろ液への損失)を低減できることからも、ビスフェノールの溶解度が低い溶媒を用いることが好ましい。このような有機溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素や脂肪族炭化水素を使用することが可能であり、芳香族炭化水素であることが好ましい。芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、メシチレンなどが挙げられる。ビスフェノールが溶解しにくいことや沸点が低いことから、好ましい芳香族炭化水素のひとつはトルエンである。
また、縮合に用いるケトン又はアルデヒドに対する有機溶媒の質量比((有機溶媒の質量/ケトンの質量)又は(有機溶媒の質量/アルデヒドの質量))は、多すぎると、ケトン又はアルデヒドと、芳香族アルコールとが反応しにくく、反応に長時間を要する。少なすぎると、ケトン又はアルデヒドの多量化が促進されたり、析出してくるビスフェノールが固化する場合がある。これらのことから、縮合に用いるケトン又はアルデヒドに対する有機溶媒の質量比は、0.5以上が好ましく、1以上がより好ましく、3以上が更に好ましい。また、その上限は、100以下が好ましく、50以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。
[チオール助触媒]
また、ケトン又はアルデヒドと、芳香族アルコールとを縮合させる反応では、助触媒としてチオール助触媒を用いることができる。助触媒として用いるチオール助触媒としては、例えば、メルカプト酢酸、チオグリコール酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、4-メルカプト酪酸などのメルカプトカルボン酸や、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、ペンチルメルカプタン、へキシルメルカプタン、へプチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン(デカンチオール)、ウンデシルメルカプタン(ウンデカンチオール)、ドデシルメルカプタン(ドデカンチオール)、トリデシルメルカプタン、テトラデシルメルカプタン、ペンタデシルメルカプタン、メルカプトフェノールなどのアルキルチオールなどが挙げられる。
縮合に用いるケトン又はアルデヒドに対するチオール助触媒のモル比((チオール助触媒のモル数/ケトンのモル数)又は(チオール助触媒のモル数/アルデヒドのモル数))は、少ない場合、チオール助触媒を用いることによるビスフェノールの反応選択性に対する改善の効果が得られにくい。なお、ビスフェノールの反応選択性とは、ビスフェノールの生成反応において目的物であるビスフェノールの生成のされやすさの指標であり、ビスフェノールの反応選択性が優れるほどビスフェノールの生成量が多くなる。
また、縮合に用いるケトン又はアルデヒドに対するチオール助触媒のモル比は、多い場合、ビスフェノールに混入して品質が悪化する場合がある。これらのことから、ケトン及びアルデヒドに対するチオール助触媒のモル比の下限は、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.005以上、更に好ましくは0.01以上である。また、その上限は、好ましくは1以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.1以下である。
チオール助触媒は、後述するように、ケトン又はアルデヒドと予め混合してから反応に供することが好ましい。チオール助触媒とケトン又はアルデヒドとの混合方法は、チオール助触媒にケトン又はアルデヒドを供給してもよく、ケトン又はアルデヒドにチオール助触媒を供給してもよい。また、チオール助触媒とケトン又はアルデヒドとの混合液と、触媒との混合方法は、チオール助触媒とケトン又はアルデヒドとの混合液に触媒を供給してもよく、触媒にチオール助触媒とケトン又はアルデヒドとの混合液を供給してもよい。ケトン又はアルデヒドの自己縮合を抑えるため、触媒にチオール助触媒とケトン又はアルデヒドとの混合液を供給する方が好ましい。更に、反応槽に触媒と芳香族アルコールとを供給した後に、チオール助触媒とケトン又はアルデヒドとの混合液を反応槽に供給して混合する方がより好ましい。
[ケトン又はアルデヒドと芳香族アルコールとの縮合反応]
本発明のビスフェノールの製造方法では、以下に示す反応式(4)に従って、ケトン又はアルデヒドと、芳香族アルコールとの縮合により、以下の一般式(5)で表されるビスフェノールが製造される。
Figure 0007135610000004
(式中、R1~R6は、一般式(1)及び(2)におけるものと同義である。)
Figure 0007135610000005
(式中、R1~R6は、一般式(1)及び(2)におけるものと同義である。)
上記一般式(5)で表される化合物として、具体的には、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ペンタン、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ヘプタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ヘプタン、4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、4,4-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ヘプタンなどが挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
この中でも、より重合活性の高いビスフェノールを得るためには、本発明のビスフェノールの製造方法は、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパンまたは2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパンの製造方法とすることが好ましい。
反応液の調製方法は、特に限定されず、本発明のビスフェノールの製造方法(1)においては、芳香族アルコール、有機溶媒、及び、ケトン又はアルデヒドを混合した混合液に、硫酸モノアルキルを供給する方法や、硫酸モノアルキル、芳香族アルコール、有機溶媒とを混合した混合液に、ケトン又はアルデヒドを供給する方法が挙げられる。
ケトン又はアルデヒドの自己縮合による多量化を抑制するためには、芳香族アルコール、硫酸モノアルキル、及び、有機溶媒を含有する溶液とケトン又はアルデヒドを含有する溶液とを混合することが好ましい。この場合、ケトン又はアルデヒドを含有する溶液は、ケトン又はアルデヒド単独でもよいが、チオール助触媒や有機溶媒を含んでもよい。ケトン又はアルデヒドを含有する溶液は、チオール助触媒を含有することが好ましい。
また、芳香族アルコール、硫酸モノアルキル、及び、有機溶媒を含有する溶液と、ケトン又はアルデヒドを含有する溶液との混合は、通常、芳香族アルコール、硫酸モノアルキル、及び、有機溶媒を含有する溶液に、ケトン又はアルデヒドを含有する溶液を供給することで行うことができる。また、一括で供給しても、分割して供給してもよい。
ビスフェノールの生成反応が発熱反応であることから、ケトン又はアルデヒドを含有する溶液の供給は、少しずつ滴下して供給するなど分割して供給することが好ましい。
また、触媒である硫酸モノアルキルは市販のものを使用することができるが、通常は、単離が困難であるため、硫酸モノアルキルを生成させた合成液を用いたり、反応液の調製時に生成させて、反応系内に存在させる。硫酸モノアルキルは、硫酸と脂肪族アルコールの反応で生成させることが好ましい。
硫酸モノアルキルを硫酸と脂肪族アルコールの反応で生成させ、芳香族アルコール、硫酸モノアルキル、及び、有機溶媒を含有する溶液を得る方法としては、例えば、有機溶媒、脂肪族アルコール及び芳香族アルコールの混合液に硫酸を供給して、硫酸モノアルキルを生成させる方法が挙げられる。また、脂肪族アルコールと硫酸とを混合し硫酸モノアルキルを生成させた後、有機溶媒及び芳香族アルコールを供給する方法が挙げられる。
また、本発明のビスフェノールの製造方法(2)においては、ケトン又はアルデヒドの自己縮合による多量化を抑制するためには、芳香族アルコール、硫酸、脂肪族アルコール、及び、有機溶媒を含有する溶液とケトン又はアルデヒドを含有する溶液とを混合することが好ましい。この場合、硫酸と脂肪族アルコールとが反応し硫酸モノアルキルが同時に生成し硫酸と共に触媒の機能を果たす。
芳香族アルコール、硫酸、脂肪族アルコール、及び、有機溶媒を含有する溶液とケトン又はアルデヒドを含有する溶液との混合方法としては、特に限定されないが、例えば、有機溶媒、脂肪族アルコール及び芳香族アルコールの混合液に硫酸を加えて、芳香族アルコール、硫酸、脂肪族アルコール、及び、有機溶媒を含有する溶液を調製した後、ケトン又はアルデヒドを含有する溶液を供給する方法が挙げられる。また、脂肪族アルコール及び硫酸の混合液に、有機溶媒及び芳香族アルコールを加えて、芳香族アルコール、硫酸、脂肪族アルコール、及び、有機溶媒を含有する溶液を調製した後、ケトン又はアルデヒドを含有する溶液を供給する方法等が挙げられる。
また、ケトン又はアルデヒドを含有する溶液は、一括で供給しても、分割して供給してもよい。
ビスフェノールの生成反応が発熱反応であることから、ケトン又はアルデヒドを含有する溶液の供給は、少しずつ滴下して供給するなど分割して供給することが好ましい。
本発明のビスフェノールの製造方法において、ビスフェノールの生成反応は、ケトン又はアルデヒドと、芳香族アルコールとの縮合反応である。縮合反応の反応温度は、高温の場合、ケトン又はアルデヒドの多量化が進行しやすい。また、低温の場合は、反応に要する時間が長時間化する。これらのことから、反応温度の下限は、-30℃以上や-20℃以上、-15℃以上とすることができる。反応温度の下限は、好ましくは0℃以上、より好ましくは5℃以上、更に好ましくは10℃以上である。また、反応温度の上限は、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下である。また、反応温度は段階的に昇温してもよい。
本発明のビスフェノールの製造方法において、縮合反応の反応時間は、製造スケールや製造するビスフェノールの種類、反応温度等の反応条件により適宜調整される。反応時間の下限は、製造スケール等によるが、通常、2時間以上である。反応時間を長くすることで、副生成物のケトン又はアルデヒドの自己縮合体が分解し、得られるビスフェノールの重合活性が向上する傾向にあるので、反応時間の下限は、5時間以上が好ましく、10時間以上がより好ましく、15時間以上が更に好ましい。また、反応時間が長すぎる場合、生成したビスフェノールが分解しやすくなることから、好ましくは30時間以内、より好ましくは25時間以内、更に好ましくは20時間以内である。
なお、反応時間は、ケトン又はアルデヒドと、芳香族アルコールとの混合時間(反応液の調製の時間)も含むものである。例えば、芳香族アルコールと触媒とを混合した溶液に、ケトン又はアルデヒドを1時間かけて供給した後、1時間反応させた場合、反応時間は2時間である。
ケトン又はアルデヒドを含有する溶液の供給時間(滴下時間)は、反応槽の冷却能力や製造スケール、製造されるビスフェノールの種類等に応じて適宜調整され、反応槽の冷却能力等によるが、例えば、0.3時間以上や0.5時間以上とすることができる。その上限は、例えば、5時間以下や3時間以下、1時間以下とすることができる。このようにすることで、反応熱の発生を抑えながら、反応液を調製できる。
また、反応は、用いる触媒と同等量以上の水や塩基を加えて触媒濃度を低下させることにより停止させることが可能である。
[精製方法]
本発明のビスフェノールの製造方法において、縮合反応によって得られたビスフェノールの精製は、常法により行うことができる。例えば、晶析やカラムクロマトグラフィーなどの簡便な手段により精製することが可能である。
具体的には、縮合反応後、反応液を分液して得られた有機相を水又は食塩水などで洗浄し、更に必要に応じて重曹水などで洗浄する。次いで、洗浄後の有機相を冷却し晶析させる。水洗や重曹水による洗浄、晶析等は複数回行ってもよい。
また、芳香族アルコールを多量に用いる場合は、晶析前に蒸留による余剰の芳香族アルコールを留去してから晶析させることができる。
2.ビスフェノールの用途
本発明のビスフェノールの製造方法により得られるビスフェノール(以下、「本発明のビスフェノール」と称する場合がある。)は、光学材料、記録材料、絶縁材料、透明材料、電子材料、接着材料、耐熱材料など種々の用途に用いられるポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレ-ト樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂など種々の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリベンゾオキサジン樹脂、シアネート樹脂など種々の熱硬化性樹脂などの構成成分、硬化剤、添加剤もしくはそれらの前駆体などとして用いることができる。また、感熱記録材料等の顕色剤や退色防止剤、殺菌剤、防菌防カビ剤等の添加剤としても有用である。
これらのうち、良好な機械物性を付与できることから、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の原料(モノマ-)として用いることが好ましく、なかでもポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂の原料として用いることがより好ましい。また、顕色剤として用いることも好ましく、特にロイコ染料、変色温度調整剤と組み合わせて用いることがより好ましい。
3.ポリカーボネート樹脂の製造方法
次に、本発明のビスフェノールを原料とするポリカーボネート樹脂の製造方法につき説明する。
本発明のビスフェノールを原料とするポリカーボネート樹脂の製造方法は、本発明のビスフェノールと、炭酸ジフェニル等の炭酸ジエステルとを、例えば、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の存在下でエステル交換反応させる方法などにより製造する方法である。上記エステル交換反応は、公知の方法を適宜選択して行うことができるが、以下に本発明のビスフェノールと炭酸ジフェニルを原料とした一例を説明する。
上記のポリカーボネート樹脂の製造方法において、炭酸ジフェニルは、本発明のビスフェノール中のビスフェノールに対して過剰量用いることが好ましい。ビスフェノールに対して用いる炭酸ジフェニルの量は、製造されたポリカーボネート樹脂に末端水酸基が少なく、ポリマーの熱安定性に優れる点では多いことが好ましく、また、エステル交換反応速度が速く、所望の分子量のポリカーボネート樹脂を製造し易い点では少ないことが好ましい。これらのことから、ビスフェノール1モルに対する使用する炭酸ジフェニルの量は、通常1.001モル以上、好ましくは1.002モル以上である。また、通常1.3モル以下、好ましくは1.2モル以下である。
原料の供給方法としては、本発明のビスフェノール及び炭酸ジフェニルを固体で供給することもできるが、一方又は両方を、溶融させて液体状態で供給することが好ましい。
炭酸ジフェニルとビスフェノールとのエステル交換反応でポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。上記のポリカーボネート樹脂の製造方法においては、このエステル交換触媒として、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を使用するのが好ましい。これらは、1種類で使用してもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。実用的には、アルカリ金属化合物を用いることが望ましい。
ビスフェノール又は炭酸ジフェニル1モルに対して用いられるエステル交換触媒量は、通常0.05μモル以上、好ましくは0.08μモル以上、更に好ましくは0.10μモル以上である。また、通常100μモル以下、好ましくは50μモル以下、更に好ましくは20μモル以下である。
エステル交換触媒の使用量が上記範囲内であることにより、所望の分子量のポリカーボネート樹脂を製造するのに適した重合活性を得やすく、且つ、ポリマー色相に優れ、また過度のポリマーの分岐化が進まず、成形時の流動性に優れたポリカーボネート樹脂を得やすい。
上記方法によりポリカーボネート樹脂を製造するには、上記の両原料を、原料混合槽に連続的に供給し、得られた混合物とエステル交換触媒を重合槽に連続的に供給することが好ましい。
エステル交換法によるポリカーボネート樹脂の製造においては、通常、原料混合槽に供給された両原料は、均一に攪拌された後、エステル交換触媒が添加される重合槽に供給され、ポリマーが生産される。
ポリカーボネート樹脂の製造において、重合時間は、製造スケールや原料の比率、所望とするポリカーボネート樹脂の分子量等によって適宜調整される。重合時間が長いと色調悪化などの品質悪化が顕在化するため、10時間以下であることが好ましく、8時間以下であることがより好ましい。重合時間の下限は、0.1時間以上や0.3時間以上とすることができる。
また、ビスフェノールを原料として用いて、溶融重合法によりポリカーボネート樹脂を製造する場合、高分子量のポリカーボネート樹脂を得にくい傾向にあるが、本発明のビスフェノールは、重合活性に優れる(重合活性が高い)ため、分子量の大きなポリカーボネート樹脂を効率的に製造することができる。本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法では、本発明のビスフェノールを用いることで、このような高分子量(例えば、粘度平均分子量10,000~100,000や粘度平均分子量24,000~50,000)のポリカーボネート樹脂を短い重合時間(例えば、3時間以下)で製造できる。また、本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法では、本発明のビスフェノールを用いることで、色調の優れたポリカーボネート樹脂を得ることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[原料及び試薬]
オルトクレゾール、トルエン、水酸化ナトリウム、硫酸、ドデカンチオール、メタノール、アセトン、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸セシウムは、和光純薬株式会社製の試薬を使用した。
炭酸ジフェニルは、三菱ケミカル株式会社製の製品を使用した。
[分析]
(ビスフェノールC等の定量分析)
ビスフェノールC、オルトクレゾール、及びイソペニルクレゾールの2量体の定量分析は、高速液体クロマトグラフィーにより、以下の手順と条件で行った。
・装置:島津製作所社製LC-2010A、Imtakt ScherzoSM-C18 3μm 150mm×4.6mmID
・低圧グラジェント法
・分析温度:40℃
・溶離液組成:
A液 酢酸アンモニウム:酢酸:脱塩水=3.000g:1mL:1Lの溶液
B液 酢酸アンモニウム:酢酸:アセトニトリル=1.500g:1mL:900mLの溶液
・分析時間0分ではA液:B液=60:40(体積比、以下同様。)
分析時間0~25分は溶離液組成をA液:B液=90:10へ徐々に変化させ、
分析時間25~30分はA液:B液=90:10に維持し、
流速0.8mL/分、検出波長は280nmにて分析した。
(ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量)
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、ポリカーボネート樹脂を塩化メチレンに溶解し(濃度6.0g/L)、ウベローデ粘度管を用いて20℃における比粘度(ηsp)を測定し、下記の式により粘度平均分子量(Mv)を算出した。
ηsp/C=[η](1+0.28ηsp)
[η]=1.23×10-4Mv0.83
(ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度)
ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度(OH濃度)は、四塩化チタン/酢酸法(Makromol.Chem. 88,215(1965)参照)に準拠し、比色定量を行うことにより測定した。
(ポリカーボネート樹脂のペレットYI)
ポリカーボネート樹脂のペレットYI(ポリカーボネート樹脂の透明性)は、ASTM D1925に準拠して、ポリカーボネート樹脂ペレットの反射光におけるYI値(イエローネスインデックス値)を測定して評価した。
装置はコニカミノルタ社製分光測色計CM-5を用い、測定条件は測定径30mm、SCEを選択した。
シャーレ測定用校正ガラスCM-A212を測定部にはめ込み、その上からゼロ校正ボックスCM-A124をかぶせてゼロ校正を行い、続いて内蔵の白色校正板を用いて白色校正を行った。次いで、白色校正板CM-A210を用いて測定を行い、L*が99.40±0.05、a*が0.03±0.01、b*が-0.43±0.01、YIが-0.58±0.01となることを確認した。
ペレットの測定は、内径30mm、高さ50mmの円柱ガラス容器にペレットを40mm程度の深さまで詰めて測定を行った。ガラス容器からペレットを取り出してから再度測定を行う操作を2回繰り返し、計3回の測定値の平均値を用いた。
[実施例1-1]
(1)ビスフェノールCの製造
(第1工程)
温度計、滴下ロート、ジャケット及びイカリ型撹拌翼を備えた1.5Lセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下でトルエン278g、メタノール5g及びオルトクレゾール230g(2.13モル)を入れ、内温を30℃以下とした。次いで、トルエン、メタノール及びオルトクレゾールの混合液を撹拌しながら、ここへ80質量%硫酸250gをゆっくり加え、硫酸とメタノールとを反応させることで硫酸モノメチルを生成させ、トルエン、メタノール、オルトクレゾール、硫酸、硫酸モノメチルの混合液(a1-1)を得た。なお、硫酸モノメチルの生成の確認は、H1-NMRにて行った。
(第2工程)
500mLの三角フラスコに、トルエン50g、アセトン61.0g(1.05モル)、ドデカンチオール7.5gを混合して混合液(a2-1)を調製し、前記滴下ロートに入れた。アセトンに対するオルトクレゾールの物質量比は、2.13モル÷1.05モル=2.03であった。
混合液(a2-1)を1時間(滴下時間)かけて、セパラブルフラスコの内液の温度が30℃を越えないように混合液(a1-1)に滴下した。
滴下終了後、内温を30℃に維持したまま1時間撹拌し、その後、0.5時間かけて45℃に昇温し、スラリー反応液(A1)を得た。
得られたスラリー反応液(A1)に、脱塩水200g及びトルエン59gを加えた後、28%の水酸化ナトリウム水溶液233gを加え、80℃まで昇温した。80℃に到達後、静置することで有機相と水相とに分離させ、下相の水相を抜き出し、有機相(b1-1)を得た。
有機相(b1-1)に脱塩水400gを入れ、混合した後に静置することで有機相と水相とに分離させ、水相を除去し、有機相(b2-1)を得た。
更に、有機相(b2-1)に1.5質量%の重曹水溶液240gを2回に分けて供給し、混合洗浄し、水相を除去し、有機相(b3-1)を得た。
得られた有機相(b3-1)を80℃から20℃まで冷却して、20℃で維持させ、ビスフェノールCを析出させた。その後、10℃まで冷却し、10℃の状態で1時間撹拌することで第1の晶析を行い、晶析スラリー液(B1)を得た。
得られた晶析スラリー液(B1)を、遠心分離機を用いて固液分離を行い、ケーキ(c1-1)218gを得た。
得られたケーキ(c1-1)の一部を取り出し、高速液体クロマトグラフィーで組成を確認することで、ケーキ(c1-1)がビスフェノールCであることを確認した。
温度計、ジャケット及びイカリ型撹拌翼を備えた1Lセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下でビスフェノールCのケーキ(c1-1)218gとトルエン373gを供給し、80℃に昇温した。均一溶液(b4-1)となったことを確認し、均一溶液(b4-1)を脱塩水600gで3回に分けて十分洗浄し、水相を除去し、有機相(b5-1)を得た。
得られた有機相(b5-1)を、80℃から10℃まで冷却し、第2の晶析を行った。その後、遠心分離機を用いて固液分離を行い、ウェットのビスフェノールC(c2-1)を得た。
オイルバスを備えたエバポレータを用いて、減圧下オイルバス温度100℃で軽沸分を留去することで、白色のビスフェノールC(c3-1)195gを得た。
(2)ポリカーボネート樹脂の製造
撹拌機及び留出管を備えた内容量150mLのガラス製反応槽に、得られたビスフェノールC(c3-1)100.00g(0.39モル)、炭酸ジフェニル86.49g(0.4モル)及び400質量ppmの炭酸セシウム水溶液479μLを入れた。該ガラス製反応槽を約100Paに減圧し、続いて、窒素で大気圧に復圧する操作を3回繰り返し、反応槽の内部を窒素に置換した。その後、該反応槽を200℃のオイルバスに浸漬させ、内容物を溶解した。
撹拌機の回転数を毎分100回とし、反応槽内のビスフェノールCと炭酸ジフェニルのオリゴマー化反応により副生するフェノールを留去しながら、40分間かけて反応槽内の圧力を、絶対圧力で101.3kPaから13.3kPaまで減圧した。
続いて反応槽内の圧力を13.3kPaに保持し、フェノールを更に留去させながら、80分間、エステル交換反応を行った。
その後、反応槽外部温度を250℃に昇温すると共に、40分間かけて反応槽内圧力を絶対圧力で13.3kPaから399Paまで減圧し、留出するフェノールを系外に除去した。
その後、反応槽外部温度を280℃に昇温、反応槽の絶対圧力を30Paまで減圧し、重縮合反応を行った。反応槽の撹拌機が予め定めた所定の撹拌動力となったときに、重縮合反応を終了した。この重合工程(反応槽外部温度を280℃に昇温、反応槽の絶対圧力を30Paまで減圧し、反応槽の撹拌機が予め定めた所定の撹拌動力となるまでの工程)の時間は180分であった。
次いで、反応槽を窒素により絶対圧力で101.3kPaに復圧した後、ゲージ圧力で0.2MPaまで昇圧し、反応槽の底からポリカーボネートをストランド状で抜出し、ストランド状のポリカーボネート樹脂を得た。
その後、回転式カッターを使用して、該ストランドをペレット化して、ペレット状のポリカーボネート樹脂を得た。
該ポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv)は、24800であり、ペレットYIは、7.6であった。
[実施例1-2]
(1)ビスフェノールCの製造
アセトンの量を61.0gから58.0g(0.999モル;アセトンに対するオルトクレゾールの物質量比は、2.13モル÷0.999モル=2.13)に変更した以外は、実施例1-1の(1)と同様にして第1の晶析後にビスフェノールのケーキ(c1-2)203gを得た。更に、ケーキ(c1-1)をケーキ(c1-2)に代えた以外は、実施例1-1の(1)と同様にして、第2の晶析、及び、軽沸分の留去を行い、白色のビスフェノールC(c3-2)180gを得た。
(2)ポリカーボネート樹脂の製造
ビスフェノールC(c3-1)に代えて得られたビスフェノールC(c3-2)を用いた以外は、実施例1-1の(2)と同様にしてポリカーボネート樹脂を製造した。重合工程の時間は、193分であった。
得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、253,00であり、ペレットYIは、8.5であった。
[比較例1]
(1)ビスフェノールCの製造
温度計、滴下ロート、ジャケット及びイカリ型撹拌翼を備えた1.5Lセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下でトルエン278g、メタノール5g及びオルトクレゾール230g(2.13モル)を入れ、内温を30℃以下とした後に、撹拌しながら80質量%硫酸250gをゆっくり加えた。
500mLの三角フラスコに、トルエン50g、アセトン71.0g(1.22モル)、ドデカンチオール7.5gを混合して滴下液を調製し、前記滴下ロートに入れた。該アセトンに対する該オルトクレゾールの物質量比は、2.13モル÷1.22モル=1.75であった。
該滴下液をゆっくり1時間(滴下時間)かけて、セパラブルフラスコの内液の温度が30℃を越えないように滴下した。
滴下終了後、内温を30℃に維持したまま1時間撹拌し、その後、0.5時間かけて45℃に昇温して3時間撹拌し、スラリー反応液を得た。
得られたスラリー反応液を、実施例1-1の(1)と同様の方法で精製して、第1の晶析後にビスフェノールCのケーキ(c1-3)235gを得た。更に、ケーキ(c1-1)をケーキ(c1-3)に代えた以外は、実施例1-1の(1)と同様にして、第2の晶析、及び、軽沸分の留去を行い、白色のビスフェノールC(c3-3)215gを得た。
(2)ポリカーボネート樹脂の製造
ビスフェノールC(c3-1)に代えて得られたビスフェノールC(c3-3)を用いた以外は、実施例1-1の(2)と同様にしてポリカーボネート樹脂を製造した。重合工程の時間は、240分であった。
得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、23300であり、ペレットYIは、47.3であった。
[比較例2]
(1)ビスフェノールCの製造
アセトンの量を61.0gから30.9g(0.532モル;アセトンに対するオルトクレゾールの物質量比は、2.13モル÷0.532モル=4.00)に変更した以外は、実施例1-1の(1)と同様にして第1の晶析後にビスフェノールのケーキ(c1-4)14gを得た。ケーキ(c1-4)の収量が少ないことから、これ以上の実験を断念した。
実施例1-1、実施例1-2、比較例1、及び比較例2について、ビスフェノールCの製造におけるアセトンに対するオルトクレゾールのモル比(物質量比)、ポリカーボネート樹脂の製造における重合時間、得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)、得られたポリカーボネート樹脂のペレットYIを表1に纏めた。
表1より、ビスフェノールCの製造においてアセトンに対するオルトクレゾールのモル比(物質量比)が1.75(比較例1)では、得られたビスフェノールCを用いたポリカーボネート樹脂を製造するときに重合時間を長くしても、得られるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は低い結果であった。この結果より、アセトンに対するオルトクレゾールのモル比(物質量比)を1.75以下で製造したビスフェノールCは、ポリカーボネート樹脂の製造において、所定の撹拌動力となるまでの重合時間が長く、得られるポリカーボネート樹脂の分子量も所定の粘度平均分子量に到達できていない。重合時間を長くしても所定の粘度平均分子量に到達できないことから、重合活性が低下することが分かる。比較例1では、所定の撹拌動力となるまでの重合時間が長いため、ポリマー鎖に分岐ができ、粘度平均分子量が低いものになっていると推定できる。
また、比較例1で得られるポリカーボネート樹脂のペレットYIも高い結果であった。この結果より、ビスフェノールCの製造においてアセトンに対するオルトクレゾールのモル比(物質量比)を1.75以下にすると、得られたビスフェノールCを原料として製造されるポリカーボネート樹脂のペレットYIが高いことから、原料のビスフェノールCが、ポリカーボネート樹脂の色調が悪化する要因となることが分かる。これらの原因は、アセトンに対するオルトクレゾールのモル比(物質量比)が低いと、アセトンの自己縮合が促進され、更に、硫酸によってアセトンの自己縮合物のスルホン酸化物が副生し、これが着色化の原因になるためと推定される。
一方で、ビスフェノールCの製造において、アセトンに対するオルトクレゾールの物質量比が高くなると、第1の晶析で得られるケーキ量が減少することが分かる。
Figure 0007135610000006
[実施例2-1]
(1)ビスフェノールCの製造
温度計、滴下ロート、ジャケット及びイカリ型撹拌翼を備えた1.5Lセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下でトルエン320g、メタノール12g及びオルトクレゾール230g(2.13モル)を入れ、内温を10℃以下とした。次いで、トルエン、メタノール及びオルトクレゾールの混合液を撹拌しながら、ここへ98質量%硫酸95gをゆっくり加え、硫酸とメタノールとを反応させることで硫酸モノメチルを生成させ、トルエン、メタノール、オルトクレゾール、硫酸、硫酸モノメチルの混合液(a1-5)を得た。
500mLの三角フラスコに、トルエン50g、アセトン68.5g(1.18モル)、ドデカンチオール5.4gを混合して混合液(a2-5)を調製し、前記滴下ロートに入れた。アセトンに対するオルトクレゾールの物質量比は、2.13モル÷1.18モル=1.81であった。
混合液(a2-5)をゆっくり1時間(滴下時間)かけて、セパラブルフラスコの内液の温度が10℃を越えないように混合液(a1-5)に滴下した。
滴下終了後、内温を10℃に維持したまま5時間撹拌し、スラリー反応液(A5)を得た。
得られたスラリー反応液(A5)に、25%の水酸化ナトリウム水溶液190gを加え、80℃まで昇温した。80℃に到達後、静置することで有機相と水相とに分離させ、下相の水相を抜き出し、有機相(b1-5)を得た。
有機相(b1-5)に脱塩水400gを入れ、混合した後に静置することで有機相と水相とに分離させ、水相を除去し、有機相(b2-5)を得た。
更に、有機相(b2-5)に1.5質量%の重曹水溶液240gを2回に分けて供給し、混合洗浄し、水相を除去し、有機相(b3-5)を得た。
得られた有機相(b3-5)の1部を取り出し、高速液体クロマトグラフで有機相(b3-5)の組成を確認したところ、クレゾールが5.7質量%、ビスフェノールCが32.3質量%、イソプロペニルクレゾールの2量体が0.6質量%であった。
得られた有機相(b3-5)を80℃から20℃まで冷却して、20℃で維持させ、ビスフェノールCを析出させた。その後、10℃まで冷却し、10℃の状態で1時間撹拌することで第1の晶析を行い、晶析スラリー液(B5)を得た。
得られた晶析スラリー液(B5)を、遠心分離機を用いて固液分離を行い、ケーキ(c1-5)276gを得た。
得られたケーキ(c1-5)の一部を取り出し、高速液体クロマトグラフィーで組成を確認することで、ケーキ(c1-5)がビスフェノールCであることを確認した。
温度計、ジャケット及びイカリ型撹拌翼を備えた1Lセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下でビスフェノールCのケーキ(c1-5)276gとトルエン373gを供給し、80℃に昇温した。均一溶液(b4-5)となったことを確認した後、均一溶液(b4-5)を脱塩水600gで3回に分けて十分洗浄し、水相を除去し、有機相(b5-5)を得た。
得られた有機相(b5-5)を、80℃から10℃まで冷却し、第2の晶析を行った。その後、遠心分離機を用いて固液分離を行い、ウェットのビスフェノールC(c2-5)を得た。
オイルバスを備えたエバポレータを用いて、減圧下オイルバス温度100℃で軽沸分を留去することで、白色のビスフェノールC(c3-5)189gを得た。
(2)ポリカーボネート樹脂の製造
ビスフェノールC(c3-1)に代えて得られたビスフェノールC(c3-5)を用いた以外は、実施例1-1の(2)と同様にしてポリカーボネート樹脂を製造した。重合工程の時間は、170分であった。
得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、24600であり、ペレットYIは、7.4であった。
[実施例2-2]
温度計、滴下ロート、ジャケット及びイカリ型撹拌翼を備えた1.5Lセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下でトルエン320g、メタノール15g及びオルトクレゾール230g(2.13モル)を入れ、内温を10℃以下とした。次いで、トルエン、メタノール及びオルトクレゾールの混合液を撹拌しながら、ここへ98質量%硫酸95gをゆっくり加え、硫酸とメタノールとを反応させることで硫酸モノメチルを生成させ、トルエン、メタノール、オルトクレゾール、硫酸、硫酸モノメチルの混合液(a1-6)を得た。
500mLの三角フラスコに、トルエン50g、アセトン65.0g(1.12モル)、ドデカンチオール5.4gを混合して混合液(a2-6)を調製し、前記滴下ロートに入れた。該アセトンに対する該オルトクレゾールの物質量比は、2.13モル÷1.12モル=1.90であった。
混合液(a2-6)をゆっくり1時間(滴下時間)かけて、セパラブルフラスコの内液の温度が10℃を越えないように混合液(a1-6)に滴下した。
滴下終了後、内温を10℃に維持したまま2.5時間撹拌し、スラリー反応液(A6)を得た。
得られたスラリー反応液(A6)を、実施例2-1の(1)のスラリー反応液(A5)と同様に精製して、第1の晶析後にビスフェノールCのケーキ(c1-6)274gを得た。更に、ケーキ(c1-5)をケーキ(c1-6)に代えた以外は、実施例2-1の(1)と同様にして、第2の晶析、及び、軽沸分の留去を行い、白色のビスフェノールC(c3-6)193gを得た。
(2)ポリカーボネート樹脂の製造
ビスフェノールC(c3-1)に代えて得られたビスフェノールC(c3-6)を用いた以外は、実施例1-1の(2)と同様にしてポリカーボネート樹脂を製造した。重合工程の時間は、170分であった。
得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、24700であり、ペレットYIは、10.6であった。
[実施例2-3]
(1)ビスフェノールCの製造
アセトンの量を65.0gから61.0g(1.05モル;アセトンに対するオルトクレゾールの物質量比は、2.13モル÷1.05モル=2.03)に変更した以外は、実施例2-2の(1)と同様にして第1の晶析後にビスフェノールのケーキ(c1-7)256gを得た。更に、ケーキ(c1-6)をケーキ(c1-7)に代えた以外は、実施例2-2と同様にして、第2の晶析、及び、軽沸分の留去を行い、白色のビスフェノールC(c3-7)197gを得た。
(2)ポリカーボネート樹脂の製造
ビスフェノールC(c3-1)に代えて得られたビスフェノールC(c3-7)を用いた以外は、実施例1-1の(2)と同様にしてポリカーボネート樹脂を製造した。重合工程の時間は、140分であった。
得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、24900であり、ペレットYIは、12.2であった。
[比較例3]
アセトン65.0gからアセトン49.4g(0.850モル;アセトンに対するオルトクレゾールの物質量比は、2.13モル÷0.850モル=2.51)に変更した以外は、実施例2-2の(1)と同様にして第1の晶析後にビスフェノールのケーキ(c1-8)194gを得た。
実施例2-1~2-3及び比較例1~3について、ビスフェノールCの製造におけるアセトンに対するオルトクレゾールのモル比(物質量比)、ポリカーボネート樹脂の製造における重合時間、得られたポリカーボネート樹脂の分子量、得られたポリカーボネート樹脂のペレットYIを表2に纏めた。
表2より、アセトンに対するオルトクレゾールのモル比(物質量比)が、1.75よりも高い条件で製造したビスフェノールCは、ポリカーボネート樹脂の製造における重合時間が短く、得られたポリカーボネート樹脂のペレットYIも低く抑えることができることが分かる。
一方で、比較例2及び比較例3の結果から、ビスフェノールCの製造において、アセトンに対するオルトクレゾールの物質量比が高くなると、残存するクレゾールが増加し、第1の晶析及びろ過によるビスフェノールCの損失が多くなり、得られるビスフェノールCのケーキ量が減少することが分かる。
Figure 0007135610000007
[比較例4]
実施例2-1において、メタノール12gの供給を省略した以外は、実施例2-1と同様に実施し、若干黄色のビスフェノールC(c3-9)148gを得た。
なお、重曹水溶液での洗浄後の有機相(b3-9)の1部を取り出し、高速液体クロマトグラフで有機相(b3-9)の組成を確認したところ、クレゾールが6.6質量%、ビスフェノールCが27.3質量%、イソプロペニルクレゾールの2量体が2.6質量%であった。
実施例2-1と比較例4について、ビスフェノールCの製造における硫酸モノメチルの有無、得られた有機相(b3)に含まれるイソペニルクレゾールの2量体の濃度、第2の晶析により得られたビスフェノールCの収量及び色調を表3に纏めた。
表3より、ビスフェノールCの製造において、反応液が硫酸モノアルキルを含むことで、イソペニルクレゾールの2量体の生成を抑制し、ビスフェノールCの収量が増加し、ビスフェノールCの色調も改善されることが分かる。
Figure 0007135610000008
[実施例3-1]
温度計、撹拌機及び100mLの滴下ロートを備えたフルジャケット式1Lのセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下でメタノール21.2gを入れた後に、92重量%硫酸46.5gをゆっくり加えることで、硫酸モノメチルを発生させた溶液にした。その後、オルトキシレン122.4g、オルトクレゾール137.7g(1.27モル)及びドデカンチオール4.4gを入れ、セパラブルフラスコ内の温度を40℃にし、オルトキシレン、メタノール、オルトクレゾール、硫酸、硫酸モノメチルの混合液(a1-10)を得た。前記滴下ロートにアセトン34.3g(0.590モル)を入れて、30分かけてゆっくりセパラブルフラスコへ滴下して供給した。アセトンに対するオルトクレゾールの物質量比は、1.27モル÷0.590モル=2.15であった。
アセトンの滴下終了後、2時間40℃で反応させ、スラリー反応液(A10)を得た。
反応終了後、スラリー反応液(A10)に、オルトキシレン100.0g及び脱塩素水100.0gを供給して80℃まで昇温した。80℃に到達後、静置して反応中に析出していた物が有機相及び水相に溶解したことを確認した後、下相の水相を抜き出し、有機相(b1-10)を得た。
その後、得られた有機相(b1-10)へ飽和の炭酸水素ナトリウム溶液を加えて、下相の水相pHが9以上になったことを確認した後、下相の水相を抜出し、有機相(b2-10)を得た。
得られた有機相(b2-10)に脱塩素水を加えて10分間撹拌した。撹拌後、静置し、水相を抜き出し、有機相(b3-10)を得た。
得られた有機相(b3-10)の一部を取り出し、高速液体クロマトグラフィーで有機相(b3-10)の組成を確認することで、ビスフェノールCの生成を確認した。また、アセトン基準のビスフェノールCの反応収率(ビスフェノールのモル量÷原料アセトンのモル量×100%)は88モル%であった。
[参考例1]
50mLのナス型フラスコにメタノール0.2gを取り、そこに92重量%硫酸0.5gをゆっくり加えて1分間振り混ぜた。この液を5mmφのNMR試料管に入れ、ロック用の重クロロホルム管(2mmφ封管)を試料中に挿入してプロトン核磁気共鳴(1H-NMR)を測定した。1H-NMRスペクトル上、δ4.0ppmにシグナルが観測された。試薬の硫酸モノメチルナトリウム9.7mgを当該NMR試料管に添加したところδ4.0ppmのピークが増加したことから、該ピークが硫酸モノメチルのプロトンのシグナルであることを確認した。この結果より、硫酸とメタノールを混合すると硫酸モノメチルが生成することを確認した。
なお、プロトン核磁気共鳴(1H-NMR)測定は、日本電子株式会社製のJNM=ECS400型を用いて実施した。
本発明によれば、様々なビスフェノールについて、簡便で、効率的で、工業的に有利にビスフェノールを製造することができる。本発明のビスフェノールの製造方法で製造されたビスフェノールは、重合活性に優れるため、ポリカーボネート樹脂等の高分子材料の原料として有用である。

Claims (7)

  1. 触媒及び有機溶媒の存在下で、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを縮合させ、ビスフェノールを得るビスフェノールの製造方法であって、
    前記触媒が、硫酸モノアルキルを含み、
    前記ケトン又はアルデヒドに対する前記芳香族アルコールのモル比を1.80以上2.20以下とし、前記ケトン又はアルデヒドと、前記芳香族アルコールとを反応させることを特徴とするビスフェノールの製造方法。
  2. 前記触媒が、硫酸と硫酸モノアルキルとを含み、
    前記硫酸モノアルキルが、前記硫酸と脂肪族アルコールとから生成される請求項1に記載のビスフェノールの製造方法。
  3. 芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを縮合させ、ビスフェノールを得るビスフェノールの製造方法であって、
    前記ケトン又はアルデヒドに対する前記芳香族アルコールのモル比を1.80以上2.20以下とし、
    硫酸、脂肪族アルコール及び有機溶媒の存在下で、前記ケトン又はアルデヒドと、前記芳香族アルコールとを反応させることを特徴とするビスフェノールの製造方法。
  4. 前記ケトン又はアルデヒドが、アセトンである請求項1から3のいずれか1項に記載のビスフェノールの製造方法。
  5. 前記芳香族アルコールが、クレゾールである請求項1から4のいずれか1項に記載のビスフェノールの製造方法。
  6. 前記有機溶媒が、芳香族炭化水素である請求項1から5のいずれか1項に記載のビスフェノールの製造方法。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載のビスフェノールの製造方法によってビスフェノールを製造する工程と、
    製造された前記ビスフェノールを用いてポリカーボネート樹脂を製造する工程と、
    を有することを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
JP2018165412A 2018-09-04 2018-09-04 ビスフェノールの製造方法、及びポリカーボネート樹脂の製造方法 Active JP7135610B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018165412A JP7135610B2 (ja) 2018-09-04 2018-09-04 ビスフェノールの製造方法、及びポリカーボネート樹脂の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018165412A JP7135610B2 (ja) 2018-09-04 2018-09-04 ビスフェノールの製造方法、及びポリカーボネート樹脂の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020037527A JP2020037527A (ja) 2020-03-12
JP7135610B2 true JP7135610B2 (ja) 2022-09-13

Family

ID=69737511

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018165412A Active JP7135610B2 (ja) 2018-09-04 2018-09-04 ビスフェノールの製造方法、及びポリカーボネート樹脂の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7135610B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004067569A (ja) 2002-08-05 2004-03-04 Nippon Steel Chem Co Ltd ビスフェノール化合物の製造方法
JP2008214248A (ja) 2007-03-02 2008-09-18 Api Corporation ビスフェノール化合物の製造方法
JP2012171943A (ja) 2011-02-23 2012-09-10 Asahi Organic Chemicals Industry Co Ltd 化合物、誘導体、組成物、硬化物、並びに化合物及び誘導体の製造方法
JP2013072077A (ja) 2011-09-29 2013-04-22 Mitsubishi Chemicals Corp ポリカーボネート樹脂の製造方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0273864A3 (de) * 1986-12-22 1989-04-19 Ciba-Geigy Ag Diphenylmethane
JPS63303940A (ja) * 1987-06-04 1988-12-12 Idemitsu Kosan Co Ltd ビスフェノ−ル類の製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004067569A (ja) 2002-08-05 2004-03-04 Nippon Steel Chem Co Ltd ビスフェノール化合物の製造方法
JP2008214248A (ja) 2007-03-02 2008-09-18 Api Corporation ビスフェノール化合物の製造方法
JP2012171943A (ja) 2011-02-23 2012-09-10 Asahi Organic Chemicals Industry Co Ltd 化合物、誘導体、組成物、硬化物、並びに化合物及び誘導体の製造方法
JP2013072077A (ja) 2011-09-29 2013-04-22 Mitsubishi Chemicals Corp ポリカーボネート樹脂の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020037527A (ja) 2020-03-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7021559B2 (ja) ビスフェノールの製造方法及びポリカーボネート樹脂の製造方法
JP2023160883A (ja) 芳香族アルコールスルホン酸塩を含有するビスフェノール組成物及びその製造方法、ポリカーボネート樹脂及びその製造方法、並びに、ビスフェノールの製造方法
US11427523B2 (en) Bisphenol composition containing aromatic alcohol sulfonate and method for producing same, polycarbonate resin and method for producing same, and bisphenol production method
JP7021560B2 (ja) ビスフェノールの製造方法及びポリカーボネート樹脂の製造方法
JP7196438B2 (ja) ビスフェノールの製造法およびポリカーボネート樹脂の製造法
JP7135610B2 (ja) ビスフェノールの製造方法、及びポリカーボネート樹脂の製造方法
JP2023006817A (ja) ビスフェノールの製造方法及びポリカーボネート樹脂の製造方法
JP7287018B2 (ja) ビスフェノール組成物及びポリカーボネート樹脂の製造方法
JP7180344B2 (ja) ビスフェノールの製造方法、及び、ポリカーボネート樹脂の製造方法
JP7255109B2 (ja) ビスフェノールの製造法、及びポリカーボネート樹脂の製造法
JP7172308B2 (ja) ビスフェノールの製造方法、及びポリカーボネート樹脂の製造方法
JP7167537B2 (ja) ビスフェノール製造方法、及びポリカーボネート樹脂の製造方法
JP7167536B2 (ja) ビスフェノール製造法、及びポリカーボネート樹脂の製造法
JP7107044B2 (ja) ビスフェノールの製造方法及びポリカーボネート樹脂の製造方法
JP7435588B2 (ja) ビスフェノール組成物及びポリカーボネート樹脂
JP7287019B2 (ja) ビスフェノール組成物及びポリカーボネート樹脂の製造方法
JP2023006818A (ja) ビスフェノールの製造方法並びにポリカーボネート樹脂の製造方法
JP2022101856A (ja) ビスフェノールの製造方法及びポリカーボネート樹脂の製造方法
JP2022114119A (ja) ビスフェノールの製造方法及びポリカーボネート樹脂の製造方法
JP2023006819A (ja) ビスフェノールの製造方法並びにポリカーボネート樹脂の製造方法
JP2023005689A (ja) ビスフェノール組成物及びポリカーボネート樹脂の製造方法
JP2022152461A (ja) ビスフェノールの製造方法及びポリカーボネート樹脂の製造方法
JP2021123543A (ja) ビスフェノールの製造方法及びポリカーボネート樹脂の製造方法
JP2022089276A (ja) ビスフェノール製造法及びポリカーボネート樹脂の製造法
JP2020037530A (ja) ビスフェノールの製造方法、及びポリカーボネート樹脂の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210402

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220111

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220208

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220408

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220802

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220815

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7135610

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151