JP2023006818A - ビスフェノールの製造方法並びにポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents

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幸恵 中嶋
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Abstract

【課題】メタノール溶解色及び溶融色が良好なビスフェノールの製造方法を提供する。また、このビスフェノールを用いた、色調に優れたポリカーボネート樹脂の製造方法を提供する。【解決手段】芳香族アルコールとケトンを、酸性触媒の存在下で反応させてビスフェノールを生成する工程を含むビスフェノールの製造方法であって、前記ケトンが30質量ppm以下のアルデヒドを有する、ビスフェノールの製造方法。前記ビスフェノールの製造方法により製造したビスフェノール用いてポリカーボネート樹脂を製造することを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明はビスフェノールの製造方法に関するものである。また、本発明は、前記ビスフェノールを用いたポリカーボネート樹脂の製造方法に関するものである。
ビスフェノールは、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、芳香族ポリエステル樹脂などの高分子材料の原料として有用である。代表的なビスフェノールとしては、例えば、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパンなどが知られている(特許文献1及び2参照)。
特開昭62-138443号公報 特開2008-214248号公報
ビスフェノールの代表的な用途であるポリカーボネート樹脂は、無色であり、透明であることが求められる。ポリカーボネート樹脂の色調は、原料の色調の影響を大きく受ける。そのため、原料であるビスフェノールの色調も、無色であることが求められる。ここで、ビスフェノールの色を直接定量することは困難であることから、本明細書では、ビスフェノールをメタノールに溶解させて色差を数値化し、この色調を「メタノール溶解色」と称する。
また、ポリカーボネート樹脂の製造において、特に溶融法においては、ビスフェノールを溶融させてポリカーボネート樹脂を製造することから、高温にさらされる。そのため、ビスフェノールの熱的な色調の安定性も求められる。なお、本明細書では、この色調を「溶融色」と称する。
更に、ポリカーボネート樹脂については、設計通りの分子量を有し、かつ色調が良好なポリカーボネート樹脂が求められている。このため、このようなポリカーボネート樹脂を製造するために、原料であるビスフェノールについては、メタノール溶解色及び溶融色に優れたビスフェノールが求められている。
本発明は、上記従来の実情に鑑みなされたものであって、メタノール溶解色及び溶融色が良好なビスフェノールの製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、このビスフェノールを用いた、色調に優れたポリカーボネート樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、アルデヒドが30質量ppm以下のケトンを原料に用いることで、ビスフェノールがメタノール溶解色、溶融色に優れることを見出した。また、このビスフェノールを用いることで、色調に優れたポリカーボネート樹脂を製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、以下の[1]~[4]に存する。
[1] 芳香族アルコールとケトンとを、酸性触媒の存在下で反応させてビスフェノール
を生成する工程を含むビスフェノールの製造方法であって、前記ケトンが30質量ppm以下のアルデヒドを有する、ビスフェノールの製造方法。
[2] 前記ケトンがアセトンである、[1]に記載のビスフェノールの製造方法。
[3] 前記アルデヒドがアセトアルデヒドを含む、[1]又は[2]に記載のビスフェノールの製造方法。
[4] [1]~[3]のいずれか1項に記載のビスフェノールの製造方法により製造したビスフェノール用いてポリカーボネート樹脂を製造することを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
本発明によれば、アルデヒドの含有量の低いケトンを用いることで、メタノール溶解色及び溶融色の良好なビスフェノールの製造方法が提供される。また、このビスフェノールを用いたポリカーボネート樹脂の製造方法によって、色調に優れたポリカーボネート樹脂が提供される。
更に、特許文献2に開示された従来法で用いられている次亜リン酸ナトリウムを使用しないことから、排水負荷も低減される。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施の態様の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
1.ビスフェノールの製造方法
本発明の一実施形態は、酸性触媒の存在下で、芳香族アルコールと、ケトンの縮合反応(以下、単に「反応」と称することがある。)によりビスフェノールを得るビスフェノールの製造方法であって、前記ケトンが30質量ppm以下のアルデヒドを有するビスフェノールの製造方法に関するものである。
本発明のビスフェノールの製造方法の特徴は、縮合に用いるケトンが有するアルデヒドを、ケトンに対して30質量ppm以下の範囲に制御することである。
本発明者らは、縮合に用いるケトンが有するアルデヒドを特定の範囲とすることにより、メタノール溶解色及び溶融色の良好なビスフェノールを製造できることを見出した。得られたビスフェノールを用いて色調の優れたポリカーボネート樹脂を製造することが可能である。
[芳香族アルコール]
本発明のビスフェノールの製造方法に用いる芳香族アルコールは、通常、以下の一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2023006818000001
~Rとしては、それぞれに独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコ
キシ基、アリール基などが挙げられる。なお、アルキル基、アルコキシ基、アリール基などは、置換または無置換のいずれであってもよい。例えば、水素原子、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、i-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ウンデシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、2,6-ジメチルフェニル基などが挙げられる。
これらのうちR及びRは立体的に嵩高いと縮合反応が進行しにくいことから水素原子であることが好ましい。また、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はアミノ基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましい。例えば好適なものとして、R及びRが、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基であり、R及びRが、水素原子である化合物が挙げられる。アルキル基は、炭素数1~12のアルキル基や炭素数1~6のアルキル基であってよい。
上記一般式(1)で表される化合物として、具体的には、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、メトキシフェノール、エトキシフェノール、プロポキシフェノール、ブトキシフェノール、アミノフェノール、ベンジルフェニル、フェニルフェノールなどが挙げられる。
中でも、フェノール、クレゾール、及び、キシレノールからなる群から選択されるいずれかであることが好ましく、クレゾールまたはキシレノールがより好ましく、クレゾールがさらに好ましい。
[ケトン]
本発明のビスフェノールの製造方法に用いるケトンは、通常、以下の一般式(2)で表される化合物である。
Figure 2023006818000002
とRとしては、それぞれに独立にアルキル基、アルコキシ基、アリール基などが挙げられる。なお、アルキル基、アルコキシ基、アリール基などは、置換または無置換のいずれであってもよい。例えば、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルへキシル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、i-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ウンデシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、2,6-ジメチルフェニル基などが挙げられる。
とRは、2つの基の間で互いに結合又は架橋していても良く、RとRとが隣接する炭素原子と一緒に結合してシクロアルキリデン基を形成してもよい。なお、シクロアルキリデン基とは、シクロアルカンの1つの炭素原子から2個の水素原子を除去した2価の基である。
とRとが隣接する炭素原子と一緒に結合し形成されるシクロアルキリデン基としては、例えば、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、3,3,5-トリメチルシクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、シクロオクチリデン、シクロノニリデン、シクロデシリデン、シクロウンデシリデン、シクロドデシリデン、フルオレニリデン、キサントニリデン、チオキサントニリデンなどが挙げられる。
上記一般式(2)で表される化合物として、具体的には、アセトン、ブタノン、ペンタノン、ヘキサノン、ヘプタノン、オクタノン、ノナノン、デカノン、ウンデカノン、ドデカノンなどのケトン類、ベンズアルデヒド、フェニルメチルケトン、フェニルエチルケトン、フェニルプロピルケトン、クレジルメチルケトン、クレジルエチルケトン、クレジルプロピルケトン、キシリルメチルケトン、キシリルエチルケトン、キシリルプロピルケトンなどのアリールアルキルケトン、シクロプロパノン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロノナノン、シクロデカノン、シクロウンデカノン、シクロドデカノンなどの環状アルカンケトン類等が挙げられる。中でも、アセトンが好ましい。
本発明のビスフェノールの製造方法に用いるケトンは、不純物としてアルデヒドを含んでいても良いが、アルデヒドの含有量の低いケトンを用いることで、メタノール溶解色及び溶融色の良好なビスフェノールを製造できる。また、得られたビスフェノールを用いて色調の優れたポリカーボネート樹脂を製造できる。ケトン中のアルデヒドの含有量は、30質量ppm以下であり、好ましくは29質量ppm以下であり、より好ましくは28質量ppm以下であり、さらに好ましくは27質量ppm以下である。また、下限値は特に限定されないが、好ましくは0.1質量ppm以上であり、より好ましくは0.2質量ppm以上であり、さらに好ましくは0.3質量ppm以上である。ケトン中のアルデヒドの含有量は、例えば、ガスクロマトグラフィーにより定量することができる。
アルデヒド含有量が30質量ppm以下のケトンは、アルデヒド含有量が少ない市販のケトンを入手してもよく、アルデヒド含有量が高いケトンから、アルデヒドを除去する処理をすることで、得ることができる。ケトンからアルデヒドを除去する処理は、既知の方法を適用すればよく、例えば化学処理(酸化又は還元)した後に蒸留する方法などが挙げられる。
原料である芳香族アルコールに対しケトンの量が多い場合、ケトンが多量化し易く、また少ない場合は芳香族アルコールが未反応で損出する。これらのことから、ケトンに対する芳香族アルコールのモル比(芳香族アルコールのモル数/ケトンのモル数)の下限は、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.6以上、更に好ましくは1.7以上である。また、その上限は、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは8以下である。
[酸性触媒]
本発明のビスフェノールの製造方法で用いられる酸性触媒としては、硫酸、塩酸、塩化水素ガス、リン酸、p-トルエンスルホン酸などの芳香族スルホン酸、メタンスルホン酸などの脂肪族スルホン酸などが挙げられる。
縮合に用いるケトンに対する酸触媒のモル比(酸触媒のモル数/ケトンのモル数)は、少ない場合は、縮合反応の進行とともに副生する水によって酸触媒が希釈されて反応に時間を要する。また、多い場合は、ケトンの多量化が進行する場合ある。これらのことから、縮合に用いるケトンに対する酸触媒のモル比の下限は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上である。また、その上限は、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは5以下である。
酸触媒は、硫酸、塩酸、及び、塩化水素ガスからなる群より選ばれるいずれか1つであることが好ましく、硫酸又は塩酸であることがより好ましく、酸化等の副反応を低減するという観点から塩酸であることがさらに好ましい。
[チオール助触媒]
また、本発明のビスフェノールの製造方法では、ケトンと、芳香族アルコールとを縮合させる反応において、助触媒としてチオール助触媒を用いることができる。助触媒として用いるチオール助触媒としては、例えば、メルカプト酢酸、チオグリコール酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、4-メルカプト酪酸などのメルカプトカルボン酸や、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、ペンチルメルカプタン、へキシルメルカプタン、へプチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン(デカンチオール)、ウンデシルメルカプタン(ウンデカンチオール)、ドデシルメルカプタン(ドデカンチオール)、トリデシルメルカプタン、テトラデシルメルカプタン、ペンタデシルメルカプタン、メルカプトフェノールなどのアルキルチオールなどが挙げられる。
縮合に用いるケトンに対するチオール助触媒のモル比(チオール助触媒のモル数/ケトンのモル数)は、少ない場合、チオール助触媒を用いることによるビスフェノールの反応選択性に対する改善の効果が得られにくい。なお、ビスフェノールの反応選択性とは、ビスフェノールの生成反応において目的物であるビスフェノールの生成のされやすさの指標であり、ビスフェノールの反応選択性が優れるほどビスフェノールの生成量が多くなる。
また、縮合に用いるケトンに対するチオール助触媒のモル比は、多い場合、ビスフェノールに混入して品質が悪化する場合がある。これらのことから、ケトンに対するチオール助触媒のモル比の下限は、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.005以上、更に好ましくは0.01以上である。また、その上限は、好ましくは1以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.1以下である。
[反応溶媒]
本発明のビスフェノールの製造方法では、芳香族アルコールとケトンとの縮合反応を、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、ビスフェノールの生成反応を阻害しない範囲で特に限定されず、芳香族炭化水素、脂肪族アルコール、脂肪族炭化水素などが挙げられ、これらの溶媒を単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。
芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、メシチレンなどが挙げられ、これらの溶媒を単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。芳香族炭化水素は、ビスフェノールの製造に使用した後、蒸留などで回収及び精製して再使用することが可能である。このように芳香族炭化水素を再利用する場合は、沸点が低いものが好ましい。
脂肪族アルコールは、アルキル基とヒドロキシル基が結合したアルキルアルコールである。本発明において、脂肪族アルコールは、アルキル基と1個のヒドロキシル基が結合した1価アルコールでもよく、アルキル基と2個以上のヒドロキシル基が結合した多価アルコールであってもよい。また、アルキル基は、直鎖であっても、分岐していてもよく、無置換であっても、アルキル基の炭素原子の一部が酸素原子によって置換されていてもよい。
また、脂肪族アルコールは、アルキル基と1個のヒドロキシル基が結合したアルコールであることが好ましく、酸触媒との相溶のしやすさから、炭素数1~12のアルキル基と1個のヒドロキシル基が結合したアルコールであることがより好ましく、炭素数1~8のアルキル基と1個のヒドロキシル基が結合したアルコールであることが更に好ましい。
具体的な脂肪族アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、t-ブタノール、n-ペンタノール、i-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール、n-ノナノール、n-デカノール、n-ウンデカノール、n-ドデカノール、エチレングリコール、ジエチレングルコール、トリエチレングリコールなどを挙げることができる。好ましい脂肪族アルコールのひとつは、メタノールである。
なお、原料である芳香族アルコールを多量に使用して有機溶媒の代わりとしてもよい。この場合、未反応の芳香族アルコールは損失となるが、蒸留などにより回収及び精製して再利用することで損出を低減できる。
溶媒を用いる場合、原料であるケトンに対する溶媒の質量比(溶媒の質量/ケトンの質量)は、多すぎると、ケトンと、芳香族アルコールとが反応しにくく、反応に長時間を要する。少なすぎると、生成してくるビスフェノールにより混合不良が生じる場合や、ケトンの多量化が促進される場合がある。これらのことから、ケトンに対する溶媒の質量比は、0.5以上が好ましく、1以上がより好ましい。また、その上限は、溶媒の種類に応じて、ビスフェノールの析出が起こる範囲で調整すればよく、50以下であってよく、30以下であってよい。
生成してくるビスフェノールは有機溶媒に完全に溶解させずに分散させた方が、ビスフェノールが分解しにくい。また、反応終了後、反応液からビスフェノールを回収する際の損失(例えば、晶析時のろ液への損失)を低減できることからも、ビスフェノールの溶解度が低い溶媒を用いることが好ましい。ビスフェノールの溶解度が低い溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素が挙げられる。このため、有機溶媒は、芳香族炭化水素を含むことが好ましく、ビスフェノールが溶解しにくいことや沸点が低いことから、好ましい芳香族炭化水素のひとつはトルエンである。
[ケトンと芳香族アルコールとの縮合反応]
本発明のビスフェノールの製造方法では、以下に示す反応式(3)に従って、ケトンと、芳香族アルコールとの縮合により、以下の一般式(4)で表されるビスフェノールが製造される。
Figure 2023006818000003
(式中、R~Rは、一般式(1)及び(2)におけるものと同義である。)
Figure 2023006818000004

(式中、R~Rは、一般式(1)及び(2)におけるものと同義である。)
上記一般式(4)で表される化合物として、具体的には、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ペンタン、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ヘプタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ヘプタン、4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、4,4-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ヘプタンなどが挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
この中でも、色調のより優れたビスフェノールを得やすいため、本発明のビスフェノールの製造方法は、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパンの製造方法とすることが好ましい。なお、本願では2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパンをビスフェノールCと称する。
反応液の調製方法は、特に限定されず、芳香族アルコール及びケトンを含有する溶液と、酸触媒を含有する溶液とを混合する方法や、芳香族アルコール及び酸触媒を含有する溶液と、ケトンを含有する溶液とを混合する方法等が挙げられる。
ケトンの自己縮合による多量化を抑制するためには、酸触媒及び芳香族アルコールを含有する溶液と、ケトンを含有する溶液とを混合することが好ましい。この場合、酸触媒及び芳香族アルコールを含有する溶液は、チオール助触媒を含有することが好ましい。
また、酸触媒及び芳香族アルコールを含有する溶液と、ケトンを含有する溶液との混合は、通常、酸触媒及び芳香族アルコールを含有する溶液に、ケトンを含有する溶液を供給することで行うことができる。ケトンを含有する溶液の供給は、一括で供給しても、分割して供給してもよい。
ビスフェノールの生成反応が発熱反応であることから、ケトンを含有する溶液の供給は、少しずつ滴下して供給するなど分割して供給することが好ましい。
本発明のビスフェノールの製造方法におけるビスフェノールの生成反応は、ケトンと、芳香族アルコールとの縮合反応である。縮合反応の反応温度は、高温の場合、ケトンの多量化が進行しやすい。また、低温の場合、反応に要する時間が長時間化する。これらのことから、反応温度の下限は、-30℃以上や-20℃以上、-15℃以上とすることができる。反応温度の下限は、好ましくは0℃以上、より好ましくは5℃以上、更に好ましく
は10℃以上である。また、反応温度の上限は、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下である。また、反応温度は段階的に昇温してもよい。
本発明のビスフェノールの製造方法において、縮合反応の反応時間は、製造スケールや製造するビスフェノールの種類、反応温度等の反応条件により適宜調整される。反応時間が長い場合、生成したビスフェノールが分解しやすくなることから、好ましくは30時間以内、より好ましくは25時間以内、更に好ましくは20時間以内である。また、反応時間の下限は、通常、2時間以上であり、5時間以上や10時間以上としてもよい。
なお、反応時間は、ケトンと、芳香族アルコールとの混合時間(反応液の調製の時間)も含むものである。例えば、芳香族アルコールと酸触媒とを混合した溶液に、ケトンを1時間かけて供給した後、2時間反応させた場合、反応時間は3時間である。
ケトンを含有する溶液の供給時間(滴下時間)は、反応槽の冷却能力や製造スケール、製造されるビスフェノールの種類等に応じて適宜調整され、反応槽の冷却能力等によるが、例えば、0.3時間以上や0.5時間以上とすることができる。その上限は、例えば、5時間以下や3時間以下、1時間以下とすることができる。このようにすることで、反応熱の発生を抑えながら、反応液を調製できる。
[洗浄方法]
本発明のビスフェノールの製造方法では、縮合反応によって得られたビスフェノールの洗浄において、酸触媒を中和し、除去することができる。
具体的には、ビスフェノールを含有する有機相と、脱塩水又は塩基性水溶液とを混合した後、有機相と水相とに相分離させ、水相を除去し、有機相を得る。この除去される水相のpHが8.0以上13.0以下の塩基性になるまで、脱塩水及び/又は塩基性水溶液を用いて、有機相の洗浄を繰り返し行う。塩基性水溶液としては、水酸化ナトリウムや炭酸水素ナトリウムなどの塩基物質が溶解した水溶液が挙げられる。複数回洗浄を行う場合は、同一の塩基性水溶液を用いても、異なる塩基性水溶液を用いてもよい。
水相のpHの測定温度は、室温(20~30℃)が好ましく、例えば25℃が好ましい。
ビスフェノールを含む有機相を水で洗浄する際、除去される水相の電気伝導度で洗浄の終点を管理することが出来る。触媒由来の金属塩がビスフェノールを含む有機相に残留すると色調悪化を引き起こすため、洗浄後の水相の電気伝導度は好ましくは100μS/cm以下であり、より好ましくは50μS/cm以下であり、更に好ましくは10μS/cm以下である。
水相の電気伝導度の測定温度は、室温(20~30℃)が好ましく、例えば25℃が好ましい。
[精製方法]
本発明のビスフェノールの製造方法において、縮合反応によって得られたビスフェノールの精製は、常法により行うことができる。例えば、晶析やカラムクロマトグラフィーなどの簡便な手段により精製することが可能である。
具体的には、縮合反応後、反応液を分液して得られた有機相を水又は食塩水などで洗浄し、更に必要に応じて重曹水などで中和洗浄する。次いで、洗浄後の有機相を冷却し晶析させる。芳香族アルコールを多量に用いる場合は、該晶析前に蒸留による余剰の芳香族アルコールを留去してから晶析させる。
晶析は複数回行ってもよい。しかし、晶析の際にビスフェノールが一部母液に溶解し損失となるため、好ましくは5回以下であり、より好ましくは3回以下である。
[ビスフェノールの用途]
本発明のビスフェノールの製造方法において得られるビスフェノールは、光学材料、記録材料、絶縁材料、透明材料、電子材料、接着材料、耐熱材料など種々の用途に用いられるポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレ-ト樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂など種々の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリベンゾオキサジン樹脂、シアネート樹脂など種々の熱硬化性樹脂などの構成成分、硬化剤、添加剤もしくはそれらの前駆体などとして用いることができる。また、感熱記録材料等の顕色剤や退色防止剤、殺菌剤、防菌防カビ剤等の添加剤としても有用である。
これらのうち、良好な機械物性を付与できることより、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の原料(モノマ-)として用いることが好ましく、中でもポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂の原料として用いることがより好ましい。また、顕色剤として用いることも好ましく、特にロイコ染料、変色温度調整剤と組み合わせて用いることがより好ましい。
2.ポリカーボネート樹脂の製造方法
さらに、本発明の一実施形態は、酸性触媒の存在下で、芳香族アルコールと、ケトンの縮合反応により得られたビスフェノールを原料とするポリカーボネート樹脂の製造方法に関するものである。
得られたビスフェノールを原料とするポリカーボネート樹脂の製造方法について説明する。本発明のビスフェノールを原料とするポリカーボネート樹脂の製造方法は、本発明のビスフェノールと、炭酸ジフェニル等の炭酸ジエステルとを、例えば、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の存在下でエステル交換反応させる方法などにより製造する方法である。上記エステル交換反応は、公知の方法を適宜選択して行うことができるが、以下に本発明のビスフェノールと炭酸ジフェニルを原料とした一例を説明する。
上記のポリカーボネート樹脂の製造方法において、炭酸ジフェニルは、本発明のビスフェノール中のビスフェノールに対して過剰量用いることが好ましい。ビスフェノールに対して用いる炭酸ジフェニルの量は、製造されたポリカーボネート樹脂に末端水酸基が少なく、ポリマーの熱安定性に優れる点では多いことが好ましく、また、エステル交換反応速度が速く、所望の分子量のポリカーボネート樹脂を製造し易い点では少ないことが好ましい。これらのことから、ビスフェノール1モルに対する使用する炭酸ジフェニルの量は、通常1.001モル以上、好ましくは1.002モル以上である。また、通常1.3モル以下、好ましくは1.2モル以下である。
原料の供給方法としては、本発明のビスフェノール及び炭酸ジフェニルを固体で供給することもできるが、一方又は両方を、溶融させて液体状態で供給することが好ましい。
炭酸ジフェニルとビスフェノールとのエステル交換反応でポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。上記のポリカーボネート樹脂の製造方法においては、このエステル交換触媒として、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を使用するのが好ましい。これらは、1種類で使用してもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。実用的には、アルカリ金属化合物を用いることが望ましい。
ビスフェノール又は炭酸ジフェニル1モルに対して用いられるエステル交換触媒量は、通常0.05μモル以上、好ましくは0.08μモル以上、更に好ましくは0.10μモル以上である。また、通常100μモル以下、好ましくは50μモル以下、更に好ましくは20μモル以下である。
エステル交換触媒の使用量が上記範囲内であることにより、所望の分子量のポリカーボネート樹脂を製造するのに必要な重合活性を得やすく、且つ、ポリマー色相に優れ、また過度のポリマーの分岐化が進まず、成形時の流動性に優れたポリカーボネート樹脂を得やすい。
上記方法によりポリカーボネート樹脂を製造するには、上記の両原料を、原料混合槽に連続的に供給し、得られた混合物とエステル交換触媒を重合槽に連続的に供給することが好ましい。
エステル交換法によるポリカーボネート樹脂の製造においては、通常、原料混合槽に供給された両原料は、均一に攪拌された後、エステル交換触媒が添加される重合槽に供給され、ポリマーが生産される。
ポリカーボネート樹脂の製造において、重合時間は、製造スケールや原料の比率、所望とするポリカーボネート樹脂の分子量等によって適宜調整される。重合時間が長いと色調悪化などの品質悪化が顕在化するため、10時間以下であることが好ましく、8時間以下であることがより好ましい。重合時間の下限は、0.1時間以上や0.3時間以上とすることができる。
また、ビスフェノールを原料として用いて、溶融重合法によりポリカーボネート樹脂を製造する場合、高分子量のポリカーボネート樹脂を得にくい傾向にあるが、本発明のビスフェノールは、重合活性に優れる(重合活性が高い)ため、分子量の大きなポリカーボネートを効率的に製造することができる。本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法では、本発明のビスフェノールを用いることで、このような高分子量(例えば、粘度平均分子量10,000~100,000や24,000~50,000)のポリカーボネート樹脂を短い重合時間(例えば、3時間以下)で製造できる。また、本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法では、本発明のビスフェノールを用いることで、色調の優れたポリカーボネート樹脂を得ることができる。
以下、実施例および比較例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
[原料及び試薬]
以下の実施例および比較例において、オルトクレゾール、トルエン、水酸化ナトリウム、塩酸、ドデカンチオール、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム、アセトニトリル、酢酸、酢酸アンモニウム、ビスフェノールCは、富士フィルム和光純薬株式会社製の試薬を使用した。
炭酸ジフェニルは、三菱ケミカル株式会社製の製品を使用した。
アセトンは、富士フィルム和光純薬株式会社製(特級)および三菱ケミカル株式会社製の2種類のアセトンを使用した。以降、富士フィルム和光純薬株式会社製のアセトンはアセトンA、三菱ケミカル株式会社製のアセトンはアセトンBと称する。
[分析]
<アセトン中のアルデヒド>
アセトン中のアルデヒドの分析は、ガスクロマトグラフィーにより、以下の手順と条件で行った。アセトンA中にはアセトアルデヒドが30質量ppm、プロピオンアルデヒドが5質量ppm含有されており、アルデヒドとして35質量ppmであった。また、アセトンB中にはアセトアルデヒドが5質量ppm含有されており、プロピオンアルデヒドは検出されなかった。
・装置:島津製作所社製 GC-2014
Agilent FFAP 0.53mm×60m 1.0μm
・検出方法:FID
・気化室温度:150℃
・検出器温度:240℃
・分析時間0分から8分では、カラム温度を40℃に保ち、分析時間8~40分は毎分5℃でカラム温度を240℃まで徐々に昇温し、分析時間40分から50分はカラム温度を240℃に維持した。
・定量法:トルエンを内部標準とした内部標準方法
<ビスフェノールCの分析>
ビスフェノールCの組成分析は、高速液体クロマトグラフィーにより、以下の手順と条件で行った。以下で、製造されるビスフェノールCの純度は通常99質量%以上であることから、この分析では得られた固体がビスフェノールCであることを確認するために用いた。
・装置:島津製作所社製「LC-2010A」
Imtakt ScherzoSM-C18 3μm 250mm×3.0mmID・低圧グラジェント法
・分析温度:40℃
・溶離液組成:
A液 酢酸アンモニウム:酢酸:脱塩水=3.000g:1mL:1Lの溶液
B液 酢酸アンモニウム:酢酸:アセトニトリル:脱塩水=1.500g:1mL:900mL:150mLの溶液
・分析時間0分では、溶離液組成はA液:B液=60:40(体積比、以下同様。)
分析時間0~41.67分はA液:B液=10:90へ徐々に変化させ、
分析時間41.67~50分はA液:B液=10:90に維持、
流速0.34mL/分にて分析した。
<pHの測定>
pHの測定は、株式会社堀場製作所製pH計「pH METER ES-73」を用い
て、フラスコから取り出した25℃の水相に対して実施した。
<電気伝導度>
電気伝導度の測定は、株式会社堀場製作所製電気伝導度計「COND METER D-71」を用いて、フラスコから取り出した25℃の水相に対して実施した。
<ビスフェノールCのメタノール溶解色>
ビスフェノールCのメタノール溶解色は、日電理化硝子社製試験管「P-24」(24mmφ×200mm)にビスフェノールC10g及びメタノール10gを入れて、均一溶液とした後、室温(約20℃)で、日本電色工業社製「SE6000」を用い、そのハーゼン色数を測定した。
<ビスフェノールCの溶融色>
ビスフェノールCの溶融色は、日電理化硝子社製試験管「P-24」(24mmφ×200mm)にビスフェノールCを20g入れて、190℃で30分間溶融させ、日本電色工業社製「SE6000」を用い、そのハーゼン色数を測定した。
<粘度平均分子量>
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、ポリカーボネート樹脂を塩化メチレンに溶解し(濃度6.0g/L)、ウベローデ粘度管を用いて20℃における比粘度(
ηsp)を測定し、下記の式により粘度平均分子量(Mv)を算出した。
ηsp/C=[η](1+0.28ηsp)
[η]=1.23×10-4Mv0.83
<ペレットYI>
ペレットYI(ポリカーボネート樹脂の透明性)は、ASTM D1925に準拠して、ポリカーボネート樹脂ペレットの反射光におけるYI値(イエローネスインデックス値)を測定して評価した。装置はコニカミノルタ社製分光測色計「CM-5」を用い、測定条件は測定径30mm、SCEを選択した。
シャーレ測定用校正ガラス「CM-A212」を測定部にはめ込み、その上からゼロ校正ボックス「CM-A124」をかぶせてゼロ校正を行い、続いて内蔵の白色校正板を用いて白色校正を行った。次いで、白色校正板「CM-A210」を用いて測定を行い、L*が99.40±0.05、a*が0.03±0.01、b*が-0.43±0.01、YIが-0.58±0.01となることを確認した。
YIは、内径30mm、高さ50mmの円柱ガラス容器にペレットを40mm程度の深さまで詰めて測定を行った。ガラス容器からペレットを取り出してから再度測定を行う操作を2回繰り返し、計3回の測定値の平均値を用いた。
<実施例1>
(1-1)ビスフェノールCの製造
温度計、滴下ロート、ジャケット及びイカリ型撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下でトルエン5g、オルトクレゾール230g、ドデカンチオール2gを入れ、内温を30℃に維持しつつ、撹拌しながら35質量%塩酸210gを入れ、混合液A1とした。
次に、前記滴下ロートに、アセトンB65gを入れた。
混合液A1を25℃に維持した状態で、該滴下ロート内のアセトンBを撹拌しながら1時間分かけて混合液A1へ滴下し、30℃に維持した状態で更に2時間撹拌し、ビスフェノールCの反応液C1を得た。
ビスフェノールCの反応液C1に25%水酸化ナトリウム溶液290gとトルエン250gを加えて撹拌し75℃まで昇温した後、中和により生成した塩化ナトリウムが溶け残っていたので、脱塩水を入れて完全に溶解させ、静置させて油水分離した。油水分離後、水相をセパラブルフラスコの底から除去し、有機相D1を得た。
75℃で、得られた有機相D1に、3重量%炭酸水素ナトリウム溶液を加えて撹拌して中和し、静置させて油水分離した。油水分離後、水相をセパラブルフラスコの底から除去し、有機相E1を得た。
有機相E1を75℃から5℃まで徐々に冷却し、ビスフェノールC含有結晶を析出させた。得られたビスフェノールC含有結晶を含む液を、減圧濾過により固液分離を行い、ビスフェノールC含有ケーキ230gを得た。
温度計、ジャケット、及びイカリ型撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下得られたビスフェノールC含有ケーキ230g、脱塩水100g及びトルエン420gを室温で入れ、75℃まで昇温した後、静置させて油水分離した。油水分離後、水相1をセパラブルフラスコの底から除去し、有機相F1を得た。得られた水相1のpHは8.6であり、電気伝導度は120μS/cmであった。得られた有機相F1に、脱塩水100gを加え、30分間攪拌して、静置させて油水分離した。油水分離後、水相2をセパラブルフラスコの底から除去し、有機相G1を得た。得られた水相2は52μS/cmとなったが、水相が10μS/cm以下になるまで、脱塩水100gで有機相の水洗を繰り返し、有機相H1を得た。
有機相H1を75℃から5℃まで徐々に冷却し、ビスフェノールC含有結晶を析出させた。得られたビスフェノールC含有結晶を含む液を、減圧濾過により固液分離を行い、ビスフェノールC含有ケーキ180gを得た。
オイルバスを備えたエバポレータを用いて、減圧下オイルバス温度90℃で軽沸分を留去することで、白色固体150gを得た。得られた白色固体の一部を、高速液体クロマトグラフィーを用いて、ビスフェノールCであることを確認した。
(1-2)ビスフェノールCの色調
(1-1)で得られたビスフェノールCのメタノール溶解色を測定したところ、ハーゼン色数は0であった。得られたビスフェノールCの溶融色を測定したところ、ハーゼン色数は10であった。
(1-3)ポリカーボネート樹脂の色調
撹拌機及び留出管を備えた内容量150mLのガラス製反応槽に、(1-1)で得られたビスフェノールC100.00g(0.39モル)、炭酸ジフェニル86.49g(0.4モル)及び、400質量ppmの炭酸セシウム水溶液480μLを入れた。該ガラス製反応槽を約100Paに減圧し、続いて、窒素で大気圧に復圧する操作を3回繰り返し、反応槽の内部を窒素に置換した。その後、該反応槽を200℃のオイルバスに浸漬させ、内容物を溶融した。
撹拌機の回転数を毎分100回とし、反応槽内の精製ビスフェノールCと炭酸ジフェニルのオリゴマー化反応により副生するフェノールを留去しながら、40分間かけて反応槽内の圧力を、絶対圧力で101.3kPaから13.3kPaまで減圧した。続いて反応槽内の圧力を13.3kPaに保持し、フェノールを更に留去させながら、80分間、エステル交換反応を行った。その後、反応槽外部温度を250℃に昇温すると共に、40分間かけて反応槽内圧力を絶対圧力で13.3kPaから399Paまで減圧し、留出するフェノールを系外に除去した。
その後、反応槽外部温度を280℃に昇温、反応槽の絶対圧力を30Paまで減圧し、重縮合反応を行った。反応槽の撹拌機が予め定めた所定の撹拌動力となったときに、重縮合反応を終了した。
次いで、反応槽を窒素により絶対圧力で101.3kPaに復圧した後、ゲージ圧力で0.2MPaまで昇圧し、反応槽の底からポリカーボネート樹脂をストランド状で抜出し、ストランド状のポリカーボネート樹脂を得た。その後、回転式カッターを使用して、該ストランドをペレット化して、ペレット状のポリカーボネート樹脂を得た。
得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は24800であり、ペレットYIは7.2であった。
<実施例2>
(2-1)
実施例1の(1-1)において、アセトンB65gの代わりに、アセトン中のアルデヒドが29質量ppmとなるようにアセトンB13g及びアセトンA52gに代えた以外は、実施例1の(1-1)と同様に実施した。
(2-2)ビスフェノールCの色調
(2-1)で得られたビスフェノールCのメタノール溶解色を測定したところ、ハーゼン色数は4であった。得られたビスフェノールCの溶融色を測定したところ、ハーゼン色数は18であった。
(2-3)ポリカーボネート樹脂の色調
(1-3)において、(1-1)で得られたビスフェノールCの代わりに(2-1)で得られたビスフェノールCを用いた以外は、(1-3)と同様に実施した。得られたポリカーボネート樹脂のペレットYIは8.5であった。
<比較例1>
(3-1)
実施例1の(1-1)において、アセトンB65gの代わりに、アセトンA65gに代えた以外は、実施例1の(1-1)と同様に実施した。
(3-2)ビスフェノールCの色調
(3-1)で得られたビスフェノールCのメタノール溶解色を測定したところ、ハーゼン色数は7であった。得られたビスフェノールCの溶融色を測定したところ、ハーゼン色数は25であった。
(3-3)ポリカーボネート樹脂の色調
(1-3)において、(1-1)で得られたビスフェノールCの代わりに(3-1)で得られたビスフェノールCを用いた以外は、(1-3)と同様に実施した。得られたポリカーボネート樹脂のペレットYIは9.6であった。
実施例1及び2、比較例1において、用いたアセトン中のアルデヒド量、得られたビスフェノールCのメタノール溶解色及び溶融色、得られたポリカーボネート樹脂のペレットYIを表1に纏めた。表1より、アセトン中のアルデヒドが30質量ppm以下であれば、ビスフェノールCのメタノール溶解色及び溶融色が良好であり、色調良好なポリカーボネート樹脂が得られることが分かる。
Figure 2023006818000005

Claims (4)

  1. 芳香族アルコールとケトンとを、酸性触媒の存在下で反応させてビスフェノールを生成する工程を含むビスフェノールの製造方法であって、前記ケトンが30質量ppm以下のアルデヒドを有する、ビスフェノールの製造方法。
  2. 前記ケトンがアセトンである、請求項1に記載のビスフェノールの製造方法。
  3. 前記アルデヒドがアセトアルデヒドを含む、請求項1又は2に記載のビスフェノールの製造方法。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載のビスフェノールの製造方法により製造したビスフェノール用いてポリカーボネート樹脂を製造することを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
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