JP2020152650A - ビスフェノールの製造方法、及びポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塩化水素ガス又は塩酸を酸触媒として用いたビスフェノールの製造方法において、メタノール溶解色、溶融色差、熱色調安定性、熱分解安定性が良好なビスフェノールを製造し、このビスフェノールを用いて良好な色調のポリカーボネート樹脂を製造する。【解決手段】ケトン又はアルデヒドと、芳香族アルコールとを、塩化水素の存在下で縮合させてビスフェノールを含む反応液を得る第1工程と、該反応液と水を混合した後、ビスフェノールを含む第1の有機相と第1の水相とに相分離させ、該第1の水相を除去して該第1の有機相を得る第2工程とを有するビスフェノールの製造方法。該第2工程における該第1の水相の酸濃度が2.0mmol−NaOH/g以上、10.0mmol−NaOH/g以下となるようにする。【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族アルコールとアルデヒド又はケトンからビスフェノールを製造する方法と、得られたビスフェノールを用いたポリカーボネート樹脂の製造方法に関する。
本発明の方法で製造されたビスフェノールは、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、芳香族ポリエステル樹脂などの樹脂原料や、硬化剤、顕色剤、退色防止剤、その他殺菌剤や防菌防カビ剤等の添加剤として有用である。
ビスフェノールは、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、芳香族ポリエステル樹脂などの高分子材料の原料として有用である。代表的なビスフェノールとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンなどが知られている(特許文献1)。また、フルオレン骨格を含有するビスフェノールの製造方法も知られている(特許文献2)。
特開2014−40376号公報 特開2000−26349号公報
ビスフェノールの代表的な用途であるポリカーボネート樹脂は、無色であり、透明であることが求められる。ポリカーボネート樹脂の色調は、原料の色調の影響を大きく受ける。そのため、原料であるビスフェノールの色調も、無色であることが求められる(ここで、ビスフェノールの色を直接定量することは困難であることから、本発明では、ビスフェノールをメタノールに溶解させて色差を数値化し、この色調を「メタノール溶解色」と称する。)。また、ポリカーボネート樹脂の製造において、特に溶融法においては、ビスフェノールを溶融させてポリカーボネート樹脂を製造することから、高温にさらされる。そのため、ビスフェノールの熱的な色調の安定性も求められる(本発明では、この色調を「溶融色差」と称する。)。更に、ビスフェノールを溶融した後に、重合反応を実施することから、重合開始前までの熱的な色調安定性も求められる(本発明では、この色調を「熱色調安定性」と称する。)。また、重合開始前までにビスフェノールが熱分解してしまうと、ビスフェノールの物質量が減少し、原料である炭酸ジフェニルとの物質量比が所定の物質量比と乖離してしまい、所望の分子量のポリカーボネート樹脂を得ることができなくなることから、ビスフェノールの熱的な安定性も求められる(本発明では、この安定性を「熱分解安定性」と称する。)。
ポリカーボネート樹脂については、設計通りの分子量を有し、かつ色調が良好なポリカーボネート樹脂が求められている。このため、このようなポリカーボネート樹脂を製造するために、原料であるビスフェノールについては、メタノール溶解色、溶融色差、及び熱色調安定性に優れ、また、熱分解安定性に優れたビスフェノールが求められている。
ビスフェノール生成反応の触媒として、塩化水素ガス又は塩酸を用いた場合、塩化水素が揮発して、設備を腐食し、腐食した成分がビスフェノールに混入することで、ビスフェノールの品質が悪化しやすく、その回避は容易ではない。
そのため、品質の良いビスフェノールを得るためには、ビスフェノールを効率的に洗浄し、効率的に回収することが重要である。
ビスフェノールの回収方法として、例えば、特許文献1に記載の方法のように、反応液に水を供給して酸触媒の濃度を低減することで反応を終了(停止)させた後、ビスフェノールを回収する方法が知られている。しかし、ビスフェノール生成反応後の水相の酸性が高い状態で、ビスフェノールの回収時に加熱等を行うと、ビスフェノールが分解しやすくなり、副生物が多くなるといった別の問題が生じる。また、このビスフェノールの分解を抑制するために、塩基性水溶液を用いて酸触媒を中和することにより反応液の酸性を下げて、反応を終了する方法が知られている(例えば、特許文献2)。しかし、この方法ではビスフェノール生成反応後の水相の濃度がpH4〜6となり、設備腐食によって悪化したビスフェノールの品質を改善することが困難である。
かかる状況下、塩化水素ガス又は塩酸を触媒に用いたビスフェノールの製造において、設備腐食によって悪化したビスフェノールの品質の改善方法が求められていた。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、塩化水素ガス又は塩酸を酸触媒として用いたビスフェノール生成反応の終了時の条件を制御することで、品質の良いビスフェノールを製造する方法と、このビスフェノールを用いたポリカーボネート樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ビスフェノールの生成反応停止時に供給する水の量を、水を混合した後、ビスフェノールを含む第1の有機相と第1の水相とに相分離させた第1の水相が、特定の酸濃度となるように制御することで、品質の良いビスフェノールを製造することができることを見出した。また、製造されたビスフェノールを用いて、色調の良いポリカーボネート樹脂を製造することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、以下の[1]〜[7]に存する。
[1] ケトン又はアルデヒドと、芳香族アルコールとを、塩化水素の存在下で縮合させてビスフェノールを含む反応液を得る第1工程と、該反応液と水を混合した後、ビスフェノールを含む第1の有機相と第1の水相とに相分離させ、該第1の水相を除去して該第1の有機相を得る第2工程とを有するビスフェノールの製造方法であって、該第2工程における該第1の水相の酸濃度が2.0mmol−NaOH/g以上、10.0mmol−NaOH/g以下であるビスフェノールの製造方法。
[2] 前記第2工程において、前記反応液と水との混合液の温度を、前記第1工程の反応温度より高い温度とする[1]に記載のビスフェノールの製造方法。
[3] 前記第1の有機相を水で洗浄する水洗工程を有する[1]または[2]に記載のビスフェノールの製造方法。
[4] 前記第1の有機相または前記水洗工程における洗浄後の有機相に塩基性水溶液を混合した後、有機相とpH9以上の水相とに相分離させ、該pH9以上の水相を除去して該pH9以上の水相から相分離された有機相を得るアルカリ洗浄工程を有する[1]〜[3]のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
[5] 前記アルカリ洗浄工程で得られた前記有機相を水で洗浄する水洗工程を有する[4]に記載のビスフェノールの製造方法。
[6] 前記ビスフェノールが、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンである[1]〜[5]のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法で製造したビスフェノールを用いたポリカーボネート樹脂の製造方法。
本発明によれば、ビスフェノールの生成反応停止時に供給する水の量を、水を混合した後、ビスフェノールを含む第1の有機相と第1の水相とに相分離させた第1の水相が、特定の酸濃度となるように制御することで、メタノール溶解色、溶融色差、熱色調安定性、熱分解安定性が良好なビスフェノールを製造することができる。また、得られたビスフェノールを用いて色調の良好なポリカーボネート樹脂を製造することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施の態様の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。
なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
[ビスフェノールの製造方法]
本発明のビスフェノールの製造方法は、ケトン又はアルデヒドと、芳香族アルコールとを、塩化水素の存在下で縮合させてビスフェノールを含む反応液を得る第1工程と、該反応液と水を混合した後、ビスフェノールを含む第1の有機相と第1の水相とに相分離させ、該第1の水相を除去して該第1の有機相を得る第2工程とを有するビスフェノールの製造方法であって、該第2工程における該第1の水相の酸濃度が2.0mmol−NaOH/g以上、10.0mmol−NaOH/g以下であることを特徴とする。
本発明のビスフェノールの製造方法の特徴は、塩化水素の存在下における縮合反応において、相分離される水相が特定の酸濃度となるように調整してビスフェノール生成反応を終了させること、および、特定の酸濃度に調整するために相応の水を用いることにある。
即ち、本発明者らは、縮合反応を終了させる際の水相の酸濃度が、最終的に固体として得られるビスフェノールに与える影響について検討し、以下の知見を得た。
・塩化水素ガス又は塩酸を触媒に用いた場合、用いた触媒が設備を腐食させ、その腐食によって得られるビスフェノールの品質が悪化する。
・反応終了時に添加する水の量によって反応液の酸性度が異なり、反応液の酸性度によってビスフェノールの分解等の起こりやすさが異なるため、反応終了時の水相の酸濃度がビスフェノールの品質に影響を与えやすい。
・反応終了時の酸濃度が高い方が、腐食によって悪化したビスフェノールの品質を改善しやすい。
さらに、上記知見に基づき、ビスフェノールの分解等を抑制しつつ、反応終了時の反応液への水供給後の水相の酸濃度を制御することが重要であると考えて検討を行った。その結果、水を用いて、水相が特定の酸濃度となるように制御すれば、酸濃度が高い領域でもビスフェノールの分解を抑えることができ、品質の良いビスフェノールを製造することができることを見出した。
本発明はこのようなメカニズムに基づくものである。
以下、本発明のビスフェノールの製造方法の第1工程及び第2工程について説明する。
[第1工程]
第1工程は、ケトン又はアルデヒドと、芳香族アルコールとを、塩化水素の存在下で縮合させてビスフェノールを含む反応液を得る工程である。
ビスフェノールの反応は、通常、以下に示す反応式(1)に従って行われる。
Figure 2020152650
上記反応式(1)におけるR〜Rについては、後述の一般式(2)〜(3)におけるR〜Rの説明の通りである。
<芳香族アルコール>.
ビスフェノールの原料として使用する芳香族アルコールは、通常、以下の一般式(2)で表される化合物である。
Figure 2020152650
上記一般式(2)において、R〜Rとしては、それぞれに独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基などが挙げられる。なお、アルキル基、アルコキシ基、アリール基などの置換基は、置換あるいは無置換のいずれであってもよい。R〜Rとしては例えば、水素原子、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、i−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、2,6−ジメチルフェニル基などが挙げられる。
これらのうちRとRは立体的に嵩高いと縮合反応が進行しにくいことから、芳香族アルコールとしては、RおよびRが水素原子である芳香族アルコールが好ましい。
また、芳香族アルコールとしては、R〜Rがそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であるものが好ましく、より好ましくは、RおよびRがそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり、RおよびRが水素原子である芳香族アルコールである。
上記一般式(2)で表される芳香族アルコールとして、具体的には、フェノール、メチルフェノール(クレゾール)、ジメチルフェノール(キシレノール)、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、メトキシフェノール、エトキシフェノール、プロポキシフェノール、ブトキシフェノール、アミノフェノール、ベンジルフェノール、フェニルフェノールなどが挙げられる。
中でも、フェノール、クレゾール、およびキシレノールからなる群から選択されるいずれかであることが好ましく、クレゾールまたはキシレノールがより好ましく、クレゾールがさらに好ましい。
<ケトン又はアルデヒド>
ビスフェノールの原料として使用するケトン又はアルデヒドは、通常、以下の一般式(3)で表される化合物である。
Figure 2020152650
上記一般式(3)においてRとRとしては、それぞれに独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基などが挙げられる。なお、アルキル基、アルコキシ基、アリール基などの置換基は、置換あるいは無置換のいずれであってもよい。例えば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルへキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、i−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、2,6−ジメチルフェニル基などが挙げられる。
とRは、2つの基の間で互いに結合又は架橋していてもよく、RとRとが隣接する炭素原子と一緒に結合して、ヘテロ原子を含んでいてもよいシクロアルキリデン基を形成してもよい。なお、シクロアルキリデン基とは、シクロアルカンの1つの炭素原子から2個の水素原子を除去した2価の基である。RとRとが隣接した炭素と結合して形成されるシクロアルキリデン基である場合、得られるビスフェノールは、シクロアルキリデン基を介して、芳香族アルコールが結合した構造となる。
とRとが隣接する炭素原子と一緒に結合し形成されるシクロアルキリデン基としては、例えば、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、シクロオクチリデン、シクロノニリデン、シクロデシリデン、シクロウンデシリデン、シクロドデシリデン、フルオレニリデン、キサントニリデン、チオキサントニリデンなどが挙げられる。
上記一般式(3)で表される化合物として、具体的には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、ドデシルアルデヒドなどのアルデヒド類、アセトン、ブタノン、ペンタノン、ヘキサノン、ヘプタノン、オクタノン、ノナノン、デカノン、ウンデカノン、ドデカノンなどのケトン類、ベンズアルデヒド、フェニルメチルケトン、フェニルエチルケトン、フェニルプロピルケトン、クレジルメチルケトン、クレジルエチルケトン、クレジルプロピルケトン、キシリルメチルケトン、キシリルエチルケトン、キシリルプロピルケトンなどのアリールアルキルケトン、シクロプロパノン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロノナノン、シクロデカノン、シクロウンデカノン、シクロドデカノンなどの環状アルカンケトン類等が挙げられる。中でも、アセトンが好ましい。
<ビスフェノール>
本発明のビスフェノールの製造方法では、前記反応式(1)に従って、ケトン又はアルデヒドと、芳香族アルコールとの縮合により、以下の一般式(4)で表されるビスフェノールが製造される。
Figure 2020152650
(式中、R〜Rは、一般式(2)及び(3)におけるものと同義である。)
上記一般式(4)で表されるビスフェノールとして、具体的には、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ヘプタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ヘプタンなどが挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
この中でも、本発明のビスフェノールの製造方法は、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンまたは2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパンの製造に好適であり、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)の製造に好適である。
<縮合反応>
ビスフェノールを含む反応液を得るために、芳香族アルコールとケトン又はアルデヒドとを縮合させる方法に特に制限はないが、例えば次のような方法が挙げられる。
(i)芳香族アルコールと塩化水素を含む混合溶液に、ケトン又はアルデヒドを供給した後、所定の時間反応させる方法
(ii)芳香族アルコールとケトン又はアルデヒドを含む混合溶液に、塩化水素を供給した後、所定の時間反応させる方法
上記(i)のケトン又はアルデヒドの供給や上記(ii)の塩化水素の供給には、一括で供給する方法と分割して供給する方法が挙げられるが、ビスフェノールを生成する反応が発熱反応であることから、少しずつ滴下して供給するなど分割して供給する方法が好ましい。また、ケトン又はアルデヒドの自己縮合をより抑制できるため、上記(i)の方法が好ましい。
芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを縮合させる反応において、ケトン又はアルデヒドに対する芳香族アルコールのモル比((芳香族アルコールのモル数/ケトンのモル数)又は(芳香族アルコールのモル数/アルデヒドのモル数))は、少ないとケトン又はアルデヒドが多量化しやすく、多いと芳香族アルコールを未反応のまま損失する。これらのことから、ケトン又はアルデヒドに対する芳香族アルコールのモル比の下限は、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.6以上、更に好ましくは1.7以上である。また、その上限は、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは8以下である。
<塩化水素>
本発明において、酸触媒として用いる塩化水素としては、塩化水素ガス、塩酸が挙げられる。この中でも塩化水素ガスが好ましい。
反応に用いるケトン又はアルデヒドに対する塩化水素のモル比((塩化水素のモル数/ケトンのモル数)又は(塩化水素のモル数/アルデヒドのモル数))は、少ないと縮合反応時に副生する水によって塩化水素が希釈されて長い反応時間を要することになる。一方、多いとケトン又はアルデヒドの多量化が進行する場合がある。これらのことから、ケトン又はアルデヒドに対する塩化水素のモル比の下限は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上である。また、その上限は、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは5以下である。
<チオール>
本発明においては、ケトン又はアルデヒドと芳香族アルコールとを縮合させる反応に、助触媒としてチオールを用いてもよい。
助触媒としてチオールを用いることで、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの製造において、24体の生成を抑え、44体の選択率を上げる効果と共に、ポリカーボネート樹脂製造時の重合活性を高め、得られるポリカーボネート樹脂の色調を良好なものとするという効果が得られる。このポリカーボネート樹脂製造時の重合活性の向上、得られるポリカーボネート樹脂の色調の改善効果が奏される理由の詳細は明らかではないが、チオールを用いることで、ポリカーボネート樹脂を製造する重合反応に対する阻害物の生成を抑制すると共に、色調悪化物の生成を抑制することができることによると推定される。
助触媒として用いるチオールとしては、例えば、メルカプト酢酸、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、4−メルカプト酪酸などのメルカプトカルボン酸や、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、ペンチルメルカプタン、へキシルメルカプタン、へプチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン(デカンチオール)、ウンデシルメルカプタン(ウンデカンチオール)、ドデシルメルカプタン(ドデカンチオール)、トリデシルメルカプタン、テトラデシルメルカプタン、ペンタデシルメルカプタンなどのアルキルチオールやメルカプトフェノールなどのアリールチオールなどが挙げられる。
縮合に用いるケトン又はアルデヒドに対するチオール助触媒のモル比((チオール助触媒のモル数/ケトンのモル数)又は(チオール助触媒のモル数/アルデヒドのモル数))は、少ないとチオール助触媒を用いることによるビスフェノールの反応選択性改善の効果が得られず、多いとビスフェノールに混入して品質が悪化する場合がある。これらのことから、ケトン及びアルデヒドに対するチオール助触媒のモル比の下限は、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.005以上、更に好ましくは0.01以上である。また、その上限は、好ましくは1以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.1以下である。
チオールは、ケトン又はアルデヒドと予め混合してから反応に供することが好ましい。チオールとケトン又はアルデヒドとの混合方法は、チオールにケトン又はアルデヒドを混合してもよく、ケトン又はアルデヒドにチオールを混合してもよい。
また、チオールとケトン又はアルデヒドとの混合液と、芳香族アルコールとの混合方法は、チオールとケトン又はアルデヒドとの混合液に芳香族アルコールを混合してもよく、芳香族アルコールにチオールとケトン又はアルデヒドとの混合液を混合してもよい。芳香族アルコールにチオールとケトン又はアルデヒドとの混合液を混合する方が好ましい。
<有機溶媒>
本発明のビスフェノールの製造方法では、生成してくるビスフェノールを溶解ないし分散させるために通常有機溶媒を使用する。
有機溶媒としては、ビスフェノールの生成反応を阻害しない範囲で特に限定されないが、通常芳香族炭化水素が用いられる(ここで、基質となる芳香族アルコール、および、生成物であるビスフェノールは、有機溶媒から除かれる。)。
芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、メシチレンなどが挙げられ、これらの溶媒を単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。芳香族炭化水素は、ビスフェノールの製造に使用した後、蒸留などで回収及び精製して再使用することが可能である。芳香族炭化水素を再利用する場合は、沸点が低いものが好ましい。好ましい芳香族炭化水素のひとつは、トルエンである。
縮合に用いるケトン又はアルデヒドに対する有機溶媒の質量比((ケトンの質量/有機溶媒の質量)又は(アルデヒドの質量/有機溶媒の質量))は、多すぎると、ケトン又はアルデヒドと、芳香族アルコールとが反応しにくく、反応に長時間を要する。少なすぎると、ケトン又はアルデヒドの多量化が促進されたり、生成してくるビスフェノールが固化する場合がある。これらのことから、仕込み時のケトン又はアルデヒドに対する有機溶媒の質量比は、0.5以上が好ましく、1以上がより好ましい。また、その上限は、100以下が好ましく、50以下がより好ましい。
また、有機溶媒を使わず原料の芳香族アルコールを多量に使用して有機溶媒の代わりにしてもよい。この場合、未反応の芳香族アルコールは損失となるが、蒸留などにより回収及び精製して再使用することで損失を低減できる。
<反応条件>
ビスフェノールの生成反応の反応時間は、長すぎると生成したビスフェノールが分解する場合があることから、好ましくは30時間以内、より好ましくは25時間以内、更に好ましくは20時間以内である。反応時間の下限は通常2時間以上である。
なお、反応時間は、反応液調製のときの混合時間も含むものである。例えば、芳香族アルコー及び酸触媒を混合した混合溶液に、ケトン又はアルデヒドを1時間かけて供給した後、1時間反応させた場合、反応時間は2時間である。
ビスフェノールの生成反応の反応温度は、高温の場合ケトン又はアルデヒドの多量化が進行しやすく、低温の場合は反応に要する時間が長時間化する。これらのことから、反応温度は、好ましくは−30℃以上、より好ましくは−20℃以上、更に好ましくは−15℃以上であり、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは60℃以下である。なお、反応温度とは、第1工程の開始から終了までの間の平均の温度を意味する。
また、ビスフェノールを含む反応液は、生成してくるビスフェノールが反応液中に完全には溶解せず分散したスラリー状の溶液として得ることが好ましい。酸触媒の種類、有機溶媒の種類や量、反応時間等を適宜調整することで、ビスフェノールが分散したスラリーを得ることができる。
[第2工程]
第2工程は、第1工程で得られた反応液と水とを混合した後、ビスフェノールを含む第1の有機相と第1の水相とに相分離させ、第1の水相を除去して、第1の有機相を得る工程である。ここでは、第1の水相の酸濃度が2.0mmol−NaOH/g以上、10.0mmol−NaOH/g以下となるように水が供給される。
第2工程では、第1工程で得られた反応液と水とを混合し、反応液中の塩化水素と水とを接触させ、酸濃度を低減させることで、ビスフェノール生成の反応速度を低下させる。さらに、ビスフェノールを含む第1の有機相と第1の水相とに相分離し、第1の水相を除去する。第1の水相を除去することで、塩化水素が除去され、第1の水相を除去した後の第1の有機相中では、ビスフェノールの生成反応が実質的に停止する。
相分離して得られる第1の水相の酸濃度が10.0mmol−NaOH/gを超えると、第1の有機相中に残存する酸触媒の量も多くなり、第2工程以降においてビスフェノールの分解反応が進行してしまう。従って、ビスフェノールの分解物等の副生成物の生成を抑制するためには、第1の水相は酸濃度が10.0mmol−NaOH/g以下となるようにする必要があり、9.5mmol−NaOH/g以下とすることが好ましい。一方、第1の水相の酸濃度が2.0mmol−NaOH/gより低いと、腐食によって悪化したビスフェノールの品質を改善することが困難である。従って、第1の水相の酸濃度は、2.0mmol−NaOH/g以上となるようにする必要があり、2.5mmol−NaOH/g以上となるようにすることが好ましく、3.0mmol−NaOH/g以上とすることがより好ましい。
本発明に従って、第1の水相の酸濃度を、上記範囲内とすることで、液量の増加やビスフェノールの分解を抑え、また、ビスフェノールの品質を改善することができるので、本発明では、このような酸濃度となるような量の水を第1工程で得られた反応液に添加混合する。
なお、本発明において、第1の水相の酸濃度とは、第1の水相1g中に含まれる酸(H)を中和するのに必要とする水酸化ナトリウムのモル数である。具体的には、第2工程において、第1の有機相と相分離させて除去した第1の水相の一部を、電位差自動滴定装置を用いて、水酸化ナトリウム溶液で滴定し、pH7とするのに要する水酸化ナトリウムの量(モル数)を求める。次いで、以下の式(5)に示すように、測定に用いた第1の水相の質量(g)に対するpH7とするのに要する水酸化ナトリウムの量(モル数)を求め、この値を酸濃度とする。
Figure 2020152650
例えば、第1の水相を1g用いて、0.1モル/Lの水酸化ナトリウム溶液で滴定し、pH7とするのに要する水酸化ナトリウム溶液が1mL(水酸化ナトリウムのモル数は0.1ミリモル)であった場合、酸濃度は、0.1mmol−NaOH/gとなる。
この第2工程において、第1工程で得られた反応液と水との混合液を、第1工程の反応温度より高い温度にすることが好ましい。このようにすることで、塩化水素が水相に溶解しやすくなる。特に、ビスフェノールを含む反応液が、ビスフェノールが分散したスラリーである場合、ビスフェノールを溶解させるために、第2工程の温度は、第1工程の反応温度よりも高い温度とすることが好ましい。温度を上げて、ビスフェノールを溶解させることで、洗浄効率が向上する。
第1工程で得られた反応液と水との混合液を、第1工程の反応温度より高い温度にするためには、第1工程で得られた反応液と水とを混合後に、混合液を所定の温度まで昇温する方法が挙げられる。また、所定の温度となるように、第1工程で得られた反応液と水とを昇温しながら混合する方法が挙げられる。また、ビスフェノールの析出を抑制し、洗浄効率をより向上させるためには、所定の温度まで昇温し、所定の温度に達した時点から、第2工程の終了時まで、その温度を維持することが好ましい。
第1工程で得られた反応液と水との混合液の温度が高すぎる場合、反応に用いた有機溶媒が蒸発してしまい、生成したビスフェノールが析出する傾向がある。一方、第1工程で得られた反応液と水との混合液の温度が低すぎる場合、ビスフェノールが析出してしまう場合がある。したがって、第2工程における、第1工程で得られた反応液と水との混合液の温度の下限は、第1工程の反応温度よりも20℃高い温度以上、特に25℃高い温度以上、例えば50℃以上とすることが好ましく、55℃以上とすることがよりに好ましい。また、その上限は、第1工程の反応温度よりも150℃高い温度以下、特に100℃高い温度以下、例えば120℃以下が好ましく、110℃以下が更に好ましい。
また、ビスフェノールを含む反応液中の芳香族アルコールの含有量が多い場合には、第1工程で得られた反応液と水との混合時、または、第1工程で得られた反応液と水とを混合後に、芳香族炭化水素等の有機溶媒を追加してもよい。ここで追加する有機溶媒としては、第1工程における反応溶媒としての有機溶媒と同様のものを用いることができる。ただし、有機溶媒を追加すると液量が増加するため、第1工程において、ケトン又はアルデヒドと、芳香族アルコールと、有機溶媒と、塩化水素とを含有する溶液中で反応を行い、芳香族アルコールの使用量を低減することが好ましい。
[ビスフェノールの製造方法の一例]
本発明のビスフェノールの製造方法の一例を示すと、まず、第1工程では、反応器に芳香族アルコール、有機溶媒としての芳香族炭化水素及び塩化水素を供給して混合液を調製する。次に、混合液にケトン又はアルデヒドを供給し、芳香族アルコールとケトン又はアルデヒドとを縮合させることでビスフェノールを生成させ、ビスフェノールを含む反応液としてビスフェノールが分散したスラリーを得る。
なお、本発明のビスフェノールの製造方法は、回分反応により行うことができ、反応器は回分式反応器や半回分式反応器を用いることができる。
第2工程では、反応器に水を供給し、反応液であるビスフェノールが分散したスラリーと混合する。供給する水の量は、相分離後に抜き出す第1の水相の酸濃度が2.0mmol−NaOH/g以上、10.0mmol−NaOH/g以下となるような量とする。
ビスフェノールの使用目的等に応じて、第2工程後の第1の有機相に対して、水や塩基による洗浄を適宜行った後、晶析することでビスフェノールを得ることができる。
[第1の水洗工程]
本発明のビスフェノールの製造方法は、第2工程で得られた第1の有機相を水で洗浄する第1の水洗工程を有することが好ましい。第2工程で得られた第1の有機相を水で洗浄することで、第1の有機相に残存する酸濃度を更に低減できる。
例えば、第1の水洗工程では、得られた第1の有機相に脱塩水を供給し、第1の有機相を脱塩水で洗浄することができる。
供給する水の量が多い場合、液量が多くなることで撹拌効率が低下し、水洗効率が低くなる傾向がある。また、第1の水洗工程での液量が多くなれば、第2工程での液量増加を抑制した効果が小さくなる。一方、供給する水の量が少ない場合、水相の容積が小さくなり、撹拌効率が低下し、水洗効率が低くなる傾向がある。したがって、第1の有機相の量に対する水の質量比(水の質量/第1の有機相の質量)は、0.01以上が好ましく、0.05以上が更に好ましい。また、その上限は、2以下が好ましく、1以下がより好ましく、0.5以下が更に好ましい。
また、第1の水洗工程の開始から終了までの平均の温度は、ビスフェノールの析出を抑制するために、50℃以上とすることが好ましく、55℃以上とすることがより好ましい。また、有機溶媒の蒸発によりビスフェノールが析出することを抑制するために、120℃以下とすることが好ましく、110℃以下とすることがより好ましい。第1の水洗工程は例えば、第2工程の昇温後の温度と同じ温度で行うことができる。
第1の水洗工程は、第2工程で得られた第1の有機相に水を供給して洗浄し、その後有機相と水相とに相分離させ、この水相を除去することで行われる。
第1の水洗工程である、第1の有機相を水で洗浄する工程は複数回行ってもよい。この場合は、上記の水の供給、洗浄、相分離、および水相の除去を繰り返し実施する。
[アルカリ洗浄工程]
本発明のビスフェノールの製造方法は、第2工程または第1の水洗工程の後に、得られた有機相を塩基性水溶液で洗浄するアルカリ洗浄工程を有することが好ましい。
このアルカリ洗浄工程は、第2工程の後に、第1の有機相と塩基性水溶液とを混合した後、有機相とpH9以上の水相とに相分離させ、相分離した水相を除去して有機相を得る工程であることが好ましい。或いは、第1の水洗工程の後に、第2工程で得られた第1の有機相を洗浄して得られた有機相と塩基性水溶液とを混合した後、有機相とpH9以上の水相とに相分離させ、相分離した水相を除去して有機相を得る工程であることが好ましい。
このように塩基性水溶液で洗浄することで、塩基性条件下で溶解しやすい不純物を除去することができる。
なお、アルカリ洗浄工程は、複数回行ってもよい。
アルカリ洗浄工程で相分離される水相のpHは9以上であればよく、10以上又は11以上であってもよい。また、その上限は、例えば、14以下又は13以下とすることができる。この水相のpHは、pHメータで測定することができる。このpHは、室温(20〜30℃)における測定値である。
アルカリ洗浄工程で用いる塩基性水溶液の塩基性物質としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどを用いることができる。
アルカリ洗浄工程で用いる塩基性水溶液の塩基性物質濃度は、塩基性物質や酸触媒の種類に応じて適宜調整される。塩基性水溶液の塩基性物質濃度が高すぎると、最終的に得られるビスフェノールに残存して品質を悪化させてしまうことから、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がより好ましい。また、塩基性水溶液の塩基性物濃度が低すぎるとpH9以上の水相を得るために塩基性水溶液の量を増加させる必要があることから、塩基性水溶液の塩基性物質濃度の下限は、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。
また、供給する塩基性水溶液の量が多すぎると、アルカリ洗浄後に相分離させる有機相の量に対して水相の量が多すぎてしまい、相分離が容易ではなくなる。また、第2工程での液量増加を抑制した効果が小さくなる。これらのことから、アルカリ洗浄工程における有機相の量に対する塩基性水溶液の質量比(塩基性水溶液の質量/有機相の質量)は、2以下好ましく、1以下より好ましく、0.5以下が更に好ましい。一方、供給する塩基性水溶液の量が少なすぎても、水相の量に対して有機相の量が多すぎ、相分離が容易ではなくなる。このことから、有機相の量に対する塩基性水溶液の質量比は、0.05以上が好ましく、0.1以上がより好ましい。
また、アルカリ洗浄工程の開始から終了までの平均の温度は、ビスフェノールの析出を抑制するために、50℃以上とすることが好ましく、55℃以上とすることがより好ましい。また、有機溶媒の蒸発によりビスフェノールが析出することを抑制するために、120℃以下とすることが好ましく、110℃以下とすることがより好ましい。アルカリ洗浄工程は例えば、第2工程の昇温後の温度と同じ温度で行うことができる。
[第2の水洗工程]
本発明のビスフェノールの製造方法は、アルカリ洗浄工程後に得られた有機相を水で洗浄する第2の水洗工程を有することが好ましい。第2の水洗工程は、洗浄対象を、第1の有機相をアルカリ洗浄工程でアルカリ洗浄して得られた有機相とする以外は、第1の水洗工程と同様に行うことができる。ここで洗浄する有機相は、第2工程の後にアルカリ洗浄工程を行って得られたものであっても、第2工程の後に第1の水洗工程及びアルカリ洗浄工程を行って得られたものであってもよい。また、第2の水洗工程は複数回行ってもよい。
[晶析工程]
本発明のビスフェノールの製造方法は、晶析工程を有することが好ましい。晶析工程は、第2工程の後に行われるが、第2工程と晶析工程との間に別の工程を有していてもよい。
例えば、第2工程と晶析工程との間に、上記のアルカリ洗浄工程を有していてもよい。この場合、晶析工程は、アルカリ洗浄後相分離して得られた有機相を冷却し、ビスフェノールを析出させる工程とすることができる。上記の第1の水洗工程または第2の水洗工程の後に晶析工程を行う場合は、各工程の洗浄後相分離して得られた有機相を冷却し、ビスフェノールを析出させればよい。
晶析は、常法に従って行うことができ、例えば、温度差によるビスフェノールの溶解度差を利用する方法、貧溶媒を供給することで固体を析出させる方法のいずれも適用できる。貧溶媒を供給する方法では得られるビスフェノールの純度が低下しやすいことから、温度差によるビスフェノールの溶解度差を利用する方法が好ましい。
また、有機相中の芳香族アルコール含有量が多い場合には、晶析前に蒸留により余剰の芳香族アルコールを留去してから晶析してもよい。
例えば、60〜90℃の有機相を、−10〜30℃に冷却することでビスフェノールが析出する。析出したビスフェノールは、固液分離し、乾燥等により回収することができる。
なお、この晶析工程に供する有機相は、その直前の工程で相分離された水相(以下、「直前水相」と称す場合がある。)の電気伝導度が10μS/cm以下であるものが好ましい。この直前水相の電気伝導度が10μS/cm以下、特に9μS/cm以下、とりわけ8μS/cm以下であると、生成物中の副生成物や残留触媒等の不純物を高度に除去して、色相が良好であり、ポリカーボネート樹脂の原料ビスフェノールとして用いた場合、重合反応効率が高く、色相に優れたポリカーボネート樹脂を製造することができるビスフェノールを得ることができ、好ましい。
ここで、直前水相の電気伝導度は、例えば相分離させた室温(20〜30℃)の直前水相について、電気伝導度計で測定することができる。
このようにして得られたビスフェノールは、さらに、その用途に応じて、常法により精製を行ってもよい。例えば、ふりかけ洗浄、水洗、懸濁洗浄、晶析やカラムクロマトグラフィーなどの簡便な手段により精製することが可能である。具体的には、得られたビスフェノールを芳香族炭化水素等の有機溶媒に溶解させた後、冷却し晶析させることで、更に精製することができる。
[ビスフェノールの製造方法の工程構成]
本発明のビスフェノールの製造方法は、例えば、第1工程と、第2工程と、第1の水洗工程と、アルカリ洗浄工程と、第2の水洗工程と、晶析工程とを有する製造方法とすることができる。また、本発明のビスフェノールの製造方法は、第1工程と、第2工程と、アルカリ洗浄工程と、第2の水洗工程と、晶析工程とを有する製造方法とすることができる。
第2工程と晶析工程との間に、第1の水洗工程やアルカリ洗浄工程、第2の水洗工程等の工程を有する場合、これらの工程においても液量の増加が生じるが、上記のように、得られるビスフェノールの品質への影響が大きいのは、第2工程に相当する反応終了時の液量の管理である。本発明のビスフェノールの製造方法では、この反応終了時の液量増加を抑制できるため、全工程を通じて液量の増加を抑制できる。例えば、各工程の液量のうち最大のものを最大液量とした場合、第1工程の反応液の液量に対する最大液量の質量比(最大液量(g)/第1工程の反応液の液量(g))を通常2以下、さらには1.5以下、特に1.3以下に抑えることができる。
[ビスフェノールの好適物性]
以下に本発明のビスフェノールの製造方法で製造したビスフェノール(以下、「本発明のビスフェノール」と称す場合がある。)の好適物性について説明する。
<ビスフェノールのメタノール溶解色>
ビスフェノールのメタノール溶解色は、常温におけるビスフェノールの色調を評価することに用いられる。ビスフェノールのメタノール溶解色のハーゼン色数が低いほど、ビスフェノールの色調が良好(白色に近い)であることを示す。ビスフェノールのメタノール溶解色を悪化させる原因としては、有機着色成分や金属の混入が挙げられる。
ビスフェノールのメタノール溶解色は、ビスフェノールをメタノールに溶解させて、均一溶液とした後、室温(約20℃)で測定する。測定方法は、ハーゼン色数の標準液と目視で比較する方法、又は日本電色工業社製「SE6000」などの色差計を用い、そのハーゼン色数を測定する方法が挙げられる。ここで使用する溶媒メタノール、ビスフェノールと溶媒の質量比は、ビスフェノールの種類により適宜選択することが好ましい。
ビスフェノールのメタノール溶解色のハーゼン色数は、好ましくは20以下であり、より好ましくは10以下であり、特に好ましくは5以下である。
<ビスフェノールの溶融色差>
ビスフェノールの溶融色差は、ポリカーボネートの重合温度に近い温度でのビスフェノールの色調を評価することに用いられる。溶融色差の測定温度は、ビスフェノールの融点+50℃である。ビスフェノールの溶融色差はハーゼン色数が低いほど、ビスフェノールの色調が良好(白色に近い)であることを示す。ビスフェノールの溶融色差を悪化させる原因としては、有機着色成分や金属の混入の他に、加熱によって着色する成分が挙げられる。
ビスフェノールの溶融色差は、重合温度に近い温度でビスフェノールを溶融させ、予めその温度が安定した時間で測定する。測定方法は、ハーゼン色数の標準液と目視で比較する方法、又は日本電色工業社製「SE6000」などの色差計を用い、そのハーゼン色数を測定する方法が挙げられる。
このハーゼン色数は、好ましくは40以下であり、より好ましきは30以下であり、特に好ましくは20以下である。
<ビスフェノールの熱色調安定性>
ビスフェノールの熱色調安定性は、ビスフェノールの溶融色差同様、ポリカーボネートの重合温度に近い温度で所定の時間保持させ、ビスフェノールの色調の熱安定性を評価することに用いられる。ビスフェノールの熱色調安定性の測定温度は、ビスフェノールの融点+50℃である。
ビスフェノールの熱色調安定性はハーゼン色数が低いほど、ビスフェノールの熱色調安定性が良好であることを示す。ビスフェノールの熱色調安定性を悪化させる原因としては、有機着色成分や金属の混入の他に、加熱によって着色する成分やその濃度が数ppm程度の酸性物質や塩基性物質が挙げられる。
ビスフェノールの熱色調安定性は、重合温度に近い温度でビスフェノールを溶融させ、予めその温度が安定した時間で測定する。ビスフェノールの熱色調安定性の保持時間は、4時間である。測定方法は、ハーゼン色数の標準液と目視で比較する方法、又は日本電色工業社製「SE6000」などの色差計を用い、そのハーゼン色数を測定する方法が挙げられる。
このハーゼン色数は、好ましくは50以下であり、より好ましくは45以下であり、特に好ましくは35以下である。
<ビスフェノールの熱分解安定性>
ビスフェノールの熱分解安定性は、ビスフェノールの熱色調安定性と同様、ポリカーボネートの重合温度に近い温度で所定の時間保持させ、ビスフェノールの熱安定性を評価することに用いられる。ビスフェノールの熱分解安定性の好ましい測定温度は、ビスフェノールの融点+50℃である。ビスフェノールの熱分解安定性は分解物の生成量が少ないほど、ビスフェノールが安定であることを示す。ビスフェノールの熱分解安定性における分解物は、ビスフェノールの種類にもよるが、該ビスフェノールの原料である芳香族アルコール、又は、該芳香族アルコールと原料であるケトン又はアルデヒドの付加物が挙げられる。ビスフェノールの熱分解安定性を悪化させる原因としては、有機着色成分や金属の混入の他に、加熱によって着色する成分やその濃度が数ppm程度の酸性物質や塩基性物質が挙げられる。
ビスフェノールの分解物の検出及び定量は、標準的な高速分析用逆相カラムを用いて、行うことが可能である。
ビスフェノールの分解物として後述の実施例で測定されるイソプロペニルクレゾールの生成量は200質量ppm以下であることが好ましい。
ビスフェノールのメタノール溶解色は、ビスフェノールそのものの色調を評価する方法である。ビスフェノールが最終製品である場合は、メタノール溶解色が良好なビスフェノールが重要である。また、ポリカーボネート樹脂は原料の色調を引き継ぐことから、無色透明性が求められるポリカーボネート樹脂では良好な色調のビスフェノールが重要である。
また、ポリカーボネート樹脂の製造方法の1つである溶融重合法においては、高温で重合反応を行うことから、溶融時のビスフェノールの色調(ビスフェノールの溶融色差)、溶融状態でのビスフェノールの色調安定性(ビスフェノールの熱色調安定性)が重要である。
更に、該溶融重合法において、高温でビスフェノールを溶融させた状態で重合反応開始まで保持させる。該溶融重合方法において、ビスフェノールが高温で分解する場合、炭酸ジフェニルとの物質量比が所定の物質量比から乖離し、重合反応活性や所定の分子量を持つポリカーボネート樹脂を得ることが困難となる。したがって、熱分解に対する耐性(ビスフェノールの熱分解安定性)が重要である。
特に、所定の分子量を有し、色調の良いポリカーボネート樹脂を製造するためには、ビスフェノールのメタノール溶解色、ビスフェノールの溶融色差、ビスフェノールの熱色調安定性、ビスフェノールの熱分解安定性が重要となる。
[ビスフェノールの用途]
本発明のビスフェノールは、光学材料、記録材料、絶縁材料、透明材料、電子材料、接着材料、耐熱材料など種々の用途に用いられるポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂など種々の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリベンゾオキサジン樹脂、シアネート樹脂など種々の熱硬化性樹脂などの構成成分、硬化剤、添加剤もしくはそれらの前駆体などとして用いることができる。また、感熱記録材料等の顕色剤や退色防止剤、殺菌剤、防菌防カビ剤等の添加剤としても有用である。
これらのうち、良好な機械物性を付与できることより、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の原料(モノマー)として用いることが好ましく、なかでもポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂の原料として用いることがより好ましい。また、顕色剤として用いることも好ましく、特にロイコ染料、変色温度調整剤と組み合わせて用いることがより好ましい。
[ポリカーボネート樹脂の製造方法]
本発明のビスフェノールの用途として、ポリカーボネート樹脂の製造原料がある。
本発明のビスフェノールを用いたポリカーボネート樹脂の製造方法は、上述の方法により製造されたビスフェノールと、炭酸ジフェニル等とを、アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物の存在下でエステル交換反応させる製造方法である。
なお、本発明のビスフェノールは、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いて共重合ポリカーボネート樹脂を製造してもよい。また、本発明のビスフェノール以外のジヒドロキシ化合物を併用して反応させることもできる。
上記エステル交換反応は、公知の方法を適宜選択して行うことができるが、以下に本発明のビスフェノールと炭酸ジフェニルを原料とした一例を説明する。
上記のポリカーボネート樹脂の製造方法において、炭酸ジフェニルは、本発明のビスフェノールに対して過剰量用いることが好ましい。ビスフェノールに対して用いる炭酸ジフェニルの量は、製造されたポリカーボネート樹脂に末端水酸基が少なく、ポリマーの熱安定性に優れる点では多いことが好ましく、また、エステル交換反応速度が速く、所望の分子量のポリカーボネート樹脂を製造し易い点では少ないことが好ましい。これらのことから、ビスフェノール1モルに対する使用する炭酸ジフェニルの量は、通常1.001モル以上、好ましくは1.002モル以上である。また、通常1.3モル以下、好ましくは1.2モル以下である。
原料の供給方法としては、本発明のビスフェノール及び炭酸ジフェニルを固体で供給することもできるが、一方又は両方を、溶融させて液体状態で供給することが好ましい。
炭酸ジフェニルとビスフェノールとのエステル交換反応でポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。上記のポリカーボネート樹脂の製造方法においては、このエステル交換触媒として、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を使用するのが好ましい。これらは、1種類で使用してもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。実用的には、アルカリ金属化合物を用いることが望ましい。
触媒の使用量は、ビスフェノールまたは炭酸ジフェニル1モルに対して、通常0.05μモル以上、好ましくは0.08μモル以上、さらに好ましくは0.10μモル以上である。また、その上限は、通常100μモル以下、好ましくは50μモル以下、さらに好ましくは20μモル以下である。
触媒の使用量が上記範囲内であることにより、所望の分子量のポリカーボネート樹脂を製造するのに必要な重合活性を得やすく、且つ、ポリマー色相に優れ、また過度のポリマーの分岐化が進まず、成型時の流動性に優れたポリカーボネート樹脂を得やすい。
上記方法によりポリカーボネート樹脂を製造するには、上記の両原料を、原料混合槽に連続的に供給し、得られた混合物とエステル交換触媒を重合槽に連続的に供給することが好ましい。
エステル交換法によるポリカーボネート樹脂の製造においては、通常、原料混合槽に供給された両原料は、均一に攪拌された後、エステル交換触媒が添加される重合槽に供給され、ポリマーが生産される。
本発明のビスフェノールを用いたポリカーボネート樹脂の製造において、重合反応温度は80〜400℃、特に150〜350℃とすることが好ましい。また、重合時間は、原料の比率や、所望とするポリカーボネート樹脂の分子量等によって適宜調整されるが、重合時間が長いと色調悪化などの品質悪化が顕在化するため、10時間以下であることが好ましく、8時間以下であることがより好ましい。重合時間の下限は、通常0.1時間以上、或いは0.3時間以上である。
本発明のビスフェノールによれば、色相、透明性に優れたポリカーボネート樹脂を製造することができる。例えば、粘度平均分子量(Mv)10000〜100000、好ましくは15000〜35000で、ペレットYI15以下の色相、透明性に優れたポリカーボネート樹脂を短時間で製造することができる。
以下、実施例および比較例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
[原料及び試薬]
以下の実施例および比較例において、オルトクレゾール、トルエン、水酸化ナトリウム、ドデカンチオール、アセトン、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム、0.1モル/L及び1モル/Lの水酸化ナトリウム溶液は、富士フィルム和光純薬株式会社製の試薬を使用した。
塩化水素ガスは、住友精化株式会社の製品を使用した。
炭酸ジフェニルは、三菱ケミカル株式会社製の製品を使用した。
[分析]
<ビスフェノールC生成反応液の組成>
ビスフェノールC生成反応液の組成分析は、高速液体クロマトグラフィーにより、以下の手順と条件で行った。
・装置:島津製作所社製「LC−2010A」
Imtakt ScherzoSM−C18 3μm 250mm×3.0mmID
・低圧グラジェント法
・分析温度:40℃
・溶離液組成:
A液 酢酸アンモニウム:酢酸:脱塩水=3.000g:1mL:1Lの溶液
B液 酢酸アンモニウム:酢酸:アセトニトリル:脱塩水=1.500g:1mL:900mL:150mLの溶液
・分析時間0分では溶離液組成はA液:B液=60:40(体積比、以下同様。)
分析時間0〜41.67分はA液:B液=10:90へ徐々に変化させ、
分析時間41.67〜50分はA液:B液=10:90に維持、
流速0.34mL/分にて分析した。
<イソプロペニルクレゾールの同定>
イソプロペニルクレゾールの同定は、ガスクロマト質量計を用いて、以下の手順と条件で行った。
・装置:アジレント・テクノロジー社製「Agilent6890」
・カラム:アジレント・テクノロジー社製「DB−1MS」(内径0.25mm×30m×0.25μm)
・キャリアーガス:ヘリウム
流量:毎分1cm
・注入口温度:280℃
・トランスファー温度:250℃
・イオンソース温度:250℃
・カラムの昇温パターン:先ず50℃で3分間保持させた後に毎分10℃で320℃まで昇温させ、280℃で5分間保持
<酸濃度測定>
酸濃度測定は、電位差自動滴定装置を用いて以下の装置及び条件で実施した。
・装置:京都電子工業株式会社製「AT−610」
・滴定液:測定する酸濃度に応じて、容量分析用0.1モル/Lの水酸化ナトリウム溶液、又は定量分析用1モル/Lの水酸化ナトリウム溶液
<pHの測定>
pHの測定は、株式会社堀場製作所製pH計「pH METER ES−73」を用いて、フラスコから取り出した25℃の水相に対して実施した。
<電気伝導度>
電気伝導度の測定は、株式会社堀場製作所製電気伝導度計「COND METER D−71」を用いて、フラスコから取り出した25℃の水相に対して実施した。
<ビスフェノールCのメタノール溶解色>
ビスフェノールCのメタノール溶解色は、日電理化硝子社製試験管「P−24」(24mmφ×200mm)にビスフェノールC10g及びメタノール10gを入れて、均一溶液とした後、室温(約20℃)で、日本電色工業社製「SE6000」を用い、そのハーゼン色数を測定した。
<ビスフェノールCの溶融色差>
ビスフェノールCの溶融色差は、日電理化硝子社製試験管「P−24」(24mmφ×200mm)にビスフェノールCを20g入れて、190℃で30分間溶融させ、日本電色工業社製「SE6000」を用い、そのハーゼン色数を測定した。
<ビスフェノールCの熱色調安定性>
ビスフェノールCの熱色調安定性は、日電理化硝子社製試験管「P−24」(24mmφ×200mm)にビスフェノールCを20g入れ、190℃で5時間溶融させ、日本電色工業社製「SE6000」を用い、そのハーゼン色数を測定した。。
<ビスフェノールCの熱分解安定性>
ビスフェノールCの熱分解安定性は、日電理化硝子社製試験管「P−24」(24mmφ×200mm)にビスフェノールCを20g入れ、190℃で2時間溶融させ、前記ビスフェノールC生成反応液の組成分析と同様に実施し、イソプロペニルクレゾールの生成量を測定した。
<粘度平均分子量>
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、ポリカーボネート樹脂を塩化メチレンに溶解し(濃度6.0g/L)、ウベローデ粘度管を用いて20℃における比粘度(ηsp)を測定し、下記の式により粘度平均分子量(Mv)を算出した。
ηsp/C=[η](1+0.28ηsp)
[η]=1.23×10−4Mv0.83
<ペレットYI>
ペレットYI(ポリカーボネート樹脂の透明性)は、ASTM D1925に準拠して、ポリカーボネート樹脂ペレットの反射光におけるYI値(イエローネスインデックス値)を測定して評価した。装置はコニカミノルタ社製分光測色計「CM−5」を用い、測定条件は測定径30mm、SCEを選択した。
シャーレ測定用校正ガラス「CM−A212」を測定部にはめ込み、その上からゼロ校正ボックス「CM−A124」をかぶせてゼロ校正を行い、続いて内蔵の白色校正板を用いて白色校正を行った。次いで、白色校正板「CM−A210」を用いて測定を行い、L*が99.40±0.05、a*が0.03±0.01、b*が−0.43±0.01、YIが−0.58±0.01となることを確認した。
YIは、内径30mm、高さ50mmの円柱ガラス容器にペレットを40mm程度の深さまで詰めて測定を行った。ガラス容器からペレットを取り出してから再度測定を行う操作を2回繰り返し、計3回の測定値の平均値を用いた。
[参考例1]
撹拌子、温度計、蒸留装置を備えた500ミリリットルのナス型フラスコに、ビスフェノールC85gと水酸化ナトリウム4.5gを入れ、195℃に加熱したオイルバスに浸漬した。ナス型フラスコ内のビスフェノールCが溶融したことを確認した後、真空ポンプを用いて徐々にフラスコ内を減圧していき、フル真空にした。しばらくすると蒸発が始まり、留出が収まるまで、減圧蒸留を実施した。得られた留分は、質量計検出器を備えたガスクロマトグラフィーにより、ビスフェノールCが熱分解して生成したクレゾールとイソプロペニルクレゾールの混合物であることが分かった。得られた留分を用いて、ビスフェノールC生成反応液の組成分析条件におけるイソプロペニルクレゾールの保持時間を確認した。
[実施例1]
(1)第1工程
(1−1)混合液の調製
塩化水素吹き込み管、温度計、ジャケット及びイカリ型撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下でオルトクレゾール510g(4.7モル)、アセトン104g(1.8モル)、トルエン100g及びドデカンチオール10gを入れ、内温30℃にし、混合液を調製した。
(1−2)反応
前記混合液に、塩化水素ガスをゆっくりバブリングさせた後、10時間反応させて反応液を得た。
(2)第2工程
得られた反応液に、トルエン720g及び脱塩水500gを加えた後、撹拌しながら、内温を80℃まで昇温した。内温が80℃に到達した後、静置し、第1の有機相と第1の水相に分離し、第1の有機相を得た。
なお、第1の水相を抜き出し、酸濃度を測定したところ、2.1mmol−NaOH/gであった。
(3)第1の水洗工程
得られた第1の有機相1400gに脱塩水250gを加え、内温が80℃に到達した後、静置し、第2の有機相と第2の水相とに分離し、第2の水相を抜き出すことで、第2の有機相を得た。
(4)アルカリ洗浄工程
得られた第2の有機相1400gに、10質量%炭酸水素ナトリウム水溶液を300g加え、混合しながら内温が80℃に到達した後、静置し、下層の第3の水相(炭酸水素ナトリウム水溶液相)のpHが9以上になったことを確認した。その後、上層の第3の有機相と第3の水相とを相分離させて、第3の水相を抜き出し、第3の有機相を得た。
(5)精製工程
得られた第3の有機相を80℃から10℃まで冷却して、10℃到達後、遠心分離(分速2500回転、10分間)を用いて固液分離を行ない、第1のウエットケーキを得た。得られた第1のウェットケーキをビーカーに移し、そこにトルエン500gを加えて、懸濁洗浄を行なった。得られたスラリー液を再び遠心分離(分速2500回転、10分間)を用いて固液分離を行ない、第2のウェットケーキ415gを得た。
温度計及び撹拌機を備えたフルジャケット式のセパラブルフラスコに、前記第2のウェットケーキの一部300gとトルエン420gを入れ、80℃に昇温した。均一溶液となったことを確認し、第4の有機相を得た。また、得られた第4の有機相に、脱塩水200gを加え、30分混合し、下相の第4の水相を除去し、第5の有機相を得た。なお、除去した第4の水相のpHは9であった。得られた第5の有機相に脱塩水200gを加え、30分混合し、下相の第5の水相を除去し、第6の有機相を得た。更に、得られた第6の有機相に、脱塩水200gを加え、30分混合し、下相の第6の水相を除去し、第7の有機相を得た。なお、第6の水相(直前水相)の電気伝導度は、1.9μS/cmであった。
得られた第7の有機相を、80℃から10℃まで冷却した。その後、遠心分離機(毎分3000回転で10分間)を用いて、濾過を行い、ウェットの精製ビスフェノールCを得た。オイルバスを備えたエバポレータを用いて、減圧下オイルバス温度80℃で軽沸分を留去することで、白色のビスフェノールC210gを得た。
得られたビスフェノールCのメタノール溶解色を測定したところ、ハーゼン色数は5であった。また、得られたビスフェノールCの溶融色差を測定したところ、ハーゼン色数は25であった。更に、得られたビスフェノールCの熱色調安定性を測定したところ、ハーゼン色数は45であった。また、得られたビスフェノールCの熱分解安定性を測定したところ、イソプロペニルクレゾールの生成量は162質量ppmであった。
[実施例2]
実施例1において、(2)第2工程において、(1)第1工程で得られた反応液に添加するものを、トルエン720g及び脱塩水500gから、トルエン720g及び脱塩水300gに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。第1の水相を抜き出し、酸濃度を測定したところ、3.1mmol−NaOH/gであった。
得られたビスフェノールCのメタノール溶解色を測定したところ、ハーゼン色数は3であった。また、得られたビスフェノールCの溶融色差を測定したところ、ハーゼン色数は23であった。更に、得られたビスフェノールCの熱色調安定性を測定したところ、ハーゼン色数は43であった。また、得られたビスフェノールCの熱分解安定性を測定したところ、イソプロペニルクレゾールの生成量は145質量ppmであった。
[実施例3]
実施例1において、(2)第2工程において、(1)第1工程で得られた反応液に添加するものを、トルエン720g及び脱塩水500gから、トルエン720g及び脱塩水200gに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。第1の水相を抜き出し、酸濃度を測定したところ、4.4mmol−NaOH/gであった。
得られたビスフェノールCのメタノール溶解色を測定したところ、ハーゼン色数は2であった。また、得られたビスフェノールCの溶融色差を測定したところ、ハーゼン色数は21であった。更に、得られたビスフェノールCの熱色調安定性を測定したところ、ハーゼン色数は41であった。また、得られたビスフェノールCの熱分解安定性を測定したところ、イソプロペニルクレゾールの生成量は144質量ppmであった。
[比較例1]
実施例1において、(2)第2工程において、(1)第1工程で得られた反応液に添加するものを、トルエン720g及び脱塩水500gから、トルエン720g及び脱塩水1000gに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。第1の水相を抜き出し、酸濃度を測定したところ、1.4mmol−NaOH/gであった。
得られたビスフェノールCのメタノール溶解色を測定したところ、ハーゼン色数は20であった。また、得られたビスフェノールCの溶融色差を測定したところ、ハーゼン色数は46であった。更に、得られたビスフェノールCの熱色調安定性を測定したところ、ハーゼン色数は78であった。また、得られたビスフェノールCの熱分解安定性を測定したところ、イソプロペニルクレゾールの生成量は260質量ppmであった。
実施例1〜3及び比較例1における第1の水相の酸濃度と、得られたビスフェノールCの、メタノール溶解色、溶融色差、熱分解安定性、熱色調安定性を表1にまとめた。
表1より、第1の水相の酸濃度を上げることで、ビスフェノールCのメタノール溶解色、溶融色差、及び熱色調安定性が改善されることが分かる。また、第1の水相の酸濃度を上げることで、イソプロペニルクレゾールの生成量が低減することから、ビスフェノールの熱分解が抑制されることも分かる。
Figure 2020152650
[実施例4]
撹拌機及び留出管を備えた内容量150mLのガラス製反応槽に、実施例1で得られたビスフェノールC100.00g(0.39モル)、炭酸ジフェニル86.49g(0.4モル)及び400質量ppmの炭酸セシウム水溶液479μLを入れた。該ガラス製反応槽を約100Paに減圧し、続いて、窒素で大気圧に復圧する操作を3回繰り返し、反応槽の内部を窒素に置換した。その後、該反応槽を200℃のオイルバスに浸漬させ、内容物を溶解した。
撹拌機の回転数を毎分100回とし、反応槽内のビスフェノールCと炭酸ジフェニルのオリゴマー化反応により副生するフェノールを留去しながら、40分間かけて反応槽内の圧力を、絶対圧力で101.3kPaから13.3kPaまで減圧した。続いて反応槽内の圧力を13.3kPaに保持し、フェノールを更に留去させながら、80分間、エステル交換反応を行った。その後、反応槽外部温度を250℃に昇温すると共に、40分間かけて反応槽内圧力を絶対圧力で13.3kPaから399Paまで減圧し、留出するフェノールを系外に除去した。
その後、反応槽外部温度を280℃に昇温すると共に、反応槽の絶対圧力を30Paまで減圧し、重縮合反応を行った。反応槽の撹拌機が予め定めた所定の撹拌動力となったときに、重縮合反応を終了した。280℃に昇温してから重合を終了するまでの時間(後段重合時間)は190分であった。
次いで、反応槽を窒素により絶対圧力で101.3kPaに復圧した後、ゲージ圧力で0.2MPaまで昇圧し、反応槽の底からポリカーボネート樹脂をストランド状で抜き出し、ストランド状のポリカーボネート樹脂を得た。
その後、回転式カッターを使用して、該ストランドをペレット化して、ペレット状のポリカーボネート樹脂を得た。
得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は24800であり、ペレットYIは11であった。
[比較例2]
実施例4において、実施例1で得られたビスフェノールCの代わりに、比較例1で得られたビスフェノールCを用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
280℃に昇温してから重合を終了するまでの時間(後段重合時間)は210分であった。また、得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は24700であり、ペレットYIは16であった。
実施例4及び比較例2について、ポリカーボネート樹脂の製造に用いたビスフェノールCを製造した際の第1の水相の酸濃度と、得られたポリカーボネート樹脂のペレットYIを、表2にまとめた。
表2より、ビスフェノール製造時の第1の水相の酸濃度を上げることで、得られるポリカーボネート樹脂のペレットYIが改善することが分かる。
なお、実施例4では、第1の水相の酸濃度が2.1mmol−NaOH/gのビスフェノールCを用いているが、この酸濃度が更に高く、メタノール溶解色、溶融色差、熱色調安定性、熱分解安定性がより優れた実施例2,3のビスフェノールCを用いることで、よりペレットYIの低いポリカーボネート樹脂を得ることができると考えられる。
Figure 2020152650

Claims (7)

  1. ケトン又はアルデヒドと、芳香族アルコールとを、塩化水素の存在下で縮合させてビスフェノールを含む反応液を得る第1工程と、
    該反応液と水を混合した後、ビスフェノールを含む第1の有機相と第1の水相とに相分離させ、該第1の水相を除去して該第1の有機相を得る第2工程
    とを有するビスフェノールの製造方法であって、
    該第2工程における該第1の水相の酸濃度が2.0mmol−NaOH/g以上、10.0mmol−NaOH/g以下であるビスフェノールの製造方法。
  2. 前記第2工程において、前記反応液と水との混合液の温度を、前記第1工程の反応温度より高い温度とする請求項1に記載のビスフェノールの製造方法。
  3. 前記第1の有機相を水で洗浄する水洗工程を有する請求項1または2に記載のビスフェノールの製造方法。
  4. 前記第1の有機相または前記水洗工程における洗浄後の有機相に塩基性水溶液を混合した後、有機相とpH9以上の水相とに相分離させ、該pH9以上の水相を除去して該pH9以上の水相から相分離された有機相を得るアルカリ洗浄工程を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のビスフェノールの製造方法。
  5. 前記アルカリ洗浄工程で得られた前記有機相を水で洗浄する水洗工程を有する請求項4に記載のビスフェノールの製造方法。
  6. 前記ビスフェノールが、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンである請求項1〜5のいずれか1項に記載のビスフェノールの製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のビスフェノールの製造方法で製造したビスフェノールを用いたポリカーボネート樹脂の製造方法。
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