JP2013072077A - ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ングプラスチックとして、電気・電子機器分野、自動車分野等、様々な分野において幅広く利用されている。
象成分の比率が50重量%以上、好ましくは75重量%以上、さらに好ましくは90重量
%以上(100重量%を含む)であることをいう。
<ジヒドロキシ化合物(1)>
本発明において、ポリカーボネート樹脂の原料となるジヒドロキシ化合物の主成分であるジヒドロキシ化合物(1)を表す上記式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示す。
これらの中でも、R1及びR2は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、4−メチルフェニル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
ここで、上記式(1)におけるR1、R2の結合位置は、それぞれのベンゼン環上のXの結合位置に対して2位、3位、5位及び6位から選ばれる任意の位置である。これらの中でも、好ましくは3位、5位である。
本発明で用いる原料ジヒドロキシ化合物は、前記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物(2)の含有量が1000ppm以下、好ましくは900ppm以下、より好ましくは800ppm以下、更に好ましくは700ppm以下で、40ppm以上、好ましくは100ppm以上、より好ましくは300ppm以上、更に好ましくは400ppm以上であることを必須要件とする。原料ジヒドロキシ化合物中のジヒドロキシ化合物(2)の含有量が800ppmを超えると、反応性が悪化する恐れがあり好ましくない。一方、40ppm未満では、反応性が悪化する傾向にあり好ましくない。
また、R3,R4の、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられ、置換若しくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
式(6)で表される化合物を上記範囲内とするためには、特公昭48−42863号公報、特公昭63−6533号公報、特開昭57−11933号公報、特開平5−97739号公報、米国特許第4,001,341号パンフレット等に記載の公知の蒸留法、晶析法、抽出法等を適宜選択すればよい。
また、式(6)で表される化合物の具体例としては、2,3−ジメチルフェノール(2,3−キシレノール)、2,4−ジメチルフェノール(2,4−キシレノール)、2,5−ジメチルフェノール(2,5−キシレノール)、2,6−ジメチルフェノール(2,6−キシレノール)、3,4−ジメチルフェノール(3,4−キシレノール)、3,5−ジメチルフェノール(3,5−キシレノール)等が挙げられる。
本発明で用いる原料ジヒドロキシ化合物は、前記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物(3)の含有量が、好ましくは1400ppm以下、より好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは500ppm以下で、好ましくは70ppm以上、より好ましくは75ppm以上、更に好ましくは80ppm以上である。原料ジヒドロキシ化合物中のジヒドロキシ化合物(3)の含有量が上記上限値を超えると、あるいは上記下限値未満では、反応性が悪化する恐れがあり好ましくない。
本発明で用いる原料ジヒドロキシ化合物は、前記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物(4)の含有量が、好ましくは70ppm以下、より好ましくは60ppm以下、更に好ましくは50ppm以下で、好ましくは20ppm以上、より好ましくは25ppm以上、更に好ましくは30ppm以上である。原料ジヒドロキシ化合物中のジヒドロキシ化合物(4)の含有量が上記上限値を超えると、あるいは上記下限値未満では、反応性が悪化する恐れがあり好ましくない。
本発明で用いる原料ジヒドロキシ化合物は、前記ジヒドロキシ化合物(2)〜(4)の合計の含有量が好ましくは1400ppm以下、より好ましくは1200ppm以下、更に好ましくは1000ppm以下で、好ましくは700ppm以上、より好ましくは750ppm以上、更に好ましくは800ppm以上である。前記ジヒドロキシ化合物(2)〜(4)の合計の含有量が上記上限値を超えると、あるいは上記下限値未満では、反応性が悪化する恐れがあり好ましくない。
本発明で用いる原料ジヒドロキシ化合物は、実質的にその特性を損なわない範囲で、前記ジヒドロキシ化合物(1)〜(4)以外の他のジヒドロキシ化合物を含んでいてもよい。
また、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のビス(ヒドロキシアニール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアニール)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル等のジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等の芳香族ジヒドロキシ化合物が挙げられる。
本発明において、ポリカーボネート樹脂の他の原料となる炭酸ジエステルとしては、下記式(7)で表される化合物が挙げられる。
なお、A上の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜炭素数10のアルキル基、炭素数1〜炭素数10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等が例示される。
本発明において使用されるエステル交換触媒としては、通常、エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際に用いられる触媒が挙げられ、特に限定されない。
これらのアルカリ金属化合物の中でも、セシウム化合物が好ましく、特に、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、水酸化セシウムが好ましい。
溶融重合法においては、エステル交換反応終了後に、エステル交換触媒を中和失活させるための触媒失活剤を添加しても良く、このような処理により、得られたポリカーボネート樹脂の耐熱性、耐加水分解性が向上する。
これらの中でも、p−トルエンスルホン酸並びにp−トルエンスルホン酸ブチルが好適に用いられる。
次に、本発明の製造方法が適用されるポリカーボネート樹脂の具体的な製造工程について説明する。
溶融重合法によるポリカーボネート樹脂の製造工程は、原料であるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの原料混合溶融液を調製し(原調工程)、前記原料混合溶融液を、エステル交換反応触媒の存在下、溶融状態で複数の反応槽を用いて多段階で重縮合反応をさせる(重縮合工程)ことによって行われる。反応方式は、バッチ式、連続式、又はバッチ式と連続式の組合せのいずれでもよい。反応槽は、複数基の竪型撹拌反応槽、及び必要に応じてこれに続く少なくとも1基の横型撹拌反応槽が用いられる。通常、これらの反応槽は直列に設置され、連続的に処理が行われる。
重縮合工程後、反応を停止させ、重縮合反応液中の未反応原料や反応副生物を脱揮除去する工程や、熱安定剤、離型剤、色剤等を添加する工程、ポリカーボネート樹脂を所定の粒径に形成する工程等を適宜追加してもよい。
以下に、各工程について説明する。
ポリカーボネート樹脂の原料として使用するジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとは、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、バッチ式、半回分式または連続式の撹拌槽型の装置を用いて、原料混合溶融液として調製される。溶融混合の温度は、例えば、ジヒドロキシ化合物として2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンを用い、炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートを用いる場合は、通常120℃〜180℃、好ましくは125℃〜160℃の範囲から選択される。
原料ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの割合は、炭酸ジエステルが過剰になるように調整され、前述の如く、原料ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルは、通常1.01モル〜1.30モル、好ましくは1.02モル〜1.20モルの割合になるように調整される。
原料ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応による重縮合は、通常、2段階以上、好ましくは3段階〜7段階の多段方式で連続的に行われる。各段階の具体的な反応条件としては、温度:150℃〜320℃、圧力:常圧〜0.01Torr(1.3Pa)、平均滞留時間:5分〜150分の範囲である。
多段方式の各反応槽においては、重縮合反応の進行とともに副生するフェノール等の芳香族モノヒドロキシ化合物をより効果的に系外に除去するために、上記の反応条件内で、段階的により高温、より高真空に設定する。
ここで、反応槽としては、例えば、撹拌槽型反応槽、薄膜反応槽、遠心式薄膜蒸発反応槽、表面更新型二軸混練反応槽、二軸横型撹拌反応槽、濡れ壁式反応槽、自由落下させながら重縮合する多孔板型反応槽、ワイヤーに沿わせて落下させながら重縮合するワイヤー付き多孔板型反応槽等が用いられる。
なお、重合工程で得られたポリカーボネート樹脂は、通常溶融状態のまま二軸押出機に送られ、ダイを通してストランド状としてカッターで切断してペレット化される。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法により製造されるポリカーボネート樹脂の物性は、その用途により異なり、特に制限されるものではないが、粘度平均分子量Mvは、好ましくは1000以上50000以下であり、上限はより好ましくは45000、更に好ましくは40000、最も好ましくは35000であり、下限はより好ましくは5000、更に好ましくは7000、最も好ましくは10000である。ポリカーボネート樹脂のMvが高すぎると、ポリカーボネート樹脂の溶融粘度が高くなり、成形性が悪化する恐れがあり好ましくない。一方、Mvが低すぎると、ポリカーボネート樹脂成形品の耐衝撃性等の機械物性が悪化する恐れがあり好ましくない。
また、末端OH基濃度については、ポリカーボネート樹脂の色調、滞留熱安定性、耐加水分解性の観点から、200〜1500ppmであることが好ましい。
ジヒドロキシ化合物のメタノール溶液(ジヒドロキシ化合物濃度10重量%)を液体クロマトグラフィー(装置:Agilent製 1100、カラム:CAPELL PAK MG 3μm 4.6mmI.D.×75mm、カラム温度:40℃、移動相:A液 0.05%トリフルオロ酢酸水溶液、B液 メタノール、グラジェント条件: 0min(B=40%)→25min(B=95%)→40min(B=95%)、流量:1.0ml/min、検出器:フォトダイオードアレイ検出器(検出波長=280nm)、注入量:10μl)により測定した。
各化合物は、Agilent(株)製LC−MS(Agilent−1100)及び日本電子製NMR(AL−400)を用いて同定した。また、各化合物の含有量は、そのモノマー主成分の検量線に基づきモノマー換算値として示した。
ポリカーボネート樹脂を塩化メチレンに溶解し(濃度6.0g/L)、ウベローデ粘度管を用いて20℃における比粘度(ηsp)を測定し、下記の式により粘度平均分子量(Mv)を算出した。
ηsp/C=[η](1+0.28ηsp)
[η]=1.23×10-4Mv0.83
四塩化チタン/酢酸法(Makromol. Chem. 88 215(1965))に従い、次のように実施した。
ポリカーボネート樹脂0.2gを精秤し、塩化メチレン5mLに溶解し、塩化メチレン溶液とした。前記塩化メチレン溶液に、酢酸の塩化メチレン溶液(濃度:5容量%)を5mL、四塩化チタン溶液(塩化メチレン90mL、酢酸の塩化メチレン溶液(濃度:5容量%)10mL、四塩化チタン2.5mL、及びメタノール2mLを混合した溶液)を10mL、更に塩化メチレンを添加し、総容量が25mLの測定溶液を調製した。
前記測定溶液を分光光度計を用いて、波長546nmにて吸光度を測定し、予め標準物質として、ビスフェノールC(BPC)を用いて検量線を作成することにより末端OH基濃度を求めた。
実施例および比較例で使用した原料ジヒドロキシ化合物は、本州化学社製の異なるグレードの2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(以下「BPC」と略記する。)の2種であり、以下、これらをそれぞれ「BPC(A)」「BPC(B)」と記載する。BPC(A),BPC(B)は、いずれも、含有されるジヒドロキシ化合物(2)、(3)及び(4)のほぼすべてが、それぞれ下記式(2A)、(3A)及び(4A)で表される化合物(その他は検出限界以下)であった。
原料ジヒドロキシ化合物としてBPC(A)を用い、BPC(A)37.60kg(約147mol)とジフェニルカーボネート(DPC)32.20kg(約150mol)に、炭酸セシウムの水溶液を、炭酸セシウムが原料ジヒドロキシ化合物1mol当たり2μmolとなるように添加して混合物を調製した。次に、該混合物を、攪拌機、熱媒ジャケット、真空ポンプ、及び還流冷却器を具備した内容量200Lの第1反応器に投入した。
次に、第1反応器内を1.33kPa(10Torr)に減圧し、続いて、窒素で大気圧に復圧する操作を5回繰り返し、第1反応器の内部を窒素置換した。窒素置換後、熱媒ジャケットに温度230℃の熱媒を通じて第1反応器の内温を徐々に昇温させ、混合物を溶解させた。その後、55rpmで撹拌機を回転させ、熱媒ジャケット内の温度をコントロールして、第1反応器の内温を220℃に保った。そして、第1反応器の内部で行われるBPC(A)とDPCのオリゴマー化反応により副生するフェノールを留去しながら、40分間かけて第1反応器内の圧力を絶対圧で101.3kPa(760Torr)から13.3kPa(100Torr)まで減圧した。
続いて、第1反応器内の圧力を13.3kPaに保持し、フェノールをさらに留去させながら、80分間、エステル交換反応を行った。
次に、第2反応器内に圧送したオリゴマーを16rpmで攪拌し、熱媒ジャケットにて内温を昇温し、第2反応器内を40分かけて絶対圧で101.3kPaから13.3kPaまで減圧した。その後、昇温を継続し、さらに40分かけて、内圧を絶対圧で13.3kPaから399Pa(3Torr)まで減圧し、留出するフェノールを系外に除去した。さらに、昇温を続け、第2反応器内の絶対圧が70Pa(約0.5Torr)に到達後、70Paを保持し、重縮合反応を行った。第2反応器内の最終的な内部温度は285℃であった。第2反応器の攪拌機が予め定めた所定の攪拌動力となったときに、重縮合反応を終了した。
次いで、第2反応器内を、窒素により絶対圧で101.3kPaに復圧の上、ゲージ圧で0.2MPaまで昇圧し、第2反応器の槽底からポリカーボネート樹脂をストランド状で抜き出し、水槽で冷却しながら、回転式カッターを使用してペレット化した。
得られたポリカーボネート樹脂は前記評価項目に記載の方法に準じて粘度平均分子量と末端OH基濃度を評価し、第2反応器における重合時間と共に、その結果を表1に示した。
原料ジヒドロキシ化合物を、BPC(A)18.80kgとBPC(B)18.80kgに変更した以外は実施例1と同様に実施し、ポリカーボネート樹脂を得た。
得られたポリカーボネート樹脂は前記評価項目に記載の方法に準じて粘度平均分子量と末端OH基濃度を評価し、第2反応器における重合時間と共に、その結果を表1に示した。
原料ジヒドロキシ化合物を、BPC(B)37.60kgに変更した以外は実施例1と同様に実施し、ポリカーボネート樹脂を得た。
得られたポリカーボネート樹脂は前記評価項目に記載の方法に準じて粘度平均分子量と末端OH基濃度を評価し、第2反応器における重合時間と共に、その結果を表1に示した。
Claims (6)
- エステル交換触媒の存在下、下記式(1)で表される化合物を主成分として含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを、溶融状態で重合させることによりポリカーボネート樹脂を製造する方法であって、該ジヒドロキシ化合物中、下記式(2)で表される化合物の含有量が40〜1000ppmであることを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記ジヒドロキシ化合物中、前記式(2)、(3)、(4)のいずれかで表される化合物の合計の含有量が700〜1400ppmであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記エステル交換触媒が、周期表第1族金属元素を含む化合物及び/又は周期表第2族金属元素を含む化合物であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記炭酸ジエステルが、ジフェニルカーボネートであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
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