JP2015067687A - ポリカーボネート樹脂およびその組成物、ならびにそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂であって、前記ポリカーボネート樹脂に含有される下記式(2)で表される化合物に由来する構造単位の含有量が1ppm以上40ppm以下であることを特徴とするポリカーボネート樹脂。
(式(2)において、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素、置換若しくは置換基を示す。)
【選択図】なし
Description
<1> 下記式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂であって、前記ポリカーボネート樹脂に含有される下記式(2)で表される化合物に由来する構造単位の含有量が0.1ppm以上40ppm以下であるポリカーボネート樹脂。
<2> 前記ポリカーボネート樹脂が、そのポリカーボネート樹脂から280℃にて成形された厚さ3mmの成形体のb*値が1以上2以下、且つL*値が96.0以上、96.5以下であることを特徴とする前記<1>記載のポリカーボネート樹脂。
<3> 前記ポリカーボネート樹脂中の長周期型周期表第1族および第2族の金属の含有量総量が、ポリカーボネート樹脂を構成する全ジヒドロキシ化合物に由来する繰返し単位1モルに対して3.0×10−6モル以上10.0×10−6モル以下であることを特徴とする前記<1>または<2>に記載のポリカーボネート樹脂。
<4> 前記<1>乃至<3>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂と、ブルーイング剤とを含有するポリカーボネート樹脂組成物であって、前記ポリカーボネート樹脂組成物から280℃にて成形された厚さ3mmの成形体のb*値が0.3以上0.8以下、且つL*値が95.0以上96.0以下であり、且つ、鉛筆硬度がF以上であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
<5> 前記ポリカーボネート樹脂組成物における、前記ブルーイング剤の配合量が、前記ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.1×10−4重量部以上10.0×10−4重量部以下であることを特徴とする前記<4>に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
<6> 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを原料調整槽にて溶融混合して溶融原料とし、次いで、当該溶融原料を貯槽を介して連続的に重縮合反応槽に送液して重縮合反応させるポリカーボネート樹脂の製造方法において、前記原料調整槽に不活性ガスを流通し、前記不活性ガスの1時間あたりの流量が前記原料調整槽の気相部の容積に対して標準状態における体積流量として5倍以上であることを特徴とする前記<1>乃至<3>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
<7> 前記原料調整槽内の溶融原料の滞留時間が0.5時間から12時間の範囲内であることを特徴とする前記<6>に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
<8> 前記原料調整槽内の溶融原料の溶融温度が110℃以上180℃以下であることを特徴とする前記<6>または<7>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
<9> 溶解槽において上記一般式(1)で表される化合物をアルカリ水溶液に溶解し、ジヒドロキシ化合物アルカリ水溶液を調製し、次いで塩化カルボニルと反応させる製造法にて得られたポリカーボネート樹脂の製造方法において、前記ジヒドロキシ化合物アルカリ水溶液のAPHAが30以下であることを特徴とする前記<1>乃至<3>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
<10> 前記溶解槽内に不活性ガスを流通し、前記不活性ガスの1時間当たりの流量が前記溶解槽内の気相部容積に対して標準状態における体積流量として1.5倍以上であることを特徴とする前記<9>に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
<11> 前記溶解槽内の容積容量に対する、前記溶解槽内のジヒドロキシ化合物アルカリ水溶液の体積比が45%以上であることを特徴とする前記<9>または<10>に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
<12> 前記<6>乃至<11>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法により製造されるポリカーボネート樹脂とブルーイング剤とを含有するポリカーボネート樹脂組成物の製造方法であって、ポリカーボネート樹脂の重縮合反応槽に直接連結された押出機にてブルーイング剤を添加することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
本発明のポリカーボネート樹脂は、式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位を有する。式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示し、Xは、単結合、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルキリデン基、置換若しくは無置換の硫黄原子、又は酸素原子を示す。
Zは、式(1)において、2個のフェニル基を結合する炭素と結合して、置換若しくは無置換の二価の炭素環を形成する。二価の炭素環としては、例えば、シクロペンチリデン基、シキロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基、シクロドデシリデン基、アダマンチリデン基等のシクロアルキリデン基(好ましくは、炭素数5〜8)が挙げられる。置換されたものとしては、これらのメチル置換基、エチル置換基を有するもの等が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキシリデン基、シキロヘキシリデン基、シクロドデシリデン基のメチル置換体が好ましい。
本発明の式(2)で表される化合物において、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示し、Xは、単結合、置換若しくは無置換のアルキレン基、置換若しくは無置換のアルキリデン基、置換若しくは無置換の硫黄原子、又は酸素原子を示し、式(1)に示すXと同様である。
本発明のポリカーボネート樹脂の有する、前記式(2)で表される化合物に由来する構造単位の量は、本発明のポリカーボネート樹脂をアルカリ加水分解した際に、液体クロマトグラフィーにて測定された値で定義される。その測定方法としては、ポリカーボネート樹脂0.5gを塩化メチレン5mLに溶解した後、メタノール45mLおよび25重量%水酸化ナトリウム水溶液5mLを加え、70℃で30分間攪拌して得られた溶液を、液体クロマトグラフィーにて分析し、式(2)で表される化合物に由来する構造単位の量を定量する。
(分析条件)
液体クロマトグラフィー装置:(株)島津製作所製
システムコントローラ:CBM−20A
ポンプ:LC−10AD
カラムオーブン:CTO−10ASvp
検出器:SPD−M20A
分析カラム:YMC−Pack ODS−AM 75mm×Φ4.6mm
オーブン温度:40℃
検出波長:280nm
溶離液:A液:0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、B液:アセトニトリル
A/B=60/40(vol%)からA/B=95/5(vol%)まで25分間でグラジエント
流量:1mL/min
試料注入量:20μL
各化合物の特定は、上記リテンションタイムに観測されるピークに相当する部分を分取し、分取したサンプルの1H NMR、13C NMR、質量分析法(MS)、赤外線吸収スペクトル(IRスペクトル)等により実施することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が、3.0以上5.0以下の範囲であることが好ましい。さらに、(Mw/Mn)は、3.0以上4.0以下の範囲がより好ましい。(Mw/Mn)が過度に小さいと、溶融状態での流動性が増大し成形性が低下する傾向にある。一方、(Mw/Mn)が過度に大きいと、溶融粘度が増大し成形困難となる傾向がある。
本発明のポリカーボネート樹脂には、重合体(または、必要に応じて添加する紫外線吸収剤)に基づく黄色みを打ち消すためにブルーイング剤を配合することが好ましい。本発明のポリカーボネート樹脂組成物において、ブルーイング剤の添加量は、通常、ポリカーボネート樹脂を100重量部とした場合、0.1×10−4〜10.0×10−4重量部の割合で配合されることが好ましい。配合割合が少な過ぎると黄色みの打ち消し効果が少なく、多すぎると明度が低下する傾向となり好ましくない。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物から成形された厚さ3mmの成形体のb*値が0.3以上0.8以下、且つ、L*値が95.0以上になるように調整可能なものであれば、通常ポリカーボネート樹脂組成物に使用されるブルーイング剤から適宜選択し調整して使用すればよく、複数種のブルーイング剤を使用してもよい。なお、ブルーイング剤を含有するポリカーボネート樹脂組成物のL*値の上限は、一般的に96.0以下である。
本発明において、ポリカーボネート樹脂に配合する上記のブルーイング剤の配合時期、配合方法は特に限定されない。配合時期としては、例えば、重合反応前に原料とともに添加しそのまま重合を行う方法、重合反応終了時に配管や押出機で配合・混合する方法、ポリカーボネート樹脂と他の配合剤との混練途中等のポリカーボネート樹脂が溶融した状態のときに押出機等を用い配合・混合する方法、ペレット又は粉末等の固体状態のポリカーボネート樹脂とブレンド・混練する方法等が挙げられるが、重合反応終了後に押出機を使って配合・混合することが、ブルーイング剤の分散を良くし、b*値とL*の両立を図りやすいため好ましい。特に重縮合反応終了後に溶融状態のまま押出機に導入し、ブルーイング剤を配合すると熱履歴や酸素混入の影響を最小限に抑えられるため好ましい。
次に、本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法について説明する。本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法に特に制限は無く、前記式(1)で表される化合物に由来する繰返し単位を有し、更に、前記式(2)で表される化合物に由来する構造単位を、特定量含むものとなるように製造可能であれば、如何なる方法で製造しても構わない。通常ポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物成分と、カーボネート形成性化合物成分とを重合することにより得られる。
本発明の製造方法の一つとして、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを原料調整槽にて溶融混合して溶融原料とし、次いで、当該溶融原料を貯槽を介して連続的に重縮合反応槽に送液して重縮合反応させるポリカーボネート樹脂製造方法、すなわち溶融法に関する。ここで溶融法による本発明の効率的な製造方法の一つとして、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを、原料調整槽に不活性ガスを流通し、その不活性ガスの1時間あたりの流量が前記原料調整槽の気相部の容積に対して標準状態における体積流量として5倍以上である原料調整槽にて溶融混合して溶融原料とし、次いで、該溶融原料を貯槽を介して連続的に、重縮合反応槽に送液して重縮合反応させるポリカーボネート樹脂の製造方法とすることが好ましい。
ジヒドロキシ化合物成分としては、溶融法(エステル交換法)、及び界面法ともに下記式(1)で表される化合物を含有することが好ましい。
(溶融法:エステル交換法)
溶融法においては、原料として前記式(1)で表される化合物を含有するジヒドロキシ化合物成分と、カーボネート形成性化合物成分として炭酸ジエステルを用い、エステル交換触媒の存在下、連続的に行われる溶融重縮合反応によりポリカーボネート樹脂を製造する。
本発明で使用する炭酸ジエステルとしては、下記式(4)で示される炭酸ジエステル化合物が挙げられる。
これらの中でも、ジフェニルカーボネート(以下、DPCと略記することがある。)、置換ジフェニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエステルは、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明においては、ポリカーボネート樹脂をエステル交換触媒の存在下で重合することが好ましい。エステル交換触媒としては、通常、エステル交換法によりポリカーボネート樹脂を製造する際に用いられる触媒が挙げられ、特に限定されない。一般的には、例えば、長周期型周期表第1族および第2族の金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む化合物、ベリリウム化合物、マグネシウム化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられる。これらの中でも、実用的には長周期型周期表第1族および第2族の金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む化合物が望ましい。これらのエステル交換触媒は、単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、ベリリウム化合物及びマグネシウム化合物としては、例えば、当該金属の水酸化物、炭酸塩等の無機金属化合物;前記金属のアルコール類、フェノール類、有機カルボン酸類との塩等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
本発明に於いては、エステル交換反応終了後に、エステル交換触媒を中和失活させるための触媒失活剤を添加しても良い。このような処理により得られたポリカーボネート樹脂の耐熱性、耐加水分解性が向上する。
このような触媒失活剤としては、スルホン酸やスルホン酸エステルのようなpKaが3以下の酸性化合物が好ましく、具体的にはベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸プロピル、ベンゼンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸プロピル、並びにp−トルエンスルホン酸ブチルなどが挙げられる。これらの中でも、p−トルエンスルホン酸並びにp−トルエンスルホン酸ブチルが好適に用いられる。
ポリカーボネート樹脂の原料として使用するジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とは、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、バッチ式、半回分式又は連続式の撹拌槽型の装置を用いて、原料調整槽で原料混合溶融液として調製される。この不活性ガスによる置換を、前述のように制御することで効率よく本発明を達成することができる。
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とのエステル交換反応による重縮合は、通常、2段階以上、好ましくは3段階〜7段階の多段方式で連続的に行われる。各段階の具体的な反応条件としては、温度:150℃〜330℃、圧力:常圧〜0.01Torr(1.3Pa)、平均滞留時間:5分〜150分の範囲である。多段方式の各反応槽においては、エステル交換反応の進行とともに副生するフェノール等のモノヒドロキシ化合物をより効果的に系外に除去するために、上記の反応条件内で、段階的により高温、より高真空に設定する。
ここで、反応槽としては、例えば、撹拌槽型反応槽、薄膜反応槽、遠心式薄膜蒸発反応槽、表面更新型二軸混練反応槽、二軸横型撹拌反応槽、濡れ壁式反応槽、自由落下させながら重縮合する多孔板型反応槽、ワイヤーに沿わせて落下させながら重縮合するワイヤー付き多孔板型反応槽等が用いられる。
また、横型撹拌反応槽とは、撹拌翼の回転軸が横型(水平方向)であるものをいう。横型撹拌反応槽の撹拌翼としては、例えば、円板型、パドル型等の一軸タイプの撹拌翼やHVR、SCR、N−SCR(三菱重工業(株)製)、バイボラック(住友重機械工業(株)製)、あるいはメガネ翼、格子翼((株)日立プラントテクノロジー製)等の二軸タイプの撹拌翼が挙げられる。
触媒の溶媒として水を選択した場合、水の性状は、含有される不純物の種類ならびに濃度が一定であれば特に限定されないが、通常、蒸留水や脱イオン水等が好ましく用いられる。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法の一つである界面法による製造について詳述する。界面法によるポリカーボネート樹脂の製造方法は、通常、ジヒドロキシ化合物成分の長周期型周期表第1族および/または第2族による塩の水溶液を調製し、重合触媒として使用するアミン化合物の存在下で、ジヒドロキシ化合物成分とカーボネート形成性化合物成分である塩化カルボニル(以下、CDCともいう。)との界面重縮合反応を行い、次いで、中和、水洗、乾燥工程を経てポリカーボネート樹脂を得る。
縮合触媒としては、二相界面縮合法に使用されている多くの縮合触媒の中から、任意に選択することができる。例えば、トリアルキルアミン、N−エチルピロリドン、N−エチルピペリジン、N−エチルモルホリン、N−イソプロピルピペリジン、N−イソプロピルモルホリン等が挙げられる。中でも、トリエチルアミン、N−エチルピペリジンが好ましい。
カーボネート形成性化合物の共存下でモノフェノールを添加すると、モノフェノール同士の縮合物(炭酸ジフェニル類)が多く生成し、目標とする分子量のポリカーボネート樹脂が得られにくい傾向がある。モノフェノールの添加時期が極端に遅れると、分子量制御が困難となり、さらに、分子量分布の低分子側に特異な肩を有する樹脂となり、成型時には垂れを生じる等の弊害が生じる傾向がある。
原調工程では、溶解槽に、ジヒドロキシ化合物と、水酸化ナトリウム(NaOH)等の長周期型周期表第1族金属化合物の水溶液又は水酸化マグネシウム等の長周期型周期表第2族金属化合物の水溶液と、脱塩水(DMW)と、さらに必要に応じてハイドロサルファイト(HS)等の還元剤を含むジヒドロキシ化合物の長周期型周期表第1族および/または第2族金属塩の水溶液等の原料が調製される。
長周期型周期表第1族および第2族の金属化合物としては、通常、水酸化物が好ましく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。これらの中でも、水酸化ナトリウムが特に好ましい。
ジヒドロキシ化合物に対する長周期型周期表第1族および第2族の金属化合物の割合は、通常、1.0〜1.5(当量比)、好ましくは、1.02〜1.04(当量比)である。長周期型周期表第1族および第2族の化合物の割合が過度に多い又は過度に少ない場合は、後述するオリゴマー化工程において得られるカーボネートオリゴマーの末端基に影響し、その結果、重縮合反応が異常となる傾向がある。
次に、オリゴマー化工程では、所定の反応器において、原調工程で調製されたジヒドロキシ化合物の長周期型周期表第1族および/または第2族の金属塩の水溶液とホスゲン(CDC)とを、塩化メチレン(CH2Cl2)等の有機溶媒の存在下で、ジヒドロキシ化合物のホスゲン化反応が行われる。
次に、ジヒドロキシ化合物のオリゴマー化反応液は、さらにオリゴマー化反応が進められた後、所定の静置分離槽に導入され、カーボネートオリゴマーを含有する有機相と水相とが分離され、分離された有機相は、重縮合工程に供給される。
ここで、ジヒドロキシ化合物のホスゲン化反応が行われる反応器にジヒドロキシ化合物の長周期型周期表第1族および/または第2族の金属塩の水溶液が供給されてから静置分離槽に入るまでのオリゴマー化工程における滞留時間は、通常、120分以下、好ましくは、30分〜60分である。
オリゴマー化工程で使用するCDCは、通常、液状又はガス状で使用される。オリゴマー化工程におけるCDCの好ましい使用量は、反応条件、特に、反応温度及び水相中のジヒドロキシ化合物の濃度によって適宜選択され、特に限定されない。通常、ジヒドロキシ化合物の1モルに対し、CDC1モル〜2モル、好ましくは1.05モル〜1.5モルである。CDCの使用量が過度に多いと、未反応CDCが多くなり原単位が極端に悪化する傾向がある。また、CDCの使用量が過度に少ないと、クロロフォルメート基量が不足し、適切な分子量伸長が行われなくなる傾向がある。
オリゴマー化工程では、通常、有機溶媒を使用する。有機溶媒としては、オリゴマー化工程における反応温度及び反応圧力において、CDC及びカーボネートオリゴマー、ポリカーボネート樹脂等の反応生成物を溶解し、水と相溶しない(または、水と溶液を形成しない)任意の不活性有機溶媒が挙げられる。
これらの中でも、ジクロロメタン又はクロロベンゼン等の塩素化された炭化水素が好適に使用される。これらの不活性有機溶媒は、単独であるいは他の溶媒との混合物として使用することができる。
オリゴマー化反応は、縮合触媒の存在下で行うことができる。縮合触媒の添加時期は、CDCを消費した後が好ましい。縮合触媒としては、二相界面縮合法に使用されている多くの縮合触媒の中から、任意に選択することができる。例えば、トリアルキルアミン、N−エチルピロリドン、N−エチルピペリジン、N−エチルモルホリン、N−イソプロピルピペリジン、N−イソプロピルモルホリン等が挙げられる。中でも、トリエチルアミン、N−エチルピペリジンが好ましい。
本実施の形態において、オリゴマー化工程では、通常、連鎖停止剤としてモノフェノールを使用する。モノフェノールとしては、例えば、フェノール;p−t−ブチルフェノール、p−クレゾール等の炭素数1以上20以下のアルキルフェノール;p−クロロフェノール、2,4,6−トリブロモフェノール等のハロゲン化フェノールが挙げられる。モノフェノールの使用量は、得られるカーボネートオリゴマーの分子量に応じ適宜選択され、通常、ジヒドロキシ化合物に対して、0.5モル%〜10モル%である。
カーボネート形成性化合物の共存下でモノフェノールを添加すると、モノフェノール同士の縮合物(炭酸ジフェニル類)が多く生成し、目標とする分子量のポリカーボネート樹脂が得られにくい傾向がある。モノフェノールの添加時期が極端に遅れると、分子量制御が困難となり、さらに、分子量分布の低分子側に特異な肩を有する樹脂となり、成形時には垂れを生じる等の弊害が生じる傾向がある。
また、オリゴマー化工程では、任意の分岐剤を使用することができる。このような分岐剤としては、たとえば、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノール、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(4,4’−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン等が挙げられる。また、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、塩化シアヌル等も使用しうる。これらの中でも、少なくとも3個のフェノール性ヒドロキシル基を有する分岐剤が好適である。
分岐剤の使用量は、得られるカーボネートオリゴマーの分岐度に応じ適宜選択され、通常、ジヒドロキシ化合物に対し、0.05モル%〜2モル%である。
乳濁液の乳化状態は、通常、ウェーバー数又はP/q(単位容積当たりの負荷動力値)で表される。ウェーバー数としては、好ましくは10,000以上、さらに好ましくは20,000以上、最も好ましくは35,000以上である。また、上限としては1,000,000以下程度で十分である。また、P/qとしては、好ましくは200kg・m/L以上、さらに好ましくは500kg・m/L以上、最も好ましくは1,000kg・m/L以上である。
次に、重縮合工程では、静置分離槽で水相と分離されたカーボネートオリゴマーを含有する有機相は、撹拌機を有するオリゴマー貯槽に移送される。オリゴマー貯槽には、トリエチルアミン(TEA)等の縮合触媒がさらに添加される。
続いて、オリゴマー貯槽内で撹拌された有機相は所定の重縮合反応槽に導入され、続いて、重縮合反応槽に、脱塩水(DMW)、塩化メチレン(CH2Cl2)等の有機溶媒及び水酸化ナトリウム水溶液が供給され、撹拌混合されてカーボネートオリゴマーの重縮合反応が行われる。重縮合反応槽中の重縮合反応液は、その後、複数の重縮合反応槽に連続的に順次導入され、カーボネートオリゴマーの重縮合反応が完結される。
重縮合工程の好ましい態様としては、先ず、カーボネートオリゴマーを含む有機相と水相とを分離し、分離した有機相に必要に応じて不活性有機溶媒を追加し、カーボネートオリゴマーの濃度を調整する。この場合、重縮合反応によって得られる有機相中のポリカーボネート樹脂の濃度が5重量%〜30重量%となるように、不活性有機溶媒の量を調整する。次に、新たに水及び長周期型周期表第1族金属化合物又は長周期型周期表第2族金属化合物を含む水溶液を加え、さらに、重縮合条件を整えるために、好ましくは縮合触媒を添加し、界面重縮合法に従い重縮合反応を行う。重縮合反応における有機相と水相との割合は、容積比で有機相:水相=1:0.2〜1:1程度が好ましい。
重縮合工程における重縮合反応の温度は、通常、常温付近である。反応時間は0.5時間〜5時間、好ましくは1時間〜3時間程度である。
次に、重縮合反応槽における重縮合反応が完結した後、重縮合反応液は、公知の方法により、アルカリ洗浄液によるアルカリ洗浄、酸洗浄液による酸洗浄及び洗浄水による水洗浄が行われる。尚、洗浄工程の全滞留時間は、通常、12時間以下、好ましくは、0.5時間〜6時間である。
ポリカーボネート樹脂単離工程では、先ず、洗浄工程において洗浄されたポリカーボネート樹脂を含む重縮合反応液は、所定の固形分濃度に濃縮された濃縮液として調製される。濃縮液におけるポリカーボネート樹脂の固形分濃度は、通常、5重量%〜35重量%、好ましくは、10重量%〜30重量%である。
ここで、脱塩水(DMW)の温度は、通常、37℃〜67℃、好ましくは、40℃〜50℃である。また、造粒槽内で行われる造粒処理によりポリカーボネート樹脂の固形化温度は、通常、37℃〜67℃、好ましくは、40℃〜50℃である。
造粒槽から連続的に排出されるポリカーボネート樹脂粉状体を含む水スラリーは、その後、所定の分離器に連続的に導入され、水スラリーから水が分離される。
乾燥工程では、分離器において、水スラリーから水が分離されたポリカーボネート樹脂粉状体が、所定の乾燥機に連続的に供給され、所定の滞留時間で滞留させた後、連続的に抜き出される。乾燥機としては、例えば流動床型乾燥機が挙げられる。尚、複数の流動床型乾燥機を直列につなぎ、連続的に乾燥処理を行ってもよい。
ここで、乾燥機は、通常、熱媒ジャケット等の加熱手段を有し、例えば、水蒸気にて、通常、0.1MPa−G(メガパスカル−ゲージ)〜1.0MPa−G、好ましくは、0.2MPa−G〜0.6MPa−Gに保持されている。これにより、乾燥機の中を流通する窒素(N2)の温度は、通常、100℃〜200℃、好ましくは、120℃〜180℃に保持されている。
本発明では、式(1)で表される化合物を主成分として含むジヒドロキシ化合物とカーボネート形成性化合物とを重合することにより得られるポリカーボネート樹脂に加え、式(5)で表される化合物を主成分として含むジヒドロキシ化合物とカーボネート形成性化合物とを重合することにより得られるポリカーボネート樹脂とを併用する場合、式(1)で表される化合物を主成分として含むジヒドロキシ化合物とカーボネート形成性化合物とを重合することにより得られるポリカーボネート樹脂の含有量が、全ポリカーボネート樹脂中の30重量%以上であるのがより好ましく、50重量%以上がさらに好ましく、80重量%以上が最も好ましい。また、99重量%以下が好ましく、90重量%以下がより好ましい。式(1)で表される化合物を主成分として含むジヒドロキシ化合物とカーボネート形成性化合物とを重合することにより得られるポリカーボネート樹脂の含有量が多すぎると耐衝撃性が低下する虞があり、少なすぎると色調が悪化し、鉛筆硬度が下がり、難燃性が低下する虞がある。
本発明のポリカーボネート樹脂は難燃剤を添加してポリカーボネート樹脂組成物とした場合に、さらに顕著な効果を発揮し、難燃性が向上する。使用する難燃剤としては、例えば、スルホン酸金属塩系難燃剤、ハロゲン含有化合物系難燃剤、燐含有化合物系難燃剤及び珪素含有化合物系難燃剤からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも、スルホン酸金属塩系難燃剤が好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、必要に応じて、種々の添加剤が配合される。添加剤としては、例えば、安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、帯電防止剤、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維、ワラストナイト、珪酸カルシウム、硼酸アルミニウムウィスカー等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂と難燃剤及び必要に応じて配合される添加剤等の混合方法は特に限定されない。本発明では、例えば、ペレット又は粉末等の固体状態のポリカーボネート樹脂と難燃剤等を混合後、押出機等で混練する方法、溶融状態のポリカーボネート樹脂と難燃剤等とを混合する方法、溶融法又は界面法における原料モノマーの重合反応の途中又は重合反応終了時に難燃剤等を添加する方法等が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂およびポリカーボネート樹脂組成物を用いて、ポリカーボネート樹脂成形体が調製される。ポリカーボネート樹脂成形体の成形方法は特に限定されず、例えば、射出成型機等の従来公知の成型機を用いて成形する方法等が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂成形体は、例えば、ビスフェノールA等をモノマーとして得られるポリカーボネート樹脂を使用する場合と比較して、成形体の表面硬度及び透明性の低下が抑制され、且つ難燃性が良好である。具体的には、本発明のポリカーボネート樹脂組成物から形成される成形体は、難燃性については、厚さ2mm以下の試験片によるUL94の難燃性試験においてV−0規格を満たすことが好ましい。透明性については、JIS−K7136の規定に基づく厚さ3mmの試験片によるヘーズ値が1.0以下であることが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂、及びポリカーボネート樹脂組成物は、JIS K5600に準拠した鉛筆硬度が、HB以上であることが好ましい。該鉛筆硬度は、より好ましくは、F以上であり、さらに好ましくはH以上である。但し、通常、3H以下である。該鉛筆硬度がHB未満では、樹脂成形体の表面が傷つきやすい傾向がある。
ポリカーボネート樹脂を塩化メチレンに溶解し(濃度6.0g/L)、ウベローデ粘度管を用いて20℃における比粘度(ηsp)を測定し、下記の式により粘度平均分子量(Mv)を算出した。
ηsp/C=[η](1+0.28ηsp)
[η]=1.23×10−4Mv0.83
ポリカーボネートの末端水酸基濃度は、四塩化チタン/酢酸法(Makromol. Chem. 88, 215(1965)参照)に準拠し、比色定量を行うことにより測定した。
ポリカーボネート樹脂0.5gを塩化メチレン5mLに溶解した後、メタノール45mLおよび25重量%水酸化ナトリウム水溶液5mLを加え、70℃で30分間攪拌する。得られた溶液を液体クロマトグラフィーにて分析し、式(2)で表される化合物に由来する構造単位を定量する。尚、定量は式(1)で表される繰り返し単位の定量にて作成した検量線を用いて行った。
装置:(株)島津製作所製
システムコントローラ:CBM−20A
ポンプ:LC−10AD
カラムオーブン:CTO−10ASvp
検出器:SPD−M20A
分析カラム:YMC−Pack ODS−AM 75mm×Φ4.6mm
オーブン温度:40℃
検出波長:280nm
溶離液:A液:0.1%トリフルオロ酢酸水溶液、B液:アセトニトリル
A/B=60/40(vol%)からA/B=95/5(vol%)まで25分間でグラジエント
流量:1mL/min
試料注入量:20μL
また、式(2)で表される化合物に由来する構造単位のひとつである化合物Aは、上記液体クロマトグラフィー条件にて、下記リテンションタイムに観測された。
各化合物の特定は、上記リテンションタイムに観測されるピークに相当する部分を分取し、分取したサンプルの1H NMR、13C NMR、二次元NMR法、質量分析法(MS)、赤外線吸収スペクトル法(IRスペクトル)により実施した。
射出成形機(株式会社日本製鋼所製J50E2)を用い、バレル温度280℃、金型温度90℃の条件下にて、厚み3mm、縦60mm、横60mmのポリカーボネート樹脂のプレート(成形体)又はポリカーボネート樹脂組成物のプレート(成形体)を射出成形した。この成形体について、ISO 15184に準拠し、鉛筆硬度試験機(東洋精機株式会社製)を用いて、750g荷重にて測定した鉛筆硬度を求めた。
JIS K7105(1981年)に準拠し、分光色差計(日本電色工業(株)製SE2000)を使用し、C光源透過法にて射出成形体(幅40mm×長さ65mm×厚さ2mm)のイエローインデックス(YI)値、L*値、b*値を測定した。YI値が小さい程、黄色みがなく品質が優れることを示し、L*値が大きいほど明度が高くくすみが少ないことを示し、b*値が大きいほど黄色みが高いことを示す。
JIS K―4101に示される色数試験方法に基づき、直径23mm肉厚1.5mmの平底パイレックス比色管を用い、液深140mmのハーゼン色数をハーゼン標準比色液と比較して測定した。
ジヒドロキシ化合物として、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(「BPC」)(本州化学社製)360kgを原料受入サイロに投入し、窒素置換を5回実施した。次に原料調整槽にジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と略記する場合がある。)(三菱化学社製)を310kg(BPC1モルに対し1.03モル)投入し、140℃に加温した。この原料調整槽に上述のBPCを原料受入サイロから投入、攪拌し原料調整液を得た。このとき原料調整槽には不活性ガスを1時間当たりの不活性ガスの流量(標準状態)が前記原料調整槽の気相部の容積に対して7倍となるように流通させた。さらにこの原料調整液を、移送管を介して接続されている140℃に加温された原料貯槽に移送した。原料貯槽には不活性ガスを不活性ガスの流量(標準状態)が、前記原料貯槽の気相部の容積に対して1時間あたり7倍の流量となるように流通させた。尚、前記原料調整槽の平均滞留時間は2時間、前記原料貯槽の平均滞留時間は4時間であった。
次に、竪型攪拌反応器3器及び横型攪拌反応器1器を有する連続製造装置により、以下の条件でポリカーボネートを製造した。先ず、各反応器を下記のとおり、予め反応条件に応じた内温・圧力に設定した。
第一竪型反応器:内温220℃ 圧力 13.3kPa 平均滞留時間 80分
第二竪型反応器:内温260℃ 圧力 4kPa 平均滞留時間 67分
第三竪型反応器:内温272℃ 圧力 200Pa 平均滞留時間 67分
第一横型反応器:内温282℃ 圧力 180Pa 平均滞留時間 74分
第一竪型反応器の平均滞留時間が80分になるように、槽底部のポリマー排出ラインに設けたバルブの開度を制御しつつ、液面レベルを一定に保った。また、上記原料混合溶融液の供給開始と同時に、第一竪型攪拌反応器内に触媒供給口から触媒として炭酸セシウム水溶液を、BPC1molに対し、炭酸セシウムが3.0μmolとなるよう連続供給した。
なお、ブルーイング剤について、さらに説明すると、RRとは、“Solvent Blue97[ランクセス社製「マクロレックスブルーRR」]”の略であり、3Rとは“Solvent Violet36[CA.No68210;商標名 ランクセス社製「マクロレックスバイオレット3R」]”の略である。また、これらの濃度は、それぞれのブルーイング剤(重量部)/ポリカーボネート樹脂ペレット(重量部)を求めたもので、その単位はppmで表した。
このポリカーボネート樹脂およびポリカーボネート樹脂組成物を上記の手順に従い、各評価を実施した。結果を表1に示す。
第一横型反応器の圧力を80Paとした以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
原料調整槽の不活性ガスを不活性ガスの流量(標準状態)が前記原料調整槽の気相部の容積に対して1時間あたり10倍の流量で流通させた以外は実施例2と同様に実施した。結果を表1に示す。
第一横型反応器の圧力を70Paとした以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
BPC(本州化学社製)13.80kg/時、水酸化ナトリウム(NaOH)5.8kg/時及び水93.5kg/時を、ハイドロサルファイト0.017kg/時を原料溶解槽に供給し、35℃で溶解し原料溶解液を調整した。ここで、水酸化ナトリウムと水との混合によりアルカリ水溶液は調整され、これにBPCとハイドロサルファイトとが溶解したものをジヒドロキシ化合物水溶液とよぶ。この時、溶解槽の槽内容積容量に対するジヒドロキシ化合物アルカリ水溶液の体積比は60%であり、溶解槽の気相部容積に対し、不活性ガスを一時間当たり2倍の流量で流通させた。この時のジヒドロキシ化合物アルカリ水溶液のAPHAは20であった。
オリゴマー化に際し、触媒としてトリエチルアミン5g/時(BPC1molに対して0.9×10−3mol)、分子量調節剤としてp−t−ブチルフェノール0.153kg/時を用い、これらは各々、オリゴマー化槽に導入した。
上記オリゴマーの塩化メチレン溶液のうち、23kgを、内容積70Lのファウドラー翼付き反応槽に仕込み、これに希釈用塩化メチレン10kgを追加し、さらに25質量%水酸化ナトリウム水溶液2.2kg、水6kg及びトリエチルアミン2.2g(BPC1molに対して1.1×10−3mol)を加え、窒素ガス雰囲気下30℃で撹拌し、60分間重縮合反応を行ってポリカーボネート樹脂を得た。
このポリカーボネート樹脂を上記の手順に従い、各評価を実施した。結果を表1に示す。
原料調整槽の不活性ガスを1時間当たりの不活性ガスの流量(標準状態)が前記原料調整槽の気相部の容積に対して4倍の流量で流通させ、第一横型反応器の圧力を150Paとした以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
原料調整槽の不活性ガスを1時間当たりの不活性ガスの流量(標準状態)が前記原料調整槽の気相部の容積に対して2倍の流量で倍流通させ、第一横型反応器の圧力を150Paとした以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
BPC(本州化学社製)37.6kg(約147mol)とDPC32.2kg(約150mol)に、炭酸セシウムの水溶液を、炭酸セシウムがジヒドロキシ化合物1mol当たり1.5μmolとなるように添加して混合物を調整した。次に該混合物を、攪拌機、熱媒ジャケット、真空ポンプ、還流冷却器を具備した内容量200Lの第1反応器に投入した。
このポリカーボネート樹脂を上記の手順に従い、各評価を実施した。結果を表1に示す。
このポリカーボネート樹脂を上記の手順に従い、各評価を実施した。なお、ブルーイング剤を添加したポリカーボネート樹脂組成物は実施例1に準じて得た。これらのポリカーボネート樹脂並びにポリカーボネート樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
ジヒドロキシ化合物として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「BPA」と略記する場合がある。)(三菱化学社製)360kgを使用し、原料調整槽には不活性ガスを1時間当たりの不活性ガスの流量(標準状態)が前記原料調整槽の気相部の容積に対して3倍の流量で流通させ、第1竪型攪拌反応器内に触媒供給口から触媒として炭酸セシウム水溶液を、BPA1molに対し、炭酸セシウムが0.5μmolとなるよう連続供給した以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
原料調整槽の不活性ガスを1時間当たりの不活性ガスの流量(標準状態)が前記原料調整槽の気相部の容積に対して4倍の流量で流通させた以外は実施例2と同様に実施した。結果を表1に示す。
Claims (12)
- 下記式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂であって、前記ポリカーボネート樹脂に含有される下記式(2)で表される化合物に由来する構造単位の含有量が0.1ppm以上40ppm以下であることを特徴とするポリカーボネート樹脂。
- 前記ポリカーボネート樹脂が、そのポリカーボネート樹脂から280℃にて成形された厚さ3mmの成形体のb*値が1以上2以下、且つL*値が96.0以上、96.5以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂。
- 前記ポリカーボネート樹脂中の長周期型周期表第1族および第2族の金属の含有量総量が、前記ポリカーボネート樹脂を構成する全ジヒドロキシ化合物に由来する繰返し単位1モルに対して3.0×10-6モル以上10.0×10-6モル以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂と、ブルーイング剤とを含有するポリカーボネート樹脂組成物であって、前記ポリカーボネート樹脂組成物から280℃にて成形された厚さ3mmの成形体のb*値が0.3以上0.8以下、且つL*値が95.0以上96.0以下であり、且つ、鉛筆硬度がF以上であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート樹脂組成物における、前記ブルーイング剤の配合量が、前記ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.1×10-4重量部以上10.0×10-4重量部以下であることを特徴とする請求項4に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを原料調整槽にて溶融混合して溶融原料とし、次いで、当該溶融原料を貯槽を介して連続的に重縮合反応槽に送液して重縮合反応させるポリカーボネート樹脂の製造方法において、前記原料調整槽に不活性ガスを流通し、前記不活性ガスの1時間あたりの流量が前記原料調整槽の気相部の容積に対して標準状態における体積流量として5倍以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記原料調整槽内の溶融原料の滞留時間が0.5時間から12時間の範囲内であることを特徴とする請求項6に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記原料調整槽内の溶融原料の溶融温度が110℃以上180℃以下であることを特徴とする請求項6または請求項7のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 溶解槽において上記一般式(1)で表される化合物をアルカリ水溶液に溶解し、ジヒドロキシ化合物アルカリ水溶液を調製し、次いで塩化カルボニルと反応させる製造法にて得られたポリカーボネート樹脂の製造方法において、前記ジヒドロキシ化合物アルカリ水溶液のAPHAが30以下であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記溶解槽内に不活性ガスを流通し、前記不活性ガスの1時間当たりの流量が前記溶解槽内の気相部の容積に対して標準状態における体積流量として1.5倍以上であることを特徴とする請求項9に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記溶解槽内の容積容量に対する前記溶解槽内のジヒドロキシ化合物アルカリ水溶液の体積比が、45%以上であることを特徴とする請求項9または請求項10に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 請求項6乃至11のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法により製造されるポリカーボネート樹脂とブルーイング剤とを含有するポリカーボネート樹脂組成物の製造方法であって、ポリカーボネート樹脂の重縮合反応槽に直接連結された押出機にてブルーイング剤を添加することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
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