JP2021146623A - 払拭装置、液体吐出装置、及び払拭方法 - Google Patents

払拭装置、液体吐出装置、及び払拭方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来の払拭手段を用い、液体組成物が乾燥して付着した固着物をノズル面から除去する場合、払拭性が不十分である課題がある。【解決手段】 ノズル面に形成されたノズルから液体組成物を吐出する吐出ヘッドにおける前記ノズル面を払拭する払拭手段を有する払拭装置であって、前記払拭手段は、突起形状繊維を含み、前記突起形状繊維は、繊維軸と直交する断面において突起形状を有し、前記突起形状は前記繊維軸方向に連続していることを特徴とする払拭装置。【選択図】なし

Description

本発明は、払拭装置、液体吐出装置、及び払拭方法に関する。
インクジェットプリンタに代表される液体吐出装置においては、ノズル面の異物によって吐出不良等の不具合が生じるため、定期的にクリーニングする必要がある。ノズル面のクリーニングに用いられる払拭手段としては、不織布や織布に代表されるシート状の払拭手段を組み合わせてクリーニングする方法が既に知られている。
特許文献1には、固体である粒子が液体中に分散した分散系液体をノズルから噴射する液体噴射ヘッドとワイピング部材とを相対移動することにより、ノズル面に付着した分散系液体をワイピング部材で払拭するワイパー装置が開示されている。このワイピング部材は、ノズル面側の第一層と、第一層に対してノズル面と反対側の第二層とを有している。第一層は、ノズル面に付着する分散系液体の分散媒である液滴を毛細管現象により第二層に導くとともに、分散系液体の分散質を捕捉して収容可能な空隙を有する。また、第二層は分散媒を吸収する。
しかしながら、従来の払拭手段を用い、液体組成物が乾燥して付着した固着物をノズル面から除去する場合、払拭性が不十分である課題がある。
請求項1に係る発明は、ノズル面に形成されたノズルから液体組成物を吐出する吐出ヘッドにおける前記ノズル面を払拭する払拭手段を有する払拭装置であって、前記払拭手段は、突起形状繊維を含み、前記突起形状繊維は、繊維軸と直交する断面において突起形状を有し、前記突起形状は前記繊維軸方向に連続していることを特徴とする払拭装置である。
本発明の払拭装置は、液体組成物が乾燥して付着した固着物をノズル面から除去する場合において、払拭性を向上させることができる優れた効果を奏する。
図1は、払拭装置を組み込んだ画像形成装置の一例を模式的に表した図である。 図2は、液体吐出ヘッドのノズル面の一例を模式的に表した図である。 図3は、払拭装置の一例を模式的に表した図である。 図4は、シート状の払拭手段の断面の一例を模式的に表した図である。 図5は、突起形状繊維の繊維軸と直交する断面における形状の一例を模式的に表した図である。 図6は、実施例で使用した繊維の繊維軸と直交する断面と当該断面の外接円を模式的に表した図である。
以下、本発明の実施形態の一例について説明する。
<<液体吐出装置、払拭装置、払拭方法>>
液体吐出装置は、ノズルから液体組成物を吐出する吐出ヘッド、及び払拭装置などを有し、必要に応じて他の手段(例えば、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段や、前処理装置、後処理装置と称される装置など)を有する。払拭装置は、払拭手段を有し、必要に応じて洗浄液を付与する手段などのその他の手段を有する。また、払拭装置を有する液体吐出装置によって実行される払拭方法は、払拭工程を有し、必要に応じて洗浄液付与工程などのその他の工程を有する。払拭装置は、ノズルから液体組成物を吐出する吐出ヘッドのノズル面に対して払拭手段を接触させることでノズル面を払拭する。なお、「払拭」とは、払拭手段及びノズル面を接触させつつ、払拭手段と吐出ヘッドを相対移動させることを表す。払拭手段を用いてノズル面を払拭することにより、例えば、ノズル面で液体組成物が乾燥して付着した固着物をノズル面から除去することができる。また、例えば、ノズルから溢れ出た余剰の液体組成物を吸収することでノズル面から除去することができる。
まず、図1から図3を用いて、払拭装置を組み込んだ液体吐出装置の一例である画像形成装置(以降で説明する印刷方法を実行する印刷装置)を例に、液体吐出装置および払拭装置について説明する。画像形成装置は、液体組成物の一例としてインクを吐出する装置であり、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。図1は、払拭装置を組み込んだ画像形成装置の一例を模式的に表した図である。図2は、吐出ヘッドのノズル面の一例を模式的に表した図である。図3は、払拭装置の一例を模式的に表した図である。
図1に示す画像形成装置は、シリアル型の液体吐出装置である。画像形成装置は、左右の側板に横架した主ガイド部材1及び従ガイド部材でキャリッジ3を移動可能に保持している。そして、キャリッジ3は、主走査モータ5によって、駆動プーリ6と従動プーリ7との間に架け渡したタイミングベルト8を介して主走査方向(キャリッジ移動方向)に往復移動する。このキャリッジ3には、液体吐出ヘッドの一例である記録ヘッド4a、4b(区別しないときは「記録ヘッド4」という。)を搭載している。記録ヘッド4は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出する。また、記録ヘッド4は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド4は、図2に示すように、ノズル面41に、複数のノズル4nを配列した2つのノズル列Na、Nbを有する。記録ヘッド4を構成する吐出ヘッドとしては、例えば、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータを用いることができる。また、記録ヘッド41は、表面に撥水膜を有していることが好ましい。撥水膜を有することで、ノズル近傍においてインクの残留液やインクの固着物が形成されることを抑制できるため吐出性が向上する。なお、撥水膜とは、撥水性を有する膜を表し、例えば、純水の接触角が60°以上の膜を指す。なお、接触角は、θ/2法によって測定した角度を指す。
また、図1に示す画像形成装置は、用紙10を搬送するために、用紙を静電吸着して記録ヘッド4に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト12を備えている。この搬送ベルト12は、無端状ベルトであり、搬送ローラ13とテンションローラ14との間に掛け渡されている。そして、搬送ベルト12は、副走査モータ16によって、タイミングベルト17及びタイミングプーリ18を介して搬送ローラ13が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。この搬送ベルト12は、周回移動しながら帯電ローラによって帯電(電荷付与)される。
さらに、キャリッジ3の主走査方向の一方側には搬送ベルト12の側方に記録ヘッド4の維持回復を行う維持回復機構20が配置され、他方側には搬送ベルト12の側方に記録ヘッド4から空吐出を行う空吐出受け21がそれぞれ配置されている。維持回復機構20は、例えば記録ヘッド4のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材20a、ノズル面を払拭する機構20b、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出受けなどで構成されている。
また、画像形成装置は、キャリッジ3の主走査方向に沿って両側板間に、所定のパターンを形成したエンコーダスケール23を張装している。また、キャリッジ3にはエンコーダスケール23のパターンを読み取る透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ24が設けられている。これらのエンコーダスケール23とエンコーダセンサ24によってキャリッジ3の移動を検知するリニアエンコーダ(主走査エンコーダ)を構成している。
また、搬送ローラ13の軸にはコードホイール25が取り付けられており、このコードホイール25に形成したパターンを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ26も設けられている。これらのコードホイール25とエンコーダセンサ26によって搬送ベルト12の移動量及び移動位置を検出するロータリエンコーダ(副走査エンコーダ)が構成されている。
このように構成された画像形成装置において、用紙10が帯電された搬送ベルト12上に給紙されることで吸着され、搬送ベルト12の周回移動によって用紙10が副走査方向に搬送される。そこで、キャリッジ3を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド4を駆動することにより、停止している用紙10にインク滴を吐出して1行分を記録する。そして、用紙10を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙10の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙10を排紙トレイに排紙する。
また、記録ヘッド4のクリーニングを行う場合は、印字(記録)待機中にキャリッジ3を維持回復機構20に移動させ、維持回復機構20により清掃を実施する。また、記録ヘッド4は移動せず、維持回復機構20が移動してヘッドを清掃するようにしてもよい。図1で示した記録ヘッド4は、図2に示すように複数のノズル4nを配列した2つのノズル列Na、Nbを有する。記録ヘッド4aの一方のノズル列Naはブラック(K)の液滴を、他方のノズル列Nbはシアン(C)の液滴を吐出する。記録ヘッド4bの一方のノズル列Naはマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列Nbはイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
ノズル面を払拭する維持回復機構20bは、払拭装置の一例であって、図3に示すように、払拭手段の一例であるシート状払拭部材320とシート状払拭部材320を送り出す送り出しローラ410と、送り出されたシート状払拭部材320に洗浄液を付与する洗浄液付与工程を実行する洗浄液付与手段の一例である洗浄液滴下装置430と、洗浄液を付与されたシート状払拭部材320をノズル面に押し当てる押し当て手段の一例である押し当てローラ400と、払拭に使われたシート状払拭部材320を回収する巻き取りローラ420と、を有する。洗浄液は、途中に洗浄液を供給するポンプを設けられた洗浄液供給チューブを介し、洗浄液を収容する洗浄液収容容器から供給される。なお、ノズル面を払拭する機構20bは、シート状払拭部材320のほかに、ノズル面を払拭するゴムブレード等を備えていても良い。また、押し当てローラ400はバネを用いて、クリーニング部とノズル面の距離を調整することで、押し当て力を調整することができる。押し当て部材はローラに限らず、固定された樹脂やゴムの部材であっても良い。ゴムブレード等を備えている場合、シート状払拭部材320にゴムブレード等を当接させる機構を設けて、シート状払拭部材320にゴムブレード等のクリーニング機能を持たせても良い。また、シート状払拭部材は、小型化の観点から図3に示すようにロール状に巻き取られた状態で収納されていることが好ましいが、これに限らず、折り畳んで収納されている状態であってもよい。また、洗浄液付与手段としては、洗浄液滴下装置以外の手段であってもよく、例えば、洗浄液をローラで付与する洗浄液付与ローラ、洗浄液をスプレーで付与する洗浄液付与スプレーなどが挙げられる。また、洗浄液付与手段により実行される洗浄液付与工程は、洗浄液をノズル面に付与できる工程であれば特に制限はなく、上記実施形態のように、払拭手段を介して間接的に洗浄液を付与する工程以外に、洗浄液をノズル面に直接付与する工程であってもよいが、払拭手段を介して間接的に洗浄液を付与する工程が好ましい。
押し当て手段は、上記の通り、払拭手段がノズル面を払拭するときに払拭手段及びノズル面を接触させる。払拭手段がノズル面を払拭するときにおいて、払拭手段及びノズル面の接触部における線圧は、1.7N/cm以下であることが好ましく、1.5N/cm以下であることがより好ましく、1.0N/cm以下であることが更に好ましく、0.8N/cm以下であることがより更に好ましく、0.6N/cm以下であることが特に好ましい。払拭手段及びノズル面の接触部における線圧が1.7N/cm以下であることで、液体組成物が乾燥して付着した固着物を払拭手段でノズル面から除去する場合において、除去時にノズル面が傷つくことにより吐出性が低下することを抑制することができる。一般に、払拭手段及びノズル面の接触部における線圧を1.7N/cm以下とすると払拭性が低下する場合があるが、払拭手段を構成する繊維として後述する突起形状繊維を含む場合、払拭性の低下が抑制される。これにより、払拭手段及びノズル面の接触部における線圧を1.7N/cm以下にすることができ、結果として、吐出性の低下及び払拭性の低下を抑制することができる。なお、ノズル面に撥水膜が形成されている吐出ヘッドを用いる場合、ノズル面に傷が生じることにより生じる吐出安定性の低下がより顕著になりやすい。そのため、本実施形態の払拭装置を用いることがより好ましい。また、払拭手段及びノズル面の接触部における線圧は、0.1N/cm以上であることが好ましく、0.2N/cm以上であることがより好ましく、0.3N/cm以上であることが更に好ましい。払拭手段及びノズル面の接触部における線圧が0.1N/cm以上であることで、払拭性が向上する。
なお、払拭手段及びノズル面の接触部における線圧は、上記の通り、払拭手段がノズル面を払拭するときに測定されるが、払拭手段がノズル面を払拭するときにおける払拭手段及びノズル面の位置関係を再現した装置から間接的に測定してもよい。また、払拭手段及びノズル面の接触部における線圧とは、払拭手段及びノズル面の接触部において生じる線圧のうち最も高い線圧を表すことが好ましい。言い換えると、接触部の全ての位置において、線圧が1.7N/cm以下であることが好ましい。但し、接触部の全ての位置において線圧を測定しなくてもよい。例えば、払拭手段及びノズル面の接触部の任意の複数箇所において線圧を測定し、いずれの箇所においても線圧が1.7N/cm以下であった場合、本測定結果に基づいて接触部の全ての位置において線圧が1.7N/cm以下であったと判断してもよい。
線圧を測定する方法としては特に制限されないが、例えば、面圧分布測定システムであるI−SCAN(ニッタ株式会社)、圧力測定フィルムであるプレスケール(富士フィルム株式会社)等を用い、払拭装置を搭載した実機から直接的に測定する方法が挙げられる。また、ユニットのみを用い、実機同等の食い込み量の時の荷重と、払拭部材の接触長さと、を測定して計算する方法も挙げられる。
本実施形態では、払拭工程の一例として、払拭手段に洗浄液を一定量塗布した後、払拭手段がノズル面に押し当てられながら維持回復機構20bと記録ヘッド4が相対的に移動することでノズル面に付着した異物500を払拭する工程が実行される。ノズル面に付着する異物500としては、ノズルからインクを吐出した際に発生するミストインクや、クリーニング等でノズルからインクを吸引したときに付着するインク、ミストインクやキャップ部材に付着したインクがノズル面で乾燥した固着インク、被印刷物から発生する紙粉などが挙げられる。本実施形態では、洗浄液を含有しない払拭手段に対して洗浄液が付与された後で異物500の払拭が行われるが、予め洗浄液を含む払拭手段を用いることで洗浄液付与手段を用いない構成としてもよい。また、洗浄液が付与される場所は払拭手段以外であってもよく、ノズル面に直接付与されてもよい。すなわち、ノズル面に付与される洗浄液とは、結果的にノズル面に付与される全ての態様の洗浄液を意味し、例えば、ノズル面に直接的に付与される洗浄液、洗浄液を含む払拭手段を介してノズル面に間接的に付与される洗浄液などが挙げられるが、洗浄液を含む払拭手段を介してノズル面に間接的に付与される洗浄液であることが好ましい。また、長時間の待機状態により、ノズル面でインクが乾燥して固着していると想定される場合は、洗浄液を含んだ払拭手段でノズル面を複数回払拭することで取り除くことができる構成であることが好ましい。なお、払拭工程は、洗浄液を用いずにノズル面を払拭する工程であってもよい。
<払拭手段>
次に、払拭手段について図4を用いて説明する。図4はシート状の払拭手段の断面の一例を模式的に表した図である。図4に示す払拭手段700は、一例として、1層の不織布からなる構造を有するが、2層以上の不織布からなる構造を有していてもよい。これ以外にも、例えば、吸収した液体組成物の裏写り防止や払拭手段の強度向上を目的としてフィルムを裏打ちした構造であってもよい。
払拭手段は繊維を含有する材料により形成されており、例えば、不織布、織布、布などにより形成される。特に、厚さと空隙率のコントロールが比較的容易であり、様々な種類の繊維の配合も容易である不織布を用いるのが好ましい。不織布、織布、編布などを構成する繊維の材質としては、綿、麻、絹、パルプ、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、キュプラ、アクリル、ポリ乳酸、などが挙げられる。1種類の繊維からなる不織布だけではなく、複数種類の繊維が混ざった不織布でも良い。なお、繊維の材質としては、ノズル面に付着している固形物を払拭しやすいものを選択することが好ましいが、レーヨンなどの吸水性の高い繊維も混ぜることで、余剰な液体組成物を吸収する機能も付与できる。払拭手段の製造方法の一例として、払拭手段が不織布である場合について説明する。不織布の形成方法としては、例えば、湿式、乾式、スパンボンド、メルトブローン、フラッシュ紡糸などの方法が挙げられる。また、不織布の結合方法としては、例えば、スパンレース、ニードルパンチ、サーマルボンド、ケミカルボンドなどの方法が挙げられる。スパンレース法とは、堆積された繊維上にジェット水流を噴射し、その圧力によって繊維同士を絡み合わせてシート状に結合させる製法である。ニードルパンチ法とは、堆積された繊維をバーブと呼ばれる突起のついた針を数10回以上突き刺すことにより繊維同士を機械的に絡ませて不織布に加工する製法である。
下記式により計算される払拭手段の空隙率は、0.60以上0.99以下であることが好ましい。空隙率がこの範囲であることで、固着物の払拭性を向上させることができ、また、払拭手段が洗浄液を十分に保持することができる。
Figure 2021146623
なお、払拭手段がシート状の不織布等である場合、上記の「真密度」はシートを形成する繊維の真密度であり、「見掛の密度」はシート状の材料の目付量と厚さから「目付量÷厚さ」で求めることができる。
払拭手段の厚さは0.1mm以上3.0mm以下が好ましい。厚さがこの範囲であることで、固着物の払拭性を向上させることができ、また、払拭手段が洗浄液を十分に保持することができる。
−突起形状繊維−
払拭手段を構成する繊維には、突起形状繊維が含まれ、必要に応じてその他形状の繊維が含まれる。払拭手段が突起形状繊維を含むことで、液体組成物が乾燥して付着した固着物をノズル面から除去する場合において、払拭性を向上させることができ、更に、払拭手段及びノズル面の接触部における線圧を低下させたときであっても効率よく固着物を除去することができる。払拭手段及びノズル面の接触部における線圧を低下させつつ払拭することができるので、ノズル面に傷が生じることが抑制され、結果として吐出安定性の低下が抑制される。なお、ノズル面に撥水膜が形成されている吐出ヘッドを用いる場合、ノズル面に傷が生じることにより生じる吐出安定性の低下がより顕著になりやすい。そのため、本実施形態の払拭装置を用いることがより好ましい。
突起形状繊維の繊維軸と直交する断面は、突起形状及び溝形状が交互に設けられた形状を有する。突起形状は、複数個存在することが好ましく、3個以上であることが好ましく、4個以上であることがより好ましく、5個以上であることが更に好ましく、6個以上であることが特に好ましい。また、12個以下であることが好ましく、11個以下であることがより好ましく、10個以下であることが更に好ましい。突起形状の個数が上記範囲であることで払拭性が向上する。なお、分岐を有する突起形状の場合、分岐先の突起形状の数は含めないものとする。
また、突起形状繊維の繊維軸と直交する断面において、断面の外周の一部及び断面の外接円の一部により形成される領域の数は3以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。また、9以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。上記領域の数が上記範囲であることで払拭性が向上する。ここで、断面の外接円とは、断面の外周と接点を有する円のうち最小の円を表す。
なお、下記式により計算される突起形状繊維の繊維空隙率は、20%以上80%以下であることが好ましく、30%以上70%以下であることがより好ましく、45%以上65%以下であることが更に好ましく、50%以上60%以下であることが特に好ましい。ここで、下記式中のAは、突起形状繊維の繊維軸と直交する断面における断面積を表す。また、下記式中のBは、突起形状繊維の繊維軸と直交する断面における外接円の面積を表す。但し、突起形状繊維が中空部を有する場合、上記断面積に中空部の面積は含まれない。繊維空隙率が上記範囲であることで払拭性が向上する。
Figure 2021146623
突起形状繊維の有する突起形状は、繊維軸方向に連続して形成されている。突起形状が連続して形成されることで、当該突起形状がノズル面に付着している固形物と接触しうる範囲が広がり、払拭性が向上する。また、突起形状が繊維軸方向に連続して形成されている場合とは、突起形状が突起形状繊維の全長に渡って形成されている場合に限定されず、全長の一部長さに相当する部分において突起形状が形成されている場合であってもよい。全長の一部長さに相当する部分とは、例えば、全長の10%以上の長さに相当する部分であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、30%以上であることが更に好ましく、40%以上であることがより更に好ましく、50%以上であることが特に好ましい。なお、突起形状繊維以外の繊維(例えば、繊維軸と直交する断面の形状が真円又は楕円に近似する形状である繊維など)であっても、表面に凸凹が存在し、部分的に突起部が生じうる場合が想定される。しかし、そのような繊維が有する突起部は繊維軸方向に連続して形成されてないため、突起形状繊維とは明確に区別される。
突起形状繊維の繊維軸と直交する断面における形状について、図5を用いて説明する。図5は、突起形状繊維の繊維軸と直交する断面における形状の一例を模式的に表した図である。図5に示す通り、断面形状は特に限定されず、例えば、十字型断面、H型断面、T型断面、Y型断面、多フィン断面などが挙げられる。また、断面形状内に中空部を有する繊維、突起形状が分岐している繊維、扁平状の繊維などであってもよい。突起形状繊維の繊維軸と直交する断面における形状を確認する方法としては特に限定されないが、例えば、突起形状繊維をエポキシ樹脂などの包埋剤を用いて包埋し、この断面を作製して走査型電子顕微鏡(SEM)で観察する方法が挙げられる。
突起形状繊維を製造する方法としては特に限定されず、適宜公知の方法を用いることができるが、例えば、口金の形状を適宜設計することで製造する方法、相分離等を利用して紡糸後に繊維を分割することで製造する方法などが挙げられる。
突起形状繊維又は突起形状繊維を用いて形成されたシートとしては、例えば、帝人フロンティア製のオクタ、ユニチカ製のDilla、KBセーレン製のソアリオン Y、東レ製のアーティローザ、ペンタス α、東洋紡製のセレスドライ、クラレ製のピュアスなどが挙げられる。
なお、突起形状繊維の単繊維径は、10μm以上50μm以下であることが好ましく、20μm以上30μm以下であることがより好ましい。また、突起形状繊維の繊維長としては1mm以上100mm以下であることが好ましく、20mm以上80mm以下であることがより好ましく、40mm以上60mm以下であることが更に好ましい。
なお、突起形状繊維は、払拭手段の質量に対して20質量%以上含まれていることが好ましく、40質量%以上含まれていることがより好ましい。また、払拭手段を構成する繊維の全てが突起形状繊維であってもよい。
<洗浄液>
本実施形態の払拭装置は、払拭時に洗浄液を用いてもよい。洗浄液は、有機溶剤、界面活性剤、水、及びその他の成分を含有することが好ましい。この洗浄液を直接的または間接的にノズル面に付与してから払拭手段で払拭することで、ノズル面に形成された固着物の粘性が低下し除去が容易になる。また、洗浄液は洗浄液収容容器に充填されて払拭装置に搭載され、洗浄液付与手段から付与されることが好ましい。
−有機溶剤−
有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性有機溶剤などが挙げられる。水溶性有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、多価アルコール類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、炭素数8以上のポリオール化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
有機溶剤の合計含有量としては、洗浄液全量に対して、10.0質量%以上50.0質量%以下が好ましく、20.0質量%以上30.0質量%以下がより好ましい。
−界面活性剤−
界面活性剤としては、ポリオキシアルキレン界面活性剤、シリコーン界面活性剤、フッ素界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、及びアニオン界面活性剤のいずれも使用可能であるが、ポリオキシアルキレン界面活性剤、シリコーン界面活性剤が好ましく、洗浄液を用いた固着物の払拭性、及び洗浄液の保存安定性の点から、ポリオキシアルキレン界面活性剤が特に好ましい。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ポリオキシアルキレン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどが挙げられる。
ポリオキシアルキレン界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、エマルゲンA−60(ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル)、エマルゲンLS−106(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル)、エマルゲンLS−110(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル)(いずれも、花王株式会社製、高級アルコール系エーテル型非イオン性界面活性剤)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
また、シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物などが挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S−1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
[一般式(S−1)]
Figure 2021146623
(但し、一般式(S−1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコーン株式会社)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、保存安定性の点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上3質量%以下が更に好ましい。
−水−
水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水などが挙げられる。
水の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、洗浄液の全量に対して20.0質量%以上80.0質量%以下が好ましく、30.0質量%以上60.0質量%以下がより好ましい。
−その他の成分−
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤などが挙げられる。
−−消泡剤−−
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
−−防腐防黴剤−−
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
−−防錆剤−−
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
−−pH調整剤−−
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
<液体組成物>
液体吐出装置に搭載される液体組成物の一例としてインクについて説明する。液体の一例としてのインクは、液体収容容器の一例であるインク収容容器に充填されて液体吐出装置に搭載されることが好ましい。なお、液体としてはインクに限られず、例えば、インク吐出前に記録媒体に付与される前処理液、及びインク吐出後に記録媒体のインク吐出面に付与される後処理液などであってもよい。
液体の一例であるインクは、色材、樹脂、有機溶剤、界面活性剤、水、及びその他の成分を含有することが好ましい。また、インクは、樹脂を含有し、色材を含有しないクリアインクであってもよい。なお、有機溶剤、界面活性剤、水、及びその他の成分については、洗浄液に含まれるものと同様のものを使用できるので、これらの説明を省略する。
−色材−
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、混晶を使用してもよい。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性のよいものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
更に、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94、C.I.フードブラック1,2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック3,4,35が挙げられる。
インク中の色材の含有量は、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
顔料を分散してインクを得るためには、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。竹本油脂社製RT−100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
−樹脂−
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ウレタン樹脂が好ましい。また、樹脂は樹脂粒子として用いることが好ましい。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
樹脂粒子の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、インクの保存安定性の点から、インク全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
<記録媒体>
液体が付与される記録媒体としては特に制限はなく、普通紙、光沢紙、特殊紙、布などを用いることもできるが、非浸透性基材を用いても良好な画像形成が可能である。なお、記録媒体とは、液体が一時的にでも付着可能なものを意味する。
非浸透性基材とは、水透過性、吸収性が低い表面を有する基材であり、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれ、より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である基材をいう。
非浸透性基材としては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムを、好適に使用することができる。
記録媒体としては、一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、壁紙、床材、
タイル等の建材、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。また、記録媒体を搬送する経路の構成を調整することにより、セラミックスやガラス、金属などを使用することもできる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
<払拭手段及び払拭装置の準備>
(実施例1〜4、比較例1〜2)
下記表1に示す材質からなるシート状の不織布を用意して払拭手段とした。次に、この払拭手段を図3に示す払拭装置に搭載した。なお、実施例3〜4、6で使用するオクタ(帝人フロンティア製)は繊維であるため、これを不織布に加工したものを払拭手段として使用した。
また、実施例で使用した繊維の形状について説明する。図6は、実施例で使用した繊維の繊維軸と直交する断面と当該断面の外接円を模式的に表した図であり、断面を黒、外接円をグレーの点線で表示している。図6の(a)はDilla D0903WPO(ユニチカ製)を構成する繊維を表し、(b)はオクタ(帝人フロンティア製)を表し、(c)はベンリーゼを構成する繊維を表す。
次に、作製した払拭手段を用い、下記説明する払拭性及び吐出性に関する評価を行った。結果を表1に示す。
[払拭性]
インクジェットヘッド(商品名:MH5441、リコー製)のノズルプレート上にインク(商品名:RICOH Pro AR インクホワイト、リコー製)を0.1ml滴下後、15時間放置し、インクの固着したノズルプレートを作製した。次に、作製した払拭手段に洗浄液(商品名:RICOH Flushing Cartridge Type C2、リコー製)を20μl/cm塗布した後、ノズルプレートを払拭手段で拭き取った。払拭条件としては、払拭線圧を表1に示す値にし、拭き取り速度を50mm/sにした。払拭後のノズルプレートを目視観察し、固着インクが除去されるまでの払拭回数を測定し、下記評価基準に基づいて払拭性を評価した。C以上が実用可能な範囲であり、Bが好ましく、Aがより好ましい。
〔評価基準〕
A:5回以下の払拭でノズルプレート上の固着インクが除去された
B:6回以上7回以下の払拭でノズルプレート上の固着インクが除去された
C:8回以上9回以下の払拭でノズルプレート上の固着インクが除去された
D:10回払拭してもノズルプレート上の固着インクが残存していた
[吐出性]
作製した払拭手段を搭載した払拭装置を有するインクジェットプリンタ(商品名:RICOH Pro L5160、リコー製)を用い、ヘッドクリーニング(弱)を10000回実施した。払拭条件としては、払拭線圧を表1に示す値にした。その後、吐出状態の確認を行い、下記評価基準に基づいて吐出性を評価した。なお、インクジェットプリンタ(商品名:RICOH Pro L5160、リコー製)に搭載されている吐出ヘッドのノズル面は撥水膜を有する。C以上が実用可能な範囲であり、Bが好ましく、Aがより好ましい。
〔評価基準〕
A:吐出乱れ又は不吐出が観察されなかった
B:1つ以上2つ以下のノズルで吐出乱れ又は不吐出があった
C:3つ以上5つ以下のノズルで吐出乱れ又は不吐出があった
D:6つより多いノズルで吐出乱れ又は不吐出があった
Figure 2021146623
3 キャリッジ
4、4a、4b 記録ヘッド
4n ノズル
20 維持回復機構
20b ノズル面を払拭する機構
41 ノズル面
320 シート状払拭部材
400 押し当てローラ
410 送り出しローラ
420 巻き取りローラ
430 洗浄液滴下装置
500 異物
特開2014−188900号公報

Claims (10)

  1. ノズル面に形成されたノズルから液体組成物を吐出する吐出ヘッドにおける前記ノズル面を払拭する払拭手段を有する払拭装置であって、
    前記払拭手段は、突起形状繊維を含み、
    前記突起形状繊維は、繊維軸と直交する断面において突起形状を有し、前記突起形状は前記繊維軸方向に連続していることを特徴とする払拭装置。
  2. 更に、前記払拭手段を前記ノズル面に押し当てる押し当て手段を有する請求項1に記載の払拭装置。
  3. 前記払拭手段が前記ノズル面を払拭するとき、前記払拭手段及び前記ノズル面の接触部における線圧は、1.7N/cm以下である請求項1又は2に記載の払拭装置。
  4. 前記払拭手段が前記ノズル面を払拭するとき、前記払拭手段及び前記ノズル面の接触部における線圧は、0.6N/cm以下である請求項1又は2に記載の払拭装置。
  5. 前記突起形状繊維は、前記断面において前記突起形状を3個以上有する請求項1から4のいずれか一項に記載の払拭装置。
  6. 前記断面において、前記断面の外周の一部及び前記断面の外接円の一部により形成される領域を3つ以上有する請求項1から5のいずれか一項に記載の払拭装置。
  7. 前記突起形状繊維の繊維空隙率は、20%以上80%以下である請求項1から6のいずれか一項に記載の払拭装置。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の払拭装置と、前記吐出ヘッドと、を有する液体吐出装置。
  9. 前記ノズル面は、撥水膜を有する請求項8に記載の液体吐出装置。
  10. ノズル面に形成されたノズルから液体組成物を吐出する吐出ヘッドにおける前記ノズル面を払拭手段で払拭する払拭工程を有する払拭方法であって、
    前記払拭手段は、突起形状繊維を含み、
    前記突起形状繊維は、繊維軸と直交する断面において突起形状を有し、前記突起形状は前記繊維軸方向に連続していることを特徴とする払拭方法。
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