以下の説明では、各図に示す本実施形態の駆動装置1が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合の位置関係を基に、鉛直方向を規定して説明する。また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向である。+Z側は、鉛直方向上側であり、−Z側は、鉛直方向下側である。以下の説明では、鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって駆動装置1が搭載される車両の前後方向である。以下の実施形態において、+X側は、車両の前側であり、−X側は、車両の後側である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の左右方向、すなわち車幅方向である。以下の実施形態において、+Y側は、車両の左側であり、−Y側は、車両の右側である。
なお、前後方向の位置関係は、以下の実施形態の位置関係に限られず、+X側が車両の後側であり、−X側が車両の前側であってもよい。この場合には、+Y側は、車両の右側であり、−Y側は、車両の左側である。
各図に適宜示すモータ軸J1は、Y軸方向、すなわち車両の左右方向に延びる。以下の説明においては、特に断りのない限り、モータ軸J1に平行な方向を単に「軸方向」と呼び、モータ軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸J1を中心とする周方向、すなわち、モータ軸J1の軸回りを単に「周方向」と呼ぶ。本実施形態において前後方向は、モータ軸J1の軸方向および鉛直方向の両方と直交する「水平方向」に相当する。また、前側は、「水平方向の一方側」に相当する。なお、本明細書において、「平行な方向」は略平行な方向も含み、「直交する方向」は略直交する方向も含む。
図1に示す本実施形態の駆動装置1は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、モータを動力源とする車両に搭載され、その動力源として使用される。図1に示すように、駆動装置1は、モータ2と、減速装置4および差動装置5を含む伝達装置3と、ハウジング6と、オイルポンプ96と、クーラー97と、複数の冷媒噴射部10と、を備える。
ハウジング6は、内部にモータ2および伝達装置3を収容する。ハウジング6は、モータ収容部61と、ギヤ収容部62と、隔壁61cと、を有する。モータ収容部61は、内部に後述するロータ20およびステータ30を収容する部分である。ギヤ収容部62は、内部に伝達装置3を収容する部分である。ギヤ収容部62は、モータ収容部61の左側に位置する。モータ収容部61の底部61aは、ギヤ収容部62の底部62aより上側に位置する。隔壁61cは、モータ収容部61の内部とギヤ収容部62の内部とを軸方向に区画する。隔壁61cには、隔壁開口68が設けられる。隔壁開口68は、モータ収容部61の内部とギヤ収容部62の内部とを繋ぐ。隔壁61cは、ステータ30の左側に位置する。
図2に示すように、ハウジング6は、取付部61fを有する。本実施形態において取付部61fは、モータ収容部61に設けられる。取付部61fは、例えば、モータ収容部61のうち後側(−X側)かつ上側の部分である。取付部61fには、ハウジング6の外部からインバータユニット8が取り付けられる。インバータユニット8は、駆動装置1と別体構造である。インバータユニット8は、例えばネジ等により、取付部61fに取り付けられる。インバータユニット8は、モータ2に電力を供給するインバータ8aと、インバータ8aを内部に収容するインバータケース8bと、を有する。本実施形態において取付部61fには、インバータケース8bを介して、インバータ8aが取り付けられる。なお、本実施形態において、駆動装置1は、インバータユニット8を含まない。
図1に示すように、ハウジング6は、内部に冷媒としてのオイルOを収容する。本実施形態では、モータ収容部61の内部およびギヤ収容部62の内部に、オイルOが収容される。ギヤ収容部62の内部における下部領域には、オイルOが溜るオイル溜りPが設けられる。オイル溜りPのオイルOは、後述する油路90によってモータ収容部61の内部に送られる。モータ収容部61の内部に送られたオイルOは、モータ収容部61の内部における下部領域に溜まる。モータ収容部61の内部に溜まったオイルOの少なくとも一部は、隔壁開口68を介してギヤ収容部62に移動し、オイル溜りPに戻る。
なお、本明細書において「ある部分の内部にオイルが収容される」とは、モータが駆動している最中の少なくとも一部において、ある部分の内部にオイルが位置していればよく、モータが停止している際には、ある部分の内部にオイルが位置していなくてもよい。例えば、本実施形態においてモータ収容部61の内部にオイルOが収容されるとは、モータ2が駆動している最中の少なくとも一部において、モータ収容部61の内部にオイルOが位置していればよく、モータ2が停止している際においては、モータ収容部61の内部のオイルOがすべて隔壁開口68を通ってギヤ収容部62に移動してしまっていてもよい。なお、後述する油路90によってモータ収容部61の内部へと送られたオイルOの一部は、モータ2が停止した状態において、モータ収容部61の内部に残っていてもよい。
オイルOは、後述する油路90内を循環する。オイルOは、減速装置4および差動装置5の潤滑用として使用される。また、オイルOは、モータ2の冷却用として使用される。オイルOとしては、潤滑油および冷却油の機能を奏するために、比較的粘度の低いオートマチックトランスミッション用潤滑油(ATF:Automatic Transmission Fluid)と同等のオイルを用いることが好ましい。
本実施形態においてモータ2は、インナーロータ型のモータである。モータ2は、ロータ20と、ステータ30と、ベアリング26,27と、を備える。ロータ20は、鉛直方向と交差する方向に延びるモータ軸J1を中心として回転可能である。ロータ20は、シャフト21と、ロータ本体24と、を有する。図示は省略するが、ロータ本体24は、ロータコアと、ロータコアに固定されるロータマグネットと、を有する。ロータ20のトルクは、伝達装置3に伝達される。
シャフト21は、モータ軸J1を中心として軸方向に沿って延びる。シャフト21は、モータ軸J1を中心として回転する。シャフト21は、内部に中空部22が設けられた中空シャフトである。シャフト21には、連通孔23が設けられる。連通孔23は、径方向に延びて中空部22とシャフト21の外部とを繋ぐ。
シャフト21は、ハウジング6のモータ収容部61とギヤ収容部62とに跨って延びる。シャフト21の左側の端部は、ギヤ収容部62の内部に突出する。シャフト21の左側の端部には、伝達装置3の後述する第1のギヤ41が固定される。シャフト21は、ベアリング26,27により回転可能に支持される。
ステータ30は、ロータ20と径方向に隙間を介して対向する。より詳細には、ステータ30は、ロータ20の径方向外側に位置する。ステータ30は、ステータコア32と、コイルアセンブリ33と、を有する。ステータコア32は、モータ収容部61の内周面に固定される。図2および図3に示すように、ステータコア32は、ステータコア本体32aと、固定部32bと、を有する。図2に示すように、ステータコア本体32aは、軸方向に延びる円筒状のコアバック32dと、コアバック32dから径方向内側に延びる複数のティース32eと、を有する。複数のティース32eは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。
固定部32bは、ステータコア本体32aの外周面から径方向外側に突出する。固定部32bは、ハウジング6に固定される部分である。固定部32bは、周方向に沿って間隔を空けて複数設けられる。固定部32bは、例えば、4つ設けられる。4つの固定部32bは、周方向の一周に亘って等間隔に配置される。
固定部32bのうちの1つは、ステータコア本体32aから上側に突出する。固定部32bのうちの他の1つは、ステータコア本体32aから下側に突出する。固定部32bのうちのさらに他の1つは、ステータコア本体32aから前側(+X側)に突出する。固定部32bのうちの残りの1つは、ステータコア本体32aから後側(−X側)に突出する。
本実施形態においてステータコア本体32aから上側に突出する固定部32bは、モータ軸J1よりも上側に位置する上側固定部32fである。本実施形態においてステータコア本体32aから前側に突出する固定部32bは、前側固定部32gである。前側固定部32gは、例えば、モータ軸J1よりも下側に位置する。
図3に示すように、固定部32bは、軸方向に延びる。固定部32bは、例えば、ステータコア本体32aの左側(+Y側)の端部からステータコア本体32aの右側(−Y側)の端部まで延びる。固定部32bは、固定部32bを軸方向に貫通する貫通孔32cを有する。図2に示すように、貫通孔32cには、軸方向に延びるボルト35が通される。ボルト35は、右側(−Y側)から貫通孔32cに通され、図4に示す雌ネジ穴35aに締め込まれる。雌ネジ穴35aは、隔壁61cに設けられる。ボルト35が雌ネジ穴35aに締め込まれることで、固定部32bは、隔壁61cに固定される。このようにしてステータ30は、ボルト35によってハウジング6に固定される。
図1に示すように、コイルアセンブリ33は、ステータコア32に取り付けられる。コイルアセンブリ33は、周方向に沿ってステータコア32に取り付けられる複数のコイル31を有する。複数のコイル31は、図示しないインシュレータを介してステータコア32の各ティースにそれぞれ装着される。複数のコイル31は、周方向に沿って配置される。より詳細には、複数のコイル31は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。図示は省略するが、本実施形態において複数のコイル31は、スター結線されて複数相の交流回路を構成する。複数のコイル31は、例えば、3相の交流回路を構成する。
コイルアセンブリ33は、ステータコア32から軸方向に突出するコイルエンド33a,33bを有する。コイルエンド33aは、ステータコア32から右側(−Y側)に突出する部分である。コイルエンド33bは、ステータコア32から左側(+Y側)に突出する部分である。コイルエンド33aは、コイルアセンブリ33に含まれる各コイル31のうちステータコア32よりも右側に突出する部分によって構成される。コイルエンド33bは、コイルアセンブリ33に含まれる各コイル31のうちステータコア32よりも左側に突出する部分によって構成される。図3に示すように、本実施形態においてコイルエンド33a,33bは、モータ軸J1を中心とする円環状である。
図5に示すように、コイルアセンブリ33は、コイル引出線36U,36V,36W,37U,37V,37Wと、結束部材38と、を有する。コイル引出線36U,36V,36W,37U,37V,37Wは、コイル31から引き出される。本実施形態においてコイル引出線36U,36V,36W,37U,37V,37Wは、コイル31を構成する導線の一部である。コイル引出線36U,36V,36W,37U,37V,37Wは、それぞれ絶縁チューブ39によって被覆され、コイルエンド33b上を這い回される。
コイル引出線36U,36V,36Wは、駆動装置1に取り付けられるインバータユニット8のインバータ8aに、図示しないバスバーを介して電気的に接続される。コイル引出線36Uとコイル引出線36Vとコイル引出線36Wとには、インバータ8aからそれぞれ位相が異なる交流電流が流される。コイル引出線36Uの先端部は、端子部34Uである。コイル引出線36Vの先端部は、端子部34Vである。コイル引出線36Wの先端部は、端子部34Wである。
端子部34U,34V,34Wは、コイルエンド33bから径方向外側に突出する。本実施形態において端子部34U,34V,34Wは、コイルエンド33bから後側(−X側)斜め上方に突出する。端子部34U,34V,34Wは、前後方向においてモータ軸J1よりも後側(−X側)に位置する。端子部34U,34V,34Wは、モータ軸J1よりも上側に位置する。端子部34Uと端子部34Vと端子部34Wとは、周方向に沿って間隔を空けて並んで配置される。端子部34Uと端子部34Vと端子部34Wとは、図示しないバスバーを介して、インバータ8aと電気的に接続される。図示は省略するが、端子部34U,34V,34Wの先端部には、それぞれ圧着端子が設けられる。端子部34U,34V,34Wは、圧着端子を介して図示しないバスバーに電気的に接続される。
コイル引出線37U,37V,37Wは、中性点部材37を介して先端部が互いに接続されるコイル引出線である。中性点部材37は、コイル引出線37Uの先端部とコイル引出線37Vの先端部とコイル引出線37Wの先端部とを、中性点として電気的に接続する。コイル引出線37U,37V,37Wは、コイルエンド33bのうちモータ軸J1よりも後側(−X側)に位置する部分の左側(+Y側)において、周方向に沿って這い回される。コイル引出線37U,37V,37Wの先端部および中性点部材37は、モータ軸J1よりも上側に位置する。なお、コイル引出線37U,37V,37Wおよび中性点部材37は、複数組設けられてもよい。
結束部材38は、絶縁チューブ39で被覆されたコイル引出線36U,36V,36W,37U,37V,37Wとコイルエンド33bとをまとめて結束する環状の部材である。結束部材38は、複数設けられる。図5では、コイル引出線37U,37V,37Wとコイルエンド33bとを結束する2つの結束部材38を示す。結束部材38は、例えば、紐であってもよいし、プラスチック製のバンドであってもよい。
図1に示すように、ベアリング26,27は、ロータ20を回転可能に支持する。ベアリング26,27は、例えば、ボールベアリングである。ベアリング26は、ロータ20のうちステータコア32よりも右側に位置する部分を回転可能に支持するベアリングである。本実施形態においてベアリング26は、シャフト21のうちロータ本体24が固定される部分よりも右側に位置する部分を支持する。ベアリング26は、モータ収容部61のうちロータ20およびステータ30の右側を覆う壁部61bに保持される。
ベアリング27は、ロータ20のうちステータコア32よりも左側に位置する部分を回転可能に支持するベアリングである。本実施形態においてベアリング27は、シャフト21のうちロータ本体24が固定される部分よりも左側に位置する部分を支持する。ベアリング27は、隔壁61cに保持される。
伝達装置3は、ハウジング6のギヤ収容部62に収容される。伝達装置3は、モータ2に接続される。より詳細には、伝達装置3は、シャフト21の左側の端部に接続される。伝達装置3は、減速装置4と、差動装置5と、を有する。モータ2から出力されるトルクは、減速装置4を介して差動装置5に伝達される。
減速装置4は、モータ2に接続される。減速装置4は、モータ2の回転速度を減じて、モータ2から出力されるトルクを減速比に応じて増大させる。減速装置4は、モータ2から出力されるトルクを差動装置5へ伝達する。減速装置4は、第1のギヤ41と、第2のギヤ42と、第3のギヤ43と、中間シャフト45と、を有する。
第1のギヤ41は、シャフト21の左側の端部における外周面に固定される。第1のギヤ41は、シャフト21とともに、モータ軸J1を中心に回転する。中間シャフト45は、モータ軸J1と平行な中間軸J2に沿って延びる。中間シャフト45は、中間軸J2を中心として回転する。第2のギヤ42および第3のギヤ43は、中間シャフト45の外周面に固定される。第2のギヤ42と第3のギヤ43は、中間シャフト45を介して接続される。第2のギヤ42および第3のギヤ43は、中間軸J2を中心として回転する。第2のギヤ42は、第1のギヤ41に噛み合う。第3のギヤ43は、差動装置5の後述するリングギヤ51と噛み合う。
モータ2から出力されるトルクは、シャフト21、第1のギヤ41、第2のギヤ42、中間シャフト45、および第3のギヤ43をこの順に介して差動装置5のリングギヤ51へ伝達される。各ギヤのギヤ比およびギヤの個数等は、必要とされる減速比に応じて種々変更可能である。本実施形態において減速装置4は、各ギヤの軸芯が平行に配置される平行軸歯車タイプの減速機である。
差動装置5は、減速装置4を介しモータ2に接続される。差動装置5は、モータ2から出力されるトルクを車両の車輪に伝達するための装置である。差動装置5は、車両の旋回時に、左右の車輪の速度差を吸収しつつ、左右両輪の車軸55に同トルクを伝える。このように、本実施形態において伝達装置3は、減速装置4および差動装置5を介して、車両の車軸55にモータ2のトルクを伝達する。差動装置5は、リングギヤ51と、図示しないギヤハウジングと、図示しない一対のピニオンギヤと、図示しないピニオンシャフトと、図示しない一対のサイドギヤと、を有する。リングギヤ51は、モータ軸J1と平行な差動軸J3を中心として回転する。リングギヤ51には、モータ2から出力されるトルクが減速装置4を介して伝えられる。
モータ2には、ハウジング6の内部においてオイルOが循環する油路90が設けられる。油路90は、オイル溜りPからオイルOをモータ2に供給し、再びオイル溜りPに導くオイルOの経路である。油路90は、モータ収容部61の内部とギヤ収容部62の内部とに跨って設けられる。
なお、本明細書において「油路」とは、オイルの経路を意味する。したがって、「油路」とは、定常的に一方向に向かうオイルの流動を作る「流路」のみならず、オイルを一時的に滞留させる経路およびオイルが滴り落ちる経路をも含む概念である。オイルを一時的に滞留させる経路とは、例えば、オイルを貯留するリザーバ等を含む。
油路90は、第1の油路91と、第2の油路92と、を有する。第1の油路91および第2の油路92は、それぞれハウジング6の内部でオイルOを循環させる。第1の油路91は、かき上げ経路91aと、シャフト供給経路91bと、シャフト内経路91cと、ロータ内経路91dと、を有する。また、第1の油路91の経路中には、第1のリザーバ93が設けられる。第1のリザーバ93は、ギヤ収容部62内に設けられる。
かき上げ経路91aは、差動装置5のリングギヤ51の回転によってオイル溜りPからオイルOをかき上げて、第1のリザーバ93でオイルOを受ける経路である。第1のリザーバ93は、上側に開口する。第1のリザーバ93は、リングギヤ51がかき上げたオイルOを受ける。また、モータ2の駆動直後などオイル溜りPの液面Sが高い場合等には、第1のリザーバ93は、リングギヤ51に加えて第2のギヤ42および第3のギヤ43によってかき上げられたオイルOも受ける。
シャフト供給経路91bは、第1のリザーバ93からシャフト21の中空部22にオイルOを誘導する。シャフト内経路91cは、シャフト21の中空部22内をオイルOが通過する経路である。ロータ内経路91dは、オイルOが、シャフト21の連通孔23からロータ本体24の内部を通過して、ステータ30に飛散する経路である。
シャフト内経路91cにおいて、ロータ20の内部のオイルOには、ロータ20の回転に伴い遠心力が付与される。これにより、オイルOは、ロータ20から径方向外側に連続的に飛散する。また、オイルOの飛散に伴い、ロータ20内部の経路が負圧となり、第1のリザーバ93に溜るオイルOが、ロータ20の内部に吸引され、ロータ20内部の経路にオイルOが満たされる。
ステータ30に到達したオイルOは、ステータ30から熱を奪う。ステータ30を冷却したオイルOは、下側に滴下され、モータ収容部61内の下部領域に溜る。モータ収容部61内の下部領域に溜ったオイルOは、隔壁61cに設けられた隔壁開口68を介してギヤ収容部62に移動する。以上のようにして、第1の油路91は、オイルOをロータ20およびステータ30に供給する。
第2の油路92においてオイルOは、オイル溜りPから引き上げられてステータ30に供給される。第2の油路92には、オイルポンプ96と、クーラー97と、冷媒噴射部10と、が設けられる。第2の油路92は、第1の流路92aと、第2の流路92bと、第3の流路92cと、第4の流路94と、を有する。
第1の流路92a、第2の流路92b、および第3の流路92cは、ハウジング6の壁部に設けられる。第1の流路92aは、オイル溜りPとオイルポンプ96とを繋ぐ。第2の流路92bは、オイルポンプ96とクーラー97とを繋ぐ。第3の流路92cは、クーラー97と第4の流路94とを繋ぐ。第3の流路92cは、例えば、モータ収容部61の壁部のうち前側(+X側)の壁部に設けられる。
第4の流路94は、隔壁61cに設けられる。第4の流路94は、冷媒噴射部10のうち後述する第1冷媒噴射部11と第2冷媒噴射部12とを繋ぐ。図4に示すように、第4の流路94は、流入部94aと、第1分岐部94cと、第2分岐部94fと、を有する。流入部94aは、第4の流路94のうち第3の流路92cからオイルOが流入する部分である。流入部94aは、第3の流路92cから後側(−X側)に延びる。流入部94aは、シャフト21の前側(+X側)に位置し、径方向のうち前後方向に直線状に延びる。流入部94aの内径は、前側の端部において大きくなっている。本実施形態において流入部94aの前側の端部は、流入部94aの径方向外側の端部である。
流入部94aの前側(+X側)の端部は、固定部32bよりも径方向外側に位置する。流入部94aの後側(−X側)の端部は、固定部32bよりも径方向内側に位置する。すなわち、本実施形態において流入部94aは、固定部32bよりも径方向外側から固定部32bよりも径方向内側まで前後方向に延びる。流入部94aは、前側固定部32gよりも上側に位置する。
流入部94aの後側(−X側)の端部は、第1分岐部94cと第2分岐部94fとがそれぞれ繋がる接続部94bである。流入部94aの内径は、接続部94bにおいて大きくなっている。接続部94bは、固定部32bよりも径方向内側に位置する。
流入部94aのうち接続部94bを除く部分は、例えば、ハウジング6の前側(+X側)からドリルで穴加工を施されて作られる。流入部94aの前側の端部は、ボルト95aが締め込まれることで塞がれる。流入部94aの接続部94bは、例えば、隔壁61cの左側(+Y側)からドリルで穴加工を施されて作られる。図示は省略するが、接続部94bの左側の端部は、ボルトが締め込まれることで塞がれる。
第1分岐部94cは、流入部94aから分岐して後述する第1冷媒噴射部11まで延びる部分である。第1分岐部94cは、流入部94aの後側(−X側)の端部、すなわち接続部94bから上側斜め後方に延びる。第1分岐部94cは、隔壁61cのうち、上側固定部32fよりも下側で、かつ、シャフト21の上側に位置する部分を通って、隔壁61cの上側の端部まで延びる。第1分岐部94cの上側の端部における径方向位置は、固定部32bの径方向位置とほぼ同じである。第1分岐部94cの上側の端部は、上側固定部32fよりも後側に位置する。
第1分岐部94cは、接続部94bから上側斜め後方に直線状に延びる延伸部94dと、延伸部94dの上側の端部に繋がる接続部94eと、を有する。接続部94eは、第1分岐部94cの上側の端部であり、後述する第1冷媒噴射部11が繋がる部分である。接続部94eの内径は、延伸部94dの内径よりも大きい。接続部94eは、例えば、ハウジング6の上側からドリルで穴加工が施されることで作られる。接続部94eの上側の端部は、ボルト95bが締め込まれることで塞がれる。延伸部94dは、例えば、ハウジング6の上側から接続部94eの内部を介して、ドリルで下側斜め前方に穴加工が施されることで作られる。
第2分岐部94fは、流入部94aから分岐して後述する第2冷媒噴射部12まで延びる部分である。本実施形態において第2分岐部94fは、接続部94bから前側斜め上方に延びる。第2分岐部94fは、前後方向に対して右側(−Y側)に傾いて直線状に延びる。第2分岐部94fの前側(+X側)の端部における径方向位置は、固定部32bの径方向位置とほぼ同じである。第2分岐部94fの前側(+X側)の端部は、前側固定部32gよりも上側に位置する。第2分岐部94fの前側の端部と前側固定部32gとは、前後方向においてほぼ同じ位置に配置される。第2分岐部94fは、例えば、隔壁61cの左側(+Y側)から、接続部94bの内部を介してドリルで穴加工が施されることで作られる。
第4の流路94において、流入部94aの後側部分、延伸部94dのうち上側の端部を除く部分、および第2分岐部94fの後側部分は、隔壁61cのうち固定部32bよりも径方向内側に位置する部分に設けられる。すなわち、本実施形態において第4の流路94は、固定部32bよりも径方向内側を通る部分を有する。
図1に示すように、本実施形態において冷媒噴射部10は、軸方向に延びるパイプである。冷媒噴射部10の左側の端部は、隔壁61cに固定される。図3に示すように、複数の冷媒噴射部10は、第1冷媒噴射部11と、第2冷媒噴射部12と、を含む。これにより、駆動装置1は、第1冷媒噴射部11と、第2冷媒噴射部12と、を備える。
本実施形態において第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12は、軸方向に直線状に延びる円筒状のパイプである。第1冷媒噴射部11と第2冷媒噴射部12とは、例えば、互いに平行である。図2に示すように、第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12は、ハウジング6の内部に収容される。第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12は、ステータ30の径方向外側に位置する。第1冷媒噴射部11と第2冷媒噴射部12とは、互いに周方向に間隔を空けて配置される。第1冷媒噴射部11の径方向位置と第2冷媒噴射部12の径方向位置とは、例えば、同じである。
なお、本明細書において「第1冷媒噴射部および第2冷媒噴射部がモータ軸の軸方向に直線状に延びる」とは、第1冷媒噴射部および第2冷媒噴射部が厳密に軸方向に直線状に延びる場合に加えて、第1冷媒噴射部および第2冷媒噴射部が略軸方向に直線状に延びる場合も含む。すなわち、本実施形態において「第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12が軸方向に直線状に延びる」とは、例えば、第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12が軸方向に対して僅かに傾いて延びていてもよい。この場合、第1冷媒噴射部11が軸方向に対して傾く向きと第2冷媒噴射部12が軸方向に対して傾く向きとは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第1冷媒噴射部11は、モータ軸J1よりも上側に位置する。本実施形態において第1冷媒噴射部11は、ステータ30の上側に位置する。より詳細には、本実施形態において第1冷媒噴射部11は、コイルエンド33a,33bの上側の端部よりも上側に位置する。第1冷媒噴射部11の径方向位置は、例えば、固定部32bの径方向位置と同じである。第1冷媒噴射部11は、例えば、上側固定部32fの後側(−X側)に位置する。
なお、本明細書において「或る対象が他の対象の所定方向一方側に位置する」とは、駆動装置が水平面に配置された状態で、或る対象と他の対象とを所定方向一方側から見た際に、或る対象と他の対象とが互いに重なり、かつ、或る対象が他の対象よりも手前側に位置することを含む。例えば、本実施形態のように第1冷媒噴射部11がステータ30の上側に位置する場合には、駆動装置1が水平面に配置された状態で、第1冷媒噴射部11とステータ30とを上側から見た際、第1冷媒噴射部11とステータ30とは、互いに重なり、かつ、第1冷媒噴射部11は、ステータ30よりも手前側に位置する。なお、本明細書において「駆動装置が水平面に配置された状態」とは、駆動装置が搭載された車両が水平な路面上に配置されることを含む。
また、本明細書において「或るパラメータ同士が互いに同じである」とは、或るパラメータ同士が厳密に互いに同じである場合に加えて、或るパラメータ同士が互いに略同じである場合も含む。「或るパラメータ同士が互いに略同じである」とは、例えば、公差の範囲内で、或るパラメータ同士が僅かにずれていることを含む。
図6に示すように、第1冷媒噴射部11は、第1パイプ本体部11aと、第1パイプ本体部11aの左側(+Y側)の端部に設けられた小径部11bと、第1パイプ本体部11aの右側(−Y側)の端部に設けられた小径部11cと、を有する。
小径部11bは、第1冷媒噴射部11の左側(+Y側)の端部である。小径部11cは、第1冷媒噴射部11の右側(−Y側)の端部である。小径部11b,11cの外径は、第1パイプ本体部11aの外径よりも小さい。第1冷媒噴射部11は、小径部11bが隔壁61cに右側から挿し込まれて、隔壁61cに固定される。小径部11bは、左側に開口する。図4に示すように、小径部11bは、第1分岐部94cの接続部94eに開口する。これにより、第1冷媒噴射部11は、第4の流路94と繋がる。
図6に示すように、第1冷媒噴射部11の右側(−Y側)の端部には、取付部材16が設けられる。取付部材16は、板面が軸方向を向く長方形板状である。取付部材16は、左側(+Y側)の面から右側に窪む凹部16aを有する。凹部16aには、第1冷媒噴射部11の右側の端部、すなわち小径部11cが嵌め合わされて固定される。第1冷媒噴射部11の右側の端部は、取付部材16によって塞がれる。
取付部材16は、取付部材16を軸方向に貫通する孔部16bを有する。図3に示すように、孔部16bには、右側(−Y側)からボルト18が通される。ボルト18は、孔部16bを貫通して、図2に示す突出部61dに右側から締め込まれる。突出部61dは、モータ収容部61の内周面において径方向内側に突出する。ボルト18が突出部61dに締め込まれることで、取付部材16は、突出部61dに固定される。これにより、第1冷媒噴射部11の右側の端部は、取付部材16を介してモータ収容部61に固定される。
図6に示すように、第1冷媒噴射部11は、複数の第1噴射口13と、複数の第2噴射口14と、を有する。第1噴射口13および第2噴射口14からは、第1冷媒噴射部11内に流入したオイルOがステータ30に向けて噴射される。これにより、第1冷媒噴射部11は、ステータ30に冷媒としてのオイルOを噴射する。第1噴射口13および第2噴射口14は、第1冷媒噴射部11の外周面に設けられる。本実施形態において第1噴射口13および第2噴射口14は、第1冷媒噴射部11の壁部を内周面から外周面まで貫通する孔の開口部のうち、第1冷媒噴射部11の外周面に開口する開口部である。第1噴射口13および第2噴射口14は、例えば、円形状である。図3および図6に示すように、第1噴射口13および第2噴射口14は、下側を向く。
本実施形態において第1噴射口13は、第1冷媒噴射部11の軸方向の中央部分に設けられる。本実施形態において第1噴射口13は、第1パイプ本体部11aの軸方向の中央部分に、軸方向に間隔を空けて2つ設けられる。図2に示すように、本実施形態において第1噴射口13は、下側斜め前方に開口する。図2および図3に示すように、第1噴射口13は、ステータコア32の上側に位置する。そのため、第1噴射口13から噴射されたオイルOは、ステータコア32に上側から供給される。すなわち、本実施形態において第1噴射口13は、ステータコア32に向けて冷媒としてのオイルOを噴射する噴射口である。
図3および図6に示すように、本実施形態において第2噴射口14は、第1パイプ本体部11aの軸方向の両端部に複数ずつ設けられる。第2噴射口14は、例えば、第1パイプ本体部11aの軸方向の両端部に4つずつ設けられる。第1パイプ本体部11aの左側(+Y側)の端部に設けられた4つの第2噴射口14は、周方向に沿ってジグザグに配置される。図7に示すように、第1パイプ本体部11aの左側の端部に設けられた4つの第2噴射口14は、真下に開口する1つの第2噴射口14と、下側斜め前方に開口する2つの第2噴射口14と、下側斜め後方に開口する1つの第2噴射口14と、を含む。
下側斜め前方に開口する2つの第2噴射口14のうち、鉛直方向に対する傾きが大きい方の第2噴射口14が開口する向きは、第1噴射口13が開口する向きと同じ向きに開口する。下側斜め前方に開口する2つの第2噴射口14のうち、鉛直方向に対する傾きが大きい方の第2噴射口14は、下側斜め前方に開口する2つの第2噴射口14のうち前側(+X側)に位置する方の第2噴射口14である。
図3および図6に示すように、第1パイプ本体部11aの右側(−Y側)の端部に設けられた4つの第2噴射口14は、軸方向の位置を除いて、第1パイプ本体部11aの左側(+Y側)の端部に設けられた4つの第2噴射口14と同様に配置される。
図3に示すように、複数の第2噴射口14のうち右側(−Y側)に設けられる4つの第2噴射口14は、コイルエンド33aの上側に位置する。複数の第2噴射口14のうち左側(+Y側)に設けられる4つの第2噴射口14は、コイルエンド33bの上側に位置する。そのため、第2噴射口14から噴射されたオイルOは、コイルエンド33a,33bに上側から供給される。すなわち、第2噴射口14は、コイルエンド33a,33bに向けて冷媒としてのオイルOを噴射する噴射口である。このように、本実施形態において第1冷媒噴射部11は、複数の第2噴射口14から、コイルエンド33a,33bに向けて冷媒としてのオイルOを噴射する。
なお、本明細書において「噴射口が鉛直方向下側を向く」とは、噴射口の向きが、下方向成分を含んでいればよく、噴射口が真下を向いていてもよいし、噴射口が真下に対して傾いた向きを向いていてもよい。上述したように、本実施形態において第2噴射口14は、真下を向く第2噴射口14と、真下に対して前方に斜めに傾いた向きを向く第2噴射口14と、真下に対して後方に斜めに傾いた向きを向く第2噴射口14と、を含む。また、本実施形態において第1噴射口13は、真下に対して前方に斜めに傾いた向きを向く。本実施形態において「第1噴射口13が下側を向く」とは、第1噴射口13が、例えば、真下を向いていてもよいし、真下に対して後方に斜めに傾いた向きを向いていてもよい。
第2冷媒噴射部12は、モータ軸J1の軸方向および鉛直方向の両方と直交する前後方向においてステータ30の前側(+X側)に位置する。より詳細には、第2冷媒噴射部12は、ステータコア32の前側に位置する。本実施形態において第2冷媒噴射部12の少なくとも一部は、前後方向に見て、シャフト21と重なる。本実施形態では、第2冷媒噴射部12の全体が、前後方向に見て、シャフト21と重なる。第2冷媒噴射部12は、例えば、モータ軸J1よりも上側に位置する。第2冷媒噴射部12の径方向位置は、例えば、固定部32bの径方向位置と同じである。第2冷媒噴射部12は、第1冷媒噴射部11よりも下側に位置する。第2冷媒噴射部12は、例えば、前側固定部32gの上側に位置する。第1冷媒噴射部11と第2冷媒噴射部12との周方向の間には、上側固定部32fが位置する。すなわち、第1冷媒噴射部11と第2冷媒噴射部12とは、周方向に上側固定部32fを挟んで配置される。
図3に示すように、第2冷媒噴射部12は、第2パイプ本体部12aと、第2パイプ本体部12aの左側(+Y側)の端部に設けられた小径部12bと、を有する。また、図示は省略するが、第2冷媒噴射部12は、第1冷媒噴射部11と同様に、第2パイプ本体部12aの右側(−Y側)の端部に設けられた小径部を有する。
小径部12bは、第2冷媒噴射部12の左側(+Y側)の端部である。小径部12bの外径は、第2パイプ本体部12aの外径よりも小さい。第2冷媒噴射部12は、小径部12bが隔壁61cに右側(−Y側)から挿し込まれて、隔壁61cに固定される。小径部12bは、左側に開口する。図4に示すように、小径部12bは、第2分岐部94fの前側(+X側)の端部に開口する。これにより、第2冷媒噴射部12は、第4の流路94と繋がる。したがって、第1冷媒噴射部11と第2冷媒噴射部12とは、第4の流路94を介して互いに繋がる。より詳細には、第1冷媒噴射部11と第2冷媒噴射部12とは、第1分岐部94c、接続部94b、および第2分岐部94fを介して互いに繋がる。
図3に示すように、第2冷媒噴射部12の右側(−Y側)の端部には、取付部材17が設けられる。取付部材17は、板面が軸方向を向く長方形板状である。第2冷媒噴射部12の右側の端部は、第1冷媒噴射部11と同様にして、取付部材17に固定される。第2冷媒噴射部12の右側の端部は、取付部材17によって塞がれる。図示は省略するが、取付部材17は、取付部材16と同様に、図2に示す突出部61eにボルトで固定される。これにより、第2冷媒噴射部12の右側の端部は、取付部材17を介してモータ収容部61に固定される。突出部61eは、モータ収容部61の内周面において径方向内側に突出する。
図3に示すように、第2冷媒噴射部12は、複数の第1噴射口15を有する。第1噴射口15からは、第2冷媒噴射部12内に流入したオイルOがステータ30に向けて噴射される。これにより、第2冷媒噴射部12は、ステータ30に冷媒としてのオイルOを噴射する。第1噴射口15は、第2冷媒噴射部12の外周面に設けられる。より詳細には、第1噴射口15は、第2パイプ本体部12aの外周面に設けられる。複数の第1噴射口15は、軸方向に沿って間隔を空けて配置される。第2冷媒噴射部12に設けられた第1噴射口15の数は、第1冷媒噴射部11に設けられた第1噴射口13の数よりも多い。第1噴射口15は、例えば、6つ設けられる。第1噴射口15は、第2冷媒噴射部12の壁部を内周面から外周面まで貫通する孔の開口部のうち、第2冷媒噴射部12の外周面に開口する開口部である。第1噴射口15は、例えば、円形状である。
図2に示すように、第1噴射口15は、上側を向く。本実施形態において第1噴射口15は、上側斜め後方を向く。第1噴射口15は、ステータコア32の前側(+X側)に位置する。図7に示すように、第1噴射口15から噴射されたオイルOは、上側斜め後方に噴射されて、ステータコア本体32aの外周面に供給される。すなわち、本実施形態において第1噴射口15は、ステータコア32に向けて冷媒としてのオイルOを噴射する噴射口である。
なお、本明細書において「噴射口が上側を向く」とは、噴射口の向きが、上方向成分を含んでいればよく、噴射口が真上を向いていてもよいし、噴射口が真上に対して傾いた向きを向いていてもよい。上述したように本実施形態の第1噴射口15は、真上に対して後方に斜めに傾いた向きを向く。本実施形態において第1噴射口15が上側を向く」とは、第1噴射口15が、例えば、真上を向いていてもよいし、真上に対して前方に斜めに傾いた向きを向いていてもよい。
軸方向に見て、第1噴射口15が開口する向きDIは、第1噴射口15を通りステータコア32の外周面と接する接線TLが、第1噴射口15からステータコア32の外周面に向かって延びる向きよりも上側向きである。そのため、第1噴射口15から噴射されるオイルOを、ステータコア32のうち、接線TLとステータコア32の外周面との接点TPよりも上側に位置する部分まで到達させやすい。これにより、ステータコア32の上側部分にオイルOを好適に供給しやすくでき、ステータ30を冷却しやすい。したがって、ステータ30の冷却効率を向上できる。
本実施形態において接線TLは、例えば、円形の第1噴射口15の中心CPを通り、ステータコア本体32aの外周面と接する接線である。第1噴射口15が開口する向きDIは、第1噴射口15を開口部として有する孔が第2冷媒噴射部12の内周面から外周面までを貫通する向きである。接線TLが第1噴射口15からステータコア32の外周面に向かって延びる向きに対する、第1噴射口15が開口する向きDIのなす角度θは、例えば、5°以上、15°以下程度である。角度θは、軸方向に見て、中心CPを通り第1噴射口15が開口する向きDIと平行に延びる仮想線IL1と接線TLとがなす角度のうち小さい方の角度である。
なお、本明細書において「噴射口が開口する向き」とは、噴射口の中心を通り、噴射口の中心に対して垂直な法線に沿った向きを含む。例えば、図7において仮想線IL1として示す二点鎖線は、第1噴射口15の中心CPを通り、第1噴射口15の中心CPに対して垂直な法線である。
上述したように第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12には、ステータコア32にオイルOを供給する第1噴射口13,15が設けられる。一方、コイルエンド33a,33bにオイルOを供給する第2噴射口14は、第1冷媒噴射部11に設けられているが、第2冷媒噴射部12には設けられていない。すなわち、第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12において、第1冷媒噴射部11のみに、コイルエンド33a,33bにオイルOを供給する第2噴射口14が設けられる。本実施形態において第2冷媒噴射部12は、ステータコア32のみに向けて冷媒としてのオイルOを噴射する。
本実施形態において第1噴射口13、第2噴射口14、および第1噴射口15は、共に同じ形状であり、かつ、同じ大きさである。すなわち、第1噴射口13の開口面積と第2噴射口14の開口面積と第1噴射口15の開口面積とは、例えば、互いに同じである。また、上述したように、第1噴射口13の数は、合計2つである。第2噴射口14の数は、合計8つである。第1噴射口15の数は、合計6つである。そのため、第1冷媒噴射部11に設けられた第1噴射口13の総開口面積は、第2冷媒噴射部12に設けられた第1噴射口15の総開口面積よりも小さい。また、第1冷媒噴射部11に設けられた第2噴射口14の総開口面積は、第1冷媒噴射部11に設けられた第1噴射口13の総開口面積、および第2冷媒噴射部12に設けられた第1噴射口15の総開口面積よりも大きい。
なお、本明細書において「或る噴射口の総開口面積」とは、或る噴射口が複数設けられる場合には、複数の或る噴射口の各開口面積を全て足し合わせた面積であり、或る噴射口が1つのみ設けられる場合には、或る噴射口の開口面積である。すなわち、例えば、本実施形態において第1噴射口13の総開口面積とは、2つの第1噴射口13の各開口面積を足し合わせた面積である。
図1に示すオイルポンプ96は、冷媒としてのオイルOを送るポンプである。本実施形態においてオイルポンプ96は、電気により駆動する電動ポンプである。オイルポンプ96は、第1の流路92aを介してオイル溜りPからオイルOを吸い上げて、第2の流路92b、クーラー97、第3の流路92c、第4の流路94、および冷媒噴射部10を介して、オイルOをモータ2に供給する。すなわち、オイルポンプ96は、ハウジング6の内部に収容されたオイルOを、第4の流路94、第1冷媒噴射部11、および第2冷媒噴射部12に送る。そのため、第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12に容易にオイルOを送ることができる。
オイルポンプ96によって第3の流路92cまで送られたオイルOは、流入部94aから第4の流路94に流入する。図4に示すように、流入部94aに流入したオイルOは、後側(−X側)に流れて、第1分岐部94cと第2分岐部94fとのそれぞれに分岐して流入する。第1分岐部94cに流入したオイルOは、第1冷媒噴射部11の左側(+Y側)の端部から第1冷媒噴射部11に流入する。第2分岐部94fに流入したオイルOは、第2冷媒噴射部12の左側の端部から第2冷媒噴射部12に流入する。このように本実施形態の第4の流路94は、第1冷媒噴射部11と第2冷媒噴射部12とを繋ぎ、分岐して第1冷媒噴射部11と第2冷媒噴射部12とにオイルOを供給する接続流路に相当する。すなわち、駆動装置1は、接続流路として第4の流路94を備える。
第1冷媒噴射部11に流入したオイルOは、第1冷媒噴射部11内を右側(−Y側)に流れ、第2噴射口14および第1噴射口13からステータ30に供給される。第2冷媒噴射部12に流入したオイルOは、第2冷媒噴射部12内を右側に流れ、第1噴射口15からステータ30に供給される。
このようにして、第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12からステータ30にオイルOを供給でき、ステータ30を冷却できる。また、流入部94aに流入したオイルOを第1分岐部94cと第2分岐部94fとに分岐させて第1冷媒噴射部11と第2冷媒噴射部12とにそれぞれ供給できる。そのため、第1冷媒噴射部11と第2冷媒噴射部12との一方の冷媒噴射部10から他方の冷媒噴射部10へとオイルOが流れる場合に比べて、第1冷媒噴射部11に供給されるオイルOの量と第2冷媒噴射部12に供給されるオイルOの量とに偏りが生じることを抑制しやすい。また、各冷媒噴射部10にオイルOが供給されるまでの経路を共に短くしやすいため、ステータ30に供給されるオイルOの温度を比較的低いままに維持しやすい。したがって、ステータ30を好適に冷却しやすい。
第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12からステータ30に供給されたオイルOは、下側に滴下され、モータ収容部61内の下部領域に溜る。モータ収容部61内の下部領域に溜ったオイルOは、隔壁61cに設けられた隔壁開口68を介してギヤ収容部62のオイル溜りPに移動する。以上のようにして、第2の油路92は、オイルOをステータ30に供給する。
図1に示すクーラー97は、第2の油路92を通過するオイルOを冷却する。クーラー97には、第2の流路92bおよび第3の流路92cが接続される。第2の流路92bおよび第3の流路92cは、クーラー97の内部流路を介して繋がる。クーラー97には、図示しないラジエータで冷却された冷却水を通過させる冷却水用配管98が接続される。クーラー97の内部を通過するオイルOは、冷却水用配管98を通過する冷却水との間で熱交換されて冷却される。
図7に示すように、駆動装置1は、ステータ30の温度を検出可能な温度センサ70をさらに備える。温度センサ70の種類は、ステータ30の温度を検出可能であれば、特に限定されない。温度センサ70は、例えば、一方向に延びる棒状である。本実施形態において温度センサ70は、鉛直方向に対して前後方向に僅かに傾いた方向に斜めに延びる。
温度センサ70は、コイルアセンブリ33のうちモータ軸J1よりも後側(−X側)に位置する部分に設けられる。本実施形態において温度センサ70は、コイルアセンブリ33のうちシャフト21の後側に位置する部分に設けられる。
本実施形態において温度センサ70の少なくとも一部は、モータ軸J1の軸方向および鉛直方向の両方と直交する前後方向に見て、シャフト21と重なる。本実施形態では、温度センサ70の全体が、前後方向に見てシャフト21と重なる。温度センサ70の少なくとも一部は、モータ軸J1よりも上側に位置する。本実施形態では、温度センサ70のうち上側部分が、モータ軸J1よりも上側に位置する。
図5に示すように、本実施形態において温度センサ70は、コイルエンド33bに配置される。より詳細には、温度センサ70の少なくとも一部は、コイルエンド33bに埋め込まれる。そのため、例えば、温度センサ70をコイルエンド33bに挿し込んで少なくとも一部を埋め込むことで、温度センサ70を容易にコイルエンド33bに対して保持させることができる。本実施形態では、温度センサ70は、コイルエンド33bに挿し込まれて、ほぼ全体がコイルエンド33bに埋め込まれる。
温度センサ70は、端子部34U,34V,34Wよりも下側に位置する。図7に示すように、温度センサ70は、ロータ20の下側の端部、すなわちロータ本体24の下側の端部よりも上側に位置する。ここで、モータ収容部61の内部に収容されたオイルOの液面は、例えば、ロータ20の下側の端部よりも下側に位置する。そのため、本実施形態において温度センサ70は、オイルOの液面よりも上側に位置する。
図5に示すように、温度センサ70は、コイルエンド33bのうち結束部材38によって結束される部分に設けられ、絶縁チューブ39で被覆されたコイル引出線37U,37V,37Wによって軸方向から押さえられる。そのため、温度センサ70がコイルエンド33bから外れることを好適に抑制できる。本実施形態では、温度センサ70は、コイルエンド33bに挿し込まれて保持される。そのため、結束部材38によって結束されたコイル引出線37U,37V,37Wが、コイルエンド33bのうちコイル引出線37U,37V,37Wと温度センサ70との軸方向の間に位置する部分を介して、温度センサ70を左側(+Y側)から押さえる。図5では、温度センサ70は、2つの結束部材38のうち1つの結束部材38の内側を通る。なお、温度センサ70は、2つの結束部材38の内側を通ってもよい。
図7に示すように、温度センサ70は、軸方向に見て、第1冷媒噴射部11とモータ軸J1とを通る仮想線IL2を挟む両側の領域R1,R2のうち領域R2に位置する。本実施形態において仮想線IL2は、円筒状の第1冷媒噴射部11の中心軸を通る。仮想線IL2は、例えば、軸方向に見て、鉛直方向に対して前後方向に僅かに傾いた向きに延びる。仮想線IL2は、例えば、上側に向かうに従って後側(−X側)に位置する。領域R1と領域R2とは、仮想線IL2を境界として略前後方向に並んで配置される。領域R1は、仮想線IL2よりも前側(+X側)の領域である。領域R2は、仮想線IL2よりも後側の領域である。温度センサ70は、仮想線IL2よりも後側に位置する。
軸方向に見て、第2冷媒噴射部12は、仮想線IL2よりも前側(+X側)に位置する。言い換えれば、第2冷媒噴射部12は、軸方向に見て、領域R1に位置する。これにより、モータ軸J1の軸方向に見て、第2冷媒噴射部12と温度センサ70とは、仮想線IL2を挟んで反対側に位置する。本実施形態において第2冷媒噴射部12と温度センサ70とは、シャフト21を前後方向に挟む位置に配置される。
図2に示すように、軸方向に見て、取付部61fは、仮想線IL2よりも後側(−X側)に位置する。言い換えれば、取付部61fは、軸方向に見て、領域R2に位置する。これにより、モータ軸J1の軸方向に見て、温度センサ70と取付部61fとは、仮想線IL2を挟む両側の領域R1,R2のうち同じ側の領域R2に位置する。
本実施形態において温度センサ70は、複数設けられる。複数の温度センサ70は、並んで配置される。本実施形態において温度センサ70は、第1温度センサ71と第2温度センサ72との2つ設けられる。棒状の第1温度センサ71が延びる方向と棒状の第2温度センサ72が延びる方向とは、例えば、互いに平行である。第1温度センサ71と第2温度センサ72とは、各温度センサ70が延びる方向と直交する方向に並んで配置される。第1温度センサ71と第2温度センサ72とは、軸方向に見て、略前後方向に並んで配置される。
なお、本明細書において「複数の温度センサが並んで配置される」とは、温度センサが一方向に長い形状である場合には、複数の温度センサ同士の間隔が、各温度センサの長手方向の寸法以下であることを含む。また、本明細書において「複数の温度センサが並んで配置される」とは、複数の温度センサ同士の間隔が、コイルエンドの軸方向の寸法以下であることを含む。本実施形態において第1温度センサ71と第2温度センサ72との間隔は、第1温度センサ71の長手方向の寸法および第2温度センサ72の長手方向の寸法以下である。また、本実施形態において第1温度センサ71と第2温度センサ72との間隔は、コイルエンド33bの軸方向の寸法以下である。
なお、複数の温度センサ70同士が並ぶ方向は、特に限定されない。複数の温度センサ70同士は、軸方向に並んで配置されてもよいし、径方向に並んで配置されてもよいし、鉛直方向に並んで配置されてもよいし、温度センサ70が延びる方向に沿って並んで配置されてもよい。
第1温度センサ71の検出結果は、図5に示す第1温度センサ71から延びるケーブル71aを介して図示しない制御部に送られる。第2温度センサ72の検出結果は、第2温度センサ72から延びるケーブル72aを介して図示しない制御部に送られる。図示しない制御部は、インバータユニット8に設けられる。ケーブル71a,72aは、例えば、第1温度センサ71および第2温度センサ72のそれぞれから上側に延び、コイルエンド33bの外周面に沿って引きまわされる。
例えば、ステータ30の温度に基づいて、駆動装置1の駆動を制御する場合、ステータ30の温度を精度よく検出できることが求められる。ステータ30の温度に基づいた駆動装置1の制御とは、例えば、オイルポンプ96によってステータ30に送られるオイルOの流量制御を含む。インバータユニット8の制御部は、例えば、ステータ30の温度が所定の温度よりも高い場合に、オイルポンプ96からステータ30に送られるオイルOの流量を増加させることで、ステータ30の温度を低下させる。これにより、ステータ30の温度が高くなり過ぎることを抑制でき、駆動装置1に不具合が生じることを抑制できる。
ここで、ステータ30の温度は、ステータ30の部分によってばらつきが生じるため、ステータ30のいずれの部分において温度を検出するかによって、検出される温度が異なる。ステータ30の温度に基づいた駆動装置1の制御を行う際には、ステータ30のうち比較的温度が高くなる部分の温度を検出することが好ましく、ステータ30のうち最も温度が高くなる部分の温度を検出することがより好ましい。これは、例えば、上述したようにオイルポンプ96の流量を制御してステータ30の冷却度合いを調整する場合に、ステータ30を好適に冷却できるためである。
これに対して、本実施形態によれば、モータ軸J1よりも上側に位置し、ステータ30にオイルOを噴射する第1冷媒噴射部11と、第1冷媒噴射部11よりも下側に位置し、ステータ30にオイルOを噴射する第2冷媒噴射部12と、が設けられる。モータ軸J1の軸方向に見て、第2冷媒噴射部12と温度センサ70とは、第1冷媒噴射部11とモータ軸J1とを通る仮想線IL2を挟んで反対側に位置する。
第1冷媒噴射部11がモータ軸J1よりも上側に位置するため、第1冷媒噴射部11からステータ30の上側部分にオイルOを供給しやすい。ステータ30の上側部分に供給されたオイルOは、例えば重力等によって周方向の両側に流れやすい。したがって、第1冷媒噴射部11から噴射されるオイルOによってステータ30の全周にオイルOを供給しやすい。そのため、ステータ30の冷却が不十分となることを抑制できる。
また、第2冷媒噴射部12が軸方向に見て仮想線IL2を挟んだ一方の領域R1に位置するため、第2冷媒噴射部12からのオイルOをステータ30のうち領域R1に位置する部分に供給しやすい。これにより、第2冷媒噴射部12から噴射されるオイルOによって、ステータ30のうち領域R1に位置する部分をより好適に冷却できる。
一方、第2冷媒噴射部12は、第1冷媒噴射部11よりも下側に位置する。そのため、第2冷媒噴射部12から噴射されるオイルOは、第1冷媒噴射部11から噴射されるオイルOに比べて、ステータ30の上側部分に供給されにくい。これにより、第2冷媒噴射部12から噴射されるオイルOは、ステータ30のうち領域R1と反対側の領域R2には流れにくい。したがって、ステータ30のうち領域R2に位置する部分は、ステータ30のうち領域R1に位置する部分よりも冷却されにくくなる。そのため、ステータ30のうち領域R2に位置する部分の温度は比較的高くなりやすく、ステータ30のうち最も温度が高くなる部分は領域R2に設けられやすい。
これに対して、温度センサ70は、第2冷媒噴射部12が配置される領域R1に対して仮想線IL2を挟んで反対側に位置する領域R2に配置される。そのため、温度センサ70によって、ステータ30のうち比較的温度が高くなる部分の温度を検出することができ、ステータ30のうち最も温度が高くなる部分の温度を検出しやすくできる。これにより、温度センサ70の検出結果に基づいてオイルポンプ96の流量を制御する等により、ステータ30を好適に冷却しやすくできる。
また、本実施形態によれば、温度センサ70は、コイルエンド33bに配置される。そのため、温度センサ70をコイル31に直接的に接触させることができる。これにより、温度センサ70によって、コイル31の温度をより好適に検出できる。コイル31は、発熱体であるため、ステータ30の他の部分に比べて温度が高くなりやすい。したがって、コイルエンド33bのうち領域R2に含まれる部分に温度センサ70を配置することで、ステータ30のうち最も温度が高くなる部分の温度をより検出しやすくできる。そのため、ステータ30をより好適に冷却しやすくできる。
また、本実施形態によれば、第1冷媒噴射部11は、少なくともコイルエンド33bに向けてオイルOを噴射する。そのため、第1冷媒噴射部11によって、ステータ30のうち発熱体となるコイル31にオイルOを供給できる。これにより、ステータ30を好適に冷却できる。
ここで、コイルエンド33a,33bには、固定部32bのような突起部が設けられていないため、第1冷媒噴射部11の第2噴射口14によってコイルエンド33a,33bの上側からオイルOを供給することで、コイルエンド33a,33bの前後方向の両側部分に対して、上側から下側に重力を利用してオイルOを流しやすい。これにより、第1冷媒噴射部11の第2噴射口14からのオイル供給によってコイルエンド33a,33b全体にオイルOを供給しやすく、コイルエンド33a,33b全体を冷却しやすい。したがって、コイルエンド33a,33bにオイルOを供給する噴射口が第2冷媒噴射部12に設けられなくても、コイルエンド33a,33bを好適に冷却できる。
また、本実施形態によれば、第1冷媒噴射部11は、コイルエンド33bに向けてオイルOを噴射する複数の噴射口として、複数の第2噴射口14を有する。そのため、複数の第2噴射口14から噴射されるオイルOによって、ステータ30をより好適に冷却できる。
また、本実施形態によれば、第1冷媒噴射部11は、コイルエンド33bの上側の端部よりも上側に位置する。そのため、第1冷媒噴射部11から噴射されるオイルOをコイルエンド33a,33bの上側の端部に供給しやすくできる。これにより、コイルエンド33a,33bの上側の端部から周方向両側にオイルOを流しやすくできる。したがって、第1冷媒噴射部11から噴射されたオイルOによって、コイルエンド33a,33bの全周を冷却しやすくできる。
また、本実施形態によれば、第2冷媒噴射部12は、ステータコア32のみに向けてオイルOを噴射する。そのため、第2冷媒噴射部12からコイルエンド33bに向けてはオイルOが噴射されない。これにより、コイルエンド33bに配置された温度センサ70に、第2冷媒噴射部12から噴射されたオイルOが掛かることを抑制できる。したがって、温度センサ70によって検出される温度がオイルOによって低下することを抑制できる。そのため、温度センサ70によって、ステータ30の温度を精度よく検出しやすい。また、コイルエンド33bにオイルOを噴射する噴射口が第2冷媒噴射部12に設けられる場合に比べて、第2冷媒噴射部12に設けられた噴射口の総開口面積を小さくできる。これにより、第2冷媒噴射部12に対してオイルOを圧送して送りやすく、第1噴射口15からステータコア32に向けてオイルOを好適に噴射させやすい。したがって、第2冷媒噴射部12の第1噴射口15からオイルOを好適にステータコア32へと供給でき、ステータ30をより好適に冷却できる。
また、本実施形態によれば、温度センサ70の少なくとも一部は、コイルエンド33bに埋め込まれる。そのため、温度センサ70をコイル31に対して密着させることができ、温度センサ70によって、より好適にコイル31の温度を検出できる。したがって、温度センサ70によって、ステータ30のうち最も温度が高くなる部分の温度をより検出しやすくできる。そのため、ステータ30をより好適に冷却しやすくできる。また、オイルOが温度センサ70に直接的に掛かることを抑制できる。これにより、温度センサ70によって検出される温度がオイルOによって低下することを抑制できる。したがって、温度センサ70によって、ステータ30の温度をより精度よく検出しやすい。また、温度センサ70の少なくとも一部がコイルエンド33bに埋め込まれることで、温度センサ70をコイルアセンブリ33に保持しやすい。
また、本実施形態によれば、ハウジング6は、モータ2に電力を供給するインバータ8aが取り付けられる取付部61fを有する。モータ軸J1の軸方向に見て、温度センサ70と取付部61fとは、仮想線IL2を挟む両側の領域R1,R2のうち同じ側の領域R2に位置する。インバータ8aが取り付けられると、取付部61fからは熱がハウジング6の外部に放出されにくくなる。そのため、取付部61fが位置する領域R2においては、領域R1よりもステータ30の温度が高くなりやすい。これにより、取付部61fが位置する領域R2と同じ領域に温度センサ70を配置することで、温度センサ70によってステータ30のうち最も温度が高くなる部分の温度をより検出しやすくできる。そのため、ステータ30をより好適に冷却しやすくできる。
また、本実施形態によれば、温度センサ70は、複数設けられ、複数の温度センサ70は、並んで配置される。そのため、複数の温度センサ70によって、ステータ30のうち最も温度が高くなる部分の温度をより好適に精度よく検出しやすい。これにより、ステータ30をより好適に冷却しやすくできる。具体的には、例えば、第1温度センサ71と第2温度センサ72とのうち高い温度を検出した温度センサ70の検出結果を採用することで、より精度よく得られたステータ30の温度に基づいて、ステータ30に供給されるオイルOの量を調整できる。また、例えば、第1温度センサ71と第2温度センサ72とのうちの一方に不具合が生じた場合であっても、第1温度センサ71と第2温度センサ72とのうちの他方を用いることで、ステータ30の冷却を好適に継続することができる。
また、本実施形態によれば、温度センサ70の少なくとも一部は、モータ軸J1よりも上側に位置する。そのため、モータ収容部61内に貯留されたオイルOの液面よりも上側に温度センサ70を配置しやすい。これにより、温度センサ70がオイルOに浸漬することを抑制できる。したがって、温度センサ70によるステータ30の温度の検出精度が低下することを抑制できる。また、ステータ30のうちモータ収容部61内に貯留されたオイルOに浸漬された部分は、貯留されたオイルOによって冷却される。そのため、ステータ30のうちオイルOに浸漬された部分の温度は比較的低くなる。言い換えれば、ステータ30のうち最も温度が高くなる部分は、オイルOに浸漬された部分よりも上側に位置しやすい。これにより、貯留されたオイルOよりも温度センサ70を上側に配置しやすいことで、温度センサ70によって、ステータ30のうち最も温度が高くなる部分の温度を検出しやすくできる。したがって、ステータ30をより好適に冷却しやすくできる。
また、本実施形態によれば、温度センサ70の少なくとも一部は、モータ軸J1の軸方向および鉛直方向の両方と直交する前後方向に見て、シャフト21と重なる。そのため、温度センサ70を、モータ収容部61内に貯留されたオイルOの液面よりも上側に配置しやすくしつつ、かつ、第2冷媒噴射部12から比較的離れた位置に温度センサ70を配置できる。これにより、ステータ30のうちオイルOに浸漬されず、かつ、第2冷媒噴射部12からのオイルOが届きにくい部分に、温度センサ70を配置しやすい。したがって、温度センサ70によって、ステータ30のうち最も温度が高くなる部分の温度をより検出しやすくできる。そのため、ステータ30をより好適に冷却しやすくできる。
また、本実施形態によれば、第2冷媒噴射部12は、モータ軸J1よりも上側に位置し、かつ、温度センサ70の少なくとも一部は、モータ軸J1の軸方向および鉛直方向の両方と直交する前後方向に見て、シャフト21と重なる。そのため、第2冷媒噴射部12の鉛直方向位置は、領域R1内において比較的上側の位置になる一方で、温度センサ70の鉛直方向位置は、領域R2内において上側になり過ぎない位置となる。これにより、温度センサ70がオイルOに浸漬されることを抑制しつつ、第2冷媒噴射部12から比較的離れた位置に温度センサ70をより配置しやすくできる。したがって、温度センサ70によって、ステータ30のうち最も温度が高くなる部分の温度をより検出しやすくできる。そのため、ステータ30をより好適に冷却しやすくできる。
また、本実施形態によれば、温度センサ70の少なくとも一部および第2冷媒噴射部12の少なくとも一部は、モータ軸J1の軸方向および鉛直方向の両方と直交する前後方向に見て、シャフト21と重なる。そのため、第2冷媒噴射部12と温度センサ70とを、シャフト21を前後方向に挟んだ反対側にそれぞれ配置できる。これにより、第2冷媒噴射部12から、より離れた位置に温度センサ70を配置できる。したがって、第2冷媒噴射部12からのオイルOが届きにくい部分に、温度センサ70をより配置しやすい。そのため、温度センサ70によって、ステータ30のうち最も温度が高くなる部分の温度をより検出しやすくできる。これにより、ステータ30をより好適に冷却しやすくできる。
また、本実施形態によれば、第1冷媒噴射部11は、ステータ30の上側に位置し、第2冷媒噴射部12は、モータ軸J1の軸方向および鉛直方向の両方と直交する前後方向においてステータ30の一方側に位置する。そのため、ステータ30の周囲のうちで仮想線IL2から比較的離れた位置に第2冷媒噴射部12が配置されやすい。これにより、第2冷媒噴射部12から噴射されるオイルOが、仮想線IL2を挟んだ反対側の領域R2に、より供給されにくくなる。したがって、領域R2に温度センサ70を配置することで、温度センサ70によってステータ30のうち最も温度が高くなる部分の温度をより検出しやすくできる。そのため、ステータ30をより好適に冷却しやすくできる。
また、第1冷媒噴射部11がステータ30の上側に位置するため、第1噴射口13および第2噴射口14からオイルOをステータ30に対して上側から供給しやすい。特に本実施形態では、第1噴射口13および第2噴射口14が下側を向くため、第1噴射口13および第2噴射口14からステータ30の上側にオイルOを供給しやすい。これにより、第1冷媒噴射部11からのオイルOをステータ30の上側から下側に重力を利用して流すことができ、ステータ30全体を冷却しやすい。したがって、ステータ30をより好適に冷却できる。
また、本実施形態によれば、第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12の両方にステータコア32にオイルOを供給する第1噴射口13,15が設けられる。そのため、第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12から供給されるオイルOによってステータコア32を好適に冷却できる。
また、本実施形態によれば、第2冷媒噴射部12の第1噴射口15は、上側を向く。そのため、第1噴射口15から上側に向けて好適にオイルOを噴射しやすい。これにより、第1噴射口15から吐出されたオイルOを、ステータコア32のうち、より上側に位置する部分まで到達させやすい。したがって、第2冷媒噴射部12からのオイルOをステータコア32の上側から下側に重力を利用して流すことができ、第2冷媒噴射部12から吐出されるオイルOをステータコア32の広範囲に亘って供給しやすい。そのため、ステータコア32をより好適に冷却でき、ステータ30の冷却効率をより向上できる。
また、本実施形態では、第1噴射口15は、上側斜め後方を向く。そのため、第1噴射口15から吐出されたオイルOをステータ30の上側部分へと到達させやすい。これにより、第2冷媒噴射部12から吐出されたオイルOによってステータ30をより冷却しやすい。
また、本実施形態によれば、第1冷媒噴射部11と第2冷媒噴射部12とは、接続流路としての第4の流路94によって繋がれる。そのため、例えば、本実施形態のように第4の流路94の流入部94aにオイルOを送ることで、第1冷媒噴射部11と第2冷媒噴射部12との両方にオイルOを供給することができる。すなわち、第1冷媒噴射部11と第2冷媒噴射部12とのそれぞれに対してオイルOを供給する別々の油路を設ける場合に比べて、ハウジング6に設ける油路を少なくできる。そのため、ハウジング6が大型化することを抑制できる。
また、本実施形態によれば、接続流路としての第4の流路94は、分岐して第1冷媒噴射部11と第2冷媒噴射部12とにオイルOを供給する。この場合、第1冷媒噴射部11に設けられた噴射口の総開口面積と第2冷媒噴射部12に設けられた噴射口の総開口面積とを足し合わせた和が小さいほど、第4の流路94から第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12にオイルOを圧送しやすくできる。そのため、上述したように第2冷媒噴射部12に設けられた噴射口の総開口面積を小さくできることで、第1冷媒噴射部11に設けられた噴射口の総開口面積と第2冷媒噴射部12に設けられた噴射口の総開口面積とを足し合わせた和を小さくでき、第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12の両方にオイルOを圧送しやすくできる。これにより、第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12の両方からステータ30に好適にオイルOを供給できる。したがって、ステータ30の冷却効率をより向上できる。
また、本実施形態によれば、第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12は、ステータ30の径方向外側に位置し、モータ軸J1を中心とする周方向に間隔を空けて配置される。そのため、第1冷媒噴射部11の第1噴射口13と第2冷媒噴射部12の第1噴射口15とによって、ステータコア32における周方向の広い範囲にオイルOを供給しやすくできる。したがって、ステータ30の冷却効率をより向上できる。
また、本実施形態によれば、第1冷媒噴射部11と第2冷媒噴射部12とは、周方向に固定部32bを挟んで配置される。そのため、第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12を固定部32bに干渉しない位置に配置しつつ、かつ、第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12をステータコア本体32aに対して径方向に近づけて配置できる。したがって、第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12からステータ30にオイルOを供給しやすくでき、ステータ30の冷却効率をより向上できる。また、駆動装置1が径方向に大型化することを抑制できる。また、第1冷媒噴射部11の第1噴射口13と第2冷媒噴射部12の第1噴射口15とによって、ステータコア32における固定部32bを挟んだ両側に好適にオイルOを供給できる。これにより、ステータコア32の全体にオイルOを供給しやすくでき、ステータ30の冷却効率をより向上できる。なお、第1噴射口13,15から噴射されるオイルOは、固定部32bに対して供給されてもよいし、供給されなくてもよい。
また、図2に示すように、本実施形態では、第1冷媒噴射部11が、上側固定部32fの後側に位置する。そのため、第1冷媒噴射部11の第1噴射口13から吐出されるオイルOは、上側固定部32fよりも後側に流れやすい。これにより、第1冷媒噴射部11によってステータコア32の後側部分にオイルOを供給しやすい。一方、第2冷媒噴射部12は、上側固定部32fよりも前側に位置する。そのため、第2冷媒噴射部12の第1噴射口15から上側に吐出されるオイルOは、上側固定部32fよりも前側の部分に供給されやすい。これにより、第2冷媒噴射部12によってステータコア32の前側部分にオイルOを供給しやすい。したがって、第1冷媒噴射部11と第2冷媒噴射部12とによって、ステータコア32の前後方向両側にオイルOを供給しやすく、ステータコア32全体を冷却しやすい。
また、本実施形態によれば、第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部は、パイプである。そのため、例えば、ハウジング6に穴加工を施す等により第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12を設ける場合に比べて、第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12を作りやすい。
また、本実施形態によれば、第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12は、軸方向に直線状に延びる。そのため、第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12が径方向に曲がって延びる等の場合に比べて、駆動装置1が径方向に大型化することを抑制できる。また、第1冷媒噴射部11の形状および第2冷媒噴射部12の形状を単純な形状にできるため、第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12を作りやすい。また、第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12を、軸方向の広範囲に亘ってステータ30と対向させて配置しやすい。そのため、第1冷媒噴射部11および第2冷媒噴射部12からステータ30の軸方向の広範囲にオイルOを供給しやすい。したがって、ステータ30をより好適に冷却できる。そのため、ステータ30の冷却効率をより向上できる。
また、本実施形態によれば、第1冷媒噴射部11に設けられた第1噴射口13の総開口面積は、第2冷媒噴射部12に設けられた第1噴射口15の総開口面積よりも小さい。そのため、第1冷媒噴射部11に設けられた第1噴射口13の総開口面積を比較的小さくできる。これにより、第1冷媒噴射部11に第1噴射口13と第2噴射口14との両方が設けられていても、第1冷媒噴射部11に設けられた噴射口の総開口面積を小さくしやすい。したがって、第1冷媒噴射部11に対してオイルOを圧送して送りやすい。そのため、第1噴射口13からステータコア32に向けてオイルOを好適に噴射させやすく、ステータコア32に好適にオイルOを供給しやすい。また、第2噴射口14からコイルエンド33a,33bに向けてオイルOを好適に噴射させやすく、コイルエンド33a,33bに好適にオイルOを供給しやすい。したがって、ステータ30の冷却効率をより向上できる。
また、本実施形態によれば、第1冷媒噴射部11に設けられた第2噴射口14の総開口面積は、第1冷媒噴射部11に設けられた第1噴射口13の総開口面積よりも大きい。そのため、第2噴射口14からコイルエンド33a,33bに供給されるオイルOの量を多くできる。これにより、発熱体であるコイル31を好適に冷却でき、ステータ30の冷却効率をより向上できる。
また、本実施形態によれば、各コイルエンド33a,33bの上側に位置する複数の第2噴射口14は、周方向に沿ってジグザグに配置される。そのため、周方向に沿って配置される複数の第2噴射口14の軸方向位置が交互にずれて配置される。これにより、各コイルエンド33a,33bの上側に位置する複数の第2噴射口14の軸方向位置が互いに同じである場合よりも、各コイルエンド33a,33bの全体にオイルOを供給しやすい。
また、本実施形態によれば、各コイルエンド33a,33bの上側に位置する第2噴射口14は、下側斜め前方を向く第2噴射口14と、下側斜め後方を向く第2噴射口14と、を含む。そのため、複数の第2噴射口14から供給されるオイルOをコイルエンド33a,33bの前側部分および後側部分の両方に供給しやすく、コイルエンド33a,33bの全体にオイルOを供給しやすい。これにより、コイルエンド33a,33bをより好適に冷却でき、ステータ30をさらに好適に冷却できる。
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成を採用することもできる。上述した実施形態では、冷媒がオイルOである場合について説明したが、これに限られない。冷媒は、ステータに供給されてステータを冷却できるならば、特に限定されない。冷媒は、例えば、絶縁液であってもよいし、水であってもよい。冷媒が水である場合、ステータの表面に絶縁処理を施してもよい。
第1冷媒噴射部および第2冷媒噴射部がパイプである場合において、各パイプは多角筒状のパイプであってもよい。第1冷媒噴射部および第2冷媒噴射部は、パイプでなくてもよい。第1冷媒噴射部および第2冷媒噴射部は、ハウジングに設けられた油路であってもよい。第1冷媒噴射部および第2冷媒噴射部は、ステータに冷媒を噴射するならば、ステータのいずれの部位に冷媒を噴射してもよいし、駆動装置のステータ以外の部位に冷媒を供給してもよい。第1冷媒噴射部は、ステータコアのみに冷媒を噴射してもよいし、コイルエンドのみに冷媒を噴射してもよい。第1冷媒噴射部は、コイルエンドに向けて冷媒を噴射する噴射口を1つのみ有してもよい。第2冷媒噴射部は、コイルエンドのみに冷媒を噴射してもよいし、ステータコアとコイルエンドとの両方に冷媒を噴射してもよい。
第1冷媒噴射部は、モータ軸よりも上側に位置するならば、ステータに対してどのような位置に配置されてもよい。第1冷媒噴射部は、コイルエンドの上側の端部よりも下側にしてもよい。第2冷媒噴射部は、第1冷媒噴射部よりも下側に位置するならば、ステータに対してどのような位置に配置されてもよい。第2冷媒噴射部は、シャフトより上側に位置してもよい。この場合において、温度センサの少なくとも一部がモータ軸の軸方向および鉛直方向の両方と直交する前後方向に見て、シャフトと重なる場合、第2冷媒噴射部から、より離れた位置に温度センサを配置しやすい。
温度センサは、モータ軸の軸方向に見て、第2冷媒噴射部に対して、第1冷媒噴射部とモータ軸とを通る仮想線を挟んで反対側に位置するならば、どのような位置に配置されてもよい。温度センサは、コイルエンドの外表面に配置されてもよい。温度センサは、ステータコアに配置されてもよい。温度センサは、ステータの温度を検出可能ならば、ステータ以外の部分に取り付けられてもよい。温度センサの全体は、シャフトよりも上側に位置してもよい。この場合、温度センサがハウジング内に貯留される冷媒に浸漬されることをより抑制できる。温度センサの全体は、モータ軸より下側に位置してもよい。温度センサは、1つのみ設けられてもよいし、3つ以上設けられてもよい。複数の温度センサは、並んで配置されなくてもよい。
インバータが取り付けられる取付部には、インバータが直接的に取り付けられてもよい。この場合、取付部は、インバータを収容する収容部を構成してもよい。ハウジングは、インバータが取り付けられる取付部を有しなくてもよい。上述した実施形態では、駆動装置がインバータを含まない場合について説明したが、これに限られない。駆動装置は、インバータを含んでいてもよいし、インバータユニットを含んでいてもよい。駆動装置は、インバータユニットと一体構造となっていてもよい。
駆動装置は、モータを動力源として対象となる物体を動かすことができる装置であれば、特に限定されない。駆動装置は、伝達機構を備えなくてもよい。モータのトルクがモータのシャフトから直接対象に出力されてもよい。この場合、駆動装置は、モータそのものに相当する。モータ軸は、鉛直方向と交差する方向に延びるならば、鉛直方向と直交する方向に延びなくてもよい。なお、本明細書において「モータ軸が鉛直方向と直交する方向に延びる」とは、モータ軸が厳密に鉛直方向と直交する方向に延びる場合に加えて、モータ軸が鉛直方向と略直交する方向に延びる場合も含む。すなわち、本明細書において「モータ軸が鉛直方向と直交する方向に延びる」とは、モータ軸が鉛直方向と直交する水平方向に対して僅かに傾いていてもよい。
また、駆動装置は、所定方向と交差する方向に延びるモータ軸を中心として回転可能なロータ、およびロータの径方向外側に位置するステータを有するモータと、モータ軸よりも所定方向の一方側に位置し、ステータに冷媒を噴射する第1冷媒噴射部と、第1冷媒噴射部よりも所定方向他方側に位置し、ステータに冷媒を噴射する第2冷媒噴射部と、ステータの温度を検出可能な温度センサと、を備え、モータ軸の軸方向に見て、第2冷媒噴射部と温度センサとは、第1冷媒噴射部とモータ軸とを通る仮想線を挟んで反対側に位置する構成であってもよい。この構成において、所定方向は、特に限定されず、鉛直方向であってもよいし、鉛直方向と直交する水平方向であってもよいし、鉛直方向および水平方向の両方と交差する方向であってもよい。この構成であっても、仮想線を挟んだ両側の領域のうち第2冷媒噴射部が位置する領域に配置されたステータの部分は、第1冷媒噴射部から噴射される冷媒、および第2冷媒噴射部から噴射される冷媒によって特に冷却されやすい。これにより、仮想線を挟んで第2冷媒噴射部と反対側に温度センサを配置することで、ステータのうち最も温度が高くなりやすい部分の温度を検出しやすくできる。したがって、ステータを好適に冷却しやすくできる。なお、この構成においては、鉛直方向を所定方向に、上側を所定方向一方側に、下側を所定方向他方側に置き換えて、上述した実施形態において説明した各部の相対位置関係を採用できる。
本発明が適用される駆動装置の用途は、特に限定されない。駆動装置は、車両に搭載されなくてもよい。以上、本明細書において説明した構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。