以下の説明では、各実施形態の駆動装置が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合の位置関係を基に、鉛直方向を規定して説明する。すなわち、以下の各実施形態において説明する鉛直方向に対する相対位置関係は、駆動装置が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合に少なくとも満たしていればよい。
図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向である。+Z側は、鉛直方向上側であり、-Z側は、鉛直方向下側である。以下の説明では、鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって駆動装置が搭載される車両の前後方向である。以下の各実施形態において、+X側は、車両の前側であり、-X側は、車両の後側である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の左右方向、すなわち車幅方向である。以下の各実施形態において、+Y側は、車両の左側であり、-Y側は、車両の右側である。前後方向および左右方向は、鉛直方向と直交する水平方向である。
なお、前後方向の位置関係は、以下の各実施形態の位置関係に限られず、+X側が車両の後側であり、-X側が車両の前側であってもよい。この場合には、+Y側は、車両の右側であり、-Y側は、車両の左側である。
各図に適宜示すモータ軸J1は、鉛直方向と交差する方向に延びる。より詳細には、モータ軸J1は、鉛直方向と直交するY軸方向、すなわち車両の左右方向に延びる。以下の説明においては、特に断りのない限り、モータ軸J1に平行な方向を単に「軸方向」と呼び、モータ軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸J1を中心とする周方向、すなわち、モータ軸J1の軸回りを単に「周方向」と呼ぶ。なお、本明細書において、「平行な方向」は略平行な方向も含み、「直交する方向」は略直交する方向も含む。以下の各実施形態において、+Y側、すなわち左側は、軸方向一方側に相当し、-Y側、すなわち右側は、軸方向他方側に相当する。軸方向は、所定の第1方向に相当する。
<第1実施形態>
図1に示す本実施形態の駆動装置1は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、モータを動力源とする車両に搭載され、その動力源として使用される。図1に示すように、駆動装置1は、モータ2と、減速装置4および差動装置5を含む伝達装置3と、ハウジング6と、オイルポンプ96と、クーラー97と、第1オイル噴射部11および第2オイル噴射部12と、を備える。図1から図3に示すように、本実施形態においてモータ2は、インナーロータ型のモータである。モータ2は、ロータ20と、ステータ30と、第1ベアリング26と、第2ベアリング27と、を有する。なお、本実施形態において、駆動装置1はインバータユニットを含まない。言い換えると、駆動装置1はインバータユニットと別体構造となっている。
ハウジング6は、内部にモータ2および伝達装置3を収容する。ハウジング6は、モータ収容部61と、ギヤ収容部62と、隔壁63と、を有する。モータ収容部61は、内部にするロータ20およびステータ30を収容する部分である。ギヤ収容部62は、内部に伝達装置3を収容する部分である。ギヤ収容部62は、モータ収容部61の左側に位置する。モータ収容部61の底部61aは、ギヤ収容部62の底部62aより上側に位置する。隔壁63は、モータ収容部61の内部とギヤ収容部62の内部とを軸方向に区画する。隔壁63には、隔壁開口63aが設けられる。隔壁開口63aは、モータ収容部61の内部とギヤ収容部62の内部とを繋ぐ。隔壁63は、ステータ30の左側に位置する。
ハウジング6は、内部に冷媒としてのオイルOを収容する。本実施形態では、モータ収容部61の内部およびギヤ収容部62の内部に、オイルOが収容される。ギヤ収容部62の内部における下部領域には、オイルOが溜るオイル溜りPが設けられる。オイル溜りPのオイルOは、後述する油路90によってモータ収容部61の内部に送られる。モータ収容部61の内部に送られたオイルOは、モータ収容部61の内部における下部領域に溜まる。モータ収容部61の内部に溜まったオイルOの少なくとも一部は、隔壁開口63aを介してギヤ収容部62に移動し、オイル溜りPに戻る。
なお、本明細書において「ある部分の内部にオイルが収容される」とは、モータが駆動している最中の少なくとも一部において、ある部分の内部にオイルが位置していればよく、モータが停止している際には、ある部分の内部にオイルが位置していなくてもよい。例えば、本実施形態においてモータ収容部61の内部にオイルOが収容されるとは、モータ2が駆動している最中の少なくとも一部において、モータ収容部61の内部にオイルOが位置していればよく、モータ2が停止している際においては、モータ収容部61の内部のオイルOがすべて隔壁開口63aを通ってギヤ収容部62に移動してしまっていてもよい。なお、後述する油路90によってモータ収容部61の内部へと送られたオイルOの一部は、モータ2が停止した状態において、モータ収容部61の内部に残っていてもよい。
オイルOは、後述する油路90内を循環する。オイルOは、減速装置4および差動装置5の潤滑用として使用される。また、オイルOは、モータ2の冷却用として使用される。オイルOとしては、潤滑油および冷却油の機能を奏するために、比較的粘度の低いオートマチックトランスミッション用潤滑油(ATF:Automatic Transmission Fluid)と同等のオイルを用いることが好ましい。
図4および図5に示すように、ハウジング6は、支持部64と、複数の放射状リブ65と、第1リブ66と、第2リブ67と、を有する。すなわち、駆動装置1は、支持部64と、複数の放射状リブ65と、第1リブ66と、第2リブ67と、を備える。図6に示すように、支持部64は、隔壁63から右側に突出する。支持部64は、モータ収容部61の内部に位置する。支持部64は、モータ軸J1を囲む環状である。より詳細には、支持部64は、モータ軸J1を中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。支持部64は、内側に第1ベアリング26を支持する。支持部64は、小径部64aと、大径部64bと、を有する。
小径部64aは、支持部64の左側部分である。小径部64aの左側の端部は、隔壁63に繋がる。大径部64bは、支持部64の右側部分である。大径部64bの内径は、小径部64aの内径よりも大きい。大径部64bの径方向内側には、第1ベアリング26が支持される。支持部64の内周面において小径部64aと大径部64bとの軸方向の間には、段差64hが設けられる。段差64hにおける右側を向く段差面64iは、第1ベアリング26の外輪を左側から支持する。
図4に示すように、支持部64は、支持部64を外側面から内側面まで貫通する貫通部64cを有する。本実施形態において貫通部64cは、左側(+Y側)に窪み、径方向に延びる溝である。貫通部64cは、右側(-Y側)に開口し、モータ収容部61の内部に開口する。貫通部64cは、支持部64のうち上側部分に設けられる。図5に示すように、本実施形態において貫通部64cは、軸方向に見て、径方向のうち鉛直方向に対して傾いた方向に延びる。貫通部64cは、例えば、支持部64の外側面から下側斜め前方に傾いた向きに延びる。
貫通部64cは、内側溝部64fと、外側溝部64gと、を有する。内側溝部64fは、支持部64の径方向内側部分に設けられる。内側溝部64fは、段差面64iに設けられる。外側溝部64gは、支持部64の径方向外側部分に設けられる。外側溝部64gは、大径部64bを軸方向に貫通して、小径部64aまで設けられる。外側溝部64gは、内側溝部64fの径方向外側に繋がる。外側溝部64gの溝底面は、傾斜面64eである。図4および図6に示すように、傾斜面64eは、径方向外側から径方向内側に向かうに従って右側に位置する。傾斜面64eの径方向内端部は、内側溝部64fの溝底面の径方向外端部に繋がる。傾斜面64eは、小径部64aに設けられる。傾斜面64eは、第1ベアリング26よりも左側に位置する。
複数の放射状リブ65は、隔壁63から右側に突出する。放射状リブ65の突出高さは、支持部64の突出高さよりも小さい。すなわち、放射状リブ65の右側の端部は、支持部64の右側の端部よりも左側に位置する。図4および図5に示すように、放射状リブ65は、支持部64の外側面から径方向外側に延びる。複数の放射状リブ65は、周方向に間隔を空けて配置される。放射状リブ65のうち支持部64の外側面から上側に延びる放射状リブ65は、モータ収容部61の壁部のうち上側に位置する壁部61cに繋がる。
第1リブ66は、支持部64の外側面から径方向外側に突出する。本実施形態において第1リブ66は、支持部64の外側面のうち上側部分から上側に突出する。より詳細には、第1リブ66は、上側斜め後方に突出する。図5に示すように、軸方向に見て、第1リブ66が径方向外側に突出する方向の鉛直方向に対する傾きは、貫通部64cが延びる方向の鉛直方向に対する傾きよりも小さい。第1リブ66の径方向外端部は、放射状リブ65の径方向外端部よりも径方向内側に位置する。第1リブ66は、支持部64のうち貫通部64cが設けられた部分よりも上側かつ前側に位置する部分の外周面から径方向外側に突出する。第1リブ66は、貫通部64cから周方向に離れた位置に配置される。
図4および図6に示すように、第1リブ66は、軸方向に延びる。第1リブ66の右側の端部は、支持部64の右側の端部に位置する。第1リブ66の左側の端部は、複数の放射状リブ65のうちの1つの放射状リブ65の径方向内端部に繋がる。第1リブ66の少なくとも一部は、第1コイルエンド33aの内側に挿入されている。これにより、第1リブ66が第1コイルエンド33aの内側に挿入されない場合に比べて、隔壁63を第1コイルエンド33aに軸方向に近づけることができる。したがって、駆動装置1を軸方向に小型化しやすい。図6に示すように、本実施形態においては、第1リブ66の右側の端部が、第1コイルエンド33aの内側に挿入されている。
図4および図5に示すように、第2リブ67は、支持部64の外側面のうち貫通部64cの周縁部から径方向外側に突出する。より詳細には、第2リブ67は、貫通部64cの周縁部のうち後側の部分から径方向外側に突出する。第2リブ67は、例えば、上側斜め後方に突出する。軸方向に見て、第2リブ67が径方向外側に突出する方向の鉛直方向に対する傾きは、貫通部64cが延びる方向の鉛直方向に対する傾きおよび第1リブ66が突出する方向の鉛直方向に対する傾きよりも大きい。第2リブ67の径方向外端部は、放射状リブ65の径方向外端部よりも径方向内側に位置する。第1リブ66の径方向外端部の径方向位置と第2リブ67の径方向外端部の径方向位置とは、例えば、互いに同じである。
本実施形態において第2リブ67は、支持部64のうち第1リブ66が設けられた部分よりも下側かつ後側に位置する部分の外周面から径方向外側に突出する。第2リブ67は、第1リブ66よりも後側において周方向に離れて配置される。本実施形態において貫通部64cの周方向位置は、第1リブ66の周方向位置と第2リブ67の周方向位置との間である。言い換えれば、貫通部64cは、支持部64のうち第1リブ66が設けられた部分と第2リブ67が設けられた部分との周方向の間に位置する部分に設けられる。
図4に示すように、第2リブ67は、軸方向に延びる。第2リブ67の右側の端部は、支持部64の右側の端部に位置する。第2リブ67の左側の端部は、複数の放射状リブ65のうち1つの放射状リブ65の径方向内端部に繋がる。第2リブ67が繋がる放射状リブ65は、第1リブ66が繋がる放射状リブ65と異なる放射状リブ65である。第2リブ67が繋がる放射状リブ65は、第1リブ66が繋がる放射状リブ65よりも後側に位置し、第1リブ66が繋がる放射状リブ65と周方向に間隔を空けて隣り合って配置される。
第2リブ67の少なくとも一部は、第1コイルエンド33aの内側に挿入されている。より詳細には、第2リブ67の右側の端部は、第1コイルエンド33aの内側に挿入されている。第2リブ67の周方向両側面のうち第1リブ66と対向する側の面は、貫通部64cにおける外側溝部64gの周方向側面と滑らかに繋がる。本実施形態において第2リブ67の周方向両側面のうち第1リブ66と対向する側の面は、上側斜め前方を向く面である。
本実施形態においてハウジング6は、油路部68と、ガイド部69と、を有する。すなわち、駆動装置1は、油路部68と、ガイド部69と、を備える。本実施形態において油路部68は、貫通部64cと第2リブ67とによって構成される。すなわち、油路部68は、貫通部64cと、第2リブ67と、を有する。油路部68は、支持部64の外側から支持部64の内側まで延びる。図5に示すように、本実施形態において油路部68は、モータ軸J1の軸方向に見て、鉛直方向に対して傾いた方向に延びる。本実施形態において油路部68は、下側に向かうに従って車両の前方(+X方)に位置する方向に延びる。油路部68は、支持部64の外側かつ上側に開口する上開口部68aを有する。本実施形態において上開口部68aの縁部は、貫通部64cの上側の端部と第2リブ67の上側の端部とによって構成される。
油路部68の内側面は、貫通部64cの内側面を含む。すなわち、油路部68の内側面は、外側溝部64gの傾斜面64eを有する。図6に示すように、傾斜面64eは、上開口部68aから径方向内側に向かうに従って右側に位置する。傾斜面64eは、上開口部68aから支持部64の内側に向かうに従って第1ベアリング26に近づく。本実施形態において油路部68の内側面は、貫通部64cの内側面と第2リブ67の周方向側面とによって構成される。
図5に示すように、ガイド部69は、油路部68にオイルOを導く。ガイド部69は、上開口部68aの周囲に位置する。ガイド部69は、例えば、上開口部68aの前側に隣接して設けられる。本実施形態においてガイド部69は、接続部64dと第1リブ66とによって構成される。すなわち、ガイド部69は、接続部64dと、第1リブ66と、を有する。
接続部64dは、支持部64の外側面のうち上開口部68aと第1リブ66とを繋ぐ部分である。接続部64dは、支持部64の外側面のうち貫通部64cの周縁部であり、貫通部64cの周縁部のうち前側の部分である。接続部64dは、第1リブ66と貫通部64cとの周方向の間に位置する。本実施形態において接続部64dは、第1リブ66から上開口部68aに向かうに従って下側に位置する。接続部64dは、例えば、モータ軸J1を中心とする円弧状の面である。
図7に示すように、ハウジング6は、支持部164と、油路部168と、を有する。支持部164は、モータ収容部61の壁部のうちロータ20およびステータ30の右側を覆う壁部61bから左側に突出する。支持部164は、第2ベアリング27を支持する。支持部164は、例えば、設けられる位置が異なり、軸方向に対称に配置される点を除いて、支持部64と同様の構成である。油路部168は、支持部164に設けられる。油路部168は、例えば、設けられる位置が異なり、軸方向に対称に配置される点を除いて、油路部68と同様の構成である。図示は省略するが、支持部164には、例えば、支持部64と同様に、油路部168にオイルOを導くガイド部が設けられる。
モータ2のロータ20は、水平方向に延びるモータ軸J1を中心として回転可能である。ロータ20は、シャフト21と、ロータ本体24と、を有する。図示は省略するが、ロータ本体24は、ロータコアと、ロータコアに固定されるロータマグネットと、を有する。ロータ20のトルクは、伝達装置3に伝達される。
シャフト21は、モータ軸J1を中心として軸方向に沿って延びる。シャフト21は、モータ軸J1を中心として回転する。シャフト21は、内部に中空部22が設けられた中空シャフトである。シャフト21には、連通孔23が設けられる。連通孔23は、径方向に延びて中空部22とシャフト21の外部とを繋ぐ。
シャフト21は、ハウジング6のモータ収容部61とギヤ収容部62とに跨って延びる。シャフト21の左側の端部は、ギヤ収容部62の内部に突出する。シャフト21の左側の端部には、伝達装置3の後述する第1のギヤ41が固定される。シャフト21は、第1ベアリング26および第2ベアリング27により回転可能に支持される。
ステータ30は、ロータ20と径方向に隙間を介して対向する。より詳細には、ステータ30は、ロータ20の径方向外側に位置する。ステータ30は、ステータコア32と、コイルアセンブリ31と、を有する。ステータコア32は、ロータ20を囲む。ステータコア32は、モータ収容部61の内周面に固定される。図2および図3に示すように、ステータコア32は、ステータコア本体32aと、固定部32bと、を有する。図示は省略するが、ステータコア本体32aは、軸方向に延びる円筒状のコアバックと、コアバックから径方向内側に延びる複数のティースと、を有する。複数のティースは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。
図2に示すように、固定部32bは、ステータコア本体32aの外周面から径方向外側に突出する。固定部32bは、ハウジング6に固定される部分である。固定部32bは、周方向に沿って間隔を空けて複数設けられる。固定部32bは、例えば、4つ設けられる。4つの固定部32bは、周方向の一周に亘って等間隔に配置される。
固定部32bのうちの1つは、ステータコア本体32aから上側に突出する。固定部32bのうちの他の1つは、ステータコア本体32aから下側に突出する。固定部32bのうちのさらに他の1つは、ステータコア本体32aから前側(+X側)に突出する。固定部32bのうちの残りの1つは、ステータコア本体32aから後側(-X側)に突出する。
固定部32bは、軸方向に延びる。固定部32bは、例えば、ステータコア本体32aの左側(+Y側)の端部からステータコア本体32aの右側(-Y側)の端部まで延びる。固定部32bは、固定部32bを軸方向に貫通する貫通孔32cを有する。図示は省略するが、貫通孔32cには、軸方向に延びるボルトが通される。当該ボルトは、例えば、右側(-Y側)から貫通孔32cに通され、隔壁63に設けられた雌ネジ穴に締め込まれる。これにより、固定部32bは、隔壁63に固定される。このようにしてステータ30は、ボルトによってハウジング6に固定される。
コイルアセンブリ31は、ステータコア32に取り付けられる。図1に示すように、コイルアセンブリ31は、周方向に沿ってステータコア32に取り付けられる複数のコイル31aを有する。複数のコイル31aは、図示しないインシュレータを介してステータコア32の各ティースにそれぞれ装着される。複数のコイル31aは、周方向に沿って配置される。より詳細には、複数のコイル31aは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。図示は省略するが、コイルアセンブリ31は、各コイル31aを結束する結束部材等を有してもよいし、各コイル31a同士を繋ぐ渡り線を有してもよい。
コイルアセンブリ31は、ステータコア32から軸方向に突出するコイルエンド33を有する。本実施形態においてコイルエンド33は、第1コイルエンド33aと、第2コイルエンド33bと、を含む。第1コイルエンド33aは、ステータコア32から左側に突出する。第2コイルエンド33bは、ステータコア32から右側に突出する。図2に示すように、第1コイルエンド33aおよび第2コイルエンド33bは、モータ軸J1を囲む環状である。より詳細には、第1コイルエンド33aおよび第2コイルエンド33bは、モータ軸J1を中心とする円環状である。
第1コイルエンド33aは、複数のコイル31aのうちステータコア32よりも左側に突出する部分を有する。第2コイルエンド33bは、複数のコイル31aのうちステータコア32よりも右側に突出する部分を有する。図示は省略するが、第1コイルエンド33aおよび第2コイルエンド33bは、各コイル31aを結束する結束部材等を有してもよいし、各コイル31a同士を繋ぐ渡り線を有してもよい。
図1に示すように、第1ベアリング26および第2ベアリング27は、ロータ20を回転可能に支持する。第1ベアリング26および第2ベアリング27は、例えば、ボールベアリングである。第1ベアリング26は、ロータ20のうちステータコア32よりも左側に位置する部分を回転可能に支持するベアリングである。すなわち、第1ベアリング26は、ロータ20の左側を回転可能に支持する。本実施形態において第1ベアリング26は、シャフト21のうちロータ本体24が固定される部分よりも左側に位置する部分を支持する。第1ベアリング26は、隔壁63に設けられた支持部64に保持される。
第2ベアリング27は、ロータ20のうちステータコア32よりも右側に位置する部分を回転可能に支持するベアリングである。すなわち、第2ベアリング27は、ロータ20の右側を回転可能に支持する。本実施形態において第2ベアリング27は、シャフト21のうちロータ本体24が固定される部分よりも右側に位置する部分を支持する。第2ベアリング27は、壁部61bに設けられた支持部164に保持される。
伝達装置3は、ハウジング6のギヤ収容部62に収容される。伝達装置3は、モータ2に接続される。より詳細には、伝達装置3は、シャフト21の左側の端部に接続される。伝達装置3は、減速装置4と、差動装置5と、を有する。モータ2から出力されるトルクは、減速装置4を介して差動装置5に伝達される。
減速装置4は、モータ2に接続される。減速装置4は、モータ2の回転速度を減じて、モータ2から出力されるトルクを減速比に応じて増大させる。減速装置4は、モータ2から出力されるトルクを差動装置5へ伝達する。減速装置4は、第1のギヤ41と、第2のギヤ42と、第3のギヤ43と、中間シャフト45と、を有する。
第1のギヤ41は、シャフト21の左側の端部における外周面に固定される。第1のギヤ41は、シャフト21とともに、モータ軸J1を中心に回転する。中間シャフト45は、モータ軸J1と平行な中間軸J2に沿って延びる。中間シャフト45は、中間軸J2を中心として回転する。第2のギヤ42および第3のギヤ43は、中間シャフト45の外周面に固定される。第2のギヤ42と第3のギヤ43とは、中間シャフト45を介して接続される。第2のギヤ42および第3のギヤ43は、中間軸J2を中心として回転する。第2のギヤ42は、第1のギヤ41に噛み合う。第3のギヤ43は、差動装置5の後述するリングギヤ51と噛み合う。
モータ2から出力されるトルクは、シャフト21、第1のギヤ41、第2のギヤ42、中間シャフト45、および第3のギヤ43をこの順に介して差動装置5のリングギヤ51へ伝達される。各ギヤのギヤ比およびギヤの個数等は、必要とされる減速比に応じて種々変更可能である。本実施形態において減速装置4は、各ギヤの軸芯が平行に配置される平行軸歯車タイプの減速機である。
差動装置5は、減速装置4を介しモータ2に接続される。差動装置5は、モータ2から出力されるトルクを車両の車輪に伝達するための装置である。差動装置5は、車両の旋回時に、左右の車輪の速度差を吸収しつつ、左右両輪の車軸55に同トルクを伝える。このように、本実施形態において伝達装置3は、減速装置4および差動装置5を介して、車両の車軸55にモータ2のトルクを伝達する。差動装置5は、リングギヤ51と、図示しないギヤハウジングと、図示しない一対のピニオンギヤと、図示しないピニオンシャフトと、図示しない一対のサイドギヤと、を有する。リングギヤ51は、モータ軸J1と平行な差動軸J3を中心として回転する。リングギヤ51には、モータ2から出力されるトルクが減速装置4を介して伝えられる。
モータ2には、ハウジング6の内部においてオイルOが循環する油路90が設けられる。油路90は、オイル溜りPからオイルOをモータ2に供給し、再びオイル溜りPに導くオイルOの経路である。油路90は、モータ収容部61の内部とギヤ収容部62の内部とに跨って設けられる。
なお、本明細書において「油路」とは、オイルの経路を意味する。したがって、「油路」とは、定常的に一方向に向かうオイルの流動を作る「流路」のみならず、オイルを一時的に滞留させる経路およびオイルが滴り落ちる経路をも含む概念である。オイルを一時的に滞留させる経路とは、例えば、オイルを貯留するリザーバ等を含む。
油路90は、第1の油路91と、第2の油路92と、を有する。第1の油路91および第2の油路92は、それぞれハウジング6の内部でオイルOを循環させる。第1の油路91は、かき上げ経路91aと、シャフト供給経路91bと、シャフト内経路91cと、ロータ内経路91dと、を有する。また、第1の油路91の経路中には、第1のリザーバ93が設けられる。第1のリザーバ93は、ギヤ収容部62内に設けられる。
かき上げ経路91aは、差動装置5のリングギヤ51の回転によってオイル溜りPからオイルOをかき上げて、第1のリザーバ93でオイルOを受ける経路である。第1のリザーバ93は、上側に開口する。第1のリザーバ93は、リングギヤ51がかき上げたオイルOを受ける。また、モータ2の駆動直後などオイル溜りPの液面Sが高い場合等には、第1のリザーバ93は、リングギヤ51に加えて第2のギヤ42および第3のギヤ43によってかき上げられたオイルOも受ける。
シャフト供給経路91bは、第1のリザーバ93からシャフト21の中空部22にオイルOを誘導する。シャフト内経路91cは、シャフト21の中空部22内をオイルOが通過する経路である。ロータ内経路91dは、オイルOがシャフト21の連通孔23からロータ本体24の内部を通過して、ステータ30に飛散する経路である。
シャフト内経路91cにおいて、ロータ20の内部のオイルOには、ロータ20の回転に伴い遠心力が付与される。これにより、オイルOは、ロータ20から径方向外側に連続的に飛散する。また、オイルOの飛散に伴い、ロータ20内部の経路が負圧となり、第1のリザーバ93に溜るオイルOが、ロータ20の内部に吸引され、ロータ20内部の経路にオイルOが満たされる。
ステータ30に到達したオイルOは、ステータ30から熱を奪う。ステータ30を冷却したオイルOは、下側に滴下され、モータ収容部61内の下部領域に溜る。モータ収容部61内の下部領域に溜ったオイルOは、隔壁63に設けられた隔壁開口63aを介してギヤ収容部62に移動する。以上のようにして、第1の油路91は、オイルOをロータ20およびステータ30に供給する。
第2の油路92においてオイルOは、オイル溜りPから引き上げられてステータ30に供給される。第2の油路92には、オイルポンプ96と、クーラー97と、第1オイル噴射部11および第2オイル噴射部12と、が設けられる。第2の油路92は、第1の流路92aと、第2の流路92bと、第3の流路92cと、オイル供給路94と、を有する。これにより、駆動装置1は、オイル供給路94を備える。
第1の流路92a、第2の流路92b、および第3の流路92cは、ハウジング6の壁部に設けられる。第1の流路92aは、オイル溜りPとオイルポンプ96とを繋ぐ。第2の流路92bは、オイルポンプ96とクーラー97とを繋ぐ。第3の流路92cは、クーラー97とオイル供給路94とを繋ぐ。第3の流路92cは、例えば、モータ収容部61の壁部のうち前側の壁部に設けられる。
本実施形態においてオイル供給路94は、隔壁63に設けられる。すなわち、ハウジング6は、オイル供給路94を有する。オイル供給路94は、第1オイル噴射部11と第2オイル噴射部12とを繋ぐ。すなわち、オイル供給路94は、第1オイル噴射部11と第2オイル噴射部12との両方に繋がる。図8に示すように、本実施形態においてオイル供給路94は、第1延伸部94aと、第2延伸部94bと、接続部94cと、を有する。第1延伸部94aは、第3の流路92cの端部から上側に延びる。第3の流路92cの端部は、モータ軸J1よりも下側かつ前側に位置する。第1延伸部94aは、モータ軸J1の前側を通って、モータ軸J1よりも下側の位置から、モータ軸J1よりも上側の位置まで延びる。第1延伸部94aは、例えば、鉛直方向に対して前後方向に傾いて直線状に延びる。第1延伸部94aは、例えば、上側に向かうに従って後側に位置する。第1延伸部94aの上側の端部は、シャフト21よりも上側に位置する。第1延伸部94aの上側の端部には、接続部94cが設けられる。
第2延伸部94bは、接続部94cを介して、第1延伸部94aの上側の端部と接続される。第2延伸部94bは、接続部94cから後側に延びる。第2延伸部94bは、例えば、前後方向と平行に直線状に延びる。第2延伸部94bは、モータ軸J1よりも上側に位置する。第2延伸部94bは、シャフト21よりも上側に位置する。第2延伸部94bは、モータ軸J1よりも前側の位置から、モータ軸J1よりも後側の位置まで延びる。
第2延伸部94bの内面のうち右側(-Y側)の部分には、第1オイル噴射部11に繋がる穴部94dと、第2オイル噴射部12に繋がる穴部94eと、が設けられる。これにより、第2延伸部94bは、第1オイル噴射部11と第2オイル噴射部12との両方に繋がる。穴部94dは、モータ軸J1よりも後側に位置する。穴部94eは、モータ軸J1よりも前側に位置する。
図6に示すように、穴部94dは、モータ収容部61の内部に開口する。穴部94dは、小径穴部94fと、大径穴部94gと、を有する。小径穴部94fは、第2延伸部94bの内部に開口する。大径穴部94gは、小径穴部94fの右側に繋がる。大径穴部94gは、モータ収容部61の内部に開口する。大径穴部94gの内径は、小径穴部94fの内径よりも大きい。大径穴部94gは、例えば、隔壁63からモータ収容部61の内部に突出する筒状部63bによって構成される。大径穴部94gの内部は、筒状部63bの内部である。図示は省略するが、穴部94eも、穴部94dと同様に、小径穴部と、大径穴部と、を有し、モータ収容部61の内部に開口する。
図8に示すように、第1延伸部94aの流路面積と第2延伸部94bの流路面積とは、例えば、互いに同じである。接続部94cの流路面積は、第1延伸部94aの流路面積および第2延伸部94bの流路面積よりも大きい。第3の流路92c内のオイルOは、第1延伸部94aの下側の端部に流入する。第1延伸部94aに流入したオイルOは、第1延伸部94aに沿って上側に流れて、接続部94cを介して第2延伸部94bに流入する。第2延伸部94bに流入したオイルOは、後側に流れて、穴部94d,94eを介して第1オイル噴射部11の内部および第2オイル噴射部12の内部に流入する。第2延伸部94b内のオイルOの流れ方向において、穴部94dおよび第1オイル噴射部11は、穴部94eおよび第2オイル噴射部12よりも下流側に位置する。
図1に示すように、第1オイル噴射部11および第2オイル噴射部12は、ハウジング6の内部に収容される。図2に示すように、本実施形態において第1オイル噴射部11および第2オイル噴射部12は、軸方向に延びるパイプである。第1オイル噴射部11および第2オイル噴射部12は、例えば、軸方向に直線状に延びる円筒状である。
なお、本明細書において「第1オイル噴射部および第2オイル噴射部がモータ軸の軸方向に直線状に延びる」とは、第1オイル噴射部および第2オイル噴射部が厳密に軸方向に直線状に延びる場合に加えて、第1オイル噴射部および第2オイル噴射部が略軸方向に直線状に延びる場合も含む。すなわち、本実施形態において「第1オイル噴射部11および第2オイル噴射部12が軸方向に直線状に延びる」とは、例えば、第1オイル噴射部11および第2オイル噴射部12が軸方向に対して僅かに傾いて延びていてもよい。この場合、第1オイル噴射部11が軸方向に対して傾く向きと第2オイル噴射部12が軸方向に対して傾く向きとは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
本実施形態において第1オイル噴射部11と第2オイル噴射部12とは、互いに平行な方向に延びる。第1オイル噴射部11および第2オイル噴射部12は、ステータ30の径方向外側において互いに周方向に間隔を空けて配置される。本実施形態において第1オイル噴射部11および第2オイル噴射部12は、ステータ30の鉛直方向上側に位置する。
なお、本明細書において「或る対象が他の対象の所定方向一方側に位置する」とは、駆動装置が水平面に配置された状態で、或る対象と他の対象とを所定方向一方側から見た際に、或る対象と他の対象とが互いに重なり、かつ、或る対象が他の対象よりも手前側に位置することを含む。すなわち、図3に示すように、本実施形態では、駆動装置1が水平面に配置された状態で、第1オイル噴射部11および第2オイル噴射部12とステータ30とを鉛直方向上側から見た際、第1オイル噴射部11および第2オイル噴射部12とステータ30とは、互いに重なり、かつ、第1オイル噴射部11および第2オイル噴射部12は、ステータ30よりも手前側に位置する。なお、本明細書において「駆動装置が水平面に配置された状態」とは、駆動装置が搭載された車両が水平な路面上に配置されることを含む。
本実施形態において第1オイル噴射部11と第2オイル噴射部12とは、鉛直方向に見て、モータ軸J1を挟んで配置される。第1オイル噴射部11は、モータ軸J1よりも後側に位置する。第2オイル噴射部12は、モータ軸J1よりも前側に位置する。第1オイル噴射部11と第2オイル噴射部12とは、例えば、ステータコア本体32aから上側に突出する固定部32bを前後方向および周方向に挟んで配置される。
図5に示すように、第1オイル噴射部11の鉛直方向位置と第2オイル噴射部12の鉛直方向位置とは、例えば、互いに同じである。第1オイル噴射部11の径方向位置と第2オイル噴射部12の径方向位置とは、例えば、互いに同じである。本実施形態では、軸方向に見て、第1オイル噴射部11と第2オイル噴射部12とは、中心線CLを挟んで配置される。中心線CLは、軸方向に見て、モータ軸J1を通り鉛直方向に延びる仮想線である。中心線CLは、鉛直方向と平行に延びる。軸方向に見て、第1オイル噴射部11と第2オイル噴射部12とは、中心線CLに対して線対称に配置される。
図2に示すように、第1オイル噴射部11の左側の端部および第2オイル噴射部12の左側の端部は、開口する。第1オイル噴射部11の右側の端部および第2オイル噴射部12の右側の端部は、閉塞される。図3に示すように、第2オイル噴射部12の軸方向の寸法は、例えば、第1オイル噴射部11の軸方向の寸法よりも大きい。第1オイル噴射部11の左側の端部における軸方向位置と第2オイル噴射部12の左側の端部における軸方向位置とは、例えば、互いに同じである。第2オイル噴射部12の右側の端部は、例えば、第1オイル噴射部11の右側の端部よりも右側に位置する。
図1に示すように、第1オイル噴射部11の左側の端部および第2オイル噴射部12の左側の端部は、隔壁63に固定される。図6に示すように、第1オイル噴射部11の左側の端部は、例えば、隔壁63に設けられた穴部94dに挿し込まれて、隔壁63に固定される。より詳細には、第1オイル噴射部11の左側の端部は、筒状部63bの内側、すなわち大径穴部94gに挿し込まれる。第2オイル噴射部12の左側の端部は、例えば、隔壁63に設けられた穴部94eに挿し込まれて、隔壁63に固定される。第1オイル噴射部11の右側の端部および第2オイル噴射部12の右側の端部は、例えば、図示しない取付部を介して、モータ収容部61の壁部のうち上側に位置する壁部61cに固定される。このようにして、第1オイル噴射部11および第2オイル噴射部12は、ハウジング6に固定される。
ここで、オイル供給路94における第2延伸部94b内のオイルOの流れ方向において、穴部94eは、穴部94dよりも上流側に位置する。これにより、オイル供給路94のうち第2オイル噴射部12が繋がる部分は、オイル供給路94のうち第1オイル噴射部11が繋がる部分よりも、オイル供給路94内のオイルOの流れ方向における上流側に位置する。
本実施形態において第1オイル噴射部11の内径および第2オイル噴射部12の内径は、互いに同じである。すなわち、第1オイル噴射部11の流路面積と第2オイル噴射部12の流路面積とは、互いに同じである。本実施形態において第1オイル噴射部11の流路面積とは、軸方向と直交する断面における第1オイル噴射部11の内部の面積である。本実施形態において第2オイル噴射部12の流路面積とは、軸方向と直交する断面における第2オイル噴射部12の内部の面積である。
なお、本明細書において「或るパラメータ同士が互いに同じである」とは、或るパラメータ同士が厳密に互いに同じである場合に加えて、或るパラメータ同士が互いに略同じである場合も含む。すなわち、例えば、「第1オイル噴射部11の流路面積と第2オイル噴射部12の流路面積とが互いに同じである」とは、第1オイル噴射部11の流路面積と第2オイル噴射部12の流路面積とが互いに略同じである場合も含む。「或るパラメータ同士が互いに略同じである」とは、例えば、公差の範囲内で、或るパラメータ同士が僅かにずれていることを含む。
図5に示すように、本実施形態において第1オイル噴射部11は、壁部61cに設けられた凹部61dの内部に配置される。第2オイル噴射部12は、壁部61cに設けられた凹部61eの内部に配置される。凹部61dおよび凹部61eは、上側に窪む。凹部61dと凹部61eとは、前後方向に離れて配置される。各オイル噴射部が各凹部の内部に配置されることで、第1オイル噴射部11と第2オイル噴射部12との前後方向の間には、壁部61cの一部である介在壁部61fが設けられる。第1オイル噴射部11は、凹部61dの内側面から離れて配置される。第2オイル噴射部12は、凹部61eの内側面から離れて配置される。
図3に示すように、第1オイル噴射部11は、噴射口13a,14aと、第1供給口15aと、を有する。第2オイル噴射部12は、噴射口13b,14bと、第2供給口15bと、を有する。噴射口13a,14aと第1供給口15aとは、第1オイル噴射部11の外側面に設けられる。噴射口13b,14bと第2供給口15bとは、第2オイル噴射部12の外側面に設けられる。各噴射口および各供給口は、例えば、円形状である。
オイル供給路94から第1オイル噴射部11の内部および第2オイル噴射部12の内部に供給されたオイルOは、第1オイル噴射部11および第2オイル噴射部12に設けられた各噴射口および各供給口から噴射される。噴射口13a,13b,14a,14bは、ステータ30に向けてオイルOを噴射する。第1供給口15aは、第1ベアリング26にオイルOを供給する。第2供給口15bは、第2ベアリング27にオイルOを供給する。
第1オイル噴射部11には、第2ベアリング27にオイルOを供給する供給口が設けられていない。第2オイル噴射部12には、第1ベアリング26にオイルOを供給する供給口が設けられていない。すなわち、第1オイル噴射部11と第2オイル噴射部12とのうちで第1オイル噴射部11のみが、第1ベアリング26にオイルOを供給する供給口を有する。また、第1オイル噴射部11と第2オイル噴射部12とのうちで第2オイル噴射部12のみが、第2ベアリング27にオイルOを供給する供給口を有する。
本実施形態において第1オイル噴射部11および第2オイル噴射部12に設けられた各噴射口および各供給口は、各オイル噴射部の壁部を内側面から外側面まで貫通する貫通孔の開口部のうち、各オイル噴射部の外側面に開口する開口部である。
具体的には、図5に示すように、第1供給口15aは、第1オイル噴射部11の壁部を内側面から外側面まで貫通する第1貫通孔16aの開口部のうち、第1オイル噴射部11の外側面に開口する開口部である。このように、第1オイル噴射部11は、第1貫通孔16aを有する。図7に示すように、第2供給口15bは、第2オイル噴射部12の壁部を内側面から外側面まで貫通する第2貫通孔16bの開口部のうち、第2オイル噴射部12の外側面に開口する開口部である。このように、第2オイル噴射部12は、第2貫通孔16bを有する。第1貫通孔16aおよび第2貫通孔16bを作ることで、第1供給口15aおよび第2供給口15bを容易に作ることができる。第1貫通孔16aは、第1オイル噴射部11の中心軸を中心とする径方向に延びる。第2貫通孔16bは、第2オイル噴射部12の中心軸を中心とする径方向に延びる。
図6に示すように、第1貫通孔16aの軸方向位置は、第1ベアリング26の一部の軸方向位置と同じである。第1貫通孔16aの軸方向位置は、例えば、第1ベアリング26の左側の端部の軸方向位置と同じである。図7に示すように、第2貫通孔16bは、第2ベアリング27よりも左側に位置する。図6および図7に示すように、第1貫通孔16aの開口部のうち第1オイル噴射部11の内側面に開口する開口部17aの開口面積と、第2貫通孔16bの開口部のうち第2オイル噴射部12の内側面に開口する開口部17bの開口面積とは、例えば、互いに同じである。
図7に示すように、第2貫通孔16bの内側面は、延伸面16cと、傾斜面16dと、を有する。本実施形態において延伸面16cおよび傾斜面16dは、第2貫通孔16bの内側面のうち右側の部分である。すなわち、延伸面16cおよび傾斜面16dは、左側を向く。
延伸面16cは、第2オイル噴射部12の内側面から軸方向と直交する第2方向D2に延びる。本実施形態において第2方向D2は、鉛直方向に対して前後方向に傾いた方向である。延伸面16cは、例えば、第2オイル噴射部12の内側面から下側斜め後方に延びる。すなわち、第2方向D2は、下側に向かうに従って後側に向かう方向である。延伸面16cは、例えば、曲面である。
本実施形態において第2貫通孔16bの傾斜面16dは、第2貫通孔16bの延伸面16cの先端部から第2オイル噴射部12の外側面まで延びる。本実施形態において延伸面16cの先端部は、延伸面16cの下側の端部である。傾斜面16dは、第2方向D2に対して軸方向に傾いた方向に延びる。傾斜面16dは、第2方向D2に沿って第2オイル噴射部12の外側面に向かうに従って右側に位置する。ここで、第2貫通孔16bは、第2ベアリング27よりも左側に位置する。そのため、傾斜面16dは、第2オイル噴射部12の外側面に向かうに従って第2ベアリング27に近づく。傾斜面16dは、例えば、曲面である。傾斜面16dは、例えば、第2オイル噴射部12の外側面に向かうに従って内径が大きくなるテーパ面の一部である。
図9に示すように、軸方向および第2方向D2の両方と直交する第3方向D3において、傾斜面16dの最大幅は、例えば、延伸面16cの最大幅以下である。本実施形態において傾斜面16dの最大幅と延伸面16cの最大幅とは、互いに同じである。傾斜面16dの第3方向D3の最大幅は、例えば、第2貫通孔16bの開口部のうち第2オイル噴射部12の内側面に開口する開口部17bの内径と同じである。傾斜面16dの右側部分において、傾斜面16dの第3方向D3の幅は、右側に向かうに従って小さくなる。傾斜面16dの右側部分の外縁は、第2方向D2に見て、右側に凸となる円弧状である。
図3に示すように、噴射口13aおよび噴射口13bは、ステータコア32の上側に位置する。より詳細には、噴射口13aおよび噴射口13bは、ステータコア本体32aの上側に位置する。噴射口13aと噴射口13bとは、鉛直方向に見て、モータ軸J1を挟んで対称に配置される。噴射口13aおよび噴射口13bから噴射されるオイルOは、ステータコア32に供給される。噴射口13aおよび噴射口13bは、それぞれ軸方向に沿って間隔を空けて複数ずつ設けられる。噴射口13aおよび噴射口13bは、例えば、4つずつ設けられる。噴射口13aの開口面積と噴射口13bの開口面積とは、例えば、互いに同じである。
噴射口14aおよび噴射口14bは、コイルエンド33の上側に位置する。噴射口14aおよび噴射口14bは、例えば、2つずつ設けられる。2つの噴射口14aの一方は、第1オイル噴射部11において複数の噴射口13aよりも左側に位置し、第1コイルエンド33aの上側に位置する。2つの噴射口14aの他方は、第1オイル噴射部11において複数の噴射口13aよりも右側に位置し、第2コイルエンド33bの上側に位置する。2つの噴射口14bの一方は、第2オイル噴射部12において複数の噴射口13bよりも左側に位置し、第1コイルエンド33aの上側に位置する。2つの噴射口14bの他方は、第2オイル噴射部12において複数の噴射口13bよりも右側に位置し、第2コイルエンド33bの上側に位置する。
第1コイルエンド33aの上側に位置する噴射口14aと噴射口14bとは、鉛直方向に見て、モータ軸J1を挟んで対称に配置される。第2コイルエンド33bの上側に位置する噴射口14aと噴射口14bとは、鉛直方向に見て、モータ軸J1を挟んで対称に配置される。噴射口14aおよび噴射口14bから噴射されるオイルOは、各コイルエンド33に供給される。噴射口14aの開口面積と噴射口14bの開口面積とは、例えば、互いに同じである。噴射口14a,14bの開口面積と噴射口13a,13bの開口面積とは、例えば、互いに同じである。
第1供給口15aは、第1オイル噴射部11において、第1コイルエンド33aの上側に位置する噴射口14aよりも左側に位置する。すなわち、第1供給口15aは、噴射口13a,14aよりも左側に位置する。オイル供給路94に接続された第1オイル噴射部11の左側の端部から第1供給口15aまでの軸方向距離は、第1オイル噴射部11の左側の端部から噴射口13a,14aまでの軸方向距離よりも小さい。これにより、第1供給口15aは、第1オイル噴射部11内を流れるオイルOの流れ方向において、噴射口13a,14aよりも上流側に位置する。
第1供給口15aは、例えば、第1オイル噴射部11の左側の端部に設けられる。第1供給口15aは、第1コイルエンド33aよりも左側に位置する。本実施形態において第1供給口15aは、第1ベアリング26の上側に位置する。図5に示すように、本実施形態において第1供給口15aは、軸方向に見て、鉛直方向に対して前後方向に傾いた向きに開口する。より詳細には、第1供給口15aは、下側斜め前方に開口する。第1供給口15aが開口する向きは、例えば、ほぼモータ軸J1を向く向き、すなわち径方向内側向きである。なお、本明細書において「供給口が開口する向き」とは、供給口の中心を通り、供給口の中心に対して垂直な法線に沿った向きを含む。また、本明細書において「噴射口が開口する向き」とは、噴射口の中心を通り、噴射口の中心に対して垂直な法線に沿った向きを含む。
第1供給口15aは、ガイド部69に向けて開口する。本実施形態において第1供給口15aは、接続部64dに向けて開口する。すなわち、第1供給口15aは、支持部64の外側面の一部に向けて開口する。第1供給口15aは、鉛直方向に見て、油路部68と重なる。第1供給口15aは、上開口部68aの上側に位置する。本実施形態において第1供給口15aは、第2リブ67の上側に位置する。より詳細には、第1供給口15aは、第2リブ67のうち油路部68の内側面の一部を構成する周方向側面の上側に位置する。第1供給口15aの開口面積は、例えば、噴射口13a,13b,14a,14bの開口面積と同じである。
図6に示すように、第1供給口15aの一部は、第1オイル噴射部11の左側の端部が挿し込まれた筒状部63bによって覆われる。本実施形態では、第1供給口15aのうち左側の端部が、筒状部63bの右側の端部によって覆われる。すなわち、本実施形態において筒状部63bの右側の端部は、第1供給口15aの一部を覆う被覆部63cである。このように、本実施形態においてハウジング6は、被覆部63cを有する。被覆部63cは、内側面によって第1供給口15aの一部を覆う。被覆部63cの内側面は、大径穴部94gの内側面である。本実施形態において被覆部63cは、第1供給口15aの一部を閉塞する。
図5に示すように、第1供給口15aから噴射されたオイルOは、ガイド部69に吹き付けられ、ガイド部69によって油路部68へと導かれる。これにより、油路部68へと導かれたオイルOは、油路部68を介して、支持部64の内側まで流れる。これにより、第1供給口15aから支持部64の外側面に噴射されたオイルOが、支持部64の内側に配置された第1ベアリング26に供給される。
図3に示すように、第2供給口15bは、第2オイル噴射部12において、第2コイルエンド33bの上側に位置する噴射口14bよりも右側に位置する。第2供給口15bは、例えば、第2オイル噴射部12の右側の端部に設けられる。第2供給口15bは、第2コイルエンド33bよりも右側に位置する。本実施形態において第2供給口15bは、第2ベアリング27よりも僅かに左側に位置する。第2供給口15bの軸方向位置は、第2コイルエンド33bの軸方向位置と第2ベアリング27の軸方向位置との間である。
オイル供給路94に接続された第2オイル噴射部12の左側の端部から、第2供給口15bまでの軸方向距離は、オイル供給路94に接続された第1オイル噴射部11の左側の端部から第1供給口15aまでの軸方向距離よりも大きい。本実施形態においてオイル供給路94に接続された第2オイル噴射部12の左側の端部から、第2供給口15bまでの軸方向距離は、オイル供給路94から第2供給口15bまでの流路長である。本実施形態においてオイル供給路94に接続された第1オイル噴射部11の左側の端部から、第1供給口15aまでの軸方向距離は、オイル供給路94から第1供給口15aまでの流路長である。すなわち、オイル供給路94から第2供給口15bまでの流路長は、オイル供給路94から第1供給口15aまでの流路長よりも長い。
図示は省略するが、本実施形態において第2供給口15bは、軸方向に見て、鉛直方向に対して前後方向に傾いた向きに開口する。より詳細には、第2供給口15bは、下側斜め後方に開口する。第2供給口15bが開口する向きは、例えば、ほぼモータ軸J1を向く向き、すなわち径方向内側向きである。図7に示すように、傾斜面16dが設けられることで、第2供給口15bの開口面積は、開口部17bの開口面積よりも大きくなっている。本実施形態において第2供給口15bの開口面積は、第1供給口15aの開口面積よりも大きい。
第2供給口15bから噴射されるオイルOは、傾斜面16dに沿って、真下を向く向きに対して右側および後側に斜めに傾いた向きに噴射される。第2供給口15bから噴射されたオイルOは、油路部168を介して、支持部164の内側に流れる。これにより、第2供給口15bから噴射されたオイルOが、支持部164の内側に配置された第2ベアリング27に供給される。
以上のように、第1オイル噴射部11および第2オイル噴射部12は、上述した各噴射口を介して、ステータ30に向けて冷媒としてのオイルOを噴射する。これにより、第1オイル噴射部11および第2オイル噴射部12からステータ30にオイルOを供給でき、ステータ30を冷却できる。より具体的には、第1オイル噴射部11および第2オイル噴射部12からステータコア32、第1コイルエンド33a、および第2コイルエンド33bにオイルOを供給して、ステータコア32、第1コイルエンド33a、および第2コイルエンド33bを冷却できる。また、第1オイル噴射部11は、第1供給口15aを介して第1ベアリング26にオイルOを供給し、第2オイル噴射部12は、第2供給口15bを介して第2ベアリング27にオイルOを供給する。これにより、第1ベアリング26および第2ベアリング27に潤滑油としてオイルOを供給できる。
第1オイル噴射部11および第2オイル噴射部12からステータ30に供給されたオイルOは、下側に滴下され、モータ収容部61内の下部領域に溜る。また、第1ベアリング26および第2ベアリング27に供給されたオイルOも、下側に滴下されてモータ収容部61内の下部領域に溜まる場合がある。モータ収容部61内の下部領域に溜ったオイルOは、隔壁63に設けられた隔壁開口63aを介してギヤ収容部62のオイル溜りPに移動する。以上のようにして、第2の油路92は、オイルOをステータ30、第1ベアリング26、および第2ベアリング27に供給する。
図1に示すオイルポンプ96は、冷媒としてのオイルOを送るポンプである。本実施形態においてオイルポンプ96は、電気により駆動する電動ポンプである。オイルポンプ96は、第1の流路92aを介してオイル溜りPからオイルOを吸い上げて、第2の流路92b、クーラー97、第3の流路92c、オイル供給路94、および第1オイル噴射部11と第2オイル噴射部12との各オイル噴射部を介して、オイルOをモータ2に供給する。
図1に示すクーラー97は、第2の油路92を通過するオイルOを冷却する。クーラー97には、第2の流路92bおよび第3の流路92cが接続される。第2の流路92bおよび第3の流路92cは、クーラー97の内部流路を介して繋がる。クーラー97には、図示しないラジエータで冷却された冷却水を通過させる冷却水用配管98が接続される。クーラー97の内部を通過するオイルOは、冷却水用配管98を通過する冷却水との間で熱交換されて冷却される。
本実施形態によれば、第1オイル噴射部11は、第1ベアリング26にオイルOを供給する第1供給口15aを有し、第2オイル噴射部12は、第2ベアリング27にオイルOを供給する第2供給口15bを有する。すなわち、第1ベアリング26にオイルOを供給する供給口と第2ベアリング27にオイルOを供給する供給口とが、それぞれ別のオイル噴射部に設けられる。そのため、第1オイル噴射部11に、第1ベアリング26にオイルOを供給する供給口と第2ベアリング27にオイルOを供給する供給口との両方が設けられる場合に比べて、第1オイル噴射部11に設けられる開口数を少なくできる。また、第2オイル噴射部12に、第1ベアリング26にオイルOを供給する供給口と第2ベアリング27にオイルOを供給する供給口との両方が設けられる場合に比べて、第2オイル噴射部12に設けられる開口数を少なくできる。これにより、第1オイル噴射部11内の圧力および第2オイル噴射部12内の圧力が低下することを抑制できる。したがって、各オイル噴射部によって第1ベアリング26および第2ベアリング27にそれぞれオイルOを供給しつつ、噴射口13a,13b,14a,14bからステータ30に噴射されるオイルOの勢いが低下することを抑制できる。
また、本実施形態によれば、オイル供給路94のうち第2オイル噴射部12が繋がる部分は、オイル供給路94のうち第1オイル噴射部11が繋がる部分よりも、オイル供給路94内のオイルOの流れ方向における上流側に位置する。オイル供給路94から第2供給口15bまでの流路長は、オイル供給路94から第1供給口15aまでの流路長よりも長い。そのため、オイル供給路94内から第2オイル噴射部12内に流入するオイルOよりも後に第1オイル噴射部11内に流入するオイルOを、オイル供給路94から比較的近い第1供給口15aから噴射させることができる。また、オイル供給路94内から第1オイル噴射部11内に流入するオイルOよりも前に第2オイル噴射部12内に流入するオイルOを、オイル供給路94から比較的遠い第2供給口15bから噴射させることができる。これにより、オイル供給路94内に流入してから第1供給口15aまでにオイルOが流れる経路長と、オイル供給路94内に流入してから第2供給口15bまでにオイルOが流れる経路長とを同程度にしやすい。したがって、第1供給口15aから噴射されるオイルOの勢いと第2供給口15bから噴射されるオイルOの勢いとを同程度にしやすい。そのため、各ベアリングに均等にオイルOを供給しやすい。
また、本実施形態によれば、第1貫通孔16aの開口部のうち第1オイル噴射部11の内側面に開口する開口部17aの開口面積と、第2貫通孔16bの開口部のうち第2オイル噴射部12の内側面に開口する開口部17bの開口面積とは、互いに同じである。そのため、第1オイル噴射部11の内部から第1貫通孔16aに流入される単位時間当たりのオイルOの量と、第2オイル噴射部12の内部から第2貫通孔16bに流入される単位時間当たりのオイルOの量と、を同程度にできる。これにより、第1供給口15aから噴射されるオイルOの単位時間当たりの量と第2供給口15bから噴射される単位時間当たりのオイルOの量とを同程度にできる。したがって、各ベアリングに、より均等にオイルOを供給しやすい。
また、本実施形態によれば、第2貫通孔16bの内側面は、第2オイル噴射部12の外側面に向かうに従って第2ベアリング27に近づく傾斜面16dを有する。そのため、例えば、ハウジング6内における第2オイル噴射部12の配置の制限等により、第2供給口15bが第2ベアリング27から軸方向に離れた位置に配置される場合であっても、第2供給口15bから噴射されるオイルOを傾斜面16dに沿って第2ベアリング27に向けて飛ばしやすい。これにより、第2供給口15bが第2ベアリング27から軸方向に離れた位置に配置される場合であっても、第2供給口15bから第2ベアリング27にオイルOを供給できる。
また、本実施形態によれば、第2オイル噴射部12の内側面から第2方向D2に延びる延伸面16cが設けられ、傾斜面16dは、延伸面16cの先端部から第2オイル噴射部12の外側面まで延びる。そのため、傾斜面16dが第2オイル噴射部12の内側面から第2オイル噴射部12の外側面まで延びる場合に比べて、第2貫通孔16bの開口部17bの縁部において第2オイル噴射部12の壁部の厚さが薄くなることを抑制できる。これにより、開口部17bの縁部の強度を向上でき、開口部17bの縁部が損傷することを抑制できる。したがって、第2オイル噴射部12の内部から第2貫通孔16bに流入するオイルOの量が変動することを抑制できる。そのため、第2供給口15bから第2ベアリング27に供給されるオイルOの量が変動することを抑制できる。また、開口部17bの縁部の一部が損傷して分離することを抑制できる。そのため、オイルOに異物が混入することを抑制できる。
また、本実施形態によれば、第3方向D3において、傾斜面16dの最大幅は、延伸面16cの最大幅以下である。そのため、傾斜面16dの最大幅が延伸面16cの最大幅より大きい場合に比べて、延伸面16cから傾斜面16dに伝って噴射されるオイルOが傾斜面16dにおいて第3方向D3に飛散することを抑制できる。これにより、第2供給口15bから噴射されるオイルOを、傾斜面16dに沿って傾斜面16dが延びる方向に飛ばしやすい。したがって、第2供給口15bから噴射されるオイルOをより第2ベアリング27に供給しやすい。
また、本実施形態によれば、第1オイル噴射部11の流路面積と第2オイル噴射部12の流路面積とは、互いに同じである。そのため、第1オイル噴射部11内を流れるオイルOの圧力と第2オイル噴射部12内を流れるオイルOの圧力とを同程度にしやすい。これにより、第1供給口15aから噴射されるオイルOの勢いと第2供給口15bから噴射されるオイルOの勢いとをより同程度にしやすい。したがって、各ベアリングに、より均等にオイルOを供給しやすい。
また、本実施形態によれば、第1オイル噴射部11および第2オイル噴射部12は、パイプである。そのため、例えばハウジング6の壁部に孔を設けて第1オイル噴射部11および第2オイル噴射部12を作る場合に比べて、第1オイル噴射部11および第2オイル噴射部12を容易に作ることができる。また、第1オイル噴射部11および第2オイル噴射部12をハウジング6から取り外して交換することも容易である。
また、本実施形態によれば、第1供給口15aは、油路部68における上開口部68aの周囲に位置するガイド部69に向けて開口する。ここで、オイルOの温度が比較的高い場合には、オイルOの粘度が比較的低くなり、オイルOの流速が大きくなりやすい。そのため、第1供給口15aから噴射されるオイルOの勢いは十分に大きくなりやすい。この場合、図5に実線で示すように、第1供給口15aから噴射されるオイルOは、第1供給口15aが開口する向きに噴射され、ガイド部69に吹き付けられる。これにより、噴射されたオイルOの勢いをガイド部69によって低減させてから、ガイド部69を介してオイルOを油路部68に導くことができる。したがって、第1供給口15aから十分な勢いで噴射されたオイルOが油路部68に直接的に吹き付けられることを抑制できる。そのため、オイルOが油路部68の内側面で飛び跳ねて油路部68の外部に飛散することを抑制できる。これにより、油路部68を介して第1ベアリング26に供給されるオイルOの量が低減することを抑制できる。
また、オイルOの温度が比較的低い場合には、オイルOの粘度が比較的高くなり、オイルOの流速が小さくなりやすい。そのため、第1供給口15aから噴射されるオイルOの勢いが足りなくなりやすい。この場合、図5に破線で示すように、オイルOは、第1供給口15aから鉛直方向真下に垂れやすい。これに対して、本実施形態によれば、第1供給口15aは、上開口部68aの鉛直方向上側に位置する。そのため、第1供給口15aから鉛直方向真下に垂れたオイルOを、上開口部68aから油路部68に供給することができる。第1供給口15aから鉛直方向真下にオイルOが垂れる場合には、オイルOの勢いが十分に小さいため、油路部68に直接的にオイルOが供給されても、油路部68の内側面においてオイルOが飛び跳ねにくい。これにより、油路部68を介して第1ベアリング26に供給されるオイルOの量が低減することを抑制できる。また、オイルOの温度が比較的低くオイルOの流速が比較的低くても、オイルOを直接的に油路部68に供給できるため、第1供給口15aから第1ベアリング26にオイルOが供給されるまでの時間を短くしやすい。これにより、オイルOの温度が比較的低い場合であっても、第1ベアリング26へのオイルOの供給が遅れることを抑制できる。
また、本実施形態によれば、油路部68は、上開口部68aから支持部64の内側に向かうに従って第1ベアリング26に近づく傾斜面64eを有する。そのため、油路部68に供給されたオイルOを傾斜面64eに沿って、第1ベアリング26へと導きやすい。これにより、第1ベアリング26にオイルOを好適に供給できる。
また、本実施形態によれば、ガイド部69は、支持部64の外側面から径方向外側に突出する第1リブ66を有する。そのため、第1リブ66によってオイルOの流れを遮ることで、油路部68へとオイルOを導きやすくできる。本実施形態では、ガイド部69は、支持部64の外側面のうち上開口部68aと第1リブ66とを繋ぐ接続部64dを有し、第1供給口15aは、接続部64dに向けて開口する。そのため、図5に実線で示すように接続部64dに噴射されたオイルOが、上開口部68aと逆側に流れることを第1リブ66によって遮ることができる。これにより、接続部64dに噴射されたオイルOを上開口部68aへと導きやすくできる。したがって、ガイド部69によって油路部68へとオイルOを好適に導くことができる。そのため、油路部68を介して第1ベアリング26に好適にオイルOを供給できる。
また、本実施形態によれば、接続部64dは、第1リブ66から上開口部68aに向かうに従って鉛直方向下側に位置する。そのため、接続部64dに噴射されたオイルOを、重力を利用して、接続部64dに沿って上開口部68aへと流しやすい。これにより、ガイド部69によって油路部68へとオイルOをより好適に導くことができる。したがって、油路部68を介して第1ベアリング26に、より好適にオイルOを供給できる。
また、本実施形態によれば、油路部68は、貫通部64cと、貫通部64cの周縁部から径方向外側に突出する第2リブ67と、を有する。そのため、本実施形態のように、貫通部64cが鉛直方向に対して傾く場合に、第2リブ67によって、上開口部68aを鉛直方向と直交する方向に広くできる。具体的に本実施形態では、第2リブ67が支持部64の外側面から上側斜め後方に突出することで、上開口部68aを後側に広げることができる。これにより、オイルOの温度が比較的低い等により第1供給口15aからオイルOが鉛直方向真下に垂れる場合に、オイルOを上開口部68aによって受けやすい。したがって、第1供給口15aから垂れたオイルOを油路部68に流入させやすい。そのため、油路部68を介して第1ベアリング26に、より好適にオイルOを供給できる。
また、本実施形態によれば、ハウジング6は、支持部64と、第1供給口15aの一部を覆う被覆部63cと、を有する。そのため、図6に示すように、第1供給口15aから噴射されたオイルOの一部を被覆部63cからハウジング6の内壁面に伝わらせることができる。これにより、ハウジング6の内壁面を伝わらせてオイルOを油路部68へと導くことができる。本実施形態では第1供給口15aから噴射されたオイルOの一部は、被覆部63cから隔壁63の壁面を伝って、上開口部68aから油路部68へと流入する。したがって、オイルOを油路部68へとより好適に供給することができる。そのため、油路部68を介して第1ベアリング26に、より好適にオイルOを供給できる。
また、本実施形態によれば、油路部68は、モータ軸J1の軸方向に見て、鉛直方向に対して傾いた方向に延びる。そのため、例えば上述したように第2リブ67を設けることで、上開口部68aを鉛直方向と直交する方向に容易に広げることができる。本実施形態では、油路部68は、鉛直方向下側に向かうに従って車両の前方に位置する方向に延びる。そのため、車両が下り坂を走行する際においては、駆動装置1全体が傾き、油路部68の延びる方向が鉛直方向に近づく。これにより、上開口部68aから油路部68に流入したオイルOが油路部68内を支持部64の内側に向けて流れやすくなり、油路部68を介してオイルOをより第1ベアリング26に供給しやすくできる。特に車両が下り坂を走行する際には、車両の速度が大きくなりやすく、ロータ20の回転数も大きくなりやすい。そのため、オイルOを第1ベアリング26に供給しやすくできることで、第1ベアリング26によって、比較的高速で回転するロータ20を好適に支持できる。
また、本実施形態によれば、第1供給口15aは、第1オイル噴射部11内を流れるオイルOの流れ方向において、噴射口13a,14aよりも上流側に位置する。そのため、オイル供給路94から第1供給口15aまでの流路長が比較的短くなり、第1供給口15aから噴射されるオイルOの勢いが強くなりやすい。このような場合であっても、本実施形態によれば、上述したように、ガイド部69でオイルOを受けてから、オイルOを油路部68へと導けるため、オイルOが油路部68で飛び跳ねることを抑制できる。このように、オイルOが飛び跳ねることを抑制できる効果は、第1供給口15aが噴射口13a,14aよりも上流側に位置する構成において、より有用に得られる。
<第2実施形態>
図10および図11に示すように、本実施形態の第1オイル噴射部211および第2オイル噴射部212は、第1実施形態と同様にパイプである。図10に示すように、第1オイル噴射部211において、第1供給口215aは、第1ベアリング26よりも右側に位置する。第1供給口215aは、第1オイル噴射部211の壁部を内側面から外側面まで貫通する第1貫通孔216aの開口部のうち、第1オイル噴射部211の外側面に開口する開口部である。
本実施形態において第1貫通孔216aは、第1オイル噴射部211の内側面から外側面に向かうに従って、第1オイル噴射部211内のオイルOの流れ方向の上流側に位置する。すなわち、第1貫通孔216aは、第1オイル噴射部211の内側面から外側面に向かうに従って左側に位置する。これにより、第1貫通孔216aの内側面は、第1オイル噴射部211の外側面に向かうに従って第1ベアリング26に近づく傾斜面を有する。本実施形態では、第1貫通孔216aの内側面の全体が、当該傾斜面である。第1貫通孔216aがこのような傾斜面を有するため、第1供給口215aが第1ベアリング26から軸方向に離れて配置されても、図10に示すようにオイルOを第1ベアリング26に向けて噴射することができる。これにより、第1供給口215aから噴射されたオイルOを第1ベアリング26に供給しやすい。
本実施形態において第1オイル噴射部211は、第1オイル噴射部211の内側面に設けられた突起部218を有する。突起部218は、第1オイル噴射部211の内側面における第1貫通孔216aの周縁部のうち、第1オイル噴射部211内のオイルOの流れ方向における下流側の部分に位置する。突起部218のうち、第1オイル噴射部211内のオイルOの流れ方向の上流側の面は、軸方向と直交する垂直面218aである。本実施形態において垂直面218aは、突起部218の左側の面である。突起部218のうち、第1オイル噴射部211内のオイルOの流れ方向の下流側の面は、第1オイル噴射部211の内側面に向かうに従って下流側に位置する傾斜面218bである。本実施形態において傾斜面218bは、突起部218の右側の面である。
上述したように、本実施形態において第1貫通孔216aは、第1オイル噴射部211の内側面から外側面に向かうに従って、第1オイル噴射部211内のオイルOの流れ方向の上流側に位置する。そのため、第1貫通孔216a内を流れるオイルOは、軸方向において、第1オイル噴射部211内のオイルOの流れ方向の上流側に向かって流れる。言い換えれば、第1貫通孔216a内を流れるオイルOの軸方向の向きは、第1オイル噴射部211内を流れるオイルOの軸方向の向きに対して逆向きである。これに対して、本実施形態では、突起部218が設けられることで、第1オイル噴射部211内を流れるオイルOの一部を遮り、第1貫通孔216a内に導きやすくできる。これにより、第1供給口215aからオイルOを噴射させやすくできる。具体的に本実施形態では、第1オイル噴射部211内を左側から右側に流れるオイルOの一部は、垂直面218aによって遮られ、左側に流れて第1貫通孔216aへと流入する。
図11に示すように、本実施形態において第2供給口215bは、鉛直方向に見て油路部168と重なる。第2供給口215bは、油路部168の上開口部168aの上側に位置する。第2供給口215bの一部は、油路部168および第2ベアリング27よりも左側にずれて配置される。第2供給口215bは、第2オイル噴射部212の壁部を内側面から外側面まで貫通する第2貫通孔216bの開口部のうち、第2オイル噴射部212の外側面に開口する開口部である。第2貫通孔216bは、第2オイル噴射部212の中心軸を中心とする径方向に延びる。図示は省略するが、第2供給口215bは、上開口部168aの周囲に位置するガイド部に向けて開口する。第2供給口215bは、例えば、下側斜め後方に開口する。
第2オイル噴射部212は、第2供給口215bの周縁部に、第2ベアリング27にオイルOを導くガイド部219を有する。そのため、ガイド部219を介して、第2供給口215bから噴射されたオイルOを第2ベアリング27に好適に供給できる。ガイド部219は、第2貫通孔216bが延びる方向に突出する。ガイド部219は、下側斜め後方に突出する。
ガイド部219は、第2供給口215bの縁部からガイド部219の頂部219bまで延びる傾斜面219aを有する。傾斜面219aは、第2オイル噴射部212の中心軸を中心とする径方向の外側に向かうに従って、右側に位置する。すなわち、傾斜面219aは、第2オイル噴射部212の中心軸を中心とする径方向の外側に向かうに従って、第2ベアリング27が保持される壁部61bに近づく。本実施形態において頂部219bは、ガイド部219の右側の端部のうち、第2オイル噴射部212の中心軸を中心とする径方向の外端部である。頂部219bは、上開口部168aの上側に位置する。
図11に示すように、第2供給口215bから噴射されるオイルOの少なくとも一部は、ガイド部219の傾斜面219aを伝って頂部219bまで流れる。頂部219bに到達したオイルOは、鉛直方向真下に垂れて、上開口部168aから油路部168に流入する。このようにして、第2供給口215bから噴射されるオイルOの少なくとも一部が、油路部168を介して第2ベアリング27に供給される。そのため、本実施形態のように第2供給口215bの一部が油路部168に対してずれて配置される場合、および第2供給口215b全体が油路部168から軸方向に離れて配置される場合であっても、頂部219bを油路部168の上側に配置することで、第2供給口215bから噴射されるオイルOを好適に第2ベアリング27に供給することができる。
本実施形態の第1オイル噴射部211のその他の構成は、第1実施形態の第1オイル噴射部11のその他の構成と同様にできる。本実施形態の第2オイル噴射部212のその他の構成は、第1実施形態の第2オイル噴射部12のその他の構成と同様にできる。
<第3実施形態>
図12に示すように、本実施形態の油路部368は、軸方向に見て、鉛直方向に延びる。油路部368の上開口部368aは、鉛直方向真上に開口する。本実施形態のガイド部369は、第1リブ366と、凹部364jと、を有する。本実施形態において第1リブ366は、支持部64の外側面のうち、油路部368よりも後側に離れた位置に設けられる。
凹部364jは、支持部64の外側面に設けられる。より詳細には、凹部364jは、支持部64の外側面のうち上開口部368aの周縁部に設けられる。本実施形態において凹部364jは、上開口部368aの後側に位置する。凹部364jは、径方向内側に窪む。より詳細には、凹部364jは、本実施形態の第1供給口315aが向く向きに窪む。凹部364jは、例えば、下側斜め後方向きに窪む。凹部364jの内側面は、上開口部368aと第1リブ366とを繋ぐ。
本実施形態において第1オイル噴射部311は、油路部368の上側に位置する。第1オイル噴射部311の第1供給口315aは、鉛直方向に見て油路部368と重なる。第1供給口315aは、上開口部368aの上側に位置する。第1供給口315aは、下側斜め後方に開口する。第1供給口315aは、凹部364jに向けて開口する。そのため、第1供給口315aから十分な勢いで噴射されたオイルOは、凹部364jに吹き付けられる。これにより、第1供給口315aから噴射されたオイルOの勢いを凹部364jによって低減させることができる。ガイド部369に凹部364jが設けられることで、第1供給口315aから噴射されたオイルOを受け止めやすくできる。そのため、ガイド部369に噴射されたオイルOが飛び散ることを抑制でき、ガイド部369によって油路部368にオイルOを導きやすくできる。したがって、第1供給口315aから噴射されたオイルOを第1ベアリング26に供給しやすくできる。
また、図12に破線で示すように、オイルOの温度が比較的低い等により第1供給口315aからオイルOが真下に垂れる場合には、第1供給口315aから垂れるオイルOは、鉛直方向真上に開口する上開口部368aから油路部368に流入する。本実施形態において油路部368は鉛直方向に延びるため、油路部368が鉛直方向に対して傾く場合に比べて、油路部368内を支持部64の内側に向かって流れるオイルOの速度を大きくしやすい。これにより、オイルOの温度が比較的低くオイルOの速度が小さい場合であっても、第1供給口315aから垂れたオイルOを、第1ベアリング26へと比較的短時間で供給しやすい。
本実施形態の第1オイル噴射部311のその他の構成は、第1実施形態の第1オイル噴射部11のその他の構成と同様にできる。油路部368のその他の構成は、第1実施形態の油路部68のその他の構成と同様にできる。
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成を採用することもできる。第1供給口と第1ベアリングとの相対位置関係は、特に限定されない。第2供給口と第2ベアリングとの相対位置関係は、特に限定されない。第1供給口が開口する向きおよび第2供給口が開口する向きは、特に限定されない。第1供給口は、油路部にオイルOを導くガイド部のうち第1リブに向けて開口してもよい。第1供給口は、油路部にオイルOを導くガイド部に向けて開口しなくてもよい。
第1ベアリングにオイルOを供給する第1供給口は、第1オイル噴射部に複数設けられてもよい。第2ベアリングにオイルOを供給する第2供給口は、第2オイル噴射部に複数設けられてもよい。第1供給口の数と第2供給口の数とは、互いに同じであってもよいし、互いに異なってもよい。
第1供給口の開口面積と第2供給口の開口面積とは、互いに同じでもよい。この構成においては、第1供給口から噴射されるオイルOの圧力と第2供給口から噴射されるオイルOの圧力とをより均等にしやすい。第1供給口と第2供給口とが複数ずつ設けられる場合、複数の第1供給口の開口面積を足し合わせた総開口面積と第2供給口の開口面積を足し合わせた総開口面積とは、互いに同じであってもよいし、互いに異なってもよい。第1供給口の総開口面積と第2供給口の総開口面積とが互いに同じ場合、第1供給口から噴射されるオイルOの圧力と第2供給口から噴射されるオイルOの圧力とをより均等にしやすい。第1供給口と第2供給口との一方が1つのみ設けられ、第1供給口と第2供給口との他方が複数設けられてもよい。この場合、一方の供給口の開口面積と、他方の複数の供給口の開口面積を足し合わせた総開口面積とは、互いに同じであってもよいし、互いに異なってもよい。
第1オイル噴射部および第2オイル噴射部がパイプである場合において、各パイプは多角筒状のパイプであってもよい。第1オイル噴射部および第2オイル噴射部は、パイプでなくてもよい。第1オイル噴射部および第2オイル噴射部は、ハウジングに設けられた油路であってもよい。第1オイル噴射部の噴射口および第2オイル噴射部の噴射口は、ステータに向けてオイルOを噴射するならば、ステータのいずれの部位にオイルOを噴射してもよい。第1オイル噴射部の噴射口は、コイルエンドにオイルOを噴射する噴射口を含まなくてもよいし、ステータコアにオイルOを噴射する噴射口を含まなくてもよい。第2オイル噴射部の噴射口は、コイルエンドにオイルOを噴射する噴射口を含まなくてもよいし、ステータコアにオイルOを噴射する噴射口を含まなくてもよい。
第1貫通孔の構成が、上述した第1実施形態における第2貫通孔16bと同様の構成であってもよい。すなわち、第1貫通孔の内側面は、第1オイル噴射部の内側面から、第1オイル噴射部が延びる第1方向と直交する第2方向に延びる延伸面と、傾斜面と、を有し、当該傾斜面は、第1貫通孔の延伸面の先端部から第1オイル噴射部の外側面まで延びてもよい。この構成によれば、第1貫通孔の開口部のうち第1オイル噴射部の内側に開口する開口部の縁部において第1オイル噴射部11の壁部の厚さが薄くなることを抑制できる。そのため、上述した第1実施形態の第2貫通孔16bと同様に、第1貫通孔に流入するオイルOの量が変動することを抑制できる。また、第1貫通孔における開口部の縁部の一部が損傷して分離することを抑制でき、オイルOに異物が混入することを抑制できる。
第1オイル噴射部は、第1供給口の周縁部に、第1ベアリングにオイルOを導くガイド部を有してもよい。この構成によれば、上述した第2実施形態の第2オイル噴射部212と同様に、第1供給口から噴射されたオイルOを、当該ガイド部を介して第1ベアリングに好適に供給できる。第1オイル噴射部は、第1供給口の周縁部に第1ベアリングにオイルOを導くガイド部を有し、かつ、第2オイル噴射部は、第2供給口の周縁部に第2ベアリングにオイルOを導くガイド部を有してもよい。この構成によれば、第1ベアリングおよび第2ベアリングの両方に対して効果的にオイルを供給しやすい。
油路部は、上開口部を有し、支持部の外側から内側まで延びるならば、特に限定されない。油路部は、第2リブを有しなくてもよい。この場合、オイルOの温度が比較的低い場合等に第1供給口からオイルOが垂れた際に、オイルOが油路部に設けられた貫通部に直接流入する構成であってもよい。油路部の内側面のうち上開口部から支持部の内側に向かうに従ってベアリングに近づく傾斜面は、どのような向きに傾斜していてもよい。油路部は、設けられなくてもよい。油路部にオイルOを導くガイド部の構成は、特に限定されない。油路部にオイルOを導くガイド部は、第1リブを有しなくてもよい。油路部にオイルOを導くガイド部は、設けられなくてもよい。
第1オイル噴射部と第2オイル噴射部とを繋ぐオイル供給路は、どのような形状であってもよいし、どのような位置に設けられてもよい。
駆動装置は、モータを動力源として対象となる物体を動かすことができる装置であれば、特に限定されない。駆動装置は、伝達機構を備えなくてもよい。モータのトルクがモータのシャフトから直接対象に出力されてもよい。この場合、駆動装置は、モータそのものに相当する。モータ軸が延びる方向は、特に限定されない。モータ軸は、水平方向に対して傾いた方向に延びてもよい。なお、本明細書において「モータ軸が鉛直方向と直交する水平方向に延びる」とは、モータ軸が厳密に水平方向に延びる場合に加えて、モータ軸が略水平方向に延びる場合も含む。すなわち、本明細書において「モータ軸が鉛直方向と直交する水平方向に延びる」とは、モータ軸が水平方向に対して僅かに傾いていてもよい。また、上述した実施形態では、駆動装置がインバータユニットを含まない場合について説明したが、これに限られない。駆動装置は、インバータユニットを含んでいてもよい。言い換えると、駆動装置がインバータユニットと一体構造となっていてもよい。
駆動装置の用途は、特に限定されない。駆動装置は、車両に搭載されなくてもよい。本明細書において説明した構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。