以下の説明では、各実施形態の駆動装置が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合の位置関係を基に、鉛直方向を規定して説明する。すなわち、以下の各実施形態において説明する鉛直方向に対する相対位置関係は、駆動装置が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合に少なくとも満たしていればよい。
図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向である。+Z側は、鉛直方向上側であり、-Z側は、鉛直方向下側である。以下の説明では、鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって駆動装置が搭載される車両の前後方向である。以下の各実施形態において、+X側は、車両の前側であり、-X側は、車両の後側である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の左右方向、すなわち車幅方向である。以下の各実施形態において、+Y側は、車両の左側であり、-Y側は、車両の右側である。前後方向および左右方向は、鉛直方向と直交する水平方向である。
なお、前後方向の位置関係は、以下の各実施形態の位置関係に限られず、+X側が車両の後側であり、-X側が車両の前側であってもよい。この場合には、+Y側は、車両の右側であり、-Y側は、車両の左側である。
各図に適宜示すモータ軸J1は、鉛直方向と交差する方向に延びる。より詳細には、モータ軸J1は、鉛直方向と直交するY軸方向、すなわち車両の左右方向に延びる。以下の説明においては、特に断りのない限り、モータ軸J1に平行な方向を単に「軸方向」と呼び、モータ軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸J1を中心とする周方向、すなわち、モータ軸J1の軸回りを単に「周方向」と呼ぶ。なお、本明細書において、「平行な方向」は略平行な方向も含み、「直交する方向」は略直交する方向も含む。
<第1実施形態>
図1に示す本実施形態の駆動装置1は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、モータを動力源とする車両に搭載され、その動力源として使用される。図1に示すように、駆動装置1は、モータ2と、減速装置4および差動装置5を含む伝達装置3と、ハウジング6と、オイルポンプ96と、クーラー97と、冷媒供給部10と、を備える。また、図2に示すように、駆動装置1は、ブリーザ80を備える。なお、本実施形態において、駆動装置1はインバータユニットを含まない。言い換えると、駆動装置1はインバータユニットと別体構造となっている。
図1に示すように、ハウジング6は、内部にモータ2および伝達装置3を収容する。ハウジング6は、モータ収容部61と、ギヤ収容部62と、隔壁63と、を有する。モータ収容部61は、内部に後述するロータ20およびステータ30を収容する部分である。モータ収容部61は、後述するステータコア32を径方向外側から囲む。ギヤ収容部62は、内部に伝達装置3を収容する部分である。ギヤ収容部62は、モータ収容部61の左側に位置する。モータ収容部61の底部61aは、ギヤ収容部62の底部62aより上側に位置する。隔壁63は、モータ収容部61の内部とギヤ収容部62の内部とを軸方向に区画する。隔壁63には、隔壁開口63aが設けられる。隔壁開口63aは、モータ収容部61の内部とギヤ収容部62の内部とを繋ぐ。隔壁63は、ステータ30の左側に位置する。
ハウジング6は、内部に冷媒としてのオイルOを収容する。本実施形態では、モータ収容部61の内部およびギヤ収容部62の内部に、オイルOが収容される。ギヤ収容部62の内部における下部領域には、オイルOが溜るオイル溜りPが設けられる。オイル溜りPのオイルOは、後述する油路90によってモータ収容部61の内部に送られる。モータ収容部61の内部に送られたオイルOは、モータ収容部61の内部における下部領域に溜まる。モータ収容部61の内部に溜まったオイルOの少なくとも一部は、隔壁開口63aを介してギヤ収容部62に移動し、オイル溜りPに戻る。
なお、本明細書において「ある部分の内部にオイルが収容される」とは、モータが駆動している最中の少なくとも一部において、ある部分の内部にオイルが位置していればよく、モータが停止している際には、ある部分の内部にオイルが位置していなくてもよい。例えば、本実施形態においてモータ収容部61の内部にオイルOが収容されるとは、モータ2が駆動している最中の少なくとも一部において、モータ収容部61の内部にオイルOが位置していればよく、モータ2が停止している際においては、モータ収容部61の内部のオイルOがすべて隔壁開口63aを通ってギヤ収容部62に移動してしまっていてもよい。なお、後述する油路90によってモータ収容部61の内部へと送られたオイルOの一部は、モータ2が停止した状態において、モータ収容部61の内部に残っていてもよい。
オイルOは、後述する油路90内を循環する。オイルOは、減速装置4および差動装置5の潤滑用として使用される。また、オイルOは、モータ2の冷却用として使用される。オイルOとしては、潤滑油および冷却油の機能を奏するために、比較的粘度の低いオートマチックトランスミッション用潤滑油(ATF:Automatic Transmission Fluid)と同等のオイルを用いることが好ましい。
図2に示すように、ハウジング6は、モータ収容部61の内周面から径方向内側に突出する支持部64を有する。支持部64は、後述するステータコア本体32aの外周面と接触する。支持部64は、周方向に沿って間隔を空けて複数設けられる。図示は省略するが、支持部64は、軸方向に延びる。支持部64は、支持部64を周方向に貫通する貫通溝64aを有する。貫通溝64aは、支持部64の径方向内側面から径方向外側に窪む。貫通溝64aは、例えば、支持部64ごとに複数ずつ設けられる。1つの支持部64に設けられた複数の貫通溝64aは、例えば、軸方向に間隔を空けて配置される。各支持部64には、例えば、2つずつ貫通溝64aが設けられる。
ハウジング6には、ブリーザ80が設けられる。本実施形態においてブリーザ80は、通気孔66と、ブリーザパイプ81と、を有する。通気孔66は、ハウジング6の内部と外部とを繋ぐ。本実施形態において通気孔66は、モータ収容部61の内部と外部とを繋ぐ。通気孔66は、モータ収容部61の壁部のうち上側に位置する上側壁部61cに設けられる。上側壁部61cは、ハウジング6のうち上側の壁部である。本実施形態において通気孔66は、上側壁部61cを鉛直方向に貫通する。通気孔66は、例えば、円形状の孔である。
通気孔66は、ハウジング6の内部に開口する内側開口部66aを有する。本実施形態において内側開口部66aは、モータ収容部61の内周面に設けられたハウジング凹部61dの内部に開口する。ハウジング凹部61dは、モータ収容部61の内周面から径方向外側に窪む。より詳細には、ハウジング凹部61dは、上側壁部61cの下側の面から上側に窪む。ハウジング凹部61dは、例えば、モータ軸J1よりも後側(-X側)に位置する。本実施形態において内側開口部66aは、通気孔66の下側の端部である。通気孔66の上側の端部は、駆動装置1の外部に開口する。
ブリーザパイプ81は、両端部が開口する筒状である。ブリーザパイプ81の一端部は、通気孔66の上側の端部内に嵌め合わされる。ブリーザパイプ81の一端部は、通気孔66内に固定される。ブリーザパイプ81の一端部は、通気孔66内に開口する。ブリーザパイプ81の他端部は、ハウジング6の外部に位置する。ブリーザパイプ81は、通気孔66の内部とハウジング6の外部とを繋ぐ。ブリーザ80を介して、ハウジング6の内部とハウジング6の外部との間で空気が移動可能である。
図示は省略するが、ブリーザ80は、ブリーザパイプ81内に設けられた弁体を有する。弁体は、球状であり、ブリーザパイプ81の内周面に設けられた図示しない弁座に上側から接触する。弁座は、上側を向く環状のテーパ面であり、上側へ向かうに従い内径が大きくなる。弁体は、弁座に、上側に移動可能に載せられる。例えば、ハウジング6の内圧が外圧よりも高まり、内圧と外圧との圧力差が所定値以上になった場合、弁体は、弁座に対して上側へ移動する。これにより、ブリーザ80を通して、ハウジング6の内部と外部とが連通する。したがって、ハウジング6の内圧が高圧になることを抑制できる。なお、弁体は、例えば、駆動装置1が振動した場合等においても、弁座に対して上側へ移動する場合がある。
なお、図示は省略するが、ブリーザパイプ81の他端部、すなわちハウジング6の外部に位置する端部には、図示しないホースを設けてもよい。ホースの全長は、例えば、ブリーザパイプ81の全長よりも長い。ブリーザパイプ81より長いホースをブリーザパイプ81の他端部に設けることで、仮にブリーザパイプ81の他端部からホースの内部にオイルOが排出された場合であっても、オイルOがホースの内部から外部に排出されにくくできる。これにより、オイルOが駆動装置1の外部に漏れることを抑制できる。また、図示しないホースの先端にフィルタを設けてもよい。
ハウジング6は、ハウジング6の内部のうち内側開口部66aが開口する部分に面する障壁部65を有する。本実施形態においてハウジング6の内部のうち内側開口部66aが開口する部分は、ハウジング凹部61dの内部を含む。障壁部65は、例えば、ハウジング凹部61dを囲む壁面のうち、少なくとも前側(+X側)に位置する壁面の一部を構成する。障壁部65は、ハウジング凹部61dの内部の一部を前側から覆う。
なお、本明細書において「障壁部が、ハウジングの内部のうち内側開口部が開口する部分に面する」とは、障壁部の壁面の少なくとも一部が、ハウジングの内部のうち内側開口部が開口する部分を囲む壁面の一部を構成していればよい。
障壁部65は、例えば、モータ軸J1よりも後側(-X側)に位置する。図3から図5に示すように、障壁部65は、軸方向に延びる。障壁部65の左側(+Y側)の端部は、例えば、隔壁63に繋がる。障壁部65の右側(-Y側)の端部は、モータ収容部61のうち右側に位置する壁部61bの左側に間隔を空けて配置される。なお、本実施形態において軸方向は、「所定方向」に相当し、左側(+Y側)は、「所定方向の一方側」に相当する。
図3に示すように、障壁部65は、突出壁部65aと、対向壁部65bと、を有する。突出壁部65aは、上側壁部61cの内側面から下側に突出する。突出壁部65aは、軸方向に延びる。突出壁部65aの左側(+Y側)の端部は、例えば、隔壁63に繋がる。突出壁部65aの右側(-Y側)の端部は、例えば、壁部61bの左側に間隔を空けて配置される。
突出壁部65aは、雌ネジ穴65cと、回転止め凹部65dと、を有する。雌ネジ穴65cおよび回転止め凹部65dは、突出壁部65aの右側(-Y側)の端面から左側(+Y側)に窪む。回転止め凹部65dは、例えば、雌ネジ穴65cよりも上側かつ後側(-X側)に位置する。
対向壁部65bは、突出壁部65aの下側の端部から後側(-X側)に突出する。対向壁部65bの後側の端部は、内側開口部66aよりも後側に位置する。対向壁部65bの後側の端部は、ハウジング凹部61dの内側面のうち後側に位置する部分と隙間を介して前後方向に対向する。対向壁部65bは、内側開口部66aの下側に位置する。対向壁部65bは、内側開口部66aと隙間を介して鉛直方向に対向する。対向壁部65bは、軸方向に延びる。対向壁部65bの左側(+Y側)の端部は、例えば、隔壁63に繋がる。対向壁部65bの右側(-Y側)の端部は、例えば、壁部61bの左側に間隔を空けて配置される。
図5に示すように、対向壁部65bは、上側壁部61cの下側に位置する。対向壁部65bは、軸方向に延びる延伸隙間部Gを介して上側壁部61cと鉛直方向に対向する。延伸隙間部Gは、ハウジング6の内側面と障壁部65との隙間の一部である。つまり、ハウジング6の内側面と障壁部65との隙間は、軸方向に延びる延伸隙間部Gを含む。ハウジング6の内側面と障壁部65との隙間は、例えば、障壁部65と壁部61bとの軸方向の隙間も含む。
対向壁部65bの鉛直方向の寸法は、左側(+Y側)に向かうに従って大きくなる。対向壁部65bの上側の面は、左側に向かうに従って上側に位置する傾斜面65fである。傾斜面65fは、上側壁部61cの下側の面と延伸隙間部Gを介して鉛直方向に対向する。上側壁部61cの下側の面は、左側に向かうに従って下側に位置する傾斜面61eである。傾斜面65fと傾斜面61eとの間に位置する延伸隙間部Gの鉛直方向の寸法は、左側に向かうに従って小さくなる。言い換えれば、延伸隙間部Gの幅は、左側に向かうに従って狭くなる。
図2に示すように、対向壁部65bの下側の面は、例えば、周方向に沿った曲面である。対向壁部65bの下側の面は、後述するステータコア本体32aの外周面と接触する。図3に示すように、対向壁部65bは、対向壁部65bを周方向に貫通する貫通溝65eを有する。貫通溝65eは、対向壁部65bの径方向内側面から径方向外側に窪む。言い換えれば、貫通溝65eは、対向壁部65bの下側の面から上側に窪む。貫通溝65eは、例えば、軸方向に間隔を空けて複数設けられる。貫通溝65eは、例えば、2つ設けられる。
図1に示すように、本実施形態においてモータ2は、インナーロータ型のモータである。モータ2は、ロータ20と、ステータ30と、ベアリング26,27と、を備える。ロータ20は、水平方向に延びるモータ軸J1を中心として回転可能である。ロータ20は、シャフト21と、ロータ本体24と、を有する。図示は省略するが、ロータ本体24は、ロータコアと、ロータコアに固定されるロータマグネットと、を有する。ロータ20のトルクは、伝達装置3に伝達される。
シャフト21は、モータ軸J1を中心として軸方向に沿って延びる。シャフト21は、モータ軸J1を中心として回転する。シャフト21は、内部に中空部22が設けられた中空シャフトである。シャフト21には、連通孔23が設けられる。連通孔23は、径方向に延びて中空部22とシャフト21の外部とを繋ぐ。
シャフト21は、ハウジング6のモータ収容部61とギヤ収容部62とに跨って延びる。シャフト21の左側の端部は、ギヤ収容部62の内部に突出する。シャフト21の左側の端部には、伝達装置3の後述する第1のギヤ41が固定される。シャフト21は、ベアリング26,27により回転可能に支持される。
ステータ30は、ロータ20と径方向に隙間を介して対向する。より詳細には、ステータ30は、ロータ20の径方向外側に位置する。ステータ30は、ステータコア32と、コイルアセンブリ33と、を有する。ステータコア32は、ロータ20の径方向外側に位置する。ステータコア32は、ロータ20を囲む。ステータコア32は、モータ収容部61の内周面に固定される。
図2および図6に示すように、ステータコア32は、ステータコア本体32aと、固定部32bと、を有する。ステータコア本体32aの外周面は、ロータ20を囲む円筒状である。ステータコア本体32aの外周面は、例えば、モータ軸J1を中心とする円筒状である。図示は省略するが、ステータコア本体32aは、軸方向に延びる円筒状のコアバックと、コアバックから径方向内側に延びる複数のティースと、を有する。コアバックの外周面は、ステータコア本体の外周面である。複数のティースは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。
固定部32bは、ステータコア本体32aの外周面から径方向外側に突出する。固定部32bは、ハウジング6に固定される部分である。固定部32bは、周方向に沿って間隔を空けて複数設けられる。固定部32bは、例えば、4つ設けられる。4つの固定部32bは、例えば、周方向の一周に亘って等間隔に配置される。
固定部32bのうちの1つは、ステータコア本体32aから上側に突出する。固定部32bのうちの他の1つは、ステータコア本体32aから下側に突出する。固定部32bのうちのさらに他の1つは、ステータコア本体32aから前側(+X側)に突出する。固定部32bのうちの残りの1つは、ステータコア本体32aから後側(-X側)に突出する。
本実施形態においてステータコア本体32aから上側に突出する固定部32bは、モータ軸J1よりも上側に位置する上側固定部32fである。本実施形態においてステータコア本体32aから前側に突出する固定部32bは、前側固定部32gである。前側固定部32gは、例えば、モータ軸J1よりも下側に位置する。
図6に示すように、固定部32bは、軸方向に延びる。固定部32bは、例えば、ステータコア本体32aの左側(+Y側)の端部からステータコア本体32aの右側(-Y側)の端部まで延びる。固定部32bは、固定部32bを軸方向に貫通する貫通孔32cを有する。図2に示すように、貫通孔32cには、軸方向に延びるボルト35が通される。ボルト35は、右側(-Y側)から貫通孔32cに通され、隔壁63に設けられた雌ネジ穴に締め込まれる。ボルト35が雌ネジ穴に締め込まれることで、固定部32bは、隔壁63に固定される。このようにしてステータ30は、ボルト35によってハウジング6に固定される。
図1に示すように、コイルアセンブリ33は、周方向に沿ってステータコア32に取り付けられる複数のコイル31を有する。複数のコイル31は、図示しないインシュレータを介してステータコア32の各ティースにそれぞれ装着される。複数のコイル31は、周方向に沿って配置される。より詳細には、複数のコイル31は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。図示は省略するが、コイルアセンブリ33は、各コイル31を結束する結束部材等を有してもよいし、各コイル31同士を繋ぐ渡り線を有してもよい。
コイルアセンブリ33は、ステータコア32から軸方向に突出するコイルエンド33a,33bを有する。コイルエンド33aは、ステータコア32から左側に突出する部分である。コイルエンド33bは、ステータコア32から右側に突出する部分である。コイルエンド33aは、コイルアセンブリ33に含まれる各コイル31のうちステータコア32よりも左側に突出する部分を含む。コイルエンド33bは、コイルアセンブリ33に含まれる各コイル31のうちステータコア32よりも右側に突出する部分を含む。図6に示すように、本実施形態においてコイルエンド33a,33bは、モータ軸J1を中心とする円環状である。図示は省略するが、コイルエンド33a,33bは、各コイル31を結束する結束部材等を含んでもよいし、各コイル31同士を繋ぐ渡り線を含んでもよい。
図1に示すように、ベアリング26,27は、ロータ20を回転可能に支持する。ベアリング26,27は、例えば、ボールベアリングである。ベアリング26は、ロータ20のうちステータコア32よりも右側に位置する部分を回転可能に支持するベアリングである。本実施形態においてベアリング26は、シャフト21のうちロータ本体24が固定される部分よりも右側に位置する部分を支持する。ベアリング26は、モータ収容部61のうちロータ20およびステータ30の右側を覆う壁部61bに保持される。
ベアリング27は、ロータ20のうちステータコア32よりも左側に位置する部分を回転可能に支持するベアリングである。本実施形態においてベアリング27は、シャフト21のうちロータ本体24が固定される部分よりも左側に位置する部分を支持する。ベアリング27は、隔壁63に保持される。
伝達装置3は、ハウジング6のギヤ収容部62に収容される。伝達装置3は、モータ2に接続される。より詳細には、伝達装置3は、シャフト21の左側の端部に接続される。伝達装置3は、減速装置4と、差動装置5と、を有する。モータ2から出力されるトルクは、減速装置4を介して差動装置5に伝達される。
減速装置4は、モータ2に接続される。減速装置4は、モータ2の回転速度を減じて、モータ2から出力されるトルクを減速比に応じて増大させる。減速装置4は、モータ2から出力されるトルクを差動装置5へ伝達する。減速装置4は、第1のギヤ41と、第2のギヤ42と、第3のギヤ43と、中間シャフト45と、を有する。
第1のギヤ41は、シャフト21の左側の端部における外周面に固定される。第1のギヤ41は、シャフト21とともに、モータ軸J1を中心に回転する。中間シャフト45は、モータ軸J1と平行な中間軸J2に沿って延びる。中間シャフト45は、中間軸J2を中心として回転する。第2のギヤ42および第3のギヤ43は、中間シャフト45の外周面に固定される。第2のギヤ42と第3のギヤ43は、中間シャフト45を介して接続される。第2のギヤ42および第3のギヤ43は、中間軸J2を中心として回転する。第2のギヤ42は、第1のギヤ41に噛み合う。第3のギヤ43は、差動装置5の後述するリングギヤ51と噛み合う。
モータ2から出力されるトルクは、シャフト21、第1のギヤ41、第2のギヤ42、中間シャフト45、および第3のギヤ43をこの順に介して差動装置5のリングギヤ51へ伝達される。各ギヤのギヤ比およびギヤの個数等は、必要とされる減速比に応じて種々変更可能である。本実施形態において減速装置4は、各ギヤの軸芯が平行に配置される平行軸歯車タイプの減速機である。
差動装置5は、減速装置4を介しモータ2に接続される。差動装置5は、モータ2から出力されるトルクを車両の車輪に伝達するための装置である。差動装置5は、車両の旋回時に、左右の車輪の速度差を吸収しつつ、左右両輪の車軸55に同トルクを伝える。このように、本実施形態において伝達装置3は、減速装置4および差動装置5を介して、車両の車軸55にモータ2のトルクを伝達する。差動装置5は、リングギヤ51と、図示しないギヤハウジングと、図示しない一対のピニオンギヤと、図示しないピニオンシャフトと、図示しない一対のサイドギヤと、を有する。リングギヤ51は、モータ軸J1と平行な差動軸J3を中心として回転する。リングギヤ51には、モータ2から出力されるトルクが減速装置4を介して伝えられる。
モータ2には、ハウジング6の内部においてオイルOが循環する油路90が設けられる。油路90は、オイル溜りPからオイルOをモータ2に供給し、再びオイル溜りPに導くオイルOの経路である。油路90は、モータ収容部61の内部とギヤ収容部62の内部とに跨って設けられる。
なお、本明細書において「油路」とは、オイルの経路を意味する。したがって、「油路」とは、定常的に一方向に向かうオイルの流動を作る「流路」のみならず、オイルを一時的に滞留させる経路およびオイルが滴り落ちる経路をも含む概念である。オイルを一時的に滞留させる経路とは、例えば、オイルを貯留するリザーバ等を含む。
油路90は、第1の油路91と、第2の油路92と、を有する。第1の油路91および第2の油路92は、それぞれハウジング6の内部でオイルOを循環させる。第1の油路91は、かき上げ経路91aと、シャフト供給経路91bと、シャフト内経路91cと、ロータ内経路91dと、を有する。また、第1の油路91の経路中には、第1のリザーバ93が設けられる。第1のリザーバ93は、ギヤ収容部62内に設けられる。
かき上げ経路91aは、差動装置5のリングギヤ51の回転によってオイル溜りPからオイルOをかき上げて、第1のリザーバ93でオイルOを受ける経路である。第1のリザーバ93は、上側に開口する。第1のリザーバ93は、リングギヤ51がかき上げたオイルOを受ける。また、モータ2の駆動直後などオイル溜りPの液面Sが高い場合等には、第1のリザーバ93は、リングギヤ51に加えて第2のギヤ42および第3のギヤ43によってかき上げられたオイルOも受ける。
シャフト供給経路91bは、第1のリザーバ93からシャフト21の中空部22にオイルOを誘導する。シャフト内経路91cは、シャフト21の中空部22内をオイルOが通過する経路である。ロータ内経路91dは、オイルOがシャフト21の連通孔23からロータ本体24の内部を通過して、ステータ30に飛散する経路である。
シャフト内経路91cにおいて、ロータ20の内部のオイルOには、ロータ20の回転に伴い遠心力が付与される。これにより、オイルOは、ロータ20から径方向外側に連続的に飛散する。また、オイルOの飛散に伴い、ロータ20内部の経路が負圧となり、第1のリザーバ93に溜るオイルOが、ロータ20の内部に吸引され、ロータ20内部の経路にオイルOが満たされる。
ステータ30に到達したオイルOは、ステータ30から熱を奪う。ステータ30を冷却したオイルOは、下側に滴下され、モータ収容部61内の下部領域に溜る。モータ収容部61内の下部領域に溜ったオイルOは、隔壁63に設けられた隔壁開口63aを介してギヤ収容部62に移動する。以上のようにして、第1の油路91は、オイルOをロータ20およびステータ30に供給する。
第2の油路92においてオイルOは、オイル溜りPから引き上げられてステータ30に供給される。第2の油路92には、オイルポンプ96と、クーラー97と、冷媒供給部10と、が設けられる。第2の油路92は、第1の流路92aと、第2の流路92bと、第3の流路92cと、第4の流路94と、を有する。
第1の流路92a、第2の流路92b、第3の流路92c、および第4の流路94は、ハウジング6の壁部に設けられる。第1の流路92aは、オイル溜りPとオイルポンプ96とを繋ぐ。第2の流路92bは、オイルポンプ96とクーラー97とを繋ぐ。第3の流路92cは、クーラー97と第4の流路94とを繋ぐ。第3の流路92cは、例えば、モータ収容部61の壁部のうち前側(+X側)の壁部に設けられる。第4の流路94は、隔壁63に設けられる。第4の流路94は、第3の流路92cと冷媒供給部10とを繋ぐ。
冷媒供給部10は、モータ2に冷媒としてのオイルOを供給する。図6に示すように、冷媒供給部10は、第1管部材11と、第2管部材12と、を有する。本実施形態において第1管部材11および第2管部材12は、軸方向に延びるパイプである。第1管部材11および第2管部材12は、例えば、軸方向に直線状に延びる円筒状である。第1管部材11と第2管部材12とは、例えば、互いに平行である。図2に示すように、第1管部材11および第2管部材12は、ハウジング6の内部に収容される。第1管部材11および第2管部材12は、ステータ30の径方向外側に位置する。第1管部材11と第2管部材12とは、互いに周方向に間隔を空けて配置される。第1管部材11の径方向位置と第2管部材12の径方向位置とは、例えば、同じである。
なお、本明細書において「或るパラメータ同士が互いに同じである」とは、或るパラメータ同士が厳密に互いに同じである場合に加えて、或るパラメータ同士が互いに略同じである場合も含む。「或るパラメータ同士が互いに略同じである」とは、例えば、公差の範囲内で、或るパラメータ同士が僅かにずれていることを含む。
また、本明細書において「第1管部材および第2管部材がモータ軸の軸方向に直線状に延びる」とは、第1管部材および第2管部材が厳密に軸方向に直線状に延びる場合に加えて、第1管部材および第2管部材が略軸方向に直線状に延びる場合も含む。すなわち、本実施形態において「第1管部材11および第2管部材12が軸方向に直線状に延びる」とは、例えば、第1管部材11および第2管部材12が軸方向に対して僅かに傾いて延びていてもよい。この場合、第1管部材11が軸方向に対して傾く向きと第2管部材12が軸方向に対して傾く向きとは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
図6に示すように、第1管部材11は、管部材本体11aと、取付部材70と、を有する。本実施形態において管部材本体11aは、軸方向に延びる筒状である。管部材本体11aは、例えば、軸方向に延びる中心軸J4を中心とし、左側(+Y側)に開口する円筒状である。中心軸J4は、管部材本体11aの中心軸であり、モータ軸J1と平行な仮想軸である。管部材本体11aは、樹脂製である。管部材本体11aは、例えば、取付部材70をインサート部材とするインサート成形によって作られる。
管部材本体11aは、モータ軸J1よりも上側に位置する。本実施形態において管部材本体11aは、ステータ30の上側に位置する。より詳細には、本実施形態において管部材本体11aは、コイルエンド33a,33bの上側の端部よりも上側に位置する。管部材本体11aの径方向位置は、例えば、固定部32bの径方向位置と同じである。管部材本体11aは、例えば、上側固定部32fの後側(-X側)に位置する。
図2に示すように、本実施形態において管部材本体11aは、障壁部65の前側(+X側)に位置する。管部材本体11aは、例えば、障壁部65と上側固定部32fとの周方向の間に位置する。管部材本体11aは、例えば、障壁部65と上側固定部32fとの前後方向の間に位置する。管部材本体11aの上側の端部は、内側開口部66aよりも上側に位置する。管部材本体11aの下側の端部は、内側開口部66aよりも下側に位置する。前後方向に見て、管部材本体11aは、通気孔66の少なくとも一部と重なる。
なお、本明細書において「或る対象が他の対象の或る方向の一方側に位置する」とは、駆動装置が水平面に配置された状態で、或る対象と他の対象とを或る方向の一方側から見た際に、或る対象と他の対象とが互いに重なり、かつ、或る対象が他の対象よりも手前側に位置することを含む。例えば、本実施形態のように管部材本体11aがステータ30の上側に位置する場合には、駆動装置1が水平面に配置された状態で、管部材本体11aとステータ30とを上側から見た際、管部材本体11aとステータ30とは、互いに重なり、かつ、管部材本体11aは、ステータ30よりも手前側に位置する。なお、本明細書において「駆動装置が水平面に配置された状態」とは、駆動装置が搭載された車両が水平な路面上に配置されることを含む。
図7および図8に示すように、管部材本体11aは、大径部11bと、第1小径部11cと、第2小径部11dと、を有する。第1小径部11cと第2小径部11dとは、大径部11bを介して軸方向に繋がる。第1小径部11cは、管部材本体11aのうち大径部11bよりも左側(+Y側)に位置する部分である。第2小径部11dは、管部材本体11aのうち大径部11bよりも右側(-Y側)に位置する部分である。第1小径部11cの外径と第2小径部11dの外径とは、例えば、互いに同じである。第1小径部11cの軸方向の寸法は、例えば、第2小径部11dの軸方向の寸法よりも大きい。
大径部11bの外径は、第1小径部11cの外径および第2小径部11dの外径よりも大きい。大径部11bは、中心軸J4を中心とする径方向において、第1小径部11cおよび第2小径部11dから外側に突出する。大径部11bと第1小径部11cおよび第2小径部11dとは、例えば、段差を介して軸方向に繋がる。大径部11bの軸方向の寸法は、例えば、第1小径部11cの軸方向の寸法および第2小径部11dの軸方向の寸法よりも小さい。大径部11bは、例えば、管部材本体11aの右側(-Y側)寄りの部分に設けられる。
管部材本体11aの左側(+Y側)の端部は、図3に示す穴部63bに嵌め込まれる。穴部63bは、隔壁63に設けられる。穴部63bは、隔壁63に設けられた第4の流路94と繋がる。これにより、管部材本体11aの内部は、第4の流路94と繋がる。図6に示すように、管部材本体11aは、オイルOが流れる流路17を有する。流路17の内側面は、筒状の管部材本体11aの内側面である。流路17は、軸方向に延び、左側(+Y側)に開口する。流路17の左側の開口は、第4の流路94に繋がる。流路17には、第4の流路94からオイルOが流入する。
図8に示すように、本実施形態の流路17内においてオイルOは、左側(+Y側)から右側(-Y側)に向かって流れる。つまり、流路17内の流体としてのオイルOの流れ方向において、左側は上流側であり、右側は下流側である。流路17の流路断面形状は、例えば、円形状である。本実施形態において流路17の流路断面とは、軸方向と直交する流路17の断面である。流路17の右側の端部は、閉じられている。
流路17は、第1流路部17aと、第2流路部17bと、を有する。本実施形態において第1流路部17aは、第1小径部11cに設けられる。第1流路部17aの左側の端部は、流路17の左側の端部である。第1流路部17aは、軸方向に延びる。第1流路部17aの内径は、左側(+Y側)から右側(-Y側)に向かうに従って小さくなる。これにより、第1流路部17aの流路断面積は、流路17内のオイルOの流れ方向における下流側に向かうに従って小さくなる。つまり、本実施形態において流路17の少なくとも一部は、流路17内のオイルOの流れ方向における下流側に向かうに従って流路断面積が小さくなる。本実施形態において第1流路部17aの流路断面積は、軸方向と直交する断面における第1流路部17aの内部の面積である。第1流路部17aの内周面は、例えば、上流側(左側,+Y側)に向かうに従って内径が大きくなるテーパ面である。
第2流路部17bは、第1流路部17aの右側(-Y側)、すなわち下流側に繋がる。本実施形態において第2流路部17bは、大径部11bと第2小径部11dとに跨って設けられる。第2流路部17bの右側の端部は、流路17の右側の端部である。第2流路部17bは、軸方向に延びる。本実施形態において第2流路部17bの内径は、軸方向の全体に亘って同じである。これにより、本実施形態の第2流路部17bの流路断面積は、一定である。本実施形態において第2流路部17bの流路断面積は、軸方向と直交する断面における第2流路部17bの内部の面積である。
なお、本明細書において「流路断面積が一定である」とは、流路断面積が厳密に一定である場合と、流路断面積が略一定である場合と、を含む。「流路断面積が略一定である」とは、例えば、流路を作る際の公差の範囲内で流路断面積がバラつく場合を含む。
図6に示すように、管部材本体11aは、第1噴射口13と、第2噴射口14と、第3噴射口16と、を有する。第1噴射口13、第2噴射口14、および第3噴射口16は、流路17に繋がる噴射口である。また、第1噴射口13、第2噴射口14、および第3噴射口16は、モータ2に向かって開口する噴射口である。第1噴射口13、第2噴射口14、および第3噴射口16からは、流路17内に流入したオイルOが噴射される。つまり、本実施形態において第1管部材11は、流体としてのオイルOを噴射する噴射口として、第1噴射口13、第2噴射口14、および第3噴射口16を有する。
第1噴射口13、第2噴射口14、および第3噴射口16は、管部材本体11aの外周面に設けられる。本実施形態において第1噴射口13、第2噴射口14、および第3噴射口16は、管部材本体11aの壁部を内周面から外周面まで貫通する孔の開口部のうち、管部材本体11aの外周面に開口する開口部である。第1噴射口13、第2噴射口14、および第3噴射口16は、例えば、円形状である。第1噴射口13、第2噴射口14、および第3噴射口16は、例えば、下側を向く。
本実施形態において第1噴射口13は、第1小径部11cと第2小径部11dとに複数ずつ設けられる。第1噴射口13は、例えば、第1小径部11cと第2小径部11dとに4つずつ設けられる。第1小径部11cに設けられた4つの第1噴射口13は、周方向に沿ってジグザグに配置される。第1小径部11cに設けられた4つの第1噴射口13は、例えば、真下に開口する1つの第1噴射口13と、下側斜め前方に開口する2つの第1噴射口13と、下側斜め後方に開口する1つの第1噴射口13と、を含む。第2小径部11dに設けられた4つの第1噴射口13は、軸方向の位置を除いて、第1小径部11cに設けられた4つの第1噴射口13と同様に配置される。
第1小径部11cに設けられた4つの第1噴射口13は、コイルエンド33aの上側に位置する。第2小径部11dに設けられた4つの第1噴射口13は、コイルエンド33bの上側に位置する。そのため、第1噴射口13から噴射されたオイルOは、コイルエンド33a,33bに上側から供給される。すなわち、第1噴射口13は、コイルエンド33a,33bに向けて冷媒としてのオイルOを噴射する噴射口である。このように、本実施形態において第1管部材11は、複数の第1噴射口13から、コイルエンド33a,33bに向けて冷媒としてのオイルOを噴射する。
本実施形態において第2噴射口14は、第1小径部11cに設けられる。第2噴射口14は、第1小径部11cに設けられた複数の第1噴射口13よりも右側(-Y側)に位置する。第2噴射口14は、例えば、軸方向に間隔を空けて複数設けられる。第2噴射口14は、例えば、2つ設けられる。図2に示すように、第2噴射口14は、例えば、下側斜め前方に開口する。図6に示すように、第2噴射口14は、ステータコア32の上側に位置する。そのため、第2噴射口14から噴射されたオイルOは、ステータコア32に上側から供給される。すなわち、本実施形態において第2噴射口14は、ステータコア32に向けて冷媒としてのオイルOを噴射する噴射口である。
本実施形態において第3噴射口16は、第1小径部11cと第2小径部11dとにそれぞれ1つずつ設けられる。第1小径部11cに設けられた第3噴射口16は、例えば、第1小径部11cに設けられた複数の第1噴射口13よりも左側(+Y側)に位置する。第1小径部11cに設けられた第3噴射口16は、例えば、第1小径部11cの左側の端部に設けられる。第1小径部11cに設けられた第3噴射口16から噴射されたオイルOは、ベアリング27に供給される。
第2小径部11dに設けられた第3噴射口16は、例えば、第2小径部11dに設けられた複数の第1噴射口13よりも右側(-Y側)に位置する。第2小径部11dに設けられた第3噴射口16は、例えば、第2小径部11dの右側の端部に設けられる。第2小径部11dに設けられた第3噴射口16から噴射されたオイルOは、ベアリング26に供給される。
なお、本明細書において「噴射口が鉛直方向下側を向く」とは、噴射口の向きが、下方向成分を含んでいればよく、噴射口が真下を向いていてもよいし、噴射口が真下に対して傾いた向きを向いていてもよい。上述したように、本実施形態において第1噴射口13は、真下を向く第1噴射口13と、真下に対して前方に斜めに傾いた向きを向く第1噴射口13と、真下に対して後方に斜めに傾いた向きを向く第1噴射口13と、を含む。また、本実施形態において第2噴射口14は、真下に対して前方に斜めに傾いた向きを向く。本実施形態において「第2噴射口14が下側を向く」とは、第2噴射口14が、例えば、真下を向いていてもよいし、真下に対して後方に斜めに傾いた向きを向いていてもよい。
取付部材70は、管部材本体11aに保持される。より詳細には、取付部材70は、一部が樹脂製の管部材本体11aに埋め込まれて、管部材本体11aに保持される。取付部材70の材料は、管部材本体11aの材料と異なる材料である。本実施形態において取付部材70は、金属製である。そのため、取付部材70の強度を比較的大きくできる。これにより、取付部材70を介して管部材本体11aをハウジング6に安定かつ強固に固定できる。取付部材70は、例えば、板状の金属部材にプレス加工が施されて作られる。取付部材70の板厚は、例えば、全体に亘って均一である。取付部材70は、例えば、プレス加工によって板厚が均一にされてもよい。図9に示すように、取付部材70は、被保持部71と、フランジ部72と、を有する。つまり、第1管部材11は、被保持部71と、フランジ部72と、を有する。
なお、本明細書において「或る材料が他の材料と異なる」とは、或る材料に含まれる成分が他の材料に含まれる成分と異なっていてもよいし、或る材料に含まれる成分の割合が他の材料に含まれる成分の割合と異なっていてもよいし、或る材料の種類が他の材料の種類と異なっていてもよい。
被保持部71は、管部材本体11aに埋め込まれて保持される。本実施形態において被保持部71は、大径部11bに埋め込まれて保持される。被保持部71は、例えば、前後方向に対して鉛直方向に斜めに傾く方向に延びる。被保持部71は、例えば、後側(-X側)に向かうに従って下側に位置する。被保持部71は、例えば、板面が軸方向を向く板状である。
被保持部71は、第1貫通孔71aと、第2貫通孔71bと、第3貫通孔71cと、を有する。第1貫通孔71a、第2貫通孔71b、および第3貫通孔71cは、被保持部71を軸方向に貫通する。第2貫通孔71bは、例えば、管部材本体11aの中心軸J4を中心とする円形状の孔である。第2貫通孔71bの内周面の少なくとも一部は、流路17の内部に露出する。これにより、取付部材70の一部は、流路17の内部に露出する。本実施形態では、第2貫通孔71bの内周面の全体が、流路17の内部に露出する。
第2貫通孔71bの内周面は、例えば、流路17の内側面の一部を構成する。より詳細には、図8に示すように、第2貫通孔71bの内周面は、第2流路部17bのうち左側(+Y側)の端部の内周面を構成する。これにより、取付部材70のうち流路17の内部に露出する部分は、第2流路部17bのうち、流路17内のオイルOの流れ方向における上流側の端部の内部に露出する。
図9に示すように、第1貫通孔71aおよび第3貫通孔71cは、中心軸J4を中心とする径方向において、第2貫通孔71bの外側に位置する。第1貫通孔71aと第3貫通孔71cとは、第2貫通孔71bを挟んで配置される。第1貫通孔71aと第3貫通孔71cとは、前後方向に対して鉛直方向に斜めに傾いた方向に第2貫通孔71bを挟む。中心軸J4を中心とする径方向において、第1貫通孔71aの径方向位置と第3貫通孔71cの径方向位置とは、例えば、互いに同じである。
第1貫通孔71aおよび第3貫通孔71cは、例えば、円形状の孔である。第1貫通孔71aの内径および第3貫通孔71cの内径は、例えば、第2貫通孔71bの内径よりも小さい。第1貫通孔71aの内径と第3貫通孔71cの内径とは、例えば、互いに同じである。
第1貫通孔71aは、流路17が延びる軸方向に見て、流路17とフランジ部72との間に位置する。第1貫通孔71aは、例えば、第2貫通孔71bの後側(-X側)に位置する。第1貫通孔71aの内部には、管部材本体11aの一部が位置する。つまり、第1貫通孔71aの内部には、樹脂が位置する。第1貫通孔71aの内部には、例えば、管部材本体11aの一部が充填されている。第1貫通孔71aの内部に位置する管部材本体11aの一部は、例えば、円板状である。第1貫通孔71aの内部に管部材本体11aの一部が配置されることで、被保持部71を管部材本体11aに対して強固に保持させることができる。そのため、取付部材70を管部材本体11aに対して強固に保持させることができる。
第3貫通孔71cは、例えば、第2貫通孔71bの前側(+X側)に位置する。第3貫通孔71cは、例えば、第1貫通孔71aよりも上側に位置する。第3貫通孔71cの内部には、管部材本体11aの一部が位置する。つまり、第3貫通孔71cの内部には、樹脂が位置する。第3貫通孔71cの内部には、例えば、管部材本体11aの一部が充填されている。第3貫通孔71cの内部に位置する管部材本体11aの一部は、例えば、円板状である。第3貫通孔71cの内部に管部材本体11aの一部が配置されることで、被保持部71を管部材本体11aに対して、より強固に保持させることができる。そのため、取付部材70を管部材本体11aに対して、より強固に保持させることができる。
被保持部71は、被保持部71のうち流路17よりもフランジ部72に近い部分に設けられた凹部71dを有する。つまり、凹部71dは、被保持部71のうち第2貫通孔71bよりもフランジ部72に近い部分に設けられる。凹部71dは、第2貫通孔71bよりも後側(-X側)に位置する。本実施形態において凹部71dは、第1貫通孔としての第1貫通孔71aが被保持部71を貫通する軸方向と直交する方向に窪む。凹部71dは、例えば、鉛直方向に対して前後方向に斜めに傾く方向に窪む。本実施形態において凹部71dは、第1貫通孔71aに向かって窪む。凹部71dは、例えば、被保持部71を軸方向に貫通する。凹部71dは、例えば、取付部材70を作る際のプレス加工によって、板状の金属部材の一部が打ち抜かれて作られる。これにより、凹部71dを作るためにプレス加工の他に別途加工を施す必要がなく、取付部材70の製造を容易にできる。
凹部71dは、第1貫通孔71aを挟んで一対設けられる。一対の凹部71dは、例えば、鉛直方向に対して前後方向に斜めに傾く方向に第1貫通孔71aを挟む。一対の凹部71dが第1貫通孔71aの両側において第1貫通孔71aに向かって窪むことで、被保持部71には、一対の凹部71dに挟まれた幅狭部71eが設けられる。被保持部71が延びる方向および軸方向と直交する方向における被保持部71の寸法は、幅狭部71eにおいて小さくなる。幅狭部71eには、第1貫通孔71aが設けられる。
フランジ部72は、管部材本体11aから管部材本体11aの外部に突出する部分である。本実施形態においてフランジ部72は、管部材本体11aからモータ軸J1の軸方向と直交する方向に突出する。フランジ部72は、例えば、管部材本体11aから後側(-X側)斜め下方に突出する。本実施形態において取付部材70のうちフランジ部72を除く部分の全体は、管部材本体11aの内部に埋め込まれる。本実施形態において取付部材70のうちフランジ部72を除く部分とは、被保持部71である。フランジ部72は、被固定部72aと、遮蔽部72bと、回転止め部72eと、を有する。
被固定部72aは、被保持部71から後側(-X側)斜め下方に延びて管部材本体11aから突出する。被固定部72aは、例えば、板面が軸方向を向く板状である。被固定部72aは、被固定部72aを軸方向に貫通する貫通孔72fを有する。図4に示すように、貫通孔72fは、軸方向に見て、雌ネジ穴65cと重なる。
貫通孔72fには、右側(-Y側)からボルト73が通される。貫通孔72fに通されたボルト73は、ハウジング6に設けられた雌ネジ穴65cに締め込まれる。これにより、被固定部72aは、ボルト73によって、ハウジング6に固定される。本実施形態において被固定部72aは、ボルト73によって、障壁部65の軸方向の端部に固定される。より詳細には、被固定部72aは、ボルト73によって、突出壁部65aの右側の端面に固定される。被固定部72aの左側(+Y側)の面は、突出壁部65aの右側の端面に接触する。被固定部72aがハウジング6に固定されることで、取付部材70は、ハウジング6に取り付けられる。これにより、第1管部材11は、ハウジング6に取り付けられる。
遮蔽部72bは、被固定部72aの後側(-X側)に繋がる。遮蔽部72bは、ハウジング6の内部のうち通気孔66に繋がる部分に配置される。本明細書において「ハウジングの内部のうち通気孔に繋がる部分」とは、遮蔽部が配置されない場合に、当該部分に位置する空気が通気孔まで流れることが可能な部分を含む。つまり、例えば、遮蔽部72bが設けられない場合、遮蔽部72bが配置される部分に位置する空気は、通気孔66へと流れることが可能である。ハウジング6の内部のうち通気孔66に繋がる部分は、ハウジング凹部61dの内部を含む。ハウジング6の内部のうち通気孔66に繋がる部分は、ハウジング6の内部のうち内側開口部66aが開口する部分を含む。ハウジング6の内部のうち通気孔66に繋がる部分は、ハウジング6の内部のうちステータ30から通気孔66までの間の部分を含む。
遮蔽部72bは、第1壁部72cと、第2壁部72dと、を有する。第1壁部72cは、被固定部72aから延びる。本実施形態において第1壁部72cは、被固定部72aから軸方向と直交する方向に延びる。第1壁部72cは、例えば、被固定部72aから後側(-X側)斜め下方に延びる。第1壁部72cは、例えば、板面が軸方向を向く板状である。本実施形態では、被保持部71と被固定部72aと第1壁部72cとが、前側(+X側)から後側に向かってこの順に繋がり、前後方向に対して鉛直方向に斜めに傾いて延びる板状の部分を構成している。
第2壁部72dは、第1壁部72cから屈曲して延びる。本実施形態において第2壁部72dは、第1壁部72cから屈曲して軸方向に延びる。より詳細には、第2壁部72dは、第1壁部72cの後側(-X側)の端部から左側(+Y側)に延びる。図5に示すように、本実施形態において第2壁部72dの左側の端部は、通気孔66よりも左側に位置する。つまり、本実施形態において第2壁部72dは、通気孔66よりも右側(-Y側)から通気孔66よりも左側まで延びる。これにより、第2壁部72dは、軸方向位置が通気孔66の軸方向位置と同じ部分を有する。なお、第2壁部72dの左側の端部は、通気孔66よりも右側(-Y側)に位置してもよい。つまり、第2壁部72dは、軸方向位置が通気孔66の軸方向位置と同じ部分を有しなくてもよい。
図7に示すように、第2壁部72dは、例えば、板面が前後方向を向く板状である。より詳細には、第2壁部72dの板面は、前後方向に対して僅かに鉛直方向に傾いた方向を向く。第2壁部72dの板面と平行な方向のうち第2壁部72dが延びる方向と直交する方向において、第2壁部72dの寸法は、第1壁部72cから左側(+Y側)に離れるに従って小さくなる。つまり、第2壁部72dの幅は、左側に向かうに従って小さくなる。第2壁部72dの板面と直交する方向に見て、第2壁部72dの形状は、例えば、細長い略三角形状である。
図4に示すように、遮蔽部72bの少なくとも一部は、ハウジング6の内側面と障壁部65との隙間の少なくとも一部を塞ぐ。本実施形態において第1壁部72cのうち下側の端部を除く部分は、延伸隙間部Gの一部を右側(-Y側)から塞ぐ。第1壁部72cの下側の端部は、例えば、対向壁部65bの右側の端面に接触する。第2壁部72dは、延伸隙間部Gの少なくとも一部を塞ぐ。本実施形態において第2壁部72dは、延伸隙間部Gの一部を後側(-X側)から塞ぐ。本実施形態において第2壁部72dは、ハウジング6の内側面から離れて配置される。言い換えれば、本実施形態において第2壁部72dは、ハウジング6と接触していない。図5に示すように、第2壁部72dと対向壁部65bの傾斜面65fとの間には隙間が設けられる。第2壁部72dと上側壁部61cの傾斜面61eとの間には隙間が設けられる。
図7に示すように、本実施形態において回転止め部72eは、第1壁部72cの上側の縁部に設けられる。回転止め部72eは、基部72gと、本体部72hと、を有する。基部72gは、第1壁部72cの上側の縁部から上側に突出する。基部72gは、例えば、板面が軸方向を向く板状である。本体部72hは、基部72gの上側の端部から左側(+Y側)に突出する。本体部72hは、板面が鉛直方向を向く板状である。本体部72hの左側の端部は、第2壁部72dの左側の端部よりも右側(-Y側)に位置する。本体部72hの軸方向の寸法は、第2壁部72dの軸方向の寸法よりも小さい。
図4に示すように、本体部72hは、回転止め凹部65dに右側(-Y側)から挿入されている。本体部72hは、回転止め凹部65dの内側面に、軸方向と直交する方向に引っ掛けられている。これにより、回転止め部72eは、ハウジング6に引っ掛けられている。回転止め部72eがハウジング6に引っ掛かることで、被固定部72aを固定するボルト73の中心軸回りに取付部材70が回転することを抑制できる。そのため、1つのボルト73で取付部材70を固定しても、取付部材70の位置がずれることを抑制できる。これにより、取付部材70をハウジング6に対して取り付ける作業を簡単にしつつ、取付部材70を介してハウジング6に取り付けられる管部材本体11aの位置がずれることを抑制できる。したがって、管部材本体11aに設けられた各噴射口の位置がずれることを抑制でき、各部へのオイルOの供給を好適にできる。
なお、本明細書において「取付部材のフランジ部」とは、管部材本体から管部材本体の外部に突出する部分で、かつ、ハウジングに固定された被固定部を有する部分を意味する。
図2に示すように、第2管部材12は、モータ軸J1の軸方向および鉛直方向の両方と直交する前後方向においてステータ30の前側(+X側)に位置する。より詳細には、第2管部材12は、ステータコア32の前側に位置する。本実施形態において第2管部材12の少なくとも一部は、前後方向に見て、シャフト21と重なる。本実施形態では、第2管部材12の全体が、前後方向に見て、シャフト21と重なる。第2管部材12は、例えば、モータ軸J1よりも上側に位置する。第2管部材12の径方向位置は、例えば、固定部32bの径方向位置と同じである。第2管部材12は、第1管部材11よりも下側に位置する。第2管部材12は、例えば、前側固定部32gの上側に位置する。第1管部材11と第2管部材12との周方向の間には、上側固定部32fが位置する。すなわち、第1管部材11と第2管部材12とは、周方向に上側固定部32fを挟んで配置される。
図6に示すように、本実施形態において第2管部材12は、軸方向に延びる筒状である。第2管部材12は、例えば、左側(+Y側)に開口する円筒状である。第2管部材12は、例えば、樹脂製である。図示は省略するが、第2管部材12は、ハウジング6に固定される。第2管部材12は、例えば、第1管部材11と同様にしてハウジング6に固定されてもよい。
第2管部材12の右側(-Y側)の端部は、閉じられている。図示は省略するが、第2管部材12の左側(+Y側)の端部は、隔壁63に設けられた穴部に嵌め込まれる。第2管部材12の左側の端部が嵌め込まれた穴部は、隔壁63に設けられた第4の流路94と繋がる。これにより、第2管部材12の内部は、第4の流路94と繋がる。
第2管部材12は、オイルOが流れる流路18を有する。流路18の内側面は、筒状の第2管部材12の内側面である。流路18は、軸方向に延び、左側(+Y側)に開口する。流路18の左側の開口は、第4の流路94に繋がる。流路18には、第4の流路94からオイルOが流入する。本実施形態の流路18内においてオイルOは、左側から右側(-Y側)に向かって流れる。流路18の流路断面形状は、例えば、円形状である。本実施形態において流路18の流路断面とは、流路18における軸方向と直交する断面である。流路18の右側の端部は、閉じられている。
第2管部材12は、複数の第2噴射口15を有する。第2噴射口15からは、第2管部材12内に流入したオイルOがステータ30に向けて噴射される。これにより、第2管部材12は、ステータ30に冷媒としてのオイルOを噴射する。第2噴射口15は、第2管部材12の外周面に設けられる。複数の第2噴射口15は、軸方向に沿って間隔を空けて配置される。第2管部材12に設けられた第2噴射口15の数は、第1管部材11に設けられた第2噴射口14の数よりも多い。第2噴射口15は、例えば、6つ設けられる。第2噴射口15は、第2管部材12の壁部を内周面から外周面まで貫通する孔の開口部のうち、第2管部材12の外周面に開口する開口部である。第2噴射口15は、例えば、円形状である。
図2に示すように、第2噴射口15は、上側を向く。本実施形態において第2噴射口15は、上側斜め後方を向く。第2噴射口15は、ステータコア32の前側(+X側)に位置する。第2噴射口15から噴射されたオイルOは、上側斜め後方に噴射されて、ステータコア本体32aの外周面に供給される。すなわち、本実施形態において第2噴射口15は、ステータコア32に向けて冷媒としてのオイルOを噴射する噴射口である。
なお、本明細書において「噴射口が上側を向く」とは、噴射口の向きが、上方向成分を含んでいればよく、噴射口が真上を向いていてもよいし、噴射口が真上に対して傾いた向きを向いていてもよい。上述したように本実施形態の第2噴射口15は、真上に対して後方に斜めに傾いた向きを向く。本実施形態において「第2噴射口15が上側を向く」とは、第2噴射口15が、例えば、真上を向いていてもよいし、真上に対して前方に斜めに傾いた向きを向いていてもよい。
上述したように第1管部材11および第2管部材12には、ステータコア32にオイルOを供給する第2噴射口14,15が設けられる。一方、コイルエンド33a,33bにオイルOを供給する第1噴射口13は、第1管部材11に設けられているが、第2管部材12には設けられていない。すなわち、第1管部材11および第2管部材12において、第1管部材11のみに、コイルエンド33a,33bにオイルOを供給する第1噴射口13が設けられる。本実施形態において第2管部材12は、ステータコア32のみに向けて冷媒としてのオイルOを噴射する。
本実施形態において第1噴射口13、第2噴射口14、第2噴射口15、および第3噴射口16は、共に同じ形状であり、かつ、同じ大きさである。すなわち、第1噴射口13の開口面積と第2噴射口14の開口面積と第2噴射口15の開口面積と第3噴射口16の開口面積とは、例えば、互いに同じである。また、上述したように、第1噴射口13の数は、合計8つである。第2噴射口14の数は、合計2つである。第2噴射口15の数は、合計6つである。そのため、第1管部材11に設けられた第2噴射口14の総開口面積は、第2管部材12に設けられた第2噴射口15の総開口面積よりも小さい。また、第1管部材11に設けられた第1噴射口13の総開口面積は、第1管部材11に設けられた第2噴射口14の総開口面積、および第2管部材12に設けられた第2噴射口15の総開口面積よりも大きい。
なお、本明細書において「或る噴射口の総開口面積」とは、或る噴射口が複数設けられる場合には、複数の或る噴射口の各開口面積を全て足し合わせた面積であり、或る噴射口が1つのみ設けられる場合には、或る噴射口の開口面積である。すなわち、例えば、本実施形態において第2噴射口14の総開口面積とは、2つの第2噴射口14の各開口面積を足し合わせた面積である。
図1に示すオイルポンプ96は、冷媒としてのオイルOを送るポンプである。本実施形態においてオイルポンプ96は、電気により駆動する電動ポンプである。オイルポンプ96は、第1の流路92aを介してオイル溜りPからオイルOを吸い上げて、第2の流路92b、クーラー97、第3の流路92c、第4の流路94、および冷媒供給部10を介して、オイルOをモータ2に供給する。すなわち、オイルポンプ96は、ハウジング6の内部に収容されたオイルOを、第4の流路94、第1管部材11、および第2管部材12に送る。そのため、第1管部材11および第2管部材12に容易にオイルOを送ることができる。これにより、第1管部材11および第2管部材12からステータ30にオイルOを供給でき、ステータ30を冷却できる。また、第1管部材11からベアリング26,27に潤滑油としてオイルOを供給できる。
第1管部材11および第2管部材12からステータ30に供給されたオイルOは、下側に滴下され、モータ収容部61内の下部領域に溜る。また、ベアリング26,27に供給されたオイルOも、下側に滴下されてモータ収容部61内の下部領域に溜まる場合がある。モータ収容部61内の下部領域に溜ったオイルOは、隔壁63に設けられた隔壁開口63aを介してギヤ収容部62のオイル溜りPに移動する。以上のようにして、第2の油路92は、オイルOをステータ30およびベアリング26,27に供給する。
図1に示すクーラー97は、第2の油路92を通過するオイルOを冷却する。クーラー97には、第2の流路92bおよび第3の流路92cが接続される。第2の流路92bおよび第3の流路92cは、クーラー97の内部流路を介して繋がる。クーラー97には、図示しないラジエータで冷却された冷却水を通過させる冷却水用配管98が接続される。クーラー97の内部を通過するオイルOは、冷却水用配管98を通過する冷却水との間で熱交換されて冷却される。
第1管部材11および第2管部材12からハウジング6内に噴射されたオイルO等、ハウジング6内のオイルOは、ハウジング6内で飛散する等によりブリーザ80の通気孔66に到達することが考えられる。そのため、ブリーザ80を介して、オイルOがハウジング6の外部に漏れる虞があった。
これに対して、本実施形態によれば、ハウジング6の内部のうち通気孔66に繋がる部分には、遮蔽部72bが配置される。そのため、通気孔66に向かうオイルOの少なくとも一部を、遮蔽部72bによって遮蔽できる。これにより、通気孔66にオイルOが到達することを抑制できる。そのため、オイルOがハウジング6の外部に漏れることを抑制できる。
また、本実施形態によれば、遮蔽部72bは、第1管部材11のうち、被固定部72aを有するフランジ部72に設けられる。つまり、第1管部材11のうちハウジング6に固定される部分に、遮蔽部72bが設けられる。これにより、オイルOを遮蔽するための部材を別途設けることなく、第1管部材11のうちハウジング6に固定するための部分を利用して、通気孔66にオイルOが到達することを抑制できる。したがって、ブリーザ80へのオイルOの到達を抑制しつつ、駆動装置1の部品点数が増加することを抑制できる。
また、ハウジング6のうち第1管部材11を固定する部分を利用して、遮蔽部72bをハウジング6に固定できるため、オイルOを遮蔽するための部材を固定する部分をハウジング6に別途設ける必要がない。したがって、ハウジング6の形状が複雑することを抑制できる。また、第1管部材11をハウジング6に取り付けることで遮蔽部72bをハウジング6に取り付けることができるため、オイルOを遮蔽するための部材をハウジング6に取り付ける作業を別途行う必要がない。したがって、駆動装置1の組立工数が増加することを抑制できる。
また、本実施形態によれば、ハウジング6は、ハウジング6の内部のうち通気孔66の内側開口部66aが開口する部分に面する障壁部65を有する。そのため、障壁部65によって、内側開口部66aに向かうオイルOの少なくとも一部を遮蔽できる。これにより、ブリーザ80へのオイルOの到達をより抑制できる。また、フランジ部72の被固定部72aは、障壁部65に固定される。そのため、フランジ部72に設けられた遮蔽部72bを、内側開口部66aに向かうオイルOを好適に遮蔽できる位置に配置しやすい。
また、本実施形態によれば、障壁部65は、内側開口部66aと隙間を介して対向する対向壁部65bを有する。そのため、対向壁部65bによって内側開口部66aを覆うことができる。これにより、対向壁部65bによって、内側開口部66aにオイルOが到達することをより抑制できる。したがって、ブリーザ80へのオイルOの到達をより抑制できる。
また、本実施形態によれば、遮蔽部72bの少なくとも一部は、ハウジング6の内側面と障壁部65との隙間の少なくとも一部を塞ぐ。そのため、障壁部65によって覆われていない通気孔66へのオイルOの侵入経路の少なくとも一部を、遮蔽部72bによって塞ぐことができる。これにより、ブリーザ80へのオイルOの到達をより抑制できる。
また、本実施形態によれば、遮蔽部72bは、被固定部72aから延びる第1壁部72cと、第1壁部72cから屈曲して延びる第2壁部72dと、を有する。そのため、遮蔽部72bは、異なる方向に延びる2つの壁部によって、通気孔66へ向かうオイルOを遮蔽することができる。これにより、複数の方向から通気孔66へと向かうオイルOを遮蔽部72bによって遮蔽しやすくできる。したがって、ブリーザ80へのオイルOの到達をより抑制できる。
また、本実施形態によれば、障壁部65は、軸方向に延びる。被固定部72aは、障壁部65の軸方向の端部に固定される。ハウジング6の内側面と障壁部65との隙間は、軸方向に延びる延伸隙間部Gを含む。第2壁部72dは、第1壁部72cから屈曲して軸方向に延び、延伸隙間部Gの少なくとも一部を塞ぐ。このように、第1壁部72cから屈曲する第2壁部72dを設けることで、フランジ部72を障壁部65の軸方向端部に固定しつつ、比較的軸方向に長くなりやすい延伸隙間部Gを、第2壁部72dによって好適に塞ぎやすい。したがって、ブリーザ80へのオイルOの到達をより抑制できる。
また、本実施形態によれば、延伸隙間部Gの幅は、左側に向かうに従って狭くなり、第2壁部72dの幅は、左側に向かうに従って小さくなる。そのため、延伸隙間部Gの形状に合わせて、第2壁部72dによって延伸隙間部Gを好適に塞ぐことができる。これにより、ブリーザ80へのオイルOの到達をより抑制できる。また、第2壁部72dがハウジング6に対して干渉しにくくできる。
また、本実施形態によれば、第2壁部72dは、ハウジング6の内側面から離れて配置される。そのため、例えば第2壁部72dが振動する場合であっても、第2壁部72dの振動がハウジング6に伝わることを抑制できる。また、例えば、振動した第2壁部72dがハウジング6の内側面に衝突することを抑制できるため、騒音が生じることを抑制できる。また、第2壁部72dとハウジング6の内側面との間に隙間が設けられることで、ブリーザ80を介してハウジング6の内部とハウジング6の外部との間で流れる空気の通り道を好適に確保しやすい。
また、本実施形態によれば、管部材本体11aがモータ軸J1の軸方向に延びる。そのため、管部材本体11aの第1噴射口13および第2噴射口14から噴射されるオイルOをステータ30の軸方向の全体に供給しやすい。これにより、ステータ30をより冷却しやすい。また、フランジ部72は、管部材本体11aからモータ軸J1の軸方向と直交する方向に突出する。そのため、駆動装置1を組み立てる際に、管部材本体11aをハウジング6内に挿し込む方向と同じ方向にボルト73をフランジ部72に貫通させて、フランジ部72をハウジング6に固定する方法を採用しやすい。これにより、ステータ30を好適に冷却しつつ、第1管部材11の取り付けを容易にできる。
また、本実施形態によれば、通気孔66は、ハウジング6のうち上側壁部61cに設けられる。そのため、ハウジング6内のオイルOが通気孔66までより到達しにくくできる。これにより、ブリーザ80へのオイルOの到達をより抑制できる。
また、本実施形態のように取付部材70の一部が管部材本体11aに埋め込まれて保持され、かつ、取付部材70が管部材本体11aから突出するフランジ部72を有する場合、管部材本体11aに埋め込まれた被保持部71と管部材本体11aとの間に、流路17内を流れるオイルOの一部が入り込む場合がある。そのため、被保持部71と管部材本体11aとの間に入り込んだオイルOが、フランジ部72と管部材本体11aとの間を介して、第1管部材11の外部に漏れる虞がある。
これに対して、本実施形態によれば、被保持部71を貫通する第1貫通孔71aの内部には、管部材本体11aの一部が位置し、第1貫通孔71aは、流路17が延びる軸方向に見て、流路17とフランジ部72との間に位置する。そのため、流路17内のオイルOの一部が被保持部71と管部材本体11aとの間に入り込んだ場合であっても、被保持部71と管部材本体11aとの間をフランジ部72に向かって流れるオイルOの少なくとも一部を、第1貫通孔71a内に位置する管部材本体11aの一部によって遮ることができる。これにより、流路17内のオイルOの一部が被保持部71と管部材本体11aとの間に入り込んだ場合であっても、フランジ部72と管部材本体11aとの間までオイルOが到達することを抑制できる。したがって、フランジ部72と管部材本体11aとの間からオイルOが第1管部材11の外部に漏れることを抑制できる。そのため、第1管部材11の各噴射口からモータ2に供給されるオイルOの量が低下することを抑制できる。これにより、ステータ30およびベアリング26,27に好適にオイルOを供給できる。したがって、ステータ30を好適に冷却でき、かつ、ベアリング26,27によってシャフト21を好適に支持できる。また、オイルOが意図しない箇所から第1管部材11の外部に漏れることを抑制できるため、駆動装置1における意図しない箇所にオイルOが掛かることを抑制できる。
また、本実施形態によれば、取付部材70の一部は、流路17の内部に露出する。そのため、取付部材70のうち流路17の内部に露出した部分と管部材本体11aとの間から、被保持部71と管部材本体11aとの間に流路17内を流れるオイルOが入り込みやすい。これに対して、本実施形態によれば、上述したように、被保持部71と管部材本体11aとの間にオイルOが入り込んでも、オイルOが第1管部材11の外部に漏れることを抑制できる。このように、オイルOが第1管部材11の外部に漏れることを抑制できる効果は、取付部材70の一部が流路17の内部に露出する構成において、より有用に得られる。
また、取付部材70をインサート部材としたインサート成形によって管部材本体11aを成形する場合に、流路17を成形するための金型に対して、取付部材70のうち流路17の内部に露出する部分を接触させる成形方法を採用できる。そのため、インサート成形を行う際に、取付部材70を金型に接触させて容易に位置決めできる。これにより、取付部材70を管部材本体11aに対して位置精度よく保持させることができる。
また、本実施形態によれば、被保持部71は、被保持部71を貫通する第2貫通孔71bを有する。第2貫通孔71bの内周面の少なくとも一部は、流路17の内部に露出する。そのため、第2貫通孔71bの内周面と流路17の内周面のうち管部材本体11aの内周面との間から被保持部71と管部材本体11aとの間にオイルOがより入り込みやすい。これに対して、本実施形態によれば、上述したように、被保持部71と管部材本体11aとの間にオイルOが入り込んでも、オイルOが第1管部材11の外部に漏れることを抑制できる。このように、オイルOが第1管部材11の外部に漏れることを抑制できる効果は、被保持部71の第2貫通孔71bの内周面の少なくとも一部が流路17の内部に露出する構成において、より有用に得られる。
また、インサート成形を行う際に、流路17を成形するための金型を第2貫通孔71bに通して、第2貫通孔71bの内周面に金型を接触させることができる。これにより、インサート成形を行う際に、金型と取付部材70とを接触させやすく、かつ、金型によって取付部材70を位置決めしやすい。
また、本実施形態によれば、流路17の少なくとも一部は、流路17内のオイルOの流れ方向における下流側に向かうに従って流路断面積が小さくなる。ここで、オイルOの圧力は、下流側に向かうほど圧力損失によって小さくなりやすい。一方、流路断面積が小さくなるとオイルOの圧力は上昇する。そのため、下流側に向かうに従って流路断面積を小さくすることで、流路17内を流れるオイルOの圧力を維持しやすい。これにより、第1管部材11の各噴射口から噴射されるオイルOの勢いを均等にしやすい。
本実施形態では、流路17は、流路17内のオイルOの流れ方向における下流側に向かうに従って流路断面積が小さくなる第1流路部17aを有する。そのため、第1流路部17a内を流れるオイルOの圧力を維持しやすい。また、本実施形態のように、第1流路部17aの内周面を上流側に向かうに従って内径が大きくなるテーパ面とする構成を採用できる。そのため、インサート成形によって管部材本体11aを成形した後に、流路17を成形するための金型を上流側から抜きやすい。
また、本実施形態によれば、流路17は、第1流路部17aの下流側に繋がり、流路断面積が一定の第2流路部17bを有する。取付部材70のうち流路17の内部に露出する部分は、第2流路部17bのうち上流側の端部の内部に露出する。そのため、インサート成形時に、流路17を成形するための金型のうち第2流路部17bを成形するための部分に対して、取付部材70のうち流路17の内部に露出する部分を接触させることができる。これにより、インサート成形時に、流路17を成形するための金型の外周面のうち軸方向に真っ直ぐな面に対して取付部材70を接触できる。したがって、取付部材70を当該金型に安定して接触させることができ、取付部材70をより精度よく位置決めできる。また、取付部材70のうち流路17の内部に露出する部分を、第2流路部17bのうち上流側の端部の内部に露出させることで、取付部材70のうち流路17の内部に露出する部分よりも上流側に位置する流路17の全体を第1流路部17aにすることができる。そのため、第1流路部17aを比較的長くしやすい。これにより、管部材本体11aのうち抜きテーパが設けられた部分を長くでき、流路17を成形するための金型をより抜きやすくできる。
また、本実施形態によれば、取付部材70のうちフランジ部72を除く部分の全体は、管部材本体11aの内部に埋め込まれる。そのため、流路17内のオイルOの一部が被保持部71と管部材本体11aとの間に入り込んでも、入り込んだオイルOがフランジ部72と管部材本体11aとの間以外からは第1管部材11の外部に漏れにくい。これにより、オイルOが第1管部材11の外部に漏れることをより抑制できる。
また、本実施形態によれば、被保持部71は、被保持部71のうち流路17よりもフランジ部72に近い部分に設けられた凹部71dを有する。そのため、流路17内のオイルOの一部が被保持部71と管部材本体11aとの間に入り込んだ場合に、入り込んだオイルOがフランジ部72に向かう経路を、凹部71dによって狭くしやすい。これにより、被保持部71と管部材本体11aとの間に入り込んだオイルOがフランジ部72と管部材本体11aとの間から漏れることをより抑制できる。したがって、オイルOが第1管部材11の外部に漏れることをより抑制できる。
また、本実施形態によれば、凹部71dは、第1貫通孔71aが被保持部71を貫通する軸方向と直交する方向に窪み、かつ、第1貫通孔71aに向かって窪む。そのため、被保持部71のうち凹部71dと第1貫通孔71aとの間の部分を好適に狭くすることができる。これにより、被保持部71と管部材本体11aとの間に入り込んだオイルOがフランジ部72に向かう経路を、凹部71dによって、より好適に狭くしやすい。したがって、オイルOが第1管部材11の外部に漏れることをより抑制できる。
また、本実施形態によれば、管部材本体11aの噴射口は、モータ2に向かって開口する噴射口として、第1噴射口13、第2噴射口14、および第3噴射口16を含む。上述したように、本実施形態では、オイルOが第1管部材11の外部に漏れることを抑制できるため、第1噴射口13、第2噴射口14、および第3噴射口16から噴射されるオイルOの量が低下することを抑制できる。したがって、第1噴射口13および第2噴射口14から冷媒としてステータ30に供給されるオイルOの量が低下することを抑制できる。そのため、モータ2の冷却効率が低下することを抑制できる。また、第3噴射口16から潤滑油としてベアリング26,27に供給されるオイルOの量が低下することを抑制できる。
<第2実施形態>
図10に示すように、本実施形態のハウジング106における障壁部165は、一対の突出壁部165a,165bと、対向壁部165cと、を有する。一対の突出壁部165a,165bは、上側壁部61cから下側に突出する。突出壁部165aと突出壁部165bとは、例えば、前後方向に間隔を空けて配置される。突出壁部165aは、上側壁部61cのうち内側開口部66aよりも前側(+X側)に位置する部分から下側に突出する。突出壁部165bは、上側壁部61cのうち内側開口部66aよりも後側(-X側)に位置する部分から下側に突出する。本実施形態において内側開口部66aは、上側壁部61cのうち突出壁部165aと突出壁部165bとの前後方向の間に位置する部分に設けられる。
対向壁部165cは、前後方向に延びる。対向壁部165cは、突出壁部165aの下側の端部と突出壁部165bの下側の端部とを繋ぐ。対向壁部165cは、内側開口部66aの下側に位置する。対向壁部165cは、内側開口部66aと隙間を介して鉛直方向に対向する。本実施形態において、ハウジング106の内部のうち内側開口部66aが開口する部分は、上側壁部61cと障壁部165とによって囲まれた部分を含む。
本実施形態の第1管部材111において、取付部材170のフランジ部172は、管部材本体11aから後側(-X側)に延びる。フランジ部172が延びる方向は、例えば、前後方向と平行である。フランジ部172は、例えば、板面が軸方向を向く長方形板状である。フランジ部172は、一対の被固定部172a,172bと、遮蔽部172cと、を有する。被固定部172aと被固定部172bとは、遮蔽部172cを前後方向に挟んで配置される。被固定部172aは、遮蔽部172cの前側(+X側)に繋がる。被固定部172bは、遮蔽部172cの後側に繋がる。被固定部172aは、突出壁部165aの右側(-Y側)の端部にボルト73で固定される。被固定部172bは、突出壁部165bの右側の端部にボルト73で固定される。
遮蔽部172cは、ハウジング106の内部のうち上側壁部61cと障壁部165とによって囲まれた部分の右側(-Y側)に位置する。遮蔽部172cは、ハウジング106の内部のうち上側壁部61cと障壁部165とによって囲まれた部分の一部を、右側から塞ぐ。これにより、遮蔽部172cによって、ハウジング106の内部のうち上側壁部61cと障壁部165とによって囲まれた部分に右側からオイルOが侵入することを抑制できる。したがって、ブリーザ80へのオイルOの到達を抑制できる。遮蔽部172cは、例えば、対向壁部165cよりも上側に離れて配置される。本実施形態のその他の構成は、第1実施形態のその他の構成と同様にできる。
<第3実施形態>
図11に示すように、本実施形態の第1管部材211は、管部材本体211aと、取付部材270と、を有する。本実施形態の管部材本体211aにおける流路217の内周面は、全体が樹脂製の管部材本体211aの内周面のみで構成される。言い換えれば、本実施形態において流路217の内部には、金属製の取付部材270が露出していない。
本実施形態において取付部材270の被保持部271は、被保持部271を軸方向に貫通する第1貫通孔271aを有する。本実施形態において第1貫通孔271aは、複数設けられる。第1貫通孔271aは、例えば、2つ設けられる。2つの第1貫通孔271aは、幅狭部71eに設けられる。2つの第1貫通孔271aは、例えば、鉛直方向に対して前後方向に斜めに傾いた方向に間隔を空けて配置される。2つの第1貫通孔271aのそれぞれには、管部材本体211aの一部が充填される。2つの第1貫通孔271aの内径は、例えば、互いに同じである。
本実施形態において被保持部271は、被保持部271を軸方向に貫通する第2貫通孔271bを有する。第2貫通孔271bの内部には、管部材本体211aの一部が位置する。本実施形態において第2貫通孔271bの内部には、管部材本体211aの一部として、管部材本体211aの中心軸J4を中心とする円環状の環状部211eが位置する。環状部211eの外周面は、第2貫通孔271bの内周面と全周に亘って接触する。環状部211eの内周面は、流路217の内周面の一部を構成する。本実施形態のその他の構成は、上述した他の実施形態のその他の構成と同様にできる。
本実施形態のように流路217の内部に取付部材270が露出していない場合であっても、例えば、環状部211eが損耗する、環状部211eに成形不良が生じる等により、流路217内を流れるオイルOが、被保持部271と管部材本体211aとの間に入り込む虞がある。このような場合であっても、流路217とフランジ部72との間に、内部に管部材本体211aの一部が位置する第1貫通孔271aが設けられるため、第1実施形態と同様に、オイルOが第1管部材211の外部に漏れることを抑制できる。
また、本実施形態によれば、第1貫通孔271aは、複数設けられる。そのため、被保持部271と管部材本体211aとの間に入り込んだオイルOがフランジ部72に向かうことを、複数の第1貫通孔271a内に位置する管部材本体211aの一部によって遮ることができる。これにより、オイルOが第1管部材211の外部に漏れることをより抑制できる。また、複数の第1貫通孔271aの内部に管部材本体211aの一部が位置することにより、管部材本体211aに対して取付部材270をより強固に保持させることができる。
<第4実施形態>
図12に示すように、本実施形態の第1管部材311は、管部材本体311aと、取付部材370と、を有する。本実施形態の管部材本体311aは、流路317よりも右側(-Y側)に位置する保持部311fを有する。保持部311fには、取付部材370の被保持部371が保持される。本実施形態において取付部材370は、流路317よりも右側に位置する。本実施形態において流路317の内部には、取付部材370が露出していない。
被保持部371は、管部材本体311aの外周面に露出する露出部371dを有する。露出部371dは、例えば、被保持部371のうち、フランジ部72が繋がる部分に対して中心軸J4を挟んで逆側に位置する部分である。被保持部371は、第1貫通孔371aと、第3貫通孔371cと、を有する。第1貫通孔371aおよび第3貫通孔371cは、被保持部371を軸方向に貫通する。第1貫通孔371aの内部および第3貫通孔371cの内部には、管部材本体311aの一部が充填される。
第1貫通孔371aは、流路317が延びる軸方向に見て、流路317とフランジ部72との間に位置する。第3貫通孔371cは、流路317が延びる軸方向に見て、流路317と露出部371dとの間に位置する。本実施形態において被保持部371は、第1実施形態と異なり、第2貫通孔を有しない。本実施形態のその他の構成は、上述した他の実施形態の構成と同様にできる。
本実施形態のような構成であっても、例えば、流路317の下流側(右側,-Y側)に位置する保持部311fが損耗する、または保持部311fに成形不良が生じる等により、流路317内のオイルOが、保持部311fの内部をさらに下流側(右側,-Y側)に流れて、被保持部371のうち軸方向に見て流路317と重なる部分と管部材本体311aとの間に入り込む虞がある。この場合、入り込んだオイルOが図12における下側に流れてフランジ部72と管部材本体311aとの間から外部に漏れる虞がある。
これに対して、本実施形態によれば、軸方向に見て流路317とフランジ部72との間に第1貫通孔371aが設けられるため、第1貫通孔371aの内部に位置する管部材本体311aの一部によって、被保持部371と管部材本体311aとの間に入り込んだオイルOがフランジ部72に向かうことを遮ることができる。したがって、オイルOがフランジ部72と管部材本体311aとの間を介して第1管部材311の外部に漏れることを抑制できる。
また、本実施形態では、被保持部371が露出部371dを有する。そのため、被保持部371のうち軸方向に見て流路317と重なる部分と管部材本体311aとの間に入り込んだオイルOが、図12における上側に流れて露出部371dと管部材本体311aとの間から外部に漏れる虞もある。
これに対して、本実施形態によれば、軸方向に見て流路317と露出部371dとの間に第3貫通孔371cが設けられるため、第3貫通孔371cの内部に位置する管部材本体311aの一部によって、被保持部371と管部材本体311aとの間に入り込んだオイルOが露出部371dに向かうことを遮ることができる。したがって、オイルOが露出部371dと管部材本体311aとの間を介して第1管部材311の外部に漏れることを抑制できる。
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成を採用することもできる。上述した実施形態では、流体がオイルOである場合について説明したが、これに限られない。流体は、特に限定されない。流体は、例えば、絶縁液であってもよいし、水であってもよい。流体が水である場合において、流体がステータに供給される場合には、ステータの表面に絶縁処理を施してもよい。
障壁部は、ハウジングの内部のうち通気孔の内側開口部が開口する部分に面するならば、どのような形状であってもよいし、どのような位置に設けられてもよい。障壁部は、対向壁部を有しなくてもよいし、突出壁部を有しなくてもよい。つまり、例えば、上述した第1実施形態において、障壁部65は、突出壁部65aのみから構成されてもよいし、対向壁部65bのみから構成されてもよい。障壁部は、設けられなくてもよい。ブリーザは、通気孔を有していれば、特に限定されない。ブリーザは、ブリーザパイプを有しなくてもよい。通気孔は、ハウジングの内部と外部とを繋ぐならば、ハウジングのいずれの箇所に設けられてもよい。通気孔の形状は、特に限定されない。
管部材本体は、管部材本体が延びる方向の両側に開口してもよい。管部材本体を構成する材料は、特に限定されない。管部材本体は、金属製であってもよい。この場合、取付部材は、管部材本体に埋め込まれて保持された被保持部を有しなくてもよい。上述した各実施形態においては、第1管部材が、管部材本体とフランジ部とを有する管部材としたが、これに限られない。例えば、第2管部材が管部材本体とフランジ部とを有する管部材であってもよいし、第1管部材と第2管部材との両方が管部材本体とフランジ部とを有する管部材であってもよい。この場合、例えば、第2管部材の近くにブリーザが設けられる。管部材の流路は、どのような形状であってもよい。管部材の流路の流路断面積は、流路の全体に亘って一定であってもよい。管部材の噴射口から噴射される流体が供給される対象は、特に限定されない。噴射口は、モータに向かって開口する噴射口を含まなくてもよい。噴射口は、減速装置にオイルを供給する噴射口を含んでもよい。例えば、上述した実施形態において、管部材本体11aの噴射口は、ベアリング26,27にオイルOを供給する第3噴射口16のみを含んでもよい。つまり、管部材本体11aは、第1噴射口13および第2噴射口14を有しなくてもよい。また、例えば、管部材本体11aの噴射口は、冷媒としてのオイルOをモータ2のステータ30に対して供給する第1噴射口13および第2噴射口14のみを含んでもよい。つまり、管部材本体11aは、ベアリング26,27にオイルOを供給する第3噴射口16を有しなくてもよい。管部材に設けられる噴射口の数は、1つ以上であれば、特に限定されない。
取付部材を構成する材料は、特に限定されない。取付部材は、樹脂製であってもよい。取付部材の材料は、管部材本体の材料と異なる材料のうち金属以外の材料であってもよい。取付部材の材料は、管部材本体を構成する樹脂と異なる種類の樹脂であってもよい。取付部材は、被固定部が設けられるフランジ部以外に、管部材本体から管部材本体の外部に突出する部分を有してもよい。この場合、被保持部は、流路が延びる方向に見て、流路と当該突出する部分との間に位置する第4貫通孔を有してもよい。第4貫通孔の内部には、管部材本体の一部が位置する。この構成によれば、第4貫通孔の内部に位置する管部材本体の一部によって、当該突出する部分と管部材本体との間から流路内の流体が漏れることを抑制できる。上述した第1実施形態において被保持部71は、第4実施形態の露出部371dのように、管部材本体11aの外周面に露出する露出部を有してもよい。
遮蔽部は、通気孔に向かうオイルOの少なくとも一部を遮ることができるならば、どのような形状であってもよいし、どのような位置に配置されてもよい。例えば、上述した第1実施形態において遮蔽部72bは、第1壁部72cのみから構成されてもよい。被固定部は、複数のボルトによってハウジングに固定されてもよい。被固定部は、障壁部以外のハウジングの部分に固定されてもよい。第2壁部は、ハウジングの内側面に接触してもよい。
回転止め部は、ハウジングに引っ掛けられるならば、どのような構成であってもよい。回転止め部は、例えば、ハウジングに設けられた突起が通される孔であってもよい。この場合、孔の内周面が突起に引っ掛かり、取付部材がハウジングに対して回転することを抑制できる。また、回転止め部は、ハウジングに設けられた突起と引っ掛かり合う突起であってもよい。この場合、突起同士が引っ掛かり合い、取付部材がハウジングに対して回転することを抑制できる。回転止め部は、設けられなくてもよい。
被保持部に設けられた第1貫通孔は、どのような形状であってもよい。第1貫通孔の数は、特に限定されない。第1貫通孔の内部の一部のみに、管部材本体の一部が設けられてもよい。第1貫通孔は、設けられなくてもよい。上述した第1実施形態、第3実施形態、および第4実施形態において、被保持部は、第3貫通孔を有しなくてもよい。被保持部のうち流路よりもフランジ部に近い部分に設けられた凹部は、1つのみ設けられてもよいし、3つ以上設けられてもよい。凹部は、第1貫通孔に向かって窪まなくてもよい。凹部は、設けられなくてもよい。
駆動装置は、モータを動力源として対象となる物体を動かすことができる装置であれば、特に限定されない。駆動装置は、伝達機構を備えなくてもよい。モータのトルクがモータのシャフトから直接対象に出力されてもよい。この場合、駆動装置は、モータそのものに相当する。モータ軸が延びる方向は、特に限定されない。なお、本明細書において「モータ軸が鉛直方向と直交する水平方向に延びる」とは、モータ軸が厳密に水平方向に延びる場合に加えて、モータ軸が略水平方向に延びる場合も含む。すなわち、本明細書において「モータ軸が鉛直方向と直交する水平方向に延びる」とは、モータ軸が水平方向に対して僅かに傾いていてもよい。また、上述した実施形態では、駆動装置がインバータユニットを含まない場合について説明したが、これに限られない。駆動装置は、インバータユニットを含んでいてもよい。言い換えると、駆動装置がインバータユニットと一体構造となっていてもよい。
駆動装置の用途は、特に限定されない。駆動装置は、車両に搭載されなくてもよい。以上、本明細書において説明した構成および方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。