JP2022127301A - モータ - Google Patents

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Yusuke Jono
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Abstract

Figure 2022127301000001
【課題】シャフトを回転可能に支持する軸受を円滑に潤滑するモータを提供する。
【解決手段】モータ2は、モータ軸を中心として回転するロータ20と、ロータの径方向外側に位置するステータと、ロータを回転可能に支持するベアリング89と、ロータ、ステータおよびベアリングを収容するハウジングと、を有する。ロータは、シャフト21と、シャフトを径方向外側から囲むロータコア24と、を有する。シャフトは、軸方向に沿って延びる内周面を有し内側にオイルが供給される中空部22と、中空部とシャフトの外部とを連通しベアリングに向かって開口するベアリング潤滑孔27と、を有し、ベアリング潤滑孔は、モータ軸に対して所定角度でベアリングに向かって延びる。
【選択図】図5

Description

本発明は、モータに関する。
特許文献1には、中空のシャフトに径方向に延びる貫通孔を設け、潤滑油(ATF)をシャフト内部から貫通孔を介してロータコアの端面を通過する流路に供給する構造が開示されている。
特開2013-115848号公報
従来のシャフトにおいても、ケースに設けられる、シャフトを回転可能に支持する軸受を潤滑する必要があった。
本発明の一つの態様は、シャフトの内部を通るオイルを、シャフトを回転可能に支持する軸受に円滑に誘導できるモータを提供する。
本発明のモータの一つの態様は、モータ軸を中心として回転するロータと、ロータの径方向外側に位置するステータと、ロータを回転可能に支持するベアリングと、ロータ、ステータおよびベアリングを収容するハウジングと、を有する。ロータは、モータ軸に沿って延びるシャフトと、シャフトを径方向外側から囲むロータコアと、を有する。シャフトは、軸方向に沿って延びる内周面を有し内側にオイルが供給される中空部と、中空部とシャフトの外部とを連通しベアリングに向かって開口するベアリング潤滑孔を有する。ベアリング潤滑孔は、モータ軸に対して所定角度でベアリングに向かって延びる。
本発明の一つの態様によれば、シャフトを回転可能に支持する軸受を円滑に潤滑することができる。
図1は、一実施形態のモータユニットの概念図である。 図2は、一実施形態のモータユニットの斜視図である。 図3は、一実施形態のモータユニットの側面図である。 図4は、図3のIV-IV線に沿うモータユニットの断面図である。 図5は、一実施形態のロータの断面図である。 図6は、エンドプレートの平面図である。 図7は、図6のVII-VII線に沿うエンドプレートの断面図である。 図8は、一実施形態のモータユニットの断面図であり、第2の油路を示す図である。 図9は、ベアリング潤滑孔が軸方向から40度傾いた際の解析結果である。 図10は、ベアリング潤滑孔が軸方向から90度傾いた際の解析結果である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
以下の説明では、モータユニット1が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合の位置関係を基に、重力方向を規定して説明する。また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向(すなわち上下方向)を示し、+Z方向が上側(重力方向の反対側)であり、-Z方向が下側(重力方向)である。また、X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であってモータユニット1が搭載される車両の前後方向を示し、+X方向が車両前方であり、-X方向が車両後方である。ただし、+X方向が車両後方であり、-X方向が車両前方となることもありうる。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の幅方向(左右方向)である。
以下の説明において特に断りのない限り、モータ2のモータ軸J2に平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と呼び、モータ軸J2を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸J2を中心とする周方向、すなわち、モータ軸J2の軸周りを単に「周方向」と呼ぶ。さらに、以下の説明において、「平面視」とは、軸方向から見た状態を意味する。ただし、上記の「平行な方向」は、略平行な方向も含む。また、上記の「直交する方向」は略直交する方向も含む。
以下、図面を基に本発明の例示的な一実施形態に係るモータユニット(電動駆動装置)1について説明する。
図1は、一実施形態のモータユニット1の概念図である。図2は、モータユニット1の斜視図である。図3は、モータユニット1の側面図である。図4は、図3のIV-IV線に沿うモータユニット1の断面図である。なお、図4において差動装置5の内部構造の一部は省略されている。
モータユニット1は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、モータを動力源とする車両に搭載され、その動力源として使用される。
図1に示すように、モータユニット1は、モータ(メインモータ)2と、減速装置4と、差動装置5と、ハウジング6と、オイルOと、オイルOをモータ2に供給する油路90と、を備える。
図1に示すように、モータ2は、水平方向に延びるモータ軸J2を中心として回転するロータ20と、ロータ20の径方向外側に位置するステータ30と、を備える。減速装置4は、モータ2のロータ20に接続される。差動装置5は、減速装置4を介しモータ2に接続される。ハウジング6の内部は、モータ2、減速装置4および差動装置5を収容する収容空間80が設けられる。オイルOは、減速装置4および差動装置5の潤滑用として使用されるとともに、モータ2の冷却用として使用される。オイルOは、収容空間80の鉛直方向下側の領域に溜る。オイルOは、潤滑油および冷却油の機能を奏するため、粘度の低いオートマチックトランスミッション用潤滑油(ATF:Automatic Transmission Fluid)と同等のものを用いることが好ましい。油路90は、収容空間80の下側の領域からオイルOをモータ2に供給するオイルOの経路である。油路90は、第1の油路91と第2の油路92とを有する。
なお、本明細書において、「油路」とは、収容空間80を循環するオイルOの経路を意味する。したがって、「油路」とは、定常的に一方向に向かう定常的なオイルの流動を形成する「流路」のみならず、オイルを一時的に滞留させる経路(例えばリザーバ)およびオイルが滴り落ちる経路をも含む概念である。
<ハウジング>
ハウジング6の内部に設けられた収容空間80には、モータ2、減速装置4および差動装置5が収容される。ハウジング6は、収容空間80においてモータ2、減速装置4および差動装置5を保持する。ハウジング6は、隔壁61cを有する。ハウジング6の収容空間80は、隔壁61cによってモータ室81とギヤ室82とに区画される。モータ室81には、モータ2が収容される。ギヤ室82には、減速装置4および差動装置5が収容される。
収容空間80の下側の領域には、オイルOが溜るオイル溜りPが設けられる。本実施形態では、モータ室81の底部81aは、ギヤ室82の底部82aより上側に位置する。また、モータ室81とギヤ室82とを区画する隔壁61cの下側の領域には、隔壁開口68が設けられる。隔壁開口68は、モータ室81とギヤ室82とを連通させる。隔壁開口68は、モータ室81の下側の領域に溜ったオイルOをギヤ室82に移動させる。したがって、本実施形態においてオイル溜りPは、ギヤ室82の下側の領域に設けられる。
オイル溜りPには、差動装置5の一部が浸かる。オイル溜りPに溜るオイルOは、差動装置5の動作によってかき上げられて、一部が第1の油路91に供給され、一部がギヤ室82内に拡散される。ギヤ室82に拡散されたオイルOは、ギヤ室82内の減速装置4および差動装置5の各ギヤに供給されてギヤの歯面にオイルOを行き渡らせる。減速装置4および差動装置5に使用されたオイルOは、滴下してギヤ室82の下側に位置するオイル溜りPに回収される。収容空間80のオイル溜りPの容量は、モータユニット1の停止時に、差動装置5の軸受の一部がオイルOに浸かる程度に設定される。
ハウジング6は、例えばアルミダイカスト製である。ハウジング6は、モータユニット1の外枠を構成する。ハウジング6は、モータ収容部61と、ギヤ収容部62と、閉塞部63と、を有する。ギヤ収容部62は、モータ収容部61の左側に位置する。閉塞部63は、モータ収容部61の右側に位置する。
モータ収容部61は、モータ2を径方向外側から囲む筒状の周壁部61aと、周壁部61aの軸方向一方側に位置する側板部61bと、を有する。周壁部61aの内側の空間がモータ室81を構成する。側板部61bは、隔壁61cと突出板部61dとを有する。隔壁61cは、周壁部61aの軸方向一方側の開口を覆う。隔壁61cには、上述の隔壁開口68に加えて、モータ2のシャフト21を挿通させる挿通孔61fが設けられる。側板部61bは、隔壁61cと、周壁部61aに対して径方向外側に突出する突出板部61dと、を有する。突出板部61dには、車輪を支持するドライブシャフト(図示略)が通過する第1の車軸通過孔61eが設けられる。
閉塞部63は、モータ収容部61に固定される。閉塞部63は、周壁部61aの軸方向反対側の開口を塞ぐ。すなわち、閉塞部63は、筒状のモータ収容部61の開口を塞ぐ。閉塞部63は、閉塞部本体63aと、蓋部材63bと、を有する。閉塞部本体63aは、モータ収容部61の内側に位置する収容空間80に突出する筒状の突出部63dを有する。突出部63dは、周壁部61aの内周面に沿って延びる。また、閉塞部本体63aには、軸方向に貫通する窓部63cが設けられる。蓋部材63bは、収容空間80の外側から窓部63cを塞ぐ。
ギヤ収容部62は、モータ収容部61の側板部61bに固定される。ギヤ収容部62は、側板部61b側に開口する凹形状を有する。ギヤ収容部62の開口は、側板部61bに覆われる。ギヤ収容部62と側板部61bの間の空間は、減速装置4および差動装置5を収容するギヤ室82を構成する。ギヤ収容部62には、第2の車軸通過孔62eが設けられる。第2の車軸通過孔62eは、軸方向から見て第1の車軸通過孔61eと重なる。
図3に示すように、ギヤ収容部62は、第1のリザーバ(リザーバ)93と、シャフト供給流路94と、を有する。第1のリザーバ93は、ギヤ収容部62の軸方向のギヤ室82側を向く面に位置し、軸方向に沿って延びる。第1のリザーバ93は、差動装置5によってかき上げられたオイルOを受ける。シャフト供給流路94は、第1のリザーバ93の底部からモータ2のシャフト21に向かって延びる。シャフト供給流路94は、第1のリザーバ93で受けたオイルOをシャフト21の中空部22の内側に供給する流路である。
<減速装置>
図4に示すように、減速装置4は、モータ2の回転速度を減じて、モータ2から出力されるトルクを減速比に応じて増大させる機能を有する。減速装置4は、モータ2から出力されるトルクを差動装置5へ伝達する。
減速装置4は、第1のギヤ(中間ドライブギヤ)41と、第2のギヤ(中間ギヤ)42と、第3のギヤ(ファイルナルドライブギヤ)43と、中間シャフト45と、を有する。モータ2から出力されるトルクは、モータ2のシャフト21、第1のギヤ41、第2のギヤ42、中間シャフト45および第3のギヤ43を介して差動装置5のリングギヤ(ギヤ)51へ伝達される。各ギヤのギヤ比およびギヤの個数等は、必要とされる減速比に応じて種々変更可能である。減速装置4は、各ギヤの軸芯が平行に配置される平行軸歯車タイプの減速機である。
第1のギヤ41は、モータ2のシャフト21の外周面に設けられる。第1のギヤ41は、シャフト21とともに、モータ軸J2を中心に回転する。
中間シャフト45は、モータ軸J2と平行な中間軸J4に沿って延びる。中間シャフト45は、中間軸J4を中心とする円筒形状である。中間シャフト45は、中間軸J4を中心として回転する。中間シャフト45は、一対の中間シャフト保持ベアリング87によって回転自在に支持される。一対の中間シャフト保持ベアリング87のうち一方は、隔壁61cのギヤ室82側を向く面に保持される。一対の中間シャフト保持ベアリング87のうち他方は、ギヤ収容部62に保持される。
第2のギヤ42および第3のギヤ43は、中間シャフト45の外周面に設けられる。第2のギヤ42と第3のギヤ43は、中間シャフト45を介して接続される。第2のギヤ42および第3のギヤ43は、中間軸J4を中心として回転する。第2のギヤ42は、第1のギヤ41に噛み合う。第3のギヤ43は、差動装置5のリングギヤ51と噛み合う。第3のギヤ43は、第2のギヤ42に対して隔壁61c側に位置する。本実施形態において、中間シャフト45と第3のギヤ43は、単一の部材である。
<差動装置>
差動装置5は、モータ2から出力されるトルクを車両の車輪に伝達するための装置である。差動装置5は、車両の旋回時に、左右の車輪の速度差を吸収しつつ、左右両輪の車軸55に同トルクを伝える機能を有する。差動装置5は、リングギヤ51と、ギヤハウジング57と、一対のピニオンギヤ(不図示)と、ピニオンシャフト(不図示)と、一対のサイドギヤ(不図示)と、を有する。
リングギヤ51は、モータ軸J2と平行な差動軸J5を中心として回転する。リングギヤ51には、モータ2から出力されるトルクが減速装置4を介して伝えられる。すなわち、リングギヤ51は、他のギヤを介してモータ2に接続される。リングギヤ51は、ギヤハウジング57の外周に固定される。
ギヤハウジング57は、一対のピニオンギヤおよび一対のサイドギヤを収容する。ギヤハウジング57は、リングギヤ51にトルクが伝達されるとリングギヤ51とともに、差動軸J5周りを回転する。
一対のピニオンギヤは、互いに向かい合う傘歯車である。一対のピニオンギヤは、ピニオンシャフトに支持される。
一対のサイドギヤは、一対のピニオンギヤに直角に噛み合う傘歯車である。一対のサイドギヤは、それぞれ嵌合部を有する。嵌合部には、それぞれ車軸が嵌合される。互いに異なる嵌合部に嵌合された一対の車軸は、差動軸J5周りを同じトルクで回転する。
<モータ>
図4に示すように、モータ2は、ステータ30と、ステータ30の内側に回転自在に配置されるロータ20と、を備えるインナーロータ型モータである。ロータ20は、図示略のバッテリからステータ30に電力が供給されることで回転する。モータ2のトルクは、減速装置4を介し差動装置5に伝達される。
(ステータ)
ステータ30は、ステータコア32と、コイル31と、ステータコア32とコイル31との間に介在するインシュレータ(図示略)とを有する。ステータ30は、ハウジング6に保持される。
ステータコア32は、円環状のヨークの内周面から径方向内方に複数の磁極歯(図示略)を有する。本実施形態のステータコア32は、磁極歯と磁極歯との間に形成されるスロット数は48である。磁極歯の間には、コイル線が掛けまわされることでコイル31が構成される。
コイル31は、ステータコア32の軸方向端面から突出するコイルエンド31aを有する。すなわち、ステータ30は、コイルエンド31aを有する。コイルエンド31aは、ロータ20のロータコア24の端部よりも軸方向に突出する。コイルエンド31aは、ロータコア24に対し軸方向両側に突出する。
(ロータ)
ロータ20は、シャフト(モータシャフト)21と、ロータコア24と、ロータマグネット(永久磁石)25と、一対の板状のエンドプレート26と、ナット29と、ワッシャ(蓋部)28と、を有する。
(シャフト)
シャフト21は、水平方向かつ車両の幅方向(車両の進行方向と直交する方向)に延びるモータ軸J2を中心として延びる。シャフト21は、同軸上で互いに連結された第1シャフト部21Aおよび第2シャフト部21Bを有する。
シャフト21は、内部にモータ軸J2に沿って延びる内周面を有する中空部22が設けられた中空シャフトである。中空部22は、第1シャフト部21Aの内部に位置する第1中空部22Aと、第2シャフト部21Bの内部に位置する第2中空部22Bとを含む。第1中空部22Aと第2中空部22Bは、軸方向に沿って並び、互いに連通する。
第1シャフト部21Aは、収容空間80のモータ室81に配置される。第1シャフト部21Aは、ステータ30の径方向内側に位置し、モータ軸J2に沿ってロータコア24を貫通する。第1シャフト部21Aは、出力側(すなわち、減速装置4側)に位置する第1端部21eと、その反対側に位置する第2端部21fと、を有する。
第1シャフト部21Aは、一対の第1のベアリング89によって回転自在に支持される。一対の第1のベアリング89は、第1シャフト部21Aの第1端部21eおよび第2端部21fを支持する。一対の第1のベアリング89のうち一方は、閉塞部63に保持される。一対の第1のベアリング89のうち他方は、隔壁61cのモータ室81側を向く面に保持される。
図5は、ロータ20の断面図である。なお、図5において第2シャフト部21Bは、仮想線により図示されている。
第1シャフト部21Aには、一対の連通孔23が設けられる。連通孔23は、径方向に延びてシャフト21の外部と中空部22とを連通させる。すなわち、シャフト21には、一対の連通孔23が設けられる。一対の連通孔23は、軸方向に沿って並ぶ。なお、本明細書では、シャフト21の外周面から中空部を通過し外周面に至る孔を1つの連通孔23とする。
第1シャフト部21Aの外周面には、軸方向に沿って並ぶ鍔部(蓋部)21cとネジ部21dとが設けられる。すなわち、シャフト21の外周面には、鍔部21cとネジ部21dとが設けられる。ロータコア24は、軸方向において鍔部21cとネジ部21dとの間に位置する。ネジ部21dには、ナット29が締結される。
図4に示すように、第2シャフト部21Bは、第1シャフト部21Aと同軸上に位置する。第2シャフト部21bは、第1シャフト部21A側に位置する第3端部21gと、その反対側に位置する第4端部21hと、を有する。第2シャフト部21Bは、第3端部21gにおいて、第1シャフト部21Aの第1端部21eに接続される。
第2シャフト部21Bは、収容空間80のギヤ室82に配置される。第2シャフト部21Bの第3端部21gは、隔壁61cに設けられた挿通孔61fを介してモータ室81側に突出し第1シャフト部21Aに接続される。第2シャフト部21Bの外周面には、第1のギヤ41が設けられる。第1のギヤ41は、減速装置4の一部である。第1のギヤ41は、第2のギヤ42とかみ合いシャフト21の出力を第2のギヤに伝達する。
第2シャフト部21Bは、一対の第2のベアリング88によって回転自在に支持される。一対の第2のベアリング88のうち一方は、隔壁61cのギヤ室82側を向く面に保持される。一対の第2のベアリング88のうち他方は、ギヤ収容部62に保持される。
中空部22は、第1シャフト部21Aの第2端部21fおよび第2シャフト部21Bの第4端部21hにおいて軸方向に開口する。中空部22には、第4端部21hの開口からオイルOが供給される。中空部22に供給されたオイルOは、第4端部21h側から第2端部21f側に向かって流れる。中空部22に供給されたオイルOは、連通孔23を介してシャフト21の外部に流出する。
なお、以下の説明において、第4端部21h側を中空部22の流動方向上流側と呼び、第2端部21f側を中空部22の流動方向下流側と呼ぶ場合がある。
図5に示すように、第1中空部22Aは、内周面の直径が異なる第1領域22p(小径中空部)と、第2領域(小径中空部)22qと、第3領域(大径中空部)22rと、を有する。第1領域22p、第2領域22qは内周面の直径は同じであり、第1領域22pと第2領域22qと第3領域22rは、内周面の直径がことなる。第1領域22p、第2領域22qおよび第3領域22rは、流動方向下流側から上流側に向かってこの順で並んでいる。第1領域22pは、第2端部21f側に位置する。第2領域22qは、軸方向において第1領域22pと第3領域22rとの間に位置する。第3領域22rは、第1端部21e側に位置する。すなわち、第3領域22rは、第2領域22qより第2シャフト部21B側に位置する。
第3領域22rには、一対の連通孔23のうち流動方向上流側の一方の連通孔23が開口する。また、第2領域22qには、一対の連通孔23のうち流動方向下流側の他方の連通孔23が開口する。
第1シャフト部21Aの第3領域22rには、第2シャフト部21Bの第3端部21gが挿入される。第3領域22rには、雌スプライン22eが設けられる。一方で、第2シャフト部21Bの第3端部21gの外周面には、雄スプライン22gが設けられる。雌スプライン22eと雄スプライン22gは、互いに嵌合する。これにより、第1シャフト部21Aと第2シャフト部21Bとが接続される。
第2シャフト部21Bの第1シャフト部21A側を向く端面(すなわち、第3端部21gの端面)と、第2段差面22tとの間には、隙間が設けられる。第3端部21gの端面と第2段差面22tとの間の隙間は、中空部22の内周面に凹溝22uを構成する。すなわち、中空部22の内周面には、周方向に沿って延びる凹溝22uが設けられており、凹溝22uは、第2シャフト部21Bの第3端部21gの端面と、第3領域22rの内周面と、第2段差面22tと、から構成される。
一対の連通孔23のうち、オイルOの流動方向上流側に位置する一方の連通孔23は、凹溝22uにおいて中空部22に開口する。中空部22内に供給されたオイルOには、シャフト21の回転に伴い遠心力が付与される。中空部22の内周面には、凹溝22uが設けられるため、遠心力に伴いオイルOが凹溝22u内に溜る。本実施形態によれば、連通孔23が凹溝22uに開口するため、凹溝22u内に溜ったオイルOを連通孔23に効率よく誘導することができる。
本実施形態によれば、第1シャフト部21Aと第2シャフト部21Bとの接続部分の隙間を凹溝22uとして利用してオイルOを溜めることができる。したがって、オイルOを溜める凹溝22uを設けるために特殊な加工を施す必要がない。
軸方向に沿って並ぶ複数の連通孔23が設けられる場合、オイルOの流動方向下流側に位置する連通孔23にオイルOが流れやすく、オイルOの流動方向上流側の連通孔23に流入するオイルOが不足する場合がある。本実施形態によれば、流動方向上流側に位置する連通孔23が凹溝22uにおいて開口するため、オイルOを流動方向上流側に位置する連通孔23に十分に流入させることができる。
第3端部21gの端面と第2段差面22tとの間の隙間には、雌スプライン22eの一部が位置する。したがって、中空部22の内周面には、雌スプライン22eに由来して周方向に沿って並ぶ凸部および凹部が設けられる。中空部の断面形状が、モータ軸を中心とする円形である場合には、シャフトが回転しても、中空部内のオイルOがシャフトに対し空転し、オイルOに遠心力が付与されない虞がある。これに対して、中空部22内に周方向に沿って並ぶ凸部および凹部を設けることで、シャフト21の回転に伴いオイルOを回転させることでき中空部22のオイルOに遠心力を付与することができる。これにより、オイルOを連通孔23に円滑に誘導できる。
本実施形態によれば、第2シャフト部21Bの外周面および第3領域22rの内周面には、互いにスプライン嵌合するスプライン(雄スプライン22gおよび雌スプライン22e)が設けられる。また、第3領域22rのスプライン(雌スプライン22e)の一部は、凹溝22u内に位置する。したがって、嵌合に用いる雌スプライン22eを利用して、中空部22内のオイルOに遠心力を付与できる。すなわち、オイルOに遠心力を付与する為に中空部22の内周面に加工を施して凹凸形状を設ける必要がない。
(ロータコア)
ロータコア24は、珪素鋼板を積層して構成される。ロータコア24は、軸方向に沿って延びる円柱体である。ロータコア24は、軸方向のそれぞれ反対側を向く一対の軸方向端面24aと、径方向外側を向く外周面24bと、を有する。
ロータコア24は、一対のエンドプレート26とともに、ナット29と鍔部21cとの間に挟み込まれる。ナット29とエンドプレート26との間には、ワッシャ28が介在する。
ロータコア24には、軸方向からみて中央に位置し軸方向に沿って貫通する1つの嵌合孔24c、複数のマグネット保持孔24dおよび複数のコア貫通孔24eが設けられる。嵌合孔24c、マグネット保持孔24dおよびコア貫通孔24eは、一対の軸方向端面24aに開口する。
嵌合孔24cは、モータ軸J2を中心とする円形である。嵌合孔24cには、シャフト21が挿通し嵌合する。したがって、ロータコア24は、シャフト21を径方向外側から囲む。シャフト21と嵌合孔24cとの嵌合は、隙間嵌めである。したがって、シャフト21の嵌合によるロータコア24の変形が抑制される。嵌合孔24cの内周面には、径方向内側に突出する突起(図示略)が設けられる。この突起は、シャフト21の外周面に設けられたキー溝(図示略)に嵌る。これにより、ロータコア24とシャフト21との相対的な回転が抑止される。
複数のコア貫通孔24eは、周方向に沿って並んで配置される。コア貫通孔24eは、マグネット保持孔24dより径方向内側に位置する。コア貫通孔24eは、一対の軸方向端面24a同士の間でオイルOを流動させる役割を果たす。
複数のマグネット保持孔24dは、周方向に沿って並んで配置される。マグネット保持孔24dには、ロータマグネット25が挿入される。マグネット保持孔24dは、ロータマグネット25を保持する。すなわち、本実施形態のロータ20は、ロータコア24の内部にロータマグネット25が埋め込まれた埋込型(IPM(interior permanent magnet))である。
ロータマグネット25は、永久磁石である。複数のロータマグネット25は、それぞれ周方向に並ぶ複数のマグネット保持孔24dに挿入されてロータコア24に固定される。複数のロータマグネット25は、周方向に沿って並ぶ。
(エンドプレート)
図6は、エンドプレート26の平面図である。図7は、図6のVII-VII線に沿うエンドプレート26の断面図である。なお、図6および図7において、モータユニット1の他の部材を仮想線により示す。
図6に示すように、エンドプレート26は、平面視円形である。エンドプレート26は、金属製の板である。エンドプレート26には、軸方向に沿って貫通する円形の中央孔26iが設けられる。中央孔26iの内周面には、キー部26gが設けられる。キー部26qは、シャフト21に設けられたキー溝21kに嵌る。エンドプレート26とシャフト21とは、キー部26qとキー溝21kとの嵌合により相対的な回転が抑止される。
図5に示すように、エンドプレート26は、第1の面26aと、第2の面26bと、を有する。第1の面26aは、ロータコア24の軸方向端面24aと対向する。第2の面26bは、第1の面26aと反対側を向く。
一対のエンドプレート26は、それぞれロータコア24の軸方向両側に位置する。一対のエンドプレート26は、ロータコア24の一対の軸方向端面24aにそれぞれ接触する。一対のエンドプレート26のうち一方(第1のエンドプレート26A)は、ロータコア24の一方の軸方向端面24aと鍔部21cとの間に位置する。一対のエンドプレート26のうち他方(第2のエンドプレート26B)は、ロータコア24の他方の軸方向端面24aとワッシャ28との間に位置する。エンドプレート26は、第1の面26aにおいて軸方向端面24aと接触する。また、エンドプレート26は、第2の面26bにおいて鍔部21c又はワッシャ28と接触する。
本実施形態によれば、ロータコア24および一対のエンドプレート26は、鍔部21cと、ナット29との間に挟み込まれる。これにより、一対のエンドプレート26は、軸方向両側からロータコア24の軸方向端面24aに押し付けられる。エンドプレート26の第1の面26aとロータコア24の軸方向端面24aとの接触部には、摩擦力が生じ、これによりロータコア24とシャフト21との相対的な回転を抑止できる。
ロータコアとシャフトを圧入によって固定すると、ロータコアが変形してロータコア内を通過する磁路が変化し鉄損が大きくなる。特に本実施形態の様に車両駆動用のモータにおいては、駆動力が大きいため、圧入の締め代を大きく確保する必要があり、ロータコアの鉄損が大きくなりやすい。本実施形態によれば、ロータコア24は、エンドプレート26を介してシャフト21に固定される。このため、ロータコア24の嵌合孔24cとシャフト21との嵌合を隙間嵌めとすることができ、ロータコア24の変形を抑制でき、高効率のモータ2を提供できる。
図7に示すように、第1の面26aには、凹部26fと、凹部26fを径方向外側から囲む傾斜面26eと、が設けられる。凹部26fは、平面視でモータ軸J2を中心とする円形である。凹部26fは、凹部底面26gと、凹部内周面26hと、を有する。凹部底面26gは、モータ軸J2に直交する平面である。凹部内周面26hは、凹部底面26gと傾斜面26eとの間に位置する。凹部内周面26hは、径方向内側から径方向外側に向かうに従い凹部26fを浅くする方向に傾斜する。凹部26fとロータコア24の軸方向端面24aとの間には、隙間が設けられる。この隙間には、オイルOが溜り、ロータコア24の軸方向端面24aを冷却する。
傾斜面26eは、第1の面26aにおいて最も径方向外側に位置する領域に設けられ、周方向に沿って延びる。傾斜面26eは、径方向外側に向かうに従いロータコア24側に向かって傾斜角度θで傾斜する。なお、ここで傾斜角度θとは、モータ軸J2と直交する平面と傾斜面26eとのなす角度である。
エンドプレート26は、第1の面26aの傾斜面26eにおいてロータコア24の軸方向端面24aと接触する。傾斜面26eは、径方向外側に向かうに従いロータコア24側に傾斜するため、傾斜面26eは、最も径方向外側の領域で、軸方向端面24aと接触する。これにより、傾斜面26eと軸方向端面24aとの接触により生じる摩擦力を、できるだけ径方向外側に生じさせることができる。また、傾斜面26eと軸方向端面24aとの垂直応力を、径方向外側に向かうに従い大きくすることができる。これにより、径方向外側に向かうに従い静止摩擦力の限界値を大きくすることができる。エンドプレート26とロータコア24との相対的な回転を抑止する保持トルクは、回転軸からの距離と摩擦力に比例する。したがって、本実施形態によればエンドプレート26とロータコア24との相対的な回転を抑止する保持トルクを大きくすることができ、エンドプレート26に対してロータコア24を強固に保持できる。このような効果を奏する為に、傾斜面26eの傾斜角度θは、0.1°以上5°以下とすることが好ましい。
また、本実施形態のエンドプレート26は、傾斜面26eにおいてロータコア24の軸方向端面24aと接触する。このため、エンドプレート26とロータコア24との接触位置を安定させることができる。したがって、エンドプレート26とロータコア24との伝達トルクのばらつきを抑制することができ、シャフト21に対してロータコア24を確実に固定できる。
また、本実施形態によれば、エンドプレート26に傾斜面26eが設けられることで、エンドプレート26およびロータコア24の軸方向端面24aの接触部の平坦度にバラツキがあっても、確実に接触させることができる。後段において説明するように、傾斜面26eの径方向内側には、オイル流路26t(図5参照)が設けられる。一般的に、オイルがロータコアとステータとの間に侵入すると、ロータコアの回転効率が低下する。傾斜面26eが、ロータコア24の軸方向端面24aと接触することでオイル流路26tのオイルOが、エンドプレート26とロータコア24の間からロータコア24の外周面24bとステータ30との隙間に浸入することを抑制できる。
なお、傾斜面26eは、径方向外側に向かうに従い傾斜角が変化する構成であってもよい。また、傾斜面26eは、径方向外側に向かうに従い傾斜角度が変化する湾曲面であってもよい。
図5に示すように、傾斜面26eは、ロータコア24のマグネット保持孔24dの開口を塞ぐ。これにより、マグネット保持孔24dの内部に保持されるロータマグネット25が、マグネット保持孔24dの開口から飛び出ることが抑制される。これにより、収容凹部内の駆動部分にロータマグネット25の一部が侵入することが抑制される。
図7に示すように、第2の面26bには、平面部26cと平面部26cの外縁に位置する面取り部26dとが設けられる。平面部26cは、モータ軸J2と直交する。面取り部26dは、径方向外側に向かうに従い第1の面26a側に傾斜する。
図5に示すように、エンドプレート26には、プレート貫通孔26pと、第1の凹溝(第1の凹部)26jと、第2の凹溝(第2の凹部)26kと、が2組設けられる。以下、2組のプレート貫通孔26p、第1の凹溝26jおよび第2の凹溝26kのうち、一方の組について説明するが、他方の組も同様の構成を有する。
プレート貫通孔26pは、軸方向に沿って延びる。第1の凹溝26jは、第1の面26aに位置する。第1の凹溝26jは、プレート貫通孔26pの開口から径方向内側に延びる。第1の凹溝26jは、中央孔26iの内周面において径方向内側に開口する。第2の凹溝26kは、第2の面26bに位置する。第2の凹溝26kは、プレート貫通孔26pの開口から径方向外側に延びる。第2の凹溝26kは、面取り部26dにおいて径方向外側に開口する。
エンドプレート26の第1の凹溝26jの軸方向を向く開口は、ロータコア24の軸方向端面24aに覆われる。また、第1の凹溝26jの径方向の開口は、シャフト21の連通孔23と繋がる。
シャフト21の中空部22の内部に供給されたオイルOは、連通孔23を介して径方向外側に流れる。また、オイルOは、連通孔23の径方向外側の開口から第1の凹溝26jに流入する。さらに、オイルOは、プレート貫通孔26pを通過して第1の面26aおよび第2の面26b側に流れ、第2の凹溝26kを介してロータ20の外側に放出される。図4に示すように、エンドプレート26の径方向外側には、ステータ30のコイルエンド31aが設けられる。ロータ20の外側に放出されたオイルOは、コイルエンド31aに供給されて、コイルエンド31aを冷却する。
エンドプレート26の第1の凹溝26j、プレート貫通孔26pおよび第2の凹溝26kは、オイル流路26tとして機能する。すなわち、オイル流路26tは、第1の凹溝26j、プレート貫通孔26pおよび第2の凹溝26kから構成される。一対のエンドプレート26には、連通孔23と連通して径方向に沿って延びて開口するオイル流路26tがそれぞれ設けられる。
本実施形態のエンドプレート26によれば、プレート貫通孔26pおよび第1の凹溝26jおよび第2の凹溝26kがオイル流路26tを構成する。したがって、本実施形態によれば、金型成型により製造した安価な部品(エンドプレート26)によって、オイル流路26tを構成させることができる。
一対のエンドプレート26の第1の凹溝26jには、コア貫通孔24eが連通する。すなわち、コア貫通孔24eは、一対のエンドプレート26のそれぞれの第1の凹溝26j同士を繋ぐ。言い換えると、コア貫通孔24eは、一対のエンドプレート26のそれぞれのオイル流路26t同士を繋ぐ。また、コア貫通孔の開口の少なくとも一部は、プレート貫通孔26pより径方向外側に位置する。
本実施形態によれば、コア貫通孔24eは、一対のエンドプレート26の第1の凹溝26j同士を繋ぐため、第1の凹溝26jを通過するオイルOの一部をコア貫通孔24eに流すことができる。これにより、コア貫通孔24eのオイルOによって、ロータコア24を内部から冷却することができる。また、ロータコア24に保持されたロータマグネット25を、ロータコア24を介して冷却することができる。
本実施形態によれば、コア貫通孔24eの開口が、一対のエンドプレート26のプレート貫通孔26pより径方向外側に位置する。これにより、ロータ20の遠心力によってコア貫通孔24eの内部にオイルOを溜め、両側のエンドプレート26の第1の凹溝26jに、コア貫通孔24eからオイルOを供給できる。また、一対のエンドプレート26のうち、一方側の第1の凹溝26jにオイルOが不足する場合に、コア貫通孔24eを介し他方側からオイルOを供給できる。したがって、それぞれのエンドプレート26から略同量のオイルOをコイルエンド31aに放出することが可能となり、コイル31の安定的な冷却が可能となる。
図5に示すように、一対のエンドプレート26のうち、鍔部21cとロータコア24との間に挟み込まれた一方を第1のエンドプレート26Aとし、ナット29とロータコア24との間に挟み込まれた他方を第2のエンドプレート26Bとする。
第1のエンドプレート26Aにおいて、プレート貫通孔26pの径方向内側の一部は、鍔部21cに覆われる。また、第1のエンドプレート26Aにおいて、第2の凹溝26kの軸方向を向く開口は、その全体が軸方向外側を臨んでいる。換言すると、第1のエンドプレート26Aにおいて、第2の凹溝26kの軸方向を向く開口は、軸方向から見て、その全体が露出している。すなわち、第1のエンドプレート26Aの第2の凹溝26kは、軸方向を向く開口において外部と連通している。第1のエンドプレート26Aにおいて、第2の凹溝26kは、プレート貫通孔26pの一部と軸方向を向く開口の全体が、ワッシャ28から解放された第1の開放部26sとして機能する。第1のエンドプレート26Aにおいて、プレート貫通孔26pを通過したオイルOは、第1の開放部26sから放出される。
第2のエンドプレート26Bとナット29との間には、ワッシャ28が介在する。第2のエンドプレート26Bにおいて、プレート貫通孔26pと第2の凹溝26kの軸方向を向く開口の径方向内側の一部は、ワッシャ28により覆われる。第2の凹溝26kの軸方向を向く開口のうち、ワッシャ28により覆われる部分を被覆部と呼び、ワッシャ28に覆われていない部分を開放部と呼ぶ。すなわち、第2のエンドプレート26Bにおいて、第2の凹溝26kの軸方向を向く開口は、ワッシャ28により覆われる被覆部と、ワッシャに覆われていない第2の開放部26rと、を有する。第2のエンドプレート26Bの第2の凹溝26kは、第2の凹溝26kの径方向外側の端部に位置する第2の開放部26rにおいて軸方向外側を臨む。換言すると、第2のエンドプレート26Bの第2の凹溝26kは、軸方向からみたとき第2の開放部26rにおいて露出している。すなわち、第2のエンドプレート26Bの第2の凹溝26kは、第2の開放部26rにおいて外部と連通している。第2の開放部26rは、第2の凹溝26kの径方向外側の端部に位置する。第2のエンドプレート26Bにおいて、プレート貫通孔26pを通過したオイルOは、第2の開放部26rから放出される。
本実施形態の第1のエンドプレート26Aおよび第2のエンドプレート26Bによれば、第2の面26bに第2の凹溝26kが設けられることで、プレート貫通孔26pを介して第2の面26b側に流れるオイルOを、第2の凹溝26kに沿って径方向外側に移動させることができる。したがって、オイルOを第2の開放部26rまでオイルOを安定して流すことが可能となり、オイルOをステータ30のコイルエンド31aに安定的に供給できる。
本実施形態によれば、第1のエンドプレート26Aおよび第2のエンドプレート26Bの第2の凹溝26kに対して、それぞれ鍔部21c又はワッシャ28が、軸方向の開口を覆う蓋部として機能する。すなわち、ロータ20は、エンドプレート26を介してロータコア24の軸方向端部に位置する一対の蓋部(鍔部21cおよびワッシャ28)を有する。蓋部(鍔部21cおよびワッシャ28)は、プレート貫通孔26pの軸方向を向く開口を外側から覆うことで、プレート貫通孔26pから第2の面26b側に流出するオイルOを第2の凹溝26kに沿って流れるように誘導する。本実施形態によれば、蓋部(鍔部21cおよびワッシャ28)によりオイルOの挙動を制御して、オイルOがロータコア24とステータ30との間に浸入することを抑制できる。
本実施形態の第2のエンドプレート26Bによれば、第2の凹溝26kの軸方向を向く開口は、ワッシャ28により部分的に覆われ、第2の開放部26rにおいて軸方向外側を臨む。すなわち、第2の凹溝26kの第2の開放部26rに至る領域では、オイルOが軸方向に溢れ出ることがなく、オイルOを第2の開放部26rまで確実に移動させることができる。これにより、オイルOを第2の開放部26rから安定して放出することができ、オイルOをコイルエンド31aに安定して供給できる。
本実施形態によれば、第2の凹溝26kは、径方向端部に位置する第2の開放部26rにおいて、軸方向に軸方向外側を臨む。したがって、第2の凹溝26kを通過したオイルOを、第2の開放部26rから軸方向に飛散させることができる。これによりオイルOを、ロータコア24の端部よりも軸方向に突出するコイルエンド31aにむけて飛散させることができ、コイルエンド31aのコイル31を効果的に冷却できる。
なお、本実施形態の第1のエンドプレート26Aにおいて、プレート貫通孔26pの一部と軸方向を向く開口の全体に亘って第1の開放部26sが設けられる。しかしながら、図5に仮想線で示すように、鍔部21cが、第2の凹溝26kの軸方向を向く開口の一部を覆ってもよい。この場合には、第1のエンドプレート26Aの第1の開放部26sは、第2のエンドプレート26Bの第2の開放部26rと同様に、径方向外側の端部に位置し、第2の開放部26rと同様の効果を奏することができる。
なお、本実施形態において、エンドプレート26には、溝状の第1の凹溝26jおよび第2の凹溝26kが設けられる。しかしながら、溝状でない凹部であっても上述の一定の効果を奏することができる。なお、径方向に沿って延びる第1の凹溝26jおよび第2の凹溝26kを設けることで、径方向に沿って円滑にオイルOを誘導できる。
<油路>
図1に示すように、油路90は、ハウジング6の内部、すなわち収容空間80に位置する。油路90は、収容空間80のモータ室81とギヤ室82とに跨って構成される。油路90は、オイルOをオイル溜りP(すなわち、収容空間80の下側の領域)からモータ2を経て、再びオイル溜りPに導くオイルOの経路である。油路90は、モータ2の内部を通る第1の油路(油路)91と、モータ2の外部を通る第2の油路(油路)92と、を有する。オイルOは、第1の油路91および第2の油路92において、モータ2を内部および外部から冷却する。油路90は、油冷却機構を構成する。
第1の油路91および第2の油路92は、ともにオイル溜りPからオイルOをモータ2に供給して、再びオイル溜りPに回収する経路である。第1の油路91および第2の油路92において、オイルOは、モータ2から滴下して、モータ室の下側の領域に溜る。モータ室81の下側の領域に溜ったオイルOは、隔壁開口68を介して、ギヤ室82の下側の領域(すなわち、オイル溜りP)に移動する。
第1の油路91の経路中には、オイルOを冷却するクーラー97が設けられる。第1の油路91を通過しクーラー97により冷却されたオイルOは、オイル溜りPにおいて第2の油路92を通過したオイルOと合流する。オイル溜りPにおいて、第1の油路91および第2の油路92を通過したオイルOは、互いに混ざりあって熱交換が行われる。このため、第1の油路91の経路中に配置されてクーラー97の冷却の効果を第2の油路92を通過するオイルOにも及ぼすことができる。本実施形態によれば、第1の油路91および第2の油路92のうち一方の油路中に設けられた1つのクーラー97を用いて、両方の油路中のオイルOを冷却する。
一般的にクーラーは、液体が定常的に流れる流路中に配置される。2つの油路を冷却させるために、2つの油路に含まれる流路中にそれぞれクーラーを配置する構成が考えられる。この場合は、2つのクーラーを用いる必要がありコストが高くなる。また、2つの油路を冷却するために、2つの油路を合流させた領域に流路を設け、この流路中にクーラーを設置する構成が考えられる。この場合は、交流した領域に流路を設ける必要があるため、油路中の流路の構成を複雑化する必要があり、結果としてコスト高となる。
本実施形態によれば、第1の油路91にのみクーラーを設け、第1の油路91および第2の油路92を通過するオイルOをオイル溜りPにおいて混合することで、第2の油路92を間接的に冷却できる。これにより、油路90中の流路の構成を複雑化することなく、1つのクーラー97により第1の油路91および第2の油路92のオイルOを冷却できる。
なお、このような効果は、第1の油路91および第2の油路92のうち何れか一方に、オイルOを冷却するクーラー97を有し、第1の油路91および第2の油路92を流れるオイルOがオイル溜りPで合流する場合に奏することができる効果である。
オイルOの熱は、主としてクーラー97を通じて放熱される。また、オイルOの熱の一部は、オイルOがハウジング6の内面に接触するため、ハウジング6を通じても放熱される。なお、図1に示すように、ハウジング6の外側面には、凹凸状のヒートシンク部6bが設けられていてもよい。ヒートシンク部6bは、ハウジング6を介したモータ2の冷却を促進する。
(第1の油路)
第1の油路91において、オイルOは、オイル溜りPから差動装置5によりかき上げられてロータ20の内部に導かれる。オイルOには、ロータ20の内部で、ロータ20の回転に伴う遠心力が付与される。これにより、オイルOは、ロータ20を径方向外側から囲むステータ30に向かって均等に拡散されステータ30を冷却する。
第1の油路91は、かき上げ経路91aと、シャフト供給経路(オイル流路)91bと、シャフト内経路91cと、ロータ内経路91dと、を有する。また、第1の油路91の経路中には、第1のリザーバ93が設けられる。第1のリザーバ93は、収容空間80(特にギヤ室82)に設けられている。
かき上げ経路91aは、差動装置5のリングギヤ51の回転によってオイル溜りPからオイルOをかき上げて、第1のリザーバ93(図3参照)でオイルOを受ける経路である。
図3に示すように、第1のリザーバ93は、鉛直方向においてモータ軸J2、中間軸J4および差動軸J5の上側に位置する。第1のリザーバ93は、車両前後方向(水平方向、X軸方向)において中間軸J4と差動軸J5との間に位置する。第1のリザーバ93は、車両前後方向(水平方向、X軸方向)においてモータ軸J2と差動軸J5との間に位置する。第1のリザーバ93は、第1のギヤ41の側部に配置される。第1のリザーバ93は、上側に開口する。
本明細書において、「リザーバ」とは、一方向に向かう定常的な液体の流動がない状態で、オイルを溜める機能を有する構造体を意味する。「リザーバ」は、定常的な液体の流動がないという点で、「流路」とは異なる。本実施形態のモータユニット1の収容空間80には、第1のリザーバ93、第2のリザーバ98および副リザーバ95が設けられる。
本実施形態において、リングギヤ51の回転中心である差動軸J5は、減速装置4に対して車両後方側に配置される。差動装置5は、車両の前進時に減速装置4と逆側の領域で上側に向かって回転する。差動装置5のリングギヤ51によってかき上げられるオイルOは、減速装置4と反対側を回って第1のリザーバ93の上側に降り注ぎ第1のリザーバ93に溜る。すなわち、第1のリザーバ93は、リングギヤ51がかき上げたオイルOを受ける。また、モータ2の駆動直後などオイル溜りPの液面が高い場合、第2のギヤ42および第3のギヤ43は、オイル溜りPのオイルOに接触してオイルOをかき上げる。このような場合には、第1のリザーバ93は、リングギヤ51に加えて第2のギヤ42および第3のギヤ43によってかき上げられたオイルOも受ける。
ハウジング6は、ギヤ室82の上側の壁を構成するギヤ室天井部(天井部)64を有する。ギヤ室天井部64は、減速装置4および差動装置5の上側に位置する。ここで、モータ軸J2の軸方向から見て、モータ軸J2と差動軸J5とを仮想的に結ぶ仮想線(後段に説明する第3の線分)L3を定義する。ギヤ室天井部64は、仮想線L3と略平行である。ギヤ室天井部64を仮想線L3と略平行とすることで、リングギヤ51でかき上げられて仮想線L3が延びる方向に飛散するオイルOが通過する領域を十分に確保して、オイルOを、モータ軸Jを中心に回転する第1のギヤ41に効率的に当てることができる。また、ギヤ室天井部64を仮想線L3と略平行とすることで、ハウジング6が鉛直方向に大型化することを抑制できる。
なお、ここでギヤ室天井部64と仮想線L3とが「略平行」とは、ギヤ室天井部64と仮想線L3とのなす角が10°以内であるとする。ギヤ室天井部64が湾曲する場合には、湾曲線の全ての点における接線と仮想線L3のなす角度が10°以内となる。
また、10°以内の範囲であれば、ギヤ室天井部64は、差動軸J5側かモータ軸J2側に向かうに従い仮想線L3に近づくことが好ましい。これにより、ハウジング6を小型化することができる。
また、ギヤ室天井部64は、差動軸J5側からモータ軸J2側に向かうに従い、仮想線L3側に近づく方向にわずかに湾曲する曲面である。ギヤ室天井部64の湾曲形状は、リングギヤ51によってかき上げられるオイルOが描く放物線と略同じか、リングギヤ51から若干離れる曲面である。リングギヤ51でかき上げられたオイルOの一部は、第1のリザーバ93に直接到達する。また、リングギヤ51でかき上げられたオイルOの他の一部は、ハウジング6のギヤ室天井部64を伝って第1のリザーバ93に到達する。すなわち、ギヤ室天井部64は、第1のリザーバ93にオイルOを誘導する役割を担っている。
ギヤ室天井部64は、下側に突出する凸部65を有する。凸部65は、第1のリザーバ93の上側に位置する。ギヤ室天井部64を伝うオイルOは、凸部65の下端において大きな液滴となり、下方に落下して第1のリザーバ93に溜る。すなわち、凸部65は、ギヤ室天井部64を伝うオイルOを第1のリザーバ93に誘導する。
本実施形態において、モータ収容部61とギヤ収容部62とは、ボルト67により互いに固定されている。凸部65は、ギヤ室天井部64において、ボルト67が挿入されるネジ穴周りの肉厚部分を利用して設けられている。なお、図3において、モータ収容部61とギヤ収容部62とを固定する他のボルトおよびネジ穴周りの他の肉厚部分の図示が省略されている。
ギヤ室天井部64は、軸方向に沿って延びる板状の庇部66を有する。庇部66は下側に突出する。庇部66の下端は、第1のリザーバ93の上側に位置する。リングギヤ51によりかき上げられて飛散するオイルOの一部は、庇部66に当たって庇部66の表面を伝う。同様に、第2のギヤ42および第3のギヤによりかき上げられて飛散するオイルOは、庇部66に受け止められて庇部66の表面を伝う。オイルOは、庇部66の下端において大きな液滴となり下方に落下し第1のリザーバ93に溜る。すなわち、庇部66は、かき上げられたオイルOを第1のリザーバ93に誘導する。
庇部66は、上側から下側に向かうに従い差動軸J5側からモータ軸J2側に向かって傾斜する。リングギヤ51は、第2のギヤ42および第3のギヤ43と比較して大径であるため、飛散するオイルOの飛散角度が水平に近い。庇部66を上述の方向に傾斜させて配置することで、リングギヤ51から飛散するオイルOを庇部66の表面に円滑に付着させて下側に落下させることができる。
第1のリザーバ93は、リングギヤ51、第2のギヤ42および第3のギヤ43の直上に位置する。第1のリザーバ93の開口は、鉛直方向から見てリングギヤ51、第2のギヤ42および第3のギヤ43と重なる。ギヤによってかき上げられるオイルの大部分は、かき上げるギヤの直上に飛散する。第1のリザーバ93をリングギヤ51、第2のギヤ42および第3のギヤ43の直上に配置することで、各ギヤでかき上げたオイルOを効率的に受けることができる。
第1のリザーバ93は、底部93aと第1の側壁部93bと第2の側壁部93cとを有する。底部93a、第1の側壁部93bおよび第2の側壁部93cは、ギヤ収容部62およびモータ収容部の突出板部61dの壁面の間で、軸方向に沿って延びる。第1の側壁部93bおよび第2の側壁部93cは、底部93aから上側に延びる。第1の側壁部93bは、第1のリザーバ93の差動装置5側の壁面を構成する。第2の側壁部93cは、第1のリザーバ93の減速装置4側の壁面を構成する。すなわち、第1の側壁部93bは、底部93aの差動軸J5側の端部から上側に延び、第2の側壁部93cは、底部93aのモータ軸J2側の端部から上側に延びる。第1のリザーバ93は、底部93aと、第1の側壁部93bと、第2の側壁部93cと、ギヤ収容部62およびモータ収容部の突出板部61dの壁面と、に囲まれた領域において、オイルOを一時的に貯留する。
第1の側壁部93b上端部の高さは、第2の側壁部93cの上端部より下側に位置する。オイルOは、差動装置5によりかき上げられて、減速装置4の反対側から第1のリザーバ93に向かって飛散する。第1の側壁部93bの上端部の高さを低くすることによって、差動装置5によりかき上げられたオイルOを効率的に第1のリザーバ93に貯留できる。また、リングギヤ51によってかき上げられて飛散するオイルOのうち第1の側壁部93bを超えたオイルOを第2の側壁部93cにあてて第1のリザーバ93に誘導できる。
第2の側壁部93cは、第1のギヤ41の周方向に沿って斜め上方に向かって延びる。すなわち、第2の側壁部93cは、上側に向かうに従いモータ軸J2に向かって傾斜する。これにより、第2の側壁部93cは、差動装置5にかき上げられたオイルOを幅広い範囲で受けることができる。加えて、第2の側壁部93cは、収容空間80の天井を伝うオイルOの液滴を幅広い範囲で受けることができる。
底部93aと第2の側壁部93cの境界部には、第1のリザーバ93の内部に向かってシャフト供給流路94が開口する。底部93aは、平面視においてモータ軸J2側に向かうに従い下方に向かって若干傾斜する。すなわち、底部93aは、第2の側壁部93c側下端となる様に若干傾斜する。したがって、シャフト供給流路94の開口を底部93aと第2の側壁部93cとの間に設けることで、第1のリザーバ93内のオイルOを効率的にシャフト供給流路94に供給できる。
シャフト供給経路91bは、第1のリザーバ93からモータ2にオイルOを誘導する。シャフト供給経路91bは、シャフト供給流路94により構成される。シャフト供給流路94は、第1のリザーバ93からシャフト21端部に向かって延びる。シャフト供給流路94は、直線状に延びる。シャフト供給流路94は、第1のリザーバ93からシャフト21の端部に向かうに従い下側に向かって傾斜する。シャフト供給流路94は、ギヤ収容部62に収容空間80の内外に貫通する孔を加工することで形成される。加工された孔の外側の開口は、キャップ(図示略)により塞がれる。シャフト供給流路94は、第1のリザーバ93に溜ったオイルOをシャフト21の端部から中空部22に誘導する。
図1に示すように、シャフト内経路91cは、シャフト21の中空部22内をオイルOが通過する経路である。また、ロータ内経路91dは、シャフト21の連通孔23からロータコア24の軸方向端面24aに位置するエンドプレート26の内部を通過して、ステータ30に飛散する経路である(図5参照)。すなわち、第1の油路91は、シャフト21の内部からロータコア24を通過する経路を有する。
シャフト内経路91cにおいて、ロータ20の内部のオイルOには、ロータ20の回転に伴い遠心力が付与される。これにより、オイルOは、エンドプレート26から径方向外側に連続的に飛散する。また、オイルOの飛散に伴い、ロータ20内部の経路中が負圧となり、第1のリザーバ93に溜るオイルOが、ロータ20の内部に吸引され、ロータ20内部の経路にオイルOが満たされる。オイルOは、第1の油路91中における毛細管力によっても、ロータ20内部への移動が促進される。ステータ30に到達したオイルOは、ステータ30から熱を奪う。
(第2の油路)
図1に示すように、第2の油路92においてオイルOは、オイル溜りPからモータ2の上側まで引き上げられてモータ2に供給される。モータ2に供給されたオイルOは、ステータ30の外周面を伝いながら、ステータ30から熱を奪い、モータ2を冷却する。ステータ30の外周面を伝ったオイルOは、下方に滴下してモータ室81の下側の領域に溜る。第2の油路92のオイルOは、第1の油路91のオイルOとモータ室81の下側の領域で合流する。モータ室81の下側の領域に溜ったオイルOは、隔壁開口68を介して、ギヤ室82の下側の領域(すなわち、オイル溜りP)に移動する。
図8は、モータユニット1の断面図である。なお、図8の切断面は、各領域において軸方向にずらされる。
第2の油路92は、第1の流路92aと第2の流路92bと第3の流路92cとを有する。第2の油路92の経路中には、ポンプ96と、クーラー97と、第2のリザーバ98と、が設けられる。第2の油路92において、オイルOは、第1の流路92a、ポンプ96、第2の流路92b、クーラー97、第3の流路92c、第2のリザーバ98の順で各部を通過して、モータ2に供給される。
ポンプ96は、電気により駆動する電動ポンプである。ポンプ96は、ハウジング6の外側面に設けられたポンプ取付凹部6cに取り付けられる。ポンプ96は、吸入口96aと吐出口96bとを有する。吸入口96aおよび吐出口96bは、ポンプ96の内部流路を介して繋がる。また、吸入口96aは、第1の流路92aに繋がる。吐出口96bは、第2の流路92bに繋がる。吐出口96bは、吸入口96aより上側に位置する。ポンプ96は、第1の流路92aを介してオイル溜りPからオイルOを吸い上げて、第2の流路92b、クーラー97、第3の流路92cおよび第2のリザーバ98を介してモータ2に供給する。
ポンプ96によるモータ2へのオイルOの供給量は、モータ2の駆動状態に応じて適宜制御される。したがって、長時間の駆動や高い出力が必要な場合などモータ2の温度が高まることで、ポンプ96の駆動出力が高められてモータ2へのオイルOの供給量が増加される。
クーラー97は、流入口97aと流出口97bとを有する。流入口97aと流出口97bは、クーラー97の内部流路を介して繋がる。また、流入口97aは、第2の流路92bに繋がる。流出口97bは、第3の流路92cに繋がる。流入口97aは、流出口97bと比較して、ポンプ96に近い側(すなわち、下側)に位置する。また、クーラー97の内部には、ラジエータから供給された冷却水が通過する冷却水用配管(図示略)が設けられる。クーラー97の内部を通過するオイルOは、冷却水との間で熱交換されて冷却される。
ポンプ96およびクーラー97は、ハウジング6のモータ収容部61の外周面に固定される。モータ軸J2の軸方向から見て、ポンプ96およびクーラー97は、モータ軸J2を挟んで差動装置5と水平方向の反対側に位置する。また、ポンプ96およびクーラー97は、上下方向に並ぶ。クーラー97は、ポンプ96の上側に位置する。クーラー97は、鉛直方向から見てポンプ96と重なる。
本実施形態によれば、ポンプ96およびクーラー97が、差動装置5とモータ軸J2を挟んで反対側に位置することで、モータ2の周りの空間を有効に利用できる。これにより、モータユニット1全体の水平方向に沿う寸法を小さくすることが可能となり、モータユニット1の小型化を図ることができる。
本実施形態によれば、ポンプ96およびクーラー97が、ハウジング6の外周面に固定される。このため、ポンプ96およびクーラー97が、ハウジング6の外部に設けられる場合と比較して、モータユニット1の小型化に寄与できる。加えて、ポンプ96およびクーラー97が、ハウジング6の外周面に固定されることで、ハウジング6の壁部6aの内部を通過する第1の流路92a、第2の流路92bおよび第3の流路92cにより、収容空間80とポンプ96およびクーラー97とを繋ぐ流路を構成することができる。
本実施形態によれば、クーラー97がハウジング6の外周面に固定されるため、収容空間80とクーラー97との距離を近づけることができる。これにより、クーラー97と収容空間80とを繋ぐ第3の流路97cを短くすることができ、冷却したオイルOを温度が低い状態で収容空間80に供給できる。
第1の流路92a、第2の流路92bおよび第3の流路92cは、収容空間80を囲むハウジング6の壁部6aの内部を通過する。第1の流路92aは、壁部6aに形成した孔として第1の流路92a、第2の流路92bおよび第3の流路92cを形成できる。したがって、別途管材を用意する必要がなく部品点数減少に寄与できる。
なお、第1の流路92aは、壁部6aのうちモータ2の下側に位置する部分の内部を通過する。第2の流路92bは、壁部6aのうちモータ2の水平方向側方に位置する部分の内部を通過する。また、第3の流路92cは、壁部6aのうちモータ2の上側に位置する部分の内部を通過する。
第1の流路92aは、オイル溜りPとポンプ96とを繋ぐ。第1の流路92aは、第1の端部92aaと第2の端部92abとを有する。
第1の端部92aaは、第2の端部92abと比較して、第2の油路92の上流側に位置する。第1の端部92aaは、差動装置5の下側において収容空間80に開口する。第1の端部92aaは、鉛直方向から見て、モータ2と重なる。
第2の端部92abは、ポンプ取付凹部6c内に開口してポンプ96の吸入口96aに繋がる。
上述したように、差動装置5とポンプ96とは、モータ軸J2を挟んで互いに水平方向反対側に位置する。第1の流路92aは、モータ2を挟んで水平方向反対側に架け渡すように延びる。また、第1の流路92aは、モータ2の下側を通過する。
本実施形態によれば、第1の流路92aがモータ2の下側を通過するため、モータ2の下側の領域を有効利用して、モータユニット1の寸法を小さくすることができる。これにより、モータユニット1の小型化を図ることができる。
第1の流路92aは、軸方向から見て少なくとも一部が、第2のギヤ42およびリングギヤ51と重なる。これにより、軸方向から見た場合の、モータユニット1の寸法を小さくすることができ、モータユニット1の小型化を図ることができる。
なお、本実施形態では、モータ2と差動装置5との間に接続される複数のギヤ(第1のギヤ41、第2のギヤ42、第3のギヤ43およびリングギヤ51)のうち、第2のギヤ42およびリングギヤ51が、軸方向から見て第1の流路92aと重なる場合について説明した。しかしながら、モータ2と差動装置5との間に接続される複数のギヤのうち、少なくとも1つが、軸方向から見て第1の流路92aと重なれば、上述の効果を奏することができる。
第1の流路92aは、差動装置5の下側からポンプ96の吸入口96aまで延びる。第1の流路92aは、第1の端部92aaから第2の端部92abに向かうに従い上側に向かって傾斜しかつ、直線的に延びる。また、ポンプ96の吸入口96aは、差動装置5の下端より上側、かつモータ軸J2より下側に位置する。
ポンプ96は、モータユニット1を車両に搭載した状態で、路面からの飛び石が衝突することを避けるために、路面から離れた位置に配置することが好ましい。一方で、ポンプ96の吸入口96aは、オイル溜りPの油面より下側に配置することで、空気の巻き込みを抑制することが可能となる。
本実施形態の吸入口96aは、モータ軸J2より下側に位置する。これにより、吸入口96aをオイル溜りPの油面より下側に配置させやすい。また、本実施形態の吸入口96aは、差動装置5の下端より上側に位置する。これにより、ポンプ96を路面から離す構造が実現できる。また、吸入口96aをモータ軸J2より下側に配置することで、第1の流路92aを直線状に構成しやすくなる。したがって、第1の流路92aを、ハウジング6の壁部6aの内部を通過させる構造を採用した場合に、第1の流路92aの加工容易性を高めることができる。
本実施形態の吸入口96aは、収容空間80のオイル溜りPの液面より下側に位置する。なお、オイル溜りPの液面の高さは、オイル溜りPから第1の油路91および第2の油路92にオイルOが供給されることで変動する。吸入口96aは、オイル溜りPの液面の高さが最も低い場合においても、液面より下側に位置する。
図1において、吸入口96aは、オイル溜りPの液面の上側に位置して描かれている。しかしながら、図1は、あくまで模式的な図であり、実際の吸入口96aは、オイル溜りPの液面より下側に位置する。
第2の流路92bは、ポンプ96とクーラー97とを繋ぐ。第2の流路92bは、第1の端部92baと第2の端部92bbとを有する。第1の端部92baは、ポンプ取付凹部6c内に開口してポンプ96の吐出口96bに繋がる。第1の端部92baは、第2の端部92bbと比較して、第2の油路92の上流側に位置する。第2の端部92bbは、クーラー97の流入口97aに繋がる。第2の端部92bbは、第1の端部92baより上側に位置する。
第2の流路92bは、第1路92bdおよび第2路92beを有する。第1路92bdは、ポンプ取付凹部6cから上側に延びる。第2路92beは、第1路92bdの上端から水平方向に延びる。第1路92bdおよび第2路92beは、それぞれハウジング6の壁部6aに別方向から延びて互いに交差する孔を加工することで形成される。
第3の流路92cは、クーラー97と収容空間80とを繋ぐ。第3の流路92cは、水平方向に沿って直線状に延びる。第3の流路92cは、第1の端部92caと第2の端部92cbとを有する。第1の端部92caは、第2の端部92cbと比較して、第2の油路92の上流側に位置する。第1の端部92caは、クーラー97の流出口97bに繋がる。第2の端部92cbは、モータ2の上側で収容空間80に開口する。すなわち、第3の流路92cは、収容空間80においてモータ2の上側で開口する。第3の流路92cの第2の端部92cbは、収容空間80に位置する第2のリザーバ98にオイルOを供給する供給部99として機能する。すなわち、第2の油路92は、供給部99において第2のリザーバ98にオイルOを供給する。
クーラー97の流出口97bは、モータ軸J2の軸方向においてモータ2と重なる。すなわち、クーラー97の流出口97bは、径方向から見てモータ2と重なって配置される。換言すると、クーラー97の流出口97bは、軸方向において、ステータ30の両端部の間に位置する。このため、クーラー97の流出口97bと収容空間80とを繋ぐ第3の流路92cを短くすることができ、冷却したオイルOを温度が低い状態で収容空間80に供給できる。また、第3の流路97cをモータ2と径方向に重ねて配置することで、モータユニット1の軸方向寸法を小さくすることができ、モータユニット1の小型化を図ることできる。
(第1の油路と第2の油路の共通部分)
図1に示すように、モータ2の駆動状態において、オイルOは、第1の油路91および第2の油路92を介してモータ2に供給される。モータ2に供給されたオイルOは、モータ2を冷却しながら下側に滴下され、モータ室81の下側の領域に溜る。モータ室81の下側の領域に溜ったオイルOは、隔壁61cに設けられた隔壁開口68を介してギヤ室82に移動する。
(各軸の配置)
モータ軸J2、中間軸J4および差動軸J5は、水平方向に沿って互いに平行に延びる。モータ軸J2に対し中間軸J4および差動軸J5は、下側に位置する。したがって、減速装置4および差動装置5は、モータ2より下側に位置する。
モータ軸J2の軸方向から見て、モータ軸J2と中間軸J4とを仮想的に結ぶ線分を第1の線分L1とし、中間軸J4と差動軸J5とを仮想的に結ぶ線分を第2の線分L2とし、モータ軸J2と差動軸J5とを仮想的に結ぶ線分を第3の線分L3とする。
本実施形態によれば、第2の線分L2は、略水平方向に沿って延びる。すなわち、中間軸J4と差動軸J5は、略水平方向に並んでいる。したがって減速装置4と差動装置5とを水平方向に沿って並べることができ、モータユニット1の上下方向の寸法を小さくすることができる。また、差動装置5によりかき上げられたオイルOを、効率的に減速装置4に当てることができる。これにより、減速装置4を構成するギヤの歯面にオイルOを供給して、ギヤの伝達効率を高めることができる。なお、中間軸J4を中心として回転するギヤ(第2のギヤ42および第3のギヤ43)の直径は、差動軸J5を中心として回転するリングギヤ51の直径より小さい。本実施形態によれば、第2の線分L2が略水平方向に沿て延びるため、中間軸J4と差動軸J5とが略水平方向に沿って配置される。したがって、オイル溜りPの液面の高さによっては、リングギヤ51のみがオイル溜りPに浸かり、第2のギヤ42および第3のギヤ43がオイル溜りPに浸らない状態となる。したがって、リングギヤ51によりオイル溜りPのオイルOをかき上げつつ、第2のギヤ42および第3のギヤ43の回転効率の低下を抑制することができる。
なお、本実施形態において、第2の線分L2が略水平方向とは、水平方向に対して±10°以内の方向である。
本実施形態によれば、第2の線分L2と第3の線分L3とのなす角αは、30°±5°である。これにより、差動装置5によりかき上げたオイルOを第1のギヤ41と第2のギヤ42との伝達効率を高めることができるとともに、所望のギヤ比を実現できる。
角αが、35°を超えると、差動装置によりかき上げられたオイルを、モータ軸を中心として回転するギヤ(第1のギヤ)に供給し難くなる。これにより、第1のギヤと第2のギヤとの間の伝達効率が低下する虞がある。一方で、角αを25°未満とすると、伝達過程における出力側のギヤを十分に大きくすることができず、3軸(モータ軸、中間軸および差動軸)において所望のギヤ比を達成することが困難となる。
本実施形態によれば、第1の線分L1は、略鉛直方向に沿って延びる。すなわち、モータ軸J2と中間軸J4は、略鉛直方向に沿って並んでいる。したがって、モータ2と減速装置4とを鉛直方向に沿って並べることができ、モータユニット1の水平方向の寸法を小さくすることができる。また、第1の線分L1を略鉛直方向とすることで、差動軸J5に対しモータ軸J2を近づけて配置することができ、モータ軸J2を中心として回転する第1のギヤ41に、差動装置5でかき上げたオイルOを供給できる。これにより、第1のギヤ41と第2のギヤ42との伝達効率を高めることができる。
なお、本実施形態において、第1の線分L1が略鉛直方向とは、鉛直方向に対して±10°以内の方向である。
第1の線分の長さL1と、第2の線分の長さL2と、第3の線分の長さL3は、以下の関係を満たす。
L1:L2:L3=1:1.4~1.7:1.8~2.0
また、モータ2から差動装置5に至る減速機構における減速比が8以上11以下である。
本実施形態によれば、上述したようなモータ軸J2、中間軸J4および差動軸J5の位置関係を維持しながら、所望のギヤ比(8以上11以下)を実現できる。
(ベアリングの潤滑)
第1のベアリング89の潤滑について説明する。図9に示すように、第1シャフト部21Aにはベアリング潤滑孔27が設けられる。たとえば、第1シャフト21Aは、軸方向に沿って延びる内周面を有し内側にオイルOが供給される中空部22と 中空部22と第1シャフト21Aの外部とを連通し、第1のベアリング89に向かって開口する第1のベアリング潤滑孔27を有する。
さらに、ベアリング潤滑孔27は、モータ軸J2に対して所定角度θ1で第1のベアリング89に向かって延びる。つまり、ベアリング潤滑孔27は、第1のベアリング89に向かって軸方向に所定の角度θ1の傾きをもって径方向に延び、中空部22と第1シャフト21Aの外部とを連通させる。
図10に示すように、ベアリング潤滑孔27を軸方向に対して直交方向に設けた場合、第1シャフト21Aの回転による遠心力により、中空部22から径方向外側に向かってオイルOが飛散する。この場合には、飛散したオイルOは、第1のベアリング89から離れた方向へ放出されるため、第1のベアリング89に供給されるオイルOの量が極端に少なくなってしまう。一方で、本実施形態におけるベアリング潤滑孔27は、モータ軸J2に対して所定角度θ1で第1のベアリング89に向かって延びることで、オイルOを直接ベアリング89へ放出することができる。
第1のベアリング89は、第1シャフト21Aの外側面に固定される内輪89bと、ハウジング6に固定される外輪89aと、内輪89bと外輪89aとの間に位置し複数の剛球が配置されるベアリング隙間89cと、を含む。ベアリング潤滑孔27の少なくとも一部は、ベアリング隙間89cを向くように形成される。 第1のベアリング89を向くように所定角度θ1をもって、シャフト21の外部と中空部22とを連通させたベアリング潤滑孔27を形成した場合、効果的に外輪89aと内輪89bとの間に位置するベアリング隙間89c内の複数の鋼球にオイルOを供給することができる。なお、好ましくは、ベアリング潤滑孔27は、ベアリング隙間89cを向くように延びる。これにより、効果的にオイルOを第1のベアリング89へ供給することができる。たとえば、本実施形態において、ベアリング潤滑孔27は軸方向、モータ軸J2に対して40度の傾きを有している。すなわち、所定角度θ1は、40度である。なお、所定角度θ1は、35度から60度で あると好適に潤滑することができる。所定角度θ1を35度から60度に設定した場合には、ベアリング潤滑孔27の指向方向において、ベアリング潤滑孔27とベアリング隙間89cが被り重なり、効果的にオイルOを第1のベアリング89に供給することができる。
図5に示すように、ロータ20は、ロータコア24の軸方向両端部に位置する板状の一対のエンドプレート26を有する。エンドプレート26は、ロータコア24の軸方向一方側と他方側とに配置される。ベアリング潤滑孔27は、ロータコア24の軸方向一方側と他方側の少なくとも一方側において、エンドプレート26と第1のベアリング89との間に位置する。ベアリング潤滑孔27は、中空部22内に開口する第1の開口部27Aと、第1シャフト21Aの外側面に開口する第2の開口部27Bと、を有する。第2の開口部27Bは、軸方向において、エンドプレート26と第1のベアリング89との間に位置する。これにより、ロータコア24を固定するエンドプレート26に阻害されることなく、効果的にオイルOを第1のベアリング89へ供給することができる。
さらに、第1シャフト21Aには、径方向に延びて中空部22と第1シャフト21Aの外部とを連通させる連通孔23を有する。エンドプレート26には、連通孔23と連通して径方向に沿って延びて開口するオイル流路26tがそれぞれ設けられる。ベアリング潤滑孔27は、連通孔23と第1のベアリング89との間に位置する。連通孔23は、ロータコア24に、またはエンドプレート26を介してコイルエンド31aにオイルOを供給する孔部である。第1シャフト21Aに連通孔23とベアリング潤滑孔27との2つの孔部を設けることによって、単一の油路で、ロータコア24に、またはエンドプレート26を介してコイルエンド31aにオイルOを供給する経路と、第1のベアリング89へオイルOを供給する経路を設けることができる。つまり、それぞれ別々の経路を設ける必要がない。
ベアリング潤滑孔27の第1シャフト21Aの外面に開口する第2の開口部27Bは、エンドプレート26と第1のベアリング89との軸方向隙間において、第1のベアリング89側に位置する。ベアリング潤滑孔27の第2の開口部27Bをベアリングの近くへ配置することで、放出したオイルOの飛散領域を狭くでき、第1のベアリング89へ円滑にオイルOを供給することができる。
第1の開口部27Aは軸方向において、板状のエンドプレート26にオイルOを供給する連通孔23と第1のベアリング89の間に位置し、ナット29の径方向内側に位置する。また、第2の開口部27Bも軸方向において、板状のエンドプレート26にオイルOを供給する連通孔23と第1のベアリング89の間に位置し、かつ軸方向においてナット29と第1のベアリング89の間に位置する。
これにより、肉厚部分にドリルにてベアリング潤滑孔27をあけることができる。
図4に示すように、第1のベアリング89は、軸方向において減速装置4側に位置するギヤ側ベアリングと、軸方向において閉塞部63側に位置する反ギヤ側ベアリングを有している。ベアリング潤滑孔27は、第1のベアリング89のうち、閉塞部63に保持される反ギヤ側ベアリングを潤滑する目的で形成される。すなわち、第1シャフト部21Aを回転可能に支える第1のベアリング89のうち片側のみに設けられる。これは、閉塞部63に保持される反ギヤ側ベアリングが、オイルOの供給経路において、シャフト供給流路94から最も遠い為、潤滑量が少なくなるからである。すなわち、本実施形態においては、オイルOの供給流路において、最も下流に位置するベアリングにのみベアリング潤滑孔27が形成される。なお、シャフト供給流路94から供給されるオイルOの量が多い場合には、ギヤ側ベアリングに供給するための、ベアリング潤滑孔27を設けてもよい。このとき、ベアリング潤滑孔27は、同様に、モータ軸J2に対して所定角度をもつ。なお、ギヤ側ベアリングにオイルOを供給するために、ベアリング潤滑孔27は、ギヤ側ベアリングよりも減速装置4側に設けられてもよい。この実施形態においても効果は同様である。
なお、本実施形態において、ベアリング潤滑孔27は、ロータ20を備える第1シャフト部21Aに設けたが、その限りではない。たとえば、減速装置4および差動装置5のギヤシャフトを支持するベアリングを潤滑するために、減速装置4および差動装置5のいずれかのギヤシャフトに設けてもよい。連通孔23とベアリング潤滑孔27とは、モータ軸を中心軸として、周方向において同じ位置に複数個配置される。なお、連通孔23とベアリング潤滑孔27とは、周方向に異なる位置に配置されてもよく、例えば、連通孔23とベアリング潤滑孔27とはそれぞれ2つの孔であって、軸方向から見て、連通孔23とベアリング潤滑孔27とが交互に配置されてもよい。
また、本実施形態では、連通孔23とベアリング潤滑孔27とは、軸方向において異なる位置に配置されたが、軸方向において同じ位置に配置されてもよい。このとき、シャフトの軸方向寸法を短くすることができる。
なお、ベアリング潤滑孔27は、ベアリングの外輪に向かって延びてもよい。このとき、外輪に放出されたオイルは、外輪の表面を伝って、ベアリング隙間へ供給することができる。また、同様に、ベアリング潤滑孔は、ベアリングの内輪に向かって延びてもよい。このとき、内輪に放出されたオイルは、遠心力とともに内輪の表面を伝って、ベアリング隙間へ供給することができる。
<車両への搭載性>
モータユニット1は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)の何れにも適用できる。またモータユニット1は、乗用車に限らず、貨物自動車(トラック)等にも適用できる。モータユニット1は、車両のフロント側およびリア側のうち何れに搭載してもよいが、リア側に搭載するのが好ましい。本実施形態のモータユニット1は、上下方向の寸法が小さいため、荷室と最低地上高との制約から設置スペースに制限のあるリア側であってもコンパクトに設置できる。
以上に、本発明の実施形態および変形例を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
1…モータユニット(電動駆動装置)、2…モータ、4…減速装置、5…差動装置、6…ハウジング、6a…壁部、20…ロータ、21…シャフト、21A…第1シャフト部、21B…第2シャフト部O…オイル



Claims (9)

  1. モータ軸を中心として回転するロータと、
    前記ロータの径方向外側に位置するステータと、
    前記ロータを回転可能に支持するベアリングと、
    前記ロータ、前記ステータおよび前記ベアリングを収容するハウジングと、
    を有し、
    前記ロータは、前記モータ軸に沿って延びるシャフトと、前記シャフトを径方向外側から囲むロータコアと、を有し、
    前記シャフトは、軸方向に沿って延びる内周面を有し内側にオイルが供給される中空部と 前記中空部と前記シャフトの外部とを連通し前記ベアリングに向かって開口するベアリング潤滑孔と、を有し、
    前記ベアリング潤滑孔は、前記モータ軸に対して所定角度で前記ベアリングに向かって延びる、モータ。
  2. 前記ベアリングは、前記シャフトの外側面に固定される内輪と、前記ハウジングに固定される外輪と、前記内輪と前記外輪との間に位置し複数の剛球が配置されるベアリング隙間と、を含み、
    前記ベアリング潤滑孔の少なくとも一部は、前記ベアリング隙間を向くように形成されている、請求項2に記載のモータ。
  3. 前記所定角度は、35度から60度である請求項1または請求項2に記載のモータ。
  4. 前記ロータは、前記ロータコアの軸方向両端部に位置する板状の一対のエンドプレート
    を有し、
    前記エンドプレートは、前記ロータコアの軸方向一方側と他方側とに配置され、
    前記ベアリング潤滑孔は、前記ロータコアの軸方向一方側と他方側の少なくとも一方側において、前記エンドプレートと前記ベアリングとの間に位置する、請求項1から請求項3に記載のモータ。
  5. 前記シャフトには、径方向に延びて前記中空部と前記シャフトの外部とを連通させる連通孔をさらに有し、
    前記エンドプレートには、前記連通孔と連通して径方向に沿って延びて開口するオイル
    流路がそれぞれ設けられ、
    前記ベアリング潤滑孔は、前記連通孔と前記ベアリングとの間に位置する、請求項4に記載のモータ。
  6. 前記ベアリング潤滑孔の前記シャフトの外面に開口する開口部は、前記エンドプレートと前記ベアリングとの軸方向隙間において、前記ベアリング側に位置する、請求項4または5記載に記載のモータ。
  7. 前記モータは、減速装置と、差動装置と、をさらに有し、
    前記減速装置および前記差動装置は、前記ハウジングの収容空間に収容され、
    前記ベアリングには、前記収容空間の鉛直方向下側の領域に溜まるオイル溜りから前記中空部を経由して前記オイルが供給される、請求項1から請求項6に記載のモータ。
  8. 前記中空部は、前記差動装置により、かき上げられた前記オイル溜りの前記オイルが供給される油路の一部である、請求項7に記載のモータ。
  9. 前記ベアリングは、前記減速装置側に位置するギヤ側ベアリングと、前記ロータを介して前記減速装置から離れた側に位置する反ギヤ側ベアリングと、を含み、
    前記ベアリング潤滑孔は、前記反ギヤ側ベアリングのみに位置する、請求項7または請求項8に記載のモータ。

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