JP2021121650A - 4−メチル−1−ペンテン系樹脂組成物およびその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、耐熱性、離型性および耐薬品性等に優れるとともに、帯電防止性及び成形性にも優れた、4−メチル−1−ペンテン系重合体を含有する樹脂組成物およびその成形体を提供することを課題としている。【解決手段】下記要件(X−1)を満たす4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)と、特定構造を有するホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)とを含むことを特徴とする4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物。(X−1)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の含有量が30.0〜100.0モル%であり、エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量の合計が0.0〜70.0モル%である。【選択図】なし

Description

本発明は、帯電防止効果のある4−メチル−1−ペンテン系樹脂組成物、およびこれを含む成形体、繊維に関する。
4−メチル−1−ペンテンを主たる構成モノマーとする4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体は、耐熱性、離型性、透明性および耐薬品性に優れているので、各種用途に広く使用されている。例えば、前記共重合体からなるフィルムは良好な離型性などの特長を活かして、FPC離型フィルム、複合材料成形用や離型フィルムなどに使用され、あるいは耐薬品性、耐水性および透明性などの特長を活かして、実験器具およびゴムホース製造用マンドレルなどに使用されている。
4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体から作られる成形体は、耐衝撃性が充分でない場合があることが知られているが、本願出願人は、特定の2種の4−メチル−1−ペンテン系(共)重合体を組み合わせて用いることによって耐衝撃性を改良した、4−メチル−1−ペンテン系樹脂組成物を提案している(特許文献1参照)。
一方で、従来の4−メチル−1−ペンテン系重合体を含有する樹脂組成物からなる成形体は、絶縁性が高いため、非常に帯電しやすく、例えば、ポリプロピレンなどの他のポリオレフィン樹脂と比べても、帯電しやすいことが知られている。4−メチル−1−ペンテン系重合体に帯電防止性を付与するには、従来公知の帯電防止剤を添加することが考えられるが、十分な帯電防止性を付与するためには大量の帯電防止剤の添加が必要となり、たとえば繊維状に成形しようとした場合には糸切れが生じて繊維化が困難であるという問題があった。また界面活性剤系の帯電防止剤を用いた場合には、帯電防止剤が成形体表面にブリードアウトしやすく、成形体表面にべたつきが生じやすいという問題があった。
このため、耐熱性、離型性、透明性および耐薬品性等に優れるとともに、帯電防止性に優れ、ブリードアウトを生じにくく、繊維等への成形性にも優れた、4−メチル−1−ペンテン系重合体を含有する樹脂組成物およびその成形体の出現が望まれていた。
樹脂組成物からなる成形体の帯電防止性を付与する技術としては、たとえば、特許文献2には、シクロデキストリンとポリオレフィンとを含み、造核効果、帯電防止効果、相溶効果などを示す包接化合物を、合成樹脂に添加した合成樹脂組成物が提案されている。特許文献2には、合成樹脂として種々の(共)重合体を使用でき、結晶開始時間が早く、結晶状態が微細状の成形体が得られることが記載されている。また特許文献3には、カーボンナノチューブおよびオレフィン系重合体を含む熱可塑性の導電性樹脂組成物が記載されており、カーボンナノチューブを含有することにより導電性が付与されることが教示されている。しかしながら特許文献2および3には、特に帯電を生じやすい4−メチル−1−ペンテン系重合体に対して、どの程度の帯電防止性を付与できるかについては示されていない。
特開2008−162408号公報 特開2008−266622号公報 特開2018−21117号公報
本発明者は、上記の状況に鑑みて鋭意研究を行った結果、特定のホウ素系化合物を含む帯電防止剤が、特定の4−メチル−1−ペンテン系重合体に対して少量で優れた帯電防止効果を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。なお、特開2017−171884号公報には、当該ホウ素系化合物を造核剤とともにポリプロピレンに添加した樹脂組成物および成形品が提案されてはいるが、ポリプロピレンよりもさらに絶縁性が高く帯電を生じやすい4−メチル−1−ペンテン系重合体の帯電防止については何ら教示されていない。
本発明は、耐熱性、離型性および耐薬品性等に優れるとともに、帯電防止性及び成形性にも優れた、4−メチル−1−ペンテン系重合体を含有する樹脂組成物およびその成形体を提供することを課題としている。
本発明は、たとえば以下の〔1〕〜〔7〕の事項に関する。
〔1〕下記要件(X−1)を満たす4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)と、
下記式(1)で表される構造を有するホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)と
を含むことを特徴とする4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物。
(X−1)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の含有量が30.0〜100.0モル%であり、エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン(ただし4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量の合計が0.0〜70.0モル%である。
Figure 2021121650
〔2〕前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)が下記要件(X−2)および(X−3)を満たす、前記〔1〕に記載の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物。
(X−2)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜10.0dl/gの範囲にある。
(X−3)DSCで測定した融点(Tm)のうち、少なくとも1つが200℃以上である。
〔3〕前記ホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)が、ドナー成分としての半極性有機ホウ素化合物と、アクセプター成分としての塩基性窒素化合物とを反応させて得られる、下記式(2)または式(3)で表されるドナー・アクセプター系帯電防止剤である、前記〔1〕または〔2〕に記載の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物。
Figure 2021121650
(式(2)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、R7CO−OCH2−又はHOCH2−で、かつ少なくとも一方がR7CO−OCH2−であり、R3及びR4は、それぞれ独立して、CH3−、C25−、HOCH2−、HOC24−又はHOCH2CH(CH3)−であり、R5は、−C24−又は−C36−であり、R6及びR7は、それぞれ独立して、炭素数11〜21のアルキルである。)
Figure 2021121650
(式(3)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、R7CO−OCH2−又はHOCH2−で、かつ少なくとも一方がR7CO−OCH2−であり、R3及びR4は、それぞれ独立して、CH3−、C25−、HOCH2−、HOC24−又はHOCH2CH(CH3)−であり、R5は、−C24−又は−C36−であり、R6及びR7は、それぞれ独立して、炭素数11〜21のアルキルである。)
〔4〕前記ホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)を0.1〜5.0質量%含有する、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物。
〔5〕射出成形して得た2mm厚の成形体を試験片として用い、JIS K 7136に準拠して測定したヘイズが2.0〜8.0%である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物。
〔6〕前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物を含む成形体。
〔7〕前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の4−メチル−1−ペンテン系樹重合体組成物を含む繊維。
本発明によれば、特定の帯電防止剤を少量含むのみで十分な帯電防止性を発揮できることから、4−メチル−1−ペンテン系重合体が本来有する耐熱性、離型性および耐薬品性等の特性を保持するとともに、帯電防止性及び成形性にも優れ、繊維等の成形体を好適に提供することができる、4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物を提供することができる。また本発明によれば、4−メチル−1−ペンテン系重合体が本来有する耐熱性、離型性および耐薬品性等の特性を保持するとともに、十分な帯電防止性を有し、帯電防止剤のブリードアウトが充分に抑制された、繊維等の成形体を提供することができる。
以下、本発明について詳述する。本発明において重合体とは、特に言及のない限り、単独重合体および共重合体の両方を意味する。
<4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物>
本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物は、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)と、特定のホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)とを含む。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)
本発明に係る4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)は、4−メチル−1−ペンテンを含むモノマーの重合体あるいは共重合体であり、以下に説明する要件(X−1)を満たす。また本発明に係る4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)は、好ましくは以下に説明する要件(X−2)および(X−3)の1つ以上、より好ましくは両方を満たす。4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)は、2種以上の4−メチル−1−ペンテン系重合体の混合物であってもよい。
<要件(X−1)>
(X−1)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の含有量が30.0〜100.0モル%であり、エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量の合計が0.0〜70.0モル%である。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)は、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体(すなわち、4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位の含有量が100モル%である重合体)、あるいは4−メチル−1−ペンテンとα−オレフィンなどの共重合モノマーとの共重合体であり、要件(X−1)を満たす。
前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)中の4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の含有量は、好ましくは40.0〜99.5モル%、より好ましくは50.0〜99.0モル%、さらに好ましくは、70.0〜98.5モル%である。また、エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる構成単位の含有量の合計は、好ましくは0.5〜60.0モル%、より好ましくは1.0〜50.0モル%、さらに好ましくは、1.5〜30.0モル%である。
前記α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンが挙げられる。前記α−オレフィンは、目的とする4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物の用途や必要物性に応じて適宜選択することができる。例えば、前記α−オレフィンとしては、適度な弾性率と柔軟性、可とう性とを付与するという観点からは、炭素数8〜18のα−オレフィンが好ましく、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセンおよび1−オクタデセンから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)は、本発明の効果を損なわない範囲で、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位および前記α−オレフィンから導かれる構成単位以外の構成単位(以下「その他の構成単位」ともいう)を有してもよい。その他の構成単位の含有量は、例えば0〜10.0モル%である。
その他の構成単位を導くモノマーとしては、例えば、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ポリエン、官能ビニル化合物、水酸基含有オレフィン、ハロゲン化オレフィンが挙げられる。環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ポリエン、官能ビニル化合物、水酸基含有オレフィンおよびハロゲン化オレフィンとしては、例えば、特開2013−169685号公報の段落[0035]〜[0041]に記載の化合物を用いることができる。
前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)がその他の構成単位を有する場合、その他の構成単位は、1種のみ含まれていてもよく、また、2種以上含まれていてもよい。
<要件(X−2)>
(X−2)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜10.0dl/gの範囲にある。本発明に係る4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)は、好ましくは、この要件(X−2)を満たす。
前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)の、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]は、より好ましくは0.5〜8.0dl/g、さらに好ましくは0.8〜6.0dl/gの範囲にある。極限粘度[η]が上記範囲内であると、4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物の成形時の樹脂流動性の点で好ましい。
前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)の極限粘度[η]は、たとえば、重合系の水素濃度および圧力等を適宜選択することにより上記範囲内に調整できる。また4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)は、極限粘度[η]の異なる4−メチル−1−ペンテン系重合体を混合して上記範囲内に調整して得てもよい。
<要件(X−3)>
(X−3)DSCで測定した融点(Tm)のうち、少なくとも1つが200℃以上である。本発明に係る4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)は、融点(Tm)を2つ以上有してもよく、好ましくはこの要件(X−3)を満たす。前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)のDSCで測定した融点(Tm)(融点(Tm)を2つ以上有する場合には最も高温のもの)は、より好ましくは210〜260℃、より好ましくは220〜250℃、さらに好ましくは225〜245℃の範囲にある。4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)の融点が前記範囲にあると、4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物から得られる成形体等が耐熱性に優れたものとなる。
本発明に係る4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)は、上記要件を満たす限り、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体が極性モノマーによりグラフト変性されて得られたグラフト変性(共)重合体であってもよい。
<4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)の製造方法>
4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、国際公開第01/27124号、国際公開14/050817号等に記載の方法を採用することができる。4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)の製造方法においては、従来公知の重合触媒を用いることができる。
・グラフト変性
4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)がグラフト変性体である場合、グラフト変性体は、被変性体である4−メチル−1−ペンテン系重合体に、極性モノマーをグラフト重合させることにより製造することができる。
グラフト変性に用いられる極性モノマーとしては、例えば、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸またはその誘導体、ビニルエステル化合物、塩化ビニル、カルボジイミド化合物が挙げられる。特に、不飽和カルボン酸またはその誘導体が好ましい。不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物、カルボン酸基を有する化合物とアルキルアルコールとのエステル、無水カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物が挙げられる。不飽和基としては、例えば、ビニル基、ビニレン基、不飽和環状炭化水素基が挙げられる。
極性モノマーとしては、具体的には、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸〔商標〕(エンドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸)等の不飽和カルボン酸、および不飽和カルボン酸の誘導体として、例えば、酸ハライド、アミド、イミド、無水物、エステルが挙げられる。かかる誘導体の具体例としては、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートが挙げられる。
これらの不飽和カルボン酸および/またはその誘導体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中では、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物が好適であり、マレイン酸、ナジック酸またはこれらの酸無水物が特に好ましい。
変性は、被変性体である(共)重合体に、極性モノマーをグラフト重合させることにより得られる。被変性体に、極性モノマーをグラフト重合させる際には、極性モノマーは、被変性体100質量部に対して、通常1〜100質量部、好ましくは5〜80質量部の量で使用される。このグラフト重合は、通常ラジカル開始剤の存在下にて行なわれる。
ラジカル開始剤としては、有機過酸化物およびアゾ化合物などを用いることができる。ラジカル開始剤は、被変性体および極性モノマーとそのまま混合して使用することもできるが、少量の有機溶媒に溶解してから使用することもできる。有機溶媒としては、ラジカル開始剤を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定することなく用いることができる。
被変性体に極性モノマーをグラフト重合させる際には、還元性物質を用いてもよい。還元性物質を用いると、極性モノマーのグラフト量を向上させることができる。
被変性体の極性モノマーによるグラフト変性は、従来公知の方法で行うことができ、例えば被変性体を有機溶媒に溶解し、次いで極性モノマーおよびラジカル開始剤などを溶液に加え、通常70〜200℃、好ましくは80〜190℃の温度で、通常0.5〜15時間、好ましくは1〜10時間反応させることにより行うことができる。
押出機などを用いて、被変性体と極性モノマーとを反応させて、変性体である4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)を製造することもできる。この反応は、通常は被変性体の融点以上で行う。具体的には、熱可塑性樹脂を変性する場合には、例えば通常120〜300℃、通常0.5〜10分間行われ、好ましくは160〜300℃、より好ましくは180℃〜250℃の温度で行われる。
このようにして得られる変性体の変性量(極性モノマーのグラフト量)は、変性体を100質量%とした場合に、通常0.1〜50質量%、好ましくは0.2〜30質量%、さらに好ましくは0.2〜10質量%である。
また、未変性の4−メチル−1−ペンテン系重合体を含む組成物に極性モノマーを含有させ、該組成物中の4−メチル−1−ペンテン系重合体の変性を行い、変性物である4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)を含む4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物を得ることもできる。極性モノマーを含有させた際の極性モノマーの含有量は、特に限定されないが、0.001〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.001〜10質量%、さらに好ましくは0.001〜5質量%であり、最も好ましくは0.01〜3質量%である。極性モノマーの含有量は、目的に応じて、例えば、グラフト条件を適宜に選択することにより、容易に決定できる。
また、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)は、被変性体を、シランカップリング剤を用いてグラフト変性することにより得られた重合体であってもよい。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロルシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N,N'-ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミン、ポリオキシエチレンプロピルトリアルコキシシラン、ポリエトキシジメチルシロキサン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
シランカップリング剤を用いてグラフト変性(架橋)する際は、乾式処理法でも、湿式(スラリー法)処理法でもよい。シランカップリング剤を用いた架橋体である4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)は、均一な架橋状態が得られているので、この重合体(X)を含む重合体組成物は、産業用電線、パイプ等の強度や耐久性が求められる用途に好適に使用される。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)として変性体を用いると、他の樹脂との接着性、相溶性に優れ、また得られた成形体表面の濡れ性が改良される場合がある。また、変性体を用いることにより、樹脂以外の他の材料(ガラス、金属、木材など)との相溶性または接着性を付加することができる場合もある。
また、極性モノマー(例えば、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体)のグラフト量が上記範囲にあることにより、得られた4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)を含む4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物は、極性基含有樹脂(例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、PMMA、ポリカーボネート等)に対して高い接着強度を示す。
ホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)
本発明で用いる帯電防止剤(Y)は、下記式(1)で表される構造を有するホウ素系化合物を含む帯電防止剤である。
Figure 2021121650
好ましくは、本発明に係るホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)は、分子中に上記式(1)にて表される構造を有する半極性有機ホウ素化合物をドナー成分とし、塩基性窒素化合物をアクセプター成分として、両者を反応させて得られる、ドナー・アクセプター系帯電防止剤である。このようなドナー・アクセプター系帯電防止剤は、前記ドナー成分の少なくとも1種と、前記アクセプター成分の少なくとも1種とを、均一混合させることにより得ることができる。
このようなドナー・アクセプター系帯電防止剤は、ドナー化合物、アクセプター化合物共に1個以上の直鎖型炭化水素基を有するものの組み合わせであることが好ましい。この場合には、4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物中において、ホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)と4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)との間に多重的にファンデルワールス力が作用して、帯電防止剤の帯電防止効能を担うクーロン力発現部分が長期に安定存在するため、帯電防止効果が持続するものと考えられる。なお、電子伝導を基礎としたドナー・アクセプターハイブリッド形式の化合物は古くから知られているが、それらは本発明に用いるドナー・アクセプター系帯電防止剤とは機構も構造も全く異なっている。
そして、本発明においてドナー成分として好ましく用いられる半極性有機ホウ素化合物とは、隣接ヒドロキシ基を残存している状態の多価アルコールと直鎖型脂肪酸との間のエステルの残存している隣接ヒドロキシ基に対してホウ酸若しくは低級アルコールのホウ酸エステルを反応させるか、隣接ヒドロキシ基を有する直鎖型炭化水素化合物に対して、ホウ酸若しくは低級アルコールのホウ酸エステルを反応させるか、又は、隣接ヒドロキシ基を有する3価以上の多価アルコールとホウ酸若しくは低級アルコールのホウ酸エステルを反応させた後に残存しているヒドロキシ基に対して、直鎖型脂肪酸を反応させることにより得られるものであり、この反応で得られたものはファンデルワールス力の強い固体である点に特徴を有している。
本発明に係るホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)を構成する半極性有機ホウ素化合物(ホウ酸エステル形錯体)の調製に用いる多価アルコール又は多価アルコールの脂肪酸部分エステルの好ましい例としては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリンなどのポリグリセリン、炭素数14〜24の1,2−アルカンジオール、ソルビトール、ソルビタン、ショ糖、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなどのポリペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ポリオキシエチレングリセリン、ポリオキシエチレンソルビタンなどの多価アルコール、グリセリン高級脂肪酸モノエステル、ジグリセリン高級脂肪酸モノエステル、トリグリセリン高級脂肪酸モノエステル、テトラグリセリン高級脂肪酸モノエステルなどのポリグリセリン高級脂肪酸モノエステル、ソルビトール高級脂肪酸モノエステル、ソルビタン高級脂肪酸モノエステル、ショ糖高級脂肪酸モノエステル、ペンタエリスリトール高級脂肪酸モノ若しくはジエステル、ジペンタエリスリトール高級脂肪酸モノ若しくはジエステル、トリペンタエリスリトール高級脂肪酸モノ若しくはジエステルなどのポリペンタエリスリトール高級脂肪酸モノ若しくはジエステル、トリメチロールエタン高級脂肪酸モノエステル、トリメチロールプロパン高級脂肪酸モノエステル、ポリオキシエチレングリセリン高級脂肪酸モノエステル、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸モノエステルなどの多価アルコールの高級脂肪酸部分エステル(高級脂肪酸としてはヘキサン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、オレイン酸、エルカ酸など)を例示できる。特にグリセリン高級脂肪酸モノエステル、ペンタエリスリトール高級脂肪酸モノ若しくはジエステルが好ましい。
また、本発明に係るホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)を構成するのに好適な塩基性窒素化合物は、直鎖型炭化水素基を最小限1個有するN−アルキル置換一級、二級及び三級アミンそのままか、直鎖型炭化水素基を最小限1個有する一級及び二級アミンに対してエチレンオキシドを付加して、N−ヒドロキシエチル置換基を結合させたものか、さらに、その末端ヒドロキシ基に対して直鎖型脂肪酸を反応させたものか、若しくは、アンモニアと直鎖型炭化水素のエポキシ化物とを反応させてつくられる直鎖型2−ヒドロキシ脂肪族アミンそのままか、又は、一級及び二級の直鎖型2−ヒドロキシ脂肪族アミンに対してエチレンオキシドを付加して、N−ヒドロキシエチル置換基を結合させたものか、若しくは、ポリアルキレンポリアミン中のアミノ基を1個残存させるようなモル比で、ポリアルキレンポリアミンと直鎖型脂肪酸を反応させて、他のアミノ基を全て脂肪酸アミド化したもの等であり、特色としては、前記半極性有機化合物と同様に、ファンデルワールス力の強い固体である。
本発明に係るホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)を構成するのに好適な塩基性窒素化合物(脂肪族アミン)の例としては、たとえば以下のものを挙げることができる。
オクチルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ココアミン、タロウアミン、ソイアミン、N,N−ジココアミン、N,N−ジタロウアミン、N,N−ジソイアミン、N−ラウリル−N,N−ジメチルアミン、N−ミリスチル−N,N−ジメチルアミン、N−パルミチル−N,N−ジメチルアミン、N−ステアリル−N,N−ジメチルアミン、N−ココ−N,N−ジメチルアミン、N−タロウ−N,N−ジメチルアミン、N−ソイ−N,N−ジメチルアミン、N−メチル−N,N−ジタロウアミン、N−メチル−N,N−ジココアミン、N−オレイル−1,3−ジアミノプロパン、N−タロウ−1,3−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、
N−ラウリル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−パルミチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−ステアリル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−ドコシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−ココ−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−タロウ−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−ソイ−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、N−ラウリル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウムクロリド、N−ミリスチル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウムクロリド、N−ステアリル−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウムクロリド、N−ココ−N,N−ジメチル−N−ベンジルアンモニウムクロリド、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジココ−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジタロウ−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジソイ−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−ラウリル−N−メチルアンモニウムクロリド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−ステアリル−N−メチルアンモニウムクロリド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−オレイル−N−メチルアンモニウムクロリド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−ココ−N−メチルアンモニウムクロリド、N,N−ビス(ポリオキシエチレン)−N−ラウリル−N−メチルアンモニウムクロリド、N,N−ビス(ポリオキシエチレン)−N−ステアリル−N−メチルアンモニウムクロリド、N,N−ビス(ポリオキシエチレン)−N−オレイル−N−メチルアンモニウムクロリド、N,N−ビス(ポリオキシエチルン)−N−ココ−N−メチルアンモニウムクロリド、
N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミノベタイン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)トリデシルアミノベタイン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ミリスチルアミノベタイン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ペンタデシルアミノベタイン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)パルミチルアミノベタイン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミノベタイン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)オレイルアミノベタイン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ドコシルアミノベタイン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)オクタコシルアミノベタイン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ココアミノベタイン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアミノベタイン、
ヘキサメチレンテトラミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)トリデシルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ミリスチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ペンタデシルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)パルミチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)オレイルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ドコシルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)オクタコシルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ココアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)タロウアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)トリデシルアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)ミリスチルアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)ペンタデシルアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)パルミチルアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)オレイルアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)ドコシルアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)オクタコシルアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)ココアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)タロウアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)トリデシルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ミリスチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ペンタデシルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)パルミチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)オレイルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ドコシルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)オクタコシルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ココアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアミンなどのN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)脂肪族アミン;
該N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)脂肪族アミンとラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸などの脂肪酸とのモノ若しくはジエステル、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンオレイルアミノエーテル、ポリオキシエチレンココアミノエーテル、ポリオキシエチレンタロウアミノエーテルなどのポリオキシエチレン脂肪族アミノエーテル、該ポリオキシエチレン脂肪族アミノエーテルと前記脂肪酸とのモノ若しくはジエステル;
N−(ラウロイルオキシエチル)−N−(ステアロイルオキシエトキシエチル)ステアリルアミン、N,N,N',N'−テトラ(2−ヒドロキシエチル)−1,6−ジアミノヘキサン、N−ラウリル−N,N',N'−トリス(2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジアミノプロパン、N−ステアリル−N,N',N'−トリス(2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジアミノプロパン、N−ココ−N,N',N'−トリス(2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジアミノプロパン、N−タロウ−N,N',N'−トリス(2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジココ−N',N'−ビス(2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジタロウ−N',N'−ビス(2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジアミノプロパン、N−ココ−N,N',N'−トリス(2−ヒドロキシエチル)−1,6−ジアミノヘキサン、N−タロウ−N,N',N'−トリス(2−ヒドロキシエチル)−1,6−ジアミノヘキサン、N,N−ジココ−N',N'−ビス(2−ヒドロキシエチル)−1,6−ジアミノヘキサン、N,N−ジタロウ−N',N'−ビス(2−ヒドロキシエチル)−1,6−ジアミノヘキサン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシラウリルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシミリスチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシパルミチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシステアリルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシラウリルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシミリスチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシパルミチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシステアリルアミン、2,2'−ビス(ラウリン酸アミド)ジエチルアミン、2,2'−ビス(ミリスチン酸アミド)ジエチルアミン、2,2'−ビス(パルミチン酸アミド)ジエチルアミン、2,2'−ビス(ステアリン酸アミド)ジエチルアミン、N−(2−(ラウリン酸アミド))エチル−N−(2'−(ステアリン酸アミド))エチルアミン、N−(2−(ミリスチン酸アミド))エチル−N−(2'−(ステアリン酸アミド))エチルアミン、N−(3−(ラウリン酸アミド))プロピル−N,N−ジメチルアミン、N−(3−(ミリスチン酸アミド))プロピル−N,N−ジメチルアミン、N−(3−(パルミチン酸アミド))プロピル−N,N−ジメチルアミン、N−(3−(ステアリン酸アミド))プロピル−N,N−ジメチルアミン、N−(3−(ラウロイルオキシ))プロピル−N,N−ジメチルアミン、N−(3−(ミリストイルオキシ))プロピル−N,N−ジメチルアミン、N−(3−(パルミトイルオキシ))プロピル−N,N−ジメチルアミン、N−(3−(ステアロイルオキシ))プロピル−N,N−ジメチルアミン、N,N−ビス(3−(ラウリン酸アミド)プロピル)メチルアミン、N,N−ビス(3−(ミリスチン酸アミド)プロピル)メチルアミン、N,N−ビス(3−(パルミチン酸アミド)プロピル)メチルアミン、N,N−ビス(3−(ステアリン酸アミド)プロピル)メチルアミン。
前記塩基性窒素化合物のより好ましい例として、たとえば、下記式(2')または(3')で表される脂肪族アミンを挙げることができる。
Figure 2021121650
Figure 2021121650
(式(2')および(3')中、R3及びR4は、それぞれ独立して、CH3−、C25−、HOCH2−、HOC24−又はHOCH2CH(CH3)−であり、R5は、−C24−又は−C36−であり、R6は、炭素数11〜21のアルキルである。)
本発明に係るホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)としては、上述した半極性有機ホウ素化合物をドナー成分とし、上述した塩基性窒素化合物をアクセプター成分として、反応させて得られる、ドナー・アクセプター系帯電防止剤が好ましく、下記式(2)または式(3)で表されるドナー・アクセプター系帯電防止剤がより好ましい。
Figure 2021121650
Figure 2021121650
(式(2)中および式(3)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、R7CO−OCH2−又はHOCH2−で、かつ少なくとも一方がR7CO−OCH2−であり、R3及びR4は、それぞれ独立して、CH3−、C25−、HOCH2−、HOC24−又はHOCH2CH(CH3)−であり、R5は、−C24−又は−C36−であり、R6及びR7は、それぞれ独立して、炭素数11〜21のアルキルである。)
このようなドナー・アクセプター系帯電防止剤である、本発明で好適に用いられるホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)の具体例を、下記式(4)〜(11)に示す。
Figure 2021121650
Figure 2021121650
Figure 2021121650
Figure 2021121650
Figure 2021121650
Figure 2021121650
Figure 2021121650
Figure 2021121650
例として挙げた上記式(4)〜(11)は、上段の半極性有機ホウ素化合物部分をドナー成分とし、下段の三級アミン部分をアクセプター成分とし、両者をモル比約1:1で反応させたドナー・アクセプター系帯電防止剤であり、前記ドナー成分の、「δ+」は分子内の共有結合中に極性が存在していることを示し、(+)は酸素原子の電子供与性が強くなっていることを示し、(−)はホウ素原子の電子吸引性が強くなっていることを示し、「→」は電子が引き付けられる経路を示し、「−−−」は原子間結合力が弱められた状態を示す。
前記ドナー・アクセプター系帯電防止剤は、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)と混合する前に、予めドナー成分とアクセプター成分をモル比約1:1で混合溶融して反応させることにより作製しておく事が好ましい。予め反応させることなく、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)にドナー成分とアクセプター成分を別々に混合しただけでは、混合物中で両成分が反応する機会は非常に少ないため、前記分子化合物がほとんど形成されず、本発明の効果を得られにくくなる。また、ドナー成分とアクセプター成分の混合モル比は1:1に近いほど好ましく、混合モル比の範囲は1:0.8〜:1:1.25程度であれば、分子化合物が十分に形成されるので、本発明の効果が得られやすくなり好ましい。
本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物中において、ホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)の含有量は、好ましくは0.1〜5.0質量%、より好ましくは0.1〜3.0質量%であり、さらに好ましくは0.1〜2.9質量%であり、またさらに好ましくは0.1〜2.5質量%であり、特に好ましくは0.1〜2.0質量%である。ホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)の含有量の下限値は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.2質量%、より好ましくは0.3質量%である。ホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)の含有量が0.1質量%以上であると十分な帯電防止効果が得られ、5.0質量%以下であると、組成物から得られる成形体表面への帯電防止剤(Y)の析出や、帯電防止剤(Y)の含有量が多いことに起因する成形体の脆化、組成物から得られる繊維の糸切れなどの問題を生じにくいため好ましい。
本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物を構成する、ホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)として好適な、ドナー・アクセプター系帯電防止剤としては、市販のものを用いることができる。具体的には、(株)ボロン研究所製商品名:ビオミセルBN−105(mC42818B+nC2348ON2、製品安全データシート参照)やビオミセルBN−77(mC42818B+nC23472N、製品安全データシート参照)を挙げることができる。
その他の成分
本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物は、その用途に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)およびホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)以外の、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)とは異なる他の重合体(以下、その他の重合体ともいう)、ならびに前記ホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)以外の樹脂用添加剤(以下、その他の添加剤ともいう)から選ばれる少なくとも1種を任意に含有することができる。
・その他の重合体
その他の重合体としては、本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)とは異なる他の熱可塑性樹脂を広く用いることができる。その他の重合体の含有量は、本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物の総質量に対して、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂としては、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)と異なる限り特に制限されないが、例えば以下のものを挙げることができる。
熱可塑性ポリオレフィン系樹脂:例えば、低密度、中密度、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン等のポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン等のポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ブテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン共重合体、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体、環状オレフィン共重合体、塩素化ポリオレフィン、およびこれらのオレフィン系樹脂を変性した変性ポリオレフィン樹脂;
熱可塑性ポリアミド系樹脂:例えば、脂肪族ポリアミド(ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612);
熱可塑性ポリエステル系樹脂:例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル系エラストマー;
熱可塑性ビニル芳香族系樹脂:例えば、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、スチレン系エラストマー(スチレン・ブタジエン・スチレンブロックポリマー、スチレン・イソ
プレン・スチレンブロックポリマー、スチレン・イソブチレン・スチレンブロックポリマー、これらの水素添加物など);
熱可塑性ポリウレタン;塩化ビニル樹脂;塩化ビニリデン樹脂;アクリル樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル共重合体;エチレン・メタクリル酸アクリレート共重合体;アイオノマー;エチレン・ビニルアルコール共重合体;ポリビニルアルコール;フッ素系樹脂;ポリカーボネート;ポリアセタール;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンサルファイドポリイミド;ポリアリレート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ロジン系樹脂;テルペン系樹脂および石油樹脂;
共重合体ゴム:例えば、エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体、プロピレン・α−オレフィン・ジエン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン・ジエン共重合体、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ネオプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、天然ゴム、シリコーンゴム。
上述した熱可塑性ポリオレフィン系樹脂のうち、例えばポリエチレン、ポリプロピレンは結晶核剤として用いることもでき、その場合の好ましい含有量は、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)およびその他の重合体の総量100質量部に対して、0.001〜5質量%である。
これらの熱可塑性樹脂の中でも、好ましくは、低密度、中密度、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ3−メチル−1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ブテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン共重合体、スチレン系エラストマー、酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸アクリレート共重合体、アイオノマー、フッ素系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および石油樹脂であり、より好ましくは、耐熱性向上、低温耐性向上、柔軟性の点で、ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン共重合体、酢酸ビニル共重合体、スチレン系エラストマー、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および石油樹脂である。
その他の重合体の一部または全部は、重合体が極性モノマーによりグラフト変性されて得られたグラフト変性重合体であってもよい。グラフト変性については、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)について示した上記「グラフト変性」に準じる。
本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物中において、その他の重合体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
・その他の添加剤
本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物は、その他の添加剤として、前記ホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)以外の樹脂用添加剤を含んでもよい。
その他の添加剤としては、例えば、核剤、アンチブロッキング剤、顔料、染料、充填剤、滑剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、界面活性剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、スリップ防止剤、発泡剤、結晶化助剤、防曇剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、衝撃改良剤、架橋剤、共架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、加工助剤、ならびに、前記ホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)以外の帯電防止剤等が挙げられる。これらのその他の添加剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
その他の添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で用途に応じて、特に限定されないが、4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物、配合される添加剤それぞれについて0.001〜30質量%であることが好ましい。
核剤としては、4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物の成形性をさらに改善させる、すなわち結晶化温度を高め、結晶化速度を速めるために公知の核剤が使用可能である。具体的には、ジベンジリデンソルビトール系核剤、リン酸エステル塩系核剤、ロジン系核剤、安息香酸金属塩系核剤、フッ素化ポリエチレン、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム、ピメリン酸やその塩、2,6−ナフタレン酸ジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド、エチレンビスステアリン酸アマイド等が挙げられる。
核剤の配合量は、特に限定されないが、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)およびその他の重合体の総量100質量部に対して、好ましくは0.001〜5質量部である。核剤は、重合中、重合後、あるいは成形加工時など適宜添加が可能である。
アンチブロッキング剤としては、公知のアンチブロッキング剤が使用可能である。具体的には、微粉末シリカ、微粉末酸化アルミニウム、微粉末クレー、粉末状もしくは液状のシリコン樹脂、テトラフロロエチレン樹脂、微粉末架橋樹脂、例えば架橋されたアクリル、メタクリル樹脂粉末、アマイド系滑剤等が挙げられる。これらのうちでは、微粉末シリカおよび架橋されたアクリル、メタクリル樹脂粉末が好ましい。
顔料としては、無機含量(酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、硫化カドミウム等)、有機顔料(アゾレーキ系、チオインジゴ系、フタロシアニン系、アントラキノン系)が挙げられる。染料としてはアゾ系、アントラキノン系、トリフェニルメタン系等が挙げられる。これら顔料および染料の添加量は、特に限定されないが、4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物の総質量に対して、合計で、通常5質量%以下、好ましくは0.1〜3質量%である。
充填剤としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、シリカ繊維、金属(ステンレス、アルミニウム、チタン、銅等)繊維、カーボンブラック、シリカ、ガラスビーズ、珪酸塩(珪酸カルシウム、タルク、クレー等)、金属酸化物(酸化鉄、酸化チタン、アルミナ等)、金属の炭酸塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム)および各種金属(マグネシウム、珪素、アルミニウム、チタン、銅等)粉末、マイカ、ガラスフレークが挙げられる。
滑剤としては、例えば、ワックス(カルナバロウワックス等)、高級脂肪酸(ステアリン酸等)、高級アルコール(ステアリルアルコール等)、高級脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド等)が挙げられる。
可塑剤としては、例えば、芳香族カルボン酸エステル(フタル酸ジブチル等)、脂肪族カルボン酸エステル(メチルアセチルリシノレート等)、脂肪族ジアルボン酸エステル(アジピン酸−プロピレングリコール系ポリエステル等)、脂肪族トリカルボン酸エステル(クエン酸トリエチル等)、リン酸トリエステル(リン酸トリフェニル等)、エポキシ脂肪酸エステル(ステアリン酸エポキシブチル等)、石油樹脂が挙げられる。
離型剤としては、例えば、高級脂肪酸の低級(C1〜4)アルコールエステル(ステアリン酸ブチル等)、脂肪酸(C4〜30)の多価アルコールエステル(硬化ヒマシ油等)、脂肪酸のグリコールエステル、流動パラフィンが挙げられる。
酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤が使用可能である。具体的には、フェノール系(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等)、多環フェノール系(2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール等)、リン系(トリ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニレンジホスフォネート等)、イオウ系(チオジプロピオン酸ジラウリル等)、アミン系(N,N−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン等)、ラクトン系の酸化防止剤等が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、有機系難燃剤(含窒素系、含硫黄系、含珪素系、含リン系等)、無機系難燃剤(三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、赤リン等)が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、アクリレート系の紫外線吸収剤が挙げられる。
抗菌剤としては、例えば、4級アンモニウム塩、ピリジン系化合物、有機酸、有機酸エステル、ハロゲン化フェノール、有機ヨウ素が挙げられる。
界面活性剤としては、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の界面活性剤を挙げることができる。非イオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、ポリエチレンオキシド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビットもしくはソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン性界面活性剤が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両面界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。
耐熱安定剤としては、例えば、アミン系安定剤、フェノール系安定剤および硫黄系安定剤などの従来公知の安定剤が挙げられる。具体的には、フェニルブチルアミンおよびN,N'−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンなどの芳香族2級アミン系安定剤;ジブチルヒドロキシトルエンおよびテトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン、オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのフェノール系安定剤;ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィドなどのチオエーテル系安定剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケルなどのジチオカルバミン酸塩系安定剤;2−メルカプトベンゾイルイミダゾールおよび2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩;ジラウリルチオジプロピオネートおよびジステアリルチオジプロピオネートなどの硫黄系安定剤などが挙げられる。これらの安定剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
架橋剤としては、例えば、有機ペルオキシドが用いられる。
有機ペルオキシドとしては、例えば、ジクミル有機ペルオキシド、ジ−tert−ブチル有機ペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイル有機ペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイル有機ペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチル有機ペルオキシド、ラウロイル有
機ペルオキシド、tert−ブチルクミル有機ペルオキシドが挙げられる。
有機ペルオキシドは、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)、4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)および他の重合体(D)の総量100質量部に対して、好ましくは0.05〜10質量部の割合で用いられる。
有機ペルオキシドによる架橋処理に際し、架橋助剤として、硫黄、p−キノンジオキシム、p,p'−ジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N−4−ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン−N,N'−m−フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋助剤、あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレートのような多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
上記化合物を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明においては、ジビニルベンゼンが好適に用いられる。ジビニルベンゼンは、取扱い易く、重合体との相溶性が良好であり、かつ、有機ペルオキシドを可溶化する作用を有し、有機ペルオキシドの分散剤として働く。このため、均質な架橋効果が得られ、流動性と物性とのバランスのとれた動的熱処理物が得られる。
上記架橋助剤の配合量は、特に限定されないが、4−メチル−1−ペンテン系重合体およびその他の重合体の総量100質量部に対して、好ましくは0.05〜10質量部の割合で用いられる。
軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の鉱物油系軟化剤、コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤、ヒマシ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、トール油、密ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸又はその金属塩、ナフテン酸又はその金属石鹸、パイン油、ロジン又はその誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤、ジイソドデシルカーボネート等の炭酸エステル系可塑剤、その他マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油などが挙げられる。これらのうちで、石油系軟化剤および炭化水素系合成潤滑油が好ましい。
軟化剤の配合量は、特に限定されないが、4−メチル−1−ペンテン系重合体およびその他の重合体の総量100質量部に対して、1〜200質量部の量であることが好ましい。軟化剤は、4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物を調製する際の混合性および組成物の成形性を向上させ、加工を容易にするとともに、充填剤等(たとえばカーボンブラック等)の分散を助ける。
前記ホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)以外の帯電防止剤としては、例えば、上記の界面活性剤、脂肪酸エステル、高分子型帯電防止剤が挙げられる。脂肪酸エステルとしては、例えば、ステアリン酸やオレイン酸のエステルが挙げられ、高分子型帯電防止剤としては、例えば、ポリエーテルエステルアミドが挙げられる。本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物は、ホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)以外の帯電防止剤を含まないことも好ましい。
このような本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物は、優れた帯電防止性を有し、かつ、成形性にも優れる。本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物は、ホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)を少量含有するのみで十分な帯電防止性を達成できることから、透明性に優れた成形体の製造にも好適である。本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物は、射出成形して得た2mm厚の成形体を試験片として用い、JIS K 7136に準拠して測定した場合のヘイズが、好ましくは2.0〜8.0%、より好ましくは2.0〜7.0%であり、組成物から得られた成形体が、優れた透明性を示す。また、本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物は、射出成形して得た2mm厚の成形体を試験片として用い、JIS C 2139に準拠して測定した表面抵抗率(Ω/sq)が、好ましくは5.0×1016以下、より好ましくは1.0×1013〜2.5×1016、さらに好ましくは1.0×1013〜1.0×1016の範囲であり、組成物から得られる成形体が優れた帯電防止性を示す。本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物は、成形性に優れ、例えば射出成形により成形体を製造する場合には、ボイドや条痕などの成形不良を生じにくい。
4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物の製造方法
本発明に係る4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)および、ホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)と、必要に応じてその他の任意成分とを上述の添加割合で混合したのち、溶融混練して製造することができる。
溶融混練の方法は、特に制限されず、一般的に市販されている押出機などの溶融混練装置を用いて行うことが可能である。
例えば、混練機にて混練を行う部分のシリンダ温度は、通常220〜320℃、好ましくは250〜300℃である。温度が220℃よりも低いと溶融不足により混練が不十分となり、共重合体組成物の物性の向上が見られにくい。一方、温度が320℃よりも高いと、4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)等の成分の熱分解が起こる場合がある。混練時間は、通常0.1〜30分間、特に好ましくは0.5〜5分間である。混練時間が0.1分に満たないと十分に溶融混練が行われず、また、混練時間が30分を超えると4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)等の成分の熱分解が起こる場合がある。
<成形体>
本発明に係る成形体は、上述した本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物を成形して得られる。
(1)成形方法
4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物の成形方法としては、公知の各種の成形方法が適用でき、例えば射出成形や押出成形、射出延伸ブロー成形法、ブロー成形法、キャスト成形法、カレンダ一成形法、プレス成形、スタンピング成形、インフレーション成形、ロール成形等の各種成形法を挙げることができる。これらの成形方法により、目的とする成形体、例えば繊維、フィルム、シート、中空成形体、射出成形体等に加工することができる。成形条件は従来公知の4−メチル−1−ペンテン系重合体の成形条件と同様である。成形体の形状には特に制約はない。例えば、繊維状、不織布状、チューブ状、フィルム状、シート状、膜(メンブレン)状、テープ状、板状、棒状、粉末状、粒子状などである。
(2)用途
本発明の成形体は、従来の4−メチル−1−ペンテン系重合体が用いられうる用途に制約なく用いることができるが、帯電防止性を要求される用途にはさらに適している。より具体的な用途には、衣料品、衛生用品、包装材、電子部品、電気機器用部品、絶縁材、医療用器具、医療用包装材、実験用器材、食品容器、緩衝材、離型フィルム、保護フィルム、自動車用部品、カメラ用部品等が挙げられる。
本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物は、ホウ素系化合物を含む特定の帯電防止剤(Y)を含むことにより、多量の帯電防止剤を添加することなく4−メチル−1−ペンテン系重合体の帯電を効果的に抑制することができ、多量の帯電防止剤を含むことによる成形性の低下や色相の悪化等の問題も生じない。このような本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物を用いて得られる本発明の成形体は、帯電が効果的に抑制されており、表面抵抗率が低いものであるとともに、電荷の半減期が短く製造工程等で帯電した場合にも帯電性が早く低下し、帯電防止効果が得られたものとなる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[測定方法]
以下の実施例および比較例において、各種特性は次のようにして測定した。
<4−メチル−1−ペンテン共重合体中のコモノマー含量>
コモノマーから導かれる構成単位の含有量(コモノマー含量)は、以下の装置および条件により、13C−NMRスペクトルより算出した。
ブルカー・バイオスピン製AVANCEIIIcryo−500型核磁気共鳴装置を用いて、溶媒はo−ジクロロベンゼン/ベンゼン−d6(4/1 v/v)混合溶媒、試料濃度は55mg/0.6mL、測定温度は120℃、観測核は13C(125MHz)、シーケンスはシングルパルスフロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅は5.0μ秒(45°パルス)、繰返し時聞は5.5秒、積算回数は64回、ベンゼン−d6の128ppmをケミカルシフトの基準値として測定した。主鎖メチンシグナルの積分値を用い、下記式によってコモノマー含量を算出した。
コモノマー含量(%)=[P/(P+M)]×100
ここでPはコモノマー主鎖メチンシグナルの全ピーク面積を示し、
Mは4−メチル−1−ペンテン主鎖メチンシグナルの全ピーク面積を示す。
なお、4−メチル−1−ペンテン系重合体を、重合工程1および重合工程2の2段階の重合工程で得た場合、重合工程1で生成した重合体中のコモノマー含量は、重合工程1の重合終了時に抜き出した重合体スラリーから得た重合体を用いて求め、重合工程2で生成した重合体中のコモノマー含量は、重合工程1で得られた重合体中のコモノマー含量、最終重合体(重合工程1+重合工程2)中のコモノマー含量、およびそれぞれの工程で生成した重合体の割合を用いて求めた。具体的には、重合工程1および重合工程2で生成した重合体、最終重合体中のコモノマー含量をそれぞれm1、m2およびmfとし、重合工程1および重合工程2で生成した重合体の割合をそれぞれw1およびw2とすると、m2=(mf−w1・m1)/w2である。
<極限粘度[η]>
極限粘度[η]は、デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した。具体的には、各共重合体約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値(dl/g)を極限粘度として求めた(下記式参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
なお、4−メチル−1−ペンテン系重合体を、重合工程1および重合工程2の2段階の重合工程で得た場合、重合工程1で生成した重合体(成分1)の極限粘度[η]は、重合工程1の重合終了時に抜き出した重合体スラリーから得た重合体を用いて求め、重合工程2で生成した重合体(成分2)の極限粘度[η]は、重合工程1で得られた重合体の極限粘度[η]、最終重合体(重合工程1+重合工程2)の極限粘度[η]、およびそれぞれの工程で生成した重合体の割合を用いて求めた。具体的には、重合工程1、重合工程2で生成した重合体、最終重合体の[η]をそれぞれ[η]1、[η]2および[η]fとし、重合工程1、重合工程2で生成した重合体の割合をそれぞれw1およびw2とすると、[η]2=([η]f−w1・[η]1)/w2である。
<融点(Tm)>
セイコーインスツル(株)製のDSC測定装置(DSC220C)により、発熱・吸熱曲線を求め、昇温時の最大融解ピーク位置の温度を融点(Tm)とした。測定は、以下のようにして行った。
0.5mm厚の射出試験片から試料約5mgを切り出し、測定用アルミパンにつめ、10℃/分の加熱速度で20℃から280℃に昇温し、280℃で5分間保持した後、10℃/分の冷却速度で20℃まで降温し、20℃で5分間保持した後、再度10℃/分の加熱速度で20℃から280℃に昇温し、その後50℃/分の冷却速度で50℃まで降温した。2回目の昇温時に発現した融解ピークを、融点(Tm)とした。ピークが複数検出された場合は、温度が最大のものを融点(Tm)とした。4−メチル−1−ペンテン系重合体を、重合工程1および重合工程2の2段階の重合工程で得た場合、重合工程2で生成した重合体(成分2)のの融点(Tm)は、重合工程1で生成した重合体と最終重合体とを分析することにより求めた。
<表面抵抗率>
エーディーシー製デジタル超高抵抗/微小電流計8340Aにより、JIS C2139に準じた表面抵抗率の測定を行った。23℃、湿度50%RHで24時間試料を調整し、印加電圧500V、印加時間60秒で、表面低効率(Ω/sq)の測定を行った。
<電荷半減時間(帯電圧減衰試験)>
シシド静電気製スタチック・オネストメーター H−0110型によりJIS L1094に準じた帯電圧減衰の測定を行い、電荷半減時間(秒)を求めた。23℃、湿度50%RHで24時間試料を調整し、印加電圧は−10kV、測定期間は180秒で行った。半減時間が180秒以上の水準は180秒以上と記載する。
<ヘイズ(全光線透過率)>
2mm厚の射出試験片を使用して、JIS K 7136に準拠して、(株)村上色彩技術研究所製のヘイズ・透過率計 HM−150(D65光源)を用い、ヘイズを測定した。ただし、不透明になった比較例5については測定を行っていない。
<成形性確認>
後述の射出条件にて分解ガス等によるボイドや銀条の成形不良を目視にて確認し、以下の評価をした。ここで、ボイドとは成形品内部にできる気泡のことである。銀条とはシルバーストリークと呼ばれ、成形時に混入したガス等によって材料の流れる方向に銀白状の条痕を形成し外観不良として現れることである。
A:ボイドや銀条が見られず、問題なく成形できた。
B:ボイドや銀条がみられ、成形に問題があった。
[製造例1〜6](4−メチル−1−ペンテン系重合体1〜6の製造)
国際公開第2006/054613号の比較例9に記載の重合方法に準じて、4−メチル−1−ペンテン、その他のα−オレフィン(1−デセン、または1−ヘキサデセンと1−オクタデセンの混合物)、水素の割合を変更することによって、4−メチル−1−ペンテン系重合体1〜6を得た。すなわち以下のようにして、固体状チタン触媒の調製および重合を行った。
・固体状チタン触媒(A−1)の調製
無水塩化マグネシウム75g、デカン280.3gおよび2−エチルへキシルアルコール308.3gを130℃で 3時間加熱反応させて均一溶液とした後、この溶液中に2−イソブチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン(BPMP)19.9gを添加し、さらに100℃にて1時間攪拌混合を行なった。
このようにして得られた均一溶液を23℃まで冷却した後、この均一溶液30mlを−20℃に保持した四塩化チタン80ml中に攪拌下45分間にわたって全量滴下装入した。装入終了後、この混合液の温度を5.8時間かけて110℃に昇温し、2時間同温度にて攪拌下保持した。2時間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、この固体部を100mlの四塩化チタンにて再懸濁させた後、再び110℃で2時間、加熱反応を行った。反応終了後、再び熱濾過にて固体部を採取し、90℃のデカンおよびへキサンで洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄した。以上の操作によって調製した固体状チタン触媒成分(A−1)はデカンスラリーとして保存したが、この内の一部を触媒組成を調べる目的で乾燥した。このようにして得られた固体状チタン触媒成分(A−1)の組成は、チタン元素4.1質量%、マグネシウム元素17.0質量%、塩素元素57質量%、2−イソブチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン15.9質量%および2−エチルへキシルアルコール残基2.1質量%であった。
・重合
乾燥窒素気流下で内容積1リットルの重合器に、モノマー成分である4−メチル−1−ペンテンおよびその他のα−オレフィン(1−デセン、または、1−ヘキサデセンと1−オクタデセンの混合物(1−ヘキサデセン/1−オクタデセンの混合モル比は60/40)であるリニアレン168(出光興産(株)製))と、水素とを、導入量を適宜調整して23℃で導入し、トリエチルアルミニウム0.5ミリモルおよび上記で得た固体状チタン触媒成分(A−1)をチタン原子換算で0.0016ミリモル加え、重合器内を60℃に保って1時間重合反応を行い、粒子状の4−メチル−1−ペンテン系重合体1〜6をそれぞれ得た。
得られた各重合体の物性を表1に示す。
[製造例7]
・触媒成分の調製
〔遷移金属錯体(メタロセン化合物(a1))の合成〕
国際公開第2014/050817号の合成例4に従い、(8−オクタメチルフルオレン−12'−イル−(2−(アダマンタン−1−イル)−8−メチル−3,3b,4,5,6,7,7a,8−オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライド(メタロセン化合物(a1))を合成した。
〔固体触媒成分(メタロセン触媒)の調製〕
担体として、粒子状でありD50が8μm、アルミニウム原子含有量が42質量%である固体状ポリメチルアルミノキサン(東ソーファインケム社製)を用いた。30℃下、充分に窒素置換した、攪拌機を付けた100mL三つ口フラスコ中に、窒素気流下で精製デカン29.9mLと、前記固体状ポリメチルアルミノキサンのヘキサン/デカン溶液7.26mL(アルミニウム原子換算で14.3mmol)とを装入し、懸濁液とした。その懸濁液に、先に合成したメタロセン化合物(a1)50mg(ジルコニウム原子換算で0.0586mmol)を4.59mmol/Lのトルエン溶液として12.8mLを撹拌しながら加えた。1.5時間後攪拌を止め、デカンによるデカンテーション洗浄を行い(洗浄効率98%)、スラリー液50mLとした(Zr担持率96%)。得られた固体触媒成分(メタロセン触媒)は粒子状であり、そのD50は8μmであった。
〔予備重合触媒成分の調製〕
上記のとおり調製したスラリー液に、窒素気流下、ジイソブチルアルミニウムハイドライドのデカン溶液(アルミニウム原子換算で1mol/L)を4.0mL、さらに3−メチル−1−ペンテン15mL(10.0g)を装入した。1.5時間後攪拌を止め、デカンによるデカンテーション洗浄を行い(洗浄効率95%)、予備重合触媒成分のデカンスラリー100mLとした(Zr回収率93%、ジルコニウム原子換算で0.548mmol/L)。
・重合
23℃、窒素気流下で、内容積1Lの攪拌機を付けたSUS製重合器に、精製デカンを425mL、トリエチルアルミニウム溶液(アルミニウム原子換算で1.0mmol/mL)を0.4mL(アルミニウム原子換算で0.4mmol)装入した。次いで、先に調製した予備重合触媒成分のデカンスラリーをジルコニウム原子換算で0.0014mmol加え、40℃まで昇温した。40℃到達後、水素を15NmL装入し、次いで、4−メチル−1−ペンテン106mLを30分かけて重合器内へ連続的に一定の速度で装入した。この装入開始時点を重合開始とし、45℃で3時間保持した。重合開始から3時間経過後、23℃まで降温し、脱圧した後、ただちに白色固体を含む重合液(スラリー)を濾過して固体状物質を得た。この固体状物質を減圧下、80℃で8時間乾燥し、粒子状の4−メチル−1−ペンテン単独重合体である、4−メチル−1−ペンテン系重合体7を得た。得られた重合体7の物性を表1に示す。
[製造例8]
・重合
23℃、窒素気流下で、内容積1Lの攪拌機を付けたSUS製重合器に、精製デカンを425mL、トリエチルアルミニウム溶液(アルミニウム原子換算で1.0mmol/mL)を0.4mL(アルミニウム原子換算で0.4mmol)装入した。次いで、製造例7で調製した予備重合触媒成分のデカンスラリーを、ジルコニウム原子換算で0.0014mmol加え、40℃まで昇温した。40℃到達後、水素を40NmL装入し、次いで、4−メチル−1−ペンテン106mLとリニアレン168(1−ヘキサデセンと1−オクタデセンの混合物、出光興産(株)製)3.4mLを30分かけて重合器内へ連続的に一定の速度で装入した。この装入開始時点を重合開始とし、45℃で3時間保持した(重合工程1)。3時間経過後、45℃にて系内を脱圧、残存水素を系外に排出するため、窒素(0.6MPa)による加圧・脱圧を3回行った。その後、45℃、窒素気流下で、水素を120NmL装入し、次いで、4−メチル−1−ペンテン79.4mLとリニアレン168(1−ヘキサデセンと1−オクタデセンの混合物、出光興産(株)製)10.9mLとの混合溶液を30分かけて重合器内へ連続的に一定の速度で装入した。この装入開始時点を重合開始とし、45℃で3時間保持した(重合工程2)。重合開始から3時間経過後、23℃まで降温し、脱圧した後、ただちに白色固体を含む重合液(スラリー)を濾過して固体状物質を得た。この固体状物質を減圧下、80℃で8時間乾燥し、粒子状の4−メチル−1−ペンテン系重合体8を得た。
このようにして得られた4−メチル−1−ペンテン系重合体8は、重合工程1および重合工程2の2段重合品であり、重合工程1で生成した成分1と、重合工程2で生成した成分2とを含有するものである。成分1及び成分2の質量割合(成分1/成分2)は55/45であった。成分1および成分2の特性を表1に示す。
Figure 2021121650
以下の実施例および比較例において用いた帯電防止剤は以下のとおりである。
・Y−1:ビオミセル BN‐105(株式会社ボロン研究所)
・Y−2:アデカスタブ AS301−E(株式会社ADEKA)
・Y−3:Irgastat P 18 FCA(BASFジャパン株式会社)
・Y−4:エレクトロストリッパーPC(花王株式会社)
・Y−5:エレクトロストリッパーPC3(花王株式会社)
ここで、Y−1(ビオミセル BN−105)は、以下の構造式で表される帯電防止剤であり、前述の式(1)、(2)を満たすホウ素系化合物である。
Figure 2021121650
[実施例1〜10、比較例1〜7]
前記製造例で得られた各4−メチル−1−ペンテン系重合体と、帯電防止剤とを、配合後の組成物中の帯電防止剤の添加量が表2または表3に示す量(質量%)となるように、ヘンシェルミキサー((株)三井三池製作所製、150L)に投入し、1460rpmにて2分間拡販混合した。続いて二軸押出機(PCM43、(株)池貝製、スクリュー径:43mm、温度:280℃、回転数:200rpm)を用いて溶融混練することで、重合体組成物を得た。
得られた各重合体組成物について、(株)名機製作所製の70トン射出成形機(M70B)を用い、シリンダ温度:280℃、金型温度:60℃の条件で、2mmの角板状に射出することで、射出試験片を作成した。
この射出試験片を用い、表面抵抗率、電荷半減時間およびヘイズを求めた。結果を表2または表3にあわせて示す。
Figure 2021121650
Figure 2021121650
本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物は、従来の4−メチル−1−ペンテン系重合体が用いられうる用途に制約なく用いることができるが、帯電防止性を要求される用途にはさらに適している。本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物を用いた本発明の成形体は、たとえば、衣料品、衛生用品、包装材、電子部品、電気機器用部品、絶縁材、医療用器具、医療用包装材、実験用器材、食品容器、緩衝材、離型フィルム、保護フィルム、自動車用部品、カメラ用部品等の用途に好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 下記要件(X−1)を満たす4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)と、
    下記式(1)で表される構造を有するホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)と
    を含むことを特徴とする4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物。
    (X−1)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の含有量が30.0〜100.0モル%であり、エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン(ただし4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量の合計が0.0〜70.0モル%である。
    Figure 2021121650
  2. 前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(X)が下記要件(X−2)および(X−3)を満たす、請求項1に記載の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物。
    (X−2)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜10.0dl/gの範囲にある。
    (X−3)DSCで測定した融点(Tm)のうち、少なくとも1つが200℃以上である。
  3. 前記ホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)が、ドナー成分としての半極性有機ホウ素化合物と、アクセプター成分としての塩基性窒素化合物とを反応させて得られる、下記式(2)または式(3)で表されるドナー・アクセプター系帯電防止剤である、請求項1または2に記載の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物。
    Figure 2021121650
    (式(2)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、R7CO−OCH2−又はHOCH2−で、かつ少なくとも一方がR7CO−OCH2−であり、R3及びR4は、それぞれ独立して、CH3−、C25−、HOCH2−、HOC24−又はHOCH2CH(CH3)−であり、R5は、−C24−又は−C36−であり、R6及びR7は、それぞれ独立して、炭素数11〜21のアルキルである。)
    Figure 2021121650
    (式(3)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、R7CO−OCH2−又はHOCH2−で、かつ少なくとも一方がR7CO−OCH2−であり、R3及びR4は、それぞれ独立して、CH3−、C25−、HOCH2−、HOC24−又はHOCH2CH(CH3)−であり、R5は、−C24−又は−C36−であり、R6及びR7は、それぞれ独立して、炭素数11〜21のアルキルである。)
  4. 前記ホウ素系化合物を含む帯電防止剤(Y)を0.1〜5.0質量%含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物。
  5. 射出成形して得た2mm厚の成形体を試験片として用い、JIS K 7136に準拠して測定したヘイズが2.0〜8.0%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物を含む成形体。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の4−メチル−1−ペンテン系樹重合体組成物を含む繊維。
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