JP7088689B2 - 4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、耐摩耗性に特に優れた4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物、ならびに該樹脂組成物から得られる成形体に関する。
4-メチル-1-ペンテンを主たる構成モノマーとする4-メチル-1-ペンテン系樹脂は、耐熱性、離型性、耐薬品性に優れているので、各種用途に広く使用されている。例えば、良好な離型性などの特長を活かして、FPC離型フィルム、複合材料成形用や離型フィルムなどに使用され、あるいは耐薬品性、耐水性、透明性などの特長を活かして、実験器具およびゴムホース製造用マンドレルなどに使用されている。
また一方、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリカーボネート樹脂などに代表されるエンジニアリングプラスチックは、優れた耐熱性、耐油性、成形性、剛性、強靭性などの特徴を有しているため電動工具、一般工業部品、機械部品、電子部品、自動車内外装部品、エンジンルーム内部品、自動車電装部品などの種々の機能部品として広く利用されている。
しかしながら、それらのエンジニアリングプラスチックにおいても、金属材料などに比較すると、摺動特性である摩擦係数が高く、摺動時の発熱により、樹脂自体の溶融、凝着による摩耗が大きく、摺動特性が不充分な場合があった。このため、ポリオレフィン成分などの添加物を配合させて、摺動特性を向上させることが試みられている。
たとえば、特許文献1には、ポリアセタール、ポリエステルなどに極限粘度[η]が6dL/g以上の超高分子量ポリエチレンと、極限粘度[η]が0.1~5dL/gのポリエチレンを摺動特性改良剤として使用する例が提案されている。
また、特許文献2および3には、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステルなどに配合される摺動特性改良剤として、極限粘度[η]が6dL/g以上の超高分子量ポリエチレンと、極限粘度[η]が0.1~5dL/gのポリエチレンとを含み、かつ前記超高分子量ポリエチレンおよび/またはポリエチレンが不飽和カルボン酸で変性されてなる摺動特性改良剤が例示されている。
特開昭63-12606号公報 特開平4-351647号公報 特開2001-279093号公報
本発明者らは、4-メチル-1-ペンテン系樹脂の摺動特性を向上させることで、4-メチル-1-ペンテン系樹脂が本来もつ特徴との組み合わせにより、従来は適用できなかった様々な有用な用途に適用することを目指した。
そこで、上述した特許文献1~3等において、各種エンジニアリングプラスチックの摺動特性が超高分子量ポリエチレンを含有するポリエチレン樹脂組成物によって改善されていることから、超高分子量ポリエチレンを含有するポリエチレン樹脂組成物により4-メチル-1-ペンテン系樹脂の摺動特性を向上させることを試みたが、十分な効果を得ることができなかった(本願比較例2参照)。
このような状況において、本発明は、摺動特性および耐摩耗性に優れた成形体を製造し得る4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物、および該樹脂組成物からなる成形体を提供することを課題としている。
本発明者らは、鋭意検討した結果、4-メチル-1-ペンテン系樹脂と、特定の超高分子量ポリエチレンを含有するポリエチレン樹脂組成物と、ポリアミド樹脂などの極性樹脂とを、それぞれ特定の比率で含有する樹脂組成物によって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の要旨は、以下の〔1〕~〔7〕の事項に関する。
〔1〕下記要件(A-1)および(A-2)を満たす4-メチル-1-ペンテン系樹脂(A)と、
下記要件(B-1)および(B-2)を満たす変性4-メチル-1-ペンテン系樹脂(B)と、
下記要件(C-1)を満たす極性樹脂(C)と、
下記要件(D-1)および(D-2)を満たす変性ポリエチレン樹脂(D)と、
を含み、下記要件(X-1)を満たす、4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)。
(A-1)カルボキシ基、アミノ基、水酸基及びシラノール基からなる群より選ばれる官能基を含む構造単位の含有量が0.01質量%未満である。
(A-2)ASTM D1238に準拠して測定した、260℃、2.16kg荷重下のメルトフローレート(MFR)が0.01~100g/10分の範囲にある。
(B-1)カルボキシ基、アミノ基、水酸基及びシラノール基からなる群より選ばれる官能基を含む構造単位を0.01~10質量%含む。
(B-2)ASTM D1238に準拠して測定した、260℃、2.16kg荷重下のメルトフローレート(MFR)が0.01~100g/10分の範囲にある。
(C-1)ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリカルボジイミドから選ばれる少なくとも一種を含む。
(D-1)135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が10~40dL/gである超高分子量ポリエチレン(d1)と、135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が0.1~5dL/gである低分子量ないし高分子量ポリエチレン(d2)とを含み、(d1)と(d2)の含有比率が、それらの合計を100質量部としたときに、(d1)が5~45質量部である。
(D-2)カルボキシ基、アミノ基、水酸基及びシラノール基からなる群より選ばれる官能基を含む構造単位を0.01~10質量%含む。
(X-1)前記(A)~(D)の含有比率が、(A)~(D)の合計を100質量部としたときに、(A)が70~95質量部、(B)が0.1~10質量部、(C)が1~10質量部、(D)が1~20質量部である。
〔2〕前記変性ポリエチレン樹脂(D)が、下記要件(D-3)を満たす、前記〔1〕に記載の4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)。
(D-3)密度が955~970kg/m3であり、135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が1.5~10dL/gの範囲にある。
〔3〕前記変性ポリエチレン樹脂(D)が、不飽和カルボン酸またはその誘導体によるポリエチレンの変性物である、前記〔1〕または〔2〕に記載の4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)。
〔4〕前記変性4-メチル-1-ペンテン系樹脂(B)が、下記要件(B-3)~(B-4)のうち一つ以上をさらに満たす、前記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)。
(B-3)4-メチル-1-ペンテンに由来する構造単位(i)と、エチレンもしくは4-メチル-1-ペンテン以外の炭素原子数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位(ii)との含有量のモル比率が、100:0~90:10である。
(B-4)示差走査熱量計(DSC)で測定した融点(Tm)が175~250℃である。
〔5〕前記極性樹脂(C)がポリアミド樹脂である、前記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)。
〔6〕前記樹脂組成物(X)が、下記要件(X-2)を満たす、前記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)。
(X-2)鈴木式リング摩耗試験(試験温度23℃、相手剤S45C、荷重0.75MPa、速度30m/分、距離0.9km)における、射出成形して得た試験片の比摩耗量が5mm3/kg・km以下である。
〔7〕前記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)を含む成形体。
本発明によれば、摺動特性に優れるとともに、耐摩耗性に優れた4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物、および該樹脂組成物からなる耐摩耗性に優れた成形体を提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
[4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)]
本発明に係る4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)は、官能基を含む構造単位を実質的に含まない4-メチル-1-ペンテン系樹脂(A)、官能基を含む構造単位を含有する変性4-メチル-1-ペンテン系樹脂(B)、極性樹脂(C)、および変性ポリエチレン樹脂(D)を含む。以下に本発明に係る4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
4-メチル-1-ペンテン系樹脂(A)
本発明に係る4-メチル-1-ペンテン系樹脂(A)は、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構造単位を主成分とするモノマーを重合あるいは共重合して得られるものであって、下記要件(A-1)および(A-2)を満たす。
(A-1)カルボキシ基、アミノ基、水酸基及びシラノール基からなる群より選ばれる官能基を含む構造単位の含有量が0.01質量%未満である。本発明に係る4-メチル-1-ペンテン系樹脂(A)は、好ましくは、カルボキシ基、アミノ基、水酸基及びシラノール基を、実質的に含まない樹脂であることが望ましい。
(A-2)ASTM D1238に準拠して測定した、260℃、2.16kg荷重下のメルトフローレート(MFR)が0.01~100g/10分の範囲にある。このメルトフローレートは、好ましくは2~100g/10分、より好ましくは3~30g/10分の範囲にあることが望ましい。MFRが上記範囲にあると、成型時の流動性の点で好ましい。
本発明に係る4-メチル-1-ペンテン系樹脂(A)は、上述した要件(A-1)および(A-2)に加え、さらに下記要件(A-3)~(A-5)のうちの一つ以上を満たすことが好ましい。
(A-3)4-メチル-1-ペンテンに由来する構造単位(i)100~90モル%と、エチレンもしくは4-メチル-1-ペンテン以外の炭素原子数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位(ii)0~10モル%とを含む。
ここで、4-メチル-1-ペンテン以外の炭素原子数3~20のα-オレフィンとしては、具体的には、たとえば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの炭素原子数3~20、好ましくは3~10の直鎖状のα-オレフィン;例えば3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセンなどの好ましくは炭素原子数5~20、より好ましくは5~10の分岐状のα-オレフィンが挙げられる。
(A-4)示差走査熱量計(DSC)で測定した融点(Tm)が175~250℃である。好ましくは200~250℃、より好ましくは210~245℃、さらに好ましくは220~240℃である。
(A-5)JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して測定した密度が820~850kg/m3である。
本発明に係る4-メチル-1-ペンテン系樹脂(A)は、その製造方法を特に限定するものではなく、たとえば、4-メチル1-ペンテンを単独重合するか、または、4-メチル-1-ペンテンと、4-メチル-1-ペンテン以外の炭素原子数3~20のα-オレフィンとを、公知の方法により共重合することにより、得ることができる。
変性4-メチル-1-ペンテン系樹脂(B)
本発明に係る変性4-メチル-1-ペンテン系樹脂(B)は、下記要件(B-1)および(B-2)を満たす。
(B-1)カルボキシ基、アミノ基、水酸基及びシラノール基からなる群より選ばれる官能基を含む構造単位を0.01~10質量%含む。含有量は、赤外分光法(IR)やNMRを用いて測定できる。
(B-2)ASTM D1238に準拠して測定した、260℃、2.16kg荷重下のメルトフローレート(MFR)が0.01~100g/10分の範囲にある。好ましくは2~100g/10min、より好ましくは3~30g/10minである。MFRが上記範囲にあると、成形する際の流動性の点で好ましい。
本発明に係る変性4-メチル-1-ペンテン系樹脂(B)は、さらに下記要件(B-3)、(B-4)のうち一つ以上を満たすことが好ましい。
(B-3)4-メチル-1-ペンテンに由来する構造単位(i)と、エチレンもしくは4-メチル-1-ペンテン以外の炭素原子数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位(ii)との含有量のモル比率が、100:0~90:10である。
4-メチル-1-ペンテン以外の炭素原子数3~20のα-オレフィンとしては、4-メチル-1-ペンテン系樹脂(A)の要件(A-3)において例示したα-オレフィンが挙げられる。
(B-4)示差走査熱量計(DSC)で測定した融点(Tm)が175~250℃である。好ましくは200~250℃、より好ましくは210~245℃、さらに好ましくは220~240℃である。
・変性4-メチル-1-ペンテン系樹脂(B)の製造方法
本発明に係る変性4-メチル-1-ペンテン系樹脂(B)は、例えば、4-メチル-1-ペンテン系樹脂(A)をグラフト変性して官能基を導入することにより得られる。グラフト変性の具体的な方法は、後述する変性ポリエチレン樹脂(D)の製造方法における、ポリエチレン樹脂(D’)のグラフト変性と同様の方法が適用できるが、押出機などを用いて、無溶媒でグラフト変性を行う場合の好ましい条件は、未変性の4-メチル-1-ペンテン系樹脂の融点以上、通常200~350℃の温度である。
極性樹脂(C)
本発明に係る極性樹脂(C)は、下記要件(C-1)を満たす。
(C-1)ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリカルボジイミドから選ばれる少なくとも一種を含む。
ポリアミドとしては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-又は2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3-又は1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p-アミノシクロヘキシルメタン)、m-又はp-キシリレンジアミン等の脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン又は芳香族ジアミンなどのジアミン類と、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸類との重縮合によって得られるポリアミド、ε-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸等のアミノカルボン酸の縮合によって得られるポリアミド、ε-カプロラクタム、ω-ラウロラクタム等のラクタムから得られるポリアミド、あるいはこれらの成分からなる共重合ポリアミド、さらにはこれらのポリアミドの混合物などが挙げられる。このポリアミド樹脂(B)の具体例としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6110、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/66、ナイロン66/610、ナイロン6/11、芳香族ナイロン、ナイロン6T、ナイロン9T、ナイロン10T、MXD6等が挙げられる。
ポリエステルとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール、ビスフェノール等の芳香族ジヒドロキシ化合物と、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環式ジカルボン酸、あるいはこれらから選ばれる2種以上のジカルボン酸とから形成される結晶性の熱可塑性樹脂である。このポリエステルは、熱可塑性を示す限り、少量のトリオールやトリカルボン酸等の3価以上のポリヒドロキシ化合物やポリカルボン酸などで変性されていてもよい。このポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート・テレフタレート共重合体等が挙げられる。なかでも、ポリブチレンテレフタレート(PBT)が好ましい。
ポリアセタールとしては、例えば、オキシメチレン基を主たる構造単位とする熱可塑性樹脂であり、ポリアセタールホモポリマー又はポリオキシメチレンと、オキシメチレン単位とコモノマー単位とを含有するポリアセタールコポリマーが含まれる。本発明においては、ポリアセタールホモポリマー、ポリアセタールコポリマーのいずれも使用することが可能である。このポリアセタールの具体例としては、ポリアセタールホモポリマー(例えば米国デュポン社製の商品名「デルリン」、旭化成工業社製の商品名「テナック」など)、また、ポリアセタールコポリマー(例えばポリプラスチックス社製の商品名「ジュラコン」など)が挙げられる。
ポリカーボネートとしては、特に限定されるものではない。その具体例としては、例えば、炭酸エステル結合を分子鎖中に有する高分子量重合体の中でも、芳香族ジオキシ化合物(ビスフェノール)、特にビスフェノールAを原料として合成される高分子重合体が挙げられる。
ポリカルボジイミドとしては、特に限定されるものではない。ポリカルボジイミドは分子中に-N=C=N-という構造を有し、トリレンジイソシアネート(以下、TDIと記す)、メチレンジフェニルジイソシアネート(以下、MDIと記す)等のイソシアネート化合物から製造できるポリカルボジイミドが挙げられる。
本発明に係る極性樹脂(C)は、これらの1種以上を含む極性樹脂であればよく、これらの1種以上からなる極性樹脂であることが望ましい。
変性ポリエチレン樹脂(D)
本発明に係る変性ポリエチレン樹脂(D)は、下記要件(D-1)および(D-2)を満たす。
(D-1)135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が10~40dL/gである超高分子量ポリエチレン(d1)と、135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が0.1~5dL/gである低分子量ないし高分子量ポリエチレン(d2)とを含み、(d1)と(d2)の含有比率が、それらの合計を100質量部としたときに、(d1)が5~45質量部である。
(D-2)カルボキシ基、アミノ基、水酸基及びシラノール基からなる群より選ばれる官能基を含む構造単位を0.01~10質量%含む。
・変性ポリエチレン樹脂(D)の製造方法
本発明に係る変性ポリエチレン樹脂(D)は、例えば、超高分子量ポリエチレンと低分子量ないし高分子量ポリエチレンとを含む変性前(未変性)のポリエチレン樹脂(D’)をグラフト変性して官能基を導入することにより得られる。
変性に用いる官能基は、カルボキシル基、アミノ基、水酸基及びシラノール基からなる群より選ばれる。中でも、カルボキシル基、水酸基が好ましく、カルボキシル基が最も好ましい。
前記官能基を含む構造単位としては、例えば、不飽和カルボン酸又はその誘導体、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、ビニル基含有有機ケイ素化合物などの化合物に由来する構造単位が挙げられる。これらのうち、不飽和カルボン酸又はその誘導体、水酸基含有エチレン性不飽和化合物が好ましく、不飽和カルボン酸又はその誘導体が最も好ましい。
不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物、カルボン酸基を有する化合物とアルキルアルコールとのエステル、無水カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物等を挙げることができる。不飽和基としては、ビニル基、ビニレン基、不飽和環状炭化水素基などを挙げることができる。これらの化合物は公知のものが使用でき、特に制限はない。具体的な化合物としては、例えばアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸〔商標〕(エンドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸)等の不飽和カルボン酸;又はその誘導体、例えば酸ハライド、アミド、イミド、無水物、エステル等が挙げられる。かかる誘導体の具体例としては、例えば塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエート等が挙げられる。これらの不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体は、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。これらの中でも、無水マレイン酸、アクリル酸が好ましく、無水マレイン酸が反応性が高い点で特に好ましい。
前記官能基を含む構造単位の含有量は、0.01~10質量%、好ましくは0.1~5質量%、より好ましくは0.2~3質量%である。
ポリエチレン樹脂(D’)のグラフト変性は、例えばポリエチレン樹脂(D’)を有機溶媒に溶解し、次いで官能基を含む構造単位を付与する為の化合物(無水マレイン酸など)及びラジカル開始剤などを溶液に加え、好ましくは70~200℃、より好ましくは80~190℃の温度で、好ましくは0.5~15時間、より好ましくは1~10時間反応させることにより行うことができる。また、押出機などを用いて、無溶媒で、ポリエチレン樹脂(D’)と官能基を含む構造単位を付与する為の化合物とを反応させて、変性ポリエチレン樹脂(D)を製造することもできる。この反応は、通常ポリエチレン樹脂(D’)の融点以上、具体的には160~330℃の温度で、通常0.5~10分間行なわれることが望ましい。特に好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下で混練する。混練時間については、好ましくは5分以下、より好ましくは3分以下で混練する。
グラフト変性に用いられるラジカル開始剤としては、有機過酸化物あるいはアゾ化合物などが挙げられる。ラジカル開始剤は、ポリエチレン樹脂(D’)及び官能基を含む構造単位を付与する為の化合物にそのまま混合して使用することもできるが、少量の有機溶媒に溶解してから使用することもできる。この有機溶媒としては、ラジカル開始剤を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定することなく用いることができる。
グラフト変性させる際には、還元性物質を用いてもよい。還元性物質を用いると、官能基を含む構造単位を付与する為の化合物のグラフト量を向上させることができる。
このようにして得られる変性ポリエチレン樹脂(D)の変性率は、後述する実施例に示すようにIR分析により官能基とCH2基のピークの強度比の比を測定することによりを求められる。
変性ポリエチレン樹脂(D)のデカリン中135℃での極限粘度[η]は1.5~15dL/g、好ましくは1.8~12dL/g、より好ましくは2.0~10dL/gの範囲にある。このような極限粘度[η]であることにより、各物性のバランスに優れたものとなる。また変性前のポリエチレン樹脂(D’)の極限粘度[η]は、通常、変性ポリエチレン樹脂(D)と同様の極限粘度[η]である。
・変性前のポリエチレン樹脂(D’)
ポリエチレン樹脂(D’)は、カルボキシ基、アミノ基、水酸基及びシラノール基からなる群より選ばれる官能基を実質的に含まない変性前のポリエチレン樹脂であって、後述する超高分子量ポリエチレン(d1)と低分子量ないし高分子量ポリエチレン(d2)の合計量100質量部に対して、超高分子量ポリエチレン(d1)を好ましくは5~45質量部、より好ましくは5~30質量部、特に好ましくは5~28質量部、もっとも好ましくは8~25質量部含有し、低分子量ないし高分子量ポリエチレン(d2)を好ましくは55~95質量部、より好ましくは70~95質量部、特に好ましくは72~95質量部、もっとも好ましくは75~92質量部含有し、かつ、以下の要件(i),(ii)を満たすことが好ましい。
(i)ポリエチレン樹脂(D’)の密度が、955~980kg/m3(ASTM D1505に準拠して測定される)であり、好ましくは957~970kg/m3、より好ましくは960~969kg/m3である。
(ii)ポリエチレン樹脂(D’)の135℃のデカリン溶媒中で測定される極限粘度[η]が1.5~15dL/gであり、好ましくは1.8~12dL/g、より好ましくは2~10dL/gである。
ポリエチレン樹脂(D’)が、超高分子量ポリエチレン(d1)と、低分子量ないし高分子量ポリエチレン(d2)とを上記の割合で含むことにより、耐摩耗性と成形性に優れた変性ポリエチレン樹脂組成物(A)が得られる。
ポリエチレン樹脂(D’)は、密度が上記範囲であることにより、得られる変性ポリエチレン樹脂組成物(A)の耐摩耗性と剛性、耐衝撃性のバランスに優れる。また、上記の範囲内の極限粘度[η]を有することにより、得られる樹脂組成物の耐摩耗性、衝撃強度、外観および成形性などに優れる。
以下、上記態様のポリエチレン樹脂(D’)における超高分子量ポリエチレン(d1)と、低分子量ないし高分子量ポリエチレン(d2)について説明する。
・超高分子量ポリエチレン(d1)
超高分子量ポリエチレン(d1)は、例えば、エチレンの単独重合体、又は、エチレンとプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、4-メチル-1-ペンテンもしくは3-メチル-1-ペンテンなどのα-オレフィンとの共重合体である。中でも、エチレンの単独重合体、又はエチレンと前記のα-オレフィンとの共重合体であって、エチレンを主成分として構成される共重合体を使用することが好ましく、エチレンの単独重合体であることが特に好ましい。
変性前のポリエチレン樹脂(D’)に含まれる超高分子量ポリエチレン(d1)は、135℃のデカリン溶媒中での極限粘度[η]が、10~40dL/g、好ましくは20~40dL/g、より好ましくは25~35dL/gである。このような極限粘度[η]の超高分子量ポリエチレンを使用することにより、耐摩耗性等の特性が向上する。
・低分子量ないし高分子量ポリエチレン(d2)
低分子量ないし高分子量ポリエチレン(d2)は、例えば、エチレンの単独重合体、又は、エチレンとα-オレフィンの共重合体である。エチレンとα-オレフィンの共重合体を構成するα-オレフィンとしては、炭素原子数3~20の直鎖状又は分岐状のα-オレフィンであり、具体的にはプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ペンテン、3-エチル-4-メチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-メチル-1-ヘプテン、3,4-ジメチル-1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。
これらのうち、プロピレン、1-ブテンが好ましく用いられる。なお、低分子量ないし高分子量ポリエチレン(d2)は、エチレンを主成分として構成されるエチレン・α-オレフィン共重合体であることが好ましく、エチレン含有量が60mol%以上であることがより好ましく、エチレン含有量が80mol%以上であることがさらに好ましく、最も好ましくはエチレン単独重合体である。
低分子量ないし高分子量ポリエチレン(d2)は、デカリン中135℃での極限粘度[η]が、0.1~5dL/g、好ましくは0.3~1.0dL/g、より好ましくは0.5~0.8dL/gである。このような極限粘度[η]の低分子量ないし高分子量ポリエチレンを使用することにより、成形性等の特性が向上する。
低分子量ないし高分子量ポリエチレン(d2)は、密度が好ましくは953~980kg/m3(ASTM D1505に準拠して測定される)であり、より好ましくは953~970kg/m3、さらに好ましくは954~969kg/m3である。密度が953kg/m3未満の低分子量ないし高分子量ポリエチレンを用いた場合は、得られる樹脂組成物の耐摩耗性の点で好ましくない。
本発明において、ポリエチレン樹脂(D’)は、本発明の目的を損なわない範囲で、極限粘度[η]が5dL/gを超えて10dL/g未満の高分子量ポリエチレン成分を含有していてもよい。このようなポリエチレン成分を含有する場合、ポリエチレン樹脂(D’)中におけるその含有量は、好ましくは10質量%未満、より好ましくは5質量%未満であることが望ましい。
・変性前のポリエチレン樹脂(D’)の製造方法
変性前のポリエチレン樹脂(D’)の製造方法について特に制限はない。その製造方法の代表的な態様として、以下の(1)及び(2)を例示することができる。
(1)超高分子量ポリエチレン(d1)と低分子量ないし高分子量ポリエチレン(d2)とをそれぞれ、予め公知のオレフィン重合用触媒の存在下で製造したものをブレンドすることにより製造する方法。
(2)公知のオレフィン重合用触媒の存在下、超高分子量ポリエチレン(d1)を製造する工程(I)と、低分子量ないし高分子量ポリエチレン(d2)を製造する工程(II)の少なくとも2段階の工程を含んで構成される多段重合法により製造する方法。
特に上記(2)の方法は、上記(1)の方法に比べて、より(d1)と(d2)とが微分散した構造を形成できる点などから好適である。さらに、上記(2)の方法において、特に第1工程として超高分子量ポリエチレンを生成させる工程(I)を行うのが、重合処理操作及び生成ポリエチレンの物性の制御の点などから好適である。なお、この際、重合に用いるエチレンなどのオレフィンとして、前記低分子量ないし高分子量ポリエチレン(d2)及び超高分子量ポリエチレン(d1)の項目において記載した各種オレフィンを制限無く用いることができる。
特に、下記の工程を含む方法で製造された、135℃のデカリン中で測定される極限粘度[η]が1.5~15dL/gの範囲にあるポリエチレン樹脂(D’)を変性して得られるものであることが好ましい。
(I)極限粘度[η]が20~40dL/gの範囲にある超高分子量ポリエチレン(d1)を製造する工程
(II)極限粘度[η]が0.3~1.0dL/gの範囲にある低分子量ないし高分子量ポリエチレン(d2)を製造する工程
例えばまず上記(I)の工程を行い、引き続き上記(II)の工程を同バッチ内で行う多段階重合により、二種のポリエチレンを混合する方法と比べ、より微分散した構造を形成することができ、さらに連続生産法(非バッチ式)と比べ、より均一な特性を有する組成物を安定して得ることができる。
ポリエチレン等の重合に用いるオレフィン重合用触媒としては、超高分子量ポリエチレン及び低分子量ないし高分子量ポリエチレンなどを製造することができるものであれば、特に制限無く用いることができる。具体的には、四塩化チタン又は三塩化チタンからなるチーグラー・ナッタ触媒、チタンをマグネシウム等の担体に担持した担体担持型固体状チタン触媒、メタロセン触媒や、ポストメタロセン触媒が挙げられる。
本発明に係る変性ポリエチレン樹脂(D’)を得るのに好ましい態様としては、数マイクロメートル~25μm程度の粒子径で、且つ粒度分布が狭い傾向を有する固体状チタン触媒成分を用いることであり、その好適な例としては、特開昭56-811号公報、特開昭58-83006号公報などを代表例とする液状のマグネシウム化合物と液状のチタン化合物と必要に応じて電子供与体とを用いて製造される固体状チタン触媒成分を含む触媒の態様が好ましい。
その他の成分
本発明の樹脂組成物(X)、および、樹脂組成物(X)の原料となる樹脂(A)、(B)、(C)および(D)には、本発明の効果を阻害しない範囲でその他の樹脂あるいは重合体および/または樹脂用添加剤を任意に添加することができる。
・その他の樹脂あるいは重合体
その他の樹脂あるいは重合体としては、下記の熱可塑性樹脂(E)を広く用いることができる。これら樹脂あるいは重合体の添加量は樹脂組成物(X)の総質量に対して、0.1~30質量%であることが好ましい。
・熱可塑性樹脂(E)
その他の成分として用いられる熱可塑性樹脂(E)は特に制限されない。熱可塑性樹脂(E)としては、例えば、以下の樹脂が挙げられる。
熱可塑性ポリオレフィン系樹脂;例えば、低密度、中密度、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、ポリ1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテン(ただし樹脂(A)と異なるもの)、ポリ3-メチル-1-ペンテン、ポリ3-メチル-1-ブテン、エチレン・α-オレフィン共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体、1-ブテン・α-オレフィン共重合体、環状オレフィン共重合体、塩素化ポリオレフィン、およびこれらのオレフィン系樹脂を変性した変性ポリオレフィン樹脂、
熱可塑性ポリアミド系樹脂;例えば、脂肪族ポリアミド(ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612)、
熱可塑性ポリエステル系樹脂;例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル系エラストマー、
熱可塑性ビニル芳香族系樹脂;例えば、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、スチレン系エラストマー(スチレン・ブタジエン・スチレンブロックポリマー、スチレン・イソプレン・スチレンブロックポリマー、スチレン・イソブチレン・スチレンブロックポリマー、前述の水素添加物)、
熱可塑性ポリウレタン;塩化ビニル樹脂;塩化ビニリデン樹脂;アクリル樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体;エチレン・メタクリル酸アクリレート共重合体;アイオノマー;エチレン・ビニルアルコール共重合体;ポリビニルアルコール;フッ素系樹脂ポリカーボネート;ポリアセタール;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンサルファイドポリイミド;ポリアリレート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ロジン系樹脂;テルペン系樹脂および石油樹脂;
共重合体ゴム;例えば、エチレン・α-オレフィン・ジエン共重合体、プロピレン・α-オレフィン・ジエン共重合体、1-ブテン・α-オレフィン・ジエン共重合体、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ネオプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、天然ゴム、シリコーンゴム。
ポリプロピレンとしては、上記の通りアイソタクティックポリプロピレンとシンジオタクティックポリプロピレンが挙げられる。アイソタクティックポリプロピレンは、ホモポリプロピレンであっても、プロピレン・炭素原子数2~20のα-オレフィン(ただしプロピレンを除く)ランダム共重合体であっても、プロピレンブロック共重合体であってもよい。
ポリエチレンとしては、上記の通り従来公知の手法で製造されている、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレンを使用することが出来る。
ポリブテンとしては、1-ブテンのホモポリマー、あるいは1-ブテンと、1-ブテンを除くオレフィンとの共重合体である。オレフィンは、上記のものが挙げられ、これらのオレフィンは、単独で、または2種以上組み合せて用いることができる。共重合体として、例えば、1-ブテン・エチレンランダム共重合体、1-ブテン・プロピレンランダム共重合体、1-ブテン・メチルペンテン共重合体、1-ブテン・メチルブテン共重合体、1-ブテン・プロピレン・エチレン共重合体などが挙げられる。このような共重合体において、耐熱性の点から、1-ブテン含有量が50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることが更に好ましく、85%以上であることが特に好ましい。
変性ポリオレフィン樹脂は、上述したポリオレフィン樹脂にエチレン性不飽和結合含有モノマーを、有機過酸化物を用いてグラフト変性することにより得ることができる。変性ポリオレフィンが有する官能基の種類としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、水酸基、アミノ基、アミド基、イミド基、エステル基、アルコキシシラン基、酸ハライド基およびニトリル基等が挙げられる。
ロジン系樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸などで変性した変性ロジン、ロジン誘導体が挙げられる。また、このロジン誘導体としては、前記の天然ロジン、重合ロジンまたは変性ロジンのエステル化物、フェノール変性物およびそのエステル化物などが挙げられる。さらに、これらの水素添加物も挙げることができる。
テルペン系樹脂としては、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、ジペンテン、テルペンフェノール、テルペンアルコール、テルペンアルデヒドなどからなる樹脂が挙げられ、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、ジペンテンなどにスチレンなどの芳香族モノマーを重合させた芳香族変性のテルペン系樹脂なども挙げられる。また、これらの水素添加物も挙げることができる。
石油樹脂としては、たとえば、タールナフサのC5留分を主原料とする脂肪族系石油樹脂、C9留分を主原料とする芳香族系石油樹脂およびそれらの共重合石油樹脂が挙げられる。すなわち、C5系石油樹脂(ナフサ分解油のC5留分を重合した樹脂)、C9系石油樹脂(ナフサ分解油のC9留分を重合した樹脂)、C5C9共重合石油樹脂(ナフサ分解油のC5留分とC9留分とを共重合した樹脂)が挙げられ、タールナフサ留分のスチレン類、インデン類、クマロン、その他ジシクロペンタジエンなどを含有しているクマロンインデン系樹脂、p-ターシャリブチルフェノールとアセチレンの縮合物に代表されるアルキルフェノール類樹脂、ο-キシレン、p-キシレンまたはm-キシレンをホルマリンと反応させてなるキシレン系樹脂なども挙げられる。
また、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および石油樹脂は、耐候性および耐変色性に優れるために水素添加誘導体が好ましい。前記樹脂の環球法による軟化点は、40~180℃の範囲にあることが好ましい。また、前記樹脂のGPCにより測定される数平均分子量(Mn)分子量は100~10,000程度の範囲にあることが好ましい。ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂として市販品を使用することもできる。
また以上の各熱可塑性樹脂(E)として、市販品を使用することもできる。これらの熱可塑性樹脂(E)の中から1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
・樹脂用添加剤
樹脂用添加剤としては、例えば、核剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、顔料、染料、充填剤(フィラー)、滑剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、界面活性剤、帯電防止剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、スリップ防止剤、発泡剤、結晶化助剤、防曇剤、(透明)核剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、衝撃改良剤、架橋剤、共架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、加工助剤、石油樹脂、ワックス、オレフィン系オイル、シリコーンオイルなどが挙げられる。これらの添加剤は、1種単独でも、適宜2種以上を組み合わせても用いることができる。
これらの樹脂用添加剤のうち、核剤としては、オレフィン重合体の成形性をさらに改善させる、すなわち結晶化温度を高め結晶化速度を速めるために公知の核剤が使用可能である。具体的には、ジベンジリデンソルビトール系核剤、リン酸エステル塩系核剤、ロジン系核剤、安息香酸金属塩系核剤、フッ素化ポリエチレン、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)リン酸ナトリウム、ピメリン酸やその塩、2,6-ナフタレン酸ジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド等が挙げられる。核剤の配合量は、特に限定されないが、上記オレフィン重合体100質量部に対して、好ましくは0.1~1質量部である。核剤は、重合中、重合後、あるいは成形加工時など適宜添加が可能である。
アンチブロッキング剤としては、公知のアンチブロッキング剤が使用可能である。具体的には、微粉末シリカ、微粉末酸化アルミニウム、微粉末クレー、粉末状もしくは液状のシリコン樹脂、テトラフロロエチレン樹脂、微粉末架橋樹脂、例えば架橋されたアクリル、メタクリル樹脂粉末等をあげることができる。これらのうちでは、微粉末シリカおよび架橋されたアクリル、メタクリル樹脂粉末が好ましい。
顔料としては、無機顔料(酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、硫化カドミウム等)、有機顔料(アゾレーキ系、チオインジゴ系、フタロシアニン系、アントラキノン系)が挙げられる。染料としてはアゾ系、アントラキノン系、トリフェニルメタン系等が挙げられる。これら顔料および染料の添加量は、特に限定されないが、樹脂組成物の総質量に対して、合計で、通常5質量%以下、好ましくは0.1~3質量%である。
充填剤(フィラー)としては、ガラス繊維、炭素繊維、シリカ繊維、金属(ステンレス、アルミニウム、チタン、銅等)繊維、カーボンブラック、シリカ、ガラスビーズ、珪酸塩(珪酸カルシウム、タルク、クレー等)、金属酸化物(酸化鉄、酸化チタン、アルミナ等)、金属の炭酸塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム)および各種金属(マグネシウム、珪素、アルミニウム、チタン、銅等)粉末、マイカ、ガラスフレーク等が挙げられる。これらの充填剤は1種単独または2種以上の併用いずれでもよい。
滑剤としては、ワックス(カルナバロウワックス等)、高級脂肪酸(ステアリン酸等)、高級アルコール(ステアリルアルコール等)、高級脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド等)等が挙げられる。
可塑剤としては、芳香族カルボン酸エステル(フタル酸ジブチル等)、脂肪族カルボン酸エステル(メチルアセチルリシノレート等)、脂肪族ジアルボン酸エステル(アジピン酸-プロピレングリコール系ポリエステル等)、脂肪族トリカルボン酸エステル(クエン酸トリエチル等)、リン酸トリエステル(リン酸トリフェニル等)、エポキシ脂肪酸エステル(ステアリン酸エポキシブチル等)、石油樹脂等が挙げられる。
離型剤としては、高級脂肪酸の低級(C1~4)アルコールエステル(ステアリン酸ブチル等)、脂肪酸(C4~30)の多価アルコールエステル(硬化ヒマシ油等)、脂肪酸のグリコールエステル、流動パラフィン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤が使用可能である。具体的には、フェノール系(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール等)、多環フェノール系(2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール等)、リン系(テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4-ビフェニレンジホスフォネート等)、イオウ系(チオジプロピオン酸ジラウリル等)、アミン系(N,N-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン等)、ラクトン系の酸化防止剤等が挙げられ、これらを数種類組み合わせても使用できる。
難燃剤としては、有機系難燃剤(含窒素系、含硫黄系、含珪素系、含リン系等)、無機系難燃剤(三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、赤リン等)が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、アクリレート系等が挙げられる。
抗菌剤としては、4級アンモニウム塩、ピリジン系化合物、有機酸、有機酸エステル、ハロゲン化フェノール、有機ヨウ素等が挙げられる。
界面活性剤としては非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の界面活性剤を挙げることができる。非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、ポリエチレンオキシド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビットもしくはソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン性界面活性剤などが挙げられ、アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩などが挙げられ、カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩などが挙げられる。両性界面活性剤としては、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両面界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキル時ヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。
帯電防止剤としては、上記の界面活性剤、脂肪酸エステル、高分子型帯電防止剤が挙げられる。脂肪酸エステルとしてはステアリン酸やオレイン酸のエステルなどが挙げられ、高分子型帯電防止剤としてはポリエーテルエステルアミドが挙げられる。
上記充填剤、滑剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、界面活性剤、帯電防止剤などの各種添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない範囲内で用途に応じた量であればよく、特に限定されないが、樹脂組成物の総質量に対して、それぞれ、0.1~30質量%であることが好ましい。
4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)
本発明の4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)は、上述した4-メチル-1-ペンテン系樹脂(A)と、ポリアミド樹脂(B)と、極性樹脂(C)と、変性ポリエチレン(D)とを含み、下記要件(X-1)を満たす。
(X-1)前記樹脂(A)~(D)の含有比率が、樹脂(A)~(D)の合計を100質量部としたときに、(A)が70~95質量部、(B)が0.1~10質量部、(C)が1~10質量部、(D)が1~20質量部である。
本発明の4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)は、その他の成分として上述した成分等、前記樹脂(A)~(D)以外の成分を含んでも構わないが、(A)~(D)の合計が4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)中において好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
本発明の4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)は、さらに、下記要件(X-2)を満たすことが好ましい。
(X-2)鈴木式リング摩耗試験(試験温度23℃、相手剤S45C、荷重0.75MPa、速度30m/分、距離0.9km)における比摩耗量が5mm3/kg・km以下である。比摩耗量は小さいほど好ましいが、下限は通常1mm3/kg・km以上である。
・4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)の製造方法
本発明の4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)は、樹脂(A)~(D)および任意成分を、公知の方法によって溶融混練することによって製造することができる。
樹脂(A)~(D)および任意成分を一段階で溶融混練してもよいが、あらかじめ一部の成分を溶融混練して、複数段階を経て樹脂組成物(X)を得てもよい。例えば、樹脂(A)の一部と、樹脂(B)および(C)をあらかじめ溶融混練して樹脂組成物としたのちに、樹脂(A)の残り部分および樹脂(D)と溶融混練をすることによって組成物(X)とする方法もまた好ましい。
成形体
本発明の成形体は、上述した本発明の4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)を、その一部または全部に使用してなる成形体である。この樹脂組成物は、従来種々公知の方法により成形できる。具体的には、4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)を、例えば、射出成形法、異形押出成形法、パイプ成形法、チューブ成形法、異種成形体の被覆成形法、インジェクションブロー成形法、ダイレクトブロー成形法、Tダイシートまたはフィルム成形法、インフレーションフィルム成形法、プレス成形法などの成形方法により、容器状、トレー状、シート状、棒状、フィルム状または各種成形体の被覆などに成形することができる。
本発明の成形体は、本発明の4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)からなることにより、優れた耐摩耗性を有する。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、各種物性は以下の方法により測定あるいは算出した。
<構造単位の含有量>
4-メチル-1-ペンテン系樹脂(A)あるいは変性4-メチル-1-ペンテン系樹脂(B)中の、4-メチル-1-ペンテンに由来する構造単位の含有量、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィンに由来の構造単位(コモノマー)の含有量は、以下の装置および条件により、13C-NMRスペクトルより算出した。
ブルカー・バイオスピン製AVANCEIIIcryo-500型核磁気共鳴装置を用い
て、溶媒はo-ジクロロベンゼン/ベンゼン-d6(4/1 v/v)混合溶媒、試料濃度は55mg/0.6mL、測定温度は120℃、観測核は13C(125MHz)、シーケンスはシングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅は5.0μ秒(45°パルス)、繰返し時間は5.5秒、積算回数は64回とし、ベンゼン-d6の128ppmをケミカルシフトの基準値として測定した。主鎖メチンシグナルの積分値を用い、下記式によってコモノマー由来の構造単位の含有量を算出した。
コモノマー由来の構造単位の含有量(%)=[P/(P+M)]×100
ここで、Pはコモノマー主鎖メチンシグナルの全ピーク面積を示し、Mは4-メチル-1-ペンテン主鎖メチンシグナルの全ピーク面積を示す。
また、カルボキシ基、アミノ基、水酸基及びシラノール基からなる群より選ばれる官能基を含む構造単位の含有量は、IR測定により評価した。
<MFR>
ASTM D1238に準拠して、260℃、2.16kg荷重下のメルトフローレート(MFR)を測定した。
<密度>
JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して測定した。
<融点(Tm)>
島津製作所社製DSC-60を用いて30~280℃の温度範囲、速度10℃/分、窒素雰囲気下で測定した。試料5mgをアルミニウムパン中に密封し、室温から10℃/分で280℃まで加熱し、その試料を、完全融解させるために280℃で5分間保持する。次いで10℃/分で-50℃まで冷却し、-50℃で5分間置いた後、その試料を10℃/分で280℃まで再度加熱する。この2度目の加熱試験でのピーク温度を、融点(Tm)として採用した。
<摩擦係数、摩耗量、比摩耗量および摩擦発熱MAX温度>
株式会社名機社製M-70B射出成型機で、シリンダ温度300℃、金型温度60℃、冷却時間20秒の条件でポリ-4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物の射出成形片(120mm×130mm×3mm)を作製した。得られた試験片を、JIS K7218「プラスチックの滑り摩耗試験A法」に準拠して、鈴木式リング摩耗試験機を使用して、リング摩耗試験により動摩擦係数および比摩耗量を測定した。試験条件は、相手材:S45C、速度:30m/分、距離:0.9km、荷重:0.75MPa、測定環境温度:23℃とした。摩擦発熱MAX温度の測定は、相手材であるS45Cに温度測定用の熱電対を設置して、試験中の温度を測定し、試験中の温度上昇のMAXの値を算出した。
原料
以下の実施例および比較例において原料として使用した樹脂、その製造方法を以下に示す。
[製造例1]
<4-メチル-1-ペンテン系樹脂(A1)の製造>
国際公開2006/054613号の比較例9に記載の重合方法に準じて、4-メチル-1-ペンテン、その他のα-オレフィン(1-ヘキサデセン、1-オクタデセン等質量混合物)、水素の割合を変更することによって、4-メチル-1-ペンテン系樹脂(A1)を得た。すなわち、4-メチル-1-ペンテン系樹脂(A1)は、無水塩化マグネシウム、2-エチルヘキシルアルコール、2-イソブチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパンおよび四塩化チタンを反応させて得られる固体状チタン触媒を重合用触媒として用いて得られたことになる。
カルボキシ基、アミノ基、水酸基及びシラノール基からなる群より選ばれる官能基を含む構造単位の含有量は、0.01質量%未満であった。
4-メチル-1-ペンテン系樹脂(A1)の分析結果は以下のとおりであった。
MFR(260℃、5kgf):3g/10min
融点(Tm)224℃
密度:0.83g/cm3
4-メチル-1-ペンテンに由来する構造単位93.5モル%
その他のα-オレフィン(1-ヘキサデセン、1-オクタデセン)に由来する構造単位6.5モル%
[製造例2]
<変性4-メチル-1-ペンテン系樹脂(B1)の製造>
上記で製造した4-メチル-1-ペンテン系樹脂(A1)100質量部と、無水マレイン酸1質量部と、有機過酸化物として、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3を0.02質量部とを、2軸押出機(株式会社池貝、PCM45、φ=45mm,L/D=30)にて、シリンダ温度:270℃で、溶融混練を3分間行い、マレイン酸変性ポリ-4-メチル-1-ペンテン系樹脂(B1)を得た。
得られたマレイン酸変性ポリ-4-メチル-1-ペンテン系樹脂(B1)の融点(Tm)は222℃、ポリ-4-メチル-1-ペンテンへのマレイン酸グラフト量(カルボキシ基、アミノ基、水酸基及びシラノール基からなる群より選ばれる官能基を含む構造単位の含有量)は0.8質量%、135℃、デカリン中での極限粘度[η]は1.5dL/gであった。
[製造例3]
<変性ポリエチレン(D1)の製造>
・固体状チタン触媒成分の調製
無水塩化マグネシウム95.2g、デカン398.4gおよび2-エチルヘキシルアルコ-ル306gを温度140℃で6時間加熱反応させて均一溶液とした後、この溶液中に安息香酸エチル17.6gを添加し、更に130℃にて1時間攪拌混合を行なった。
このようにして得られた均一溶液を室温まで冷却した後、この均一溶液50mlを0℃に保持した四塩化チタン200ml中に一定の撹拌速度で攪拌しつつ1時間にわたって全量滴下装入した。装入終了後、この混合液の温度を2.5時間かけて80℃に昇温し、80℃になったところで混合液中に安息香酸エチル2.35gを添加し、2時間同温度にて攪拌下保持した。2時間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、この固体部を100mlの四塩化チタンにて再懸濁させた後、90℃で2時間、加熱反応を行った。反応終了後、再び熱濾過にて固体部を採取し、温度90℃のデカンおよびヘキサンで洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄した。以上の操作によって調製した固体状チタン触媒成分はデカンスラリ-として保存した。
ICP法で分析したところ、固体状チタン触媒成分中、Ti成分が3.5質量%含まれていた。ベックマン・コールター社製レーザー回折散乱法粒度分布測定装置で測定した触媒粒子の平均粒径は7μm、最大粒径は18μmであった。
<ポリエチレンの重合:ポリエチレン樹脂(D’1)の製造>
充分に窒素置換された攪拌機付24Lのオートクレーブに12Lの精製n-デカンを添加した後、トリエチルアルミニウムをアルミニウム換算で14ミリモル、上記固体状チタン触媒成分をチタン換算で0.3ミリモル加え、十分に撹拌しながら45℃まで昇温しつつ、4.2L/分の速度でエチレンを供給して重合を開始した。オートクレーブの内圧は6kg/cm2・Gに保持した。重合温度は45~46℃に維持した。エチレンを880L供給した時点でエチレンの供給を一旦停止し、内圧が3kg/cm2・Gとなるまで温度を一定に保持した後、速やかに常圧まで脱圧した。(この段階で、得られたスラリーを少量サンプリングし、デカンとヘキサンとで洗浄して白色固体サンプル(1)を得た。)次いで水素を41リットル導入し、温度を85℃に上げつつエチレンを11.6L/分の速度で供給しながら2段目の重合を開始した。全圧を6.4kg/cm2・G、温度は85℃に保持した。
エチレンを3800L供給したところで、エチレンの供給を停止し、内圧が3kg/cm2・Gになるまで温度は85℃に保持し、その後、常圧、常温まで脱圧、冷却し、重合終了とした。
重合終了後、得られたスラリーから固体状白色固体を分離し、デカン、ヘキサンで洗浄した後、これを80℃で減圧乾燥した。得られた白色固体(ポリエチレン樹脂(D’1))の密度は967kg/cm3(ASTM D1505に準拠して測定)、極限粘度[η]は5.73dL/gであった。
一方、白色個体サンプル(1)は、極限粘度[η]が28dL/gであった。また、エチレンの供給量より、第1段目で製造した超高分子量ポリエチレンの含有量は19.0質量%である。第2段目で生成した重合体の極限粘度は下記式より推算すると、0.5dL/gであった。
[η]all=[η]A×wtA+[η]B×wtB
[η]all:ポリマー全体(ポリエチレン樹脂(D’1))の極限粘度(dL/g)
[η]A:超高分子量ポリエチレンの極限粘度(dL/g)
wtA:超高分子量ポリエチレンの含有量(質量%)
[η]B:低分子量ないし高分子量ポリエチレンの極限粘度(dL/g)
wtB:低分子量ないし高分子量ポリエチレンの含有量(質量%)
なお、極限粘度[η]は、デカリン溶媒を用いて、135℃で測定される値である。すなわち、サンプル(約20mg)をデカリン溶媒(15mL)に溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液にデカリン溶媒(5mL)を追加して希釈した後、前記と同様に比粘度ηspを測定する。この希釈操作をさらに2回繰り返し、オレフィン重合体の濃度(C)を0に外挿したときのηsp/Cの値をオレフィン重合体の極限粘度[η]とした。
極限粘度[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
<変性ポリエチレン(D1)の製造>
上記で得たポリエチレン樹脂(D’1)100質量部、無水マレイン酸0.8質量部、および有機過酸化物[日本油脂(株)製、商品名パーヘキシン-25B]0.07質量部、をヘキシェルミキサーで混合し、得られた混合物を270℃に設定した100mmφの二軸押出機で、混練時間1分30秒程で溶融グラフト変性することによって、変性ポリエチレン(D1)を得た。
カルボキシ基、アミノ基、水酸基及びシラノール基からなる群より選ばれる官能基を含む構造単位の含有量は0.8質量%だった。
<極性樹脂(C1)>
極性樹脂(C1)としては、ポリアミドである、宇部興産株式会社製UBE NYLON1030B(ポリアミド6(PA6)、MFR(280℃、5kg荷重)7g/10分、融点(Tm)225℃)を使用した。
[実施例1]
<4-メチル-1-ペンテン系樹脂(A1)、変性4-メチル-1-ペンテン系樹脂(B1)、および極性樹脂(C1)の事前混練>
4-メチル-1-ペンテン系樹脂(A1)60質量部、変性4-メチル-1-ペンテン系樹脂(B1)5質量部、極性樹脂(C1)40質量部を混合し、二軸押出機(株式会社池貝、PCM45、φ=45mm,L/D=30)にて、シリンダ温度:270℃、回転数150rpmにて溶融混練し、樹脂組成物(X’)を得た。
<4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X1)の製造>
4-メチル-1-ペンテン系樹脂(A1)80質量部と、上記で事前混練して得た樹脂組成物(X’)10質量部と、変性ポリエチレン(D1)10質量部を混合し、二軸押出機(株式会社池貝、PCM45、φ=45mm,L/D=30)にて、シリンダ温度:270℃、回転数150rpmにて溶融混練し、樹脂組成物(X1)を得た。樹脂組成物(X1)における各成分の含有質量比は表1のとおりである。また、上述のように樹脂組成物から射出成形片を作成し、リング摩耗試験を行った。結果を表1に併せて示す。
[比較例1]
4-メチル-1-ペンテン系樹脂(A1)について、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
4-メチル-1-ペンテン系樹脂(A1)90質量部と、実施例1と同様に事前混練して得た樹脂組成物(X’)10質量部とを混合し、実施例1と同様に樹脂組成物を製造して評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
4-メチル-1-ペンテン系樹脂(A1)90質量部と、未変性であるポリエチレン樹脂(D’1)とを混合し、実施例1と同様に樹脂組成物を製造して評価した。結果を表1に示す。
[比較例4]
4-メチル-1-ペンテン系樹脂(A1)90質量部と、実施例1と同様に事前混練して得た樹脂組成物(X’)10質量部と、未変性であるポリエチレン樹脂(D’1)とを混合し、実施例1と同様に樹脂組成物を製造して評価した。結果を表1に示す。
Figure 0007088689000001
本発明の4-メチル1-ペンテン系樹脂組成物は、各種成形体の原料として好適に使用することができ、たとえば、本願の樹脂組成物から複合材料成形用や離型フィルム、実験器具、ゴムホース製造用マンドレル、電動工具、一般工業部品、機械部品、電子部品、自動車内外装部品、エンジンルーム内部品、自動車電装部品などの種々の機能部品に好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 下記要件(A-1)および(A-2)を満たす4-メチル-1-ペンテン系樹脂(A)と、
    下記要件(B-1)および(B-2)を満たす変性4-メチル-1-ペンテン系樹脂(B)と、
    ポリアミド樹脂である極性樹脂(C)と、
    下記要件(D-1)および(D-2)を満たす変性ポリエチレン樹脂(D)と、
    を含み、下記要件(X-1)を満たす、4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)。
    (A-1)カルボキシ基、アミノ基、水酸基及びシラノール基からなる群より選ばれる官能基を含む構造単位の含有量が0.01質量%未満である。
    (A-2)ASTM D1238に準拠して測定した、260℃、2.16kg荷重下のメルトフローレート(MFR)が0.01~100g/10分の範囲にある。
    (B-1)カルボキシ基、アミノ基、水酸基及びシラノール基からなる群より選ばれる官能基を含む構造単位を0.01~10質量%含む。
    (B-2)ASTM D1238に準拠して測定した、260℃、2.16kg荷重下のメルトフローレート(MFR)が0.01~100g/10分の範囲にある
    D-1)135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が10~40dL/gである超高分子量ポリエチレン(d1)と、135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が0.1~5dL/gである低分子量ないし高分子量ポリエチレン(d2)とを含み、(d1)と(d2)の含有比率が、それらの合計を100質量部としたときに、(d1)が5~45質量部である。
    (D-2)カルボキシ基、アミノ基、水酸基及びシラノール基からなる群より選ばれる官能基を含む構造単位を0.01~10質量%含む。
    (X-1)前記(A)~(D)の含有比率が、(A)~(D)の合計を100質量部としたときに、(A)が70~95質量部、(B)が0.1~10質量部、(C)が1~10質量部、(D)が1~20質量部である。
  2. 前記変性ポリエチレン樹脂(D)が、下記要件(D-3)を満たす、請求項1に記載の4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)。
    (D-3)密度が955~970kg/m3であり、135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が1.5~10dL/gの範囲にある。
  3. 前記変性ポリエチレン樹脂(D)が、不飽和カルボン酸またはその誘導体によるポリエチレン樹脂の変性物である、請求項1または2に記載の4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)。
  4. 前記変性4-メチル-1-ペンテン系樹脂(B)が、下記要件(B-3)~(B-4)のうち一つ以上をさらに満たす、請求項1~3のいずれかに記載の4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)。
    (B-3)4-メチル-1-ペンテンに由来する構造単位(i)と、エチレンもしくは4-メチル-1-ペンテン以外の炭素原子数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位(ii)との含有量のモル比率が、100:0~90:10である。
    (B-4)示差走査熱量計(DSC)で測定した融点(Tm)が175~250℃である。
  5. 前記樹脂組成物(X)が、下記要件(X-2)を満たす、請求項1~のいずれかに記載の4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)。
    (X-2)鈴木式リング摩耗試験(試験温度23℃、相手剤S45C、荷重0.75MPa、速度30m/分、距離0.9km)における、射出成形して得た試験片の比摩耗量が5mm3/kg・km以下である。
  6. 請求項1~のいずれかに記載の4-メチル-1-ペンテン系樹脂組成物(X)を含む成形体。

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