JP5794951B2 - ゴム組成物及びそれを用いた積層体 - Google Patents
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Description
例えば、ケーブル構造内部の空所またはポケットに起因する電離またはコロナ放電の発生によって絶縁層の終局的な破壊が起こることを防止するため、絶縁層及び半導電層の隣接表面間の境界における空所(すなわち自由空間)の存在および形成可能性を排除する必要がある。米国特許第3677849号においては、絶縁層と半導電層との境界に介在する空所の問題を解決するために、組み立て後の製品に熱処理後、半導電層を収縮させることにより半導電層を収縮させられる。また、米国特許第3259688号においては、特異な構造及び照射処理の採用からなる別の解決策が提案されている。
(1)融点Tmが100℃以下であるか又は観測されない
(2)炭素数3〜20のα−オレフィンを50モル%以上100モル%以下含有する
本発明に係る積層体は、前記オレフィン系共重合体組成物が、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[1]とα−オレフィン系共重合体[2]を、質量比において[1]/[2]=99/1〜65/35の割合で含むことが好ましい。
(a)炭素数4〜20のα-オレフィンを5〜50モル%含有するプロピレン・α−オレフィン共重合体
(b)プロピレンを40〜85モル%、炭素数4〜20のα−オレフィンを5〜30モル%、エチレンを5〜30モル%含有するプロピレン・α−オレフィン・エチレン共重合体
(c)炭素数4〜20のα−オレフィンを70〜100モル%含有するα−オレフィン系共重合体
から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
前記α−オレフィン系共重合体[2]が、
(d)ブテンを5〜50モル%含有するプロピレン・ブテン共重合体[2−a]
(e)プロピレンを40〜85モル%、ブテンを5〜30モル%、エチレンを5〜30モル%含有するプロピレン・ブテン・エチレン共重合体[2−b]
(f)ブテンを70〜100モル%含有するブテン・α−オレフィン系共重合体[2−c]
から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
本発明に係る電線の被覆材又はケーブルの被覆材は、被覆層の少なくとも一部であることが好ましい。
(b)プロピレンを40〜85モル%、炭素数4〜20のα−オレフィンを5〜30モル%、エチレンを5〜30モル%含有するプロピレン・α−オレフィン・エチレン共重合体
のうち少なくとも1種と、を含むことを特徴とする。
ましい。
本発明に係る積層体は、オレフィン系共重合体組成物の架橋体を有する複数の層が少なくとも一部で隣接してなる積層体であって、積層体の各層が、炭素数3〜20のα−オレフィン含量が50モル%以下であるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[1]を含有する組成物の架橋体であり、積層体の少なくとも一層が、以下の要件を満たすα−オレフィン系共重合体[2]を含有する組成物の架橋体である。
(1)融点Tmが100℃以下であるか又は観測されない
(2)炭素数3〜20のα−オレフィンを50モル%以上100モル%以下含有する
オレフィン系共重合体組成物の架橋体とは、上記の共重合体[1]を含む組成物を架橋剤や電子線を使用して共重合体間に架橋構造を形成させ、硬化させたものをいう。
(エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[1])
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体[1]は、エチレン、炭素原子数3〜20のα- オレフィンおよび非共役ポリエンがランダムに共重合したポリマーである。
エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体[1]は、軟化剤を含んだいわゆる油展品を使用することができる。また、油展品を使用しなくとも、後から軟化剤を加えてもよく、油展と後添加を併用して軟化剤を配合してもよい。軟化剤を用いることにより、柔軟性、成形性に優れる組成物が得られる。油展品に用いる軟化剤は、通常ゴムに使用される軟化剤を用いることができる。
(α−オレフィン系共重合体[2])
α−オレフィン系共重合体全般
α−オレフィン系共重合体[2]は、後述する方法で測定される融点Tmが、100℃以下か観測されず、炭素数〜20のα−オレフィンを50モル%以上100モル%以下含む単独重合体または共重合体である。
α−オレフィン系共重合体[2]において、プロピレン系共重合体としては、プロピレン単独重合体、又はプロピレンと、プロピレン以外の炭素原子数が2〜20のオレフィンの少なくとも1種類との共重合体を挙げることができる。ここで、プロピレン以外の炭素原子数が2〜20のオレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられるが、エチレン又は炭素原子数が4〜10のα−オレフィンが好ましい。これらのオレフィンは、プロピレンとランダム共重合体を形成してもよく、ブロック共重合体を形成してもよい。
本発明に好ましく用いられるプロピレン・炭素原子数4〜20のα−オレフィンランダム共重合体は、プロピレンと、プロピレン以外の炭素原子数が4〜20のα−オレフィンの少なくとも1種との共重合体を挙げることができる。ここで、プロピレン以外の炭素原子数が4〜20のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。これらのα−オレフィンの中では1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンが好ましく、1−ブテンがより好ましい。また、プロピレン・炭素原子数4〜20のα−オレフィンランダム共重合体は、好ましくは以下の(a)を満たす。
プロピレン・炭素原子数4〜20のα−オレフィンランダム共重合体において、炭素原子数4〜20のα−オレフィン由来の構成単位の含量は、好ましくは5〜50モル%、より好ましくは10〜35モル%である。この範囲にあるとピール性に優れる。このようなプロピレン系重合体は、例えば、国際公開第2004/87775号パンフレットに記載されている方法等によって得られる。
プロピレン・エチレン・炭素原子数4〜20のα−オレフィンランダム共重合体は、プロピレンと、エチレンと、プロピレン以外の炭素原子数が4〜20のα−オレフィンの少なくとも1種との共重合体等を挙げることができる。ここで、プロピレン以外の炭素原子数が4〜20のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。 また、プロピレン・エチレン・炭素原子数4〜20のα−オレフィンランダム共重合体は、好ましくは、下記(m)及び(n)の少なくともいずれかを満たす。
(n)プロピレン由来の構成単位を40〜85モル%、エチレン由来の構成単位を5〜30モル%、炭素原子数4〜20のα−オレフィン由来の構成単位を5〜30モル%含む(ここで、プロピレン由来の構成単位、エチレン由来の構成単位、及び炭素原子数4〜20のα−オレフィン由来の構成単位の合計は100モル%である)。この範囲にあるとピール性に優れる。
1―ブテン・エチレンもしくは、1―ブテン・炭素原子数4〜20のα−オレフィンランダム共重合体
1―ブテン・エチレンもしくは、1―ブテン・炭素原子数4〜20のα−オレフィンランダム共重合体は、1―ブテン由来の構成単位を100〜70モル%、エチレンまたはα-オレフィン由来の構成単位を0〜30モル%含む(ここで、1―ブテン由来の構成単位、エチレンまたはα-オレフィン由来の構成単位の合計は100モル%である。)。
[配合剤]
(架橋法全般)
オレフィン系共重合体組成物には、意図する積層体の性能に応じて、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体共重合体[1]およびα−オレフィン系共重合体[2]に加えて、さらに従来公知の配合剤、例えば、補強剤、充填剤、軟化剤、架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤、加工助剤、顔料、老化防止剤等、通常ゴムの製造に使用される添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合することができる。架橋剤としては、イオウ系化合物および有機過酸化物等を挙げることができる。
有機過酸化物
有機過酸化物としては、具体的には、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5− ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5− ジ-(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert− ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert− ブチルペルオキシ)−3,3,5− トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4− ビス(tert− ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert− ブチルペルオキシベンゾエート、tert− ブチルペルベンゾエート、tert− ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert− ブチルクミルペルオキシド、ジ―t− ブチルパーオキシ−3,3,5− トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−2,5アミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t-ブチルパーオキシン)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5− ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5− モノ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α'− ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン等のジアルキルパーオキサイド類;t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシビバレート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t- ブチルパーオキシフタレート、1,1-ビス−t− ブチルパーオキシ−3,3,5− トリ- メチルシクロヘキサン等のパーオキシエステル類、ジシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、およびこれらの混合物等が挙げられる。中でも、半減期1分を与える温度が130℃〜200℃の範囲にある有機過酸化物が好ましい。
イオウ系化合物としては、例えば、イオウ、塩化イオウ、二塩化イオウ、モルフォリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジチオカルバミン酸セレン等が挙げられる。これらの中でも、イオウが好ましい。
<架橋助剤>
架橋剤としてイオウ系化合物を使用する場合には、架橋促進剤の併用が好ましい。架橋促進剤としては、たとえば、N−シクロヘキシル−2− ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2− ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N‘− ジイソプロピル−2− ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4− モルフォリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジル- ジスルフィド等のチアゾール系化合物;ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソトリルグアニジン等のグアニジン系化合物;アセトアルデヒド- アニリン縮合物、ブチルアルデヒド- アニリン縮合物等のアルデヒドアミン系化合物;2−メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物;ジエチルチオウレア、ジブチルチオウレア等のチオウレア系化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチウラム系化合物;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系化合物;ジブチルキサントゲン酸亜鉛等のザンテート系化合物;その他亜鉛華等を挙げることができる。
架橋剤として有機過酸化物を使用する場合は、架橋助剤の併用が好ましい。架橋助剤としては、例えば、硫黄;P−キノンジオキシム等のキノンジオキシム系化合物;エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のアクリル系化合物;ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系化合物;その他マレイミド系化合物、ジビニルベンゼン(DVB)等が挙げられる。
上記加工助剤としては、通常のゴムの加工に使用される加工助剤を使用することができる。このような加工助剤としては、たとえばリシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸塩;リシノール酸エステル、ステアリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ラウリン酸エステル等の高級脂肪酸エステル類等が挙げられる。
その他の架橋剤としては、通常EPR、EPDMに用いられるイオウ架橋剤、キノイド架橋剤、樹脂架橋剤、有機過酸化物架橋剤、ヒドロシリル化反応を利用した架橋等が用いられる。これらの中でも、特に有機過酸化物架橋剤、SiH基を有する架橋剤が好ましい。これらの架橋剤は、ビニル基等の炭素−炭素二重結合との反応性が特に高く、架橋ゴムに用いた場合は耐圧縮永久歪み性や耐ブルーム性に優れ、架橋型の樹脂改質材に用いた場合は圧縮永久歪み性や耐衝撃性の改質性能に優れる。
(その他の配合剤)
その他の配合剤として、充填剤、補強剤、軟化剤、着色剤、老化防止剤、難燃剤、可塑剤、分散剤等を用いることができる。これらの配合剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。配合剤の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で、用途に応じて適宜選択することができる。
金属酸化物としては、特に制限はないが、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム及びこれらの混合物等を挙げることができる。
[配合量]
オレフィン系共重合体組成物
本願発明においては、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[1]のみを含んでいる場合においてもこれを組成物と呼ぶ。本発明のオレフィン系共重合体組成物は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[1]とα−オレフィン系共重合体[2]を質量比([1]/[2])において100/0〜65/35、好ましくは99/1〜65/35の割合で含むことを特徴とする。好ましくは、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[1]70〜99質量部とα−オレフィン系共重合体[2]を質量比において30〜1質量部、より好ましくは、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[1]75〜99質量部とα−オレフィン系共重合体[2]を質量比において25〜1質量部([1]と[2]の合計を100質量部とする。但し[1]には油展分を含まない)を含む。質量比がこの範囲にあると、ピール性に優れる。特に、共重合体[1]と、共重合体(a)と共重合体(b)の少なくとも一つを含み、質量比が[1]/((a)および/または(b))=99/1〜65/35にある組成物がピール性の点から好ましい。
[コンパウンド調製法]
本発明に係るオレフィン系共重合体組成物は、上記各成分を同時に、または逐次的に、例えばヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、タンブラーミキサー、リボンブレンダー等に装入して混合した後、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練することによって得られる。これらの中でも、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練性能に優れた装置を使用すると、各成分がより均一に分散された高品質の重合体組成物が得られる。また、これらの任意の段階で必要に応じて、上記添加剤、例えば、酸化防止剤等を添加することもできる。本発明に係る積層体は、本発明に係るオレフィン系共重合体組成物を用い、従来公知の溶融成形法、たとえば押出成形、回転成形、カレンダー成形、射出成形、圧縮成形、トランスファー成形、粉末成形、ブロー成形、真空成形等の方法により、種々の形状に成形することができる。
本発明に係るゴム組成物は、例えば、次のような方法で調製することができる。すなわち、バンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー(密閉式混合機)類によりエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体[1]と必要に応じてα- オレフィン系共重合体[2]、充填剤、軟化剤等の添加剤を80〜170℃の温度で3〜10分間混練した後、オープンロールのようなロール類、あるいはニーダーを使用して、有機過酸化物と必要に応じて架橋助剤を追加混合し、ロール温度40〜80℃で5〜30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。また、インターナルミキサー類での混練温度が低い場合には、エチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体[1]、α- オレフィン系共重合体[2]、充填剤、軟化剤等とともに有機過酸化物、架橋助剤、着色剤、老化防止剤、分散剤、難燃剤、発泡剤等を同時に混練してもよい。
(積層体一般)
本発明の積層体を製造するには、種々の成形方法を採用することが可能である。例えば、インフレーション成形またはTダイス成形によって複数の樹脂を同時に溶融状態で押出成形する共押出成形法;単層シート上に共重合体組成物を押出ラミネートする方法;単層シートを重ね熱プレス、あるいは熱ロールによって溶融圧着する方法等が挙げられる。
(電線押出)
本発明の積層体が電線被覆材の少なくとも一部を構成する場合においては、上記のように調製されたゴム組成物は、押出成形機により、導線の周りに意図した形状に被覆される。有機過酸化物で架橋する場合、酸素存在下ではゴムの表面が酸化劣化しベタツキが生じるため、無酸素雰囲気下で架橋が行なわれるが、この架橋方法には様々な方法を用いることができる。次に、その代表的な架橋方法を挙げるが、架橋方法は、これらの方法に限定されるものではない。
(2) (i) 押出成形したゴムを加圧した高温の鉛の浴中に入れて架橋するヒエン架橋法、(ii)加圧した高温の液体中に入れて架橋するPLCM(圧力型液体浸せき架橋法)、(iii) 加圧した高温のスチームに入れて架橋する水平連続架橋法、(iv)カテナリー連続架橋法等の連続架橋方法、あるいは(v)これら架橋方法を組み合わせた架橋方法。
本発明に係る組成物は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[1]を含有する組成物を架橋して得られる絶縁層と、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[1]およびα−オレフィン共重合体[2]を含有する組成物を架橋して得られる半導電層とを有し、絶縁層と半導電層の少なくとも一部が隣接している。本発明に係る組成物は、電線被覆用樹脂組成物として好適に用いられる。
[組成物]
本発明に係るオレフィン系共重合体組成物は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[1]を含み、また、積層体の少なくとも一層は融点Tmが100℃以下であるか又は観測されないα−オレフィン系共重合体[2]をも含む。
実施例に用いた各成分は、以下の通りである。
<エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[1]>
エチレン67モル%、5−エチリデン−2−ノルボルネン1.3モル%含有し(エチレン、プロピレン、5−エチリデン−2−ノルボルネンの合計を100モル%とする)、100℃におけるムーニー粘度(ML(1+4)100℃)が45であるエチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体ゴム(以下EPDM−1と表記する)を使用した。
<α−オレフィン系共重合体[2]>
(プロピレン・ブテン共重合体[2−a])
プロピレン・1−ブテン共重合体(MFR=7g/10min、Tm=75℃、1−ブ
テン含量26モル%、Mw/Mn=2.1)を使用した。(特開平2007−186665号公報記載の方法で製造した。以下「PBR」と略す)
(プロピレン・ブテン・エチレン共重合体[2−b])
プロピレン・1-ブテン・エチレンランダム共重合体(MFR=8.5g/10min、
Tmは観測されず、エチレン含量=14モル%、1-ブテン含量=20モル%、Mw/M
n=2.0)(特開平2007−186665号公報記載の方法で製造した。以下「PBER」と略す)
(ブテン・プロピレン共重合体[2−c])
1-ブテン・プロピレンランダム共重合体
(MFR=4g/10min、Tm=75℃、プロピレン含量=25モル%、Mw/Mn=4.8)(以下「BPR」と略す)
[有機過酸化物]
ジクミルパーオキサイド (Perkadox BC-FF(商品名)、化薬アクゾ(株)製)(以下、「DCP」と略す)
[ポリプロピレン]
MFR(230℃、2.16kg)が7g/10minで融点が137℃のランダムポリプロピレンを使用した (以下「PP−1」と略す)。
上記各成分の物性値は、下記のように測定した。
(1)コモノマー含量
13C-NMRスペクトルの解析により求めた。
(2)メルトフローレート(MFR)
ASTM D-1238に準拠し、230℃で2.16kg荷重下のもと測定した。
(3)融点(Tm)
DSCの発熱・吸熱曲線を求め、昇温時のΔHが1J/g以上の融解ピークの頂点の位置の温度をTmとした。測定は、試料をアルミパンに詰め、100℃/分で200℃まで昇温して200℃で5分間保持し、10℃/分で−150℃まで降温し、次いで10℃/分で200℃まで昇温した。この最後の昇温時の発熱・吸熱曲線より融点を求めた。
(4)分子量分布(Mw/Mn)
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって、オルトジクロロベンゼ
ン溶媒を用いて、140℃で測定した。
ピール強度: ASTM D903に準拠して測定した(測定装置:IM−20ST インテスコ社製)。
EPDM−1を85質量部に対しPBR15質量部を、ロール表面温度95℃に設定した6インチオープンロール(機種名:ROLL MILL W150M 製造元:COLLIN社製)で溶融混合し、さらにロール上でDCP2質量部を混合して混練した。得られた樹脂組成物を、90℃に設定したプレス成形機にて3分間プレスし、1mm厚のプレスシートを作成した(シート1)。
その後、得られた上記2枚のプレスシートを重ねあわせ、プレス成形機を用いて160℃で30分間加熱接着し、2mm厚のプレスシートを得た。このプレスシートについてピール強度の測定を行なった。その結果を表1に記す。
表1に示す配合材を使用し、ロールの表面温度を190℃とした他は、実施例1と同様の手順で試料を作成した。しかし、共重合体に有機過酸化物を添加してロールで混練する際にポリマーが架橋したため、シート試料を作成できなかった。
表1に示す分量のEPDM−1とPP−1を押出機により溶融混練した(混練装置:40mmφ押出機(L/D=26)、混練温度130/170/210/230/230℃,回転数40rpm)。それ以外は、実施例1と同様の手順で試料を作成し、ピール強度を測定した。その結果を表1に記す。
Claims (8)
- オレフィン系共重合体組成物の架橋体を有する複数の層が少なくとも一部で隣接してなる積層体であって、
前記積層体の各層が、炭素数3〜20のα−オレフィン含量が50モル%以下であるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[1]を含有する組成物の架橋体であり、前記積層体の少なくとも一層が、以下の要件(1)および(2)を満たすα−オレフィン系共重合体[2]を含有する組成物の架橋体であることを特徴とする積層体。
(1)融点Tmが100℃以下であるか又は観測されない
(2)炭素数3〜20のα−オレフィンを50モル%以上100モル%以下含有する - 前記α−オレフィン系共重合体[2]を含む前記オレフィン系共重合体組成物が、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[1]とα−オレフィン系共重合体[2]を、質量比において[1]/[2]=99/1〜65/35の割合で含むことを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[1]が、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンと非共役ポリエンを含み、エチレンとα−オレフィンのモル比が55/45〜85/15であることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。
- 前記α−オレフィン系共重合体[2]が、
(a)炭素数4〜20のα-オレフィンを5〜50モル%含有するプロピレン・α−オレフィン共重合体
(b)プロピレンを40〜85モル%、炭素数4〜20のα−オレフィンを5〜30モル%、エチレンを5〜30モル%含有するプロピレン・α−オレフィン・エチレン共重合体
(c)炭素数4〜20のα−オレフィンを70〜100モル%と、炭素数2〜3のα−オレフィン系共重合体を0〜30モル%含有するα−オレフィン系共重合体
から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。 - 前記α−オレフィン系共重合体[2]が、
(d)ブテンを5〜50モル%含有するプロピレン・ブテン共重合体[2−a]
(e)プロピレンを40〜85モル%、ブテンを5〜30モル%、エチレンを5〜30モル%含有するプロピレン・ブテン・エチレン共重合体[2−b]
(f)ブテンを70〜100モル%と、エチレンとプロピレンから選ばれる一つ以上を0〜30モル%含有するブテン・α−オレフィン系共重合体[2−c]
から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。 - 電線の被覆材またはケーブルの被覆材に用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体を含み、被覆層の少なくとも一部である、電線の被覆材又はケーブルの被覆材。
- エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[1]を含有する組成物を架橋して得られる絶縁層と、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体[1]およびα−オレフィン系共重合体[2]を含有する組成物を架橋して得られる半導電層とを有し、前記絶縁層と前記半導電層の少なくとも一部が隣接していることを特徴とする請求項7に記載の電線の被覆材又はケーブルの被覆材。
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