JP2021101005A - エポキシ樹脂粉体塗料及び塗膜熱変色抑制方法 - Google Patents

エポキシ樹脂粉体塗料及び塗膜熱変色抑制方法 Download PDF

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Abstract

【課題】塗装した管を再加熱しても塗膜の変色を抑制でき、均一な塗膜厚で良好な塗膜外観を得ることができる管内面用等として適したエポキシ樹脂粉体塗料を提供する。【解決手段】エポキシ樹脂、硬化剤及び顔料を含むエポキシ樹脂粉体塗料であって、エポキシ樹脂100質量部に対して、顔料に含まれる二酸化チタンを13〜80質量部の範囲で含有し、硬化温度におけるゲルタイムが20〜60秒であるエポキシ樹脂粉体塗料、及びそれを用いた塗装方法。【選択図】なし

Description

本発明は管内面用に適したエポキシ樹脂粉体塗料に関する。詳しくは、貯蔵安定性、放冷硬化性に優れ、塗装外観、耐食性、機械強度に優れた塗膜を得ることのできる管内面用に適した粉体塗料であって、塗装した管を再加熱しても塗膜の変色を抑制する方法に関する。
現在産業・生活施設として埋設されているガス、水道、石油、ケーブル保護管等は、管内面を防食処理されているが、中でも上下水道用に使用される管の内面には、その防食性の高さからエポキシ樹脂脂粉塗料が使用されている。
埋設管に対するエポキシ樹脂粉体塗料の塗装方法としては、回転吹き付け法、静電塗装法、流動浸漬法、減圧吸引法、溶射法が用いられる。一般的に被塗物であるダクタイル鋳鉄管を150〜270℃に予熱し、塗装台に設置し直管などは回転させるか又は異形管などは吊り下げた状態で、空気搬送又は減圧下で吸引した粉体塗料をその内面に吹き付けることにより塗膜層を形成し、同温度で10〜20分程度の後加熱、或いは後加熱なしの放冷により硬化塗膜を得るものである。
一方、そういった塗装方法で塗膜を形成させるが、ピンホールや塗膜表面が荒れた状態になる塗膜外観不良に対して、管を再度加熱(再加熱)し粉体塗料を塗装する方法が提案されている。
また、塗装後の後加熱なしの放冷で塗膜を形成させる場合で、塗装後に所定の温度を下回った場合、再加熱することで塗膜を充分硬化させることもある。
いずれの再加熱の場合も、270℃以上の温度雰囲気下の加熱炉を使用するため、再加熱後に塗膜の変色度が大きくなり、外観不良になる。また再加熱後再塗装を施しても被塗物素地に塗装された塗膜の密着性が劣り、充分な塗膜性能が発揮しない恐れがあることが課題となっていた。
従来より、粉体塗料の着色顔料として、二酸化チタンは白色系や他有色塗料にも処方されているが、二酸化チタン単体での再加熱した場合の変色の抑制効果に言及する事例はなかった。特許文献1、特許文献2などでは、粉体塗料に二酸化チタンが12部配合されているが、塗膜を高温下で再加熱した時は変色を抑制するに満足するものではなかった。
特許文献3では二酸化チタンを使用した色相を維持する方法が提案されているが、高温に曝した場合においても白色の色相を維持するために、二酸化チタン以外の黄色有機顔料が必要であり、むしろ、この黄色有機顔料の退色を樹脂の黄変と同時に起こさせるようにしていることに特徴をもつ。また、この特許文献3では、再加熱に対する変色の抑制効果が開示されていない。白色以外の有色塗料において効果を発揮するためには、更に多くの黄色有機顔料が必要になり、塗膜物性や外観を満足するに至らなかった。
二酸化チタンを含む塗料の変色の抑制に対する特許文献4、特許文献5なども、エポキシ樹脂を用いた例を教えてはおらず、ましてや、一旦硬化した塗膜を再加熱した時の効果などは開示されていない。
特開2016−69550号公報 特開2017−82119号公報 特開2018−131512号公報 特開平10−44315号公報 特開平9−3211号公報
本発明は、塗膜形成した後、270℃以上の高温で再加熱した時も変色度が抑制され塗膜性能を発現する管内面用等として適したエポキシ樹脂粉体塗料を提供するものである。
本発明者らは、一度形成した塗膜を270℃以上で再加熱しても変色度を抑制し、塗膜性能を維持できる粉体塗料中の二酸化チタン配合比を見出し、上記課題を解決できる本発明に至った。
すなわち、本発明は、エポキシ樹脂、硬化剤及び顔料を含むエポキシ樹脂粉体塗料であって、エポキシ樹脂100質量部に対して、顔料に含まれる二酸化チタンを13〜80質量部の範囲で含有し、硬化温度におけるゲルタイムが20〜60秒であることを特徴とするエポキシ樹脂粉体塗料である。
前記エポキシ樹脂はビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、エポキシ当量は700〜3000g/eq.が好ましく、軟化点は70〜130℃が好ましい。
前記エポキシ樹脂は、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
前記硬化剤は、イミダゾリン誘導体及び/又はイミダゾール誘導体が好ましい。
前記エポキシ樹脂粉体塗料は、直管又は異形管の塗装に用いられることが好ましい。
また、本発明は前記エポキシ樹脂粉体塗料で塗装された直管又は異形管であり、270℃で10分間加熱した時の加熱前後の塗膜変色度は3以下であることが好ましい。
更に本発明は、粉体塗料を塗装し造膜した被塗物を再加熱した際の塗膜の変色を抑制する塗装方法であって、エポキシ樹脂、硬化剤及び顔料を含むエポキシ樹脂粉体塗料を使用し、そのエポキシ樹脂粉体塗料は、エポキシ樹脂100質量部に対して、顔料に含まれる二酸化チタンを13〜80質量部の範囲で含有し、硬化温度におけるゲルタイムが20〜60秒であることを特徴とする塗装方法である。
本発明によれば、一旦塗膜が形成された被塗物を再度高温で加熱しても、変色が抑制され塗膜性能を維持することのできるエポキシ樹脂粉体塗料を提供するものである。
以下、本発明を具体的に説明する。本発明のエポキシ樹脂粉体塗料は、エポキシ樹脂、硬化剤及び顔料を必須成分として含有する。
本発明で含有する顔料は、二酸化チタンを必須成分とし、エポキシ樹脂100質量部に対し、二酸化チタンを13〜80質量部の範囲で含有する。好ましくは13〜50質量部の範囲であり、より好ましくは13〜42質量部の範囲である。二酸化チタンがこの範囲未満であると、再加熱したとき変色度が大きくなり、塗膜性能としての密着性が劣り、この範囲を超えると塗料の流動性が悪化し、塗膜の平滑性を損なう恐れがある。二酸化チタン以外の顔料としては、粉体塗料で一般的に使用される着色顔料、体質顔料、光輝顔料、及び防錆顔料等が使用できる。これらの顔料は単独で使用してもよいし、同一系の顔料を2種類以上併用してもよく、また、異なる系の顔料を組み合わせて使用してもよい。
着色顔料としては、二酸化チタンの他に、黄色酸化鉄、チタン黄、ベンガラ、リトポン、及び酸化アンチモン等の無機系顔料や、ハンザイエロー5G、パーマネントエローFGL、シアニンブルー、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルーRS、パーマネントレッドF5RK、ブリリアントファーストスカーレットG、シアニングリーン、カルバゾール、キナクリドンレッド、及びカーボンブラック等の有機顔料等が挙げられる。
体質顔料としては、例えば、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、クレー、シリカ粉、石英系粉、珪藻土、酸化亜鉛、タルク、塩基性炭酸マグネシウム、及びアルミナ等の無機顔料や、内部構造が多孔質、中空構造又は架橋タイプ等の樹脂ビーズを代表とするプラスチック顔料が挙げられる。
光輝顔料としては、例えば、アルミニウム粉、ニッケル粉、ステンレス粉、銅粉、ブロンズ粉、金粉、銀粉、マイカ(雲母)、グラファイト、ガラスフレーク、金属コーティングした硝子粉、金属コーティングしたマイカ粉、金属コーティングしたプラスチック粉、薄片化加工したプラスチック粉、及び鱗片状酸化鉄等が挙げられる。
防錆顔料としては、例えば、縮合リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、縮合リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、亜リン酸アルミニウム、亜リン酸亜鉛、亜リン酸カルシウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸マンガン等が挙げられる。
これらの顔料の内、二酸化チタンの他に酸化鉄、黄色酸化鉄、シリカ粉、石英系粉、炭酸カルシウム、硫酸バリウム及びカーボンブラックが好ましく、シリカ粉、石英系粉及びカーボンブラックがより好ましい。
二酸化チタンを含む全顔料の配合量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、13〜100質量部の範囲が好ましく、20〜80質量部の範囲がより好ましく、30〜70質量部の範囲が更に好ましく、40〜60質量部の範囲が特に好ましい。配合量が少ないと、硬化過程での溶融粘度が低く、ピンホールの発生制御の効果が得られない恐れがあり、また放冷による硬化性が不足し、塗膜の機械特性、防食性等、基本物性も悪くなる恐れがある。配合量が多いと、塗料の流動性が悪く、平滑な塗膜を得られない恐れがあり、更にピンホール発生をはじめとする塗膜外観不良を防ぐことが困難になる恐れがある。顔料の配合量が13〜100質量部の範囲であれば、平塗膜外観が良好で、機械特性、防食性等の基本物性も良好な塗膜が得られる。また、粉体塗料の嵩密度を調整するために2種以上の顔料を混合して使用することができる。
エポキシ樹脂粉体塗料の硬化温度におけるゲルタイムは、20〜60秒の範囲であり、好ましくは30〜50秒の範囲である。硬化温度におけるゲルタイムが20秒よりも早いと塗膜が溶融し平滑になる前に硬化、流動性を損ない、塗膜外観が凹凸になる恐れやざらつく恐れがあり、一方で60秒よりも遅いと塗装終了後硬化が不十分となり、管の端部等にタレを生じ、膜厚が不均一となる恐れがあり、また後加熱を施さないと十分な塗膜物性を発現しない恐れがある。硬化温度に対するゲルタイムが20〜60秒であると塗装後の加熱がなくとも、塗膜外観が良好で、機械特性、防食性等の基本物性も良好な塗膜が得られる。ここで、硬化温度は、加熱炉内温度や環境温度などにより定まるものであり、塗装直前の管温度を接触式又は非接触式温度計などの方法で確認することができる。本発明のエポキシ樹脂粉体塗料については、一般的に塗装後に加熱硬化することなく使用する点から、好ましくはその硬化温度が150〜280℃の範囲内であることがよく、塗料に応じた硬化温度において上記のゲルタイムを満たす必要がある。なお、実硬化温度が不明の場合には、200℃でのゲルタイムを上記範囲に調整することで、200℃前後のある程度の範囲でも十分な塗膜物性の硬化塗膜を得ることができる。
エポキシ樹脂のエポキシ当量(g/eq.)は、好ましくは700〜3000の範囲であり、より好ましくは900〜2500の範囲であり、更に好ましくは1000〜2000の範囲である。エポキシ当量が小さいと粉体塗料とした場合の貯蔵安定性が悪くなり、長期保管したときブロッキングをおこし、塗料として使用できなくなる恐れがある。エポキシ当量が大きいと溶融粘度が高くなり、粉体塗料とした場合ゲルタイムを調整しても流動性が悪く外観が凹凸等の不良になる恐れがある。エポキシ当量が700〜3000の範囲であれば、粉体塗料とした場合、貯蔵安定性に問題のない粉体塗料が得られ、塗膜外観が良好で、機械特性、防食性等の基本物性も良好な塗膜が得られる。
エポキシ樹脂の軟化点は、好ましくは70〜130℃の範囲であり、より好ましくは90〜120℃の範囲であり、更に好ましくは100〜115℃の範囲である。軟化点が低いと粉体塗料のブロッキング性が悪くなる恐れがあり、軟化点が高いと粉体塗料とした場合ゲルタイムが早くなり、塗料の流動性が悪くなる恐れがあり、ゲルタイムを調整しても流動性が悪く塗膜表面の平滑性が損なわれる恐れがある。軟化点が70〜130℃の範囲であれば、粉体塗料とした場合、ブロッキング性に問題のない粉体塗料が得られ、塗膜外観が良好で、機械特性、防食性等の基本物性も良好な塗膜が得られる。
本発明で使用するエポキシ樹脂としては、固形であれば特に制限は無いが、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、芳香族環は置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、フェニル基又はα−メチルベンジル基が好ましく、メチル基又はα−メチルベンジル基がより好ましい。置換基の数としては芳香族環に対し、1又は2個がよい。エポキシ樹脂としては、具体的にはビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でもビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
ビスフェノール型エポキシ樹脂には、通常ビスフェノール類とエピクロルヒドリンの縮重合反応によって得られる直接法エポキシ樹脂と、ビスフェノール類と大過剰のエピクロルヒドリンの縮合反応によって得られる液状ビスフェノール型エポキシ樹脂を、更にビスフェノール類と付加重合させて得られる間接法エポキシ樹脂がある。
本発明で使用するエポキシ樹脂としては、直接法エポキシ樹脂及び間接法エポキシ樹脂のいずれでもよいが、直接法エポキシ樹脂が好ましい。直接法エポキシ樹脂は、間接法エポキシ樹脂に比較して分子量分布が狭く、硬化前には溶融粘度の低い粉体塗料が得られる。
なお、ビスフェノール類には市販のビスフェノールFのように、2つのフェノール基を有する2核体の他に、3つ以上のフェノール基を有する多核体を含有するものが存在する。そのため、ビスフェノール類の2核体純度はゲルパーミエイションクロマトグラフィー測定で、70面積%以上が好ましく、90面積%以上がより好ましい。特に間接法エポキシ樹脂の製造には、95面積%以上の高純度のビスフェノール類を使用することが好ましい。
次に、硬化剤について説明する。
本発明で使用する硬化剤としては、イミダゾリン誘導体、イミダゾール誘導体又はこれらの混合物が好ましい。イミダゾリン誘導体としては、例えば、メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等が挙げられる。イミダゾール誘導体としては、例えば、メチルイミダゾール、ドデシルイミダゾール、フェニルイミダゾール等や、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド等の四級塩類や、2−メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物や、2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル−(1’))−エチル−s−トリアジン等のトリアジン環含有物等が挙げられる。
これらの中では、イミダゾリン誘導体としては、2−フェニルイミダゾリンが、イミダゾール誘導体としては、2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル−(1’))−エチル−s−トリアジン又は2−フェニルイミダゾールが特に好ましい。これらの硬化剤であれば、粉体塗料とした場合、特定のゲルタイムを効果が得られる範囲にする調整が簡単にできるので、塗膜外観が良好で、機械特性、防食性等の基本物性も良好な塗膜が得られる。
また、特性を損なわない範囲で、有機酸ヒドラジド、変性芳香族アミンアダクト、トリメリット酸とエチレングリコールを主体とした酸無水物の併用を妨げるものではない。
硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲が好ましく、1〜6質量部の範囲がより好ましい。配合量が少ないと粉体塗料とした場合のゲルタイムが遅くなり、硬化が不十分な塗膜になる恐れがある。配合量が多いと粉体塗料とした場合のゲルタイムが速くなり、得られる塗膜もシワ、ザラツキ等外観不良を起こす恐れがあり、また貯蔵安定性が悪くなる恐れがある。硬化剤の配合量が0.1〜10質量部の範囲であれば、粉体塗料とした場合のゲルタイムが適切な範囲となり、貯蔵安定性に問題のない粉体塗料が得られる。そして、機械特性、防食性等の基本物性も良好な塗膜が得られる。粉体塗料のゲルタイムと硬化時の溶融粘度を調整するために2種以上の硬化剤を混合して使用することができる。
本発明のエポキシ樹脂粉体塗料には、本発明の目的を阻害しない限り、一般塗料用添加剤として、可塑剤、硬化促進剤、架橋促進触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、タレ止剤、酸化防止剤、表面調整剤、流れ性調整剤、及び消泡剤等を必要に応じで配合してもよい。酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]等のフェノール系酸化防止剤、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。流れ性調整剤や表面調整剤としては、アクリル系重合体等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂粉体塗料は、好ましくは管内面の塗装に適用される。所定の管を150〜280℃、好ましくは160〜270℃、より好ましくは170〜250℃、更に好ましくは180〜230℃の範囲のうちの一定の温度に予熱した後、管内面に塗装される。塗装には、このような加熱により硬化塗膜が形成されることまでを含むが、上記予熱温度で硬化塗膜が形成されることがよい。塗装後の管温度が130℃を下回ることや、ピンホールや塗膜外観に不良が発生した場合、再度270℃以上の予熱炉内を通過させ塗膜を充分硬化させる再加熱が行われるが、加熱時間は5〜15分が好ましく、5〜10分がより好ましい。このような再加熱を行っても、本発明のエポキシ樹脂粉体塗料であれば、塗膜の変色度が抑制され、尚且つ塗膜性能も維持することが可能である。また、再加熱した塗膜の上から塗装し塗膜を形成しても塗膜性能を満たすことが可能である。この時の塗膜の変色度は3以下であればよく、2.5以下が好ましく、2以下がより好ましく、1以下がさらに好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等に限定されるものではない。また、実施例において、特に断りがない限り、「部」及び「%」は質量基準によるものである。エポキシ当量の単位は、g/eq.である。
エポキシ樹脂の評価は次の方法による。
(1)エポキシ当量:JIS K 7236の規格に準拠して測定した。
(2)軟化点:JIS K 7234の規格に準拠して測定した。
実施例、比較例で得られた粉体塗料の評価方法を以下に示す。
(1)ゲルタイム:200℃に加熱したホットプレート上に粉体塗料0.1gを乗せ溶融した時点からフッ素樹脂製丸棒で掻き混ぜ、ゲル化するまでの時間を測定した。
塗膜物性の評価方法を以下に示す。
(1)可撓性試験:JIS Z 5528、5.4.4の規格に準拠して、JIS Z 2247でエリクセン試験を行い、可撓性を判断した。
3mm以上:○、 3mm未満:×
(2)付着性試験:塗膜にカッターで素地までの切れ込みを30°の角度でクロスに入れて切れ込みから塗膜の割れや剥がれがないか確認し判断した。
割れ、はがれなし:○、 割れ、はがれあり:×
(3)塗膜外観試験:試験板の塗装面を目視にて塗膜外観異常を評価した。
異常なし:〇、 異常あり:×(シワ、ザラツキあり)
(4)塗膜変色度:再加熱前の塗膜の色相(L1、a1、b1)及び再加熱後での塗膜の色相(L2、a2、b2)を色差計で測定し、変色度を下記数式(1)のΔEで判断した。
[数式(1)]
ΔE=〔(L2−L1)2 +(a2−a1)2 +(b2−b1)21/2 (1)
合成例1
撹拌機、窒素導入管、側温抵抗体、滴下装置及び冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに49%苛性ソーダ水溶液110.6部と水399部を仕込み、撹拌しながら系内水分を窒素置換した。次にビスフェノールF(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、2核体純度97面積%)を200部添加し、系内温度を50℃に制御して撹拌溶解した。次いで、エピクロルヒドリン110.5部を滴下ロートから投入した。投入後、系内温度を92℃に制御して2時間反応を行った。反応終了後、メチルイソブチルケトン330部を加え15分間撹拌後静置して、下層の水を除去した。次いでリン酸で中和、水洗を行い、水層を除去し、ろ過した後メチルイソブチルケトンを留去してエポキシ樹脂(A1)を得た。エポキシ当量は1350、軟化点は92℃であった。
合成例2
250部のエピクロルヒドリンを使用した以外は合成例1と同様の装置、操作を行い、エポキシ樹脂(A2)を得た。エポキシ当量は900、軟化点は84℃であった。
合成例3
102部のエピクロルヒドリンを使用した以外は合成例1と同様の装置、操作を行い、エポキシ樹脂(A3)を得た。エポキシ当量は2500、軟化点は119℃であった。
合成例4
撹拌機、窒素導入管、側温抵抗体、滴下装置及び冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに、YDF−8170(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量159)500部とビスフェノールF126部を仕込み120℃で溶解した後、トリフェニルホスホニュウムブロマイド0.12部添加し160℃で2時間反応した。その後、ビスフェノールFを150部仕込み130℃で溶解しトリフェニルホスホニュウムブロマイドを0.15部添加し180℃で5時間加熱し反応を終了して、エポキシ樹脂(A4)を得た。エポキシ当量は2500、軟化点は118℃であった。
実施例及び比較例で使用した略号の説明は以下のとおりである。
[エポキシ樹脂]
合成例1〜4で得られたエポキシ樹脂(A1)〜エポキシ樹脂(A4)
[硬化剤]
2PZL:2−フェニルイミダゾリン(四国化成工業株式会社製、キュアゾール2PZL)
2MZ−A:2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル−(1’))−エチル−s−トリアジン(四国化成工業株式会社製、キュアゾール2MZ−A)
2PZ:2−フェニルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、キュアゾール2PZ)
[顔料]
珪石粉:平均粒径50μm
二酸化チタン:着色顔料(テイカ株式会社製、JR−301)
カーボンブラック:着色顔料(三菱ケミカル株式会社製、MA−100)
[その他]
ニカライト:アクリル系重合体(日本カーバイド工業株式会社製、ニカライトXK−81)
モダフロー:アクリル系重合体(日本モンサント株式会社製、モダフローIII)
実施例1
エポキシ樹脂としてエポキシ樹脂(A1)100部、硬化剤として2PZL1.0部と2PZ0.4部と2MZ−A0.7部、顔料として珪石粉33.8部と二酸化チタン13.0部とカーボンブラック0.4部、その他の添加剤としてニカライト0.5部を混合した。混合物をヘンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製、形式10B)を用いてドライブレンドし、次いでエクストルーダー(池貝鉄工株式会社製、PCM−30)を用いて100℃で溶融混練を行い、冷却ロールを用いて厚さ3〜5mmまでフレーキングし、常温まで冷却後に微粉砕、分級により粉体塗料を得た。ゲルタイムを表1に示した。
1.2mm×70mm×150mmのSPCC−SB鋼板を200℃の熱風循環オーブン中で30分間予熱した。予熱後取り出し垂直に吊るした状態で塗装ブースに設置して、塗装ガンで膜厚が200〜300μmになるように上下1往復半塗装した。塗装後、室温で常温になるまで放冷して、可撓性試験用試験板(再加熱前)を得た。評価結果を表1に示した。
得られた試験板を270℃で10分間加熱し、再加熱後の可撓性試験用試験板を得た。評価結果を表1に示した。
2.0mm×70mm×150mmのSPCC−SB鋼板を200℃の熱風循環オーブン中で30分間予熱した。予熱後取り出し垂直に吊るした状態で塗装ブースに設置して、塗装ガンで膜厚が300μmになるように上下1往復半塗装した。塗装後、室温で常温になるまで放冷して、付着性試験用、塗膜外観試験用及び塗膜変色度測定用の試験板(再加熱前)を得た。評価結果を表1に示した。
得られた試験板を270℃で10分間加熱し、再加熱後の付着性試験用、塗膜外観試験用及び塗膜変色度測定用試験板を得た。評価結果を表1に示した。
実施例2〜6、比較例1〜5
表1の処方の配合量(部)で配合し、実施例1と同様の装置を使用して、同様の操作で、粉体塗料、試験板を得た。実施例1と同様の試験を行い、その結果を表1に示した。
Figure 2021101005

Claims (8)

  1. エポキシ樹脂、硬化剤及び顔料を含むエポキシ樹脂粉体塗料であって、エポキシ樹脂100質量部に対して、顔料に含まれる二酸化チタンを13〜80質量部の範囲で含有し、硬化温度におけるゲルタイムが20〜60秒であることを特徴とするエポキシ樹脂粉体塗料。
  2. エポキシ樹脂が、ビスフェノール型エポキシ樹脂であり、エポキシ当量が700〜3000g/eq.であり、軟化点が70〜130℃である請求項1に記載のエポキシ樹脂粉体塗料。
  3. エポキシ樹脂が、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つである請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂粉体塗料。
  4. 硬化剤が、イミダゾリン誘導体及び/又はイミダゾール誘導体である請求項1〜3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂粉体塗料。
  5. 直管又は異形管の塗装に用いられる請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂粉体塗料。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂粉体塗料を塗装してなる直管又は異形管。
  7. 270℃で10分間加熱した時の加熱前後の塗膜変色度が3以下である請求項6に記載の直管又は異形管。
  8. 粉体塗料を塗装し造膜した被塗物を再加熱した際の塗膜の変色を抑制する塗装方法であって、エポキシ樹脂、硬化剤及び顔料を含むエポキシ樹脂粉体塗料を使用し、そのエポキシ樹脂粉体塗料は、エポキシ樹脂100質量部に対して、顔料に含まれる二酸化チタンを13〜80質量部の範囲で含有し、硬化温度におけるゲルタイムが20〜60秒であることを特徴とする塗装方法。
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