JP5613516B2 - 鋳鉄管用粉体塗料及び鋳鉄管 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳鉄管用粉体塗料及び鋳鉄管に関する。
エポキシ樹脂を用いたエポキシ粉体塗料は、耐腐食性や密着性、耐水性、耐薬品性および機械的特性等に優れた性質を持っており、エレクトロニクス分野のみならず、防食用塗料として上下水道管、工業用水管、ガス管など土木・建築分野において広く使用されている。
これら各種の用途のうち、土木・建築分野で用いられる鋳鉄管用途においては、物性バランスの良好さから一般にビスフェノールA型(BPA型)エポキシ樹脂が使用されている。しかし、充分な防食性や長期の信頼性を確保するために通常の粉体塗料と比較して厚膜とする必要があるため、塗膜の外観(ピンホール性・表面平滑性)の悪化を招き易いといった問題や気候変動(季節温度)による温度差の異なる条件下での塗膜密着性の低下等の問題点があった。
特に、最近では、ビスフェノールAの環境ホルモンの問題があり、より安全性を求めてビスフェノールF型(BPF型)のエポキシ樹脂を使用するケースも増えてきている(下記特許文献1参照)。
また、粉体塗料による塗膜形成に当たっては、塗膜性能を低下する要因を踏まえて、種々の改良が提案されてきた。例えば、従来の固形ビスフェノールF型エポキシ樹脂を用いた粉体塗料においては、エポキシ樹脂のエポキシ当量・分子量・2核体成分の純度等樹脂の設計からの改良や、球状の無機充填剤をフィラーに用いる等の改良手法が提案されてきた(下記特許文献2参照)。
特許第2813986号公報 特開平9−100425号公報
しかし、BPF型エポキシ樹脂は、BPA型エポキシ樹脂と異なり、原料のBPF自体に多官能成分を有しているために、直鎖状の分子だけでなく、分岐構造を有した構造になっている。
この為、BPF型エポキシ樹脂は、BPA型エポキシ樹脂とは硬化性も塗膜物性も異なり、制御が難しいことから、より最適な塗料設計・硬化システムの構築が望まれている。
また、従来より、鋳鉄管は遠心鋳造することから、管の内側表面には、ひけ巣、ドロス(金属等不純物)、皺(凸)等が発生する。そのため鋳鉄管表面をグラインダー研磨等で処理し、ひけ巣、ドロス、皺(凸)等をできるかぎり除く処理が施される。しかし、これらの完全な除去は困難なことと、研磨によって鋳鉄管の内面に微細な傷(凸凹)が残ることが、必然的に塗膜の外観不良(ピンホール性・レベリング性)や塗膜の密着性低下をもたらす要因となっている。しかしながら、従来の改良による塗膜の特性は十分満足されるものではなく、更なる改良が望まれている。
更に、鋳鉄管は地中に埋設されることもあり、季節変動による寒暖の差や湿度の変化といった厳しい環境にも耐えうる塗膜の密着性保持が必要となってきていることからも、更なる改良が強く望まれている。
本発明が解決しようとする課題は、ピンホール性とレベリング性(表面平滑性)の両方を改善し、かつ気候変動による温度差に対しても密着性に優れた鋳鉄管用粉体塗料及び鋳鉄管を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、球状多孔質のシラスバルーンをフィラーとして使用することで、鋳鉄管用粉体塗料における塗膜外観(レベリング性、ピンホール性)、防食性(塩水噴霧試験等)及び気候条件の変動(温度差・湿度の変化)にも耐え得る塗膜密着性(温度差密着性試験)を高度に兼備した鋳鉄管用粉体塗料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の鋳鉄管用粉体塗料は、エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)とフィラー(C)を含有する鋳鉄管用粉体塗料であって、前記フィラー(C)が、多孔質の球状であるシラスバルーン(C1)を必須成分とすることを特徴とする。
また、本発明の鋳鉄管は、本発明の鋳鉄管用粉体塗料が内面に塗布されていることを特徴とする。
本発明の鋳鉄管用粉体塗料は、球状で多孔質のシラスバルーンをフィラーの必須成分として使用することにより、塗膜の外観(ピンホール性・レベリング性)、各種塗膜性能(塩水噴霧試験[防食性]、温度差密着性試験等)が向上する。
本発明に用いられるエポキシ樹脂(A)は、特に限定されるものではないが、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、或いは、これらの1種または2種以上をハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、2−ターシャリブチルハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、ビフェノール、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールF)、テトラメチルビスフェノールF等の2価フェノール類と反応させて得られるエポキシ樹脂が挙げられる。本発明では特にピンホール性とレベリング性とのバランスを考えると、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、或いは、これらを2価フェノール類と反応させて得られるエポキシ樹脂が好ましい。
本発明では、本発明の効果を損なわない範囲でエポキシ樹脂(A)の一部として、上記以外に他のエポキシ樹脂(A’)を併用してもよい。ここで使用できる他のエポキシ樹脂(A’)とは、例えば、2官能エポキシ樹脂としては、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールADノボラック樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;トリシクロデセンオキサイド基を有するエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂のエポキシ化物等の環式脂肪族エポキシ樹脂;ダイマー酸グリシジルエステル、トリグリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジルp−アミノフェノール、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂;フロログリシノールトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシフェニルメタントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]−2−プロパノール等の3官能型エポキシ樹脂;テトラヒドロキシフェニルエタンテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ビスレゾルシノールテトラグリシジルエーテル、テトラグリシドキシビフェニル等の4官能型エポキシ樹脂;n−ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、ビニルシクロヘキセンモノエポキサイド等の1官能性エポキシ化合物が挙げられる。
上記した他のエポキシ樹脂(A’)を併用する場合、エポキシ樹脂(A)成分全体に対して他のエポキシ樹脂(A’)が1〜20%の範囲内となる様に配合することが好ましい。また、1種のエポキシ樹脂を単独で用いる場合においても、或いは2種以上のエポキシ樹脂を併用する場合においても、エポキシ樹脂(A)全体としてのエポキシ当量は600〜1,500、軟化点が70〜130℃であることが、流動性や硬化性に加え、更に塗料の貯蔵安定性に優れる点から好ましい。
次に、本発明で用いられる硬化剤(B)としては、特に限定されるものではないが、例えば、イミダゾール系化合物、イミダゾリン系化合物、ジシアンジアミド、酸無水物、ポリカルボン酸ヒドラジド及びその誘導体、フェノール樹脂及びその誘導体等が挙げられる。なかでも、イミダゾール系化合物、イミダゾリン系化合物またはポリカルボン酸ヒドラジド及びその誘導体を単独または併用して用いることが塗膜の防食性、化撓性、密着性および強度が著しく良好となる点から好ましい。
ここで上記硬化剤(B)として用いられるイミダゾール系化合物としては、特に限定されるものではないが、例えばイミダゾール、メチルイミダゾール、ドデシルイミダゾール、ヘプタデシルイミダゾール、フェニルイミダゾール等やそれらの1−シアノエチル化物、1−シアノエチル化物・トリメリット酸混合物、イソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
また、イミダゾリン系化合物としては、メチルイミダゾリン、ドデシルイミダゾリン、ヘプタデシルイミダゾリン、フェニルイミダゾリン等が挙げられる。
これらは、単独で、あるいは2種以上組み合わせて使用することが出来る。
また、酸無水物としては、特に限定されるものではないが、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸等が挙げられる。
また、ポリカルボン酸ヒドラジド及びその誘導体としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリカルボン酸ヒドラジドとしては、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等が挙げられる。その誘導体としては、例えば、N−シクロヘキシル−β−アミノプロピオンヒドラジド、N−フェニル−β−アミノプロピオンヒドラジド、N−ブチル−β−アミノプロピオンヒドラジド、N−ベンジル−β−アミノプロピオンヒドラジド等のN−置換−β−アミノプロピオンヒドラジド類が挙げられる。
また、フェノール樹脂及びその誘導体としては、常温で固形であれば特に限定されず、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、クレゾールホルムアルデヒド樹脂、ビスフェノールAホルムアルデヒド樹脂やトリアジンとの反応物、ビスフェノール類とビスフェノール型エポキシ樹脂との反応物が挙げられる。
本発明で用いられるフィラー(C)としては、多孔質の球状であるシラスバルーン(C1)を必須成分とすることを特徴とする以外は、特に限定されるものではないが、本発明は、シラスバルーン(C1)を単独で用いることも、他のフィラー(C2)と併用することもできる。
併用する場合における他のフィラー(C2)としては、硫酸バリウム、タルク、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、シリカ(酸化ケイ素)、酸化チタン、アルミナ(酸化アルミニウム)、マイカ等が挙げられる。これらは単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
シラスバルーン(C1)は、流動性の面から平均粒径が10〜300μm、更には、30〜100μmとなる範囲が好ましい。
また、シラスバルーン(C1)の熱伝導率は、温度差による影響による塗膜密着性を維持する上で、0.01〜0.20kcal/m−h−℃、更には、0.05〜0.10kcal/m−h−℃となる範囲が好ましい。
更に、シラスバルーン(C1)のかさ比重(見掛け比重)は、0.05〜0.50、更に0.10〜0.40であれば、低使用量での効果も可能となり好ましい。かさ比重は、例えばJIS K 5101(顔料試験方法)の第12部(見掛け密度又は見掛け比容)に準じて測定した見掛け密度を、g/cmの単位で表した数値として求めることができる。
本発明に使用するシラスバルーンは、球状であることから、塗料の流動性が通常の顔料(フィラー)よりも良好となり、鋳鉄管のひけ巣等から発生するガス又は塗料中から発生するガスを塗膜が硬化する前に速やかに塗膜の外に排出し、ピンホールの発生を軽減させることが可能となり、重ねて流動性が良くなることから、塗膜の平滑性(レベリング性)も向上し、塗膜外観も良好なものが得られる。
また、シラスバルーンの粒径を制御することで、微細な凸凹の内面(傷・欠陥部分)においても塗料が浸透し易くなり、結果、塗膜密着性の低下を抑制できることにも繋がる。
密着性・流動性が向上することにより、鋳鉄管の配管時の切管時や家庭に水を送るための穿孔時の塗膜剥離も抑制低減でき、結果、防食性の維持も可能となる。更に、地中に埋設される鋳鉄管は、通水される水の温度が夏場と冬場により異なり管外面と内面(水温)とに温度差が生じることから、近年、温度差試験が塗膜性能試験による密着性が重要な項目として挙げられている。従来の塗料では、この温度差が塗膜に影響を与え、塗膜の膨れ、剥離等に結びつき易いとの問題点が指摘されている。シラスバルーンは熱伝導度も低いことから、塗膜中にシラスバルーンが含まれることにより、塗膜の内外の温度差を緩和する事ができ、塗膜の密着性も堅持することが可能となる。
また、シラスバルーンは、中空であり、かさ比重も小さいことから、低添加量で軽量且つ十分な塗膜性能を得られるという利点も挙げられる。
フィラー(C)の含有量は、多すぎると塗料の流動性が悪化することから、粉体塗料全体に対する重量百分率で5〜50%が好ましく、5〜30%となる範囲が塗膜性能を最適にする上で、より好ましい。
本発明は、シラスバルーン(C1)を単独で用いる場合は勿論、他のフィラー(C2)との併用でも効果が得られる。これは、鋳鉄管を回転させての粉体塗装では、比重差の関係で遠心力が働き、溶融した粉体塗料の粘性が低い場合には、選択的に低比重のシラスバルーンが塗膜表面に配向(傾斜構造)し、あるいは粘性が高い場合には、低比重のシラスバルーンと高比重の他フィラーの比重が平均化され結果的に他フィラーとも均一に分散するためである。
上述した他のフィラー(C2)の比重(2種類以上の場合は全体の重量と全体の体積から求められる平均値)は、粉体塗料の溶融時における分散性やシラスバルーン(C1)のかさ比重との関係等も考慮して、例えば2.0〜4.5となる範囲が好ましい。
シラスバルーン(C1)を他のフィラー(C2)と併用する場合、塗料全体に対するシラスバルーン(C1)の含有量は、上述したフィラー(C)の含有量の範囲内であることが好ましい。また、一般に他のフィラー(C2)は樹脂に比べて熱伝導性が高いため、シラスバルーン(C1)が少なすぎると熱伝導性を低下させる効果が得にくくなることから、フィラー(C)全体に対しシラスバルーン(C1)が5〜100重量%となる範囲であることが好ましい。
本発明の鋳鉄管用粉体塗料には、必要に応じて硬化促進剤、顔料、着色料、流展剤、ワキ防止剤、アエロジル等の添加物を配合することができる。
硬化促進剤としては特に限定されるものではないが、例えば、コハク酸、アジピン酸、サリチル酸、セバチン酸等の有機酸が挙げられる。
また、顔料としては、上記のフィラー(C)が体質顔料として機能するため、特に他の顔料を用いる必要はないが、場合により、更に他の顔料を併用することもできる。
また、着色料としては、例えば、酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド等が挙げられる。これらの顔料又は着色料の使用量は特に限定されないが、粉体塗料中10〜50重量%となる範囲であることが好ましい。
本発明の粉体塗料の製造(塗料化)は、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、多孔質の球状であるシラスバルーン(C1)を必須成分としたフィラー(C)、更に必要に応じその他の添加剤などを粗粉砕して配合し、この配合物をヘンシェルミキサー等を用いて均一に粉砕混合した後、加熱されたニーダーや押し出し機を用いて溶融混錬し、冷却後粉砕、分級する方法が挙げられる。
このようにして得られる本発明の鋳鉄管用粉体塗料は、塗着効率が良好となる点から平均粒子径10μm以上が好ましく、塗装表面の平滑性が良好となる点から、20〜150μmであることが好ましい。
また、被塗物である鋳鉄管としては、特に限定されないが、直管、異形管、及びその付属品類等が挙げられる。
鋳鉄管内表面への塗布は、塗布前に鋳鉄管内外面の錆やその他の付着物を除去した後に、用いる塗料に適した方法で行うのが好ましい。塗布方法としては、特に限定されるものではないが、吹き付け塗装、静電吹き付け塗装、遠心投射法、流動浸漬塗装等の方法が挙げられる。上記方法の中でも特に吹き付け塗装が好ましく、具体的方法としては、鋳鉄管を200℃以上に予熱し、500rpm(毎分の回転数)程度で回転させながら内面に吹き付け塗装をする等が挙げられる。また、塗膜の膜厚は、0.1〜1.0mmであることが、防食性およびピンホール防止の点からも好ましい。
以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[合成例1]
攪拌機、温度計、冷却機を備えた2リットルの四つ口フラスコにビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC株式会社製 EPICLON 830、エポキシ当量172g/eq.)700gと、ビスフェノールF300gと、50%テトラメチルアンモニウムクロライド0.22gを入れ攪拌し、140℃まで約2時間かけて昇温し、更に140℃で5時間攪拌しエポキシ樹脂(1)を得た。得られたエポキシ樹脂(1)は、エポキシ当量1050g/eq.、軟化点89℃であった。
[実施例1〜5及び比較例1〜3]
合成例1で得られたエポキシ樹脂(1)100部に対して、硬化剤およびフィラーを表1に示す割合で配合し、ヘンシェルミキサーを用いて充分に粉砕・混合した。その後、エクストルーダーとしてBuss社製「コ・ニーダ PCS−30」を用い、溶融混練し、押出し、冷却後粉砕、分級して粒径20〜100μmの粉体塗料を得た。
得られた粉体塗料を用いて、各実施例並びに比較例の硬化塗膜の外観(ピンホール性・レベリング性)、防食性(塩水噴霧試験)、密着性(温度差密着試験)の評価を以下の基準に従って行った。
[ピンホール性の評価]
実施例1〜5及び比較例1〜3で製造した粉体塗料をそれぞれ使用した試験片は、直径100mm×長さ50cmのダクタイル鋳鉄管を200〜220℃で予熱し、鋳鉄管を500rpmで回転させながら、内面に吹きつけ塗装を行い、放冷して、膜厚250〜350μmの塗膜を形成することにより作製した。
粉体塗料のピンホール性は、各試験片の塗膜表面の外観を目視にて観察し、下記の基準で評価した。この結果を表1に示す。
○ : ピンホールなし
× : ピンホールあり
[レベリング性の評価]
実施例1〜5及び比較例1〜3で製造した粉体塗料をそれぞれ使用した試験片は、直径100mm×長さ50cmのダクタイル鋳鉄管を200〜220℃で予熱し、鋳鉄管を500rpmで回転させながら、内面に吹きつけ塗装を行い、放冷して、膜厚400〜500μmの塗膜を形成することにより作製した。
粉体塗料のレベリング性は、各試験片の塗膜表面の外観を目視にて観察し、下記の基準で評価した。この結果を表1に示す。
○ : 光沢有、ざらつき無
△ : 光沢無、ざらつき無
× : 光沢無、ざらつき有
[塩水噴霧試験]
実施例1〜5及び比較例1〜3で製造した粉体塗料をそれぞれ使用した試験片は、ショットブラストにより酸化スケールを除去した150mm×70mm×7.0mmのダクタイル鋳鉄片を200〜220℃に加熱し、鋳鉄片の表面に粉体塗料の吹き付け塗装を行い、放冷して、厚さ300μm前後の塗膜を形成することにより作製した。
粉体塗料の塩水噴霧試験は、各試験片への塩水噴霧をJIS K 5600−7−1により行い、1000時間後の塗膜の状態を目視にて観察し、及び傷口にナイフを入れてのクリープの剥離幅を確認した。この結果を表1に示す。
○ : ブリスター等の異常なし、剥離幅が小さい
× : ブリスター等の異常あり、剥離幅が大きい
[温度差試験]
塩水噴霧試験と同様の方法で作製した試験片を使用して、湿度90%で、−10℃〜50℃までの24時間を単位とするヒートサイクル(−10℃で8時間、温度上昇に8時間、50℃で8時間、温度降下に8時間)をかけられる恒温恒室機に放置し、1ヵ月(30日)後の塗膜のフクレ(鋳鉄片からの剥離)を目視にて確認した。
粉体塗料の温度差試験は、下記の基準で密着性を評価した。この結果を表1に示す。
○ : フクレなし
× : フクレあり
Figure 0005613516
なお、表1において、「部」は重量部である。
また、フィラーに用いたシラスバルーンは、以下のとおりである。
シラスバルーン(1):平均粒径80μm、熱伝導率0.06kcal/m−hr−℃、かさ比重0.18。
シラスバルーン(2):平均粒径40μm、熱伝導率0.05kcal/m−hr−℃、かさ比重0.35。

Claims (6)

  1. エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)とフィラー(C)を含有する鋳鉄管用粉体塗料であって、
    前記エポキシ樹脂(A)が、ビスフェノールF型エポキシ樹脂からなり、
    前記フィラー(C)が、多孔質の球状であるシラスバルーン(C1)を必須成分とすることを特徴とする鋳鉄管用粉体塗料。
  2. フィラー(C)が、シラスバルーン(C1)からなる請求項1に記載の鋳鉄管用粉体塗料。
  3. シラスバルーン(C1)のかさ比重が0.05〜0.50である請求項2に記載の鋳鉄管用粉体塗料。
  4. フィラー(C)として、硫酸バリウム、タルク、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、シリカ、酸化チタン、アルミナ、マイカからなる群から選ばれる1種または2種以上の他のフィラー(C2)を、シラスバルーン(C1)とともに含む請求項1に記載の鋳鉄管用粉体塗料。
  5. 他のフィラー(C2)の比重が2.0〜4.5である請求項4に記載の鋳鉄管用粉体塗料。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の鋳鉄管用粉体塗料が内面に塗布されていることを特徴とする鋳鉄管。
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