JP7101008B2 - エポキシ樹脂粉体塗料 - Google Patents
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Description
また、上記ビスフェノール類としては、テトラメチルビスフェノールF、ビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールA又はビスフェノールA挙げられる。
また、本発明は上記のエポキシ樹脂粉体塗料で塗装された直管又は異形管である。
また、本発明は上記の塗装方法で塗装された直管又は異形管である。
本発明のエポキシ樹脂粉体塗料は、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)及び顔料(C)を必須成分として含有する。
エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量(g/eq.)は、好ましくは700~3000の範囲であり、より好ましくは900~2500の範囲であり、更に好ましくは1000~2000の範囲である。エポキシ当量が小さいと粉体塗料とした場合の貯蔵安定性が悪くなり、長期保管したときブロッキングをおこし、塗料として使用できなくなる恐れがある。エポキシ当量が大きいと溶融粘度が高くなり、粉体塗料とした場合ゲルタイムを調整しても流動性が悪く外観が凹凸等の不良になる恐れがある。エポキシ当量が700~3000の範囲であれば、粉体塗料とした場合、貯蔵安定性に問題のない粉体塗料が得られ、塗膜外観が良好で、機械特性、防食性等の基本物性も良好な塗膜が得られる。
本発明で使用するエポキシ樹脂(A)としては、直接法エポキシ樹脂及び間接法エポキシ樹脂のいずれでもよいが、直接法エポキシ樹脂が好ましい。直接法エポキシ樹脂は、間接法エポキシ樹脂に比較して分子量分布が狭く、硬化前には溶融粘度の低い粉体塗料が得られる。
本発明で使用する硬化剤(B)としては、イミダゾリン誘導体、イミダゾール誘導体又はこれらの混合物が好ましい。イミダゾリン誘導体としては、例えば、メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等が挙げられる。イミダゾール誘導体としては、例えば、メチルイミダゾール、ドデシルイミダゾール、フェニルイミダゾール等や、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド等の四級塩類や、2-メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物や、2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン等のトリアジン環含有物等が挙げられる。
これらの中では、イミダゾリン誘導体としては、2-フェニルイミダゾリンが、イミダゾール誘導体としては、2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン又は2-フェニルイミダゾールが特に好ましい。これらの硬化剤であれば、粉体塗料とした場合、特定のゲルタイムを効果が得られる範囲にする調整が簡単にできるので、塗膜外観が良好で、機械特性、防食性等の基本物性も良好な塗膜が得られる。
また、特性を損なわない範囲で、有機酸ヒドラジド、変性芳香族アミンアダクト、トリメリット酸とエチレングリコールを主体とした酸無水物の併用を妨げるものではない。
顔料(C)としては、粉体塗料で一般的に使用される着色顔料、体質顔料、光輝顔料、及び防錆顔料等が使用できる。これらの顔料は単独で使用してもよいし、同一系の顔料を2種類以上併用しても良く、また、異なる系の顔料を組み合わせて使用してもよい。
塗着しなかった粉体塗料は塗料供給槽に戻され、循環使用される。この塗装方法では、粉体塗料が被塗物表面に付着する力は被塗物表面に形成された溶融層の粘着力によるもののため、良好な硬化塗膜を得るためには、粉体塗料の粒度分布、嵩密度とともに、予熱温度での硬化速度(ゲルタイム)を管理することが重要になる。本発明のエポキシ樹脂粉体塗料であれば、厚みの均一性、防食性等の基本的な塗膜物性を備え、ピンホールの発生等の無い良好な硬化塗膜を得ることができるとともに、リサイクル使用も可能である。
(1)エポキシ当量:JIS K7236に準拠して測定した。
(2)軟化点:JIS K7234に準拠して測定した。
(1)ゲルタイム:200℃に加熱したホットプレート上に粉体塗料0.1gを乗せ溶融した時点からフッ素樹脂製丸棒で掻き混ぜ、ゲル化するまでの時間を測定した。
(2)粒度分布D10,D90:粒度分布計による湿式レーザー回析法で測定した。
(3)嵩密度:パウダーテスターを用い100cm3の容器に一定振動でロートから塗料を投入する、容器上部にあふれた塗料を擦切り、容器ごとの重量を測定して嵩密度(g/cm3)を算出した。
(4)ブロッキング性:粉体塗料を40℃で2週間貯蔵した後の塗料の状態を以下の判定で表示した。
ブロッキングなし:○、 ブロッキングあり:×
(1)可撓性試験は、JIS Z 5528、5.4.4の規格に従い、JIS Z 2247でエリクセン試験を行い、可撓性を判断した。
3mm以上:○、 3mm未満:×
割れ、はがれなし:○、 割れ、はがれあり:×
塗装管内面を目視にて塗膜外観異常を評価した。
異常なし:〇、 異常あり:×
異常ありの場合、異常の種類により次のように記した。
ザラツキ:×1
凹凸:×2
シワ:×3
硬化性の確認としてMEKラビングテスト(1kg荷重/10往復)を行い、以下の基準で判断した。
塗膜付着なし:○、 塗膜付着あり:×
撹拌機、窒素導入管、側温抵抗体、滴下装置及び冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに49%苛性ソーダ水溶液110.6部と水399部を仕込み、撹拌しながら系内水分を窒素置換した。次にビスフェノールF(新日鉄住金化学株式会社製、2核体純度97面積%)を200部添加し、系内温度を50℃に制御して撹拌溶解した。次いで、エピクロルヒドリン110.5部を滴下ロートから投入した。投入後、系内温度を92℃に制御して2時間反応を行った。反応終了後、メチルイソブチルケトン330部を加え15分間撹拌後静置して、下層の水を除去した。次いでリン酸で中和、水洗を行い、水層を除去し、ろ過した後メチルイソブチルケトンを留去してエポキシ樹脂(A-1)を得た。エポキシ当量は1350、軟化点は92℃であった。
250部のエピクロルヒドリンを使用した以外は合成例1と同様の装置、操作を行い、エポキシ樹脂(A-2)を得た。エポキシ当量は900、軟化点は84℃であった。
102部のエピクロルヒドリンを使用した以外は合成例1と同様の装置、操作を行い、エポキシ樹脂(A-3)を得た。エポキシ当量は2500、軟化点は119℃であった。
撹拌機、窒素導入管、側温抵抗体、滴下装置及び冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに、YDF-8170(新日鉄住金化学株式会社製、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量159)500部とビスフェノールF126部を仕込み120℃で溶解した後、トリフェニルホスホニュウムブロマイド0.12部添加し160℃で2時間反応した。その後、ビスフェノールFを150部仕込み130℃で溶解しトリフェニルホスホニュウムブロマイドを0.15部添加し180℃で5時間加熱し反応を終了して、エポキシ樹脂(A-4)を得た。エポキシ当量は2500、軟化点は118℃であった。
合成例1~4で得られたエポキシ樹脂(A-1)~エポキシ樹脂(A-4)
2PZL:2-フェニルイミダゾリン,四国化成工業株式会社製、キュアゾール2PZL
2MZ-A:2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン,四国化成工業株式会社製、キュアゾール2MZ-A
2PZ:2-フェニルイミダゾール,四国化成工業株式会社製、キュアゾール2PZ
珪石粉:平均粒径50μm,
酸化チタン:着色顔料、テイカ株式会社製、JR-301
カーボンブラック:着色顔料、三菱化学株式会社製、MA-100
モダフロー:アクリル系重合体,日本モンサント株式会社製、モダフローIII
エポキシ樹脂(A)としてエポキシ樹脂(A-1)100部、硬化剤(B)として2PZL2.0部と2MZ-A0.2部と2PZ0.5部、顔料(C)として珪石粉50部と酸化チタン12部とカーボンブラック0.3部、その他の添加剤としてモダフロー0.4部を混合した。混合物をヘンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製、形式10B)を用いてドライブレンドし、次いでエクストルーダー(池貝鉄工株式会社製、PCM-30)を用いて100℃で溶融混練を行い、冷却ロールを用いて厚さ3~5mmまでフレーキングし、常温まで冷却後に微粉砕、分級により粉体塗料を得た。塗料物性を表1に示した。
表1の処方の配合量(部)で配合し、実施例1と同様の装置を使用して、同様の操作で、粉体塗料、試験板及び試験管を得た。実施例1と同様の試験を行い、その結果を表1に示した。
表2の処方の配合量(部)で配合し、実施例1と同様の装置を使用して、同様の操作で、粉体塗料、試験板及び試験管を得た。実施例1と同様の試験を行い、その結果を表2に示した。
Claims (9)
- 150~280℃の範囲の一定の予熱温度に加熱された中空の被塗物内面に、減圧下に粉体塗料を吸引、塗着させ、それを硬化させて硬化塗膜を形成する塗装方法で使用する粉体塗料であって、上記粉体塗料がエポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)及び顔料(C)を含み、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、硬化剤(B)を0.1~10質量部、顔料(C)を10~100質量部の範囲で含み、硬化剤(B)がイミダゾリン誘導体及びイミダゾール誘導体を含み、粉体塗料の粒度分布におけるD10が5μm以上及びD90が200μm以下であり、嵩密度が0.4~0.8g/cm3であり、上記予熱温度におけるゲルタイムが20~60秒であることを特徴とするエポキシ樹脂粉体塗料。
- エポキシ樹脂(A)が、ビスフェノール類のエピクロルヒドリンによるエポキシ化物であり、エポキシ当量が700~3000g/eq.であり、軟化点が70~130℃である請求項1に記載のエポキシ樹脂粉体塗料。
- ビスフェノール類が、テトラメチルビスフェノールF、ビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールA及びビスフェノールAから選ばれる少なくとも1つである請求項2に記載のエポキシ樹脂粉体塗料。
- イミダゾリン誘導体が2-フェニルイミダゾリンであり、イミダゾール誘導体が2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリル-(1’))-エチル-s-トリアジン及び/又は2-フェニルイミダゾールである請求項1~3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂粉体塗料。
- 顔料(C)が、酸化鉄、黄色酸化鉄、シリカ粉、石英系粉、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム及びカーボンブラックから選ばれる少なくとも1つである請求項1~4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂粉体塗料。
- 被塗物が、直管又は異形管である請求項1~5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂粉体塗料。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂粉体塗料で塗装された直管又は異形管。
- 150~280℃の範囲内の一定温度に予熱した中空の被塗物を架台上に配置し、被塗物内部を減圧下において塗料供給槽から粉体塗料を吸引して被塗物内面に塗着させ、そのまま硬化塗膜を形成することができる塗装方法であって、上記粉体塗料として、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)及び顔料(C)を含み、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、硬化剤(B)を0.1~10質量部、顔料(C)を10~100質量部の範囲で含み、硬化剤(B)がイミダゾリン誘導体及びイミダゾール誘導体を含み、粉体塗料の粒度分布におけるD10が5μm以上及びD90が200μm以下であり、嵩密度が0.4~0.8g/cm3であり、上記予熱温度におけるゲルタイムが20~60秒であるエポキシ樹脂粉体塗料を使用することを特徴とする塗装方法。
- 請求項8に記載の塗装方法で直管又は異形管を塗装することを特徴する塗装された直管又は異形管の製造方法。
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