JP2002126618A - 多層塗膜形成方法及び多層塗膜 - Google Patents

多層塗膜形成方法及び多層塗膜

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JP2002126618A
JP2002126618A JP2000326502A JP2000326502A JP2002126618A JP 2002126618 A JP2002126618 A JP 2002126618A JP 2000326502 A JP2000326502 A JP 2000326502A JP 2000326502 A JP2000326502 A JP 2000326502A JP 2002126618 A JP2002126618 A JP 2002126618A
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coating film
coating
electrodeposition
film
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Hisaichi Muramoto
壽市 村本
Teruzo Azumai
輝三 東井
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 耐衝撃性、特に耐チッピング性を有するとと
もに、優れた外観を有する多層塗膜を形成する多層塗膜
形成方法を提供する。 【解決手段】 被塗装物上に、電着塗料を塗装した後、
加熱硬化して電着塗膜を形成する工程(I)、前記電着
塗膜の上に、水性中塗り塗料を塗布する工程(II)、
その上に、水性ベース塗料を塗布する工程(III)、
クリヤー塗料を塗布する工程(IV)、並びに、前記I
I、III及びIV工程の塗膜を同時に加熱硬化させ
て、多層塗膜を得る工程(V)を含む多層塗膜形成方法
であって、前記電着塗料は、溶解性パラメーターがδa
である樹脂(a)を含む粒子Aと、溶解性パラメーター
がδbである樹脂(b)及び硬化剤を含む粒子Bとを含
有するものであり、水性中塗り塗料は、溶剤型熱硬化性
樹脂を含む成分をノニオン系分散剤及び/又はカチオン
系分散剤によって水分散させたものを含有するものであ
ることを特徴とする多層塗膜形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電着塗膜が形成さ
れた被塗装物上に、水性中塗り塗料、水性ベース塗料及
びクリヤー塗料をウエットオンウエットで塗装して、一
度に加熱硬化を行う3ウエット塗装系を利用する多層塗
膜形成方法に関するものであり、更に詳細には、優れた
耐チッピング性を有し、かつ、黄変のない多層塗膜を得
ることができる多層塗膜形成方法、及び、これにより得
られる多層塗膜に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、塗料分野、特に自動車塗装分野に
おいて、省資源、省コスト及び環境負荷(VOC及びH
APs等)削減の課題を解決するため、塗装工程の短縮
化が強く求められている。即ち、従来の自動車塗装仕上
げ手順においては、電着塗膜、中塗り塗膜及び上塗り塗
膜がそれぞれの塗装後に焼付けされる3コート3ベーク
塗装方法によって行われていたが、近年、電着塗装後に
電着塗膜を焼付けた後、その上に、中塗り塗装、ベース
塗装及びクリヤー塗装の3つの塗装工程をウエットオン
ウエットで施し、これらウエット塗膜の一括した焼付け
を行う3ウエット塗装システムにより焼付け工程数を削
減し、しかも、従来の3コート3ベーク塗装方法により
得られる3コート膜と同等の塗膜性能を保持することが
求められている。
【0003】上記塗膜性能のなかでも、耐衝撃性、特に
走行中の自動車車体への小石等の障害物の衝突によるい
わゆる耐チッピング性に関しては、従来の3コート3ベ
ーク塗装方法では、耐チッピング性を有する特有の中塗
り塗膜を設けること等により、耐チッピング性を確保す
ることができたが、上記の3ウエット塗装システムにお
いて従来の中塗り塗料を使用すると、得られる塗膜にな
じみ、反転等の不具合が発生して外観が劣ることとなる
ため使用することができず、3ウエット塗装システムに
より得られる塗膜は、耐衝撃性及び耐チッピング性が低
いという欠点があった。
【0004】特開昭62−65765号公報には、塗膜
に対する衝撃吸収能を有する樹脂層(いわゆる耐チッピ
ングプライマー層)を多層膜形成の途中、とりわけ電着
塗膜と中塗り塗膜の中間において施すことが開示されて
いる。しかしながら、そのような工程を自動車車体の塗
装工程中に更に組み入れることは、上記の省工程及び省
コストを求める市場ニーズにはそぐわない。
【0005】一方、近年、塗料分野、特に自動車塗装分
野においては、環境負荷(VOC等)削減のため、水性
塗料が注目されている。水性塗料は、親水性官能基等を
持つ塗膜形成性樹脂を親水性溶媒中に水溶性化、水分散
化又はエマルション化したものであり、上記樹脂をアミ
ン等の中和剤及び水を添加し水分散することによって調
製されている。しかしながら、アミン等の中和剤を用い
て水分散化した塗膜形成性樹脂を含む水性塗料は、得ら
れる多層塗膜が黄変するという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、塗装
工程短縮、コスト削減及び環境負荷低減を目指す3ウエ
ット塗装システムにおいて、従来の3コート膜に匹敵す
る優れた耐衝撃性、特に耐チッピング性を有するととも
に、黄変せず、優れた外観を有する多層塗膜を形成する
ことができる多層塗膜形成方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、被塗装物上
に、電着塗料を塗装した後、加熱硬化して電着塗膜を形
成する工程(I)、上記電着塗膜の上に、水性中塗り塗
料を塗布して、未硬化の中塗り塗膜を形成する工程(I
I)、上記中塗り塗膜の上に、水性ベース塗料を塗布し
て、未硬化のベース塗膜を形成する工程(III)、上
記ベース塗膜の上に、クリヤー塗料を塗布して、未硬化
のクリヤー塗膜を形成する工程(IV)、並びに、上記
中塗り塗膜、上記ベース塗膜及び上記クリヤー塗膜を同
時に加熱硬化させて、多層塗膜を得る工程(V)を含む
多層塗膜形成方法であって、上記電着塗料は、溶解性パ
ラメーターがδaである樹脂(a)を含む粒子Aと、溶
解性パラメーターがδbである樹脂(b)及び硬化剤を
含む粒子Bとを含有するものであり、(1)(δb−δ
a)の値が1.0以上であり、(2)上記電着塗料から
形成される電着塗膜のうち、上記粒子Aから形成される
樹脂膜の動的ガラス転移温度は、−110〜10℃であ
り、上記粒子Aのみで造膜して得られる塗膜の伸び率
は、200%以上であり、(3)上記電着塗料から形成
される電着塗膜のうち、上記粒子Bから形成される樹脂
膜の動的ガラス転移温度は、60〜150℃であり、か
つ、上記水性中塗り塗料は、溶剤型熱硬化性樹脂を含む
成分をノニオン系分散剤及び/又はカチオン系分散剤に
よって水分散させたものを含有するものであることを特
徴とする多層塗膜形成方法である。
【0008】本発明はまた、上記多層塗膜形成方法によ
り形成されてなる多層塗膜である。以下、本発明につい
て更に詳細に説明する。
【0009】本発明の多層塗膜形成方法は、被塗装物上
に、電着塗料を塗装した後、加熱硬化して電着塗膜を形
成する工程(I)、上記電着塗膜の上に、水性中塗り塗
料を塗布して、未硬化の中塗り塗膜を形成する工程(I
I)、上記中塗り塗膜の上に、水性ベース塗料を塗布し
て、未硬化のベース塗膜を形成する工程(III)、上
記ベース塗膜の上に、クリヤー塗料を塗布して、未硬化
のクリヤー塗膜を形成する工程(IV)、並びに、上記
中塗り塗膜、上記ベース塗膜及び上記クリヤー塗膜を同
時に加熱硬化させて、多層塗膜を得る工程(V)を含む
ものである。
【0010】工程(I) 本発明の多層塗膜形成方法において、上記工程(I)
は、被塗装物上に、電着塗料を塗装した後、加熱硬化し
て電着塗膜を形成するものである。
【0011】電着塗料 上記電着塗料は、溶解性パラメーターがδaである樹脂
(a)を含む粒子Aと、溶解性パラメーターがδbであ
る樹脂(b)及び硬化剤を含む粒子Bとを含有するもの
であって、(1)(δb−δa)の値が1.0以上であ
り、(2)上記電着塗料から形成される電着塗膜のう
ち、上記粒子Aから形成される樹脂膜の動的ガラス転移
温度は、−110〜10℃であり、上記粒子Aのみで造
膜して得られる塗膜の伸び率は、200%以上であり、
(3)上記電着塗料から形成される電着塗膜のうち、上
記粒子Bから形成される樹脂膜の動的ガラス転移温度
は、60〜150℃であるものである。
【0012】上記電着塗料は、互いに不相溶な2種類の
樹脂成分を使用することによって、複層構造を有する電
着塗膜を形成させ、このうち、被塗装物上に接する側は
防食性を有する樹脂層とし、空気に接する側は耐衝撃性
(耐チッピング性)を有する樹脂層を形成させて、防食
性及び耐衝撃性を高度に両立することができるものであ
る。
【0013】上記電着塗料は、溶解性パラメーターがδ
aである樹脂(a)を含む粒子Aと、溶解性パラメータ
ーがδbである樹脂(b)及び硬化剤を含む粒子Bとを
含有するものである。本明細書において、粒子A及び粒
子Bとは、それぞれ別個のエマルションとして調製され
るものであり、電着塗料の調製において両方のエマルシ
ョンは混合されるが、塗料中において互いに融着するこ
となく別個の粒子として存在するものを意味する。
【0014】上記電着塗料においては、上記樹脂(a)
の溶解性パラメーターδaと上記樹脂(b)の溶解性パ
ラメーターδbとの差(δb−δa)の値が、1.0以
上である。上記(δb−δa)の値が1.0以上である
互いに不相溶又は難相溶の2種類の樹脂成分を選択する
ことによって、複層構造を持つ電着塗膜を形成すること
ができる。
【0015】一般に、樹脂間の溶解性パラメーターの差
は、0.5以上であれば相溶性を失い、塗膜が分離構造
を呈すると考えられている。しかしながら、上記電着塗
料においては、明瞭に層分離した塗膜構造を形成するこ
とが必要であるため、少なくとも1.0以上の溶解性パ
ラメーター差が必要となる。1.0未満であると、電着
塗装した場合に、明瞭に層分離した塗膜構造が形成され
ず、耐衝撃性、特に耐チッピング性と耐食性との両立化
レベルが充分ではなくなる。
【0016】上記溶解性パラメーターδとは、一般にS
P(ソルビリティ・パラメーター)とも呼ばれるもので
あって、樹脂の親水性又は疎水性の度合いを示す尺度で
あり、樹脂間の相溶性を判断する上でも重要な尺度とな
るものである。上記溶解性パラメーターは、当業者に公
知の濁度測定法をもとに数値定量化されるものである
(K.W.Suh,D.H.Clarke,J.Pol
ymer.Sci.,A−1,5,1671(196
7))。
【0017】上記樹脂(a)及び上記樹脂(b)につい
ては、溶解性パラメーターの大きいもの、即ち、樹脂
(b)の方が、金属等の表面極性の高い導電性基材表面
に対する親和性が高いため、樹脂(b)を含む粒子Bか
ら形成される電着塗膜は、加熱・硬化時に金属材料等か
らなる導電性基材に接する側に形成される。一方、樹脂
(a)を含む粒子Aは、空気層側に移動して樹脂層を形
成することになる。このように双方の樹脂の溶解性パラ
メーターの差異が樹脂層の分離を引き起こす推進力にな
ると考えられる。
【0018】上記樹脂層の分離状態を確認するために
は、電着塗膜の断面をビデオマイクロスコープによって
目視観察するか、走査型電子顕微鏡(SEM観察)によ
って観察する方法が挙げられる。また、各樹脂層を構成
する樹脂成分を同定するには、例えば、全反射型フーリ
エ変換赤外光度計(FTIR−ATR)を使用すること
ができる。
【0019】上記電着塗料から形成される電着塗膜のう
ち、上記樹脂(a)を含む粒子Aから形成される樹脂膜
の動的ガラス転移温度は、−110〜10℃である。1
0℃を超えると、粒子Aから得られる塗膜の柔軟性や耐
衝撃性に劣ることとなり、−110℃未満のものは実際
には調製が困難である。好ましくは、−100〜−30
℃である。
【0020】上記動的ガラス転移温度の測定は、上記電
着塗料を用いて基材上に電着塗装後、硬化させて形成し
た電着塗膜を水銀を用いて剥離し、レオバイブロン(オ
リエンテック社製)やレオメトリックスダイナミックア
ナライザー(レオメトリックス社製)等の動的粘弾性測
定装置による測定にて行うことができる。
【0021】上記樹脂(a)を含む粒子Aは、粒子Aの
みで造膜して得られる塗膜の伸び率が200%以上であ
る。200%未満では、得られる塗膜の弾性に劣ること
となる。好ましくは、500%以上である。上記伸び率
は、JIS K 6301に従って、測定することがで
きる。
【0022】上記樹脂(a)としては上記の特性を有す
る範囲の樹脂であれば特に種類は限定されるものではな
いが、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン
等の共役ジエン系単量体のホモポリマー、又は、共役ジ
エン系単量体とエチレン、プロピレン、エチリデン、ノ
ルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジ
エン、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、アクリロニ
トリル、イソブチレン、(メタ)アクリル酸(エステ
ル)等の単量体とのランダム若しくはブロックコポリマ
ー;ジイソシアネートとジオールとの重付加反応によっ
て合成されるポリウレタン系熱可塑性エラストマー;テ
レフタル酸ジメチル、1,4−ブタンジオール、ポリ
(テトラメチレン)グリコール等を原料としエステル交
換反応及び重縮合反応によって合成されるポリエステル
系熱可塑性エラストマー;ラクタム、ジカルボン酸、ポ
リエーテルジオールを原料とし、エステル交換及び重縮
合反応によって合成されるポリアミド系熱可塑性エラス
トマー等を挙げることができる。
【0023】上記電着塗料において、上記樹脂(a)
は、耐衝撃性レベルの発現可能性、経済性(コスト)及
び汎用性から見て、50重量%以上の共役ジエン系単量
体からなる単量体成分を重合してなるエラストマー(ゴ
ム)であることが好ましい。50重量%未満であると、
塗膜形成時において上記のガラス転移温度及び伸び率を
有する樹脂層を構成することが困難になる結果、耐衝撃
性及び耐チッピング性が低下する。より好ましくは60
重量%以上、更に好ましくは65重量%以上の共役ジエ
ン系単量体からなる単量体成分を重合してなるエラスト
マーである。
【0024】上記の樹脂(a)の分子中には、分子構造
の途中及び/又は末端に、水酸基、アミノ基、ビニル
基、カルボキシル基、ウレタン基、ウレア基等の反応性
基や極性基を含んでいてもよい。上記反応性基や極性基
は、樹脂(a)を調製する際に反応性基や極性基を有す
る単量体を含む単量体成分を共重合するか、又は、共重
合して得られた樹脂(a)に対して公知の方法により導
入することができる。
【0025】上記共重合は、ラジカル重合開始剤の存在
下で行うことが好ましい。ラジカル重合開始剤として
は、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、
2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ラ
ウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオクトエート等
のパーオキシド系開始剤が挙げられる。これらの開始剤
の使用量は、重合性単量体合計100重量部あたり0.
2〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部が好まし
い。
【0026】上記樹脂(a)が数平均分子量1万未満の
オリゴマー(液状ゴム)である場合には、粘着性が高
く、そのままでは耐衝撃性能が低いので、耐衝撃性等の
塗膜性能を発現させるために塗膜形成時に硬化反応を行
わせしめる必要がある。この場合、ヒドロキシル価が2
0〜200の範囲となるように水酸基を含有することが
好ましい。ヒドロキシル価が20未満では塗膜の硬化不
良を招き、充分な伸び率等のゴム性能が発現しない。2
00を超えると硬化後塗膜中に過剰の水酸基が残存する
結果、耐水性が低下することがある。更に、硬化塗膜の
硬度が上昇する結果、充分な伸び率が発現しない。
【0027】上記樹脂(a)が数平均分子量1万以上の
高分子量である場合、硬化させなくても粘着性が少な
く、充分に耐衝撃性能を示すものであれば、塗膜形成に
おいて特に硬化反応させる必要は無い。上記の場合は、
予め樹脂構造中に反応性基及び極性基を付与しておく必
要は無い。
【0028】上記樹脂(a)の分子量に関しては特に限
定されるものではないが、数平均分子量として1,00
0〜200,000の範囲のものが好ましい。1,00
0未満であると、塗膜形成時において効果的に架橋反応
せしめたとしても、伸び率が200%を超える塗膜を得
ることは困難である。200,000を超えると、樹脂
溶液の粘度が高いために得られた樹脂の乳化分散等の操
作上ハンドリングが困難なばかりか、得られた電着塗膜
の膜外観が著しく低下してしまうことがある。また、高
粘度のために、塗膜焼付け時における層分離性が困難と
なる場合がある。
【0029】上記樹脂(a)は、樹脂(b)とは別個に
水性媒体中に乳化分散することにより、粒子Aを構成す
る。
【0030】上記樹脂(a)は、上記反応性基及び極性
基のうちのアミノ基等のカチオン性基をウレタン化反応
等によって導入した上で、そのままか、又は、中和剤に
よって水性媒体中に自己乳化分散可能な形態を成しても
よい。又は、別途カチオン性乳化剤を適用して水性媒体
中に乳化分散することも可能である。その際に、必要に
応じて、例えば硬化剤の適当量を樹脂に包含させて乳化
分散しても良い。上記中和剤としては、塩酸、硝酸、リ
ン酸等の無機酸;蟻酸、酢酸、乳酸、スルファミン酸、
アセチルグリシン酸等の有機酸を挙げることができる。
【0031】上記電着塗料においては、樹脂(a)を含
む粒子A全体の疎水性が上がり、明瞭に層分離した複層
構造を得ることができるため、カチオン性乳化剤を使用
して樹脂(a)を水性媒体中に乳化分散することが好ま
しい。
【0032】上記カチオン性乳化剤としては、カチオン
性基を含むものであれば特に限定されないが、数平均分
子量1,000〜200,000であるものが好まし
い。1,000未満であると、塗膜の耐水性等に悪影響
が出る場合がある。200,000を超えると、塗膜焼
き付けの際、系が高粘度となる為に層分離が阻害される
おそれがある。
【0033】上記樹脂(a)の乳化分散性を確保するた
めに、上記カチオン性乳化剤中のカチオン基含有量、即
ち、乳化剤中のアミノ基、アンモニウム塩基及びスルホ
ニウム塩基含有量は、アミン価相当量として30〜15
0程度であることが好ましい。30未満であると、樹脂
(a)に対する乳化分散性に劣り、150を超えると、
塗膜の耐水性等に悪影響が出る場合がある。
【0034】上記カチオン性乳化剤の配合量は、樹脂
(a)の固形分100重量部に対して、固形分換算で1
0〜50重量%の範囲が好ましい。10重量%未満で
は、エマルションの分散安定性が乏しくなり、50重量
%を超えると、塗膜耐水性が悪くなるばかりか、樹脂
(a)に基づく耐衝撃性等の特徴が充分発現され難くな
る。
【0035】上記カチオン性乳化剤は、樹脂主鎖に対し
て、公知の方法による適当な反応を施してカチオン性基
を付与することによって、調製することができる。上記
カチオン性乳化剤の樹脂骨格としては特に限定されず、
例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、液状ゴム(エラ
ストマー)、ポリウレタン、ポリエーテル及びこれらを
基にした変性樹脂等を挙げることができる。
【0036】上記アクリル樹脂を樹脂骨格とする場合に
は、例えば、分子内に複数のエポシキ基を含むアクリル
共重合体とアミンとの開環付加反応によって合成するこ
とができる。即ち、グリシジル(メタ)アクリレート等
のエポキシ基を有するアクリル系単量体を他の単量体と
共重合体することによって得られたエポキシ基含有アク
リル樹脂に対して、エポキシ基の全部をアミン類との反
応によって開環し、カチオン性アクリル樹脂を得ること
ができる。
【0037】上記アミン類としては特に限定されず、例
えば、ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミ
ン、ジブチルアミン、メチルブチルアミン、モノエタノ
ールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノー
ルアミン、トリエチルアミン酸塩、N,N−ジメチルエ
タノールアミン酸塩等の1級、2級又は3級アミン酸塩
を挙げることができる。また、アミノエチルエタノール
アミンメチルイソブチルケチミン等のケチミンブロック
1級アミノ基含有2級アミンも使用することができる。
これらのアミン類は、全てのエポキシ環を開環させるた
めに、エポキシ環に対して少なくとも当量で反応させる
必要がある。
【0038】上記カチオン性アクリル樹脂はまた、アミ
ノ基を有するアクリル系単量体を他の単量体と共重合す
ることによって、直接合成する方法によっても得ること
ができる。上記アミノ基を有するアクリル系単量体とし
ては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、N,N−ジ−t−ブチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート等が挙げられる。
【0039】上記エポキシ基を含むアクリル系単量体又
はアミノ基を有するアクリル系単量体と共重合体させる
他の単量体としては特に限定されず、例えば、ヒドロキ
シル基含有アクリル単量体、他のアクリル系単量体、非
アクリル系単量体等を挙げることができる。上記ヒドロ
キシル基含有アクリル単量体は、硬化反応性を向上する
ことができるため、用いることが好ましい。
【0040】上記エポキシ樹脂を樹脂骨格とするものに
ついては、樹脂中のエポキシ基に対して、上記と同様の
変性を行うことにより、カチオン性基を導入することが
できる。上記液状ゴム(エラストマー)、ポリウレタン
及びポリエーテルを樹脂骨格とするものについては、分
子末端及び/又は分子構造の途中に存在する水酸基、カ
ルボキシル基、エポキシ基等に対して、アミンのウレタ
ン化反応又は付加反応によって、カチオン性基を導入す
ることができる。
【0041】上記カチオン性乳化剤は、硬化反応性を付
与するための1級水酸基の導入や上記樹脂(a)に対す
る吸着性を向上させるためのステアリル基、ドデシル
基、オクチル基等の長鎖アルキル基の導入が行われてい
てもよい。これらは、主鎖中の官能基に対して、ヒドロ
キシ基を有する2級アミンや長鎖アルキル基を有する2
級アミンを反応させることにより行うか、又は、そのよ
うな基を有する単量体を用いて共重合することにより導
入することができる。
【0042】上記カチオン性乳化剤は、上記カチオン性
基が親水基としての役割を果たす。更に、カチオン性乳
化剤中に存在する可とう性を有する主鎖部分及びアルキ
ル基、ベンゼン構造等の疎水部分により、上記樹脂
(a)との吸着相互作用を確保することができる。上記
カチオン性乳化剤は、そのままで水性媒体中に溶解又は
分散させることができる。
【0043】上記粒子Aは、硬化剤を含むものであって
もよい。上記硬化剤としては、イソシアネート硬化剤、
メラミン硬化剤、アマイド系硬化剤等を挙げることがで
きる。好ましくは、ブロックドポリイソシアネートであ
る。上記ブロックドポリイソシアネートの原料であるポ
リイソシアネートの例としては、ヘキサメチレンジイソ
シアネート、テトラメチレンジイソシアネート、トリメ
チルヘキサメチレンジイシシアネート等の脂肪族ジイソ
シアネート;イソホロンジイソシアネート、4,4′−
メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等の脂
環族ポリイソシアネート;4,4′−ジフェニルメタン
ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリ
レンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート及び
これらの多量体が挙げられる。これらを適当な封止剤で
ブロック化することにより、上記ブロックドポリイソシ
アネートを得ることができる。
【0044】上記封止剤の例としては、n−ブタノー
ル、n−ヘキシルアルコール、2−エチルヘキサノー
ル、ラウリルアルコール、フェノールカルビノール、メ
チルフェニルカルビノール等の一価のアルキル(又は芳
香族)アルコール類;エチレングリコールモノヘキシル
エーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシル
エーテル等のセロソルブ類;フェノール、パラーt−ブ
チルフェノール、クレゾール等のフェノール類;ジメチ
ルケトオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイ
ソブチルケトオキシム、メチルアミルケトオキシム、シ
クロヘキサノンオキシム等のオキシム類;ε−カプロラ
クタム、γ−ブチロラクタム等のラクタム類が挙げられ
る。オキシム類及びラクタム類は、低温で解離するため
樹脂硬化性の観点から、好ましい。上記封止剤によるブ
ロック化率については、塗料の貯蔵安定性確保のため
に、100%にしておくことが好ましい。上記ポリイソ
シアネート及び上記封止剤は、単独で用いてもよく、2
種以上を併用してもよい。また、得られるブロックドポ
リイソシアネートは、塗膜物性や硬化度の調節等の都合
により、複数種を組み合わせて使用しても良い。
【0045】上記工程(I)において、上記樹脂(a)
を含む粒子Aからなる樹脂層を硬化させる場合、上記硬
化剤のうち少なくとも1種類の溶解性パラメーター(δ
i)は、樹脂(a)の溶解性パラメーターδa及び樹脂
(b)の溶解性パラメーターδbの中間値、即ち、δa
<δi<δbに設定することが好ましい。これによっ
て、二層分離後のそれぞれの層へのブロックドポリイソ
シアネートの分配溶解を可能とし、樹脂(a)を含む層
の硬化性の確保と樹脂(b)を含む層の同時硬化を両立
化せしめることができるため、複層膜中の層間密着性の
向上と更に上塗り塗装後の多層外観の向上をもたらすこ
とができる。更に、上記樹脂(a)を含む粒子Aからな
る樹脂層へのブロックドポリイソシアネートの分配溶解
を促進するための手段として、ブロック化されていない
イソシアネート基を一部有するブロックドポリイソシア
ネートと上記樹脂(a)の有する水酸基とを予め反応さ
せておいて、樹脂(a)を含む層と樹脂(b)を含む層
の同時硬化に伴う層分離の際に、樹脂(a)と硬化剤と
を一緒に移行させるような工夫をすることも可能であ
る。
【0046】上記ブロックドポリイソシアネートの樹脂
(a)に対する配合比は、硬化塗膜の利用目的などで必
要とされる架橋度に応じて異なるが、塗膜物性や上塗り
塗装適合性を考慮すると、樹脂(a)の固形分100重
量部に対して、固形分で10〜50重量%の範囲が好ま
しい。10重量%未満では塗膜硬化不良を招く結果、機
械的強度等の塗膜物性が低くなることがあり、また、上
塗り塗装時に塗料シンナーによって塗膜が侵される等外
観不良を招く場合がある。50重量%を超えると、逆に
過剰に硬化が進んでしまい、耐衝撃性等の塗膜物性不良
等を招くことがある。
【0047】上記電着塗料から形成される電着塗膜のう
ち、上記樹脂(b)を含む粒子Bから形成される樹脂膜
の動的ガラス転移温度は、60〜150℃である。60
℃未満では、樹脂(a)の溶解性パラメーターδaとの
差を1.0以上とすることができず、得られる塗膜の防
食性にも劣る。150℃を超えると、得られる塗膜が硬
くなりすぎて、クラック等が起こる場合がある。好まし
くは、80〜140℃である。上記動的ガラス転移温度
の測定は、上述の方法に従って行うことができる。
【0048】上記樹脂(b)は、導電性基材に対して優
れた防錆性を発現する点から、カチオン変性エポキシ樹
脂が好ましい。上記カチオン変性エポキシ樹脂は、出発
原料樹脂分子内のエポキシ環を1級アミン、2級アミン
又は3級アミン酸塩等のアミン類との反応によって開環
して製造することができる。上記出発原料樹脂は、ビス
フェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、
フェノールノボラック、クレゾールノボラック等の多環
式フェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応生成
物であるポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポ
キシ樹脂であることが好ましい。また他の出発原料樹脂
の例として、特開平5−306327号公報に記載され
たオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂を挙げることがで
きる。このエポキシ樹脂は、ジイソシアネート化合物又
はジイソシアネート化合物のNCO基をメタノール、エ
タノール等の低級アルコールでブロックして得られたビ
スウレタン化合物と、エピクロルヒドリンとの反応によ
って得られるものである。
【0049】上記出発原料樹脂は、アミン類によるエポ
キシ環の開環反応の前に、2官能のポリエステルポリオ
ール、ポリエーテルポリオール、ビスフェノール類、2
塩基性カルボン酸等により鎖延長して用いることができ
る。同様に、アミン類によるエポキシ環の開環反応の前
に、分子量又はアミン当量の調節、熱フロー性の改良等
を目的として、一部のエポキシ環に対して2−エチルヘ
キサノール、ノニルフェノール、エチレングリコールモ
ノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコー
ルモノ−2−エチルヘキシルエーテルのようなモノヒド
ロキシ化合物を付加して用いることもできる。
【0050】上記アミン類としては、上記カチオン性乳
化剤において例示したものを挙げることができる。上記
エポキシ樹脂へのカチオン性基の導入方法としては、特
開平11−209663号公報記載の製造方法に従っ
て、エポキシ環をスルホニウム塩に変性するのも好まし
い。
【0051】上記カチオン変性エポキシ樹脂の数平均分
子量は、1,500〜5,000の範囲が好ましい。
1,500未満の場合は、硬化形成塗膜の耐溶剤性及び
耐食性等の物性が劣ることがある。5,000を超える
場合は、樹脂溶液の粘度制御が難しく合成が困難なばか
りか、得られた樹脂の粘度が高くなり、乳化分散等の操
作上ハンドリングが困難となることがある。更に、加熱
・硬化時のフロー性が悪く塗膜外観を著しく損ねる場合
がある。
【0052】上記樹脂(b)は、ヒドロキシル価が50
〜250の範囲となるように分子設計することが好まし
い。ヒドロキシル価が50未満では塗膜の硬化不良を招
き、反対に250を超えると硬化後塗膜中に過剰の水酸
基が残存し、耐水性が低下することがある。
【0053】上記樹脂(b)を含む粒子Bは、硬化剤を
含有するものである。上記硬化剤としては、加熱時に樹
脂成分を硬化させることが可能であればその種類は特に
限定されないが、上記例示したものを挙げることができ
る。なかでも、電着樹脂の硬化剤として好適なブロック
ドポリイソシアネートが挙げられる。上記硬化剤の配合
量としては、上述したものを挙げることができる。
【0054】上記樹脂(b)は、上記硬化剤とともに、
そのままエマルションとして水中に乳化分散させるか、
又は、各樹脂中のアミノ基を中和できる量の中和剤で中
和処理し、カチオン化エマルションとして水中に乳化分
散させる。エマルションを調製する際に、上記例示した
カチオン性乳化剤を使用することも可能である。上記乳
化分散の方法としては、上述のものを挙げることができ
る。
【0055】上記電着塗料は、上述のようにして得られ
た粒子Aと粒子Bとを混合することによって調製するこ
とができる。上記粒子Aを構成する樹脂(a)と上記粒
子Bを構成する樹脂(b)との配合比率は、固形分に基
づく重量比で、5/95〜70/30であることが好ま
しい。上記範囲を外れると、電着塗装、焼き付け後の硬
化塗膜が複層構造とならず、配合比率の高い方の樹脂が
連続相を形成し、低い方の樹脂が分散相を形成する海島
構造(又は、ミクロドメイン構造)になってしまうこと
がある。また、層構造になった場合でも複層構造のうち
のいずれか一方の層厚が極端に薄くなるために、耐衝撃
性(耐チッピング性)又は耐食性のいずれかが著しく劣
るために好ましくない。より好ましくは10/90〜6
0/40の範囲である。
【0056】上記粒子Aから形成される樹脂層の乾燥膜
厚としては、1〜20μmが好ましい。1μm未満であ
ると、得られる塗膜の耐衝撃吸収性が期待できない。2
0μmを超えると、表面粗度が大きくなるために、塗膜
外観が低下する。より好ましくは3〜15μmである。
上記粒子Bから形成される樹脂層は、従来の電着塗膜に
要求される防錆性、塗膜外観、隠蔽性を確保するため
に、乾燥膜厚として5〜40μmであることが好まし
い。5μm未満では、塗膜耐食性が不足する。40μm
を超えると、表面粗度が大きくなるために、塗膜外観が
低下し、ワキ等の塗膜欠陥の発生が著しくなる。より好
ましくは10〜30μmである。
【0057】上記電着塗料は、通常、顔料を含むもので
ある。上記顔料としては、通常塗料に使用されるものな
らば特に限定されず、例えば、アゾキレート系顔料、不
溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔
料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、
ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリ
ノン系顔料、金属錯体顔料等の有機系着色顔料;黄鉛、
黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタ
ン、グラファイト等の無機着色顔料;炭酸カルシウム、
硫酸バリウム、カオリン、珪酸アルミ(クレー)、タル
ク等の体質顔料;リンモリブデン酸アルミ、珪酸鉛、硫
酸鉛、ジンククロメート、ストロンチウムクロメート等
の防錆顔料等が挙げられる。なかでも、電着塗装後の複
層硬化膜を担う顔料としてとくに重要なものは、カーボ
ンブラック、二酸化チタン、珪酸アルミ(クレー)及び
リンモリブデン酸アルミである。上記二酸化チタンは着
色顔料として隠蔽性が高く、しかも安価であることか
ら、電着塗膜用に最適である。なお、上記顔料は単独で
使用することもできるが、目的に合わせて複数使用する
のが一般的である。上記顔料は、一般的に用いられてい
るカチオン性顔料分散樹脂で予め分散を行い、顔料分散
ペーストを調整した後、上記電着塗料の調製に際して適
当量を配合することができる。
【0058】上記顔料の配合量としては、全顔料重量
(P)に対する電着塗料中の顔料以外の全ビヒクル成分
の重量(V)の比率P/Vで、1/10〜1/3の範囲
であることが好ましい。上記顔料以外の全ビヒクル成分
とは、塗料を構成する顔料以外の全固形成分を意味す
る。1/10未満では、顔料不足により塗膜に対する水
分等の腐食要因の遮断性が過度に低下し、実用レベルで
の耐食性を発現できないことがある。1/3を超える
と、顔料過多により硬化時の粘性増大を招き、フロー性
が低下して塗膜外観が著しく悪くなることがある。
【0059】上記電着塗料は、防錆剤、界面活性剤(消
泡剤)等の添加剤の適量を配合することができる。上記
防錆剤としては、近年鉛等の有害な重金属を排する市場
要求から、亜鉛、セリウム、ネオジム、プラセオジム等
の希土類金属の有機酸塩が、水溶性であり使用が容易な
ものとして挙げられる。例えば、酢酸亜鉛、酢酸セリウ
ム及び酢酸ネオジム等を、上記粒子Bを調製する際に配
合し、樹脂エマルションによる包含又は吸着の形態で適
量を添加することができる。
【0060】上記電着塗料は、固形分濃度が15〜25
重量%の範囲となるように調整することが好ましい。固
形分濃度の調節には水性媒体、例えば、水単独又は水と
親水性有機溶剤との混合物を使用して行う。また、電着
塗料中には少量の添加剤を導入しても良い。添加剤とし
ては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性
剤、塗膜表面平滑剤、及び、有機スズ化合物等の硬化促
進剤等を挙げることができる。
【0061】電着塗膜形成方法 上記工程(I)の電着塗膜形成方法は、上記電着塗料を
被塗装物上に電着塗装して電着皮膜を得る工程(1)、
及び、得られた電着皮膜を加熱して硬化させて、複層電
着塗膜を得る工程(2)からなるものである。上記工程
(1)の電着塗装は、一般的には、被塗装物である導電
性基材に陰極(カソード極)端子を接続し、上記電着塗
料の浴温15〜35℃、負荷電圧100〜400Vの条
件において行うことができる。
【0062】上記工程(1)によって得られた電着皮膜
は、工程(2)における加熱によって、各樹脂固有の溶
解性パラメーターに応じて配向して層分離が起こり、粒
子Aから形成される層が空気に直接接する側であり、粒
子Bから形成される層が被塗装物に直接接する側となる
複層構造の電着硬化膜となる。上記工程(2)における
加熱は、一般的には、140〜200℃、好ましくは1
60〜180℃で10〜30分間行われる。
【0063】上記層分離性を向上するために、上記工程
(1)の後にプレヒートを施してもよい。上記プレヒー
トは、上記工程(2)における加熱と同じ温度で行うこ
とにより、上記工程(2)と連続して行うこともできる
が、本発明においては、電着塗料の硬化温度未満で加熱
することが好ましい。これによって、塗膜外観を損なわ
ずに層分離性を向上することができる。この場合の加熱
温度としては、60〜130℃が挙げられ、加熱時間
は、加熱温度等により変わるが、1〜10分程度が挙げ
られる。上記工程(1)及び工程(2)における加熱方
法は、当初から目的温度に調節した加熱設備に塗装物を
入れる方法と、塗装物を入れた後に昇温する方法があ
る。
【0064】上記被塗装物としては特に限定されず、例
えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛等;これらの
金属を含む合金及び鋳造物が挙げられる。具体的には、
乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体及
び部品が挙げられる。これらの金属は、電着塗装が行わ
れる前に、予めリン酸塩、クロム酸塩等で化成処理され
たものが特に好ましい。
【0065】上記電着塗料においては、樹脂(a)が樹
脂(b)とは別個に乳化分散されているので、樹脂
(a)と樹脂(b)との相溶性を考慮しなくとも塗料安
定性を確保することができる。特開平5−230402
号公報、特開平7−207196号公報及び特開平9−
208865号公報等に記載されているように、樹脂成
分間の相溶性を確保するために樹脂(a)にエポキシ基
等の極性官能基を導入した場合には、得られる塗膜の伸
び率や弾性率が低下する問題があるが、上記電着塗料で
はそのような変性を必要としないため、電着塗膜に高度
な耐衝撃吸収性能を付与することができる。
【0066】工程(II) 上記工程(II)は、上記工程(I)において形成され
た上記電着塗膜の上に、水性中塗り塗料を塗布して、未
硬化の中塗り塗膜を形成するものである。
【0067】水性中塗り塗料 上記工程(II)に用いる水性中塗り塗料は、下地を隠
蔽し、上塗り塗装後の表面平滑性を確保(外観向上)
し、耐衝撃性、耐チッピング性等の塗膜物性を付与する
ために塗布されるものである。上記水性中塗り塗料は、
溶剤型熱硬化性樹脂を含む成分を水やアルコール等の親
水性媒体中に水分散化することにより得ることができる
ものである。
【0068】上記溶剤型熱硬化性樹脂を含む成分は、ノ
ニオン系分散剤及び/又はカチオン系分散剤によって水
分散されるものである。アニオン系分散剤が含まれてい
る水性中塗り塗料を塗布すると、上記アニオン性官能基
の対イオンとして存在するアミン等の塩基性物質が塗膜
に含まれるため、この塗膜を硬化させるべく加熱した場
合には、上記塩基性物質が化学変化を起したり発色物質
が形成されて、塗膜に黄変を来す。また、上記未硬化の
中塗り塗膜から揮散する塩基性物質が上記工程(IV)
において形成されるクリヤー塗膜の内部に捕捉され、上
記クリヤー塗膜においても黄変を来すため、塗膜の色再
現性や意匠性が低下する。
【0069】上記水性中塗り塗料においては、溶剤型熱
硬化性樹脂を含む成分を水分散するためにノニオン系分
散剤及び/又はカチオン系分散剤を用いることにより、
上述のような塗膜の黄変を抑制することができる。即
ち、ノニオン性官能基を有するノニオン系分散剤を用い
る場合には、上記ノニオン性官能基はアミン等と塩を形
成する必要がないので、揮発性の塩基性物質が対イオン
として存在せず、塗膜の黄変が起こらない。カチオン性
官能基を有するカチオン系分散剤を用いる場合には、上
記カチオン性官能基の対イオンとして存在する−COO
- 等の酸性基を有するアニオンは、塗膜の黄変の原因と
はならない。
【0070】上記ノニオン系分散剤及び上記カチオン系
分散剤は、溶剤型熱硬化性樹脂を含む成分を水分散する
ことができるものであれば特に限定されず、界面活性剤
及び分散樹脂が挙げられる。上記ノニオン系分散剤及び
上記カチオン系分散剤は、溶剤型熱硬化性樹脂を含む成
分に対して親和性を有する部分と親水基を含む構造を有
するものであればよく、界面活性剤及び分散樹脂は厳密
に区別される必要はないものである。
【0071】上記ノニオン系分散剤は、親水基が非イオ
ン性のものであるが、本発明においては、分子中に更に
カチオン性官能基を有するものを排除するものではな
い。上記ノニオン系分散剤としては特に限定されず、例
えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキ
シエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステ
アリルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエー
テル;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;
ポリオキシエチレンソルビタンステアレート等のソルビ
タンのポリオキシアルキレンエーテル及び/又は脂肪酸
エステル;オキシエチレンオキシプロピレンブロック共
重合体等のオキシアルキレン共重合体;ポリオキシエチ
レングリセリド等のグリセリンポリオキシアルキレンエ
ーテル及び/又は脂肪酸エステル等を挙げることができ
る。なかでも、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル
が好ましく、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポ
リオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレ
ンステアリルエーテルがより好ましい。
【0072】上記ノニオン系分散剤としては市販のノニ
オン系界面活性剤を使用することもでき、上記市販品と
しては、例えば、ニューコール1120、ニューコール
1820(以上、日本乳化剤社製)等を挙げることがで
きる。上記ノニオン系分散剤としては、また、例えば、
水酸基、オキシエチレン基、アミド基等のノニオン性官
能基が樹脂に導入されたノニオン系分散樹脂を使用する
こともできる。
【0073】上記カチオン系分散剤は、水中で電離して
有機陽イオンとなるカチオン性官能基を有するものであ
るが、本発明においては、分子中に更にノニオン性官能
基を有するものを排除するものではない。上記カチオン
系分散剤は、対イオンを有するものであってもよく、上
記対イオンの例としては、塩酸、硝酸、リン酸等の無機
酸;蟻酸、酢酸、乳酸、スルファミン酸、アセチルグリ
シン酸等の有機酸に由来するものを挙げることができ
る。
【0074】上記カチオン系分散剤としては特に限定さ
れず、例えば、アルキルトリメチルアンモニウムクロラ
イド;ポリオキシエチレンアルキルアミン等を挙げるこ
とができる。上記カチオン系分散剤としては市販のカチ
オン系界面活性剤を使用することもでき、上記市販品と
しては、例えば、アデカミン4MAC−30、アデカミ
ンLDM(以上、旭電化社製)等を挙げることができ
る。
【0075】上記カチオン系分散剤としては、また、例
えば、アミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基等のカチオン
性官能基が導入されたカチオン系分散樹脂を使用するこ
ともできる。
【0076】上記ノニオン系及びカチオン系分散剤とし
て界面活性剤を使用する場合、親水親油バランス(HL
B)が6以上であることが好ましい。6未満であると、
親水性が低くなりすぎ、溶剤型熱硬化性樹脂を含む成分
を充分に分散することができない場合がある。より好ま
しくは、12以上である。
【0077】上記ノニオン系又はカチオン系分散剤とし
て分散樹脂を使用する場合、数平均分子量が400〜2
0000であることが好ましい。400未満であると、
溶剤型熱硬化性樹脂を含む成分の分散が不充分となる場
合があり、20000を超えると、得られる樹脂溶液の
流動性が低下し、ハンドリングが困難になる場合があ
る。より好ましくは、600〜10000である。
【0078】上記ノニオン系及びカチオン系の分散剤
は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができ、
これらを組み合わせて使用してもよい。上記ノニオン系
分散剤及び/又はカチオン系分散剤の含有量は、溶剤型
熱硬化性樹脂を含む成分並びにノニオン系分散剤及び/
又はカチオン系分散剤の含有量の合計量に対して固形分
基準で2〜50重量%であることが好ましい。2重量%
未満であると、上記溶剤型熱硬化性樹脂を含む成分の分
散が不充分となり、分散安定性が低下することがあり、
50重量%を超えると、得られる塗膜の物性が低下する
場合がある。より好ましくは、2〜40重量%である。
【0079】上記溶剤型熱硬化性樹脂を含む成分は、本
明細書においては、上記ノニオン系分散剤及び/又はカ
チオン系分散剤により水分散されるものであれば特に限
定されず、溶剤型熱硬化性樹脂のほか、例えば、硬化剤
及び/又は顔料を含むことができる。上記溶剤型熱硬化
性樹脂としては特に限定されず、例えば、アクリル樹
脂;ポリエステル樹脂;アルキド樹脂;エポキシ変性、
ロジン変性、フェノール樹脂変性等の変性アルキド樹
脂;ポリウレタン樹脂;オレフィン樹脂;エーテル樹脂
等の通常の溶剤型塗料に使用される樹脂を挙げることが
でき、これらは1種又は2種以上を使用することができ
る。これらのうち、耐水性、耐候性の点から、ポリエス
テル樹脂が好ましい。
【0080】上記溶剤型熱硬化性樹脂は、数平均分子量
が1000〜30000であることが好ましい。100
0未満であると、硬化形成塗膜の耐溶剤性等の物性が劣
る場合があり、30000を超えると、樹脂溶液の粘度
が高いため、得られる樹脂の乳化分散等の操作上ハンド
リングが困難となるばかりか、得られる塗膜の外観が著
しく低下する場合がある。より好ましくは、1500〜
15000である。
【0081】上記溶剤型熱硬化性樹脂は、酸価が3〜1
00(mgKOH/g樹脂)であることが好ましい。3
未満であると、塗膜密着性に劣り、また、硬化不良とな
ることがあり、100を超えると、水分散体とする場合
に乳化が難しくゲル化することがあり、また、親水性が
高すぎて塗膜の耐水性が悪くなることがある。より好ま
しくは、5〜70である。
【0082】上記溶剤型熱硬化性樹脂は、水酸基価が2
〜300であることが好ましい。2未満であると、硬化
不良を起す場合があり、300を超えると、硬化後塗膜
中に過剰の水酸基が残存する結果、耐水性に劣ることが
ある。より好ましくは、40〜250である。
【0083】上記溶剤型熱硬化性樹脂の製造方法として
は特に限定されず、目的とする上記水性中塗り塗料の種
類や性質等に応じて適宜選択することができ、例えば、
溶融重合法、エステル交換法、界面重合法、溶液重合法
等の従来公知の製造方法を使用することができる。
【0084】上記硬化剤としては特に限定されず、例え
ば、溶剤型熱硬化性樹脂に通常使用されるものを使用す
ることができ、アミノ樹脂、ブロックイソシアネート樹
脂等を挙げることができる。顔料分散性や作業性の点か
ら、アクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂とメラミ
ン樹脂との組み合わせが好ましい。上記硬化剤は、1種
又は2種以上を使用することができる。上記硬化剤は,
上記溶剤型熱硬化性樹脂の樹脂固形分に対し、通常使用
される量を配合することができる。上記硬化剤は、溶剤
型熱硬化性樹脂とともに、ノニオン系分散剤及び/又は
カチオン系分散剤によって水分散して水性中塗り塗料中
に配合してもよいし、水溶性の硬化剤を使用する場合に
は、そのまま配合することもできる。
【0085】上記水性中塗り塗料は、通常、顔料を含む
ものである。上記水性中塗り塗料において上記顔料は、
上記溶剤型熱硬化性樹脂、必要に応じて上記硬化剤とと
もに、上記ノニオン系分散剤及び/又はカチオン系分散
剤により水分散させることができる。また、別途上記顔
料を顔料分散樹脂を用いて分散して得られる水性顔料ペ
ーストを、上記ノニオン系分散剤及び/又はカチオン系
分散剤によって溶剤型熱硬化性樹脂を含む成分を水分散
させたものを含有する水性媒体中に、更に混合すること
もできる。上記顔料分散樹脂は、一般的に用いられてい
るものを使用することができる。
【0086】上記水性中塗り塗料においては、上記電着
塗料において例示したものを挙げることができ、耐候性
を向上させ、かつ隠蔽性を確保する点から、着色顔料で
あることが好ましい。特に二酸化チタンは白色の着色隠
蔽性に優れ、しかも安価であることから、より好まし
い。上記顔料としてカーボンブラックと二酸化チタンを
主要顔料とした標準的なグレー系水性中塗り塗料とする
こともできるし、上塗り塗料と明度又は色相等を合わせ
たセットグレーや各種の着色顔料を組み合わせたいわゆ
るカラー水性中塗り塗料とすることもできる。
【0087】上記顔料は、上記水性中塗り塗料中におい
て、顔料及び樹脂固形分の合計重量に対する顔料の重量
の比(PWC)が、10〜60重量%であることが好ま
しい。10重量%未満では、顔料不足のために隠蔽性が
低下するおそれがある。60重量%を超えると、顔料過
多により硬化時の粘性増大を招き、フロー性が低下して
塗膜外観が低下することがある。
【0088】上記水性中塗り塗料には、更に、紫外線吸
収剤;酸化防止剤;消泡剤;表面調整剤;ワキ防止剤等
の添加剤成分を混合することができる。
【0089】中塗り塗膜形成方法 上記水性中塗り塗料は、上記工程(I)において形成さ
れた電着塗膜の上に塗布され、未硬化の中塗り塗膜が形
成される。上記水性中塗り塗料の塗装方法としては特に
限定されず、例えば、通称「リアクトガン」と言われる
エアー静電スプレー;通称「マイクロ・マイクロ(μ
μ)ベル」、「マイクロ(μ)ベル」、「メタベル」等
と言われる回転霧化式の静電塗装機等を用いることによ
り行うことができる。好ましくは、回転霧化式の静電塗
装機等を用いる方法である。
【0090】上記中塗り塗膜の乾燥膜厚は、用途により
変化するが、5〜40μmであることが好ましい。5μ
m未満であると、下地が隠蔽できず、膜切れが発生する
ことがあり、40μmを超えると、鮮映性が低下した
り、塗装時にムラ、流れ等の不具合が起こることがあ
る。
【0091】本発明において、水性中塗り塗料、水性ベ
ース塗料及びクリヤー塗料について、未硬化で塗膜を形
成するとは、水性中塗り塗料、水性ベース塗料及びクリ
ヤー塗料をウエット・オン・ウエットでこの順番に塗装
することを意味するものであり、例えば、プレヒートを
行うことを含む概念である。上記プレヒートとは、塗布
した後に、例えば、室温〜約100℃で1〜10分間放
置又は乾燥するプレヒート工程である。従って、水性ベ
ース塗料を塗布する前及び/又はクリヤー塗料を塗布す
る前に、上記プレヒートを行う工程を含むこともでき、
このような方法も本発明の一つである。
【0092】上記水性中塗り塗料を塗布した後、上記水
性ベース塗料を塗装する前に、上記プレヒートを行う方
法は、塗膜の仕上がり外観が優れる場合が多いので、好
ましい。
【0093】工程(III) 上記工程(III)は、上述のようにして形成された未
硬化の中塗り塗膜の上に、水性ベース塗料を塗布して未
硬化のベース塗膜を形成するものである。
【0094】水性ベース塗料 上記水性ベース塗料は、主として、塗膜に色彩や光輝性
等の美観性及び意匠性を付与し維持するために塗布され
るものであり、例えば、水性カラーベース塗料、水性メ
タリックベース塗料、水性ソリッドベース塗料を挙げる
ことができる。
【0095】上記水性ベース塗料としては特に限定され
ず、例えば、塗膜形成性樹脂、硬化剤、顔料及びその他
の添加剤からなるものを挙げることができる。上記塗膜
形成性樹脂としては特に限定されず、例えば、アクリル
樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹
脂、ウレタン樹脂等が挙げられ、これらはアミノ樹脂及
び/又はブロックイソシアネート樹脂等の硬化剤と組み
合わせて用いられる。顔料分散性や作業性の点から、ア
クリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂とメラミン樹脂
との組み合わせが好ましい。
【0096】上記水性ベース塗料としては、ノニオン系
分散剤及び/又はカチオン系分散剤によって溶剤型熱硬
化性樹脂を含む成分を水分散させたものを用いてもよ
い。上記ノニオン系分散剤及び/又はカチオン系分散剤
によって溶剤型熱硬化性樹脂を含む成分を水分散させた
ものとしては、上述のものを挙げることができる。
【0097】上記水性ベース塗料は、光輝性顔料を配合
してメタリックベース塗料として用いることもできる
し、光輝性顔料を配合せずにレッド、ブルーあるいはブ
ラック等の着色顔料及び/又は体質顔料を配合してソリ
ッド型ベース塗料として用いることもできる。上記光輝
性顔料としては特に限定されず、例えば、金属又は合金
等の無着色若しくは着色された金属性光輝材及びその混
合物、干渉マイカ粉、着色マイカ粉、ホワイトマイカ
粉、グラファイト又は無色有色偏平顔料等を挙げること
ができる。分散性に優れ、透明感の高い塗膜を形成する
ことができるため、金属又は合金等の無着色若しくは着
色された金属性光輝材及びその混合物が好ましい。その
金属の具体例としては、アルミニウム、酸化アルミニウ
ム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ等を挙げることがで
きる。
【0098】上記光輝性顔料の形状は特に限定されず、
更に、着色されていてもよいが、例えば平均粒径
(D50)が2〜50μmであり、厚さが0.1〜5μm
である鱗片状のものが好ましい。平均粒径10〜35μ
mの範囲のものが光輝感に優れ、より好ましい。上記光
輝性顔料の水性ベース塗料中の顔料濃度(PWC)は、
一般に23重量%以下である。23重量%を超えると、
塗膜外観が低下する。好ましくは、0.01〜20重量
%であり、より好ましくは、0.01〜18重量%であ
る。
【0099】上記光輝性顔料以外の顔料としては、上記
電着塗料において記載した着色顔料、体質顔料を用いる
ことができる。上記顔料としては、光輝性顔料、着色顔
料及び体質顔料のなかから、1種又は2種以上を組み合
わせて用いることができる。上記光輝性顔料及びその他
の全ての顔料を含めた水性ベース塗料中の顔料濃度(P
WC)は、一般的には0.1〜50重量%であり、好ま
しくは0.5〜40重量%であり、より好ましくは1〜
30重量%である。50重量%を超えると塗膜外観が低
下する。上記水性ベース塗料に用いられるその他の添加
剤、及び、上記水性ベース塗料の調製方法としては、上
記水性中塗り塗料において例示したものを挙げることが
できる。
【0100】ベース塗膜形成方法 上記水性ベース塗料は、上記工程(II)において形成
された未硬化の中塗り塗膜の上に塗布され、未硬化のベ
ース塗膜が形成される。上記塗装方法としては、上記水
性中塗り塗料を塗布する際に例示した方法を挙げること
ができる。上記水性ベース塗料を自動車車体等に対して
塗装する場合には、意匠性を高めるために、エアー静電
スプレーによる多ステージ塗装、好ましくは2ステージ
で塗装するか、又は、エアー静電スプレーと上記の回転
霧化式の静電塗装機とを組み合わせた塗装方法により行
うことが好ましい。
【0101】上記水性ベース塗料を塗布した後、上記ク
リヤー塗料を塗装する前に、上述のプレヒートを行う方
法は、塗膜の仕上がり外観が優れる場合が多いので、好
ましい。
【0102】上記ベース塗膜の乾燥膜厚は、用途により
変化するが、5〜35μmであることが好ましい。5μ
m未満であると、色ムラが発生するおそれがあり、35
μmを超えると、鮮映性が低下したり、塗装時にムラ、
流れ等の不具合が起こることがあり、また、上記中塗り
塗膜と同様、硬化塗膜の黄変を充分に抑えることができ
ない場合がある。
【0103】工程(IV) 上記工程(IV)は、上記工程(III)において形成
された未硬化のベース塗膜の上に、クリヤー塗料を塗布
して未硬化のクリヤー塗膜を形成するものである。
【0104】クリヤー塗料 クリヤー塗料は、水性ベース塗料として光輝性顔料を含
むメタリックベース塗料を用いた場合に光輝性顔料に起
因するベース塗膜の凹凸、チカチカ等を平滑にしたり、
また、ベース塗膜を保護するために塗布されるものであ
る。上記クリヤー塗料としては特に限定されず、例え
ば、塗膜形成性樹脂、硬化剤及びその他の添加剤からな
るものを挙げることができる。
【0105】上記塗膜形成性樹脂としては特に限定され
ず、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキ
シ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられ、これらはアミノ樹
脂及び/又はブロックイソシアネート樹脂等の硬化剤と
組み合わせて用いられる。透明性又は耐酸エッチング性
等の点から、アクリル樹脂及び/若しくはポリエステル
樹脂とアミノ樹脂との組み合わせ、又は、カルボン酸・
エポキシ硬化系を有するアクリル樹脂及び/若しくはポ
リエステル樹脂等を用いることが好ましい。
【0106】上記クリヤー塗料としては、ノニオン系分
散剤及び/又はカチオン系分散剤によって溶剤型熱硬化
性樹脂を含む成分を水分散させたものを用いてもよい。
上記ノニオン系分散剤及び/又はカチオン系分散剤によ
って溶剤型熱硬化性樹脂を含む成分を水分散させたもの
としては、上述のものを挙げることができる。
【0107】上記クリヤー塗料としては、上述した水性
ベース塗料を塗装後、未硬化の状態で塗装するため、層
間のなじみや反転、又は、タレ等の防止のため、粘性制
御剤を添加剤として含有することが好ましい。上記粘性
制御剤の添加量は、クリヤー塗料の樹脂固形分100重
量部に対して0.01〜10重量部であり、好ましくは
0.02〜8重量部、より好ましくは0.03〜6重量
部である。10重量部を超えると、外観が低下し、0.
1重量部未満であると、粘性制御効果が得られず、タレ
等の不具合を起こす原因となる。
【0108】上記クリヤー塗料の塗料形態としては、有
機溶剤型、水性型(水溶性、水分散性、エマルジョ
ン)、非水分散型、粉体型のいずれでもよく、また必要
により、硬化触媒、表面調整剤等を用いることができ
る。
【0109】クリヤー塗膜形成方法 上記クリヤー塗料の調製方法及び塗装方法としては、従
来の方法に従って行うことができる。上記クリヤー塗膜
の乾燥膜厚は、用途により変化するが、10〜70μm
である。この乾燥膜厚が上限を超えると、鮮映性が低下
したり、塗装時にムラ、流れ等の不具合が起こることが
あり、下限を下回ると、外観が低下するおそれがある。
【0110】工程(V) 上記工程(V)においては、上記中塗り塗膜、上記ベー
ス塗膜及び上記クリヤー塗膜を同時に加熱硬化させて、
多層塗膜を得る。上記加熱硬化させる温度としては、1
10〜180℃、好ましくは120〜160℃にて行う
ことによって、高い架橋度の硬化塗膜を得ることができ
る。180℃を超えると、塗膜が固く脆くなり、110
℃未満では硬化が充分ではない。硬化時間は硬化温度に
より変化するが、120〜160℃で10〜60分間が
適当である。
【0111】本発明の多層塗膜形成方法によって得られ
る多層塗膜の膜厚は、通常30〜300μm、好ましく
は50〜250μmである。300μmを超えると、冷
熱サイクル等の膜物性が低下し、30μm未満である
と、膜自体の強度が低下する。
【0112】上述の工程(I)で塗装する電着塗料は、
複層塗膜を成すことで機能分担が施されているので、塗
膜性能として耐衝撃性(耐チッピング性)と防食性とが
高度に両立した電着塗膜を得ることができる。従って、
上記工程(I)で得られる電着塗膜上に、上記工程(I
I)〜(IV)により水性中塗り塗料、水性ベース塗料
及びクリア塗料をウェットオンウェットにて塗装し、上
述の工程(V)によりこれらの中塗り塗膜、ベース塗膜
及びクリア塗膜を同時焼付けするいわゆる3ウェット塗
装において、従来の電着塗料、中塗り塗料及び上塗り塗
料をそれぞれ焼き付け硬化する3コート3ベーク法によ
り得られる塗膜に匹敵する優れた耐食性及び耐衝撃性
(耐チッピング性)を有する多層塗膜を得ることができ
る。更に、この3ウエット塗装により、従来一般的であ
った上記3コート3ベーク法から中塗り塗料の焼き付け
工程を省くことができるので、工程短縮、コスト削減、
エネルギー消費量削減及び環境負荷低減を目指す新規塗
装システムを構築することができる。
【0113】本発明の多層塗膜形成方法により、また、
上述の工程(II)に用いる水性中塗り塗料において、
溶剤型熱硬化性樹脂を含む成分をノニオン系分散剤及び
/又はカチオン系分散剤によって水分散させて使用する
ので、得られる仕上がり塗膜が黄変することなく、優れ
た外観を有する。
【0114】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細
に説明するが、本発明は以下の実施例により限定される
ものではない。なお、部及び%は、重量部及び重量%を
意味する。
【0115】実施例1調製例1(電着塗料の調製) 1−1(ブロックドポリイソシアネート硬化剤の調製) 攪拌機、窒素導入管、冷却管及び温度計を備え付けた反
応容器にイソホロンジイソシアネート222部を入れ、
メチルイソブチルケトン50部で希釈した後ブチル錫ラ
ウレート0.2部を加え、50℃まで昇温の後、メチル
エチルケトオキシム17部を内容物温度が70℃を超え
ないように加えた。そして、赤外吸収スペクトルにより
イソシアネート残基の吸収が実質上消滅するまで70℃
で1時間保温し、その後n−ブタノール10部で希釈す
ることによって固形分80%の目的のブロックドポリイ
ソシアネート(溶解性パラメーターδi=11.8)を
得た。
【0116】1−2(ブロックドポリイソシアネート硬
化剤の調製) 攪拌機、窒素導入管、冷却管及び温度計を備え付けた反
応容器にヘキサメチレンジイソシアネートの3量体19
9部を入れ、メチルイソブチルケトン39部で希釈した
後ブチル錫ラウレート0.2部を加え、50℃まで昇温
の後、メチルエチルケトオキシム44部、エチレングリ
コールモノ2−エチルへキシルエーテル87部を内容物
温度が70℃を超えないように加えた。そして赤外吸収
スペクトルによりイソシアネート残基の吸収が実質上消
滅するまで70℃で1時間保温し、その後n−ブタノー
ル43部で希釈することによって固形分80%の目的の
ブロックドポリイソシアネート(溶解性パラメーターδ
i=10.7)を得た。
【0117】1−3(カチオン変性エポキシ樹脂エマル
ション[粒子B]の調製) 攪拌機、デカンター、窒素導入管、温度計及び滴下ロー
トを備え付けた反応容器に、エポキシ当量188のビス
フェノールA型エポキシ樹脂(商品名DER−331
J、ダウケミカル社製)2,400部とメタノール14
1部、メチルイソブチルケトン168部、ジラウリン酸
ジブチル錫0.5部を仕込み、40℃で攪拌し均一に溶
解させた後、2,4−/2,6−トリレンジイソシアネ
ート(80/20重量比混合物)320部を30分間か
けて滴下したところ発熱し、70℃まで上昇した。これ
にN,N−ジメチルベンジルアミン5部を加え、系内の
温度を120℃まで昇温し、メタノールを留去しながら
エポキシ当量が500になるまで120℃で3時間反応
を続けた。更に、メチルイソブチルケトン644部、ビ
スフェノールA341部、2−エチルヘキサン酸413
部を加え、系内の温度を120℃に保持し、エポキシ当
量が1070になるまで反応させた後、系内の温度が1
10℃になるまで冷却した。次いでジエチレントリアミ
ンジケチミン(固形分73%のメチルイソブチルケトン
溶液)241部とN−メチルエタノールアミン192部
の混合物を添加し110℃で1時間反応させることによ
りカチオン変性エポキシ樹脂を得た。この樹脂の数平均
分子量は2100、水酸基価は160であった。赤外吸
収スペクトル等の測定から、樹脂中にオキサゾリドン環
(吸収波数;1750cm-1)を有していることが確認
された。また溶解性パラメーターδb=11.4であっ
た。
【0118】こうして得られたカチオン変性エポキシ樹
脂中へ、上記調製例1−1で調製したブロックドポリイ
ソシアネート硬化剤1834部(カチオン変性エポキシ
樹脂100重量部に対するブロックドポリイソシアネー
トの配合比38重量%)、酢酸90部、更に防錆剤とし
て酢酸亜鉛2部及び酢酸セリウム2部を加えた後、イオ
ン交換水で不揮発分32%まで希釈した後、減圧下で不
揮発分36%まで濃縮し、カチオン変性エポキシ樹脂を
主体とする水性エマルション(以下、E1と記す)を得
た。
【0119】1−4(樹脂(a)に対するカチオン性分
散剤の調製) 攪拌機、冷却器、デカンター、窒素導入管及び温度計を
備え付けた反応容器に、メチルイソブチルケトン114
部を入れて50℃まで加熱後、4,4′−ジフェニルメ
タンジイソシアネート75部及び反応触媒としてジブラ
ウリン酸ジブチル錫0.1部を仕込み、窒素雰囲気下5
0℃に加熱保持した。更にR−15HT(出光石油化学
社製1,4−ポリブタジエン−α,ω―ジオール、数平
均分子量=1,200、水酸基価=103)110部を
滴下ロートから30分間かけて滴下し、更に30分間攪
拌を続行した。次に、N−メチルジエタノールアミン2
4部、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエー
テル20部及びジエチレントリアミンジケチミンのメチ
ルイソブチルケトン溶液(固形分73%)36部を仕込
み、80度で30分間反応させたところ、内容物のIR
チャートではイソシアネート基(波数;2220c
-1)の吸収が実質的に消失したことで反応終了を確認
した。得られた樹脂溶液は、固形分70%、数平均分子
量3,000、アミン価=85であった。
【0120】1−5(樹脂エマルション[粒子A]の調
製) 樹脂(a)としてR−45HT(出光石油化学社製1,
4−ポリブタジエン−α,ω―ジオール、数平均分子量
=2,800、水酸基価=47、ブタジエン含有量=9
9%、溶解性パラメーターδa=9.5)70部、上記
調製例1−2で調製したブロックドポリイソシアネート
硬化剤溶液38部、調製例1−4で調製したカチオン性
分散剤40部及び酢酸2.5部を加えた後、イオン交換
水で不揮発分32%まで希釈した後、減圧下で不揮発分
36%まで濃縮し、カチオン変性エポキシ樹脂を主体と
する水性エマルション(以下、E2と記す)を得た。
【0121】1−6(顔料分散樹脂の調製) 攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器
にエポキシ当量198のビスフェノールA型エポキシ樹
脂(商品名エポン829、シェル化学社製)710部、
ビスフェノールA289.6部を仕込んで、窒素雰囲気
下150〜160℃で1時間反応させ、次いで120℃
まで冷却後、2−エチルヘキサノール化ハーフブロック
化トリレンジイソシアネートのメチルイソブチルケトン
溶液(固形分95%)406.4部を加えた。反応混合
物を110〜120℃で1時間保持した後、エチレング
リコールモノn−ブチルエーテル1584.1部を加え
た。そして85〜95℃に冷却して均一化させた。
【0122】上記反応物の調製と並行して、別の反応容
器に2−エチルヘキサノール化ハーフブロック化トリレ
ンジイソシアネートのメチルイソブチルケトン溶液(固
形分95%)384部にジメチルエタノールアミン10
4.6部を加えたものを80℃で1時間攪拌し、次いで
75%乳酸水141.1部を仕込み、更にエチレングリ
コールモノn−ブチルエーテル47.0部を混合、30
分攪拌し、4級化剤(固形分85%)を調製しておい
た。そしてこの4級化剤620.46部を先の反応物に
加え酸価1になるまで混合物を85から95℃に保持
し、顔料分散樹脂ワニス(樹脂固形分56%、平均分子
量2,200)を得た。
【0123】1−7(顔料分散ペースト1の調製) サンドミルを用いて、調製例1−6で得られた顔料分散
樹脂を含む下記配合の顔料分散ペースト1を調製した。 調製例1−6の顔料分散樹脂ワニス 53.6部 二酸化チタン 88.0部 カーボンブラック 2.0部 リンモリブデン酸アルミ 10.0部
【0124】1−8(電着塗料の調製) 調製例1−3で得られたカチオン変性エポキシ樹脂エマ
ルション[粒子B](E1)、調製例1−5で得られた
樹脂エマルション[粒子A](E2)、調製例1−7で
得られた顔料分散ペースト1及び脱イオン水を使用し
て、樹脂(a)/樹脂(b)の配合比(樹脂固形分比、
ただし硬化剤重量は含めずに計算した)が50/50、
顔料/樹脂ビヒクル(全ビヒクル重量。硬化剤重量も含
む)の比率P/Vが1/4となるように電着塗料(固形
分濃度は20%)を調製した。上記電着塗料中には硬化
促進剤としてジブチル錫オキシドの乳化エマルションペ
ーストを錫量にして塗料固形分量の1.5%になるよう
に配合した。
【0125】調製例2(水性中塗り塗料の調製) 2−1(溶剤型ポリエステル樹脂の調製) 反応容器にイソフタル酸200.0部、無水フタル酸1
79.0部、アジピン酸176.0部、トリメチロール
プロパン150.0部、ネオペンチルグリコール29
5.0部、ジブチルスズオキサイド2.0部を仕込み、
窒素気流中で加熱し原料を融解させた後、混合攪拌しな
がら170℃まで徐々に昇温した。その後更に3時間か
けて220℃まで昇温しながら、脱水エステル交換させ
た。酸価が10となったところで150℃まで冷却し
た。更に、ヘキサヒドロフタル酸114.0部を加えて
1時間反応させて反応を終了した。更に、100℃まで
冷却した後、ブチルセロソルブ112.0部を加えてポ
リエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂は、
樹脂固形分70%、固形分酸価50、水酸基価65、G
PCによって得られた数平均分子量が10000であっ
た。
【0126】2−2(カチオン系分散樹脂の調製) 攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器
にエポキシ当量203のエポトートYDCN−703
(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、東都化成社
製)122部、ジエタノールアミン10部、ファーミン
D86(炭素数14〜18のジアルキルアミンの混合
物、花王社製)74部及びメチルイソブチルケトン52
部を仕込んで、窒素雰囲気下120℃で1時間反応させ
た。次いで、70℃まで冷却後、SHP−100(1−
(2−ヒドロキシエチルチオ)−2,3−プロパンジオ
ール、三洋化成工業社製)48部、氷酢酸32部及び脱
イオン水80部を加えた。反応混合物を70〜75℃で
6時間保持して反応を行わせた。得られたカチオン系分
散樹脂は、樹脂固形分60%、数平均分子量5000、
溶解性パラメーター10.8であった。
【0127】2−3(ポリエステル樹脂エマルション1
の調製) イオン交換水にノニオン系界面活性剤としてニューコー
ル1120(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、H
LB16.4、日本乳化剤社製)を33.4部及びエチ
レングリコールモノ−n−ヘキシルセロソルブ6部を分
散させた後、調製例2−1で得られたポリエステル樹脂
111.1部を攪拌しながら先ほどの分散液中にドロッ
プすることにより、不揮発分47.5%のノニオン系界
面活性剤で被覆されたポリエステル樹脂エマルション1
を得た。
【0128】2−4(ポリエステル樹脂エマルション2
の製造) イオン交換水に調製例2−2で得られたカチオン系分散
樹脂を55.7部及びエチレングリコールモノ−n−ヘ
キシルセロソルブ6部を分散させた後、調製例2−1で
得られたポリエステル樹脂111.1部を攪拌しながら
先ほどの分散液中にドロップする事で不揮発分47.5
%のカチオン系分散樹脂で被覆されたポリエステル樹脂
エマルション2を得た。
【0129】2−5(顔料分散ペースト2の調製) 顔料分散樹脂としてDisperbyk190(ビック
ケミー・ジャパン社製)8部、イオン交換水29部、ル
チル型二酸化チタン31部、硫酸バリウム31部、タル
ク1部を予備混合した後、ペイントコンディショナー中
でガラスビーズ媒体を加え、室温で1時間混合分散し、
粒度5μm以下の顔料分散ペースト2を得た。
【0130】2−6(水性中塗り塗料の調製) 調製例2−3及び調製例2−4で得られたポリエステル
樹脂エマルション1及び2、調製例2−5で得られた顔
料分散ペースト2、並びに、メラミン樹脂としてヘキサ
メトキシメチロールメラミン(HMMM、商品名:サイ
メル235、三井サイテック社製)を表1の通りの固形
分配合になるように配合して、水性中塗り塗料を得た。
【0131】調製例3(水性ベース塗料の調製) 3−1(水溶性アクリル樹脂の調製) 反応容器にジプロピレングリコールメチルエーテル2
3.9部及びプロピレングリコールメチルエーテル1
6.1部を加え、窒素気流中で混合攪拌しながら120
℃に昇温した。次いで、アクリル酸エチル54.5部、
メタクリル酸メチル12.5部、アクリル酸2−ヒドロ
キシエチル14.7部、スチレン10.0部及びメタク
リル酸8.5部の混合溶液と、ジプロピレングリコール
メチルエーテル10.0部及びt−ブチルパーオキシ−
2−エチルヘキサノエート2.0部からなる開始剤溶液
とを3時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下
終了後、0.5時間同温度で熟成を行った。更に、ジプ
ロピレングリコールメチルエーテル5.0部及びt−ブ
チルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.3部か
らなる開始剤溶液を0.5時間にわたり反応容器に滴下
した。滴下終了後、1時間同温度で熟成を行った。次い
で、脱溶剤装置により、70Torrの減圧下110℃
で溶剤を16.1部留去した後、ジメチルエタノールア
ミン(DMEA)を樹脂固形分1gに対して22mg及
びイオン交換水を加えて、不揮発分31%、固形分酸価
56、水酸基価70、GPCによって得られた数平均分
子量が10000の水溶性アクリル樹脂を得た。
【0132】3−2−1(顔料分散ペースト3の調製) 調製例3−1で得られた水溶性アクリル樹脂100.0
部、イオン交換水28.9部、ジメチルアミノエタノー
ル0.3部、デグサカーボンFW−285(デグサAG
社製)5.1部を使用すること以外は調製例2−5と同
様にして、粒度5μm以下の顔料分散ペースト3を得
た。
【0133】3−2−2(顔料分散ペースト4の調製) 調製例3−1で得られた水溶性アクリル樹脂67.0
部、イオン交換水23.2部、ルチル型二酸化チタン6
7.0部を使用すること以外は調製例2−5と同様にし
て、粒度5μm以下の顔料分散ペースト4を得た。
【0134】3−3−1(水性ベース塗料1の調製) 調製例3−1で得られた水溶性アクリル樹脂118.8
部、調製例3−2−1で得られた顔料分散ペースト3を
134.3部、メラミン樹脂としてサイメル204(三
井サイテック社製)29.1部及びイオン交換水16
1.3部を配合して、水性ベース塗料1を得た。
【0135】3−3−2(水性ベース塗料2の調製) 調製例3−1で得られた水溶性アクリル樹脂、サイメル
204(メラミン樹脂、三井サイテック社製)及び調製
例3−2−2で得られた顔料分散ペースト4を使用し、
固形分配合が以下のようになるように配合し、水性ベー
ス塗料2を得た。 ルチル型二酸化チタン 20.0部 水溶性アクリル樹脂 56.0部 サイメル204 24.0部
【0136】(塗装方法)調製例1で得られた電着塗料
を用いて、リン酸亜鉛処理したダル鋼板に対して、乾燥
膜厚が30μmになるような電圧で電着塗装し、まず1
00℃で5分間プレヒートを行った後、更に160℃で
15分間焼付け、塗膜を得た。次いで、下記の3通りの
方法により耐チッピング性又は黄変性を評価するための
塗装を更に行った。
【0137】1.耐チッピング性 得られた塗膜の上に、調製例2で得られた水性中塗り塗
料をエアスプレー塗装にて乾燥膜厚が20μmとなるよ
うに塗装し、80℃で5分間プレヒートを行った。その
後、調製例3で得られた水性ベース塗料1をエアスプレ
ー塗装にて乾燥膜厚が18μmとなるように塗装し、8
0℃で5分間プレヒートを行った。更にその塗板にクリ
ヤー塗料としてマックフロー O−1801Wクリヤー
(日本ペイント社製)をエアスプレー塗装にて乾燥膜厚
が35μmとなるように塗装した後、180℃で60分
間焼き付けた。
【0138】2.黄変性(1) 得られた塗膜の上に、調製例2で得られた水性中塗り塗
料をエアスプレー塗装にて乾燥膜厚が50μmとなるよ
うに塗装し、180℃で60分間焼き付けた。
【0139】3.黄変性(2) 得られた塗膜の上に、調製例2で得られた水性中塗り塗
料をエアスプレー塗装にて乾燥膜厚が20μmとなるよ
うに塗装し、80℃で5分間プレヒートを行った。その
後、調製例3で得られた水性ベース塗料2をエアスプレ
ー塗装にて乾燥膜厚が20μmとなるように塗装し、8
0℃で5分間プレヒートを行った。更にその塗板にクリ
ヤー塗料としてマックフロー O−1801Wクリヤー
(日本ペイント社製)をエアスプレー塗装にて乾燥膜厚
が50μmとなるように塗装した後、140℃で30分
間又は160℃で60分間焼付けを行った。
【0140】
【表1】
【0141】(評価方法) (1)電着塗料の評価 得られた電着塗膜に対する各々の性状及び性能評価結果
を表2に示す。表2においては便宜上、空気に直接接す
る層を「上層」、導電性基材に直接接する層を「下層」
という。 (1−1)塗料安定性 電着塗料を30℃に保持した状態で1ヶ月間攪拌した
後、その1リットルを400メッシュの金網で濾過し、
金網上の残固形物量が5mg以下であれば、良好と判断
した。
【0142】(1−2)電着塗膜の層分離状態 ビデオマイクロスコープで断面の目視観察を行った。ま
た複層電着膜の場合、各層を構成する主樹脂はFTIR
−ATR分析により同定した。 (1−3)各層の層厚 上記ビデオマイクロスコープによる断面観察結果から測
定した。 (1−4)上層形成樹脂の伸び率 調製例1−5で得られた樹脂(a)を含むエマルション
を用いて、JIS K6301に従って別途引張試験サ
ンプルを作成して測定した。硬化条件については、上記
塗膜硬化と同条件において実施した。
【0143】(1−5)上下層のTg(ガラス転移温
度) ブリキ板上に施した複層電着膜を水銀を用いて剥離、裁
断して測定用サンプルを調製し、レオメトリックスダイ
ナミックアナライザーRDA−II試験機(米国レオメ
トリックス社製)を用いて、液体窒素により試料をいっ
たん凍結した後、1分間に2℃の昇温速度かつ周波数1
0Hzにおいてサンプルに振動を与えてその粘弾性を測
定し、貯蔵弾性率(E′)に対する損失弾性率
(E′′)の比(tanδ)を算出して、その変曲点を
求めることによって、それぞれの動的Tgを求めた。 (1−6)電着膜表面粗度 得られた塗板について、ハンディサーフE−30A(東
京精密社製)を用いて、JIS B 0601に従っ
て、表面粗度Raを測定した(カットオフ0.8m
m)。
【0144】(1−7)SDT 塗板にナイフで素地に達するクロスカットを入れ、塩水
浸漬試験(5%食塩水、55℃)を240時間行い、粘
着テープによってカット部両側から剥離した剥離部の最
大幅で示した。 (1−8)SST 塗板にナイフで素地に達するクロスカットを入れ、塩水
噴霧試験(5%食塩水)を240時間行い、クロスカッ
ト部からの発生錆の最大幅で示した。 (1−9)耐衝撃試験性 デュポン式耐衝撃試験機を用いて、常温において錘1k
gを50cmの高さから落下させて、塗膜の割れ、剥が
れの有無を調べた。
【0145】
【表2】
【0146】(2)得られた多層塗膜の耐チッピング性
評価 上記塗装方法1により得られた塗板を−30℃に冷却
し、これを飛石試験機(スガ試験機社製)の試料ホルダ
ーに石の進入角が90°になるように取り付け、100
gの7号砕石を3kg/cm2 の空気圧で噴射し、砕石
を塗板に衝突させた。そのときのハガレ傷の程度(数、
大きさ、破壊場所)を5段階評価した。結果を表1に示
す。 1:全面にハガレ傷、素地から剥離あり 2:全面にハガレ傷、素地からの剥離なし 3:一部にハガレ傷、素地からの剥離あり 4:一部にハガレ傷.素地からの剥離なし 5:ほとんど破壊なし
【0147】(黄変評価方法)上記塗装方法2及び3に
より得られた塗膜のb値を色差計(SMカラーコンピュ
ーターSM−4、スガ試験機社製)を用いて測定した。
b値が大きいほど黄色味が強い。結果を表1に示す。
【0148】実施例2 水性中塗り塗料を表1に示した配合で調製したこと以外
は、実施例1と同様にして、多層塗膜が形成された塗板
を作成し評価を行った。結果を表1に示す。
【0149】比較例1 電着塗料としてパワートップU−50(カチオン電着塗
料、日本ペイント社製)を使用したこと以外は、実施例
1と同様にして、多層塗膜が形成された塗板を作成し評
価を行った。結果を表1及び表2に示した。
【0150】表2から、従来の電着塗料は単層塗膜を形
成するのに対し、本発明に使用する電着塗料は下層が高
Tgで上層が低Tgであり、樹脂の伸び率が高い複層電
着塗膜を形成することがわかった。表1から、実施例で
得られる多層塗膜は、耐チッピング性に優れており、ま
た、ノニオン系分散剤又はカチオン系分散剤によって水
分散させたポリエステル樹脂を使用する場合には、何れ
の焼き付け条件下においても塗膜の黄変はほとんど認め
られないことがわかった。
【0151】
【発明の効果】本発明に用いる電着塗料からは、塗膜形
成時に、耐食性を主な機能とする電着塗膜層上に、衝撃
吸収性を有する層を形成させた複層電着膜を得ることが
できる。更に、水性中塗り塗料において、溶剤型熱硬化
性樹脂をノニオン系分散剤及び/又はカチオン系分散剤
によって水分散させた熱硬化性樹脂を使用するので、得
られる仕上がり塗膜が黄変を防ぐことができる。従っ
て、本発明により得られる多層塗膜は、従来の3コート
膜に匹敵する優れた耐食性及び耐衝撃性(耐チッピング
性)を有するとともに、黄変せず、優れた外観を有する
ものである。本発明の多層塗膜形成方法は、塗料産業上
とりわけ自動車塗装分野において、焼付け工程短縮、コ
スト削減及び環境負荷(VOC及びHAPs)低減を目
指す新規3ウェット塗装システムを構築する上で、重要
な役割を果たすものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 7/12 C09D 7/12 109/00 109/00 167/00 167/00 201/00 201/00 C25D 13/00 307 C25D 13/00 307D 308 308C 13/06 13/06 B E Fターム(参考) 4D075 AE06 AE09 BB26Z BB89X CA04 CA33 DB02 DC12 EA06 EA19 EA43 EB35 EB45 EB52 EB53 EB54 4J038 CA021 CA022 CA081 CA082 CB001 CG001 DA112 DB011 DB012 DB021 DB022 DB391 DB392 DD001 DD041 DD042 DD121 DD231 DF001 DG001 DG002 DH001 DH002 KA03 KA09 MA02 MA08 MA10 MA13 MA16 NA11 NA12 NA27 PA04 PA12 PA19 PB07 PC02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被塗装物上に、電着塗料を塗装した後、
    加熱硬化して電着塗膜を形成する工程(I)、前記電着
    塗膜の上に、水性中塗り塗料を塗布して、未硬化の中塗
    り塗膜を形成する工程(II)、前記中塗り塗膜の上
    に、水性ベース塗料を塗布して、未硬化のベース塗膜を
    形成する工程(III)、前記ベース塗膜の上に、クリ
    ヤー塗料を塗布して、未硬化のクリヤー塗膜を形成する
    工程(IV)、並びに、前記中塗り塗膜、前記ベース塗
    膜及び前記クリヤー塗膜を同時に加熱硬化させて、多層
    塗膜を得る工程(V)を含む多層塗膜形成方法であっ
    て、前記電着塗料は、溶解性パラメーターがδaである
    樹脂(a)を含む粒子Aと、溶解性パラメーターがδb
    である樹脂(b)及び硬化剤を含む粒子Bとを含有する
    ものであり、(1)(δb−δa)の値が1.0以上で
    あり、(2)前記電着塗料から形成される電着塗膜のう
    ち、前記粒子Aから形成される樹脂膜の動的ガラス転移
    温度は、−110〜10℃であり、前記粒子Aのみで造
    膜して得られる塗膜の伸び率は、200%以上であり、
    (3)前記電着塗料から形成される電着塗膜のうち、前
    記粒子Bから形成される樹脂膜の動的ガラス転移温度
    は、60〜150℃であり、かつ、前記水性中塗り塗料
    は、溶剤型熱硬化性樹脂を含む成分をノニオン系分散剤
    及び/又はカチオン系分散剤によって水分散させたもの
    を含有するものであることを特徴とする多層塗膜形成方
    法。
  2. 【請求項2】 粒子Aは、更に硬化剤を含むものであっ
    て、前記硬化剤の少なくとも1つは、溶解性パラメータ
    ーδiがδb>δi>δaである請求項1記載の多層塗
    膜形成方法。
  3. 【請求項3】 樹脂(a)と樹脂(b)との固形分に基
    づく重量比は、5/95〜70/30である請求項1又
    は2記載の多層塗膜形成方法。
  4. 【請求項4】 樹脂(a)は、50重量%以上の共役ジ
    エン系単量体からなる単量体成分を重合してなる樹脂で
    ある請求項1、2又は3記載の多層塗膜形成方法。
  5. 【請求項5】 溶剤型熱硬化性樹脂は、ポリエステル樹
    脂である請求項1、2、3又は4記載の塗膜形成方法。
  6. 【請求項6】 溶剤型熱硬化性樹脂を含む成分には、更
    に硬化剤が含まれるものである請求項1、2、3、4又
    は5記載の塗膜形成方法。
  7. 【請求項7】 ノニオン系分散剤及び/又はカチオン系
    分散剤の含有量は、溶剤型熱硬化性樹脂を含む成分並び
    に前記ノニオン系分散剤及び/又は前記カチオン系分散
    剤の合計量に対して固形分基準で2〜50重量%である
    請求項1、2、3、4、5又は6記載の塗膜形成方法。
  8. 【請求項8】 溶剤型熱硬化性樹脂の数平均分子量は、
    1000〜30000である請求項1、2、3、4、
    5、6又は7記載の塗膜形成方法。
  9. 【請求項9】 溶剤型熱硬化性樹脂を含む成分には、更
    に顔料が含まれるものである請求項1、2、3、4、
    5、6、7又は8記載の塗膜形成方法。
  10. 【請求項10】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8又は9記載の塗膜形成方法により形成されてなる塗
    膜。
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