JP2021065621A - 椅子 - Google Patents

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Abstract

【課題】背フレーム17に可撓性シート材を張った構造の背もたれを傾動フレームに固定してなる椅子において、強度と美観とを向上させる。【解決手段】背もたれ4は、背フレーム17にシート材18(メッシュ材)を張った構造であり、背フレーム17のロアメンバー21が傾動フレーム5の前面に固定されている。傾動フレーム5は左右の背支柱部7を備えているため、背フレーム17の固定強度に優れている。傾動フレーム5の稜線9,10,11と背フレーム17の稜線23,24,25とが連続しており、稜線9,10,11,23,24,25を挟んだ両側の外周面27,27a,14と内周面28,28a,14も連続してループ体を成している。バックビューにおいて傾動フレーム5と背フレーム17とが一体化しており、美観に優れている。【選択図】図4

Description

本願発明は、メッシュタイプの背もたれを備えた椅子に関するものである。
例えば事務用等に多用されている回転椅子において、背もたれを前後に開口したフレーム材(背枠体)にメッシュ材が張られた構造にすることは広く行われている。回転椅子は、一般に背もたれがばね手段に抗して後傾するロッキング椅子になっていることが普通であり、そこで、フレーム材は、ベース(支基)に後傾動自在に連結された傾動フレームに取り付けられている。
背フレームを傾動フレームに取り付ける構造は様々であるが、例えば特許文献1には、傾動フレーム(公報の用語では背フレーム)に左右の背支柱部(同、連結部材)を設け、フレーム材の下枠を背支柱部の前面に固定することが開示されている。また、特許文献1では、フレーム材の下枠は傾動フレームの背支柱部に上から部分的に嵌合しており、正面視及び背面視で、フレーム材の全体が人目に触れるようになっている。
特開2015−93087号公報
特許文献1のように、背もたれを構成するフレーム材の全体が後ろから視認される状態になっていると、フレーム材と傾動フレームとが重なり合う面積が少ないため、必要な支持強度を得るには下枠や背支柱部を過剰な肉厚に形成せねばならないおそれがある。
他方、傾動フレームを、背もたれのフレーム材と同様に前後に開口した枠状に形成することも行われているが、この場合は、背もたれの支持強度について問題はないが、背部の構造が複雑化したシンプル性に欠けるという別の問題がある。
本願発明はこのような現状を契機に成されたものであり、シンプルで洗練された外観を呈しつつ、着座者の支持強度にも優れた椅子を提供せんとするものである。
本願発明は様々に展開することが可能であり、典型的な構成を各請求項で特定している。このうち請求項1の発明に係る椅子は、
「前後に開口した背フレームに身体支持体が装着された背もたれとこれが取り付くバックフレームとを有し、
前記背フレームは、上下長手の左右サイドメンバーとその上端に連続したアッパーメンバー及び前記サイドメンバーの下端に連続したロアメンバーとを備えて、前記ロアメンバーが前記バックフレームに手前から重なっている」
という基本構成である。
この場合、「身体支持体」には、メッシュ材のような可撓性を有するシート材や、合成樹脂製の薄板状の背板などが含まれる。いずれにしても、身体支持体は単層でよいし、複層構造であってもよい。また、身体支持体が合成樹脂製の背板である場合、背板を背フレームに一体に形成することも可能である。
そして、上記基本構成において、
「前記背フレームの少なくともサイドメンバーと前記バックフレームとは、互いに連続した後ろ向き稜線と、前記後ろ向き稜線の外側において連続した外周面と、前記後ろ向き稜線の内側において連続した内周面とを有している」
という構成が付加されている。
請求項2の発明は、請求項1を具体化したもので、
「少なくとも前記サイドメンバー及びバックフレームの外周面と内周面とは、前記後ろ向き稜線を通る前後方向の線に対して傾斜している」
という構成になっている。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、
「前記アッパーメンバーにも、前記サイドメンバーの後ろ向き稜線と外周面及び内周面に連続した後ろ向き稜線と外周面及び内周面が形成されており、前記背もたれと前記バックフレームとで、前記後ろ向き稜線と外周面と内周面とがループ状に連続している」
という構成になっている。
請求項4の発明は、請求項1〜3のうちのいずれかにおいて、
「前記身体支持体は可撓性のシート材であり、前記シート材は、前記サイドメンバー及びアッパーメンバーにおいて外周面を覆うように後ろに巻き込まれており、前記背フレームにおけるサイドメンバー及びアッパーメンバーの内周面は、前記シート材の周縁部を覆うカバーで構成されている」
という構成になっている。
請求項5の発明は請求項4の発明を具体化したもので、
「前記シート材は、前記サイドメンバーの外周面から下方にはみ出しており、前記はみ出した部分は前記バックフレームによって後ろから覆われている」
という構成になっている。
請求項5の発明は、請求項1〜5のうちのいずれかにおいて、
「前記バックフレームは、左右の背支柱部を有して弓形に湾曲した形態である一方、
前記背フレームのロアメンバーは、前記バックフレームの弓形形態に対応して正面視で下向きに膨れるように湾曲している」
という構成になっている。
本願発明では、背もたれのロアメンバーはバックフレームに手前から重なっているため、背もたれとバックフレームとが重なり合う面積を大きくして、背もたれに作用した荷重を背支柱部に分散して支持させることができる。また、背もたれには着座者の荷重が後ろむきに作用するが、この荷重はバックフレームに対しても後ろ向きに作用するため、背もたれとバックフレームとの結合部に大きくモーメントが作用することを抑制できる。これらのことが相まって、本願発明では、バックフレームや背フレームを過剰に厚くすることなく、着座者の支持強度を確保することができる。
そして、本願発明では、背もたれとバックフレームとでループ構造の背部が構成されるが、少なくともサイドメンバー19とバック稜線とに、互いに連続した後ろ向き稜線と外周面及び内周面が形成されているため、デザイン的に統一されてスッキリとした外観を実現できる。従って、美観に優れて商品価値の高い椅子と成すことができる。
背もたれ及びバックフレームの外周面と内周面との形態は、例えば、外周面が外周方向のみに露出して後ろには露出しない形態や、逆に、内周面が内周方向のみに露出して後ろには露出しない形態も採用できるが、請求項2のように、少なくとも前記サイドメンバー及びバックフレームの外周面と内周面とを傾斜させると、外周面と内周面とがバランス良く調和して違和感のないデザインを実現できる。従って、美観の向上に更に貢献できる。
また、請求項3のようにアッパーメンバーにも後ろ向き稜線と外周面及び内周面を形成しても、背もたれ全体として後ろ向き稜線は外周面及び内周面をループ構造に形成すると、背もたれ全体としてデザイン的に統一されて、美観を更に向上できる。
さて、特許文献1では、メッシュ材(可撓性シート材)をフレーム材に取り付ける方法として、メッシュ材の外周部に縁材を固定して、フレーム材の外周に形成した長溝に縁材を嵌め込んでいるが、この場合は、メッシュ材は、一方のサイドメンバーに取り付けてから強く引っ張って他方のサイドメンバーに取り付けなければならないため、メッシュ材の取り付けに手間が掛かる問題がある。また、サイドメンバーの後面はそのまま人目に触れるため、デザイン面で、メッシュ仕様であることの訴求力が弱いという問題がある。
これに対して請求項4の構成を採用すると、シート材はサイドメンバー及びアッパーメンバーの外周面を覆った状態で後ろに巻き込まれているため、例えば溶着やタッカー止めによる固定も可能になって、取り付けを容易に行える。
また、サイドメンバー及びアッパーメンバーの外周面はシート材で覆われているため、特許文献1に比べてシート材による背フレームの被覆面積は格段に増大しており、従って、メッシュ材等のシート材を使用したタイプであることを人に強く印象付けることができる。
そして、シート材の縁部はカバーで覆われているため、シート材を後ろに巻き込んだことに起因する美観の悪化はないのみならず、カバーは、バックフレームの内周面と連続してループ面を構成することによってデザイン性を向上させるという効果も発揮している。従って、美観を更に高めて商品価値を向上できる。
請求項4のように、サイドメンバーの外周面がシート材で覆われていると、サイドメンバーの外周面とバックフレームの外周面との境界までシート材が露出しているが、請求項5の構成を採用すると、シート材のはみ出し部がバックフレームで押さえられているため、バックフレームとの境界部においてシート材の切れ端が露出したり皺がよったりすることを防止できる。従って、シート材を美麗に張ることができる。
特許文献1では背支柱部が真上に立ち上がっているため、背もたれに作用した荷重は背支柱部に対して曲げ力として作用し、背支柱部の付け根部に応力が集中することになる。従って、高い強度を確保するためには、背支柱部を厚肉にするなどの対応が必要になる。
これに対して、請求項6のようにバックフレームを弓形に形成すると、背支柱部は左右方向に広がりつつ上向きに立ち上がるため、背もたれに作用した荷重はバックフレームの広い範囲に分散する。従って、バックフレームは、過度に厚肉化することなく必要な支持強度を確保できる。従って、請求項1の効果を助長して、スリム化しつつ高い支持強度を得ることができる。
実施形態を示す図で、(A)は正面図、(B)は前方から見た斜視図、(C)は後ろから見た斜視図である。 (A)は背面図、(B)は側面図、(C)はアッパーカバーとサイドカバーとの分離斜視図、(D)はアッパーカバーとサイドカバーとが当接した状態での分離斜視図である。 部材の分離斜視図である。 分離背面図である。 (A)は背フレームと補助プレートとの分離斜視図、(B)は背フレームとバックフレームとの分離斜視図である。 (A)は背フレームの下部の正面図、(B)はバックフレームは前向きで背フレームは後ろ向きにした状態での分離図である。 背フレームとバックフレームとの接続状態を示す分離斜視図であり、(A)は後ろから見た図、(B)は互いの姿勢を変えて前から見た図である。 (A)はバックフレームとバックカバーとの分離斜視図、(B)はバックカバーの斜視図、(C)はバックフレームを前から見た部分斜視図である。 (A)はバックフレームと肘掛けとを前から見た分離斜視図、(B)はバックフレームと肘掛けとを横から見た分離斜視図である。 (A)は背フレームの一部破断正面図、(B)は背フレームの一部破断背面図である。 (A)は背フレームとサイドカバーとの分離斜視図、(B)はサイドカバーの下部の斜視図、(C)はバックフレームを前から見た部分斜視図である。 (A)は背フレームを後ろから見た部分斜視図、(B)は図4の XIIB-XIIB視断面図である。 図4のXIII-XIII視断面図であり、(A)はサイドカバーを省略した状態の図、(B)はサイドカバーを取り付けた状態の図である。 図4のXIV-XIV視断面図であり、(A)はアッパーカバーを省略した状態の図、(B)はアッパーカバーを取り付けた状態の図である。 背フレームの中央部の縦断側面図で、図6(B)のXV-XV視断面図である。 (A)は図6(B)のXVIA-XVIA 視断面図、(B)は図6(B)のXVIB-XVIB視断面図である。 ランバーサポートを示す図で、(A)は片方を分離した正面図、(B)は斜視図、(C)は固定ガイド体を分離した斜視図、(B)はユニットを後ろから見た斜視図である。 (A)(B)ともランバーサポートの分離斜視図であり、(B)では部材の姿勢を変えている。 (A)は背もたれを図18(A)のA−A視方向から見た断面図、(B)は別例の分離斜視図である。
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では方向を特定するため「前後」「左右」の文言を使用するが、この前後左右の文言は着座した人を基準にしている。正面視方向は着座した人と対峙した方向であり、従って、正面視での左右と着座した人から見た左右とは逆になる。
(1).椅子の概略
まず、主として図1〜図4を参照して椅子の概要を説明する。本実施形態は事務用等に多用されている回転椅子の背もたれに適用しており、椅子は、ガスシリンダより成る脚支柱を有する脚装置1と、脚支柱の上端に固定したベース2と、ベース2の上に配置した座3と、着座した人がもたれ掛かり得る背もたれ4とを備えている。
例えば図3に明示するように、ベース2には、請求項に記載したバックフレームの一例として、左右のアーム5aを備えた傾動フレーム5が、ばね手段に抗して後傾動するように連結されている。また、図2(B)に示すように、ベース2には、座3が固定された座受け体6が後退動自在に連結されており、座受け体6は、傾動フレーム5のアーム5aに相対回動可能に連結されている。従って、座3は、背もたれ4と連動して後退しつつ少し後傾する。
なお、座3は、樹脂製の座インナーシェルの上面にクッションを配置してこれを表皮材で覆った構造になっており、座インナーシェルが、直接に又は座アウターシェルを介して座受け体6に固定されている。
図1から理解できるように、傾動フレーム5は、内向きに湾曲して上向きに延びる左右の背支柱部7を備えており、左右の背支柱部7と基部8とは、正面視(及び背面視)で上向きに反るように滑らかに連続した弓形の形態を成している。また、傾動フレーム5は、内向き稜線9と外向き稜線10と後ろ向き稜線11とを有して、大まかには三角形の断面形状を成している。従って、傾動フレーム5は、図3に現れている前面12と、図1(C)に現れている傾斜状外周面14及び傾斜状内周面13とを有しており、傾斜状外周面14及び傾斜状内周面13とは山形に交叉して後ろ向き稜線11に至っている。
また、傾動フレーム5のうち基部8と背支柱部7とから成る部分は、左右両端(上端)に向かって細くなっている。このため、傾斜状外周面14及び傾斜状内周面13は、左右中間部が最も幅広で、左右両端に向かって幅が狭くなっている。図2(A)や図4に示すように、背支柱部7の外面には、オプション品としての肘掛け15を取り付けることが可能であり、肘掛け15を取り付けない場合は、背支柱部7の外面はバックカバー16で覆われている。
例えば図3に示すように、背もたれ4は、前後に開口した背フレーム17とその前面に張られたシート材(メッシュ材)18とを備えている。シート材18は、身体支持体の一例である。また、図3に明示するように、背フレーム17は、上下長手の左右サイドメンバー19と、左右長手のアッパーメンバー20と、傾動フレーム5の基部8及び背支柱部7の前面に重なるロアメンバー21とで構成されている。ロアメンバー21は、傾動フレーム5の形状に合わせて上向きに反った弓形に湾曲している。なお、各メンバー19,20,21は合成樹脂製である。傾動フレーム5はアルミダイキャスト品を採用しているが、合成樹脂製とすることも可能である。
背フレーム17のサイドメンバー19は、左右方向の内向きに突出した内向き稜線23と、左右方向の外向きに突出した外向き稜線24と、内向き稜線23及び外向き稜線24の間において後ろ向きに突出した後ろ向き稜線25とを備えている。従って、内向き稜線23及び外向き稜線24の間の部位は前面26になって、外向き稜線24と後ろ向き稜線25との間の部分は外周面(外側面)27になって、後ろ向き稜線25と内向き稜線23との間の部分は内周面(内側面)28になっている。
図1から理解できるように、サイドメンバー19の各稜線23,24,25と各面26,27,28は、アッパーメンバー20まで連続している。すなわち、サイドメンバー19の前面26はアッパーメンバー20の前面26aと連続し、サイドメンバー19の外周面27はアッパーメンバー20の外周面27aと連続し、サイドメンバー19の内周面28はアッパーメンバー20の内周面(下面)28′と連続している。
他方、ロアメンバー21については、サイドメンバー19の各稜線23,24,25は傾動フレーム5の各稜線9,10,11と連続しているため、図3に示すように、ロアメンバー21の内向き稜線23bはサイドメンバー19の内向き稜線23から段落ちし、また、ロアメンバー21には後ろ向き稜線は存在しない。ロアメンバー21の外向き稜線24bはサイドメンバー19の外向き稜線24bと連続している。但し、ロアメンバー21の下部は切除部21aになっており、この切除部21aに補助プレート29が連結されている。従って、ロアメンバー21の外向き稜線24bは連続せずに途中で途切れている。
また、ロアメンバー21の前面26bはサイドメンバー19の前面26と連続しているが、ロアメンバー21には、サイドメンバー19の外周面27と内周面28とに対応した面はなく、サイドメンバー19の外周面27と内周面28から段落ちした状態の後面28c(図6(C)参照)が存在している。
シート材18は、サイドメンバー19及びアッパーメンバー20及びロアメンバー21の上端部に対して超音波溶着によって直接固定されているが、シート材18の下端部は補助プレート29に縫着や溶着,或いはタッカー止めなどで固定されており、補助プレート29を介してロアメンバー21に取り付けられている。
なお、図1や図2(A)、図3では、シート材18は点線の平行斜線で表示しており、背フレーム17の前面の態様はそのまま表示しているが、実際には、背フレーム17の前面の態様はシート材18で隠れて見えない(シート材18の種類によっては、少し透けて見えることが有り得る。)。
(2).背フレームと傾動フレームとの連結構造
次に、背フレーム17と傾動フレーム5との連結構造を説明する。図面は、主として図5〜9を参照する。
例えば図5に示すように、傾動フレーム5における基部8の前面12には、前向きに開口したメイン凹部31が形成されており、メイン凹部31の内部に、縦横に延びる多数の補強リブ32を形成している。また、基部8の左右中間部(メイン凹部31の左右中間部)には、ロッキング用ガスシリンダ33a(図2(A)(B)に僅かに現れている)の後端部を取り付けるためのセンター凹部33が形成されている。センター凹部33は、リブ32で囲われた状態になっている。
同じく図5に示すように、背フレーム17のロアメンバー21に、左右一対の位置決めボス34を後ろ向きに突設している一方、傾動フレーム5の基部8には、位置決めボス34が手前から嵌入する位置決め穴35(図16(A)も参照)を形成している。位置決め穴35は補強リブ32で囲われた構造になっている。位置決めボス34はかなり大きな突出寸法であり、これが殆どクリアランスのない状態で位置決め穴35に嵌合していることにより、背フレーム17は、後ろ向きの荷重をしっかりと支える状態で傾動フレーム5に取り付けられる。位置決めボス34は、背支柱部7の軸線O3(図2(B)参照)と同じ方向に傾斜している。
更に、例えば図7に明示するように、傾動フレーム5における背支柱部7の上端部に、手前と上方とに開口した位置決め凹部(サイド凹部)36を形成している一方、背フレーム17におけるロアメンバー21の左右上端部に、位置決め凹部36にきっちり嵌合する位置決め突起(サイド突起)37を形成して、位置決め突起37と位置決め凹部36とが、ボルト38及びナット39で締結されている。
位置決め凹部36及び位置決め突起37は切頭角錐状の形態を成しており、位置決め突起37に、ナット39が回転不能に保持される横向きのポケット穴40を形成している一方、位置決め凹部36の底板には、ボルト挿通穴41が空いている。
図5から理解できるように、傾動フレーム5における背支柱部7のうち位置決め凹部36の下方部は後ろ向きに開口したバック凹部42になっており、ボルト38は、バック凹部42に連続した補助凹所42aから位置決め凹部36の底板に挿通されている。従って、ボルト38の頭はバック凹部42に露出しており、ボルト38の挿通穴は、バック凹部42と位置決め凹部36とに連通している。
背フレーム17は、位置決めボス34と位置決め穴35との嵌まり合いに加えて、位置決め突起37と位置決め凹部36との嵌まり合いによって姿勢保持されているため、左右2本のボルト38のみによる締結であっても、傾動フレーム5に対して強固に固定されている。また、位置決め突起37と位置決め凹部36とは切頭四角錐状になっているため、ボルト38を締め込むと、位置決め突起37が位置決め凹部36に対してしっかりと密着する(食い込む)。その結果、背フレーム17は、2本のボルト38によって、ガタ付きがない状態で傾動フレーム5に強固に固定される。
(3).肘掛け及びバックカバーの取り付け構造
傾動フレーム5には、前向きに開口した位置決め凹部36と後ろ向きに開口したバック凹所42とが形成されているため、傾動フレーム5の基部8と背支柱部7とを全体として見ると、前向きに開口した位置決め凹部36とメイン凹部31との間に、後ろ向きに開口したバック凹部42が存在している。
図8(A)や図9(B)から理解できるように、バック凹部42は、概ね四角形であって底部に向けて断面積が縮小するテーパ形状になっている。すなわち、バック凹部42は切頭四角錐状になっている。そして、背支柱部7の外面に基部8の外面から少し段落ちした段部43になっており、この段部43にバック凹部42が形成されている。
図1,2では、肘掛け15は、固定式肘掛け15aと可動式肘掛け15bとを重ねて表示しているが、実際には、いずれか一方が取り付けられる。図9では固定式肘掛け15aを表示しており、固定式肘掛け15aの基部に、傾動フレーム5のバック凹部42に嵌合する切頭四角錐状のボス45が形成されており、肘ベース15aは、ボス45に外側から挿通されたボルト46によって傾動フレーム5に締結されている。従って、傾動フレーム5におけるバック凹部42の底部には、ボルト46が螺合するタップ穴47(図9(B)参照)を形成している。
図9(B)に示すように、固定式肘掛け15aの基部には、ボルト46の頭が隠れる座繰り穴48を形成している。また、固定式肘掛け15aには、背支柱部7の外周面である段部43に重なるフランジ板49が一体に形成されている。可動式肘掛け15bは、背支柱部7に固定されるベース体と、ベース体に上下回動自在及び水平旋回自在に取り付けられた中間アームと、中間アームの先端に水平旋回可能に取り付けられた肘当てとを有しており、ベース体の基部は固定式肘掛け15aの基部と同様に構造になっていて、固定式肘掛け15aと同じボルト46で背支柱部7に固定される。
既述のとおり、傾動フレーム5に肘掛け15を取り付けない場合は、バック凹部42はバックカバー16で覆われる。バックカバー16は傾動フレーム5の段部43に嵌合するようになっており、上向きの第1係合爪50と、背支柱部7のバック凹部42に入り込む一対の第2係合爪51と、バック凹部42よりも下方において前向きに突出した2本の第3係合爪52とにより、傾動フレーム5に取り付けられている。
従って、背支柱部7の上端部には、第1係合爪50が嵌まり込んで係合する一対の第1係合穴53が形成されて、背支柱部7のうちバック凹部42の内部には、第2係合爪51が弾性変形してから係合する第2係合穴54が形成されて、バック凹部42よりも下方の段部43には、第3係合爪52が弾性変形してから係合する一対の第3係合穴55が形成されている。
第1係合穴53は後ろ向きのみに開口した袋状になっており、第1係合爪50は、上向きにスライドさせることによって第1係合穴53に係合する。従って、バックカバー16の上端は、上向きずれ不能及び後ろ向き起こし不能に保持される。他方、第2係合穴54及び第3係合穴55は前後に開口している。
また、第3係合爪52の下方に、第3係合穴55に嵌入する補助突起56を前向きに突設している。従って、バックカバー16は、第1係合爪50によって上向き移動不能に保持された状態で、補助突起56によって下向き移動不能に保持されている。従って、バックカバー16は、ガタ付きのない状態にしっかりと取り付けられる。また、バックカバー16は傾動フレーム5の段部43に嵌まっていて、バックカバー16の表面と傾動フレーム5の傾斜状外周面14とは同一面を成す状態になっているため、美観が優れていると共に、引き起こし難くなっている。
本実施形態では、肘掛け15を取り付けるためのバック凹部42を利用して、背フレーム17を傾動フレーム5にボルト38で締結している。すなわち、肘掛け15を取り付けるためのバック凹部42を、背フレーム17を固定するためのボルト38の配置空間として利用している。従って、ボルト38の頭が露出することはなくて、美観に優れている。
また、ボルト38は背フレーム17のロアメンバー21に後ろからねじ込んでいるため、背フレーム17にシート材18が張られて背もたれ4として完成した状態であっても、問題なく固定できる。従って、椅子の組み立てを能率良く行える。
(4).背フレーム及びシート材
次に、背フレーム17の構造やシート材18の取り付け構造なども説明する。図は、主として図10〜16を参照する。
既述のとおり、背フレーム17におけるサイドメンバー19とアッパーメンバー20とは、互いに連続した3本の稜線23〜25と3つの面26〜28を有しており、従って、図12〜14に示すように、サイドメンバー19とアッパーメンバー20とは概ね三角形状の断面形状になっているが、両メンバーとも、軽量化のため前面26,26aに多数の凹所59を形成している(前面26,26aに長溝を形成して、長溝にリブを配置しているという見方もできる。いずれにしても、前面26,26aは平坦面ではない。)。
図12,13のとおり、サイドメンバー19の外周面27は緩く湾曲して外向きに膨れている。また、サイドメンバー19の前面26のうち外向き稜線24に近接した縁部にはV形の縦溝60を形成して、縦溝60に緩衝エッジ60aを配置している。
図12(B)や図13に示すように、サイドメンバー19の内周面28は、平面視において外周面27と丸みを帯びつつ略V字状に交叉した(鋭角を成して交叉した)第2面28aと、第1面28aとく字状に交叉した(鈍角を成して交叉した)第1面28bとを有しており、第1面28bにシート材18が溶着によって固定されている(溶着部を符号65で示している。)。図12(B)に明示するように、内周面28における第1面28bの垂線O1は、平面視において、後ろ向きでかつ背フレーム17の内側に倒れるように斜め内向きに傾斜している。
図12(B),図13に示すように、内周面28の内周縁には突条62が略全長にわたって形成されている。従って、サイドメンバー19の内周面28には後ろ向きに凹んだ凹溝が形成されており、シート材18の縁部やフック63などは凹部の底面に形成されている。
例えば図11(A)や図12(A)に示すように、サイドメンバー19の内周面28には、シート材18を溶着前に仮止めする仮止め部の一例として、フック63が上下適宜間隔で多数形成されている。従って、シート材18の長側縁には、フック63に嵌まり込む仮止め穴64が周方向に断続的に形成されている。
フック63は側面視で中空の門型を成している。また、図13に明瞭に現れているが、フック63の内側には、フック63を成型するためにスライド型を使用したことに起因して、逃がし溝63aが形成されている。突条62は、逃がし溝63aの箇所ではブリッジ部62aになっている。
シート材18は、サイドメンバー19の箇所では、前面26から外周面27を経由して後ろに巻き込まれており、先端縁は突条62の近くまで至っている。そして、シート材18は、フック63の上下両側の部位において、第1面28bに音波溶着によって固定されている。溶着部を符号65で表示している。
図12(A)や図14に示すように、アッパーメンバー20の内周面28′にも多数のフック63を形成して、隣り合ったフック63の間においてシート材18をアッパーメンバー20に溶着しているが、溶着面28a′の垂線をO2としたとき、垂線O2を側面視で後ろに向くと共に背フレーム17の内側に傾斜させることにより、ホーン66がロアメンバー21と干渉しない位置で往復動するように設定している。
(5).サイドカバー・アッパーカバー
サイドメンバー19の内周面28は上下長手のサイドカバー70で覆われて、アッパーメンバー20の内周面28aはアッパーカバー71によって下方から覆われている。従って、シート材18の縁部や溶着部65もカバー70,71によって覆われる。本実施形態では、サイドメンバー19及びアッパーメンバー20に内周面28,28aの文言を使用しているが、カバー70,71は内周面28,28aと同じ意味に理解されたい。
つまり、本願発明では、サイドメンバー19及びアッパーメンバー20は、それ自体の内周面28,28aがそのまま露出して人目に触れる場合と、本実施形態のようにカバー70,71で覆われていてカバー70,71が人目に触れる場合とがあり、カバー70,71がある場合は、内周面はカバー70,71で構成されている。
図2(D)に明示するように、サイドカバー70とアッパーカバー71とは一連に連続している一方、例えば図1(C)に示すように、サイドカバー70と傾動フレーム5の傾斜状内周面13とは一連に連続している。従って、傾動フレーム5の傾斜状内周面13と左右サイドカバー70とアッパーカバー71との4つの面が、継ぎ目はあるものの、全体として同一面を成すループ状内周面になっている。このため、優れた美的効果を発揮している。
カバー70,71の取り付け手段として、基本的には、図11(A)や図13(B)、図14(B)に示すように、前向きに突出した係合爪72をサイドメンバー19及びアッパーメンバー20に形成した係合段部73に係合させる(引っ掛ける)ことによって行っている。
この場合、フック63を中空の門型に形成して、係合段部73はフック63の箇所に形成しており、従って、係合爪72はフック63の内部に挿入している。このため、係合爪72がフック63によって位置決めされる利点がある。更に、係合爪72は、シート材18に形成された仮止め穴64を挿通して係合段部73に係合している。従って、係合爪72を逃がすための穴をシート材18に加工する必要はない。
また、既述のとおり、金型を使用した射出成型に際しては、フック63はスライド型を使用して形成されるが、係合段部73もスライド型によって形成される。従って、シート材18の仮止め手段とカバー70,71の取り付け手段とを容易に形成できる。
例えば図11(A)や図12(B),図14(B)に示すように、サイドカバー70及びアッパーカバー71には、各係合爪72の箇所に位置した前向き傾斜リブ74を設けることにより、サイドメンバー19及びアッパーメンバー20における突条のブリッジ部62aを挟むV形係合部75を形成している。従って、人がカバー70,71の内側縁に指先を当てて後ろに引いても、カバー70,71が捲れることはない。
また、図11(B)(C)に示すように、サイドカバー70の下端の内面に下向き片76を設けて、この下向き片76を、背支柱部7の上端と背フレーム17との間に形成された隙間77に上から嵌め込んでいる(図11(B)(C)の矢印76a参照。)。従って、サイドカバー70の下端は、内向き離反不能に保持されている。
また、図2(C)(D)や図4に明示するように、サイドカバー70の上端に内向き部70aが形成されており、内向き部70aの先端に設けた段落ち部78が、アッパーカバー71の左右両端に形成した段上がり部79に下から重なっている。従って、サイドカバー70とアッパーカバー71との一体性が高まっていると共に、アッパーカバー71は下向き離反不能に保持されている。
また、段上がり部79と段落ち部78とが重なることにより、サイドカバー70の上端は内向きにずれないように保持されている。従って、サイドカバー70は、前後・左右・上下のいずれの方向にも離反しないように保持されており、その結果、アッパーカバー71も、前後・左右・上下のいずれの方向にも離反しないように保持されている。
既述のとおり、傾動フレーム5の内周面13とサイドカバー70とアッパーカバー71とが連続して傾斜状のループ状内周面を形成し、傾動フレーム5の外周面14と肘掛け15のフランジ板49(又はバックカバー16)とサイドメンバー19の外周面27とアッパーメンバー20の外周面27aとが連続した傾斜状のループ状外周面を形成しており、ループ状内周面とループ状外周面とは後ろ向き稜線11,25を境にして交叉しているため、椅子のバックビューにおいて統一性のある優れた美観を呈している。
更に述べると、背もたれ4を傾動フレーム5に手前から重ねて強固に固定できる機能を保持しつつ、稜線11,25とループ状周面の連続性により、互いに別部材である背もたれ4と傾動フレーム5とを一体化したような外観を呈して、シンプルで優れた美的効果を発揮しているのである。
また、実施形態では、傾動フレーム5は、左右の背支柱部7を有して正面視(及び背面視)と平面視との両方において湾曲しているため、背支柱部7に後ろ向きの荷重が作用すると、その荷重は傾動フレーム5の全体で支持される。従って、過剰に厚くすることなく必要な支持強度を得ることができる。また、傾動フレーム5の左右背支柱部7が上向きに反っていることにより、背支柱部7からサイドメンバー19に収束する状態になっていて、デザイン的性が更に向上している。
シート材18は、サイドメンバー19における外周面27の下方において傾動フレーム5の背支柱部7で覆われているため、シャープな境界が現れて優れた美観を呈しているが、サイドカバー70の下端に形成した下向き片76が、背支柱部7の上端と背フレーム17との間の隙間77に挿入されているため、背支柱部7と背フレーム17との間の隙間77からシート材18が露出することはなくて、サイドカバー70と背支柱部7との連続性が確保されている。この面でも、美観向上に貢献している。
(6).補助プレート
次に、補助プレート29を説明しておく。図面は、主として図5,6,15,16を参照する。
図5に示すように、補助プレート29は、左右中間部が幅狭で左右両側に向けて幅広になっており、上面は湾曲形状で凹んでいる。そして、ロアメンバー21のうち位置決めボス34よりも左右方向外側の位置に、水平姿勢の支軸80がブラケット片を介して形成されている一方、補助プレート29には、支軸80に手前から弾性に抗して嵌合するキャッチ81が形成されている。従って、補助プレート29は、支軸80の軸心周りに回動可能である。
また、傾動フレーム5の下端部のうち位置決めボス34で挟まれた部位に、左右一対の係合穴82を下向きに開口した状態に形成している一方、補助プレート29に、係合穴82にずれ不能に嵌入する係合爪83を上向きに突設している。係合爪83は、平面視でコ字形になっている。
補助プレート29は、概ね水平状の姿勢にして、図5(A)に矢印84で示すようにキャッチ81を下方から支軸80に嵌め込むことができる。次いで、図5(B)に矢印85で示すように下向きに回動させると、図5(A)に矢印86で示すように、係合爪83が弾性変形して係合穴82に手前から嵌入する。これにより、補助プレート29の姿勢保持が行われる。
更に、本実施形態では、図16(B)に示すように、補助プレート29に左右一対のストッパー突起87を後ろ向きに突設して、このストッパー突起87を、傾動フレーム5の基部8にリブによって形成された前向きのストッパー穴88に手前から嵌め入れている。
さて、シート材18をフック63に係止していくにおいて、シート材18を引っ張った状態でフック63に嵌めてから手を離すとテンションが少し緩む現象があり、また、加工誤差により、シート材18をフック63に係止した状態でテンションが弱い場合も有り得るが、フック63に係止しただけの状態でテンションが弱くても(或いはテンションが掛かっていなくても)、補助プレート29を後ろ向き(下向き)に回動させるとシート材18が下向きに強く引っ張られると共に、係合爪83が係合穴82に嵌まることによって補助プレート29の下向き回動姿勢が保持されて、シート材18がピンと張った状態に保持される。従って、軽い力で仮止めできる利点を有しつつ、椅子の使用状態でシート材18をピンと張った状態に保持てきる。また、係合穴82と係合爪83との係合が多少甘くても、背フレーム17を傾動フレーム5に取り付ける際、ストッパー突起87がストッパー穴88に嵌り込む過程で、ストッパー穴の内面にガイドされることによって、係合穴82と係合爪83とが強制的にきちんと係合した状態となる。
そして、椅子の使用状態では、シート材18に作用したテンションにより、補助プレート29には前向き回動させようとする外力(係合爪83を係合穴82から離脱させて背フレーム17から外れる方向に回動させようとする外力)が作用するが、背フレーム17を傾動フレーム5に固定すると、補助プレート29は、そのストッパー突起87が傾動フレーム5のストッパー穴88に嵌まり込んで前向き回動不能に保持されるため、補助プレート29が背フレーム17から外れることを防止できる。従って、補助プレート29を外れ防止する為に、別途部材を追加したりビスで固定する等の手間やコストをかけることなく、シート材18をピンと張った状態に保持できる。
なお、補助プレート29と溶着工程との関係については、予めシート材18に固定しておいて、溶着工程が完了してから下向きに回動させてート材18を張るという方法と、先にシート材18を背フレーム17に溶着し、溶着工程を終えてから補助プレート29をシート材18に固定して下向き回動させる方法とを採用できるが、作業の容易性の点では前者が好ましい。
これらと異なって、補助プレート29を予めシート材18に固定しておきつつ、シート材18を背フレーム17に仮保持した状態で補助プレート29を回動させてシート材18にテンションを付与し、それから溶着するということも考えられるが、この場合は、仮止めの状態でシート材18が下向きに引っ張られることによってシート材18が変形して強いテンションを付与できないため、好ましくない(但し、シート材18に多数のリング体を装着しておいて、リング体をフック63に係止した場合は、シート材18の変形はないため、補助プレート29を下向き回動させてから溶着することも可能である。)。
(7).ランバーサポート装置
本実施形態の背もたれ4には、ランバーサポート装置を装着できる。この点を、図17〜19を参照して説明する。
本実施形態のランバーサポート装置90は、背フレーム17のサイドメンバー19に固定される固定ガイド体91と、固定ガイド体91に昇降自在に装着された可動パッド92とで構成されている。
図17(B)(C)から理解できるように、固定ガイド体91は、サイドメンバー19の下部の内周面26に重なる上下のランド部93と、上下ランド部93の間に位置した中間支持部94とを有しており、上下ランド部93がビス95によってサイドメンバー19に固定されている。サイドメンバー19には、ビス95が螺合するタップ穴96を形成してもよいし、ナットを嵌め入れてこれにビス95をねじ込んでもよい。
上下ランド部93と中間支持部94との間の部位は、フック63との干渉を防止するための凹部97になっている。また、固定ガイド体91を配置した箇所ではサイドカバー70は存在していない。従って、固定ガイド体91は、サイドカバー70と背支柱部7との間に配置されている。
可動パッド92は、平面視で手前側に膨れた形状になっており、後端部には水平状の摘み片98を設けている。また、図18(B)に明示するように、可動パッド92の後部に、平面視鉤形のガイド爪99を突設している一方、固定ガイド体91には、ガイド爪99が弾性変形して嵌入するガイド100を形成しており、これにより、可動パッド92を可動パッド92に対して外れ不能で上下スライド自在に保持している。
固定ガイド体91のガイド溝100は、上下長手の箱状突部101に形成されており、箱状突部101の外側に上下長手のガイドリブ102が形成されている。図19(A)に示すように、固定ガイドリブ102には段部102aが形成されており、可動パッド92に、ガイドリブ102の段部102aと嵌合する可動ガイドリブ103を形成している。
また、可動パッド92のうちガイド爪99お側方には、固定ガイド体91の箱状突部101と固定ガイドリブ102との間の溝部に入るガイド突起104を形成している。なお、図19(A)の切断位置は箱状突部101よりも下方になっているため、箱状突部101もガイド爪99もガイド突起104も現れていない。
図18(B)に示すように、可動パッド92の後部でかつ摘み片98と略同じ高さ位置に、係合突条105aを有する係合片105を突設している一方、固定ガイド体91には、係合片105が上下動自在に嵌入する上下長手のガイド長溝106を形成し、この長溝106に、係合片105の係合突条105aが嵌脱する係合溝107を上下多段に形成している。従って、可動パッド92は、ある程度の力を掛けると係合片105を弾性変形させて上下動させることができ、係合片105の係合突条105aがいずれかの係合溝107に嵌まることにより、任意の高さに保持される。すなわち、可動パッド92は段階的に高さ調節される。
図18(B)に示すように、係合片105の上下両側に、ガイド長溝106に嵌入するガイド突起108を設けている。従って、可動パッド92はガタ付きやこじれを生じることなくスムースに昇降させることができる。
図19(A)に示すように、本実施形態では、左右の可動パッド92がサイドメンバー19の近傍においてシート材18を後ろから支持することにより、シート材18が他の部位よりも強く引っ張られて、シート材18に、着座した人の腰部を支持するランバーサポート部が形成される。そして、可動パッド92は昇降自在であるため、シート材18に形成されたランバーサポート部の高さを調節することができる。
図19(B)に示す例では、可動パッド92の高さ位置保持手段として、可動パッド92にゴムローラ109を設けている。すなわち、可動パッド92に、固定ガイド体91のガイド長溝106に入り込む支軸110を設けて、この支軸110にゴムローラ109を回転自在に保持し、ゴムローラ109をガイド長溝106の片面に当てている。ゴムローラ109の上下両側には、ガイド長溝106に僅かのクリアランスで嵌まる触れ止めリブ109aを設けている。
すると、ゴムローラ109がガイド長溝106の片面に片当たりしているため、可動パッド92にある程度の力を掛けて上下方向の外力を付与すると、ゴムローラ109が圧縮しながら回転して、可動パッド92を任意の高さに昇降させることができる。そして、ゴムローラ109は常に圧縮された状態でガイド長溝106の片面に当接しているため、摩擦力が支軸110とガイド長溝106とに働いており、これにより、可動パッド92の高さが保持される。
従って、図19(B)の実施形態では、可動パッド92は無段階に高さ調節できる。また、ゴムローラ109を回転させて昇降させるものであるため、動きはスムースであると共に、カチカチといったクリック音も発生せずに静粛性に優れている。
なお、ランバーサポート装置としては、例えば特開2017−113465号公報があり、この公報では、サイドメンバーに取り付けられるランバーサポート装置において、弾性変形する係合片を凹凸部に当てることによって高さ調節できるようにしているが、クリック音やクリック感を好まないユーザーも想定される。この点、図19(B)のようにゴムローラ109を使用すると、上記のとおり、静粛性と動きのスムースさに優れていると共に、無段階に高さ調節できる利点がある。
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は他にも様々に具体化できる。例えば、適用対象は必ずしもロッキング椅子に限らないのであり、ロッキングしない椅子にも適用できる。また、バックフレームの背支柱部を背フレームにおけるサイドメンバーの中途高さまで延長することも可能である。サイドメンバー及びアッパーメンバーの外周面をシート材で覆わずに、人目に触れるように露出させておくことも可能である。
本願発明は椅子に具体化できる。従って、産業上利用できる。
4 背もたれ
5 バックフレームの一例としての傾動フレーム
7 背支柱部
8 基部
9 傾動フレームの内向き稜線
10 傾動フレームの外向き稜線
11 傾動フレームの後ろ向き稜線
13 傾斜状内周面
14 傾斜状外周面
16 バックカバー
17 背フレーム
18 身体支持体の一例としての可撓性のシート材(メッシュ材)
19 サイドメンバー
20 アッパーメンバー
21 ロアメンバー
23 背フレームの内向き稜線
24 背フレームの外向き稜線
25 背フレームの後ろ向き稜線
26 サイドメンバーの前面
26a アッパーメンバーの内周面
27 サイドメンバーの外周面
27a アッパーメンバーの外周面
28 サイドメンバーの内周面
28a アッパーメンバーの内周面

Claims (6)

  1. 前後に開口した背フレームに身体支持体が装着された背もたれとこれが取り付くバックフレームとを有し、
    前記背フレームは、上下長手の左右サイドメンバーとその上端に連続したアッパーメンバー及び前記サイドメンバーの下端に連続したロアメンバーとを備えて、前記ロアメンバーが前記バックフレームに手前から重なっている構成であって、
    前記背フレームの少なくともサイドメンバーと前記バックフレームとは、互いに連続した後ろ向き稜線と、前記後ろ向き稜線の外側において連続した外周面と、前記後ろ向き稜線の内側において連続した内周面とを有している、
    椅子。
  2. 少なくとも前記サイドメンバー及びバックフレームの外周面と内周面とは、前記後ろ向き稜線を通る前後方向の線に対して傾斜している、
    請求項1に記載した椅子。
  3. 前記アッパーメンバーにも、前記サイドメンバーの後ろ向き稜線と外周面及び内周面に連続した後ろ向き稜線と外周面及び内周面が形成されており、前記背もたれと前記バックフレームとで、前記後ろ向き稜線と外周面と内周面とがループ状に連続している、
    請求項1又は2に記載した椅子。
  4. 前記身体支持体は可撓性のシート材であり、前記シート材は、前記サイドメンバー及びアッパーメンバーにおいて外周面を覆うように後ろに巻き込まれており、前記背フレームにおけるサイドメンバー及びアッパーメンバーの内周面は、前記シート材の周縁部を覆うカバーで構成されている、
    請求項1〜3のうちのいずれかに記載した椅子。
  5. 前記シート材は、前記サイドメンバーの外周面から下方にはみ出しており、前記はみ出した部分は前記バックフレームによって後ろから覆われている、
    請求項4に記載した椅子。
  6. 前記バックフレームは、左右の背支柱部を有して弓形に湾曲した形態である一方、
    前記背フレームのロアメンバーは、前記バックフレームの弓形形態に対応して正面視で下向きに膨れるように湾曲している、
    請求項1〜5のうちのいずれかに記載した椅子。
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