JP2004166874A - パネル部材の取付構造、椅子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】起立させて設けた複数の支柱1と、支柱1間に両側端を支持させた座2とを具備する椅子Cにおいて、支柱1を被覆するパネル部材が、主として支柱1の前方を被覆する第1パネル部材4又は8、及び主として支柱1の側方を被覆する第2パネル部材5の少なくとも一方を用いてなるものであり、少なくとも第1パネル部材4又は8が、所定箇所に形成したスリットSを利用して屈曲または湾曲可能に設定された一枚の板状の部材であり、第1パネル部材4又は8及び第2パネル部材5の何れか一方または両方を支柱1に選択的に取り付けるようにした。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、椅子等の構造物の支持体に、パネル部材を取り付けるパネル部材の取付構造、及び当該パネル部材の取付構造を採用してなる椅子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、劇場等に用いられる椅子として、床体に複数の支持体を固定して設け、座や背の側端部をこの支持体間に支持させる構成のものが考えられている(例えば特許文献1参照)。そして、このような椅子の各支持体を、例えば、一対の側板部材を所定間隔を隔てて平行に配置することにより構成し、その間に少なくとも前方及び上方に開口する空間を設け、当該空間にメモ台を収納し得るようにしているものがある(例えば特許文献2参照)。また、メモ台を取り付けていない仕様の支持体は、前方の開口を被覆するために、側板部材同士を接続するように前面に前板部材を配置してなるものが考えられる。そして、側板部材及び前板部材の表面に印刷や塗装を施すことによって良好な外観を形成するようにしている。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−194463号公報(第3頁、第1図、第2図)
【特許文献2】
特開平11−46923号公報(第3頁、第1図、第2図、第5図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このようなものは、各支持体を全て同じ部材を用いて構成しているため、購入者の好みや椅子の設置場所等に合わせて、各部材の構成や組み合わせを選択したり、または、いずれか1の部材を用いて支持体を構成することは構成上不可能である。そこで、例えば、支持体として支柱を用いるとともに、前記前板部材や側板部材を、支柱の前方及び側方を被覆するパネル部材として用いる態様も考えられる。しかしながら、この場合、パネル部材の構成や組み合わせは、ある程度規格化されているものが通例であり、購入者のニーズ等に応じてパネル部材の構成等を変更することにより、種々の外観を形成することは想定されていない。そのため、購入者の要望に柔軟に対応できないという不具合を生じる。また、前記各パネル部材はそれぞれ屈曲または湾曲不能の平板状のものであるため、例えば、支柱の前方及び側方を被覆する場合には、前板部材の両側端に一対の側板部材を一体的に取り付けなければならず、製作工程が必然的に増加するとともに、取付作業が煩雑になるという不具合を生じる。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その主たる目的は、支持体を被覆するパネル部材の構成や組み合わせを、複数パターンのうちから選択できるようにカスタマイズ化し、購入者の好みや設置場所或いはコストに応じて、様々な外観化粧を形成することができるパネルの取付構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明のパネル部材の取付構造は、起立させて設けた一対の支持体と、当該支持体に両側端を支持させた被支持体とを具備する構造物において、前記支持体を被覆するパネル部材を起立姿勢で前記支持体に取り付ける際に適用されるパネル部材の取付構造であって、前記パネル部材が、主として前記支持体の前方を被覆する第1パネル部材、及び主として前記支持体の側方を被覆する第2パネル部材の少なくとも一方を用いてなるものであり、少なくとも前記第1パネル部材が、所定箇所に形成したスリットを利用して屈曲または湾曲可能に設定された一枚の板状の部材であり、当該第1パネル部材及び前記第2パネル部材の何れか一方または両方を前記支持体に選択的に取り付けることを特徴とする。
【0007】
このようなものであれば、パネル部材の構成を、第1パネル部材又は第2パネル部材の何れか一方のみからなるパターン、又は両方を組み合わせてなるパターンの少なくとも3パターンから選択できるようにカスタマイズ化しているため、設置する場所やコスト、購入者・使用者の嗜好等に応じてパネル部材を所望のパターンで支持体に取り付けることができ、様々な要望に応え得る外観を形成することができる。しかも、第1パネル部材及び第2パネル部材の表面化粧を工夫することによって、統一感や高級感、またはレトロ感のある外観等、バリエーション豊かな外観を容易に形成することができ、実用性の高いものとすることができる。また、第1パネル部材が屈曲または湾曲可能に設定された一枚の部材であるので、支持体の前方及び、少なくとも前方側の側縁を1枚の第1パネル部材を用いて被覆することが可能となり、さらに、第1パネル部材の形状を適宜変更することによって、支持体の前方及び側方を被覆することも可能となり、3枚の板状の部材を組み合わせて支柱の前方及び側方を被覆する前例の場合と比較して、製作工程の簡素化及びコストの削減を有効に図ることができる。
【0008】
また、第1パネル部材が、主として前記支持体の前方及び一側方を被覆するものであり、前記第2部材が、主として前記支持体の他側方を被覆するものであれば、外観がさほど気にならない支持体の後方以外の表面を上記各パネル部材を1枚ずつ用いて被覆することができ、1枚の第1パネル部材と、2枚の第2パネル部材の計3枚の組み合わせて取り付ける場合と比較して、部品点数の削減を有効に図るとともに、取付作業を簡便に行うことができる。
【0009】
特に、前記第1パネル部材が、前記スリットを利用して屈曲または湾曲した状態において、内向面側に位置する芯材と、外向面側に位置する化粧材とを一体的に具備するものであり、前記スリットが、前記芯材の所定箇所に高さ方向に沿って形成され、その開口寸法を前記内向面に向かって漸次大きくなるように設定したものであるものが好ましい。このようにすれば、芯材にスリットを形成するという極めて簡単な作業によって、前記第1パネル部材をスリットが存在する箇所で屈曲又は湾曲可能なものとすることができる。また、芯材と化粧材からなる二重構造を採用することによって、化粧材で外向面を保護することができ、スリットを設けた場合に芯材が分裂し得るという不具合を効果的に解消できるとともに、第1パネル部材自体の強度を高めることができ、好適に使用することができる。さらに、前記スリットの開口寸法を前記内面に向かって漸次大きくなるように設定していれば、開口縁同士を相近付けるようにすることにより、有効な折り曲げ角度を実現することができる。また、例えば、前記化粧材がある程度柔軟性のあるものであれば、屈曲または湾曲作業をよりスムーズに行うことができ、使い勝手に優れたものとなる。加えて、化粧材に印刷、塗装を施すことで所望の外観を具現することが可能となる。
【0010】
特に、前記スリットが、平断面視略三角形状のいわゆるV溝であれば、対向する開口縁同士を隙間なく略密接させることができ、折り曲げた部位の強度を有効に高めることができる。また、例えば、前記略三角形状の頂点の角度、すなわち対向する開口縁が交叉する角度を略90度に設定すれば、当該スリットを利用して略直角に折り曲げることができる。また、対向する開口縁が交叉する角度を任意に変更することによって、折り曲げ角度を所望の角度に調節することができる。
【0011】
一方、前記スリットが、平断面視略台形状のものであり、当該スリットの頂辺に対応する前記芯材の領域に、複数の凹凸からなる平面視鋸歯形状の鋸歯部を高さ方向に沿って連続して形成しているものであれば、当該スリットを利用して第1パネル部材を折り曲げようとした場合、前記鋸歯部を構成する相隣接する各凹凸が互いに密接し、対向する開口縁の一部が当たることになる。その結果、第1パネル部材の鋸歯部に相当する部位が外観上湾曲状になり、当該部位の外観をより好適なものとすることができる。また、このように湾曲するものは特に安全性に優れ、より実用的なものである。
【0012】
また、前記第1パネル部材を、前記支持体の前方に持ち出した位置に取り付けているものであれば、支持体の側面視形状に依存することなく、構造物の外観をある程度自由に形成することができる。例えば、支持体の側面視巾寸法を比較的小さく設定した場合であっても、第1パネル部材の側面視巾寸法を大きく設定すれば外観上の安定感や高級感を容易に醸し出すことができる。このように、第1パネル部材の形状を適宜設定することによって、構造物の外観を良好なものとすることができる。また、支持体に、その外観を考慮することなく、支持強度を高めるための構造を採用することができるため、実質的な安定性を損なうことなく支持体本来の機能を付与することができる。
【0013】
具体的な実施態様としては、前記第1パネル部材が、所定の2箇所に形成した前記スリットを利用して折り曲げ可能に設定したものであり、当該第1パネル部材を折り曲げることにより内向面側に形成される空間に、前記支持体に取り付けた取付状態において前記支持体に当たる当たり部を設けた保形部材を配設し、前記当たり部を前記支持体に当てるようにして第1パネル部材を前記支持体に取り付けるものが考えられる。このようにすれば、前述の効果を担保しつつ、保形部材によって第1パネル部材の折り曲げた状態を維持することができるとともに、第1パネル部材に、外部から衝撃等を受けた場合であっても簡単に変形し難い適度な強度を付与することができる。また、当該保形部材の当たり部を支持体に当てることによって、保形部材及び第1パネル部材と支持体との取付状態を良好なものとすることができる。
【0014】
第1パネル部材及び第2パネル部材の両部材を支持体に取り付けた場合に、両部材間に生じ得る隙間を隠蔽し、好適な外観を形成するためには、両部材の接ぎ目に目地材を配置すればよい。
【0015】
特に、前記目地材が、第1パネル部材又は第2パネル部材の一端部に一体的に設けたものであれば、両部材を接合する作業により、目地材を両部材間に位置させることができ、目地材の取付作業を簡単に行うことができ、使い勝手に優れたものとなる。
【0016】
具体的には、前記被支持体が座であるとともに、前記構造物が椅子であるものが好ましい。
【0017】
また、本発明に係る椅子は、上記のパネル部材の取付構造を利用したものであって、起立させて設けた一対の支持体と、当該支持体間に支持された座とを具備する椅子であり、主として前記支持体の前面側を被覆する第1パネル部材、及び主として前記支持体の側面を被覆する第2パネル部材の何れか一方又は両方を前記支持体に選択的に取り付けてなること特徴とする。
【0018】
このようなものであれば、使用者の嗜好やコスト面等に合わせて、複数のパターンから選択して所望の外観を形成することができる。また、各パネル部材の表面に印刷等を施すことにより適宜の質感を有する外観とすることができ、実用的な椅子とすることができる。
【0019】
また、劇場等に配置され好適に使用することができる椅子としては、前記支持体を間欠的に複数設けるとともに、前記座を起き上がり可能に各支持体間に支持させてなるものであり、両端に位置する支持体に、主として前記支持体の前方及び一側方を被覆する第1パネル部材、及び主として前記支持体の他側方を被覆する第2パネル部材を取り付けているものが挙げられる。このようにすれば、並列に複数の椅子を設置することができ、支持体の配置箇所に応じて、部品点数の削減を有効に図ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係るパネル部材の取付構造、並びにパネル部材の取付構造を採用した椅子Cについて図面を参照して説明する。
【0021】
先ず、上記取付構造を採用する椅子Cについて説明する。
【0022】
この椅子Cは、図1、図2に示すように、劇場等で好適に用いられるものであり、主として、間欠的に起立させて複数設けた本発明の支持体たる支柱1と、相隣接する支柱1に両側端を支持させた座2と、座2と同様に相隣接する支柱1に両側端を支持させた背3とから構成される。なお、以下の説明において、椅子Cに着座した着座姿勢における正視方向を前方とする。
【0023】
支柱1は、図3に示すように、例えばアルミダイキャスト製の角パイプ状を有する支柱本体11と、床体Fの上面F1に接地する接地部12と、前記座2を支持する座支持部13とを備えている。支柱本体11は、ねじ孔11aを側面の上端部に一対設けるとともに、ねじ孔11bを側面の略中央部に1箇所設けている。また、前面1a側の下端部内面に板ナット11cを備えている。さらに、上端部の内空に肘掛け固定部材Eを、その上面を支柱本体11の上端と面一になるように適宜の手段で取り付けている。接地部12は、支柱本体11の下端に位置し、所定の肉厚を有する平面視略小判形状のものであり、前後両端部近傍に肉厚方向に貫通する貫通孔12aを設けている。この接地部12の平面視略中央部に前記支柱本体11を起立させて溶接等して固定している。座支持部13は、支柱本体11の両側面の高さ方向中央部より若干下端側に設けたものであり、側面視略L字形状の係合鈎部13aと、側面視略下向きコ字形状に折り曲げ成形し、係合鈎部13aを上方及び前後方から被覆する被覆部13bとを溶接等して一体的に備えたものである。この座支持部13は、所定箇所に溶接等を施すことにより支柱本体11に固定している。また、両端に位置する支柱1は、座支持部13を内向面側にのみ設けている。なお、両端の支柱1において、座2が位置する側方を内向面側、座2が位置しない側方を外向面側とする。
【0024】
座2は、図1、図2に示すように、着座者が着座し得る座面21aを有し、底面側に開口する中空の例えばウレタン素材等からなる座本体21と、前記開口を被覆する薄板状の座裏部材22と、座本体21の後端部の両側面から側方に突出させ、前記座支持部13の係合鈎部13aに取付可能に設けた一対の取付軸23とを具備する。
【0025】
背3は、図1、図2に図示するように、着座姿勢おいて着座者の背が当たり得る例えばウレタン素材等からなる背本体31と、背本体31の背面側に起立姿勢で取り付けられる例えば中質繊維材からなる背合板32とを一体的に備えたものである。なお、背本体31及び前記座本体21の表面には例えば同じ色調の化粧クロスを縫着している。また、背合板32と座裏部材22の表面は同基調のシートを貼り付けている。
【0026】
次に、これら各部材を用いて椅子Cを組み立てる方法を、図1〜図4等を参照して簡単に説明する。なお、図4及び後述する図8は、説明の便宜上、座2を省略するとともに、背3を想像線で示している。
【0027】
先ず、各支柱1を、座2及び背3の巾寸法に対応させて所定距離離間して床体Fの上面F1に固定する。具体的には、接地部12に形成した貫通孔12aと、床体Fに設けた図示しないアンカのねじ孔とを重合し、ボルト(図示省略)を貫通孔12aに挿通し、前記ねじ孔にねじ合わせすることにより、支柱1を床体Fに固定するようにしている。そして、このように設置した支柱1の側面に形成した座支持部13の係合鈎部13aに、座2の取付軸23を支持させるようにして支柱1と座2とを一体的に取り付ける。この取付状態において、座2を取付軸23を中心に回動させることにより、座面21aが上向きをなす使用位置Oと、座面21aが後向きをなす収納位置Pとの間でライジング動作を行えるように構成している。一方、背本体31を一体的に設けた背合板32の両側端部を背取付部材Dに適宜の手段で固定し、この背取付部材Dを、支柱本体11に設けたねじ孔11a、11bにボルトB2を締着して支柱1に固定することにより、背3と支柱1とを一体的に取り付ける。
【0028】
しかして、本実施形態においては、主として支柱1の前方を被覆する第1パネル部材4、及び主として支柱1の側方を被覆する第2パネル部材5を支柱1に取り付けている。
【0029】
第1パネル部材4は、図5、図6等に示すように、前記支柱本体1の前面の巾寸法に略対応するように離間して形成した一対のスリットSを利用して、図5(a)における矢印の方向に折り曲げ可能に設定した一枚の板状の部材である。この第1パネル部材4は、支柱本体11と略同じ高さ寸法を有するものであり、折り曲げた状態(同図(b))において、内向面側に位置する例えば中質繊維材からなる芯材41と、外向面側に位置し、柔軟性を有する例えばPEPシート(登録商標)からなる化粧材42とから構成されている。そして、支柱1の前方を被覆し得る前方被覆部43と、前方被覆部43の両端から連続する一対の側方被覆部44とを有するものである。
【0030】
スリットSは、芯材41の高さ方向に沿って形成され、その開口寸法を前記内向面に向かって漸次大きくなるように設定した平面視略三角形状をなす、いわゆるV溝である(同図(a)参照)。また、対向する一対の開口縁S1が交叉する角度Aを略90度に設定している。このように設定することにより、各開口縁S1を密着させるようにして第1パネル部材4を折り曲げた場合、その折り曲げ角度が直角となる。また、第1パネル部材4を折り曲げることにより内向面側に形成される空間に、第1パネル部材4の平面視略コ字形状の折り曲げ状態を保形する保形部材6を設けている(図6参照)。
【0031】
保形部材6は、図4、図6及び図7等に示すように、第1パネル部材4の高さ寸法より小さい高さ寸法を有し、略四角柱状の例えばナラ材からなるものであり、背面6bの下端部に、他の背面6bの領域より後方に突出し、支柱1に取り付けた場合に支柱本体11の前面1aに当たる当たり部61を設けている。保形部材6と第1パネル部材4との取り付けは、保形部材6の上端を第1パネル部材4の上端に略一致させ、保形部材6の前面6aに前方被覆部43を密着させるとともに、保形部材6の両側面6cに側方被覆部44を略密着させるように適宜箇所を接着等して行う。また、第1パネル部材4及び保形部材6の下端部に、第1パネル部材4及び保形部材6の当たり部61を前後方向に貫通するねじ挿通孔46を形成している(図6参照)。なお、第1パネル部材4の前面にボルトB1の頭部を突出させないために、ねじ挿通孔46の周囲には、前方へ開口しボルトB1の頭部を収容し得るザグリ穴を形成している。また、第1パネル部材4及び保形部材6の上端に例えばナラ材からなる肘掛け7を適宜の手段で一体的に取り付けている。
【0032】
第2パネル部材5は、第1パネル部材4と同様に、例えば中質繊維材からなる芯材と、柔軟性を有する例えばPEPシート(登録商標)からなる化粧材とを具備する一枚の板状の部材であり、側面視略台形状をなすものである(図4参照)。第2パネル部材5は、支柱本体11の上端から座支持部13の上面までの高さ寸法より若干小さい高さ寸法を有するものであり、上端近傍にねじ挿通孔51を形成している。また、前縁の略全域に亘って目地材52を一体的に設けている。この目地材52は、図7に図示するように、例えばゴム等の弾性素材からなる平面視略I字形状のものであり、対向する一対の狭持壁52aによって第1パネル部材4の側方被覆部44の後縁近傍を狭持し得るように設定してなるものである。
【0033】
次に、第1パネル部材4及び第2パネル部材5の支柱1への取付手順について説明する。なお、本実施形態においては、両端に位置する支柱1と、中央に位置する支柱1とでは、用いるパネル部材及びその取付方法が多少異なる。そこで、先ず、中央に位置する支柱1への各パネル部材の取付手順から図4及び図7を参照して説明する。
【0034】
予め、床体Fに固定した支柱1の前方に、保形部材6及び肘掛け7を一体的に備えた第1パネル部材4を持ち来し、肘掛け7を保形部材6及び支柱本体11の上面に載置するとともに、第1パネル部材4の下端を接地部12の上面に載置する。そして、支柱本体11の前面1aに、保形部材6の当たり部61を押し当て、第1パネル部材4の前方からねじ挿通孔46に挿入したボルトB1を、支柱本体11に設けた板ナット11cに締着することによって、第1パネル部材4及び保形部材6を支柱1に取り付けるようにしている。なお、ボルトB1の頭部を隠蔽するために、キャップKを取り付けている。また、肘掛け固定部材Eを介して肘掛け7を支柱1に対して相対移動を規制するように固定する。次いで、第2パネル部材5を、支柱1の一方の側方に持ち来する。そして、第1パネル部材4の側方被覆部44の後縁部近傍を目地材52の狭持壁52aによって狭持させるようにして、第2パネル部材5を第1パネル部材4に密着させ、側方からねじ挿通孔51に挿入したボルトB2を、支柱本体11に設けたねじ孔11aに締着することによって、第2パネル部材5を支柱1に取り付けるようにしている。支柱1の他方の側方にも、上記と同じ手順で第2パネル部材5を取り付ける。
【0035】
次に、両端に位置する支柱1への各パネル部材の取付手順について図8及び図9を参照して説明する。
【0036】
両端に位置する支柱1の前方及び外面側の側方には、前記第1パネル部材4を若干変形させたパネル部材8を取り付けてなる。
【0037】
この第1パネル部材8は、図9に図示するように、スリットSを利用して折り曲げた状態において、側面被覆部84によって支柱1の外向面側の側方を被覆し得るように、一方の側方被覆部84の巾寸法を他方の側方被覆部84の巾寸法より大きく設定してなるものである。その他の構成は前記第1パネル部材4とほぼ同様のものである。また、折り曲げた空間に前記保形部材6を設けるとともに、前記側方被覆部84の略中央部から後端に亘る領域に第2保形部材9を接着等して一体的に設けている。この第2保形部材9は、背面9aを、上端部から下端部に向かって漸次前方に傾斜するように設定し、下端部に、前方に開口する空間9Sを形成している。この第1パネル部材8を支柱1に取り付ける手順は、前記第1パネル部材4の取り付け手順とほぼ同様であり、以下の点のみ異なる。すなわち、第1パネル部材8に一体的に取り付けた第2保形部材9を、支柱1に固定されている背取付部材Dに近付けて、側方から背取付部材Dのねじ挿通孔D1に挿入したボルトB3を、第2保形部材9に設けた図示しない板ナットに締着することによって、第1パネル部材8を支柱1に取り付けるようにしている。なお、この支柱1の内面側の側方には、第2パネル部材5を、前記中央に位置する支柱1への取付手順と同様の手順で取り付けている。なお、本実施形態においては、第1パネル部材4、8の化粧材42、82の基調を、背合板32と座裏部材22の表面に貼付したシートと同じ基調のものとしている。
【0038】
以上のように、本実施形態に係るパネル部材の取付構造は、主として支柱1の前方を被覆する第1パネル部材4、主として支柱1の前方及び側方を被覆する第1パネル部材8、及び主として支柱1の側方を被覆する第2パネル部材5を選択的に組み合わせて、支柱に取り付けるようにしているため、設置する場所やコスト、購入者・使用者の嗜好等に応じて所望のパターンでパネル部材を支柱に取り付けることができ、様々な要望に応え得る外観を形成することができ、実用性の高いものとすることができる。また、第1パネル部材4又は8が、所定箇所に形成したスリットSを利用して屈曲可能に設定された一枚の板状の部材であるため、3枚の板を組み合わせて支柱1の前方を被覆していた従来のパネル部材と比較して、製作工程の簡素化及びコストの削減を有効に図ることができる。
【0039】
特に、前記第1パネル部材8が、主として前記支柱の前方及び一側方を被覆するものであり、前記第2部材5が、主として前記支柱の他側方を被覆するものであるので、外観がさほど気にならない支柱1の後方以外の外面を被覆する場合には、各部材8、5を1枚ずつ支柱へ取り付けるだけでよいため、部品点数の削減を有効に図ることができるとともに、取付作業を簡便に行うことができる。
【0040】
特に、前記第1パネル部材4又は8が、スリットSを利用して屈曲した状態において、内向面側に位置する芯材41又は81と、外向面側に位置する化粧材42又は82とを一体的に具備するものであるため、芯材41又は81にスリットSを形成するという極めて簡単な作業によって、第1パネル部材4又は8をスリットSが存在する箇所で屈曲可能なものとすることができる。また、芯材41又は81と化粧材42又は82とからなる二重構造を採用しているため、化粧材42又は82で外向面を保護することができ、スリットSを設けた場合に芯材41又は81が分裂し得るという不具合を効果的に解消できるとともに、第1パネル部材4又は8自体の強度を有効に高めることができ、好適に使用することができる。また、スリットSが、芯材41又は81の所定箇所に高さ方向に沿って形成され、その開口寸法を前記内向面に向かって漸次大きくなるように設定したものであるため、開口縁S1同士を相近付けるようにすることにより、有効な折り曲げ角度を実現することができる。また、化粧材42又は82がある程度柔軟性のある素材により成形されたものであるため、屈曲作業をよりスムーズに行うことができ、使い勝手に優れたものとなる。加えて、化粧材41又は81に印刷、塗装を施すことで、例えば、統一感や高級感、またはレトロ感のある外観等、所望の外観を容易に具現することができ、バリエーション豊かな外観を容易に形成することができる。
【0041】
特に、スリットSが、平断面視略三角形状の、いわゆるV溝であるため、対向する開口縁S1同士を隙間なく略密接させることができ、折り曲げた部位の強度を有効に高めることができる。また、本実施形態においては、前記略三角形状の頂点の角度A、すなわち対向する開口縁S1が交叉する角度Aを略90度に設定しているため、当該スリットSを利用して第1パネル部材4又は8を略直角に折り曲げることができる。
【0042】
また、第1パネル部材4又は8を、保形部材6を介して支柱1の前方に持ち出した位置に取り付けているため、支柱1の側面視巾寸法を比較的小さく設定した場合であっても、第1パネル部材の側面視巾寸法を大きく設定すれば外観上の安定感や高級感を容易に醸し出すことができる。すなわち、支柱1の側面視形状に依存することなく、外観をある程度自由に形成することが可能となる。
【0043】
さらに、第1パネル部材4又は8を折り曲げることにより内向面側に形成される空間に、支柱1に当たる当たり部61を設けた保形部材6を配設し、当たり部61を支柱1に当てるようにして第1パネル部材4又は8を支柱1に取り付けているため、保形部材6によって第1パネル部材4又は8の折り曲げた状態を好適に維持することができるとともに、第1パネル部材4又は8に適度な強度を付与することができる。また、当たり部61を支柱1に当てることによって、保形部材6及び第1パネル部材4又は8と支柱1との取付状態を良好なものとすることができる。
【0044】
特に、第2パネル部材5の前端部に目地材52を一体的に設けているので、第1パネル部材4又は8に第2パネル部材5を接合するという簡単な作業により、両部材間に目地材52を位置させることができ、両部材間に生じ得る隙間を隠蔽し、好適な外観を形成することができる。
【0045】
また、本実施形態に係る椅子Cは、上記のパネル部材の取付構造を利用したものであって、間欠的に起立させて設けた3つの支柱1と、各支柱1間に支持されライジング可能に構成された2つの座2とを具備したものであり、両端に位置する支柱1に、前方及び外向面側の側方を被覆する第1パネル部材8、及び内向面側の側方を被覆する第2パネル部材5を取り付け、一方、他の支柱1に、前方を被覆する第1パネル部材4、及び各側方を被覆する第2パネル部材5を取り付けているものである。そのため、座3に干渉しないようにすることができるとともに、支柱11の配置箇所に応じて、部品点数の削減を有効に図ることができる。
【0046】
なお、本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、各部の形状や具体的構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0047】
例えば、両端に位置する支柱も、第1パネル部材4と、一対の第2パネル部材5を用いて被覆するようにしても勿論構わない。また、第1パネル部材又は第2パネル部材の何れか一方のみを用いて支持体の外面を被覆するようにしてもよい。さらには、各パネル部材の設計を適宜変更することによって、取り付け得る支柱が両端に位置するか否かに関わらず、全ての支柱に同じ組合せからなるパネル部材を取り付けることも可能である。
【0048】
また、例えば、図10に示すように、スリット10Sが、平面視略台形状のものであり、スリット10Sの頂辺に対応する芯材1041の領域に、複数の凹凸からなる平面視鋸歯形状の鋸歯部10S2を高さ方向に沿って連続して形成しているものであってもよい。このようなスリット10Sを利用して同図中の矢印の方向に折り曲げようとした場合、鋸歯部10S2を構成する相隣接する各凹凸が次々と互いに密接するとともに、対向する開口縁10S1の一部が当たることになる。その結果、鋸歯部10S2に相当する部位が外観上湾曲状になり、当該部位の外観をより好適なものとすることができる。また、このように湾曲するものは特に安全性に優れたものであり、より実用的である。
【0049】
また、目地材52は、第1パネル部材4又は8に一体的に設けたものであってもよい。さらには、何れの部材にも付帯せず、別個独立の一部材として用いられるものであっても構わない。
【0050】
また、スリットの対向する開口縁が交叉する角度を変更することによって、所望の屈曲角度または曲がり具合を具現することができ、被覆される対象物の形状に対応させることができる。
【0051】
本実施形態における支柱や座等は、設置場所やコストに合わせてその個数を適宜増減して組み立てることができるのは勿論である。
【0052】
また、支柱に支持される天板または棚板を有する机やラックにも、本実施形態に係るパネル部材の取付構造をすることも可能である。
【0053】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、パネル部材の構成を、第1パネル部材又は第2パネル部材の何れか一方を取り付けるパターン、又は両方を取り付けるパターンの少なくとも3パターンから選択できるようにカスタマイズ化しているため、設置する場所やコスト、購入者・使用者の嗜好等に応じてパネル部材を所望のパターンで支持体に取り付けることができ、様々な要望に応え得る外観を形成することができる。しかも、第1パネル部材及び第2パネル部材の表面化粧を工夫することによって、統一感や高級感、またはレトロ感のある外観等、バリエーション豊かな外観を容易に形成することができ、実用性の高いものとすることができる。また、第1パネル部材が屈曲または湾曲可能に設定された一枚の部材であるので、支持体の前方及び、前方側の側縁を1枚の第1パネル部材を用いて被覆することが可能となり、3枚の板状の部材を組み合わせて支柱の前方及び側方を被覆する場合と比較して、製作工程の簡素化及びコストの削減を有効に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る椅子を示す斜視図。
【図2】同正面図。
【図3】同実施形態における支柱の側面図。
【図4】図1におけるQ方向から見た一部を省略して示す側面図。
【図5】同実施形態における第1パネル部材の構成説明図。
【図6】図実施形態における第1パネル部材等の側面図。
【図7】同4におけるx−x線を一部省略して模式的に示す端面図。
【図8】図1におけるR方向から見た一部を省略して示す側面図。
【図9】同8におけるy−y線を一部省略して模式的に示す端面図。
【図10】同実施形態にパネル部材の変形例を示す図。
【符号の説明】
1…支持体(支柱)
2…座
4、8…第1パネル部材
41、81…芯材
42、82…化粧材
5…第2パネル部材
52…目地材
61…当たり部
6…保形部材
10S2…鋸歯部
C…椅子
S…スリット
Claims (13)
- 起立させて設けた一対の支持体と、当該支持体に両側端を支持させた被支持体とを具備する構造物において、前記支持体を被覆するパネル部材を起立姿勢で前記支持体に取り付ける際に適用されるパネル部材の取付構造であって、
前記パネル部材が、主として前記支持体の前方を被覆する第1パネル部材、及び主として前記支持体の側方を被覆する第2パネル部材の少なくとも一方を用いてなるものであり、
少なくとも前記第1パネル部材が、所定箇所に形成したスリットを利用して屈曲または湾曲可能に設定された一枚の板状の部材であり、
当該第1パネル部材及び前記第2パネル部材の何れか一方または両方を前記支持体に選択的に取り付けることを特徴とするパネル部材の取付構造。 - 前記第1パネル部材が、主として前記支持体の前方及び一側方を被覆するものであり、前記第2部材が、主として前記支持体の他側方を被覆するものであることを特徴とする請求項1記載のパネル部材の取付構造。
- 前記第1パネル部材が、前記スリットを利用して屈曲または湾曲した状態において、内向面側に位置する芯材と、外向面側に位置する化粧材とを一体的に具備するものであり、
前記スリットが、前記芯材の所定箇所に高さ方向に沿って形成され、その開口寸法を前記内向面に向かって漸次大きくなるように設定したものであることを特徴とする請求項1又は2記載のパネル部材の取付構造。 - 前記スリットが、平断面視略三角形状のものであること特徴とする請求項1、2又は3記載のパネル部材の取付構造。
- 前記スリットが、平断面視略台形状のものであり、当該スリットの頂辺に対応する前記芯材の領域に、複数の凹凸からなる平面視鋸歯形状の鋸歯部を高さ方向に沿って連続して形成していることを特徴とする請求項1、2又は3記載のパネル部材の取付構造。
- 前記第1パネル部材を、前記支持体の前方に持ち出した位置に取り付けていることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のパネル部材の取付構造。
- 前記第1パネル部材が、所定の2箇所に形成した前記スリットを利用して屈曲または湾曲可能に設定したものであり、当該第1パネル部材を屈曲または湾曲させることにより内向面側に形成される空間に、前記支持体に取り付けた取付状態において前記支持体に当たる当たり部を設けた保形部材を配置し、前記当たり部を前記支持体に当てるようにして第1パネル部材を前記支持体に取り付けることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載のパネル部材の取付構造。
- 前記第1パネル部材及び第2パネル部材の両方を前記支持体に取り付けた状態において、両パネル部材の接ぎ目に目地材を配置していることを特徴とする請求項1、2、4、5、6又は7記載のパネル部材の取付構造。
- 前記目地材が、第1パネル部材又は第2パネル部材の一端部に一体的に設けたものであるることを特徴とする請求項8記載のパネル部材の取付構造。
- 前記被支持体が座であるとともに、前記構造物が椅子であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載のパネル部材の取付構造。
- 請求項1乃至10記載のパネル部材の取付構造を利用したものであって、起立させて設けた一対の支持体と、当該支持体間に支持された座とを具備する椅子であり、
主として前記支持体の前面側を被覆する第1パネル部材、及び主として前記支持体の側方を被覆する第2パネル部材の何れか一方又は両方を前記支持体に選択的に取り付けてなること特徴とする椅子。 - 前記支持体を間欠的に複数設けるとともに、前記座を起き上がり可能に各支持体間に支持させてなる椅子であることを特徴をする請求項11記載のパネル部材の取付構造。
- 両端に位置する支持体に、主として前記支持体の前方及び一側方を被覆する第1パネル部材、及び主として前記支持体の他側方を被覆する第2パネル部材を取り付けていることを特徴とする請求項11又は12記載の椅子。
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