JP2021038355A - 水性樹脂組成物、水性塗料、及び物品 - Google Patents

水性樹脂組成物、水性塗料、及び物品 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、貯蔵安定性に優れ、各種基材への密着性、耐ブロッキング性、耐水性、及び基材追従性等の塗膜物性に優れる塗膜が得られる水性樹脂組成物を提供することである。【解決手段】ヨウ素価が5〜25の範囲である水素化ポリブタジエン(a1)、酸基を有する不飽和単量体(a2)、水酸基を有する不飽和単量体(a3)、及び炭素原子数が1〜12のアルキル基を有する不飽和単量体(a4)を必須原料とするラジカル重合体(A)と、塩基性化合物(B)と、水性媒体(C)と、可塑剤(D)とを含有する水性樹脂組成物であって、前記ラジカル重合体(A)の原料中の前記水素化ポリブタジエン(a1)が4〜38質量%の範囲であり、前記重合体(A)の酸価が10〜65mgKOH/gの範囲であることを特徴とする水性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、水性塗料に有用な水性樹脂組成物に関するものである。
従来、アクリル樹脂は、耐候性、柔軟性、強度、接着性等に優れていることから、塗料、インキ、接着剤、合成皮革等の用途に広く使用されている。特に、塗料用途においては、自動車、家庭電化製品、建材等の分野で、各種基材(例えば、金属、木材、紙、プラスチック)を塗装する塗料のベース樹脂として、それぞれの要求性能に併せたアクリル樹脂が開発されている。
一方、プラスチック成形品としては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン等の樹脂を素材としたものが、コストや成形のしやすさから、多用されている。また、プラスチック成形品に求められる軽量化を図るために薄肉化を進められているが、薄肉化により機械的強度が低下するため、より機械的強度が高いガラス繊維強化ポリアミドやガラス繊維強化ポリカーボネート等を素材としたガラス繊維強化プラスチック成形品が用いられるようになっている。しかしながら、ガラス繊維強化プラスチックは、従来の汎用プラスチックと極性が大きく異なっているため、他の樹脂に対しては優れた密着性を発揮する塗膜を形成できるアクリル樹脂であっても、ガラス繊維強化プラスチックに対しては十分な密着性を発現できないという問題があった。
また、近年は自動車、家庭電化製品、建材等の分野で金属とプラスチック等の異種基材を混合使用する事例が増えており、これらを塗装する塗料のベース樹脂にも基材を問わず密着性を発現することが求められている。
更に、近年は環境規制の厳格化に伴い、塗装工程で排出される揮発性有機化合物、所謂「VOC」の削減が強く求められている。この結果、従来用いられてきた有機溶剤を溶媒とする溶剤系塗料は使用が難しくなってきており、VOCが少ない水性塗料化の動きが全世界で顕著である。
上述したガラス繊維強化プラスチックに対する密着性を向上するものとしては、ポリオールの存在下、リン原子含有ビニル系単量体を重合して得られた樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この樹脂組成物を用いた塗料の塗膜は、基材との密着性は向上するが、密着性の発現には硬化剤を用いた2液型での使用が求められ、ポットライフが短く作業性に劣るという問題があった。また、当該樹脂組成物は水性樹脂で用いられる水、グリコール、アルコールなどの高極性溶媒に対する溶解性が著しく不足しており、当該樹脂組成物を水性塗料用樹脂として用いることが難しいという問題があった。
そこで、プラスチック、金属、ガラス等幅広い基材に対して優れた密着性及び追従性を有し、更に水性塗料への配合が可能な材料が求められていた。
特開2009−270031号公報
本発明が解決しようとする課題は、貯蔵安定性に優れ、各種基材への密着性、耐ブロッキング性、耐水性、及び基材追従性等の塗膜物性に優れる塗膜が得られる水性樹脂組成物を提供することである。
本発明者等は前記課題を解決すべく検討した結果、特定の組成からなるラジカル重合体と、塩基性化合物と、水性媒体と、可塑剤とを含有する水性樹脂組成物が、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、ヨウ素価が5〜25の範囲である水素化ポリブタジエン(a1)、酸基を有する不飽和単量体(a2)、水酸基を有する不飽和単量体(a3)、及び炭素原子数が1〜12のアルキル基を有する不飽和単量体(a4)を必須原料とするラジカル重合体(A)と、塩基性化合物(B)と、水性媒体(C)と、可塑剤(D)とを含有する水性樹脂組成物であって、前記ラジカル重合体(A)の原料中の前記水素化ポリブタジエン(a1)が4〜38質量%の範囲であり、前記重合体(A)の酸価が10〜65mgKOH/gの範囲であることを特徴とする水性樹脂組成物に関するものである。
本発明の水性樹脂組成物は、貯蔵安定性に優れ、各種基材への密着性、耐ブロッキング性、耐水性、及び基材追従性等の塗膜物性に優れる塗膜が得られることから、水性塗料に好適に使用することができる。
本発明の水性樹脂組成物は、ヨウ素価が5〜25の範囲である水素化ポリブタジエン(a1)、酸基を有する不飽和単量体(a2)、水酸基を有する不飽和単量体(a3)、及び炭素原子数が1〜12のアルキル基を有する不飽和単量体(a4)を必須原料とするラジカル重合体(A)と、塩基性化合物(B)と、水性媒体(C)と、可塑剤(D)とを含有する水性樹脂組成物であって、前記ラジカル重合体(A)の原料中の前記水素化ポリブタジエン(a1)が4〜38質量%の範囲であり、前記重合体(A)の酸価が10〜65mgKOH/gの範囲であるものである。
まず、前記ラジカル重合体(A)について説明する。前記ラジカル重合体(A)は、ヨウ素価が5〜25の範囲である水素化ポリブタジエン(a1)、酸基を有する不飽和単量体(a2)、水酸基を有する不飽和単量体(a3)、及び炭素原子数が1〜12のアルキル基を有する不飽和単量体(a4)を必須原料とするものである。
前記水素化ポリブタジエン(a1)のヨウ素価が5未満の場合、水素化ポリブタジエン(a1)が不飽和単量体(a2)〜(a4)と十分にラジカル重合せず、重合体の経時安定性や、塗装時の塗膜均一性が劣る。一方、ヨウ素価が25より大きい場合、水素化ポリブタジエン(a1)の鎖1本当たりの二重結合量が多くなり過ぎ、ラジカル重合の過程で水素化ポリブタジエン(a1)が多官能(メタ)アクリレートのような架橋点として働き、ゲル化しやすくなる。
前記水素化ポリブタジエン(a1)の数平均分子量は、貯蔵安定性、得られる塗膜の密着性及び耐ブロッキング性のバランスがより向上することから、1,000〜5,000の範囲が好ましく、1,500〜3,500の範囲がより好ましい。分子量1,000未満では塗膜の密着性が劣り、5,000より大きいと塗膜の耐ブロッキング性が劣る。
また、前記水素化ポリブタジエン(a1)は、末端に水酸基を有するものであってもよい。
前記水素化ポリブタジエン(a1)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記水素化ポリブタジエン(a1)は、公知の方法にて得ることができる。その製法は特に限定されるものではないが、例えば、ブタジエンを溶液中でナトリウムを触媒として重合させることによりポリブタジエンを合成し、このポリブタジエン中の二重結合を水素で還元することにより、水素化ポリブタジエンが得られる。また、前述の方法で得られたポリブタジエンにエポキシ化合物、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を添加することで、水酸基を導入したポリブタジエンが得られる。更にこの水酸基含有ポリブタジエン中の二重結合を水素で還元することにより、水酸基を有する水素化ポリブタジエンが得られる。いずれの場合も、水素還元の程度を調整することにより、ヨウ素価の値を制御することができる。
前記酸基を有する不飽和単量体(a2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、(無水)シトラコン酸、(無水)イタコン酸等のカルボキシル基を有する不飽和単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシポリオキシエチレングリコールアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシポリオキシプロピレングリコールアシッドホスフェート等のリン酸基を有する不飽和単量体;ビニルスルホン酸等のスルホン酸基を有する不飽和単量体などが挙げられる。これらの不飽和単量体(a2)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」の表記は、「アクリル酸」及び「メタアクリル酸」のいずれか一方または両方を表すものであり、「(無水)マレイン酸」の表記は、「マレイン酸」及び「無水マレイン酸」のいずれか一方または両方を表すものであり、他の酸無水物も同様である。また、「(メタ)アクリロイル」の表記は、「アクリロイル」及び「メタアクリロイル」のいずれか一方または両方を表すものであり、「(メタ)アクリレート」の表記は、「アクリレート」及び「メタアクリレート」のいずれか一方または両方を表すものである。
前記水酸基を有する不飽和単量体(a3)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、末端に水酸基を有するラクトン変性(メタ)アクリレート等が挙げられるが、これらの中でも、得られる塗膜の密着性及び耐ブロッキング性がより向上することから、アルキル炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートがより好ましい。これらの不飽和単量体(a3)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記不飽和単量体(a4)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの不飽和単量体(a4)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
また、前記アクリル樹脂(A)の原料としては、前記水素化ポリブタジエン(a1)、前記酸基を有する不飽和単量体(a2)、前記水酸基を有する不飽和単量体(a3)、炭素原子数が1〜12のアルキル基を有する不飽和単量体の他に、必要に応じて、その他の不飽和単量体(a5)を使用することができる。
前記その他の不飽和単量体(a5)としては、例えば、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、3−(メタ)アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン等が挙げられる。これらのその他の不飽和単量体(a5)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記水素化ポリブタジエン(a1)の使用量は、貯蔵安定性、得られる塗膜の密着性及び耐ブロッキング性のバランスの観点から、前記ラジカル重合体(A)の原料中、4〜38質量%の範囲であることが重要である。4質量%未満だと塗膜の密着性が不足し、38質量%を超えると耐ブロッキング性、貯蔵安定性が劣る。
前記ラジカル重合体(A)の酸価は、10〜65mgKOH/gの範囲であることが重要であるが、貯蔵安定性、得られる塗膜の密着性及び耐ブロッキング性がより向上することから、15〜40mg/KOHの範囲が好ましい。なお、本発明において、酸価とは、原料である単量体組成から計算により求めた酸価である。
前記ラジカル重合体(A)の水酸基価は、貯蔵安定性、得られる塗膜の密着性及び耐ブロッキング性がより向上することから、5〜50mgKOH/gの範囲が好ましい。なお、本発明において、水酸基価とは、原料である単量体組成から計算により求めた水酸基価である。
また、前記ラジカル重合体(A)の重量平均分子量は、貯蔵安定性、得られる塗膜の密着性及び耐ブロッキング性がより向上することから、10,000〜100,000の範囲が好ましい。ここで、重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略記する。)測定に基づきポリスチレン換算した値である。10,000未満では貯蔵安定性が低下し、100,000より大きくなると耐ブロッキング性が低下する。
前記ラジカル重合体(A)は、例えば、前記水素化ポリブタジエン(a1)、前記酸基を有する不飽和単量体(a2)、前記水酸基を有する不飽和単量体(a3)、前記炭素原子数が1〜12のアルキル基を有する不飽和単量体(a4)及び、その他の不飽和単量体(a5)を、有機溶剤中で、重合開始剤存在下、60〜140℃の温度でラジカル重合することによって製造することができる。なお、有機溶剤はラジカル重合後、脱溶剤工程により、除去しても構わない。
前記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、tert−ブタノール、3−メトキシブタノール等のアルコール溶剤;ジイソプロピルエーテル等のエーテル溶剤;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル溶剤、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のグリコールエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらの中でも、後述する水性媒体(C)として利用した際に、水性樹脂組成物の貯蔵安定性がより向上することから、グリコールエーテル溶剤が好ましい。これらの有機溶剤は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ化合物;tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、ノルマルブチル4,4−ジ(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物などが挙げられる。これらの重合体開始剤は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。また、前記重合開始剤は、前記ラジカル重合体(A)の原料となる不飽和単量体の合計に対して、0.1〜10質量%の範囲内で使用することが好ましい。
前記塩基性化合物(B)としては、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、2−アミノエタノール等のモノアルカノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジブタノールアミン等の有機アミン;アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基性化合物;テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムハイドロオキサイドの四級アンモニウムハイドロオキサイドなどが挙げられる。これらの中でも有機アミンおよびアンモニア(アンモニア水でもよい。)を使用することが好ましい。なお、これらの塩基性化合物(B)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
また、前記塩基性化合物(B)の使用量としては、水性樹脂組成物の貯蔵安定性がより向上することから、前記重合体(A)の有するカルボキシル基の中和率が、50〜100%の範囲となる量であることが好ましい。
前記水性媒体(C)としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、前記重合体(A)の製造に使用可能な溶剤として例示したアルコール溶剤、グリコールエーテル溶剤、グリコールエステル溶剤;ケトン溶剤等が挙げられる。本発明では、水のみを用いても良く、また水及び水と混和する有機溶剤との混合物を用いても良く、水と混和する有機溶剤のみを用いても良い。安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、または、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましい。
前記可塑剤(D)としては、例えば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル系;オレイン酸ブチル、アセチルリシリノール酸メチル等の脂肪族エステル系;ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、コハク酸イソデシル等の脂肪族二塩基酸エステル系、トリメリット酸2−エチルへキシルエステル、トリメリット酸トリデシル等のトリメリット酸エステル系、ペンタエリスリトールエステル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジブチルカルビトールアジペート、ジブドキシエトキシエチルアジペート、トリエチレングリコールジアセテート、ポリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート等のエーテルエステル系、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ポリエチレングリコールジベンゾエート等の安息香酸エステル系;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル系;塩素化パラフィン、アルキルジフェニル、炭化水素系油、プロセスオイル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ系、ビニル系モノマーを種々の方法で重合して得られるビニル系重合体;セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸等の二塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の二価アルコールとから得られるポリエステル系可塑剤;ポリスチレンやポリ−α−メチルスチレン等のポリスチレン系化合物;ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ブタジエン−アクリロニトリル、ポリクロロプレンなどが挙げられる。これらの中でも、塗膜伸度がより向上することから、ポリエーテルエステル系、トリメリット酸系が好ましく、ポリエーテルエステル系がより好ましい。これらの可塑剤(D)は単独使用でも2種以上の併用でもよい。
前記可塑剤(D)は、優れた耐ブロッキング性を維持しながら、基材追従性、耐水性がより向上することから、前記ラジカル重合体(A)100質量部に対して、1〜20質量部の範囲であることが好ましく、3〜15質量部の範囲がより好ましく、5〜10質量部の範囲がさらに好ましい。
本発明の水性樹脂組成物は、水性媒体(C)中に、ラジカル重合体(A)が分散又は溶解し、さらに可塑剤(D)を含有したものであるが、例えば、ラジカル重合体(A)、塩基性化合物(B)、及び水性媒体(C)を混合し、ラジカル重合体(A)を水性媒体に分散又は溶解させた後、可塑剤(D)を混合する方法、ラジカル重合体(A)及び可塑剤(D)を混合した後、それらを塩基性化合物(B)及び水性媒体と混合する方法、前記ラジカル重合体(A)を製造する際、予め系内に可塑剤(D)を含有させ、それらを塩基性化合物(B)及び水性媒体(C)と混合する方法等が挙げられる。
本発明の水性塗料は、上記の本発明の水性樹脂組成物を含有するものであるが、硬化剤を使用しない一液型塗料の形態であってもよいし、硬化剤を使用する多液型塗料の形態であってもよい。
前記硬化剤としては、ポリイソシアネート化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物等が挙げられる。
また、本発明の水性塗料には、必要に応じて、無機顔料、有機顔料、体質顔料、ワックス、界面活性剤、安定剤、流動調整剤、染料、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、顔料分散剤、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の各種の添加剤等を使用することができる。
本発明の塗料組成物の塗装方法としては、塗装する物品により異なるが、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、コンマコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、キスコーター、シャワーコーター、ホイーラーコーター、スピンコーター、ディッピング、スクリーン印刷、スプレー、アプリケーター、バーコーター等の方法が挙げられる。
本発明の水性塗料は、各種物品に、基材密着性、耐ブロッキング性、耐水性、及び基材追従性に優れる硬化塗膜を付与することができる。
本発明の水性塗料は、被塗装物となる物品に、直接塗装してもよいし、被塗装物に適合したプライマー塗材を塗装してから、本発明の水性塗料を塗装してもよい。
被塗装物となる物品の材質としては、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム等の各種金属及びこれらの合金;ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、PC−ABSのポリマーアロイ、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ガラス繊維、炭素繊維等のフィラーを入れた繊維強化プラスチック(FRP)等のプラスチック基材;ガラスなどが挙げられる。
本発明の水性塗料の塗膜を有する物品としては、例えば、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン等の家電製品の筐体及び内部部品;スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、パソコン、デジタルカメラ、ゲーム機等の電子機器の筐体及び内部部品;プリンター、ファクシミリ等のOA機器の筐体;レジャースポーツ用品;自動車、鉄道車輌等の各種車輌の内外装材;産業機械;外壁、屋根、ガラス、化粧板等の建築物の内外装材;防音壁、排水溝等の土木部材などが挙げられる。
以下、本発明を実施例及び比較例によって、より具体的に説明する。なお、前記重合体(A)の重量平均分子量は、下記のGPC測定条件で測定したものである。
[GPC測定条件]
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度4mg/mLのテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の単分散ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
(合成例1:ラジカル重合体(A−1)の水分散体の合成)
容量2Lの4つ口フラスコに、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(以下、「DMM」と略記する。)15質量部、両末端に水酸基を有する水素化ポリブタジエン(ヨウ素価7.5、水酸基価70、分子量1,600;以下、「水素化ポリブタジエン(a1−1)と略記する。)5質量部を加え、不活性ガス雰囲気下で95℃に昇温した。
次に重合工程として、イソボルニルアクリレート(以下、「IBXA」と略記する。)42質量部、ラウリルメタクリレート(以下、「SLMA」と略記する。)43.3質量部、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(以下、「HPMA」と略記する。)2質量部、アクリル酸(以下、「AA」と略記する。)7.7質量部、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(以下、「P−O」と略記する。)2質量部からなる混合液を4時間かけて滴下し、更に3時間攪拌した。
次に水分散工程として、上述の反応液を75℃に冷却し、N,N−ジメチルエタノールアミン(以下、「DMEA」と略記する。)4.8質量部、水125質量部、2−プロパノール5質量部を逐次投入し、固形分濃度40%のラジカル重合体(A−1)の水分散体を得た。ラジカル重合体(A−1)の酸価は58.8mgKOH/gであり、水酸基価は7.6mgKOH/gであり、重量平均分子量は13,000であった。
(合成例2:ラジカル重合体(A−2)の水分散体の合成)
容量2Lの4つ口フラスコに、ブチルセロソルブ(以下、「BCS」と略記する。)15質量部、両末端に水酸基を有する水素化ポリブタジエン(ヨウ素価9.5、水酸基価51、分子量2,200;以下、「水素化ポリブタジエン(a1−2)と略記する。)10質量部を加え、不活性ガス雰囲気下で95℃に昇温した。
次に重合工程として、メチルメタクリレート(以下、「MMA」と略記する。)40質量部、エチルアクリレート(以下、「EA」と略記する。)41.1質量部、HPMA 5質量部、AA 3.9質量部、P−O 2質量部からなる混合液を4時間かけて滴下し、更に3時間攪拌した。
次に水分散工程として、上述の反応液を75℃に冷却し、DMEA 4.8質量部、水120質量部、2−プロパノール10質量部を逐次投入し、固形分濃度40%のラジカル重合体(A−2)の水分散体を得た。ラジカル重合体(A−2)の酸価は29.8mgKOH/gであり、水酸基価は19.1mgKOH/gであり、重量平均分子量は16,000であった。
(合成例3:ラジカル重合体(A−3)の水分散体の合成)
容量2Lの4つ口フラスコに、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル(以下、「PnP」と略記する。)15質量部、両末端に水酸基を有する水素化ポリブタジエン(ヨウ素価16.3、水酸基価51、分子量2,200;以下、「水素化ポリブタジエン(a1−3)と略記する。)25質量部を加え、不活性ガス雰囲気下で85℃に昇温した。
次に重合工程として、MMA 35質量部、2-エチルヘキシルアクリレート(以下、「2EHA」と略記する。)25質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、「HEMA」と略記する。)7質量部、AA 4質量部、ビニルスルホン酸4質量部、2,2’−アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(以下、「ABN−E」と略記する。)2質量部からなる混合液を4時間かけて滴下し、更に3時間攪拌した。
次に水分散工程として、上述の反応液を75℃に冷却し、トリエチルアミン(以下、「TEA」と略記する。)4.8質量部、水115質量部、2−ブタノール15質量部を逐次投入し、固形分濃度40%のラジカル重合体(A−3)の水分散体を得た。ラジカル重合体(A−3)の酸価は50.9mgKOH/gであり、水酸基価は29.6mgKOH/gであり、重量平均分子量は23,000であった。
上記合成例1〜3の組成を表1に示す。
Figure 2021038355
(実施例1:水性樹脂組成物(1)の調製及び評価)
合成例1で得たラジカル重合体(A−1)の水分散体100質量部に、可塑剤(D−1)(DIC株式会社製「モノサイザーPB−10」、安息香酸エステル系可塑剤)3質量部、硬化剤(日清紡ケミカル株式会社製「カルボジライトV02L2」、ポリカルボジイミド樹脂)8.2質量部、及びレベリング剤(BYK−Chemie株式会社製「BYK−348」)0.6質量部を加えた後、ディスパー攪拌機で15分間攪拌して、水性樹脂組成物(1)を得た。
(実施例2〜5:水性樹脂組成物(2)〜(5)の調製及び評価)
実施例1で使用したラジカル重合体(A−1)の水分散体及び可塑剤(D−1)を表1に示したものに変更した以外は、実施例1と同様にして、水性樹脂組成物(2)〜(5)を得た。
(比較例1〜3:水性樹脂組成物(R1)〜(R3)の調製及び評価)
実施例1で使用したラジカル重合体(A−1)の水分散体及び可塑剤(D−1)を表2に示したものに変更した以外は、実施例1と同様にして、水性樹脂組成物(R1)〜(R3)を得た。
[貯蔵安定性の評価]
上記で得た各水性樹脂組成物を20℃で2か月間静置保存し、その外観を目視で観察し、下記の基準により貯蔵安定性を評価した。
◎:外観に有意差なし
○:溶液最表面に僅かな溶媒分離が認められるが、軽く混合すると均一になる。
×:樹脂分が沈降分離しており、激しく混合しても再び分離する。
[評価用塗膜の作製]
上記で得た水性樹脂組成物(1)を、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)板、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)板、ガラス板、Al1050板、SUS304板にスプレーガンを用いて、乾燥膜厚が20μmとなるように塗装した。その後乾燥機にて80℃、10分間加熱乾燥処理を施し、評価用塗膜を作製した。
[基材密着性の評価]
上記で得た評価用塗膜について、JIS K−5400の碁盤目試験法に基づいて基材密着性を評価した。前記塗膜の上にカッターで1mm幅の切込みを入れ碁盤目の数を100個とし、全ての碁盤目を覆うようにセロハンテープを貼り付け、素早く引き剥がした。試験後に密着して残っている碁盤目の数をパーセント表示した。即ち、100%は剥離箇所なしを意味し、0%は全て剥離したことを意味する。
[耐ブロッキング性の評価]
上記で得た評価用塗膜のうち、ABS板を2枚用意し、塗装面同士を密着させた。次に当該ABS板に1kg/cmの荷重をかけ、温度25℃で1分間静置した。圧力解放後に2枚の試験片を剥がし、剥がす際の抵抗感と塗膜の剥離状況を下記の通り評価した。
◎:剥がす際に抵抗感が無く、塗膜にも異常が認められない
○:剥がす際に抵抗感がやや有るものの、塗膜に異常は認められない
×:剥がす際に抵抗感があり、塗膜に剥がれ落ちた箇所が認められる
[耐水性の評価]
上記で得た評価用塗膜を40℃温水中に24時間浸漬した後に取り出し、更に1時間風乾後にブリスターの有無及び碁盤目試験法による基材密着性を評価した。
○:ブリスターが無く、碁盤目試験で100%密着している。
△:ブリスターが発生したが、碁盤目試験で100%密着している。
×:ブリスターが発生し、碁盤目試験で剥離が認められる。
[基材追従性の評価]
基材追従性の評価として、塗膜の伸度を測定した。
(塗膜伸度の測定方法)
ポリプロピレンフィルムからなる基材上に上記で得た水性樹脂組成物を、膜厚が200μmとなるように塗装し、80℃の環境下で20分間乾燥させた後、更に25℃の環境下で24時間乾燥させ、該基材から剥離したものを試験塗膜(10mm×70mm)とした。
この試験塗膜を、株式会社島津製作所製オートグラフAGS−1kNG(チャック間距離;20mm、引っ張り速度;300mm/min、測定雰囲気:22℃、60%RH)を用いて伸度測定し、引張試験前の塗膜に対する伸び率に基づいて評価した。
上記の実施例1〜5及び比較例1〜3の組成及び評価結果を表2及び3に示す。
Figure 2021038355
上記の表2中の略号は、下記のものである。
「可塑剤(D−1)」:DIC株式会社製「モノサイザー PB−10」(安息香酸系可塑剤)
「可塑剤(D−2)」:DIC株式会社製「モノサイザー W−262」(ポリエーテルエステル系可塑剤)
「可塑剤(D−3)」:DIC株式会社製「モノサイザー W−705」(トリメリット酸系可塑剤)
「可塑剤(D−4)」:DIC株式会社製「ポリサイザー W−83」(安息香酸系可塑剤)
「可塑剤(D−5)」:DIC株式会社製「ポリサイザー W−93」(安息香酸系可塑剤)
Figure 2021038355
実施例1〜6の本発明の水性樹脂組成物は、貯蔵安定性に優れ、得られる塗膜は、各種基材への密着性、耐ブロッキング性、耐水性、及び基材追従性に優れることが確認された。
一方、比較例1〜3は、本発明の必須成分である可塑剤(D)を含まない例であるが、基材追従性(塗膜伸度)が不十分であることが確認された。

Claims (7)

  1. ヨウ素価が5〜25の範囲である水素化ポリブタジエン(a1)、酸基を有する不飽和単量体(a2)、水酸基を有する不飽和単量体(a3)、及び炭素原子数が1〜12のアルキル基を有する不飽和単量体(a4)を必須原料とするラジカル重合体(A)と、塩基性化合物(B)と、水性媒体(C)と、可塑剤(D)とを含有する水性樹脂組成物であって、前記ラジカル重合体(A)の原料中の前記水素化ポリブタジエン(a1)が4〜38質量%の範囲であり、前記重合体(A)の酸価が10〜65mgKOH/gの範囲であることを特徴とする水性樹脂組成物。
  2. 前記ラジカル重合体(A)の原料中の、前記不飽和単量体(a2)が1〜10質量%の範囲であり、前記不飽和単量体(a3)が1〜10質量%の範囲であり、前記不飽和単量体(a4)が60〜90質量%の範囲である請求項1記載の水性樹脂組成物。
  3. 前記水素化ポリブタジエン(a1)の数平均分子量が、1,000〜5,000の範囲である請求項1又は2記載の水性樹脂組成物。
  4. 前記ラジカル重合体(A)の水酸基価が、5〜50mgKOH/gの範囲である請求項1〜3のいずれか1項記載の水性樹脂組成物。
  5. 前記ラジカル重合体(A)100質量部に対して、前記可塑剤(D)を1〜20質量部含有する請求項1〜4のいずれか1項記載の水性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の水性樹脂組成物を含有することを特徴とする水性塗料。
  7. 請求項6記載の水性塗料の塗膜を有することを特徴とする物品。
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