JP5858296B2 - プラスチック塗料用樹脂組成物、プラスチック用塗料及びその積層体 - Google Patents
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Description
また、塗装される基材として、軽量化、低コスト化又はその他の目的からプラスチックの需要が増加している。プラスチックの中でも、難燃性、成形加工性、耐溶剤性及び機械的強度が良好である点から、ポリフェニレンエーテル系樹脂基材が注目されている。しかしながら、ポリフェニレンエーテル系樹脂はABS樹脂やアクリル樹脂等に比べて塗料の付着性が著しく低いため、従来から一般的に使用されているアクリル系共重合体樹脂組成物を用いた塗料を使用することが難しい。
アクリル系共重合体樹脂組成物に性能を付与する方法の1つとして各種添加剤を添加する方法が挙げられる。例えば、特許文献1ではアクリル系樹脂等の樹脂にオリゴマー成分を添加して樹脂の流動性を改良し、特に鋼板等への粉体塗装用途に適したコーティング組成物が開示されている。しかしながら、特許文献1にはプラスチックへの付着性に優れたコーティング組成物については開示されていない。
また、第2の発明は上記のプラスチック塗料用組成物を含有するポリフェニレンエーテル系樹脂基材用の塗料(以下、「本発明の塗料」という)である。
更に、第3の発明は本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂基材用の塗料から得られる塗膜がポリフェニレンエーテル系樹脂基材上に積層された積層体である。
尚、本発明において、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリロイルオキシの表示はそれぞれアクリレート又はメタクリレート、アクリル酸又はメタクリル酸及びアクリロイルオキシ又はメタクリロイルオキシを表す。
重合体(A)用の単量体中における単量体(a1)の含有量を20質量%以上とすることで、ポリフェニレンエーテル(以下、「PPE」という)系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材等の塗料難付着性素材を含むプラスチック基材への塗膜の付着性が良好となる。この含有量は、より好ましくは50質量%以上であり、特に好ましくは80質量%以上である。
チレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン及びビニルトルエンが挙げられる。
芳香族ビニル単量体は単独で又は2種以上を併用して使用できる。
単量体(a2)の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ブチルマレイミド等のマレイミド誘導体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ホルミルスチロ−ル、ビニルアルキルケトン、(メタ)アクリルアミドピバリンアルデヒド、ジアセトン(メタ)アクリレ−ト、アセトニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレ−トアセチルアセテート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ブタンジオ−ル−1,4−アクリレート−アセチルアセテート、アクリルアミドメチルアニスアルデヒド等のアルデヒド基又はカルボニル基を有するビニル単量体;(メタ)アクリルアミド、クロトンアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアミド基含有ビニル単量体;アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有ビニル単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、酢酸イソプロペニル等のビニル誘導体;ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の2個以上の不飽和二重結合を有する単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル単量体;ブタジエン等のオレフィン系単量体;アミノメチル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロフタル酸、5−メチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルシュウ酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルシュウ酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ソルビン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、ターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸及びリン酸基を有するビニル系単量体等の酸基含有単量体が挙げられる。
単量体(a2)は単独で又は2種以上を併用して使用できる。
単量体(a2)は、塗膜の耐水性の向上や塗料中における顔料分散性の向上等、目的に応じて使用することができる。
重合は、単量体の組成が規定範囲となるよう、1段の重合で行ってもよく、またそれぞれ組成の異なる単量体混合物を2段以上で重合してもよい。
重合体(A)の重合方法としては、例えば、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法及びディスパージョン重合法が挙げられるが、重合の容易さ、分子量調整、塗料化のし易さから溶液重合が好ましい。
また、重合に際しては、重合開始剤の低減、反応時間の短縮等を目的として高温加圧重合で重合体(A)を製造することもできる。
溶剤は単独で又は2種以上を併用して使用できる。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド及びジブチルパーオキサイドが挙げられる。
アゾ系化合物としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)及び2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が挙げられる。
重合開始剤は単独で又は2種以上を併用して使用できる。
連鎖移動剤としては、例えば、2−メルカプトエタノール、n−ドデシルメルカプタン,t−ドデシルメルカプタン及びα−メチルスチレンダイマーが挙げられる。
連鎖移動剤は単独で又は2種以上を併用して使用できる。
重合温度は室温〜200℃が好ましく、40〜170℃がより好ましい。重合温度が室温〜200℃で反応が良好に進行し、重合終了時の残存単量体量が少ない傾向にある。
重合体(B)用の単量体中におけるアルキル(メタ)アクリレート(b1)の含有量を50質量%以上とすることで、セルロースアセテートブチレートとの相溶性を良好とすることができるとともに、塗膜とABS樹脂等の汎用プラスチック基材との付着性を良好とすることができる。アルキル(メタ)アクリレート(b1)の含有量は60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が特に好ましい。
アルキル(メタ)アクリレート(b1)は単独で又は2種以上を併用して使用できる。
単量体(b2)の含有量が20質量%以下で、セルロースアセテートブチレートとの相溶性を良好とすることができるとともに、塗膜とABS樹脂等の汎用プラスチック基材との付着性を良好とすることができる。
単量体(b2)の含有量は2〜15質量%が好ましく、5〜10質量%がより好ましい。
単量体(b2)は、重合体(A)との相溶性を良好とするために、芳香族ビニル単量体及びシクロアルキル基を有する重合性不飽和単量体から選ばれる少なくとも1種で構成される。
芳香族ビニル単量体としては、単量体(a1)と同様のものが挙げられる。
単量体(b3)の具体例としては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等のアルキル基が比較的長鎖なアルキル(メタ)アクリレート;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ブチルマレイミド等のマレイミド誘導体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ホルミルスチロ−ル、ビニルアルキルケトン、(メタ)アクリルアミドピバリンアルデヒド、ジアセトン(メタ)アクリレ−ト、アセトニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレ−トアセチルアセテート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ブタンジオ−ル−1,4−アクリレート−アセチルアセテート、アクリルアミドメチルアニスアルデヒドのアルデヒド基又はカルボニル基を有するビニル単量体;(メタ)アクリルアミド、クロトンアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアミド基含有ビニル単量体;アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有ビニル単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、酢酸イソプロペニル等のビニル誘導体;ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の2個以上の不飽和二重結合を有する単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル単量体及びブタジエン等のオレフィン系単量体が挙げられる。
アミノ基を含有する単量体としては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜20のアミノアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。その具体例としては、アミノメチル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノメチル(メタ)アクリレート及びN,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
酸基を含有する単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキ
サヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロフタル酸、5−メチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルシュウ酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルシュウ酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ソルビン酸等のカルボキシル基含有ビニル単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物;ターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸及びライトエステルP−1M(共栄社化学(株)、製品名)等のリン酸基を有するビニル単量体が挙げられる。これらの中で、本発明の塗料組成物から得られる塗膜の耐水性、基材への付着性、黄変等の点でカルボキシル基含有ビニル単量体及びリン酸基を有するビニル単量体が好ましい。
単量体(b3)は単独で又は2種以上を併用して使用できる。
重合性不飽和基含有ポリジメチルシロキサンの具体例としては、α−ブチル−ω−(3−メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン及びアクリロイル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
重合性不飽和基含有ポリジメチルシロキサンの含有量は重合体(B)用に使用する全単量体100質量%中0.01〜1質量%とすることが好ましく、0.1〜0.3質量%がより好ましい。重合性不飽和基含有ポリジメチルシロキサンの含有量を0.01質量%以上とすることで、塗膜へのキズ付き性の低減効果が向上する傾向にあり、1質量%以下で本発明の樹脂組成物の濁りが低下する傾向にある。
重合性不飽和有機シラン化合物の具体例としては、3−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン及びビニルトリメトキシシランが挙げられる。
重合性不飽和有機シラン化合物の含有量は重合体(B)用に使用する全単量体100質量%中に0.01〜5質量%が好ましく、0.2〜0.5質量%がより好ましい。重合性不飽和有機シラン化合物の含有量を0.1質量%以上とすることで、塗膜の耐熱性や表面硬度が向上する傾向にあり、5質量%以下で本発明の塗料組成物から得られる塗膜のキズ付き性の低減効果が向上するとともに、本発明の塗料組成物の貯蔵安定性も良好な傾向にある。
重合体(B)のガラス転移温度を50℃以上とすることで塗膜の硬度、強靭性、柔軟性等の機械的性質や不粘着性、耐溶剤性等の塗膜物性が良好である傾向にある。また、重合体(B)のガラス転移温度を180℃以下とすることで塗膜の平滑性や光沢等の外観が良好である傾向にある。
重合は、単量体の組成が規定範囲となるよう、1段の重合で行ってもよく、またそれぞれ組成の異なる単量体混合物を2段以上で重合してもよい。
重合体(B)の重合方法及び重合条件並びに使用する溶剤、重合開始剤及び連鎖移動剤等としては重合体(A)の重合方法と同様の重合方法及び重合条件並びに使用する溶剤、重合開始剤及び連鎖移動剤等が挙げられる。
添加剤の具体例としては、アルミペースト、充填剤、可塑剤、顔料分散安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、レオロジーコントロール剤としての架橋樹脂粒子、無機顔料及び有機顔料が挙げられる。
無機顔料としては、例えば、チタン白及びカーボンブラックが挙げられる。
有機顔料としては、例えば、フタロシアニン系顔料及びアゾ系顔料が挙げられる。
前述の無機顔料又は有機顔料を本発明の樹脂組成物中に添加する方法としては公知の顔料分散方法が挙げられる。
また、必要に応じて、アルミニウム・フレーク等の光輝材を添加することもできる。この場合、更にセルロースアセテートブチレート等の光輝材配向助剤を添加することもできる。光輝材配向助剤を添加することにより、塗料の乾燥性が向上するとともに、光輝材の配向性を向上させることができる。セルロースアセテートブチレートは、本発明の塗料中に含まれる重合体(A)及び重合体(B)の合計量100質量部に対して、10〜700質量部の範囲で添加することができる。
希釈剤は希釈剤の蒸発速度、乾燥性等を考慮して適宜選択することができる。希釈剤の具体例としては、重合体(A)及び重合体(B)を製造するときに使用できる溶剤と同様のものが挙げられる。
尚、本発明の塗料はプラスチック基材向けであるが、目的を逸脱しなければ鉄、ステンレススチール、アルミニウム等の金属基材;ガラス、スレート板、コンクリート、珪酸カルシウム等の珪酸塩系基材;石膏系、石綿系、セラミック系等の無機基材;木材類、紙類、繊維類、FRP等の各種基材に適用してもよい。
プラスチック基材上の塗膜としては、例えば、以下に示す2層の塗膜及び1層の塗膜が挙げられる。
2層の塗膜としては、本発明の塗料に顔料を添加したものから得られる、意匠性に優れたベース層と、本発明の塗料から得られる、光沢や平滑性の良好なクリヤー層とからなる2層の塗膜が挙げられる。
1層の塗膜としては、本発明の塗料に顔料を添加したものから得られる表面の光沢及び平滑性の良好な1層構造の塗膜が挙げられる。
塗工された本発明の塗料を乾燥させる温度及び時間は本発明の塗料の種類、希釈剤の種類又は含有量等によって適宜選択することができる。
乾燥は室温〜200℃で実施できるが、プラスチック基材の耐熱温度以下での設定が好ましい。また、乾燥時間は3秒〜1週間の範囲で目的に応じて設定できる。
尚、基材上に塗膜が積層された評価用塗板は以下の方法で得た。
PPE樹脂(日本GEプラスチックス(株)製、商品名:ノリル)を射出成型により成型したPPE樹脂基材(板厚:2.5mm、大きさ:15×5cm)及び、ABS樹脂(ユーエムジー・エービーエス(株)製、商品名:3001M)を射出成型により成型したABS樹脂基材(板厚:3mm、大きさ:9×5cm)の表面をイソプロピルアルコールを含浸させたガーゼで拭き、脱脂した。次いで、この脱脂したそれぞれの基材の表面に、塗料を塗装スプレーガンを用いて乾燥塗膜が10μmとなるようにスプレーした。この後、これらの塗装した基材を80℃で30分間乾燥させ、評価用塗板を調製した。
重合体溶液0.5gを直径5cmのアルミ皿に採り、これを熱風乾燥機中で180℃で30分間乾燥し、重合体溶液の乾燥前後の質量から下式により算出した。
固形分(%)=(重合体溶液の乾燥後の質量)/(重合体溶液の乾燥前の質量)×1
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重合体溶液をテトラヒドロフランにて溶液濃度が0.4%になるよう調整した後、ゲルパーミエーションクロマトグラム法により下記条件でポリスチレンを基準として測定した。
測定条件としては、TOSO社製カラム(GE4000HXL及びG2000HXLを用い、TOSO社製ゲルパーミェーションクロマトグラフィ装置に100μlを注入し、流量を1ml/分(溶離液:テトラヒドロフラン)、カラム温度を40℃とした。
Tgは、表1に示す各単量体のホモポリマーのTgを元に、以下のFoxの式を用いて求めた。
Foxの式:1/(Tg+273.14)=Σ(wn/(Tgn+273.14))
(wn=単量体nの質量分率、Tgn=単量体nのホモポリマ−のTg)
希釈剤で希釈する前の塗料をガラス板に4MILのアプリケーターで縦3cm及び横3cmの大きさに塗布した。次いで、これを室温で30分間乾燥し、更に熱風乾燥機中で70℃で30分間乾燥させた後の塗膜の白さを目視で観察し、CAB相溶性を以下の基準で評価した。
○:透明。
△:僅かに白濁するが、使用可能なレベル。
×:白濁し、使用に耐えないレベル。
PPE樹脂基材の評価用塗板及びABS樹脂基材の評価用塗板上の塗膜に、カミソリ刃で1mm間隔に縦横11本ずつの基材まで達する切れ目を入れて100個のマス目を作り、セロハン粘着テープを良く密着させた後、45度手前方向に急激に引き剥がし、塗膜が剥離せずに残存したマス目数を計測して、以下の基準で基材との付着性を評価した。
○:剥離無し
×:1マス以上の剥離あり
PPE樹脂基材上に塗料を塗布し、次いでこれを室温で15分間乾燥し、更に熱風乾燥機中で80℃で30分間乾燥した後、1日放置した塗膜の表面にガーゼを置き、500g/cm2の加重をかけ、40℃、95%RHの雰囲気下で24時間放置した後の塗膜の状態を目視で観察し、以下の基準で塗膜の不粘着性を評価した。
◎:塗膜表面の光沢は低下していない。
○:塗膜表面の光沢がやや低下しているが、光沢は良好。
△:塗膜表面に痕がのこり、光沢はやや不良。
×:塗膜表面が変形している。
PPE樹脂基材上に塗料を塗布し、次いでこれを室温で15分間乾燥し、更に熱風乾燥機中で80℃で30分間乾燥した後、1日放置した塗膜を、JIS K 5400に準じて鉛筆硬度を測定した。
PPE樹脂基材上に塗料を塗布し、次いでこれを室温で15分間乾燥し、更に熱風乾燥機中で80℃で30分間乾燥した後、1日放置した塗膜の表面の光沢を日本電色工業(株)製変角光沢計VG−2000を用いて測定角度60℃にて測定した。
PPE樹脂基材上に塗料を塗布し、次いでこれを室温で15分間乾燥し、更に熱風乾燥機中で80℃で30分間乾燥した後、1日放置した塗膜の表面に、エチルアルコールをしみ込ませたガーゼを、押しつけながら塗膜の一方の端から他方の端まで50往復、ラビングした後の塗膜の状態を目視で観察し、以下の基準で耐アルコール性を評価した。
◎:塗膜に全く変化がない。
○:塗膜が極僅か白化している。
△:塗膜が白化している。
×:塗膜がエチルアルコールに侵されている。
単量体として単量体(a1)及び単量体(a2)、重合開始剤としてパーブチルO(日本油脂(株)製t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート)及び連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン(n−DM)をそれぞれ表2に示す量で均一に溶解して単量体混合物を得た。次いで、冷却器、温度計、滴下ロート及び攪拌機を備えた四つ口のフラスコに酢酸ブチルを87部仕込み、120℃に加熱した。この後、フラスコ内を同温度で保持しながら上記の単量体混合物を4時間かけてフラスコ内に滴下した。更に、フラスコ内に酢酸ブチル3部を投入し、60分間保持した後、同温度のフラスコ内に酢酸ブチル10部にパーブチルOを0.5部溶解した重合開始剤溶液を60分かけて滴下し、その後90分間保持した。この後、得られた重合体溶液のNVが50%となるように酢酸ブチルを添加し、冷却して、重合体(A−1)の溶液を得た。重合体(A−1)の溶液のNV、重合体(A−1)のMw及びTgの評価結果を表2に示す。
単量体混合物として表2に示すものを使用した。それ以外は製造例1と同様にして重合体(A−2)〜(A−5)を得た。重合体(A−2)〜(A−5)の溶液のNV、重合体(A−2)〜(A−5)のMw及びTgの評価結果を表2に示す。
単量体として単量体(b1)、単量体(b2)及び単量体(b3)及び重合開始剤としてパーブチルOをそれぞれ表3に示す量で均一に溶解して単量体混合物を得た。次いで、冷却器、温度計、滴下ロート及び攪拌機を備えた四つ口のフラスコに、n−ブチルアルコール36部及びトルエン16部を仕込み、100℃に加熱した。この後、フラスコ内を同温度で保持しながら上記の単量体混合物を4時間かけてフラスコ内に滴下した。更に、フラスコ内にトルエン10部を投入し、60分間保持した後、同温度のフラスコ内にトルエン30部にパーブチルOを0.5部溶解した溶液を60分かけて滴下し、その後90分間保持した。この後、得られた重合体溶液のNVが45%となるように酢酸ブチルを添加し、冷却して、重合体(B−1)の溶液を得た。重合体(B−1)の溶液のNV、重合体(B−1)のMw及びTgの評価結果を表3に示す。
[製造例7〜15](重合体(B−2)〜(B−10)の製造)
単量体混合物を表3に示すものを使用した。それ以外は製造例6と同様にして重合体(B−2)〜(B−10)を得た。重合体(B−2)〜(B−10)の溶液のNV、重合体(B−2)〜(B−10)のMw及びTgの評価結果を表3に示す。
製造例1で得られた重合体(A−1)の溶液と製造例6で得られた重合体(B−1)の溶液を表4に示す量で配合した。次いで、セルロースアセテートブチレート(CAB)(イーストマンケミカル社製、商品名:CAB551−0.01)を酢酸ブチルで溶解したNV20%のCAB溶液を添加して希釈剤で希釈する前の塗料を得た。これに、酢酸エチル/プロピレングリコールモノメチルエーテル/トルエン/酢酸ブチル=25/25/25/25(質量比)からなる希釈剤でNVが20%となるように調製し、塗料(1)を得た。
次いで、塗料(1)をPPE樹脂基材及びABS樹脂基材の表面に塗装、乾燥して評価用塗板を調整して、塗膜の評価を実施した。評価結果を表4に示す。
重合体(A)の溶液の種類又は量及び重合体(B−1)の溶液の量を表4に示すものとした。それ以外は参考例1と同様にして塗料(2)〜(8)を得、塗膜の評価を実施した。評価結果を表4に示す。
重合体(A)の溶液の種類及び重合体(B)の溶液の種類を表5に示すものとした。それ以外は参考例1と同様にして塗料(9)〜(16)を得、塗膜の評価を実施した。評価結果を表5に示す。
重合体(A)の溶液及び重合体(B−1)の溶液の種類又は量を表6に示すものとした・BR>Bそれ以外は参考例1と同様にして塗料(17)〜(22)を得、塗膜の評価を実施した。評価結果を表6に示す。
これに対し、比較例1〜6の塗料を用いて得られる塗膜は、実施例で得られた塗膜物性を全て満足するものは得られていない。
Claims (6)
- 芳香族ビニル単量体(a1)20〜100質量%と、
その他の共重合可能な不飽和単量体(a2)0〜80質量%(a1とa2の合計量が100質量%)を重合して得られる重量平均分子量が500〜3,500の重合体(A)10〜50質量%、
並びにアルキル基の炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレート(b1)50〜100質量%、
芳香族ビニル単量体及びシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種の重合性不飽和単量体から選ばれる少なくとも1種の単量体(b2)0〜20質量%並びにその他の共重合可能な不飽和単量体(b3)0〜50質量%(b1、b2、b3の合計量が100質量%)を重合して得られる重量平均分子量が20,000〜200,000の重合体(B)50〜90質量%を含有するポリフェニレンエーテル系樹脂基材の塗装に使用される塗料用樹脂組成物。 - 重合体(B)を得るために使用される全単量体100質量%中、その他の共重合可能な不飽和単量体(b3)の含有量が0.01〜50質量%であって、その内、重合性不飽和基を有するポリジメチルシロキサンが0.01〜1質量%の範囲内で含まれる請求項1に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂基材の塗装に使用される塗料用樹脂組成物。
- 重合体(B)を得るために使用される全単量体100質量%中、その他の共重合可能な不飽和単量体(b3)の含有量が0.01〜50質量%であって、その内、重合性不飽和有機シラン化合物が0.01〜5質量%の範囲内で含まれる請求項1又は請求項2に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂基材の塗装に使用される塗料用樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂基材の塗装に使用される塗料用樹脂組成物を含むポリフェニレンエーテル系樹脂基材用塗料。
- セルロースアセテートブチレートを含有する請求項4に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂基材用塗料。
- 請求項4又は5に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂基材用塗料から得られる塗膜がポリフェニレンエーテル系樹脂基材上に積層された積層体。
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