JPH09208882A - 塗膜形成方法 - Google Patents

塗膜形成方法

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Publication number
JPH09208882A
JPH09208882A JP2137896A JP2137896A JPH09208882A JP H09208882 A JPH09208882 A JP H09208882A JP 2137896 A JP2137896 A JP 2137896A JP 2137896 A JP2137896 A JP 2137896A JP H09208882 A JPH09208882 A JP H09208882A
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JP
Japan
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polyolefin
coating film
layer
resin
forming
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Pending
Application number
JP2137896A
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English (en)
Inventor
Makoto Shimizu
誠 清水
Takeshi Takagi
雄 高木
Nariyuki Sasaki
成幸 佐々木
Tadahiko Nishi
忠彦 西
Yoshitaka Okude
芳隆 奥出
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗膜外観が良好でかつ耐チッピング性に優れ
たプライマー層を形成する。 【解決手段】 被塗物1上に下塗り層2を形成する工程
と、水酸基価が10〜200であり数平均分子量が1
0,000〜100,000であるポリオレフィン変性
樹脂(I)と、硬化剤(II)と、顔料(III)とを含有す
るプライマー層3を下塗り層2の上に形成する工程と、
プライマー層3を硬化させずにその上に中塗り層4を形
成する工程と、プライマー層3の硬化塗膜が引張り強度
40〜300kg/cm2 、伸び率40〜300%とな
るようにプライマー層3と中塗り層4を同時に硬化させ
る工程と、中塗り層4の上に上塗り層5を形成し硬化さ
せる工程とを備えることを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐チッピング性プ
ライマー層等を含む積層塗膜の形成方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】自動車
の車体外板に塗装される塗膜には、自動車走行の際、小
石等が衝突し、これによって亀裂が生じたり塗膜が剥離
するいわゆるチッピングと呼ばれる現象が生じることが
知られている。このようなチッピングが生じると、この
部分から水等が侵入し、車体外板の表地面において錆が
発生する。
【0003】特に、寒冷地域においては、冬期において
融雪のために多量の岩塩及び砂を路面に散布するため、
自動車外板の塗膜に小石等が衝突し易く耐チッピング性
に優れた塗膜が望まれている。
【0004】塗膜に耐チッピング性を付与する方法とし
ては、耐チッピング性プライマー層を形成する方法が知
られている。一般に、自動車車体外板の表面に化成処理
を施し、この上に下塗り塗料として電着塗膜を形成した
後に、耐チッピング性プライマー層を形成し、この上に
中塗り塗料及び上塗り塗料を順次塗装している。
【0005】一般に、チッピングは、中塗り層と電着塗
膜との間で塗膜の剥離が生じることにより発生する場合
が多い。従って、耐チッピング性プライマーとしては、
電着塗膜及び中塗り層に対し密着性を有し、かつ弾性を
有するものが好ましい。このような観点から、従来より
耐チッピング性プライマーとして、塩素化ポリオレフィ
ン系樹脂などの変性ポリオレフィン系樹脂が用いられて
いる。しかしながら、変性ポリオレフィン系樹脂は、溶
剤溶解性が悪く、従って多量の溶剤を用いなければなら
ないという問題があった。また溶剤溶解性が悪いため、
塗装の際ダストを生じ易くなり塗膜外観が良好でないと
いう問題もあった。さらには、溶剤溶解性が悪いため、
塗装ライン中の配管や塗装機等の洗浄性に問題があっ
た。
【0006】このような変性ポリオレフィン系の耐チッ
ピング性プライマーに代わるものとして、特公昭61−
36995号公報等においては、ポリヒドロキシ化合物
とブロックイソシアネートを主成分とする塗料組成物が
提案されている。これらの塗料組成物は、良好な塗膜外
観を与えるものの、耐チッピング性が不十分であり、ま
た、耐チッピング性プライマー層を硬化させずに中塗り
層をその上に塗布し、プライマー層と中塗り層とを同時
に硬化させる、いわゆるウェットオンウェット方式にお
ける塗装作業性に問題があった。
【0007】本発明の目的は、塗膜外観が良好でかつ耐
チッピング性に優れた塗膜を形成することができる方法
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の塗膜形成方法
は、被塗物上に下塗り層を形成する工程と、水酸基価が
10〜200であり、数平均分子量が10,000〜1
00,000であるポリオレフィン変性樹脂(I)と、
硬化剤(II)と、顔料(III)とを含有するプライマー層
を下塗り層の上に形成する工程と、プライマー層を硬化
させずに、この上に中塗り層を形成する工程と、プライ
マー層と中塗り層を同時に硬化させ、プライマー層とし
て、引張り強度30〜400kg/cm2 、伸び率30
〜400%の硬化塗膜を形成する工程と、中塗り層の上
に上塗り層を形成し硬化させる工程とを備えている。
【0009】〔プライマー層〕ポリオレフィン変性樹脂(I) 本発明において、プライマー層に用いるポリオレフィン
変性樹脂(I)の水酸基価(OHV)は、10〜200
であり、好ましくは20〜100である。水酸基価が低
すぎると耐チッピング性が不良になる傾向にあり、水酸
基価が高すぎると耐水性が不良になる傾向にある。また
数平均分子量(Mn)は、10,000〜100,00
0であり、好ましくは20,000〜60,000であ
る。数平均分子量が低すぎると塗膜外観が不良になる傾
向にあり、数平均分子量が高すぎると溶剤溶解性が不良
になる傾向にある。
【0010】またポリオレフィン変性樹脂(I)の酸価
(AV)は、0〜100であることが好ましく、さらに
好ましくは0〜70である。酸価が高すぎると耐水性が
不良になる傾向にある。
【0011】硬化剤(II) 本発明において、プライマー層に用いる硬化剤(II)と
しては、上記ポリオレフィン変性樹脂(I)を硬化させ
ることができる化合物であれば特に限定されるものでは
ないが、好ましくはイソシアネートが用いられる。
【0012】イソシアネートとしては、数平均分子量
(Mn)が170〜3000であるものが好ましく、さ
らに好ましくは170〜2500のものである。数平均
分子量が高すぎると樹脂に対する相溶性が不良になる傾
向にある。またNCO当量は50〜750のものが好ま
しく、さらに好ましくは50〜600である。NCO当
量が低すぎると耐チッピング性が不良になる傾向にあ
り、NCO当量が高すぎると硬化性が不良になる傾向に
ある。
【0013】このようなイソシアネートとしては、ジイ
ソシアネートのアダクツ型、ビューレット型、ヌレート
型のようなポリイソシアネートであってよく、さらにN
CO基をアルコール類、フェノール類、ラクタム類、オ
キシム類等の封止剤によりブロックしたものが好まし
い。
【0014】ジイソシアネート化合物としては、例え
ば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサ
メチレンジイソシアネート(HMDI)、トリレンジイ
ソシアネート(TDI)、4,4´−ジフェニルメタン
ジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネ
ート(XDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、
水素化MDI、水素化TDI(HTDI)、水素化XD
I、テトラメチレンジイソシアネート(TMDI)、ダ
イマー酸ジイソシアネート(DDI)などのジイソシア
ネート化合物が挙げられる。これらは単独でまたは二種
以上を混合して用いることができる。
【0015】さらにポリイソシアネート化合物として、
ヘキサメチレンジイソシアネートと水との反応物、キシ
リレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの
付加物、トリレンジジイソシアネートとヘキサメチレン
ジイソシアネートとの付加物などを挙げることができ
る。
【0016】またブロックイソシアネート化合物として
は、(i)ヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイ
ソシアネートと、(ii)エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、1,3ブチレングリコール、ネオペンチ
ルグリコール、トリメチロールプロパン等の低分子量ポ
リオールとの付加反応によって得られるポリイソシアネ
ートの活性イソシアネート基を、アルコール類、オキシ
ム類、ラクタム類等によりブロックしたものを用いるこ
とができる。具体的には、ポリヘキサメチレンジイソシ
アネートをMEKオキシムあるいはε−カプロラクタム
でブロックしたもの、またはポリヘキサメチレンジイソ
シアネート/ビューレット型のポリイソシアネートをM
EKオキシムあるいはε−カプロラクタムでブロックし
たものなどを挙げることができる。
【0017】また、前記ポリオレフィン変性樹脂(I)
と硬化剤(II)の混合比率は、8/2〜1/9が好まし
い。より好ましくは、7/3〜2/8の範囲であること
が望ましい。混合比率が8/2以上では、硬化性が低下
し、1/9以下では塗膜外観が低下する。
【0018】顔料(III) 本発明において、プライマー層に用いる顔料としては、
特に限定されるものではなく、着色顔料、体質顔料、扁
平顔料、光輝材、マイカ等の顔料を用いることができ
る。これらのうち、チッピングプライマー層に用いる一
般的な顔料として、着色顔料としてのカーボンブラッ
ク、酸化チタン等が特に好ましく、必要に応じて体質顔
料を添加することができる。顔料の濃度としては、PW
Cで1〜50%が好ましく、さらに好ましくは3〜30
%である。ここで、PWCとは、〔顔料(g)÷(顔料
(g)+樹脂固形分(g))×100〕(%)で表され
る濃度である。
【0019】塗装方法 本発明において、プライマー層の塗装は、プライマー層
の塗料組成物が適当な粘度となるように溶剤を用いて希
釈し、噴霧、塗布等の方法により行うことができる。塗
装時の塗料粘度は、例えば、フォードカップを用いて調
整することができる。
【0020】塗装機としては、エアースプレー塗装機、
エアーレススプレー塗装機、及びエアー霧化式もしくは
回転式静電塗装機などの霧化式塗装機を用いることがで
きる。
【0021】例えば、プライマー層の塗料組成物を任意
の溶剤を用いて、No. 3のフォードカップでの粘度で1
0〜60秒、好ましくは12〜30秒になるように希釈
した後、乾燥後の膜厚が1〜50μm、好ましくは4〜
25μmの範囲になるように塗装する。このプライマー
層の塗膜を、指触で乾燥したと判断される適度な時間、
例えば約1分以上乾燥させた後、中塗り塗膜を通常の工
程で塗布し、60〜200℃、好ましくは80〜160
℃で、5〜60分間、好ましくは10〜40分間中塗り
塗膜と共に焼付ることで複合塗膜を形成させることがで
きる。
【0022】〔下塗り層〕本発明において、被塗物上に
形成される下塗り層は、特に限定されるものでないが、
自動車の車体外板等の塗装の場合、一般には電着塗装に
よる電着塗膜が形成される。電着塗料としては、アニオ
ン系樹脂及びカチオン系樹脂のいずれのものも使用する
ことができる。
【0023】電着塗料の主成分となる樹脂としては、そ
の構造により大別すると、(1)乾性油またはポリブタ
ジエンなどの液状ゴム系、場合によりエポキシ化した樹
脂を骨格とするもの、例えばマレイン化油樹脂やマレイ
ン化ポリブタジエン樹脂及びアミンエポキシ化ポリブタ
ジエン樹脂など、(2)樹脂状ポリオールの脂肪酸エス
テルを主骨格とするもの、及びその変性誘導体、例えば
エポキシ樹脂、エステル化樹脂など、(3)アルキド樹
脂を主骨格とするもの、(4)アクリル樹脂を主骨格と
する樹脂などが挙げられる。
【0024】電着塗料用樹脂が酸性樹脂の場合には、ア
ンモニア、アミン、無機アルカリ等の塩基で中和しこれ
を水に溶解または分散させることが好ましい。また塩基
性樹脂の場合には、酢酸、乳酸、硼酸、リン酸等の酸で
中和し水に溶解または分散させることが好ましい。
【0025】電着塗料中には、さらにメラミン樹脂、ブ
ロックイソシアネート等の架橋剤、顔料、溶剤等の添加
剤を適宜配合することができる。電着塗膜は、通常、焼
付後の膜厚が10〜40μmとなるように形成すること
が好ましい。また電着塗装の前には、通常の化成処理を
行うことが好ましい。
【0026】〔中塗り層〕本発明の中塗り層に用いる中
塗り塗料としては、アルキド樹脂系、ポリエステル樹脂
系、アクリル樹脂系の塗料を用いることができる。また
中塗り層の塗装は、通常の方法、例えば静電塗装法によ
って行うことができる。中塗り塗膜の膜厚は、乾燥膜厚
が20〜60μm程度が好ましい。
【0027】本発明においては、プライマー層を硬化さ
せずに、この上に中塗り層を形成する、いわゆるウェッ
トオンウェット方式で中塗り層が形成される。従って、
プライマー層中の溶剤を除去するため乾燥させた後に、
プライマー層の上に中塗り層を形成する。中塗り層を形
成した後、プライマー層と中塗り層を同時に硬化させ
る。従って、本発明においては、いわゆる2コート1ベ
ーク塗装が行われる。
【0028】本発明においては、このような2コート1
ベーク塗装によりプライマー層と中塗り層を同時に硬化
させるが、プライマー層は、引張り強度30〜400k
g/cm2 、好ましくは40〜300kg/cm2 、伸
び率30〜400、好ましくは40〜300%の硬化塗
膜となる。引張り強度がこれより低いと、形成された塗
膜の強度が低下し、またこれより高くなると、耐折曲
性、可撓性が低下する。また伸び率がこれより低くなる
と、チッピング性が低下し、これより高くなると、耐冷
熱サイクル性で不具合を生じる。
【0029】〔上塗り層〕本発明においては、上述の中
塗り層の上にさらに上塗り層を形成し硬化させる。上塗
り層の塗装としては、アクリル樹脂系塗料、ポリエステ
ル樹脂系塗料、フッ素樹脂系塗料などの塗料を用いるこ
とができる。これらの樹脂は、有機溶剤型、水系、粉体
型のいずれであってもよい。
【0030】〔ポリオレフィン変性樹脂(I)〕本発明
においてプライマー層に含有されるポリオレフィン変性
樹脂(I)としては、エチレン性不飽和結合を有するポ
リオレフィン系マクロマー(A)20〜99重量%、好
ましくは30〜70重量%と、不飽和化合物(B)80
〜1重量%、好ましくは70〜30重量%とをグラフト
化させた樹脂をその一例として挙げることができる。ポ
リオレフィン系マクロマー(A)の含有量が少なすぎる
と、耐チッピング性、外観が低下し、逆にポリオレフィ
ン系マクロマー(A)の含有量が多すぎると、耐冷熱サ
イクル性が低下する傾向がでる。
【0031】ポリオレフィン系マクロマー(A) ポリオレフィン系マクロマー(A)としては、例えば両
末端に水酸基を有するポリオレフィン(a)の水酸基
に、エチレン性不飽和基含有モノマー(b)を反応させ
て得られるマクロマーを挙げることができる。
【0032】ポリオレフィン(a)としては、例えば、
ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソプレ
ン、水添ポリイソプレン、EPDM等のポリオレフィン
系樹脂であって、両末端に水酸基を有する樹脂を挙げる
ことができる。数平均分子量(Mn)としては、200
〜5000が好ましく、さらに好ましくは500〜40
00である。
【0033】以上のような水酸基を含有するポリオレフ
ィンの市販品としては、以下に掲げるようなものを挙げ
ることができる。 ・商品名「G−1000」(日本曹達社製) ……α,ω−ポリブタジエングリコール Mn=約1500 ・商品名「G−2000」(日本曹達社製) ……α,ω−ポリブタジエングリコール Mn=約2000 ・商品名「G−3000」(日本曹達社製) ……α,ω−ポリブタジエングリコール Mn=約2900
【0034】 ・商品名「GI−1000」(日本曹達社製) ……α,ω−水添ポリブタジエングリコール Mn=約1500 ・商品名「GI−2000」(日本曹達社製) ……α,ω−水添ポリブタジエングリコール Mn=約2100 ・商品名「GI−3000」(日本曹達社製) ……α,ω−水添ポリブタジエングリコール Mn=約3000
【0035】 ・商品名「R−15HT」(出光石油化学社製) ……α,ω−ポリブタジエングリコール Mn=約1200 ・商品名「R−45HT」(出光石油化学社製) ……α,ω−ポリブタジエングリコール Mn=約2800 ・商品名「LIR−506」(クラレ社製) ……ポリイソプレンペンタオール Mn=約25000
【0036】エチレン性不飽和基含有モノマー(b)の
一例としては、エチレン性不飽和基を含有する酸無水物
を挙げることができる。このような酸無水物は、酸無水
物環を開環させることによりポリオレフィン(a)の水
酸基と反応する。
【0037】このような酸無水物としては、エチレン性
不飽和結合を同時に有する化合物であればよく、例え
ば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸等
が挙げられる。これらのうち、特に好ましくは無水マレ
イン酸である。また、このような両末端基に水酸基を有
するポリオレフィン(a)と酸無水物の反応比率は、ポ
リオレフィン/酸無水物=5/5〜8/2が好ましく、
さらに好ましくは5/5〜6/4である。
【0038】エチレン性不飽和基含有モノマー(b)の
他の例としては、エチレン性不飽和基及び水酸基を有す
る化合物が挙げられる。この化合物は、ポリオレフィン
(a)の水酸基と、ジイソシアネート化合物(c)を介
して反応させることができる。エチレン性不飽和基及び
水酸基を有するモノマーとしては、例えば水酸基含有ア
クリルモノマーを挙げることができる。
【0039】水酸基含有アクリルモノマーは、水酸基及
びアクリル基またはメタクリル基を有するモノマーであ
り、例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEM
A)、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒド
ロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ヒドロキ
シプロピルアクリレート(HPA)、ヒドロキシブチル
アクリレート(HBA)などを用いることができる。こ
れらは単独でもしくは二種以上を混合して用いることが
できる。これらの水酸基含有アクリルモノマーのうち、
特に好ましくはヒドロキシエチル(メタ)アクリレート
が用いられる。
【0040】ジイソシアネート化合物(c)としては、
上記硬化剤(II)において掲げたジイソシアネート化合
物を用いることができる。これらのジイソシアネート化
合物のうち、特に好ましくはイソホロンジイソシアネー
トである。
【0041】上記のように、ポリオレフィン系マクロマ
ー(A)は、例えば、上記のポリオレフィン(a)、ジ
イソシアネート化合物(c)、及び水酸基含有アクリル
モノマー(b)を反応させて得ることができるが、反応
させる順序は特に限定されるものではない。好ましく
は、ポリオレフィン(a)とジイソシアネート化合物
(c)を混合し加熱して反応させた後に、水酸基含有ア
クリルモノマー(b)を混合し加熱して反応させる。
【0042】ポリオレフィン(a)とジイソシアネート
化合物(c)の混合比率a/cは、モル比で表した−O
H/−NCOで、8/2〜4/6が好ましく、さらに好
ましくは7/3〜4/6であり、さらに好ましくは約5
/5の割合である。
【0043】ジイソシアネート化合物(c)と水酸基含
有アクリルモノマー(b)の混合比率c/bは、モル比
で表した−NCO/−OHの比率で6/4〜2/8が好
ましく、さらに好ましくは6/4〜3/7であり、さら
に好ましくは約5/5である。
【0044】不飽和化合物(B) 不飽和化合物(B)としては、エチレン性不飽和モノマ
ー(b−1)、不飽和アクリル樹脂(b−2)、及び不
飽和ポリエステル樹脂(b−3)からなる群より選ばれ
る少なくとも一種の化合物を用いることができる。
【0045】エチレン性不飽和モノマー(b−1)とし
ては、例えば、アクリルモノマーを挙げることができ、
具体的には、メチルアクリレート、メチルメタクリレー
ト、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアク
リレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、n−ブチ
ルアクリレート、n−ブチルメタクリレートなどの一般
的なアクリルモノマーを用いることができる。これらの
アクリルモノマーは単独で用いてもよいし、二種以上を
混合して用いてもよい。さらには、スチレンや酢酸ビニ
ルなどのこれらのアクリルモノマーと共重合可能な他の
モノマーを併用してもよい。
【0046】不飽和アクリル樹脂(b−2)としては、
酸価(AV)が0〜200、さらに好ましくは0〜15
0であり、水酸基価(OHV)が10〜300、さらに
好ましくは10〜200であり、数平均分子量(Mn)
が1000〜50000、さらに好ましくは2000〜
5000であり、ヨウ素価が0.5〜100、さらに好
ましくは0.5〜70であるものが好ましい。
【0047】これらの不飽和アクリル樹脂(b−2)
は、アクリル樹脂に不飽和結合を導入することにより得
ることができる。例えばアクリル樹脂のカルボン酸基に
グリシジルメタクリレートを付加することにより、アク
リル樹脂のヒドロキシル基に不飽和結合を有する酸無水
物を付加することにより、あるいはアクリル樹脂のオキ
シラン基に不飽和結合を有するカルボン酸を付加するこ
とにより得ることができる。
【0048】不飽和ポリエステル樹脂(b−3)として
は、酸価(AV)が0〜200、さらに好ましくは0〜
150であり、水酸基価(OHV)が10〜300、さ
らに好ましくは10〜200であり、数平均分子量(M
n)が1000〜50000、さらに好ましくは100
0〜4000であり、ヨウ素価が0.5〜100、さら
に好ましくは0.5〜70であるものが好ましい。
【0049】このような不飽和ポリエステル樹脂(b−
3)は、一般的な方法により得ることができ、例えば、
ポリオール化合物と不飽和基を有する多塩基酸化合物と
の反応により得ることができる。
【0050】
【発明の実施の形態】
・製造例1〔ポリオレフィン系マクロマー(A)の製
造〕 温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備
えた2リットルの反応容器に、表1に示すような両末端
に水酸基を有するポリオレフィン及びトルエンを、表1
に示す配合量で仕込み、50℃まで昇温し、表1に示す
配合量のイソホロンジイソシアネート(IPDI)及び
トルエンを含有する溶液を、1時間で滴下し、50℃に
1時間保持した。次に、85℃に昇温し、表1に示す配
合量のヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)及
びトルエンを含有する溶液を1時間で滴下し、85℃に
1時間保持した後、冷却し、ポリオレフィン系マクロマ
ー(A−i)〜(A−v)を得た。
【0051】
【表1】
【0052】・製造例2〔ポリオレフィン系マクロマー
(A)の製造〕 温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備
えた2リットルの反応容器に、表2に示すような両末端
に水酸基を有する水素添加液状ポリブタジエン及びトル
エンを、表2に示す配合量で仕込み、さらに表2に示す
ような配合量の無水マレイン酸を仕込んだ後、加圧下で
130℃まで昇温した。反応は、FT−IRで酸無水物
のピーク(1780cm-1)が消失するまで保持し、消
失時点で反応を終了させた。これを冷却し、ポリオレフ
ィン系マクロマー(A−vi)及び(A−vii)を得た。
【0053】
【表2】
【0054】・製造例3〔ポリオレフィン系マクロマー
(A)とアクリルモノマーとのグラフト化〕 温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備
えた200mlの反応容器に、製造例1及び2で得たポ
リオレフィン系マクロマー(A−i)〜(A−vii)及び
トルエンを、表3に示す配合量で仕込み、110℃に昇
温し、表3に示す、その他のモノマーを表3に示す配合
量で含有し、かつ開始剤としてt−ブチルパーオキシ−
2−エチルヘキサノエート1.50部を含有する溶液
を、3時間で滴下し、110℃に30分間保持した。次
に、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
0.5部、トルエン5.0部を30分間で滴下した。さ
らに90分間攪拌を継続した後、冷却し、ポリオレフィ
ン系マクロマー(A)とアクリルモノマーとをグラフト
化したポリオレフィン変性アクリル樹脂(A−1)〜
(A−8)を得た。
【0055】
【表3】
【0056】・製造例4〔不飽和アクリル樹脂の製造〕 温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備
えた200mlの反応容器にトルエン70部を仕込み、
110℃に昇温し、メタクリル酸n−ブチル50.4
部、ヒドロキシエチルメタクリレート22.3部、メタ
クリル酸7.4部を含有し、開始剤としてt−ブチルパ
ーオキシ−2−エチルヘキサノエート2.0部を含有す
る溶液を3時間で滴下し、110℃に30分間保持し
た。その後、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサ
ノエート0.50部、トルエン10部を含有する溶液を
30分間で滴下した。さらに90分間攪拌を継続した
後、冷却し、無水マレイン酸1.0部を仕込み、加圧
下、約30分間で130℃付近まで昇温し、20分間保
持した後、冷却し、不飽和アクリル樹脂(B−i)を得
た。得られた不飽和アクリル樹脂(B−i)の数平均分
子量(Mn)は5000であり、酸価(AV)は60で
あり、水酸基価(OHV)は120であった。
【0057】・製造例5〔ポリオレフィン系マクロマー
(A)と不飽和アクリル樹脂とのグラフト化〕 温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備
えた200mlの反応容器に、製造例1で得たポリオレ
フィン系マクロマー(A−i)105.6部と、製造例
4で得た不飽和アクリル樹脂22.4部を仕込み、11
0℃に昇温し、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキ
サノエート1.50部、トルエン16部を含有する溶液
を2時間で滴下し、110℃に2時間保持した後、冷却
し、ポリオレフィン系マクロマー(A)と不飽和アクリ
ル樹脂とをグラフト化したポリオレフィン変性アクリル
樹脂(B−1)を得た。得られたポリオレフィン変性ア
クリル樹脂(B−1)の数平均分子量(Mn)は150
00であり、酸価(AV)は20であり、水酸基価(O
HV)は40であった。
【0058】・製造例6〔不飽和ポリエステル樹脂の製
造〕 温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、デカンターを備
えた2リットルの反応容器に、エチレングリコール9.
6部、ネオペンチルグリコール64.8部、アジピン酸
81.4部、無水マレイン酸13.8部を仕込み、昇温
した。反応により生成する水を除去しながら、還流開始
により約2時間かけて、温度を190℃にし、カルボン
酸相当の酸価が60になるまで攪拌と脱水を継続した
後、冷却し、不飽和ポリエステル樹脂(C−i)を得
た。得られた不飽和ポリエステル樹脂(C−i)の数平
均分子量(Mn)は1500であり、酸価(AV)60
であり、水酸基価(OHV)は120であった。
【0059】・製造例7〔ポリオレフィン系マクロマー
(A)と不飽和ポリエステル樹脂のグラフト化〕 温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備
えた200mlの反応容器に、製造例1で得たポリオレ
フィン系マクロマー(A−i)105.6部と、製造例
6で得た不飽和ポリエステル樹脂(C−i)11.2
部、トルエン31.2部を仕込み、110℃に昇温し、
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1.
50部、トルエン12部を含有する溶液を2時間で滴下
し、110℃に2時間保持した後、冷却し、ポリオレフ
ィン系マクロマー(A)と不飽和ポリエステル樹脂とを
グラフト化したポリオレフィン変性ポリエステル樹脂
(C−1)を得た。得られたポリオレフィン変性ポリエ
ステル樹脂(C−1)の数平均分子量(Mn)は500
0であり、酸価(AV)は20であり、水酸基価(OH
V)は40であった。
【0060】・製造例8〔ブロックイソシアネートの製
造〕 温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管を備えた200m
lの反応容器に、ポリイソシアネート、ブロック剤、D
BTLを仕込み、110℃で2時間加熱混合し、ブロッ
クイソシアネートを得た。
【0061】ポリイソシアネートとしては、商品名「デ
スモジュールZ4370」(住友バイエルウレタン社
製、表4では単に「Z4370」で示す)、または商品
名「スミジュールN3500」(住友バイエルウレタン
社製、表4においては単に「N−3500」で示す)を
用い、ブロック剤としては、MEKオキシム(表4にお
ていは単に「MEK」で示す)またはε−カプロラクタ
ム(表4においては単に「ε−CL」で示す)を用い
た。配合量は、ポリイソシアネートに対しブロック剤が
約1.2倍当量となるように用いた。具体的には「デス
モジュールZ4370」132.8部または「スミジュ
ールN3500」49.5部に対し、MEKオキシム2
6.6部またはε−カプロラクタム34.6部を反応さ
せた。またジブチル錫ジラウリレート(DBTL)は、
0.60部用いた。
【0062】実施例1〜11 (塗料の作製)カーボンブラック(三菱化学社製、商品
名「MA−100」)4.83部に、表4に示すポリオ
レフィン変性アクリル樹脂(I)52.0部、トルエン
12.6部を卓上SGミルにて混合し、顔料であるカー
ボンブラックを分散させ、顔料分散ペーストを得た。得
られた顔料分散ペーストに対し、さらに、表4に示すよ
うな配合割合となるように表4に示すそれぞれのポリオ
レフィン変性アクリル樹脂(I)と硬化剤(II)とを攪
拌しながら混合し、必要に応じて表面調整剤(商品名
「ディスパロンKS−273N」、楠本化成社製)及び
粘性制御剤としての架橋樹脂粒子を添加し、表4に示す
実施例1〜11の塗料を得た。
【0063】なお、表4において硬化剤(II)における
BL−3175は、MEKオキシムでブロックしたブロ
ックイソシアネートの市販品である商品名「デスモジュ
ールBL3175」(住友バイエルウレタン社製)を示
している。
【0064】(塗膜の形成)リン酸亜鉛処理した厚さ
0.8mmのダル鋼板に、カチオン電着塗料(日本ペイ
ント社製、商品名「パワートップU−50」)を乾燥膜
厚が約25μmとなるように電着塗装し、160℃で3
0分間焼き付けた。得られた電着塗膜の上に、上記実施
例1〜11の塗料を、乾燥膜厚が5μmとなるようにス
プレー塗装し、約4分間セッティングした後、中塗り塗
料(日本ペイント社製、商品名「オルガP−2」)を乾
燥膜厚が約40μmとなるようにスプレー塗装し、約7
分間セッティングした後、140℃で30分間焼き付け
て中塗り塗装塗板を得た。
【0065】冷却後、中塗り塗装塗板の上に上塗り塗料
を塗布した。上塗り塗料としては、メタリック系塗料
(日本ペイント社製、商品名「スーパーラックM−15
5シルバー」)を乾燥膜厚が約15μmとなるように塗
装した後、ウェットオンウェットにて、クリヤー塗料
(日本ペイント社製、商品名「スーパーラックO−15
0クリヤー」)を乾燥膜厚が約40μmとなるように塗
装した。約7分間セッティングした後、140℃で25
分間焼付け積層塗膜を得た。なお、耐チッピング性の評
価をする場合には、上記によって得られた積層塗膜をさ
らに、♯1000のサンドペーパーで水研した後、乾
燥、石油ベンジンでワイピングし、上塗りを形成する工
程を2回繰り返し、上塗り(ベース/クリヤー)とし
て、3層の塗膜を形成した積層塗板を、評価に供した。
【0066】図1は、以上のようにして形成した積層塗
膜を示す断面図である。図1に示すように、被塗物であ
る化成皮膜が形成された鋼板1の上に、電着塗膜2が形
成されており、この電着塗膜2の上に耐チッピング性プ
ライマー層3が形成されている。この耐チッピング性プ
ライマー層3の上に中塗り層4及び上塗り層5が順次形
成されている。
【0067】得られた塗膜について、耐チッピング性、
外観、冷熱サイクルを評価した。評価方法は以下の通り
である。またプライマー層については、その硬化塗膜の
引張り強度及び伸び率を測定した。評価方法は、以下の
通りである。
【0068】(評価方法)耐チッピング性 グラベロ試験機(スガ試験機社製)を用いて、以下の条
件で試験を行った。 石の大きさ:7号砕石 石の量:50g 距離:35cm エア圧:4.0kg/cm2 角度:45° 試験温度:−20℃
【0069】耐チッピング性試験の結果は、目視により
以下のように4段階で評価した。 ◎:飛石試験後全く剥離しないもの。 ○:飛石試験後わずかに剥離がみられるもの(剥離面積
が微小であるもの)。 △:飛石試験後剥離が発生するもの。 ×:飛石試験後著しく剥離を発生するもの(剥離面積が
極大であるもの)。
【0070】外観 目視により以下のように評価した。 ◎:外観(ツヤ、表面粗度)に異常が認められないも
の。 ○:外観(ツヤ、表面粗度)が若干低下するが、上塗り
塗装後には異常が認められないもの。 △:外観(ツヤ、表面粗度)が低下し、上塗り塗装後も
外観が低下するもの。 ×:外観(ツヤ、表面粗度)が著しく低下し、上塗り塗
装後も著しく外観が低下するもの。
【0071】冷熱サイクル 以下の条件の環境温度の変化を1サイクルとし、これを
10サイクル以上繰り返した後、塗膜表面のワレを目視
により観察し、以下の基準で評価した。
【0072】(−30℃×1時間→室温×30分間→8
0℃×1時間→室温×30分間)=1サイクル ○:冷熱サイクル終了時点でワレを生じないもの。 ×:冷熱サイクル終了時点でワレを生じるもの。
【0073】プライマー層の引張り強度及び伸び率 厚み3ミリのポリプロピレン板にプライマー塗料を、乾
燥膜厚が40〜60μmとなるように塗装し、約20分
間セッティングした後、140℃にて25分間焼付け乾
燥した。得られた塗膜を有効部分が長さ5cm×幅1c
mになるようにカッティングし、ポリプロピレン板から
引き剥がすことで、フリーフィルムを得た。このフリー
フィルムを引張り試験機(東洋ボールドウイン社製、
「テンシロン」)にて、20℃の環境下、引張り速度が
10mm/分で、伸び率、引張り強度(抗張力)を測定
した。以上の評価結果を表4に併せて示す。
【0074】
【表4】
【0075】表4に示す実施例9で用いたバインダー樹
脂「タイタックス1001」は、市販のポリオレフィン
変性アクリル樹脂(日本曹達社製、固形分40%)であ
る。
【0076】比較例に用いるプライマー層のバインダー
樹脂の作製 比較として、表5に示すような配合で、比較例に用いる
バインダー樹脂(A−9)〜(A−12)を作製した。
なお、表5から明らかなように、バインダー樹脂(A−
10)及び(A−12)は、それぞれ、A−i及びGI
−1000をグラフト化せずに、そのまま用いた。
【0077】
【表5】
【0078】比較例1〜4 以上のようにして得られたバインダー樹脂(A−9)〜
(A−12)を用い、表6に示すような配合で硬化剤
(II)を混合し、上記実施例と同様にしてプライマー層
の塗料を作製した。得られた塗料を用い、上記実施例と
同様にタル鋼板上に、電着塗膜を形成し、この上にプラ
イマー層、中塗り層、及び上塗り層を形成し得られた積
層塗膜について評価した。また得られたプライマー層に
ついても上記実施例と同様に引張り強度及び伸び率を測
定した。得られた結果を表6に示す。
【0079】
【表6】
【0080】表4及び表6の比較から明らかなように、
本発明に従う塗料組成物を耐チッピング性プライマーと
して用いた実施例1〜11の塗膜は、耐チッピング性に
優れると共に、外観及び冷熱サイクルにおいても優れて
いることがわかる。
【0081】比較例3は、表5から明らかなように、マ
クロマーに対し不飽和モノマーを多量に重合させたアク
リル樹脂成分の多いバインダー樹脂(A−11)を用い
ている比較例である。この比較例3と同じプライマー層
のバインダー樹脂を用い、いわゆる2コート2ベーク塗
装によりプライマー層と中塗り層を形成した。すなわ
ち、プライマー層を塗布した後、140℃で30分間焼
き付け、その後に上記実施例と同様に中塗り塗料を塗布
しセッティングした後、140℃で30分間焼き付け
た。この結果、外観は○の評価となった。このことから
も明らかなように、従来のアクリル樹脂をベースとした
プライマー層では、2コート1ベークで良好な塗膜外観
が得られないのに対し、本発明に従えば、2コート1ベ
ークで塗膜外観の良好な塗膜を得ることができる。
【0082】上記実施例では、上塗り層として、ベース
コート層の上にクリヤー層をウェットオンウェット方式
で形成する、いわゆる2コート1ベーク塗装の塗膜を示
したが、本発明はこれに限定されるものではなくソリッ
ド塗膜を形成する1コート1ベーク塗装の塗膜であって
もよい。
【0083】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、塗膜外
観が良好でかつ耐チッピング性に優れた耐チッピング性
プライマー層を形成させることができる。
【0084】また、本発明によれば、プライマー層のバ
インダー樹脂が溶剤溶解性に優れているため、塗装時の
ダスト粒径が小さくなり、ダスト隠蔽性が良好になると
共に、中塗り層の樹脂との相溶性をある程度抑えること
により、なじみを防止することができる。これによっ
て、ウェットオンウェットの作業性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における耐チッピング性プライ
マー層を備えた積層塗膜を示す断面図。
【符号の説明】
1…被塗物 2…電着塗膜 3…耐チッピング性プライマー層 4…中塗り層 5…上塗り層
フロントページの続き (72)発明者 西 忠彦 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 (72)発明者 奥出 芳隆 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被塗物上に下塗り層を形成する工程と、 水酸基価が10〜200であり、数平均分子量が10,
    000〜100,000であるポリオレフィン変性樹脂
    (I)と、硬化剤(II)と、顔料(III)とを含有するプ
    ライマー層を、前記下塗り層の上に形成する工程と、 前記プライマー層を硬化させずに、この上に中塗り層を
    形成する工程と、 前記プライマー層と前記中塗り層を同時に硬化させ、前
    記プライマー層として、引張り強度30〜400kg/
    cm2 、伸び率30〜400%の硬化塗膜を形成する工
    程と、 前記中塗り層の上に上塗り層を形成し硬化させる工程と
    を備える塗膜形成方法。
  2. 【請求項2】 前記ポリオレフィン変性樹脂(I)が、
    エチレン性不飽和結合を有するポリオレフィン系マクロ
    マー(A)20〜99重量%と、不飽和化合物(B)8
    0〜1重量%とをグラフト化させた樹脂である請求項1
    に記載の塗膜形成方法。
  3. 【請求項3】 前記ポリオレフィン系マクロマー(A)
    が、両末端に水酸基を有するポリオレフィン(a)の水
    酸基に、エチレン性不飽和基含有モノマー(b)を反応
    させて得られるマクロマーである請求項2に記載の塗膜
    形成方法。
  4. 【請求項4】 前記エチレン性不飽和基含有モノマー
    (b)が、エチレン性不飽和基を含有する酸無水物であ
    る請求項3に記載の塗膜形成方法。
  5. 【請求項5】 前記エチレン性不飽和基含有モノマー
    (b)が、エチレン性不飽和基及び水酸基を有し、ジイ
    ソシアネート化合物(c)を介して、前記ポリオレフィ
    ン系(a)の水酸基と反応するモノマーである請求項3
    に記載の塗膜形成方法。
  6. 【請求項6】 前記不飽和化合物(B)が、エチレン性
    不飽和モノマー、不飽和アクリル樹脂、及び不飽和ポリ
    エステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の
    化合物である請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗膜
    形成方法。
  7. 【請求項7】 前記ポリオレフィン変性樹脂(I)が、
    ポリオレフィン変性アクリル樹脂である請求項1〜6の
    いずれか1項に記載の塗膜形成方法。
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