JP2023155896A - フィルム - Google Patents

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JP2023155896A
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Katsura Tsujimoto
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Abstract

【課題】本発明の目的は、表面コート層を設けない場合にフィルム表面に付着した汚れが除去しやすく、表面コート層を設ける場合に表面コート層への親和性が高く、表面コート層の有無にかかわらず曲面への貼り付け性に優れたフィルムを提供することにある。【解決手段】本発明のフィルムは、メタクリル系樹脂(A)1~40質量%と、ポリエステルポリオール由来の構造単位を有する熱可塑性ポリウレタン(B)60~99質量%とを含むことを特徴としている。【選択図】なし

Description

本発明は、フィルムに関する。本発明のフィルムは、塗装保護シート又は表面保護シートとして好適に用いることができる。
自動車等の乗り物外装部の擦り傷、飛び石による傷防止や、天候による劣化防止のための塗装保護シートあるいは表面保護シートとして用いられる粘着シートは、自動車の塗装面、ヘッドライト、窓ガラス等の保護として用いられるため、曲面にも沿って貼付ける必要がある。このことから、追従性、延伸性が求められ、熱可塑性ポリウレタンフィルムをベースにすることが多い。
このポリウレタンフィルムは、ベタつきがあり、屋外環境で使用した場合、表面に砂、埃等の汚れが付着すると、汚れが定着し除去できないことから、上述した保護シートは、特許文献1、2のようにポリウレタンフィルムの表面に汚れ防止のコート層を設けて多層フィルムとすることが一般的である。
この時、表面コート層も、ポリウレタンに追従する延伸性が必要とされるが、表面コート層の延伸性が高すぎると粘性が強くなることから、汚れが付着し易くなってしまう。そこで、表面コート層がなくても汚れが除去しやすいフィルムが望まれている。
また、表面コート層とフィルムの復元性が近いレベルでないとコート層の剥がれの原因となるため、表面コート層を用いる場合においても表面コート層とフィルムの組合せの許容幅が広くなるよう、従来よりも表面コート層への親和性の高いフィルムが強く望まれている。
一方、自動車等、保護対象の外装では曲面部が多く、貼り付ける際にフィルムを引き延ばしながら、貼り付ける必要があるが、フィルム特性によっては、引き延ばす際に過剰な応力が必要であったり、元に戻ろうとする応力が高く、貼り付け難いフィルムがある。つまり、曲面への貼り付けの際、伸ばし難いフィルムや伸ばした際に復元性の高いフィルムは、戻る力により曲面に馴染めず、シワ等が発生し得るので、フィルムには伸ばしやすさだけでなく、戻る力が低く、曲面への貼り付け性が改善されたフィルムが求められている。
特開2021-91902号公報 特開2018-53193号公報
そこで、本発明の目的は、表面コート層を設けない場合にフィルム表面に付着した汚れが除去しやすく、表面コート層を設ける場合に表面コート層への親和性が高く、表面コート層の有無にかかわらず曲面への貼り付け性に優れたフィルムを提供することである。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
メタクリル系樹脂(A)1~40質量%と、ポリエステルポリオール由来の構造単位を有する熱可塑性ポリウレタン(B)60~99質量%とを含む、ことを特徴とするフィルム。
[2]
前記熱可塑性ポリウレタン(B)が環構造を2つ有するイソシアネート由来の構造単位を有する、[1]に記載のフィルム。
[3]
前記環構造が脂環構造である、[2]に記載のフィルム。
[4]
前記メタクリル系樹脂(A)10~30質量%と、ポリエステルポリオール由来の構造単位を有する前記熱可塑性ポリウレタン(B)70~90質量%とを含む、[1]から[3]のいずれかに記載のフィルム。
[5]
前記メタクリル系樹脂(A)が、メタクリル酸エステル由来の単量体単位65~100質量、アクリル酸エステル由来の単量体単位0~35質量%、メタクリル酸エステル単量体に共重合可能なアクリル酸エステル単量体以外のビニルモノマー由来の単量体単位0~35質量%からなる、重量平均分子量が20,000~180,000のメタクリル系樹脂(A)である、[1]~[4]のいずれかに記載のフィルム。
[6]
光安定剤を0.01~5質量%含む、[1]~[5]のいずれかに記載のフィルム。
[7]
前記熱可塑性ポリウレタン(B)を構成するイソシアネート由来の構造単位全量100質量%に対して、脂環構造を2つ有するイソシアネート由来の構造単位を70質量%以上有する、[3]に記載のフィルム。
[8]
前記熱可塑性ポリウレタン(B)を構成するポリオール由来の構造単位全量100モル%に対して、ポリエステルポリオール由来の構造単位を90~99モル%有する、[7]に記載のフィルム。
[9]
車輛用保護フィルムである、[1]~[8]のいずれかに記載のフィルム。
本発明のフィルムは、上記構成を有するため、表面コート層を設けない場合にフィルム表面に付着した汚れが除去しやすく、表面コート層を設ける場合に表面コート層への親和性の高く、表面コート層の有無にかかわらず曲面への貼り付け性に優れる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明はその要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
なお、本明細書において「A~B」の数値範囲は、A以上B以下を表す。また、「~由来の単量体単位」を「~単量体単位」と称する場合がある。
[フィルム]
本実施形態のフィルムは、フィルム100質量%に対して、メタクリル系樹脂(A)1~40質量%と、ポリエステルポリオール由来の構造単位を有する熱可塑性ポリウレタン(B)60~99質量%とを含有する。上記熱可塑性ポリウレタン(B)は、ポリエステルポリオール由来の構造単位を含み、環構造を2つ有するイソシアネート由来の構造単位をさらに含むことが好ましい。上記イソシアネート由来の構造単位における上記環構造は脂環構造であることが耐候性の観点から好ましい。
上記フィルムは、上記メタクリル系樹脂(A)及びポリエステルポリオール由来の構造単位を有する上記熱可塑性ポリウレタン(B)以外に他の成分をさらに含んでいてもよいし、上記メタクリル系樹脂(A)及び上記熱可塑性ポリウレタン(B)のみからなるフィルムであってもよい。
なお、本明細書において、ポリエステルポリオール由来の構造単位を有する熱可塑性ポリウレタン(B)を、「熱可塑性ポリウレタン(B)」と称する場合がある。
<メタクリル系樹脂(A)>
上記メタクリル系樹脂(A)は、メタクリル酸エステル単量体由来のメタクリル酸エステル単量体単位のみからなる単独重合体であってもよいし、メタクリル酸エステル単量体単位と他の単量体由来の他の単量体単位との共重合体であってもよい。上記共重合体は、剛性、耐傷付き性に一層優れる観点から、ランダム重合体であることが好ましい。上記メタクリル系樹脂(A)は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において、メタクリル系樹脂(A)とはメタクリル酸エステル単量体単位を主な構成単位とする樹脂といい、好ましくはメタクリル系樹脂(A)100質量%中メタクリル酸エステル単量体単位の質量割合が65質量%超(より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは93質量%以上)の樹脂である。
上記メタクリル系樹脂(A)に含まれるメタクリル酸エステル単量体単位を構成するメタクリル酸エステル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸(2-エチルヘキシル)、メタクリル酸(t-ブチルシクロヘキシル)、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸(2,2,2-トリフルオロエチル)等が挙げられる。中でも、入手のしやすさ、価格の観点から、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルが好ましい。
上記メタクリル酸エステル単量体は、一種のみを単独で使用してもよく、又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
上記メタクリル系樹脂(A)100質量%中のメタクリル酸エステル単量体単位の質量割合は、65~100質量%であることが好ましく、より好ましくは85~99.9質量%、さらに好ましくは90~99.8質量%、さらにより好ましくは93~99.5質量%、一層高い透過率と同時に一層低いヘイズが得られる観点から、96~98.5質量%であることが特に好ましい。メタクリル酸エステル単量体単位の質量割合が99.9質量%以下であることにより、フィルム成形時における樹脂の分解を防止でき、揮発成分であるメタクリル酸エステル単量体の発生によるフィルムの汚れを効果的に防止できる。また、メタクリル酸エステル単量体単位が65質量%以上であることにより、剛性及び強度に優れる成形品とすることができる。
上記メタクリル系樹脂(A)に含まれていてもよい上記他の単量体としては、上記メタクリル酸エステル単量体に共重合可能な単量体であれば特に限定されず、例えば、メタクリル酸エステル単量体に共重合可能なビニル単量体が挙げられる。上記他の単量体は、メタクリレート基を有していない単量体としてよい。上記他の単量体は、一種のみを単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記メタクリル酸エステル単量体に共重合可能なビニル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル等のアクリレート基を1つ有するアクリル酸エステル単量体;アクリレート基を2つ以上有する、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート等のエチレングリコール又はそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸でエステル化したもの;ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジアクリレート等の2個のアルコールの水酸基をアクリル酸でエステル化したもの;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール誘導体をアクリル酸でエステル化したもの;等のアクリル酸エステル単量体が挙げられる。
特に、アクリレート基を1つ有するアクリル酸エステル単量体が好ましく、入手のしやすさの観点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチルが好ましく、より好ましくはアクリル酸メチル、アクリル酸エチルである。
メタクリル系樹脂(A)100質量%中の上記他の単量体単位の質量割合は、高い透過率と同時に低いヘイズが得られる観点から、0~35質量%であることが好ましく、より好ましくは0質量%超15質量%以下、さらに好ましくは0.1~10質量%、さらにより好ましくは0.2~7質量%、特に好ましくは0.5~5質量%である。0.1質量%以上であることにより、成形時におけるメタクリル系樹脂(A)の分解、熱可塑性ポリウレタン(B)の分解を予防でき、フィルムの黄変や揮発成分の発生による成形不良の発生を効果的に防止できる。また、35質量%以下であることにより、フィルムにした時の耐汚れ付着性を効果的に向上させることができる。メタクリル系樹脂(A)中の各他の単量体単位の各質量割合が上記範囲であることが好ましく、全ての他の単量体の合計質量割合が上記範囲であることがより好ましい。
また、上記他の単量体単位の質量割合は、メタクリル系樹脂(A)(100質量%)に対して、特にアクリレート基を2つ有する単量体を使用する場合には0.4質量%以下での使用が、アクリレート基を3つ有する単量体を使用する場合には0.25質量%以下での使用が、アクリレート基を4つ以上有する単量体を使用する場合には0.15質量%以下での使用が、射出成形時の流動性の確保や、透明性維持の観点から好ましい。
上記他の単量体としては、メタクリル酸エステル単量体に共重合可能なアクリル酸エステル単量体以外のビニル単量体(本明細書において、「他のビニル単量体」と称する場合がある)が挙げられる。上記他のビニル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸やメタクリル酸等のα,β-不飽和酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、桂皮酸等の不飽和基含有二価カルボン酸及びそれらのアルキルエステル;スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,5-ジメチルスチレン、3,4-ジメチルスチレン、3,5-ジメチルスチレン、p-エチルスチレン、m-エチルスチレン、о-エチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、イソプロペニルベンセン(α-メチルスチレン)等のスチレン系単量体;1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、1,1-ジフェニルエチレン、イソプロペニルトルエン、イソプロペニルエチルベンゼン、イソプロペニルプロピルベンゼン、イソプロペニルブチルベンゼン、イソプロペニルペンチルベンゼン、イソプロペニルヘキシルベンゼン、イソプロペニルオクチルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物類;マレイミドや、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のN-置換マレイミド等;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類;ジビニルベンゼン等の多官能モノマー;等が挙げられる。
なお、メタクリル系樹脂(A)においては、耐熱性、成形加工性等の特性を向上させる目的で、上記例示したビニル単量体以外のビニル系単量体を適宜添加して共重合させてもよい。上記メタクリル酸エステル単量体に共重合可能なアクリル酸エステル単量体や、上記例示したアクリル酸エステル単量体以外のビニル系単量体は、一種のみを単独で使用してもよく、二種以上組み合わせて使用してもよい。
上記メタクリル系樹脂(A)が、メタクリル酸エステル単量体単位と他の単量体単位とを含む場合、メタクリル系樹脂(A)100質量%に対して、メタクリル酸エステル単量体単位65~100質量%、他の単量体単位0~35質量%を含むことが好ましい。
上記メタクリル系樹脂(A)100質量%に対して、メタクリル酸エステル単量体単位65~100質量%、アクリル酸エステル単量体単位0~35質量%、他のビニル単量体単位0~35質量%を含むことが好ましく、上記メタクリル酸エステル単量体単位65~100質量%、上記アクリル酸エステル単量体単位0~35質量%、上記他のビニル単量体単位0~35質量%のみからなることがより好ましい。
上記メタクリル酸エステル単量体単位は、より好ましくは85~99.9質量%、さらに好ましくは90~99.8質量%、さらに好ましくは93~99.5質量%、一層高い透過率と同時に一層低いヘイズが得られる観点から、96~98.5質量%が特に好ましい。99.9質量%以下であることにより、フィルム成形時における樹脂の分解を防止でき、揮発成分であるメタクリル酸エステル単量体の発生によるフィルムの汚れを効果的に防止できる。また、65質量%以上であることにより、剛性及び強度に優れる成形品とすることができる。
上記アクリル酸エステル単量体単位は、高い透過率と同時に低いヘイズが得られる観点から、より好ましくは0質量%超15質量%以下、さらに好ましくは0.1~10質量%、さらに好ましくは0.2~7質量%、特に好ましくは0.5~5質量%である。0.1質量%以上であることにより、成形時におけるメタクリル系樹脂(A)の分解、熱可塑性ポリウレタン(B)の分解を予防でき、フィルムの黄変や揮発成分の発生による成形不良の発生を効果的に防止できる。また、35質量%以下であることにより、フィルムにした時の耐汚れ付着性を効果的に向上させることができる。
上記他のビニル単量体単位は、20質量%以下であってよく、10質量%以下であってよく、1質量%以下であってよい。上記メタクリル系樹脂(A)は、上記他の単量体がアクリル酸エステルのみであり、メタクリル酸エステル単量体単位と上記アクリル酸エステル単位とのみからなる樹脂であってよい。
なお、メタクリル系樹脂(A)100質量%に対して、メタクリル酸エステル単量体単位と他の単量体単位との合計質量は100質量%以下である。
上記メタクリル系樹脂(A)100質量%中の、上記メタクリル酸エステル単量体単位とアクリル酸エステル単量体単位との合計質量割合としては、透明性とヘイズとが一層優れた樹脂が得られる観点から、88~100質量であることが好ましく、より好ましくは94質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
本実施形態のフィルム中のメタクリル系樹脂(A)の質量割合は、フィルム100質量%に対し、透明性を確保しつつトップコート層との親和性を向上させるために1~40質量%であれば良い。透明性を良好なものにしつつフィルムの耐汚れ付着性を効果的に向上させる観点から、好ましくは10~30質量%、より好ましくは13~30質量%、15~30質量%がさらに好ましい。
(重量平均分子量)
上記メタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)について説明する。
メタクリル系樹脂(A)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定した重量平均分子量(Mw)が、250,000以下であると好ましい。良好な透過率と低いヘイズのフィルムが得られる観点から、メタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)の上限は、180,000以下がより好ましく、145,000以下がさらに好ましく、140,000以下がさらにより好ましい。
機械的強度及び耐溶剤性が良好なフィルムが得られ、また、良好な透明性、耐汚れ付着性を達成する観点から、メタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)の下限は、20,000以上が好ましく、50,000以上がより好ましく、75,000以上がさらに好ましい。
上記メタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)が50,000~180,000の範囲であることにより、フィルムの耐溶剤性及び良好な透過率と低いヘイズのバランス、良好な耐汚れ付着性の達成を図ることができる。
(分子量分布)
上記メタクリル系樹脂(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、1.0~6.0であることが好ましく、1.0~5.5であることがより好ましく、1.0~5.0であることがさらに好ましく、成形性が一層向上する観点から、1.5~2.4であることが特に好ましい。メタクリル系樹脂(A)の分子量分布(Mw/Mn)が1.0~6.0であることにより、メタクリル系樹脂(A)が発現する物性が安定する。
ここで、Mwは重量平均分子量を表し、Mnは数平均分子量を表す。
メタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、GPCで測定することができ、具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
具体的には、あらかじめ単分散の重量平均分子量が既知で試薬として入手可能な標準メタクリル系樹脂と、高分子量成分を先に溶出する分析ゲルカラムを用い、溶出時間と重量平均分子量から検量線を作成しておく。続いて得られた検量線を元に、所定の測定対象のメタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を求めることができ、これらにより分子量分布(Mw/Mn)を算出することができる。数平均分子量(Mn)とは、単純な分子1本あたりの分子量の平均であり、系の全重量/系中の分子数で定義される。重量平均分子量(Mw)とは、重量分率による分子量の平均で定義される。
(不飽和二重結合末端量)
上記メタクリル系樹脂(A)の不飽和二重結合末端量は、0.012モル%以下が好ましい。より好ましくは0.01モル%以下、さらに好ましくは0.009モル%以下である。
メタクリル系樹脂(A)の不飽和二重結合末端量が上記範囲であると、メタクリル系樹脂(A)の分解によって発生する単量体由来のシルバー不良等の成形不良を効果的に防止できるだけでなく、メタクリル系樹脂(A)の分解時に発生したラジカルによって引き起こされる熱可塑性ポリウレタン(B)の劣化によるフィルムの黄変や、フィルムの分解によって生じる成形不良を効果的に予防できる。不飽和二重結合末端量は重合温度の制御や連鎖移動剤の利用によって制御することができる。
なお、不飽和二重結合末端量は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
(メタクリル系樹脂(A)の製造方法)
本実施形態のフィルムに含まれる上記メタクリル系樹脂(A)は、溶液重合法、塊状重合法、キャスト重合法、懸濁重合法等により製造できるが、これらの方法に限定されるものではない。好ましくは、塊状重合、溶液重合、懸濁重合法である。
重合温度は、重合方法に応じて適宜最適の重合温度を選択すればよいが、好ましくは50~200℃であり、より好ましくは60~180℃である。重合温度を200℃以下にすることで不飽和二重結合末端量を低減することができ、メタクリル系樹脂(A)の分解によって発生したラジカルによって引き起こされた熱可塑性ポリウレタン(B)の劣化によるフィルムの黄変や成形不良を効果的に予防することができる。また、50℃以上とすることで生産性良くメタクリル系樹脂(A)を製造することができる。
上記メタクリル系樹脂(A)を製造する際には、重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、以下に限定されるものではないが、ラジカル重合を行う場合は、例えば、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシネオデカネート、t-ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル等のアゾ系の一般的なラジカル重合開始剤;が挙げられる。これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらのラジカル重合開始剤と適当な還元剤とを組み合わせてレドックス系開始剤として用いてもよい。
これらのラジカル重合開始剤及び/又はレドックス系開始剤は、メタクリル系樹脂(A)の重合の際に使用する全単量体の総量100質量部に対して、0質量部超1質量部以下の範囲で用いるのが一般的であり、重合を行う温度と重合開始剤の半減期を考慮して適宜選択することができる。
上記メタクリル系樹脂(A)の重合方法として、塊状重合法、キャスト重合法、又は懸濁重合法を選択する場合には、メタクリル系樹脂(A)の着色を防止する観点から、過酸化系重合開始剤を用いて重合することが好ましい。
上記過酸化系重合開始剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラウロイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、及びt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等が挙げられ、ラウロイルパーオキサイドがより好ましい。
上記メタクリル系樹脂(A)を、90℃以上の高温下で溶液重合法により重合する場合には、10時間半減期温度が80℃以上で、かつ用いる有機溶媒に可溶である過酸化物、アゾビス開始剤等を重合開始剤として用いることが好ましい。
上記過酸化物、アゾビス開始剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、シクロヘキサンパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等が挙げられる。
上記メタクリル系樹脂(A)を製造する際には、本発明の目的を損なわない範囲で、メタクリル系樹脂(A)の分子量の制御を行ってもよい。メタクリル系樹脂(A)の分子量を制御する方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アルキルメルカプタン類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン等の連鎖移動剤、ジチオカルバメート類、トリフェニルメチルアゾベンゼン、テトラフェニルエタン誘導体等のイニファータ等を用いることによって分子量の制御を行う方法が挙げられる。また、これらの添加量を調整することにより、分子量を調整することも可能である。
上記連鎖移動剤としては、取扱性や安定性の観点から、アルキルメルカプタン類が好ましく、当該アルキルメルカプタン類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、n-ブチルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、n-テトラデシルメルカプタン、n-オクタデシルメルカプタン、2-エチルヘキシルチオグリコレート、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)等が挙げられる。
これらは、目的とするメタクリル系樹脂(A)の分子量に応じて適宜添加することができるが、一般的には、メタクリル系樹脂(A)の重合の際に使用する全単量体の総量100質量部に対して0.001~5質量部の範囲で用いられる。
また、その他の分子量制御方法としては、重合方法を変える方法、重合開始剤、上述した連鎖移動剤やイニファータ等の量を調整する方法、重合温度等の各種重合条件を変更する方法等が挙げられる。
これらの分子量制御方法は、一種の方法のみを用いてもよく、二種以上の方法を併用してもよい。
<熱可塑性ポリウレタン(B)>
本実施形態においては、熱可塑性ポリウレタン(B)をフィルム中に含有する。上記熱可塑性ポリウレタン(B)は、ポリエステルポリオール由来の構造単位を有する。
上記熱可塑性ポリウレタン(B)は、一種単独を用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性ポリウレタン(B)は、通常、以下の成分:(a)イソシアネート、(b)イソシアネートに対して反応性を有する化合物、並びに、任意に、少なくとも一種の(c)触媒及び/又は(d)従来公知の助剤及び/若しくは添加剤の存在下で反応することによって製造される。以下の成分:(a)イソシアネート及び(b)イソシアネートに対して反応性を有する化合物は、構造成分と呼ばれる。これら構造成分を同定する方法としては、従来公知の方法、例えば、以下に限定されるものではないが、日本接着学会誌 Vol.40 No.6(2004)に記載の方法が挙げられる。
(a)イソシアネートとしては、フィルムの透明性(例えば、高い全光線透過率及び低いヘイズ)、耐候性、延伸性、形状追従性、復元性の観点から、構造中に環構造を2つ有するイソシアネートを用いることが好ましく、構造中に脂環を2つ有するイソシアネートを用いることがより好ましい。以下に限定されるものではないが、具体的には、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(MDI)、トリジンジジイソシアネート(TDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)が好ましく、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(12HMDI)など2つの環構造が脂環構造であるイソシアネートがフィルムの耐候性、透明性に一層優れる観点から好ましい。熱可塑性ポリウレタン(B)の製造時に用いるイソシアネートは、本発明の効果を損ねない範囲で、イソシアネート中に5質量%以下の混在物又は添加物を有するイソシアネートでも良い。
(a)イソシアネートとしては、環構造の数が2個であるイソシアネートを用いることが好ましく、上記環構造が脂環構造であるイソシアネートを用いることがより好ましい。
熱可塑性ポリウレタン(B)の製造に用いる上記(a)イソシアネートは、構造中に環構造(好ましくは脂環構造)を2つ有するイソシアネートのみであってもよいし、さらに他のイソシアネートを含んでいてもよい。上記他のイソシアネートとしては、脂環数が2個超のイソシアネートを用いてもよい。上記(a)イソシアネート中にイソシアネートが複数種含まれる場合、(a)イソシアネートのうち最も質量割合の高いイソシアネートが環構造(好ましくは脂環構造)の数が2個であるイソシアネートであることが好ましい。
熱可塑性ポリウレタン(B)の製造に用いる、上記(a)イソシアネート全量100質量%中の、環構造(好ましくは脂環構造)を2個有するイソシアネートの質量割合としては、70質量%以上であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは100質量%である。
熱可塑性ポリウレタン(B)を構成するイソシアネート由来の構造単位全量100質量%に対する、脂環構造を2つ有するイソシアネート由来の構造単位の質量割合は、70質量%以上であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
(b)イソシアネートに対して反応性を有する化合物としては、ポリエステルポリオールが挙げられる。ポリエステルポリオールを用いることで、フィルムの透明性が良好となる。熱可塑性ポリウレタン(B)は、ポリエステルポリオール由来の構造単位を有し、2以上のポリエステルポリオールの混合物由来の構造単位を有していてもよい。なお、上記ポリエステルポリオールには、ポリカーボネートジオールが含まれる。
上記熱可塑性ポリウレタン(B)を構成するポリオールに由来する構成単位全量100モル%中の、ポリエステルポリオール由来の構造単位のモル割合としては、フィルムの透明性を良好なものにするために80~100モル%であることが好ましく、より好ましくは90~100モル%、さらに好ましくは90~99モル%、さらに好ましくは93~99モル%、さらに好ましくは95~99モル%、さらに好ましくは95~99モル%、特に好ましくは95~97.5モル%である。
上記熱可塑性ポリウレタン(B)中に含まれるポリオールに由来する構成単位100モル%中の、ポリエーテルに由来する構成単位のモル割合は、5モル%未満であることが好ましく、より好ましくは2モル%未満、さらに好ましくは1モル%未満であり、含まないことが特に好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、2個から12個の炭素原子を有する有機ジカルボン酸(好ましくは8個~12個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸)、及び多価アルコール(好ましくは2個から12個の炭素原子を有するジオール、より好ましくは2個から6個の炭素原子を有するジオール)から製造されるポリエステルポリオール等が挙げられる。
上記有機ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸の異性体である。ジカルボン酸は、単体又は他のジカルボン酸との混合物のいずれかで使用される。有機ジカルボン酸の代わりに、対応するジカルボン酸誘導体、例えば、1個~4個の炭素原子を有するアルコールのジカルボン酸エステル、又はジカルボン酸無水物も使用することができる。
上記多価アルコールとしては、ジオールが好ましい。上記ジオールとしては、エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-又は1,3-プロパンジオール、メチル-1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、グリセロール、トリメチルオールプロパンが挙げられ、好ましくは、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール又は1,6-ヘキサンジオールである。上記多価アルコールとしては、ラクトン(例えば、ε-カプロラクトン)から製造されるポリエステルジオール、ヒドロキシカルボン酸(例えば、ω-ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシ安息香酸)を用いてもよい。
ポリエステルポリオールの製造において、有機ジカルボン酸とポリアルコールの反応条件は、製造されるポリエステルポリオールが遊離酸基を有さないような方法で選択してよい。製造されるポリエステルポリオールの官能基数は、1.9~2.1が好ましく、より好ましくは2.0である。
ポリエステルポリオールの製造において、有機ジカルボン酸及びポリアルコールの混合物を、触媒の存在下又は非存在下で縮重合してよい。中でも、触媒存在下の反応が好ましく、エステル化触媒の存在下の反応がより好ましい。
また、ポリエステルポリオールの製造において、有機ジカルボン酸及びポリアルコールの混合物を、不活性ガス(例えば、窒素、一酸化炭素、ヘリウム、又はアルゴン等)の雰囲気下で縮重合してよい。
有機ジカルボン酸とポリアルコールとの縮重合時の温度としては、150~250℃が好ましく、より好ましくは180~220℃である。上記縮重合は、任意に減圧下で行うことができる。
上記縮重合は、通常、望ましい酸価(例えば、10未満の酸価、好ましくは2未満の酸価)に到達するまで連続される。
上記縮重合に用いる、有機ジカルボン酸とポリアルコールのモル比としては、1:1~1.8が好ましく、より好ましくは1:1.05~1.2である。
特に、ε-カプロラクトンから製造されるポリエステルポリオールに由来する構造単位、並びに/又はアジピン酸若しくはセバシン酸と、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、及び1,6-ヘキサンジオールからなる群から選択される少なくとも一種の多価アルコールとの縮合物由来の構造単位、が熱可塑性ポリウレタン(B)に含まれていることが好ましい。
使用されるポリエステルポリオールの数平均分子量Mnは、500~4,000であることが好ましく、より好ましくは650~3,500、さらに好ましくは800~3,000である。
なお、数平均分子量Mnは、GPC法により測定することができる。
(b)イソシアネートに対して反応性を有する化合物として、(a)イソシアネートと重合させてポリエステルポリオール由来の構造単位を有する熱可塑性ポリウレタンが得られるものであればポリエステルポリオール以外の化合物を用いてもよく、例えば、多価アルコールが挙げられる。多価アルコールの中でも、エチレン-1,2-ジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-ジメタノールシクロヘキサン、及びネオペンチルグリコールからなる群から選択される少なくとも一種の多価アルコールが好ましい。エチレン-1,2-ジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールからなる群から選択される多価アルコールがより好ましい。多価アルコールは鎖延長剤として機能する。
上記ポリオールとして、エチレン-1,2-ジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールからなる群から選択される少なくとも一種の多価アルコール由来の構造単位が熱可塑性ポリウレタン(B)に含有されていることが好ましい。
上記(c)触媒としては、(a)イソシアネートのNCO基と、(b)イソシアネートに対して反応性を有する化合物のヒドロキシ基との間の反応を速くする触媒であることが好ましい。上記(c)触媒としては、第三級アミンが挙げられ、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N,N’-ジメチルピペラジン、2-(ジメチルアミノエトキシ)エタノール又はジアザビシクロ[2.2.2]オクタンが好ましい。また、上記(c)触媒は、有機金属化合物(例えば、チタン酸エステル、鉄化合物(好ましくは鉄(III)アセチルアセトネート)、スズ化合物(好ましくは、スズジアセテート、スズジオクトエート、スズジラウレート)又は脂肪族カルボン酸のジアルキルスズ塩(好ましくはジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート)、ビスマスが好ましくは2又は3、特に3の酸化状態で存在するビスマス塩)が好ましい。
上記(c)触媒としては、好ましくは、カルボン酸の塩である。上記カルボン酸としては、好ましくは6個から14個の炭化水素、特に好ましくは8個~12個の炭化水素を有するカルボン酸である。カルボン酸の塩としてはビスマス塩が好ましく、好適なビスマス塩の例は、ビスマス(III)ネオデカノエート、ビスマス2-エチルヘキサノエート及びビスマスオクタノエートである。
熱可塑性ポリウレタン(B)の製造時に使用される(c)触媒の質量割合としては、(b)イソシアネートに対して反応性を有する化合物100質量部に対して0.0001~0.1質量部が好ましい。上記(c)触媒としては、スズ触媒、特にスズジオクトエートを使用することが好ましい。
熱可塑性ポリウレタン(B)を製造する際の、構造成分(a)、(b)の割合は、構造成分(b)のヒドロキシ基の合計に対する(a)イソシアネートのNCO基の当量比が0.9~1.1:1であることが好ましく、より好ましくは0.95~1.05:1、さらに好ましくは0.96~1.0:1である。熱可塑性ポリウレタン(B)の製造は、任意に、(c)触媒、(d)助剤及び/又は添加剤の存在下で反応することが好ましい。
本実施形態のフィルム中の熱可塑性ポリウレタン(B)の質量割合は、コート層との親和性向上や耐汚れ付着性を向上させつつ、延伸性、復元性を良好なものにするためにフィルム100質量%に対して、60~99質量%であり、一層良好なコート層との親和性向上や耐汚れ付着を有し、延伸性、復元性が良好なフィルムが得られる観点から、好ましくは70~90質量%、より好ましくは70~87質量%、さらに好ましくは70~85質量%である。
本実施形態のフィルム中の、メタクリル系樹脂(A)及び熱可塑性ポリウレタン(B)の合計質量割合は、フィルム100質量%に対して、90質量%以上であることが好ましく、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは97質量%以上である。
本実施形態のフィルム中の、メタクリル系樹脂(A)と熱可塑性ポリウレタン(B)との合計100質量部に対する、メタクリル系樹脂(A)の質量割合としては、透明性とコート層との親和性、耐汚れ付着性、耐傷付性が優れたフィルムが得られる観点から、1~40量部であることが好ましく、より好ましくは10~30質量部、さらに好ましくは13~30質量部、透明性と靭性、耐傷付性に優れた成形体が得られる観点から、特に好ましくは15~30質量部である。
<他の成分>
本実施形態のフィルムには、本発明の効果を損なわない範囲で、上記メタクリル系樹脂(A)及び上記熱可塑性ポリウレタン(B)以外の他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、例えば、メタクリル系樹脂(A)及び上記熱可塑性ポリウレタン(B)以外の従来公知のその他の樹脂を用いることができる。
当該その他の樹脂としては、特に限定されるものではなく、公知の硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が好適に使用される。
熱可塑性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シンジオタクテックポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂、AS系樹脂、BAAS系樹脂、AAS樹脂、生分解性樹脂、ポリカーボネート-ABS樹脂のアロイ、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリアルキレンアリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂、等が挙げられる。
特に、AS樹脂、BAAS樹脂は、流動性を向上させるために好ましく、ABS樹脂、は耐衝撃性を向上させるために好ましく、また、ポリエステル樹脂は耐薬品性を向上させるために好ましい。
また、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂等は、難燃性を向上させる効果が得られる。
また、硬化性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、キシレン樹脂、トリアジン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂、オキセタン樹脂、ケトン樹脂、アルキド樹脂、フラン樹脂、スチリルピリジン樹脂、シリコン樹脂、合成ゴム、等が挙げられる。
これらの樹脂は、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上の樹脂を組み合わせて用いてもよい。
上記他の成分としては、各種の添加剤を用いてもよい。
添加剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フタル酸エステル系、脂肪酸エステル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステル系、ポリエステル系等の可塑剤;高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸のモノ、ジ、又はトリグリセリド系等の離型剤;ポリエーテル系、ポリエーテルエステル系、ポリエーテルエステルアミド系、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩等の帯電防止剤;ホスフィン系安定剤、熱安定剤や光安定剤等の安定剤;難燃剤;難燃助剤;硬化剤;硬化促進剤;導電性付与剤;応力緩和剤;結晶化促進剤;染料;加水分解抑制剤;潤滑剤;酸化防止剤;耐衝撃性付与剤;摺動性改良剤;相溶化剤;核剤;強化剤;補強剤;流動調整剤;増感材;着色用顔料;ゴム質重合体;増粘剤;沈降防止剤;タレ防止剤;充填剤;消泡剤;カップリング剤;防錆剤;抗菌・防黴剤;防汚剤;導電性高分子;カーボンブラック;ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系光安定剤、ベンゾトリアジン系光安定剤、トリアジン系化合物等が挙げられる。
特に、光安定剤、熱安定剤が好ましく、光安定剤がより好ましい。
本実施形態のフィルム中における、上述した他の成分の質量割合は、フィルムの透明性を保ち、ブリードアウト等の不良を防止するために、フィルム100質量%に対して、0~20質量%が好ましく、0.01~10質量%がより好ましく、0.02~5質量%がさらに好ましい。上記範囲で含有することにより、それぞれの材料の機能を発揮することができる。
本実施形態のフィルム100質量%に対し、光安定剤を0.001~5質量%含有していることが好ましい。光安定剤を含有することで耐候性が良好になり、成形したときに長期使用に好適な成形体が得られるだけでなく、太陽光に含まれる紫外領域の波長の光に曝された時の変色を効果的に防止することができ、高外観が長期的に維持できる。光安定剤の性能を十分に発揮するために、フィルム100質量%に対する光安定剤の質量割合は、より好ましくは0.03質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上、さらにより好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.3質量部以上である。目ヤニなどと呼ばれる揮発分によるフィルム汚れを防止するために、フィルム100質量%に対する光安定剤の質量割合は、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。
上記光安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヒンダードアミン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾトリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、フェノール系化合物、オキサゾール系化合物、マロン酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物、ラクトン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンズオキサジノン系化合物等が挙げられ、好ましくはヒンダードアミン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾトリアジン系化合物、トリアジン系化合物である。
上記光安定剤は一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記光安定剤の20℃における蒸気圧(P)は、成形加工性の観点から、1.0×10-4Pa以下であることが好ましく、より好ましくは1.0×10-6Pa以下、さらに好ましくは1.0×10-8Pa以下である。
成形加工性に優れるとは、例えば射出成形時に、金型表面への光安定剤の付着が少ないことや、フィルム成形時に、光安定剤のロールへの付着が少ないこと等を示す。
ロールへ付着すると、例えば成形体表面へ付着し外観、光学特性を悪化させるおそれがあるため、成形体を光学用材料として使用する場合は好ましくない。
上記光安定剤の融点(Tm)は、60℃以上であることが好ましく、より好ましくは70℃以上、さらに好ましくは90℃以上である。融点が60℃以上であると、光安定剤が成形時に揮発することを抑制でき、性能を十分に発揮させることができる。また、揮発した光安定剤における金属ロールへの汚染を効果的に予防できる。また、フィルム中へ良好に分散させるために250℃以下が好ましく、240℃以下がより好ましく、220℃以下がさらに好ましい。
上記光安定剤の23℃から260℃まで20℃/minの速度で昇温した場合の重量減少率は、50%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは15%以下、さらにより好ましくは10%以下、よりさらに好ましくは5%以下である。
上記熱安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪族ポリカルボジイミド化合物、芳香族ポリカルボジイミド化合物(ランクセス社製スタバックゾールシリーズ)、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系加工安定剤等の酸化防止剤等が挙げられ、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、脂肪族ポリカルボジイミド化合物が好ましい。
具体的には、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオンアミド、3,3’,3’’,5,5’,5’’-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a’’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、4,6-ビス(ドデシルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス[(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-キシリン)メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミン)フェノール等が挙げられ、ペンタエリスリトールテラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、脂肪族ポリカルボジイミド化合物が好ましい熱安定化剤として挙げられる。
フィルム100質量部に対する熱安定剤の質量割合は、その効果を十分に発揮するために、0.03質量部以上が好ましく、より好ましくは0.05質量部以上、さらに好ましくは0.1質量部以上である。また、揮発分によるフィルム汚れを防止するために、0.8質量部以下が好ましく、より好ましくは0.6質量部以下、さらに好ましくは0.5質量部以下である。
<特性>
本実施形態のフィルムは、全光線透過率が、89%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは91%以上である。
上記全光線透過率は、例えば、メタクリル系樹脂(A)及び熱可塑性ポリウレタン(B)の質量割合を上述の好適範囲とする、メタクリル系樹脂(A)、熱可塑性ポリウレタン(B)として上述の好適例のものを用いる、等により調整することができる。
なお、上記全光線透過率は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のフィルムは、ヘイズが5%以下であることが好ましく、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは2.5%以下である。
上記ヘイズは、例えば、メタクリル系樹脂(A)及び熱可塑性ポリウレタン(B)の質量割合を上述の好適範囲とする、メタクリル系樹脂(A)として上述の好適例のものを用いる、熱可塑性ポリウレタン(B)を上述な好適例のものを用いる等により調整することができる。
なお、上記ヘイズは、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のフィルムの厚みは、50~500μmであることが好ましく、より好ましくは80~300μm、さらに好ましくは100~200μmである。50μmよりも薄いと、貼付けの際に取扱い難くなり、飛び石による傷がつきやすくなるおそれがある。500μmよりも厚いと、貼り付け難く、曲面への追従性が得られないおそれがある。
<フィルムの製造方法>
本実施形態のフィルムは、メタクリル系樹脂(A)と熱可塑性ポリウレタン(B)と、必要に応じて、上述した種々の他の成分とを混合し、混練して熱可塑性樹脂組成物を得た後に成形することにより得られる。
例えば、押出機、加熱ロール、ニーダー、ローラミキサー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練することにより製造できる。特に押出機による混練が、生産性の観点から好ましい。
混練温度(即ち、メタクリル系樹脂(A)と熱可塑性ポリウレタン(B)とを配合する際の温度)は、生産性の観点から、170℃以上であることが好ましく、より好ましくは180℃以上、さらに好ましくは200℃以上である。また、メタクリル系樹脂(A)や熱可塑性ポリウレタン(B)の劣化、各種添加剤の揮発防止の観点から、290℃以下が好ましく、より好ましくは280℃以下、さらに好ましくは260℃以下である。上記混錬温度とは、押出機を用いた場合、シリンダー中央部の設定温度のことを指す。
本実施形態のフィルムは、公知の成形方法によって製造できる。公知の成形方法とは、以下に限定されるわけではないが、例えば、溶融押出成形法、溶液キャスティング成形法、カレンダー成形法等が挙げられる。特に溶融押出成形によるフィルム成形が、生産性と厚み安定性の観点から好ましい。
成形温度は、生産性の観点から、170℃以上であることが好ましく、より好ましくは190℃以上、さらに好ましくは200℃以上である。また、メタクリル系樹脂(A)や熱可塑性ポリウレタン(B)の劣化、各種添加剤の揮発防止の観点から、290℃以下が好ましく、より好ましくは280℃以下、さらに好ましくは260℃以下である。
また、成形時のシリンダー温度としては、生産性の観点から、170℃以上であることが好ましく、より好ましくは190℃以上、さらに好ましくは200℃以上である。また、メタクリル系樹脂(A)や熱可塑性ポリウレタン(B)の劣化、各種添加剤の揮発防止の観点から、290℃以下が好ましく、より好ましくは280℃以下、さらに好ましくは260℃以下である。
<フィルムの用途>
本実施形態のフィルムは、透明性、耐汚れ付着性、コート層との親和性が良好であるため、自動車等の乗り物外装部の擦り傷、飛び石による傷防止や、天候による劣化防止のための塗装保護シートあるいは表面保護シート、フレキシブル液晶等の曲面部に貼り付けて画面を保護するフィルムなど、曲面を有する被着体を保護するために用いることができる。特に、車輌用の保護フィルムとして用いられることが好ましい。
本発明の他の実施形態は、特許請求の範囲及び実施例で知ることができる。本発明に係る物品、製法、使用方法の上述の特徴及び以下に説明される特徴は、当然、それぞれ記載された組み合わせだけではなく、本発明の範囲を超えない限り、他の組み合わせでも使用することができる。したがって、例えば、本発明はまた、組み合わせが明示的に記載されていなくても、暗に、好ましい特徴と、特に好ましい特徴との組み合わせ又は、詳しく特徴付けられていない特徴と、特に好ましい特徴と組み合わせること等も含む。
本発明の実施例を以下に示すが、これは本発明を限定するものではない。特に、本発明はまた、それらの組み合わせから生じる実施形態も含む。
[実施例及び比較例において用いた原料]
<メタクリル系樹脂(A)>
(原料)
熱可塑性樹脂組成物の製造に用いたメタクリル系樹脂(A)の原料は、下記のとおりである。
・メタクリル酸メチル(MMA):旭化成製(重合禁止剤として中外貿易製2,4-ジメチル-6-t-ブチルフェノールが2.5質量ppm添加されているもの)
・アクリル酸メチル(MA):三菱ケミカル製(重合禁止剤として川口化学工業製4-メトキシフェノール(4-methoxyphenol)が14質量ppm添加されているもの)
・n-オクチルメルカプタン:アルケマ製
・ラウロイルパーオキサイド:日油製
・第三リン酸カルシウム:日本化学工業製、懸濁剤として使用
・炭酸カルシウム:白石工業製、懸濁剤として使用
・ラウリル硫酸ナトリウム:和光純薬工業製、懸濁助剤として使用
(メタクリル系樹脂(A-1)~(A-4))
メタクリル系樹脂(A)は、下記製造例A1~A4により製造した(A-1)~(A-4)のメタクリル系樹脂を使用した。
(製造例A1(メタクリル系樹脂(A-1)の製造))
攪拌機を有する容器に、イオン交換水:2kg、第三リン酸カルシウム:65g、炭酸カルシウム:39g、ラウリル硫酸ナトリウム:0.39gを投入し、混合液(a)を得た。
次いで、60Lの反応器に、イオン交換水:26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(a)、メタクリル酸メチル:21.2kg、アクリル酸メチル:0.43kg、ラウロイルパーオキサイド:27g、及びn-オクチルメルカプタン:62gを投入した。
その後、約60℃で1時間重合を行い、ついで、約80℃に昇温し、約80℃を保って懸濁重合を行い、発熱ピークを観測後、92℃に1℃/minの速度で昇温し、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次いで、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために、20質量%硫酸を投入後、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子1を得た。このポリマー微粒子1を240℃に設定したφ26mmの2軸押出機によってペレタイズを行い、「メタクリル系樹脂(A-1)」を得た。得られた樹脂の重量平均分子量は10.2万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.85、構造単位はMMA/MA=98/2(質量%)、不飽和二重結合末端量は0.004モル%であった。
(製造例A2(メタクリル系樹脂(A-2)の製造))
攪拌機を有する容器に、イオン交換水:2kg、第三リン酸カルシウム:65g、炭酸カルシウム:39g、ラウリル硫酸ナトリウム:0.39gを投入し、混合液(a)を得た。
次いで、60Lの反応器にイオン交換水:26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(a)、メタクリル酸メチル:19.1kg、アクリル酸メチル:1.23kg、ラウロイルパーオキサイド:35g、及びn-オクチルメルカプタン:27.5gを投入した。
その後、約75℃を保って懸濁重合を行い、発熱ピークを観測後、92℃に1℃/minの速度で昇温した。
その後、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次いで、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために、20質量%硫酸を投入後、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子2を得た。このポリマー微粒子3を250℃に設定したφ26mmの2軸押出機によってペレタイズを行い、「メタクリル系樹脂(A-2)」を得た。得られた樹脂の重量平均分子量は18.1万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.95、構造単位はMMA/MA=94/6(質量%)、不飽和二重結合末端量は0.007モル%であった。
(製造例A3(メタクリル系樹脂(A-3)の製造))
攪拌機を有する容器に、イオン交換水:2kg、第三リン酸カルシウム:65g、炭酸カルシウム:39g、ラウリル硫酸ナトリウム:0.39gを投入し、混合液(a)を得た。
次いで、60Lの反応器に、イオン交換水:26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(a)、メタクリル酸メチル:20.7kg、アクリル酸メチル:0.87kg、ラウロイルパーオキサイド:27g、及びn-オクチルメルカプタン:88gを投入した。
その後、約75℃を保って懸濁重合を行い、発熱ピークを観測後、92℃に1℃/minの速度で昇温し、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次いで、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために、20質量%硫酸を投入後、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子3を得た。このポリマー微粒子3を230℃に設定したφ26mmの2軸押出機によってペレタイズを行い、「メタクリル系樹脂(A-3)」を得た。得られた樹脂の重量平均分子量は7.2万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.83、構造単位はMMA/MA=96/4(質量%)、不飽和二重結合末端量は0.007モル%であった。
(製造例A4(メタクリル系樹脂(A-4)の製造))
攪拌機を有する容器に、イオン交換水:2kg、第三リン酸カルシウム:65g、炭酸カルシウム:39g、ラウリル硫酸ナトリウム:0.39gを投入し、混合液(a)を得た。
次いで、60Lの反応器に、イオン交換水:26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(a)、メタクリル酸メチル:19.1kg、アクリル酸メチル:1.23kg、ラウロイルパーオキサイド:37g、及びn-オクチルメルカプタン:143gを投入した。
その後、約75℃を保って懸濁重合を行い、発熱ピークを観測後、92℃に1℃/minの速度で昇温し、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次いで、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために、20質量%硫酸を投入後、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子4を得た。このポリマー微粒子4を220℃に設定したφ26mmの2軸押出機によってペレタイズを行い、「メタクリル系樹脂(A-4)」を得た。得られた樹脂の重量平均分子量は4.7万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.83、構造単位はMMA/MA=94/6(質量%)、不飽和二重結合末端量は0.007モル%であった。
<熱可塑性ポリウレタン(B)>
熱可塑性ポリウレタンB-1:FPU XCT-A1095(エフ・シー・アイ製)
熱可塑性ポリウレタンB-2:エラストランNY993 10L(エフ・シー・アイ製)
熱可塑性ポリウレタンB-3:エラストランNY5685N00A(エフ・シー・アイ製)
なお、下記表1中、脂環構造を2つ有するイソシアネート由来の単量体量は、熱可塑性ポリウレタン100質量%に対する質量割合である。
Figure 2023155896000001
<他の成分>
・チヌビンP:BASF製 ベンゾトリアゾール系光安定剤(融点128℃)
・チヌビン770DF:BASF製 ヒンダードアミン系光安定剤(融点81℃)
・チヌビン1577ED:BASF製 トリアジン系光安定剤(融点148℃)
・アデカスタブAO-80:フェノール系酸化防止剤(融点110℃)
・カルボジライトHMV-15CA:日清紡ケミカル製 脂肪族ポリカルボジイミド
[測定、評価方法]
<I.メタクリル系樹脂(A)の分子量測定>
メタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)(Mnは数平均分子量)を下記の装置、及び条件で測定した。
・測定装置:東ソー株式会社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(HLC-8320GPC)
・測定条件:
カラム:TSKguardcolumn SuperH-H 1本、TSKgel SuperHM-M 2本、TSKgel SuperH2500 1本を順に直列接続して使用した。本カラムでは、高分子量が早く溶出し、低分子量は溶出する時間が遅い。
検出器 :RI(示差屈折)検出器
検出感度 :3.0mV/min
カラム温度:40℃
サンプル :0.02gのメタクリル系樹脂(A)のテトラヒドロフラン20mL溶液
注入量 :10μL
展開溶媒 :テトラヒドロフラン、流速;0.6mL/min、内部標準として、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)を、0.1g/L添加した。
検量線用標準サンプルとして、単分散のピーク分子量が既知で分子量が異なる以下の10種のポリメタクリル酸メチル(Polymer Laboratories製;PMMA Calibration Kit M-M-10)を用いた。
なお、検量線用標準サンプルに用いた標準試料のポリメタクリル酸メチルは、それぞれ単ピークのものであるため、それぞれに対応するピークを重量ピーク分子量Mpと表記した。この点、一試料についてピークが複数ある場合に算出されるピークトップ分子量と区別した。
重量ピーク分子量(Mp)
標準試料1 1,916,000
標準試料2 625,500
標準試料3 298,900
標準試料4 138,600
標準試料5 60,150
標準試料6 27,600
標準試料7 10,290
標準試料8 5,000
標準試料9 2,810
標準資料10 850
上記の条件で、メタクリル系樹脂(A)の溶出時間に対するRI検出強度を測定した。
GPC溶出曲線におけるエリア面積と、3次近似式の検量線とを基に、メタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
<II.メタクリル系樹脂(A)構造単位の解析>
H-NMR測定により構造単位を同定し、その存在量(質量%)を算出した。
H-NMR測定の測定条件は、以下のとおりである。
装置:JEOL-ECA500
溶媒:CDCl-d1(重水素化クロロホルム)
試料:メタクリル樹脂(A)1gをアセトン10mlに溶解させ、メタノール20mlを滴下しろ過。不溶分を40℃で15時間真空乾燥したもの15mgをCDCl-d1 0.75mLに溶解し、測定用サンプルとした。
<III.メタクリル系樹脂(A)の不飽和二重結合末端量>
H-NMR測定により構造単位を同定し、メタクリル系樹脂(A)中の存在量(モル%)を算出した。
不飽和二重結合末端ピークの積分値(5.4~5.6ppm)とメタクリル系樹脂(A)(A)のエステル基の酸素原子に結合しているメチル基のピーク積分値(3.6ppm)から不飽和二重結合末端量を算出した。
H-NMR測定の測定条件は、以下のとおりである。
装置:JEOL-ECA500
スキャン数:5000回
測定温度:室温
観測核:H(500MHz)
溶媒:CDCl-d1(重水素化クロロホルム)
試料:熱可塑性樹脂組成物1gをクロロホルム10mlに溶解させ、不溶分をろ過によって取り除く。その後、クロロホルム溶液に対しメタノール20mlを滴下しろ過。ろ過後の不溶分について、再度クロロホルム10mlに溶解させ、メタノール20mlを滴下しろ過を2度繰り返す。最終的に残った不溶分を40℃で15時間真空乾燥したもの75mgをCDCl-d1 0.75mLに溶解し、測定用サンプルとした。最終ろ過後の不溶分が75mgに満たなかった場合は、75mgになるまで上記操作を繰り返した。
<全光線透過率>
後述する方法で得られたフィルムの全光線透過率は日本電色製NDH7000を用いてJIS K7361に準じて測定した。
全光線透過率は、91%以上で「◎」(特に優れている)、90%以上で「〇」(良好)、89%以上で「△」(実用上問題ないレベル)、89%未満で「×」(不良)とした。
<ヘイズ>
後述する方法で得られたフィルムのヘイズを、日本電色製NDH7000を用いてJIS K7136に準じて測定した。
ヘイズの判定として、後述する方法で得られたフィルムのヘイズが2.5%以下であれば「◎」(特に優れている)、2.5%を超え4%以下であれば「〇」(優れている)、4%を超え5%以下であれば「△」(実用上問題ないレベル)、5%を超えていた場合は「×」(不良)とした。
<耐汚れ付着性>
後述する方法で得られたフィルムを50mm角にカットし、カットしたフィルムの上にJIS Z 8901試験用粉体1 2種 2gをフィルム上にまんべんなく塗布した。その後、エアダスターを吹き付け余分な粉体を除いた後、荷重200gf、接触面積4cmの圧子に洗車タオルを切ったものを取り付け、試験速度50mm/秒、10往復摺動を実施し、試験前後でのヘイズを比較した。
試験前後のヘイズの差が同じ熱可塑性ポリウレタン(B)を用いた比較例と比較し、1以上小さかった場合は○(良好)、0.5~1であった場合は△(実用上十分であるが改善幅は小さい)、0.5未満であった場合は×(不良)とした。
<耐傷付性>
先記、耐汚れ付着性試験後のフィルムを目視観察し、摺動傷が見られなかった場合は○(良好)、摺動傷が明瞭に観察された場合は×(不良)とした。
<コート層との親和性>
シリコーン変性アクリル系コート剤AS-101Sを乾燥後膜厚50μmになるよう塗布して、乾燥し溶媒を除去した。塗布されたフィルムをMD方向に10%ずつ延伸した状態で固定し、スガ試験機製サンシャインウェザーメーターでブラックパネル温度63℃、120分中18分間降雨の条件で1500時間、静置し、試験後フィルムの様子を確認した。同じ熱可塑性ポリウレタン(B)を用いた比較例と比較し、コ-ティングに割れや剥がれに改善が見られた場合は○(良好)、改善が見られなかった場合は×(不良)とした。
<フィルム貼り付け性>
作製した各多層フィルムのサンプルを幅100mm、長さ100mmに切り出し、PETを剥がしてアクリル粘着剤を塗布した後、貼り付け対象物としての自動車のドアミラーの曲面に貼り付けた。シワが発生することなくスムーズに貼り付けられた場合には〇(良好)、スムーズに張り付けられたがシワが発生した場合には△(実用上十分だが貼り付け方法を工夫する必要がある)、スムーズに貼り付けることが出来ず、またシワも発生した場合には×(不良)とした。
[実施例1~10][比較例1~4]
表2に記載の配合割合でメタクリル系樹脂(A)と熱可塑性ポリウレタン(B)とを投入し、さらにメタクリル系樹脂(A)と熱可塑性ポリウレタン(B)計100質量部に対し、チヌビンP 0.2質量部、チヌビン770DF 1質量部をそれぞれ計量した後、タンブラーへ投入し、混合した。十分混合させた後、φ26mmの二軸押出機にその混合原料を投入し、溶融混練(コンパウンド)してストランドを生成し、ウォーターバスでそのストランドを冷却した後、ペレタイザーで切断してペレットを得た。なお、コンパウンドの際、押出機のベント部に真空ラインを接続し、-0.08MPaの条件で水分やモノマー成分等の揮発成分を除去した。こうして、各実施例、比較例に対応する熱可塑性樹脂組成物を得た。なお、熱可塑性樹脂組成物の混錬温度は、シリンダー中央部を230℃に設定した。なお、表2中の数値は、メタクリル系樹脂(A)と熱可塑性ポリウレタン(B)との合計質量を100質量部とする。続いて、得られた熱可塑性樹脂組成物を押出機に供給し、溶融および混練後、押出機の先端に取り付けたTダイから押し出した。その両面をセパレーターとしてのPETフィルムで挟んだ状態でニップし、厚さ150μmの実施例1~10、比較例1~4のフィルムを製造した。
[実施例11]
表2に記載の配合割合でメタクリル系樹脂(A)と熱可塑性ポリウレタン(B)とを投入し、さらにメタクリル系樹脂(A)と熱可塑性ポリウレタン(B)計100質量部に対し、チヌビンP 0.2質量部、チヌビン770DF 1質量部、カルボジライトHMV-15CA 0.3質量部をそれぞれ計量した後、タンブラーへ投入し、混合した。十分混合させた後、φ26mmの二軸押出機にその混合原料を投入し、溶融混練(コンパウンド)してストランドを生成し、ウォーターバスでそのストランドを冷却した後、ペレタイザーで切断してペレットを得た。なお、コンパウンドの際、押出機のベント部に真空ラインを接続し、-0.08MPaの条件で水分やモノマー成分等の揮発成分を除去した。こうして、各実施例、比較例に対応する熱可塑性樹脂組成物を得た。なお、熱可塑性樹脂組成物の混錬温度は、シリンダー中央部を230℃に設定した。なお、表2中の数値は、メタクリル系樹脂(A)と熱可塑性ポリウレタン(B)との合計質量を100質量部とする。続いて、得られた熱可塑性樹脂組成物を押出機に供給し、溶融および混練後、押出機の先端に取り付けたTダイから押し出した。その両面をセパレーターとしてのPETフィルムで挟んだ状態でニップし、厚さ150μmの実施例11のフィルムを製造した。
[実施例12、13]
表2に記載の配合割合でメタクリル系樹脂(A)と熱可塑性ポリウレタン(B)とを投入し、さらにメタクリル系樹脂(A)と熱可塑性ポリウレタン(B)計100質量部に対し、チヌビン1577ED 0.05質量部、チヌビンP 0.1質量部、チヌビン770DF 0.8質量部、カルボジライトHMV-15CA 0.2質量部、アデカスタブAO-80:フェノール系酸化防止剤 0.1質量部をそれぞれ計量した後、タンブラーへ投入し、混合した。十分混合させた後、φ26mmの二軸押出機にその混合原料を投入し、溶融混練(コンパウンド)してストランドを生成し、ウォーターバスでそのストランドを冷却した後、ペレタイザーで切断してペレットを得た。なお、コンパウンドの際、押出機のベント部に真空ラインを接続し、-0.08MPaの条件で水分やモノマー成分等の揮発成分を除去した。こうして、各実施例、比較例に対応する熱可塑性樹脂組成物を得た。なお、熱可塑性樹脂組成物の混錬温度は、シリンダー中央部を230℃に設定した。なお、表2中の数値は、メタクリル系樹脂(A)と熱可塑性ポリウレタン(B)との合計質量を100質量部とする。続いて、得られた熱可塑性樹脂組成物を押出機に供給し、溶融および混練後、押出機の先端に取り付けたTダイから押し出した。その両面をセパレーターとしてのPETフィルムで挟んだ状態でニップし、厚さ150μmの実施例12、13のフィルムを製造した。
Figure 2023155896000002
表2に示すように実施例1、4、5、7、8、11、12、13において優れた透明性(高い全光線透過率と低いヘイズ)と耐汚れ付着性、コート層との親和性、耐傷付性、フィルム貼り付け性を兼ね備えるフィルムを製造することが出来た。特に、実施例12、13は透明性に優れていた。実施例2、9は環構造を1つ有するイソシアネート由来の単量体単位を有する熱可塑性ポリウレタン(B)を用いたため、実用上十分なレベルであるが他の実施例に比べるとフィルム貼り付け性がわずかに劣り、貼り付け方法に工夫を要する。実施例3は、メタクリル系樹脂(A)の配合量が少なかったため、実用上十分なレベルであるが耐汚れ付着性の改良幅が他の実施例に対して小さかった。実施例6は分子量の大きいメタクリル系樹脂(A)を用いたため、他の実施例と比較すると、実用上十分なレベルであるものの透明性がやや劣っていた。実施例10は分子量の小さいメタクリル系樹脂(A)を用いたため、他の実施例と比較すると、実用上十分なレベルであるものの透明性と耐汚れ付着性がやや劣っていた。
比較例1~3はメタクリル系樹脂(A)を配合していないため、汚れが付着したままになりやすく、コート層との親和性を試験した際にはコート層に割れや剥がれを生じた。比較例4においては、メタクリル系樹脂(A)を過多に配合していたため、透明性、耐傷付性、フィルム貼り付け性に劣っていた。
本実施形態のフィルムは、透明性、耐汚れ付着性、耐傷付性、コート層との親和性、貼り付け性が良好なフィルムを得ることができるため、自動車等の乗り物外装部の擦り傷、飛び石による傷防止や、天候による劣化防止のための塗装保護シートあるいは表面保護シート、フレキシブル液晶等の曲面部に貼り付けて画面を保護するフィルムなど、曲面を有する被着体を保護するために用いることができる。特に、車輌用の保護フィルムとして用いられることが好ましい。

Claims (9)

  1. メタクリル系樹脂(A)1~40質量%と、ポリエステルポリオール由来の構造単位を有する熱可塑性ポリウレタン(B)60~99質量%とを含む、ことを特徴とするフィルム。
  2. 前記熱可塑性ポリウレタン(B)が環構造を2つ有するイソシアネート由来の構造単位を有する、請求項1に記載のフィルム。
  3. 前記環構造が脂環構造である、請求項2に記載のフィルム。
  4. 前記メタクリル系樹脂(A)10~30質量%と、ポリエステルポリオール由来の構造単位を有する前記熱可塑性ポリウレタン(B)70~90質量%とを含む、請求項1又は2に記載のフィルム。
  5. 前記メタクリル系樹脂(A)が、メタクリル酸エステル由来の単量体単位65~100質量、アクリル酸エステル由来の単量体単位0~35質量%、メタクリル酸エステル単量体に共重合可能なアクリル酸エステル単量体以外のビニルモノマー由来の単量体単位0~35質量%からなる、重量平均分子量が20,000~180,000のメタクリル系樹脂(A)である、請求項1又は2に記載のフィルム。
  6. 光安定剤を0.01~5質量%含む、請求項1又は2に記載のフィルム。
  7. 前記熱可塑性ポリウレタン(B)を構成するイソシアネート由来の構造単位全量100質量%に対して、脂環構造を2つ有するイソシアネート由来の構造単位を70質量%以上有する、請求項3に記載のフィルム。
  8. 前記熱可塑性ポリウレタン(B)を構成するポリオール由来の構造単位全量100モル%に対して、ポリエステルポリオール由来の構造単位を90~99モル%有する、請求項7に記載のフィルム。
  9. 車輛用保護フィルムである、請求項1又は2に記載のフィルム。
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