JP2021029532A - ラケットストリングス用ポリアミドマルチフィラメント - Google Patents

ラケットストリングス用ポリアミドマルチフィラメント Download PDF

Info

Publication number
JP2021029532A
JP2021029532A JP2019151945A JP2019151945A JP2021029532A JP 2021029532 A JP2021029532 A JP 2021029532A JP 2019151945 A JP2019151945 A JP 2019151945A JP 2019151945 A JP2019151945 A JP 2019151945A JP 2021029532 A JP2021029532 A JP 2021029532A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyamide
roller
multifilament
stretching
strength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019151945A
Other languages
English (en)
Inventor
育夫 松鳥
Ikuo Matsudori
育夫 松鳥
徳紘 久朗津
Yasuhiro Kurozu
徳紘 久朗津
崇志 潤間
Takashi Uruma
崇志 潤間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2019151945A priority Critical patent/JP2021029532A/ja
Publication of JP2021029532A publication Critical patent/JP2021029532A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)

Abstract

【課題】本発明の課題は、従来技術では得られなかった高強度な低吸水のポリアミドのマルチフィラメントとすることで、特にラケットストリングス用途として適したマルチフィラメントを提供することである。【解決手段】吸水時の強度、伸度および中間伸度の変化率がいずれも10%以下であることを特徴とするラケットストリングス用ポリアミド610マルチフィラメント。【選択図】なし

Description

本発明は、テニス、スカッシュ、バドミントン等のラケット用途に好適に使用されるポリアミドマルチフィラメントに関する。
近年、テニス、スカッシュ、バドミントン等のラケットスポーツ分野においては、安価で耐久性に優れるという利点から、動物性繊維製ストリングス(所謂ナチュラルガット)に代わって、合成繊維製ストリングスが一般的に使用されている。
合成繊維製ストリングスに用いられる素材としては打球感や耐久性によりポリエステルやポリアミドなどが使い分けられており、マイルドな打球感や適度な伸びから生じるストリングの反発感を求める場合はポリアミド製ガットが好んで用いられている。特に、ポリアミドマルチフィラメントからなるガットはマイルドな打球感、肘や手首への負担の少なさ、ボールコントロール性に優れており、その特性から長年に渡り使用され続けてきた。
しかし、ポリアミド6やポリアミド66などのいわゆる汎用ポリアミドは一般的に親水性のため、多湿環境下や雨天より吸水した際には、弾性率が低下するとともに破断強力が低下し、さらにはガットが伸張する事によりガットの反発力が低下するため、使用環境によってガットの張り替えを行う必要があった。
これら吸水による性能低下を低減するために従来から種々の検討がなされており、例えば中空孔を有する剛性樹脂ガットを乾燥させた後に中空孔とガット表面に疎水性の油剤を塗布する方法が提案されている(特許文献1)。この方法では太さあたりの強力が不利となる中空ガットを用いる必要があるため、ガットゲージが太くなる問題が生じる。
この他、低吸水素材であるポリフッ化ビニリデン(特許文献2)やポリケトン(特許文献3)とポリアミドを組み合わせる方法が提案されているが、比重や弾性率の異なる素材との組み合わせは、ポリアミド特有の打球感が損なわれる問題が生じる。
低吸水ポリアミドとしてはポリアミド11やポリアミド610、ポリアミド612などが知られており、マルチフィラメントとしては、例えば洗浄ブラシ用途として提案されている(特許文献4)。しかし、従来手法で製造されたこれらのポリアミドマルチフィラメントはポリアミド6やポリアミド66に比べて低強度かつ毛羽品位が悪いことから、強度が高いマルチフィラメントを必須とするラケットストリングス用途への展開は困難であった。
特開昭61−28070号公報 特開平7−150434号公報 特開2009−61151号公報 特開2011−001635号公報
本発明の課題は、従来技術では得られなかった高強度な低吸水のポリアミドのマルチフィラメントとすることで、特にラケットストリングス用途として適したマルチフィラメントを提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討したものであり、本発明は下記の構成からなる。
(1)吸水時の強度、伸度および中間伸度の変化率がいずれも10%以下であることを特徴とするラケットストリングス用ポリアミド610マルチフィラメント。
(2)総繊度が400〜4000dtex、単繊維繊度が4〜40dtexであることを特徴とする前記(1)記載のラケットストリングス用ポリアミド610マルチフィラメント。
(3)硫酸相対粘度が3.3〜3.7、乾燥時強度8.0〜9.2cN/dtex、乾燥時伸度19〜30%であることを特徴とする前記(1)または(2)記載のラケットストリングス用ポリアミド610マルチフィラメント。
(4)前記(1)〜(3)のいずれか1項記載のラケットストリングス用ポリアミド610マルチフィラメントを用いることを特徴とするラケットストリングス。
本発明により、ポリアミド6やポリアミド66マルチフィラメントと同等の強度、毛羽品位を示し、ラケットストリングス用途として求められる低吸水性、吸水による性能低下抑制を発現したポリアミド610マルチフィラメントを提供することが可能となる。
図1は本発明で好ましく用いられる直接紡糸延伸装置の概略図である。
本発明のポリアミド610マルチフィラメントの原料はポリアミド610である。ポリアミド610のみから構成されることが好ましいが、実質的にポリアミド610で構成されていればよく、本発明の特性を損なわない範囲で、具体的には5質量%以下の範囲で他のポリマーが混合されていてもよく、また共重合がなされていてもよい。混合または共重合されるポリマー・共重合単位としてはポリアミド6、66、11、12などのポリアミドが好ましい。
本発明のポリアミド610マルチフィラメントの吸水時の強度、伸度および中間伸度の変化率が、いずれも10%以下であることが必要である。より好ましくはいずれも5%以下であり、さらに好ましくはいずれも2%以下である。吸水時の強度、伸度、中間伸度の変化率が10%以下であれば、汎用ポリアミドであるポリアミド6やポリアミド66と比較して、吸水時の強伸度曲線、所謂SSカーブの変化を抑制することができる。これら特性の変化率とは乾燥時の値から吸水時の値への変化の度合いであり、後述する方法で測定した値をいう。
このことにより、本発明のポリアミド610マルチフィラメントからなるラケットストリングスは乾燥時と吸水時で機械的特性がほぼ変化しないため、環境によらず一定の打球感が得られるとともに、従来ポリアミド性ストリングスでは必要であった吸水時のガットの張り替えも不要となる。
本発明のポリアミド610マルチフィラメントの総繊度は400〜4000dtexが好ましく、より好ましくは700〜2000dtexである。400dtex未満でも用いることができるが、通常は合糸したり、合撚糸して目的とする製品に加工されるため、総繊度が小さいと効率が悪く好ましくない。一方、4000dtexを超える総繊度のマルチフィラメントも得ることができるが、総繊度の大きな糸が必要な場合は適当に合糸して用いれば良く、敢えて大型の製糸設備を用いて総繊度の大きなマルチフィラメントを製造する必要はない。
単繊維繊度としては、4〜40dtexが好ましく、より好ましくは5〜15dtexである。単繊維繊度が4dtex未満のポリアミド610マルチフィラメントは、製糸工程における延伸ロールとの耐摩耗性が低く、高強度繊維を得るために延伸倍率を上げた際に、毛羽品位が悪化する。一方、40dtexを超えると、硬すぎたり、フィラメントを集束し難いことがある。また、紡糸工程ではポリマーの冷却が困難になる、製糸工程では均一な延伸が行われない、3000m/min以上の高速でチ−ズ状に巻き取る時にフォ−ムが悪化する等の問題がある。
本発明のポリアミド610マルチフィラメントの原料チップの硫酸相対粘度(以下、単に粘度とも言う)は3.6〜4.0であることが好ましく、より好ましくは3.7〜3.9であり、さらに好ましくは3.7〜3.8である。チップの粘度が3.5以下であるとチップの水分率を下記の好ましい範囲にした際に、本発明のポリアミド610マルチフィラメントを安定して得ることが難しくなることがある。なお、硫酸相対粘度は、試料を98%硫酸に溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定した値をいう。
本発明のポリアミド610マルチフィラメントの原料となるポリアミド610のチップの水分率は0.05%以上であることが好ましく、特に0.05〜0.13%であることが好ましく、更には0.07〜0.09%であることが好ましい。ポリアミド610は吸水しにくいことから水分率による影響が少ないことが示唆されるが、水分率調整による粘度調整により、劇的に強伸度、毛羽品位が改善する。水分率が0.05%未満であると毛羽品位が悪化する。水分率を調整する手法としては、乾燥後のチップに計量した水を添加し、チップを攪拌する方法が好ましいが、上記範囲を達成すれば手法は問わない。
本発明のポリアミド610マルチフィラメントは硫酸相対粘度が3.3〜3.7であることが好ましく、特に3.3〜3.6であることが好ましく、更には3.4〜3.6であることが好ましい。粘度が3.3未満であると十分な強度を有する原糸を毛羽品位良く得ることができず、粘度が3.8以上であると製糸性、毛羽品位が悪化する。
上述の通り、ポリアミド610マルチフィラメントの強伸度、毛羽品位を劇的に改善させるには、紡糸機内での熱によるポリマーの重合と分解のバランスを制御するため、原料チップの粘度を3.6〜4.0に、水分率0.05〜0.13%とし、ポリアミド610マルチフィラメントの粘度が3.3〜3.7にすることが重要である。
本発明のポリアミド610マルチフィラメントの強度としては8.0〜9.2cN/dtexが好ましく、更には8.3〜8.9cN/dtexであることがより好ましい。通常の方法で高強度繊維を製造すると毛羽が発生しやすいが、本発明で用いる水分率の調整と上記の粘度範囲により、紡出および延伸工程での毛羽発生、糸切れ等が抑制され、品位の高いポリアミドマルチフィラメントを得ることができる。
本発明のポリアミド610マルチフィラメントの伸度としては19〜30%であることが好ましく、20〜25%であることがより好ましい。特に強度が上記範囲であり、且つ伸度がかかる範囲にあるようなポリアミドマルチフィラメントにおいて特に有効に効果を発揮し、毛羽発生、糸切れ等が抑制され、品位の高いポリアミドマルチフィラメントを得ることができる。
次に、本発明のポリアミド610マルチフィラメントを製造する方法について説明する。ポリアミド610マルチフィラメントは通常の溶融紡糸をベースに以下の方法により好ましく製造することができるが、本発明においてはポリアミド610フィラメントを直接紡糸延伸法により製造することが特に有効である。また、溶融紡糸をする際、チップを適正粘度に管理した上で、所定量の水分を付与することが好ましく、これにより強伸度を向上させ、延伸時の糸切れや毛羽の発生を抑制することができるので、結果として強度が高く、品位に優れたポリアミド610マルチフィラメントを得ることができるのである。
以下、図1を例にとり、説明する。
図1は本発明で好ましく用いられる直接紡糸延伸装置の概略図である。
粘度、水分率等を調整したポリアミド610チップをエクストルーダー型紡糸機(図1には図示されていない)で溶融・混練し、紡出部において紡糸口金1より吐出して紡糸する。紡糸温度は対象ポリマーの融点より30℃以上高い温度とすることが一般的である。30℃未満であると熱量不足によりポリマーが均一に溶解せず、また溶融粘度も高くなるため紡糸性が不安定となる。紡糸口金1から紡出した紡出糸条5は加熱筒2を経て、クロスフロー冷却装置3により冷却風4で冷却される。冷却された糸条5はダクト6を通過し、給油装置7により処理剤を付与されながら、引き取りローラ8により引き取られる。引き取られた糸条5は引き取りローラ8と給糸ローラ9の間でプレストレッチ延伸をかけられる。その後、第1延伸ローラ10、第2延伸ローラ11、第3延伸ローラ12において3段延伸され、弛緩ローラ13において弛緩される。弛緩された糸条5は交絡付与装置14により交絡を付与され、ワインダー15により巻き取られ、繊維パッケージ16となる。
上記のとおり、原料として用いるポリアミド610チップの粘度は3.6〜4.0であることが好ましく、水分率は0.05%以上であることが好ましい。
上記において引き取る際の引き取り速度は350〜1100m/min、好ましくは400〜800m/minであることが好ましい。本発明における処理剤は非水系処理剤として用いることが好ましいが、含水処理剤を用いても十分な物性を得られる。処理剤の付与方法はオイリングロール装置やガイド給油が好ましい。
延伸から巻取りまでの工程は、通常2段以上の多段延伸したのち、弛緩処理して巻き取る方法が好ましい。2段以上で延伸する際、プレストレッチ延伸を施した後、延伸することが好ましい。プレストレッチ延伸、1段目延伸はガラス転移温度前後で熱延伸を行い、残りの延伸および熱セット温度は通常150〜220℃の高温で行うことが好ましい。より好ましくは170〜210℃である。
延伸倍率、すなわち引き取りローラ8から第2延伸ローラ11間の倍率は通常3〜6倍の範囲で行う。なお。巻取速度は通常2000〜5000m/minであることが好ましく、2500〜4500m/minであることがより好ましい。また、巻取張力は20〜250gfの条件下で巻取装置にてチーズ条に巻き上げることが好ましい。
以上のような方法により、本発明のポリアミド610マルチフィラメントを製造することができる。
次に、本発明のストリングスの製造方法について、ソフトテニスガット用ストリングスを例に取り示すが、ストリングスの製造方法はこれに限られる物ではない。
まず、上記の特性を満たすポリアミド610マルチフィラメントに撚りを施して芯糸を得る。この時、芯糸として必要な繊度となるように、使用するポリアミド610マルチフィラメントの本数を調整し、必要に応じて合糸をしながら撚りを施せばよい。この時、芯糸を接着剤等で含浸しても良い。
次に、得られた芯糸に側糸を配し、樹脂コーティングを施す。芯糸に側糸を配する際には、必要に応じて側糸を接着剤で固定することも可能である。使用する側糸は限定されるものではなく、複数種の繊維を使用しても良いし、使用する側糸を必要とするストリングスの太さに応じて複数層となるように配置しても良い。また、側糸を配する方法としては、ブレイディング加工やワインディング加工等の公知の方法を採用することができる。また、樹脂被覆の方法としては、ディッピング法、溶融コーティング法等を例示することができる。
かくして本発明のストリングスを得ることができる。
以下に、実施例に基づき本発明を詳述する。本発明はこれらの実施例により何等限定されるものではない。なお、実施例中の各測定値の測定方法は以下の通りである。
(1)硫酸相対粘度(ηr):ポリマチップまたは原糸(フィラメント)を試料として、試料0.25gを98%硫酸25mLに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定し、以下の式から求めた。測定値は5サンプルの平均値から求めた。
ηr=試料溶液の流下秒数/硫酸のみの流下秒数。
(2)水分率:平沼産業のAQ−2200と平沼産業のEV−2000を組み合わせて用いて測定した。すなわち、平沼産業のEV−2000を用いて、試料チップ中の水分を抽出し、平沼産業のAQ−2200を用いて、水分率を計測した。試料は1.5gとし、水分気化に用いる窒素は0.2L/minとした。
測定条件は以下の通りとした。
・ステップ1 温度 210℃、時間 21分
・空焼き時間 0分
・終了 B.G.0μg
・冷却時間 1分
・B.G.安定回数 30回
・バックパージ゛時間 20秒。
(3)総繊度:JIS L1013(1999) 8.3.1 A法により、所定荷重0.045cN/dtexで正量繊度を測定して総繊度とした。
(4)フィラメント数:JIS L1013(1999) 8.4の方法で算出した。
(5)(乾燥時)強力・強度・伸度:JIS L1013(1999) 8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定した。試料をオリエンテック社製“テンシロン”(TENSILON)UCT−100を用い、掴み間隔は250mm、引張り速度は300mm/minで行った。強力はS−S曲線における最大強力から求め、強度は強力を総繊度で除して求めた。
(6)(乾燥時)中間伸度:JIS L1013(1999) 8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定した。試料をオリエンテック社製“テンシロン”(TENSILON)UCT−100を用い、掴み間隔は250mm、引張り速度は300mm/minで行った。中間伸度は 強力が[総繊度(dtex)×44N÷940(N)]となる時点での伸度より求めた。
(7)吸水時の強力・強度・伸度:JIS L1013(1999) 8.3.1 A法の要領で所定糸長の小かせを作成し、小かせを20℃の水道水に24時間浸漬させた。24時間経過後に、小かせを取り出し、10分以内にJIS L1013(1999)8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定した。この測定で得られた吸水時強力と吸水時伸度をそれぞれ乾燥時強力、乾燥時伸度で差分をとり、(上記(5)項で測定)その絶対値をそれぞれ乾燥時強力、乾燥時伸度で除して百分率表記とし、吸水時の強力変化率、吸水時の伸度変化率を算出した。
(8)吸水時の中間伸度:JIS L1013(1999) 8.3.1 A法の要領で所定糸長の小かせを作成し、小かせを20℃の水道水に24時間浸漬させた。24時間経過後に、小かせを取り出し、10分以内にJIS L1013(1999)8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定した。この測定で得られた吸水時中間伸度と乾燥時中間伸度(上記(6)項で測定)の差分を乾燥時中間伸度で除して百分率表記とし、吸水時の中間伸度変化率を算出した。
(9)湿潤時の打球感評価
各実施例・比較例で得られたストリングを軟式テニス用ラケット60本ガットとして張設し、それぞれのストリングが用いられたラケットを2本用意した。このラケットの一方を水中に24時間浸漬後、モニター10名に2本のラケットを使用させ打球テストを実施し、打球感の変化を確認した。評価基準は以下の通りとする。
全員が打球感の変化をほぼ感じない:◎
3名以下が打球感の変化を感じる:○
半数以上が打球感の変化を感じる:△
全員が打球感の変化を感じる:× 。
[実施例1]
液相重合で得られたポリアミド610チップに酸化防止剤として酢酸銅の5重量%水溶液を添加して混合し、ポリマー重量に対し銅として70ppm添加吸着させた。次に沃化カリウムの50重量%水溶液および臭化カリウムの20重量%水溶液をポリマチップ100重量部に対してそれぞれカリウムとして0.1重量部となるよう添加吸着させ、固相重合装置を用いて固相重合させた後、水分を添加し、表1の硫酸相対粘度、水分率のポリアミド610チップを得た。
紡糸装置としては図1の装置を用いた。前記したポリアミド610チップをエクストルーダーへ供給し、計量ポンプにより総繊度が約1000dtexになるように吐出量を調整した。紡糸温度は285℃で行い、紡糸パック内にて金属不織布フィルターで濾過したのち、孔数204の紡糸口金を通して紡糸した。紡出糸条は250℃の温度に加熱した加熱筒を通過させたのち風速40m/minの冷却風により冷却固化した。冷却固化した糸条には、含水系処理剤を付与し、紡糸引き取りローラに旋回し糸条を引き取った。引き取られた糸条にはその後、一旦巻き取られることなく引き取りローラ8と給糸ローラ9の間での5%のストレッチをかけ、次いで給糸ローラ9と第1延伸ローラ10の間で該ローラ間の回転速度比が2.6となるように1段目の延伸、続いて第1延伸ローラ10と第2延伸ローラ11の間で該ローラ間の回転速度比が1.35となるように2段目の延伸を行った。続いて、第2延伸ローラ11と第3延伸ローラ12の間で該ローラ間の回転速度比が1.41となるように3段目の延伸を行った。引き取りローラ8と第3延伸ローラ12の間の該ローラ間の回転速度比を5.2に設定した。
引き続き、第3延伸ローラ12と弛緩ローラ13との間で5%の弛緩熱処理を施し、交絡付与装置にて糸条を交絡処理した後、巻き取り機14にて巻き取った。各ローラの表面温度は、引き取りローラが常温、給糸ローラ40℃、第1延伸ローラ95℃、第2延伸ローラ150℃、第3延伸ローラ200℃、弛緩ローラ140℃となるように設定した。交絡処理は、交絡付与装置内で走行糸条に直角方向から高圧空気を噴射することにより行った。交絡付与装置の前後には走行糸条を規制するガイドを設け、噴射する空気の圧力は0.2MPaで一定とした。上記条件により1000dtexのポリアミド610マルチフィラメントを得た。得られたマルチフィラメントの特性を表1に示す。
次に得られた1000dtexのポリアミド610マルチフィラメント2本を引き揃え撚りを掛けた後、ポリウレタンで被覆しゲージ1.25mmのストリングを作製した。得られたストリングの評価結果を表1に示す。
[実施例2]
給糸ローラ9と第1延伸ローラ10の間で該ローラ間の回転速度比が2.5となるように1段目の延伸、第1延伸ローラ10と第2延伸ローラ11の間で該ローラ間の回転速度比が1.30となるように2段目の延伸、第2延伸ローラ11と第3延伸ローラ12の間で該ローラ間の回転速度比が1.40となるように3段目の延伸を行い、引き取りローラ8と第3延伸ローラ12の間の該ローラ間の回転速度比を4.8に変更した以外は、実施例1と同様な方法でマルチフィラメントを製造した。
そして、実施例1と同様の方法でゲージ1.25mmのストリングを作製した。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
給糸ローラ9と第1延伸ローラ10の間で該ローラ間の回転速度比が2.5となるように1段目の延伸、第1延伸ローラ10と第2延伸ローラ11の間で該ローラ間の回転速度比が1.30となるように2段目の延伸、第2延伸ローラ11と第3延伸ローラ12の間で該ローラ間の回転速度比が1.32となるように3段目の延伸を行い、引き取りローラ8と第3延伸ローラ12の間の該ローラ間の回転速度比を4.5に変更した以外は、実施例1と同様な方法でマルチフィラメントを製造した。
そして、実施例1と同様の方法でゲージ1.25mmのストリングを作製した。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
液相重合で得られたポリアミド6チップを酸化防止剤として酢酸銅の5重量%水溶液を添加して混合し、ポリマー重量に対し、銅として68ppm添加吸着させた。次に沃化カリウムの50重量%水溶液および臭化カリウムの20重量%水溶液をポリマチップ100重量部に対してそれぞれカリウムとして0.1重量部となるよう添加吸着させ、固相重合装置を用いて固相重合させた後、水分を添加し、表1の硫酸相対粘度、水分率のポリアミド6ペレットを得た。紡糸装置としては図1の装置を用いた。 前記したポリアミド6チップをエクストルーダーへ供給し、計量ポンプにより総繊度が約1000dtexになるように吐出量を調整した。
紡糸温度は270℃で行い、紡糸パック内にて金属不織布フィルターで濾過したのち、孔数204の紡糸口金を通して紡糸した。紡出糸条は270℃の温度に加熱した加熱筒を通過させたのち風速30m/minの冷却風により冷却固化した。それ以降の条件は実施例1と同様な方法で製造した。冷却固化した糸条には、含水系処理剤を付与し、紡糸引き取りローラに旋回し糸条を引き取った。引き取られた糸条にはその後、一旦巻き取られることなく引き取りローラ8と給糸ローラ9の間での9%のストレッチをかけ、次いで給糸ローラ9と第1延伸ローラ10の間で該ローラ間の回転速度比が2.8となるように1段目の延伸、続いて第1延伸ローラ10と第2延伸ローラ11の間で該ローラ間の回転速度比が1.4となるように2段目の延伸を行った。続いて、第2延伸ローラ11と第3延伸ローラ12の間で該ローラ間の回転速度比が1.2となるように3段目の延伸を行った。引き取りローラ8と第3延伸ローラ12の間の該ローラ間の回転速度比を4.9に設定した。
引き続き、第3延伸ローラ12と弛緩ローラ13との間で8%の弛緩熱処理を施し、交絡付与装置にて糸条を交絡処理した後、巻き取り機14にて巻き取った。この際、引取速度と延伸速度比で表される総合延伸倍率はそれぞれ表1記載の倍率となるように調節した。各ローラの表面温度は、引き取りローラが常温、給糸ローラ45℃、第1延伸ローラ100℃、第2延伸ローラ160℃、第3延伸ローラ200℃、弛緩ローラ140℃となるように設定した。交絡処理は、交絡付与装置内で走行糸条に直角方向から高圧空気を噴射することにより行った。交絡付与装置の前後には走行糸条を規制するガイドを設け、噴射する空気の圧力は0.3MPaで一定とした。
そして、実施例1と同様の方法でゲージ1.25mmのストリングを作製した。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
液相重合で得られたポリアミド66チップを酸化防止剤として酢酸銅の5重量%水溶液を添加して混合し、ポリマー重量に対し、銅として68ppm添加吸着させた。次に沃化カリウムの50重量%水溶液および臭化カリウムの20重量%水溶液をポリマチップ100重量部に対してそれぞれカリウムとして0.1重量部となるよう添加吸着させ、固相重合装置を用いて固相重合させた後、水分を添加し、表1の硫酸相対粘度、水分率のポリアミド66ペレットを得た。
紡糸装置としては図1の装置を用いた。前記したポリアミドチップをエクストルーダーへ供給し、計量ポンプにより総繊度が約1000dtexになるように吐出量を調整した。紡糸温度は295℃で行い、紡糸パック内にて金属不織布フィルターで濾過したのち、孔数204の紡糸口金を通して紡糸した。紡出糸条は280℃の温度に加熱した加熱筒を通過させたのち風速33m/minの冷却風により冷却固化した。冷却固化した糸条には、含水系処理剤を付与し、紡糸引き取りローラに旋回し糸条を引き取った。引き取られた糸条にはその後、一旦巻き取られることなく引き取りローラ8と給糸ローラ9の間での3%のストレッチをかけ、次いで給糸ローラ9と第1延伸ローラ10の間で該ローラ間の回転速度比が2.8となるように1段目の延伸、続いて第1延伸ローラ10と第2延伸ローラ11の間で該ローラ間の回転速度比が1.3となるように2段目の延伸を行った。続いて、第2延伸ローラ11と第3延伸ローラ12の間で該ローラ間の回転速度比が1.3となるように3段目の延伸を行った。引き取りローラ8と第3延伸ローラ12の間の該ローラ間の回転速度比を4.9に設定した。
引き続き、第3延伸ローラ12と弛緩ローラ13との間で7%の弛緩熱処理を施し、交絡付与装置にて糸条を交絡処理した後、巻き取り機14にて巻き取った。各ローラの表面温度は、引き取りローラが常温、給糸ローラ55℃、第1延伸ローラ140℃、第2延伸ローラ205℃、第3延伸ローラ228℃、弛緩ローラ144℃となるように設定した。交絡処理は、交絡付与装置内で走行糸条に直角方向から高圧空気を噴射することにより行った。交絡付与装置の前後には走行糸条を規制するガイドを設け、噴射する空気の圧力は0.3MPaで一定とした。
そして、実施例1と同様の方法でゲージ1.25mmのストリングを作製した。評価結果を表1に示す。

1:紡糸口金
2:加熱筒
3:クロスフロー冷却装置
4:冷却風
5:糸条
6:ダクト
7:給油装置
8:引き取りローラ
9:給糸ローラ
10:第1延伸ローラ
11:第2延伸ローラ
12:第3延伸ローラ
13:弛緩ローラ
14:交絡付与装置
15:ワインダー
16:繊維パッケージ

Claims (4)

  1. 吸水時の強度、伸度および中間伸度の変化率がいずれも10%以下であることを特徴とするラケットストリングス用ポリアミド610マルチフィラメント。
  2. 総繊度が400〜4000dtex、単繊維繊度が4〜40dtexであることを特徴とする請求項1に記載のラケットストリングス用ポリアミド610マルチフィラメント。
  3. 硫酸相対粘度が3.3〜3.7、乾燥時強度8.0〜9.2cN/dtex、乾燥時伸度19〜30%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラケットストリングス用ポリアミド610マルチフィラメント。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のラケットストリングス用ポリアミド610マルチフィラメントを用いることを特徴とするラケットストリングス。
JP2019151945A 2019-08-22 2019-08-22 ラケットストリングス用ポリアミドマルチフィラメント Pending JP2021029532A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019151945A JP2021029532A (ja) 2019-08-22 2019-08-22 ラケットストリングス用ポリアミドマルチフィラメント

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019151945A JP2021029532A (ja) 2019-08-22 2019-08-22 ラケットストリングス用ポリアミドマルチフィラメント

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021029532A true JP2021029532A (ja) 2021-03-01

Family

ID=74675436

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019151945A Pending JP2021029532A (ja) 2019-08-22 2019-08-22 ラケットストリングス用ポリアミドマルチフィラメント

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021029532A (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0544109A (ja) * 1991-08-02 1993-02-23 Yutaka Anzai モノフイラメント
JPH0938244A (ja) * 1995-07-31 1997-02-10 Yutaka Anzai ストリング
JP2008029734A (ja) * 2006-07-31 2008-02-14 Toray Ind Inc ガット
JP2011001635A (ja) * 2009-06-16 2011-01-06 Toray Ind Inc ディスプレイパネル洗浄ブラシ用ポリアミド繊維およびその製造方法
JP2013049930A (ja) * 2011-08-31 2013-03-14 Toray Ind Inc ポリアミド410繊維およびそれからなる繊維構造体
JP2014167184A (ja) * 2013-02-28 2014-09-11 Toray Ind Inc 捲縮糸
JP2018187163A (ja) * 2017-05-09 2018-11-29 株式会社ゴーセン ラケット用ストリング及びその製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0544109A (ja) * 1991-08-02 1993-02-23 Yutaka Anzai モノフイラメント
JPH0938244A (ja) * 1995-07-31 1997-02-10 Yutaka Anzai ストリング
JP2008029734A (ja) * 2006-07-31 2008-02-14 Toray Ind Inc ガット
JP2011001635A (ja) * 2009-06-16 2011-01-06 Toray Ind Inc ディスプレイパネル洗浄ブラシ用ポリアミド繊維およびその製造方法
JP2013049930A (ja) * 2011-08-31 2013-03-14 Toray Ind Inc ポリアミド410繊維およびそれからなる繊維構造体
JP2014167184A (ja) * 2013-02-28 2014-09-11 Toray Ind Inc 捲縮糸
JP2018187163A (ja) * 2017-05-09 2018-11-29 株式会社ゴーセン ラケット用ストリング及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI328624B (en) Staple fibers and processes for making same
JP5597922B2 (ja) 組紐
JP3827672B2 (ja) ポリエステル系複合繊維パーン
KR102674777B1 (ko) 폴리아미드 610 멀티필라멘트
JP7013932B2 (ja) 漁網用ポリアミド610マルチフィラメント
JP2021029532A (ja) ラケットストリングス用ポリアミドマルチフィラメント
JP2020133061A (ja) ロープ用ポリアミド610マルチフィラメント。
JP7275733B2 (ja) 高強度ポリアミドモノフィラメント
CN108138378A (zh) 吸湿性、防皱性优异的芯鞘复合截面纤维
JPS5860013A (ja) 低融点フイラメント糸の製造方法
WO2021193056A1 (ja) 高強度ポリアミド610マルチフィラメント
JP4383955B2 (ja) 仮撚用ポリアミド極細繊維
JP5228296B2 (ja) ガット
KR102470073B1 (ko) 전방향족 폴리아미드 섬유
JP3234295B2 (ja) ポリヘキサメチレンアジパミド繊維の製造方法
JP4867205B2 (ja) ストリングス
JP2006325717A (ja) ストリングス
JP6861071B2 (ja) 伸縮性編地の製造方法
JP3910038B2 (ja) 前配向糸パッケージとその製造方法
JP3611499B2 (ja) 未延伸繊維、延伸繊維及びその製造方法
JPH11107035A (ja) ポリアミドモノフィラメント
JP2000192327A (ja) ポリ弗化ビニリデン系樹脂繊維及びその製造方法ならびに水産資材用繊維
JP2012075513A (ja) 異形断面モノフィラメントおよびラケット用ストリング
JPS5813716A (ja) 異収縮混繊糸の製造方法
JPS60110909A (ja) 合成繊維の直接紡糸延伸方法及び装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220623

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230322

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230404

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230711

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20240109