JP5597922B2 - 組紐 - Google Patents

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Description

本発明は、組紐、ブラインドコード等に用いて好適な、破断強度に優れる組紐に関し、更に詳しくは、耐摩耗性、寸法安定性に優れる組紐に関する。
マルチフィラメント又はモノフィラメントからなる組紐は、釣り糸、ブラインドコード、携帯電話のストラップ等多くの用途に用いられている。これら組紐の用途の多様化が進むにつれ、組紐に求められる高性能化の要望も高まり、種々の検討がなされている。特に近年、釣り糸においては高強度・高弾性率化の要請が、ブランドコード用途においては、高耐摩耗性を有する組紐の要請が強く、超高分子量ポリエチレン繊維を用いる検討がなされている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、かかる超高分子量ポリエチレン繊維は、優れた力学物性を示す反面、柔軟であるがゆえコシが無く、取り扱い難い上、摩擦係数が低く、伸縮を繰り返すと弛んだ組紐構造(編み縮み)となって寸法安定性が悪くなるだけでなく、耐摩耗性も低下するという問題があった。
これらの問題を解決するため、例えば超高分子量ポリエチレン繊維とポリエステルモノフィラメントとからなる組紐が提案されている(例えば特許文献2
参照)。かかる組紐は、寸法安定性、耐久性は優れたものとなるが、汎用ポリエステル繊維等を用いるため、組紐強度・弾性率が低下することは避けられない。また、超高分子量ポリエチレン繊維の撚糸に樹脂をコーティングし、耐摩耗性を向上させた釣り糸が提案されている(例えば特許公報3参照)。しかしながら、かかる釣り糸も、樹脂部の強度は弱く組紐の強度は低下し、また組紐が太くならざるを得ないため、投げ釣りにおいて空気抵抗が大きく飛距離が出ないという問題があった。
特開平10−317289号公報 特開2002−155456号公報 特開2006−129867号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、超高分子量ポリエチレン繊維が有する優れた強度・弾性率特性を有効に発揮させつつ、寸法安定性、耐摩耗性、取り扱い性に優れた組紐を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、遂に本発明を完成するに至った。即ち本発明は、(1)繰り返し単位が実質的にエチレンであり、極限粘度5dL/g以上の超高分子ポリエチレンからなり、拘束状態における単糸の昇温示差走査熱量測定(DSC曲線)の吸熱ピーク全体の面積と高温側の吸熱ピークの面積との比が、14.0:1.0〜1.5:1.0であるポリエチレン繊維を含むことを特徴とする組紐、(2)前記ポリエチレン繊維が、単糸を50cm毎に長手方向に分割し、該分割した単繊維毎の拘束状態における昇温DSC曲線の吸熱ピーク全体の面積に対する高温側の吸熱ピーク面積の割合の変動形数(CV%)が、22%以下であることを特徴とする(1)記載の組紐、(3) 前記ポリエチレン繊維がマルチフィラメントであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の組紐、(4)前記ポリエチレンマルチフィラメントの、単糸のDSC曲線の吸熱ピーク全体の面積と高温側の吸熱ピークの面積との比の、単糸間における変動係数(CV%)が、22%以下であることを特徴とする(3)記載の組紐、(5)前記ポリエチレン繊維の単糸平均強度が25cN/dtex以上であることを特徴とする(3)又は(4)記載の組紐、(6)前記ポリエチレン繊維の単糸の平均繊度が3.0dtex以上であることを特徴とする(1)〜(5)いずれかに記載の組紐、(7)前記ポリエチレン繊維の弾性率が950cN/dtex以上であることを特徴とする(1)〜(6)何れかに記載の組紐、である。
本発明によれば、高い強度・弾性率の組紐が得られ、また、伸縮の繰り返しによる編み縮みが生じ難く、寸法安定性、耐摩耗性に優れたものを得ることも可能となり、特に頻繁に伸縮が繰り返されるブラインドコードとして用いた場合は、最終製品としての使用期間が著しく延長できる。また、例えば釣り糸用途に用いた場合、魚信の伝達にロスが極めて少なく、更に潮流、風の影響を受け難いため、環境を問わず敏感に魚信を探知することが可能な上、竿先に糸が絡みつき難く、且つ編み縮みし難く毛羽立ち難いため、取り扱い性が良好で、更には水の払い落とし性に優れるため、メンテナンスが容易であるという利点がある。更には、本願発明の組紐に用いる超高分子量ポリエチレン繊維は、多段延伸工程を省略することも可能であり、安価に組紐を製造することも可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の組紐に用いるポリエチレン繊維は、いわゆるゲル紡糸によって紡糸することが好ましく、その繊維前駆体(以下本発明の繊維前駆体)として、実質的に中心から表層にかけてシシカバブ構造を基本単位とする微細構造を有しているものを用いることが好ましい。延伸前の溶媒を含んだ繊維前駆体の状態で、シシカバブ構造を発現させることにより、低延伸倍率(高い単糸繊度)・高延伸速度で高強度・高弾性繊維が得られるからである。
従来より、延伸性向上のため、繊維前駆体中の分子絡み合いを適度に調整することが重要であることが知られていたが、本発明者らは、前駆体の段階で、シシカバブ構造を発現させることによって、繊維軸断面方向の分子絡み合いを大幅に低減する一方で、繊維軸方向に緊張した構造とし、これによって低延伸倍率で高強度の繊維が得られ、且つ延伸速度を大幅に向上できることを見出した。シシカバブ構造を有する繊維前駆体とすることにより、これらの効果が得られる理由は定かではないが、繊維前駆体の段階で、シシカバブ構造のシシ部分である程度配向結晶化が進んでいるため低延伸倍率で高強度化が可能となり、一方で繊維断面方向の分子間接点が少ないため、延伸速度を高めることができると推定される。したがって、実質的に中心から表層全体的にシシカバブ構造を有していれば、延伸し易く、低延伸倍率であっても繊維内分子全体が十分に引き伸ばされ、繊維の強度・弾性率に寄与すると考えられる。
ここで、シシカバブ構造とは近年、繊維の微細構造を形成する結晶組織として知られており、例えば、図1や図2のように中心部分に全体を貫通する芯のような結晶部分とそれを串刺しのように横断する折れたたみ鎖よりなるラメラ状結晶からなる形態を言う。
本発明でいうシシカバブ構造は、繊維前駆体の600倍以上のTEM写真から確認できるシシカバブ構造をいい、例えば、図3の繊維表層に見られるような、ラメラとラメラがお互いに結合し、網目状の構造を形成している、見方を変えればシシカバブ状の構造がお互いに連結し、ネットワーク構造を有するような構造とも見ることができるものは含まない。
また、本発明でいう繊維前駆体とは、紡糸口金から紡出し、引き取りローラーで引き取った、延伸前の繊維状樹脂又は繊維状溶媒と樹脂混合物をいう。
本発明の組紐に用いるポリエチレン繊維の繊維前駆体は、極限粘度[η]が5以上、その繰り返し単位が実質エチレンからなる高分子量ポリエチレンを主成分とすることが好ましい。かかる高分子量ポリエチレンは、高分子量であっても延伸しやすく、かつ高い強度が得られるポテンシャルを有するものであり、本発明の課題を達成するに適した原料だからである。また、極限粘度[η]が30を超えると成型加工が困難となる。より好ましい極限粘度[η]は8〜27、更に好ましくは、10〜25である。
本発明の組紐に用いるポリエチレン繊維の繊維前駆体を得る手法に関しては、特に限定されるものではないが、極限粘度[η]が5以上、その繰り返し単位が実質エチレンからなる高分子量ポリエチレンを揮発性の有機溶剤に5wt%以上50wt%未満で溶解し、ノズルから押出した後、高張力下で引き伸ばされながら揮発性の有機溶剤ガス雰囲気中を通過させて、実質的に中心から表層にかけてシシカバブ構造を基本単位とする微細構造を有する繊維前駆体を得る製造方法が好ましい。
本発明者等は、シシカバブ構造を有する繊維前駆体を得るためには、高い張力で引き取ることで、構造を発現させ、かつ緩和する前に素早く固化することが有効であることを見出した。しかし、溶媒を用いた溶液紡糸の場合、本発明でいうシシカバブ構造が発現する機構は極めて複雑となり、濃度の状態によって、発現の仕方が異なる。従って、濃度が不均一の状態で高い張力をかけると、繊維前駆体内の構造が不均一となる。そこで揮発性の有機溶剤ガス雰囲気中で高い張力をかけることにより、表面溶媒蒸発を抑制して繊維(前駆体)内の溶媒濃度斑発生を防止し、実質的に中心から表層にかけてシシカバブ構造を基本単位とする微細構造を有する繊維前駆体を得ることが推奨される。
また、高張力で引き取ることにより形成されたシシカバブ構造が緩和等による消失を防止するため、急激かつ均一に冷却するには冷却速度を1000℃/s以上とすることが好ましい。より好ましくは3000℃/s以上である。かかる冷却速度であれば、繊維前駆体内部に均一且つ有効にシシカバブ構造を形成させることができるからである。
また、このように冷却速度を高くするためには、冷却媒体として熱伝達係数が大きい液体を用いることが推奨される。なかでも使用する溶媒と非相溶である液体が好ましい。非相溶の液体を用いることにより、溶媒の抽出を防止し、前駆体の冷却と溶媒の抽出或いは乾燥を明確に区別できるため、内層から表層に至るまで均一なシシカバブ構造を得ることができるからである。例えば、簡便さから水が推奨される。
本発明における超高分子量ポリエチレンとは、その繰り返し単位が実質的にエチレンであることを特徴とし、少量の他のモノマー例えばα−オレフィン,アクリル酸及びその誘導体,メタクリル酸及びその誘導体,ビニルシラン及びその誘導体などとの共重合体であっても良いし、これら共重合物どうし、あるいはエチレン単独ポリマーとの共重合体、さらには他のα−オレフィン等のホモポリマーとのブレンド体であってもよい。特にプロピレン,ブテンー1などのαオレフィンと共重合体を用いることで短鎖あるいは長鎖の分岐をある程度含有させることは本繊維を製造する上で、特に紡糸・延伸においての製糸上の安定を与えることとなり、より好ましい。しかしながらエチレン以外の含有量が増えすぎると却って延伸の阻害要因となるため、高強度・高弾性率繊維を得るという観点からはα−オレフィン等の他のモノマーは、モノマー単位で0.2mol%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1mol%以下である。もちろんエチレン単独のホモポリマーであっても良い。
本発明の組紐に用いるポリエチレン繊維の繊維前駆体の推奨する製造方法においては、このような高分子量のポリエチレンをデカリン・テトラリン等の揮発性の有機溶剤を用いて溶解することが好ましい。常温固体または非揮発性の溶剤では、本発明でいうシシカバブ構造の形成は可能であると考えられるが、揮発性の有機溶剤に比して延伸速度を高くすることは困難となり、または溶剤抽出工程が必要になるため、生産性が低くなる。溶解する際の濃度は30wt%以下であることが好ましく、より好ましくは20wt%以下、さらに好ましくは15wt%以下である。
用いられる該混合ドープは、種々の方法、例えば、固体ポリエチレンを溶媒中に懸濁させ、ついで高温にて撹拌するか、または該懸濁液を混合及び搬送部を備えた2軸スクリュー押出し機を用いることにより製造できる。
本発明の組紐に用いるポリエチレン繊維の繊維前駆体の製造方法において該混合ドープを複数のオリフィスが配列してなるノズルを通してドープフィラメントとすることが好ましい。ドープフィラメントへの変換の際の温度は、溶解点以上で設定すべきである。この溶解点は、もちろん選択した溶媒、濃度、及びポリエチレンのwt%に依存しており、少なくとも140℃以上であることが好ましく、より好ましくは150℃以上である。この温度は該ポリエチレンの分解温度以下にて設定することが好ましい。
次に、本発明の組紐に用いる高強度ポリエチレン繊維を得るのに適した繊維前駆体を製造する方法において重要な因子について記載する。
ノズルから吐出した吐出ゲル糸状を、高張力下で引き伸ばされながら揮発性の有機溶剤ガス雰囲気中を通過させることが肝要である。このとき有機溶剤ガス濃度は5g/m以上、好ましくは10g/m以上、更に好ましくは20g/m以上である。5g/m未満の場合、図3のように繊維表層部にシシカバブ構造が発現し難く、速い変形速度での延伸は、糸切れが多発して生産性が低下する、或いは表層部が欠陥となって強度が低下する。
また、高張力下とは、吐出ゲル糸状に印加される張力値をポリマー換算の繊度で割り返した値で、0.28cN/dtex以上0.50cN/dtex未満、好ましくは0.30cN/dtex以上0.48cN/dtex未満、更に好ましくは0.32cN/dtex以上0.45cN/dtex未満である。張力が0.28cN/dtex未満だと、中心部から表層部にかけて均一なシシカバブ構造が形成されず、低延伸倍率で高強度を得ることが困難となる。逆に0.50cN/dtex以上で引き伸ばすと該ゲル糸状の破断が生じ生産性が悪くなる傾向にある。
張力を高くするには、引き取り速度を高くする、紡糸ノズル孔径を大きくする、紡出後、粘性を示す区間を短縮する等の方法が考えられる。また、溶融紡糸においては、紡出後の雰囲気温度を低くすることによって張力は一般に高くなるが、溶媒を用いる場合、雰囲気温度を低くすると溶媒の蒸発が抑制されて、逆に張力が低くなることもあり、適切な温度とすることが慣用である。本願発明者らが検討した範囲では、0℃〜90℃とすることが好ましく、より好ましくは10℃〜60℃、更に好ましくは20〜50℃であった。
本発明の組紐に用いるポリエチレン繊維は、拘束状態における単糸の昇温示差走査熱量測定(DSC曲線)の吸熱ピーク全体の面積と高温側の吸熱ピークの面積との比が、14.0:1.0〜1.5:1.0であることが好ましい。本発明の高強度ポリエチレン繊維は、その昇温DSC曲線が140℃〜150℃(低温側)の温度領域に少なくとも1本の吸熱ピークを示し、又150℃〜160℃(高温側)の温度領域に少なくとも1本の吸熱ピークを示す。これらのピークは、低温側のピークは高強度ポリエチレン繊維の斜方晶の融解ピーク、および斜方晶から六方晶への転移ピークを表し、高温側のピークは高強度ポリエチレン繊維の六方晶の融解ピークを表す(例えば「Tashiro et.,al; Macromolecules, 29, 7460(1996)」参照)。発明者が鋭意検討した結果、六方晶の融解ピークの面積は、繊維中のシシ構造の数との相関が強く、六方晶の融解ピークの面積が大きいほど、繊維中のシシ構造の数が多くなることを見出した。即ち、吸熱ピーク全体の面積に対する高温側の吸熱ピークの面積比率が大きいほど、繊維内にシシ構造が多く形成されていることを表す。
本願発明者等は、シシカバブ構造を繊維前駆体の状態で発現させ、これを延伸工程で大部分をシシ構造とする(カバブ部分を消失させる)ことにより、高い強度・弾性率を有するポリエチレン繊維が得られることを見出した。これは、シシ構造が有効に強度・弾性率に寄与しており、シシ構造の密度を高めた効果であると推測される。一方、上記範囲を超えるシシ構造が多いポリエチレン繊維は強度・弾性率への寄与が小さくなる一方で、単糸切れや、後工程における糸切れが発生し易くなる。より好ましくは、吸熱ピーク全体の面積と高温側の吸熱ピークの面積との比が12.0:1.0〜3.0:1.0であり、さらに好ましくは11.0:1.0〜5.0:1.0である。これらの要件を満足する超高分子量ポリエチレン繊維を組紐とすることにより、優れた強度・弾性率の組紐が得られる。
ここで、昇温DSC曲線は、単糸50cmに、繊度(dtex)×1/10(g)の荷重をかけた状態で、アルミパンに弛んだ箇所のない巻き付け拘束状態にし、不活性ガス下、10℃/分の昇温速度で室温から200℃まで温度を上昇させて得るものとする。なお、吸熱ピークは、ピーク温度が正確に読み取れるものだけ(極大点を有するもの)を採用し、得られた昇温DSC曲線のベースラインを補正した後で、ピーク温度を読み取る。また、GALACTIC INDUSTRIES CORPORATION製ソフトGRAMS/32 version4を用い、波形分離処理を行い、吸熱ピーク全体の面積、および高温側の吸熱ピークの面積を算出し、吸熱ピーク全体の面積と高温側の吸熱ピークの面積の比を求める。ここで、ベースラインとは、プラスティックの転移温度測定方法(JIS K7121)に示されているように、試験試料に転移および反応を生じない領域でのDSC曲線である。
また、吸熱ピーク全体の面積は、DSC曲線と内挿されたベースラインに囲まれた部分の面積を表し、高温側の吸熱ピークの面積は、150度〜160℃の温度領域(高温側)のDSC曲線のピークと内挿されたベースラインに囲まれた部分の面積を表す。このプラスティックの転移温度測定方法(JIS K 7121)では、ピークとは、DSC曲線において、曲線がベースラインから離れてから再度ベースラインに戻るまでの部分と定義されているが、本発明では、得られた昇温DSC曲線を微分して微分値が正から負に変化する場合のみをピークとする。
本発明の組紐に用いるポリエチレン繊維の製造方法は特に限定されるものではないが、前述の均一なシシカバブ構造を有する繊維前駆体について、溶媒濃度を低下させた状態における延伸倍率を高くすることが望ましい。溶媒濃度が低い状態で高い倍率で延伸すると有効にシシ構造を発現(カバブ部分を消失)させることができることを本願発明者等は見出した。具体的には、繊維前駆体引き取りローラーと(一段)延伸糸引き取りローラーとの間に駆動ローラーを設け、係る駆動ローラーの速度を調節することにより、繊維前駆体引き取りローラーと駆動ローラー間で溶媒濃度を低下させながら、駆動ローラーと延伸糸巻き取りローラー間の延伸倍率を高める手段が挙げられる。駆動ローラーを設けずに延伸すると、粘度が低い部分、即ち溶媒濃度が高い部分で変形するためシシ構造が形成され難いと推測される。
また、かかる延伸手段によると単糸間の延伸のバラツキが小さくなるという効果も奏する。つまり、(一段目の)延伸工程では溶媒が蒸発しながら延伸されるが、マルチフィラメントの場合、延伸ゾーンではバンドルの表層に位置する単糸から溶媒の蒸発が進み、単糸間で溶媒濃度のバラツキが大きい状態で延伸されるところ、上記手段によれば、単糸間の溶媒濃度差が小さくなった状態で高い延伸倍率で延伸することになるからである。
本発明の組紐に用いるポリエチレン繊維は、単糸を50cm毎に長手方向に分割し、該分割した単繊維毎の拘束状態における昇温DSC曲線の吸熱ピーク全体の面積に対する高温側の吸熱ピーク面積の割合の変動係数(CV%)が、22%以下であることが好ましい。かかるポリエチレン繊維であれば、実用されるマルチフィラメントとした場合、最も面積比率の小さい部位に依存してマルチフィラメント全体の強度が決定される結果としてマルチフィラメントの強度が高くなる一方で、単糸切れや後工程での糸切れの少ないマルチフィラメントが得られるからである。より好ましいCV%は17%、更に好ましくは12%以下である。CV%の下限は特に限定されないが1%より低くしても、強度等に対する影響は殆ど見られない。尚、CV%とは下式で定義される。
CV% = 100×標準偏差/平均値 (%)
かかるCV%を満たす超高分子量ポリエチレン繊維を組紐とすることにより、単糸切れが少なく、組紐の耐摩耗性が向上するからである。
かかるポリエチレン繊維を得る手段は特に限定されるものではないが、冷却媒体として液体を用いる場合、液面変動をできるだけ小さくすることが好ましい。本願発明者等が鋭意検討した結果、本発明の生産性の高い高強度ポリエチレン繊維を得るには、液面変動を1.0mm以下にすることが好ましい。液面変動が1.0mmを越えると、単糸の長手方向及び単糸間における該気体媒質空間の通過時間の変動が顕著になり、単糸の構造不均一が長手方向、及び後述する単糸間で顕著になる。特に液面変動が酷い場合、該気体媒質空間において単糸が破断する。
本発明の組紐に用いるポリエチレン繊維はマルチフィラメントであってもよく、前記単糸のDSC曲線の吸熱ピーク全体の面積と高温側の吸熱ピークの面積との比の、単糸間における変動係数(CV%)が、22%以下であることが好ましい。より好ましくは17%以下、更に好ましくは12%以下である。高温側の吸熱ピークの面積比率の割合が、マルチフィラメント全体としの平均で高くても、単糸間の均一性が悪ければ、最も面積比率の小さい単糸に依存してヤーン全体の強度が決定される為に高強度繊維を得がたい。一方、後工程における糸切れについては、最も面積比率の大きい単糸にも大きく依存する。したがって、マルチフィラメントの単糸間のCV%を上記範囲にすることにより、強度が高く、且つ後加工通過性に優れるマルチフィラメントが得られる。単糸間CV%の下限は特に限定されるものではないが、1%より低くしても、効果は殆ど変わらない。
かかるCV%の要件を満たすポリエチレン繊維を用いることにより、組紐内での単糸切れを低減し、耐摩耗性に優れる組紐が得られるからである。
かかる、単糸間のCV%が低いマルチフィラメントを得る製造方法は特に限定されるものではないが、前記繊維前駆体を製造する際、紡糸口金直下の雰囲気温度を均一にすることが好ましい。本願発明者等が鋭意検討した結果、紡糸口金直下において単糸間の雰囲気温度差を±3.0℃以下、好ましくは±2.0℃以下、更に好ましくは±1.0℃以下にするれば、単糸間の構造差を極小にすることが可能となり、本発明の生産性の高い高強度ポリエチレンの製造が可能であることがわかった。更に同一場所における経過時間による雰囲気温度差を±3.0℃以下、好ましくは±2.0℃以下、更に好ましくは±1.0℃以下にすることにより、単糸長手方向の構造差を極小にすることが可能となり、本発明の生産性の高い高強度ポリエチレンの製造が可能であることがわかった。
また、前述の通り、延伸工程においては、繊維前駆体引取りローラーと延伸糸引取りローラーとの間に駆動ローラーを設け、当該駆動ローラーの速度を調節することにより、溶媒濃度が低い状態における延伸倍率を高めて単糸間の延伸を均一にすることが好ましい。本願発明者らが検討した範囲では、該駆動ローラー通過時の繊維前駆体の溶剤濃度が30%以下であることが好ましい。より好ましくは25%以下、更に好ましくは20%以下である。
本発明の組紐に用いるポリエチレンマルチフィラメントは、延伸工程を削減することが可能であるため、従来のものに比して生産性が飛躍的に向上するものであるが、更に繊度50.0dtex〜1000dtex、単糸繊度1.6dtex〜250dtexであれば、特に顕著な効果を発揮する。すなわち、低延伸倍率で高強度・高弾性率を実現できるため、単糸繊度を高めることが可能となり、また、単糸間のバラツキが小さいため高いマルチフィラメントの繊度であっても性能を高い性能となる。かかる範囲の繊度、単糸繊度であれば、例えば剛性や耐摩耗性が要求される組紐の用途でその性能を向上させることができる一方、ポリエチレン繊維の欠点である結節強度不足が発現し難いからである。より好ましくは、繊度130dtex〜500dtex、単糸繊度2.0dtex〜180dtex、更に好ましくは繊度150dtex〜460dtex、単糸繊度5.0dtex〜130dtexである。
かかる範囲の繊度であれば、剛性を保ちつつ、結節強度も十分であるため、組紐に用いると、取り扱い性、寸法安定性、耐摩耗性に優れたものが得られる。
本発明の組紐に用いるポリエチレン繊維は、弾性率が900cN/dtex以上であることが好ましい。かかる弾性率であれば、例えば釣り糸として用いた場合、魚信を探知し易くなるからである。
本発明におけるポリエチレンマルチフィラメントの平均強度は25cN/dtex以上であることが好ましく、さらに好ましくは27cN/dtex以上である。平均強度が25cN/dtex未満の場合、組紐としての強度が不足する可能性がある。
以下に本発明における特性値に関する測定法および測定条件を説明するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施する場合は、本発明に含まれる。
(極限粘度)
135℃のデカリンにてウベローデ型毛細粘度管により、種々の希薄溶液の比粘度を測定し、その粘度の濃度に対するプロットの最小二乗近似で得られる直線の原点への外挿点より極限粘度を決定した。測定に際し、サンプルを約5mm長の長さにサンプルを分割または切断し、ポリマーに対して1wt%の酸化防止剤(商標名「ヨシノックスBHT」吉富製薬製)を添加し、135℃で4時間攪拌溶解して測定溶液を調整した。
(マルチフィラメントの強度・伸度・弾性率)
本発明における強度,弾性率は、オリエンティック社製「テンシロン」を用い、試料長200mm(チャック間長さ)、伸長速度100%/分の条件で歪−応力曲線を雰囲気温度20℃、相対湿度65%条件下で測定し、破断点での応力と伸びから強度(cN/dtex)、伸度(%)、曲線の原点付近の最大勾配を与える接線から弾性率(cN/dtex)を計算して求めた。なお、各値は10回の測定値の平均値を使用した。
(示差走査熱量計測定)
示差走査熱量計測定はパーキンエルマー社製「DSC7型」を用いた。単糸50cmに、繊度(dtex)×1/10(g)の荷重をかけた状態で、アルミパンに弛んだ箇所のない巻き付け拘束状態にし、不活性ガス下、10℃/分の昇温速度で室温から200℃まで上昇させ、昇温DSC曲線を求めた。得られた昇温DSC曲線のベースラインを補正した後で、ピーク温度を読み取る。また、波形分離処理を行い、吸熱ピーク全体の面積、および高温側の吸熱ピークの面積を算出し、吸熱ピーク全体の面積と高温側の吸熱ピークの面積の比を求めた。波形分離にはGALACTIC INDUSTRIES CORPORATION製ソフトGRAMS/32 version4を用いた。また、単糸間及び単糸長手方向の該面積比率を求める場合、測定単糸数をn=20とし、単糸50cmに、繊度(dtex)×1/10(g)の荷重をかけた状態で、アルミパンに弛んだ箇所のない巻き付け拘束状態にし、不活性ガス下、10℃/分の昇温速度で室温から200℃まで上昇させ、昇温DSC曲線を求めた。得られた昇温DSC曲線のベースラインを補正した後で、ピーク温度を読み取る。また、波形分離処理を行い、吸熱ピーク全体の面積、および高温側の吸熱ピークの面積を算出し、吸熱ピーク全体の面積と高温側の吸熱ピークの面積の比を単糸毎に求めた後に下記の式に従いCV%を求めた。
CV% = 100×標準偏差/平均値 (%)
(組紐の耐摩耗性試験)
組紐の耐摩耗特性(編み縮み評価)は、JIS B法(JIS L1095)に準拠する方法により測定した。尚、摩擦子は0.9mmΦの硬質鋼を用い、荷重は0.5g/d、速度115回/分、往復距離2.5cm、角度110度で実施しn=2回の平均値の1000回未満の位は四捨五入して採用した。
本発明による組紐の耐摩耗特性は、本発明による高強度ポリエチレン繊維を組紐に調整したものを次の試験方法にて行った。
V試験機はシートベルトの六角棒摩耗試験機を改良して、六角棒の位置にセラミックガイゴを配置して試験機とした。よってストローク長、角度等に関しては、JIS−D−4604(1995)に準じている。図2に示すように、セラミックガイドにサンプルを通し、一方をドラムに固定し他方に荷重をかける。荷重は芯糸のデニール値に対し、1g/dの比率で荷重をかける。100,000回ドラムを往復運動させた後に、サンプルの状態を目視判定した。耐摩耗試験の評価として全く変化がなければ○、少し毛羽立てば△、毛羽立ちが激しいもしくは一部でも切断すれば×と評価した。なお、当該評価における毛羽立ちは、実用において緊張・緩和を繰り返した際に発生する編み縮みにより発生するものであり、寸法安定性のメジャーともなる。
(組紐の強度保持率)
組紐の強力測定法はJIS L 1013に準じていて、上項で述べた耐摩耗性試験前後の試料で強力保持率を比較した。
(繊維製造例1)
極限粘度20.0dL/gの超高分子量ポリエチレンとデカヒドロナフタレンを重量比8:92で混合しスラリー状液体を形成させた。該物質を混合及び搬送部を備えた2軸スクリュー押出し機で溶解し、得られた透明な均一物質を円状に配列したホール数48個、直径0.8mmのオリフィスから2.5g/min押出した。該押出し溶解物質を、部材で覆った長さ8.0mmの気体媒質空間を介して、定常流の水で満たされた円筒状の流管(厚さ5mmの耐熱ガラスで覆い外部空間より遮蔽)、を通過させることにより、液面変動を0.5mm以下に抑え、且つ、液面に累積するデカヒドロナフタレンを該押出し溶解物質が水面に突入する部位より連続的に除去しながら均一に冷却し、該押出し溶解物質中の溶媒を該押出し溶解物質から除去することなしに紡糸速度30m/minでゲル糸状を引き取った。得られたゲル糸状(繊維前駆体)は、中心部から表層部にかけて均一にシシカバブ構造を有するものであった。ついで、該ゲル糸状を巻き取る事無く窒素加熱オーブン中、駆動ローラーを用いて該ゲル繊維中の残留溶剤濃度が10%になるまで乾燥させた後に11倍の延伸比で延伸を行った。得られたポリエチレン繊維の諸物性を表1に示した。
(繊維製造例2)
極限粘度20.0dL/gの超高分子量ポリエチレンとデカヒドロナフタレンを重量比10:90で混合しスラリー状液体を形成させた。該物質を混合及び搬送部を備えた2軸スクリュー押出し機で溶解し、得られた透明な均一物質を円状に配列したホール数30個、直径0.8mmのオリフィスから2.5g/min押出した。該押出し溶解物質を、部材で覆った長さ8mmの気体媒質空間を介して、定常流の水で満たされた円筒状の流管(厚さ5mmの耐熱ガラスで覆い外部空間より遮蔽)、を通過させることにより、液面変動を0.5mm以下に抑え、且つ、液面に累積するデカヒドロナフタレンを該押出し溶解物質が水面に突入する部位より連続的に除去しながら均一に冷却し、該押出し溶解物質中の溶媒を該押出し溶解物質から除去することなしに紡糸速度40m/minでゲル糸状を引き取った。得られたゲル糸状(繊維前駆体)は、中心部から表層部にかけて均一にシシカバブ構造を有するものであった。ついで、該ゲル糸状を巻き取る事無く窒素加熱オーブン中、駆動ローラーを用いて該ゲル繊維中の残留溶剤濃度が7%になるまで乾燥させた後に8.8倍の延伸比で延伸を行った。得られたポリエチレン繊維の諸物性を表1に示した。
(繊維製造例3)
極限粘度20.0dL/gの超高分子量ポリエチレンとデカヒドロナフタレンを重量比10:90で混合しスラリー状液体を形成させた。該物質を混合及び搬送部を備えた2軸スクリュー押出し機で溶解し、得られた透明な均一物質を円状に配列したホール数30個、直径0.8mmのオリフィスから1.8g/min押出した。該押出し溶解物質を、部材で覆った長さ8mmの気体媒質空間を介して、定常流の水で満たされた円筒状の流管(厚さ5mmの耐熱ガラスで覆い外部空間より遮蔽)、を通過させることにより、液面変動を0.5mm以下に抑え、且つ、液面に累積するデカヒドロナフタレンを該押出し溶解物質が水面に突入する部位より連続的に除去しながら均一に冷却し、該押出し溶解物質中の溶媒を該押出し溶解物質から除去することなしに紡糸速度90m/minでゲル糸状を引き取った。得られたゲル糸状(繊維前駆体)は、中心部から表層部にかけて均一にシシカバブ構造を有するものであった。ついで、該ゲル繊維を巻き取る事無く窒素加熱オーブン中、該ゲル繊維より溶剤を乾燥させた後に5.8倍の延伸比で延伸を行った。得られたポリエチレン繊維の諸物性を表1に示した。
(繊維製造比較例1)
極限粘度が19.6dL/gの超高分子量ポリエチレンをおよびデカヒドロナフタレン90wt%のスラリー状の混合物を分散しながら230℃の温度に設定したスクリュー型の混練り機で溶解し、175℃に設定した直径0.6mm、400ホール有する口金に軽量ポンプにて単孔吐出量1.6g/min供給した。ノズル直下に設置したスリット状の気体供給オリフィス似て1.2m/sの高速度で100℃に調整した窒素ガスを整流に気をつけ、できるだけ糸条に均等に当たるようにして繊維の表面のデカリンを積極的に蒸発させ、さらに115℃に設定された窒素流にて繊維に残るデカリンを蒸発させ、ノズル下流に設置されたネルソン状のローラーにて80m/minの速度で引き取らせた。この時、クエンチ区間の長さは1.0mであり、繊維の冷却速度は、100℃/sであった。引き取ったゲル糸状(繊維前駆体)は、中心部でシシカバブ構造が形成されていなかった。引き続き、得られたゲル糸状を加熱オーブン下で4.0倍に延伸した、引き続きこの繊維を設置した加熱オーブン中にて4.1倍で延伸した。途中破断することなく均一な繊維が得る事ができた。得られたポリエチレン繊維の諸物性を表1に示した。
(繊維製造比較例2)
極限粘度が19.6dL/gの超高分子量ポリエチレンを7wt%およびデカヒドロナフタレン93wt%のスラリー状の混合物を分散しながら230℃の温度に設定したスクリュー型の混練り機で溶解し、175℃に設定した直径0.8mmを30ホール有する口金に軽量ポンプにて単孔吐出量1.6g/min供給した。該押出し溶解物質を、10mmの気体媒質空間を介して、水浴で冷却し、該押出し溶解物質中の溶媒を該押出し溶解物質から除去することなしに紡糸速度80m/minでゲル糸状を引き取った。得られたゲル糸状(繊維前駆体)は、中心部にシシカバブ構造を有していたが、表層部では、シシカバブ構造が多数接触しており、均一なシシカバブ構造ではなかった。ついで、該ゲル糸状を巻き取る事無く窒素加熱オーブン中、3.0倍の延伸比で延伸を行った。このとき4.5倍以上の延伸比ではオーブン中で繊維の破断が生じた。得られたポリエチレン繊維の諸物性を表1に示した。
表1に示した結果から、本発明の組紐に用いるポリエチレン繊維は、延伸工程数を少なくしても、優れた強度、弾性率を有すると共に、実施例1、実施例2の結果から、単繊維繊度を高くすることも可能であることがわかる。
(実施例1)
繊維製造例1に記載の繊維(マルチフィラメント 187dtex)を4本用いシングルブレード構造の組紐に加工した。得られた組紐の評価結果を表2に示す。
(実施例2)
繊維製造例2に記載した繊維を実施例1と同様の方法で組紐に加工した。得られた組紐の評価結果を表2に示す。
(比較例1)
繊維製造比較例1に記載した繊維を実施例1と同様の方法で組紐に加工した。得られた組紐の評価結果を表2に示す。
(比較例2)
繊維製造比較例2に記載した繊維を実施例1と同様の方法で組紐に加工した得られた組紐の評価結果を表2に示す。
上記結果から、本発明の組紐は、編み縮みし難く(寸法安定性に優れ)、且つ、耐摩耗性、強度保持率に優れることがわかる。
本発明に係る組紐は、高強度・高弾性率且つ繊維の内部構造が均一なポリエチレン繊維からなり、取り扱い性、寸法安定性、製品寿命に優れ、更には安価に製造することも可能であり、釣り糸やブラインドコード等に広く展開可能で産業界に寄与すること大である。
シシカバブ構造の模式図である。 シシカバブ構造を示すTEM写真である。 中心部にシシカバブ構造を有しない繊維前駆体のTEM写真である。 表層にシシカバブ構造を有しない繊維前駆体のTEM写真である。 実質的に中心から表層にかけてシシカバブ構造を基本単位とする微細構造を有していることを特徴とする繊維前駆体のTEM写真である。 本発明の繊維を製造するに適した延伸工程の模式図である。 従来の延伸工程の模式図である。 組紐の耐摩耗性試験の模式図である。

Claims (7)

  1. 繰り返し単位が実質的にエチレンであり、極限粘度5dL/g以上の超高分子ポリエチレンからなり、拘束状態における単糸の昇温示差走査熱量測定(DSC曲線)の吸熱ピーク全体の面積と高温側の吸熱ピークの面積との比が、14.0:1.0〜1.5:1.0であるポリエチレン繊維を含むことを特徴とする組紐。
  2. 前記ポリエチレン繊維が、単糸を50cm毎に長手方向に分割し、該分割した単繊維毎の拘束状態における昇温DSC曲線の吸熱ピーク全体の面積に対する高温側の吸熱ピーク面積の割合の変動形数(CV%)が、22%以下であることを特徴とする請求項1記載の組紐。
  3. 前記ポリエチレン繊維がマルチフィラメントであることを特徴とする請求項1又は2に記載の組紐。
  4. 前記ポリエチレンマルチフィラメントの、単糸のDSC曲線の吸熱ピーク全体の面積と高温側の吸熱ピークの面積との比の、単糸間における変動係数(CV%)が、22%以下であることを特徴とする請求項3記載の組紐。
  5. 前記ポリエチレン繊維の単糸平均強度が25cN/dtex以上であることを特徴とする請求項3又は4記載の組紐。
  6. 前記ポリエチレン繊維の単糸の平均繊度が1.6dtex以上であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の組紐。
  7. 前記ポリエチレン繊維の弾性率が900cN/dtex以上であることを特徴とする請求項1〜6何れかに記載の組紐。
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