JP2011001635A - ディスプレイパネル洗浄ブラシ用ポリアミド繊維およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低吸湿性に優れると共に、柔軟性のある適度な毛腰を有し、かつ従来よりも屈曲回復性に優れたディスプレイパネル洗浄ブラシ用ポリアミド繊維およびこのディスプレイパネル洗浄ブラシ用ポリアミド繊維を効率的に製造する方法を提供する。
【解決手段】硫酸相対粘度(ηr)が3.0〜3.6のポリアミド610樹脂またはポリアミド612樹脂から構成されたポリアミドマルチフィラメントであって、該マルチフィラメントを構成している単繊維の屈曲回復率が80〜95%であることを特徴とするディスプレイパネル洗浄ブラシ用ポリアミド繊維。
【選択図】なし

Description

本発明は液晶、プラズマ、有機EL等のディスプレイ生産工程におけるディスプレイパネル表面の汚れを洗浄するために使用するブラシ用ポリアミド繊維およびその製造方法に関するものである。更に詳しくは、低吸湿性に優れると共に、柔軟性のある適度な毛腰を有し、かつ従来よりも屈曲回復性に優れたディスプレイパネル洗浄ブラシ用ポリアミド繊維およびこのディスプレイパネル洗浄ブラシ用ポリアミド繊維を効率的に製造する方法に関するものである。
ポリアミド繊維は、タイヤコード、漁網、ロープ、帆布、抄紙用ろ布材、液晶ディスプレイパネル製造装置の洗浄ブラシ等の産業用資材として好適な高強力、耐摩耗性、耐疲労性等の機械的性質を有している。しかしながら、ポリアミド6やポリアミド66のような汎用性ポリアミドは、吸水性が高く、水中や湿潤条件下で使用されるディスプレイパネル洗浄ブラシとして用いると、強度やヤング率の低下、特に屈曲回復率の低下が問題となり、実用上の妨げとなっていた。
このような実情に鑑み、湿潤時においても高ヤング率を保持するブラシ用延伸ポリアミド繊維について種々の検討が従来から行われており、例えば高湿条件下での物性低下を抑制するため、キシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分から重縮合して得られるポリアミド75〜100重量%、及び他のポリアミドを25〜0重量%含有するブラシ用ポリアミド繊維(例えば、特許文献1参照)が提案されているが、このブラシ用ポリアミド繊維は、吸湿によるヤング率の変化は小さいものの、高い屈曲回復率を満足するものであるとはいい難く、また、単糸径が太いため、ブラシとしての適度な毛腰と柔軟性を欠くという問題をも包含していた。
また、ブラシ素材としてポリエステル樹脂を用いる分野においては、ポリプロピレンテレフタレートを主成分とするモノフィラメントのカットブリッスルからなり、屈曲回復率が65%以上であるブラシ用毛材(例えば、特許文献2参照)が提案されているが、このブラシ用毛材もまた、高い屈曲回復率を満足するものではなく、ブラシとしての適度な毛腰と耐久性を欠くという問題を包含するものであった。
なお、従来のブラシ用繊維の製造方法としては、樹脂ペレットをエクストルーダー型押出機などにより溶融し、紡糸口金より押し出された糸条を口金直下に設置した冷却水槽で冷却・固化し、それを連続的に熱延伸、熱処理して巻き取る方法が採用されているが、当該製造方法の生産速度は高々300m/分と低いことから、生産性においても十分であるとはいい難いものであった。
特開平11−81041号公報 特開2003−245133号公報
本発明の目的は、前記した従来技術の問題点を解消し、低吸湿性に優れると共に、柔軟性のある適度な毛腰を有し、かつ従来よりも屈曲回復性に優れたディスプレイパネル洗浄ブラシ用ポリアミド繊維およびこのディスプレイパネル洗浄ブラシ用ポリアミド繊維を効率的に製造する方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明によれば、硫酸相対粘度(ηr)が3.0〜3.6のポリアミド610樹脂またはポリアミド612樹脂から構成されたポリアミドマルチフィラメントであって、該マルチフィラメントを構成している単繊維の屈曲回復率が80〜95%であることを特徴とするディスプレイパネル洗浄ブラシ用ポリアミド繊維が提供される。
なお、本発明のディスプレイパネル洗浄ブラシ用ポリアミド繊維においては、ポリアミドマルチフィラメントの総繊度が300〜3000dtex、単糸繊度が15〜40dtex、強度が5〜7cN/dtex、交絡数が1〜5個/m、湿ヤング率が2750〜3500N/mmであることが好ましい。
また、本発明のディスプレイパネル洗浄ブラシ用ポリアミド繊維の製造方法は、硫酸相対粘度(ηr)が3.0〜3.6のポリアミド610樹脂またはポリアミド612樹脂を溶融押出機に供給し、紡糸口金を通して紡出された溶融糸条を冷却固化して引取ロールにより引き取り、次いで連続して2段以上の多段で熱延伸し、弛緩熱処理を施すことによりポリアミドマルチフィラメントを製造するに際し、前記冷却固化を空冷行うと共に、前記引取ロールによる引き取り時の紡糸ドラフトを15〜35の範囲で行うことを特徴とする。
本発明によれば、以下に説明するとおり、低吸湿性に優れると共に、柔軟性のある適度な毛腰を有し、かつ従来よりも屈曲回復性に優れたディスプレイパネル洗浄ブラシ用ポリアミド繊維を効率的に得ることができる。
実施例での評価に使用するチャンネル型ブラシの斜視図。 図1のチャンネル型ブラシを用いて形成した回転ブラシの断面図。 実施例で使用するディスプレイパネル基板洗浄装置の概略図。
本発明のディスプレイパネル洗浄ブラシ用ポリアミド繊維は、硫酸相対粘度(ηr)が3.0〜3.6のポリアミド610樹脂またはポリアミド612樹脂から構成されたポリアミドマルチフィラメントであって、該マルチフィラメントを構成している単繊維の屈曲回復率が80〜95%であることを特徴とする。
ポリアミドは吸水性を有するポリマであり、吸水により強度、ヤング率が低下する。ポリアミド6やポリアミド66などは吸水率が1.6%と高く、水中や湿潤条件下で使用されるディスプレイパネル洗浄ブラシとして用いると、強度やヤング率の低下が問題となる。ここで吸水率とは、ASTM−D570に従い23℃水に24時間浸漬した状態での吸水率のことである。
一方、吸水性の低いポリマとしては、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルがあるが、ポリエステルは分子構造上ポリアミドより剛直であり、ディスプレイパネル洗浄用ブラシとして使用するには毛腰が強すぎるため好ましくない。
よって、低吸水性のポリアミドがディスプレイパネル洗浄用ブラシとして好ましく使用できる。低吸水性ポリアミドとしてはポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12などが挙げられる。ポリアミド11、ポリアミド12は吸水率が0.25%以下と低いため水中での強度変化が小さいが、樹脂自体の強度、ヤング率が低く、低強度・低ヤング率の繊維しか得られない。ポリアミド610、ポリアミド612は吸水率が0.4%と、ポリアミド11、ポリアミド12よりはやや高いが、得られる繊維の強度・ヤング率が高いことから、ディスプレイパネル洗浄ブラシの原料として好適である。
また、本発明で用いられるポリアミド610またはポリアミド612には、必要に応じて着色剤、艶消剤、安定剤、紫外線吸収剤、静電剤、難燃剤および抗菌剤などの各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で任意に添加しても良い。
さらに、ポリアミド繊維のマルチフィラメントを構成する単繊維の断面形状は、丸断面以外にも異型断面であっても良く、特に限られるものではない。
本発明のディスプレイパネル洗浄ブラシ用ポリアミド繊維は、ポリアミド610またはポリアミド612の硫酸相対粘度(ηr)が3.0未満であると、ブラシとして使用される際に繰り返し受ける屈曲により折損し易く、高強度の繊維を安定して得ることができないため好ましくない。一方、硫酸相対粘度(ηr)が3.6を越える高粘度ポリマーであってもポリアミド繊維を得ることはできるが、この場合には固相重合に時間を要し、製造コストが高くなるため好ましくない。
また、後述の製造方法で得られるポリアミドマルチフィラメントを構成している単繊維の屈曲回復率は80〜95%の範囲にあることが必要である。屈曲回復率が80%未満であっても用いることはできるが、その場合はディスプレイパネル洗浄ブラシ用繊維としての耐久性が不十分なばかりか、毛開きを生じ洗浄性の効果を十分に発揮させることができない。一方、95%を超える屈曲回復率を有するポリアミド繊維を得ることは、現在の製糸技術では達成困難である。
さらに、本発明のポリアミドマルチフィラメントの総繊度は300〜3000dtexであることが好ましい。300dtexであっても用いることができるが、その場合はディスプレイパネル洗浄ブラシ用途として所望される繊維強力(N)を満たさなくなることが多くなるし、合糸や合撚糸して目的とする製品に加工されるため、総繊度が細いと効率が悪い点からも好ましくないといえる。一方、3000dtexを越える総繊度のポリアミドマルチフィラメントも得ることができるが、その場合は適当に合糸して用いれば良く、敢えて大型の製糸設備を用いて太繊度糸を製造する必要はない。
ポリアミドマルチフィラメントの単糸繊度は15〜40dtexであることが好ましく、更に好ましくは20〜30dtexである。単糸繊度が15dtex未満であると、使用時に摩擦を受けるディスプレイパネル洗浄ブラシ用繊維として用いる場合に、ブラシの剛性が低く洗浄効果が低下する傾向となる。一方、40dtexを越えると、製糸工程で十分均一な延伸をし難くなり、巻取機に巻取り難い場合があるばかりか、ブラシの剛性が高くなりすぎ、繰り返しの屈曲により曲がり癖が付き易くなって、ブラシ使用時の耐久性が低下する傾向となる。
ポリアミドマルチフィラメントの強度は5〜7cN/dtexであることが好ましく、更に好ましくは5.5〜6.5cN/dtexである。強度が5cN/dtex未満であると、ブラシ用途として有用に用い難くなる傾向が招かれる。一方、7cN/dtexを越える強度を得ようとすると、タフネスが低下し、製糸性や高次通過性が悪化するという好ましくない傾向が招かれる。
ポリアミドマルチフィラメントの交絡数は1〜5個/mであることが好ましく、更に好ましくは2〜3個/mである。交絡数が0個/mであると、糸条の収束性がなく、製糸性や高次通過性が悪化するという好ましくない傾向が招かれる。一方、5個/mを越えると、単糸間の集束が高まり、ディスプレイパネル洗浄ブラシ用繊維に適用したとしても、洗浄性の効果を十分に発揮させることができない傾向となる。
ポリアミドマルチフィラメントの湿ヤング率は2750〜3500N/mmであることが好ましく、更に好ましくは2800〜3400cN/mmである。1800N/mm未満であると、柔らかすぎてディスプレイパネル洗浄ブラシ用繊維に適用したとしても、洗浄性の効果を十分に発揮させることができない傾向となる。一方、3700N/mmを越えると、繊維全体が剛直になり、繰り返しの屈曲により曲がり癖が付き易くなりブラシ使用時の耐久性が低下する傾向が招かれる。
本発明のポリアミド繊維は溶融紡糸法により製造することができる。
すなわち、乾燥した樹脂ペレットを溶融押出機に供給し、軽量ポンプで計量したポリマは紡糸口金を通して溶融糸条を紡出する。紡糸されたポリアミド繊維は、冷却固化し、油剤を付与した後、引取ロールに捲回して引き取られる。その後、連続して2段以上の多段で熱延伸し、弛緩熱処理を施す方法により得られる。
本発明のポリアミド繊維は単糸直径が40〜65μmであり、一般的な空冷プロセスで得られる繊維と比較して未延伸糸の単糸直径が太い。したがって、紡糸口金から紡出された後、引取ロールにより捲回して引き取るまでに糸条が完全に冷却固化されていないと、線径ムラや強伸度バラツキが大きくなる。単糸直径の太い未延伸糸を完全に冷却固化させるために、引取ロールの回転速度は300〜3000m/分、好ましくは500〜2000m/分の範囲である。また、冷却風温度は15〜30℃、冷却風速は30m/分〜50m/分、好ましくは35〜45m/分の範囲である。
ただし、冷却風速を上記範囲とすると、糸条冷却部で単糸同士が衝突しやすくなる。それを回避するために硫酸相対粘度が3.0より高いポリマを使用し、溶融時張力が高い状態で引き取ることが重要である。
ポリアミドマルチフィラメントを構成している単繊維の屈曲回復率が80%以上ならびに生産性向上を達成するためには、空気により糸条を冷却すること、かつ紡糸ドラフトが15〜35の範囲となるようにポリアミド繊維の未延伸糸を引き取ることが必要である。
ここで、紡糸ドラフトとは、引取ロール速度を口金吐出線速度で徐した値である。
水などによる液冷法では、紡糸速度が低く未延伸糸表層の配向が進みにくい。また、糸条の冷却媒体である液体の熱伝達率が空気よりも大きく、繊維表層が低配向状態で冷却固化されてしまう。
一方、空冷紡糸においても、紡糸ドラフトが15未満では、未延伸糸表層の配向が進みにくく、紡糸ドラフトが35を超える場合は、繊維表層の配向が進みすぎて繰り返しの屈曲に対する耐久性が低下してしまうため好ましくない。
紡出糸条を十分に冷却固化できる引取速度で紡糸ドラフトを15〜35にするために、口金孔径は0.4〜0.6mm程度のものが好ましく使用される。
また、引取ロールにより引き取られた後、連続して2段以上の多段で熱延伸する。1段目の熱延伸は室温〜70℃、2段目以降の延伸は70〜170℃で実施する。総合延伸倍率は、3.0〜7.0倍、好ましくは3.5〜6.0の範囲で延伸する。更に連続して170℃〜融点近傍、好ましくは180〜210℃で熱処理した後、0.8〜1.0倍、好ましくは0.9〜0.98倍の弛緩熱処理を施すことにより製造する。
かくして効率的に得られる本発明のディスプレイパネル洗浄ブラシ用ポリアミド繊維は、低吸湿性に優れると共に、柔軟性のある適度な毛腰を有し、かつ従来よりも屈曲回復性に優れているため、液晶、プラズマ、有機EL等のディスプレイ生産工程におけるディスプレイパネル表面の汚れを洗浄するために使用するブラシとして最良の効果を発揮する。
以下、実施例をあげて、本発明を具体的に説明する。実施例中の各物性値は、下記の方法により測定した。なお、試料を気温20℃、相対湿度65%の状態で24時間以上放置した後に測定を実施した(ただし湿潤時測定は除く)。
(1)硫酸相対粘度:ポリマ試料を98%硫酸に1重量%の濃度で溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定し、次式に従い求めた。
硫酸相対粘度(ηr)=(試料溶液の滴下秒数)/(硫酸溶液滴下秒数)
各サンプルにつき2回の測定を行い、その平均値を採用した。
(2)単孔吐出量:1分間辺りの総吐出量Q(g/分)、孔数n、ポリマ密度ρ(g/cm)から、次式により算出した。なお、ポリマ密度は、ポリアミドポリマを1.0g/cmとして算出した。
単孔吐出量q(cm/分)=Q/nρ
(3)単孔面積:丸断面孔において、孔径A(mm)から、次式により算出した。
単孔面積S(mm)=π(A/2)
(4)吐出線速度:口金面での吐出線速度V0(m/分)について、単孔吐出量q(cm/分)と単孔面積S(mm)から次式により算出した。
吐出線速度V0(m/分)=(q/S)
(5)紡糸ドラフト:吐出線速度V0(m/分)と紡出後の最初のロール(第1ロール)の引取ロール速度V1(m/分)から次式により算出した。
紡糸ドラフト=V1/V0
(6)屈曲回復率:ポリアミドマルチフィラメントを構成している単繊維から交差させた2本1組のループを作り、上方ループを止め金に固定し、下方ループに荷重(単繊維の繊度[dtex]の1/2の荷重[g]の重り)を3分間かけた後、ループの交差点で形成された1対の松葉状に屈曲したサンプルを長さ約3cmにカットして採取し、これを60分間放置した後測定した開角度(θ)から、次式によって屈曲回復率を測定した。
屈曲回復率(%)=(θ°/180°)×100
ただし、θを開き角度とし、屈曲回復率の数値が大きいほど回復性が優れていることを示し、80〜95%の屈曲回復率を合格とした。
(7)総繊度:JIS L1013(1999)8.3.1正量繊度a)A法に準じ、正量繊度を測定して、総繊度とした。
(8)単糸繊度:正量繊度をフィラメント本数で徐して求めた。
(9)強度:ポリアミドマルチフィラメントを構成している単繊維をJIS L1013(1999)8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定した。試料をオリエンテック社製“テンシロン”(TENSILON)UCT−100を用い、掴み間隔は25cm、引張り速度は30cm/分で行った。
(10)交絡数:ポリアミドマルチフィラメントを水浸漬法により長さ1mm以上の交絡部の個数を測定し、1mあたりの個数に換算した。原糸10本を測定し、その平均値で示した。水浸漬バスは、長さ70cm、幅15cm、深さ5cmで、長手方向の両端より10cmの位置に仕切板を設けたものを用いた。このバスに純水を満たし、原糸サンプルを水浸させ、交絡部個数を測定した。なお、油剤等の不純物の影響を排除するために測定毎に純水を交換した。
(11)湿ヤング率:ポリアミドマルチフィラメントを構成している単繊維を20±2℃に調整した水中に24時間浸漬させた後、JIS L1013(1999)8.10に記載の初期引張抵抗度で測定し、次式によってヤング率に変換した。試料の掴み間隔は25cm、引張り速度は30cm/分で行った。
ヤング率(N/mm)=1000×ρ×Tri
(ρ:比重、Tri:初期引張抵抗度)
(12)洗浄性能評価方法:得られたポリアミド繊維20本をクリールに掛け、直径0.65mのカセ取り装置により500回カセ取りし、単糸数50万本のカセとした。なお、繊維パッケージをクリールに掛ける際は、解舒撚りが発生しないように紙管の回転軸と垂直方向に解舒した。得られたカセの一部を切断し、一端をバラけないように単糸同士を熱融着させた。融着している端面を固定端として吊り下げて櫛を通し、カセに着いた曲がりや単糸同士の絡まりを解除した。延ばしたカセに紙製テープを巻き付け棒状とし、長さ50mmに切断し、ブラシ用毛材とした。当該毛材を図1に示すように、二つ折りにして芯材2に直交するように乗せ、該二つ折り基部を芯材2と一緒にU字形チャンネル3で挟着してチャンネル形ブラシを形成する。次に、図2に示すように、上記チャンネル形ブラシ4を回転軸5に密着螺旋巻きして回転ブラシ6を形成し、該回転ブラシ6周面の毛先を刈り揃え、高密度にブラシ材3を植装した同回転ブラシ6を得る。なお、当該ブラシの毛の長さは18mmであった。上記回転ブラシ6の毛先を、図3に示す液晶ディスプレイパネル用のガラス基板洗浄装置7に取り付け、基板洗浄を行った。また、全てのブラシは純水中で40kHzの超音波洗浄を30分間行った後で処理装置に取り付けた。
本実施例の洗浄性能評価方法を図3に基づき以下に示す。
純水供給管8より純水を吐出し、ロールブラシ3を100回転/分で回転させ、基板9を20mm/sで搬送した。ブラシ3の基板9への押しつけ量は1mmとした。基板9表面の状態は、上記の洗浄処理した後にその表面を光学顕微鏡により観察し、処理効果を比較する方法で行なった。また、ブラシの耐久性を評価するため、ガラス基板1000枚の洗浄を実施し、洗浄1回目と1000回目で洗浄性能の評価を下記とした。異物数とは、洗浄後の基板9表面に残存する異物の数である。
○:洗浄性能に優れている(異物数が10個以下)
△:やや洗浄性能に劣る(異物数が11〜30個)
×:洗浄性能に劣る(異物数が31個以上)
[実施例1]
硫酸相対粘度3.2のポリアミド610樹脂(東レ社製CM2021)を、275℃の1軸エクストルーダー式押出機に連続的に供給し連続的に溶融した。溶融ポリマをギアポンプにより計量し、パック内では30ミクロンカットのフィルターを通過し、孔径0.5mm、孔長1.0mmの単孔が60個開けられた口金より押し出した。押し出された溶融糸条は口金下には、長さ20cm、280℃の加熱筒により加熱された空間を通過した後、該加熱筒の直下に取り付けられた長さ120cmのユニフローチムニーにより、温度25℃、風速40m/分の空気を糸条の直角方向から吹き付けることで冷却固化した。
固化した糸条には一旦巻き取ることなく連続して油剤を付与し、次いで室温・速度525m/分の第1ロール(1FR)、70℃・速度565m/分の第2ロール(2FR)、160℃・速度1400m/分の第3ロール(1DR)、210℃・速度2000m/分の第4ロール(2DR)、40℃・速度1960m/分の第5ロール(RR)に連続して通すことで、紡糸ドラフト23で引き取った後延伸し、紙管に円筒状に巻き取ることでポリアミド繊維を得た。
このようにして得られた繊維をブラシ化し、ガラス基板の洗浄性能を評価した。表1に得られたポリアミド繊維の特性ならびに洗浄性能の評価結果を示す。
[実施例2]
ポリマを硫酸相対粘度3.6のポリアミド612(ダイセル・エボニック社製D22)に変更した以外は、実施例1と同様の方法によりポリアミド繊維を得た。このようにして得られた繊維を実施例1と同様の方法でブラシ化し、ガラス基板の洗浄性能を評価した。表1に得られたポリアミド繊維の特性ならびに洗浄性能の評価結果を示す。
[実施例3]
1FRの速度を645m/分、2FRの速度を690m/分、1DRの速度を1600m/分に変更し紡糸ドラフト28で引き取った以外は、実施例1と同様の方法によりポリアミド繊維を得た。このようにして得られた繊維を実施例1と同様の方法でブラシ化し、ガラス基板の洗浄性能を評価した。表1に得られたポリアミド繊維の特性ならびに洗浄性能の評価結果を示す。
[実施例4]
1FRの速度を400m/分、2FRの速度を430m/分、1DRの速度を1520m/分に変更し紡糸ドラフト17で引き取った以外は、実施例1と同様の方法によりポリアミド繊維を得た。このようにして得られた繊維を実施例1と同様の方法でブラシ化し、ガラス基板の洗浄性能を評価した。表1に得られたポリアミド繊維の特性ならびに洗浄性能の評価結果を示す。
[実施例5]
口金孔径を0.4mm、孔長を0.8mmに変更し紡糸ドラフト15で引き取った以外は、実施例1と同様の方法によりポリアミドマルチ繊維を得た。このようにして得られた繊維を実施例1と同様の方法でブラシ化し、ガラス基板の洗浄性能を評価した。表1に得られたポリアミド繊維の特性ならびに洗浄性能の評価結果を示す。
[実施例6]
口金孔径を0.6mm、孔長を1.2mmに変更し紡糸ドラフト33で引き取った以外は、実施例1と同様の方法によりポリアミドマルチ繊維を得た。このようにして得られた繊維を実施例1と同様の方法でブラシ化し、ガラス基板の洗浄性能を評価した。表1に得られたポリアミド繊維の特性ならびに洗浄性能の評価結果を示す。
[比較例1]
口金孔径を0.35mm、孔長を0.7mmに変更し紡糸ドラフト11で引き取った以外は、実施例1と同様の方法によりポリアミド繊維を得た。このようにして得られた繊維を実施例1と同様の方法でブラシ化し、ガラス基板の洗浄性能を評価した。表1に得られたポリアミド繊維の特性ならびに洗浄性能の評価結果を示す。
[比較例2]
口金孔径を0.7mm、孔長を1.4mmに変更し紡糸ドラフト45で引き取った以外は、実施例1と同様の方法によりポリアミド繊維を得た。このようにして得られた繊維を実施例1と同様の方法でブラシ化し、ガラス基板の洗浄性能を評価した。表1に得られたポリアミド繊維の特性ならびに洗浄性能の評価結果を示す。
[比較例3]
硫酸相対粘度2.7のポリアミド610樹脂(東レ社製CM2001)を使用したこと以外は、実施例1と同様としたが、ブラシ用ポリアミド繊維に必要となる屈曲回復率、強度ならびに湿ヤング率等を得るための条件では製糸困難であり、ポリアミド繊維を得ることはできなかった。
[比較例4]
硫酸相対粘度2.7のポリアミド610樹脂(東レ社製CM2021)を、255℃の1軸エクストルーダー式押出機に連続的に供給し連続的に溶融した。溶融ポリマをギアポンプにより計量し、パック内では30ミクロンカットのフィルターを通過し、孔径0.35mm、孔長1.225mmの単孔が40個開けられた口金より押し出した。押し出された溶融糸条は口金下には長さ5cm、280℃の加熱筒により加熱された空間を通過した後、該加熱筒の直下に取り付けられた冷却水槽により冷却固化した。なお、冷却水槽は水温15℃の水で満たされている。冷却された糸条は引き続き速度40m/分の第1ロール、速度170m/分の第2ロール、速度250m/分の第3ロール、速度245m/分の第4ロールに連続して通すことで紡糸ドラフト7で引き取った後延伸し、巻き取り直前に油剤を付与しポリアミド繊維を得た。このようにして得られた繊維を実施例1と同様の方法でブラシ化し、ガラス基板の洗浄性能を評価した。表1に得られたポリアミド繊維の特性ならびに洗浄性能の評価結果を示す。
Figure 2011001635
本発明のディスプレイパネル洗浄ブラシ用ポリアミド繊維は、低吸湿性に優れると共に、柔軟性のある適度な毛腰を有し、かつ従来よりも屈曲回復性に優れているため、液晶、プラズマ、有機EL等のディスプレイ生産工程におけるディスプレイパネル表面の汚れを洗浄するために使用するブラシとして最良の効果を発揮する。
1:ブラシ用毛材
2:チャンネル型ブラシ用芯材
3:U字型チャンネル
4:回転ブラシ
5:回転軸
6:チャンネル型ブラシ
7:ガラス基板洗浄装置
8:純水供給管
9:ガラス基板
10:搬送ローラ
11:エアナイフ
12:ブラシ室カバー
13:装置カバー

Claims (3)

  1. 硫酸相対粘度(ηr)が3.0〜3.6のポリアミド610樹脂またはポリアミド612樹脂から構成されたポリアミドマルチフィラメントであって、該マルチフィラメントを構成している単繊維の屈曲回復率が80〜95%であることを特徴とするディスプレイパネル洗浄ブラシ用ポリアミド繊維。
  2. 前記ポリアミドマルチフィラメントの総繊度が300〜3000dtex、単糸繊度が15〜40dtex、強度が5〜7cN/dtex、交絡数が1〜5個/m、湿ヤング率が2750〜3500N/mmであることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイパネル洗浄ブラシ用ポリアミド繊維。
  3. 硫酸相対粘度(ηr)が3.0〜3.6のポリアミド610樹脂またはポリアミド612樹脂を溶融押出機に供給し、紡糸口金を通して紡出された溶融糸条を冷却固化して引取ロールにより引き取り、次いで連続して2段以上の多段で熱延伸し、弛緩熱処理を施すことによりポリアミドマルチフィラメントを製造するに際し、前記冷却固化を空冷行うと共に、前記引取ロールによる引き取り時の紡糸ドラフトを15〜35の範囲で行うことを特徴とする請求項1または2記載のディスプレイパネル洗浄ブラシ用ポリアミド繊維の製造方法。
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