JP2021007184A - ディスクリートキャパシタおよびその製造方法 - Google Patents

ディスクリートキャパシタおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた直流バイアス特性を実現できるディスクリートキャパシタおよびその製造方法を提供する。【解決手段】基板3の表面部に形成された不純物拡散層13と、基板3上に形成され、不純物拡散層13を露出させる第1開口15および第2開口16を有するシリコン酸化膜14と、第1開口15においてシリコン酸化膜14から露出した不純物拡散層13上に形成された誘電体膜17と、基板3上に形成され、誘電体膜17を挟んで不純物拡散層13と対向する上部電極膜22とを含む。第1開口15に設けられた第1外部電極28と第2開口16に設けられた第2外部電極29は、基板3の一端部側と他端部側において対称に配置した。【選択図】図16

Description

本発明は、ディスクリートキャパシタおよびその製造方法に関する。
特許文献1は、基板と、基板上に形成されたONO膜と、ONO膜を挟んで基板と対向する上部電極と、上部電極と間隔を空けて基板上に形成され、当該基板に直接接続された下部電極とを含む、チップキャパシタを開示している。
特開2013−168633号公報
本発明の目的は、優れた直流バイアス特性を実現できるディスクリートキャパシタおよびその製造方法を提供することである。
本発明の一局面に係るディスクリートキャパシタは、基板と、前記基板の表面部に形成された不純物拡散層と、前記基板上に形成され、前記不純物拡散層を選択的に露出させる第1開口を有する酸化膜と、前記酸化膜から露出した前記不純物領域上に形成された誘電体膜と、前記基板上に形成され、前記誘電体膜を挟んで前記不純物拡散層と対向する第1電極とを含み、前記不純物拡散層の表面部における不純物濃度が、5×1019cm−3以上である。
ディスクリートキャパシタの電気的特性の一つに、直流バイアス特性がある。直流バイアス特性とは、直流バイアスに対する容量値変動率のことをいう。ディスクリートキャパシタの信頼性上、直流バイアスに対する容量値変動率が小さい方が好ましい。そこで、本発明のように、不純物拡散層の表面部における不純物濃度を5×1019cm−3以上にすることにより、直流バイアスに対する容量値変動率を小さくできる。たとえば、本発明によれば、直流バイアスに対する容量値変動率の絶対値の範囲として、−10V〜+10Vの直流バイアスの範囲において|0.1|%/V以下を実現できる。
本発明の他の局面に係るディスクリートキャパシタは、基板と、前記基板の表面部に形成された不純物拡散層と、前記基板上に形成され、前記不純物拡散層を選択的に露出させる第1開口を有する酸化膜と、前記酸化膜から露出した前記不純物領域上に形成された誘電体膜と、前記基板上に形成され、前記誘電体膜を挟んで前記不純物拡散層と対向する第1電極とを含み、直流バイアスに対する容量値変動率の絶対値の範囲が、−10V〜+10Vの直流バイアスの範囲において|0.1|%/V以下である。
この構成によれば、直流バイアスに対する容量値変動率の絶対値の範囲が、−10V〜+10Vの直流バイアスの範囲において|0.1|%/V以下であるので、優れた直流バイアス特性を実現できるディスクリートキャパシタを提供できる。
前記ディスクリートキャパシタにおいて、前記誘電体膜が、ボトム酸化膜/窒化膜/トップ酸化膜の順に積層されたONO膜であってもよい。
前記ディスクリートキャパシタにおいて、前記ONO膜の総厚さは、390Å〜460Åであってもよい。
前記ディスクリートキャパシタにおいて、前記ボトム酸化膜の厚さは、100Å〜130Åであり、前記窒化膜の厚さは、100Å〜110Åであり、前記トップ酸化膜の厚さは、190Å〜220Åであってもよい。
前記ディスクリートキャパシタにおいて、前記第1電極は、前記第1開口上に形成され、外部電極が接続されるパッド領域を含んでいてもよい。
この構成によれば、第1開口上に外部接続電極が接続されるパッド領域が形成されているので、第1開口上の領域を有効活用できる。
前記ディスクリートキャパシタにおいて、前記酸化膜の厚さが、8000Å〜12000Åであってもよい。
この構成によれば、第1電極の一部が酸化膜上にオーバラップして、不純物拡散層との間に寄生容量が形成されたとしても、第1電極のオーバラップ部と、不純物拡散層とを十分に離間させることができる。キャパシタの容量値は、距離(つまり、不純物拡散層と、第1電極のオーバラップ部との間の距離)に反比例するため、これにより、寄生容量の容量成分を効果的に低減できる。その結果、設計値と測定値との間に誤差の少ない容量値を有するディスクリートキャパシタを提供できる。
前記ディスクリートキャパシタにおいて、前記酸化膜は、前記第1開口から間隔を空けて形成された第2開口をさらに有し、前記不純物拡散層は、前記第2開口の直下の領域に延びており、前記第1電極と同一の導電材料で形成され、かつ前記第2開口を介して前記不純物拡散層と直接接続された第2電極をさらに含んでいてもよい。
前記ディスクリートキャパシタにおいて、前記基板が、n型の半導体基板であり、前記不純物拡散層が、n型不純物が導入された領域であってもよい。
前記ディスクリートキャパシタにおいて、前記基板が、p型の半導体基板であり、前記不純物拡散層が、n型不純物が導入された領域であってもよい。
前記ディスクリートキャパシタにおいて、前記n型不純物が、燐であることが好ましい。
前記ディスクリートキャパシタにおいて、前記不純物拡散層が、前記基板の表面部全域に形成されていてもよい。
この構成によれば、下部電極を兼ねる不純物拡散層が基板の表面部全域に形成されている。したがって、製造時に、第1電極が設計した位置に対してずれて形成されても、第1電極全体を確実に不純物拡散層に対向させることができる。そのため、位置ずれ等の設計ばらつきに強いディスクリートキャパシタを提供できる。
本発明の一局面に係るディスクリートキャパシタの製造方法は、基板の表面部に不純物を導入して、不純物拡散層を形成する第1不純物導入工程と、950℃〜1000℃の温度での熱酸化処理によって、前記基板上に酸化膜を形成する工程と、前記酸化膜を選択的に除去して、前記不純物拡散層の表面を選択的に露出させる工程と、露出した前記不純物拡散層上に誘電体膜を形成する工程と、前記誘電体膜を挟んで前記不純物拡散層と対向する第1電極を形成する工程とを含む。
熱酸化処理時間の短縮の観点から、基板上の熱酸化膜は、比較的に高い温度で形成される。たとえば、熱酸化処理温度が1100℃であれば2時間50分程度で十分な厚さを有する酸化膜を形成できる。しかし、比較的に高い熱酸化処理温度で酸化膜を形成すると、酸化膜の形成前に基板の表面部に導入された不純物が広く拡散する場合がある。そのため、熱酸化処理後では、不純物拡散層の表面部における不純物濃度が低下し、それに伴って直流バイアスに対する容量値変動率が増加する。
そこで、本発明の方法のように、950℃〜1000℃という比較的に低い温度で酸化膜を形成することによって、熱酸化処理工程時における不純物の拡散を抑制できる。その結果、不純物拡散層の表面部における不純物濃度の低下を抑制できるので、優れた直流バイアス特性を実現できるディスクリートキャパシタを提供できる。
本発明の他の局面に係るディスクリートキャパシタの製造方法は、基板の表面部に不純物を導入して、不純物拡散層を形成する第1不純物導入工程と、熱酸化処理によって、前記基板上に酸化膜を形成する工程と、前記酸化膜を選択的に除去して、前記不純物拡散層の表面を選択的に露出させる工程と、前記不純物拡散層の表面部に、前記不純物と同一導電型の不純物を導入する第2不純物導入工程と、露出した前記不純物拡散層上に誘電体膜を形成する工程と、前記誘電体膜を挟んで前記不純物拡散層と対向する第1電極を形成する工程とを含む。
この方法によれば、第2不純物導入工程によって不純物拡散層の表面部に不純物が補填されるので、当該第2不純物導入工程よりも前に不純物拡散層の表面部における不純物濃度を低下させる要因があっても、不純物拡散層の表面部における不純物濃度の低下を抑制できる。よって、優れた直流バイアス特性を実現できるディスクリートキャパシタを提供できる。
本発明のさらに他の局面に係るディスクリートキャパシタの製造方法は、基板の表面部に不純物を導入して、不純物拡散層を形成する第1不純物導入工程と、950℃〜1000℃の温度での熱酸化処理によって、前記基板上に酸化膜を形成する工程と、前記酸化膜を選択的に除去して、前記不純物拡散層の表面を選択的に露出させる工程と、前記不純物拡散層の表面部に、前記不純物と同一導電型の不純物を導入する第2不純物導入工程と、露出した前記不純物拡散層上に誘電体膜を選択的に形成する工程と、前記誘電体膜を挟んで前記不純物拡散層と対向する第1電極を形成する工程とを含む。
この方法によれば、比較的に低い温度で酸化膜が形成される上に、第1不純物導入工程に加えて、第2不純物導入工程が実行される。したがって、不純物拡散層の表面部における不純物濃度の低下を効果的に抑制できる。これにより、一層優れた直流バイアス特性を実現できるディスクリートキャパシタを提供できる。
前記ディスクリートキャパシタの製造方法において、前記誘電体膜を形成する工程は、ボトム酸化膜/窒化膜/トップ酸化膜を順に積層して、ONO膜を形成する工程を含むことが好ましい。
前記ディスクリートキャパシタの製造方法において、前記ONO膜を形成する工程は、100Å〜130Å厚のボトム酸化膜を形成する工程と、100Å〜110Å厚の窒化膜を形成する工程と、190Å〜220Å厚のトップ酸化膜を形成する工程とを含むことが好ましい。
前記ディスクリートキャパシタの製造方法において、前記基板が、n型の半導体基板であり、前記第1不純物導入工程は、前記基板の表面部にn型の不純物を導入する工程を含んでいてもよい。
前記ディスクリートキャパシタの製造方法において、前記基板が、p型の半導体基板であり、前記第1不純物導入工程は、前記基板の表面部にn型の不純物を導入する工程を含んでいてもよい。
前記ディスクリートキャパシタの製造方法において、前記第1不純物導入工程が、前記基板の表面に燐を堆積させる工程と、前記基板に対してドライブイン処理を施して前記不純物を拡散させる工程とを含むことが好ましい。
この方法によれば、不純物拡散層は、いわゆるリンデポ工程により形成される。第1不純物導入工程が、リンデポ工程であれば、基板の表面から不純物を拡散させることができるので、不純物拡散層の表面部における不純物濃度の低下を抑制できる。
前記ディスクリートキャパシタの製造方法において、前記第2不純物導入工程が、前記基板の表面に燐を堆積させる工程と、前記基板に対してドライブイン処理を施して前記不純物を拡散させる工程とを含むことが好ましい。
この方法によれば、第2不純物導入工程が、リンデポ工程である。つまり、酸化膜の形成後においても、基板の表面から不純物を拡散させることができるので、不純物を良好に不純物拡散層の表面部に補填できる。これにより、不純物拡散層の表面部における不純物濃度の低下を効果的に抑制できる。
前記ディスクリートキャパシタの製造方法において、前記第1不純物導入工程が、前記基板の表面部全域に不純物を導入する工程を含むことが好ましい。
この構成によれば、下部電極を兼ね不純物拡散層が基板の表面部全域に形成されている。したがって、製造時に、第1電極が設計した位置に対してずれて形成されても、第1電極全体を確実に不純物拡散層に対向させることができる。これにより、位置ずれ等の設計ばらつきに強いディスクリートキャパシタを提供できる。
図1は、本発明の第1実施形態に係るディスクリートキャパシタの模式的な斜視図である。 図2は、図1に示すディスクリートキャパシタの模式的な平面図である。 図3は、図2に示す切断面線III-IIIから見た断面図である。 図4は、図3に示す誘電体膜を含む領域を拡大した断面図である。 図5は、図1に示すディスクリートキャパシタの第1製造方法を説明するためのフローチャートである。 図6は、図5の第1製造方法に適用される半導体ウエハの模式的な平面図である。 図7Aは、図5の第1製造方法の一工程を説明するための模式的な断面図である。 図7Bは、図7Aの次の工程を示す図である。 図7Cは、図7Bの次の工程を示す図である。 図7Dは、図7Cの次の工程を示す図である。 図7Eは、図7Dの次の工程を示す図である。 図7Fは、図7Eの次の工程を示す図である。 図7Gは、図7Fの次の工程を示す図である。 図7Hは、図7Gの次の工程を示す図である。 図8は、一参考例に係るディスクリートキャパシタの直流バイアス対容量値変動率を示すグラフである。 図9は、他の参考例に係るディスクリートキャパシタの直流バイアス対容量値変動率を示すグラフである。 図10は、図5に示す第1製造方法を経て製造されたディスクリートキャパシタの直流バイアス対容量値変動率を示すグラフである。 図11は、図1に示すディスクリートキャパシタの第2製造方法を説明するためのフローチャートである。 図12Aは、図11の第2製造方法の一工程を説明するための模式的な断面図である。 図12Bは、図12Aの次の工程を示す図である。 図13は、図11に示す第2製造方法を経て製造されたディスクリートキャパシタの直流バイアス対容量値変動率を示すグラフである。 図14は、半導体ウエハ(基板)の濃度プロファイルを説明するためのグラフである。 図15は、図14に示す不純物拡散層の表面部における不純物濃度を説明するためのグラフである。 図16は、本発明の第2実施形態に係るディスクリートキャパシタの模式的な平面図である。 図17は、図16に示すディスクリートキャパシタの電気回路図である。 図18は、図16に示すディスクリートキャパシタの製造方法を説明するためのフローチャートである。 図19は、変形例に係るディスクリートキャパシタの直流バイアス対容量値変動率を示すグラフである。 図20は、第1参考例に係るディスクリートキャパシタの模式的な斜視図である。 図21は、図20に示すディスクリートキャパシタの模式的な平面図である。 図22は、図21に示す切断面線XXII-XXIIから見た断面図である。 図23は、図22に示す誘電体膜を含む領域を拡大した断面図である。 図24は、図20に示す誘電体膜における窒化膜対HBM試験におけるESD耐量を示すグラフである。 図25は、図20に示す誘電体膜における窒化膜対誘電体膜の温度係数を示すグラフである。 図26は、図25に示すグラフを温度対容量値変動率に変更したグラフである。 図27は、図20に示すディスクリートキャパシタの製造方法を説明するためのフローチャートである。 図28は、図27に示す製造方法に適用される半導体ウエハの模式的な平面図である。 図29Aは、図28に示す製造方法の一工程を説明するための模式的な断面図である。 図29Bは、図29Aの次の工程を示す図である。 図29Cは、図29Bの次の工程を示す図である。 図29Dは、図29Cの次の工程を示す図である。 図29Eは、図29Dの次の工程を示す図である。 図29Fは、図29Eの次の工程を示す図である。 図29Gは、図29Fの次の工程を示す図である。 図29Hは、図29Gの次の工程を示す図である。 図30は、第2参考例に係るディスクリートキャパシタの模式的な平面図である。 図31は、図30に示すディスクリートキャパシタの電気回路図である。 図32は、図30に示すディスクリートキャパシタの製造方法を説明するためのフローチャートである。 図33は、第3参考例に係るディスクリートキャパシタの模式的な斜視図である。 図34は、図33に示すディスクリートキャパシタの模式的な平面図である。 図35は、図34に示す切断面線XXXV-XXXVから見た断面図である。 図36は、図35に示す誘電体膜を含む領域を拡大した断面図である。 図37は、図33に示すディスクリートキャパシタの製造方法を説明するためのフローチャートである。 図38は、図37に示す製造方法に適用される半導体ウエハの模式的な平面図である。 図39Aは、図37に示す製造方法の一工程を説明するための模式的な断面図である。 図39Bは、図39Aの次の工程を示す図である。 図39Cは、図39Bの次の工程を示す図である。 図39Dは、図39Cの次の工程を示す図である。 図39Eは、図39Dの次の工程を示す図である。 図39Fは、図39Eの次の工程を示す図である。 図39Gは、図39Fの次の工程を示す図である。 図39Hは、図39Gの次の工程を示す図である。 図40は、参考例に係るディスクリートキャパシタの電気回路図である。 図41は、図33に示すディスクリートキャパシタの電気回路図である。 図42は、第4参考例に係るディスクリートキャパシタの模式的な平面図である。 図43は、図42に示すディスクリートキャパシタの電気回路図である。 図44は、図42に示すディスクリートキャパシタの製造方法を説明するためのフローチャートである。
以下では、本発明の実施の形態および参考例(第1〜第4参考例)に係る形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るディスクリートキャパシタ1の模式的な斜視図である。図2は、図1に示すディスクリートキャパシタ1の模式的な平面図である。図3は、図2に示す切断面線III-IIIから見た断面図である。図4は、図3に示す誘電体膜17を含む領域を拡大した断面図である。
ディスクリートキャパシタ1は、ウエハから切り出されたチップのサイズをパッケージのサイズとして有するウエハレベルチップサイズパッケージからなる微小なチップ部品であり、本体部を構成する基板3を含む。基板3は、半導体基板である。基板3としては、n型のシリコン基板、n型のシリコン基板、p型のシリコン基板、またはp型のシリコン基板を採用できる。本実施形態では、基板3として、p型のシリコン基板が採用された例について説明する。抵抗値に関して、n型のシリコン基板の抵抗値は2Ω〜3Ωであり、n型のシリコン基板の抵抗値は1.3mΩであり、p型のシリコン基板の抵抗値は25Ω〜30Ωであり、p型のシリコン基板の抵抗値は3mΩであることが好ましい。
基板3は、一端部および他端部を有する略長方体形状に形成されている。基板3の平面形状は、長手方向に沿う長辺6の長さL1が、0.3mm〜0.6mmであり、短手方向に沿う短辺7の長さD1が、0.15mm〜0.3mmである。また、基板3の厚さT1は、たとえば0.1mmである。つまり、基板3としては、いわゆる0603チップ、0402チップ、03015チップ等が適用される。
基板3の各コーナー部8は、平面視で面取りされたラウンド形状であってもよい。ラウンド形状であれば、製造工程や実装時におけるチッピングを抑制できる構造となる。基板3の表面の内方部にキャパシタが形成されている。以下では、キャパシタが形成されている側の表面を素子形成面4といい、その反対側の面を裏面5という。
基板3の表面部には、n型の不純物拡散層13が形成されている。本実施形態では、不純物拡散層13が、基板3の表面部の全域に形成され、基板3の側面から露出している。不純物拡散層13は、たとえばn型不純物の一例としてのリン(P)が導入された領域であり、特に、不純物拡散層13の表面部の不純物濃度は、5×1019cm−3を超えている。不純物拡散層13の表面部の不純物濃度は、より具体的には、5×1019cm−3を超えて2×1020cm−3以下である。不純物拡散層13の表面部とは、基板3の素子形成面4から深さ方向に0μm〜3μm程度(より具体的には、1μm程度)の深さまでの範囲のことをいう。
基板3が、n型のシリコン基板の場合、n型の不純物拡散層13は、n型のシリコン基板の不純物濃度と等しい不純物濃度を有している。この場合、n型のシリコン基板は、その表面部から深さ方向に向けて、同一の不純物濃度プロファイル(たとえば、1×1020cm−3)を有している。
基板3の素子形成面4には、シリコン酸化膜14が形成されている。シリコン酸化膜14の厚さは、たとえば8000Å〜12000Å(本実施形態では、10000Å)である。シリコン酸化膜14は、不純物拡散層13を選択的に露出させる第1開口15と、第1開口15から間隔を空けて形成された第2開口16とを有する。
第1開口15は、基板3の長辺6および短辺7に沿って、基板3の一端部側から基板3の他端部側に向けて延びるように平面視長方形状に形成されている(図2の破線部参照)。一方、第2開口16は、基板3の他端部側において、基板3の短辺7に沿って平面視長方形状に形成されている(図2の破線部参照)。
基板3上には、誘電体膜17と、本発明の第1電極の一例としての上部電極膜22と、本発明の第2電極の一例としてのコンタクト電極膜25とが形成されている。
誘電体膜17は、第1開口15から露出する不純物拡散層13の表面に接しており、基板3の一端部側から他端部側に向けて延びるように平面視四角形状に形成されている。より具体的に、誘電体膜17は、不純物拡散層13を覆うように当該不純物拡散層13の表面からシリコン酸化膜14の側部に沿って形成されており、シリコン酸化膜14の側部および上部の一部を覆うオーバラップ部17aを含む。本実施形態における誘電体膜17は、複数の絶縁膜が積層された積層構造を有している。
図4に示すように、誘電体膜17は、ボトム酸化膜19/窒化膜20/トップ酸化膜21の順に積層されたONO膜である。ボトム酸化膜19およびトップ酸化膜21は、SiO膜からなり、窒化膜20は、SiN膜からなる。誘電体膜17の総厚さは、390Å〜460Åであってもよい。ボトム酸化膜19の厚さは、たとえば100Å〜130Åであり、窒化膜20の厚さは、たとえば100Å〜110Åであり、トップ酸化膜21の厚さは、たとえば190Å〜220Åである。
また、誘電体膜17は、ONO膜に代えて、酸化膜であってもよい。誘電体膜17が酸化膜からなる場合、厳密には、ONO膜から窒化膜20が取り除かれたボトム酸化膜19/トップ酸化膜21であり、各酸化膜19,21の厚さは、いずれも200Å〜260Åである。
上部電極膜22は、誘電体膜17の平面形状に倣って形成されている、つまり、上部電極膜22は、当該誘電体膜17を挟んで不純物拡散層13と対向しており、シリコン酸化膜14の側部および上部の一部を覆うオーバラップ部22aを含む。より具体的に、上部電極膜22は、誘電体膜17を挟んで不純物拡散層13と対向するパッド領域23およびベース領域24を有している。
パッド領域23およびベース領域24は、コンタクト電極膜25に対して、パッド領域23およびベース領域24の順に配置されている。つまり、基板3の表面に沿って、パッド領域23とコンタクト電極膜25との間に、ベース領域24が配置されている。これにより、基板3の表面方向に沿って、パッド領域23およびコンタクト電極膜25間における電極干渉を抑制できる。
本実施形態では、下部電極としての不純物拡散層13、誘電体膜17、ならびにパッド領域23およびベース領域24が一体となった上部電極膜22によって、一つのキャパシタ要素C0が構成されている。
コンタクト電極膜25は、第2開口16を介して、当該第2開口16の直下の領域に延びる不純物拡散層13と直接接続されている。コンタクト電極膜25は、不純物拡散層13を覆うように当該不純物拡散層13の表面に沿って形成されており、シリコン酸化膜14の側部および上部の一部を覆うオーバラップ部25aを含む。
上部電極膜22およびコンタクト電極膜25は同一の導電材料からなっており、たとえば、Al,AlCu,AlSiCu等の導電材料を例示できる。上部電極膜22およびコンタクト電極膜25は、シリコン酸化膜14上において、上部電極膜22およびコンタクト電極膜25の各周縁部を縁取るスリット30によって、電気的に分離されている。
シリコン酸化膜14上には、上部電極膜22およびコンタクト電極膜25を覆うようにパッシベーション膜31および樹脂膜32がこの順に形成されている。また、パッシベーション膜31は、基板3の側面にも形成されている。基板3の側面を被覆するパッシベーション膜31は、基板3の側面において不純物拡散層13を被覆している。パッシベーション膜31は、たとえば窒化シリコン、またはUSG(Undoped Silica Glass)を含み、樹脂膜32は、たとえばポリイミドからなる。パッシベーション膜31および樹脂膜32は、保護膜を構成しており、上部電極膜22およびコンタクト電極膜25、ならびに素子形成面4への水分の浸入を抑制または防止すると共に、外部からの衝撃等を吸収し、ディスクリートキャパシタ1の耐久性の向上に寄与している。
パッシベーション膜31および樹脂膜32には、上部電極膜22のパッド領域23、およびコンタクト電極膜25を選択的に露出させるパッド開口33,34が形成されている。パッド開口33,34を埋め戻すように第1接続電極28(第1外部電極)および第2接続電極29(第2外部電極)が形成されている。
第1および第2接続電極28,29は、基板3上において、互いに間隔を空けて形成されている。第1接続電極28は、基板3の一端部側において、上部電極膜22のパッド領域23と接続されている。また、第2接続電極29は、基板3の他端部側において、コンタクト電極膜25と接続されている。第1および第2接続電極28,29は、基板3の短辺7に沿って、平面視略長方形状に形成されている。第1および第2接続電極28,29は、樹脂膜32の表面から突出していて、樹脂膜32よりも高い位置(基板3から遠い位置)に表面を有しており、パッド開口33,34の開口端から樹脂膜32の表面に跨るオーバラップ部を有している。図3では図示を省略しているが、第1および第2接続電極28,29は、Ni層、Pd層およびAu層を素子形成面4側からこの順で有している。
第1および第2接続電極28,29のそれぞれにおいて、Ni層は各接続電極の大部分を占めており、Pd層およびAu層は、Ni層に比べて格段に薄く形成されている。Ni層は、ディスクリートキャパシタ1が実装基板に実装された際に、第1および第2接続電極28,29の導電材料と、はんだとを中継する役割を有している。なお、第1および第2接続電極28,29は、樹脂膜32の表面よりも低い位置(基板3に近い位置)に表面を有していてもよい。
以上のように、ディスクリートキャパシタ1によれば、ベース領域24に加えて、パッド領域23も誘電体膜17を挟んで不純物拡散層13と対向している。したがって、第1開口15上の領域を有効活用できると同時に、限られた面積の範囲でキャパシタ要素C0の容量値を効果的に増加させることができる。
また、キャパシタ要素C0における容量値は、不純物拡散層13と対向するベース領域24の面積を変更することによって調節できる。したがって、たとえば、不純物拡散層13と対向するベース領域24の面積を半分にすることにより、ベース領域24における容量値も半分にすることができる。さらに、ベース領域24の面積をゼロにすることにより、キャパシタ要素C0における容量値をパッド領域23と不純物拡散層13との間の容量値に設定できる。よって、種々の容量値を有するディスクリートキャパシタ1を容易に製造し、提供できる。なお、ベース領域24の面積は、後述するステップS12のレジストマスク形成工程(図5参照)におけるレジストマスクのレイアウトを変更することにより調節可能である。
また、ディスクリートキャパシタ1によれば、不純物拡散層13と、シリコン酸化膜14上における上部電極膜22およびコンタクト電極膜25の各オーバラップ部22a,25aとの間に寄生容量が形成される。前述の通り、シリコン酸化膜14の厚さが8000Å〜12000Åであれば、不純物拡散層13と、各オーバラップ部22a,25aとを十分に離間させることができる。キャパシタの容量値は、距離(つまり、不純物拡散層13と、各オーバラップ部22a,25aとの間の距離)に反比例するため、寄生容量の容量成分を効果的に低減できる。その結果、設計値と測定値との間に誤差の少ない容量値を有するディスクリートキャパシタ1を提供できる。
<第1製造方法>
図5は、図1に示すディスクリートキャパシタ1の第1製造方法を説明するためのフローチャートである。図6は、図5の第1製造方法に適用される半導体ウエハ38の模式的な平面図である。図7A〜図7Hは、図5に示す第1製造方法の一工程を説明するための模式的な断面図である。
まず、図6および図7Aに示すように、基板3の元基板としての半導体ウエハ38が用意される(ステップS1:半導体ウエハ用意)。半導体ウエハ38は、n型のシリコンウエハ、n型のシリコンウエハ、p型のシリコンウエハ、またはp型のシリコンウエハであってもよい。本製造方法では、p型のシリコンウエハの例を示している。
半導体ウエハ38の表面39は基板3の素子形成面4に対応しており、半導体ウエハ38の裏面40は基板3の裏面5に対応している。半導体ウエハ38の表面39には、複数のディスクリートキャパシタ1が形成されるチップ領域41が行列状に配列されて設定されている。互いに隣り合うチップ領域41の間には、境界領域42が設けられている。境界領域42は、略一定の幅を有する帯状の領域であり、直交する2方向に延びて格子状に形成されている。
次に、図7Bに示すように、半導体ウエハ38の表面部にn型不純物が導入される。n型不純物の導入は、n型不純物としてのリン(P)を半導体ウエハ38の表面39に堆積させる、いわゆるリンデポ工程によって行う(ステップS2:第1リンデポ)。リンデポ工程とは、半導体ウエハ38を拡散炉内に搬入し、拡散炉内でPOClガスを流して行う熱処理によって、半導体ウエハ38の表面39にリンを堆積させる処理である。本実施形態では、このようなリンデポ工程が、920℃の温度下で、30分間実行される。
次に、リンデポ工程を経て半導体ウエハ38の表面39に形成された酸化膜(図示せず)が、ウエットエッチングにより除去される(ステップS3:酸化膜除去)。エッチング液は、たとえばフッ酸である。
次に、半導体ウエハ38に導入されたn型不純物を活性化するための熱処理(ドライブイン処理)が行われる(ステップS4:熱処理(ドライブ))。ドライブイン処理は、900℃の温度下で10分間ドライ処理が実行され、1000℃の温度下で40分間ウェット処理が実行され、1050℃の温度下で2時間、窒素ガス雰囲気中で熱処理される。これにより、半導体ウエハ38の表面部に所定深さの不純物拡散層13が形成される。
次に、図7Cに示すように、半導体ウエハ38の表面39に熱酸化処理が施される(ステップS5:熱酸化処理)。熱酸化処理は、950℃〜1000℃の温度下で、10時間〜4時間(本製造工程では、1000℃で4時間)実行される。これにより、半導体ウエハ38の表面39に所定厚さ(たとえば厚さ10000Å)のシリコン酸化膜14が形成される。次に、シリコン酸化膜14上にレジストマスク(図示せず)が形成される(ステップS6:レジストマスク形成)。レジストマスクを用いたエッチングによって、第1および第2開口15,16がシリコン酸化膜14に形成される(ステップS7:開口形成)。
次に、図7Dに示すように、半導体ウエハ38の表面39全域にボトム酸化膜19/窒化膜20/トップ酸化膜21(図4も併せて参照)がこの順に堆積されて誘電体膜17(ONO膜)が形成される(ステップS8:誘電体膜形成)。ボトム酸化膜19およびトップ酸化膜21は、熱酸化処理によって形成され、窒化膜20は、CVD法によって形成される。このとき、ボトム酸化膜19の厚さが100Å〜130Å、窒化膜20の厚さが100Å〜110Å、トップ酸化膜21の厚さが190Å〜220Åとなるように、誘電体膜17が形成される。
次に、第2開口16を露出させる開口を選択的に有するレジストマスク(図示せず)が誘電体膜17上に形成される(ステップS9:レジストマスク形成)。レジストマスクを介するエッチング(たとえば反応性イオンエッチング)によって、誘電体膜17の不要な部分が選択的に除去される(ステップS10:ドライエッチング)。誘電体膜17が除去された後、必要に応じて、半導体ウエハ38の表面39が洗浄される。
次に、図7Eに示すように、スパッタリングによって、上部電極膜22およびコンタクト電極膜25を構成する電極膜が半導体ウエハ38上に形成される(ステップS11:電極膜形成)。本実施形態では、AlSiCuからなる電極膜(たとえば厚さ10000Å)が形成される。そして、電極膜上に、スリット30に対応する開口パターンを有するレジストマスク(図示せず)が形成される(ステップS12:レジストマスク形成)。レジストマスクを介するエッチング(たとえば反応性イオンエッチング)によって、電極膜にスリット30が形成される(ステップS13:電極膜パターニング)。これにより、電極膜が、上部電極膜22およびコンタクト電極膜25に分離される。
次に、図7Fに示すように、レジストマスクを剥離した後、たとえばCVD法によって窒化膜のパッシベーション膜31が形成される(ステップS14:パッシベーション膜形成)。次に、感光性ポリイミド等を塗布することにより樹脂膜32が形成される(ステップS15:ポリイミド塗布)。
次に、パッド開口33,34に対応するパターンで樹脂膜32を露光する。その後、樹脂膜32が現像される(ステップS16:露光・現像)。次に、必要に応じて、樹脂膜32をキュアするための熱処理が行われる(ステップS17:ポリイミドキュア)。そして、樹脂膜32をマスクとしたドライエッチング(たとえば反応性イオンエッチング)によってパッシベーション膜31が除去される(ステップS18:パッド開口形成)。これにより、パッド開口33,34が形成される。
次に、図7Gに示すように、境界領域42(図6も併せて参照)に切断用の溝43を形成するためのレジストパターン44が形成される(ステップS19:レジストマスク形成)。レジストパターン44は、境界領域42に整合する格子状の開口44aを有している。レジストパターン44を介してプラズマエッチングが行われる(ステップS20:溝形成)。これにより、半導体ウエハ38が表面39から所定の深さまでエッチングされて、境界領域42に沿った切断用の溝43が形成される。溝43の内壁面からは、不純物拡散層13が露出している。
切断用の溝43に取り囲まれたチップ領域41に半製品45が1つずつ位置している。これらの半製品45は、行列状に整列配置されている。このように切断用の溝43を形成することによって、半導体ウエハ38を複数のチップ領域41毎に分離可能にする。切断用の溝43が形成された後、レジストパターン44は、剥離される。
次に、図7Hに示すように、CVD法によって、USGからなるパッシベーション膜31が、切断用の溝43の内周面(底面および側面)に形成される。次に、パッド開口33,34を埋め戻すように、Ni層、Pd層およびAu層がこの順でめっき成膜される(ステップS21:接続電極形成)。これにより、第1および第2接続電極28,29が形成される。次に、半導体ウエハ38が裏面40側から、切断用の溝43の底面に到達するまで研削される(ステップS22:裏面研削/個片化)。これにより、複数のチップ領域41が個片化され、ディスクリートキャパシタ1を得ることができる。
以上のように、切断用の溝43を形成してから半導体ウエハ38を裏面5側から研削すれば、半導体ウエハ38に形成された複数のチップ領域41を一斉に個片化できる。これにより、半導体ウエハ38から切り出されたチップのサイズをパッケージのサイズとして有するウエハレベルチップサイズパッケージからなるディスクリートキャパシタ1を製造できる。よって、製造時間の短縮によってディスクリートキャパシタ1の生産性の向上を図ることができる。なお、完成した基板3の裏面5を研磨やエッチングすることによって鏡面化して裏面5を綺麗にしてもよい。
また、下部電極を兼ねる不純物拡散層13が基板3の表面部全域に形成されている。したがって、製造時に、上部電極膜22が設計した位置に対してずれて形成されても、上部電極膜22全体を確実に不純物拡散層13に対向させることができる。そのため、位置ずれ等の設計ばらつきに強いディスクリートキャパシタ1を提供できる。
<第1製造方法の特性>
次に、図8および図9を参照して、一参考例および他の参考例に係るディスクリートキャパシタの特性を説明した後、図10を参照して、第1製造方法を経て製造されたディスクリートキャパシタ1の特性について説明する。
図8は、一参考例に係るディスクリートキャパシタの直流バイアス対容量値変動率を示すグラフである。図8において、横軸は直流バイアス(V)を示し、縦軸は直流バイアスが0V時を100%とした容量値変動率を示している。
一参考例に係るディスクリートキャパシタは、第1製造方法(図5参照)の一部を変更して製造されたものである。より具体的に、一参考例に係るディスクリートキャパシタは、ステップS4の熱処理(ドライブ)工程における窒素ガス雰囲気中の熱処理条件を1150℃の温度下で14時間とし、ステップS5における熱酸化処理条件を1100℃の温度下で2時間50分として製造されている。その他の工程は、第1製造方法と同一である。
図8のグラフにおける曲線LA1は、p型シリコン基板を使用した場合の特性を示しており、直流バイアスが0V時における容量値は68.5pFである。また、曲線LA2は、p型シリコン基板を使用した場合の特性を示しており、直流バイアスが0V時における容量値は68.4pFである。曲線LA3は、n型シリコン基板を使用した場合の特性を示しており、直流バイアスが0V時における容量値は67.8pFである。曲線LA4は、n型シリコン基板を使用した場合の特性を示しており、直流バイアスが0V時における容量値は63.2pFである。
曲線LA1〜曲線LA4を参照すれば、直流バイアスが−10Vにおける容量値変動率は、いずれも−2%を超えており、直流バイアスが+10Vにおける容量値変動率は、いずれも+1%を超えている。
図9は、他の参考例に係るディスクリートキャパシタの直流バイアス対容量値変動率を示すグラフである。図9において、横軸は直流バイアス(V)を示し、縦軸は直流バイアスが0V時を100%とした容量値変動率を示している。
他の参考例に係るディスクリートキャパシタは、ステップS5における熱酸化処理条件を1100℃の温度下で2時間50分として製造されている。その他の工程は、第1製造方法と同一である。
図9のグラフにおける曲線LB1は、p型シリコン基板を使用した場合の特性を示しており、直流バイアスが0V時における容量値は64.4pFである。また、曲線LB2は、p型シリコン基板を使用した場合の特性を示しており、直流バイアスが0V時における容量値は63.0pFである。曲線LB3は、n型シリコン基板を使用した場合の特性を示しており、直流バイアスが0V時における容量値は63.7pFである。曲線LB4は、n型シリコン基板を使用した場合の特性を示しており、直流バイアスが0V時における容量値は56.1pFである。
曲線LB1〜曲線LB4を参照すれば、直流バイアスが−10Vにおける容量値変動率は、いずれも−0.8%を超えており、直流バイアスが+10Vにおける容量値変動率は、いずれも+0.6%を超えている。
このことから、他の参考例に係るディスクリートキャパシタのように、ステップS4の熱処理(ドライブ)工程における窒素ガス雰囲気中の熱処理条件を緩和することにより、前述の図8における一参考例に係るディスクリートキャパシタと比較して、容量値変動率が改善されるのが分かる。
つまり、一参考例に係るディスクリートキャパシタでは、ステップS4およびステップS5において、比較的に高い熱処理(ドライブイン)温度および熱酸化処理温度が加えられている。そのため、ステップS2の第1リンデポ工程において半導体ウエハ38の表面39に堆積された不純物が広く拡散する。その結果、不純物拡散層13の表面部における不純物濃度が低下(当該表面部における抵抗値が増加)し、図8に示すように、直流バイアスに対する容量値変動率が増加する。
本発明のディスクリートキャパシタ1では、他の参考例に係るディスクリートキャパシタに対して、ステップS5における熱酸化処理条件がさらに緩和されている。したがって、直流バイアス特性が一層改善されると考えられる。以下、図10を参照して、ディスクリートキャパシタ1に係る直流バイアス特性についてより具体的に説明する。
図10は、図5に示す第1製造方法を経て製造されたディスクリートキャパシタ1の直流バイアス対容量値変動率を示すグラフである。図10において、横軸は直流バイアス(V)を示し、縦軸は直流バイアスが0V時を100%とした容量値変動率を示している。
図10のグラフにおける曲線LC1は、p型シリコン基板を使用した場合の特性を示しており、直流バイアスが0V時における容量値は58.2pFである。また、曲線LC2は、p型シリコン基板を使用した場合の特性を示しており、直流バイアスが0V時における容量値は55.3pFである。曲線LC3は、n型シリコン基板を使用した場合の特性を示しており直流バイアスが0V時における容量値は55.4pFである。曲線LC4は、n型シリコン基板を使用した場合の特性を示しており、直流バイアスが0V時における容量値は49.6pFである。
曲線LC1〜曲線LC4を参照すれば、−10V〜+10Vの直流バイアスの範囲における容量値変動率が−1.2%以上+0.8%以下を達成しているのが分かる。また、−5V〜+5Vの直流バイアスの範囲における容量値変動率が−0.6%以上+0.4%以下を達成しているのが分かる。
より具体的に、曲線LC1(p型のシリコン基板)について見れば、直流バイアスに対する容量値変動率の絶対値の範囲が、−10V〜+10Vの直流バイアスの範囲において、|(100.8−98.8)/20|=|0.1|%/V以下を達成している。また、−5V〜+5Vの直流バイアスの範囲では、|(100.4−99.4)/10|=|0.1|%/V以下を達成している。
また、曲線LC2(p型のシリコン基板)および曲線LC3(n型のシリコン基板)について見れば、直流バイアスに対する容量値変動率の絶対値の範囲が、−10V〜+10Vの直流バイアスの範囲において、|(100.6−99.2)/20|=|0.07|%/V以下を達成している。また、−5V〜+5Vの直流バイアスの範囲では、|(100.4−99.6)/10|=|0.08|%/V以下を達成している。
また、曲線LC4(n型のシリコン基板)について見れば、直流バイアスに対する容量値変動率の絶対値の範囲が、−10V〜+10Vの直流バイアスの範囲において、|(100.4−99.4)/20|=|0.05|%/V以下を達成している。また、−5V〜+5Vの直流バイアスの範囲では、|(100.2−99.6)/10|=|0.06|%/V以下を達成している。
以上のように、第1製造方法によれば、直流バイアスに対する容量値変動率の絶対値の範囲が、−10V〜+10Vの直流バイアスの範囲において、|(100.8−98.8)/20|=|0.1|%/V以下を達成できることが確認できた。また、−5V〜+5Vの直流バイアスの範囲では、|(100.4−99.4)/10|=|0.1|%/V以下を達成できることが確認できた。特に、曲線LC4に示すように、n型のシリコン基板が最もよい特性を達成できることが確認できた。
また、第1製造方法によれば、図5に示すように、ステップS5の熱酸化処理工程において、950℃〜1000℃の温度の下、10時間〜4時間かけて半導体ウエハ38に熱酸化処理が施される。この工程によれば、比較的に低い温度で酸化膜を形成するので、熱酸化処理工程時における不純物の拡散を抑制できる。これにより、不純物拡散層13の表面部における不純物濃度の低下を抑制できるので、図10に示すように、優れた直流バイアス特性を有するディスクリートキャパシタ1を提供できる。
第1製造方法に代えて、以下に説明する第2製造方法を採用してもよい。
<第2製造方法>
図11は、図1に示すディスクリートキャパシタ1の第2製造方法を説明するためのフローチャートである。図12Aおよび図12Bは、図11の第2製造方法の一工程を説明するための模式的な断面図である。
第2製造方法が前述の第1製造方法と異なる点は、ステップS8の誘電体膜形成工程に代えて、ステップS25の誘電体膜形成工程が実行される点、およびステップS25の誘電体膜形成工程に先立って、ステップS24の第2リンデポ工程が追加されている点である。その他の工程は、前述の第1製造方法と同様である。
図12Aに示すように、第2製造方法では、ステップS1〜S7を経て第1および第2開口15,16を有するシリコン酸化膜14が半導体ウエハ38上に形成された後、不純物拡散層13の表面部にn型不純物がさらに導入される(ステップS24:第2リンデポ)。n型不純物の導入は、n型不純物としてのリンを半導体ウエハ38の表面39に堆積させるいわゆるリンデポ工程によって行う。
第2リンデポ工程におけるドライブイン処理の条件(温度、時間)は、900℃の温度下で10分間ドライ処理が実行され、1000℃の温度下で40分間ウェット処理が実行され、1050℃の温度下で2時間、窒素ガス雰囲気中で熱処理される。これにより、半導体ウエハ38の表面部に不純物拡散層13が形成される。次に、ステップS24の第2リンデポ工程を経て半導体ウエハ38の表面39に形成された酸化膜(図示せず)が、ウエットエッチングにより形成される。エッチング液は、たとえばフッ酸である。
次に、図12Bに示すように、熱酸化処理によって、半導体ウエハ38の表面39全域にボトム酸化膜19/トップ酸化膜21が順に積層されて誘電体膜17が形成される(ステップS25:誘電体膜形成)。各酸化膜の厚さは、いずれも240Å〜260Åである。ボトム酸化膜19の厚さ(=240Å〜260Å)は、前述の第1製造方法におけるボトム酸化膜19の厚さ(=100Å〜130Å)と異なっている。これは、同条件の熱酸化処理であっても、第2リンデポ工程の追加によって半導体ウエハ38の表面39の酸化膜の成長速度が加速されるためである。
そして、ステップS9〜ステップS22の工程が順に実行されて、ディスクリートキャパシタ1が製造される。
<第2製造方法の特性>
次に、図13を参照して、第2製造方法を経て製造されたディスクリートキャパシタ1の特性について具体的に説明する。図13は、図8に示す第2製造方法を経て製造されたディスクリートキャパシタ1の直流バイアス対容量値変動率を示すグラフである。図13において、横軸は直流バイアス(V)を示し、縦軸は直流バイアスが0V時を100%とした容量値変動率を示している。
図13のグラフにおける曲線LD1は、p型シリコン基板を使用した場合の特性を示しており、直流バイアスが0V時における容量値は42.1pFである。また、曲線LD2は、p型シリコン基板を使用した場合の特性を示しており、直流バイアスが0V時における容量値は43.5pFである。曲線LD3は、n型シリコン基板を使用した場合の特性を示しており、直流バイアスが0V時における容量値は43.4pFである。曲線LD4は、n型シリコン基板を使用した場合の特性を示しており、直流バイアスが0V時における容量値は42.4pFである。
図13のグラフに示すように、曲線LD1〜曲線LD4は、いずれも概ね同一の曲線を描いており、−10V〜+10Vの直流バイアスの範囲における容量値変動率が、−0.4%以上+0.4%以下を達成している。また、−5V〜+5Vの直流バイアスの範囲における容量値変動率が、−0.2%以上+0.3%以下を達成している。
より具体的に、曲線LD1〜曲線LD4は、いずれも直流バイアスに対する容量値変動率の絶対値の範囲が、−10V〜+10Vの直流バイアスの範囲において|(100.4−99.6)/20|=|0.04|%/V以下を達成している。また、−5V〜+5Vの直流バイアスの範囲では|(100.3−99.8)/10|=|0.05|%/V以下を達成している。より具体的には、|(100.2−99.8)/10|=|0.04|%/V以上であるので、|0.04|%/V<容量値変動率<|0.05|%/Vである。
以上のように、第2製造方法によれば、ステップS5の熱酸化処理時において、比較的に低い温度(950℃〜1000℃)でシリコン酸化膜14が形成されている。これにより、不純物拡散層13の表面部における不純物濃度の低下を抑制できる。
さらに、第2製造方法によれば、ステップS25の誘電体膜形成工程に先立って、ステップS2の第1リンデポ工程に加えて、ステップS24の第2リンデポ工程が実行される。したがって、ステップS24の第2リンデポ工程によって不純物拡散層13の表面部に不純物が補填されるので、当該第2リンデポ工程よりも前に不純物拡散層13の表面部における不純物濃度を低下させる要因があっても、不純物拡散層13の表面部における不純物濃度の低下を抑制できる。その結果、図13のグラフに示すように、一層優れた直流バイアス特性を実現できるディスクリートキャパシタ1を提供できる。
むろん、ステップS5の熱酸化処理時において、比較的に高い温度(たとえば、1000℃以上)でシリコン酸化膜14が形成されたとしても、ステップS24の第2リンデポ工程が実行によって不純物拡散層13の表面部に不純物を補填すれば、不純物拡散層13の表面部における不純物濃度の低下を抑制できる。その結果、直流バイアスに特性が優れたディスクリートキャパシタ1を提供できる。
<不純物拡散領域の濃度>
次に、図14および図15を参照して、第1製造方法および第2製造方法において形成された不純物拡散層13の濃度について説明する。
図14は、半導体ウエハ38(基板3)の濃度プロファイルを説明するためのグラフである。なお、図14は、ステップS4の熱処理(ドライブ)工程後に、拡がり抵抗測定法(Spreading Resistance Analysis:SRA)によって、半導体ウエハ38(基板3)における深さに応じた不純物濃度を調べてグラフ化したものである。なお、p型のシリコンウエハ(基板)の濃度プロファイルについては、図示および説明を省略する。
曲線L1および曲線L2は、n型のシリコンウエハ(基板)の濃度プロファイルを示している。曲線L1は、図5に示す第1製造方法に係る半導体ウエハ38(基板3)であり、曲線L2は、図11に示す第2製造方法に係る半導体ウエハ38(基板3)である。
曲線L1および曲線L2に示すように、半導体ウエハ38(基板3)がn型のシリコンウエハ(基板)の場合、当該半導体ウエハ38(基板3)は、表面から厚さ方向に向けて略同一の濃度プロファイルを有している。
曲線L3および曲線L4は、n型のシリコンウエハ(基板)の濃度プロファイルを示している。曲線L3は、図5に示す第1製造方法に係る半導体ウエハ38(基板3)であり、曲線L4は、図11に示す第2製造方法に係る半導体ウエハ38(基板3)である。
曲線L3および曲線L4に示すように、半導体ウエハ38(基板3)がn型のシリコンウエハ(基板)の場合、当該半導体ウエハ38(基板3)は、表面から厚さ方向4μm〜5μm程度の位置にかけて、不純物濃度勾配が形成されているのが分かる。つまり、n型のシリコン基板の場合、この深さまで、不純物拡散層13が分布している。
曲線L5および曲線L6は、p型のシリコンウエハ(基板)の濃度プロファイルを示している。曲線L5は、図5に示す第1製造方法に係る半導体ウエハ38(基板3)であり、曲線L6は、図11に示す第2製造方法に係る半導体ウエハ38(基板3)である。
曲線L5および曲線L6に示すように、半導体ウエハ38(基板3)がp型のシリコンウエハ(基板)の場合、当該半導体ウエハ38(基板3)は、表面から厚さ方向4μm〜5μm程度の位置にかけて、不純物濃度勾配が形成されているのが分かる。p型のシリコンウエハ(基板)の場合、不純物拡散層13の分布によって、n型のシリコンウエハ(基板)と比較して、大きい不純物濃度勾配が形成されている。なお、p型のシリコンウエハ(基板)の場合、p型のシリコンウエハ(基板)の場合よりも、さらに大きい不純物濃度勾配が形成される。
図15は、図14に示す不純物拡散層13の表面部における不純物濃度を説明するためのグラフである。
図15における直線L7は、図8および図9で説明した一参考例および他の参考例に係るディスクリートキャパシタの不純物拡散層13の表面部における不純物濃度を示している。一方、折れ線L8は、図5に示す第1製造方法を経たディスクリートキャパシタ1の不純物拡散層13の表面部における不純物濃度を示している。また、折れ線L9は、図10に示す第2製造方法を経たディスクリートキャパシタ1の不純物拡散層13の表面部における不純物濃度を示している。図15において、紙面左側から順にp型シリコンウエハ(基板)、n型シリコンウエハ(基板)、n型シリコンウエハ(基板)の不純物濃度を示している。
直線L7に示すように。一参考例および他の参考例に係るディスクリートキャパシタの不純物拡散層13の表面部における不純物濃度は5×1019cm−3である。一方、折れ線L8および折れ線L9に示すように、第1および第2製造方法を経たディスクリートキャパシタ1の不純物拡散層13の表面部における不純物濃度は、いずれも5×1019cm−3を超えて2×1020cm−3以下を達成している。特に、折れ線L9に示すように、第2リンデポ工程を追加した第2製造方法であれば、1×1020cm−3以上2×1020cm−3以下の不純物濃度を達成できることが分かる。
<第2実施形態>
図16は、本発明の第2実施形態に係るディスクリートキャパシタ2の模式的な平面図である。
ディスクリートキャパシタ2が、前述の第1実施形態に係るディスクリートキャパシタ1と異なる点は、上部電極膜22に代えて、上部電極膜49が形成されている点である。その他の構成は、前述のディスクリートキャパシタ1と同様である。図16において、前述の図2に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
図16に示すように、上部電極膜49は、パッド領域50と、パッド領域50に電気的に接続されたベース領域51と、パッド領域50の一つの長辺(素子形成面4の内方領域側の長辺)に沿って形成され、パッド領域50およびベース領域51を接続するための複数のヒューズ52とを有している。
パッド領域50は、基板3の一端部側において、当該3の短辺7に沿って長方形状に形成されており、前述の誘電体膜17(ONO膜)を挟んで不純物拡散層13と対向している。パッド領域50に、第1接続電極28が接続されている。
ベース領域51は、複数の電極膜部分53〜60に分割(分離)されている。各電極膜部分53〜60は、いずれも矩形形状に形成されていて、ヒューズ52からコンタクト電極膜25に向かって帯状に延びている。電極膜部分56〜60は、ヒューズ52を介してパッド領域50の端縁からコンタクト電極膜25の端縁までの範囲に渡って延びて形成されており、電極膜部分53〜55は、それよりも短く形成されている。つまり、複数の電極膜部分53〜60は、複数種類の対向面積で、誘電体膜17を挟んで不純物拡散層13に対向している。
より具体的には、電極膜部分53〜60の不純物拡散層13に対する対向面積は、1:2:4:8:16:32:64:64となるように定められていてもよい。すなわち、複数の電極膜部分53〜60は、公比が2の等比数列をなすように設定された対向面積を有している。より具体的に、電極膜部分53〜56は、基板3の短辺7に沿う長手方向の幅が等しく、長さの比を1:2:4:8に設定した帯状に形成されている。また、電極膜部分56〜60は、基板3の長辺6に沿う長手方向の長さが等しく、幅の比を1:2:4:8:8に設定した帯状に形成されている。むろん、このような等比数列は、公比が2以外の数であってもよい。また、ベース領域51は、電極膜部分53〜60よりも多い電極膜部分に分割されていてもよい。
このようにして、各電極膜部分53〜60と誘電体膜17を挟んで対向する不純物拡散層13とによって、互いに異なる容量値を有する複数のキャパシタ要素C1〜C9が形成されている。キャパシタ要素C1は、パッド領域50が誘電体膜17を挟んで不純物拡散層13と対向することにより形成されている。一方、キャパシタ要素C2〜C9は、電極膜部分53〜60が誘電体膜17を挟んで不純物拡散層13と対向することにより形成されている。
複数の電極膜部分53〜60は、1つまたは複数個のヒューズ52と一体的に形成されており、当該ヒューズ52およびパッド領域50を介して第1接続電極28に電気的に接続されている。面積の比較的小さな電極膜部分53〜56は、一つのヒューズ52によってパッド領域50に接続されており、面積の比較的大きな電極膜部分57〜60は複数個のヒューズ52を介してパッド領域50に接続されている。全てのヒューズ52が用いられる必要はなく、本実施形態では、一部のヒューズ52は未使用である。
ヒューズ52は、パッド領域50との接続のための第1幅広部61と、電極膜部分53〜60との接続のための第2幅広部62と、第1および第2幅広部61,62の間を接続する幅狭部63とを含む。幅狭部63は、レーザ光によって切断(溶断)できるように構成されている。それによって、電極膜部分53〜60のうち不要な電極膜部分53〜60を、ヒューズ52の切断によって第1および第2接続電極28,29から電気的に分離できる。
図17は、図16に示すディスクリートキャパシタ2の電気回路図である。
図17に示すように、第1および第2接続電極28,29間に複数のキャパシタ要素C1〜C9が並列に接続されている。各キャパシタ要素C1〜C9と第1接続電極28との間には、一つまたは複数のヒューズ52でそれぞれ構成されたヒューズF1〜F8が直列に介装されている。一方、キャパシタ要素C1と第1接続電極28との間には、ヒューズが介装されておらず、キャパシタ要素C1は、第1接続電極28に対して直接接続されている。
ヒューズF1〜F8が全て接続されているときは、ディスクリートキャパシタ2の容量値は、キャパシタ要素C1〜C9の容量値の総和に等しい。複数のヒューズF1〜F8から選択した1つまたは2つ以上のヒューズ52を切断すると、当該切断されたヒューズ52に対応するキャパシタ要素が切り離され、当該切り離されたキャパシタ要素の容量値だけディスクリートキャパシタ2の容量値が減少する。ヒューズF1〜F8の全てを切断した場合、ディスクリートキャパシタ2の容量値は、キャパシタ要素C1の容量値となる。
そこで、不純物拡散層13とパッド領域50との間の容量値(キャパシタ要素C1〜C9の総容量値)を測定し、その後に所望の容量値に応じてヒューズF1〜F8から適切に選択した一つまたは複数のヒューズ52をレーザ光で溶断すれば、所望の容量値への合わせ込み(レーザトリミング)を行うことができる。特に、キャパシタ要素C2〜C9の容量値が、公比2の等比数列をなすように設定されていれば、最小の容量値(当該等比数列の初項の値)であるキャパシタ要素C2の容量値に対応する精度で目標の容量値へと合わせ込む微調整が可能である。また、ヒューズF1〜F8から切断すべきヒューズ52を適切に選択することで、任意の容量値のディスクリートキャパシタ2を提供できる。
<ディスクリートキャパシタ2の製造方法>
図18は、図16に示すディスクリートキャパシタ2の製造方法を説明するためのフローチャートである。
ディスクリートキャパシタ2を製造するには、図5および図11に示すステップS12のレジストマスク形成工程およびステップS13の電極膜パターニング工程に代えて、図18に示すステップS31〜ステップS35の工程を実行すれば良い。
つまり、ステップS11において電極膜が形成された後、電極膜の表面に上部電極膜49の最終形状に対応したレジストマスクが形成される(ステップS31:レジストマスク形成)。レジストマスクを介するエッチングにより、電極膜が、上部電極膜49およびコンタクト電極膜25に整形される(ステップS32:電極膜パターニング)。電極膜のパターニングのためのエッチングは、燐酸等のエッチング液を用いたウエットエッチングによって行ってもよいし、反応性イオンエッチングによって行ってもよい。
次に、上部電極膜49とコンタクト電極膜25とに検査用プローブを押し当てて、複数のキャパシタ要素C1〜C9の総容量値が測定される(ステップS33:総容量値測定)。測定された総容量値に基づき、目的とするディスクリートキャパシタ2の容量値に応じて、切り離すべきキャパシタ要素、すなわち切断すべきヒューズ52が選択される(ステップS34:切断対象のヒューズ選択)。
次に、半導体ウエハ38上の全面にたとえば窒化膜からなるカバー膜が形成される。カバー膜の形成は、プラズマCVD法によって行われてもよい。カバー膜は、パターニングされた上部電極膜49を覆い、上部電極膜49が形成されていない領域では誘電体膜17を覆う。カバー膜は、ヒューズ52領域においてはヒューズ52を覆う。
この状態から、ヒューズ52を溶断するためのレーザトリミングが行われる(ステップS35:レーザトリミング)。すなわち、キャパシタの総容量値の測定結果に応じて選択されたヒューズ52にレーザ光を当てて、そのヒューズ52の幅狭部63が溶断される。これにより、対応するキャパシタ要素がパッド領域50から切り離される。ヒューズ52にレーザ光を当てるとき、カバー膜の働きによって、ヒューズ52の近傍にレーザ光のエネルギーが蓄積され、それによって、ヒューズ52が溶断する。
以上のように、ディスクリートキャパシタ2によれば、図16および図17に示すように、第1接続電極28の直下には、第1接続電極28に直接接続されたキャパシタ要素C1が設けられている。さらに、第1および第2接続電極28,29の間に、ヒューズF1〜F8によって切り離し可能な複数のキャパシタ要素C2〜C9が設けられている。キャパシタ要素C2〜C9は、異なる容量値を有する複数のキャパシタ要素、より具体的には等比数列をなすように容量値が設定された複数のキャパシタ要素を含む。これにより、ヒューズF1〜F8から1つまたは複数のヒューズ52を選択してレーザ光で溶断することにより、設計を変更することなく複数種類の容量値に対応でき、かつ所望の容量値に正確に合わせ込むことができるディスクリートキャパシタ2を提供できる。
<変形例>
前述の第1および第2実施形態では、比較的に薄いONO膜(390Å〜460Å。第2製造方法では酸化膜)からなる誘電体膜17の例について説明したが、誘電体膜17は、厚さが800Å〜3000Åの酸化膜(SiO膜)一層のみからなっていてもよい。このような厚さを有する誘電体膜17であれば、図19に示す特性を得ることができる。
図19は、変形例に係るディスクリートキャパシタの直流バイアス対容量値変動率を示すグラフである。なお、図19のグラフでは、誘電体膜17の厚さが880Å,1720Å,2790Åの3つの特性を示している。また、半導体ウエハ38(基板3)は、いずれもn型のシリコンウエハ(基板)である。
図19のグラフから理解されるように、厚さが800Å〜3000Åの酸化膜一層のみで誘電体膜17を構成することにより、直流バイアスに対する容量値変動率を0%に近づけることができる。この場合、ディスクリートキャパシタの容量値は、誘電体膜17の厚さが2790Åの時、4.4pFであり、誘電体膜17の厚さが1720Åの時、6.62pFであり、誘電体膜17の厚さが880Åの時、11.9pFである。以上より、直流バイアスに対する容量値変動率の特性に優れた小容量のディスクリートキャパシタを提供できる。
<第1参考例>
図20は、第1参考例に係るディスクリートキャパシタ101の模式的な斜視図である。図21は、図20に示すディスクリートキャパシタ101の模式的な平面図である。図22は、図21に示す切断面線XXII-XXIIから見た断面図である。
ディスクリートキャパシタ101は、ウエハから切り出されたチップのサイズをパッケージのサイズとして有するウエハレベルチップサイズパッケージからなる微小なチップ部品であり、本体部を構成する基板103を含む。基板103は、半導体基板である。基板103としては、n型のシリコン基板、n型のシリコン基板、p型のシリコン基板、またはp型のシリコン基板を採用できる。本参考例では、基板103として、p型のシリコン基板が採用された例について説明する。抵抗値に関して、n型のシリコン基板の抵抗値は2Ω〜3Ωであり、n型のシリコン基板の抵抗値は1.3mΩであり、p型のシリコン基板の抵抗値は25Ω〜30Ωであり、p型のシリコン基板の抵抗値は3mΩであることが好ましい。
基板103は、一端部および他端部を有する略長方体形状に形成されている。基板103の平面形状は、長手方向に沿う長辺106の長さL101が、0.3mm〜0.6mmであり、短手方向に沿う長辺107の長さD101が、0.15mm〜0.3mmである。また、基板103の厚さT101は、たとえば0.1mmである。つまり、基板103としては、いわゆる0603チップ、0402チップ、03015チップ等が適用される。
基板103の各コーナー部108は、平面視で面取りされたラウンド形状であってもよい。ラウンド形状であれば、製造工程や実装時におけるチッピングを抑制できる構造となる。基板103の表面の内方部にキャパシタが形成されている。以下では、キャパシタが形成されている側の表面を素子形成面104といい、その反対側の面を裏面105という。
基板103の表面部には、n型の不純物拡散層113が形成されている。本参考例では、不純物拡散層113が、基板103の表面部の全域に形成され、基板103の側面から露出している。不純物拡散層113は、たとえばn型不純物の一例としてのリン(P)が導入された領域である。特に、不純物拡散層113の表面部の不純物濃度は、5×1019cm−3以上(より具体的には、5×1019cm−3〜2×1020cm−3)である。不純物拡散層113の表面部とは、基板103の素子形成面104から深さ方向に0μm〜3μm程度(より具体的には、1μm程度)の深さまでの範囲のことをいう。
基板103が、n型のシリコン基板の場合、n型の不純物拡散層113は、n型のシリコン基板の不純物濃度と等しい不純物濃度を有していることが好ましい。つまり、この場合、n型のシリコン基板およびn型の不純物拡散層113は、見かけ上、1つのn型の半導体基板を構成している。このとき、n型の半導体基板(n型のシリコン基板)は、その表面部から深さ方向に向けて、同一の不純物濃度プロファイル(たとえば、1×1020cm−3)を有していることが好ましい。
基板103の素子形成面104には、表面絶縁膜の一例としてのシリコン酸化膜114が形成されている。シリコン酸化膜114の厚さは、たとえば8000Å〜12000Å(本参考例では、10000Å)である。シリコン酸化膜114は、不純物拡散層113を選択的に露出させる第1開口115と、第1開口115から間隔を空けて形成された第2開口116とを有する。
第1開口115は、基板103の長辺106および長辺107に沿って、基板103の一端部側から基板103の他端部側に向けて延びるように平面視長方形状に形成されている(図21の破線部参照)。一方、第2開口116は、基板103の他端部側において、基板103の長辺107に沿って平面視長方形状に形成されている(図21の破線部参照)。
基板103上には、誘電体膜117と、第1電極の一例としての上部電極膜122と、第2電極の一例としてのコンタクト電極膜125とが形成されている。
誘電体膜117は、第1開口115から露出する不純物拡散層113の表面に接しており、基板103の一端部側から他端部側に向けて延びるように平面視四角形状に形成されている。より具体的に、誘電体膜117は、不純物拡散層113を覆うように当該不純物拡散層113の表面からシリコン酸化膜114の側部に沿って形成されており、シリコン酸化膜114の側部および上部の一部を覆うオーバラップ部117aを含む。本参考例における誘電体膜117は、複数の絶縁膜が積層された積層構造を有している。
図23は、図22に示す誘電体膜117を含む領域を拡大した断面図である。図23に示すように、誘電体膜117は、ボトム酸化膜119/窒化膜120/トップ酸化膜121の順に積層されたONO膜である。ボトム酸化膜119およびトップ酸化膜121は、SiO膜からなり、窒化膜120は、SiN膜からなる。
上部電極膜122は、誘電体膜117の平面形状に倣って形成されている、つまり、上部電極膜122は、当該誘電体膜117を挟んで不純物拡散層113と対向しており、シリコン酸化膜114の側部および上部の一部を覆うオーバラップ部122aを含む。より具体的に、上部電極膜122は、誘電体膜117を挟んで不純物拡散層113と対向するパッド領域123およびベース領域124を有している。
パッド領域123およびベース領域124は、コンタクト電極膜125に対して、パッド領域123およびベース領域124の順に配置されている。つまり、基板103の表面に沿って、パッド領域123とコンタクト電極膜125との間に、ベース領域124が配置されている。これにより、基板103の表面方向に沿って、パッド領域123およびコンタクト電極膜125間における電極干渉を抑制できる。
本参考例では、下部電極としての不純物拡散層113、誘電体膜117、ならびにパッド領域123およびベース領域124が一体となった上部電極膜122によって、一つのキャパシタ要素C101が構成されている。
コンタクト電極膜125は、第2開口116を介して、当該第2開口116の直下の領域に延びる不純物拡散層113と直接接続されている。コンタクト電極膜125は、不純物拡散層113を覆うように当該不純物拡散層113の表面に沿って形成されており、シリコン酸化膜114の側部および上部の一部を覆うオーバラップ部125aを含む。
上部電極膜122およびコンタクト電極膜125は同一の導電材料からなっており、たとえば、Al,AlCu,AlSiCu等の導電材料を例示できる。上部電極膜122およびコンタクト電極膜125は、シリコン酸化膜114上において、上部電極膜122およびコンタクト電極膜125の各周縁部を縁取るスリット130によって、電気的に分離されている。
シリコン酸化膜114上には、上部電極膜122およびコンタクト電極膜125を覆うようにパッシベーション膜131および樹脂膜132がこの順に形成されている。また、パッシベーション膜131は、基板103の側面にも形成されている。基板103の側面を被覆するパッシベーション膜131は、基板103の側面において不純物拡散層113を被覆している。パッシベーション膜131は、たとえば窒化シリコン、またはUSG(Undoped Silicate Glass)を含み、樹脂膜132は、たとえばポリイミドからなる。パッシベーション膜131および樹脂膜132は、保護膜を構成しており、上部電極膜122およびコンタクト電極膜125、ならびに素子形成面104への水分の浸入を抑制または防止すると共に、外部からの衝撃等を吸収し、ディスクリートキャパシタ101の耐久性の向上に寄与している。
パッシベーション膜131および樹脂膜132には、上部電極膜122のパッド領域123、およびコンタクト電極膜125を選択的に露出させるパッド開口133,134が形成されている。パッド開口133,134を埋め戻すように第1および第2接続電極128,129が形成されている。
第1および第2接続電極128,129は、基板103上において、互いに間隔を空けて形成されている。第1接続電極128は、基板103の一端部側において、上部電極膜122のパッド領域123と接続されている。また、第2接続電極129は、基板103の他端部側において、コンタクト電極膜125と接続されている。第1および第2接続電極128,129は、基板103の長辺107に沿って、平面視略長方形状に形成されている。第1および第2接続電極128,129は、樹脂膜132の表面から突出していて、樹脂膜132よりも高い位置(基板103から遠い位置)に表面を有しており、パッド開口133,134の開口端から樹脂膜132の表面に跨るオーバラップ部を有している。図22では、図示を省略しているが、第1および第2接続電極128,129は、Ni層、Pd層およびAu層を素子形成面104側からこの順で有している。
第1および第2接続電極128,129のそれぞれにおいて、Ni層は各接続電極の大部分を占めており、Pd層およびAu層は、Ni層に比べて格段に薄く形成されている。Ni層は、ディスクリートキャパシタ101が実装基板に実装された際に、第1および第2接続電極128,129の導電材料と、はんだとを中継する役割を有している。なお、第1および第2接続電極128,129は、樹脂膜132の表面よりも低い位置(基板103に近い位置)に表面を有していてもよい。
以上のように、ディスクリートキャパシタ101によれば、ベース領域124に加えて、パッド領域123も誘電体膜117を挟んで不純物拡散層113と対向している。したがって、第1開口115上の領域を有効活用できると同時に、限られた面積の範囲でキャパシタ要素C101の容量値を効果的に増加させることができる。
また、キャパシタ要素C101における容量値は、不純物拡散層113と対向するベース領域124の面積を変更することによって調節できる。したがって、たとえば、不純物拡散層113と対向するベース領域124の面積を半分にすることにより、ベース領域124における容量値も半分にすることができる。さらに、ベース領域124の面積をゼロにすることにより、キャパシタ要素C101における容量値をパッド領域123と不純物拡散層113との間の容量値に設定できる。よって、種々の容量値を有するディスクリートキャパシタ101を容易に製造し、提供できる。なお、ベース領域124の面積は、後述するステップS112のレジストマスク形成工程(図27参照)におけるレジストマスクのレイアウトを変更することにより調節可能である。
また、ディスクリートキャパシタ101によれば、不純物拡散層113と、シリコン酸化膜114上における上部電極膜122およびコンタクト電極膜125の各オーバラップ部122a,125aとの間に寄生容量が形成される。前述の通り、シリコン酸化膜114の厚さが8000Å〜12000Åであれば、不純物拡散層113と、各オーバラップ部122a,125aとを十分に離間させることができる。キャパシタの容量値は、距離(つまり、不純物拡散層113と、各オーバラップ部122a,125aとの間の距離)に反比例するため、寄生容量の容量成分を効果的に低減できる。その結果、設計値と測定値との間に誤差の少ない容量値を有するディスクリートキャパシタ101を提供できる。
<ESD耐量>
ディスクリートキャパシタ101の電気的特性の一つに、HBM(Human Body Model:人体モデル)試験におけるESD(Electrostatic Discharge)耐量(以下、単に「ESD耐量」という。)がある。HBM試験とは、帯電によって人体に蓄積された静電気がデバイスに放電する状態を試験するモデルである。信頼性の観点から、ディスクリートキャパシタ101では、高いESD耐量を有していることが望ましい。以下、図24を参照して、ディスクリートキャパシタ101のESD耐量について説明する。
図24は、図20に示す誘電体膜117における窒化膜120の厚さ[Å]対HBM試験におけるESD耐量[V]を示すグラフである。以下では、窒化膜120の厚さの値をx、ESD耐量の値をy(y1〜y4)、ボトム酸化膜119の厚さの値をzとして説明する。なお、トップ酸化膜121の厚さは、50Åで一定である。
図24のグラフに示すy1は、z=110Å,50Å≦x≦270ÅにおけるESD耐量を示している。また、y2は、z=55Å,50Å≦x≦165ÅにおけるESD耐量を示している。また、y3は、z=55Å,165Å<x≦270ÅにおけるESD耐量を示している。また、y4は、z=200Å,50Å≦x≦270ÅにおけるESD耐量を示している。y1〜y4は、次の関係式(1)〜(4)で表される。
y1=3.16x+447.2・・・・・(1)
y2=4.71x+1223.5・・・・(2)
y3=−5.714x+2943・・・・(3)
y4=80・・・・・・・・・・・・・・(4)
図24のグラフに示すように、ボトム酸化膜119の厚さの値zが200Å、110Å,55Åの順に小さくなるにつれてESD耐量の値yが向上しているのが分かる。このことから、50Å≦x≦270Åの範囲において、z≦110Åであれば、関係式(1)より、y≧700V以上を達成できることが分かる。また、50Å≦x≦165Åの範囲において、55Å≦z≦110Åであれば、関係式(1)および関係式(2)より700V≦y≦2000Vを達成できることが分かる。さらに、165Å<x≦270Åの範囲において、55Å≦z≦110Åであれば、関係式(1)および関係式(3)より1000V≦y≦2000Vを達成できることが分かる。
以上のことから、次の関係式(5)〜(9)が導き出せる。
50Å(≦55Å)≦z≦110Å・・・(5)
50Å≦x≦270Å・・・・・・・・・(6)
y1≧3.16x+447.2・・・・・(7)
y2≦4.71x+1223.5・・・・(8)
y3≦−5.714x+2943・・・・(9)
上記関係式(5)〜(9)を全て具備するとき、ESD耐量の値yは、x=50Åの直線およびx=270Åの直線、ならびにy1、y2およびy3に取り囲まれた領域Sの範囲内に位置し、これにより、良好なESD耐量を実現できることが分かる。
ここで、ボトム酸化膜119の厚さzに関して、z=55Å時のグラフを参照すれば、ESD耐量の値yは、x=165Åを境界に減少しているのが分かる。つまり、窒化膜120の厚さの値xに関して、x≦165Åにおいては、窒化膜120の厚さの増加がESD耐量の増加に寄与しているが、x>165Åにおいては、窒化膜120の厚さの増加がESD耐量の増加に寄与していない(つまり、ESD耐量の減少に寄与している)ことが分かる。
したがって、窒化膜120の厚さの値xに関して、上記関係式(6)に代えて、ESD耐量の増加に寄与する50Å≦x≦165Åを具備することにより、窒化膜120の厚化を抑制しつつ効率的に700V≦y≦2000Vを達成できることが分かる。しかも、窒化膜120の厚化を抑制できるので、誘電体膜117全体の厚化も抑制できる。これにより、上部電極膜122と不純物拡散層との間の距離が離間して、キャパシタ要素C101(図21および図22参照)における容量値が低減することも抑制できる。
なお、上記関係式(4)から、ボトム酸化膜119の厚さを200Å以上にすると、ESD耐量が減少することが分かる。また、ボトム酸化膜119の厚さが200Å以上の時、窒化膜120の厚さxを変更しても、ESD耐量の値yは一定(y4=80V)であり、ESD耐量の増減に寄与していないことが分かる。したがって、たとえば、200Å以上の酸化膜のみ(つまり、窒化膜120の厚さx=0Å)で誘電体膜117を形成すると、良好なESD耐量を得ることができないことが分かる。
<温度特性>
ディスクリートキャパシタ101の電気的特性の一つに、温度特性がある。温度特性とは、温度変化に対する容量値の変動率のことを示す。ディスクリートキャパシタ101では、温度が高くなると、容量値が増加する方向に変動する。したがって、優れた信頼性を有するディスクリートキャパシタ101を提供するには、温度変化に対して、容量値の変動率が少ない方が好ましい。以下、図25を参照して、ディスクリートキャパシタ101の温度特性について説明する。
図25は、図20に示す誘電体膜117における窒化膜120の厚さ[Å]対誘電体膜117の温度係数TCR(Temperature Coefficient of Resistance)[ppm/℃]を示すグラフである。図26は、図25に示すグラフを温度対容量値変動率ΔCpに変更したグラフである。以下では、前述の図24に引き続いて、窒化膜120の厚さの値をx、ESD耐量の値をy、ボトム酸化膜119の厚さの値をzとして説明する。なお、トップ酸化膜121の厚さは、50Åで一定である。誘電体膜117の温度係数TCRとは、1℃当たりにおける容量値の変化量の百万分率で定義される。
図25のグラフを参照すれば、誘電体膜117の温度係数TCRは、窒化膜120の厚さxの増加に応じてリニアに増加しているのが確認できる。このグラフから、窒化膜120の厚さxに関して、20Å≦x≦100Åを具備することにより、25ppm/℃≦温度係数TCR≦40ppm/℃を達成できることが分かる。
図26では、上記温度係数TCRの一例として、36ppm/℃時における温度[℃]対容量値変動率ΔCp[%]のグラフを示し、常温時におけるディスクリートキャパシタ101の容量値変動率ΔCpを0%としている。
図26のグラフにおける直線L1は、p型シリコン基板を使用した場合の特性を示しており、常温時における容量値は58.2pFである。また、直線L2は、p型シリコン基板を使用した場合の特性を示しており、常温時における容量値は55.3pFである。直線L3は、n型シリコン基板を使用した場合の特性を示しており、常温時における55.4pFである。直線L4は、n型シリコン基板を使用した場合の特性を示しており、常温時における容量値は49.6pFである。
直線L1〜L4から理解されるように、温度が上昇するに応じて、容量値変動率ΔCpがリニアに増加している。温度が150℃時では、容量値が、常温時よりも0.4%〜0.5%増加しているのが分かる。
以上のように、ONO膜における窒化膜120の厚さxに関して、20Å≦x≦100Åを具備することにより、25ppm/℃≦温度係数TCR≦40ppm/℃を達成できる。この数値の範囲であれば、常温〜150℃における容量値変動率ΔCpを0.5%以下に抑えることができる。
さらに、前述の図24のグラフから、関係式(6)の50Å≦x≦270Åを参照して、窒化膜120の厚さxの範囲を、50Å≦x≦100Åと設定することにより、ESD耐量の値yに関して、700V≦y≦1400Vを実現できる。これにより、温度変化に強く、優れた信頼性を有するディスクリートキャパシタ101を提供できる。
<ディスクリートキャパシタ101の製造方法>
図27は、図20に示すディスクリートキャパシタ101の第1製造方法を説明するためのフローチャートである。図28は、図27の製造方法に適用される半導体ウエハ138の模式的な平面図である。図29A〜図29Hは、図27に示す製造方法の一工程を説明するための模式的な断面図である。
まず、図28および図29Aに示すように、基板103の元基板としての半導体ウエハ138が用意される(ステップS101:半導体ウエハ用意)。半導体ウエハ138は、n型のシリコンウエハ、n型のシリコンウエハ、p型のシリコンウエハ、またはp型のシリコンウエハであってもよい。本製造方法では、p型のシリコンウエハの例を示している。
半導体ウエハ138の表面139は基板103の素子形成面104に対応しており、半導体ウエハ138の裏面140は基板103の裏面105に対応している。半導体ウエハ138の表面139には、複数のディスクリートキャパシタ101が形成されるチップ領域141が行列状に配列されて設定されている。互いに隣り合うチップ領域141の間には、境界領域142が設けられている。境界領域142は、略一定の幅を有する帯状の領域であり、直交する2方向に延びて格子状に形成されている。
次に、図29Bに示すように、半導体ウエハ138の表面部にn型不純物が導入される。n型不純物の導入は、n型不純物としてのリン(P)を半導体ウエハ138の表面139に堆積させる、いわゆるリンデポ工程によって行う(ステップS102:リンデポ)。リンデポ工程とは、半導体ウエハ138を拡散炉内に搬入し、拡散炉内でPOClガスを流して行う熱処理によって、半導体ウエハ138の表面139にリンを堆積させる処理である。本参考例では、このようなリンデポ工程が、920℃の温度下で、30分間実行される。次に、リンデポ工程を経て半導体ウエハ138の表面139に形成された酸化膜(図示せず)が、ウエットエッチングにより除去される(ステップS103:酸化膜除去)。エッチング液は、たとえばフッ酸である。
次に、半導体ウエハ138に導入されたn型不純物を活性化するための熱処理(ドライブイン処理)が行われる(ステップS104:熱処理(ドライブ))。ドライブイン処理は、900℃の温度下で10分間ドライ処理が実行され、1000℃の温度下で40分間ウェット処理が実行され、1050℃の温度下で2時間、窒素ガス雰囲気中で熱処理される。これにより、半導体ウエハ138の表面部に所定深さの不純物拡散層113が形成される。
次に、図29Cに示すように、半導体ウエハ138の表面139に熱酸化処理が施される(ステップS105:熱酸化処理)。熱酸化処理は、950℃〜1000℃の温度下で、10時間〜4時間(本参考例では、1000℃で4時間)実行される。これにより、半導体ウエハ138の表面139に所定厚さ(たとえば厚さ10000Å)のシリコン酸化膜114が形成される。次に、シリコン酸化膜114上にレジストマスク(図示せず)が形成される(ステップS106:レジストマスク形成)。レジストマスクを用いたエッチングによって、第1および第2開口115,116がシリコン酸化膜114に形成される(ステップS107:開口形成)。
次に、図29Dに示すように、半導体ウエハ138の表面139全域にボトム酸化膜119/窒化膜120/トップ酸化膜121(図23も併せて参照)がこの順に堆積されて誘電体膜117(ONO膜)が形成される(ステップS108:誘電体膜形成)。ボトム酸化膜119およびトップ酸化膜121は、熱酸化処理によって形成され、窒化膜120は、CVD法によって形成される。このとき、たとえば、ボトム酸化膜119の厚さが50Å〜110Å、窒化膜120の厚さが20Å〜100Å、トップ酸化膜121の厚さが50Åとなるように、誘電体膜117が形成される。
次に、第2開口116を露出させる開口を選択的に有するレジストマスク(図示せず)が誘電体膜117上に形成される(ステップS109:レジストマスク形成)。レジストマスクを介するエッチング(たとえば反応性イオンエッチング)によって、第2開口116およびシリコン酸化膜114上に形成された誘電体膜117が選択的に除去される(ステップS110:ドライエッチング)。誘電体膜117が除去された後、必要に応じて、半導体ウエハ138の表面139が洗浄される。
次に、図29Eに示すように、スパッタリングによって、上部電極膜122およびコンタクト電極膜125を構成する電極膜が半導体ウエハ138上に形成される(ステップS111:電極膜形成)。本参考例では、AlSiCuからなる電極膜(たとえば厚さ10000Å)が形成される。そして、電極膜上に、スリット130に対応する開口パターンを有するレジストマスク(図示せず)が形成される(ステップS112:レジストマスク形成)。レジストマスクを介するエッチング(たとえば反応性イオンエッチング)によって、電極膜にスリット130が形成される(ステップS113:電極膜パターニング)。これにより、電極膜が、上部電極膜122およびコンタクト電極膜125に分離される。
次に、図29Fに示すように、レジストマスクを剥離した後、たとえばCVD法によって窒化膜のパッシベーション膜131が形成される(ステップS114:パッシベーション膜形成)。次に、感光性ポリイミド等を塗布することにより樹脂膜132が形成される(ステップS115:ポリイミド塗布)。次に、パッド開口133,134に対応するパターンで樹脂膜132を露光する。その後、樹脂膜132が現像される(ステップS116:露光・現像)。次に、必要に応じて、樹脂膜132をキュアするための熱処理が行われる(ステップS117:ポリイミドキュア)。そして、樹脂膜132をマスクとしたドライエッチング(たとえば反応性イオンエッチング)によってパッシベーション膜131が除去される(ステップS118:パッド開口形成)。これにより、パッド開口133,134が形成される。
次に、図29Gに示すように、境界領域142(図27も併せて参照)に切断用の溝143を形成するためのレジストパターン144が形成される(ステップS119:レジストマスク形成)。レジストパターン144は、境界領域142に整合する格子状の開口144aを有している。レジストパターン144を介してプラズマエッチングが行われる(ステップS120:溝形成)。これにより、半導体ウエハ138が表面139から所定の深さまでエッチングされて、境界領域142に沿った切断用の溝143が形成される。溝143の内壁面からは、不純物拡散層113が露出している。
切断用の溝143に取り囲まれたチップ領域141に半製品145が1つずつ位置している。これらの半製品145は、行列状に整列配置されている。このように切断用の溝143を形成することによって、半導体ウエハ138を複数のチップ領域141毎に分離可能にする。切断用の溝143が形成された後、レジストパターン144は、剥離される。
次に、図29Hに示すように、CVD法によって、USGからなるパッシベーション膜131が、切断用の溝143の内周面(底面および側面)に形成される。次に、パッド開口133,134を埋め戻すように、Ni層、Pd層およびAu層がこの順でめっき成膜される(ステップS121:接続電極形成)。これにより、第1および第2接続電極128,129が形成される。次に、半導体ウエハ138が裏面140側から、切断用の溝143の底面に到達するまで研削される(ステップS122:裏面研削/個片化)。これにより、複数のチップ領域141が個片化され、ディスクリートキャパシタ101を得ることができる。
以上のように、切断用の溝143を形成してから半導体ウエハ138を裏面105側から研削すれば、半導体ウエハ138に形成された複数のチップ領域141を一斉に個片化できる。これにより、半導体ウエハ138から切り出されたチップのサイズをパッケージのサイズとして有するウエハレベルチップサイズパッケージからなるディスクリートキャパシタ101を製造できる。よって、製造時間の短縮によってディスクリートキャパシタ101の生産性の向上を図ることができる。なお、完成した基板103の裏面105を研磨やエッチングすることによって鏡面化して裏面105を綺麗にしてもよい。
また、下部電極を兼ねる不純物拡散層113が基板103の表面部全域に形成されている。したがって、製造時に、上部電極膜122が設計した位置に対してずれて形成されても、上部電極膜122全体を確実に不純物拡散層113に対向させることができる。そのため、位置ずれ等の設計ばらつきに強いディスクリートキャパシタ101を提供できる。
<第2参考例>
図30は、第2参考例に係るディスクリートキャパシタ102の模式的な平面図である。
ディスクリートキャパシタ102が、前述の第1参考例に係るディスクリートキャパシタ101と異なる点は、上部電極膜122に代えて、上部電極膜149が形成されている点である。その他の構成は、前述のディスクリートキャパシタ101と同様である。図30において、前述の図21に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
上部電極膜149は、パッド領域150と、パッド領域150に電気的に接続されたベース領域151と、パッド領域150の一つの長辺(素子形成面104の内方領域側の長辺)に沿って形成され、パッド領域150およびベース領域151を接続するための複数のヒューズ152とを有している。
パッド領域150は、基板103の一端部側において、当該基板103の長辺107に沿って長方形状に形成されており、前述の誘電体膜117(ONO膜)を挟んで不純物拡散層113と対向している。パッド領域150に、第1接続電極128が接続されている。
ベース領域151は、複数の電極膜部分153〜160に分割(分離)されている。各電極膜部分153〜160は、いずれも矩形形状に形成されていて、ヒューズ152からコンタクト電極膜125に向かって帯状に延びている。電極膜部分156〜160は、ヒューズ152を介してパッド領域150の端縁からコンタクト電極膜125の端縁までの範囲に渡って延びて形成されており、電極膜部分153〜155は、それよりも短く形成されている。つまり、複数の電極膜部分153〜160は、複数種類の対向面積で、誘電体膜117を挟んで不純物拡散層113に対向している。
より具体的には、電極膜部分153〜160の不純物拡散層113に対する対向面積は、1:2:4:8:16:32:64:64となるように定められていてもよい。すなわち、複数の電極膜部分153〜160は、公比が2の等比数列をなすように設定された対向面積を有している。より具体的に、電極膜部分153〜156は、基板103の長辺107に沿う長手方向の幅が等しく、長さの比を1:2:4:8に設定した帯状に形成されている。また、電極膜部分156〜160は、基板103の長辺106に沿う長手方向の長さが等しく、幅の比を1:2:4:8:8に設定した帯状に形成されている。むろん、このような等比数列は、公比が2以外の数であってもよい。また、ベース領域151は、電極膜部分153〜160よりも多い電極膜部分に分割されていてもよい。
このように、各電極膜部分153〜160と、誘電体膜117を挟んで対向する不純物拡散層113とによって、互いに異なる容量値を有する複数のキャパシタ要素C111〜C119が形成されている。キャパシタ要素C111は、パッド領域150が誘電体膜117を挟んで不純物拡散層113と対向することにより形成されている。一方、キャパシタ要素C112〜C119は、電極膜部分153〜160が誘電体膜117を挟んで不純物拡散層113と対向することにより形成されている。
複数の電極膜部分153〜160は、1つまたは複数個のヒューズ152と一体的に形成されており、当該ヒューズ152およびパッド領域150を介して第1接続電極128に電気的に接続されている。面積の比較的小さな電極膜部分153〜156は、一つのヒューズ152によってパッド領域150に接続されており、面積の比較的大きな電極膜部分157〜160は複数個のヒューズ152を介してパッド領域150に接続されている。全てのヒューズ152が用いられる必要はなく、本参考例では、一部のヒューズ152は未使用である。
ヒューズ152は、パッド領域150との接続のための第1幅広部161と、電極膜部分153〜160との接続のための第2幅広部162と、第1および第2幅広部161,162の間を接続する幅狭部163とを含む。幅狭部163は、レーザ光によって切断(溶断)できるように構成されている。それによって、電極膜部分153〜160のうち不要な電極膜部分153〜160を、ヒューズ152の切断によって第1および第2接続電極128,129から電気的に分離できる。
図31は、図30に示すディスクリートキャパシタ102の電気回路図である。
図31に示すように、第1および第2接続電極128,129間に複数のキャパシタ要素C111〜C119が並列に接続されている。各キャパシタ要素C111〜C119と第1接続電極128との間には、一つまたは複数のヒューズ152でそれぞれ構成されたヒューズF111〜F118が直列に介装されている。一方、キャパシタ要素C111と第1接続電極128との間には、ヒューズが介装されておらず、キャパシタ要素C111は、第1接続電極128に対して直接接続されている。
ヒューズF111〜F118が全て接続されているときは、ディスクリートキャパシタ102の容量値は、キャパシタ要素C111〜C119の容量値の総和に等しい。複数のヒューズF111〜F118から選択した1つまたは2つ以上のヒューズ152を切断すると、当該切断されたヒューズ152に対応するキャパシタ要素が切り離され、当該切り離されたキャパシタ要素の容量値だけディスクリートキャパシタ102の容量値が減少する。ヒューズF111〜F118の全てを切断した場合、ディスクリートキャパシタ102の容量値は、キャパシタ要素C111の容量値となる。
そこで、不純物拡散層113とパッド領域150との間の容量値(キャパシタ要素C111〜C119の総容量値)を測定し、その後に所望の容量値に応じてヒューズF111〜F118から適切に選択した一つまたは複数のヒューズ152をレーザ光で溶断すれば、所望の容量値への合わせ込み(レーザトリミング)を行うことができる。特に、キャパシタ要素C112〜C119の容量値が、公比2の等比数列をなすように設定されていれば、最小の容量値(当該等比数列の初項の値)であるキャパシタ要素C112の容量値に対応する精度で目標の容量値へと合わせ込む微調整が可能である。また、ヒューズF111〜F118から切断すべきヒューズ152を適切に選択することで、任意の容量値のディスクリートキャパシタ102を提供できる。
<ディスクリートキャパシタ102の製造方法>
図32は、図30に示すディスクリートキャパシタ102の製造方法を説明するためのフローチャートである。
ディスクリートキャパシタ102を製造するには、図27に示すステップS112のレジストマスク形成工程およびステップS113の電極膜パターニング工程に代えて、図32に示すステップS131〜ステップS135の工程を実行すれば良い。
つまり、ステップS111において電極膜が形成された後、電極膜の表面に上部電極膜149の最終形状に対応したレジストマスクが形成される(ステップS131:レジストマスク形成)。レジストマスクを介するエッチングにより、電極膜が、上部電極膜149およびコンタクト電極膜125に整形される(ステップS132:電極膜パターニング)。電極膜のパターニングのためのエッチングは、燐酸等のエッチング液を用いたウエットエッチングによって行ってもよいし、反応性イオンエッチングによって行ってもよい。
次に、上部電極膜149とコンタクト電極膜125とに検査用プローブを押し当てて、複数のキャパシタ要素C111〜C119の総容量値が測定される(ステップS133:総容量値測定)。測定された総容量値に基づき、目的とするディスクリートキャパシタ102の容量値に応じて、切り離すべきキャパシタ要素、すなわち切断すべきヒューズ152が選択される(ステップS134:切断対象のヒューズ選択)。
次に、半導体ウエハ138上の全面にたとえば窒化膜からなるカバー膜が形成される。カバー膜の形成は、プラズマCVD法によって行われてもよい。カバー膜は、パターニングされた上部電極膜149を覆い、上部電極膜149が形成されていない領域では誘電体膜117を覆う。カバー膜は、ヒューズ152領域においてはヒューズ152を覆う。
この状態から、ヒューズ152を溶断するためのレーザトリミングが行われる(ステップS135:レーザトリミング)。すなわち、キャパシタの総容量値の測定結果に応じて選択されたヒューズ152にレーザ光を当てて、そのヒューズ152の幅狭部163が溶断される。これにより、対応するキャパシタ要素がパッド領域150から切り離される。ヒューズ152にレーザ光を当てるとき、カバー膜の働きによって、ヒューズ152の近傍にレーザ光のエネルギーが蓄積され、それによって、ヒューズ152が溶断する。
以上のように、ディスクリートキャパシタ102によれば、図30および図31に示すように、第1接続電極128の直下には、第1接続電極128に直接接続されたキャパシタ要素C111が設けられている。さらに、第1および第2接続電極128,129の間に、ヒューズF111〜F118によって切り離し可能な複数のキャパシタ要素C112〜C119が設けられている。キャパシタ要素C112〜C119は、異なる容量値を有する複数のキャパシタ要素、より具体的には等比数列をなすように容量値が設定された複数のキャパシタ要素を含んでいる。これにより、ヒューズF111〜F118から1つまたは複数のヒューズ152を選択してレーザ光で溶断することにより、設計を変更することなく複数種類の容量値に対応でき、かつ所望の容量値に正確に合わせ込むことができるディスクリートキャパシタ102を提供できる。
<第3参考例>
図33は、第3参考例に係るディスクリートキャパシタ201の模式的な斜視図である。図34は、図33に示すディスクリートキャパシタ201の模式的な平面図である。図35は、図34に示す切断面線XXXV-XXXVから見た断面図である。
ディスクリートキャパシタ201は、ウエハから切り出されたチップのサイズをパッケージのサイズとして有するウエハレベルチップサイズパッケージからなる微小なチップ部品であり、本体部を構成する基板203を含む。基板203は、半導体基板である。基板203としては、n型のシリコン基板、n型のシリコン基板、p型のシリコン基板、またはp型のシリコン基板を採用できる。本参考例では、基板203として、p型のシリコン基板が採用された例について説明する。抵抗値に関して、n型のシリコン基板の抵抗値は2Ω〜3Ωであり、n型のシリコン基板の抵抗値は1.3mΩであり、p型のシリコン基板の抵抗値は25Ω〜30Ωであり、p型のシリコン基板の抵抗値は3mΩであることが好ましい。
基板203は、一端部および他端部を有する略長方体形状に形成されている。基板203の平面形状は、長手方向に沿う長辺206の長さL201が、0.3mm〜0.6mmであり、短手方向に沿う短辺207の長さD201が、0.15mm〜0.3mmである。また、基板203の厚さT201は、たとえば0.1mmである。つまり、基板203としては、いわゆる0603チップ、0402チップ、03015チップ等が適用される。
基板203の各コーナー部208は、平面視で面取りされたラウンド形状であってもよい。ラウンド形状であれば、製造工程や実装時におけるチッピングを抑制できる構造となる。基板203の表面の内方部にキャパシタが形成されている。以下では、キャパシタが形成されている側の表面を素子形成面204といい、その反対側の面を裏面205という。
基板203の表面部には、n型の不純物拡散層213が形成されている。本参考例では、不純物拡散層213が、基板203の表面部の全域に形成され、基板203の側面から露出している。不純物拡散層213は、たとえばn型不純物の一例としてのリン(P)が導入された領域である。特に、不純物拡散層213の表面部の不純物濃度は、5×1019cm−3以上(より具体的には、5×1019cm−3〜2×1020cm−3)である。不純物拡散層213の表面部とは、基板203の素子形成面204から深さ方向に0μm〜3μm程度(より具体的には、1μm程度)の深さまでの範囲のことをいう。
基板203が、n型のシリコン基板の場合、n型の不純物拡散層213は、n型のシリコン基板の不純物濃度と等しい不純物濃度を有していることが好ましい。つまり、この場合、n型のシリコン基板およびn型の不純物拡散層213は、見かけ上、1つのn型の半導体基板を構成している。このとき、n型の半導体基板(n型のシリコン基板)は、その表面部から深さ方向に向けて、同一の不純物濃度プロファイル(たとえば、1×1020cm−3)を有していることが好ましい。
基板203上において、第1および第2接続電極228,229が互いに間隔を空けて形成されている。第1接続電極228は、基板203の一端部側に形成されている。また、第2接続電極229は、基板203の他端部側に形成されている。第1および第2接続電極228,229は、基板203の短辺207に沿って、平面視略長方形状に形成されている。
基板203の素子形成面204には、第1および第2接続電極228,229間の対向方向の中央部を横切る横断線Aを境に、第1キャパシタ領域204aおよび第2キャパシタ領域204bが、それぞれ平面視四角形状に区画されている。
基板203の素子形成面204には、表面絶縁膜の一例としてのシリコン酸化膜214が形成されている。シリコン酸化膜214は、第1キャパシタ領域204aにおける不純物拡散層213を選択的に露出させる第1開口215と、第2キャパシタ領域204bにおける不純物拡散層213を選択的に露出させる第2開口216とを有している。シリコン酸化膜214の厚さは、たとえば8000Å〜12000Å(本参考例では、10000Å)である。
第1開口215は、基板203の長辺206および短辺207に沿って、基板203の一端部側から基板203の他端部側に向けて延びるように平面視略四角形状に形成されている(図34の破線部参照)。
第2開口216は、第1開口215から間隔を空けて、第1開口215と同一形状および同一面積で形成されている。つまり、第2開口216は、基板203の長辺206および短辺207に沿って、基板203の他端部側から基板203の一端部側に向けて延びるように平面視略四角形状に形成されている(図34の破線部参照)。第1および第2開口215,216は、横断線Aを挟んで互いに対向している。
基板203上には、第1開口215から露出する不純物拡散層213の表面を覆う第1誘電体膜217と、第2開口216から露出する不純物拡散層213の表面を覆う第2誘電体膜218と、第1誘電体膜217を覆う第1電極の一例としての第1上部電極膜222と、第2誘電体膜218を覆う第2電極の一例としての第2上部電極膜225とが形成されている。
第1誘電体膜217は、不純物拡散層213の表面に接しており、基板203の一端部側から他端部側に向けて延びるように平面視略四角形状に形成されている。より具体的に、第1誘電体膜217は、当該不純物拡散層213の表面からシリコン酸化膜214の側部に沿って形成されており、シリコン酸化膜214の側部および上部の一部を覆うオーバラップ部217aを含む。
第2誘電体膜218は、第1誘電体膜217と同一形状および同一面積で形成されている。つまり、第2誘電体膜218は、不純物拡散層213の表面に接しており、基板203の他端部側から一端部側に向けて延びるように平面視略四角形状に形成されている。より具体的に、第2誘電体膜218は、当該不純物拡散層213の表面からシリコン酸化膜214の側部に沿って形成されており、シリコン酸化膜214の側部および上部の一部を覆うオーバラップ部218aを含む。本参考例における第1および第2誘電体膜217,218は、複数の絶縁膜が積層された積層構造を有している。以下、図36を参照して、第1および第2誘電体膜217,218の構成を具体的に説明する。
図36は、図35に示す第1誘電体膜217を含む領域を拡大した断面図である。なお、第2誘電体膜218の構成は、第1誘電体膜217の構成と同等であるので、図36では、第2誘電体膜218の説明を包含するものとして、第1誘電体膜217の構成について説明する。
図36に示すように、第1誘電体膜217(第2誘電体膜218)は、ボトム酸化膜219/窒化膜220/トップ酸化膜221の順に積層されたONO膜である。ボトム酸化膜219およびトップ酸化膜221は、SiO膜からなり、窒化膜220は、SiN膜からなる。第1誘電体膜217(第2誘電体膜218)の総厚さは、120Å〜700Åであることが好ましい。より具体的に、ボトム酸化膜219の厚さは、たとえば50Å〜200Åであり、窒化膜220の厚さは、たとえば20Å〜300Åであり、トップ酸化膜221の厚さは、たとえば50Å〜200Åであってもよい。
また、第1誘電体膜217(第2誘電体膜218)は、ONO膜に代えて、酸化膜であってもよい。第1誘電体膜217(第2誘電体膜218)が酸化膜からなる場合、厳密には、前述のONO膜から窒化膜220が取り除かれたボトム酸化膜219/トップ酸化膜221であり、各酸化膜219,221の厚さは、いずれも200Å〜260Åである。
第1上部電極膜222は、第1誘電体膜217の平面形状に倣って形成されている。つまり、第1上部電極膜222は、平面視において、第1誘電体膜217と同一形状および同一面積で形成されている。第1上部電極膜222は、第1誘電体膜217を挟んで不純物拡散層213と対向しており、シリコン酸化膜214の側部および上部の一部を覆うオーバラップ部222aを含む。
また、第1上部電極膜222は、第1誘電体膜217を挟んで不純物拡散層213と対向する第1パッド領域223および第1ベース領域224を有している。つまり、本参考例では、第1パッド領域223および第1ベース領域224が一体となった第1上部電極膜222と、第1誘電体膜217と、下部電極としての不純物拡散層213とによって、第1キャパシタ要素C201が構成されている。
第2上部電極膜225は、第1上部電極膜222と同一形状および同一面積で形成されている。つまり、第2上部電極膜225は、第2誘電体膜218の平面形状に倣って、第2誘電体膜218と同一形状および同一面積で形成されている。第2上部電極膜225は、当該第2誘電体膜218を挟んで不純物拡散層213と対向しており、シリコン酸化膜214の側部および上部の一部を覆うオーバラップ部225aを含む。
また、第2上部電極膜225は、第2誘電体膜218を挟んで不純物拡散層213と対向する第2パッド領域226および第2ベース領域227を有している。つまり、本参考例では、第2パッド領域226および第2ベース領域227が一体となった第2上部電極膜225と、第2誘電体膜218と、下部電極としての不純物拡散層213とによって、第2キャパシタ要素C202が構成されている。第2キャパシタ要素C202は、第1キャパシタ要素C201の容量値と等しい容量値を有している。
第1および第2上部電極膜222,225は同一の導電材料からなっており、たとえば、Al,AlCu,AlSiCu等の導電材料を例示できる。第1および第2上部電極膜222,225は、シリコン酸化膜214上において、第1および第2上部電極膜222,225の各周縁部を縁取るスリット230によって、電気的に分離されている。
シリコン酸化膜214上には、第1および第2上部電極膜222,225を覆うようにパッシベーション膜231および樹脂膜232がこの順に形成されている。また、パッシベーション膜231は、基板203の側面にも形成されている。基板203の側面を被覆するパッシベーション膜231は、基板203の側面において不純物拡散層213を被覆している。パッシベーション膜231は、たとえば窒化シリコン、またはUSG(Undoped Silicate Glass)を含み、樹脂膜232は、たとえばポリイミドからなる。パッシベーション膜231および樹脂膜232は、保護膜を構成しており、第1および第2上部電極膜222,225、ならびに素子形成面204への水分の浸入を抑制または防止すると共に、外部からの衝撃等を吸収し、ディスクリートキャパシタ201の耐久性の向上に寄与している。
パッシベーション膜231および樹脂膜232には、第1および第2パッド領域223,226を選択的に露出させるパッド開口233,234が形成されている。パッド開口233,234を埋め戻すように第1および第2接続電極228,229が形成されている。
第1接続電極228は、基板203の一端部側において、第1上部電極膜222の第1パッド領域223と接続されている。また、第2接続電極229は、基板203の他端部側において、第2上部電極膜225の第2パッド領域226と接続されている。第1および第2接続電極228,229は、樹脂膜232の表面から突出していて、樹脂膜232よりも高い位置(基板203から遠い位置)に表面を有しており、パッド開口233,234の開口端から樹脂膜232の表面に跨るオーバラップ部を有している。図35では、図示を省略しているが、第1および第2接続電極228,229は、Ni層、Pd層およびAu層を素子形成面204側からこの順で有している。
第1および第2接続電極228,229のそれぞれにおいて、Ni層は各接続電極の大部分を占めており、Pd層およびAu層は、Ni層に比べて格段に薄く形成されている。Ni層は、ディスクリートキャパシタ201が実装基板に実装された際に、第1および第2接続電極228,229の導電材料と、はんだとを中継する役割を有している。なお、第1および第2接続電極228,229は、樹脂膜232の表面よりも低い位置(基板203に近い位置)に表面を有していてもよい。
<ディスクリートキャパシタ201の製造方法>
図37は、図33に示すディスクリートキャパシタ201の製造方法を説明するためのフローチャートである。図38は、図37の製造方法に適用される半導体ウエハ238の模式的な平面図である。図39A〜図39Hは、図37に示す製造方法の一工程を説明するための模式的な断面図である。
まず、図38および図39Aに示すように、基板203の元基板としての半導体ウエハ238が用意される(ステップS201:半導体ウエハ用意)。半導体ウエハ238は、n型のシリコンウエハ、n型のシリコンウエハ、p型のシリコンウエハ、またはp型のシリコンウエハであってもよい。本製造方法では、p型のシリコンウエハの例を示している。
半導体ウエハ238の表面239は基板203の素子形成面204に対応しており、半導体ウエハ238の裏面240は基板203の裏面205に対応している。半導体ウエハ238の表面239には、複数のディスクリートキャパシタ201が形成されるチップ領域241が行列状に配列されて設定されている。互いに隣り合うチップ領域241の間には、境界領域242が設けられている。境界領域242は、略一定の幅を有する帯状の領域であり、直交する2方向に延びて格子状に形成されている。
次に、図39Bに示すように、半導体ウエハ238の表面部にn型不純物が導入される。n型不純物の導入は、n型不純物としてのリン(P)を半導体ウエハ238の表面239に堆積させる、いわゆるリンデポ工程によって行う(ステップS202:リンデポ)。リンデポ工程とは、半導体ウエハ238を拡散炉内に搬入し、拡散炉内でPOClガスを流して行う熱処理によって、半導体ウエハ238の表面239にリンを堆積させる処理である。本参考例では、このようなリンデポ工程が、920℃の温度下で、30分間実行される。次に、リンデポ工程を経て半導体ウエハ238の表面239に形成された酸化膜(図示せず)が、ウエットエッチングにより除去される(ステップS203:酸化膜除去)。エッチング液は、たとえばフッ酸である。
次に、半導体ウエハ238に導入されたn型不純物を活性化するための熱処理(ドライブイン処理)が行われる(ステップS204:熱処理(ドライブ))。ドライブイン処理は、900℃の温度下で10分間ドライ処理が実行され、1000℃の温度下で40分間ウェット処理が実行され、1050℃の温度下で2時間、窒素ガス雰囲気中で熱処理される。これにより、半導体ウエハ238の表面部に所定深さの不純物拡散層213が形成される。
次に、図39Cに示すように、半導体ウエハ238の表面239に熱酸化処理が施される(ステップS205:熱酸化処理)。熱酸化処理は、950℃〜1000℃の温度下で、4時間〜10時間(本参考例では、1000℃で4時間)実行される。これにより、半導体ウエハ238の表面239に所定厚さ(たとえば厚さ10000Å)のシリコン酸化膜214が形成される。次に、シリコン酸化膜214上にレジストマスク(図示せず)が形成される(ステップS206:レジストマスク形成)。レジストマスクを用いたエッチングによって、第1および第2開口215,216がシリコン酸化膜214に形成される(ステップS207:開口形成)。
次に、図39Dに示すように、半導体ウエハ238の表面239全域にボトム酸化膜219/窒化膜220/トップ酸化膜221(図36も併せて参照)がこの順に堆積されて第1および第2誘電体膜217,218を構成する誘電体膜(ONO膜)が形成される(ステップS208:誘電体膜形成)。ボトム酸化膜219およびトップ酸化膜221は、熱酸化処理によって形成され、窒化膜220は、CVD法によって形成される。
次に、図39Eに示すように、スパッタリングによって、第1および第2上部電極膜222,225を構成する電極膜が半導体ウエハ238上に形成される(ステップS209:電極膜形成)。本参考例では、AlSiCuからなる電極膜(たとえば厚さ10000Å)が形成される。そして、電極膜上に、スリット230に対応する開口パターンを有するレジストマスク(図示せず)が形成される(ステップS210:レジストマスク形成)。レジストマスクを介するエッチング(たとえば反応性イオンエッチング)によって、電極膜および誘電体膜が一括除去されて、スリット230が形成される(ステップS211:電極膜パターニング)。これにより、電極膜が、第1および第2上部電極膜222,225に分離されると共に、誘電体膜が、第1および第2誘電体膜217,218に分離される。
次に、図39Fに示すように、レジストマスクを剥離した後、たとえばCVD法によって窒化膜のパッシベーション膜231が形成される(ステップS212:パッシベーション膜形成)。次に、感光性ポリイミド等を塗布することにより樹脂膜232が形成される(ステップS213:ポリイミド塗布)。次に、パッド開口233,234に対応するパターンで樹脂膜232を露光する。その後、樹脂膜232が現像される(ステップS214:露光・現像)。次に、必要に応じて、樹脂膜232をキュアするための熱処理が行われる(ステップS215:ポリイミドキュア)。
そして、樹脂膜232をマスクとしたドライエッチング(たとえば反応性イオンエッチング)によってパッシベーション膜231が除去される(ステップS216:パッド開口形成)。これにより、パッド開口233,234が形成される。
次に、図39Gに示すように、境界領域242(図38も併せて参照)に切断用の溝243を形成するためのレジストマスク244が形成される(ステップS217:レジストマスク形成)。レジストマスク244は、境界領域242に整合する格子状の開口244aを有している。レジストマスク244を介してプラズマエッチングが行われる(ステップS218:溝形成)。これにより、半導体ウエハ238が表面239から所定の深さまでエッチングされて、境界領域242に沿った切断用の溝243が形成される。溝243の内壁面からは、不純物拡散層213が露出している。
切断用の溝243に取り囲まれたチップ領域241に半製品245が1つずつ位置している。これらの半製品245は、行列状に整列配置されている。このように切断用の溝243を形成することによって、半導体ウエハ238を複数のチップ領域241毎に分離可能にする。切断用の溝243が形成された後、レジストマスク244は、剥離される。
次に、図39Hに示すように、CVD法によって、USGからなるパッシベーション膜231が、切断用の溝243の内周面(底面および側面)に形成される。次に、パッド開口233,234を埋め戻すように、Ni層、Pd層およびAu層がこの順でめっき成膜される(ステップS219:接続電極形成)。これにより、第1および第2接続電極228,229が形成される。次に、半導体ウエハ238が裏面240側から、切断用の溝243の底面に到達するまで研削される(ステップS220:裏面研削/個片化)。これにより、複数のチップ領域241が個片化されて、ディスクリートキャパシタ201を得ることができる。
このように、切断用の溝243を形成してから半導体ウエハ238を裏面205側から研削すれば、半導体ウエハ238に形成された複数のチップ領域241を一斉に個片化できる。これにより、半導体ウエハ238から切り出されたチップのサイズをパッケージのサイズとして有するウエハレベルチップサイズパッケージからなるディスクリートキャパシタ201を製造できる。よって、製造時間の短縮によってディスクリートキャパシタ201の生産性の向上を図ることができる。なお、完成した基板203の裏面205を研磨やエッチングすることによって鏡面化して裏面205を綺麗にしてもよい。
また、ステップS211の電極膜パターニング工程において、電極膜が、第1および第2上部電極膜222,225に分離されると同時に、誘電体膜が、第1および第2誘電体膜217,218に分離される。したがって、半導体ウエハ238に第1キャパシタ要素C201および第2キャパシタ要素C202が一括して形成されるので、製造工程が煩雑化することがない。
また、このような第1キャパシタ要素C201および第2キャパシタ要素C202の各容量値は、不純物拡散層213と対向する第1および第2ベース領域224,227の各面積を変更することによって調節できる。第1および第2ベース領域224,227の各面積は、ステップS210のレジストマスク形成工程におけるレジストマスクのレイアウトを変更することにより調節可能である。したがって、たとえば、不純物拡散層213と対向する第1および第2ベース領域224,227の各面積を半分にすることにより、第1および第2ベース領域224,227の各容量値を半分にできる。さらに、第1および第2ベース領域224,227の面積をゼロにすることにより、第1キャパシタ要素C201および第2キャパシタ要素C202の各容量値を第1および第2パッド領域223,226と不純物拡散層213との間の容量値に設定できる。
また、下部電極を兼ねる不純物拡散層213が半導体ウエハ238の表面部全域に形成されている。したがって、製造時に、第1および第2上部電極膜222,225が設計した位置に対してずれて形成されても、確実に第1および第2上部電極膜222,225の全体を不純物拡散層213に対向させることができる。よって、位置ずれ等の設計ばらつきに強く、種々の容量値を有するディスクリートキャパシタ201を容易に製造し、提供できる。
<ディスクリートキャパシタ201の電気的特性>
次に、図40および図41を参照して、参考例に係るディスクリートキャパシタ210および第3参考例に係るディスクリートキャパシタ201の各電気的特性について説明する。図40は、参考例に係るディスクリートキャパシタ210の電気回路図である。図41は、図33に示すディスクリートキャパシタ201の電気回路図である。
参考例に係るディスクリートキャパシタ210が、ディスクリートキャパシタ201と異なる点は、第2誘電体膜218が取り除かれて、第2上部電極膜225と不純物拡散層213とが直接接続されている点である。参考例に係るディスクリートキャパシタ210によれば、第1誘電体膜217を挟んで不純物拡散層213と対向する第1上部電極膜222を上部電極とし、不純物拡散層213を下部電極とする第1キャパシタ要素C201が形成されている。
図40の電気回路図に示すように、参考例に係るディスクリートキャパシタ210の場合、第1キャパシタ要素C201に対して、一方の電極(図40では、第2接続電極229)のみに、不純物拡散層213の内部抵抗Rが接続されている。したがって、第1および第2接続電極228,229間の構成は、電気回路的に対称ではない。
つまり、第1接続電極228を正極(+)とし、第2接続電極229を負極(−)とした場合、電子は、第2接続電極229から内部抵抗Rを通過して、第1キャパシタ要素C201の負極側に帯電する。一方、第1接続電極228を負極(−)とし、第2接続電極229を正極(+)とした場合、電子は、内部抵抗Rを通過することなく、第1接続電極228から第1キャパシタ要素C201の負極側に帯電する。したがって、第1および第2接続電極228,229の極性(+/−)を反転した場合、当該反転前後において、電子(または正孔)が第1キャパシタ要素C201の負極側(または正極側)に帯電する際の移動経路に異なりが生じている。
そのため、直流バイアス特性に関して、第1接続電極228を正極(+)とし、第2接続電極229を負極(−)とした場合の直流バイアスに対する容量値変動率と、第1接続電極228を負極(−)とし、第2接続電極229を正極(+)とした場合の直流バイアスに対する容量値変動率とが大きく異なってしまう場合がある。
これに対して、ディスクリートキャパシタ201は、第1キャパシタ要素C201に加えて、第2誘電体膜218を挟んで不純物拡散層213と対向する第2上部電極膜225を上部電極とし、不純物拡散層213を下部電極とする第2キャパシタ要素C202を含む。
図41の電気回路図に示すように、ディスクリートキャパシタ201の場合、第1キャパシタ要素C201および第2キャパシタ要素C202が、不純物拡散層213の内部抵抗Rを中心として、第1および第2接続電極228,229にそれぞれ接続されている。
ここで、図34および図35を参照すれば、第1および第2誘電体膜217,218、ならびに第1および第2上部電極膜222,225がそれぞれ同一形状および同一面積(対向面積)で不純物拡散層213と対向することによって、第1キャパシタ要素C201および第2キャパシタ要素C202が構成されている。また、第1および第2誘電体膜217,218は、同一の厚さで形成されている。さらに、第1および第2誘電体膜217,218、ならびに第1および第2上部電極膜222,225は、素子形成面204の中央部(たとえば、重心)に対して点対称に構成されており、かつ、横断線Aに対して線対称に形成されている。
つまり、第1キャパシタ要素C201および第2キャパシタ要素C202は、実質的に等しい容量値を有しており、第1および第2接続電極228,229間の構成は、電気回路的に対称であるといえる。したがって、第1および第2接続電極228,229の極性(+/−)を反転したとしても、電子(または正孔)が第1キャパシタ要素C201および第2キャパシタ要素C202の負極側(または正極側)に帯電する際の移動経路に異なりが生じることがない。
これにより、直流バイアス特性に関して、第1接続電極228を正極(+)とし、第2接続電極229を負極(−)とした場合の直流バイアスに対する容量値変動率と、第1接続電極228を負極(−)とし、第2接続電極229を正極(+)とした場合の直流バイアスに対する容量値変動率とを、実質的に等しくできる。その結果、印加電圧の極性を反転させても、反転前後で容量値変動率が大きく異なることを防止できるディスクリートキャパシタ201を提供できる。
また、図35に示すように、第1ベース領域224に加えて、第1パッド領域223も第1誘電体膜217を挟んで不純物拡散層213と対向している。同様に、第2ベース領域227に加えて、第2パッド領域226も第2誘電体膜218を挟んで不純物拡散層213と対向している。したがって、第1および第2開口215,216上の領域を有効活用できると同時に、限られた面積の範囲で第1キャパシタ要素C201および第2キャパシタ要素C202の各容量値を効果的に増加させることができる。
また、不純物拡散層213と、シリコン酸化膜214上における第1および第2上部電極膜222,225の各オーバラップ部222a,225aとの間に寄生容量が形成される。前述の通り、シリコン酸化膜214の厚さが8000Å〜12000Åであれば、不純物拡散層213と、各オーバラップ部222a,225aとを十分に離間させることができる。キャパシタの容量値は、距離(つまり、不純物拡散層213と、各オーバラップ部222a,225aとの間の距離)に反比例するため、寄生容量の容量成分を効果的に低減できる。これにより、設計値と測定値との間に誤差の少ない容量値を有するディスクリートキャパシタ201を提供できる。
<第4参考例>
図42は、第4参考例に係るディスクリートキャパシタ202の模式的な平面図である。
ディスクリートキャパシタ202が、前述の第3参考例に係るディスクリートキャパシタ201と異なる点は、第1上部電極膜222に代えて、第1上部電極膜249が形成されている点、および第2上部電極膜225に代えて、第2上部電極膜264が形成されている点である。その他の構成は、前述のディスクリートキャパシタ201と同様である。図42において、前述の図33〜図41に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付している。
第1上部電極膜249は、第1パッド領域250と、第1パッド領域250に電気的に接続された第1ベース領域251と、第1パッド領域250の一つの長辺(横断線A側の長辺)に沿って形成され、第1パッド領域250および第1ベース領域251を接続するための複数の第1ヒューズ252とを有している。
第1パッド領域250は、基板203の一端部側において、当該基板203の短辺207に沿って長方形状に形成されており、前述の第1誘電体膜217(ONO膜)を挟んで不純物拡散層213と対向している。第1パッド領域250に、第1接続電極228が接続されている。
第1ベース領域251は、複数の第1電極膜部分253〜258に分割(分離)されている。各第1電極膜部分253〜258は、いずれも矩形形状に形成されていて、第1ヒューズ252から第2接続電極229に向かって帯状に延びている。第1電極膜部分253〜258は、第1ヒューズ252を介して第1パッド領域250の端縁から、横断線Aに近接する位置まで延びるように形成されている。複数の第1電極膜部分253〜258は、複数種類の対向面積で、第1誘電体膜217を挟んで不純物拡散層213に対向している。
複数の第1電極膜部分253〜258は、等比数列をなすように設定された対向面積を有している。より具体的に、第1電極膜部分253〜258の不純物拡散層213に対する対向面積は、本参考例では、1:2:3:4:5:6となるように定められている。第1電極膜部分253〜258は、基板203の長辺206に沿う長手方向の長さ(幅)が等しく、基板203の短辺207に沿う短手方向の長さの比を1:2:3:4:5:6に設定した帯状に形成されている。
むろん、第1電極膜部分253〜258の不純物拡散層213に対する対向面積は、公比を2以上とする等比数列であってもよい。また、第1ベース領域251は、第1電極膜部分253〜258よりも多い電極膜部分に分割されていてもよい。第1電極膜部分253〜258の公比は、第1電極膜部分253〜258の基板203の長辺206に沿う長手方向の長さ、および第1電極膜部分253〜258の基板203の短辺207に沿う長手方向の長さ(幅)を調節することにより変更できる。
複数の第1電極膜部分253〜258は、1つまたは複数個の第1ヒューズ252と一体的に形成されており、第1ヒューズ252および第1パッド領域250を介して第1接続電極228に電気的に接続されている。第1電極膜部分253〜258と第1パッド領域250との接続に関して、全ての第1ヒューズ252が用いられる必要はなく、一部の第1ヒューズ252は未使用であってもよい。
第1ヒューズ252は、第1パッド領域250との接続のための第1幅広部261と、第1電極膜部分253〜258との接続のための第2幅広部262と、第1および第2幅広部261,262の間を接続する幅狭部263とを含む。幅狭部263は、レーザ光によって切断(溶断)できるように構成されている。それによって、第1電極膜部分253〜258のうち不要な第1電極膜部分253〜258を、第1ヒューズ252の切断によって第1および第2接続電極228,229から電気的に分離できる。
第2上部電極膜264は、第1上部電極膜249と同一形状および同一面積で形成されている。より具体的には、第2上部電極膜264は、第2パッド領域265と、第2パッド領域265に電気的に接続された第2ベース領域266と、第2パッド領域265の一つの長辺(基板203の周縁に対して内方側の長辺)に沿って形成され、第2パッド領域265および第2ベース領域266を接続するための複数の第2ヒューズ267とを有している。
第2パッド領域265は、基板203の他端部側において、当該基板203の短辺207に沿って長方形状に形成されており、前述の第2誘電体膜218(ONO膜)を挟んで不純物拡散層213と対向している。第2パッド領域265に、第2接続電極229が接続されている。
第2ベース領域266は、複数の第2電極膜部分268〜273に分割(分離)されている。各第2電極膜部分268〜273は、いずれも矩形形状に形成されていて、第2ヒューズ267から第2接続電極229に向かって帯状に延びている。第2電極膜部分268〜273は、第2ヒューズ267を介して第2パッド領域265の端縁から、横断線Aに近接する位置まで延びるように形成されている。複数の第2電極膜部分268〜273は、複数種類の対向面積で、前述の第2誘電体膜218(ONO膜)を挟んで不純物拡散層213に対向している。
複数の第2電極膜部分268〜273は、等比数列をなすように設定された対向面積を有している。より具体的に、第2電極膜部分268〜273の不純物拡散層213に対する対向面積は、本参考例では、1:2:3:4:5:6となるように定められている。第2電極膜部分268〜273は、基板203の長辺206に沿う長手方向の長さが等しく、基板203の短辺207に沿う短手方向の長さ(幅)の比を1:2:3:4:5:6に設定した帯状に形成されている。
むろん、第2電極膜部分268〜273は、公比を2以上とする等比数列であってもよい。また、第2ベース領域266は、第2電極膜部分268〜273よりも多い電極膜部分に分割されていてもよい。第2電極膜部分268〜273の公比は、第2電極膜部分268〜273の基板203の長辺206に沿う長手方向の長さ、および第2電極膜部分268〜273の基板203の短辺207に沿う長手方向の長さ(幅)を調節することにより変更できる。
複数の第2電極膜部分268〜273は、1つまたは複数個の第2ヒューズ267と一体的に形成されており、当該第2ヒューズ267および第2パッド領域265を介して第2接続電極229に電気的に接続されている。第2電極膜部分268〜273と第2パッド領域265との接続に関して、全ての第2ヒューズ267が用いられる必要はなく、一部の第2ヒューズ267は未使用であってもよい。
第2ヒューズ267は、第2パッド領域265との接続のための第1幅広部274と、第2電極膜部分268〜273との接続のための第2幅広部275と、第1および第2幅広部274,275の間を接続する幅狭部276とを含む。幅狭部276は、レーザ光によって切断(溶断)できるように構成されている。それによって、第2電極膜部分268〜273のうち不要な第2電極膜部分268〜273を、第2ヒューズ267の切断によって第2接続電極229から電気的に分離できる。
このようにして、第1および第2上部電極膜249,264と第1および第2誘電体膜217,218を挟んで対向する不純物拡散層213とによって、互いに異なる容量値を有する複数のキャパシタ要素C211〜C217が形成されている。キャパシタ要素C211は、第1および第2上部電極膜249,264の第1および第2パッド領域223,226と、第1および第2誘電体膜217,218と、不純物拡散層213とによって構成されている。一方、キャパシタ要素C212〜C217は、第1電極膜部分253〜258および第2電極膜部分268〜273と、第1および第2誘電体膜217,218とによって構成されている。
図43は、図42に示すディスクリートキャパシタ202の電気回路図である。
図43に示すように、第1接続電極228に複数のキャパシタ要素C211〜C217が並列に接続されている。同様に、第2接続電極229に複数のキャパシタ要素C211〜C217が並列に接続されている。第1接続電極228に接続された複数のキャパシタ要素C211〜C217、および第2接続電極229に接続された複数のキャパシタ要素C211〜C217は、不純物拡散層213の内部抵抗Rを中心として、第1および第2接続電極228,229にそれぞれ接続されている。
第1接続電極228と各キャパシタ要素C211〜C217との間には、一つまたは複数の第1ヒューズ252でそれぞれ構成されたヒューズF211〜F216が直列に介装されている。同様に、第2接続電極229と各キャパシタ要素C211〜C217との間には、一つまたは複数の第2ヒューズ267でそれぞれ構成されたヒューズF211〜F216が直列に介装されている。
他方、キャパシタ要素C211と第1接続電極228との間、およびキャパシタ要素C211と第2接続電極229との間には、ヒューズが介装されておらず、キャパシタ要素C211は、第1および第2接続電極228,229に対して直接接続されている。
ヒューズF211〜F216が全て接続されているとき、ディスクリートキャパシタ202の容量値は、キャパシタ要素C211〜C217の容量値の総和の1/2である。複数のヒューズF211〜F216から選択した1つまたは2つ以上の第1および第2ヒューズ252,267を切断すると、当該切断された第1および第2ヒューズ252,267に対応するキャパシタ要素が切り離される。この場合、第1接続電極228側のキャパシタ要素C211〜C217と第2接続電極229側のキャパシタ要素C211〜C217とが対称になるように、切断対象が選択される。たとえば、第1接続電極228側のヒューズF212,F214が切断対象であれば、第2接続電極229側のヒューズF212,F214が切断対象となる。キャパシタ要素の切断に応じて、ディスクリートキャパシタ202の容量値が減少する。ヒューズF211〜F216の全てを切断した場合、ディスクリートキャパシタ202の容量値は、キャパシタ要素C211の容量値の1/2である。
そこで、第1および第2上部電極膜249,264間の容量値(キャパシタ要素C211〜C217の総容量値)を測定し、その後に所望の容量値に応じてヒューズF211〜F216から適切に選択した一つまたは複数の第1および第2ヒューズ252,267をレーザ光で溶断すれば、所望の容量値への合わせ込み(レーザトリミング)を行うことができる。特に、キャパシタ要素C212〜C217の容量値が、等比数列をなすように設定されていれば、最小の容量値(当該等比数列の初項の値)であるキャパシタ要素C212の容量値に対応する精度で目標の容量値へと合わせ込む微調整が可能である。また、ヒューズF211〜F216から切断すべき第1および第2ヒューズ252,267を適切に選択することで、任意の容量値のディスクリートキャパシタ202を提供できる。
<ディスクリートキャパシタ202の製造方法>
図44は、図42に示すディスクリートキャパシタ202の製造方法を説明するためのフローチャートである。
ディスクリートキャパシタ202を製造するには、図37に示すステップS210のレジストマスク形成工程およびステップS211の電極膜パターニング工程に代えて、図44に示すステップS231〜ステップS235の工程を実行すれば良い。
つまり、ステップS209において電極膜が形成された後、電極膜の表面に第1および第2上部電極膜249,264の最終形状に対応したレジストマスクが形成される(ステップS231:レジストマスク形成)。レジストマスクを介するエッチングにより、電極膜が、第1および第2上部電極膜249,264に整形される(ステップS232:電極膜パターニング)。電極膜のパターニングのためのエッチングは、燐酸等のエッチング液を用いたウエットエッチングによって行ってもよいし、反応性イオンエッチングによって行ってもよい。
次に、第1および第2上部電極膜249,264に検査用プローブを押し当てて、複数のキャパシタ要素C211〜C217の総容量値が測定される(ステップS233:総容量値測定)。測定された総容量値に基づき、目的とするディスクリートキャパシタ202の容量値に応じて、切り離すべきキャパシタ要素、すなわち切断すべき第1および第2ヒューズ252,267が選択される(ステップS234:切断対象のヒューズ選択)。
次に、半導体ウエハ238上の全面にたとえば窒化膜からなるカバー膜が形成される。カバー膜の形成は、プラズマCVD法によって行われてもよい。カバー膜は、パターニングされた第1および第2上部電極膜249,264を覆い、第1および第2上部電極膜249,264が形成されていない領域では第1および第2誘電体膜217,218を覆う。
この状態から、第1および第2ヒューズ252,267を溶断するためのレーザトリミングが行われる(ステップS235:レーザトリミング)。すなわち、キャパシタの総容量値の測定結果に応じて選択された第1および第2ヒューズ252,267にレーザ光を当てて、その第1および第2ヒューズ252,267の各幅狭部263,276が溶断される。これにより、対応するキャパシタ要素が第1および第2パッド領域223,226から切り離される。第1および第2ヒューズ252,267にレーザ光を当てるとき、カバー膜の働きによって、第1および第2ヒューズ252,267の近傍にレーザ光のエネルギーが蓄積され、それによって、第1および第2ヒューズ252,267が溶断する。
以上のように、ディスクリートキャパシタ202によれば、図42および図43に示すように、第1および第2接続電極228,229の直下には、第1および第2接続電極228,229に直接接続されたキャパシタ要素C211が設けられている。さらに、第1および第2接続電極228,229の間に、ヒューズF211〜F216によって切り離し可能な複数のキャパシタ要素C212〜C217がそれぞれ設けられている。キャパシタ要素C212〜C217は、異なる容量値を有する複数のキャパシタ要素、より具体的には等比数列をなすように容量値が設定された複数のキャパシタ要素を含んでいる。これにより、ヒューズF211〜F216から1つまたは複数の第1および第2ヒューズ252,267を選択してレーザ光で溶断することにより、設計を変更することなく複数種類の容量値に対応でき、かつ所望の容量値に正確に合わせ込むことができるディスクリートキャパシタ202を提供できる。
以上、本発明の実施形態および参考例に係る形態を説明したが、本発明の実施形態および参考例に係る形態は、さらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の第1および第2実施形態に係る第1および第2製造方法において、ステップS2の第1リンデポ工程にかえて、半導体ウエハ38の表面にn型不純物を注入(ドーピング)するイオン注入法を採用してもよい。また、同様に、前述の第2製造方法におけるステップS24の第2リンデポ工程に代えて、半導体ウエハ38の表面にn型不純物を注入(ドーピング)するイオン注入法を採用してもよい。
なお、イオン注入法と比較すると、第1および第2リンデポ工程であれば、半導体ウエハ38の表面39から不純物を拡散させることができるので、不純物拡散層13の表面部における不純物濃度を増加させ易い。そのため、第1および第2リンデポ工程の方が好ましいといえる。
また、前述の第1および第2実施形態に係る第2製造方法において、ステップS25の誘電体膜形成工程で、ボトム酸化膜19/トップ酸化膜21膜からなる誘電体膜17が形成される例について説明したが、第1製造方法と同様の厚さを有するONO膜が形成されてもよい。
また、前述の第1および第2実施形態では、基板3の表面部全域に亘って、不純物拡散層13が形成されている例について説明したが、不純物拡散層13は少なくとも、上部電極膜22,49およびコンタクト電極膜25の全域と対向する領域に形成されていればよい。
また、前述の第1および第2実施形態では、Ni層/Pd層/Au層からなる第1および第2接続電極28,29の例について説明したが、第1および第2接続電極28,29は、Ni層、Pd層、およびAu層のいずれか一層からなっていてもよい。
また、前述の第1および第2実施形態において、上部電極膜22,49およびコンタクト電極膜25の各オーバラップ部22a,25aを利用して、第1および第2接続電極28,29と、上部電極膜22,49およびコンタクト電極膜25とを、シリコン酸化膜14上で電気的に接続させるようにしてもよい。このような構成であっても、前述の第1および第2実施形態で述べた効果と同様の効果を奏することができる。
また、前述の第1および第2参考例では、表面絶縁膜の一例としてシリコン酸化膜114が基板103上に形成されている例について説明したが、シリコン酸化膜114に代えて、SiN等の窒化膜、酸化アルミニウム(Al)膜等を採用してもよい。この場合、ステップS105の熱酸化処理に代えてCVD法等によって、絶縁材料を基板103上に堆積させればよい。
また、前述の第1および第2参考例では、シリコン酸化膜114が形成されている例について説明したが、上部電極膜122およびコンタクト電極膜125を電気的に分離させる態様であれば、シリコン酸化膜114を形成しなくてもよい。この場合、たとえば、上部電極膜122およびコンタクト電極膜125を分離するスリット130間にパッシベーション膜131を埋設することにより、上部電極膜122およびコンタクト電極膜125を電気的に分離してもよい。
また、前述の第1および第2参考例では、基板103の表面部全域に亘って、不純物拡散層113が形成されている例について説明したが、不純物拡散層113は少なくとも、上部電極膜122およびコンタクト電極膜125の全域と対向する領域に形成されていればよい。
また、前述の第1および第2参考例では、Ni層/Pd層/Au層からなる第1および第2接続電極128,129の例について説明したが、第1および第2接続電極128,129は、Ni層、Pd層、およびAu層のいずれか一層からなっていてもよい。
また、前述の第1および第2参考例において、上部電極膜122,149およびコンタクト電極膜125のオーバラップ部122a,125aを利用して、第1および第2接続電極128,129と、上部電極膜122,149およびコンタクト電極膜125とを、シリコン酸化膜114上で電気的に接続させるように構成してもよい。このような構成であっても、前述の第1および第2参考例で述べた効果と同様の効果を奏することができる。
また、前述の第3および第4参考例では、表面絶縁膜の一例としてシリコン酸化膜214が基板203上に形成されている例について説明したが、シリコン酸化膜214に代えて、SiN等の窒化膜、酸化アルミニウム(Al)膜等を採用してもよい。この場合、ステップS205の熱酸化処理に代えて、CVD法等によって、絶縁材料を基板203上に堆積させればよい。
また、前述の第3および第4参考例では、シリコン酸化膜214が形成されている例について説明したが、第1および第2上部電極膜222,225を電気的に分離される態様であれば、シリコン酸化膜214を形成しなくてもよい。たとえば、第1および第2上部電極膜222,225を分離するスリット230間にパッシベーション膜231を埋設することにより、第1および第2上部電極膜222,225を電気的に分離できる。
また、前述の第3および第4参考例では、基板203の表面部全域に亘って、不純物拡散層213が形成されている例について説明したが、不純物拡散層213は少なくとも、第1および第2上部電極膜222,225(第1および第2上部電極膜249,264)の全域と対向する領域に形成されていればよい。
また、前述の第3および第4参考例では、Ni層/Pd層/Au層からなる第1および第2接続電極228,229の例について説明したが、第1および第2接続電極228,229は、Ni層、Pd層、およびAu層のいずれか一層からなっていてもよい。
また、前述の第3および第4参考例では、第1および第2誘電体膜217,218、ならびに第1および第2上部電極膜222,225(第1および第2上部電極膜249,264)が横断線A(図34および図42参照)に対して線対称に形成されている例について説明したが、第1および第2誘電体膜217,218、ならびに第1および第2上部電極膜222,225(第1および第2上部電極膜249,264)は、横断線Aに対して線対称でなくてもよい。
すなわち、第1および第2誘電体膜217,218、ならびに第1および第2上部電極膜222,225(第1および第2上部電極膜249,264)は、第1接続電極228側のキャパシタ要素C201,C211〜C217および第2接続電極229側のキャパシタ要素C202,C211〜C217が対称となる限りにおいて、どのような形状で形成されていてもよい。
たとえば、第1および第2誘電体膜217,218、ならびに第1および第2上部電極膜222,225(第1および第2上部電極膜249,264)は、横断線Aを横切るように形成されていてもよい。この場合、第1および第2誘電体膜217,218、ならびに第1および第2上部電極膜222,225(第1および第2上部電極膜249,264)は、横断線Aを横切るように基板203の長辺206に沿う長手方向に延び、当該長手方向に直交する方向に関して、互いに隣り合うように形成されていてもよい。さらにこの場合、第1および第2誘電体膜217,218、ならびに第1および第2上部電極膜222,225(第1および第2上部電極膜249,264)は、当該長手方向に関して、平行になるように形成されていてもよい。
また、前述の第3および第4参考例において、第1および第2上部電極膜222,225(第1および第2上部電極膜249,264)の各オーバラップ部222a,225aを利用して、第1および第2接続電極228,229と、第1および第2上部電極膜222,225(第1および第2上部電極膜249,264)とを、シリコン酸化膜214上で電気的に接続させるように構成してもよい。このような構成であっても、前述の第3および第4参考例で述べた効果と同様の効果を奏することができる。
前述のディスクリートキャパシタ1,2,101,102,201,202は、電子機器、たとえば携帯電子機器等のモバイル端末に、電源回路用、高周波回路用、デジタル回路用等の素子として組み込むことができる。この場合、電子機器は、ディスクリートキャパシタ1,2,101,102,201,202が実装された回路アセンブリを収容した筐体を含む。すなわち、電子機器に採用される回路アセンブリには、実装基板と、実装基板に実装されたディスクリートキャパシタ1,2,101,102,201,202が含まれる。このとき、ディスクリートキャパシタ1,2,101,102,201,202は、実装基板にワイヤレスボンディングによって接続(表面実装)されていてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。この明細書および図面の記載から抽出される特徴を以下に示す。
たとえば、図19を参照すれば、以下のA1に示すような特徴を有するディスクリートキャパシタが抽出され得る。
A1:基板と、前記基板の表面部に形成された不純物拡散層と、前記基板上に形成され、前記不純物拡散層を選択的に露出させる第1開口を有する酸化膜と、前記酸化膜から露出した前記不純物領域上に形成された誘電体膜と、前記基板上に形成され、前記誘電体膜を挟んで前記不純物拡散層と対向する第1電極とを含み、前記誘電体膜の厚さが、800Å以上である、ディスクリートキャパシタ。
この構成によれば、直流バイアスに対する容量値変動率を0%に近づけることができる。また、ディスクリートキャパシタの容量値は、誘電体膜の厚さが800Å〜3000Åにおいて、4pF〜12pFであってもよい。この構成によれば、直流バイアスに対する容量値変動率の特性に優れた小容量のディスクリートキャパシタを提供できる。
また、図20〜図32を参照して、HBM(Human Body Model:人体モデル)試験において、優れたESD(Electrostatic Discharge)耐量を実現できるディスクリートキャパシタを提供することを目的とする場合、以下のB1〜B18に示すような特徴を有するディスクリートキャパシタが抽出され得る。
B1:基板と、前記基板の表面部に形成された不純物拡散層と、前記不純物拡散層上に形成され、ボトム酸化膜/窒化膜/トップ酸化膜の順に積層されたONO膜と、前記基板上に形成され、前記ONO膜を挟んで前記不純物拡散層と対向する第1電極とを含み、前記ONO膜における前記ボトム酸化膜の厚さが、110Å以下である、ディスクリートキャパシタ。
この構成によれば、誘電体膜としてのONO膜を挟んで不純物拡散層と対向する第1電極を上部電極とし、不純物拡散層を下部電極とするディスクリートキャパシタが形成されている。
ディスクリートキャパシタの電気的特性の一つに、HBM(Human Body Model:人体モデル)試験におけるESD(Electrostatic Discharge)耐量(以下、単に「ESD耐量」という。)がある。HBM試験とは、帯電によって人体に蓄積された静電気がデバイスに放電する状態を試験するモデルである。当該試験に適用されるデバイスは、高いESD耐量を有しているのが望ましい。
ディスクリートキャパシタのESD耐量は、ONO膜中のボトム酸化膜の厚さに大きく依存している。つまり、ボトム酸化膜の厚さを変化させることにより、ESD耐量の値も変化する。そこで、B1に記載の構成のように、ボトム酸化膜の厚さを110Å以下に設定することにより、700V以上のESD耐量を実現できるディスクリートキャパシタを提供できる。
B2:前記ONO膜における前記ボトム酸化膜の厚さが、50Å以上である、B1に記載のディスクリートキャパシタ。
B3:前記ONO膜の厚さが、150Å〜430Åであり、前記ONO膜における前記窒化膜の厚さが、50Å〜270Åである、B1またはB2に記載のディスクリートキャパシタ。
ESD耐量は、ONO膜における窒化膜の厚さにも依存している。たとえば、ONO膜におけるボトム酸化膜の厚さを110Åとし、窒化膜の厚さを165Åとした場合、1000VのESD耐量を実現できる。一方、ONO膜におけるボトム酸化膜の厚さを110Åとし、窒化膜の厚さを270Åとした場合、ESD耐量は1300Vを実現できる。また、ONO膜におけるボトム酸化膜の厚さを55Åとし、窒化膜の厚さを165Åとした場合、2000VのESD耐量を実現できる。一方、ONO膜におけるボトム酸化膜の厚さを55Åとし、窒化膜の厚さを270Åとした場合、ESD耐量は1400Vとなる。つまり、窒化膜の厚さには、ESD耐量の増加に寄与する厚さ範囲と、ESD耐量の増加に寄与しない厚さ範囲とが存在している。
他方、キャパシタの容量値は、不純物拡散層と第1電極との間の距離(すなわち、ONO膜の厚さ)に反比例するので、ONO膜が厚くなると、容量値が低下する。そこで、B3に記載の構成のように、ONO膜を150Å〜430Åに設定し、前記窒化膜の厚さを50Å〜270Åに設定することにより、キャパシタの容量値の低下を抑制できると同時に、700V〜2000VのESD耐量を実現できる。
B4:HBM(Human Body Model:人体モデル)試験におけるESD耐量が、700V〜2000Vである、B1〜B3のいずれか一つに記載のディスクリートキャパシタ。
B5:前記ONO膜における前記窒化膜の厚さが、20Å〜100Åである、B1に記載のディスクリートキャパシタ。
ディスクリートキャパシタの電気的特性の一つに、温度特性がある。温度特性とは、温度変化に対する容量値の変動率のことを示す。ディスクリートキャパシタでは、温度の上昇に伴って、容量値が増加する方向に変動する。したがって、優れた信頼性を有するディスクリートキャパシタを提供するには、温度変化に対して、容量値の変動率が少ない方が好ましい。
そこで、B5に記載の構成ように、ONO膜における窒化膜の厚さを20Å〜100Åとすることにより、25ppm/℃〜40ppm/℃の温度係数を有するONO膜を形成できる。この数値の範囲であれば、常温〜150℃における容量値の変動率ΔCpを0.5%以下に抑えることができる。これにより、優れた温度特性を有するディスクリートキャパシタを提供できる。なお、ONO膜の温度係数とは、1℃当たりにおける容量値の変化量の百万分率である。
B6:前記ONO膜における前記窒化膜の厚さが、50Å以上である、B5に記載のディスクリートキャパシタ。
この構成によれば、700V〜1400VのESD耐量を達成できる。したがって、温度変化に強く、優れた信頼性を有するディスクリートキャパシタを提供できる。
B7:前記ONO膜の温度係数が、25ppm/℃〜40ppm/℃である、B1,B5およびB6のいずれか一つに記載のディスクリートキャパシタ。
B8:前記基板上に形成され、前記不純物拡散層を選択的に露出させる第1開口を有する表面絶縁膜をさらに含む、B1〜B7のいずれか一つに記載のディスクリートキャパシタ。
B9:前記第1電極が、前記第1開口上に形成され、外部電極が接続されるパッド領域を含む、B8に記載のディスクリートキャパシタ。
この構成によれば、第1開口上に外部電極が接続されるパッド領域が形成されているので、第1開口上の領域を有効活用できる。
B10:前記表面絶縁膜の厚さが、8000Å〜12000Åである、B8またはB9に記載のディスクリートキャパシタ。
この構成によれば、第1電極の一部が表面絶縁膜上にオーバラップして、不純物拡散層との間に寄生容量が形成されたとしても、第1電極のオーバラップ部と、不純物拡散層とを十分に離間させることができる。キャパシタの容量値は、距離(つまり、不純物拡散層と、第1電極のオーバラップ部との間の距離)に反比例するため、これにより、寄生容量の容量成分を効果的に低減できる。その結果、設計値と測定値との間に誤差の少ない容量値を有するディスクリートキャパシタを提供できる。
B11:前記表面絶縁膜は、前記第1開口から間隔を空けて形成された第2開口をさらに有し、前記不純物拡散層は、前記第2開口の直下の領域に延びており、前記第1電極と同一の導電材料で形成され、かつ前記第2開口を介して不純物拡散層と直接接続された第2電極をさらに含む、B8〜B10のいずれか一つに記載のディスクリートキャパシタ。
B12:前記基板が、n型の半導体基板であり、前記不純物拡散層が、n型不純物が導入された領域である、B1〜B11のいずれか一つに記載のディスクリートキャパシタ。
B13:前記基板が、p型の半導体基板であり、前記不純物拡散層が、n型不純物が導入された領域である、B1〜B11のいずれか一つに記載のディスクリートキャパシタ。
B14:前記不純物拡散層が、前記基板の表面部全域に形成されている、B1〜B13のいずれか一つに記載のディスクリートキャパシタ。
この構成によれば、不純物拡散層がコンタクト電極膜を兼ねているので、製造時に、第1電極が設計した位置に対してずれて形成されても、第1電極全体を確実に不純物拡散層に対向させることができる。そのため、位置ずれ等の設計ばらつきに強いディスクリートキャパシタを提供できる。
B15:n型の半導体基板と、前記半導体基板上に形成され、ボトム酸化膜/窒化膜/トップ酸化膜の順に積層されたONO膜と、前記ONO膜を挟んで前記半導体基板と対向する第1電極とを含み、前記ONO膜における前記ボトム酸化膜の厚さが、110Å以下である、ディスクリートキャパシタ。
この構成によれば、誘電体膜としてのONO膜を挟んでn型の半導体基板と対向する第1電極を上部電極とし、n型の半導体基板を下部電極とするディスクリートキャパシタが形成されている。このような構成によっても、B1に係るディスクリートキャパシタの効果と同様の効果を奏することができる。
B16:前記半導体基板は、その表面部から深さ方向に向けて同一の不純物濃度プロファイルを有している、B15に記載のディスクリートキャパシタ。
B17:基板と、前記基板の表面部に形成された不純物拡散層と、前記不純物拡散層上に形成され、ボトム酸化膜/窒化膜/トップ酸化膜の順に積層されたONO膜と、前記基板上に形成され、前記ONO膜を挟んで前記不純物拡散層と対向する第1電極とを含み、HBM(Human Body Model:人体モデル)試験におけるESD耐量が、700V以上である、ディスクリートキャパシタ。
B18:前記ONO膜における前記ボトム酸化膜の厚さが、110Å以下である、B17に記載のディスクリートキャパシタ。
また、図20〜図32を参照して、優れた温度特性を有するディスクリートキャパシタを提供することを目的とする場合、以下のC1〜C18に示すような特徴を有するディスクリートキャパシタが抽出され得る。
C1:基板と、前記基板の表面部に形成された不純物拡散層と、前記不純物拡散層上に形成され、ボトム酸化膜/窒化膜/トップ酸化膜の順に積層されたONO膜と、前記基板上に形成され、前記ONO膜を挟んで前記不純物拡散層と対向する第1電極とを含み、前記ONO膜における前記窒化膜の厚さが、20Å〜100Åである、ディスクリートキャパシタ。
この構成によれば、誘電体膜としてのONO膜を挟んで不純物拡散層と対向する第1電極を上部電極とし、不純物拡散層を下部電極とするディスクリートキャパシタが形成されている。
ディスクリートキャパシタの電気的特性の一つに、温度特性がある。温度特性とは、温度変化に対する容量値の変動率のことを示す。ディスクリートキャパシタでは、温度が常温よりも高くなると、容量値が増加する方向に変動する。したがって、温度変化に対して容量値の変動率が少ないディスクリートキャパシタが望まれる。
そこで、C1に記載の構成のようにONO膜における窒化膜の厚さを20Å〜100Åとすることにより、ONO膜に関して、25ppm/℃〜40ppm/℃の温度係数(TCR:Temperature Coefficient of Resistance)を有するディスクリートキャパシタを提供できる。この数値の範囲であれば、常温〜150℃における容量値変動率ΔCpを0.5%以下に抑えることができる。これにより、温度変化に強く、優れた信頼性を有するディスクリートキャパシタを提供できる。なお、ONO膜の温度係数とは、1℃当たりにおける容量値の変化量の百万分率である。
C2:前記ONO膜の温度係数が、25ppm/℃〜40ppm/℃である、C1に記載のディスクリートキャパシタ。
C3:前記ONO膜における前記窒化膜の厚さが、50Å以上である、C1またはC2に記載のディスクリートキャパシタ。
この構成によれば、HBM(Human Body Model:人体モデル)試験におけるESD(Electrostatic Discharge)耐量に関して、700V〜1400VのESD耐量を有しながらも、優れた温度特性を有するディスクリートキャパシタを提供できる。
C4:前記ONO膜の総厚さが、120Å〜350Åである、C1〜C3のいずれか一Cに記載のディスクリートキャパシタ。
C5:前記基板上に形成され、前記不純物拡散層を選択的に露出させる第1開口を有する表面絶縁膜をさらに含む、C1〜C4のいずれか一つに記載のディスクリートキャパシタ。
C6:前記表面絶縁膜の厚さが、8000Å〜12000Åである、C5に記載のディスクリートキャパシタ。
この構成によれば、第1電極の一部が表面絶縁膜上にオーバラップして、不純物拡散層との間に寄生容量が形成されたとしても、第1電極のオーバラップ部と、不純物拡散層とを十分に離間させることができる。キャパシタの容量値は、距離(つまり、不純物拡散層と、第1電極のオーバラップ部との間の距離)に反比例するため、これにより、寄生容量の容量成分を効果的に低減できる。その結果、設計値と測定値との間に誤差の少ない容量値を有するディスクリートキャパシタを提供できる。
C7:前記第1電極が、前記第1開口上に形成され、外部電極が接続されるパッド領域を含む、C5またはC6に記載のディスクリートキャパシタ。
この構成によれば、第1開口上に外部電極が接続されるパッド領域が形成されているので、第1開口上の領域を有効活用できる。
C8:前記表面絶縁膜は、前記第1開口から間隔を空けて形成された第2開口をさらに有し、前記不純物拡散層は、前記第2開口の直下の領域に延びており、前記第1電極と同一の導電材料で形成され、かつ前記第2開口を介して前記不純物拡散層と直接接続された第2電極をさらに含む、C5〜C7のいずれか一つに記載のディスクリートキャパシタ。
C9:前記基板が、n型の半導体基板であり、前記不純物拡散層が、n型不純物が導入された領域である、C1〜C8のいずれか一つに記載のディスクリートキャパシタ。
C10.前記基板が、p型の半導体基板であり、前記不純物拡散層が、n型不純物が導入された領域である、C1〜C8のいずれか一つに記載のディスクリートキャパシタ。
C11:前記基板のコーナー部が、平面視で面取りされたラウンド形状である、C1〜C10のいずれか一つに記載のディスクリートキャパシタ。
この構成によれば、基板のコーナー部がラウンド形状であるので、製造工程や実装時におけるチッピングを抑制できる。
C12:前記不純物拡散層が、前記基板の表面部全域に形成されている、C1〜C11のいずれか一つに記載のディスクリートキャパシタ。
この構成によれば、下部電極を兼ねる不純物拡散層が基板の表面部全域に形成されている。したがって、製造時に、第1電極が設計した位置に対してずれて形成されても、第1電極全体を確実に不純物拡散層に対向させることができる。そのため、位置ずれ等の設計ばらつきに強いディスクリートキャパシタを提供できる。
C13:n型の半導体基板と、前記半導体基板上に形成され、ボトム酸化膜/窒化膜/トップ酸化膜の順に積層されたONO膜と、前記ONO膜を挟んで前記半導体基板と対向する第1電極とを含み、前記ONO膜における前記窒化膜の厚さが、20Å〜100Åである、ディスクリートキャパシタ。
この構成によれば、誘電体膜としてのONO膜を挟んでn型の半導体基板と対向する第1電極を上部電極とし、n型の半導体基板を下部電極とするディスクリートキャパシタが形成されている。このような構成によっても、前述のC1に係るディスクリートキャパシタの効果と同様の効果を奏することができる。
C14:前記半導体基板は、その表面部から深さ方向に向けて同一の不純物濃度プロファイルを有している、C13に記載のディスクリートキャパシタ。
C15:基板と、前記基板の表面部に形成された不純物拡散層と、前記不純物拡散層上に形成され、ボトム酸化膜/窒化膜/トップ酸化膜の順に積層されたONO膜と、前記基板上に形成され、前記ONO膜を挟んで前記不純物拡散層と対向する第1電極とを含み、温度係数(TCR:Temperature Coefficient of Resistance)が、25ppm/℃〜40ppm/℃である、ディスクリートキャパシタ。
C16:150℃以下における容量値変動率ΔCpが0.5%以下である、C15に記載のディスクリートキャパシタ。
C17:n型の半導体基板と、前記半導体基板上に形成され、ボトム酸化膜/窒化膜/トップ酸化膜の順に積層されたONO膜と、前記ONO膜を挟んで前記半導体基板と対向する第1電極とを含み、温度係数(TCR:Temperature Coefficient of Resistance)が、25ppm/℃〜40ppm/℃である、ディスクリートキャパシタ。
C18:前記半導体基板は、その表面部から深さ方向に向けて同一の不純物濃度プロファイルを有している、C17に記載のディスクリートキャパシタ。
また、図33〜図44を参照して、印加電圧の極性を反転させても、反転前後で容量値変動率が大きく異なることを防止できるディスクリートキャパシタを提供することを目的とする場合、以下のD1〜D17に示すような特徴を有するディスクリートキャパシタが抽出され得る。
D1:不純物拡散層が形成された基板と、前記不純物拡散層と、前記不純物拡散層上に形成された第1誘電体膜と、前記第1誘電体膜上に形成された第1電極とを含む第1キャパシタ要素と、前記不純物拡散層と、前記不純物拡散層上に形成された第2誘電体膜と、前記第2誘電体膜上に形成された第2電極とを含む第2キャパシタ要素とを含み、前記第1キャパシタ要素および前記第2キャパシタ要素が対称に形成されている、ディスクリートキャパシタ。
ディスクリートキャパシタの電気的特性の一つに、直流バイアス特性がある。直流バイアス特性とは、直流バイアスに対する容量値変動率のことをいう。直流バイアス特性に関して、第1電極を正極とし、第2電極を負極とした場合の直流バイアスに対する容量値変動率と、第1電極を負極とし、第2電極を正極とした場合の直流バイアスに対する容量値変動率とが異なる場合がある。このように、印加電圧の極性によって直流バイアス特性が異なるのは、ディスクリートキャパシタの信頼性上、好ましいとはいえない。
この構成によれば、第1キャパシタ要素および第2キャパシタ要素が対称に形成されているので、第1電極を正極とし、第2電極を負極とした場合の直流バイアスに対する容量値変動率と、第1電極を負極とし、第2電極を正極とした場合の直流バイアスに対する容量値変動率とを実質的に等しくできる。これにより、印加電圧の極性を反転させても、反転前後で容量値変動率が大きく異なることを防止できるディスクリートキャパシタを提供できる。
なお、対称には、物理的および機械的な構造上の対称形でなくても、電気的特性が対称となる限りにおいて、実質的に対称とみなせる形態も含まれる。
D2:前記第1電極を正極とし、前記第2電極を負極とした場合の直流バイアスに対する容量値変動率と、前記第1電極を負極とし、前記第2電極を正極とした場合の直流バイアスに対する容量値変動率とが、実質的に等しい、D1に記載のディスクリートキャパシタ。
D3:前記第1キャパシタ要素における容量値および前記第2キャパシタ要素における容量値が、実質的に等しい、D1またはD2に記載のディスクリートキャパシタ。
D4:前記第1誘電体膜および前記第2誘電体膜が、同一の面積で形成されている、D1〜D3のいずれか一つに記載のディスクリートキャパシタ。
D5:前記第1誘電体膜および前記第2誘電体膜が、同一の厚さで形成されている、D1〜D4のいずれか一つに記載のディスクリートキャパシタ。
D6:前記第1誘電体膜および前記第2誘電体膜が、同一の誘電体材料で形成されている、D1〜D5のいずれか一つに記載のディスクリートキャパシタ。
D7:前記第1誘電体膜および前記第2誘電体膜が、ボトム酸化膜/窒化膜/トップ酸化膜の順に積層されたONO膜である、D1〜D6のいずれか一つに記載のディスクリートキャパシタ。
D8:前記第1電極および前記第2電極が、前記第1誘電体膜および前記第2誘電体膜と同一の面積で形成されている、D1〜D7のいずれか一つに記載のディスクリートキャパシタ。
D9:前記第1電極および前記第2電極が、同一の導電材料で形成されている、D1〜D8のいずれか一つに記載のディスクリートキャパシタ。
D10:前記基板上に形成され、前記不純物拡散層を選択的に露出させる第1開口および第2開口を有する表面絶縁膜をさらに含み、前記第1誘電体膜および前記第2誘電体膜は、それぞれ、前記第1開口内および前記第2開口内に配置されている、D1〜D9のいずれか一つに記載のディスクリートキャパシタ。
D11:前記第1電極が、前記第1開口上に形成され、第1外部電極が接続される第1パッド領域を含み、前記第2電極が、前記第2開口上に形成され、第2外部電極が接続される第2パッド領域を含む、D10に記載のディスクリートキャパシタ。
この構成によれば、第1開口上に第1外部電極が接続される第1パッド領域が形成されているので、第1開口上の領域を有効活用できる。同様に、第2開口上に第2外部電極が接続される第2パッド領域が形成されているので、第2開口上の領域を有効活用できる。
D12:前記表面絶縁膜の厚さが、8000Å〜12000Åである、D10またはD11に記載のディスクリートキャパシタ。
この構成によれば、第1電極および第2電極の一部が表面絶縁膜上にオーバラップして、不純物拡散層との間に寄生容量が形成されたとしても、第1電極および第2電極の各オーバラップ部と、不純物拡散層とを十分に離間させることができる。キャパシタの容量値は、距離(つまり、不純物拡散層と、第1電極および第2電極の各オーバラップ部との間の距離)に反比例するため、これにより、寄生容量の容量成分を効果的に低減できる。その結果、設計値と測定値との間に誤差の少ない容量値を有するディスクリートキャパシタを提供できる。
D13:前記基板が、n型の半導体基板であり、前記不純物拡散層が、n型不純物が導入された領域である、D1〜D12のいずれか一つに記載のディスクリートキャパシタ。
D14:前記基板が、p型の半導体基板であり、前記不純物拡散層が、n型不純物が導入された領域である、D1〜D12のいずれか一つに記載のディスクリートキャパシタ。
D15:前記不純物拡散層が、前記基板の表面部全域に形成されている、D1〜D14のいずれか一つに記載のディスクリートキャパシタ。
この構成によれば、下部電極を兼ねる不純物拡散層が基板の表面部全域に形成されている。したがって、製造時に、第1電極および第2電極が設計した位置に対してずれて形成されても、第1電極の全体および第2電極の全体を確実に不純物拡散層に対向させることができる。そのため、位置ずれ等の設計ばらつきに強いディスクリートキャパシタを提供できる。
D16:n型の半導体基板と、前記半導体基板と、前記半導体基板上に形成された第1誘電体膜と、前記第1誘電体膜上に形成された第1電極とを含む第1キャパシタ要素と、前記半導体基板と、前記半導体基板上に形成された第2誘電体膜と、前記第2誘電体膜上に形成された第2電極とを含む第2キャパシタ要素とを含み、前記第1キャパシタ要素および前記第2キャパシタ要素が対称に形成されている、ディスクリートキャパシタ。
この構成によれば、第1キャパシタ要素および第2キャパシタ要素が対称に形成されているので、第1電極を正極とし、第2電極を負極とした場合の直流バイアスに対する容量値変動率と、第1電極を負極とし、第2電極を正極とした場合の直流バイアスに対する容量値変動率とを、実質的に等しくできる。これにより、印加電圧の極性を反転させても、反転前後で容量値変動率が大きく異なることを防止できるディスクリートキャパシタを提供できる。
D17:前記半導体基板は、その表面部から深さ方向に向けて同一の不純物濃度プロファイルを有している、D16に記載のディスクリートキャパシタ。
1 ディスクリートキャパシタ
2 ディスクリートキャパシタ
3 基板
13 不純物拡散層
14 シリコン酸化膜
15 第1開口
16 第2開口
17 誘電体膜
19 ボトム酸化膜
20 窒化膜
21 トップ酸化膜
22 上部電極膜
23 パッド領域
25 コンタクト電極膜
38 半導体ウエハ
49 上部電極膜
50 パッド領域

Claims (27)

  1. ウエハから切り出されたチップのサイズをパッケージのサイズとして有するウエハレベルチップサイズパッケージからなるディスクリートキャパシタであって、
    表面、裏面、ならびに、前記表面および前記裏面を接続する側面を有し、平面視において一対の長辺および一対の短辺を含む長方形状に形成された半導体の基板と、
    前記基板の前記側面から露出するように前記基板の前記表面の表面部の全域に形成され、5×1019cm−3を超える不純物濃度に形成された表面部を有する不純物拡散層と、
    前記基板の前記表面の上に形成された酸化膜と、を含み、
    前記酸化膜は、前記不純物拡散層を露出させる第1開口と、第2開口とを有し、
    前記第1開口は、前記基板の前記長辺および前記短辺に沿って、前記基板の一端部側から他端部側に向けて延びるように平面視長方形状に形成され、
    前記第2開口は、前記基板の他端部側において、前記基板の短辺に沿って平面視長方形状に形成されており、さらに、
    前記第1開口内の前記不純物拡散層の上に形成された誘電体膜と、
    前記第1開口内の前記誘電体膜を挟んで前記不純物拡散層と対向する第1電極膜と、
    前記第2開口内の前記不純物拡散層の上に形成され、前記不純物拡散層に電気的に接続された第2電極膜と、
    平面視において、前記基板の前記一端部側に位置する前記第1開口の領域内において前記第1電極膜に電気的に接続され、外部接続される第1外部電極と、
    平面視において、前記第2開口に取り囲まれた領域内において前記第2電極膜に電気的に接続され、外部接続される第2外部電極と、を含み、
    平面視において、第1外部電極と前記第2外部電極とは、前記基板の前記一端部側と前記他端部側とにおいて対称に配置されており、
    前記第1電極膜は、前記第1外部電極と電気的に接続されるパッド領域と、前記パッド領域に隣接するベース領域と、前記パッド領域および前記ベース領域の間に形成され、前記パッド領域および前記ベース領域間を電気的に接続/遮断し得る複数のヒューズとを有し、
    前記ベース領域は、複数の電極膜部分に分割されており、分割された各電極膜部分が前記ヒューズによって前記パッド領域と接続されている、ディスクリートキャパシタ。
  2. 前記ヒューズは、前記パッド領域との接続のための第1幅広部と、前記電極膜部分との接続のための第2幅広部と、前記第1幅広部および第2幅広部間を接続する幅狭部とを含み、前記幅狭部は、平面視において、等間隔で直線状に配列するように形成されている、請求項1に記載のディスクリートキャパシタ。
  3. 前記複数の電極膜部分は、複数種類の対向面積で、前記誘電体膜を挟んで前記不純物拡散層と対向している、請求項2に記載のディスクリートキャパシタ。
  4. 前記複数の電極膜部分の前記不純物拡散層に対する対向面積は、公比が2の等比数列をなすように設定された対向面積を有するように、順次変化されている、請求項3に記載のディスクリートキャパシタ。
  5. 前記不純物拡散層の表面部の不純物濃度は、2×1020cm−3以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のディスクリートキャパシタ。
  6. 直流バイアスに対する容量値変動率の絶対値の範囲が、−10V〜+10Vの直流バイアスの範囲において|0.1|%/V以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のディスクリートキャパシタ。
  7. 前記第1電極膜は、前記酸化膜の上に引き出され、前記酸化膜を被覆する第1オーバラップ電極部を有し、
    前記第2電極膜は、前記酸化膜の上に引き出され、前記酸化膜を被覆する第2オーバラップ電極部を有している、請求項1〜6のいずれか一項に記載のディスクリートキャパシタ。
  8. 前記誘電体膜は、ボトム酸化膜/窒化膜/トップ酸化膜の順に積層されたONO膜を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のディスクリートキャパシタ。
  9. 前記ONO膜の総厚さは、390Å〜460Åである、請求項8に記載のディスクリートキャパシタ。
  10. 前記ボトム酸化膜の厚さは、100Å〜130Åであり、前記窒化膜の厚さは、100Å〜110Åであり、前記トップ酸化膜の厚さは、190Å〜220Åである、請求項8または9に記載のディスクリートキャパシタ。
  11. 前記酸化膜の厚さが、8000Å〜12000Åである、請求項1〜10のいずれか一項に記載のディスクリートキャパシタ。
  12. 前記第2電極膜は、前記第1電極と同一の導電材料によって形成されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載のディスクリートキャパシタ。
  13. 前記基板が、n型の半導体基板であり、
    前記不純物拡散層が、n型不純物が導入された領域である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のディスクリートキャパシタ。
  14. 前記基板が、p型の半導体基板であり、
    前記不純物拡散層が、n型不純物が導入された領域である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のディスクリートキャパシタ。
  15. 前記n型不純物が、燐である、請求項13または14に記載のディスクリートキャパシタ。
  16. 前記第1電極膜および前記第2電極膜を被覆する保護膜をさらに含み、
    前記第1外部電極は、前記保護膜を貫通して前記第1電極膜に接続されており、
    前記第2外部電極は、前記保護膜を貫通して前記第2電極膜に接続されている、請求項1〜15のいずれか一項に記載のディスクリートキャパシタ。
  17. 前記第1外部電極は、前記保護膜の表面から突出した第1突出部を有しており、
    前記第2外部電極は、前記保護膜の表面から突出した第2突出部を有している、請求項16に記載のディスクリートキャパシタ。
  18. 前記第1外部電極は、前記保護膜の表面を被覆する第1オーバラップ部を有しており、
    前記第2外部電極は、前記保護膜の表面を被覆する第2オーバラップ部を有している、請求項16または17に記載のディスクリートキャパシタ。
  19. 前記保護膜は、樹脂膜を含み、
    前記第1外部電極は、前記樹脂膜を貫通して前記第1電極膜に接続されており、
    前記第2外部電極は、前記樹脂膜を貫通して前記第2電極膜に接続されている、請求項16〜18のいずれか一項に記載のディスクリートキャパシタ。
  20. 前記不純物拡散層において前記基板の前記側面から露出する部分を被覆するように前記基板の前記側面を被覆する絶縁膜をさらに含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載のディスクリートキャパシタ。
  21. ウエハから切り出されたチップのサイズをパッケージのサイズとして有するウエハレベルチップサイズパッケージからなるディスクリートキャパシタの製造方法であって、
    表面および裏面を有するウエハを用意する工程と、
    前記ウエハの前記表面にディスクリートキャパシタに対応した平面視において一対の長辺および一対の短辺を含む長方形状のチップ領域を設定し、前記チップ領域の表面部の全域に不純物を導入し、前記チップ領域の全域に5×1019cm−3を超える不純物濃度を有する不純物拡散層を形成する第1不純物導入工程と、
    前記不純物拡散層の表面部の不純物濃度が5×1019cm−3を超える不純物濃度に維持される条件で熱酸化処理を施すことにより、前記チップ領域の全域を被覆する酸化膜を形成する工程と、
    前記酸化膜を除去して、前記不純物拡散層を露出させる第1開口、および、第2開口を前記チップ領域に形成する工程であって、前記第1開口は、前記チップ領域の前記長辺および前記短辺に沿って、前記チップ領域の一端部側から他端部側に向けて延びるように平面視長方形状に形成し、前記第2開口は、前記チップ領域の他端部側において前記チップ領域の前記短辺に沿って平面視長方形状に形成する工程と、
    前記第1開口内において前記不純物拡散層の上に誘電体膜を形成する工程と、
    前記第1開口内において前記誘電体膜を挟んで前記不純物拡散層と対向する第1電極膜を形成する工程と、
    前記第2開口内において前記不純物拡散層に直接接続される第2電極膜を形成する工程と、
    形成された前記第1電極膜の表面に、前記チップ領域の前記一端部側の位置のパッド領域と、パッド領域に隣接するベース領域と、パッド領域およびベース領域間を電気的に接続/遮断し得る複数のヒューズとを有する第1電極膜の最終形状に対応したレジストマスクを形成する工程と、
    形成された前記レジストマスクを介するエッチングにより前記第1電極膜を形成する工程と、
    平面視において前記第1開口に取り囲まれた領域内において前記第1電極膜に接続され、外部接続される第1外部電極を形成する工程と、
    平面視において前記第2開口に取り囲まれた領域内において前記第2電極膜に接続され、外部接続される第2外部電極を形成する工程と、
    前記チップ領域に沿って前記ウエハを切断することにより、ディスクリートキャパシタを切り出す個片化工程と、を含む、ディスクリートキャパシタの製造方法。
  22. ウエハから切り出されたチップのサイズをパッケージのサイズとして有するウエハレベルチップサイズパッケージからなるディスクリートキャパシタの製造方法であって、
    表面および裏面を有するウエハを用意する工程と、
    前記ウエハの前記表面にディスクリートキャパシタに対応した平面視において一対の長辺および一対の短辺を含む長方形状のチップ領域を設定し、前記チップ領域の表面部の全域に不純物を導入し、前記チップ領域の全域に不純物拡散層を形成する第1不純物導入工程と、
    熱酸化処理によって、前記ウエハの上に前記チップ領域の全域を被覆する酸化膜を形成する工程と、
    前記酸化膜を除去して、前記不純物拡散層を露出させる第1開口、および、第2開口を前記チップ領域に形成する工程であって、前記第1開口は、前記チップ領域の前記長辺および前記短辺に沿って、前記チップ領域の一端部側から他端部側に向けて延びるように平面視長方形状に形成し、前記第2開口は、前記チップ領域の他端部側において前記チップ領域の前記短辺に沿って平面視長方形状に形成する工程と、
    前記不純物拡散層の表面部の不純物濃度が5×1019cm−3を超えるように、前記第1開口から露出する前記不純物拡散層の表面部および前記第2開口から露出する前記不純物拡散層の表面部に前記不純物と同一導電型の不純物をそれぞれ導入する第2不純物導入工程と、
    前記第1開口内において前記不純物拡散層の上に誘電体膜を形成する工程と、
    前記第1開口内において前記誘電体膜を挟んで前記不純物拡散層と対向する第1電極膜を形成する工程と、
    前記第2開口内において前記不純物拡散層に直接接続される第2電極膜を形成する工程と、
    形成された前記第1電極膜の表面に、前記チップ領域の前記一端部側の位置のパッド領域と、パッド領域に隣接するベース領域と、パッド領域およびベース領域間を電気的に接続/遮断し得る複数のヒューズとを有する第1電極膜の最終形状に対応したレジストマスクを形成する工程と、
    形成された前記レジストマスクを介するエッチングにより前記第1電極膜を形成する工程と、
    平面視において前記第1開口に取り囲まれた領域内において前記第1電極膜に接続され、外部接続される第1外部電極を形成する工程と、
    平面視において前記第2開口に取り囲まれた領域内において前記第2電極膜に接続され、外部接続される第2外部電極を形成する工程と、
    前記チップ領域に沿って前記ウエハを切断することにより、ディスクリートキャパシタを切り出す個片化工程と、を含む、ディスクリートキャパシタの製造方法。
  23. 前記酸化膜を形成する工程は、950℃〜1000℃の処理温度で前記酸化膜を形成する工程を含む、請求項21または22に記載のディスクリートキャパシタの製造方法。
  24. 前記ウエハが、n型の半導体ウエハであり、
    前記第1不純物導入工程は、前記チップ領域の表面部にn型の不純物を導入する工程を含む、請求項21〜23のいずれか一項に記載のディスクリートキャパシタの製造方法。
  25. 前記ウエハが、p型の半導体ウエハであり、
    前記第1不純物導入工程は、前記チップ領域の表面部にn型の不純物を導入する工程を含む、請求項21〜23のいずれか一項に記載のディスクリートキャパシタの製造方法。
  26. 前記個片化工程に先立って、前記チップ領域を取り囲み、前記不純物拡散層が露出する内壁面を有する溝を前記ウエハの前記表面に形成する工程をさらに含み、
    前記個片化工程は、前記溝に連通するまで前記ウエハの前記裏面を研削する工程を含む、請求項21〜25のいずれか一項に記載のディスクリートキャパシタの製造方法。
  27. 前記個片化工程に先立って、前記不純物拡散層を被覆するように前記溝の前記内壁面を被覆する絶縁膜を形成する工程をさらに含む、請求項26に記載のディスクリートキャパシタの製造方法。
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