JP2020524746A - 基材上に装飾ニッケルコーティングを堆積させるためのニッケル電気メッキ浴 - Google Patents

基材上に装飾ニッケルコーティングを堆積させるためのニッケル電気メッキ浴 Download PDF

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Abstract

本発明は、処理された基材上に装飾ニッケルコーティングを堆積させるためのニッケル電気メッキ浴であって、電気メッキ浴は、少なくとも1つのニッケルイオン源、少なくとも1つのアミノ酸、及び/又はアミノ酸ではない少なくとも1つのカルボン酸を含むことを特徴とし、アミノ酸の総濃度は1〜10g/lの範囲であり、アミノ酸ではないカルボン酸の総濃度は10〜40g/lの範囲であり、電気メッキ浴はホウ酸を含まず、ニッケルイオンの総濃度は55〜80g/lの範囲であり、ニッケル電気メッキ浴は、7.5〜40g/lの範囲の塩化物含有量を有する、ニッケル電気メッキ浴に関する。本発明はまた、処理された基材上にニッケルコーティングを堆積させる方法、及びこのような方法を実施することによる、光沢のある、半光沢の、サテンのような、マットな、又は非導電性粒子を含むニッケルコーティングを堆積させるための、このような本発明のニッケル電気メッキ浴の使用にも関する。

Description

本発明は、処理された基材上に装飾ニッケルコーティングを堆積させるためのニッケル電気メッキ浴に関する。本発明はまた、処理された基材上に装飾ニッケルコーティングを堆積させる方法にも関する。さらに、本発明は、そのような方法を実施することによる、光沢のある(bright)、半光沢の(semi−bright)、サテンのような(satin)、マットな、又は非導電性粒子を含むニッケルコーティングを堆積させるためのそのような本発明のニッケル電気メッキ浴の使用に関する。
ニッケル電気メッキ浴では、一般に、pH値を定義された範囲に保つことが非常に重要である。
従って、過去には、この目的を達成するために、ニッケル浴に緩衝システムが適用されてきた。
最も一般的なシステムは、いわゆる「ワット電解槽」に基づいており、次の一般的な組成を有する:
240〜550g/lの硫酸ニッケル(NiSO・7HO又はNiSO・6HO)、
30〜150g/lの塩化ニッケル(NiCl・6HO)、及び
30〜55g/lのホウ酸(HBO)。
大量の硫酸ニッケルは必要なニッケルイオンの濃度を提供し、一方で、塩化ニッケルはアノード腐食を改善し、導電性を向上させる。ホウ酸は、pH値を維持するための弱い緩衝剤として使用される。
さらに、ニッケルメッキコーティングの光沢のある輝かしい(lustrous)外観を実現するために、有機剤及び無機剤(光沢剤)が電解質に添加されることがよくある。追加される光沢剤の種類及びそれらの濃度によって、ニッケルコーティングの外観、すなわち、鮮やかさ、光沢性、半光沢性、サテン性、マットさなどが決まる。
しかしながら、ホウ酸はその一方で、毒性があると分類されており、世界市場では禁止されると考えられる。従って、業界には、ホウ酸を他の非毒性物質に置き換える強い要望がある。
従って、先行技術を考慮して、本発明の目的は、ホウ酸を含まないニッケル電気メッキ浴を提供することであった。
さらに、特に、本発明の目的は、光学的外観及び化学的性質に関して様々な種類の異なるニッケルコーティング、例えば光沢のあるニッケルコーティング、半光沢のニッケルコーティング、サテンのようなニッケルコーティング、マットなニッケルコーティング、又は非導電性粒子含有ニッケルコーティングなど、を堆積させるための基礎として適したニッケル電気メッキ浴を提供することであった。
さらに、本発明の目的は、光学的外観及び化学的性質に関して様々な種類の異なるニッケルコーティング、例えば光沢のあるニッケルコーティング、半光沢のニッケルコーティング、サテンのようなニッケルコーティング、マットなニッケルコーティング、又は非導電性粒子含有ニッケルコーティングなど、を堆積させる方法を提供することであった。
これらの目的、及びまた、明示的に述べられていないが、導入としてここで議論された関連から直ちに導き出されるか又は識別されるさらなる目的は、請求項1の全ての特徴を有するニッケル電気メッキ浴によって達成される。本発明の浴に対する適切な変更は、従属請求項2〜8で保護される。さらに、請求項9は、処理された基材上に装飾ニッケルコーティングを堆積させる方法に関するものであり、一方で、請求項10〜14は、この方法の適切な変更に焦点を合わせている。請求項15は、そのような方法を実施することによる、光沢のある、半光沢の、サテンのような、マットな、又は非導電性粒子を含むニッケルコーティングを堆積させるためのそのようなニッケル電気メッキ浴の使用に関する。
従って、本発明は、処理された基材上に装飾ニッケルコーティングを堆積させるためのニッケル電気メッキ浴であって、電気メッキ浴は、少なくとも1つのニッケルイオン源、少なくとも1つのアミノ酸、及び/又はアミノ酸ではない少なくとも1つのカルボン酸を含むことを特徴とし、アミノ酸の総濃度は1〜10g/lの範囲であり、アミノ酸ではないカルボン酸の総濃度は10〜40g/lの範囲であり、電気メッキ浴はホウ酸を含まず、ニッケルイオンの総濃度は55〜80g/lの範囲であり、ニッケル電気メッキ浴は、7.5〜40g/lの範囲の塩化物含有量を有する、ニッケル電気メッキ浴を提供する。
本明細書において、少なくとも1つのアミノ酸及び/又は少なくとも1つのカルボン酸は、それぞれのニッケル電気メッキ浴においてニッケルイオンを錯化するための錯化剤を表している。本明細書では、先行技術の「古典的な」錯化剤、すなわちホウ酸は、回避されなければならず、また回避されている。従って、本発明のニッケル電気メッキ浴は、ホウ酸を含まない。
従って、予想外の方法で、環境への影響が少ない、ホウ酸を含まないニッケル電気メッキ浴を提供することが可能である。
さらに、光学的外観及び化学的性質に関して様々な種類の異なるニッケルコーティング、例えば光沢のあるニッケルコーティング、半光沢のニッケルコーティング、サテンのようなニッケルコーティング、マットなニッケルコーティング、又は非導電性粒子含有ニッケルコーティングなど、を堆積させるための基礎として適したニッケル電気メッキ浴を提供することに成功した。ニッケル電気メッキ浴はまた、良好なレベリング性能を示し、良好にレベリングされた(well−leveled)コーティングをもたらす。
本発明の目的、特徴、及び利点はまた、表とともに以下の説明を読むことにより明らかになるであろう。
表1は、本発明の実施形態による、光沢のあるニッケルコーティングに関する本発明の実験を示している。
表2は、本発明の範囲外の比較実施形態による、光沢のあるニッケルコーティングの比較実験を示している。
表3は、本発明のさらなる実施形態による、光沢のあるニッケルコーティングに関する本発明の実験を示している。
本発明の好ましい実施形態において、ニッケル電気メッキ浴は、10〜30g/lの範囲の塩化物含有量を有する。
「塩化物含有量」との表現は、本発明の文脈では、塩化物イオン源を意味する。
塩化ニッケルは、塩化ナトリウムで部分的に置き換えられ得る。
さらに、電解質中の塩化物は、同量の臭化物で部分的に置き換えられてもよい。
本発明の文脈におけるニッケルイオン源は、塩化ニッケル及び/又は硫酸ニッケルなどの、それぞれのニッケル電着浴中に遊離ニッケルイオンを提供するのに適した任意の種類のニッケル塩又はニッケル錯体であり得る。
本発明のニッケル電気メッキ浴は、金属及び/又は金属合金、特に鋼、銅、真鍮、アルミニウム、青銅、マグネシウム及び/又は亜鉛ダイカスト製品に基づいて処理された複数の異なる種類の基材上;又は「POP」基材上に装飾ニッケルコーティングを堆積させるために使用することができる。「POP」とは、本発明の意味において「プラスチック上へのメッキ(plating on plastics)」を意味する。従って、POP基材は、好ましくは少なくとも1つのポリマー化合物に基づく合成基材、より好ましくはアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリアミド、ポリプロピレン又はABS/PC(ポリカーボネート)に基づく合成基材を含む。
本発明の好ましい実施形態において、ニッケル電気メッキ浴は、(本発明の電気メッキ浴に常に提供されるニッケルイオン源に加えて、)ニッケル合金層としてニッケルイオン源とともに電解析出され得る他の金属イオンを実質的に含まず、好ましくは完全に含まない。
特に、ニッケル電気メッキ浴は、鉄、金、銅、ビスマス、スズ、亜鉛、銀、鉛、及びアルミニウムイオン源を実質的に含まず、好ましくは完全に含まないことが好ましい。
「実質的に含まない」との表現は、本発明の文脈において、それぞれの金属イオン源の1g/l未満、好ましくは0.1g/l未満、より好ましくは0.01g/l未満の濃度を意味する。
一実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸は、βアラニン、グリシン、グルタミン酸、DL−アスパラギン酸、トレオニン、バリン、グルタミン又はL−セリンからなる群から選択される。
一実施形態において、アミノ酸ではない少なくとも1つのカルボン酸は、モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸からなる群から選択される。
その好ましい実施形態において、アミノ酸ではない少なくとも1つのカルボン酸は、酒石酸、グリコール酸、リンゴ酸、酢酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、プロパン酸、ギ酸又はグルタル酸からなる群から選択される。
一実施形態において、電気メッキ浴は、ともにアミノ酸ではない少なくとも2つの異なるカルボン酸を含み、前記2つの異なるカルボン酸の総濃度は、10〜40g/lの範囲である。
一実施形態において、電気メッキ浴は、少なくとも1つのアミノ酸と、アミノ酸ではない1つのカルボン酸とを含み、前記アミノ酸の総濃度は1〜10g/lの範囲であり、前記アミノ酸ではないカルボン酸の総濃度は10〜40g/lの範囲である。
好ましい実施形態において、ニッケルイオンの総濃度は、60〜75g/l、好ましくは62〜72g/lの範囲である。
一実施形態において、電気メッキ浴のpH値は、2〜6、好ましくは3〜5、より好ましくは3.5〜4.7の範囲である。
さらに、ニッケル電気メッキ浴は、本発明の特定の実施形態において、2−エチルヘキシル硫酸塩、ジアルキルスルホサクシネート(di−alkylsulfusuccinate)、重合ナフタレンスルホン酸塩、ラウリル硫酸塩又はラウリルエーテル硫酸塩などの少なくとも1つの湿潤剤を含むことができ、使用されるこのような湿潤剤の濃度は、5〜500mg/lの範囲、好ましくは10〜350mg/lの範囲、より好ましくは20〜250mg/lの範囲である。
電気メッキ浴は、0.005〜5g/l、好ましくは0.02〜2g/l、より好ましくは0.05〜0.5g/lの範囲の濃度で、安息香酸又はアルカリ金属の安息香酸塩をさらに含んでもよい。このような添加化合物は、堆積されたコーティングの内部応力を減らすのに役立つ。
電気メッキ浴はまた、0.1〜10g/l、好ましくは0.3〜6g/l、より好ましくは0.5〜3.5g/lの範囲の濃度で、サリチル酸をさらに含んでもよい。このような添加剤は、達成されるコーティングの硬度、耐久性及び光学特性にプラスの影響を与える。
電気メッキ浴はさらに、特に0.005〜5g/l、好ましくは0.02〜2g/l、より好ましくは0.05〜0.5g/lの範囲の濃度で、光沢剤、レベリング剤、内部応力低減剤、及び湿潤剤から選択される追加の化合物を含んでもよい。
例示的に、一次光沢剤は、特定の実施形態において、好ましくは光沢のあるニッケルコーティングのために、不飽和の、ほとんどの場合芳香族スルホン酸、スルホンアミド、スルフィミド、N−スルホニルカルボキシアミド、スルフィネート、ジアリールスルホン又はそれらの塩、特にナトリウム又はカリウム塩を含むことができる。
最もよく知られている化合物は、例えば、m−ベンゼンジスルホン酸、安息香酸スルフィミド(サッカリン)、1,3,6−ナフタレン三スルホン酸三ナトリウム、ベンゼンモノスルホン酸ナトリウム、ジベンゼンスルホンアミド、ベンゼン一スルフィン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸のナトリウム塩、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホンアミド、プロパルギルスルホン酸ナトリウム、安息香酸スルフィミド、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸及びベンゾイルベンゼンスルホンアミドである。
さらに、このような一次光沢剤は、プロパルギルアルコール及び/又はその誘導体(エトキシル化又はプロポキシル化)を含むことができる。
一次光沢剤は、0.001〜8g/l、好ましくは0.01〜2g/l、より好ましくは0.02〜1g/lの範囲の濃度で、電解質浴に添加することができる。幾つかの一次光沢剤を同時に使用することもできる。
さらに、本発明の目的はまた、以下の方法ステップ:
i)処理された基材を、このような本発明のニッケル電気メッキ浴と接触させるステップと、
ii)少なくとも1つのアノードを、ニッケル電気メッキ浴と接触させるステップと、
iii)処理された基材及び少なくとも1つのアノードに電圧を印加するステップと、
iv)処理された基材上に装飾ニッケルコーティングを電着させるステップと
を含む、処理された基材上に装飾ニッケルコーティングを堆積させる方法によっても解決される。
一実施形態において、堆積させる方法は、30℃〜70℃、好ましくは40℃〜65℃、より好ましくは50℃〜60℃の作業温度範囲で実施される。
一実施形態において、堆積させる方法は、1〜7アンペア/dm(ASD)、好ましくは1.5〜6ASD、より好ましくは2〜5ASDの作業電流密度範囲で実施される。
一実施形態において、堆積させる方法は、5〜50分、好ましくは6〜35分、より好ましくは8〜25分の範囲の電圧印加及び後続の装飾ニッケルコーティングの電着(方法ステップiii)及びiv))の作業時間で実施される。
一実施形態において、電気メッキ浴は、1〜10g/l、好ましくは1.5〜7g/l、より好ましくは2〜6g/lの範囲の濃度の、少なくとも1つのサッカリン及び/又はサッカリン塩、好ましくはサッカリンのナトリウム塩の形態のサッカリン誘導体;及び、0.1〜5g/l、好ましくは0.25〜3.5g/l、より好ましくは0.5〜2.0g/lの範囲の総濃度の、好ましくはアリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸のナトリウム塩、ビニルスルホン酸のナトリウム塩、又はそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つのスルホン酸及び/又はスルホン酸塩の形態のスルホン酸の誘導体をさらに含む。これにより、光沢のあるニッケルコーティングが堆積される。上述の添加剤の選択的な選択は、異なる光学的外観及び化学的性質の装飾ニッケルコーティングを堆積させる目的のための本発明のニッケル電気メッキ浴の独特の用途を示している。
前述の実施形態とは別の代替実施形態において、電気メッキ浴は、10〜300mg/l、好ましくは50〜250mg/l、より好ましくは100〜220mg/lの範囲の濃度の、好ましくは2,5ヘキシンジオール及び1,4ブチンジオールからなる群から選択される少なくとも1つのジオール;又は、5〜350mg/l、好ましくは10〜200mg/l、さらに好ましくは50〜150mg/lの範囲の総濃度の、ピリジニウムプロピルスルホベタイン(PPS)又はその誘導体(PPS−OHなど)の群から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む。
これにより、半光沢のニッケルコーティングが堆積される。上述の添加剤の選択的な選択もまた、前述の代替実施形態と同様に、異なる光学的外観及び化学的性質の装飾ニッケルコーティングを堆積させる目的のための本発明のニッケル電気メッキ浴の独特の用途を示している。
さらに、本発明の目的はまた、このような方法を実施することによる、光沢のある、半光沢の、サテンのような、マットな、又は非導電性粒子を含むニッケルコーティングを堆積させるための、このようなニッケル電気メッキ浴の使用によっても解決される。
従って、本発明は、異なる光学的外観及び化学的性質の装飾ニッケルコーティング、例えば、光沢のあるニッケルコーティング、半光沢のニッケルコーティング、サテンのようなニッケルコーティング、マットなニッケルコーティング、又は非導電性粒子含有ニッケルコーティングなど、を堆積させるためのホウ酸を含まないニッケル電気メッキ浴を提供する問題に対処する。
以下の非限定的な実施例は、本発明の一実施形態を例示し、本発明の理解を容易にするために提供されるが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定することを意図しない。
[概要]
基材は常に、ニッケル堆積に使用する前に、以下の方法で前処理されている:
i)ホットソーククリーナーによる脱脂
ii)電解脱脂
iii)すすぎ
iv)10体積%硫酸での酸浸漬
サンプル基材は、レベリングの主観的な光学的判断のために傷が付いている。基材上に得られるニッケルコーティングの外観も光学的に判断されている。サンプル基材のサイズは常に7cmx10cm(幅x長さ)であり、片側に70cmの処理された表面をもたらす(表1、2及び3)。
酸の形態の錯化剤に対する表1、2及び3に示されている全ての濃度は、特に明記しない限り、g/lで列挙されている。
表1、2及び3に示されている実験には、順番に番号が付けられている。
ここで表に目を向けると、表1は、本発明の実施形態による光沢のあるニッケルコーティングの実施実験を示している。
ニッケル堆積は、表1に列挙されている全ての実験に対して、55℃+/−3℃の温度で10分間2.5アンペア(A)を印加したハルセルで実施された。さらに、ニッケル堆積中に3リットル/分の圧力空気が導入された。
ニッケル濃度は、表1に列挙されている全ての実験に対して、67g/lであった。
表1に列挙されている全ての本発明の実験において、均一で光沢のあるレベリングされたニッケルコーティングが得られたことは明らかである。ニッケルイオンの錯化剤として多くの異なる酸が精査されたときでさえ、これらのホウ酸を含まない浴では常に良好な顕著な結果が得られた。全ての酸は、アミノ酸又はアミノ酸ではないカルボン酸である酸の化学的性質に応じて、請求項1に記載の特定のそれぞれの濃度範囲で使用された。
それぞれの列は、実験の番号、錯化剤として使用された酸、錯化剤として使用された酸の濃度、ニッケル浴のpH値、及び(全長10cmに関する)ハルセルパネルでの最高電流密度から最低電流密度の範囲におけるニッケルコーティングの達成された結果を示している(表1の左から右に列は記載されている)。
Figure 2020524746
表2は、本発明の範囲外の比較実施形態による光沢のあるニッケルコーティングに対する比較実験を示している。
ニッケル堆積は、表2に列挙されている全ての実験に対して、表1に列挙された実験と同様に、55℃+/−3℃の温度のハルセルで実施された。さらに、ニッケル堆積中に3リットル/分の圧力空気が導入された。それぞれの列は、実験の番号、錯化剤として使用された酸、錯化剤として使用された酸の濃度、ニッケル浴のpH値、印加電流(アンペア、A)、ニッケルイオン濃度(g/l)、電流の印加時間(分)、及びニッケルコーティングの達成された結果を示している(表2の左から右に列は記載されている)。
Figure 2020524746
実験30〜35は、表1の特定の実験と同様に錯化剤として同じそれぞれの酸を使用しているが異なる濃度を有する比較実験を示している。実験30〜35は全て、特許請求の範囲に記載された濃度範囲と比較して、低すぎる又は高すぎるニッケルイオンに対する錯化剤の濃度を有している。
実験36〜38は比較実験を示している。ここでは、酸は特許請求の範囲に記載された濃度範囲で使用されているが、作業パラメーター、すなわち、電流(実験36)、印加時間(実験37)、及びニッケルイオン濃度(実験38)が変更されている。それぞれの値は、説明の目的で、表2において強調され、下線が引かれている。
表2に列挙されている全ての比較実験が、表1の実験よりも悪い結果をもたらしたことは明らかである。明らかに、均一な光沢のあるニッケルコーティングを堆積させるための適切な異なるパラメーターの選択は予測できない。従って、特許請求の範囲に記載された浴及び方法は、必要なパラメーターの独創的な選択に基づく選択発明として進歩性があり、ここで、1つのパラメーターのみを変更したとしても、光沢のある均一なニッケルコーティングではなく劣ったニッケルコーティングがもたらされることは明らかである。
比較実験30〜38もまた、ホウ酸を含まない。
実験39〜41は、ニッケルイオンに対する錯化剤として現在まで一般的に使用されてきたホウ酸に基づいた比較実験を示している。従って、これは一般的な従来技術を表している。
表3は、本発明のさらなる実施形態による、光沢のあるニッケルコーティングに対する本発明の実験を示している。
表3に列挙されている実験は、表1に列挙された実験と同じ方法で実施された。ここで、実験42〜46は、ともにアミノ酸ではない2つのカルボン酸の組み合わせ(実験42及び43)と、1つのアミノ酸とアミノ酸ではない1つのカルボン酸との組み合わせ(実験44〜46)とを示している。表3のこれらの本発明の実施例の全ての結果は、表1と同じ良好な成果を有している。全てが均一な光沢のあるニッケルコーティングをもたらしている。列(濃度)には、両方の酸の濃度が含まれている。
Figure 2020524746
本発明の原理が、ある特定の実施形態に関して説明され、例示の目的で提供されているが、本明細書を読めば当業者にはその様々な変更が明らかになることを理解されたい。従って、本明細書で開示される本発明は、添付の特許請求の範囲内に含まれるこのような変更を網羅することを意図していることを理解されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。

Claims (15)

  1. 処理された基材上に装飾ニッケルコーティングを堆積させるためのニッケル電気メッキ浴であって、前記電気メッキ浴は、少なくとも1つのニッケルイオン源、少なくとも1つのアミノ酸、及び/又はアミノ酸ではない少なくとも1つのカルボン酸を含むことを特徴とし、前記アミノ酸の総濃度は1〜10g/lの範囲であり、前記アミノ酸ではないカルボン酸の総濃度は10〜40g/lの範囲であり、前記電気メッキ浴はホウ酸を含まず、前記ニッケルイオンの総濃度は55〜80g/lの範囲であり、前記ニッケル電気メッキ浴は、7.5〜40g/lの範囲の塩化物含有量を有する、ニッケル電気メッキ浴。
  2. 前記少なくとも1つのアミノ酸は、βアラニン、グリシン、グルタミン酸、DL−アスパラギン酸、トレオニン、バリン、グルタミン又はL−セリンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のニッケル電気メッキ浴。
  3. 前記アミノ酸ではない少なくとも1つのカルボン酸は、モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のニッケル電気メッキ浴。
  4. 前記アミノ酸ではない少なくとも1つのカルボン酸は、酒石酸、グリコール酸、リンゴ酸、酢酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、プロパン酸、ギ酸又はグルタル酸からなる群から選択されることを特徴とする、請求項3に記載のニッケル電気メッキ浴。
  5. 前記電気メッキ浴は、ともにアミノ酸ではない少なくとも2つの異なるカルボン酸を含み、前記2つの異なるカルボン酸の総濃度は、10〜40g/lの範囲であることを特徴とする、請求項1から4の何れか一項に記載のニッケル電気メッキ浴。
  6. 前記電気メッキ浴は、少なくとも1つのアミノ酸と、アミノ酸ではない1つのカルボン酸とを含み、前記アミノ酸の総濃度は1〜10g/lの範囲であり、前記アミノ酸ではないカルボン酸の総濃度は10〜40g/lの範囲であることを特徴とする、請求項1から5の何れか一項に記載のニッケル電気メッキ浴。
  7. 前記ニッケルイオンの総濃度は、60〜75g/l、好ましくは62〜72g/lの範囲であることを特徴とする、請求項1から6の何れか一項に記載のニッケル電気メッキ浴。
  8. 前記電気メッキ浴のpH値は、2〜6、好ましくは3〜5、より好ましくは3.5〜4.7の範囲であることを特徴とする、請求項1から7の何れか一項に記載のニッケル電気メッキ浴。
  9. 以下の方法ステップ:
    i)処理された基材を、請求項1から8の何れか一項に記載のニッケル電気メッキ浴と接触させるステップと、
    ii)少なくとも1つのアノードを、前記ニッケル電気メッキ浴と接触させるステップと、
    iii)前記処理された基材及び前記少なくとも1つのアノードに電圧を印加するステップと、
    iv)前記処理された基材上に装飾ニッケルコーティングを電着させるステップと
    を含む、処理された基材上に装飾ニッケルコーティングを堆積させる方法。
  10. 前記堆積させる方法は、30℃〜70℃、好ましくは40℃〜65℃、より好ましくは50℃〜60℃の作業温度範囲で実施されることを特徴とする、請求項9に記載の装飾ニッケルコーティングを堆積させる方法。
  11. 前記堆積させる方法は、1〜7アンペア/dm(ASD)、好ましくは1.5〜6ASD、より好ましくは2〜5ASDの作業電流密度範囲で実施されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の装飾ニッケルコーティングを堆積させる方法。
  12. 前記堆積させる方法は、5〜50分、好ましくは6〜35分、より好ましくは8〜25分の範囲の電圧印加及び後続の装飾ニッケルコーティングの電着(方法ステップiii)及びiv))の作業時間で実施されることを特徴とする、請求項9から11の何れか一項に記載の装飾ニッケルコーティングを堆積させる方法。
  13. 前記電気メッキ浴は、1〜10g/l、好ましくは1.5〜7g/l、より好ましくは2〜6g/lの範囲の濃度の、少なくとも1つのサッカリン及び/又はサッカリン塩、好ましくはサッカリンのナトリウム塩の形態のサッカリン誘導体;及び、0.1〜5g/l、好ましくは0.25〜3.5g/l、より好ましくは0.5〜2.0g/lの範囲の総濃度の、好ましくはアリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸のナトリウム塩、ビニルスルホン酸のナトリウム塩、又はそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1つのスルホン酸及び/又はスルホン酸塩の形態のスルホン酸の誘導体をさらに含むことを特徴とする、請求項9から12の何れか一項に記載の装飾ニッケルコーティングを堆積させる方法。
  14. 前記電気メッキ浴は、10〜300mg/l、好ましくは50〜250mg/l、より好ましくは100〜220mg/lの範囲の濃度の、好ましくは2,5ヘキシンジオール及び1,4ブチンジオールからなる群から選択される少なくとも1つのジオール;又は、5〜350mg/l、好ましくは10〜200mg/l、より好ましくは50〜150mg/lの範囲の総濃度の、ピリジニウムプロピルスルホベタイン(PPS)又はその誘導体(PPS−OHなど)の群から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含むことを特徴とする、請求項9から12の何れか一項に記載の装飾ニッケルコーティングを堆積させる方法。
  15. 請求項9から14の何れか一項に記載の方法を実施することによる、光沢のある、半光沢の、サテンのような、マットな、又は非導電性粒子を含むニッケルコーティングを堆積させるための、請求項1から8の何れか一項に記載のニッケル電気メッキ浴の使用。
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