JP5675303B2 - ニッケルめっき浴およびこれを用いた電鋳型の製造方法 - Google Patents
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Description
以下、ホウ酸フリーのめっき浴とするために、緩衝剤について検討した結果について記載する。まず、基準となるめっき浴を用意した。この基準のめっき浴が含む化合物およびその濃度は、以下の通りである。
・スルファミン酸ニッケル(600g/L)
・塩化ニッケル(5g/L)
・ナフタレン1,3,6−トリスルホン酸三ナトリウム(10g/L)
・2−ブチン−1,4−ジオール(1g/L)
この基準のめっき浴に、緩衝剤として、それぞれ、以下の化合物を以下に記した濃度で加えて試験用のめっき浴(B0〜B6)を調整した。なお、すべてのめっき浴のpHは、水酸化カリウムおよび/またはアミド硫酸にて、pH4となるように調整した。
B0.ホウ酸(30g/L)
B1.プロピオン酸(30g/L)
B2.酢酸(30g/L)
B3.プロピオン酸(30g/L)+クエン酸(10g/L)
B4.酢酸(30g/L)+クエン酸(10g/L)
B5.酢酸ニッケル(30g/L)
B6.酢酸ニッケル(30g/L)+クエン酸(10g/L)
○:ホウ酸を使用したバスB0と同程度
△:ホウ酸を使用したバスB0よりもやや劣る
×:ホウ酸を使用したバスB0よりも劣る
実施例1において用いたニッケルめっき浴1は、以下に示した化合物を含むように調整した。なお、以下の「適量」は、従来知られているスルファミン酸浴において、各性能を良好に発揮するために用いる量と同程度の量であることを示している。また、pH調整剤として、5mol/Lの水酸化カリウムと、1mol/Lのアミド硫酸を使用し、pH4に調整した。
・スルファミン酸ニッケル(60%スルファミン酸ニッケルを使用):450g/L(結晶濃度換算)
・塩化ニッケル(塩化ニッケル(II)六水和物を使用):5g/L(水和物換算)
・酢酸ニッケル(酢酸ニッケル(II)四水和物を使用):30g/L(水和物換算)
・クエン酸:10g/L
・サッカリンナトリウム二水和物:適量(本例では3g/L)
・2−ブチン−1,4−ジオール:適量(本例では0.4g/L)
・ラウリル硫酸ナトリウム:適量(本例では20〜40ppm)
このように調整されたニッケルめっき浴を用い、めっき層(めっき皮膜)5を形成した。この際、ニッケルめっき浴の温度は50℃、ウォーターバスで保温した状態で、電流密度3〜15A/dm2、電圧9Vにて通電した。めっき中は、空気攪拌および連続でろ過を行った。
実施例2において用いたニッケルめっき浴1は、実施例1のニッケルめっき浴に対し、スルファミン酸ニッケル(60%スルファミン酸ニッケルを使用)の含有量を600g/L(結晶濃度換算)に変更するとともに、サッカリンナトリウム二水和物の代わりにナフタレントリスルホン酸三ナトリウムを適量(本例では10g/L)含むように変更した。その他は、pHおよびその調整方法も含めて、実施例1と同様である。また、このように調整されたニッケルめっき浴1を用い、実施例1と同様にしてめっき皮膜5を形成した。
実施例3において用いたニッケルめっき浴1は、実施例1のニッケルめっき浴に対し、スルファミン酸ニッケル(60%スルファミン酸ニッケルを使用)の含有量を400g/L(結晶濃度換算)に変更するとともに、サッカリンナトリウム二水和物の代わりにナフタレントリスルホン酸三ナトリウムを適量(本例では10g/L)含むように変更した。その他は、pHおよびその調整方法も含めて、実施例1と同様である。また、このように調整されたニッケルめっき浴1を用い、実施例1と同様にしてめっき皮膜5を形成した。
実施例4において用いたニッケルめっき浴1は、実施例1のニッケルめっき浴に対し、サッカリンナトリウム二水和物の代わりにナフタレントリスルホン酸三ナトリウムを適量(本例では10g/L)含むように変更した。その他は、pHおよびその調整方法も含めて、実施例1と同様である。また、このように調整されたニッケルめっき浴1を用い、実施例1と同様にしてめっき皮膜5を形成した。
実施例5において用いたニッケルめっき浴1は、実施例1のニッケルめっき浴に対し、塩化ニッケルの代わりに臭化ニッケル(臭化ニッケル(II)三水和物を使用)を5g/L(水和物換算)含むように変更するとともに、サッカリンナトリウム二水和物を、ナフタレントリスルホン酸三ナトリウムを適量(本例では10g/L)含むように変更した。その他は、pHおよびその調整方法も含めて、実施例1と同様である。また、このように調整されたニッケルめっき浴1を用い、実施例1と同様にしてめっき皮膜5を形成した。
比較例1において用いたニッケルめっき浴は、実施例1のニッケルめっき浴に対し、スルファミン酸ニッケル(60%スルファミン酸ニッケルを使用)の含有量を600g/L(結晶濃度換算)に変更するとともに、酢酸ニッケルの代わりにホウ酸を30g/L含むように変更した。また、クエン酸は用いなかった。pHは、スルファミン酸と水酸化カリウムにて、pH4に調整した。
実施例1〜実施例5および比較例1において形成されためっき皮膜5の状態について比較した。まず、実施例1において形成されためっき皮膜5の光沢具合および反りの状態は、比較例1において形成されためっき皮膜と同程度であり、ホウ酸を含有しないニッケルめっき浴1を用いた際のデメリットは見当たらなかった。
図8は、電鋳型を用いてレンズを製造する工程をフローチャートにより示している。まず、ステップ31において原型を製造する。ステップ32において原型に対して前処理を行う。前処理は原型の表面についた汚れを取り除くためのアルカリ脱脂、次に、原型の表面の反応性を高めるための酸活性、最後に、電鋳めっきにより形成した電鋳型の剥離を容易にするための剥離剤の塗布を行う。ステップ33においてニッケルめっき浴1を調整する。典型的なニッケルめっき浴1は実施例1において用いたニッケルめっき浴である。ステップ34において、調整が完了したニッケルめっき浴1の中で、原型3を陰極とし、純ニッケルまたは硫黄含有ニッケルなどの金属板などの可溶性または不可溶性の電極を陽極2として通電し、原型3の周囲に電鋳型となるめっき層10を形成する。電流密度の一例は3〜15A/dm2程度であり、めっき時間の一例は10日間である。これにより、3mm程度の厚さにニッケル(金属)めっき層5を原型3に析出させることができる。
以上のように、緩衝剤として酢酸ニッケルを用いることにより、ホウ酸フリーのスルファミン酸浴(めっき浴)を得ることができる。この際、このめっき浴にクエン酸を加えることがさらに好ましく、このようにすることにより、電鋳型として用いることができる程度の硬度を持つニッケル皮膜を形成することができる。応力調整剤および光沢剤を加えることがさらに好ましい。このニッケルめっき浴は、電解ニッケルめっき法により電鋳型の製造に好適であり、レンズなどの光学素子、導光板や反射防止フィルム、偏光フィルム、光ディスク、バイオチップなどの表面に微細加工を有する物品、注射針やスプレー缶、禁煙パイポなどの深くかつ鏡面性を有する物品を良好に形成することができる。また、このニッケルめっき浴はホウ酸フリーなのでめっき排水中のホウ酸やホウ素の除去を省くことができ、めっき廃液の処理に要するコストを削減できる。
Claims (7)
- スルファミン酸ニッケルを350〜600g/L含み、ホウ酸を含まず、酢酸ニッケルとクエン酸とを含み、酢酸ニッケル・四水和物の含有量は20〜50g/L、クエン酸の含有量は10〜15g/Lであり、さらに、クエン酸相当の含有量は酢酸ニッケルの含有量の1/3〜1/2である、電鋳型形成用のニッケルめっき浴。
- 請求項1において、さらに、塩化ニッケル・六水和物を5g/L、または臭化ニッケル・三水和物を5g/L含み、pHが3.5〜5に調整され、ナフタレントリスルホン酸三ナトリウムまたはサッカリンナトリウムを含む一次光沢剤と、2−ブチン−1,4−ジオールを含む二次光沢剤とが添加された、ニッケルめっき浴。
- 請求項1または2に記載のニッケルめっき浴に原型を入れることと、
前記原型にめっき層を形成することと、
前記原型から前記めっき層を離型して電鋳型を形成することとを有する電鋳型の製造方法。 - 請求項1または2に記載のニッケルめっき浴を用いて電鋳された電鋳型。
- 請求項1または2に記載のニッケルめっき浴を用いて電鋳型を形成することと、
前記電鋳型を含む成形型に樹脂を注入することとを有する、樹脂成形物の製造方法。 - 請求項4に記載の電鋳型を含む成形型に樹脂を注入することを含む、樹脂成形物の製造方法。
- 請求項5または6において、前記樹脂成形物は光学素子である、樹脂成形物の製造方法。
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