JP2012143798A - めっきが施されたアルミニウム合金鋳物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】無電解ニッケルめっき層を有するアルミニウム合金鋳物であって、該アルミニウム合金が、Mg:1.5〜5.5重量%、Zn:1.6〜5.0重量%、Si:0.4重量%以下、Fe:0.4重量%以下、Cu:0.4重量%以下、Ti:0.2重量%以下、B:0.1重量%以下及びBe:0.1重量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなり、電解研磨された前記鋳物の表面に、ジンケート処理層を有し、さらに、その上に前記無電解ニッケルめっき層を有することを特徴とする、めっきが施されたアルミニウム合金鋳物とする。
【選択図】図1
Description
JIS H5202に基づいた舟型の金型試験片鋳型を用いてアルミニウム合金を鋳造した。得られたアルミニウム合金鋳物を各実施例における条件に従って熱処理、切削加工及び研磨の処理を行って、JIS Z2201に基づいた4号試験片を作製した。得られた試験片の引張強さ、耐力及び伸びをJIS Z2241に基づいてそれぞれ測定した。
ブリネル硬さをJIS Z2243に基づいて以下のように測定した。JIS H5202に基づいた舟型の金型試験片鋳型を用いてアルミニウム合金を鋳造した。得られたアルミニウム合金鋳物を各実施例における条件に従って熱処理、切削加工及び研磨の処理を行い、縦20mm、横20mm、高さ10mmの試験片を作製した。直径10mmの超硬合金球の圧子を試験片の平滑な表面に規定の試験力4.903kNになるまで押し込み、規定の試験力で10〜15秒保持した。押力を解除した後、表面に残ったくぼみの直径を測定し、ブリネル硬さをJIS Z2243附属書Bのブリネル硬さ算出表から読み取った。
アルミニウム合金鋳物の表面の光輝性は、JIS Z8741の鏡面光沢度測定方法にに基づいて測定した光沢度を指標として評価した。光沢度の測定条件は以下のとおりである。
測定装置:株式会社村上色彩技術研究所製 ディジタル光沢計「(GM−3D)」
[目視による光輝性の評価]
アルミニウム合金鋳物の背後に、黒ペンで格子模様が描かれた紙を垂直に置き、当該アルミニウム合金鋳物の平らな表面に格子模様が映り込むように鋳物を見たときの鋳物表面に映った格子模様から光輝性を評価した。
めっき層の膜厚は蛍光X線膜厚計(フィッシャーインストルメンツ社製、「XDL−B」)を用いて測定した。
表1に示す組成(合金1)の溶湯(730℃)をJIS H5202に基づいた舟型の金型試験片鋳型に鋳込み、アルミニウム合金鋳物を金型傾斜重力鋳造により鋳造した。金型から取り出したアルミニウム合金鋳物を430℃で6時間保持した後に焼入れ(水冷)することにより溶体化処理した後に、160℃で8時間時効硬化処理を行った。熱処理した該アルミニウム合金鋳物を切削加工して、縦30mm、横35mm、高さ20mmに成形した。電解研磨の前処理として、アルミニウム合金鋳物を洗浄液[中央化学株式会社製「T1000」、濃度50g/L]に5分間浸漬することにより脱脂を行った後に、水酸化ナトリウム水溶液(濃度50g/L)に10秒間浸漬することにより表面の油分及び酸化皮膜を除去し、さらに、硝酸(濃度50%)に10秒間浸漬することによりスマットを除去した。前処理した該アルミニウム合金鋳物をリン酸と硫酸の混合溶液中(浴温65℃)で、25Vにて30秒間陽極電解することにより電解研磨を行った。
電解研磨された鋳物の表面に、ジンケート処理層を有し、その上に無電解ニッケルめっき層を有し、さらにその上に電気光沢ニッケルめっき層を有するアルミニウム合金鋳物を作製した。無電解ニッケルめっき層を形成するところまでは、実施例1と同様にして表面に無電解ニッケルめっき層が形成されたアルミニウム合金鋳物を作製した。当該鋳物の表面に電気光沢ニッケルめっき層を実施例1と同様にして形成した。得られた鋳物の無電解ニッケルめっき層の膜厚は5μmであり、電気ニッケルめっき層(光沢ニッケルめっき)の膜厚は4μmであった。得られた鋳物の光沢度測定及び表面状態の評価を実施例1と同様にして行った。その結果を表2及び図2に示す。図2に示されるように、当該アルミニウム合金鋳物の表面は鏡面となり、はっきりとした格子柄が鋳物表面に映っていた。また、表面は優れた金属光沢を有していた。めっきに膨れの発生も見られなかった。
電解研磨された鋳物の表面に、ジンケート処理層を有し、さらに、その上に無電解ニッケルめっき層を有するアルミニウム合金鋳物を作製した。無電解ニッケルめっき処理の処理時間を30分としたこと、電気半光沢ニッケルめっき層から上のめっき層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム合金鋳物を作製した。無電解ニッケルめっき層の膜厚は7.5μmであった。得られた鋳物の光沢度測定及び表面状態の評価を実施例1と同様にして行った。その結果を表2及び図3に示す。図3に示されるように、当該アルミニウム合金鋳物の表面は鏡面となり、はっきりとした格子柄が鋳物表面に映っていた。また、表面は優れた金属光沢を有していた。めっきに膨れの発生も見られなかった。
電解研磨された鋳物の表面に、ジンケート処理層を有し、その上に無電解ニッケルめっき層を有し、その上に電気光沢ニッケルめっき層を有し、さらにその表面に電気クロムめっき層を有するアルミニウム合金鋳物を作製した。無電解ニッケルめっき層を形成するところまでは、実施例1と同様にして表面に無電解ニッケルめっき層が形成されたアルミニウム合金鋳物を作製した。当該鋳物の表面に電気光沢ニッケルめっき層及び電気クロムめっき層を実施例1と同様にしてそれぞれ形成した。得られた鋳物の無電解ニッケルめっき層の膜厚は5μmであり、電気光沢ニッケルめっき層の膜厚は4μmであり、電気クロムめっき層の膜厚は0.75μmであった。得られた鋳物の光沢度測定及び表面状態の評価を実施例1と同様にして行った。その結果を表2及び図4に示す。図4に示されるように、当該アルミニウム合金鋳物の表面は鏡面となり、はっきりとした格子柄が鋳物表面に映っていた。また、表面はクロムめっきに特有の重厚な金属光沢を有していた。めっきに膨れの発生も見られなかった。
電解研磨された鋳物の表面に、ジンケート処理層を有し、その上にアルカリ性の電気銅めっき液を用いて形成した電気銅めっき層を有し、その上に電気硫酸銅めっき層を有し、その上に電気光沢ニッケルめっき層を有し、さらにその上に電気クロムめっき層を有するアルミニウム合金鋳物を作製した。ジンケート処理層を形成するところまでは、実施例1と同様にしてアルミニウム合金鋳物を作製した。表面にジンケート処理層が形成された当該鋳物を、浴温30℃の電気ピロリン酸銅めっき浴[奥野製薬株式会社製「ソフトカッパーM」(500ml/L)、奥野製薬株式会社製「ソフトカッパー3」(20ml/L)]に浸漬した後、0.5A(1.25A/dm2)にて2分間通電することにより、電気ピロリン酸銅めっき層の形成を行った。このとき形成された電気銅めっき層の膜厚は、1μmであった。
鋳造に用いる溶湯として、表1に示す組成(合金2)のものを用いたことと、熱処理を表1に示す条件(合金2)で行ったこと以外は実施例1と同様にして電解研磨工程まで行い、電解研磨された鋳物を作製した。当該鋳物の光沢度及び機械的特性を実施例1と同様にして測定した。その結果を表1に示す。電解研磨された鋳物に実施例1と同様にして、めっきを施した。得られた鋳物の無電解ニッケルめっき層の膜厚は5μmであり、電気半光沢ニッケルめっき層の膜厚は1.5μmであり、電気硫酸銅めっき層の膜厚は10μmであり、電気光沢ニッケルめっき層の膜厚は4μmであり、電気クロムめっき層の膜厚は0.75μmであった。得られた鋳物の光沢度測定及び表面状態の評価を実施例1と同様にして行った。その結果を表2及び図6に示す。図6に示されるように、当該アルミニウム合金鋳物の表面は、曇っており、表面に映り込んだ格子柄がぼやけていた。また、めっきに膨れの発生が見られた。
鋳造に用いる溶湯として表1に示す組成(合金2)のものを用いたこと及び熱処理を表1に示す条件(合金2)で行ったこと以外は、実施例2と同様にしてめっきが施されたアルミニウム合金鋳物を作製した。得られた鋳物の無電解ニッケルめっき層の膜厚は5μmであり、電気光沢ニッケルめっき層の膜厚は4μmであった。得られた鋳物の光沢度測定及び表面状態の評価を実施例1と同様にして行った。その結果を表2及び図7に示す。図7に示されるように、当該アルミニウム合金鋳物の表面は、曇っており、表面に映り込んだ格子柄がぼやけていた。また、変色やめっきに膨れの発生が見られた。
鋳造に用いる溶湯として表1に示す組成(合金2)のものを用いたこと及び熱処理を表1に示す条件(合金2)で行ったこと以外は、実施例3と同様にしてめっきが施されたアルミニウム合金鋳物を作製した。無電解ニッケルめっき層の膜厚は7.5μmであった。得られた鋳物の光沢度測定及び表面状態の評価を実施例1と同様にして行った。その結果を表2及び図8に示す。図8に示されるように、当該アルミニウム合金鋳物の表面は、曇っており、表面に映り込んだ格子柄がぼやけていた。また、めっきに変色や膨れの発生が見られた。
鋳造に用いる溶湯として表1に示す組成(合金2)のものを用いたこと及び熱処理を表1に示す条件(合金2)で行ったこと以外は、実施例4と同様にしてめっきが施されたアルミニウム合金鋳物を作製した。得られた鋳物の無電解ニッケルめっき層の膜厚は5μmであり、電気光沢ニッケルめっき層の膜厚は4μmであり、電気クロムめっき層の膜厚は0.75μmであった。得られた鋳物の光沢度測定及び表面状態の評価を実施例1と同様にして行った。その結果を表2及び図9に示す。図9に示されるように、当該アルミニウム合金鋳物の表面は、曇っており、表面に映り込んだ格子柄がぼやけていた。また、変色やめっきに膨れの発生が見られた。
鋳造に用いる溶湯として表1に示す組成(合金2)のものを用いたこと及び熱処理を表1に示す条件(合金2)で行ったこと以外は、実施例5と同様にしてめっきが施されたアルミニウム合金鋳物を作製した。得られた鋳物の電気ピロリン酸銅めっき層の膜厚は1μmであり、電気硫酸銅めっき層の膜厚は10μmであり、電気光沢ニッケルめっき層の膜厚は4μmであり、電気クロムめっき層の膜厚は0.75μmであった。得られた鋳物の光沢度測定及び表面状態の評価を実施例1と同様にして行った。その結果を表2及び図10に示す。図10に示されるように、当該アルミニウム合金鋳物の表面は、曇っており、表面に映り込んだ格子柄がぼやけていた。また、変色やめっきに膨れの発生が見られた。
Claims (9)
- 無電解ニッケルめっき層を有するアルミニウム合金鋳物であって、
該アルミニウム合金が、Mg:1.5〜5.5重量%、Zn:1.6〜5.0重量%、Si:0.4重量%以下、Fe:0.4重量%以下、Cu:0.4重量%以下、Ti:0.2重量%以下、B:0.1重量%以下及びBe:0.1重量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなり、
電解研磨された前記鋳物の表面に、ジンケート処理層を有し、さらに、その上に前記無電解ニッケルめっき層を有することを特徴とする、めっきが施されたアルミニウム合金鋳物。 - 前記無電解ニッケルめっき層の上に、さらに、電気ニッケルめっき層を有する請求項1に記載のアルミニウム合金鋳物。
- 前記電気ニッケルめっき層の上に、さらに、電気クロムめっき層を有する請求項2に記載のアルミニウム合金鋳物。
- 前記無電解ニッケルめっき層と前記電気ニッケルめっき層の間に、電気銅めっき層を有する請求項2又は3に記載のアルミニウム合金鋳物。
- 電気銅めっき層と電気ニッケルめっき層を有するアルミニウム合金鋳物であって、
該アルミニウム合金が、Mg:1.5〜5.5重量%、Zn:1.6〜5.0重量%、Si:0.4重量%以下、Fe:0.4重量%以下、Cu:0.4重量%以下、Ti:0.2重量%以下、B:0.1重量%以下及びBe:0.1重量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなり、
電解研磨された前記鋳物の表面に、ジンケート処理層を有し、その上に前記電気銅めっき層を有し、さらにその上に前記電気ニッケルめっき層を有することを特徴とする、めっきが施されたアルミニウム合金鋳物。 - 前記電気ニッケルめっき層の上に、さらに、電気クロムめっき層を有する請求項5に記載のアルミニウム合金鋳物。
- JIS Z8741に基づいて測定した光沢度が100%以上であることを特徴とする
請求項1〜6のいずれかに記載のアルミニウム合金鋳物。 - Mg:1.5〜5.5重量%、Zn:1.6〜5.0重量%、Si:0.4重量%以下、Fe:0.4重量%以下、Cu:0.4重量%以下、Ti:0.2重量%以下、B:0.1重量%以下及びBe:0.1重量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなるアルミニウム合金を鋳造して鋳物を得て、該鋳物の表面を電解研磨した後にジンケート処理し、さらに、その上に無電解ニッケルめっき層を形成する、めっきが施されたアルミニウム合金鋳物の製造方法。
- Mg:1.5〜5.5重量%、Zn:1.6〜5.0重量%、Si:0.4重量%以下、Fe:0.4重量%以下、Cu:0.4重量%以下、Ti:0.2重量%以下、B:0.1重量%以下及びBe:0.1重量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなるアルミニウム合金を鋳造して鋳物を得て、該鋳物の表面を電解研磨した後にジンケート処理し、その上に電気銅めっき層を形成し、さらにその上に電気ニッケルめっき層を形成する、めっきが施されたアルミニウム合金鋳物の製造方法。
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