JP2020188704A - ドデセン酸を有効成分とする飲食品の塩味増強剤 - Google Patents

ドデセン酸を有効成分とする飲食品の塩味増強剤 Download PDF

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Abstract

【課題】飲食品に添加される塩味含量を減少させつつ、その食品が本来持っている塩味を維持することができ、かつ、実際に飲食品に添加する濃度では香気・香味を感じにくいため、様々な飲食物に利用できる汎用性の高さ、豊富な食経験に裏打ちされた高い安全性、日常的に手軽に入手できる安価な原材料で達成可能な高いコストパフォーマンスという多くの利点を併せ持った塩味増強剤の提供。【解決手段】7−ドデセン酸、8−ドデセン酸、9−ドデセン酸または10−ドデセン酸から選択される1種又は2種以上からなる飲食品の塩味増強剤。【選択図】なし

Description

本発明は、塩味増強剤に関する。さらに詳しくは、7−ドデセン酸、8−ドデセン酸、9−ドデセン酸または10−ドデセン酸から選ばれる少なくとも1種を有効成分とする飲食品の塩味増強剤、および該塩味増強剤を使用した飲食品の塩味増強方法に関する。
食塩(塩化ナトリウム)は、塩味をつける調味料として、また、保存などの目的で飲食品に汎用されている。しかしながら、この食塩に含まれるナトリウムの取りすぎは、近年社会問題となっている生活習慣病である高血圧症、腎臓病、心臓病などの遠因となることが指摘され、食塩含量を減らした飲食品が開発されている。さらに健康志向の高まりを受けて、減塩醤油、減塩味噌、その他様々な食塩含量を減らした飲食品が上市されている。しかしながら、食塩含量を減らした場合、当然に塩味が弱くなり物足りなく感じることがある。食塩代替素材としては、塩化カリウムや塩化カルシウムなどを用いることができるが、素材に特有の異味やにおいがあるためそのままで使用できない。そこで、例えば、食塩の一部を塩化カリウムで代替し、カリウム塩特有の不快味を改善し、食塩含量が低いにもかかわらず、適度な塩味を呈する技術が開発されている(特許文献1〜6)。しかしながら、実際の製品への応用はあまり進んでいないのが現状である。
香料化合物は嗅覚を刺激する化合物であるが、その種類は数万あるとされる。一方、食の風味は嗅覚刺激と味覚刺激が脳で統合された感覚と考えられている。すなわち、嗅覚刺激は味覚を刺激する化合物(食塩、砂糖、グルタミン酸ナトリウムなど)と組み合され、食全体の風味が形成されている。そこで、近年、香気を有する化合物の中から、嗅覚と同時に味覚を刺激する化合物について探索が盛んとなり、飲食品の総合的な風味の向上に用いられている。
塩味を増強する化合物として、例えば、メチオナールと、4−ヒドロキシ−2−エチル−5−メチル−3(2H)−フラノン又は4−ヒドロキシ−5−エチル−2−メチル−3(2H)−フラノンを飲食品に添加することにより、塩味を増強する効果があることが見出されている(特許文献7)。また、3−n―ブチルフタライドおよび3−ブチリデンフタライド等のフタライド類を塩味含有食品に添加することにより、塩味を改善する効果が見出されている(特許文献8)。さらに、2−(3−ベンジルオキシプロピル)ピリジンについても、塩味増強剤としての用途を有することが開示されている(特許文献9)。
ドデセン酸は香料用途として有用であり、特に、7−ドデセン酸、8−ドデセン酸、9−ドデセン酸または10−ドデセン酸は、乳脂感、油脂感などの香気・香味を改善することができ、香りの持続性を高め、また、7−ドデセン酸、8−ドデセン酸、9−ドデセン酸または10−ドデセン酸を含有する香料組成物を飲食品などに添加することにより、乳脂感、油脂感などの香気・香味を改善し、香りの持続性を高めることができる(特許文献10)。しかしながら、これらのドデセン酸は香料としての用途が知られているものの、飲食品に添加することにより塩味を増強する効果については、全く知られていなかった。
特開昭63−287460号公報 特許平4−262758号公報 特開平11−187841号公報 特表2008−543332号公報 特開2009−27974号公報 特開2010−4767号公報 特開2012−223147号公報 特許第4606513号公報 特許第5805902号公報 特許第6315529号公報
本発明の目的は、飲食品に添加される塩味含量を減少させつつ、その食品が本来持っている塩味を維持することができ、かつ、実際に飲食品に添加する濃度では香気・香味を感じにくいため、様々な飲食物に利用できる汎用性の高さ、豊富な食経験に裏打ちされた高い安全性、日常的に手軽に入手できる安価な原材料で達成可能な高いコストパフォーマンスという多くの利点を併せ持った塩味増強剤を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行ってきた結果、7−ドデセン酸、8−ドデセン酸、9−ドデセン酸または10−ドデセン酸を、飲食品に添加することにより、これらの飲食品に不必要な香気・香味を付与することなく、飲食品の塩味を増強し、飲食品の風味を改善できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
かくして本発明は以下のものを提供する。
(1)7−ドデセン酸、8−ドデセン酸、9−ドデセン酸および10−ドデセン酸からなる群から選択される1種または2種以上からなる飲食品の塩味増強剤。
(2)(1)の塩味増強剤を0.5ppm〜3.0%含有する、飲食品の塩味増強組成物。
(3)(1)の塩味増強剤を、飲食品に5ppb〜50ppm含有させる、飲食品の塩味増強方法。
本発明によれば、飲食品に添加される食塩含量を減少させつつ、その食品が本来持っている塩味を維持することができ、かつ、飲食品の塩味を増強し、飲食品の風味を改善することができる。また、塩味を増強することで、減塩によって味のまとまりがなくなった飲食品のおいしさを引き上げる効果を有する。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
本発明において、%、ppm、ppbの値はそれぞれ質量対質量の値を示す。
本発明における塩味含量の減少とは、食塩、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化マグネシウム、リンゴ酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム等の塩類が減少することを意味する。また、本発明における塩味とは、前記塩類の水溶液等についてヒトが舌で感じる呈味の一つを意味する。
また、塩味増強剤は、剤形が、いかなる形態、固形、例えば、顆粒、細粒、錠剤、粉末、等であるか、液状、懸濁状であるか、また、本発明の目的に悪影響を及ぼさない範囲で他の成分を含むことができる。
本発明の化合物である、7−ドデセン酸、8−ドデセン酸、9−ドデセン酸または10−ドデセン酸は、(E)体および(Z)体の混合物でもよいし、(E)体または(Z)体単体でも本発明の効果を有する。
本発明の化合物である、7−ドデセン酸、8−ドデセン酸、9−ドデセン酸または10−ドデセン酸は、例えば特許文献10に記載される、以下に示す反応経路に従って製造することができる。
Figure 2020188704
上記反応の工程は、末端に二重結合を有する不飽和脂肪酸を原料として任意のアルコールおよびパラトルエンスルホン酸などの酸触媒を用いてエステル化し、オゾン酸化によりアルデヒドとする。得られたアルデヒドと、ホスホニウム塩から得られたリンイリドとのウィッティヒ反応を行い、得られたドデセン酸エステルをアルカリ加水分解することにより、7−ドデセン酸、8−ドデセン酸、9−ドデセン酸または10−ドデセン酸を製造することができる。
飲食品、例えば、塩味を有する飲食品に対し、本発明の化合物である、7−ドデセン酸、8−ドデセン酸、9−ドデセン酸または10−ドデセン酸を、そのまま飲食品に配合することにより、これらの飲食品に不必要な香気・香味を付与することなく、飲食品の塩味を増強し、飲食品の風味を改善することができる。また、本発明の7−ドデセン酸、8−ドデセン酸、9−ドデセン酸または10−ドデセン酸を2種以上の任意の割合で混合して用いることもできる。
本発明の7−ドデセン酸、8−ドデセン酸、9−ドデセン酸もしくは10−ドデセン酸、またはこれらの2種以上の混合物の、飲食品の塩味増強組成物への含有量は、その目的あるいは塩味増強組成物の種類によっても異なるが、飲食品の塩味増強組成物の全体質量に対して0.5ppm〜3.0%、好ましくは1ppm〜1.0%、さらに好ましくは2ppm〜0.5%、より好ましくは5ppm〜0.1%、特に好ましくは10ppm〜500ppmの範囲を例示することができる。これらの範囲内では、飲食品の塩味を増強する優れた効果を有する。
本発明の塩味増強剤は、単独で飲食品に添加することもできるが、香料成分と任意に組み合わせて、飲食品用の塩味増強組成物として使用することもできる。本発明の塩味増強剤と共に含有しうる他の香料成分としては、各種の合成香料、天然香料、天然精油、植物エキスなどを挙げることができる。例えば、「特許庁、周知慣用技術集(香料)第II部食品香料」または「合成香料、化学と商品知識、増補新版、化学工業日報発行」に記載されている天然精油、天然香料、合成香料を挙げることができる。
これらの成分として、食品用香料(香料組成物および塩味増強組成物)の素材として、例えば、炭化水素化合物としてα−ピネン、β−ピネン、ミルセン、カンフェン、リモネン、サビネンなどのモノテルペン、バレンセン、セドレン、カリオフィレン、ロンギフォレン、ファルネセンなどのセスキテルペン、1,3,5−ウンデカトリエンなど;アルコール化合物としてイソアミルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、プレノールなどの直鎖・飽和アルカノール類、(Z)−3−ヘキセン−1−オール、2,6−ノナジエノール、2,6−デカジエノールなどの直鎖・不飽和アルコール類、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、テトラヒドロミルセノール、ファルネソール、ネロリドール、セドロールなどのテルペンアルコール類、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フルフリルアルコールなどの芳香族アルコール類;アルデヒド化合物としてアセトアルデヒド、ブタナール、ヘキサナール、オクタナール、デカナールなどの直鎖・飽和アルデヒド、(E)−2−ヘキセナール、2,4−オクタジエナール、2,6−デカジエナールなどの直鎖・不飽和アルデヒド類、シトロネラール、シトラールなどのテルペンアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナミルアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、フルフラール、ヘリオトロピンなどの芳香族アルデヒド類、ケトン化合物として2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ウンデカノン、1−オクテン−3−オンなどの直鎖・飽和および不飽和ケトン類、アセトイン、ジアセチル、2,3−ペンタジオン、マルトール、エチルマルトール、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン、4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノンなどの直鎖および環状ジケトン類、ヒドロキシケトン、カルボン、メントン、ヌートカトンなどのテルペンケトン類、α−イオノン、β−イオノン、β−ダマセノンなどのテルペン分解物に由来するケトン類、ラズベリーケトンなどの芳香族ケトン類;フラン・エーテル化合物としてローズオキシド、リナロールオキシド、メントフラン、テアスピランなどの環状エーテル類;エステル化合物として酢酸エチル、酢酸イソアミルなどの脂肪族アルコールの酢酸エステル類、酢酸リナリル、酢酸ゲラニルなどのテルペンアルコール酢酸エステル類、酪酸エチル、カプロン酸エチルなどの脂肪酸と低級アルコールエステル類、酢酸ベンジル、酢酸2−フェニルエチル、サリチル酸メチルなどの芳香族エステル類;ラクトン化合物としてγ−デカラクトン、γ−ドデカラクトン、δ−デカラクトン、δ−ドデカラクトンなどの飽和ラクトン類、7−デセン−4−オリド、2−デセン−5−オリドなどの不飽和ラクトン類;酸化合物として酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの飽和・不飽和脂肪酸類;含窒素化合物としてインドール、スカトール、ピリジン、ピラジン、アルキル置換ピラジン、アントラニル酸メチルなど;含硫化合物としてメタンチオール、メチオナール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、アリルイソチオシアネートなどが挙げられる。
これらの、合成香料に関しては、市場で容易に入手可能であり、必要により容易に合成することもできる。
また、各種のエキスとしてハーブ・スパイス抽出物、コーヒー・緑茶・紅茶・ウーロン茶抽出物、乳または乳加工品およびこれらのリパーゼ・プロテアーゼなどの酵素分解物も挙げられる。
また、塩味増強組成物の素材としては、前記食品用香料の素材に加え、さらに、食塩、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化マグネシウム、リンゴ酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム等の塩類を使用することができる。
本発明の塩味増強剤または塩味増強剤組成物はそのまま飲食品に添加して使用することができるが、水混和性有機溶媒に溶解した溶液、乳化製剤、粉末製剤などして飲食品に添加することもできる。
本発明の塩味増強剤または塩味増強剤組成物を溶解するための水混和性有機溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、2−プロパノール、グリセリン、プロピレングリコールなどを例示することができる。これらのうち、飲食品への使用の観点から、エタノール、グリセリンまたはプロピレングリコールが特に好ましい。
また、乳化製剤とするためには、本発明の塩味増強剤または塩味増強剤組成物を乳化剤と共に乳化して得ることができる。例えば、キラヤ抽出物、酵素処理レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アラビアガムなどの乳化剤ないし安定剤の1種以上を配合して、例えば、ホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモジナイザーなどを用いて乳化することにより乳化香料製剤の形態とすることもできる。かかる乳化剤ないし安定剤の使用量は乳化剤ないし安定剤の種類などにより異なるが、例えば、乳化香料製剤の質量を基準として0.1〜25質量%の範囲、好ましくは5〜20質量%の範囲内を挙げることができる。
さらに、例えば、前記乳化香料製剤に砂糖、乳糖、ブドウ糖、トレハロース、セロビオース、水飴、還元水飴などの糖類;糖アルコール類;デキストリンなどの各種デンプン分解物およびデンプン誘導体、デンプン、ゼラチン、アラビアガムなどの天然ガム類などの賦形剤を適宜配合した後、例えば、噴霧乾燥、真空乾燥などの適宜な乾燥手段により乾燥して粉末香料製剤の形態とすることもできる。これらの賦形剤の配合量は粉末香料製剤に望まれる特性などに応じて適宜に選択することができる。
本発明の塩味増強剤は、塩味を有する飲食品に添加することにより塩味を有する飲食品の塩味を増強することができる。かかる塩味を有する飲食品を、特に、健康志向のため食塩の含有量を減量した減塩飲食品に適用することにより、食塩含量を減少させたにもかかわらず、ものたりなさを解消し、旨味、コク味などの呈味感を維持、増強しつつ、塩味を増強することができるため効果的である。また、食塩の一部を塩化カリウムで代替したカリウム塩含有飲食品に適用することにより、カリウム塩の使用量を低減、若しくは不使用とし、カリウム塩含有飲食品の不快味を改善し、旨味、コク味などを維持、増強しつつ、塩味を増強することができる。かかる塩味を有する飲食品としては、例えば、おかき、せんべい、その他種々の和菓子、塩キャラメル、塩キャンディー、クッキー、パンその他種々の洋菓子;おにぎり、ピラフ、チャーハン、混ぜご飯、雑炊、お茶漬けその他様々の飯調理品;ポテトチップス、その他種々のスナック菓子;フラワーペースト、ピーナッツペースト、その他種々のペースト類;漬物類、佃煮類、塩辛類;ハム、ハンバーグ、ソーセージ、ベーコン、ドライソーセージ、ビーフジャーキー、その他種々の蓄肉製品;魚肉ハム、魚肉ソーセージ、蒲鉾、チクワ、ハンペン、てんぷら、その他種々の魚介類製品;即席カレー、レトルトカレー、缶詰カレー、その他種々のカレー類;みそ、粉末みそ、醤油、粉末醤油、もろみ、魚醤、ソース、パスタソース、つゆ、ケチャップ、マヨネーズ、ドレッシング、固形ブイヨン、焼き肉のタレ、カレールー、シチューの素、スープの素、ダシの素、その他種々の調味料類;みそ汁、そばつゆ、すまし汁、コンソメスープ、ラーメンスープ、ポタージュスープなどが挙げられる。
また、本発明の塩味増強剤は、その他公知、市販されている減塩を目的とするための各種添加剤と組み合わせて用いても良い。
本発明の7−ドデセン酸、8−ドデセン酸、9−ドデセン酸もしくは10−ドデセン酸、またはこれらの2種以上の混合物の配合量は、その目的あるいは飲食品の種類によっても異なるが、例えば、飲食品の全体重量に対して5ppb〜50ppm、好ましくは10ppb〜10ppm、さらに好ましくは20ppb〜5ppm、より好ましくは50ppb〜2ppm、特に好ましくは0.1ppm〜1ppmの範囲を例示することができる。これらの範囲内では、飲食品に対し塩味を増強する優れた効果を有する。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明における、7−ドデセン酸(本発明品1)、8−ドデセン酸(本発明品2)、9−ドデセン酸(本発明品3)、10−ドデセン酸(本発明品4)を特許文献10に記載されている合成反応に従って調製した。
実施例1:塩味増強の効果
0.3質量%の塩化ナトリウム水溶液(コントロール)、および、0.3質量%塩化ナトリウム水溶液に本発明品1〜4を表1に示す濃度に溶解させた溶液を調製した。それぞれの溶液をよく訓練された10名のパネリストにより味わうことにより、塩味の増強についての官能評価を行った。
塩味の評点は、0.3質量%の塩化ナトリウム水溶液をコントロールとして、0:コントロールと差なし、1:コントロールと比べわずかに塩味を感じる、2:コントロールと比べ塩味あり、3:コントロールと比べ強い塩味あり、4:コントロールと比べ非常に強い塩味あり、5:塩味のバランスを欠いている、として採点した。そのパネリスト10名の平均点を表1に示す。
Figure 2020188704
表1に示した通り、本発明品1〜4を単独で塩化ナトリウム水溶液に添加した場合に、その水溶液は塩化ナトリウム水溶液と比較して塩味を有していた。また、その濃度としては、質量を基準として、5ppb〜50ppmの範囲内で塩味が増強されることが認められた。特に10ppb〜10ppmの範囲内で良好な塩味が感じられることが分かった。また、100ppmの添加濃度では、塩味は増強するが、本発明品1〜4が有するウリ様、グリーン様などの香気特性が出てしまい、呈味バランスを欠くとの結果であった。
参考例1:水蒸気蒸留によるカツオ節フレーバーの調製
5リットル容の水蒸気蒸留釜に鰹荒節粉砕物200gおよび水1800gを仕込み、釜の下部より水蒸気を吹き込み、約100℃で約3時間水蒸気蒸留を行った。留出する揮発性香気成分を含んだ水蒸気を水冷式ガラス冷却管に導き、約20℃に冷却し、凝縮させることにより回収香400gを得た。得られた回収香400gにODO(登録商標:日清オイリオ社製の中鎖脂肪酸トリグリセライドの商品名)40gを添加して、室温下30分撹拌抽出した。抽出後60分静置し、油層部をデカント分離し、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、濾紙濾過してカツオ節フレーバー(参考品1)38gを得た。
参考例2:含水アルコール抽出によるカツオ節フレーバーの調製
3リットル容のフラスコに鰹本枯節粉砕物200gおよび80%含水アルコール100gを加え、80〜85℃にて3時間撹拌抽出した。抽出後、遠心分離、濾過して抽出液800gを得、減圧下にてアルコールを回収しカツオ節フレーバー(参考品2)15gを得た。
参考例3:香料化合物の調合によるカツオ節フレーバーの調製
表2に示す以下の各成分を調合した(参考品3)
Figure 2020188704
比較品1:カツオ節様塩味増強組成物の調製
カツオ節様の塩味増強組成物として、下記の各成分(質量部)を調製した(比較品1)。
参考品1 10質量部
参考品2 25
参考品3 0.5
アルコール 35
水 29.5
合計 100
実施例2:塩味増強組成物による塩味増強の効果
上記比較品1に、本発明品1〜4を0.1ppm、0.5ppm、1ppm、10ppm、0.1%、0.5%、1.0%、5.0%となるように添加し、塩味増強組成物を調製した。比較品1をコントロール品として、それぞれの塩味増強組成物の水溶液についてよく訓練されたパネリスト10名により塩味の官能評価を行った。
塩味の評点は、比較品1をコントロールとして、0:コントロールと差なし、1:コントロールと比べわずかに塩味を感じる、2:コントロールと比べ塩味あり、3:コントロールと比べ強い塩味あり、4:コントロールと比べ非常に強い塩味あり、5:塩味のバランスを欠いている、として採点した。パネリスト10名の平均点を表3に示す。
Figure 2020188704
表3に示した通り、本発明品1〜4を単独で比較品1に添加した場合に、その水溶液は比較品1と比較して塩味を有していた。また、その濃度としては、比較品1への質量を基準として、0.5ppm〜1.0%の範囲内で塩味が増強されることが認められた。また、5.0%の添加濃度では、塩味は増強するが、本発明品1〜4が有するウリ様、グリーン様などの香気特性が出てしまい、呈味バランスを欠くとの結果であった。
実施例3:蒲鉾への添加
冷凍すけそうすり身100質量部、食塩2.5質量部、L−グルタミン酸ナトリウム1.5質量部、グリシン1質量部、キサンタンガム0.1質量部、馬鈴薯澱粉8質量部、卵白11質量部および氷水50質量部(合計174.1質量部)を混練し成形したすり身を95℃、40分間蒸し、蒲鉾を調製した(比較品2)。
比較品2の処方にさらに本発明品1〜4をそれぞれ0.0005質量部添加し、これを混練し成形したすり身を95℃、40分間蒸し、蒲鉾計4種類を調製した。これらをよく訓練された10名のパネリストにより味わうことにより、塩味についての官能評価を行った。その結果、10名全員が、本発明品1〜4を添加した蒲鉾の方が、比較品2と比較して塩味が増強されているという評価であった。
実施例4:ダイスミンチへの添加
粒状大豆たんぱく270質量部に、水480質量部、醤油45質量部、カラメル色素5質量部、グルタミン酸ソーダ18質量部を加えて水和した。さらに、食塩10質量部、香辛料3質量部を加えフードカッターで適当な大きさに粉砕した。この粉砕物に、植物油脂90質量部、加工でんぷん45質量部、粉末大豆たんぱく35質量部を加えて混合し、厚さ1cm角に成型した。成型したものを蒸気で蒸したのち凍結乾燥し、ダイスミンチを調製した(比較品3)。
粒状大豆たんぱく270質量部に、水480質量部、醤油45質量部、カラメル色素5質量部、グルタミン酸ソーダ18質量部を加えて水和した。さらに、食塩10質量部、香辛料3質量部を加えた後、本発明品1〜4を各0.001質量部、合計0.004質量部を加えて、フードカッターで適当な大きさに粉砕した。この粉砕物に、植物油脂等を比較品3と同様に加えて混合し、厚さ1cm角に成型した。成型したものを蒸気で蒸したのち凍結乾燥し、ダイスミンチを調製した。よく訓練された10名のパネリストにより味わうことにより、塩味についての官能評価を行った。その結果、10名中9名が、本発明品1〜4を合計0.004質量部としたダイスミンチの方が、比較品3と比較して塩味が増強されているという評価であった。
実施例5:カツオブシ様調合香料組成物のめんつゆへの添加
下記表4の処方により、カツオブシ様の調合香料組成物(香気の付与に加えて、塩味を付与するタイプ)を調合した。
Figure 2020188704
下記表5の処方によりめんつゆを調製し、これに表4に示すカツオブシ様調合香料組成物を0.1%添加したものを調製した。
Figure 2020188704
カツオブシ様調合香料組成物無添加のめんつゆと、添加しためんつゆを、よく訓練された10名のパネリストにより味わうことにより、官能評価を行った。その結果、10中8名が、本発明のカツオブシ様調合香料組成物を添加した方が、無添加のめんつゆと比較して、塩味が増強されているという評価であった。

Claims (3)

  1. 7−ドデセン酸、8−ドデセン酸、9−ドデセン酸および10−ドデセン酸からなる群から選択される1種または2種以上からなる飲食品の塩味増強剤。
  2. 請求項1に記載の塩味増強剤を0.5ppm〜3.0%含有する、飲食品の塩味増強組成物。
  3. 請求項1に記載の塩味増強剤を、飲食品に5ppb〜50ppm含有させる、飲食品の塩味増強方法。
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