JP2013078284A - 塩味増強剤による塩味増強法及び食塩含有飲食品の減塩方法 - Google Patents

塩味増強剤による塩味増強法及び食塩含有飲食品の減塩方法 Download PDF

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Abstract

【課題】減塩した飲食品に塩味増強剤を加え、塩味を増強させることで食塩含有量を減らし、減塩飲食品を提供する。
【解決手段】減塩した食塩含有飲食品例えば20%減塩しためんつゆに塩味増強成分としてフェニルプロピオン酸2〜1500ppb、特に好ましくは20〜200ppbを主成分とする塩味増強剤を加えることにより、飲食品のおいしさや食塩含有飲食品が本来有する風味のバランスを損なうことなく、用いる食塩の量を減らすことができ、渋味、苦味、甘味、辛味などの異風味もなく、食塩含有飲食品の塩味増強法、減塩方法、調味または調理にも使用できる。そして塩味の増強効果に加えて、嗜好性、効果、経済性、安全性等の点から多種の飲食品に使用できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、フェニルプロピオン酸を主成分とする塩味増強剤、フェニルプロピオン酸を食塩含有飲食品に添加する塩味増強法、フェニルプロピオン酸を主成分とする塩味調味料、食塩含有飲食品にフェニルプロピオン酸を主成分とする塩味増強剤を添加して食塩含有飲食品の塩味を増強させた塩味増強剤及びこれを利用した減塩飲食品を提供するものである。
5つの基本風味の1つである塩味は、単なる嗜好としてではなく、飲食品のおいしさを引き立て食欲増進効果もあることから、飲食品の味覚として極めて重要である。飲食品に塩味を付与するには、通常食塩(塩化ナトリウム)を使用するが、飲食品の調理や加工において、飲食品のへの味の付与、飲食品の保存性の向上、飲食品の物性の改善等の重要な役割を果たしている。生命の起源は海にあるといわれており、生物である人の血液などは、海水の構成成分と密接な関係がある。したがって、食塩は特においしさとの関係が深いだけでなく、その構成成分であるナトリウムと塩素は人体の必須栄養素でもある。
しかしながら、食塩の構成成分であるナトリウムの過剰摂取は数多くの健康問題が生じており、高齢化に伴い、例えば高血圧、心疾患、循環器疾患、腎臓障害等の危険因子になると考えられ、ナトリウム以外の物質で塩味を増強し、おいしさを維持しながら食塩摂取量を減少させることが強く望まれている。
食塩摂取量を減少させるもっとも簡易的な方法は、飲食品の調理、加工において食塩の使用量を減少させることである。しかしながら、家庭の調理飲食品、加工飲食品共に含有される食塩量を10%以上減少させると、その飲食品のおいしさは一般的に損なわれる。
飲食品のおいしさを損なうことなく食塩、特にナトリウムの摂取量を減少させる減塩方法としては、それ自身が塩味を呈する食塩代替物質の使用及びそれ自身は塩味を呈しないが食塩と共存させるとその塩味を増強する塩味増強剤を使用する方法等が知られている。
食塩代替物質としては、塩化カリウム、有機酸のアルカリ金属塩に代表される塩化ナトリウムに近似した塩味を持つ物質が、飲食品に使用されている塩化ナトリウムの一部または全部を置換して飲食品の塩化ナトリウム含量を使用しないか、低下させるために使用されている。しかしながら、食塩代替物質は、塩味が塩化ナトリウムに比べて弱いこと、塩味に加えて、渋味や苦味を有するため、塩化ナトリウムの代替物質の量を増やすと、飲食品の塩味が弱くなり、味質が変わってしまう問題があった。
一方、塩味増強剤は、それ自体は塩味を示さないか、あるいはごくうすい塩味を有するが、塩化ナトリウムにごく少量添加することで、塩化ナトリウムの塩味を強く感じさせる効果を示す物質で、少ない塩化ナトリウムを含有する飲食品に対しても塩化ナトリウム含量が高い飲食品と同等の塩味をもたせる物質であって、その添加により飲食品の減塩が図られる。
これまで、塩味増強剤を使用することにより味質が変わったり、減塩による呈味性の低下することを改善するために、グルタミン酸ナトリウムや香辛料を添加する方法が知られている(非特許文献1)。しかしながら、グルタミン酸ナトリウムや香辛料では、呈味の幅は広がるが塩味そのものの増強効果は十分ではない。
塩味代替物質及び塩味増強物質として化合物を単独で使用するものとしては、メチオナール(特許文献1)が閾値の低い食品の香気成分として認知されているが、飲食品に対し添加すると10ppbの少量でも香料としての効能がでて異風味になりやすい。また、C〜Cの飽和和脂肪酸族モノカルボン酸(特許文献2)のうち効果が高い物質とされている酪酸は、揮発性が低くバター様な香りが強いため、用途が限定される。
その他に、アミド(特許文献3)、カルボキシアミドを代表例とする冷却化合物(特許文献4)、S-またはO-カルボキシルアルキル化アミノ酸ペプチド(特許文献5)、γ-グルタミン酸マグネシウム(特許文献6)、γ-ポリグルタミン酸(特許文献7)、カチオン界面活性剤(特許文献8)、トレハロース(特許文献9)、ソーマチン(特許文献10)、乳酸ナトリウムまたはカリウム(特許文献11)、アミノ酸(特許文献12)、カプサイシン(特許文献13)、2糖類以上の糖(特許文献14)、ニゲロオリゴ糖(特許文献15)、オレイン酸含有量が70%以上の油脂(特許文献16)が提案されている。
また、化合物の混合物を使用するものとしては、γ-アミノ酪酸と有機酸または塩の混合物(特許文献17)、塩基性アミノ酸とクエン酸の中和塩の混合物(特許文献18)、アジピン酸カリウム、イノシン酸カリウム及び、グルタミン酸カリウムの混合物(特許文献19)、塩化ナトリウムにL-アスパラギン酸とL-アルギニン酸を加えた混合物(特許文献20)、有機酸(クエン酸、酒石酸、フマル酸)、カリウム塩(クエン酸カリウム、塩化カリウム)、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムからなる水性調味液(特許文献21)、カチオン界面活性剤と塩味覚性化合物(アルギニン酸塩、リジン酸塩、リジンオルニチン塩酸塩)の混合物(特許文献22)がある。
さらに、たんぱく質を加水分解及び脱アミド処理したペプチドを使用するものもある(特許文献23)。
特開2011−83262 特開平5−184326 特開2010−77015 特表2010−52863 特表2009−512425 特開2010−11807 特表2007−108558 特開平3−502517 特開平10−66540 特開昭63−137658 特開2008−054661 特開2002−345430 特開2001−245627 特開2006−314235 特開平10−210949 特開2006−262896 特開2004−275097 特開2003−144085 USP4340614 USP5145707 USP−2005−012367 特開平3−502517 WO01−039613
日本味と匂い学会誌14巻3号 447−450頁(2007年)
このように塩味増強剤を使用して、飲食品中に含まれる食塩の量を減らす方法が多く提案されている。これらの方法は、単に飲食品中の食塩含量を減らした場合、飲食品の風味が損なわれるのに対し、塩味を増強させることにより、用いる食塩の量を減らすことができ、風味を保持できるという考えに基づいたものである。しかしながら、塩味が弱かったり、塩味に加えて、渋味、苦味、甘味、辛味などの異風味が出る等の嗜好性、効果、経済性、安全性等の点から多種の飲食品に使用できる満足すべきものは見出されていない。
本発明の目的は、上記の問題点を解決し飲食品本来の風味のバランスを損なうことなく、多種の飲食品の塩味増強剤、塩味増強法、塩味調味料及び塩味増強飲食品を提供することと減塩飲食品を提供することである。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、フェニルプロピオン酸に塩味増強効果があることを見出し、減塩飲食品の製造法を確立し、本発明を完成した。すなわち減塩した食塩含有飲食品例えば20%減塩しためんつゆに塩味増強成分としてフェニルプロピオン酸2〜1500ppb、より好ましくは10〜1250ppb、特に好ましくは20〜200ppbを主成分とする塩味増強剤を加えることにより、飲食品のおいしさを損なうことなく、用いる食塩の量を減らすことができる。
本発明は以下の各発明を包含する。
(1)フェニルプロピオン酸を主成分とすることを特徴とする塩味増強剤。
(2)フェニルプロピオン酸2〜1500ppbを主成分とすることを特徴とする(1)記載の塩味増強剤。
(3)フェニルプロピオン酸と他の塩味増強剤物質からなる(1)または(2)記載の塩味増強剤。
(4)(1)〜(3)のいずれか記載の塩味増強剤を含有することを特徴とする塩味増強食品。
(5)フェニルプロピオン酸を主成分として添加することを特徴とする食塩含有飲食品の塩味増強法。
(6)フェニルプロピオン酸を食塩含有飲食品に2〜1500ppbの濃度で主成分として添加することを特徴とする(5)記載の食塩含有飲食品の塩味増強法。
(7)(1)〜(3)のいずれか記載の塩味増強剤を添加することを特徴とする食塩含有飲食品の塩味増強法。
(8)食塩及びフェニルプロピオン酸を主成分とする塩味調味料。
(9)フェニルプロピオン酸を使用することを特徴とする減塩方法。
(10)(1)〜(3)のいずれか記載の塩味増強剤を用いて調味または調理された減塩食品。
(11)(1)〜(3)のいずれか記載の塩味増強剤を用いて調味または調理する工程を含む減塩食品の製造法。
本発明の塩味増強剤または塩味調味料を塩味増強有効物として用いることにより、酸味
や苦味などの余分な味を付与することなく、飲食品本来の風味バランスを損なわずに塩味を増強させることができる。
また、これらの塩味増強有効物を用いることにより、飲食品の塩味が増強できるため、飲食品の食塩含有量を減らしても、飲食品本来の風味バランスを良好に保持することで、減塩食品を提供できる。
本発明が適用される食塩含有飲食品に特に限定はないが、ナトリウム量を低減した飲食品に用いると減塩の点から好ましい。また食塩含有飲食品は半製品でも良いが、最終的な喫食事の食品濃度とフェニルプロピオン酸濃度が重要である。
本発明において使用されるフェニルプロピオン酸の構造式は
Figure 2013078284

で表され、ヒドロシンナミックアシッドとも呼ばれる。
このフェニルプロピオン酸(FEMA2889 CAS501−52−0)は、食品添加物香料として認可されており飲食品に安全に使用できる。
本発明において、減塩飲食品とは、通常の食塩濃度に比べて食塩濃度が低い濃度の飲食品を言うが、一般的には、食塩濃度が通常の食塩濃度の80重量%以下である飲食品を言う。通常の食塩濃度は、飲食品の種類、製品により異なるが、本発明で適用される飲食品の食塩濃度は、特に制限が無い。
飲食品の塩化ナトリウムの濃度における「減塩」、「低塩」、「塩不使用」などの強調表示は、健康増進法第31条(栄養表示基準)によって法令で定められている。
1)「低い旨の場合」食品100g(液状100ml)当たり120mg以下であること。
2)「〜より低減された旨」食品100g(液状100ml)当たり120mg以上減少していること。醤油のナトリウムについて表示する場合には、同種の標準的な醤油に比べて低減割合が20%以上であること。
3)「含まない旨」食品100g(液状100ml)当たり5mgに満たないこと。
本発明において、飲食品に使用する塩味増強剤または塩味調味料の量は、目的とする飲食品中の食塩濃度にもよるが、目的とする飲食品に対してフェニルプロピオン酸2〜1500ppbの量、が好ましく、10〜1250ppbがさらに好ましく、20〜200ppbがさらに一層好ましい。
フェニルプロピオン酸が2ppb未満では効果が弱く、2000ppbを超える含量では、食塩含有飲食品の種類と食塩含有量によるが、フェニルプロピオン酸特有の香りが感じ易くなり、風味のバランスが崩れる場合があるため好ましくない。この香りは、食塩含有飲食品の食塩量が低いと感じやすく、食塩量が高くなるほど、感じにくくなることがわかった。
これらのことは、試験結果を示す第2表及び第3表からわかる。
また、塩味が増強される飲食品の食塩量は、0.05〜80重量%が好ましく、0.1
〜70重量%がさらに好ましく、0.5〜13重量%がより好ましい。
飲食品、調味料などの食塩含有量は、飲食品の性質、使用目的、保存期間などによって大きく異なる。例えば、塩鮭のような塩蔵品や、漬物などのように長期間保存するためには、多量の塩が使用され、病人用飲食品などでは、できるだけ食塩使用量が減らされる。
また、食卓塩などではほとんどが食塩であるなど食塩量が高くなるのは当然である。
本発明に係わる塩味増強剤は、食塩を含有する飲食品全般に適用可能である。例えば梅干、醤油、味噌、タレ及び出汁類、佃煮、塩辛、ドレッシング、マヨネーズ、トマトケチャップ、トマトソース等の調味料、トマトスープ、コンソメスープ、卵スープ、若布スープ、鱶鰭スープ、お吸い物、ポタージュ類、味噌汁等のスープ類、麺パスタ類(そば、うどん、ラーメン、パスタ等)のつゆ、スープ、ソース類、お粥、雑炊、お茶漬け等の米調理食品、ハム、ベーコン、ソーセージ、チーズ等の畜産加工品、かまぼこ、干物、珍味等の水産加工品、漬物等の野菜加工品、スナック菓子類(ポテトチップス、クッキー等)、煎餅、煮物、揚げ物、焼き物、カレー等の調理食品等、マーガリン、ファットスプレッド、乳等を主要原料とする飲食品があげられる。
本発明の塩味増強剤は、フェニルプロピオン酸を主成分とすることを特徴とし、必要に応じて無機塩、酸、アミノ酸類、核酸系呈味物質、糖類、天然調味料、香辛料、結合剤、着色剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、封入剤、酵素、脂肪、フレーバー、潤滑剤、多糖類、保存剤、蛋白質、可溶化剤、溶剤、安定化剤、糖誘導体、界面活性剤、甘味料、ビタミン剤、ワックス等の当該分野で周知の飲食品に使用可能な各種添加物や賦形剤を含有してもよい。
本発明の塩味増強剤の剤形は、液体、粉体、ペースト体、乳化物、顆粒、錠剤などで、通常の方法で製造される。
本発明の塩味調味料は、フェニルプロピオン酸を主成分とすることを特徴とし、必要に応じて無機塩、酸、アミノ酸類、核酸系呈味物質、糖類、天然調味料、香辛料、賦形剤等の飲食品に使用可能な各種添加物を含有してもよい。
この塩味調味料は、調理に使用するほか、例えば家庭またはレストラン等で、食卓塩として使用することもできる。
該無機塩としては、食塩、塩化カリウム、硫酸マグネシウム等があげられる。該酸としては、アスコルビン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、脂肪酸等のカルボン酸、およびそれらの塩があげられる。該塩としては、ナトリウムおよびカリウム塩等があげられる。該アミノ酸類としては、グルタミン酸ナトリウム、グリシン等があげられる。核酸系呈味物質としては、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム等があげられる。該糖類としては、ショ糖、ブドウ糖、乳糖等があげられる。該天然調味料としては、醤油、味噌、畜産エキス、家畜エキス、蛋白質か水分分解物等があげられる。該香辛料としては、スパイス類、ハーブ類等があげられる。該賦形剤としては、澱粉加水分解があげられる。
本発明のフェニルプロピオン酸を主成分とする塩味増強剤または塩味調味料を用いての調味とは、減塩食品に塩化ナトリウム又はそれ以外の塩を使用せずに、味を整えることである。
本発明のフェニルプロピオン酸を主成分とする塩味増強剤または塩味調味料を用いて行う調理とは、飲食品を該塩味増強剤または塩味調味料を使用して調理器具又は調理機器を
用いて加工し、当減塩食品を提供することである。
一般的な食塩含有飲食品には0.5%以上の食塩が含まれており、本発明によれば、フェニルプロピオン酸をわずかな濃度例えば10〜1250ppbの範囲で使用しても、飲食品の塩味増強剤及び減塩剤として顕著な効果を有し、減塩しない飲食品と同等又はそれ以上の塩味を付与でき、食塩含有飲食品が本来有する風味のバランスを損なうことなく、渋味、苦味、甘味、辛味などの異風味もなく、飲食品の有用な塩味増強法、減塩方法、減塩食品及び減塩調味料を提供することができ、調味または調理にも使用できる。しかも塩味の増強効果に加えて、嗜好性、効果、経済性、安全性等の点から多種の飲食品に使用できる。
以下に本発明の実施例を示す。
本発明の技術的範囲は、これらの実施例によって制限されるものではない。実施例において塩味増強作用の官能評価は全て当社内の飲食品業務に従事し、十分に訓練されたパネラー10名によって実施した。
[実施例1]
各食塩濃度におけるフェニルプロピオン酸の塩味増強効果確認
各食塩水濃度におけるフェニルプロピオン酸の塩味増強効果を以下の方法で確認した。
(1)試験溶液の調製
0.03〜2.0%の範囲の7種類の各濃度の食塩水に、フェニルプロピオン酸を2ppb、10ppb、20ppb、50ppb、200ppb、250ppb、500ppb、1000ppb、1250ppb、1500ppb及び2000ppbの割合で添加した。
(2)塩味増強剤の塩味増強作用の評価方法
該パネルが表1に示す評価法で塩味増強剤の塩味増強作用を評価した。
Figure 2013078284
(3)異風味の評価
また官能試験の際に異風味が強いときは「+++」、中程度の時は「++」、弱いときは「+」、無いときは「−」で示し、その異風味がどのように感じられたかコメントした。
(4)試験溶液の官能検査評価の結果
試験溶液の食塩濃度とフェニルプロピオン酸濃度及び表1の評価法による塩味増強効果試験の官能検査評価の結果を表2にまた、塩味増強に伴う異風味試験の結果を表3に示す。
Figure 2013078284

Figure 2013078284
表2の評価結果から、表2の格子の範囲すなわち食塩濃度0.1%%以下でフェニルプロピオン酸濃度250ppb〜2000ppbの範囲で塩味増強効果が見られ、右上がり斜線の範囲すなわち食塩濃度0.5%以上でフェニルプロピオン酸濃度10ppb〜2000ppbの範囲で強く塩味増強効果が見られた。そして、太枠内の範囲すなわち食塩濃度0.5%以上でフェニルプロピオン酸濃度20〜200ppbの範囲で最も強く塩味増強効果が見られた。
また表2の結果から、食塩含有飲食品の食塩濃度が高いほど少量のフェニルプロピオン酸で塩味増強効果が高いことがわかる。
一方、表3の結果から異風味は食塩濃度0.03%でフェニルプロピオン酸濃度1250ppb、1500ppb及び2000ppbで芳香臭を比較的強く感じ、食塩濃度0.05%と0.1%においても、フェニルプロピオン酸濃度2000ppbであると芳香臭を比較的強く感じた。また、飲食品の食塩濃度が0.5%以上で1500ppb以上のフェニルプロピオン酸を加えると異風味に感じやすくなる。
この結果から、食塩濃度が低いときは、フェニルプロピオン酸の使用量が低くても異風味を感じ、食塩濃度が高くなると、異風味を感じにくくなる。また、フェニルプロピオン酸濃度が高くなるほど異風味に感じられることがわかった。
本発明で塩味の増強に使用できるフェニルプロピオン酸の量は、食塩含有食品の食塩濃度との関係において、塩味増強効果を示す表2と異風味の発現を示す表3との結果から、2〜1500ppbの範囲である。そして、より好ましい範囲は、表2の右上がり斜線の範囲から、表2の塩味増強効果を示す右上がり斜線の範囲と表3の異風味の発現を示す範囲(異風味を感ずる範囲)とが重なった範囲すなわち表2の格子部分を除いた範囲であり、食塩濃度が0.5%以上でフェニルプロピオン酸の量が10〜1250ppbの範囲(評価点が平均的に高い範囲)である。特に好ましいのは、表2の右上がり斜線の範囲の中の太枠で囲まれた範囲(異風味も無く塩味増強の評価点が高い範囲)の20〜200ppbの範囲がより一層好ましい。
[実施例2]
本発明の塩味増強剤と先行文献記載の塩味増強剤との比較
本発明のフェニルプロピオン酸と先行特許文献記載の従来の塩味増強物質との食塩味増強作用を比較するため、食塩水に本発明フェニルプロピオン酸を添加したものと先行特許文献記載の数種の塩味増強物質を添加したものとの塩味の強さを比較した。
(1)試験溶液の調製
食塩濃度0.5%及び1.0%の食塩水のそれぞれに下記化合物
1)フェニルプロピン酸
2)メチオナール(特許文献1)
3)C:3〜C:8の飽和脂肪族モノカルボン酸(特許文献2)から選択した塩辛味が最も強い炭素数4の酪酸、
4)アミノ酸(特許文献12)から選択したL-グルタミン酸モノナトリウムを選択し、及び5)二糖類以上の糖(特許文献14)から選択したマルトース、
を添加し混和する。
上記試験溶液中の上記塩味増強剤の濃度を全て1.0×10−7mol/Lの等モル濃度とした。
(2)食塩味増強剤の食塩味増強作用の評価法
上記パネルは実施例1と同じく表1に示す評価法で塩味増強作用の比較試験を行った。
(3)異風味の評価
また官能試験の際に異風味が強いときは「+++」、中程度の時は「++」、弱いときは「+」、無いときは「−」で示し、その異風味がどのように感じられたかコメントした。
(4)比較試験の結果
公知塩味増強剤との比較試験の結果を表4に示す。
Figure 2013078284
表4の結果より、本発明のフェニルプロピオン酸は先行特許文献記載の4種の塩味増強物質を添加したものより、試験した全ての食塩濃度において塩味増強効果が強く、異風味も感じられないことがわかった。
[実施例3]
本発明の塩味増強剤の減塩効果及び最適使用量の確認
減塩しないめんつゆと、これと同一組成であるが10%減塩したもの、12%減塩したもの、20%減塩したもの及び33%減塩したものに、本発明の塩味増強剤を異なった量で添加した物の塩味及び異風味を比較して、本発明の塩味増強剤を使用量を変えて添加すると、どの位減塩効果が得られるか、また本発明の塩味増強剤の最適使用量はいかほどかを確認した。
(1)試験品の調製
下記の表4に示した配合で処方して、減塩しない食品(対照1)、12%減塩食品(対照2)、20%減塩食品(対照3)、33%減塩食品(対照4)とフェニルプロピオン酸を20ppb添加した12%の減塩食品(試料1)、20%の減塩食品(試料2)、33%の減塩食品(試料3)とフェニルプロピン酸を200ppb添加した12%の減塩食品(試料4)、20%の減塩食品(試料5)、33%の減塩食品(試料6)を調製する。
めんつゆ(ストレート)は、表5に示した配合で処方した。
この場合醤油:7.6%、上白糖:4.2%、みりん:3.0%、カツオブシエキス:2.0%を混和したものをめんつゆベースとした。
Figure 2013078284
(2)評価方法
該パネラーが表6に示す評価法で表5の試料について塩味増強剤の塩味増強作用をそれぞれ評価した。
Figure 2013078284
(3)異風味の評価
また官能試験の際に異風味が強いときは「+++」、中程度の時は「++」、弱いときは「+」、無いときは「−」で示し、その異風味がどのように感じられたかコメントした。
(4)試験結果
減塩効果及び最適使用量と確認のための試験品の試験結果を表7に示す。
Figure 2013078284
表7の結果より、試料6(33%減塩食品)の評価点は3.8であり、対照1(減塩しない食品)の評価点4.0に達しなかったが、その他の12%及び20%の減塩食品のフェニルプロピオン酸を添加した試料1〜試料5は、全て対照1(減塩しない食品)の評価点4.0を上回った。このことから、フェニルプロピオン酸の20ppb及び200ppbを添加すれば、試料6すなわち33%減塩食品にフェニルプロピオン酸を加えた場合を除いていずれの場合も目的に応じて食塩量を12%及び20%減少させた減塩食品を提供できることがわかった。
また、対照1を基準として、同一の減塩食品にフェニルプロピオン酸をそれぞれ20ppbと200ppbを加えた試料1と試料4、試料2と試料5、試料3と試料6とを比較した表7の結果より、めんつゆの場合では、同じ程度に減塩された減塩食品でも、フェニルプロピオン酸の量を多く例えば200ppb加えると、フェニルプロピオン酸が20ppbと少ない場合よりも却って塩味増強作用が下がった。
したがって、めんつゆの場合では、その食塩濃度によってフェニルプロピオン酸の最適使用濃度が変わることがわかる。
このことから、減塩食品の種類ごとに、その食塩濃度とフェニルプロピオン酸最適使用
濃度との関係を調べて、目的とする食品の減塩の程度とフェニルプロピオン酸の使用量を決定することが好ましい。
そして、家庭用の調理飲食品及び加工飲食品に含有される食塩量を10%以上減少させると、そのおいしさは一般的に損なわれるといわれていることを考えると、表7の結果から、本発明は、実用上十分な減塩効果を奏することを示している。
[実施例4]
本発明の塩味増強剤の減塩効果と塩味増強の確認
減塩しない4種類の食品と、これと同一組成であるが減塩したものに、本発明の塩味増強剤を添加した物の塩味及び異風味を比較して、本発明の塩味増強剤を使用すると、飲食品の塩味増強効果が得られるか、また、食塩濃度が減少しても同じ塩味を感じて減塩効果が得られるかどうかを確認する。
(1)試験品の調製
下記の表8から表11の減塩しない食品(対照1)と20%減塩した食品(対照2)と対照2にフェニルプロピオン酸をそれぞれ20ppbと200ppb添加した減塩食品(試料1)、及び(試料2)、について、それぞれ塩味の強さ及び異風味を評価した。
食品としては、ラーメンスープ、ファットスプレッド、トマトジュース、乳等を主要原料とする食品(チーズ風味)を評価対象とし、それぞれの食品について塩味の強さを評価した。
1)ラーメンスープ
ラーメンスープは、表8に示した配合で処方したものを水で10倍希釈した。醤油:50.0%、チキンエキス:15.0%、チキンオイル:5.0%、還元水飴:8.0%、グルタミン酸ナトリウム:2.0%をラーメンスープベースとした。
Figure 2013078284
2)ファットスプレッド
ファットスプレッドは、表9に示した配合で処方した。
コーン油:40.1%、硬化ヤシ油:30.0%、レシチン(大豆):0.1%、モノ
グリセリン脂肪酸エステル:0.1%をファットスプレッドベースとした。
Figure 2013078284
3)トマトジュース
トマトジュースは、表10に示した配合で処方した。
Figure 2013078284
4)乳等を主要原料とする食品(チーズ風味)
乳等を主要原料とする食品(チーズ風味)は、表11に示した配合で処方した。
ナチュラルチーズ(チェダー):40.5%、サラダ油:9.8%、加工澱粉:2.7%、リン酸塩:1.5%、結晶セルロース:0.2%をチーズフードベースとした。
Figure 2013078284
(2)評価方法
該パネラーが実施例3記載の表6に示す評価法より、対照1(減塩しない食品)の評価点を4、対照2(減塩食品)の評価点を2とした。
(3)異風味の評価
また官能試験の際に異風味が強いときは「+++」、中程度の時は「++」、弱いときは「+」、無いときは「−」で示し、その異風味がどのように感じられたかコメントした。
(4)試験物の評価結果
表8から表11の対照1(減塩しない食品)を基準4とし、フェニルプロピオン酸を20ppb添加した試料1、フェニルプロピオン酸を200ppb添加した試料2の塩味を評価した減塩効果確認試験の結果を表12に示し、対照2(減塩食品)を基準としフェニルプロピオン酸を20ppb添加した試料1、フェニルプロピオン酸を200ppb添加した試料2の塩味を評価した塩味増強試験の結果を表13に示した。
Figure 2013078284
対照1の塩味より約20%減塩した対照2にフェニルプロピオン酸20ppbと200ppbとをそれぞれ加えた試料1と試料2を対照1と比較した表12の結果より、ラーメンスープを除き、試験したいずれの飲食品についても、フェニルプロピオン酸を加えた試料と試料2は、対照2よりも20%高い食塩量を有する対照1の塩味評価点4より高い評価点を示した。これによって、フェニルプロピオン酸は試験した飲食品に顕著で有効な減塩効果を奏することがわかった。
一方、ラーメンスープの場合は、対照1に比べ、食塩量を約20%減らした対照2にフェニルプロピオン酸20ppbを加えたラーメンスープの試料1の評価点は3.2であり、他の飲食品の場合に比べて減塩効果が低かった。しかしながら評価点3.2は表6の12%の塩味を示す評価点3に相当することから、約12%減塩効果があることがわかった。
このことから、飲食品の種類によって有効なフェニルプロピオン酸の使用量が変わることがわかる。
表12からその他の食品では本発明のフェニルプロピオン酸を使用すれば、20%減塩しても対照1(減塩しない食品)の塩味に同じであるか、又はこれよりも高い塩味を呈することから、本発明のフェニルプロピオン酸は20%以上減塩効果があることがわかった。
Figure 2013078284
表13の結果より、食塩量を約20%減らした対照2の減塩食品にフェニルプロピオン酸20ppbと200ppbとをそれぞれ加えた食品試料1及び2は、いずれも対照2より、2倍近い評価点を示すことがわかった。このことは本発明のフェニルプロピオン酸を使用すれば、いずれも対照2より塩味の評価点が高く20%相当の塩味増強効果を有することを示している。
しかも、表13の数値を表12の結果と対比すると、対照1の減塩しない飲食品の塩味より約20%減塩した対照2にフェニルプロピオン酸を加えた試料1、試料2は対照1の減塩しない飲食品と同等あるいはこれよりも高い塩味を示すことがわかった。
このことからも、本発明のフェニルプロピオン酸が顕著な塩味増強作用及び減塩効果を奏することがわかる。
[実施例5]
食塩70%、粉末胡椒20%、イノシン酸ナトリウム0.5%、グルタミン酸ナトリウム9.5%にフェニルプロピオン酸を200ppb添加して塩味調味料として製造する。
[実施例6]
食塩80%、炭酸カルシウム10%、イノシン酸ナトリウム0.5%、グルタミン酸ナトリウム9.5%にフェニルプロピオン酸を200ppb添加して塩味調味料として製造する。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、フェニルプロピオン酸に塩味増強効果があることを見出し、減塩飲食品の製造法を確立し、本発明を完成した。すなわち減塩した食塩含有飲食品例えば20%減塩しためんつゆに塩味増強成分として、めんつゆ全体に対する濃度が、フェニルプロピオン酸2〜1500ppb、より好ましくは10〜1250ppb、特に好ましくは20〜200ppbをえることにより、飲食品のおいしさを損なうことなく、用いる食塩の量を減らすことができる。
本発明において使用されるフェニルプロピオン酸の構造式は
Figure 2013078284
で表され、ヒドロシンナミックアシッドとも呼ばれる。本明細書でフェニルプロピオン酸との記載は上記構造式の3−フェニルプロピオン酸を指すものとする。
本発明において、食塩含有飲食品に使用する塩味増強剤または塩味調味料の量は、目的とする飲食品中の食塩濃度にもよるが、目的とする食塩含有飲食品全体に対してフェニルプロピオン酸2〜1500ppbの量好ましく、10〜1250ppbがさらに好ましく、20〜200ppbがさらに一層好ましい。
フェニルプロピオン酸が食塩含有飲食品全体に対して2ppb未満では効果が弱く、2000ppbを超える含量では、食塩含有飲食品の種類と食塩含有量によるが、フェニルプロピオン酸特有の香りが感じ易くなり、風味のバランスが崩れる場合があるため好ましくない。この香りは、食塩含有飲食品の食塩量が低いと感じやすく、食塩量が高くなるほど、感じにくくなることがわかった。
一般的な食塩含有飲食品には0.5%以上の食塩が含まれており、本発明によれば、フェニルプロピオン酸を食塩含有飲食品全体に対してわずかな濃度例えば10〜1250ppbの範囲で使用しても、飲食品の塩味増強剤及び減塩剤として顕著な効果を有し、減塩しない飲食品と同等又はそれ以上の塩味を付与でき、食塩含有飲食品が本来有する風味のバランスを損なうことなく、渋味、苦味、甘味、辛味などの異風味もなく、飲食品の有用な塩味増強法、減塩方法、減塩食品及び減塩調味料を提供することができ、調味または調理にも使用できる。しかも塩味の増強効果に加えて、嗜好性、効果、経済性、安全性等の点から多種の飲食品に使用できる。
以下に本発明の実施例を示す。
表2の評価結果から、表2の格子の範囲すなわち食塩濃度0.03%以上の食塩水全体に対しフェニルプロピオン酸濃度250ppb〜2000ppbの範囲で塩味増強効果が見られ、右上がり斜線の範囲すなわち食塩濃度0.5%以上でフェニルプロピオン酸濃度10ppb〜2000ppbの範囲で強く塩味増強効果が見られた。そして、太枠内の範囲すなわち食塩濃度0.5%以上でフェニルプロピオン酸濃度20〜200ppbの範囲で最も強く塩味増強効果が見られた。
一方、表3の結果から異風味は0.03%の食塩水全体に対しフェニルプロピオン酸濃度1250ppb,1500ppb及び2000ppbで芳香臭を比較的強く感じ、食塩濃度0.05%と0.1%においても、フェニルプロピオン酸濃度2000ppbであると芳香臭を比較的強く感じた。また、飲食品の食塩濃度が0.5%以上で1500ppb以上のフェニルプロピオン酸を加えると異風味に感じやすくなる。
本発明で塩味の増強に使用できるフェニルプロピオン酸の量は、食塩含有食品の食塩濃度との関係において、塩味増強効果を示す表2と異風味の発現を示す表3との結果から、食塩含有飲食品全体に対して2〜1500ppbの範囲である。そして、より好ましい範囲は、表2の右上がり斜線の範囲から、表2の塩味増強効果を示す右上がり斜線の範囲と表3の異風味の発現を示す範囲(異風味を感ずる範囲)とが重なった範囲すなわち表2の格子部分を除いた範囲であり、食塩濃度が0.5%以上で食塩含有飲食品全体に対してフェニルプロピオン酸の量が10〜1250ppbの範囲(評価点が平均的に高い範囲)である。特に好ましいのは、表2の右上がり斜線の範囲の中の太枠で囲まれた範囲(異風味も無く塩味増強の評価点が高い範囲)の20〜200ppbの範囲がより一層好ましい。
(1) 試験品の調製
下記の表4に示した配合で処方して、減塩しない食品(対照1)、12%減塩食品(対照2)、20%減塩食品(対照3)、33%減塩食品(対照4)とフェニルプロピオン酸を減塩食品全体に対し20ppb添加した12%の減塩食品(試料1)、20%減塩食品(試料2)、33%減塩食品 (試料3)とフェニルプロピオン酸を減塩食品全体に対し200ppb添加した12%の減塩食品(試料4)、20%減塩食品(試料5)、33%減塩食品 (試料6)を調整する。
表7の結果より、試料6(33%減塩食品)の評価点は3.8であり、対照1(減塩しない食品)の評価点4.0に達しなかったが、その他の12%及び20%の減塩食品のフェニルプロピオン酸を添加した試料1〜試料5は、全て対照1(減塩しない食品)の評価点4.0を上回った。このことから、フェニルプロピオン酸を減塩食品全体に対し20ppb及び200ppbを添加すれば、試料6すなわち33%減塩食品にフェニルプロピオン酸を加えた場合を除いていずれの場合も目的に応じて食塩量を12%及び20%減少させた減塩食品を提供できることがわかった。
(1)試験品の調整
下記の表8から表11の減塩しない食品(対照1)と20%減塩した食品(対照2)と対照2にフェニルプロピオン酸を食品全体に対しそれぞれ20ppbと200ppb添加した減塩食品(試料1)、及び(試料2)について、それぞれ塩味の強さ及び異風味を評価した。
(4)試験物の評価結果
表8から表11の対照1(減塩しない食品)を基準4とし、フェニルプロピオン酸を食品全体に対し20ppb添加した試料1、フェニルプロピオン酸を食品全体に対し200ppb添加した試料2の塩味を評価した減塩効果確認試験の結果を表12に示し、対照2(減塩食品)を基準2とし、フェニルプロピオン酸を20ppb添加した試料1、フェニルプロピオン酸を200ppb添加した試料2の塩味を評価した塩味増強試験の結果を表13に示した。
対照1の塩味より約20%減塩した対照2にフェニルプロピオン酸を食品全体に対し20ppbと200ppbとをそれぞれ加えた試料1と試料2を対照1と比較した表12の結果より、ラーメンスープを除き、試験したいずれの飲食品についても、フェニルプロピオン酸を加えた試料と試料2は、対照2よりも20%高い食塩量を有する対照1の塩味評価点4より高い評価点を示した。これによって、フェニルプロピオン酸は試験した飲食品に顕著で有効な減塩効果を奏することがわかった。

Claims (11)

  1. フェニルプロピオン酸を主成分とすることを特徴とする塩味増強剤。
  2. フェニルプロピオン酸2〜1500ppbを主成分とすることを特徴とする請求項1記載の塩味増強剤。
  3. フェニルプロピオン酸と他の塩味増強剤物質からなる請求項1または2記載の塩味増強剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか記載の塩味増強剤を含有することを特徴とする塩味増強食品。
  5. フェニルプロピオン酸を主成分として添加することを特徴とする食塩含有飲食品の塩味増強法。
  6. フェニルプロピオン酸を食塩含有飲食品に2〜1500ppbの濃度で主成分として添加することを特徴とする請求項5記載の食塩含有飲食品の塩味増強法。
  7. 請求項1〜3のいずれか記載の塩味増強剤を添加することを特徴とする食塩含有飲食品の塩味増強法。
  8. 食塩及びフェニルプロピオン酸を主成分とする塩味調味料。
  9. フェニルプロピオン酸を使用することを特徴とする減塩方法。
  10. 請求項1〜3のいずれか記載の塩味増強剤を用いて調味または調理された減塩食品。
  11. 請求項1〜3のいずれか記載の塩味増強剤を用いて調味または調理する工程を含む減塩食品の製造法。
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