JP2016073277A - アルキルチオ含有アルデヒドを含む旨味増強剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】少量で顕著な効果を奏する新規の旨味増強剤、そして当該旨味増強剤を含む調味料及びその製法を提供。【解決手段】式(I)で表される化合物又はその塩及び塩化ナトリウムを含む旨味増強剤。前記化合物が、3−メチルチオ−プロピオンアルデヒド、3−メチルチオ−ブチルアルデヒド、2−メチルチオ−アセトアルデヒド及び4−メチルチオ−ブチルアルデヒドから選択される1種又は2種以上の化合物である旨味増強剤。(R1はH又はC1〜5の炭化水素基;R2はC1〜5の炭化水素基;nは0〜5の整数)【選択図】なし

Description

本発明は、アルキルチオ含有アルデヒドと塩化ナトリウムを含む旨味増強剤、液体調味料又は飲食品及びその製造方法に関する。
従来より、グルタミン酸ナトリウム,イノシン酸ナトリウム,グアニル酸ナトリウム等は旨味成分として知られており、旨味調味料等に配合されている。近年、食品の味を構成する要素のうち旨味が重要視され、旨味の増強された調味料などの飲食品の需要は高まっており、少量で旨味増強効果の高い液体調味料の開発が望まれている。調味料の旨味を増強する方法としては、酵母エキス、蛋白加水分解物、魚介エキス、畜肉エキス等を調味料に添加する方法が知られているが、いずれも添加量が多く、元の調味料の風味が変化してしまうため、使用量に制限が生じ、十分に旨味を付与することができないという問題点を有している。
メチオナール(3−メチルチオ−プロピオンアルデヒド又は3−メチルチオプロパナールとも称される)はじゃがいも様の香りを奏することが知られており、じゃがいも以外にもトマト、醤油、味噌、チーズ、コーヒー等多様な食品中に存在している。メチオナールは特定の濃度で、グルタミン酸が呈する旨味を増強することや(特開2014−18146号公報)、食塩が呈する塩味を増強することも知られている(特開2011−83262号公報)。
しかし、既知のメチオナールの風味増強作用は、旨味成分の旨味、塩味成分の塩味というような、共存するある風味成分に固有の風味の増強に限られており、ある風味成分が呈する風味とは無関係の風味についてどのような影響を及ぼすかについての報告はない。
特開2014−18146号公報 特開2011−83262号公報
風味増強に関してメチオナールには未だ知られていないことが多い。また、食品業界においては、上述したとおり、少量で旨味増強効果の高い調味料についての要求が尚も存在している。そこで、本発明は、少量で顕著な効果を奏する新規の旨味増強剤、そして当該旨味増強剤を含む調味料及びその製法を提供することを課題とする。
特開2011−83262号公報(上掲)に記載のとおり、メチオナールは、食塩が共存している場合、食塩の塩味を増強すると考えられている。本発明者らは驚くべきことに、メチオナール等の特定のアルキルチオ含有アルデヒドが、食塩の存在下で、食塩に起因する塩味の増強というより寧ろ、グルタミン酸ナトリウムと同質の旨味を呈することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本願は以下の発明を包含する。
[1] 以下の一般式(I):

(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基であり、R2は炭素数1〜5の炭化水素基であり、nは0〜5の整数である)
で表される化合物又はその塩及び塩化ナトリウムを含む増強剤。
[2] R1が水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基であり、R2が炭素数1〜3の炭化水素基であり、nが0〜3の整数である、[1]に記載の旨味増強剤。
[3] 前記化合物が、3−メチルチオ−プロピオンアルデヒド(メチオナール)、3−メチルチオ−ブチルアルデヒド、2−メチルチオ−アセトアルデヒド及び4−メチルチオ−ブチルアルデヒドから成る群から選択される1種又は2種以上の化合物である、[1]又は[2]に記載の旨味増強剤。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の旨味増強剤を含む飲食品であって、一般式(I)に記載の化合物を0.2〜60ppm、そして塩化ナトリウムを1〜20重量%含む、飲食品。
[5] 液体調味料である、[4]に記載の飲食品。
[6] 前記液体調味料が醤油様調味料である、[5]に記載の飲食品。
[7] [4]〜[6]のいずれかに記載の飲食品の製造方法であって、[1]〜[3]のいずれかに記載の旨味増強剤を、飲食品中に一般式(I)に記載の化合物が0.2〜60ppm、そして塩化ナトリウムが1〜20重量%含有されるように添加する工程を含む、製造方法。
一般式(I)で表されるアルキルチオ含有アルデヒドは塩化ナトリウムの存在下且つグルタミン酸ナトリウムの不在下で、グルタミン酸ナトリウムと同質の旨味を呈する。理論に拘束されることを意図するものではないが、アルキルチオ含有アルデヒドと構造が近似しているメチオノールと塩化ナトリウムの組み合わせが旨味を呈さなかったことを考慮すると、かかる旨味増強にはアルキルチオ含有アルデヒドを構成するアルデヒド基が旨味増強作用に最も寄与していると考えられる。
アルキルチオ含有アルデヒドとグルタミン酸ナトリウムとを同モル量で比較した場合、アルキルチオ含有アルデヒドはグルタミン酸ナトリウムよりも旨味増強効果が高い。そのため、本発明の旨味増強剤によれば、少量で旨味豊かな飲食品を得ることが可能になる。また、グルタミン酸ナトリウムと比較して、アルキルチオ含有アルデヒドにより奏される旨味は持続時間が数倍長いという特徴がある。
かかるアルキルチオ含有アルデヒドを含有する本発明の旨味増強剤は、旨味の増強が必要とされる飲食品、特に液体調味料に好適に配合され得る。
(旨味増強剤)
本発明に係る旨味増強剤においては、以下の一般式(I)で表されるアルキルチオ含有アルデヒド及び塩化ナトリウムが有効成分として含まれる。

(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基であり、R2は炭素数1〜5の炭化水素基であり、nは0〜5の整数である)。
好ましい態様において、上記一般式中、R1は水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基であり、R2は炭素数1〜3の炭化水素基であり、nは0〜3の整数である。本明細書で使用する場合、「炭化水素基」とは置換又は未置換の一価の炭化水素基を意味する。炭化水素基は鎖状構造のみで構成された一価のものが好ましい。限定することを意図するものではないが、炭素数1〜5の炭化水素基の例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等のアルキル基;エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基が挙げられる。
上記炭化水素基は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシロキシ基等で置換されていてもよい。
より好ましい態様において、上記一般式で表される化合物は以下のアルキルチオ含有アルデヒドから成る群から選択される:
本明細書で使用する場合、「旨味」とはグルタミン酸ナトリウムと同質の旨味を意味する。グルタミン酸ナトリウムと比較した場合、本発明のアルキルチオ含有アルデヒドは旨味作用が長期間、例えば2〜3倍持続するという特徴を有するため、本明細書における「旨味増強作用」とは、他の旨味成分不在下での旨味の生成、あるいは他の旨味成分との組み合わせでの旨味の相加的又は相乗的な増強のみならず、口腔内で旨味が呈される時間の長期化を意味する。そのため、アルキルチオ含有アルデヒドは後味としての旨味の強化が必要とされる飲食品への応用が考えられる。上記化合物のうち、メチオナール、3−メチルチオ−ブチルアルデヒド及び4−メチルチオ−ブチルアルデヒドは特に旨味増強作用が高く、旨味の持続時間も長いため、本発明の旨味増強剤の有効成分として好ましい。旨味増強剤において使用されるアルキルチオ含有アルデヒドの濃度、種類及び塩化ナトリウムの濃度、追加成分の有無、その濃度、種類等によって変動するが、2%(w/v)食塩水に対し12ppmのアルキルチオ含有アルデヒドを添加した場合、その旨味は約5〜15秒間持続し得る。
本発明の旨味増強剤は、有効成分として、アルキルチオ含有アルデヒドを1種類以上単独で、あるいは公知の他の旨味成分との組み合わせで含有することができる。アルキルチオ含有アルデヒドは塩の形態で存在していてもよい。他の旨味成分としては、アミノ酸、酵母エキス、核酸、有機酸、タンパク質加水分解物などが挙げられる。これらの中でも、醤油様調味料に醤油の旨味を持たせる目的では、特にアミノ酸であるグルタミン酸塩や酵母エキス、核酸が好ましい。これらの旨味成分は、単独又は複数組み合わせて添加することができる。
旨味増強剤の形態は特に制限されず、例えば乾燥粉末、ペースト、溶液などの形態であってもよい。所望とする旨味を損なわない限り、必要に応じて調味料、香辛料、無機塩、酸、アミノ酸、核酸、糖類等の飲食品に使用可能な各種添加物を風味改善剤に添加することもできる。上述のとおり、有効成分として公知の他の旨味成分、例えばグルタミン酸ナトリウムを旨味増強剤に配合してもよい。
本発明に係る旨味増強剤の飲食品への配合量は適宜決定されるが、例えば、飲食品中アルキルチオ含有アルデヒドが0.2〜60ppm、そして塩化ナトリウムが1〜20重量%となるよう添加される。飲食品中に塩化ナトリウムが2〜16重量%で存在する場合、例えば、メチオナール及び3−メチルチオ−ブチルアルデヒドは0.2〜50ppm、好ましくは0.5〜48ppmm、2−メチルチオ−アセトアルデヒドは4〜50ppm、好ましくは5〜48ppm、4−メチルチオ−ブチルアルデヒドは5〜50ppm、好ましくは5〜48ppmの濃度となるよう配合され得る。
アルキルチオ含有アルデヒドは市販のものを使用してもよく、あるいは公知の手法により合成又は生成してもよい。一例を挙げると、メチオナールは合成品、抽出品、発酵品やその処理品、各種素材の加熱反応、酵母を用いたメチオニンの発酵を利用して生成するものを用いてもよい。また、必要により調味料にメチオニンや糖を加えて加熱したり、発酵条件を変更することにより、飲食品中にメチオナールを添加することなく所望の濃度まで増加させることも可能である。
(アルキルチオ含有アルデヒドを含む飲食品)
本発明に係る旨味増強剤を含む飲食品においては、アルキルチオ含有アルデヒドが0.2〜60ppm、そして塩化ナトリウムが1〜20重量%含まれる。例示として、飲食品中に塩化ナトリウムが2〜16重量%で存在する場合、例えば、メチオナール及び3−メチルチオ−ブチルアルデヒドは0.2〜50ppm、好ましくは0.5〜48ppm、2−メチルチオ−アセトアルデヒドは4〜50ppm、好ましくは5〜48ppm、4−メチルチオ−ブチルアルデヒドは5〜50ppm、好ましくは5〜48ppmの濃度となるよう配合され得る。しかしながら、これらの配合量は旨味増強剤を添加する前の飲食品に起因する風味や、同飲食品中に当初より存在している塩分量、所望とする旨味増強作用の程度等を考慮して適宜変更されるものである。アルキルチオ含有アルデヒドについては上文で定義したとおりである。
本発明の旨味増強剤は旨味の増強が必要とされる各種飲食品に特に制限なく使用することができる。例えば、各種食品又は飲料、例えば、肉類、魚介類、野菜類、藻類、キノコ類、果実類、ナッツ類等あるいはそれらを利用した調理品、例えばご飯類、麺類、パン類、野菜、漬け物、天ぷら、ゆで卵、スナック、シリアル、炒め物、チーズ、肉製品、スープ類(カップスープ、即席めんのスープ等)、ルー等の加工食品、蒲鉾、ちくわ、さつま揚げ、ハム、ソーセージ等の水産・畜肉加工製品等、各種醤油、各種減塩醤油、各種つゆ、各種たれ、酵母エキス、畜肉エキス、魚介エキス、蛋白加水分解物等の調味料や、核酸(イノシン一リン酸やグアノシン一リン酸など)を含有する調味料に本発明の旨味増強剤を添加することにより、それらの飲食品に固有の旨味をより増強させるか、旨味が不十分な飲食品の旨味を補うことが可能である。本発明の旨味増強剤は、限定しないが、醤油、ぽん酢、つゆ、たれ、ドレッシング等の液体調味料、特に醤油風味を呈する醤油様調味料において使用することが想定される。
本発明の旨味増強剤は単独で旨味を呈するが、適宜他の旨味成分との組み合わせで飲食品に添加される。旨味成分としては、アミノ酸、酵母エキス、核酸、有機酸、タンパク質加水分解物などが挙げられる。これらの中でも、醤油様調味料に醤油の旨味を持たせる目的では、特にアミノ酸であるグルタミン酸塩や酵母エキス、核酸が好ましい。これらの旨味成分は、単独で又は複数組み合わせて添加することができる。
(旨味増強剤含有飲食品の製造方法)
本発明に係る旨味増強剤を含有する飲食品の製造方法においては、飲食品中にアルキルチオ含有アルデヒドが0.2〜60ppm、そして塩化ナトリウムが1〜20重量%含有されるように旨味増強剤が添加される。
旨味増強剤の飲食品への配合量は適宜決定されるが、例えば、飲食品中アルキルチオ含有アルデヒドが0.2〜60ppm、そして塩化ナトリウムが1〜20重量%となるよう添加される。尚、20重量%という塩化ナトリウムの上限値は一般的な醤油中に含まれる塩化ナトリウムの濃度を考慮したものであり、20重量%超であってもアルキルチオ含有アルデヒドは旨味を呈すると考えられる。
飲食品中に塩化ナトリウムが2〜16重量%で存在する場合、例えば、メチオナール及び3−メチルチオ−ブチルアルデヒドは0.2〜48ppm、好ましくは0.5〜48ppm、2−メチルチオ−アセトアルデヒドは4〜48ppm、好ましくは10〜48ppm、4−メチルチオ−ブチルアルデヒドは5〜50ppm、好ましくは8〜48ppmの濃度となるよう配合されるのが好ましい。アルキルチオ含有アルデヒド及び飲食品については上文で定義したとおりである。
旨味増強剤は飲食品に直接添加されるのが好ましい。しかしながら、対象の飲食品が発酵品である場合、旨味増強剤の添加に代えて、発酵過程で所望の濃度まで有効成分を増大させてもよい。メチオナールを例に挙げると、メチオニンや糖を加えて加熱したり、発酵条件を変更することにより、飲食品中にメチオナールを添加することなく所望の濃度まで増加させることも可能である。
以下、具体例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明はこれにより限定されるものではない。
(旨味の官能評価試験)
種々の濃度のアルキルチオ含有アルデヒドと塩化ナトリウムとの組み合わせについて旨味が感じられる濃度範囲及びその強さを官能評価した。官能評価のパネラーには、キッコーマン株式会社内の研究者の中から旨味の官能試験について訓練された3名が選択された。サンプルは0、2、4、8又は16%(w/v)食塩水に対し0〜48ppmのアルキルチオ含有アルデヒド(0、0.1、0.5、1、3、12又は48ppmの3−メチルチオ−プロピオンアルデヒド(メチオナール)、0、0.1、0.5、1、3、12又は48ppmの3−メチルチオ−ブチルアルデヒド、及び0、3、5、8、12又は48ppmの2−メチルチオ−アセトアルデヒド、0、3、5、8、12又は48ppmの4−メチルチオ−ブチルアルデヒド)を添加することで調製した。そして、ネガティブコントロールにはアルキルチオ含有アルデヒドの代わりにメチオノールを用いた。
官能評価はブラインド(パネラーにどの成分が添加してあるか知らせていない状態)で行い、0(旨味なし)、1(やや旨味が感じられる)、2(旨味が感じられる)、3(強い旨味が感じられる)の4段階で評価した。結果を以下に示す。
1)メチオナール
2)3−メチルチオ−ブチルアルデヒド
3)2−メチルチオ−アセトアルデヒド
4)メチオノール
5)4−メチルチオ−ブチルアルデヒド
上記結果から、メチオナール、3−メチルチオ−ブチルアルデヒド、2−メチルチオ−アセトアルデヒド及び4−メチルチオ−ブチルアルデヒドは、塩化ナトリウムの存在下でいずれも旨味を呈することが明らかとなった。一方、アルキルチオ含有アルデヒドに構造が類似しているメチオノールと塩化ナトリウムとの組み合わせには旨味が確認されなかった。このことから、アルキルチオ含有アルデヒドが旨味を呈するにはアルデヒド基が重要である可能性が考えられる。
(旨味の持続時間の評価)
種々の濃度のアルキルチオ含有アルデヒドの旨味の持続時間をグルタミン酸ナトリウムとの比較で評価した。官能評価のパネラーには、キッコーマン株式会社内の研究者の中から旨味の官能試験について訓練された3名が選択された。サンプルは2%(w/v)食塩水に対し12ppmのアルキルチオ含有アルデヒド(メチオナール、3−メチルチオ−ブチルアルデヒド、2−メチルチオ−アセトアルデヒド、4−メチルチオ−ブチルアルデヒド)又はコントロールとしての120,000ppmのグルタミン酸ナトリウムを添加することで調製した。尚、グルタミン酸ナトリウムの濃度はヒトの検知閾値を参考に設定した。
パネルは、どの成分が添加してあるか知らない状態(ブラインド)で、各サンプルについて口に含んでから5秒ごとの旨味の有無を○×で評価した。結果を以下に示す。
上記表の結果から明らかなとおり、旨味の持続時間が5秒未満であったグルタミン酸ナトリウムに対し、アルキルチオ含有アルデヒドの旨味の持続時間は2〜3倍であった。特に、メチオナール、3−メチルチオ−ブチルアルデヒド及び4−メチルチオ−ブチルアルデヒドは10〜15秒もの間旨味が持続した。
本発明の旨味増強剤は、旨味の増強が必要とされる飲食品、特に液体調味料に好適に配合され得る。

Claims (7)

  1. 以下の一般式(I):
    (式中、R1は水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基であり、R2は炭素数1〜5の炭化水素基であり、nは0〜5の整数である)
    で表される化合物又はその塩及び塩化ナトリウムを含む旨味増強剤。
  2. 1が水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基であり、R2が炭素数1〜3の炭化水素基であり、nが0〜3の整数である、請求項1に記載の旨味増強剤。
  3. 前記化合物が、3−メチルチオ−プロピオンアルデヒド、3−メチルチオ−ブチルアルデヒド、2−メチルチオ−アセトアルデヒド及び4−メチルチオ−ブチルアルデヒドから成る群から選択される1種又は2種以上の化合物である、請求項1又は2に記載の旨味増強剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の旨味増強剤を含む飲食品であって、一般式(I)
    に記載の化合物を0.2〜60ppm、そして塩化ナトリウムを1〜20重量%含む、飲食品。
  5. 液体調味料である、請求項4に記載の飲食品。
  6. 前記液体調味料が醤油様調味料である、請求項5に記載の飲食品。
  7. 請求項4〜6のいずれか1項に記載の飲食品の製造方法であって、請求項1〜3のいずれか1項に記載の旨味増強剤を、飲食品中に一般式(I)に記載の化合物が0.2〜60ppm、そして塩化ナトリウムが1〜20重量%含有されるように添加する工程を含む、製造方法。
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