JP2020181102A - 電子写真感光体および電子写真感光体の製造方法ならびに画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体および電子写真感光体の製造方法ならびに画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電子写真感光体の軸方向で生じる、感光体膜の膜厚ムラに起因する画像濃度ムラを軽減できる電子写真感光体を提供する。【解決手段】導電性の円筒状基体の外周面に少なくとも光導電層と表面層とを含む感光体膜が形成された電子写真感光体であって、感光体膜が形成された部分の電子写真感光体の軸方向において、感光体膜の膜厚が厚い領域における表面層の光吸収が、感光体膜の膜厚が薄い領域における表面層の光吸収より大きいことを特徴とする。【選択図】図8

Description

本発明は、電子写真感光体および電子写真感光体の製造方法ならびに画像形成装置に関するものである。
電子写真方式の画像形成装置は印刷分野でも利用されるようになり、従来よりも出力画像の高品質化、高画質化が求められようになった。高画質化の一例としては、画像濃度ムラが小さいことがあげられる。画像濃度ムラの判別は人の目にとって容易なこともあり、画像濃度ムラの低減に対する要求は極めて高いものとなっている。
画像濃度ムラの発生要因の一つとして、電子写真感光体(以下「感光体」ともいう)の帯電特性や感度特性の不均一性が挙げられる。これらの不均一性は、感光体を構成する感光体膜の品質や膜厚の不均一性に起因することが多い。特に、アモルファスシリコン感光体(以下「a−Si感光体」ともいう)は、製法上、感光体の軸方向で感光体膜の膜厚ムラが生じやすく、それによって帯電特性や感度特性にムラが生じる場合がある。
この課題に対して、特許文献1には、感光体の軸方向に特性ムラがある場合に、画像形成装置のコロナ帯電器の放電ワイヤと感光体の距離を軸方向で調整し、暗電位VDと明電位VLをある範囲内にすることで、均一な画像濃度を得ることが開示されている。
特開2000−172030号公報
従来、感光体を帯電させる手段としてコロナ帯電器を用いるコロナ帯電方式が利用されてきたが、この方式は高圧電源を必要とし、また好ましくないオゾンが発生するなどの問題点を有している。近年、電圧を印加した帯電部材(帯電ローラなど)を感光体に接触または近接配置させて感光体を帯電させる接触帯電方式が、電源の低圧化が図れ、オゾンの発生量が少なく、かつ低消費電力であるなどの長所があり、広く採用されている。
接触帯電方式は、帯電部材と感光体との接触部近傍または近接部で生じる近接放電によって行われ、放電開始電圧以上の電圧を帯電部材に印加することによって放電が始まり、感光体の帯電が開始する。この放電開始電圧が感光体膜の膜厚によって変化するため、帯電部材に直流(DC)電圧のみを印加するDC帯電方式では、膜厚ムラによって帯電ムラが生じるという問題がある。それに対し、帯電部材に直流電圧と交流(AC)電圧を重畳して印加するAC+DC帯電方式では、帯電と除電とを繰り返すため、膜厚ムラがあっても均一に帯電することができるが、DCのみの帯電方式に比べるとコストアップになる。ただし、どちらの方式を用いても、感光体の膜厚ムラに起因する感度ムラは存在する。この電位ムラに対し、画像形成装置で電位ムラ補正を実施して画像濃度の均一化が行われているが、制御が複雑であるため画像形成装置が高コストである一因になっていた。
本発明は上記に鑑みて提案されたものであり、感光体の軸方向で感光体膜の膜厚ムラがあっても、画像濃度ムラを軽減できる電子写真感光体を提供することを目的とする。また、本発明の電子写真感光体を用いることで、従来よりも低コストの画像形成装置を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明に係る電子写真感光体は、導電性の円筒状基体の外周面に少なくとも光導電層と表面層とを含む感光体膜が形成された電子写真感光体であって、前記感光体膜が形成された部分の前記電子写真感光体の軸方向において、前記感光体膜の膜厚が厚い領域における前記表面層の光吸収が、前記感光体膜の膜厚が薄い領域における前記表面層の光吸収より大きいことを特徴とする。
また、上述した目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、前記電子写真感光体を用い、前記電子写真感光体に接触または近接配置され、電圧を印加して前記電子写真感光体を帯電させる帯電部材を備えることを特徴とする。
本発明によれば、軸方向で感光体膜の膜厚ムラがあっても、感光体膜の膜厚ムラに応じて表面層の光吸収を変えることで、画像濃度ムラを軽減できる電子写真感光体を提供することが可能になる。また、本発明の電子写真感光体を用いることで、画像形成装置の制御が簡素化され、従来よりも低コストの画像形成装置を提供することが可能になる。
接触帯電方式の画像形成装置の概略構成を示す模式的な縦断面図である。 接触帯電方式の画像形成装置をモデル化した図である。 感光体の帯電特性の一例を示す図である。 感光体の帯電特性の一例を示す図である。 感光体の感度特性(E-V特性)の一例を示す図である。 感光体の感度特性(E-V特性)の一例を示す図である。 感光体を構成する薄膜の層構成の一例を示す模式的な断面図である。 感光体膜の膜厚と電位および表面層の光吸収の関係を示す図である。 a−Si感光体の成膜装置の一例を示す模式的な縦断面図である。
以下に、本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。
図1は、接触帯電方式の画像形成装置100の概略構成を示す模式的な縦断面図である。円筒状の感光体101は、画像形成装置100の不図示の駆動手段によって、同図中では、時計回りに所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。帯電ローラ(帯電部材)103は、感光体101と平行に配置されて感光体101と逆方向に回転(同図中では反時計回り)し、感光体101の外周面(被帯電面、以下「表面」ともいう)に接触または近接配置される。そして、電源108に接続されて電圧が印加され、帯電ローラ103から感光体101への放電によって、前露光手段102で除電された感光体101の表面101aが所定の極性・電位になるように帯電される。
感光体101の周囲には、その他に、露光手段104、現像手段105、転写手段106、およびクリーニング手段107などが、感光ドラム(感光体101)の回転方向の上流側から下流側にかけて、順に配設されている。帯電ローラ103で帯電処理を受けた感光体101の表面101aは、露光手段104により目的の画像情報の露光(原稿画像の結像スリット露光、レーザビーム走査露光など)を受けることで、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。次いで、現像手段105で静電潜像がトナーによって現像され、転写手段106で現像されたトナー像が紙や中間転写体などの被転写部材に転写される。その後、クリーニング手段107で感光体101の表面101aの転写残トナーが除去される。
(感光体の帯電特性)
接触帯電は、感光体に接触または近接配置された帯電部材から感光体への放電によって行なわれる。そのため、ある閾値以上の電圧を帯電部材に印加することによって感光体の帯電が開始する。以後、この放電を始める閾値の電圧を放電開始電圧Vthとする。したがって、例えば、感光体101を所望の表面電位(以下「帯電電位」ともいう)Vdに帯電させるには、帯電ローラ103にはVd+Vthの電圧を印加する必要がある。
図1の画像形成装置100について、電源108を直流電源として正電圧Va(印加電圧Va)を印加した場合、図2のようなモデルとして考える。帯電ローラ103のインピーダンスは、感光体101や、感光体101の表面101aと帯電ローラ103との間の空隙201のインピーダンスに比べて小さく、無視できるためここでは扱わない。そうすると、帯電機構は、感光体101の静電容量Ccと空隙201の静電容量Cgの2つのコンデンサの直列接続で表せる。したがって、感光体101の表面101aと帯電ローラ103との間の空隙201にかかる電圧Vgは下記式(1)で表される。
Figure 2020181102
空隙201には、パッシェンの法則に従う絶縁破壊電圧があり、空隙201の厚みをg[μm]とすると、絶縁破壊電圧Vgは下記式(2)を超えると放電が起き、帯電が行なわれる。
Vg=312+6.2g[V]・・・式(2)
ここで、はじめて放電が起きる電圧はこの2つの式が等しくなった場合のgに関する二次方程式が重解を持つときであるので(Cgもgの関数)、このときの電圧Vgが放電開始電圧Vthに相当する。
図3に電源108に直流電源を用い、直流電圧のみを印加するDC帯電による感光体の帯電特性の一例を示す。同図中の横軸は電源108から帯電ローラ103への印加電圧Vaを、縦軸は感光体101の表面電位Vcを示す。印加電圧Vaが放電開始電圧Vthの約500Vを境に、放電開始電圧Vth以下ではほとんど帯電は行われず、放電開始電圧Vthを超えてから、帯電が始まり、表面電位Vcは直線的に増加していく。
また、上述の関係から、電源108を定電圧制御する場合、空隙201にかかる電圧Vgは感光体101の静電容量Ccによって変化するので、放電開始電圧Vthも変化する。静電容量Ccは、下記式(3)で表わされる。
Figure 2020181102
ε:感光体101を構成する感光体膜の誘電率
d:感光体101を構成する感光体膜の膜厚
S:放電面積(定数)
感光体101を構成する感光体膜の膜厚dが薄いと感光体101の静電容量Ccは増加する。感光体101のインピーダンスはCcの逆数に比例するので、膜厚dが薄いと感光体101の表面電位Vcは低下し、逆に空隙201にかかる電圧Vgは上昇する。
図4は感光体の帯電特性の一例であり、感光体101を構成する感光体膜の膜厚dが異なる場合を示す。前述の関係から、膜厚dが厚いほど放電開始電圧Vthが高圧側にずれ、表面電位Vcの立ち上がりが遅くなる。例えば、電圧Va1を印加した場合の、感光体101の膜厚がd1、d2、d3における表面電位をそれぞれV1、V2、V3とする。膜厚がd1>d2>d3の場合は、表面電位はV1<V2<V3となり、膜厚dが厚い方の表面電位Vcが低くなる。言い換えると、印加電圧を一定にする定電圧制御では、膜厚が薄いところに対し膜厚が厚いところの暗電位VDが低くなる。これを電子写真感光体の軸方向のムラに置き換えると、膜厚dが薄い領域に対し、膜厚dが厚い領域の暗電位VDが低くなることを表す。
なお、図1の画像形成装置100において、電源108を直流電圧と交流電圧とを重畳させた電源とするAC+DC帯電では、交流電圧を放電開始電圧Vthの2倍以上のピーク間電圧にすると、感光体101の帯電ムラが解消可能であることが知られている。
(感光体の感度特性)
図5は感光体の感度特性の一例であり、感光体101を構成する感光体膜の膜厚dが異なる場合のE−V特性を示す。同図中の横軸は、露光手段104から感光体101の表面101aに照射される光の量(像露光量)を、縦軸は感光体101の表面電位Vcを示す。例えば、感光体101を帯電させて帯電電位Vd0とし、感光体101に像露光光が照射されると、像露光量に応じて表面電位Vcは低下する。感光体101の膜厚dがd1、d2、d3において、像露光量E1でのそれぞれの表面電位をV1、V2、V3とする。膜厚がd1>d2>d3の場合、表面電位はV1<V2<V3となり、膜厚dが厚い方の表面電位Vcが低くなる。言い換えると、帯電ムラがない場合、膜厚が薄いところに対し、膜厚が厚いところの明電位VLが低くなる。これを電子写真感光体の軸方向のムラに置き換えると、膜厚dが薄い領域に対し、膜厚dが厚い領域の明電位VLが低くなることを表す。
図6は感度特性(E−V特性)の一例であり、同一の感光体101の軸方向が同じ位置(同一膜厚)で、帯電電位Vdが異なる場合を示す。図5と同様に、同図中の横軸は像露光量を、縦軸は感光体101の表面電位Vcを示す。例えば、感光体101をそれぞれ帯電電位Vd1、Vd2、Vd3に帯電させ、像露光量E1での表面電位をそれぞれV1、V2、V3とする。帯電電位がVd1<Vd2<Vd3の場合、表面電位はV1<V2<V3となり、帯電電位Vdが低い方の表面電位Vcが低くなる。これを電子写真感光体の軸方向のムラに置き換えると、膜厚ムラが無くても、暗電位VDの傾斜は明電位VLの傾斜に影響を与えることを表す。
(画像濃度の均一化)
感光体に帯電ムラがあると、暗電位VDと現像バイアス電位Vdcとの電位差である現像コントラスト電位Vcontにムラが生じ、Vcontのムラが出力画像におけるハーフトーン領域〜ベタ領域のムラとなる。一方、感光体に感度ムラによる露光電位ムラがあると、明電位VLと現像バイアス電位Vdcとの電位差であるカブリ取り電位Vbackにムラが生じ、Vbackのムラが出力画像におけるハイライト領域〜ハーフトーン領域のムラとなる。
画像形成装置で出力画像の濃度ムラの均一化を行う場合には、帯電ムラや感度ムラを打ち消すため、VcontムラおよびVbackムラをそれぞれ補正して均一化する処理が行われる。具体的には、ムラ情報の取得、補正データの生成、現像バイアス電位Vdcや像露光量を制御してのムラ補正の実行などである。
また、特許文献1では、感光体の軸方向の帯電ムラや感度ムラを均一化せず、暗電位VDを徐々に傾斜させて明電位VLの傾斜と逆になるような調整を行い、VcontとVbackのバランスを適切に設定して画像濃度の均一化を行っている。これを言い換えると、ある程度暗電位VDが感光体の軸方向に傾斜している場合、明電位VLの傾斜を暗電位VDの逆方向で適切な範囲で調整を行うことで画像濃度の均一化が可能である。
(感光体膜の構成)
図7は、感光体101を構成する感光体膜700の層構成の一例を示す模式的な断面図である。導電性の円筒状基体701の外周面に、電荷注入阻止層702、光導電層703、および表面層704が積層されて成っている。
電荷注入阻止層702は、円筒状基体701からの電荷注入阻止、円筒状基体701と光導電層703の密着性向上(ハガレ防止)などの働きを持つ。電荷注入阻止層702に用いられる材料は、a−Si感光体の場合、アモルファスシリコン系材料を含み、更に、電荷注入阻止を目的にB(硼素)の如き周期表の第13族元素を、密着性向上を目的にC(炭素)、N(窒素)、O(酸素)の中で少なくとも1つ以上の元素を含ませたものが好適に用いられる。
光導電層703は感光体膜700の膜厚dの多くを占め、感光体101の帯電特性や感度特性に大きく影響する。逆に、感光体の軸方向での帯電や感度などの特性ムラは、ほとんどが光導電層703の膜厚ムラに起因している。光導電層703に用いられる材料は、a−Si感光体の場合、アモルファスシリコン系材料を含み、更に、水素原子および/またはハロゲン原子を含ませたものが好適に用いられる。
本発明の表面層704は、光導電層703より表面側に形成された膜のことを言う。そして、光導電層703の保護、耐摩耗性の向上、反射や干渉防止、表面からの電荷注入阻止などの働きを持つ。したがって、表面層704には、光導電層703が本来持ち合せる光感度を極力劣化させないように、光吸収が少なくて光透過性がよい、更に反射防止機能を具える、絶縁性に優れる、高硬度であるなどの物性が求められる。表面層704に用いられる材料は、a−Si感光体の場合、水素を含むアモルファスシリコンカーバイド(a−SiC)系材料やアモルファスカーボン(a−C)系材料が好適に用いられる。但し、これらの材料では、一般的に露光手段104に用いられる光の波長域では多少の光吸収がある。
電子写真プロセスでは、帯電ローラ103で帯電処理を受けた感光体101は、露光手段104により目的の画像情報が露光され、静電潜像が形成される。これは露光手段104から照射される光が表面層704を通過して光導電層703に入り、光キャリアが発生して感光体101の表面電荷を消滅させ、明電位VLを得ることで行われる。そのため、明電位VLにムラがあるときは、明電位VLが高い側には光量を多くするために露光手段104の発光量を多く、低い側には光量を少なくするために露光手段104の発光量を少なくするような制御をすると、明電位VLのムラ(以下「VLムラ」ともいう)が緩和される。
なお、上述の各層を積層した感光体膜700において、感光体を非破壊のまま各層の膜厚を計測することは容易ではなく、特に間にある光導電層703の膜厚を計測することは困難である。本発明では光導電層703の膜厚ムラを知りたいが、光導電層703は感光体膜700の大部分を占めるので、感光体膜700のムラを光導電層703の膜厚ムラとみなしている。
(表面層による電位ムラの調整方法)
本発明では、前述の画像形成装置で行うVLムラの調整を、電子写真感光体の表面層704に持たせる。つまり、感光体の軸方向で、明電位VLが相対的に低い領域には、光導電層703に入る像露光量を少なくするために表面層704の光吸収を相対的に多く、明電位VLが相対的に高い領域には逆に光吸収を相対的に少なくする。光吸収は光路長と光吸収係数の積に比例するので、光吸収の調整は、電子写真感光体を製造する際に行い、具体的には表面層704が所望の膜厚および/または光吸収係数になるような条件で形成することによって行う。これを模式的に表すと図8のようになる。図8は、感光体膜の膜厚と電位および表面層704の光吸収の関係を示す図である。同図中の横軸は感光体101の軸方向の位置(軸位置)を示す。図8(a)は、感光体膜の膜厚と軸位置と関係を示す図であり縦軸は感光体101の感光体膜700の膜厚dを示す。図8(b)は、AC+DC帯電方式における暗電位VDを示す図であり、縦軸は表面電位を示す。図8(b)に示すように、AC+DC帯電方式における暗電位VDは、感光体の膜厚に関係なく表面電位は一定である。図8(c)は、DCのみの帯電方式における暗電位VDを示す図であり、縦軸は表面電位を示す。図8(c)に示すように、DCのみの帯電方式における暗電位VDは、感光体の膜厚が薄いほど表面電位は大きくなる。図8(d)は、AC+DC帯電方式における明電位VLを示す図であり、縦軸は表面電位を示す。図8(d)に示すように、AC+DC帯電方式における明電位VLは、感光体の膜厚が薄いほど表面電位は大きくなる。図8(e)は、DCのみの帯電方式における明電位VLを示す図であり、縦軸は表面電位を示す。図8(e)に示すように、DCのみの帯電方式における明電位VLは、感光体の膜厚が薄いほど表面電位は大きく、傾きはAC+DC帯電方式よりも大きい。図8(f)は、表面層704の光吸収を示す図であり、縦軸は光吸収を示す。図8(f)に示すように、表面層704の光吸収は感光体膜の膜厚が厚いほど大きくなるため、明電位VLの傾きを調整するには、表面層704の光吸収を調整すればよい。
感光体101は、感光体膜700の膜厚dができるだけ均一になるように製造しているため、感光体の軸方向に極端な膜厚の変化は無く、軸方向の中央付近を中心とした凹型や凸型になるものも少ない。膜厚変化はなだらかで、全域で一様に傾いていたり、軸方向の中央付近からずれた凹型や凸型であったりして、例えば、電子写真感光体を軸方向に2等分して2つの領域に分けると、それぞれの領域で感光体膜700を平均した膜厚はどちらかに大小がある状態になっている。また、感光体膜700の軸方向の膜厚分布は再現性良く製造されるので、感光体膜700の膜厚ムラ形状はほぼ同じものが製造される。
本発明では、感光体膜が形成された部分の電子写真感光体の軸方向において、感光体膜の膜厚が厚いところを第1の領域とし、感光体膜の膜厚が薄いところを第2の領域とし、第1の領域における表面層704の光吸収が、第2の領域における光吸収より大きくなるようにする。例えば、電子写真感光体を軸方向に2等分して2つの領域に分け、感光体膜の膜厚の平均値が厚い側を第1の領域とし、薄い側を第2の領域としたとき、第1の領域の表面層704の光吸収が、第2の領域よりも大きくなるようにする。前述のように、感光体膜の軸方向の膜厚ムラ形状は予めほぼわかっているので、感光体膜の膜厚ムラに合わせて光吸収に差をつけるように表面層704を形成することで達成できる。
但し、感光体膜の膜厚ムラが大きすぎると、表面層704の光吸収を調整すれば電位ムラは多少なりとも改善するが、画像濃度の改善効果が得られないことがある。そこで、第1の領域における感光体膜の膜厚の平均値をd1とし、第2の領域における感光体膜の膜厚の平均値をd2としたとき、下記式(4)を満たすことが好ましい。
Figure 2020181102
つまり、第1の領域と第2の領域における、感光体膜の膜厚の平均値の差(d1−d2)が、感光体膜の膜厚の平均値の平均の10%以下であることが好ましい。
なお、感光体膜の膜厚の測定および平均値の算出は、測定点が多いほど誤差が少なくなるが、感光体膜の膜厚分布は再現性良く製造されるので、それぞれの領域の画像形成領域で、軸方向におよび周方向に均等にそれぞれ2点以上あればよい。
(a−Si感光体の製造方法)
図7に示す層構成のa−Si感光体101の製造方法について述べる。a−Si感光体101は、円筒状基体701の外周面に、a−Si感光体膜700を形成することにより製造することができる。
このa−Si感光体101の製造を、図9に示す成膜装置900を用いて行う。図9は、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、a−Si感光体101を製造するための成膜装置の一例を示す模式的な縦断面図である。
成膜装置900は、円筒状基体701の外周面にa−Si感光体膜700を形成する装置である。反応容器910は、上碍子906、円筒状のカソード電極907、下碍子908、底板909により構成され、壁面の一部である上碍子906の上に蓋905が備えられている。底板909は、排気配管918および排気バルブ919を介して不図示の排気装置(真空ポンプ)が接続されており、反応容器910の内部が減圧可能となっている。
円筒状基体701は、上部補助基体901、下部補助基体902とともに基体ホルダ903に装着され、反応容器910の内部の受台904に、基体ホルダ903の下部を嵌め込むように設置される。受台904には、不図示の回転装置が取り付けられ、基体ホルダ903が回転可能となっている。更に、反応容器910の内部にはヒータ911が設置され、基体ホルダ903の内側から円筒状基体701を加熱可能となっている。ヒータ911は、長手方向に均等に2つの領域に分割され、それぞれに温度制御が可能になっており、円筒状基体701の軸方向で温度に勾配を持たせることが可能になっている。
反応容器910の内部には、第1の原料ガス導入管912および第2の原料ガス導入管913が、円筒状基体701を交互に取り囲むようにそれぞれ複数本配設されている。第1の原料ガス導入管912および第2の原料ガス導入管913の側面には、それぞれ長手方向に沿って多数の細孔が設けられているが、その配置が異なっており、形成する層によって使い分けられるようになっている。第1の原料ガス導入管912および第2の原料ガス導入管913は、それぞれ第1の原料ガス供給管916および第2の原料ガス供給管917を介して不図示の原料ガス供給装置に接続されている。これらにより、反応容器910の内部に原料ガスが供給可能となっている。また、円筒状のカソード電極907には、マッチングボックス914を介して高周波電源915が接続されている。
この成膜装置900で、a−Si感光体膜700を形成する手順を以下に説明する。
まず、外周面が鏡面加工された円筒状基体701と、上部補助基体901および下部補助基体902を、基体ホルダ903に装着する。そして、反応容器910の内部を大気圧にして、蓋905を開け、基体ホルダ903を受台904に設置し、蓋905を閉める。
次に、圧力計920の値で所定の圧力(例えば0.67Pa)以下になるまで、排気バルブ919を開いて反応容器910の内部を不図示の排気装置で排気する。所定の圧力になった時点で、加熱用の不活性ガス(例えばArガス)を反応容器910の内部に導入する。そして、反応容器910の内部が所定の圧力になるように加熱用の不活性ガスの流量および不図示の排気装置の排気速度を調整する。その後、温度コントローラ(不図示)を作動させてヒータ911を運転し、円筒状基体701の温度を所定の温度(例えば20〜500℃)に制御する。円筒状基体701が所定の温度に加熱されたところで、不活性ガスを徐々に止める。これと並行して、成膜用の原料ガスを徐々に導入する。
原料ガスとしては、例えば、SiH、Si、CH、C、NOのような材料ガスや、B、PHのようなドーピングガス、H、He、Arのような希釈ガスが挙げられる。次に、不図示の原料ガス供給装置によって、各原料ガスが所定の流量になるように調整する。その際、反応容器910の内部が所定の圧力(例えば1〜100Pa)に維持されるように、圧力計920を見ながら排気装置の排気速度を調整する。
成膜用の原料ガスを導入した後、圧力計920の値が安定したところで、受台904を回転させ、円筒状基体701と、上部補助基体901および下部補助基体902が装着された基体ホルダ903を回転させる。以上の手順によってa−Si感光体膜700形成の準備を完了した後、円筒状基体701の外周面にa−Si感光体膜700の形成を行う。具体的には、高周波電源915を所定の電力に設定して円筒状のカソード電極907に供給し、グロー放電を生起させる。このとき、反射電力が最小となるようにマッチングボックス914を調整し、高周波の入射電力から反射電力を差し引いた値を所定の値に調整する。この放電エネルギーによって反応容器910の内部に導入された原料ガスが分解され、円筒状基体701の外周面にa−Si感光体膜700が形成される。
所望の膜厚のa−Si感光体膜700の形成を行った後、電力の供給を止め、反応容器910の内部への各原料ガスの流入を止めて、一旦高真空になるように反応容器910の内部を排気する。上記の操作を繰り返し行うことによって、図7に示した所定の層構成、すなわち、電荷注入阻止層702、光導電層703、および表面層704からなるa−Si感光体膜700を形成することができる。円筒状基体701の外周面にa−Si感光体膜700を形成した後、ヒータ911による加熱を停止する。次に、反応容器910の内部を大気圧にして、蓋905を開け、基体ホルダ903を反応容器910の内部から取り出す。そして、a−Si感光体膜700が形成された円筒状基体701を基体ホルダ903から外し、a−Si感光体が完成する。
(感光体の軸方向における表面層の光吸収の調整方法)
感光体の軸方向における表面層704の光吸収の調整は、上記のa−Si感光体膜700形成において表面層704形成時に、表面層704の膜厚および/または光吸収係数を調整することによって行う。前述のように、a−Si感光体101の表面層704に好適に用いられる材料は、水素を含むアモルファスシリコンカーバイド(a−SiC)系材料やアモルファスカーボン(a−C)などである。
これらの材料について、光吸収係数の調整方法は、例えば、円筒状基体の軸方向で表面層704中の水素量を調整することで可能であり、それは表面層704成膜中の基体温度により調整可能である。具体的には、表面層704成膜中に基体温度を上げると水素量が減って光吸収係数は上がり、逆に基体温度を下げると水素量が増えて光吸収係数は下がる。図9に示す成膜装置900では、円筒状基体701が、長手方向に均等に2つの領域に分割され、それぞれに温度制御が可能なヒータ911によって加熱することが可能で、円筒状基体701は軸方向で温度に勾配を持たせることができる。
また、これらの材料を用いる膜厚の調整方法は、例えば、円筒状基体の軸方向で表面層704成膜中の原料ガス供給量に差をつけ、軸方向での表面層704成膜速度を変えることにより可能である。図9に示す成膜装置900では、反応容器910の内部には、第1の原料ガス導入管912および第2の原料ガス導入管913の2種類の原料ガス導入管があるが、第2の原料ガス導入管913を表面層704用とする。例えば、表面層704の膜厚を円筒状基体の軸方向で上を薄く、下側を厚くしたい場合、予め第2の原料ガス導入管913の側面の細孔の配置が上側を疎、下側を密にしておくことで、相対的に原料ガス供給量に差をつけることが可能になる。
以下実施例により、本発明の効果を具体的に説明するが、本発明は、これにより何ら限定されるものではない。
また、以下の実施例および比較例では、円筒状基体701には、外径寸法84mm、肉厚3mm、長さ381mmからなるAl−Mg系のアルミニウム合金製で、外周面に旋盤で鏡面加工を施したものを用いた。
なお、以下の実施例および比較例では、感光体膜が形成された部分の軸方向中央位置を0mm位置とする。測定位置の+−の符号は、成膜装置900で鉛直方向に円筒状基体を設置した時の上下方向を示し、0mm位置より上側を+側、下側を−側とする。符号の後の数字は0mm位置からの距離を示す。
〔実施例1〕
図9に示す成膜装置900を用いて、円筒状基体701の表面に、表1に示す条件で図7に示す層構成のa−Si感光体を作製した。これは、後述の比較例1の作製条件であり、これを「ref.ドラム」とする。
Figure 2020181102
得られたref.ドラムについて、以下に示す「感光体膜の膜厚の測定」および「表面層の光学定数(屈折率および光吸収係数)と膜厚の測定」を行った。
(感光体膜の膜厚の測定)
感光体膜の膜厚の測定は、膜厚計(フィッシャーインストルメンツ社FISCHER SCOPE MMS)を用いた。測定位置は感光体の軸方向については、0mm、±50mm、±100mm、±150mmの7点と、周方向については、上述した各軸方向位置において周方向に90度間隔の4点とした。計測箇所は合計28点である。
そして、感光体膜が形成された部分の感光体を軸方向に2等分して2つの領域に分けて、それぞれの領域で感光体膜の膜厚の平均値を求めるときは、0mm位置を除いた+側と−側のそれぞれの領域の軸方向3点×周方向4点の合計12点を平均して求めた。そして、感光体膜の膜厚が厚い側の領域の平均をd1、感光体膜の膜厚が薄い側の領域の平均をd2として、感光体膜の膜厚ムラを下記式(5)により算出した。
Figure 2020181102
(表面層の光学定数(屈折率および光吸収係数)と膜厚の測定)
表面層の光学定数の測定は、分光エリプソメトリー法(J.A.Woollam社製:高速分光エリプソメトリー M−2000)によって測定し、表面層の光学定数を算出した。測定条件は、入射角:60°、65°、70°、測定波長:195nmから700nm、解析ソフト:WVASE32、ビーム径:1mm×2mmである。
表面層の膜厚の測定は、感光体の表面に垂直に光を照射し、分光光度計(大塚電子製:MCPD−2000)を用いて、反射光の分光測定を行うことにより、表面層の膜厚を求めた。このとき、表面層の屈折率は、分光エリプソメトリーの測定より求めた値を用いて算出した。測定位置は感光体の軸方向の0mm、±100mmの3点を測定した(周方向は1点のみ)。
これらの測定を行った結果、感光体の上側(+側)で感光体膜の膜厚が15%厚くなっていた。また、表面層の光吸収係数と膜厚は、上下でほぼ均一であった。これらの結果では、DCのみの帯電方式では暗電位VD、明電位VLとも上側が低いムラ形状になるので、表面層の光吸収を上側の領域で大きくおよび/または下側の領域で小さくすることが好ましい。その調整を、表面層の光吸収係数で行うため、表面層の作製を表2の実施例1に示す条件に変更した。なお、表2の「円筒状基体701の温度」における上/下で表す数字は、表面層成膜時の、円筒状基体の±100mm位置の表面温度を示す(数字が一つのものは、上/下同じである)。また、「第2の原料ガス導入管913の細孔の数」では、「均等」は円筒状基体701に対向して上/下均等に配置していることを示し、上/下は細孔の数を変更したことおよび均等に対しての増減を示す。
Figure 2020181102
得られたa−Si感光体に対し、感光体を帯電させるために帯電部材に印加する電圧を、DCのみの帯電方式にして、以下に示す「画像濃度ムラの評価」を行った。
(画像濃度ムラの評価)
感光体を評価する画像形成装置として、キヤノン株式会社製のiRC−6800を用い、コロナ帯電方式から図1のような帯電ローラ103が感光体101に接触して正帯電する接触帯電方式に実験用に改造して使用した。表面電位計は、黒現像器位置に、感光体の軸方向に複数設置し、測定位置は0mm、±50mm、±100mm、±150mmの7点が同時に行うことが可能である。
作製した感光体を、画像形成装置に設置し、電位設定を行った。黒現像器位置の0mm位置における暗電位VDの一周の平均が450Vになるように帯電ローラに印加する電圧を調整した。その後、0mm位置における明電位VLの一周の平均が100Vになるように像露光手段の光量を調整した。
電位設定の後、画像形成装置から表面電位計を撤去して黒現像器を設置し、画素密度が50%のブラック単色のハーフトーン画像をA3サイズで出力した。得られた画像について、反射濃度計(X−Rite Inc製 504分光濃度計)により濃度を測定した。画像濃度の測定は、画像の長手方向に中心を0mmとして、0mm、±50mm、±100mm、±150mm、±200mmの計9点と、画像の短手方向に中心を0mmとして、0mm、±50mm、±100mm、±150mmの計7点の合計63点行った。
なお、本評価では画像の短手方向が感光体の軸方向に相当する。そのため、感光体膜が形成された部分の感光体を軸方向に2等分して2つの領域に分けて、それぞれの領域で画像濃度の平均値を求めるときは、画像の短手方向の0mm位置を除いた軸方向3点×周方向9点の計27点を平均した値とした。得られたそれぞれの領域の平均値の差を画像濃度ムラとした。
得られた画像濃度ムラに関し、後述する比較例1(refドラム)の画像濃度ムラを基準とし、(得られた画像濃度ムラ)/(refドラムの濃度ムラ)を算出し、以下に示す基準の相対評価によるランク付けを行った。このランクでは、「D」はrefドラムと同等で変化がないことを示し、「A」に向かって画像濃度ムラが改善され、均一化していくことを示す。
A:0.2未満
B:0.2以上、0.5未満
C:0.5以上、0.8未満
D:0.8以上(refドラム同等で変化なし)
結果を表3に示す。なお、表3の「表面層膜厚」、「表面層光吸収係数」で上/下で表す数字は、0mm位置での測定値に対する±100mmでの大小を示す(均一は、上/下ほぼ同じである)。
〔実施例2〕
実施例1よりも表面層の光吸収係数を更に上側の領域で大きく、下側の領域で小さくするため、表面層を表2の実施例2に示す作製条件に変更してa−Si感光体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
〔実施例3〕
表面層の光吸収の調整を表面層膜厚で行うため、表面層を表2の実施例3に示す作製条件に変更してa−Si感光体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
〔実施例4〕
実施例3よりも表面層の膜厚を更に上側の領域で厚く、下側の領域で薄くするため、表面層を表2の実施例4に示す作製条件に変更してa−Si感光体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
〔実施例5〕
表面層の光吸収の調整を表面層膜厚と光吸収係数の両方で行うため、表面層を表2の実施例5に示す作製条件に変更してa−Si感光体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
〔実施例6〕
感光体膜の膜厚ムラを改善するように第1の原料ガス導入管912の側面の細孔の配置を調整した。そして、表面層を表2の実施例6に示す作製条件(実施例1と同じ条件)にして、a−Si感光体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。なお、この感光体膜の膜厚ムラは、改善され、感光体の上側膜厚が10%厚い状態であった。
〔実施例7〕
感光体膜の膜厚ムラを更に改善するように第1の原料ガス導入管912の側面の細孔の配置を調整した。そして、表面層を表2の実施例7に示す作製条件(実施例1と同じ条件)にして、a−Si感光体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。なお、この感光体膜の膜厚ムラは、更に改善され、感光体の上側膜厚が5%厚い状態であった。
〔実施例8〕
実施例1で得られたa−Si感光体に対し、感光体を帯電させるために帯電部材に印加する電圧を、AC+DC帯電にした。それ以外は実施例1と同様にして、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
〔比較例1〕
表1に示す条件でa−Si感光体(ref.ドラム)を作製した。得られた感光体に対し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
〔比較例2〕
表1に示す条件でa−Si感光体(ref.ドラム)を作製した。得られた感光体に対し、実施例8と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2020181102
表3の結果から、DCのみの帯電方式で比較すると、比較例1に対し実施例1〜7の全てにおいて画像濃度ムラが良化した。また、AC+DC帯電で比較すると、比較例2に対し実施例8の画像濃度ムラが良化した。つまり、軸方向で感光体膜の膜厚ムラがあっても、感光体膜の膜厚ムラに応じて表面層の光吸収を変えることで、画像濃度ムラを軽減させることが可能になっている。
また、比較例2(AC+DC帯電方式)に比べて比較例1(DCのみの帯電方式)の方が画像濃度ムラは大きいが、表面層の光吸収を調整した実施例2、実施例4および実施例5では比較例2と同等になった。したがって、より簡素化した帯電方式が可能になる。また、画像形成装置での出力画像の濃度均一化のための電位ムラ補正も簡素化が可能になる。したがって、従来よりも低コストの画像形成装置を提供することが可能になる。
101‥‥感光体
101a‥‥感光体の表面
102‥‥前露光手段
103‥‥帯電ローラ
104‥‥像露光手段
105‥‥現像手段
106‥‥転写手段
107‥‥クリーニング手段
108‥‥電源
201‥‥空隙
700‥‥感光体膜
701‥‥円筒状基体
702‥‥電荷注入阻止層
703‥‥光導電層
704‥‥表面層

Claims (10)

  1. 導電性の円筒状基体の外周面に少なくとも光導電層と表面層とを含む感光体膜が形成された電子写真感光体であって、
    前記感光体膜が形成された部分の前記電子写真感光体の軸方向において、前記感光体膜の膜厚が厚い領域における前記表面層の光吸収が、前記感光体膜の膜厚が薄い領域における前記表面層の光吸収より大きいことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記感光体膜が形成された部分の前記電子写真感光体を軸方向に2等分して2つの領域に分け、前記感光体膜の膜厚の平均値が厚い側を第1の領域とし、前記感光体膜の膜厚の平均値が薄い側を第2の領域とすることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記第1の領域における前記表面層の光吸収係数が、前記第2の領域における前記表面層の光吸収係数よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記第1の領域における前記表面層の膜厚が、前記第2の領域における前記表面層の膜厚よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体。
  5. 前記第1の領域における前記表面層の光吸収係数および膜厚が、前記第2の領域における前記表面層の光吸収係数および膜厚よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体。
  6. 前記第1の領域における膜厚の平均値をd1とし、前記第2の領域における膜厚の平均値をd2としたとき、d1およびd2は下記式(4)
    Figure 2020181102
    を満たすことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記光導電層は、アモルファスシリコン系材料を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  8. 導電性の円筒状基体の外周面に少なくとも光導電層と表面層とを含む感光体膜を形成する電子写真感光体の製造方法であって、
    前記感光体膜が形成された部分の前記電子写真感光体の軸方向において、前記感光体膜の膜厚が厚い領域における前記表面層の光吸収が、前記感光体膜の膜厚が薄い領域における前記表面層の光吸収より大きくなるように前記表面層の光吸収係数および/または膜厚を調整して形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  9. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体に接触または近接配置され、電圧を印加して前記電子写真感光体を帯電させる帯電部材とを備えることを特徴とする画像形成装置。
  10. 前記電圧は直流電圧のみであることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
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