JP2020169394A - 塑性加工用の金型およびその製造方法 - Google Patents

塑性加工用の金型およびその製造方法 Download PDF

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【課題】内部に凸部や凹部を備えている、複雑で微細な構造の凹状構造を高精度で成形できる塑性加工用の金型を提供する。【解決手段】基板1の上面に多段状の成形凸部2が形成されている塑性加工用の金型の製造方法である。基板1の上面にレジスト開口35を備えるレジストパターン36を形成する工程と、レジスト開口35に露出する基板1の表面に第1金属層21を形成する工程と、第1金属層21の上面に介在層26を形成する工程と、介在層26の上面にレジスト開口39を備えるレジストパターン40を形成する工程と、レジスト開口39に露出する介在層26を除去する工程と、レジスト開口39に露出する第1金属層21の表面に第2金属層22を形成する工程と、レジストパターン36・40を除去する工程と、第1金属層21および第2金属層22の表面に金属カバー層(29)を形成する工程とを有する。【選択図】図5

Description

本発明は、成形対象に一群の凹状構造を成形するための塑性加工用の金型、なかでも、内部に凸部や凹部を備えている複雑な凹状構造を成形するための塑性加工用の金型と、その製造方法に関する。
例えば、表面実装型のセラミックパッケージの製造方法として、基板にセラミックシートを積層したのち焼成して、片面にキャビティ(凹状構造)を備えたセラミック基板を得ることが特許文献1に開示されている。また、特許文献1には、合計4枚のセラミックシートを積層して、最下層のセラミックシートの中央に向かって階段状に凹むキャビティを形成することが開示されている。
本出願人は、この種の成形金型に関して特許文献2の電鋳メタルを先に提案している。そこでは、銅合金製の基板の表面にニッケルを1次電鋳して電着層を形成し、電着層の表面に、電鋳用の開口部を備えた電着パターンをフォトリソグラフィ法によって形成する。開口部に合致する通口を備えた捨て電着用部材を別途形成しておき、捨て電着用部材を電着パターンの表面に密着した状態で、開口部および捨て電着用部材の表面にニッケルを2次電鋳する。次に、捨て電着用部材を剥離除去し、さらにパターンレジストを除去して、電着層の表面に穿孔用の凸部を形成し、凸部および電着層の表面にメッキ被膜を形成して電鋳メタルを完成する。凸部の厚みは200〜300μmである。この電鋳メタルを使用することにより、グリーンシートに微小部品を搭載するための一群の孔を形成することができる。
特開2003−158375公報(段落番号0032〜0033、図1) 特開2002−180282公報(段落番号0017〜0024、図1)
近年、表面実装型のセラミックパッケージの小形化と、低背化(薄形化)とが促進され、その外形サイズはますます小さくなりつつある。例えば、小形化されたセラミックパッケージの縦横寸法は1.6×1.2mmしかなく、そのため装填凹部を成形するための金型は、より高度の寸法精度や位置精度を備えていることが要求される。しかし、特許文献1の多層基板の製造方法においては、焼成前のセラミックシートにパンチング加工を施して開口やビアホールを形成するため、先に述べたような微小サイズのセラミックパッケージに対応した開口やビアホールを高精度に加工することが困難になる。セラミックパッケージが小さくなるのに伴い、加工寸法に対する許容誤差寸法が極端に小さくなるが、パンチング加工用の金型では、加工時のばらつき寸法が先の許容誤差寸法より大きくなるため、要求される精度の塑性加工を行うことは極めて困難になるからである。
その点、特許文献2の電鋳メタルでは、電鋳加工によって成形凸部を高精度に形成できるので、グリーンシートに微小部品を搭載するための一群の孔を精密に形成できる。しかし、特許文献2の電鋳メタルは、成形用凸部の厚みが一定であるため、グリーンシートに形成される孔は、凸部の外形形状に合致した一定深さの孔にしかならない。そのため、微小パーツの構造や機能に対応した凹状構造を形成することができない。詳しくは、内部に凸部や凹部を備えている複雑な凹状構造を成形することはできない。
本発明の目的は、内部に凸部や凹部を備えている複雑で微細な凹状構造を高精度で成形できる塑性加工用の金型と、その製造方法を提供することにある。
本発明に係る塑性加工用の金型は、加工対象3に凸部や凹部を備えた凹状構造4の一群を成形するための金型である。塑性加工用の金型は、金属製の基板1の上面に、凹状構造4を形成するための一群の成形凸部2が設けられて、一群の成形凸部2の表面が金属カバー層29で覆われている。図1、図14(e)に示すように、成形凸部2は、多段状に積層した複数の金属層で構成する。
複数の金属層は電鋳層21・22・23からなる。
複数の金属層はメッキ層51・52からなる。
図3に示すように、基板1の上面には一群の成形凸部2を備えた成形エリア11が形成されている。成形エリア11を囲む状態でダミーエリア13が形成されている。ダミーエリア13に、成形凸部2と同じ構造の一群のダミー成形凸部15が形成されている。
基板1の周縁にダミーエリア13を囲む外周エリア14が形成されている。外周エリア14において金属カバー層29が露出している。
各金属層の上面は介在層26・27・28で覆われている。
本発明に係る塑性加工用の金型の製造方法は、金属製の基板1の上面に多段状の成形凸部2の一群が形成された金型の製造方法である。本製造方法は、電鋳対象に、レジスト開口35・39を備えたレジストパターン36・40をフォトリソグラフィ法で形成するパターニング工程と、レジスト開口35・39に臨む電鋳対象の表面に電鋳層21・22・23を形成する電鋳工程と、レジストパターン36・40を除去するパターン除去工程を含む。パターニング工程と電鋳工程を2回以上交互に行い、最終の電鋳工程ののちパターン除去工程を行い、基板1の上面に複数の電鋳層21・22・23を積層形成して成形凸部2を多段状に形成し、一群の成形凸部2を含む基板1の上面にメッキ処理を施して金属カバー層29を形成することを特徴とする。
本発明に係る塑性加工用の金型の別の製造方法においては、金属製の基板1の上面に多段状の成形凸部2の一群が形成された金型の製造方法である。本製造方法は、処理対象に、レジスト開口35・39を備えたレジストパターン36・40をフォトリソグラフィ法で形成するパターニング工程と、レジスト開口35・39に臨むメッキ対象の表面にメッキ層51・52を形成するメッキ工程と、レジストパターン36・40を除去するパターン除去工程を含む。パターニング工程とメッキ工程を2回以上交互に行い、最終のメッキ工程ののちパターン除去工程を行い、基板1の上面に複数のメッキ層51・52を積層形成して成形凸部2を多段状に形成し、一群の成形凸部2を含む基板1の上面にメッキ処理を施して金属カバー層29を形成することを特徴とする。
上記の製造方法は、基板1の上面にメッキ処理を施してストライクメッキ層20を形成する下地調整工程を備えており、下地調整工程を行ったのち、パターニング工程と電鋳工程またはメッキ工程を行って1層目の電鋳層21、または1層目のメッキ層51を形成する。
金属製の原板44に複数の基板1を同時に形成する。原板44を複数の基板1の集合外郭線Lに沿ってレーザーカッターで切断して、基板集合体45を形成する。基板集合体45を個々の基板1の外郭線に沿ってワイヤーカット放電加工機で切断して、複数の塑性加工用の金型を形成する。
本発明に係る塑性加工用の金型においては、金属製の基板1の上面に、凸部や凹部を備えた凹状構造4を形成するための一群の成形凸部2を設け、一群の成形凸部2の表面を金属カバー層29で覆うようにした。また、成形凸部2は、多段状に積層した複数の金属層で構成した。こうした塑性加工用の金型によれば、従来構造の金型に比べて、寸法精度や位置精度に優れた高精度の成形凸部2を精確に形成できる。従って、一群の成形凸部2を備えた金型を使用して加工対象3に塑性加工を施すことにより、内部に凸部や凹部を備えている複雑で微細な構造の凹状構造4を高精度に、しかも1回の塑性加工のみで確実に成形できる。また、一群の成形凸部2の表面を金属カバー層29で覆うことにより、成形凸部2の外隅部を覆う部分の金属カバー層29を丸めることができる。従って、塑性加工が施された加工対象3を金型から離型する場合に、加工対象3を容易に離型できる。
複数の金属層を電鋳層21・22・23で形成すると、内部に凸部や凹部を備えている複雑で微細な構造の凹状構造4を高精度に形成できる。
複数の金属層をメッキ層51・52で形成すると、電鋳層21・22・23で金属層を形成する場合と同様に、複雑で微細な構造の凹状構造4を高精度に形成できるうえ、塑性加工用の金型をより低コストで提供できる。
基板1の上面に一群の成形凸部2を備えた成形エリア11を形成し、さらに成形エリア11を囲む状態でダミーエリア13を形成して、同エリア13に成形凸部2と同じ構造の一群のダミー成形凸部15を形成すると、成形エリア11に形成される成形凸部2の層厚みを均一にすることができる。これは以下の理由による。電鋳加工時に、基板1上に電着される単位面積当たりの電着金属の量はほぼ一定であるが、各成形凸部2の形や外形寸法、あるいは隣接ピッチが同じであると、全ての成形凸部2の層厚みは同じになる。しかし、例えば各成形凸部2の形や外形寸法が同じであったとしても、隣接ピッチが異なっていると、成形凸部2の配置密度の違いに応じて各電鋳層21・22・23の層厚みに違いが生じてしまう。成形凸部2の配置密度が粗である領域ほど成形凸部2の層厚みが大きくなり、成形凸部2の配置密度が密である領域ほど成形凸部2の層厚みが小さくなる。こうした層厚みのばらつきを解消するために、成形エリア11の周囲にダミーエリア13を形成し、同エリア13に成形凸部2と同じ構造の一群のダミー成形凸部15を形成して、成形エリア11に形成される成形凸部2の層厚みを均一化している。因みに、ダミーエリア13が設けられていない場合には、成形エリア11の周縁寄りに位置する成形凸部2の層厚みが、成形エリア11の中央寄りに形成される成形凸部2の層厚みに比べて大きくなってしまう。
基板1の周縁に外周エリア14を設け、同エリア14において、金属カバー層29を露出させると、外周エリア14によって一群の成形凸部2を備えた金型の外縁を特定することができる。多くの場合には、金型を低コストで製造するために、面積が大きな原板44に多数個の基板1を同時に形成し、最後に個々の基板1として切分けるが、その場合に、外周エリア14を指標にして基板1を切断することにより、基板1の切断を適確に行うことができる。
各電鋳層21・22・23の上面を、電鋳層21・22・23との密着性に優れた介在層26・27・28で覆うと、隣接する電鋳層21・22・23同士の密着強度を高めて、成形凸部2の構造強度を増強でき、従って、一群の成形凸部2を備えている金型の耐久性を向上できる。これは以下の理由による。各電鋳層21・22・23は例えばニッケル−コバルト合金を電着させて形成するが、1層目の電鋳層21に2層目の電鋳層22を直接電着させ、あるいは2層目の電鋳層22に3層目の電鋳層23を直接電着させると、隣接する電鋳層21・22・23同士を強固に密着させることができない。このように、電着金属がニッケル系金属であると密着性の相性が悪く、充分な密着強度が得られないからである。しかし、各電鋳層21・22・23の上面に介在層26・27・28を形成し、その上面に2層目あるいは3層目の電鋳層23を形成すると、隣接する電鋳層21・22・23同士を、介在層26・27を介して強固に一体化して密着強度を増強できる。同様に、最外層の電鋳層22・23の上面に金属カバー層29を形成する場合にも、金属カバー層29と最外層の電鋳層22・23を、介在層26・27・28を介して強固に一体化して密着強度を増強できる。また、各メッキ層51・52の上面を介在層で覆ってもよく、その場合も同様な効果が得られる。なお、介在層26・27・28の形成素材としては、とくに制限はないが、各金属層や金属カバー層29をニッケル―コバルト合金で形成する場合には銅が好ましい。
本発明に係る塑性加工用の金型の製造方法においては、パターニング工程と電鋳工程を2回以上交互に行い、最終の電鋳工程ののちパターン除去工程を行って、基板1の上面に複数の電鋳層21・22・23を積層形成し、成形凸部2を多段状に形成するようにした。さらに、一群の成形凸部2を含む基板1の上面にメッキ処理を施して金属カバー層29を形成した。こうした金型の製造方法によれば、従来構造の金型に比べて、寸法精度や位置精度に優れた高精度の成形凸部2の一群を精確に形成できる。また、パターニング工程と電鋳工程を2回以上交互に行って複数の電鋳層21・22・23を積層し、多段状の成形凸部2を形成するので、成形凸部2の構造の自由度が高く、より複雑な形状の凹状構造4を成形するための成形凸部2を、確実に形成することができる。さらに、一群の成形凸部2を含む基板1の上面に金属カバー層29を形成するので、成形凸部2の外隅部を覆う部分の金属カバー層29を丸めることができる。従って、塑性加工時に加工対象3を金型から離型する場合に、加工対象3を円滑にしかも容易に離型できる。加工対象3に形成した微細な凹状構造4が、離型時に傷むこともない。
本発明に係る塑性加工用の金型の別の製造方法においては、パターニング工程とメッキ工程を2回以上交互に行い、最終のメッキ工程ののちパターン除去工程を行って、基板1の上面に複数のメッキ層51・52を積層形成し、成形凸部2を多段状に形成するようにした。こうした金型の製造方法によれば、従来構造の金型に比べて、寸法精度や位置精度に優れた高精度の成形凸部2の一群を精確に形成できる。また、パターニング工程とメッキ工程を2回以上交互に行って複数のメッキ層51・52を積層し、多段状の成形凸部2を形成するので、成形凸部2の構造の自由度が高く、より複雑な形状の凹状構造4を成形するための成形凸部2を、確実に形成することができる。さらに、一群の成形凸部2を含む基板1の上面に金属カバー層29を形成するので、成形凸部2の外隅部を覆う部分の金属カバー層29を丸めることができる。従って、塑性加工時に加工対象3を金型から離型する場合に、加工対象3を円滑にしかも容易に離型できる。加工対象3に形成した微細な凹状構造4が、離型時に傷むこともない。
上記の製造方法において、下地調整工程においてストライクメッキ層20を形成したのち、パターニング工程と電鋳工程またはメッキ工程を行って1層目の電鋳層21、または1層目のメッキ層51を形成すると、1層目の電鋳層21または1層目のメッキ層51と基板1を、ストライクメッキ層20を介して強固に一体化して、両者1・2の密着強度を増強できる。
複数の基板1が同時に形成してある原板44を、複数の基板1の集合外郭線Lに沿ってレーザーカッターで切断して基板集合体45を形成し、さらに、基板集合体45を個々の基板1の外郭線に沿ってワイヤーカット放電加工機で切断するのは、切断時の熱によって成形エリア11に形成した成形凸部2が熱変形するのを避けるためである。詳しくは、原板44を多数個の基板1の集合外郭線Lに沿ってレーザーカッターで切断すると、集合体の切断を速やかに行える。また、レーザーによる切断位置が各基板1から充分に離れているので、切断時の熱によって成形エリア11に形成した成形凸部2が熱変形することはない。しかし、基板集合体45から個々の基板1を切断する際には、切断位置が成形エリア11に近づくため、切断時の熱によって成形エリア11に形成した成形凸部2が熱変形するおそれがある。こうした切断時の熱による成形凸部2の熱変形を避けるために、基板集合体45から個々の基板1を切断する際には、水槽中で切断を行うワイヤーカット放電加工機を使用している。
本発明の実施例1に係る塑性加工用の金型の成形凸部の構造を示す断面図である。 塑性加工用の金型と加工対象の関係を示す説明図である。 塑性加工用の金型の平面図である。 図3におけるA−A線断面図である。 基板に第1電鋳層を形成する工程を示す説明図である。 基板に第2電鋳層を形成する工程を示す説明図である。 基板に銅層と金属カバー層を形成する工程を示す説明図である。 複数の基板を備えた原板から基板集合体を切断し、基板集合体から塑性加工用の金型を切断する過程を示す平面図である。 本発明の実施例2に係る塑性加工用の金型における成形凸部の構造を示す断面図である。 本発明の実施例3に係る塑性加工用の金型における成形凸部の構造を示す断面図である。 本発明の実施例4に係る塑性加工用の金型における成形凸部の構造を示す断面図である。 本発明の実施例5に係る塑性加工用の金型における成形凸部の構造を示す断面図である。 本発明の実施例6に係る工程説明図であって、基板に第1メッキ層を形成する工程を示している。 本発明の実施例6に係る工程説明図であって、基板に第2メッキ層を形成する工程を示している。
(実施例1) 図1ないし図8は、本発明に係る塑性加工用の金型を、セラミックシートに塑性加工を施すスタンプ金型に適用した実施例1を示す。図2においてスタンプ金型は、厚みが1.0〜10.0mmのステンレス板材からなる基板1の上面に、一群の成形凸部2を形成して構成される。この金型を使用して、焼成前のセラミックシート(加工対象)3に表面実装用の電子部品やセンサーなどの微小パーツを収容するための装填凹部(凹状構造)4の一群が成形される。図2において符号5はセラミックシート3を支持する固定台、符号6は昇降移動して塑性加工用の金型をセラミックシート3に押付ける可動台である。
図3に示すようにスタンプ金型は、長方形状の基板1の中央部を含む成形エリア11と、成形エリア11の周囲を囲むダミーエリア13と、基板1の周縁に形成されてダミーエリア13を囲む外周エリア14を備えている。成形エリア11には、一群の成形凸部2がマトリクス状に形成されており、ダミーエリア13には、一群のダミー成形凸部15がマトリクス状に形成されている。成形凸部2やダミー成形凸部15は円形に形成するが、多角形状や楕円形状に形成してあってもよい。外周エリア14には、成形凸部2やダミー成形凸部15は形成されておらず、後述するカバーメッキ層29が外周エリア14において露出している。基板1の長辺部の長さは200mmであり、短辺部の長さは150mmである。
成形凸部2とダミー成形凸部15は同じ構造に形成するが、成形エリア11に設けた成形凸部2で成形された装填凹部4のみがセラミックパッケージとして使用される。上記のように、成形エリア11の周囲にダミーエリア13を形成し、同エリア13に成形凸部2と同じ構造のダミー成形凸部15を形成するのは、成形エリア11とダミーエリア13に形成される成形凸部2の密度を均一にして、成形エリア11における成形凸部2の層厚み(高さ)を均一化するためである。
より詳しくは、電鋳加工時に基板1上に電着される単位面積当たりの電着金属の量はほぼ一定であり、各成形凸部2の形や外形寸法、あるいは隣接ピッチが同じであると、全ての成形凸部2の層厚みは同じになる。しかし、例えば各成形凸部2の形や外形寸法が同じであったとしても、隣接ピッチが異なっていると、成形凸部2の配置密度の違いに応じて層厚みに違いが生じてしまう。成形凸部2の配置密度が粗である領域ほど成形凸部2の層厚みが大きくなり、成形凸部2の配置密度が密である領域ほど成形凸部2の層厚みが小さくなる。こうした層厚みのばらつきを解消するために、成形エリア11の周囲にダミーエリア13を形成し、同エリア13に成形凸部2と同じ構造の一群のダミー成形凸部15を形成して、成形エリア11に形成される成形凸部2の層厚みが均一になるようにしている。
図1および図4に成形凸部2の詳細構造を示している。成形凸部2は、基板(電鋳対象)1の上面に形成される第1電鋳層(金属層)21と、電鋳対象である第1電鋳層21の上面に形成される銅メッキ層(介在層)26と、銅メッキ層26の上面に形成される2層目の第2電鋳層(金属層)22と、第2電鋳層22の上面に形成される銅メッキ層(介在層)27と、銅メッキ層27の上面に形成されるカバーメッキ層(金属カバー層)29で構成される。なお、基板1と第1電鋳層21の密着性を向上するために、基板1上にストライクメッキ層20を形成することが好ましく、このストライクメッキ層20の形成素材としては、ニッケル、銅、金、銀が好適である。図3および図4に示すように、この実施例では、第1電鋳層21を円形状に形成し、その上面の周囲および中央部の上面に第2電鋳層22を形成して、第2電鋳層22の形成領域に左右一対の平行な凹部30を備えたコンセント状の成形凸部2を形成した場合を示している。第1電鋳層21および第2電鋳層22はいずれもニッケル−コバルトを電鋳処理して形成するが、第2電鋳層22の第1電鋳層21に対する密着強度を高めるために、第1電鋳層21の上面に銅メッキ層26を形成している。同様に、ニッケル−コバルトのメッキ層からなるカバーメッキ層29の第2電鋳層22に対する密着強度を高めるために、第2電鋳層22の上面に銅メッキ層27を形成している。一群の成形凸部2を含む基板1の上面をカバーメッキ層29で覆うことにより、成形凸部2の外隅部を覆う部分のカバーメッキ層29を丸めることができる。従って、塑性加工が施された加工対象3を金型から離型する場合に、加工対象3を円滑にしかも容易に離型できる。セラミックシート3に形成した微細な凹状構造4が、離型時に傷むこともない。
上記のように、第1電鋳層21と第2電鋳層22で多段状に形成した成形凸部2で装填凹部4を成形することにより、図2に示すように、底面に左右一対の突リブ31を備えた
装填凹部4を形成することができる。第1電鋳層21の厚みは100〜200μm、第2電鋳層22の厚みは10〜100μmとした。ストライクメッキ層20の厚みは0.01〜1μm、銅メッキ層26・27・28の厚みは1〜5μm、カバーメッキ層29の厚みは1〜10μmとすることが好ましい。
上記構成のスタンプ金型は、下地調整工程と、パターニング工程と、電鋳工程と、パターン除去工程と、電鋳工程の後に行われる研削工程、およびメッキ工程などを経て製造する。下地調整工程においては、ステンレス製の基板1の上面にメッキ処理を施してストライクメッキ層20を形成する。なお、ストライクメッキ層20は、基板1の上面全体に形成するが、以下のパターニング工程ののちに、レジスト開口35に露出する基板1の表面に形成してもよい。
(パターニング工程)
1回目のパターニング工程においては、図5(a)および図5(b)に示すように、ストライクメッキ層(電鋳対象)20の上面にフォトレジスト層33を形成し、その上面にフォトマスク34を密着した状態で露光し、現像および乾燥を行い、未露光部を溶解除去して、レジスト開口35を備えたレジストパターン36をストライクメッキ層20の上面に形成する。このように1回目のパターニング工程においては、1層目のレジストパターン36をフォトリソグラフィ法で形成する。
(電鋳工程、研削工程、およびメッキ処理)
1回目の電鋳工程においては、図5(c)に示すように、レジストパターン36が形成された基板1を電鋳液に浸漬して、レジスト開口35に露出しているストライクメッキ層20に、電着金属がレジストパターン36の厚みを僅かに超えるまで成長させて、第1電鋳層21を形成する。図5(d)に示すように、得られた基板1の第1電鋳層21の上面側に研削加工を施して、第1電鋳層21の厚みを所定の厚みに調整する。さらに、第1電鋳層21の上面側に銅のメッキ処理を施して銅メッキ層(介在層)26を形成する。上記のように、下地調整工程においてストライクメッキ層20を形成したのち1層目の電鋳層21を形成すると、1層目の電鋳層21を基板1の上面に直接形成する場合に比べて、1層目の電鋳層21と基板1を、ストライクメッキ層20を介して強固に一体化して、基板1と成形凸部2の密着強度を増強できる。
(パターニング工程)
2回目のパターニング工程においては、図6(a)および図6(b)に示すように、銅メッキ層(電鋳対象)26の上面にフォトレジスト層37を形成し、その上面にフォトマスク38を密着した状態で露光し、現像および乾燥を行い、未露光部を溶解除去して、レジスト開口39を備えたレジストパターン40を第1電鋳層21の上面側に形成する。このように2層目のレジストパターン40はフォトリソグラフィ法で形成する。
(電鋳工程および研削工程)
2回目の電鋳工程においては、図6(c)に示すように、レジストパターン40が形成された基板1を電鋳液に浸漬して、レジスト開口39に露出している銅メッキ層26に、電着金属がレジストパターン40の厚みを僅かに超えるまで成長させて第2電鋳層22を形成する。図6(d)に示すように、第2電鋳層22の上面側に研削加工を施して、第2電鋳層22の厚みを所定の厚みに調整する。
(パターン除去工程およびメッキ処理)
パターン除去工程においては、レジストパターン36・40を溶解除去して、第1電鋳層21および第2電鋳層22を露出させる。次に、図7(a)に示すように、第2電鋳層22の上面側に銅のメッキ処理を施して銅メッキ層(介在層)27を形成する。さらに、図7(b)に示すように、銅メッキ層27の上面側にニッケル−コバルトのメッキ処理を施して、カバーメッキ層29を形成してスタンプ金型を完成する。以上のように、この実施例ではパターニング工程と電鋳工程を2回ずつ行って、成形凸部2を多段状に形成した。なお、カバーメッキ層29は、一群の成形凸部2の表面にのみ形成してあってもよい。また、カバーメッキ層29は、光沢メッキで形成するのが好ましい。
上記のように、各電鋳層21・22の上面を銅メッキ層26・27で覆うと、隣接する電鋳層21・22同士の密着強度を高めて、成形凸部2の構造強度を増強できる。従って、一群の成形凸部2を備えている金型の耐久性を向上できる。各電鋳層21・22は例えばニッケル−コバルト合金を電着させて形成するが、1層目の電鋳層21に2層目の電鋳層22を直接電着させ、隣接する電鋳層21・22同士を強固に密着させることができない。電着金属が同じ素材であると、充分な密着強度が得られないからである。しかし、電鋳層21の上面に銅メッキ層26を形成し、その上面に2層目の電鋳層22を形成すると、隣接する電鋳層21・22同士を、銅メッキ層26を介して強固に一体化して密着強度を増強できる。同様に、最外層の電鋳層22の上面にカバーメッキ層29を形成する場合にも、カバーメッキ層29と最外層の電鋳層22を、銅メッキ層27を介して強固に一体化して密着強度を増強できる。
スタンプ金型は、原理的には上記の各工程を経て形成するが、実際には図8(a)に示すように、面積が大きなステンレス製の原板44を用意しておき、その板面に9個の基板1を同時に形成して、スタンプ金型をより低コストで製造できるようにしている。この場合のフォトマスク34・38は、9個分の基板1を覆う大きさに形成してある。一連の処理が施された原板44は、9個の基板1の集合外郭線Lに沿ってレーザーカッターで切断されて、図8(b)に示す9個の基板1を備えた基板集合体45とされる。また、基板集合体45を個々の基板1の外郭線に沿ってワイヤーカット放電加工機で切断することにより、図8(c)に示す9個の塑性加工用の金型を得ることができる。
原板44を9個の基板1の集合外郭線Lに沿ってレーザーカッターで切断すると、基板1の集合体の切断を速やかに行える。また、レーザーによる切断位置が各基板1から充分に離れているので、切断時の熱によって成形エリア11に形成した成形凸部2が熱変形することはない。しかし、基板集合体45から9個の基板1を切断する際には、切断位置が成形エリア11に近づくため、切断時の熱によって成形エリア11に形成した成形凸部2が熱変形するおそれがある。こうした切断時の熱による成形凸部2の熱変形を避けるために、基板集合体45から9個の基板1を切断する際には、水槽中で切断を行うワイヤーカット放電加工機を使用している。
個々のスタンプ金型は、洗浄し乾燥することにより完成する。得られたスタンプ金型を使用してセラミックシート3に塑性加工を施すことにより、内部に凸部や凹部を備えている複雑で微細な構造の装填凹部4の一群を高精度に形成できる。焼成されたセラミックシートの装填凹部4には、例えば水晶振動子、水晶発振器、加速度センサー、角速度センサーなどの微小パーツを装填したのち、装填凹部の開口面を蓋で封止することにより、真空封止されあるいは気密封止された表面実装型のセラミックパッケージを得ることができる。
以上のように電鋳法で形成した塑性加工用の金型によれば、従来構造の金型に比べて、寸法精度や位置精度に優れた高精度の成形凸部2を精確に形成できる。従って、一群の成形凸部2を備えた金型を使用して加工対象3に塑性加工を施すことにより、内部に凸部や凹部を備えている複雑で微細な構造の装填凹部4を高精度に、しかも1回の塑性加工のみで確実に成形できる。
基板1の周縁に外周エリア14を設け、同エリア14においてカバーメッキ層29を露出させると、ダミーエリア13と外周エリア14の外観を大きく異ならせて、塑性加工用の金型の形状を明確に認識させることができる。また、ダミーエリア13と外周エリア14の単位面積当たりの電着量を、成形エリア11の単位面積当たりの電着量に近づけて、成形エリア11における成形凸部2の層厚みの均一化に寄与できる。なお、外周エリア14においてカバーメッキ層29を露出させる必要はなく、同エリア14にダミー成形凸部15を形成すると、成形エリア11における成形凸部2の層厚みの均一化により一層寄与できる。また、この実施例では成形凸部2とダミー成形凸部15を同じ構造としたが、その必要はなく、成形凸部2とダミー成形凸部15の構造が異なっていても良い。要は、成形エリア11と、外周エリア14を含むダミーエリア13の単位面積当たりの電着量が同じであれば良い。因みに、成形凸部2とダミー成形凸部15の構造を異ならせていれば、各凸部2・15で成形された成形品が入り混じったとしても、両成形品の識別を容易に行えるので、不必要な成形品を確実に取除くことができる。
(実施例2) 図9は実施例2に係る成形凸部2を示す。実施例2においては、成形凸部2を1層目の第1電鋳層21と、2層目の第2電鋳層22と、3層目の第3電鋳層(金属層)23で多段状に形成した。詳しくは、第1電鋳層21の上面の周囲に限って第2電鋳層22を形成し、第2電鋳層22の上面の周囲に限って第3電鋳層23を形成して、第1電鋳層21の中央に向かって階段状に凹む凹部48を形成した。第3電鋳層23は、3層目のレジストパターンをフォトリソグラフィ法で形成したのち、3回目の電鋳工程を経て形成した。この実施例においては、第2電鋳層22の上面に形成した銅メッキ層27が、3回目の電鋳処理を行う場合の電鋳対象となる。符号28は第3電鋳層23の上面に形成した銅メッキ層(介在層)である。以上のように、この実施例ではパターニング工程と電鋳工程を3回ずつ行って、成形凸部2を多段状に形成した。図示していないが、先に説明した成形凸部2と同様に、各電鋳層21〜23の上面にはそれぞれ銅をメッキ処理して銅メッキ層が形成してあり、以下の実施例においても、同様の銅メッキ層が形成してある。他は先の実施例と同じであるので同じ部材に同じ符号を付して、その説明を省略する。以下の実施例においても同じとする。
(実施例3) 図10は実施例3に係る成形凸部2を示す。実施例3においては、成形凸部2を1層目の第1電鋳層21と、2層目の第2電鋳層22と、3層目の第3電鋳層23で多段状に形成した。詳しくは、第1電鋳層21の上面の中央に限って第2電鋳層22を形成し、第2電鋳層22の上面の中央に限って第3電鋳層23を形成して、第3電鋳層23の上面が頂部となる成形凸部2を階段状に形成した。第3電鋳層23は、上記の実施例と同様に、3層目のレジストパターンをフォトリソグラフィ法で形成したのち、3回目の電鋳工程を経て形成することができ、以下の実施例においても、同様にして第3電鋳層23を形成することができる。
(実施例4) 図11は実施例4に係る成形凸部2を示す。実施例4においては、成形凸部2を1層目の第1電鋳層21と、2層目の第2電鋳層22と、3層目の第3電鋳層23で多段状に形成した。詳しくは、第1電鋳層21の上面の中央寄りに第2電鋳層22を形成し、第1電鋳層21の上面の周囲と、第1電鋳層21の上面の中央に、第2電鋳層22より分厚い第3電鋳層23を形成して、凹部と高さが異なる2種の凸部を備えた成形凸部2を多段状に形成した。
(実施例5) 図12は実施例5に係る成形凸部2を示す。実施例5においては、上記の実施例1において、第1電鋳層21および第2電鋳層22の上面側に形成した銅メッキ層26・27を省略して、1層目の第1電鋳層21の上面に第2電鋳層22を形成し、両電鋳層21・22の上面側にニッケル―コバルトのメッキ処理を施して、カバーメッキ層29を形成した。この実施例においては、第1電鋳層21が第2電鋳層22を形成する際の電鋳対象となる。
(実施例6) 図13および図14は実施例6に係るスタンプ金型の製造過程を示す工程説明図である。そこでは、パターニング工程と、メッキ工程と、パターン除去工程と、メッキ工程の後に行われる研削工程などを経てスタンプ金型を製造する。なお、メッキ工程におけるメッキ処理としては、蒸着やスパッタリングなど多様な処理方法があるが、以下では、無電解メッキでメッキ処理を行う場合について説明する。
(パターニング工程)
1回目のパターニング工程においては、図13(a)および図13(b)に示すように、基板1の上面にフォトレジスト層33を形成し、その上面にフォトマスク34を密着した状態で露光し、現像および乾燥を行い、未露光部を溶解除去して、レジスト開口35を備えたレジストパターン36を形成する。このように1回目のパターニング工程においては、1層目のレジストパターン36をフォトリソグラフィ法で形成する。
(メッキ工程、および研削工程)
1回目のメッキ工程においては、図13(c)に示すように、レジストパターン36が形成された基板1を無電解メッキ用のメッキ槽に浸漬して、レジスト開口35に露出している基板(メッキ対象)1にメッキ層を成長させて、第1メッキ層(金属層)51を形成する。図13(d)に示すように、得られた基板1の第1メッキ層51の上面側に研削加工を施して、第1メッキ層51の厚みを所定の厚みに調整する。
(パターニング工程)
2回目のパターニング工程においては、図14(a)および図14(b)に示すように、第1メッキ層51の上面にフォトレジスト層37を形成し、その上面にフォトマスク38を密着した状態で露光し、現像および乾燥を行い、未露光部を溶解除去して、レジスト開口39を備えたレジストパターン40を第1メッキ層51の上面側に形成する。このように2層目のレジストパターン40はフォトリソグラフィ法で形成する。
(メッキ工程および研削工程)
2回目のメッキ工程においては、図14(c)に示すように、レジストパターン40が形成された基板1を無電解メッキ用のメッキ槽に浸漬して、レジスト開口39に露出している第1メッキ層(メッキ対象)51の上面にメッキ層を成長させて第2メッキ層52を形成する。図14(d)に示すように、第2メッキ層52の上面側に研削加工を施して、第2メッキ層52の厚みを所定の厚みに調整する。
(パターン除去工程)
パターン除去工程においては、レジストパターン36・40を溶解除去して、第1メッキ層51および第2メッキ層52を露出させたのち、一群の成形凸部2を含む基板1の上面に金属カバー層29を形成してスタンプ金型を完成する。以上のように、この実施例ではパターニング工程とメッキ工程を2回ずつ行って、成形凸部2を多段状に形成した。必要があれば第3のメッキ層を形成して、成形凸部2を多段状に形成することができる。なお、第1メッキ層51および第2メッキ層52の上面は、介在層(26・27・28)で覆われていてもよい。
以上のようにメッキ法で形成した塑性加工用の金型によれば、実施例1の金型と同様に、従来構造の金型に比べて、寸法精度や位置精度に優れた高精度の成形凸部2を精確に形成できる。従って、一群の成形凸部2を備えた金型を使用して加工対象3に塑性加工を施すことにより、内部に凸部や凹部を備えている複雑で微細な構造の装填凹部4を高精度に、しかも1回の塑性加工のみで確実に成形できる。また、成形凸部2を複数の電鋳層21・22・23で形成する場合に比べて、塑性加工用の金型をより低コストで提供できる。
実施例1においては、図6(a)〜(d)に示すように、銅メッキ層26の上面にフォトレジスト層37を形成し、フォトマスク38を介して露光し、現像および乾燥を行い、未露光部を溶解除去して、2層目のレジストパターン40を形成した。さらに、基板1を電鋳液に浸漬して第2電鋳層22を形成した。上記のように、2層目のレジストパターン40は、フォトレジスト層37の未露光部を溶解除去して形成するが、未露光部の溶解除去時に、第1電鋳層21の上面にレジスト残渣が発生することがある。このように、レジスト残渣が存在すると、第1電鋳層21と第2電鋳層22の密着強度が低下してしまう。
上記のような密着強度の低下を防ぐために、レジストパターン40を形成した後に、エッチング処理を行って、レジスト開口39に露出する銅メッキ層26を除去すると、レジスト残渣を確実に除去できる。従って、エッチング処理を行ったのち、第2電鋳層22を形成することで、レジスト残渣の影響を排除して、第2電鋳層22の第1電鋳層21に対する密着強度を向上できる。さらに、レジストパターン36・40を溶解除去したのち、カバーメッキ層29を形成する。なお、レジストパターン36・40を溶解除去した状態においては、レジストパターン40の直下の銅メッキ層26が第1電鋳層21の上面に露出するが、露出した銅メッキ層26を除去したのちカバーメッキ層29を形成してもよく、銅メッキ層26を除去せずにカバーメッキ層29を形成してもよい。
実施例5において説明したスタンプ金型においても、上記と同様のエッチング処理を行うことにより、第1電鋳層21と第2電鋳層22の密着強度を向上できる。実施例5においては、図12に示すように、第1電鋳層21と第2電鋳層22の層間、および第2電鋳層22とカバーメッキ層29の層間に銅メッキ層(介在層)が存在しない金型の形態であるが、係る形態の金型を製造する過程では、銅メッキ層を形成してもよい。詳しくは、実施例1の図5(a)〜(c)に示すように、1回目のパターニング工程と電鋳工程を行ったのちに、図5(d)に示すように、第1電鋳層21の上面に銅メッキ層26を形成する。これが、先に述べた密着強度の低下を防ぐ役割となる。このように、第1電鋳層21の上面に銅メッキ層26を形成したのち、図6(a)、(b)に示すように2回目のパターニング工程を行う。2回目のパターニング工程におけるレジスト現像時に、レジスト残渣が発生し、レジスト開口39内に存在することがあるが、その場合には、レジスト開口39に露出する銅メッキ層26を除去することで、レジスト残渣を一緒に除去できる。こののち、2回目の電鋳工程を行うことで、第1電鋳層21と第2電鋳層22の密着強度を向上できる。この後、レジストパターン除去工程を行い、レジストパターン40の直下の銅メッキ層26を除去して、カバーメッキ層29を形成することにより、図12に示す金型が得られる。
上記の各実施例では、各金属層の形成素材としては、ニッケル−コバルト以外に、ニッケル、あるいはコバルト以外の金属を含むニッケル合金、さらに銅、銅合金を適用できる。基板1はステンレス材以外に、銅合金材であってもよい。また、上記の実施例の下地調整工程においては、ステンレス製の基板1の上面にストライクメッキ層20を形成して、その上面に第1電鋳層21または第1メッキ層51を形成したが、ストライクメッキ層20を形成する代わりに、ステンレス製の基板1の上面に化学エッチング処理を施して下地とすることができる。成形エリア11は、ダミーエリア13を囲む状態で形成してあってもよい。本発明における凹状構造4は、底壁で塞がれている凹部である必要はなく、凹部の底壁に開口が形成してある形態を含むこととする。成形凸部2は、電鋳法やメッキ法で形成する必要はなく、ニッケル、銅、鉄などの金属母材にレーザー加工を施して形成でき、あるいは先の金属母材にエッチング加工を施して形成することができる。
本発明に係る金型は、セラミックシート以外の加工対象の塑性加工にも適用できる。
1 基板
2 成形凸部
3 セラミックシート(加工対象)
4 装填凹部(凹状構造)
11 成形エリア
13 ダミーエリア
14 外周エリア
15 ダミー成形凸部
20 ストライクメッキ層
21 第1電鋳層(金属層)
22 第2電鋳層(金属層)
23 第3電鋳層(金属層)
26・27・28 銅メッキ層(介在層)
29 カバーメッキ層(金属カバー層)
33・37 フォトレジスト層
34・38 フォトマスク
35・39 レジスト開口
36・40 レジストパターン
51 第1メッキ層(金属層)
52 第2メッキ層(金属層)

Claims (5)

  1. 基板(1)の上面に、多段状の成形凸部(2)が形成されている塑性加工用の金型の製造方法であって、
    基板(1)の上面に、レジスト開口(35)を備えるレジストパターン(36)を形成する工程と、
    レジスト開口(35)に露出する基板(1)の表面に、第1金属層(21)を形成する工程と、
    第1金属層(21)の上面に、介在層(26)を形成する工程と、
    介在層(26)の上面に、レジスト開口(39)を備えるレジストパターン(40)を形成する工程と、
    レジスト開口(39)に露出する介在層(26)を除去する工程と、
    レジスト開口(39)に露出する第1金属層(21)の表面に、第2金属層(22)を形成する工程と、
    レジストパターン(36・40)を除去する工程と、
    第1・第2金属層(21・22)の表面に、金属カバー層(29)を形成する工程とを有することを特徴とする塑性加工用の金型の製造方法。
  2. レジストパターン(36・40)を除去した後、レジストパターン(40)を除去することで露出する介在層(26)を除去することを特徴とする請求項1に記載の塑性加工用の金型の製造方法。
  3. 第1・第2金属層(21・22)の表面に、介在層(27)を形成した後、金属カバー層(29)を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の塑性加工用の金型の製造方法。
  4. 基板(1)の上面に、下地調整を行った後、レジストパターン(36)を形成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の塑性加工用の金型の製造方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の塑性加工用の金型を製造する方法によって製造された塑性加工用の金型であって、
    第1金属層(21)と第2金属層(22)との間に、介在層(26)が存在しないことを特徴とする塑性加工用の金型。
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