JP2002356793A - 電鋳メタルとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
凸部が不用意に抜け外れたり、倒れ変形したりすること
のない電鋳メタルと、その製造方法を得る。 【解決手段】 各凸部2の基端部3が、金属基盤1に内
拡がり状の凹穴12に、電鋳方で一体に埋設されてい
る。基端部3の上端肩部3aが金属基盤1の凹穴12の
開口上端縁12aで受け止められ、強固に凸部2の抜け
止めが図られるとともに、接合部分の面積も大きくなる
ので、基端部3と凹穴12との電着接合と相まって、金
属基盤1に対する凸2の接合強度が確保され、凸部2が
不用意に抜け外れたり、倒れ変形したりすることがな
い。
Description
用基板やグリーンシートなどに部品搭載用の多数の孔を
設ける穿設用や、多数の凹み(反対面に突出部)を設け
る精密金型その他、回路の作動をテストするための検査
用プローブ等の接触端子用のバンプの形成、更にこれ自
体が微小な凸部を有することに意義がある精密部品とし
ても広く用いることができる電鋳メタルに関する。
て、これを電鋳メタル製にすることは、高精度に仕上が
り、生産性にも優れる利点がある。すなわち、通常の電
鋳法によるときは、図5(A)に示すごとく母型となる
金属基盤1上に凸部2に相当する開口部9を有するパタ
ーンレジスト10を設け、開口部9の直下に位置する金
属基盤1の表面に付着の酸化膜11を除去して、これを
活性化させたのち、図5(B)に示すごとく開口部9に
電鋳法で電着金属13を電鋳し、図5(C)に示すごと
く研磨処理により開口部9から突出した電着金属13の
表面を研磨して高さを均一化し、最後にパターンレジス
ト10を除去することにより、図5(D)に示すごとく
金属基盤1上に多数の凸部2が個々に独立して設けられ
た電鋳メタルを得ていた。
ルでは、金属基盤1と凸部2との接合は、両者間の電着
接合のみに拠っているため接合強度が弱く、例えば電鋳
メタルが穿孔用のプレス金型の場合には、繰り返しの外
部加重を受けると、凸部2が不用意に抜け外れたり倒れ
変形するおそれがある。とくに、凸部2と金属基盤1と
の間の接合面積が小さいと、脱落したり倒れ変形しやす
い。
度が確保されていて、凸部が不用意に抜け外れたり倒れ
変形したりすることのない電鋳メタルと、その製造方法
を得るにある。
とく電鋳時の母型となる金属基盤1上に、多数の微小な
凸部2が電鋳法により突出形成されている電鋳メタルを
対象とする。そして、各凸部2の基端部3が、金属基盤
1側の内拡がり状の凹穴12に一体に埋設されているこ
とを特徴とする。
て、本発明の製造方法は、図2(C)に示すごとく金属
基盤1上に、前記凸部2に相当する電着用の開口部9を
有するパターンレジスト10を設けるパターニング工程
と、図2(D)に示すごとくエッチングにより、金属基
盤1に、前記開口部9に連通する内拡がり状の凹穴12
を形成するエッチング工程と、図3(A)に示すごとく
前記金属基盤1上の前記凹穴12および前記開口部9に
電着金属13を電鋳する電鋳工程と、図3(C)に示す
ごとく前記パターンレジスト10を除去する工程とから
なることを特徴とする。図3(C)のパターンレジスト
10を除去する工程に先立って、図3(B)に示すごと
く前記電着金属13の表面高さを均一化する工程を含ま
せることができる。
に先立って、金属基盤1の表面に、これよりも耐食性に
優れた金属からなる保護層15を形成する保護層形成工
程を含み、図2(D)の前記エッチング工程において、
前記保護層15に、前記開口部9に連通する内周面がス
トレート状の貫通孔17が形成されるようにしてもよ
い。保護層15は、例えば電鋳法により形成する。
タルによれば、各凸部2の基端部3が、金属基盤1側の
内拡がり状の凹穴12に、電鋳法により一体に埋設され
ている。従って、基端部3の上端肩部3aが金属基盤1
の凹穴12の開口上端縁12aで受け止められ、強固に
凸部2の抜け止めが図られるとともに、接合部分の面積
も大きくなるので、基端部3と凹穴12との電着接合と
相まって、金属基盤1に対する凸2の接合強度が確保さ
れ、凸部2が不用意に抜け外れたり、倒れ変形したりす
ることがない。
ス、銅又は銅合金製の材料を選択することが考えられ、
また、凸部2は、銅や銅合金、あるいは用途に応じてニ
ッケルやニッケル−コバルト合金、その他硬度の高い電
鋳金属材料を選択することが考えられる。
製造方法によれば、実質的に従来の製造方法と相違する
点は、開口部9に臨む金属基盤1に該開口部9に連通す
る内拡がり状の凹穴12を形成するエッチング工程(図
2(D))を実施することであるので、安価に凸部2と
金属基盤1との接合強度に優れた電鋳メタルを製造でき
る利点がある。また、各凸部2を電鋳法により製作する
ので、各凸部2の径の大きさや疎密の差の程度にかかわ
らず、高精度に能率よく生産できる。
製造方法によれば、図2(A)に示すごとく、パターニ
ング工程(図2(C))に先立って、金属基盤1の表面
に、これよりも耐食性に優れた金属からなる保護層15
を、例えば電鋳法により形成する。これにより、図2
(D)のエッチング工程においては、パターンレジスト
10の開口部9を通して保護層15を腐食して金属基盤
1に至ったエッチング液は、次いで保護層15に形成さ
れる貫通孔17を通して優先的に金属基盤1を腐食する
ため、保護層15には内周面がストレート状の貫通孔1
7が、金属基盤1には内拡がり状の凹穴12が形成され
る。そして、金属基盤1を電鋳工程に移し、金属基盤1
のパターンレジスト10に覆われていない部分、すなわ
ち開口部9により露出する凹穴12部分に、電着金属1
3を電鋳形成すると、図1に示すごとく、金属基盤1の
凹穴12に対応した内拡がり状の基端部3と、これと連
続して、保護層15の貫通孔17を通してパターンレジ
スト10の開口部9の形状に沿ったストレート状に突設
する柱部4とからなる電鋳製の凸部2を得ることができ
る。
く、エッチングにより凹穴12を形成すると、図4
(C)に示すようにパターンレジスト10の開口部9の
周縁にまわり込むように、内拡がり状に金属基盤1の腐
食が進行するため、凹穴12側の上端開口16がパター
ンレジスト10側の開口部よりも大きなものとなる。そ
うなると、得られた電鋳メタルは、図4(A)に示すご
とく基端部3の上端肩部3aが金属基盤1の表面にあら
われて、凹穴12の開口上端縁12aによる基端部3の
上端肩部3aの受け止めによる抜け止め効果が小さくな
ることが考えられる。さらに、電鋳を行う際、図4
(D)に示すように、パターンレジストの凹穴12まわ
りが不均一に浮き上がるおそれもあり、その場合、図4
(B)に示すように、基端部3が金属基盤1から不均一
に突出成長し、凸部2の幅寸法にばらつきが生じるおそ
れもある。
に、ベースとなる金属基盤1の表面に、これよりも耐食
性に優れた金属からなる保護層15を形成し、エッチン
グにより、保護層15に開口部9に連通する内周面がス
トレート状の貫通孔17が形成された後、該貫通孔17
を通して金属基盤1の腐食が進行するようにしてある
と、その後の電鋳工程で形成される凸部2の基端部3
は、保護層15によってその周縁部が覆われるので、基
端部3が表面にあらわれることがない。また、基端部3
の上端肩部3aが、保護層15の貫通孔17の開口上端
縁17aで受け止められるため、凸部2の接合強度も確
保できる。さらに、パターンレジスト10側の開口部9
と、保護層15側の貫通孔17とはストレート状に連通
しているため、パターンレジスト10が浮き上がること
がなく、従って凸部2の幅寸法やストレート状の柱部4
の高さがばらつくこともない。
に示すごとく、電鋳時の母型となる金属基盤1上に、多
数の微小な凸部2が電鋳法により形成されたものであ
る。各凸部2は、金属基盤1に埋設される基端部3と、
該基端部3からストレート状に伸びる円柱状の柱部4と
からなる断面形状となっている。金属基盤1の表面は、
該金属基盤1よりも耐食性に優れた保護層15で覆われ
ている。保護層15の各凸部2に相当する部分には、内
周面がストレート状の貫通孔17が形成されている。
の製造方法を示す。まず、図2(A)に示すごとく、真
ちゅう鋼又は銅製の金属基盤1の表面に、ニッケルから
なる保護層15を電鋳法により形成したのち、フォトレ
ジスト層7を設ける。このフォトレジスト層7は、ネガ
タイプの感光性ドライフィルムレジストを一枚ないし数
枚ラミネートして熱圧着により形成した。ここでは、金
属基盤1およびフォトレジスト層7の厚みは30μmと
した。保護層15の厚みは1μmとした。
ジスト層7の上に、前記凸部2に対応する透光孔8aを
持つパターンフィルム(ガラスマスク)8を密着させた
のち、紫外線ランプで紫外光線を照射して露光を行い、
現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を除去するこ
とにより、図2(C)に示すごとく前記凸部2に相当す
る電着用の開口部9を有するパターンレジスト10を金
属基盤1上に形成した。
よるスプレーエッチングにより、図2(D)に示すごと
く開口部9の直下の保護層15および金属基盤1を腐食
させて、金属基盤1に上面が開口部9に連通する内拡が
り状の凹穴12を形成した。ここでは、凹穴12の深さ
は、5μmほどであった。使用するエッチング液に対し
て保護層15は金属基盤1よりも耐食性を有する金属か
らなるため、開口部9の左右幅を超えて腐食され難く、
保護層15には内周面がストレート状の貫通孔17が形
成される。このとき、凹穴12の左右幅方向長さや深さ
は、エッチング液の濃度やエッチング時間等の腐食条件
を変化させることにより、任意に調節できる。
12の内壁面には、図2(D)に示すごとく酸化皮膜1
1が付着しているので、この酸化皮膜11を周知の方法
により除去したのち、図3(A)に示すごとく金属基盤
1のパターンレジスト10で覆れていない表面、すなわ
ち前記凹穴12から開口部9に、ニッケルやニッケル−
コバルト合金などの電着金属13を電鋳法により電着さ
せた。酸化皮膜11を除去したのは、電着金属13と金
属基盤1側の金属との接合強度の向上を図るためであ
る。
ジスト10を超えて成長した電着金属13の突出上端部
を機械的研磨や電解研磨により研磨処理した。最後に、
アルカリ溶液による膨潤、溶解等の方法により、パター
ンレジスト10を除去することにより、図3(C)に示
すごとく、金属基盤1上にニッケルの電着金属13から
なる多数の凸部2が、それぞれ同一高さで突出形成され
た電鋳メタルを得た。
1に示す断面形状を呈しており、各凸部2の基端部3
は、金属基盤1側の凹穴12を埋めている。凹穴12は
内拡がり状に形成されている。従って、金属基盤1と凸
部2との接合強度は良好であり、凸部2が不用意に抜け
外れたり、倒れ変形したりし難いものとなる。
15などの厚み寸法、凸部2の金属基盤1からの突出高
さ(フォトレジスト層7の厚み寸法)、凹穴12の深さ
寸法、凹穴12の径寸法、凸部2の径寸法などは、製品
仕様により異なる。一例を以下の表1に示す。
凸部2の形成部分に、エッチングにより予め内拡がり状
の凹穴12を形成すれば足り、先の保護層15は省略す
ることができる。もっとも、電鋳メタルの用途によって
は、凸部2の基端部3が表面にあらわれていても何らの
不具合もない場合もあり、その場合には、図4(A)・
(B)のごとくであってもよい。上記実施形態において
は、パターンレジスト10を超える高さにまで電着金属
を電着していたが、これら電鋳工程における電着金属の
高さ位置は、パターンレジスト10の高さ以下であって
もよい。
の断面図
Claims (3)
- 【請求項1】 電鋳時の母型となる金属基盤1上に、多
数の微小な凸部2が電鋳法により突出形成されている電
鋳メタルにおいて、 各凸部2の基端部3が、金属基盤1側の内拡がり状の凹
穴12に一体に埋設されていることを特徴とする電鋳メ
タル。 - 【請求項2】 電鋳時の母型となる金属基盤1上に、多
数の微小な凸部2が電鋳法により形成されている電鋳メ
タルの製造方法であって、 金属基盤1上に、前記凸部2に相当する電着用の開口部
9を有するパターンレジスト10を設けるパターニング
工程と、 エッチングにより、金属基盤1に、前記開口部9に連通
する内拡がり状の凹穴12を形成するエッチング工程
と、 前記金属基盤1上の前記凹穴12および前記開口部9に
電着金属13を電鋳する電鋳工程と、 前記パターンレジスト10を除去する工程とからなるこ
とを特徴とする電鋳メタルの製造方法。 - 【請求項3】 前記パターニング工程に先立って、金属
基盤1の表面に、これよりも耐食性に優れた金属からな
る保護層15を形成する保護層形成工程を含み、 前記エッチング工程において、前記保護層15に、前記
開口部9に連通する内周面がストレート状の貫通孔17
が形成されるようにしてある請求項2記載の電鋳メタル
の製造方法。
Priority Applications (1)
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Cited By (2)
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- 2001-05-30 JP JP2001162087A patent/JP2002356793A/ja active Pending
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