以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、容器1は、上方に開口する略箱状をなし、内側の収容空間3に対して物品を収容可能な容器本体2と、収容空間3を仕切るようにして、容器本体2に対して着脱自在に取付けられた仕切り板4とを備えている。容器本体2は、平面視略矩形状の底壁構成部5と、底壁構成部5の相対する一対の長側辺部からそれぞれ上方に延出する長辺側側壁部6と、底壁構成部5の相対する一対の短側辺部からそれぞれ上方に延出する短辺側側壁部7とを備えている。本実施形態の容器1は、ポリプロピレンにより構成されている。
図1〜図5に示すように、底壁構成部5は、略矩形平板状の底壁部9と、底壁部9の各短側辺部に沿って底壁部9の下面から下方に突出する一対の脚部10と、一対の脚部10の間の範囲において底壁部9から下方に突出して格子状に設けられた下面リブ11とを備えている。下面リブ11の下縁部は、脚部10の下縁部よりも上方に位置しており、本実施形態の容器1は、一対の脚部10により支持されるようになっている。また、各脚部10には、フォークリフトのフォークを差込み可能なフォーク差込み部12が設けられており、フォーク差込み部12の上縁部は、下面リブ11の下縁部と同じ高さとなっている。
図1、図5、図6等に示すように、長辺側側壁部6は、厚み方向に貫通する開口部15が設けられた第1構成部としての側壁本体14と、開口部15を開放する開状態と、開口部15を閉鎖する閉状態とに状態変化可能な第2構成部としての扉部16とを具備している。長辺側側壁部6の側壁本体14は、底壁部9から上方に延びる略平板状の長辺側ベース壁部18と、長辺側ベース壁部18の外面から外方に突出する長辺側補強リブ19とを備えている。本実施形態では、底壁構成部5と、短辺側側壁部7と、長辺側側壁部6の側壁本体14とが一体的に形成されている。
さらに、本実施形態では、長辺側側壁部6の高さ方向の丁度中間位置よりも若干上方の位置から上側の大部分(短辺側側壁部7と連接している部位以外)が開口部15となっており、開口部15は上方にも開口している。また、扉部16は、長辺側側壁部6の側壁本体14の開口部15の下縁部に対して、平行2軸ヒンジよりなるヒンジ部材21を介して回動可能に連結されており、容器本体2の外方側に開放可能に構成されている。さらに、長辺側補強リブ19は、開口部15に沿って設けられた開口補強リブ22を備えている。以下、開口補強リブ22のうち、開口部15の下縁部に沿って設けられている部位を「開口下部補強リブ22a」とも称し、開口部15の側縁部に沿って設けられている部位を「開口側部補強リブ22b」とも称する(図4等参照)。
加えて、図4〜図6に示すように、扉部16は、略平板状の扉側ベース壁部23と、扉側ベース壁部23の外面から外方に突出する扉側補強リブ24とを備えている。図5に示すように、扉部16が閉状態とされた場合には、扉部16の下辺部(扉側ベース壁部23の下辺部に沿って設けられた扉側補強リブ24)が開口下部補強リブ22aの上面に当接して支持されるとともに、扉部16(扉側ベース壁部23)の内面と、側壁本体14(長辺側ベース壁部18)の内面とがほぼ面一とされ、扉部16の外面(扉側補強リブ24の外縁部)と、側壁本体14の外面(長辺側補強リブ19の外縁部)とがほぼ面一とされるようになっている。その一方で、図6に示すように、閉状態にある扉部16が開状態とされる場合には、扉部16が容器本体2の外方側に回動するとともに、ヒンジ部材21が容器本体2の外方側に傾動することに伴って、ヒンジ部材21と連結されている扉部16の下縁部が側壁本体14の厚み程度の距離を容器本体2の外方側に変位し、扉部16が180度程度回動したところで、扉部16がヒンジ部材21から垂下するような格好となる。これにより、扉部16が開状態とされた場合には、扉部16の外面側と、側壁本体14の外面側とが対向して当接(又は近接)配置されるようになっている。
また、図1、図6等に示すように、長辺側側壁部6の側壁本体14には、開口側部補強リブ22bのうち容器本体2の内方側の部位(長辺側ベース壁部18のうち開口側部補強リブ22bに対応する部位)から開口部15の内周側に突出する内倒れ防止部25が設けられており、閉状態とされた扉部16の内面側の両側部と当接、又は、近接するようになっている。さらに、開口側部補強リブ22bの上端部近傍部位から開口部15の内周側に突出する扉抜け防止部26が設けられており、閉状態とされた扉部16の上面の両側部と当接、又は、近接するようになっている。
加えて、図1等に示すように、長辺側側壁部6と、短辺側側壁部7とが連結された各コーナー部の上面側には、上方に突出する段積み用凸部27が設けられている。さらに、図3に示すように、底壁構成部5の一対の脚部10の下面側には、容器1同士を同じ向きで積み重ねる(段積みする)場合に、下側の容器1の段積み用凸部27が挿入される段積み用凹部28が設けられている。尚、長辺側側壁部6、及び、短辺側側壁部7の上面において、各段積み用凸部27の周辺部の高さよりも、閉状態にある扉部16の上辺部の高さが低く構成されている。
また、図2等に示すように、扉部16の外面側の両側部近傍部位には、閉状態にある扉部16の開状態側への変位を規制する規制状態と、閉状態にある扉部16の開状態側への変位が許容される許容状態とに状態変化可能なロック部材29が取付けられている。
さて、図7〜図10等に示すように、本実施形態のヒンジ部材21は、同一形状で同一の大きさのヒンジ構成部31を2つ用意して互いに連結することにより構成されている。図8、図9に示すように、ヒンジ構成部31は、扉部16が閉状態にある場合に、上下方向(ヒンジ構成部31の上下幅方向)、及び、左右方向(ヒンジ構成部31の横幅方向)に延在する略矩形状の板状体をベースとして、その上辺部、及び、下辺部が断面略四半円形状となるようにヒンジ構成部31の内側に湾曲形成されたヒンジベース部32を備えている。さらに、ヒンジ構成部31は、ヒンジベース部32の一側部側を閉塞する第1軸支板部33と、第1軸支板部33のうちヒンジベース部32の側方側の面である外面に対して所定距離を隔てて対向する第2軸支板部34と、第1軸支板部33のうちヒンジベース部32の中央部側の面である内面に対して所定距離を隔てて対向する係止板部35と、ヒンジベース部32の他側部に沿って、当該他側部からヒンジベース部32の中央部側に所定距離を隔てた位置に設けられる被係止板部36とを備えている。
第1軸支板部33、第2軸支板部34、係止板部35、及び、被係止板部36は、上下に長い略長円状をなしており、それぞれが上下方向、及び、ヒンジ構成部31の厚み方向において対称形状をなしている。係止板部35、及び、被係止板部36は、ヒンジベース部32の内面と連結され、ヒンジ構成部31の厚み方向における半分の部位がヒンジベース部32の内側に収まるように構成されている。また、第1軸支板部33は、その内面の外周縁部のうちヒンジ構成部31の厚み方向における半分程度の部位がヒンジベース部32の一側部と連結され、第1軸支板部33の外周面がヒンジベース部32の外面と面一とされている。さらに、第2軸支板部34は、第1軸支板部33と同一形状、かつ、同一の大きさをなし、第1軸支板部33の外面と対向配置されている。
また、ヒンジ構成部31には、第1軸支板部33と、第2軸支板部34とにかけて、ヒンジベース部32の側方に開口する上下一対の軸孔37が設けられている。尚、当該軸孔37は、第1軸支板部33、及び、第2軸支板部34にそれぞれ設けられた上下一対の円形状の軸形成孔部と、第1軸支板部33の軸形成孔部と、第2軸支板部34の軸形成孔部とを連通させるようにして第1軸支板部33と、第2軸支板部34との間を連結する円筒状の連通部とにより構成されている。
さらに、図8に示すように、係止板部35のうち第1軸支板部33側の面には、係止板部35のヒンジ構成部31の厚み方向における幅の中間位置から、係止板部35に対して直交し、ヒンジベース部33の平板状部分に対して平行する方向に突出する係止片部38と、係止片部38の先端部からヒンジベース部32側とは反対側に突出する係止爪部39と、係止片部38のうち係止爪部39が突設された側の面と、係止板部35との連接部位に突設された位置決め突部40とが設けられている。
加えて、被係止板部36には、被係止板部36の厚み方向に貫通する係止孔部41と、係止孔部41のヒンジベース部32側に隣接し、係止孔部41と連通して設けられる位置決め孔部42とが設けられている。
また、ヒンジ構成部31には、係止板部35と、被係止板部36との間であって、ヒンジベース部32の上下幅方向の丁度中間位置において、挿入部材としてのピン部材44(図10、図11参照)を挿入可能な挿入部45が設けられている。尚、当該挿入部45は、ヒンジベース部32を貫通する円形状の挿入孔部と、当該挿入孔部を囲むようにしてヒンジベース部32の内面から突出する円筒部とにより構成されている。加えて、ピン部材44は、一端部側に縮径部(テーパ部)を備えるとともに、他端部側に拡径部を備え、挿入部45(挿入孔部)のヒンジベース部32の外面側の部位は、ピン部材44の前記拡径部を収容可能なように一回り広く構成されている。
以上のように構成されたヒンジ構成部31を2つ用意し、図10、図11に示すように、ヒンジ構成部31の内面同士を対向させ、かつ、一方のヒンジ構成部31を第2軸支板部34(軸孔37)が左方を向くように配置し、他方のヒンジ構成部31を第2軸支板部34(軸孔37)が右方を向くように配置する。
続いて、一方のヒンジ構成部31の係止板部35と、第1軸支板部33との間に、他方のヒンジ構成部31の被係止板部36を挿入するような格好で、一方のヒンジ構成部31の係止片部38、及び、係止孔部41と、他方のヒンジ構成部31の係止孔部41、及び、係止片部38とを、左右方向に対向させるような相対位置関係となるように、一方のヒンジ構成部31と、他方のヒンジ構成部31とを、ヒンジ構成部31(ヒンジ部材21)の厚み方向において突き合わせる。本例では、この状態が準備状態に相当する。
さらに、かかる準備状態から、左右方向において(軸孔37の開口方向・軸孔37の軸線方向に沿って)、一方のヒンジ構成部31と、他方のヒンジ構成部31とを、(一対のヒンジ構成部31をその厚み方向に押し付け合うようにしつつ)互いに重なり合う面積が減少する方向に相対変位させる。これにより、一方のヒンジ構成部31の係止片部38、及び、位置決め突部40が、他方のヒンジ構成部31の係止孔部41、及び、位置決め孔部42に挿入され、一方のヒンジ構成部31の係止爪部39が、他方のヒンジ構成部31の被係止板部36の外面に係止される。また、それと同時に、他方のヒンジ構成部31の係止片部38、及び、位置決め突部40が、一方のヒンジ構成部31の係止孔部41、及び、位置決め孔部42に挿入され、他方のヒンジ構成部31の係止爪部39が、一方のヒンジ構成部31の被係止板部36の外面に係止される。本例では、この状態が組付状態に相当する。
当該組付状態では、係止片部38が相手側の係止孔部41に挿入されることにより、係止片部38と、ヒンジベース部32との間に、相手側の被係止板部36の一部が配置される格好となる。特に、本実施形態では、係止片部38と、前記相手側の被係止板部36の一部とが略当接するようになっている。これにより、ヒンジ構成部31(ヒンジ部材21)の厚み方向において離間する方向への一対のヒンジ構成部31の相対変位が規制される。本実施形態では、係止片部38が保持部に相当し、被係止板部36(特に係止孔部41の周縁部)が被保持部に相当する。
さらに、組付状態では、係止爪部39が相手側の被係止板部36の外面に係止されることにより、準備状態とされる側(一対のヒンジ構成部31よりなるヒンジ部材21の横幅を縮める側)への一対のヒンジ構成部31の相対変位が規制される。本実施形態では、係止爪部39が係止部に相当し、被係止板部36(特に外面)が被係止部に相当する。
加えて、組付状態では、ヒンジ構成部31(ヒンジ部材21)の厚み方向において、ヒンジベース部32の上辺部、及び、下辺部(湾曲形成部位の先端縁)が、相手側のヒンジベース部32の上辺部、及び、下辺部(湾曲形成部位の先端縁)と当接し、係止板部35、及び、被係止板部36の先端縁が、相手側のヒンジベース部32の内面と当接するようになっている。また、左右方向(ヒンジ構成部31の横幅方向)において、係止板部35、及び、被係止板部36が、相手側の被係止板部36、及び、係止板部35と当接するようになっている。
さらに、本実施形態では、一対のヒンジ構成部31が組付状態とされることで、一方のヒンジ構成部31の挿入部45と、他方のヒンジ構成部31の挿入部45とが位置合わせされるようになっている。そして、一方のヒンジ構成部31の挿入部45と、他方のヒンジ構成部31の挿入部45とにかけてピン部材44を挿入(圧入)させることで、ヒンジ構成部31同士の連結が完了し、ヒンジ部材21が完成した状態となる。
また、図2、図11等に示すように、側壁本体14の外面側には、長辺側ベース壁部18の上辺部(開口部15の下縁部)に沿って設けられた長辺側補強リブ19(開口下部補強リブ22a)の一部を省略するようにして、上方、及び、外方に開口する本体側連結部51が設けられている。本実施形態では、本体側連結部51は、側壁本体14の横幅方向において4箇所に設けられている。さらに、図11に示すように、各本体側連結部51には、本体側連結部51の横幅を画定する左右一対の壁部(上下方向に延びる長辺側補強リブ19の一部)からそれぞれ本体側連結部51の内側に突出する略円柱状の第1軸連結部としての本体側軸突部52が、側壁本体14の横幅方向において互いに対向する位置に一対で設けられている。
さらに、図2、図11等に示すように、扉部16の外面側には、扉側ベース壁部23の下辺部に沿って設けられた扉側補強リブ24の一部を省略するようにして、下方、及び、外方に開口する扉側連結部53が設けられている。扉側連結部53についても、本体側連結部51に対応して、扉部16の横幅方向において4箇所に設けられている。加えて、図11に示すように、各扉側連結部53には、扉側連結部53の横幅を画定する左右一対の壁部(上下方向に延びる扉側補強リブ24の一部)からそれぞれ扉側連結部53の内側に突出する略円柱状の第2軸連結部としての扉側軸突部54が、扉部16の横幅方向において互いに対向する位置に一対で設けられている。尚、本体側軸突部52、及び、扉側軸突部54は、その形状、大きさ、及び、延在する方向が同じであって、長辺側側壁部6の横幅方向において、一対の本体側軸突部52と、一対の扉側軸突部54とが同じ位置に設けられている。
そして、一対の本体側軸突部52がヒンジ部材21の一対の軸孔37にそれぞれ挿入されることで、ヒンジ部材21が側壁本体14に対して回動変位可能に連結される。さらに、一対の扉側軸突部54がヒンジ部材21の(本体側軸突部52が挿入されていない)一対の軸孔37にそれぞれ挿入されることで、ヒンジ部材21が扉部16に対して回動変位可能に連結される。加えて、図13に示すように、側壁本体14、及び、扉部16に連結されたヒンジ部材21は、本体側連結部51、及び、扉側連結部53の内側に収容された状態となり、扉部16が閉状態にある場合には、ヒンジ部材21が側壁本体14の外面や扉部16の外面よりも外方に突出しないようになっている。
尚、上記のように、本実施形態のヒンジ部材21は、同一のヒンジ構成部31を2つ組合わせて構成され、さらに、各ヒンジ構成部31は上下対称形状であることから、ヒンジ部材21を上下逆転させたり、表裏逆転させたりしても、ヒンジ部材21を側壁本体14、及び、扉部16に連結可能となっている。従って、本実施形態では、ヒンジ部材21を側壁本体14、及び、扉部16と連結した状態において、ヒンジ部材21の軸孔37のうち、本体側軸突部52と連結される軸孔37が第1軸部を構成し、扉側軸突部54と連結されている軸孔37が第2軸部を構成する。さらに、ヒンジ部材21を構成する一対のヒンジ構成部31のうちどちらを第1ヒンジ構成部に相当することとしてもよく、他方が第2ヒンジ構成部に相当する。
また、本実施形態では、ヒンジ部材21と、側壁本体14、及び、扉部16とを連結する作業を行う場合に、ヒンジ部材21を完成状態としてから連結作業を行うのではなく、ヒンジ部材21を完成させる作業と、ヒンジ部材21を側壁本体14、及び、扉部16と連結する作業とを並行して進めることとなる。
つまり、側壁本体14に対して未連結状態の扉部16を容器本体2に対して閉状態となる位置に設置し、ロック部材29を規制状態とする。続いて、図11、図12に示すように、ヒンジ構成部31の単体を、その内面側が容器本体2の外方側を向き、下側の軸孔37に本体側軸突部52が挿入され、上側の軸孔37に扉側軸突部54が挿入された状態となるように、本体側連結部51、及び、扉側連結部53に跨るように設置する。
さらに、ヒンジ構成部31の単体をもう1つ用意して、既に本体側連結部51、及び、扉側連結部53に設置されているヒンジ構成部31に対して、前記準備状態となるように設置する。本実施形態では、一対の本体側軸突部52間の距離、及び、一対の扉側軸突部54間の距離は、ヒンジ構成部31の横幅よりも長くなっている。
続いて、本体側連結部51、及び、扉側連結部53に対して後で設置された方のヒンジ構成部31を、先に設置されたヒンジ構成部31と重なり合う面積を少なくするようにして、左右方向(長辺側側壁部6の横幅方向)にスライド変位させることで、一対のヒンジ構成部31が前記組付状態とされる。
これにより、前記組立状態とされた一対のヒンジ構成部31(ヒンジ部材21)の横幅が、一対の本体側軸突部52間の距離、及び、一対の扉側軸突部54間の距離よりも長くなり、本体側連結部51、及び、扉側連結部53に対して後で設置された方のヒンジ構成部31に関しても、下側の軸孔37に本体側軸突部52が挿入され、上側の軸孔37に扉側軸突部54が挿入された状態となる。また、長辺側側壁部6の外面側に露出しているヒンジ構成部31の挿入部45にピン部材44を挿入することで、当該ピン部材44が、一対のヒンジ構成部31の挿入部45に跨るようにして設置される。以上のようにして、ヒンジ部材21を完成させる作業と、ヒンジ部材21を側壁本体14、及び、扉部16と連結する作業とが完了する。
尚、ヒンジ構成部31の第1軸支板部33と、第2軸支板部34との間は、軸孔37を形成する円筒状の連通部やリブにより連結されているものの、ヒンジ構成部31の表裏(外内)両面側において、第1軸支板部33、及び、第2軸支板部34の互いに対向する対向面が露出するように構成されている。これにより、前記準備状態とされた一対のヒンジ構成部31を組付状態とする際に、各ヒンジ構成部31の第1軸支板部33と第2軸支板部34との間に指先を挿入させるようにして第2軸支板部34に指を掛けることが可能となる。このため、一方のヒンジ構成部31を押さえつつ、他方のヒンジ構成部31を一対のヒンジ構成部31が組付状態とされる側に相対変位させる作業が比較的容易なものとなる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、ヒンジ部材21は、一対の本体側軸突部52のうち一方と回動可能に連結される軸孔37と、一対の扉側軸突部54のうち一方と回動可能に連結される軸孔37とを備えるヒンジ構成部31を2つ1組として互いに連結することにより構成されている。このため、例えば、ヒンジ部材の全体を一体的に形成する場合に比べ、ヒンジ部材21の内側等に必要に応じてリブ(本例では、第1軸支板部33、係止板部35、及び、被係止板部36等)を設けるといった形状を採用したり、ヒンジ部材21の表裏両面における凹凸形状を極力抑制したりすることができる。従って、内側のリブ形状等の採用により、成型の歪みを抑制しつつ強度を確保することができる。さらに、表裏面の凹凸が抑制されることにより、当該凹凸に別部材が引っ掛かって損傷等したり、埃や水分等が滞留し易くなったりするといった事態を抑制することができる。結果として、ヒンジ部材21の耐久性を高めることができる。
また、ヒンジ部材21を構成する一対のヒンジ構成部31が同一形状かつ同一の大きさとなっているため、生産性の向上、保管・管理に際しての利便性の向上等を図ることができる。さらに、ヒンジ部材21は、表裏が同じ形状であり、また、(概ね)左右対称なだけではなく上下対称となる形状となっている。このため、ヒンジ部材21と、側壁本体14、及び、扉部16とを連結する際に、ヒンジ部材21と、側壁本体14、及び、扉部16との向きを合わせる作業が簡素化されることとなり、作業性の向上を図ることができる。
さらに、各ヒンジ構成部31は、それぞれ側壁本体14と、扉部16とに連結されるようになっている。このため、例えば、ヒンジ部材を構成する一対のヒンジ構成部のうち一方が側壁本体14と連結されるのみであり、他方が扉部16と連結されるのみである構成において生じ得る懸念、すなわち、ヒンジ部材が、側壁本体14と連結される側と、扉部16と連結される側とに分離してしまったり、扉部16の開閉に際して、一方のヒンジ構成部と、他方のヒンジ構成部との連結部位が屈曲し易くなってしまったりする等の懸念を払拭することができる。
加えて、各軸孔37は、その全体が、ヒンジ構成部31において一体的に構成されており、例えば、一対のヒンジ構成部31を連結することで軸孔37が形成される(一対のヒンジ構成部31を連結しないと軸孔37の形状をなさない)ような場合に比べ、軸孔37の周辺部の剛性、強度、及び、耐久性等を高めることができる。
また、本実施形態のヒンジ部材21は、一対のヒンジ構成部31の内面側同士を向かい合わせ、ヒンジ構成部31の厚み方向に延びる軸線を中心として、一方を他方に対して180度回転させた向きとして、内面側同士を突き合わせた準備状態から、ヒンジ構成部31の横幅方向(軸孔37の軸線方向)において、一対のヒンジ構成部31の互いに重なり合う面積を減少させる方向に相対変位させることで、係止片部38が相手側の係止孔部41に挿入され、係止爪部39が相手側の被係止板部36に係止される組付状態とされるように構成されている。
つまり、一対のヒンジ構成部31を準備状態から、ヒンジ構成部31の横幅方向に相対変位させることで、ヒンジ構成部31(ヒンジ部材21)の厚み方向において、一方のヒンジ構成部31のヒンジベース部32と係止片部38との間に、他方のヒンジ構成部31の被係止板部36の一部を位置させるようにして、一方のヒンジ構成部31の係止片部38と、他方のヒンジ構成部31の被係止板部36(係止孔部41の周縁部)とを略当接させることができる。これにより、ヒンジ構成部31(ヒンジ部材21)の厚み方向に沿って、一対のヒンジ構成部31が互いに離間する方向への相対変位が規制される。さらに、一対のヒンジ構成部31を組付状態とすることで、ヒンジ構成部31の横幅方向(軸孔37の軸線方向)において、一方のヒンジ構成部31の係止爪部39が、他方のヒンジ構成部31の被係止板部36と係止され、一方のヒンジ構成部31の準備状態側への相対変位が規制される。従って、例えば、一対のヒンジ構成部31の内面側同士を突き合わせるだけで、係止爪部と被係止板部とが係止される構成に比べ、ヒンジ構成部31(ヒンジ部材21)の厚み方向において一対のヒンジ構成部31が離間するといった事態をより確実に防止することができる。
さらに、一対のヒンジ構成部31が組付状態にある場合には、準備状態にある場合に比べ、ヒンジ部材21全体としての横幅が大きくなる。つまり、一対のヒンジ構成部31を準備状態とすることで、側壁本体14、及び、扉部16との連結位置(本体側連結部51、及び、扉側連結部53)に対して一対のヒンジ構成部31を比較的スムースに配置することができる。そして、その配置後に、一対のヒンジ構成部31を組付状態とする(横幅を伸長させる)ことで、軸孔37の周辺部と、本体側軸突部52、及び、扉側軸突部54との干渉を生じさせることなく、ヒンジ部材21の各軸孔37を、本体側軸突部52、及び、扉側軸突部54と連結させることができる。
従って、ヒンジ部材21の側壁本体14、及び、扉部16との連結作業に際し、ヒンジ部材21(軸孔37)や側壁本体14、及び、扉部16(本体側軸突部52、及び、扉側軸突部54)を無理に変形させる必要がなく、ヒンジ部材21や側壁本体14、及び、扉部16の損傷を防止することができる。さらに、ヒンジ部材21の連結作業性の低下を招くことなく、ヒンジ部材21の各軸孔37と、本体側軸突部52、及び、扉側軸突部54とのかかり代(軸孔37の軸線方向における各軸孔37と、本体側軸突部52、及び、扉側軸突部54との重なり合う幅)を十分に(より長く)確保することができ、ヒンジ部材21を介しての側壁本体14と、扉部16との連結状態の安定化をより一層図ることができる。
尚、長辺側側壁部6にはロック部材29が設けられており、扉部16を、ヒンジ部材21を介して、側壁本体14と連結する前の状態であっても、扉部16を閉状態となる位置で保持することが可能である。従って、ヒンジ部材21と、側壁本体14、及び、扉部16との連結作業を行う場合に、容器本体2と、扉部16とを好適な位置関係で保持しておく(本体側軸突部52、及び、扉側軸突部54の相対位置を好適な位置関係で固定しておく)ことができ、本体側軸突部52、及び、扉側軸突部54に対して、軸孔37を一辺に連結させるヒンジ構成部31の連結作業性の向上等を図ることができる。
また、ヒンジ構成部31には、軸孔37の軸線方向(左右方向)に対して交差する方向(ヒンジ構成部31の厚み方向)にピン部材44が挿入される挿入部45が設けられ、一対のヒンジ構成部31が組付状態とされた場合に、一対のヒンジ構成部31の挿入部45が位置合わせされ、一対のヒンジ構成部31の挿入部45にかけて、ピン部材44が挿入されるようになっている。このため、前記準備状態とされる側への一対のヒンジ構成部31の相対変位をより確実に防止することができる。従って、一対のヒンジ構成部31の連結状態の安定化をより一層図ることができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、ヒンジ部材21により、側壁本体14と、扉部16との間を連結するように構成されているが、例えば、側壁部の上辺部に対応して蓋部材が回動変位可能に設けられた容器に対応して、側壁部と、蓋部材との間をヒンジ部材21により連結するように構成してもよい。この場合、蓋部材は、容器本体の上方の開口を閉鎖する閉状態と、側壁部の外面に対向して当接、又は、近接する開状態とに状態変化可能とされる。さらに、例えば、一側方に開口する箱状の容器本体と、容器本体の開口部を開閉する扉部とを備える容器において、扉部の一側部と、容器本体の開口部の一側縁部との間をヒンジ部材21により連結するように構成することも可能である。尚、蓋付きの容器に具体化する場合には、扉部16を省略することも可能である。
また、上記実施形態では、ヒンジ部材21に軸孔37が設けられ、側壁本体14、及び、扉部16に本体側軸突部52、及び、扉側軸突部54が設けられているが、側壁本体14、及び、扉部16と、ヒンジ部材21とが回動可能に連結される構成となっていればよく、例えば、側壁本体14、及び、扉部16に軸孔を設け、ヒンジ部材21に軸突部を設けることとしてもよい。
(b)上記実施形態では、ヒンジ部材21を構成する一対のヒンジ構成部31が、係止爪部39等の係止構造、及び、ピン部材44によって連結されるように構成されているが、どちらか一方を省略することとしてもよいし、これらの両方に代えて、別の連結構造を採用してもよい。例えば、ヒンジ部材を構成する一対のヒンジ構成部が扉部16の回動軸線方向に沿って相対変位可能(幅が伸縮自在)に連結されるとともに、当該ヒンジ構成部に対して、扉部16の回動軸線方向に直交する方向(例えば、長辺側側壁部6の高さ方向)に相対変位可能なヒンジロック部材を設け、一対のヒンジ構成部を伸長状態(一対の本体側軸突部52、及び、一対の扉側軸突部54と連結され得る組付状態)としてから、ヒンジロック部材を操作して一対のヒンジ構成部の収縮状態(少なくとも一方の本体側軸突部52、及び、少なくとも一方の扉側軸突部54との連結状態が解除される準備状態)側への相対変位を規制するロック状態とすることができるように構成してもよい。
(c)上記実施形態では、一対の長辺側側壁部6においてそれぞれ扉部16が設けられる構成となっているが、かかる構成に代えて、又は、加えて、短辺側側壁部7に扉部が設けられる構成としてもよいし、一方の長辺側側壁部6にのみ扉部16が設けられる構成としてもよい。加えて、上記実施形態では、側壁本体14に設けられた開口部15が側壁本体14の厚み方向に貫通するだけでなく、上方に開口するように構成されているが、側壁本体14において開口部15の上方を閉塞する部位が設けられるように構成してもよい。
(d)上記実施形態では、容器1はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。また、上記実施形態では、底壁構成部5においてフォーク差込み部12を有する脚部10が設けられ、フォークリフト等で運搬可能な容器1に具体化されているが、脚部、及び、フォーク差込み部のない容器に適用してもよい。さらに、仕切り板4が設けられない容器に適用することも可能である。