JP2020125681A - 基礎用立ち上がり部材 - Google Patents
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従来のPC基礎は、直方体形状の立ち上がり部と、この立ち上がり部の下端部から側方に突出するように設けられたフーティング部(以下、ベース部)と、を有する布基礎型のものである。
そこで、立ち上がり部を、その下端部側面から複数の鉄筋が突出した状態となるように製造し、現場で、コンクリート打設前におけるベース部の鉄筋と接続させることが考えられる。
また同様に、PC基礎の立ち上がり部と、隣接する現場打ちの立ち上がり部同士の接続のために、PC基礎の立ち上がり部の側面から複数の鉄筋を突出させる場合もある。
しかしながら、側面から複数の鉄筋が突出した状態に立ち上がり部を製造した場合、その突出した複数の鉄筋が輸送の邪魔になるという問題が生じる。
鉄筋(例えば、主筋11a・垂直筋11b・補強筋11c)が内部に埋設された立ち上がり本体11を備えており、
前記立ち上がり本体11の下端部側面には、当該立ち上がり本体11の長さ方向に沿って抜け止め凹部11dが形成されており、
前記抜け止め凹部11dには複数のリブ11eが形成されていることを特徴とする。
前記抜け止め凹部11dは、前記立ち上がり本体11の下端部における両側面に形成されていることを特徴とする。
前記抜け止め凹部11dは、下方に位置して上向きに傾斜する第一傾斜面と、上方に位置して下向きに傾斜する第二傾斜面と、を有することを特徴とする。
前記複数のリブ11eは、前記抜け止め凹部11dの長さ方向に間隔を空けて並んで形成されていることを特徴とする。
前記鉄筋に接した状態で前記立ち上がり本体11に埋設された複数のアンカー部材12と、
前記アンカー部材12の各々に取り付けられているとともに前記立ち上がり本体11の側面から突出し、周囲の他の基礎(例えばベース部3)を構成する鉄筋(例えば鉄筋3a)に対して接続される複数の接続用鉄筋13と、を更に備えており、
前記アンカー部材12は、少なくとも一方の端部が開口した状態で形成された筒状部12bを有しており、
前記筒状部12bは、前記開口した状態の端部が、前記立ち上がり本体11の側面に露出した状態となるように配置されており、
前記接続用鉄筋13は、前記開口(開口部12c)が前記立ち上がり本体11の側面に露出した状態の前記筒状部12bに差し込まれていることによって、前記立ち上がり本体11の側面から突出した状態となっており、かつ、前記筒状部12bから取り外し可能とされており、
前記抜け止め凹部11dは、前記筒状部12bにおける前記開口よりも下方の位置に形成されていることを特徴とする。
なお、本実施形態における建物用基礎1は、べた基礎であり、立ち上がり部2を構成する基礎用立ち上がり部材10がプレキャストコンクリート製であるのに対し、ベース部3はコンクリートが現場打ちされて形成されている。ベース部3は、図1,図2に示すように、格子状に組まれた鉄筋3aが埋設されるようにしてコンクリートが打設されて形成されている。
ベース部3の鉄筋3aは、図2に示すように、基礎用立ち上がり部材10の下側に潜り込むベース筋11bを有する。なお、ベース筋3bが潜り込んだ位置は、べた基礎1における地中梁3cが形成される位置に該当する。
内部に埋蔵された鉄筋は、複数の主筋11aと、複数の垂直筋11bと、補強筋11cと、を有する。
複数の主筋11aは、立ち上がり本体11の長さ方向に配置されているとともに、互いに上下に間隔を空けて配置されている。すなわち、立ち上がり本体11の上端部側と下端部側に配置されている。
複数の垂直筋11bは、立ち上がり本体11の高さ方向に配置されているとともに、複数の主筋11a間に架け渡されている。これら複数の垂直筋11bは、複数の主筋11aの長さ方向に間隔を空けて配置されており、さらに複数の主筋11aに対して接合されている。すなわち、複数の主筋11aと複数の垂直筋11bとが梯子状に組まれている。
補強筋11cは、上下の主筋11a間に位置するとともに、これら上下の主筋11aと平行に配置されており、複数の垂直筋11b間に架け渡されて接合されている。
抜け止め凹部11dには、図5に示すように、複数のリブ11eが形成されている。これら複数のリブ11eは、立ち上がり本体11(抜け止め凹部11d)の長さ方向に間隔を空けて並んでいる。
基礎用立ち上がり部材10の下端部が、べた基礎1のベース部3に埋設された際に、抜け止め凹部11dの内部にもコンクリートが入り込むことになる。そのため、基礎用立ち上がり部材10の下端部がベース部3に対して食い込んだ状態となる。また、複数のリブ11eが形成されることで、基礎用立ち上がり部材10の水平方向へのズレも抑止できる。
また、このアンカー部材12は、上下方向に沿って配置されているとともに、立ち上がり本体11の長さ方向に間隔を空けて複数埋設されている。
なお、このアンカー部材12の使用本数は、ベース部3を構成する鉄筋3aの使用本数に応じて適宜変更可能である。
また、このアンカー鉄筋12aは、立ち上がり本体11内部の鉄筋に対して単に接しているだけでもよいし、溶接等により接合された状態であってもよい。さらには、針金等によって結びつけられていてもよい。
アンカー鉄筋12aの上端部は略U字状に折り曲げられており、立ち上がり本体11に対する係合強度に優れる。
また、筒状部12bには、アンカー鉄筋12aを通すための差込孔部12dが形成されており、アンカー鉄筋12aは、図3(b),(c)に示すように、筒状部12bを貫通した状態となっている。
なお、後述するが、筒状部12bの長さ方向一端にある開口部12cは、接続用鉄筋13が差し込まれるため、差込孔部12dは、筒状部12bの長さ方向他端に、筒状部12bを貫通して形成されている。ただし、筒状部12bに対する差込孔部12dの位置は、アンカー部材12の使用形態に応じて適宜変更可能である。
本実施形態において、複数のアンカー部材12における各々の筒状部12bは、図2,図4に示すように、開口した状態の端部(すなわち、開口部12c)が、立ち上がり本体11の下端部側面に露出した状態となるように配置されている。さらに、これら筒状部12bは、立ち上がり本体11の下端部側面に沿って並んだ状態となるように配置されている。
なお、これら複数の筒状部12bの間隔は、ベース部3を構成する複数の鉄筋3a同士の間隔に応じて適宜変更可能である。
また、立ち上がり本体11に形成された抜け止め凹部11dは、これら複数の筒状部12bにおける開口部12cよりも下方に位置している。
ここで言う周囲の他の基礎とは、べた基礎1におけるベース部3を指しており、それを構成する鉄筋とは、上述した、ベース部3を構成する格子状に組まれた鉄筋3aを指している。
なお、接続用鉄筋13の長さは適宜変更可能であり、必要に応じて長いものを用いたり、短いものを用いたりしてよい。すなわち、周囲の他の基礎に応じて、その長さを適宜変更することが望ましい。また、接続用鉄筋13のうち、立ち上がり本体11の側面から突出する部位の形状も適宜変更してもよいものとする。
すなわち、この接続用鉄筋13は、少なくとも、筒状部12bに差し込まれる側の端部から、ベース部3の鉄筋3aに接続される部位までは、直線状に形成されている。さらに、筒状部12bに差し込まれる側の端部の直径は、筒状部12bの孔径よりも短く設定されている。したがって、接続用鉄筋13は、筒状部12bに対して差し込み可能であるとともに取り外し可能とされている。
なお、接続用鉄筋13における筒状部12bに差し込まれる側の端部に雄ネジを形成し、筒状部12bの内側面に雌ネジを形成して、接続用鉄筋13を筒状部12bに捩じ込むようにして取り付けできるようにしてもよい。
また、アンカー部材12の筒状部12bには、上述のように、アンカー鉄筋12aが貫通して設けられている。すなわち、両端が開口する筒状部12bのうち他方の端部の開口部12cは、アンカー鉄筋12aによって塞がれたような状態となっている。したがって、筒状部12bにおける一方の開口部12cから接続用鉄筋13を差し込んだ時に、接続用鉄筋13は、筒状部12bを貫通するアンカー鉄筋12aに当たることになる。
すなわち、立ち上がり本体11は、立ち上がり本体11だけでまとめて(例えば積み上げたり、並べたりして)輸送でき、接続用鉄筋13は、接続用鉄筋13だけでまとめて(例えば束にして)輸送することができる。当然、同一の輸送車両に載せて輸送する方が望ましい。
そして、少なくとも施工時までに、複数の接続用鉄筋13を複数の筒状部12bに差し込んで、図3(b)に示すように、複数の接続用鉄筋13が、立ち上がり本体11の下端部側面から突出した状態とする。
そして、立ち上がり本体11の下端部側面から突出する接続用鉄筋13と、ベース部3の鉄筋3aとを接続した後に、ベース部3を構成するコンクリートを型枠内で打設する。これによって、立ち上がり本体11の下端部をベース部3に埋設することができるとともに、接続用鉄筋13およびベース部3の鉄筋3aもコンクリート内部に埋設することができる。上述の複数のPC底盤も共に埋設された状態となる。
なお、接続用鉄筋13は、ベース部3を構成する鉄筋3aに対して単に接しているだけでもよいし、溶接等により接合された状態であってもよい。さらには、針金等によって結びつけられていてもよい。
すなわち、アンカー鉄筋12aが必ずしも用いられる必要はなく、筒状部12bが、立ち上がり本体11の内部に埋設された鉄筋のいずれかに直接接した状態で用いられていてもよい。
しかも、接続用鉄筋13は、ベース部3を構成する鉄筋3aに対して接続されており、この接続用鉄筋13が差し込まれる筒状部12bを有したアンカー部材12が、立ち上がり本体11の鉄筋に接しているので、基礎用立ち上がり部材10からベース部3にかけて鉄筋が繋がった状態となり、基礎用立ち上がり部材10とベース部3との一体性を高めることができる。すなわち、基礎用立ち上がり部材10を、ベース部3に対して確実かつ強固に定着させることができる。
つまり、基礎用立ち上がり部材10から突出する接続用鉄筋13は、ベース部3に埋設されて単に食い込むのではなく、ベース部3を構成する鉄筋3aと接し合って、立ち上がり本体11内部の鉄筋と、ベース部3を構成する鉄筋3aとを繋げた状態となるので、例えば接続用鉄筋13が、ベース部3に埋設されて単に食い込んだ状態に比して、構造的な強度を得ることができる。
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。
図6〜図8に示す変形例では、筒状部22bの開口部22cが、基礎用立ち上がり部材20の側面に露出した状態となるように、かつ上下に間隔を空けて並んだ状態となるように配置されている。そして、基礎用立ち上がり部材20の側面から突出する上下の接続用鉄筋23と、梯子状に形成された鉄筋25とが接した状態となっている。
すなわち、この例では、基礎用立ち上がり部材20に対して直交する方向に、現場打ちの基礎における立ち上がり部(図示せず)が設けられることになる。また、基礎用立ち上がり部材20と、隣接する他の基礎用立ち上がり部材26とが一直線上に配置されており、現場打ちの立ち上がり部は、これら基礎用立ち上がり部材20,26からなる長尺な立ち上がり部に対して直交した状態に設けられることになる。
また、本変形例におけるアンカー部材22は、図8に示すように、アンカー鉄筋22aが直線状に形成されている。アンカー鉄筋22aは、立ち上がり本体21内部の鉄筋に対して接した状態となっている。
さらに、筒状部22bは、上述の実施形態における筒状部12bと同様に構成されており、開口部22cおよび差込孔部22dを有する。
このような接続用鉄筋23を、現場打ちの立ち上がり部における鉄筋25と接した状態にして、現場打ちの立ち上がり部を構築すれば、基礎用立ち上がり部材20における鉄筋(主筋21a等)と、現場打ちの立ち上がり部における鉄筋25とが繋がった状態となるので、基礎用立ち上がり部材20と直交する現場打ちの立ち上がり部との一体性が高まる。
この窪み24aには、現場打ちの立ち上がり部の施工時に使用されるコンクリートが入り込むため、基礎用立ち上がり部材20と現場打ちの立ち上がり部との一体性を向上できるという利点がある。
図9に示す変形例では、基礎用立ち上がり部材30が、その中央側の側面に突出部34を備えた状態となっている。すなわち、基礎用立ち上がり部材30が、平面視において略T字型に形成されている。そして、アンカー部材32における筒状部32bが、当該突出部34に埋設されている。
筒状部32bは、開口部32cが、立ち上がり本体31における突出部34の突出方向側面に露出した状態となるように、かつ上下に間隔を空けて並んだ状態となるように配置されている。
また、アンカー部材32は、アンカー鉄筋32aがL字状に折り曲げられており、その折り曲げられたアンカー鉄筋32aの先端に筒状部32bが設けられた状態となっている。アンカー鉄筋32aは、立ち上がり本体31の内部に埋設された主筋31aや垂直筋31b等の鉄筋に接している。
このような変形例によれば、図示しない接続用鉄筋を、立ち上がり本体31の側面から上下に間隔を空けて並んだ状態で突出させることができる。したがって、基礎用立ち上がり部材30を、現場打ちの基礎における立ち上がり部との接続に適したものとすることができる。
図10に示す変形例では、基礎用立ち上がり部材40が、その長さ方向一端部に突出部44を備えた状態となっている。そして、アンカー部材42における筒状部42bが、当該突出部44に埋設されている。
筒状部42bは、開口部42cが、立ち上がり本体41における長さ方向一端面に露出した状態となるように、かつ上下に間隔を空けて並んだ状態となるように配置されている。
また、アンカー部材42は、アンカー鉄筋42aが突出部44の形状に合わせて略S字状に折り曲げられており、その折り曲げられたアンカー鉄筋42aの先端に筒状部42bが設けられた状態となっている。アンカー鉄筋42aは、立ち上がり本体41の内部に埋設された主筋41aや垂直筋41b等の鉄筋に接している。
このような変形例によれば、図示しない接続用鉄筋を、立ち上がり本体41の側面から上下に間隔を空けて並んだ状態で突出させることができる。したがって、基礎用立ち上がり部材40を、現場打ちの基礎における立ち上がり部との接続に適したものとすることができる。
図示はしないが、本変形例におけるアンカー部材の筒状部は、その開口部が、立ち上がり本体の両側面に露出した状態となるように形成されている。この場合、アンカー鉄筋は、筒状部の長さ方向中央部を貫通するか、または筒状部の長さ方向中央部の外側面に添って、かつ筒状部と交差するようにして設けられている。すなわち、アンカー部材は、アンカー鉄筋と筒状部とが交差した、略十字状または略T字状に形成されることとなる。
また、筒状部の長さは、立ち上がり本体の一方の側面から他方の側面までの間隔(立ち上がり本体の厚さ寸法)と略等しく設定されている。これによって、筒状部の開口部が、立ち上がり本体の両側面に露出した状態となる。
このような変形例によれば、接続用鉄筋を、立ち上がり本体の両側面から突出させることができるので、基礎用立ち上がり部材の両側面側に設けられる双方の他の基礎との一体性を高めることができる。
建物用基礎1として、べた基礎について説明したが、これに代えて、布基礎を採用した。
布基礎の場合、ベース部に相当する所謂フーティング部が現場打ちで施工される。また、フーティング部の内部には、接続用鉄筋が接する鉄筋が埋設されている。したがって、立ち上がり本体とフーティング部とを一体化する場合にも、アンカー鉄筋および筒状部を有するアンカー部材を利用できる。
さらに、布基礎における基礎用立ち上がり部材と、現場打ちの基礎における立ち上がり部とを一体化する場合にも、アンカー鉄筋および筒状部を有するアンカー部材を利用できる。
2 立ち上がり部
3 ベース部
3a 鉄筋
10 基礎用立ち上がり部材
11 立ち上がり本体
11a 主筋
11b 垂直筋
11c 補強筋
12 アンカー部材
12a アンカー鉄筋
12b 筒状部
12c 開口部
13 接続用鉄筋
Claims (5)
- 建物用基礎の立ち上がり部を構成し、下端部がベース部に埋設されるプレキャストコンクリート製の基礎用立ち上がり部材において、
鉄筋が内部に埋設された立ち上がり本体を備えており、
前記立ち上がり本体の下端部側面には、当該立ち上がり本体の長さ方向に沿って抜け止め凹部が形成されており、
前記抜け止め凹部には複数のリブが形成されていることを特徴とする基礎用立ち上がり部材。 - 請求項1に記載の基礎用立ち上がり部材において、
前記抜け止め凹部は、前記立ち上がり本体の下端部における両側面に形成されていることを特徴とする基礎用立ち上がり部材。 - 請求項1又は2に記載の基礎用立ち上がり部材において、
前記抜け止め凹部は、下方に位置して上向きに傾斜する第一傾斜面と、上方に位置して下向きに傾斜する第二傾斜面と、を有することを特徴とする基礎立ち上がり部材。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の基礎用立ち上がり部材において、
前記複数のリブは、前記抜け止め凹部の長さ方向に間隔を空けて並んで形成されていることを特徴とする基礎用立ち上がり部材。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の基礎用立ち上がり部材において、
前記鉄筋に接した状態で前記立ち上がり本体に埋設された複数のアンカー部材と、
前記アンカー部材の各々に取り付けられているとともに前記立ち上がり本体の側面から突出し、周囲の他の基礎を構成する鉄筋に対して接続される複数の接続用鉄筋と、を更に備えており、
前記アンカー部材は、少なくとも一方の端部が開口した状態で形成された筒状部を有しており、
前記筒状部は、前記開口した状態の端部が、前記立ち上がり本体の側面に露出した状態となるように配置されており、
前記接続用鉄筋は、前記開口が前記立ち上がり本体の側面に露出した状態の前記筒状部に差し込まれていることによって、前記立ち上がり本体の側面から突出した状態となっており、かつ、前記筒状部から取り外し可能とされており、
前記抜け止め凹部は、前記筒状部における前記開口よりも下方の位置に形成されていることを特徴とする基礎用立ち上がり部材。
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