JP2012097428A - コンクリート基礎部材及びその連結構造 - Google Patents

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良祐 手嶋
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Abstract

【課題】プレキャスト製のコンクリート基礎部材を用いることによる利便性を損ねることがなく、コンクリート基礎部材間で強度にばらつきのない安定した基礎を構築するとともに、コンクリート基礎部材間の連結を簡単且つ強固にすることができるコンクリート基礎部材及びその連結構造を提供すること。
【解決手段】プレキャスト製のコンクリート基礎部材1A,1Bはコンクリート基礎部材本体2の端部3に形成される互いの凹部4,4を対面するように配置し、折り返し部9A,9B内に、連結鉄筋11を挿入して、コンクリート基礎部材1A,1B間が連結することで格子状の補強鉄筋を組んだ後、方形状の溝10内に、コンクリートや無収縮モルタルなどの不定形硬化材16を充填することで、一体化した基礎が構築される。
【選択図】図2

Description

本発明は、住宅建設などの基礎施工に用いられるプレキャスト製のコンクリート基礎部材及びその連結構造に関する。
近年、プレキャスト製のコンクリート基礎部材を施工現場で配置後、これを連結部材により連結することで、一体化した基礎を構築する工法が採用されてきている。
こうした施工方法に関するものには、縦断面方形状に形成したコンクリート基礎本体に、略格子状に連結された補強鉄筋を埋設し、前記補強部材のうち水平方向に埋設された補強鉄筋を基礎本体の横方向の端面から突出させるとした構成(例えば特許文献1)が開示されている。これは、基礎本体の横方向の端面から突出させた補強鉄筋をU字状に屈曲させてフック部を形成し、基礎本体相互間においてフック部を連結して一体化されるものである。
また、この他にも基礎本体相互間に形成される間隔部を、基礎本体と同条件で製作された連結ブロックを介して連結するとした構成(例えば特許文献2)が開示されている。
特開平08−177058号公報 特許第3662207号公報
上記特許文献1に提案される技術によれば、連結される基礎本体相互間に形成される間隔部は、コンクリート打設して埋設するために型板等で覆いボルト・ナットで連結する必要があり、プレキャスト製のコンクリート基礎部材を用いたことによる施工現場での利便性は高いものといえなかった。
また、上記特許文献2に提案される技術によれば、型枠を組み、この型枠内にコンクリートを打設するとした従来の工法よりも簡便ではあるが、連結ブロックは、基礎本体相互間の間隔部に介装させるとした構成であるため、剥き出しになっている補強鉄筋に接触しないように注意を払う必要があり、現場施工に時間が掛かるため、作業の円滑化は望めなかった。さらに、基礎本体と連結ブロックの構成が異なるため、基礎部材間で強度にばらつきが生じる虞があった。
そこで本発明は上記問題点に鑑み、プレキャスト製のコンクリート基礎部材を用いることによる利便性を損ねることがなく、コンクリート基礎部材間で強度にばらつきのない安定した基礎を構築できるとともに、コンクリート基礎部材間を簡単且つ強固に連結することができるコンクリート基礎部材及びその連結構造を提供することを目的とする。
本発明の請求項1の発明は、プレキャスト製のコンクリート基礎部材本体と、前記コンクリート基礎部材本体内に埋設されるとともに前記コンクリート基礎部材本体の水平方向端面から突出する補強鉄筋と、前記補強鉄筋が突出する前記コンクリート基礎部材本体の水平方向端部に設けられた凹部とを備えることを特徴とする。
本発明の請求項2の発明は、前記補強鉄筋が、前記コンクリート基礎本体の水平方向端面から突出して折り返された折り返し部を有することを特徴とする。
本発明の請求項3の発明は、請求項1記載のコンクリート基礎部材の連結構造において、隣接する前記コンクリート基礎部材それぞれの前記補強鉄筋は前記コンクリート基礎部材本体の水平方向端面から突出して折り返された折り返し部を有し、隣接する前記コンクリート基礎部材間の前記折り返し部内に連結鉄筋を挿入し、前記連結鉄筋が介在する前記凹部内に不定形硬化材を充填したことを特徴とする。
本発明の請求項4の発明は、前記連結鉄筋が、主筋と、前記主筋に対し交差して設けられた係止部とを有し、前記係止部を前記折り返し部に係止したことを特徴とする。
本発明の請求項5の発明は、前記折り返し部が、水平方向に折り返され、隣接する前記コンクリート基礎部材間で上下に重なる位置となり、この上下に重なる位置となった前記折り返し部内に、前記主筋を挿入したことを特徴とする。
本発明の請求項6の発明は、前記折り返し部が、垂直方向に折り返され、隣接する前記コンクリート基礎部材間で左右に重なる位置となり、この左右に重なる位置となった折り返し部内に、前記主筋に交差して設けられた短鉄筋を挿入したことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、構成を変えることなく様々な形状のコンクリート基礎部材を工場等で製作できるので、コンクリート基礎部材間で強度にばらつきのない一体化した基礎を構築することができる。また、現場施工では、製作されたプレキャスト製のコンクリート基礎部材を間取りに合せて配置するだけで基礎を構築できるので、現場施工を簡便に行うことができる。
請求項2の発明によれば、隣接したコンクリート基礎部材間にある互いの折り返し部に連結鉄筋を挿入するだけで確実に連結することができる。
請求項3の発明によれば、プレキャスト製のコンクリート基礎部材を用いたことによる利便性を損ねることなく現場施工を行うことができると共に、連結強度が高く、更にはコンクリート基礎部材間で強度にばらつきのない基礎を安定して構築することができる。
請求項4の発明によれば、係止部を持ちながら挿入することができると共に、この係止部が折り返し部に係止されることで、連結鉄筋を落下させることなく簡便に施工を行うことができる。
請求項5の発明によれば、水平方向に折り返された折り返し部内に、連結鉄筋が有する主筋を挿入するだけで、隣合うコンクリート基礎部材間に略格子状の補強鉄筋を簡単且つ強固に連結することができる。
請求項6の発明によれば、隣接するコンクリート基礎部材間で折り返し部が抵触することなく、上方から吊り降ろして配置することができるので現場施工を簡便に行うことができる。また、垂直方向に折り返された折り返し部内に、連結鉄筋が有する短鉄筋を挿入するだけで、隣接するコンクリート基礎部材間に略格子状の補強鉄筋を簡単且つ強固に連結することができる。
本発明の実施例1を示すコンクリート基礎部材の斜視図である。 同上、コンクリート基礎部材の連結状態を示す平面図である。 同上、コンクリート基礎部材の連結状態を示す図2のA−A線断面図である。 同上、連結鉄筋の正面図である。 本発明におけるコンクリート基礎部材の施工図である。 本発明の実施例2を示すコンクリート基礎部材の斜視図である。 同上、コンクリート基礎部材の連結状態を示す平面図である。 同上、コンクリート基礎部材の連結状態を示す図7のB−B線断面図である。 同上、連結鉄筋の正面図である。 同上、コンクリート基礎部材の連結構造を示す分解斜視図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について説明する。
図1乃至図4は、本発明の実施例1を示すものである。図1に示すように、本発明に係るプレキャスト製のコンクリート基礎部材1A,1Bは、縦断面方形状のコンクリート基礎部材本体2からなり、このコンクリート基礎部材本体2の端部3には、平面視で略コ字状となる凹部4が上面5から下面6にかけて形成されている。このコンクリート基礎部材本体2内には、予め略格子状に組まれた補強鉄筋7が埋設されており、略格子状に組まれた補強鉄筋7のうち、水平方向Xに延びる補強鉄筋7A,7Aの端部をコンクリート基礎部材本体2に形成された凹部4内の端面8から突出させている。
また、補強鉄筋7A,7Aの端部は、水平方向Xに折り返されており、折り返されることで形成される略半円状の折り返し部9A,9Bを有している。この折り返し部9A,9Bは、コンクリート基礎部材本体2に形成される凹部4内の端面8から突出し、且つコンクリート基礎部材本体2の端部3よりも外方に突出しており、これが上方から下方にかけて所定間隔をおいて配置される。
上記構成を標準化したプレキャスト製のコンクリート基礎部材1A,1Bは、施工現場にてコンクリート基礎部材本体2の端部3に形成された互いの凹部4,4が対面するように、間取りに合せて配置される。
ところで、プレキャスト製のコンクリート基礎部材1A,1Bは共に同様の構成を備えているので、互いの凹部4,4を対面させようとすると、コンクリート基礎部材本体2の端部3よりも外方に突出する折り返し部9A,9Bの位置が、水平方向Xにおいて同位置となるため、抵触してしまう。このため、プレキャスト製のコンクリート基礎部材1A,1Bが製作される工場等において、一方の折り返し部9Aを上方へ、他方の折り返し部9Bを下方へと曲げ加工されていることが好ましく、或は施工現場にて曲げられるようにするなどしておく必要がある。
この場合、隣合うコンクリート基礎部材1A,1B間で、一方のコンクリート基礎部材1Aが有する上方へ曲げ加工された折り返し部9Aと、他方のコンクリート基礎部材1Bが有する下方へ曲げ加工された折り返し部9Bとが、対面するように配置することで、水平方向Xにおいて折り返し部9A,9Bが同位置にあったとしても抵触することなく、或は抵触しながらも上下に重なる位置となる。
そして、曲げ加工された折り返し部9A,9Bが上下に重なる位置となることで、隣合うコンクリート基礎部材1A,1B間が近接して配置される。こうして、隣合うコンクリート基礎部材1A,1B間が近接することにより、コンクリート基礎部材1A,1B間で対面する凹部4,4が合わさり上面5から下面6にかけて略方形状の溝10が形成される。その後、曲げ加工が施された折り返し部9A,9B内に、連結鉄筋11を挿入して、コンクリート基礎部材1A,1B間が連結される。
この連結鉄筋11は、図4に示すように、主筋12と、係止部たる補助鉄筋13とにより構成されている。このうち、主筋12は両端部14,14が上方に向かうようにU字状に折り返されている。この他、補助鉄筋13は、主筋12の上方位置に主筋12と交差して配置され、溶接、或は針金で括り付けるなどして固定されている。また、補助鉄筋13は、主筋12と交差して配置されており、折り返し部9A,9B内に連結鉄筋11を挿入する際、これを持ちながら挿入することができるように構成される。これにより、補強鉄筋13がない場合と比べて連結鉄筋11が落下するリスクを低減できるので、簡便に施工を行うことができる。
また、前記補助鉄筋13の長さは、平面視において上下に重なり合う折り返し部9A,9Bが形成する輪の直径t1よりも長く、且つ近接する凹部4,4間の長さt2よりも短いものとなる。こうしたことで、折り返し部9A,9B内に、連結鉄筋11を挿入しても、補助鉄筋13が折り返し部9A,9Bに係止されて、落下することなく確実に格子状の補強鉄筋15を組むことができるとともに、コンクリート基礎部材1A,1B間を連結することができる。
そして、コンクリート基礎部材1A,1B間で、格子状の補強鉄筋15が組まれた後、略方形状の溝10内に、コンクリートや無収縮モルタルなどの不定形硬化材16を充填することで、一体化した基礎が構築される。
尚、本実施例1では平面視I字状の型で形成されたコンクリート基礎部材1A,1Bを用いて説明したが、この他にも図8に示すように、L字状の型で形成されたコンクリート基礎部材1C、T字状の型で形成されたコンクリート基礎部材1D、又は十字状の型で形成されたコンクリート基礎部材1Eなど、種々の形状でも製作される。この際にも、I字状の型で形成されたコンクリート基礎部材1A,1Bと同様に、平面視で略コ字状となる凹部4や、補強鉄筋7A,7Aを水平方向Xに折り返すことで形成される略半円状の折り返し部9A,9Bといった構成を備えるものとする。また、これらを施工現場で配置する場合、本実施例1の構成を備えるプレキャスト製のコンクリート基礎部材1A,1B間では、凹部4内の上方から下方にかけて所定間隔をおいて配置されている折り返し部9A,9Bが抵触してしまうために、上方から吊り降ろして配置することができないが、この場合には、先に配置されたコンクリート基礎部材と適当な間隔をあけて着地させてから、水平移動させることにより、無理なく配置することができる。
このように本実施例では、請求項1に対応して、プレキャスト製のコンクリート基礎部材本体2と、コンクリート基礎部材本体2内に埋設されるとともにコンクリート基礎部材本体2の水平方向端面8から突出する補強鉄筋7A,7Aと、補強鉄筋7A,7Aが突出するコンクリート基礎部材本体2の水平方向端部8に設けられた凹部4とを備えるから、構成を変えることなく様々な形状のコンクリート基礎部材1A,1Bを工場等で製作できるので、コンクリート基礎部材1A,1B間で強度にばらつきのない一体化した基礎を構築することができる。また、現場施工では、製作されたプレキャスト製のコンクリート基礎部材1A,1Bを間取りに合せて配置するだけで基礎を構築できるので、現場施工を簡便に行うことができる。
このように本実施例では、請求項2に対応して、補強鉄筋7A,7Aが、コンクリート基礎本体1の水平方向端面8から突出して折り返された折り返し部9A,9Bを有するから、隣接したコンクリート基礎部材1A,1B間にある互いの折り返し部9A,9Bに連結鉄筋11を挿入するだけで確実に連結することができる。
このように本実施例では、請求項3に対応して、請求項1記載のコンクリート基礎部材の連結構造において、隣接する前記コンクリート基礎部材1A,1Bそれぞれの補強鉄筋7A,7Aはコンクリート基礎部材本体2の水平方向端面8から突出して折り返された折り返し部9A,9Bを有し、隣接するコンクリート基礎部材1A,1B間の折り返し部9A,9B内に連結鉄筋11を挿入し、連結鉄筋11が介在する凹部4,4内に不定形硬化材16を充填したから、プレキャスト製のコンクリート基礎部材を用いたことによる利便性を損ねることなく現場施工を行うことができると共に、連結強度が高く、更にはコンクリート基礎部材1A,1B間で強度にばらつきのない基礎を安定して構築することができる。
このように本実施例では、請求項4に対応して、連結鉄筋11が、主筋12と、主筋12に対し交差して設けられた係止部たる補助鉄筋13とを有し、補助鉄筋13を折り返し部9A,9Bに係止するから、補助鉄筋13を持ちながら挿入することができると共に、この補助鉄筋13が折り返し部9A,9Bに係止されるので、連結鉄筋11を落下させることなく簡便に施工を行うことができる。
このように本実施例では、請求項5に対応して、折り返し部9A,9Bが、水平方向に折り返され、隣接するコンクリート基礎部材1A,1B間で上下に重なる位置となり、この上下に重なる位置となった折り返し部9A,9B内に主筋12を挿入したから、隣合うコンクリート基礎部材間1A,1Bに格子状の補強鉄筋15を簡単且つ強固に連結することができる。
図6乃至図10は、本発明の実施例2を示し、本実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。
本実施例1におけるコンクリート基礎部材1A,1Bにあっては、コンクリート基礎部材本体2内に埋設された水平方向Xに延びる補強鉄筋7A,7Aが水平方向Xに折り返されることで略半円状の折り返し部9A,9Bが形成されていたが、本実施例では、水平方向Xに延びる補強鉄筋7A,7Aが垂直方向Yに折り返されていることで略半円状の折り返し部19A,19Bが形成されており、この点が異なることを特徴としている。
上記構成を標準化したプレキャスト製のコンクリート基礎部材1A,1Bは、施工現場にてコンクリート基礎部材本体2の端部3に形成される互いの凹部4,4が対面するように、間取りに合せて配置される。
ところで、プレキャスト製のコンクリート基礎部材1A,1Bは共に同様の構成を備えているので、互いの凹部4,4を対面させようとすると、コンクリート基礎部材本体2の端部3よりも外方に突出する折り返し部19A,19Bの位置が、水平方向Xにおいて同位置となるため、抵触してしまう。このため、プレキャスト製のコンクリート基礎部材1A,1Bが製作される工場等において、一方の折り返し部19Aを左方へ、他方の折り返し部19Bを右方へと曲げ加工されていることが好ましく、或は施工現場にて曲げられるようにするなどしておく必要がある。
この場合、隣合うコンクリート基礎部材1A,1B間で、一方のコンクリート基礎部材1Aが有する左方へ曲げ加工された折り返し部19Aと、他方のコンクリート基礎部材1Bが有する右方へ曲げ加工された折り返し部19Bとが、対面するように配置することで、水平方向Xにおいて折り返し部19A,19Bが、同位置にあったとしても抵触することなく、或は抵触しながらも左右に重なる位置となる。
そして、曲げ加工された折り返し部19A,19Bが左右に重なる位置となることで、隣合うコンクリート基礎部材1A,1B間が近接して配置される。こうして、隣合うコンクリート基礎部材1A,1B間が近接することにより、コンクリート基礎部材1A,1B間で対面する凹部4,4が合わさり上面5から下面6にかけて略方形状の溝10が形成される。その後、曲げ加工が施された折り返し部19A,19B内に、連結鉄筋20を挿入して、コンクリート基礎部材1A,1B間が連結される。
この連結鉄筋20は、図9に示すように、主筋21と、複数の短鉄筋22,22と、係止部たる補助鉄筋23により構成されている。このうち、複数の短鉄筋22,22は、上方から下方にかけて補強鉄筋7A,7Aが配置される間隔に対応させて配置されるとともに、主筋21に対して交差して配置され、更には短鉄筋22,22の長手方向における中心が主筋21の中心軸よりも左右いずれかにずらされて配置される。この他に、補助鉄筋23は、複数の短鉄筋22,22のうち最も上方位置に配置される短鉄筋22よりも、さらに上方に配置され、短鉄筋22,22とともに主筋21に溶接、或は針金で括り付けるなどして固定されている。
また、補助鉄筋23は、複数の短鉄筋22,22と同様に主筋21と交差して配置されており、折り返し部19A,19B内に連結鉄筋20を挿入する際、これを持ちながら挿入することができるように構成される。これにより、補強鉄筋23がない場合と比べて連結鉄筋20が落下するリスクを低減できるので、簡便に施工を行うことができる。
また、この複数の短鉄筋22,22の長さは、平面視において左右に重なる位置となる略半円状の折り返し部19A,19B間の長さt3よりも短く形成されている。こうしたことで、連結鉄筋20が有する短鉄筋22,22それぞれを、折り返し部19A,19Bに係止する際、略半円状の折り返し部19A,19B間で回転させることができる。
すなわち、複数の短鉄筋22,22の長さが、折り返し部19A,19B間の長さt3よりも短く形成されていることで、連結鉄筋20を折り返し部19A,19B内へ挿入する際に、補強鉄筋7A,7Aと複数の短鉄筋22,22及び補助鉄筋23とが平行になるよう補助鉄筋23により連結鉄筋20を持ちながら挿入し、複数の短鉄筋22,22それぞれを折り返し部19A,19B内に対応する位置まで到達させた後、複数の短鉄筋22,22及び補助鉄筋23は主筋21の中心軸線を中心に折り返し部19A,19B側へ略90°回転することで、複数の短鉄筋22,22を折り返し部19A,19B内に挿入することができる。そうすると、複数の短鉄筋22,22それぞれが左右に重なり合う折り返し部19A,19B内に係止されるので、落下することなく確実に格子状の補強鉄筋24を組むことができるとともに、コンクリート基礎部材1A,1B間を連結することができる。
このように連結鉄筋20は、折り返し部19A,19B間の長さt3内で、複数の短鉄筋22,22を回転させることができれば連結できるので、一本に限らず複数本の連結鉄筋20を用いて連結することもできる。例えば、複数の短鉄筋22,22及び補助鉄筋23の先端が主筋21の中心軸線を中心に回転して折り返し部19A,19B内に挿入した後、折り返し部19A、または折り返し部19Bの何れかに当接するように水平方向Xに移動させている。こうしたことで、折り返し部19A,19B間の長さt3は、連結鉄筋20が有する主筋21の直径と複数の短鉄筋22,22の直径分が短くなるだけで、ほとんど変わらないため、先に挿入した連結鉄筋20のほかに、さらに連結鉄筋20を挿入できる。
この点を本実施例2では、コンクリート基礎部材本体2の幅方向一側において、複数の短鉄筋22,22及び補助鉄筋23の先端をコンクリート基礎部材1Aの凹部4の外側に向け、補強鉄筋7A,7Aに複数の短鉄筋22,22及び補助鉄筋23を平行にして連結鉄筋20を略方形状の溝10内挿入した後、主筋21の中心軸線を中心に略90°回転して複数の短鉄筋22,22を折り返し部19Aに挿入している。また、同様にコンクリート基礎部材本体2の幅方向他側において、複数の短鉄筋22,22及び補助鉄筋23の先端をコンクリート基礎部材1Bの凹部4の外側に向け、補強鉄筋7A,7Aに複数の短鉄筋22,22及び補助鉄筋23を平行にして連結鉄筋20を略方形状の溝10内挿入した後、主筋21の中心軸線を中心に略90°回転して短鉄筋22,22を折り返し部19Bに挿入している。
そして、コンクリート基礎部材1A,1B間で、格子状の補強鉄筋24が組まれた後、略方形状の溝10内に、コンクリートや無収縮モルタルなどの不定形硬化材16を充填することで、一体化した基礎が構築される。
尚、連結鉄筋20を挿入途中で回転させる場合、短鉄筋22,22それぞれが折り返し部19A,19B内に対応するよう正確に位置しなければならないが、この点は主筋21の上方に配置される補助鉄筋23と、複数の短鉄筋22,22のうち最も上方に位置する短鉄筋22との間隔を定めておくことで、正確に位置決めすることが可能となる。
また、本実施例2のような、水平方向Xに延びる補強鉄筋7A,7Aを垂直方向Yに折り返して形成される折り返し部19A,19Bによれば、施工現場での作業は、より簡便になる。
通常は、施工現場において標準化されたプレキャスト製のコンクリート基礎部材1A,1Bを間取りに合せて配置していくのだが、上述したように、本実施例1のような水平方向Xに延びる補強鉄筋7A,7Aを水平方向Xに折り返して形成される折り返し部9では、隣合うコンクリート基礎部材1A,1B間の折り返し部9A,9Bが抵触してしまうため、上方から吊り降ろして配置することができない。しかし、本実施例2の構成を備えるプレキャスト製のコンクリート基礎部材1A,1B間にあっては、左右に重なる位置となり折り返し部19A,19Bが抵触することがないため、上方から吊り降ろして配置することができる。このことで施工現場での作業はより円滑に進み、簡便となる。
このように本実施例では、請求項1及び請求項2に対応し、また請求項3に対応して、請求項1記載のコンクリート基礎部材の連結構造において、隣接するコンクリート基礎部材1A,1Bそれぞれの補強鉄筋7A,7Aはコンクリート基礎部材本体2の水平方向端部8から突出して折り返された折り返し部19A,19Bを有し、隣接するコンクリート基礎部材1A,1B間の折り返し部19A,19B内に連結鉄筋20を挿入し、連結鉄筋20が介在する凹部4,4内に不定形硬化材16を充填したから、プレキャスト製のコンクリート基礎部材1A,1Bを用いたことによる利便性を損ねることなく現場施工を行うことができると共に、連結強度が高く、更にはコンクリート基礎部材1A,1B間で強度にばらつきのない基礎を、安定して構築することができる。
このように本実施例では、請求項4に対応して、連結鉄筋20が、主筋21と、主筋21に対し交差して設けられた係止部たる補助鉄筋23とを有し、補助鉄筋23を折り返し部19A,19Bに係止するから、補助鉄筋23を持ちながら挿入することができると共に、この補助鉄筋13が折り返し部19A,19Bに係止されるので、連結鉄筋20を落下させることなく簡便に施工を行うことができる。
このように本実施例では、請求項6に対応して、折り返し部19が、垂直方向に折り返され、隣接するコンクリート基礎部材1A,1B間で左右に重なる位置となり、この左右に重なる位置となった折り返し部19A,19B内に、主筋21に交差して設けられた短鉄筋22,22を挿入したから、隣接するコンクリート基礎部材1A,1B間で折り返し部19A,19Bが抵触することなく、上方から吊り降ろして配置することができるので現場施工を簡便に行うことができる。また、垂直方向に折り返された折り返し部19A,19B内に連結鉄筋20が有する短鉄筋22,22を挿入するだけで、略格子状の補強鉄筋24を簡単且つ強固に連結することができる。
なお本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施例における連結鉄筋は、主筋と補助鉄筋とを有するものとしたが、主筋のみで構成し、主筋の端部を曲げることで係止部を形成するなどしてもよい。
1A,1B コンクリート基礎部材
2 コンクリート基礎部材本体
3 端部
4 凹部
7 補強鉄筋
9A,9B 折り返し部
11,20 連結鉄筋
12,21 主筋
13,23 補助鉄筋(係止部)
16 不定形硬化材
22 短鉄筋
X 水平方向
Y 垂直方向

Claims (6)

  1. プレキャスト製のコンクリート基礎部材本体と、前記コンクリート基礎部材本体内に埋設されるとともに前記コンクリート基礎部材本体の水平方向端面から突出する補強鉄筋と、前記補強鉄筋が突出する前記コンクリート基礎部材本体の水平方向端部に設けられた凹部とを備えることを特徴とするコンクリート基礎部材。
  2. 前記補強鉄筋は、前記コンクリート基礎本体の水平方向端面から突出して折り返された折り返し部を有することを特徴とする請求項1記載のコンクリート基礎部材。
  3. 請求項1記載のコンクリート基礎部材の連結構造において、隣接する前記コンクリート基礎部材それぞれの前記補強鉄筋は前記コンクリート基礎部材本体の水平方向端面から突出して折り返された折り返し部を有し、隣接する前記コンクリート基礎部材間の前記折り返し部内に連結鉄筋を挿入し、前記連結鉄筋が介在する前記凹部内に不定形硬化材を充填したことを特徴とするコンクリート基礎部材の連結構造。
  4. 前記連結鉄筋は、主筋と、前記主筋に対し交差して設けられた係止部とを有し、前記係止部を前記折り返し部に係止したことを特徴とする請求項3記載のコンクリート基礎部材の連結構造。
  5. 前記折り返し部は、水平方向に折り返され、隣接する前記コンクリート基礎部材間で上下に重なる位置となり、この上下に重なる位置となった前記折り返し部内に、前記主筋を挿入したことを特徴とする請求項3又は4記載のコンクリート基礎部材の連結構造。
  6. 前記折り返し部は、垂直方向に折り返され、隣接する前記コンクリート基礎部材間で左右に重なる位置となり、この左右に重なる位置となった折り返し部内に、前記主筋に交差して設けられた短鉄筋を挿入したことを特徴とする請求項4記載のコンクリート基礎部材の連結構造。
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